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Title:
WOOD COMPOSITE MATERIAL AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/084248
Kind Code:
A1
Abstract:
A wood composite material which can be inexpensively produced by effectively utilizing resources to make raw-material purchase stable and which has high strength and generates no harmful volatile substance. Also provided is a process for producing the composite material. The wood composite material is one obtained by adhesively molding a wood molding material with a tannin-based adhesive, the wood molding material being one derived from a wood containing tannin and the tannin-based adhesive containing tannin separated from a tannin-containing wood. This wood composite material may be produced by separating a tannin-rich portion from a tannin-containing wood, extracting the tannin from the tannin-rich portion, using the tannin obtained or a modified tannin obtained therefrom to prepare a tannin-based adhesive containing it as a main component, separately preparing a wood molding material from a tannin-containing wood, and adhesively molding and molding this wood molding material with the tannin adhesive.

Inventors:
NAKATANI MASAFUMI (JP)
KARUKAYA KOICHI (JP)
KORI YASUYUKI (JP)
SHIMADA MASAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/055822
Publication Date:
July 09, 2009
Filing Date:
March 27, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SEKISUI CHEMICAL CO LTD (JP)
NAKATANI MASAFUMI (JP)
KARUKAYA KOICHI (JP)
KORI YASUYUKI (JP)
SHIMADA MASAKI (JP)
International Classes:
B27N3/02; B27D1/04
Foreign References:
JP2000079607A2000-03-21
JP2004231814A2004-08-19
JP2006062327A2006-03-09
JP3515099B22004-04-05
Attorney, Agent or Firm:
KAWABI, Kenji (6th floor 9-7, Higashi-ikebukuro 3-chom, Toshima-ku Tokyo 13, JP)
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Claims:
 木質系成形材料がタンニン系接着剤で接着成形されてなる木質系複合材料であって、
 木質系成形材料がタンニンを含む樹種由来のものであり、且つ、タンニン系接着剤がタンニンを含む樹種から分離されたタンニンまたはそれを変性してなる変性タンニンを含有するものであることを特徴とする木質系複合材料。
 タンニンを含む樹種は、樹皮、木質部、葉、実、莢及び虫嬰からなる群から選ばれた少なくとも一つの部位におけるタンニン含有量が10質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の木質系複合材料。
 タンニンを含む樹種が、アカシア、ラジアータパイン、ケブラチョ、チェストナット、ガンビア及びオークからなる群から選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする請求項2に記載の木質系複合材料。
 タンニンを含む樹種が、アカシアまたはラジアータパインであることを特徴とする請求項3に記載の木質系複合材料。
 アカシアが、モリシマアカシアまたはアカシアマンギウムであることを特徴とする請求項4に記載の木質系複合材料。
 木質系成形材料が、木質チップであることを特徴とする請求項1に記載の木質系複合材料。
 タンニン系接着剤が、タンニンを含む樹種の樹皮または木質部由来のものであり、木質系成形材料が、タンニンを含む樹種の木質部由来のものであることを特徴とする請求項1に記載の木質系複合材料。
 タンニンを含む樹種からタンニン高含有部を分離し、該タンニン高含有部からタンニンを抽出し、得られたタンニンまたはそれを変性してなる変性タンニンからそれを主成分とするタンニン系接着剤を調製し、一方、タンニンを含む樹種から木質系成形材料を調製し、得られた木質系成形材料を、上記タンニン系接着剤で接着成形することによって木質系複合材料とすることを特徴とする木質系複合材料の製造方法。
 タンニンを抽出するとき、水、親水性溶媒又はこれらの混合溶媒を用いて行うことによって、タンニン溶液を調製し、該溶液をそのまま接着剤として用いることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
 タンニンを含む樹種が、アカシアまたはラジアータパインであることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
 タンニン高含有部が樹皮であることを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
 木質系成形材料とタンニン系接着剤とを混和して木質マットを形成させた後、この木質マットに高温水蒸気を浸透させながら木質マットを加熱及び加圧してタンニン系接着剤を硬化させることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
Description:
木質系複合材料およびその製造 法

 本発明は、木質系複合材料およびその製 方法に関する。

 木質系成形材料として木材を破砕した細長 木質チップを得たのち、この木質チップに 着剤を付着させ、木質チップをその長手方 に略揃えて配向させてマット状に積層して 質マットを形成し、この木質マットを加熱 圧することによって、木質系複合材料を得 方法が知られている。得られる木質系複合 料は、木質チップを配向させることによっ 曲げ強度が高くなる(例えば、特許文献1参 )。
 上記のように木質チップを接着剤で結合さ てなる木質系複合材料としては、例えば、 板積層材(LVL)、パーティクルボード、中密 繊維板(MDF)、ハードボード等が挙げられる。

 しかしながら、従来の上記木質系複合材 は、使用される木質チップが植物資源から り再生可能な資源材料であるものの、接着 として、一般に再生可能な天然資源ではな フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹 、イソシアネート樹脂などの石油系材料が 原料として用いられている。したがって、 られる木質系複合材料は循環型材料とは言 ない。また、十分に製造条件を管理しない 製品から有害な揮発性物質(例えばホルムア ルデヒド)が発生するという問題もある。

 このような問題を解決する方法として、 えば、使用済みの廃木材が破砕機で破砕さ て分級されて得られる細長い木質チップと 天然成分であるタンニンを主成分とする接 剤(以下、これをタンニン系接着剤ともいう )を混和し、このタンニン系接着剤を加熱し 硬化させ、硬化した接着剤で木質チップ同 を結合させて再生可能な資源を原料とする 然型資源からなる木質系複合材料を得る方 が知られている(例えば、特許文献2参照)。 られた木質系複合材料は実用上十分な強度 有することが可能であり、製品から有害な 発性物質が発生することがない。

 このタンニン系接着剤の原料となるタンニ は、チェストナット、アカシア、ケブラチ 、カラマツなどの樹木の主に樹皮部分に含 されているものであり、アフリカや南米、 ーストラリアなどにおいて、タンニンを得 ために立木を伐採し、得られた原木のタン ン高含有部(樹皮、木質部、葉、実、莢、虫 嬰など)を原料として抽出が行われ、タンニ が生産されている。しかしながら、このよ にして得られるタンニンは伐採した樹木全 の多くとも4質量%程度しかなく、残りの部分 は焼却されたり、パレット等に加工されたり する程度であり、有効に利用されていないの が現実である。また、タンニンの大部分は海 外からの輸入に頼っており、長距離輸送によ る輸送コストが高いという問題がある。
 一方で、木質チップの原料材としては、間 材等の生材料、工場や住宅建築現場で発生 る端材、部材輸送後に廃棄される廃パレッ 材、建築解体時に発生する解体廃材などが いられている。しかしながら、一般的にこ らの原材料は一カ所でまとまった量が発生 るわけではなく、少量ずつ分散して存在し いるものを集積する必要があり、収集・輸 に手間がかかってしまい調達コストが高く るという問題がある。また近年、これらの 質系バイオマスは発電やエタノール製造な の原材料として注目されており、安定した 量を安価で調達することが難しくなってき いるという問題がある。

特開昭63-107507号公報

特許第3515099号公報

 本発明の課題は、従来の木質系複合材料 問題点に鑑み、資源を有効に利用し、原料 達を安定させて安価に製造することができ 高強度で有害な揮発性物質が発生すること ない木質系複合材料及びその製造方法を提 することにある。

 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭 検討した結果、複数の木質系成形材料がタ ニン系接着剤で接着成形されてなり、木質 成形材料が、タンニンを含む樹種由来のも であるとともに、タンニン系接着剤がタン ンを含む樹種から分離されたタンニンやそ 変性タンニンを含有するものであることで 徴付けられる木質系複合材料により上記課 が達成されることを見出し、この知見に基 いて本発明をなすに至った。

 すなわち、本発明の第1の発明によれば、木 質系成形材料がタンニン系接着剤で接着成形 されてなる木質系複合材料であって、
 木質系成形材料がタンニンを含む樹種由来 ものであり、且つ、タンニン系接着剤がタ ニンを含む樹種から分離されたタンニンま はそれを変性してなる変性タンニンを含有 るものであることを特徴とする木質系複合 料が提供される。

 また、本発明の第2の発明によれば、第1 発明において、タンニンを含む樹種は、樹 、木質部、葉、実、莢及び虫嬰からなる群 ら選ばれた少なくとも一つの部位における ンニン含有量が10質量%以上であることを特 とする木質系複合材料が提供される。

 また、本発明の第3の発明によれば、第2 発明において、タンニンを含む樹種が、ア シア、ラジアータパイン、ケブラチョ、チ ストナット、ガンビア及びオークからなる から選ばれた少なくとも一つであることを 徴とする木質系複合材料が提供される。

 また、本発明の第4の発明によれば、第3 発明において、タンニンを含む樹種が、ア シアまたはラジアータパインであることを 徴とする木質系複合材料が提供される。

 また、本発明の第5の発明によれば、第4 発明において、アカシアが、モリシマアカ アまたはアカシアマンギウムであることを 徴とする木質系複合材料が提供される。

 また、本発明の第6の発明によれば、第1の 明において、木質系成形材料が、木質チッ であることを特徴とする木質系複合材料が 供される。
 なお、このような木質系複合材料は、第2~5 いずれかの発明に対しても適合し得る。す わち、第2~5のいずれかの発明においても上 第6の発明と同様の木質系複合材料とし得る 。換言すれば、この木質系複合材料は、第2~5 のいずれかの発明において、木質系成形材料 が、木質チップであることで特徴付けられる 。

 また、本発明の第7の発明によれば、第1 発明において、タンニン系接着剤が、タン ンを含む樹種の樹皮または木質部由来のも であり、木質系成形材料が、タンニンを含 樹種の木質部由来のものであることを特徴 する木質系複合材料が提供される。

 また、本発明の第8の発明によれば、タン ニンを含む樹種からタンニン高含有部を分離 し、該タンニン高含有部からタンニンを抽出 し、得られたタンニンまたはそれを変性して なる変性タンニンからそれを主成分とするタ ンニン系接着剤を調製し、一方、タンニンを 含む樹種から木質系成形材料を調製し、得ら れた木質系成形材料を、上記タンニン系接着 剤で接着成形することによって木質系複合材 料とすることを特徴とする木質系複合材料の 製造方法が提供される。

 また、本発明の第9の発明によれば、第8 発明において、タンニンを抽出するとき、 、親水性溶媒又はこれらの混合溶媒を用い 行うことによって、タンニン溶液を調製し 該溶液をそのまま接着剤として用いること 特徴とする製造方法が提供される。

 また、本発明の第10の発明によれば、第8の 明において、タンニンを含む樹種が、アカ アまたはラジアータパインであることを特 とする製造方法が提供される。
 なお、このような製造方法は、第9の発明に 対しても適合し得る。すなわち、第9の発明 おいても上記第10の発明と同様の製造方法と し得る。

 また、本発明の第11の発明によれば、第10 の発明において、タンニン高含有部が樹皮で あることを特徴とする製造方法が提供される 。

 また、本発明の第12の発明によれば、第8の 明において、木質系成形材料とタンニン系 着剤とを混和して木質マットを形成させた 、この木質マットに高温水蒸気を浸透させ がら木質マットを加熱及び加圧してタンニ 系接着剤を硬化させることを特徴とする製 方法が提供される。
 なお、このような製造方法は、第9~11のいず れかの発明に対しても適合し得る。すなわち 、第9~11のいずれかの発明においても上記第12 の発明と同様の製造方法とし得る。

 本発明の木質系複合材料は、複数の木質 成形材料がタンニン系接着剤で接着成形さ てなるものであって、木質系成形材料及び ンニン系接着剤共に、タンニンを含む樹種 ら得られたものを用いて提供され、さらに ましくはタンニンを含む樹種の原木から樹 を分離し、樹皮を分離した原木(木質部)か 木質系成形材料を得て、樹皮から抽出した ンニンを接着剤として提供することができ ので、タンニンを含む樹種の樹木全体を無 にすることなく有効に利用できるし、また 接着剤としてタンニンを使用しているので 接着強度・耐水性に優れ、かつ有害な揮発 物質の発生がないものとすることができる に、木質チップ等の原料材が間伐材や住宅 体廃材ではないから、収集・輸送に手間が からず、安定した量を安価で調達すること できるので、安定して安価に提供されうる どの利点を有する。

 また、本発明の木質系複合材料によれば 複数の木質系成形材料が、タンニン系接着 によって互いに接着され、天然資源を主原 としているので、再生可能な素材になると もに、タンニン系接着剤には有害な触媒な が用いられていないので、有害物、例えば 発性物質等が発生しないという利点もある

 また、本発明の木質系複合材料の製法に れば、タンニンを含む樹種を原材料とし、 のタンニン高含有部を分離し、それからタ ニンを抽出し、また、タンニンを含む樹種 ら木質系成形材料を調製し、これらを用い 接着成形されるので、上記したように、タ ニンを含む樹種の樹木全体を無駄にするこ なく有効に利用できるし、また、接着剤と てタンニンが使用されるので、接着強度・ 水性に優れ、かつ有害な揮発性物質の発生 ない上に、木質チップ等の原料材は間伐材 住宅解体廃材ではないから、収集・輸送に 間がかからず、安定した量を安価で調達す ことができるので、安定して安価に製造す ことができるなどの利点があるし、さらに 適には、木質系成形材料と、タンニン系接 剤との混和物によって木質マットを形成し この木質マットに高温水蒸気を浸透させな ら木質マットを加熱及び加圧してタンニン 接着剤を硬化させるようにすることにより 木質系複合材料が厚肉であってもプレスサ クルを短かくでき、生産性を向上させうる いう利点もある。

 本発明において用いられるタンニンを含 樹種としては、タンニンを多く含むもの、 でもタンニン含有量が樹皮、木質部、葉、 、莢及び虫嬰からなる群から選ばれた少な とも一つの部位に10質量%以上であるものが ましく、このようなものとしては、例えば ギ、オーク、マツ、ラジアータパイン、マ グローブ、エゾヤナギ、アカシア、ケブラ ョ、チェストナット、ガンビア、ミラボラ 、柿、タラ、ブナ、ヌルデ、ミモザタンニ 等が挙げられ、中でも好ましくはアカシア ラジアータパイン、ケブラチョ、チェスト ット、ガンビア及びオークからなる群から ばれた少なくとも一つ、より好ましくはア シアまたはラジアータパイン、特に好まし はアカシアである。

 本発明において用いられる木質系成形材 は、タンニンを含む樹種の、樹皮を剥ぎ取 などして樹皮の分離された原木由来のもの 中でも特に、樹皮を剥ぎ取るなどして樹皮 分離された、アカシアまたはラジアータパ ンの原木由来のものであり、チップ化する どして取り扱い易い形態とするのがよい。

 本発明において用いられるタンニン系接着 は、タンニンを含む樹種から分離されたタ ニンを含有するもの、好ましくはタンニン 含む樹種の樹皮由来のもの、中でもアカシ またはラジアータパインの原木から分離さ た樹皮から抽出されたタンニンを含有する のや、またはタンニンを含む樹種の、樹皮 分離された原木由来のもの、例えば木質部 来のもの、その他、葉、実、莢または虫嬰 来のものなどであり、この木質部由来のも としてはケブラチョやチェストナットやオ ク、葉由来のものとしてはガンビア、実由 のものとしてはミラボラム、莢由来のもの してはタラ、虫嬰由来のものとしてはヌル や五倍子や没食子などがある。
 タンニンを含む樹種からタンニンを分離す には、該樹種のタンニン高含有部を分離し それからタンニンを抽出するのがよい。抽 するための溶媒としては、好ましくは水、 タノール、エタノール、アセトン、酢酸エ ル等の親水性溶媒、又はこれらの混合溶媒 用いられ、特に熱水抽出が低コストで高い 出効率が得られるので好ましい。このよう してタンニン溶液、好ましくはタンニン水 液が調製され、それはそのまま接着剤とし 用いてもよいし、また、さらに粉末化する どして輸送しやすい形態としてもよい。

 タンニンを含む樹種としては、特にアカ アが好ましい。アカシアの種類は特に限定 れないが、ゴールデンミモザ(学名:Acacia bai leyana)、フサアカシア(学名:Acacia dealbata)、モ シマアカシア(ブラックワットル)(学名:Acacia  mollissima)、アカシアマンギウム(学名:Acacia m angium)、以下学名Acacia boormanii、Acacia conferta Acacia cultriformis、Acacia deanei、Acacia decora、Ac acia fimbriata、Acacia floribunda、Acacia glaucoptera Acacia howittii、Acacia iteaphylla、Acacia podalyriifo lia、Acacia pravissima、Acacia prominens、Acacia retin odes、Acacia rubidam、Acacia semilunata、Acacia specta bilis、Acacia uncinata、Acacia A.vestitaが好ましい これらのアカシアは単独で用いてもよいし また、2種類以上を併用してもよい。

 中でも、モリシマアカシアやアカシアマン ウムが、タンニンの含有量が高くて接着剤 しての強度が高いので好ましい。通常、こ らのアカシアの芯材または辺材は比重が低 ために強度が必要とされる用途には使うこ が難しく、通常、製紙原料、杭、パレット 等の限定された用途に用いられているが、 発明の木質系成形材料として用いた場合に 、加熱・加圧して比重の高い木質系複合材 とすることができるので、強度が要求され 用途にも使用することができ、アカシアの 途を拡大することができる有効な手段とな 。
 また、モリシマアカシアやアカシアマンギ ムはアカシアの中でも特に成長が早いので 植林をした場合の単位面積あたりの生産力 高く、また、短期間での伐採ができるため 好ましい。樹齢は6~15年のものが接着剤とし ての性能や生産性から好ましい。

 アカシアは、樹皮中の縮合型タンニンの含 量が極めて高く(樹皮質量の10~30質量%)、さ にそのタンニンを主成分としたタンニン系 着剤は木質系成形材料との親和性が良く、 度な粘着性を有し、更に、硬化すると高強 になるという特徴がある。
 また、アカシアを用いた場合、木質系成形 料には、アカシアの原木から樹皮を除去し 部分(木質部)を用いるのが、木質系複合材 を強度の高いのものとすることができる。 らに、木質チップに加工した場合において 、繊維方向にアスペクト比が高い細長い形 になりやすいため、木質系複合材料の強度 高くすることができる。

 タンニンを含む樹種、好ましくはアカシア ラジアータパイン、特にアカシアは、木質 複合材料の製造工場の近隣に植林されてい ことが好ましい。
 以下、代表的なアカシアについて詳述する 、他の樹種についても同様のことがいえる
 アカシア原木を海外から輸入する場合には 輸送費用がかかりコスト高になるばかりか 樹皮に含まれるタンニンは伐採後数日で酸 劣化してしまうため、長時間の輸送は好ま くない。製造工場の近隣に植林地があれば 輸送費用がほとんどかからず、輸送中の二 化炭素発生量も最小限とすることができ、 た、伐採したアカシア原木からすぐに樹皮 剥ぎ取るなどして分離し、タンニンを抽出 ることができ、抽出されたタンニンは水溶 等の溶液状のまま接着剤として用いること でき、劣化がなく接着剤としての強度に優 たタンニン接着剤とすることができるし、 た、輸送する場合のように、さらに粉末化 るなどの輸送に適した荷姿にするなどの余 のコスト高を招く作業を要しないなどの利 がある。
 また、アカシアは成長が早く単位面積あた の二酸化炭素吸収量はスギの約2倍あると言 われており、アカシアの植林を行うことで二 酸化炭素の吸収を積極的に図れ、地球温暖化 防止対策としても極めて有効なこととなる。
 さらに、アカシアの花からは高品質な蜂蜜 とることができるので、樹木の生長途中に いても養蜂事業による地域の産業活性化に 献することができる。
 すなわち、原料としてアカシアを用いるこ は、樹木全体を有効活用して木質系複合材 とすることができる実質的な手段であり、 た、育林中の二酸化炭素吸収による地球温 化防止や、養蜂産業による地域産業の発展 ど、アカシアの森林を中心にした付加価値 高い産業とすることができる有効な手段で る。
 アカシア原木からの樹皮の分離方法は特に 定されないが、刃物を用いる場合にはタン ンとの化学反応を避けるために鉄の使用は える方がよい。樹皮の含水率が高くて柔ら い場合には手作業で樹脂を引き剥がすこと できるので、効率よく樹皮の分離を行うこ ができる。

 タンニンの抽出方法は限定されるものでは く、既知の方法にて行えばよいが、熱水抽 が低コストで高い抽出効率が得られるため ましい。具体的には例えば次のような方法 挙げられる。
 まず、樹皮を、チッパーを用いて長さ1cm程 の小さいチップにする。樹皮質量の10倍以 の熱水が入ったオートクレーブにチップ化 た樹皮を入れて、100℃~120℃程度で加圧・加 してタンニンを熱水中に抽出させる。続い 、エバポレーターにて減圧し、タンニン濃 が50%程度に濃縮されるまで水分を飛ばす。 の後、スプレードライヤーにてタンニン水 液の水分を蒸発させて、タンニン粉末を得 。タンニン接着剤を水溶液として用いる場 には、スプレードライする必要はなく、濃 されたタンニン水溶液をそのまま接着剤原 として用いればよい。通常、国内で用いら ているタンニンは海外からの輸入品が大部 であり、輸送コストを少なくするためにス レードライで粉末にして輸送されているが アカシアを木質系複合材の製造工場の近隣 植林した場合には、粉末化する工程を省い 水溶液のまま接着剤として用いることがで るため、タンニンの抽出コストを抑えるこ ができる。
 タンニンには糖などの不純物が混入してい も特に問題にはならないが、高強度の木質 複合材料を得ようとする場合には、不純物 少ない方がよい。タンニンの純度は例えばS tiasny Value(以下、「SV」と記す)で評価するこ ができ、SVは、好ましくは50以上、より好ま しくは70以上である。
 なお、上記SVは、例えば以下のようにして めることができる。
 すなわち、予め乾燥した試料(樹皮抽出物、 或いは標準カテキン)を、容量25mlの丸底フラ コに約100mg秤取り、蒸留水10ml、37%ホルムア デヒド水溶液2ml、塩酸(10規定)1mlをこの順に 添加した後、フラスコを加熱し、30分間沸騰 せる。加熱後直ちに、予め質量を測定した ラスフィルターで試料を一気にろ過し、熱 、メタノールで順次洗浄する。ガラスフィ ターを105℃のオーブンで一晩乾燥させ、質 を測定して残渣質量を算出し、以下の式を いて算出する。なお、値の補正のために、 準カテキンのSVも測定する。
 SV=(残渣質量/試料質量)×(104.1/標準カテキン SV)×100

 本発明において、タンニンは、抽出したま のものを用いてもよいが、接着剤としての 能や粘度等で改質の必要がある場合には変 して改質した変性タンニンとして用いても い。以下、タンニンや変性タンニンを総称 て(変性)タンニンということもある。
 (変性)タンニンは、粉体のまま取り扱って よいが、取扱いやすさや接着剤に用いて得 れる木質系複合材料の性能等を考慮すると に溶解又は分散させ液状で使用することが ましい。この場合、(変性)タンニン濃度は20 量%~70質量%が好ましい。粘度については10,00 0cps以下が好ましく、木質系成形材料との混 を接着剤のスプレー塗布によって行う場合 は2,000cps以下が取扱い易く好ましい。

 本発明に用いられるタンニン系接着剤は上 タンニンを含有するものであるが、タンニ だけでは接着強度が十分ではない惧れがあ ので、硬化剤を併用するのが好ましい。
 硬化剤としては、タンニンを架橋・硬化す 作用があるものなら何でも良く、例えば第 級アミン、メチロール基を有する化合物、 ポキシ基を有する化合物、イソシアネート を有する化合物、アルデヒド基を有する化 物、アミノ樹脂等が挙げられる。これらは 独で用いても2種類以上を併用してもよい。

 第三級アミンとしては、例えばトリエチル ミン、トリエチルテトラミン、トリブチル ミン、ジエチレントリアミン、ヘキサメチ ンテトラミン、ジエチルアミノプロピルア ン等の脂肪族第三級アミン、ベンジルジメ ルアミン、ジメチルアミノメチルフェノー 、ジメチルアニリン等の芳香族第三級アミ 等が挙げられる。
 これらの第三級アミンは単独で用いても2種 類以上を併用してもよいが、ヘキサメチレン テトラミンを用いるのが、後述の木質複合材 料を高強度なものとすることができ、生産性 にすぐれ、有害な揮発性物質が発生せず、さ らに材料コストが安価であるので、好ましい 。ヘキサメチレンテトラミンは粉体状でもペ レット状のものでもどちらでもよい。

 メチロール基を有する化合物は、メチロー 基を有する脂肪族化合物、メチロール基を する脂環式化合物、メチロール基を有する 香族化合物に大別されるが、タンニンとの 応性の高さからメチロール基を有する脂肪 化合物が好ましい。
 メチロール基を有する脂肪族化合物として 、多官能性化合物が好ましく、例えばトリ ヒドロキシメチルアミノメタン(2-ヒドロキ メチル-2-アミノ-1,3プロパンジオール)、ジ ドロキシメチルアミノメタン(2-メチル-2-ア ノ-1,3プロパンジオール)、トリスヒドロキシ メチルニトロメタン(2-ヒドロキシメチル-2-ニ トロ-1,3プロパンジオール)、ジヒドロキシメ ルニトロメタン(2-メチル-2-ニトロ-1,3プロパ ンジオール)等が挙げられる。
 これらのメチロール基を有する脂肪族化合 は単独で用いても2種類以上を併用してもよ いが、トリスヒドロキシメチルニトロメタン を用いるのが、後述の木質複合材料を高強度 なものとすることができ、生産性にすぐれ、 有害な揮発性物質が発生せず、さらに材料コ ストが安価であるので、好ましい。
 トリスヒドロキシメチルニトロメタンは粉 状のものでもペレット状のものでもどちら もよい。

 エポキシ基を有する化合物としては、多官 性化合物が好ましく、例えば、グリセロー ポリグリシジルエーテル、エチレングリコ ルジグリシジルエーテル、ジエチレングリ ールジグリシジルエーテル、ポリエチレン リコールジグリシジルエーテル、プロピレ グリコールジグリシジルエーテル、レゾル ノールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサン ジオールジグリシジルエーテル、ペンタエリ トリトールポリグリシジルエーテル、ジグリ セロールポリグリシジルエーテル、ポリグリ セロールポリグリシジルエーテル、ソルビト ールポリグリシジルエーテル等が挙げられる 。
 これらのエポキシ基を有する化合物は単独 用いても2種類以上を併用してもよい

 イソシアネート基を有する化合物としては 多官能性化合物が好ましく、例えば、トリ ンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタ ジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフ ェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMD I)、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメ レンジイソシアネート、テトラメチルキシ レンジイソシアネート、αジメチルベンジ イソシアネート、ノルボルナンジイソシア ート、ナフタレンジイソシアネート、ジフ ニルメタンジイソシアネート等が挙げられ 。
 これらのイソシアネート基を有する化合物 単独で用いても2種類以上を併用してもよい が、ポリメリックMDIを用いるのが、後述の木 質複合材料を高強度なものとすることができ 、生産性にすぐれ、有害な揮発性物質が発生 せず、さらに材料コストが安価であるので、 好ましい。

 アルデヒド基を有する化合物としては、例 ば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデ ド、グリオキサール、グルタルアルデヒド アジプアルデヒド、マレアルデヒド、フマ アルデヒド、フタルアルデヒド、イソフタ アルデヒド、テレフタルアルデヒド等が挙 られる。
 これらのアルデヒド基を有する化合物は単 で用いても2種類以上を併用してもよい。

 アミノ樹脂としては、例えば、ユリア樹脂( 尿素樹脂)、メラミン樹脂、メラミン・ユリ 共縮合樹脂等が挙げられる。
 これらのアミノ樹脂は単独で用いても2種類 以上を併用してもよい

 本発明の接着剤において、硬化剤の含有 合は、タンニン100質量部に対し、好ましく 1~20質量部、より好ましくは3~10質量部であ 。この割合が1質量部未満ではタンニンの硬 が進行しにくく実用上十分な接着強度が発 しない惧れがあるし、また、20質量部を超 ても硬化反応が早すぎてプレス機投入前に 化してしまう惧れがあり、また経済的でな なることとなる。

 また、本発明を特に強度や耐水性が必要と れる用途に用いるときには、前記硬化剤と 併用でレゾール型フェノール樹脂を用いる 良い。これらを併用することで、単独使用 おける欠点を補完し、接着剤として適度な 橋構造となり、タンニン系接着剤の強度や 水性が向上する。その結果、タンニン系接 剤で木質材料を接着させて得られる木質系 合材料をより高強度なものとすることがで 、生産性にすぐれ、有害な揮発性物質が発 せず、さらに材料コストが安価な木質系複 材料とすることができる。
 レゾール型フェノール樹脂は、単独で用い も、2種類以上を併用してもよい。
 レゾール型フェノール樹脂の含有割合は、 ンニン100質量部に対して、好ましくは1~50質 量部、より好ましくは5~25質量部である。こ 割合が少なすぎるとタンニンの硬化が進行 にくく実用上十分な接着強度が発現しない れがあり、また、多すぎても接着剤に占め タンニンの比率が下がってしまい、十分な 化強度が得られにくくなり、また硬化反応 早すぎてプレス機投入前に硬化してしまう れがあるとともに、経済的でなくなる上に 接着剤の粘着性が高くなりすぎるために木 系成形材料との混和物が製造ラインに付着 、ライントラブルの原因になったり清掃頻 が高くなるので好ましくない。

 タンニンの水溶液は通常pH4~7程度であるが タンニン水溶液は、pHを調製することでタン ニン系接着剤の反応性や物性を調製すること ができる。
 特に、硬化剤として第三級アミンを用いる 合には、タンニン水溶液のpHがアルカリ性 あるのがよく、さらにはpHが7より大きく13以 下、中でも7より大きく12以下であるのが好ま しい。
 本発明においてpHをアルカリ性にすること よって、接着剤の反応速度を適度に遅延さ ることができ、接着剤の取り扱いがしやす なり、また、接着剤を木質系成形材料に供 て得られる木質複合材料について、その生 性と性能の向上に資するものとなる。これ 、例えば、接着剤のpHが酸性の場合には、反 応が早すぎてプレス機投入前に硬化してしま うことがあるのに対し、pHがアルカリ性であ ことから適度な反応速度となるために、接 剤配合後、プレス機に投入するまでには接 剤の硬化は起こらず、プレス機で加熱加圧 た時に初めて硬化することに如実に示され 。
 また、接着剤のpHが酸性の場合には、硬化 が第三級アミンの場合には接着剤を加熱硬 させる時に第三級アミンの過剰な分解が起 り有害な揮発性物質が発生する惧れがある 、pHをアルカリ性にすることによって、接着 剤を加熱硬化させる時に第三級アミンの過剰 な分解が抑えられるので有害な揮発性物質が 発生しにくくなる。

 また、pHをアルカリ性にすることでレゾー 型フェノール樹脂の反応性が向上し、タン ンとの架橋反応が効率よく進行し、その結 、タンニン系接着剤の強度や耐水性が向上 、しかもプレス時における木質系成形材料 のヘミセルロースの加水分解、ひいてはそ による木質系成形材料の軟化が更に促進さ る。この軟化作用によって、低いプレス圧 でも木質チップの圧密が可能となり、製品 厚さ方向の密度を均一にすることができ、 水性が良くなり、さらに、プレス時の圧力 下げることができるので好ましい。更にそ 結果として強度や耐水性などの製品性能が くなる。
 もっとも、pHが13より大きくなり、アルカリ 性が強くなりすぎると、取り扱いに注意する 必要があるし、また、木材成分(例えば、ヘ セルロース)が軟化を通り越して一部分解し 変性し、木質複合材料が黒く着色する惧れ あるので好ましくない。
 タンニンのpHは硬化剤と混合する前に予め 製しておくことが好ましい。pHを調製するア ルカリについては特に限定されないが、好ま しくは水酸化ナトリウムや水酸化カリウムな どが挙げられる。

 また、本発明に用いられるタンニン系接着 は、必要に応じ、所期の目的を損なわない 囲で、この種接着剤に通常用いられる各種 加剤を含有させてもよい。この添加剤とし は、例えば、ポリビニルアルコール、酢酸 ニルエマルション、スチレンブタジエンゴ (SBR)、アクリルエマルション等の水溶性高 子;トルエン、キシレン、メタノール、エチ ングリコール、ポリエチレングリコール等 有機溶剤;フタル酸エステル等の可塑剤;造 剤;クレー、炭酸カルシウム、硫酸カルシウ 、タルク、マイカ、ケイ酸粉末等の体質顔 ;小麦粉、コーンスターチ、木粉、ヤシ殻粉 等の充填剤または増量剤;酸化チタン等の着 顔料;染料;増粘剤;粘性改質剤;分散剤;乳化剤 ;尿素等の湿潤剤;消泡剤;凍結防止剤;防腐剤; かび剤;防虫剤;防錆剤;その他改質のための 薬等を挙げることができる。
 さらに、強度の補強、粘性、機械的特性等 改善するために、ウレタン樹脂、ポリエス ル樹脂、アルキド樹脂等やそのプレポリマ 、そして澱粉、キトサン、リグニン、レゾ シノール等を含有させてもよい。

 樹皮を分離した原木(木質部)から木質系成 材料を得る方法や、木質系成形材料の形状 特に限定されず、木質系複合材料の製造に 要な形状のものを用いればよい。形状につ ては、例えば、ブロック状、平板状、スト ンド状、フレーク状、チップ、木粉、ファ バーなどが挙げられる。
 木質系成形材料として、他の樹種が混入し も差し支えない。この様な他の樹種として 、スギ、ヒノキ、マツ、スプルース、ファ などの針葉樹類や、シラカバ、アピトン、 ンゴンラウト、アスペンなどの広葉樹類が げられるが、これらの樹木だけでなく竹、 ウリャンといった植物材料をも含めること できる。

 木質系成形材料を木質チップに加工する方 としては、ハンマーミル、表面に刃物のつ たロールを回転させて木材を破砕する一軸 砕機、回転刃がかみ合った構造の二軸もし は多軸破砕機等の破砕機が使用されるが、 ニア加工をしたものを割り箸状に切断して チックにするロータリーカッター、丸太な を回転刃で切削してストランドにするフレ カー等も使用できる。
 上記の方法で得られた木質チップはサイズ バラツキがあるので、分級工程によって所 のサイズに揃えるのが好ましい。
 この際の分級方法としては、ローラースク ーン方式、振動メッシュ方式、風選方式等 あり、必要に応じて使い分ければよい。
 上記木質チップの大きさは特に限定されな が、強度・弾性率が必要な場合には長さを2 0mm以上150mm以下とするのが好ましい。長さが すぎると製品の強度・弾性率が低くなって まうし、また、長すぎても強度ばらつきが きくなってしまう惧れがある。

 また、木質系成形材料は、予め含水率を一 範囲に調製しておくことが好ましい。すな ち、含水率を一定にすることで生産時の成 品の品質バラツキがなくなる。
 木質系成形材料の含水率は、0~14質量%に調 することが好ましく、さらにタンニン系接 剤を水溶液として使用する場合には0~10質量% に調製することが好ましい。タンニン系接着 剤を水溶液として使用する場合、含水率が10 量%を超えると製造直後の木質複合材料の含 水率が高くなってしまい、出荷するまでに長 期間の養生を必要とする惧れがある。

 本発明の木質系複合材料は、種々の形状の のとすることができ、また、種々の用途に することができ、例えばインシュレーショ ボード、パーティクルボード、ハードボー 、配向性ボード(OSB)、ウェハーボード、中 度繊維板(MDF)等のいわゆる木質ボード類、合 板、単板積層材(LVL)、集成材、突き板化粧板 構造材(例えば柱、梁、土台、根太、大引、 桁、母屋、垂木、棟木、筋交い、火打等)な として用いられる。
 また、本発明において、タンニンを抽出し 後の樹皮残さや、分級によって除外された 質系成形材料は、焼却させてバイオマス発 に用いることができるので、樹木全体を無 なく使用することができる。

 本発明の木質系複合材料は、タンニンを む樹種からタンニン高含有部を分離する工 と、該タンニン高含有部からタンニンを抽 する工程と、得られたタンニンまたはそれ 変性してなる変性タンニンからそれを主成 とするタンニン系接着剤を調製する工程と タンニンを含む樹種から木質系成形材料を 製する工程と、得られた木質系成形材料を 上記タンニン系接着剤で接着成形すること よって木質系複合材料とする工程とからな ことで特徴付けられる方法により、製造す ことができる。

 本発明の製造方法においては、タンニン 抽出するのを、水、親水性溶媒又はこれら 混合溶媒を用いて行い、タンニン溶液を調 し、該溶液をそのまま接着剤として用いる が好ましい。

 本発明の製造方法において、タンニンを む樹種のタンニン高含有部は樹皮であるの 好ましいが、その他木質部、葉、実、莢ま は虫嬰であってもよい。このようなタンニ を含む樹種としては、アカシアまたはラジ ータパインが好ましい。

 本発明の製造方法として、好適には、タ ニンが樹皮に多く含まれる樹種の原木から 皮を剥ぎ取る工程と、樹皮の剥ぎ取られた 木から木質系成形材料を得る工程と、樹皮 らタンニンを抽出する工程と、上記木質系 形材料の複数個を、上記工程で抽出された ンニンを含有するタンニン系接着剤で接着 形させて木質系複合材料とする工程とから ることで特徴付けられる方法が用いられ、 の際、タンニンを抽出するのを、水、親水 溶媒又はこれらの混合溶媒を用いて行い、 ンニン溶液を調製し、該溶液をそのまま接 剤として用いるのがよい。

 本発明の製造方法として、さらには、複 の木質系成形材料と、タンニンを含有する ンニン系接着剤との混和物によって木質マ トを形成し、この木質マットに高温水蒸気 浸透させながら木質マットを加熱及び加圧 てタンニン系接着剤を硬化させることで特 付けられる方法が好ましい。

 本発明の製造方法において、木質系成形 料とタンニン系接着剤の比率は、木質系成 材料の密度、形状、表面状態にもよるが、 常、木質系成形材料の質量に対して、タン ンの固形分で換算して1~30質量%とすること 好ましい。

 上記木質系成形材料と接着剤との混和手段 しては、木質系成形材料と接着剤をヘンシ ルミキサー(ヘンシェル社製、高速混合機) ような高速ミキサーに投入して混和して混 物とする方法が挙げられ、また、接着剤が 体の場合には、例えばコンベア上やドラム レンダー内等で木質系成形材料に対し、ス レー等の塗布手段を用いることにより、木 系成形材料の表面に接着剤を付着させた混 物とする。
 このようにして得られた混和物を積層して 熱及び加圧すれば、均一で安定した強度の 質系複合材料が得られる。木質系成形材料 板材やブロック状の部材の場合は、刷毛塗 やローラー塗りによって混合することもで る。

 上記木質系成形材料と接着剤との混和物は 木質系成形材料が積層された木質マットに 成される。具体的には、接着剤が付着した 質系成形材料即ち混和物が成形金型の中に 入されて木質マットにされる。なお、木質 成形材料を一方向に配向させる必要がある 合には、一定間隔に分割されたフォーミン 型や、配向性ボード(OSB)等の製造で用いら るディスクオリエンター等の配向積層装置 用いられる。
 そして、上記木質マットは加熱しながらプ ス成形することで、接着剤が硬化し木質系 合材料となる。

 本発明の製造方法においては、上記のよう して木質マットを形成し、この木質マット 高温水蒸気を浸透させながら木質マットを 熱及び加圧してタンニン系接着剤を硬化さ ることが好ましい。
 すなわち、木質マットの内部に高温水蒸気 浸透させながら加熱及び加圧するプレス装 、例えば一般的な蒸気プレス装置の加圧盤 間に配置して加圧及び加熱成形することが ましい。加熱と加圧とは同時に行ってもよ し、加圧をした後に加熱をしてもよいし、 熱した後に加圧してもよい。高温水蒸気を 質マットの内部に浸透させる方法としては 特に限定されないが、高温水蒸気を木質マ トに噴射する方法が一般的である。噴射は 木質マットが蒸気プレス機の加圧盤の間に 置されている間であれば、どのタイミング 噴射してもよい。加熱温度は100℃~250℃が好 ましく、それゆえ高温水蒸気の温度は100℃~25 0℃が好ましい。また、加圧板による加圧圧 は、1~10MPaが好ましい。また、加熱・加圧処 は、接着剤が硬化する時間だけ行えばよい

 以下、実施例により本発明をさらに詳し 説明するが、本発明はこれらの例によって ら限定されるものではない。

(実施例1)
 木質系複合材料を、以下の製造プロセスで 形した。
 伐採された樹齢10年のモリシマアカシア原 を原材料とし、その樹皮を伐採後直ぐに剥 取った。原木に対する樹皮の割合は約14質量 %であった。
 次に、樹皮の剥ぎ取られた木質部分を一軸 砕機にて破砕してチップ状に加工し、ロー ースクリーン方式であるウエーブローラー クリーン装置(たいへい社製)を用いて、厚 又は幅1mm~8mmの木質チップに分級した。木質 ップは含水率6質量%となるように乾燥・調 した。原木に対する得られた木質チップの 合は約51質量%であった。

 上記の樹皮は、伐採後24時間以内に以下の うに処理してタンニン水溶液を調製した。
 まず、樹皮を長さ1cm程度の小さいチップに た。100℃の熱水が樹皮質量の約10倍量入っ オートクレーブにチップ化した樹皮を入れ 、110℃で加圧・加熱してタンニンを熱水中 抽出した。続いて、エバポレーターにて減 し、水分を飛ばしてタンニン濃度40%まで濃 しタンニン水溶液を得た。
 得られたタンニンの量は樹皮に対して20質 %であった。
 このようにして得られたタンニンのSV値は80 であった。

 次に、タンニン系接着剤を以下のようにし 調製した。
 上記タンニン水溶液を濃度50質量%の水酸化 トリウム水溶液でpH10に調製したのち、硬化 剤としてヘキサメチレンテトラミンを用い、 その40質量%水溶液を、タンニン100質量部に対 してヘキサメチレンテトラミンが10質量部に るように配合した。

 木質チップとタンニン系接着剤とを、前者1 00質量部に対して後者(溶液ベース)12質量部に なるように計量するとともに、木質チップを ドラムブレンダーに投入した状態でタンニン 系接着剤を噴霧して木質チップと接着剤とを 混和し、木質チップ表面にタンニン系接着剤 が付着した混和物を得た。次にこの混和物を OSLフォーミングマシーン(たいへい社製)に投 し、フォーミング金型(縦2000mm、横500mm、高 100mm)に投入した。フォーミング型内は金属 の仕切り板(厚み2mm)を用いて、50mm間隔に10 分したものを用い、木質チップを長さ方向 略揃えて配向積層し、木質マットとした。 質マットの厚さは100mmとした。
 次に、フォーミング型、仕切り板を脱型し 木質マットを蒸気プレス機(川崎油工社製、 300トンプレス機)の加圧盤の間に配置した。 質マット配置後、0.9MPa、180℃の高温水蒸気 1分間噴射し、その後木質マットの厚さが20mm になるように加圧盤を閉じ、温度180℃で5分 保持して木質系複合材料を得た。

 上記木質系複合材料からサンプルを切り し、四点曲げ試験(建築基準法 告示1446号試 験法)、吸水厚さ膨張率(JIS K 5908)、ホルムア ルデヒド放散量(JIS K 5908)を測定した。

(実施例2)
 高温水蒸気を木質積層マットに噴射せず、 圧盤を加熱して加圧と加熱とを行うプレス を用い、20分間プレスした以外は実施例1と 様にして木質系複合材料を得、曲げ強度、 水厚さ膨張率、ホルムアルデヒド放散量を 定した。

(実施例3)
 モリシマアカシア原木に代えてアカシアマ ギウム原木を用いた以外は実施例1と同様に して木質系複合材料を得、曲げ強度、吸水厚 さ膨張率、ホルムアルデヒド放散量を測定し た。

(参考実施例)
 モリシマアカシア原木に代えてカラマツ原 を用いた以外は実施例1と同様にして木質系 複合材料を得、曲げ強度、吸水厚さ膨張率、 ホルムアルデヒド放散量を測定した。
 実施例1~3及び参考実施例の曲げ強度、吸水 さ膨張率、ホルムアルデヒド放散量の測定 果を表1に示す。

 これより、実施例1~3は、参考実施例に対 、接着強度および耐水性に優れていること 分かる。

 本発明の木質系複合材料は、木質系成形 料、接着剤共にタンニンを含む樹種(特にア カシア)という天然資源を原材料としている で、再生可能なものとなるとともに、タン ンを含む樹種の樹木全体を有効利用でき、 た、タンニン系接着剤には有害な触媒など 用いられていないので、有害物、例えば揮 性物質等が発生しない上に、木質チップ等 原材料について、間伐材や住宅解体廃材の うに収集・輸送に手間がかかることなく、 定した量を安価に調達できるし、また、本 明の木質系複合材料の製法は、タンニンを む樹種を原材料とし、そのタンニン高含有 を分離し、それからタンニンを抽出し、ま 、タンニンを含む樹種から木質系成形材料 調製し、これらを用いて接着成形するもの あるので、タンニンを含む樹種(特にアカシ )の樹木全体を有効利用でき、接着剤にタン ニンが用いられるので有害物を発生せず、木 質チップ等の原料材の収集・輸送に手間がか からず、安定した量を安価に調達でき安定し て安価に製造できるし、さらに所定木質マッ トに高温水蒸気を浸透させながら木質マット を加熱及び加圧してタンニン系接着剤を硬化 させることで、木質系複合材料が厚肉であっ てもプレスサイクルを短かくでき、生産性を 向上させうるので、産業上大いに有用である 。