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Patent Searching and Data


Title:
UDP-GLUCURONYL TRANSFERASE AND POLYNUCLEOTIDE ENCODING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/047992
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide a novel UDP-glucuronyl transferase and a polynucleotide encoding the same (for example, a polynucleotide containing a polynucleotide comprising one nucleotide sequence selected from the group consisting of a nucleotide sequence between positions 1 to 1359 of SEQ ID NO: 4, a nucleotide sequence between positions 1 to 1365 of SEQ ID NO: 10, a nucleotide sequence between positions 1 to 1371 of SEQ ID NO: 12, and a nucleotide sequence between positions 1 to 1371 of SEQ ID NO: 22; or a polynucleotide containing a polynucleotide encoding a protein having one amino acid sequence selected from the group consisting of SEQ ID NOS: 5, 11, 13, and 23), etc. This provides a novel UDP-glucuronyl transferase with broad substrate specificity.

Inventors:
ONO EIICHIRO (JP)
NOGUCHI AKIO (JP)
FUKUI YUKO (JP)
MIZUTANI MASAKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/067613
Publication Date:
April 16, 2009
Filing Date:
September 29, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUNTORY LTD (JP)
ONO EIICHIRO (JP)
NOGUCHI AKIO (JP)
FUKUI YUKO (JP)
MIZUTANI MASAKO (JP)
International Classes:
C12N15/00; C07H17/07; C12N1/15; C12N1/19; C12N1/21; C12N5/10; C12N9/10; C12N15/09; C12P7/62
Foreign References:
JP2005287403A2005-10-20
Other References:
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See also references of EP 2199388A4
Attorney, Agent or Firm:
KOBAYASHI, Hiroshi et al. (Fukuoka Bldg. 9th Fl.8-7, Yaesu 2-chome,Chuo-k, Tokyo 28, JP)
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Claims:
 以下の(a)~(f)のいずれかに記載のポリヌクレオチド:

(a)配列番号:4で表される塩基配列の第1番目~第1359番目の塩基配列、配列番号:10で表される塩基配列の第1番目~第1365番目の塩基配列、配列番号:12で表される塩基配列の第1番目~第1371番目の塩基配列、及び配列番号:22で表される塩基配列の第1番目~第1371番目の塩基配列からなる群から選択される1つの塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号:5、11、13及び23からなる群から選択される1つのアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号:5、11、13及び23からなる群から選択される1つのアミノ酸配列において1~15個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつUDP-グルクロン酸転移酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号:5、11、13及び23からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に対して、80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、かつUDP-グルクロン酸転移酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号:4で表される塩基配列の第1番目~第1359番目の塩基配列、配列番号:10で表される塩基配列の第1番目~第1365番目の塩基配列、配列番号:12で表される塩基配列の第1番目~第1371番目の塩基配列、及び配列番号:22で表される塩基配列の第1番目~第1371番目の塩基配列からなる群から選択される1つの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつUDP-グルクロン酸転移酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;または
(f)配列番号:5、11、13及び23からなる群から選択される1つのアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつUDP-グルクロン酸転移酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
 以下の(g)~(j)のいずれかである請求項1に記載のポリヌクレオチド:
(g)配列番号:5、11、13及び23からなる群から選択される1つのアミノ酸配列において10個以下のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつUDP-グルクロン酸転移酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(h)配列番号:5、11、13及び23からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に対して、90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、かつUDP-グルクロン酸転移酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(i)配列番号:4で表される塩基配列の第1番目~第1359番目の塩基配列、配列番号:10で表される塩基配列の第1番目~第1365番目の塩基配列、配列番号:12で表される塩基配列の第1番目~第1371番目の塩基配列、及び配列番号:22で表される塩基配列の第1番目~第1371番目の塩基配列からなる群から選択される1つの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつUDP-グルクロン酸転移酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;または
(j)配列番号:5、11、13及び23からなる群から選択される1つのアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつUDP-グルクロン酸転移酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
 配列番号:4で表される塩基配列の第1番目~第1359番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有する、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
 配列番号:10で表される塩基配列の第1番目~第1365番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有する、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
 配列番号:12で表される塩基配列の第1番目~第1371番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有する、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
 配列番号:22で表される塩基配列の第1番目~第1371番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有する、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
 配列番号:5のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
 配列番号:11のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
 配列番号:13のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
 配列番号:23のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
 DNAである、請求項1~10のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
 請求項1~11のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドにコードされるタンパク質。
 請求項1~11のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含有するベクター。
 請求項1~11のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドが導入された形質転換体。
 請求項13に記載のベクターが導入された形質転換体。
 請求項14又は15に記載の形質転換体を用いる請求項12のタンパク質の製造方法。
 請求項12に記載のタンパク質を触媒として、UDP-グルクロン酸とフラボノイドからグルクロン酸抱合体を生成する、グルクロン酸抱合体の製造方法。
Description:
UDP-グルクロン酸転移酵素および それをコードするポリヌクレオチド

 本発明は、UDP-グルクロン酸転移酵素、そ れをコードするポリヌクレオチド、それを含 有するベクター、形質転換体などに関する。

 食経験が豊富なフラボノイドやリグナン はじめとするポリフェノール系の植物二次 謝産物は、抗酸化性に代表される機能性か 機能性素材として古くから注目され、健康 品として既に販売されている。例えば、ケ セチン(フラボノイド)、OTPP(フラボノイド) セサミン(リグナン)などは健康食品の代表的 な素材である。

 植物細胞におけるフラボノイドの生合成 路は古くから研究が進められており、代謝 路を触媒する生合成酵素およびそれをコー する遺伝子については単離され、その分子 構の理解が進んでいる。

 その一方で、植物二次代謝産物が体内(in vivo)に取り込まれた後、どのような形に代謝 され機能発現するかについての知見は乏しい 。

 一般に植物の二次代謝産物の配糖体化は の種類(グルコース、ラムノース、グルクロ ン酸、ガラクトースなど)を問わずUDP-糖転移 素(UGT: UDP-glycosyltransferase)と呼ばれるスーパ ーファミリーに属する酵素によって触媒され ることが知られている。また、セサミンの研 究例において二次代謝産物は体内ではカテコ ール体を経て、グルクロン酸抱合体として存 在することが示されたことから、このグルク ロン酸抱合体が植物二次代謝産物の体内での 機能発現の一端を担っていると考えられてい る。

 哺乳類におけるケルセチン代謝物として4 種類のモノグルクロナイド(Q-3-GlcA、Q-7-GlcA、Q -3’-GlcA、Q-4’-GlcA)が存在することが確認さ ている(文献1;Day, AJ et al. Free Radic. Res. 35 , 941-952, 2001、文献2; Moon, JH. et al. Free Rad ical Biology & Medicine 30, 1274-1285, 2001 、 献3;O'Leary, KA. et al. Biochemical Pharmacology 65,  479-491, 2003、文献4;van der Woude, H. et al. Ch em Res Toxicol. 17, 1520-1530, 2004)が、これらの 体内での機能を知るためには十分な量の化 物を得てその活性を調べる必要がある。し しながら、これまで基質特異性の広い適当 UDP-グルクロン酸転移酵素は知られておらず 、また、結合位置特異的な反応生成物を化学 合成することは現実的に不可能であった。

 シソ科コガネバナ(Scutellaria baicalensis)の はオウゴンと呼ばれ、抗酸化性の高いフラ ンの7位グルクロン酸抱合体が蓄積している とが知られているが、食薬区分では医薬品 分類される(文献5:Gao, Z. et al.Biochemica et B iophysica Acta 1472, 643-650. 1999)。これまでにシ ソ科コガネバナからフラボンの7位グルクロ 酸転移酵素としてSb7GATが精製されているが 本酵素はフラボン7位水酸基のオルト位に水 基などの置換基を持つフラボン(バイカレイ ン、スクテラレインなど)にのみ活性を示し 主要なフラボンであるアピゲニンやルテオ ン、さらにフラボノールの一種であるケル チンに対しては活性を示さない(文献6:Nagashim a S. et al., Phytochemistry 53, 533-538, 2000.)。ま た、このSb7GATに対応する遺伝子はGenBankに登 されている(アクセションNo.AB042277)が、その 能については確認されていない。

 一方、食経験のあるシソ科シソ(Perilla fru tescens a red-leaf variety)にはオウゴンよりも多 様なフラボン7位グルクロン酸抱合体が蓄積 ていることが知られている(文献7:Yamazaki, M. et al. Phytochemistry 62, 987-998. 2003)。

 [文献]
  1.Day, AJ et al. Free Radic. Res. 35, 941-952,  2001
  2.Moon, JH. et al. Free Radical Biology & Me dicine 30, 1274-1285, 2001
  3.O'Leary, KA. et al. Biochemical Pharmacology 65,  479-491, 2003
  4.van der Woude, H. et al. Chem Res Toxicol. 17 , 1520-1530, 2004
  5.Gao, Z. et al.Biochemica et Biophysica Acta1472,  643-650, 1999
  6.Nagashima S. et al., Phytochemistry 53, 533-538,  2000.
  7.Yamazaki, M. et al. Phytochemistry 62, 987-998, 2003

 このような状況の下、基質特異性の広い 新たなUDP-グルクロン酸転移酵素、およびそ れをコードする遺伝子を同定することが求め られていた。

 本発明は上記状況に鑑みてなされたもの あり、下記に示す、UDP-グルクロン酸転移酵 素、それをコードするポリヌクレオチド、な らびに、それを含有するベクター、および形 質転換体などを提供する。

(1) 以下の(a)~(f)のいずれかに記載のポリヌク レオチド:

(a)配列番号:4で表される塩基配列の第1番目~ 1359番目の塩基配列、配列番号:10で表される 基配列の第1番目~第1365番目の塩基配列、配 番号:12で表される塩基配列の第1番目~第1371 目の塩基配列、及び配列番号:22で表される 基配列の第1番目~第1371番目の塩基配列から る群から選択される1つの塩基配列からなる ポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチ ド;
(b)配列番号:5、11、13及び23からなる群から選 される1つのアミノ酸配列を有するタンパク 質をコードするポリヌクレオチドを含有する ポリヌクレオチド;
(c)配列番号:5、11、13及び23からなる群から選 される1つのアミノ酸配列において1~15個の ミノ酸が欠失、置換、挿入および/もしくは 加されたアミノ酸配列からなり、かつUDP-グ ルクロン酸転移酵素活性を有するタンパク質 をコードするポリヌクレオチドを含有するポ リヌクレオチド;
(d)配列番号:5、11、13及び23からなる群から選 される1つのアミノ酸配列に対して、80%以上 の相同性を有するアミノ酸配列を有し、かつ UDP-グルクロン酸転移酵素活性を有するタン ク質をコードするポリヌクレオチドを含有 るポリヌクレオチド;
(e)配列番号:4で表される塩基配列の第1番目~ 1359番目の塩基配列、配列番号:10で表される 基配列の第1番目~第1365番目の塩基配列、配 番号:12で表される塩基配列の第1番目~第1371 目の塩基配列、及び配列番号:22で表される 基配列の第1番目~第1371番目の塩基配列から る群から選択される1つの塩基配列と相補的 な塩基配列からなるポリヌクレオチドとスト リンジェントな条件下でハイブリダイズし、 かつUDP-グルクロン酸転移酵素活性を有する ンパク質をコードするポリヌクレオチドを 有するポリヌクレオチド;または
(f)配列番号:5、11、13及び23からなる群から選 される1つのアミノ酸配列からなるタンパク 質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列 と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチ ドとストリンジェントな条件下でハイブリダ イズし、かつUDP-グルクロン酸転移酵素活性 有するタンパク質をコードするポリヌクレ チドを含有するポリヌクレオチド。
(2) 以下の(g)~(j)のいずれかである上記(1)に記 載のポリヌクレオチド:
(g)配列番号:5、11、13及び23からなる群から選 される1つのアミノ酸配列において10個以下( 0~10個)のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/ もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、 かつUDP-グルクロン酸転移酵素活性を有する ンパク質をコードするポリヌクレオチドを 有するポリヌクレオチド;
(h)配列番号:5、11、13及び23からなる群から選 される1つのアミノ酸配列に対して、90%以上 の相同性を有するアミノ酸配列を有し、かつ UDP-グルクロン酸転移酵素活性を有するタン ク質をコードするポリヌクレオチドを含有 るポリヌクレオチド;
(i)配列番号:4で表される塩基配列の第1番目~ 1359番目の塩基配列、配列番号:10で表される 基配列の第1番目~第1365番目の塩基配列、配 番号:12で表される塩基配列の第1番目~第1371 目の塩基配列、及び配列番号:22で表される 基配列の第1番目~第1371番目の塩基配列から る群から選択される1つの塩基配列と相補的 な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイ ストリンジェントな条件下でハイブリダイズ し、かつUDP-グルクロン酸転移酵素活性を有 るタンパク質をコードするポリヌクレオチ を含有するポリヌクレオチド;または
(j)配列番号:5、11、13及び23からなる群から選 される1つのアミノ酸配列からなるタンパク 質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列 と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチ ドとハイストリンジェントな条件下でハイブ リダイズし、かつUDP-グルクロン酸転移酵素 性を有するタンパク質をコードするポリヌ レオチドを含有するポリヌクレオチド。
(3)配列番号:4で表される塩基配列の第1番目~ 1359番目の塩基配列からなるポリヌクレオチ を含有する、上記(1)に記載のポリヌクレオ ド。
(4)配列番号:10で表される塩基配列の第1番目~ 1365番目の塩基配列からなるポリヌクレオチ ドを含有する、上記(1)に記載のポリヌクレオ チド。
(5)配列番号:12で表される塩基配列の第1番目~ 1371番目の塩基配列からなるポリヌクレオチ ドを含有する、上記(1)に記載のポリヌクレオ チド。
(6)配列番号:22で表される塩基配列の第1番目~ 1371番目の塩基配列からなるポリヌクレオチ ドを含有する、上記(1)に記載のポリヌクレオ チド。
(7)配列番号:5のアミノ酸配列からなるタンパ 質をコードするポリヌクレオチドを含有す 、上記(1)に記載のポリヌクレオチド。
(8)配列番号:11のアミノ酸配列からなるタンパ ク質をコードするポリヌクレオチドを含有す る、上記(1)に記載のポリヌクレオチド。
(9)配列番号:13のアミノ酸配列からなるタンパ ク質をコードするポリヌクレオチドを含有す る、上記(1)に記載のポリヌクレオチド。
(10)配列番号:23のアミノ酸配列からなるタン ク質をコードするポリヌクレオチドを含有 る、上記(1)に記載のポリヌクレオチド。
(11)DNAである、上記(1)~(10)のいずれか1項に記 のポリヌクレオチド。
(12)上記(1)~(11)のいずれか1項に記載のポリヌ レオチドにコードされるタンパク質。
(13)上記(1)~(11)のいずれか1項に記載のポリヌ レオチドを含有するベクター。
(14)上記(1)~(11)のいずれか1項に記載のポリヌ レオチドが導入された形質転換体。
(15)上記(13)に記載のベクターが導入された形 転換体。
(16)上記(14)又は(15)に記載の形質転換体を用い る上記(12)のタンパク質の製造方法。
(17)上記(12)に記載のタンパク質を触媒として UDP-グルクロン酸とフラボノイドからグルク ロン酸抱合体を生成する、グルクロン酸抱合 体の製造方法。

 本発明のポリヌクレオチドは、例えば、 質転換体に導入されることによって、新た UDP-グルクロン酸転移酵素の製造に有用であ る。本発明の好ましい態様のUDP-グルクロン 転移酵素は、基質特異性が広く、多様な糖 容体基質をグルクロン酸化する活性を有す 。

キンギョソウ由来AmUGTcg10、ヤクシマタ ナミソウ由来SlUGT、およびシソ由来PfUGT50、 よびコガネバナ由来のSb7GATのアミノ酸配列 アライメントである。 PfUGT50の糖受容体基質の基質特異性を解 析した結果を示す図である。 SlUGTの糖受容体基質の基質特異性を解 した結果を示す図である。 AmUGTcg10の糖受容体基質の基質特異性を 析した結果を示す図である。 SiUGT23の糖受容体基質の基質特異性を解 析した結果を示す図である。 SlUGTとSC1との反応液中の生成物につい のLC-MS分析結果の図である。図中の矢印は生 成物を示す。 SC1とSlUGT1との反応生成物のMS分析結果 図である。 ケルセチンとSlUGT1との反応生成物のLC 析結果の図である。

[配列表フリーテキスト]
配列番号:1:合成DNA
配列番号:2:合成DNA
配列番号:6:合成DNA
配列番号:7:合成DNA
配列番号:8:合成DNA
配列番号:9:合成DNA
配列番号:14:合成DNA
配列番号:15:合成DNA
配列番号:16:合成DNA
配列番号:17:合成DNA
配列番号:18:合成DNA
配列番号:19:合成DNA
配列番号:20:合成DNA
配列番号:21:合成DNA
配列番号:24:合成DNA
配列番号:25:合成DNA

 以下に、本発明のUDP-グルクロン酸転移酵 素、それをコードするポリヌクレオチド、そ れを含有するベクター、形質転換体などを詳 細に説明する。

1.本発明のポリヌクレオチド
 まず、本発明は、(a) 配列番号:4で表される 塩基配列の第1番目~第1359番目の塩基配列、配 列番号:10で表される塩基配列の第1番目~第1365 番目の塩基配列、配列番号:12で表される塩基 配列の第1番目~第1371番目の塩基配列、及び配 列番号:22で表される塩基配列の第1番目~第1371 番目の塩基配列からなる群から選択される1 の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含 するポリヌクレオチド(具体的には、DNA、以 、これらを単に「DNA」とも称する);及び(b) 列番号:5、11、13及び23からなる群から選択さ れる1つのアミノ酸配列を有するタンパク質 コードするポリヌクレオチドを含有するポ ヌクレオチドを提供する。本発明で対象と るDNAは、上記のUDP-グルクロン酸転移酵素を ードするDNAに限定されるものではなく、こ タンパク質と機能的に同等なタンパク質を ードする他のDNAを含む。機能的に同等なタ パク質としては、例えば、(c)配列番号:5、11 、13及び23からなる群から選択される1つのア ノ酸配列において1~15個のアミノ酸が欠失、 置換、挿入および/もしくは付加されたアミ 酸配列からなり、かつUDP-グルクロン酸転移 素活性を有するタンパク質が挙げられる。 のようなタンパク質としては、配列番号:5 11、13及び23からなる群から選択される1つの ミノ酸配列において、例えば、1~15個、1~14 、1~13個、1~12個、1~11個、1~10個、1~9個、1~8個 1~7個、1~6個(1~数個)、1~5個、1~4個、1~3個、1~2 個、1個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入 よび/または付加されたアミノ酸配列からな 、かつUDP-グルクロン酸転移酵素活性を有す るタンパク質が挙げられる。上記アミノ酸残 基の欠失、置換、挿入および/または付加の は、一般的には小さい程好ましい。また、 のようなタンパク質としては、配列番号:5、 11、13及び23からなる群から選択される1つの ミノ酸配列に対して、約80%以上、81%以上、82 %以上、83%以上、84%以上、85%以上、86%以上、87 %以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92 %以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97 %以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上 99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99 .7%以上、99.8%以上、99.9%以上の相同性を有す アミノ酸配列を有し、かつUDP-グルクロン酸 移酵素活性を有するタンパク質が挙げられ 。上記相同性の数値は一般的に大きい程好 しい。

 ここで、「UDP-グルクロン酸転移酵素活性」 とは、フラボノイド、スチルベンおよびリグ ナン等の水酸基をグルクロン酸化し(例えば ラボンをその7位の水酸基でグルクロン酸化 )、グルクロン酸抱合体を生じる反応を触媒 する活性をいう。
 UDP-グルクロン酸転移酵素活性は、例えば、 UDP-グルクロン酸と糖受容体基質(例えば、フ ボン)を評価対象となる酵素の存在下で反応 させ、得られる反応物をHPLC等で分析するこ によって測定することができる(より具体的 は、後述の実施例の記載を参照)。

 また、本発明は、(e)配列番号:4で表され 塩基配列の第1番目~第1359番目の塩基配列、 列番号:10で表される塩基配列の第1番目~第136 5番目の塩基配列、配列番号:12で表される塩 配列の第1番目~第1371番目の塩基配列、及び 列番号:22で表される塩基配列の第1番目~第137 1番目の塩基配列からなる群から選択される1 の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポ ヌクレオチドとストリンジェントな条件下 ハイブリダイズし、かつUDP-グルクロン酸転 移酵素活性を有するタンパク質をコードする ポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチ ド;及び(f)配列番号:5、11、13及び23からなる群 から選択される1つのアミノ酸配列からなる ンパク質をコードするポリヌクレオチドの 基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌ レオチドとストリンジェントな条件下でハ ブリダイズし、かつUDP-グルクロン酸転移酵 活性を有するタンパク質をコードするポリ クレオチドを含有するポリヌクレオチドも 含する。

 本明細書中、「ポリヌクレオチド」とは DNAまたはRNAを意味する。


 本明細書中、「ストリンジェントな条件下 ハイブリダイズするポリヌクレオチド」と 、例えば、配列番号:4で表される塩基配列 第1番目~第1359番目の塩基配列、配列番号:10 表される塩基配列の第1番目~第1365番目の塩 配列、配列番号:12で表される塩基配列の第1 目~第1371番目の塩基配列、及び配列番号:22 表される塩基配列の第1番目~第1371番目の塩 配列からなる群から選択される1つの塩基配 と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオ ド、または配列番号:5、11、13及び23からな 群から選択される1つのアミノ酸配列をコー するポリヌクレオチドの塩基配列と相補的 塩基配列からなるポリヌクレオチドの全部 たは一部をプローブとして、コロニーハイ リダイゼーション法、プラークハイブリダ ゼーション法またはサザンハイブリダイゼ ション法などを用いることにより得られる リヌクレオチドをいう。ハイブリダイゼー ョンの方法としては、例えば“Sambrook & Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual Vol.3 , Cold Spring Harbor, Laboratory Press 2001”、“Au subel, Current Protocols in Molecular Biology, John W iley & Sons 1987-1997”などに記載されてい 方法を利用することができる。 


 本明細書中、「ストリンジェントな条件」 は、低ストリンジェントな条件、中ストリ ジェントな条件及び高ストリンジェントな 件のいずれでもよい。「低ストリンジェン な条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト 液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、32℃の条件で る。また、「中ストリンジェントな条件」 、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS 、50%ホルムアミド、42℃の条件である。「高 トリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC 5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド 、50℃の条件である。これらの条件において 温度を上げるほど高い相同性を有するDNAが 率的に得られることが期待できる。ただし ハイブリダイゼーションのストリンジェン ーに影響する要素としては温度、プローブ 度、プローブの長さ、イオン強度、時間、 濃度など複数の要素が考えられ、当業者で ればこれら要素を適宜選択することで同様 ストリンジェンシーを実現することが可能 ある。 


 なお、ハイブリダイゼーションに市販のキ トを用いる場合は、例えばAlkphos Direct Label ling Reagents(アマシャムファルマシア社製)を いることができる。この場合は、キットに 付のプロトコルにしたがい、標識したプロ ブとのインキュベーションを一晩行った後 メンブレンを55℃の条件下で0.1% (w/v) SDSを む1次洗浄バッファーで洗浄後、ハイブリダ ズしたDNAを検出することができる。 


 上記以外にハイブリダイズ可能なポリヌク オチドとしては、FASTA、BLASTなどの相同性検 索ソフトウェアにより、デフォルトのパラメ ーターを用いて計算したときに、配列番号:4 表される塩基配列の第1番目~第1359番目の塩 配列、配列番号:10で表される塩基配列の第1 番目~第1365番目の塩基配列、配列番号:12で表 れる塩基配列の第1番目~第1371番目の塩基配 、及び配列番号:22で表される塩基配列の第1 番目~第1371番目の塩基配列からなる群から選 される1つの塩基配列、または配列番号:5、1 1、13及び23からなる群から選択される1つのア ミノ酸配列をコードするDNAと約60%以上、約70% 以上、71%以上、72%以上、73%以上、74%以上、75% 以上、76%以上、77%以上、78%以上、79%以上、80% 以上、81%以上、82%以上、83%以上、84%以上、85% 以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90% 以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95% 以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99. 1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5% 上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、または99 .9%以上の相同性を有するDNAをあげることがで きる。 


 なお、アミノ酸配列や塩基配列の相同性は カーリンおよびアルチュールによるアルゴ ズムBLAST(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87 2264-2268,  1990; Proc Natl Acad Sci USA 90: 5873, 1993)を用 いて決定できる。BLASTのアルゴリズムに基づ たBLASTNやBLASTXと呼ばれるプログラムが開発 れている(Altschul SF, et al.: J Mol Biol 215:  403, 1990)。BLASTNを用いて塩基配列を解析する 合は、パラメーターは、例えばscore=100、word length=12とする。また、BLASTXを用いてアミノ酸 配列を解析する場合は、パラメーターは、例 えばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLA STプログラムを用いる場合は、各プログラム デフォルトパラメーターを用いる。 


 上記した本発明のポリヌクレオチドは、公 の遺伝子工学的手法または公知の合成手法 よって取得することが可能である。 


2.本発明のタンパク質 本発明は、さらに別 実施形態において、上記ポリヌクレオチド(a )~(f)のいずれかにコードされるタンパク質も 供する。本発明の好ましいタンパク質は、 列番号:5、11、13及び23からなる群から選択 れる1つのアミノ酸配列において1~15個のアミ ノ酸が欠失、置換、挿入および/もしくは付 されたアミノ酸配列からなり、かつUDP-グル ロン酸転移酵素活性を有するタンパク質で る。このようなタンパク質としては、配列 号:5、11、13及び23からなる群から選択され 1つのアミノ酸配列において、上記したよう 数のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入およ /または付加されたアミノ酸配列からなり、 かつUDP-グルクロン酸転移酵素活性を有する ンパク質が挙げられる。また、このような ンパク質としては、配列番号:5、11、13及び23 からなる群から選択される1つのアミノ酸配 と上記したような相同性を有するアミノ酸 列を有し、かつUDP-グルクロン酸転移酵素活 を有するタンパク質が挙げられる。このよ なタンパク質は、“Sambrook & Russell, Mole cular Cloning: A Laboratory Manual Vol.3, Cold Spring  Harbor, Laboratory Press 2001”、“Ausubel, Current  Protocols in Molecular Biology, John Wiley & So ns 1987-1997”、“Nuc. Acids. Res., 10, 6487 (1982) ”、“Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409 (1982) 、“Gene, 34, 315 (1985)”、“Nuc. Acids. Res., 13, 4431 (1985)”、“Proc. Natl. Acad. Sci. USA,  82, 488 (1985)”等に記載の部位特異的変異導 法を用いて、取得することができる。

 本発明のタンパク質のアミノ酸配列におい 1以上のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入お よび/または付加されたとは、同一配列中の 意かつ1もしくは複数のアミノ酸配列中の位 において、1または複数のアミノ酸残基の欠 失、置換、挿入及び/又は付加があることを 味し、欠失、置換、挿入及び付加のうち2種 上が同時に生じてもよい。
 以下に、相互に置換可能なアミノ酸残基の を示す。同一群に含まれるアミノ酸残基は 互に置換可能である。A群:ロイシン、イソ イシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリ 、アラニン、2-アミノブタン酸、メチオニン 、o-メチルセリン、t-ブチルグリシン、t-ブチ ルアラニン、シクロヘキシルアラニン; B群: スパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパ ギン酸、イソグルタミン酸、2-アミノアジ ン酸、2-アミノスベリン酸; C群:アスパラギ 、グルタミン; D群:リジン、アルギニン、 ルニチン、2,4-ジアミノブタン酸、2,3-ジアミ ノプロピオン酸; E群:プロリン、3-ヒドロキ プロリン、4-ヒドロキシプロリン; F群:セリ 、スレオニン、ホモセリン; G群:フェニル ラニン、チロシン。


 また、本発明のタンパク質は、Fmoc法(フル レニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t- ブチルオキシカルボニル法)等の化学合成法 よっても製造することができる。また、ア バンスドケムテック社製、パーキンエルマ 社製、ファルマシア社製、プロテインテク ロジーインストゥルメント社製、シンセセ ーベガ社製、パーセプティブ社製、島津製 所等のペプチド合成機を利用して化学合成 ることもできる。 


 ここで、本発明のタンパク質は、UDP-グルク ロン酸転移酵素である。「UDP-グルクロン酸 移酵素」は、UDP-グルクロン酸を糖供与体と て糖受容体基質にグルクロン酸残基を転移 、グルクロン酸抱合体とUDPとを生じる反応 触媒する。本発明において、糖受容体基質 、例えばフラボノイド、スチルベン、およ リグナンである。 


 フラボノイドには、フラボン、フラボノー 、フラバノン、イソフラボン、フラボンC配 糖体、オーロン、およびカテキン等が含まれ る。このうち、フラボンとしては、例えば、 バイカレイン、スクテラレイン、アピゲニン 、ルテオリン、トリセチン、ジオスメチン、 およびクリソエリオールを挙げることができ る。フラボノールとしては、例えば、ケルセ チン、ミリセチン、およびケンフェロールを 挙げることができる。フラバノンとしては、 例えば、ナリンゲニンを挙げることができる 。イソフラボンとしては、例えば、ゲニステ イン、ダイゼインおよびホルモノネチンを挙 げることができる。フラボンC配糖体として 、例えば、ビテキシン、イソビテキシンお びオリエンチンを挙げることができる。オ ロンとしては、例えば、オーレウシジンを げることができる。カテキンとしては、例 ば、カテキンおよびエピガロカテキンガレ トを挙げることができる。
 スチルベンには、レスベラトロール(Resveratr ol)およびその配糖体のピセイド(piceid)等が含 れる。
 リグナンには、(+)-ピノレジノール((+)-Pinores inol)、(+)-ピペリトール((+)-Piperitol)、(+)-セサ ノール((+)-Sesaminol)、(+)-セコイソラリシレジ ール((+)-Secoisolariciresinol)、(+)-セサミンカテ ール1((+)-Sesamim catecol1)(SC1)、(+)-セサミンカ コール2((+)-Sesamim catecol2)(SC2)、(+)-エピセサ ンカテコール2((+)-Episesamim catecol2)(EC2)、お びマタイレジノール(matairesinol)等が含まれる 。 


 そして、例えば、配列番号:5のアミノ酸配 を有するUDP-グルクロン酸転移酵素(PfUGT50)は 糖受容体基質が、バイカレイン、アピゲニ 、スクテラレイン、ルテオリン、トリセチ 、ジオスメチン、クリソエリオール、ケル チン、ミリセチン、ケンフェロール、ナリ ゲニン、およびオーレウシジン等のフラボ イドのとき、レスベラトロール等のスチル ンのとき、ならびにSC1等のリグナンのとき 活性を示し、特に、バイカレイン、アピゲ ン、スクテラレイン、ルテオリン、トリセ ン、ジオスメチン、クリソエリオール、ケ セチン、およびオーレウシジンのときに他 糖受容体基質と比較して強い活性を示す。


 配列番号:11のアミノ酸配列を有するUDP-グル クロン酸転移酵素(SlUGT)は、糖受容体基質が バイカレイン、アピゲニン、スクテラレイ 、ルテオリン、トリセチン、ジオスメチン クリソエリオール、ケルセチン、ケンフェ ール、ナリンゲニン、ゲニステイン、ダイ イン、ホルモノネチン、およびミリセチン のフラボノイド、エスクレチン等のクマリ のとき、レスベラトロール等のスチルベン とき、ならびにSC1、SC2、およびEC2等のリグ ンのときに活性を示し、特に、バイカレイ およびアピゲニンのときに他の糖受容体基 と比較して強い活性を示す。 


 配列番号:13のアミノ酸配列を有するUDP-グル クロン酸転移酵素(AmUGTcg10)は、糖受容体基質 、バイカレイン、アピゲニン、スクテラレ ン、ルテオリン、トリセチン、ジオスメチ 、クリソエリオール、ケルセチン、ケンフ ロール、ナリンゲニン、およびオーレウシ ン等のフラボノイドのとき、ならびにレス ラトロール等のスチルベンのときに活性を し、特に、バイカレイン、アピゲニン、ス テラレイン、ルテオリン、トリセチン、ジ スメチン、クリソエリオール、ケンフェロ ル、およびナリンゲニン等のフラボノイド ときに他の糖受容体基質と比較して強い活 を示す。 


 配列番号:23のアミノ酸配列を有するUDP-グル クロン酸転移酵素(SiUGT23)は、糖受容体基質が 、バイカレイン、アピゲニン、スクテラレイ ン、ルテオリン、トリセチン、ジオスメチン 、クリソエリオール、イソビテキシン、ケル セチン、ケンフェロール、ナリンゲニン、オ ーレウシジン、ホルモノネチン等のフラボノ イドのとき、エスクレチン等のクマリンのと き、レスベラトロール等のスチルベンのとき 、ならびにSC1等のリグナンのときに活性を示 し、特に、バイカレイン、スクテラレイン、 ルテオリン、トリセチン、ケンフェロール、 およびオーレウシジン等のフラボノイドのと きに他の糖受容体基質と比較して強い活性を 示す。 


3.ベクター及びこれを導入した形質転換体
 本発明はまた、別の実施形態において、本 明のポリヌクレオチドを含有する発現ベク ーを提供する。本発明の発現ベクターは、 記(a)~(f)のいずれかのポリヌクレオチドを含 有する。好ましくは、本発明の発現ベクター は、(g)~(j)のいずれかのポリヌクレオチドを 有する。さらに好ましくは、本発明の発現 クターは、配列番号:4で表される塩基配列の 第1番目~第1359番目の塩基配列からなるポリヌ クレオチド、配列番号:10で表される塩基配列 の第1番目~第1365番目の塩基配列からなるポリ ヌクレオチド、配列番号:12で表される塩基配 列の第1番目~第1371番目の塩基配列からなるポ リヌクレオチド、及び配列番号:22で表される 塩基配列の第1番目~第1371番目の塩基配列から なるポリヌクレオチドからなる群から選択さ れる1つのポリヌクレオチド、又は、配列番 :5のアミノ酸配列からなるタンパク質をコー ドするポリヌクレオチド、配列番号:11のアミ ノ酸配列からなるタンパク質をコードするポ リヌクレオチド、配列番号:13のアミノ酸配列 からなるタンパク質をコードするポリヌクレ オチド、及び配列番号:23のアミノ酸配列から なるタンパク質をコードするポリヌクレオチ ドからなる群から選択される1つのポリヌク オチドを含有するポリヌクレオチドを含有 る。 

 本発明のベクターは、通常、(i)宿主細胞 で転写可能なプロモーター;(ii)該プロモー ーに結合した、上記(a)~(j)のいずれかに記載 ポリヌクレオチド;及び(iii)RNA分子の転写終 およびポリアデニル化に関し、宿主細胞内 機能するシグナルを構成要素として含む発 カセットを含むように構成される。このよ に構築されるベクターは、宿主細胞に導入 れる。発現ベクターの作製方法としては、 ラスミド、ファージ、またはコスミドなど 用いる方法が挙げられるが特に限定されな 。

 ベクターの具体的な種類は特に限定され 、宿主細胞中で発現可能なベクターが適宜 択され得る。すなわち、宿主細胞の種類に じて、確実に本発明のポリヌクレオチドを 現させるために適宜プロモーター配列を選 し、これと本発明のポリヌクレオチドを各 プラスミド等に組み込んだベクターを発現 クターとして用いればよい。

 本発明の発現ベクターは、導入されるべ 宿主の種類に依存して、発現制御領域(例え ば、プロモーター、ターミネーター、および /または複製起点等)を含有する。細菌用発現 クターのプロモーターとしては、慣用的な ロモーター(例えば、trcプロモーター、tacプ ロモーター、lacプロモーター等)が使用され 酵母用プロモーターとしては、例えば、グ セルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼプ モーター、PH05プロモーター等が挙げられ、 糸状菌用プロモーターとしては、例えば、ア ミラーゼ、trpC等が挙げられる。また動物細 宿主用プロモーターとしては、ウイルス性 ロモーター(例えば、SV40初期プロモーター、 SV40後期プロモーター等)が挙げられる。

 発現ベクターは、少なくとも1つの選択マ ーカーを含むことが好ましい。このようなマ ーカーとしては、栄養要求性マーカー(ura5、n iaD)、薬剤耐性マーカー(hygromycine、ゼオシン) ジェネチシン耐性遺伝子(G418r)、銅耐性遺伝 子(CUP1)(Marin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA,  81, 337, 1984)、セルレニン耐性遺伝子(fas2m, PD R4)(それぞれ猪腰淳嗣ら,生化学,64, 660, 1,992; Hussain et al., gene, 101, 149, 1991)などが利用 能である。

 また、本発明は、上記(a)~(j)のいずれかに 記載のポリヌクレオチドが導入された形質転 換体を提供する。

 形質転換体の作製方法(生産方法)は特に 定されないが、例えば、上述した組換えベ ターを宿主に導入して形質転換する方法が げられる。ここで用いられる宿主細胞は、 に限定されるものではなく、従来公知の各 細胞を好適に用いることができる。具体的 は、例えば、大腸菌(Escherichia coli)等の細菌 酵母(出芽酵母Saccharomyces cerevisiae、分裂酵 Schizosaccharomyces pombe)、線虫(Caenorhabditis elegan s)、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)の卵母 胞等を挙げることができる。上記の宿主細 のための適切な培養培地および条件は当分 で周知である。また、形質転換の対象とな 生物も特に限定されるものではなく、上記 主細胞で例示した各種微生物、植物または 物が挙げられる。


 宿主細胞の形質転換方法としては一般に用 られる公知の方法が利用できる。例えば、 レクトロポレーション法(Mackenxie D. A. et a l. Appl. Environ. Microbiol., 66, 4655-4661, 2000)、 ーティクルデリバリー法(特開2005-287403「脂 生産菌の育種方法」に記載の方法)、スフェ ロプラスト法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75, p19 29(1978))、酢酸リチウム法(J. Bacteriology, 153, p 163(1983))、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75, p1929(197 8)、Methods in yeast genetics, 2000 Edition : A Col d Spring Harbor Laboratory Course Manualなどに記載 の方法)で実施可能であるが、これらに限定 れない。 


4.本発明のタンパク質の製造方法
 本発明はまた、別の実施形態において、上 の形質転換体を用いる本発明のタンパク質 製造方法を提供する。 


 具体的には、上記形質転換体の培養物から 本発明のタンパク質を分離・精製すること よって、本発明のタンパク質を得ることが きる。ここで、培養物とは、培養液、培養 体もしくは培養細胞、または培養菌体もし は培養細胞の破砕物のいずれをも意味する 本発明のタンパク質の分離・精製は、通常 方法に従って行うことができる。 


 具体的には、本発明のタンパク質が培養菌 内もしくは培養細胞内に蓄積される場合に 、培養後、通常の方法(例えば、超音波、リ ゾチーム、凍結融解など)で菌体もしくは細 を破砕した後、通常の方法(例えば、遠心分 、ろ過など)により本発明のタンパク質の粗 抽出液を得ることができる。本発明のタンパ ク質が培養液中に蓄積される場合には、培養 終了後、通常の方法(例えば、遠心分離、ろ など)により菌体もしくは細胞と培養上清と 分離することにより、本発明のタンパク質 含む培養上清を得ることができる。 


 このようにして得られた抽出液もしくは培 上清中に含まれる本発明のタンパク質の精 は、通常の分離・精製方法に従って行うこ ができる。分離・精製方法としては、例え 、硫酸アンモニウム沈殿、ゲルろ過クロマ グラフィー、イオン交換クロマトグラフィ 、アフィニティークロマトグラフィー、逆 高速液体クロマトグラフィー、透析法、限 ろ過法などを単独で、または適宜組み合わ て用いることができる。

5.グルクロン酸抱合体の製造方法
 さらに、本発明は、本発明のタンパク質を いてグルクロン酸抱合体を製造する方法を 供する。本発明のタンパク質は、糖受容体 質(例えば、フラボノイド、スチルベン、ま たはリグナン)にUDP-グルクロン酸からグルク ン酸を転移する反応を触媒するので、本発 のタンパク質を用いることにより、糖受容 基質およびUDP-グルクロン酸を原料として、 グルクロン酸抱合体を製造することができる 。糖受容体基質は、好ましくは、フラボノイ ドである。
 例えば、1mMの糖受容体基質、2mMのUDP-グルク ロン酸、50mMのリン酸カルシウムバッファー(p H7.5)、および20μMの本発明のタンパク質を含 溶液を調製し、30℃で、30分間反応させるこ により、グルクロン酸抱合体を製造するこ ができる。この溶液から、グルクロン酸抱 体は、公知の方法により分離・精製するこ ができる。具体的には、例えば、硫酸アン ニウム沈殿、ゲルろ過クロマトグラフィー イオン交換クロマトグラフィー、アフィニ ィークロマトグラフィー、逆相高速液体ク マトグラフィー、透析法、限外ろ過法など 単独で、または適宜組み合わせて用いるこ ができる。
 このようにして得られるグルクロン酸抱合 は、その生体内での機能を調べるための試 や、抗酸化剤などとして有用である(Gao, Z.,  Huang, K., Yang, X., and Xu, H. (1999) Biochimica et Biophysica Acta 1472, 643-650.)。
 本発明は、以下の実施例によってさらに詳 に説明されるが、これらに限定されるべき はない。

1.実施例1の概要
 本実施例では、シソ科ヤクシマタツナミソ からPCRによりSb7GATホモログ遺伝子(SlUGT)をク ローニングし、この遺伝子をプローブとして フラボノイドの7位グルクロン酸抱合体を蓄 するシソ科シソの葉由来cDNAライブラリーか フラボノイドの7位グルクロン酸転移酵素の 単離を試みた。
 スクリーニングの結果、シソ由来配糖化酵 (PfUGT)の中にフラボンの7位の水酸基に対し グルクロン酸を転移する活性を有するPfUGT50 同定した。このPfUGT50はバイカレイン、スク テラレイン、アピゲニン、ルテオリンなどの フラボン類だけなく、フラボノールであるケ ルセチンに対してもグルクロン酸転移活性を 有していた。従って、PfUGT50を用いることで ラボンを含む多様なフラボノイドの7位を試 管内(in vitro)においてグルクロン酸化する とができるようになる。
 さらにスクリーニングプローブとして単離 たヤクシマタツナミソウ由来のSlUGTについ も多様なフラボノイドに対してグルクロン 転移活性を示した。また、ゴマノハグサ科 ンギョソウについても、PfUGT50およびSlUGTと 同性の高いUGT(UDP- glucuronosyltransferase)を探索 、キンギョソウ由来のUGTであるAmUGTcg10を同 した。大腸菌発現させたAmUGTcg10タンパク質 アピゲニン、ケルセチン、ナリンゲニンに してグルクロン酸転移活性を示した。した って構造的に類似した上記のシソPfUGT50、タ ツナミソウSlUGTおよびキンギョソウAmUGTcg10は ラボノイドの7位グルクロン酸転移活性を有 する酵素であることが示された。

2.シソcDNAライブラリーからの配糖体化酵素遺 伝子の単離
(1)プローブの調整
 本実施例において用いる分子生物学的手法 、他で詳述しない限り、Molecular Cloning(Sambro okら、Cold Spring Harbour Laboratory Press, 2001)に 載の方法に従った。
 RNeasy Plant Mini Kit(QIAGEN)を使用して、ヤク マタツナミソウの根から総RNAを抽出した後 SuperScript TM  First-Strand Synthesis System for RT-PCR(Invitrogen社 )を製造業者が推奨する条件に従って使用し 、総RNA 1μgからcDNAを合成した。コガネバナ Sb7GATの配列(GenBankアクセションNo.AB042277)を にプライマー-Fw(配列番号:1)とプライマー-Rv( 配列番号:2)を設計し、これを用いてヤクシマ タツナミソウcDNAを鋳型にPCRを行った。

配列番号:1:SlUGT-Fw:5’ -AAA CATATG GCGGTGCTGGCGAAGTTC-3’ (下線はNdeIサイト)
配列番号:2:SlUGT-Rv:5’ -TTT TGATCA TTAATCCCGAGTGGCGTGAAG-3’ (下線はBclIサイト)

 具体的にはPCR反応液(50μl)は、ヤクシマタ ツナミソウ(Scutellaria laeteviolaceav. yakusimensis)c DNA 1μl、1×Taq buffer(TaKaRa)、0.2mM dNTPs、プラ マー(配列番号:1および2)各0.4pmol/μl、rTaq poly merase 2.5Uからなる。PCR反応は94℃で3分間反応 させた後、94℃で1分間、53℃で1分間、72℃で2 分間の反応を30サイクルの増幅を行った。

 増幅した断片をpCR-TOPOIIベクター(Invitrogen) のマルチクローニングサイトに挿入し、挿入 断片の塩基配列DNA Sequencer model 3100(Applied Bi osystems)を使用して、合成オリゴヌクレオチド プライマーを用いるプライマーウォーキング 法によって塩基配列を決定した。得られた塩 基配列のCLUSTAL-Wプログラム(MACVECTOR 7.2.2ソフ ウェア、Accerly社)で解析した結果、コガネ ナと高い相同性を有するヤクシマタツナミ ウUGTの部分配列が得られたこと確認した(配 番号:3)。このヤクシマタツナミソウ由来UGT SlUGT部分配列としてスクリーニングプロー の鋳型とした。

 非ラジオアイソトープDIG-核酸検出システ ム(ロシュ社)を、製造者が推奨するPCR条件に って使用して、RT-PCRによって得られたフラ メントにDIG標識を導入した。具体的にはPCR 応液(50μl)は、各cDNA 1μl、1×Taq buffer(TaKaRa) 0.2mM dNTPs、プライマー(配列番号:1および2) 0.4pmol/μl、rTaq polymerase 2.5Uからなる。PCR反 は94℃で5分間反応させた後、94℃で1分間、53 ℃で1分間、72℃で2分間の反応を30サイクルの 増幅を行った。アガロース電気泳動によりSlU GT断片がラベル標識されていることを確認し このDIG標識化フラグメントを、ハイブリダ ゼーション用プローブとして以下の実験に いた。

(2)ハイブリダイゼーション
 非ラジオアイソトープDIG-核酸検出システム (ロシュ)を製造者の推奨する方法に従って使 して、シソ(品種:赤縮緬紫蘇)の葉由来cDNAラ イブラリー(Yonekura-Sakakibara, K. et al., Plant C ell Physiol. 41, 495-502. 2000)を、前述のSlUGTプ ーブを用いてスクリーニングした。

 ハイブリダイゼーション緩衝液(5×SSC、30%ホ ルムアミド、50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7. 0)、1%SDS、2%ブロッキング試薬(ロシュ)、0.1%ラ ウロイルサルコシン、80g/mlサケ精子DNA)を用 て40℃で1時間プレハイブリダイゼーション 行った後、変性したプローブを添加して、 らに一晩インキュベートした。メンブレン 、1%SDSを含む4×SSC洗浄液中にて58℃で30分間 浄した。約1×10 6 pfuのプラークをスクリーニングして、約300個 の陽性クローンを得た。

(3)遺伝子同定
 陽性クローンをニ次スクリーニングによっ シングルプラーク化し、M13RVおよびM13M4(-20) プライマー対を用いて、挿入物断片を増幅 、挿入部分のDNA配列を決定した。得られたD NA配列に基づいて得た推定のアミノ酸配列を いてBlast xによるデータベース検索した結 、SlUGTおよびSb7GATと高い相同性を示すシソUGT (PfUGT50)を得た(配列番号:4、5)。

 得られた完全長のPfUGT50とSlUGTおよびSb7GAT CLUSTAL-Wプログラム(MACVECTOR 7.2.2ソフトウェ 、Accerly社)で解析した結果、SlUGTおよびSb7GAT 共に5’領域が欠損している不完全ORF(Open Re ading Frame)であることが強く示唆された。そ で、Gene Racer kit(Invitrogen社)を製造業者の推 する方法に従ってRapid Amplification of cDNA En d(以下、RACE)を行い、SlUGTの5’および3’領域 増幅した。RACEには以下に示す各SlUGT遺伝子 特異的なプライマーセットを用いた(配列番 号:6~9)。

配列番号:6:GR-SlUGT-Rv: 5’ -TGG GAG GCA AAC CAG GGA TCT CGA CAA
配列番号:7:SlUGT-nest-Rv: 5’ -AAT CAT CCA AAT CT T TAA GGT

配列番号:8:GR-SlUGT-Fw: 5’ -AGA AGG GGT GTG TTC TCC GCT GAG CAA
配列番号:9:SlUGT-nest-Fw: 5’ -GAA CAG CGG TCA CA G ATT TCT

 各増幅産物について、合成オリゴヌクレ チドプライマーを用いるプライマーウォー ング法によって塩基配列を決定し、完全長O RFを含むSlUGT遺伝子およびアミノ酸配列を得 (配列番号:10、11)。

 シソおよびヤクシマタツナミソウに加え ゴマノハグサ科キンギョソウ(Antirrhinum majus )においてもフラボンの一種であるアピゲニ 7位グルクロン酸抱合体が報告されている(Har borne, J. B. Phytochemistry2, 327-334. 1963)。以前 単離していた配列番号:12および13で示す機能 未知のキンギョソウ配糖体化酵素、AmUGTcg10が 本実施例で単離したPfUGT50およびSlUGTと高い相 同性を示すことから、AmUGTcg10も酵素解析の候 補遺伝子とした (Ono, E. et al., Proc. Natl. Ac ad. Sci. USA 103, 11075-11080. 2006)。

 上記で取得したキンギョソウ由来AmUGTcg10 ヤクシマタツナミソウ由来SlUGT、およびシ 由来PfUGT50のアライメントを図1に示す。尚、 図1には、コガネバナ由来のSb7GATを併記した

3.シソ葉からのフラボノイドの抽出と精製 
(1)Scutellarein 7-glucuronideの精製
 青シソの葉(愛知産・豊橋温室連合)、200枚 144.4gを液体窒素中で粉砕し、1.5Lの50%CH 3 CN、0.1%HCOOHに一晩、浸漬しセライトろ過した ろ液を減圧濃縮し、濃縮液を600mlのCHP-20Pに 荷し、水、10,20,30,40,50%CH 3 CN/H 2 O各300mlx2でステップワイズ溶出を行い、ポリ ェノール類の溶出が認められた10%-2から50%-1 までの各画分を濃縮、凍結乾燥を行いHPLCで 析した。収量は10%-2(12.1mg)、20%-1(52.5mg)、20%-2( 122.4mg)、30%-1(227.5mg)、30%-2(262.8mg)、40%-1(632.4mg) 40%-2(192.0mg)、50%-1(113.2mg)で40%-1はrosmarinic acid が高純度で含まれており、他はすべてフラボ ンを含む画分であった。30%-2画分を下記の分 HPLCで精製しScutellarein 7-glucuronide、16mgが得 れた。

分取HPLC条件
カラム:Develosil C-30-UG5, 20mm x 250mm, 
移動相:A-0.1%TFA, B-0.05% TFA/90% CH 3 CN, 
流速:6ml/min. 
グラジエント:B20→B60%(100min),B60%iso(20min)
検出:A280nm

(2)Scutellarein 7-glucuronideの加水分解とアグリコ ンの精製
 上記(1)で得られたScutellarein 7-glucuronideのう 3mgを100μLのDMSOに溶解し、15mlのファルコン ューブに二分した。各チューブに10mLのH 2 Oと0.2Mの酢酸Na緩衝液(pH5.0)、2.5mLおよびβ-Glucr onidase/Arylsulfatase(EC3.2.1.31/EC3.1.6.1、Roche Diagnost ics GmbH製)溶液、0.8mlを加え37℃で2時間インキ ュベートした。反応終了液をSep-Pak-C18(20cc)に 荷し、水、20mlの後、10%EtOH、20mlで塩類、タ パク類を除去し、80%CH 3 CN+0.05%TFA、40mlで生成したアグリコンを溶出し 、濃縮、凍結乾燥した。この画分を下記の分 取HPLCで精製し、0.4mgのScutellarein(アグリコン) 得た。

分取HPLC条件
カラム:Develosil C-30-UG5, 20mm x 250mm, 
移動相:A-0.1%TFA, B-0.05% TFA/90% CH 3 CN, 
流速:6ml/min. 
グラジエント:B15→B70%(60min),B70%iso(10min)
検出:A330nm

4.組換えシソ配糖体化酵素の発現と活性測定
(1)発現ベクター構築
 上記のお互いに相同性の高い、シソ由来PfUG T50、ヤクシマタツナミソウ由来SlUGT、および ンギョソウ由来AmUGTcg10の3種の配糖体化酵素 の完全長ORFを含むcDNAを、それぞれの遺伝子 異的なプライマーセット(PfUGT50,配列番号:14-1 5;SlUGT,配列番号:16-17;AmUGTcg10,配列番号:18-19)に って増幅した。鋳型にはそれぞれシソ葉,ヤ クシマタツナミソウ根,キンギョソウ花弁か 抽出したTotal RNAを用いて合成したcDNAを用い た。

配列番号:14:PfUGT50-fw: 5’ -AAA CATATG GAAGGCGTCATACTTC-3’ (下線はNdeIサイト)
配列番号:15:PfUGT50-rv: 5’ -TTT TGATCA TTAATCACGAGTTACGGAATC-3’ (下線はBclIサイト)
配列番号:16:SlUGT-fw: 5’ -AAA CATATG GAGGACACGATTGTTATC-3’ (下線はNdeIサイト)
配列番号:17:SlUGT-rv: 5’ -TT CATATG TCAATCCCTCGTGGCCAGAAG-3’ (下線はNdeIサイト)
配列番号:18:AmUGTcg10-fw: 5’ -AAA CATATG GAGGACACTATCGTTCTC-3’ (下線はNdeIサイト)
配列番号:19:AmUGTcg10-rv: 5’ - TT GGATCC TTAAGAAACCACCATATCAAC-3’ (下線はBamHIサイト)

 PCR反応 (KOD -Plus-, TOYOBO)は94℃, 2 min; [9 4℃, 15 sec; 50℃, 30 sec; 68℃, 1.5 min]×35 cy clesで行った。増幅されたDNA断片をpCR-Blunt II- TOPO vector(Zero Blunt TOPO PCR Cloning Kit, invitrog en)へサブクローニングし、ABI3100Avant (Applied  Biosystems)によって塩基配列の確認を行った。P fUGT50に関しては得られたプラス株を形質転換 することで非メチル化プラスミドを得た。得 られたプラスミドはPfUGT50ではNdeIとBclI,SlUGTで はNdeI,、AmUGTcg10ではNdeIとBamHIにてそれぞれ消 し、生じた約1.5 kbのDNA断片をPfUGT50とAmUGTcg1 0ではNdeIとBamHI、SlUGTではNdeIで消化したpET-15 連結した。

(2)組換え大腸菌の培養とタンパクの精製
 上記4-(1)で得られたそれぞれのプラスミド 用い大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。得ら た形質転換体を、50 μg/mlのアンピシリンを むLB培地(10 g/l tryptone,5 g/l yeast extract,1 g/ l NaCl)4 mlに、37℃で一晩振盪培養した。静止 期に達した培養液4 mlを同組成の培地80 mlに 種し,37℃で振盪培養した。菌体濁度(OD 600 )がおよそ0.5に達した時点で終濃度0.4 mMのIPTG (イソプロピル-β-チオガラクトピラノシド)を 添加し,22℃で20時間振盪培養した。以下のす ての操作は4℃で行った。培養した形質転換 体を遠心分離(7,000×g,15 min)にて集菌し,Buffer  S[20 mM リン酸ナトリウムバッファー(pH 7.4),2 0 mM imidazole,0.5 M NaCl,14 mM β-メルカプトエ ノール]2 ml/gcellを添加し,懸濁した。続いて 超音波破砕(15 sec×8回)を行い,遠心分離(15,000 g,10 min)した。得られた上清に終濃度0.12% (w/ v) ポリエチレンイミンを添加して懸濁し,30  min静置した。遠心分離(15,000×g,10 min)を行い, 清を粗酵素液として回収した。粗酵素液をB uffer Sにて平衡化したHis SpinTrap (GE Healthcare) にアプライし,遠心(70×g,30 sec)した。Buffer S  600μlで洗浄後,100,200,500 mM imidazoleを含むBuffer  S 各600μlにてカラムに結合したタンパク質 段階的に溶出した。各溶出画分をMicrocon YM- 30 (Amicon)を用いて14 mM β-メルカプトエタノ ルを含む20 mM リン酸カリウムバッファー(p H 7.5)にバッファー置換した。SDS-PAGE解析の結 果,100 mMおよび200 mM imidazole溶出画分に目的 サイズのタンパク質を確認したので,これら の画分を混合し解析に用いた。なお,これら 画分では目的タンパク質単一ではなかった

(3)酵素反応とHPLC分析条件
 標準的な反応条件は以下の通りである。反 液(2 mM UDP-グルクロン酸,100 μM 糖受容体 質,50 mM リン酸カリウムバッファー(pH 7.5), 素溶液)50μlを調製し,酵素溶液を添加するこ とで反応を開始させ,30℃,30分間反応させた。 0.5% TFA in CH 3 CN 50μl を添加することにより反応を停止さ ,HPLCにて分析した。HPLC条件は以下の通りで る。カラム,Develosil C30-UG-5(4.6×150 mm); 溶離 液A,0.1% TFA / H 2 O;溶離液B,0.08% TFA / 90% CH 3 CN;溶離条件A(オーロン,カテキン,クマリン,フ ニルプロパノイド以外),0 min/5%B→18 min/100%B 液→18.1 min/5%B→25 min/5%B;溶離条件B(オーロン ,カテキン,クマリン,フェニルプロパノイド),0  min/5%B→20 min/50%B液→20.5 min/5%B→25 min/5%B; 速,1 ml/min;検出波長:280, 350 nm。以下に各キ ラクタリゼーションの方法及び結果を示す

糖受容体基質特異性解析
 上記の方法に従い,各種糖受容体基質に対す る特異性を解析した(図2~4)。
 図2は、PfUGT50の糖受容体基質の基質特異性 解析の結果を示す図である。図2では、Scutell areinに対する活性を100%としたときの各基質に 対する相対活性を示した。解析の結果,PfUGT50 Scutellareinに対し最大の活性を示し,配糖体以 外のフラボンによく反応した(Baicalein(Scutellare inに対する相対活性,73%),Apigenin(44%),Luteolin(41%), Tricetin(87.9%),Diosmetin(62%),Chrysoeriol(18%))。さらに フラボノール(Quercetin(26%),Myricetin(9%),Kaempferol(3 %)),フラバノン(Naringenin(3%))およびオーロン(Aur eusidin(40%))に対しても活性を示した。しかし がら,フラボンC配糖体(Vitexin,Isovitexin,Orientin), イソフラボン(Genistein,Daidzein,Formononetin),カテ ン(Catechin,Epigallocatechin gallate),クマリン(Escule tin)およびフェニルプロパノイド(Coniferyl alcoh ol)に対しては活性を示さなかった。また,HPLC おいてScutellarein,Baicalein,Apigenin,Quercetinはそ 反応生成物がそれぞれの7位グルクロノシル 物の保持時間と一致した。

 図3は、SlUGTの糖受容体基質の基質特異性 解析した結果を示す図である。図3では、Scu tellareinに対する活性を100%としたときの各基 に対する相対活性を示した。解析の結果、Sl UGTはScutellareinに対し最大の活性を示し,Baicalei n(Scutellareinに対する相対活性,63%)以外のフラ ンに対する反応性は低かった(Apigenin(3%),Luteol in(0.6%),Tricetin(1.1%),Diosmetin(0.3%),Chrysoeriol(0.02%)) またフラボノール(Quercetin(1%),Kaempferol(14%)), ラバノン(Naringenin(6%)),イソフラボン(Genistein(1 %),Daidzein(0.3%),Formononetin(0.08%)),クマリン(Esculeti n(0.3%))に対する活性も低く,フラボンC配糖体(V itexin,Isovitexin,Orientin),オーロン(Aureusidin),カテ ン(Catechin,Epigallocatechin gallate)およびフェニ プロパノイド(Coniferyl alcohol)に対しては活 を示さなかった。つまり,SlUGTの活性にはフ ボノイドの7位のオルト位の修飾が重要であ ことが示唆された。また,HPLCにおいてScutella rein,Baicalein,Apigeninはその反応生成物がそれぞ の7位グルクロノシル化物の保持時間と一致 した。一方,Quercetinでは複数の反応生成物が 出され,その1つは7位グルクロノシル化物の 持時間と一致した。

 図4は、AmUGTcg10の糖受容体基質の基質特異 性を解析した結果を示す図である。図4では Scutellareinに対する活性を100%としたときの各 質に対する相対活性を示した。解析の結果 AmUGTcg10はScutellareinに対し最大の活性を示し, 配糖体以外のフラボンにも反応した(Baicalein(S cutellareinに対する相対活性,22%),Apigenin(40%),Luteo lin(34%),Tricetin(23.8%),Diosmetin(26%),Chrysoeriol(18%))。 さらにフラボノール(Quercetin(4%),Kaempferol(28%)), ラバノン(Naringenin(15%))およびオーロン(Aureusi din(2%))に対しても活性を示した。しかしなが ,フラボンC配糖体(Vitexin,Isovitexin,Orientin),イ フラボン(Genistein,Daidzein,Formononetin),カテキン( Catechin,Epigallocatechin gallate),クマリン(Esculetin) よびフェニルプロパノイド(Coniferyl alcohol) 対しては活性を示さなかった。また,HPLCにお いてScutellarein,Baicalein,Apigenin,Quercetinはその反 生成物がそれぞれの7位グルクロノシル化物 の保持時間と一致した。

 以上の結果からフラボン等のフラボノイ に対しPfUGT50とAmUGTcg10は低い特異性を示すの に対し,SlUGTは高い特異性を示すことが明らか になった。そして、シソ由来のPfUGT50が、特 低い特異性を示すこと、すなわち、基質特 性の広い酵素であることが分かった。

糖供与体基質特異性解析
 Apigeninを糖受容体基質として用い,各種UDP活 化糖供与体に対する特異性を解析した。そ 結果,PfUGT50,SlUGTおよびAmUGTcg10はUDP-グルクロ 酸に対してのみ活性を示し,UDP-グルコース,U DP-ガラクトースに対しては活性を示さなかっ た。
 以上の結果からこれらの酵素はフラボンに 異性の高い7位グルクロン酸転移酵素(フラ ン 7-O-グルクロノシルトランスフェラーゼ) あると考察した。

pHおよび温度特性解析
 温度安定性は以下のようにして解析した。 素溶液を15~55℃,1時間処理後,4℃に冷却した 冷却後のサンプルを用い,標準的な反応条件 で残存活性を算出した。pH安定性は以下のよ にして解析した。酵素溶液に終濃度 167 mM 緩衝液(pH 4, 4.5, 5,Acetate-NaOH;pH 5.5, 6, 6.5,  7, 7.5,NaH 2 PO 4 -NaOH;pH 8, 8.5, 9,Tris-HCl)を添加し,4℃,1時間処 後,終濃度500 mM リン酸カリウムバッファー (pH 7.5)を添加した。処理後のサンプルを用い ,標準的な反応条件で残存活性を算出した。 応温度依存性は反応温度を10~55℃にした標準 的な反応条件で反応を行い解析した。 反応p H依存性はリン酸カリウムバッファー(pH 7.5) 代わりに緩衝液(pH 4, 4.5, 5,Acetate-NaOH;pH 5.5,  6, 6.5, 7, 7.5,NaH 2 PO 4 -NaOH;pH 8, 8.5, 9,Tris-HCl)を用いた標準的な反 条件で反応を行い解析した。以上の解析の 果,PfUGT50はpH 7~9の範囲において安定で,その 媒活性はpH 7~8の範囲において最大で,酸性 域ではあまり活性を示さなかった。また,30 以下において安定で(1時間,pH 7.5),30分間にお ける活性測定では反応至適温度は30℃であっ 。SlUGTはpH 4.5~8の範囲において安定で,その 媒活性はpH 7~8の範囲において最大で,酸性 域ではあまり活性を示さなかった。また,本 素は40℃以下において安定で(1時間,pH 7.5),30 分間における活性測定では反応至適温度は35 であった。AmUGTcg10はpH 7.5~9.5の範囲におい 安定で,その触媒活性はpH 8.5~9.5の範囲にお て最大で,酸性領域ではあまり活性を示さな った。また,本酵素は30℃以下において安定 (1時間,pH 7.5),30分間における活性測定では 応至適温度は45℃であった。これらの性質は 既知の植物2次代謝に関わるGTと類似していた 。

5.結果
 上記のように、構造的に類似したシソ科シ 由来PfUGT50、シソ科ヤクシマタツナミソウ由 来SlUGTおよびゴマノハグサ科キンギョソウ由 AmUGTcg10を同定した。PfUGT50およびAmUGTcg10配糖 体化酵素はコガネバナSb7GATと比べ糖受容体基 質特異性が広く、フラボン、フラボノール、 オーロンなどの多様なフラボノイドの7位グ クロン酸転移活性を有していた。一方、SlUGT はSb7GATと類似した基質特異性を示した。これ らの配糖体化酵素を用いることで安価にフラ ボノイドの7位をグルクロン酸抱合化するこ ができるようになる。
 このため、Quercetin7-glucronideなどの生体内に 在するグルクロン酸抱合体をin vitroで大量 生成し、生理活性の評価を行うことが可能 ある。

1.実施例2の概要
 本実施例では、シソ目ゴマ科ゴマ(Sesamum ind icum)からタツナミソウSlUGTおよびキンギョソ AmUGTcg12と相同性の高いSiUGT23を同定し、その 腸菌発現タンパク質にスクテラレインおよ ルテオリンに対してグルクロン酸転移活性 有していることを確認した。

2.SiUGT23遺伝子の同定
 タツナミソウおよびキンギョソウのフラボ イド7位グルクロン酸転移酵素遺伝子(UGT遺 子)の配列保存性に着目しこれらの遺伝子と 同性の高い遺伝子を調査した結果、シソ目 マ科ゴマにおいても、これらのUGT遺伝子と い相同性を示すゴマUGT遺伝子、SiUGT23がある こと見出した。ゴマcDNAライブラリー内から 離されたSiUGT23は完全長配列を有していなか た為、下記配列番号:20および21のプライマ を用いて前記実施例1の2(3)で述べたRACE法に りSiUGT23の完全長配列を決定した(配列番号:22 および23)。

配列番号:20:GR-SiUGT23-Rv
5’-GGCCAAACGCGCCGGAGCTGATGTAGA-3’
配列番号:21:SiUGT23-nest-Rv
5’-AGTGGGTATATTCAAGCCTGT-3’

3.ゴマ由来SiUGT23の発現と活性測定
 ゴマ由来SiUGT23の完全長ORFを含むcDNAを、遺 子特異的なプライマーセット(配列番号:24お び25)によって増幅した。鋳型にはゴマ種子 ら抽出したTotal RNAを用いて合成したcDNAを いた。前記実施例1のシソ、タツナミソウ、 よびキンギョソウのUGTと同様に大腸菌発現 クターに組み込み、同様の方法によって組 換えSiUGT23タンパク質を発現させ、酵素活性 を測定した。

配列番号:24: SiUGT23-fw: 5’ -CAC CATATG GAAGACACCGTTGTCCTCTA-3’(下線はNdeIサイト)
配列番号:25:SiUGT23-rv: 5’ - GGATCC TAACATCACTCAAACCCGAGTCA-3’ (下線はBamHIサイト)

 図5は、SiUGT23の糖受容体基質の基質特異 を解析した結果を示す図である。図5では、S cutellareinに対する活性を100%としたときの各基 質に対する相対活性を示した。解析の結果、 SiUGT23はScutellareinに対し最大の活性を示し,以 のフラボンにも反応した(Baicalein(Scutellarein 対する相対活性(以下同様)、24%)、Apigenin(7%) Luteolin(29%)、Tricetin(14.0%)、Diosmetin(4%)、Chrysoeri ol(6%)、Isovitexin(0.3%))。さらにフラボノール(Que rcetin(4%)、Kaempferol(18%))、フラバノン(Naringenin(2 %))、オーロン(Aureusidin(13%)),クマリン(Esculetin(0 .03%))および以下のイソフラボン(Formononetin(0.03 %))に対しても活性を示した。しかしながら,Is ovitexin以外のフラボンC配糖体(Vitexin、Orientin) Formononetin以外のイソフラボン(Genistein、Daidze in)、カテキン(Catechin、Epigallocatechin gallate)お びフェニルプロパノイド(Caffeic acid)に対し は活性を示さなかった。また,HPLCにおいてSc utellarein、Baicalein、Apigenin、Quercetinはその反応 生成物がそれぞれの7位グルクロノシル化物 保持時間と一致した。

 以上の結果からゴマSiUGT23はシソPfGT50およ びキンギョソウAmUGTcg10と同様にフラボン等の フラボノイドに対し低い特異性を示すフラボ ノイド7位グルクロン酸転移酵素であること 示された。

 シソPfUGT50、ヤクシマタツナミソウSlUGT、 ンギョソウAmUGTcg10組換えタンパク質および マのSiUGT23組換えタンパク質を用いて植物性 ポリフェノールであるスチルベンおよびリグ ナンに対するグルクロン酸転移活性について 検討した。スチルベンの基質としてはResveratr ol、リグナンの基質には(+)-Pinoresinol、(+)-Piperi tol、(+)-Sesaminol、(+)-Secoisolariciresinol、(+)-Sesamim  catecol1(SC1), (+)-Sesamim catecol2(SC2),および(+)-Ep isesamim catecol2(EC2)を用い(Nakai M, et al. (2003) J Agric Food Chem. 51, 1666-1670.)、先述と同様 条件で酵素反応を行った。

 HPLC分析の結果、シソPfUGT50、ヤクシマタツ ミソウSlUGT、キンギョソウAmUGTcg10およびゴマ のSiUGT23との反応液全てにおいて生成物が得 れた(図2-5参照)。また、リグナン類に関して は、SC1および SC2を基質にした際に、新たに 成物が得られた。最も生成物が多く得られ SlUGTとSC1との反応をLC-MS分析した結果、SC1は R.T.=12.8分に溶出し、反応生成物はR.T.=10.8分( 6)、m/z=517.1328 [M - H] - (C25H25O12、calcd.517.1346、err. -2.5ppm)のSC1モノグ クロナイドであることが確認された(図7)。L C-MSの条件は下記の通りである。
 カラム:Develosil C30-UG3, 3mm x 150 mm
 移動相:A; H 2 O, B; CH 3 CN, C; 2.5%HCOOH, 0.2ml/min.
 グラジエント:B20%→B70%(10分)、B70%(5分)、C4%
 検出:A280nm
 MS条件:Q-TOF-Premier (Micromass、Manchester、UK製)
 Vモード、negative、キャピラリー電圧:2.3KV、 ーン電圧:45V

 以上の結果より、シソPfUGT50、ヤクシマタ ツナミソウSlUGT、キンギョソウAmUGTcg10および マのSiUGT23を用いることで多様なフラボノイ ドに加え、スチルベンおよびリグナンのグル クロナイドを生産できることを確認した。

 ヤクシマタツナミソウ由来SlUGTはケルセチ (QU)と反応させた際にその7位グルクロン酸以 外に複数の生成物を与えた(図8)。
 これらはゴマ由来SiUGT23、キンギョソウ由来 AmUGTcg10、およびシソ由来PfUGT50では認められ い特徴的な生成物である。LC-MS分析の結果、 保持時間7~9分の間にはケルセチンに対して二 つグルクロン酸が転移したと思われるm/z= 653 .1009 [M - H] - (C27H25O19, calcd. 653.0990, err. 2.9ppm)を示すケル セチンジグルクロナイドが検出された。保持 時間9~11分の間にはケルセチンに対してグル ロン酸が一つ転移したと思われるm/z= 477.06  [M - H] - のケルセチンモノグルクロナイドが3種類検 された。R.T.=10.12分の成分はシソのGATによる 応生成物を精製し構造解析したものと一致 たことから、Quercetin 7-O-glucuronideであるこ がわかった。またR.T.=10.34分の成分はブドウ 葉の主フラボノールを精製し構造解析した のと一致したことから、Quercetin 3-O-glucronide であることがわかった。(Hmamouch, M. et al. (1 996) Am J Enol Vitic., 47, 186-192)主反応生成物 あるR.T.=11.3分の成分は逆相HPLCで精製しNMRで 構造解析した結果、Quercetin 3’-O-glucronideで ることが明らかになった。主要な3つのピー はそれぞれケルセチンの7位、3位、3’位の ノグルクロナイドであることが確認された

 LC-MSの条件は下記の通りである。
 カラム:YMC-pack polymer C18, 2mm x 150 mm,6μm
 移動相:A; H 2 O, B; CH 3 CN, C; 2.5%HCOOH, 0.2ml/min.
 グラジエント:B10%→B50%(10分)、B50%(5分)、C4%
 検出:A350nm
 MS条件:Q-TOF-Premier (Micromass、Manchester、UK製)
 Vモード、negative、キャピラリー電圧:3.0KV、 ーン電圧:30V

 以上の結果から、ヤクシマタツナミソウS lUGTを用いることで、ケルセチンから多様な ルセチングルクロナイドが得られることが された。

 本発明のUDP-グルクロン酸転移酵素は、基 質特異性が広く、種々のグルクロン酸抱合体 の製造に有用である。製造したグルクロン酸 抱合体は、例えば、その生体内での機能を調 べるための試薬や、抗酸化剤などとして有用 である。