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\¥02020/175506 42 卩(:170? 2020 /007578 請求の範囲 [請求項 1] 固体電池に用いられる活物質であって、 X線吸収微細構造の測定によって得られる動径分布関数において、 〇. 1 45门〇1以上〇. 1 85门 01以下の範囲にピークが少なくとも —つ観察されるとともに、 〇. 280门 以上〇. 3 1 0门〇1以下の 範囲にピークが少なくとも一つ観察され、 レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積粒 度分布測定による前記活物質のモード径及び口 10 (それぞれ 「モー ド径」 、 「口 10」 と称する。 ) に関し、 モード径に対する、 モード 径と口】〇との差の絶対値の百分率である (丨 モード径一口】〇 丨 /モ —ド径) X 1 00の値が、 0 %く ( (丨 モード径一口 1。 丨 /モード 径) X I 〇〇) £58. 0%を満たす活物質。 [請求項 2] 結晶子サイズが 80 n 以上 490 n 以下であり、 走査型電子顕微鏡により得られる画像から算出した平均一次粒子径 に対する前記結晶子サイズの比率である結晶子サイズ/平均 _次粒子 径の値が 0. 01以上 0. 50以下である請求項 1 に記載の活物質。 [請求項 3] レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積粒 度分布測定による前記活物質の口50 ( 「050」 と称する。 ) が〇. 5 以上 1 5. 〇 以下であり、 モード径に対する、 モード径と口 5〇との差の絶対値の百分率であ る (丨 モード径ーロ50 丨 /モ_ド径) X 1 00の値が、 0%£ ( ( I モード径 _口50 I /モ_ド径) X 1 00) £25. 0%を満たし 口50に対する、 走査型電子顕微鏡により得られる画像から算出し 1以上 0. 99以下である請求項 1又は 2に記載の活物質。 [請求項 4] 芯材粒子と、 前記芯材粒子の表面に配置された被覆層とを有し、 前 記芯材粒子がリチウム金属複合酸化物を含み、 前記リチウム金属複合 \¥0 2020/175506 43 卩(:170? 2020 /007578 酸化物が、 層状岩塩型構造の化合物であるか又はスピネル型構造の化 合物である請求項 1ないし 3のいずれか一項に記載の活物質。 [請求項 5] 請求項 1ないし 4のいずれか一項に記載の活物質と、 固体電解質と を含む正極合剤。 [請求項 6] 前記固体電解質が、 リチウム (!_ 丨) 元素、 リン ( ) 元素及び硫 黄 (3) 元素を含み、 且つリチウムイオン伝導性を有する請求項 5に 記載の正極合剤。 [請求項 7] 前記固体電解質が、 アルジロダイ ト型構造の結晶相を有する請求項 6に記載の正極合剤。 [請求項 8] 正極層、 負極層、 及び固体電解質層を備えた固体電池において、 前記正極層が、 請求項 1ないし 4のいずれか一項に記載の活物質を 含む固体電池。 |
発明の名称 : 活物質、 それを用いた正極合剤及び固体電池 技術分野
[0001] 本発明は、 固体電池に用いられる活物質に関する。
背景技術
[0002] 固体電池に用いる固体電解質には、 できるだけイオン導電率が高く、 且つ 化学的 ·電気化学的に安定であることが求められて る。 例えばハロゲン化 リチウム、 窒化リチウム、 リチウム酸塩又はこれらの誘導体などが固体 電解 質の材料候補として知られている。
[0003] 固体電池に用いる固体電解質の一つとして、 硫化物固体電解質が検討され ている。 しかし硫化物固体電解質を含む固体電池は、 これに対して充放電を 行うと、 電極活物質と硫化物固体電解質との界面抵抗 が高くなり、 リチウム イオンの移動が制限されるという問題がある 。 この理由は、 電極活物質と硫 化物固体電解質とが反応することによって、 両者の界面に抵抗層が形成され るからであると考えられている。 この問題に対して、 例えば特許文献 1及び 2においては、 正極活物質の表面を特定の化合物で被覆する ことによって、 界面抵抗の上昇を抑制することが試みられて いる。
先行技術文献
特許文献
[0004] 特許文献 1 : □32009081 554八 1
特許文献 2 : 113201 82 1 9229八 1
発明の概要
[0005] ところで、 固体電池では急速充電が期待されている。 急速充電のためには リチウムイオンを正極活物質から引き抜いて 固体電解質へと受け渡す反応を 速めることが必要である。 しかし、 現在の技術では満足すべき反応速度が得 られていない。
[0006] 前記の課題に鑑み、 本発明は、 正極活物質と固体電解質との間でのリチウ \¥0 2020/175506 2 卩(:170? 2020 /007578
ムイオンの授受を迅速に行い得る活物質を 提供することを主目的とする。 [0007] 本発明は、 固体電池に用いられる活物質であって、
X線吸収微細構造の測定によって得られる動 分布関数において、 〇. 1 4 5 n m以上〇. 1 8 5 n 以下の範囲にピークが少なくとも一つ観察さ れ るとともに、 〇. 2 8 0 n m以上〇. 3 1 0 n 以下の範囲にピークが少な くとも一つ観察され、
レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測 定して得られる体積粒度分布 測定による前記活物質のモード径及び口 1 0 (それぞれ 「モード径」 、 「口 1 0 」 と称する。 ) に関し、 モード径に対する、 モード径と〇 ! 〇との差の絶対値 の百分率である (丨 モード径一〇 ! 〇 | /モード径) X 1 0 0の値が、 0 %<
( ( 丨 モード径一口!。 丨 /モード径) X 1 0 0) £ 5 8 . 0 %を満たす活物 質を提供することによって前記の課題を解決 したものである。
図面の簡単な説明
[0008] [図 1]図 1は、 リチウム及びニオブを含む酸化物を対象とし て測定された X線 吸収微細構造の測定によって得られる動径分 布関数である。
[図 2]図 2は、 実施例 3で得られた正極活物質を対象として測定さ た X線吸 収微細構造の測定によって得られる動径分布 関数にピークが存在するか否か を判定する方法を示すグラフである。
[図 3]図 3は、 実施例 3で得られた正極活物質を対象として測定さ た X線吸 収微細構造の測定によって得られる動径分布 関数である。
発明を実施するための形態
[0009] 以下本発明を、 その好ましい実施形態に基づき説明する。 本発明は、 固体 電池に用いられる活物質に関するものである 。
[0010] 八. 活物質
1 . X八 3
本発明の活物質は、 X線吸収微細構造 (以下 ともいう。 ) の 測定によって得られる動径分布関数において 、 〇. 1 4 5 n m以上 0 . 1 8 5门 以下の範囲にピークが少なくとも一つ観察さ れるとともに、 0 . 2 8 \¥02020/175506 3 卩(:170? 2020 /007578
〇门 以上 0. 3 1 0门 以下の範囲にピークが少なくとも一つ観察さ れる
[0011] 詳細には、 図 1 に示すとおり、 本発明の活物質は、 乂八 3の測定によっ て得られる動径分布関数において、 0. 1 45 n m以上 0. 1 85 n 以下 の範囲にピークが少なくとも一つ観察される 。 ピーク位置は、 ピーク頂点の 位置により特定される。 なお、 ピークの定義については後述する。
本発明において観察されるピーク位置は、 例えば、 〇. 1 48 n m以上で あってもよく、 〇. 1 5 1 门 以上であってもよく、 〇. 1 54门 以上で あってもよい。 一方、 前記ピーク位置は、 例えば、 0. 1 80 n 以下であ ってもよい。 前記範囲に観察されるピークは、 少なくとも一つであればよく 、 例えば一つのみであってもよく、 2つ以上であってもよい。 これとともに 本発明の活物質は、 〇. 以下の範囲にピーク が少なくとも一つ観察される。 本発明において観察されるピーク位置は、 例 えば、 〇. 285 〇!以上であってもよい。 一方、 前記ピーク位置は、 例え ば、 〇. 以下であってもよい。
[0012] 本発明の活物質は、 好適には、 芯材粒子と、 該芯材粒子の表面に配置され た被覆層とを有する。 本発明においては、 リチウム (!_ 丨) 元素、 金属元素 八 (ただしリチウム (!_ 丨) 元素を除く) 及び酸素元素からなり、 特定の化 学構造を有する酸化物を含む被覆層を用いる ことが好適である。 以下、 この 酸化物のことを便宜的に 「!_ 丨 八〇化合物」 と表記する。 本発明で用いられ る !_ 丨 〇化合物は、 活物質に対する乂 3の測定によって得られる動径 分布関数において、 特定の原子間距離にピークが観察されること によって特 徴付けられる。 例えば金属元素八がニオブ 元素である場合、 図 1 に 示す動径分布関数の横軸は、 ニオブ原子の位置を基準とした原子間距離を 示 している。 縦軸は、 ニオブの周囲に位置する原子の存在確率を示 している。 〇. 1 45 n m以上〇. 1 85 n 以下の範囲に観察されるピークは、 ニオ ブ原子と酸素原子との距離に相当するもので あり、 〇. 280 n m以上〇.
3 1 0 n 以下の範囲に観察されるピークはニオブ原子 どうしの距離に相当 \¥0 2020/175506 4 卩(:170? 2020 /007578
するものである。 X八 3の測定から得られる動径分布関数において 上述 した所定の範囲にピークが観察される 1_ 丨 〇化合物を被覆層に含有させる ことで、 本発明の活物質は、 固体電解質との界面抵抗の増加を抑制し、 結果 として電池性能の向上を図ることが可能であ る。
[0013] 動径分布関数にピークが観察されるとは、 動径分布関数が上に凸のような 部分やシヨルダ _ 部分を含んでいてもよいことを意味する 。 動径分布関数の 横軸を X、 縦軸を Vとする関数 7 =干 (X) を 2回微分することにより得ら れた二次導関数が極小値を持つ場合のことを 、 ピークを有すると定義する。 本発明においては〇 3 I 〇 1^㊀社製) を用 いて動径分布関数を 2回微分することによりピークの有無の判定 行った。 なお、 例えば、 後述する実施例 3においては、 図 2に示すように、 0 . 1 4 5 以下の範囲に観察されるピークについて動径 分布 関数を 2回微分することにより極小値を持つ。 このことから、 実施例 3は、 〇. 1 4 5 n m以上〇. 1 8 5 n 以下の範囲にピークが観察されるといえ る。
[0014] 上述のとおり、 本発明で好適に用いられる !_ 丨 八〇化合物は、 の 測定から得られる動径分布関数における特定 の原子間距離の所定の位置にピ —クを有するものである。 このこととは対照的に、 これまで知られている !_
I _八_〇系の化合物は、 乂八 3から得られる動径分布関数において、 本 発明で規定する所定の位置にピークを有する ものではない。 例えば図 1 に示 すとおり、 従来知られている !_ 丨 一八一〇系の化合物の 1種である !_ 丨 1\1匕 〇 3 は、 〇. 1 4 5 〇!以上〇. 以下の範囲、 及び〇. 2 8 0门 以上〇. 3 1 0 n 以下の範囲にピークは観察されない。 また、 従来知られ ている!- 丨 一八一〇系の化合物の別の 1種である 1_ 丨 3 1\1 13〇 4 は、 0 . 2 8
〇门 以上〇. 下の範囲にピークが観察されるものの、 〇. 1 4 5 1^ 111以上〇. 1 8 5 01以下の範囲にピークは観察されない。 このよう に、 本発明で好適に用いられる 1- 丨 八〇化合物は、 これまでに知られていな い新規な構造を有する。 [0015] XA F Sは、 物質に X線を照射することで得られる吸収スペクト を解析 する手法である。 物質に X線を照射することで得られる吸収スぺクト には 、 物質中に含まれる元素特有の急峻な立ち上が り、 すなわち吸収端が観察さ れる。 この吸収端近傍土 50 e V程度に現れる微細構造は X A N E S (X-ray Absorption Near Edge Structure) と呼ばれる。 また、 吸収端から高エネル ギー側 1 000 e V程度に現れる振動構造は E X A F S (Extended X-ray Ab sorption Fine Structure) と呼ばれる。 X A N E Sと E X A F Sを合わせた 領域が X A F Sと呼ばれる。 XA F Sによれば、 試料中の着目元素周囲の局 所構造 (原子間距離、 配位数) や、 化学状態 (価数、 配位構造) の評価が可 能である。 また X A F Sは非破壊測定法であり、 且つ物質の最表面の情報が 得られる測定方法であることから、 本発明の活物質そのものを測定対象とし て用いることができ、 且つ活物質における被覆層の情報を得ること ができる
[0016] 本発明において、 活物質の X A F Sを測定するには、 例えば以下に述べる 手順で操作を行う。
試料調製
試料をメノウ乳鉢で粉砕した後、 窒化ホウ素粉末と混合し、 直径 1 〇mm 、 厚さ約 1 mmの錠剤にする。 測定する試料に含まれる A元素の濃度や、 L i AO化合物及び芯材粒子を構成する化合物の X線吸収係数に応じて、 試料 と窒化ホウ素の分量を適宜最適にする。
[0017] N b— K端の X A F Sを測定するときの条件は以下のとおりであ 。
-実験施設: S P r i n g - 8
-実験ステーシヨン : B L 1 4 b 2
分光器 : モノクロメータ S i (3 1 1 )
高次光除去: R hコートミラー 2. 4m r a d X2枚
-入射 X線サイズ:縦 1 m m X横 5 m m (試料前スリッ トサイズ)
-測定法:透過法
検出器:イオンチヤンバー -測定吸収端 : N b _ K吸収端 ( 1 8986 e V)
各入射 X線エネルギー (E、 X軸) において、 I 0、 I tを測定し、 次式 により、 X線吸光度 (y軸) を求め、 X軸 _ y軸でプロッ トすることにより 、 X A F Sスぺクトルを得た。
X線吸光度 Mt = _ 丨 n ( I t/ I 0)
[0018] 以上のようにして得られたデータに基づき動 径分布関数を取得して原子間 距離を決定するには、 以下に述べる手順で操作を行う。
EXA F Sスぺクトルをフーリエ変換して得られる動 分布関数について 説明する。
解析ソフトウェアとして 「A t h e n a」 (D e me t e r v e r. 0 . 9. 25) を用いる。
初めに、 同ソフトウェアにて X A F Sスペクトルを読み込んだ後に、 バッ クグラウンド吸収である P r e— e d g e領域 (吸収端から一 1 50 e V以 上一 45 e V以下程度の領域) と、 P〇 s t _ e d g e領域 (吸収端から 1 50 e V以上 1 300 e V以下程度の領域) とをフィッティングして、 X A F Sスペクトルを規格化する。 次に EXA F Sスペクトル (% (k) ) を抽 出するために、 スプライン曲線でフィッティングを行う。 同ソフトウェアで の解析においてスプライン曲線のフィッティ ングに用いたパラメータは以下 の値である。
Rbkg= 1
- Spline range in k : 1以上 15以下
- Spline c Lamps Low : None、 high:None
- k-weight=3
Plotting k-weights : 3
最後に EXA F Sスペクトル (x (k) ) をフーリエ変換して、 動径分布 関数を示すスぺクトルを得る。 同ソフトウェアでのフーリエ変換のパラメー 夕は、 以下の値を用いた。
- k-range : 3.5以上 11.5以下 dk : 1
w i ndow : Hanning
- arbi trary k-weight : 1
- phase correction :未使用
[0019] 2. L i AO化合物
上述のとおり本発明の活物質は、 芯材粒子と、 該芯材粒子の表面に配置さ れた被覆層とを有することが好ましい。 本発明の活物質がこのような形態で ある場合、 被覆層は、 L i、 A元素 (Aは T i、 Z r、 T a、 N b、 Z n、 W及び A Iからなる群から選ばれた 1種又は 2種以上の元素) 及び〇を含む 化合物からなること、 すなわち上述した L i AO化合物からなることが好ま しい。 芯材粒子の表面が L i AO化合物で被覆されていることにより、 リチ ウムイオン伝導性が向上し、 正極活物質と固体電解質間の界面抵抗を低減 す ることができ、 レート特性を高めることができる。 なお、 上記の好ましい態 様における A元素はバルブメタルと呼ばれる、 同様の性質を有する一群の金 属元素である。
[0020] 「芯材粒子の表面が L i AO化合物で被覆されている」 状態とは、 L i A
〇化合物が、 芯材粒子の表面において、 粒子として存在している態様、 粒子 が凝集してなる凝集粒子として存在している 態様、 及び層を形成して存在し ている態様を包含する。 「層を形成して存在する」 とは、 L i AO化合物が 厚みをもって存在している状態を意味する。
[0021] L i AO化合物が層を形成する場合、 その厚みは 0. 5 n m以上 200 n m以下であることが好ましく、 中でも 0. 7 n m以上或いは 1 00 n m以下 、 その中でも 1 n m以上或いは 90 n m以下であることが好ましく、 更にそ の中でも 80 n m以下であることが好ましく、 更にその中でも 70 n m以下 であることが好ましく、 更にその中でも 60 n m以下であることが好ましく 、 更にその中でも 50 n m以下であることが好ましく、 更にその中でも 40 n m以下であることが好ましい。 このような範囲にすることで、 界面抵抗が 小さく良好なリチウムイオン伝導層として機 能させることができる。 層の厚 \¥0 2020/175506 8 卩(:170? 2020 /007578
みは、 例えば、 走査型透過電子顕微鏡 (3丁巳1\/1) により測定することがで きる。 また、 必要に応じてエネルギー分散型 X線分析 (巳 0 3) を組み合わ せて観察し、 測定することもできる。
[0022] 芯材粒子の表面の一部又は部分的に 1_ 丨 〇化合物が存在しない箇所があ つてもよい。 中でも、 1- 丨 八〇化合物が芯材粒子の表面全体の面積の 3 0 % 以上を被覆していることが好ましく、 中でも 4 0 %以上、 その中でも 5 0 % 以上が好ましい。 芯材粒子の表面を 1_ 丨 〇化合物が被覆していることは、 例えば、 前記と同様に、 走査型透過電子顕微鏡 (3丁巳1\/1) と、 必要に応じ てエネルギー分散型 X線分析 (巳 0 3) を組み合わせて芯材粒子の表面を観 察することや、 才ージェ電子分光分析法により確認すること ができる。
また、 芯材粒子の表面を被覆する 1- 丨 八〇化合物の厚みは均一でなくても 構わない。
[0023] 1_ 丨 八〇化合物は非晶質であることが好ましい。 1_ 丨 八〇化合物が非晶質 であることにより、 1_ 丨 八〇化合物が活物質と固体電解質の間の緩衝 層とし て存在することになり、 界面抵抗をより低減することができる。 芯材粒子の 表面を被覆する化合物が、 結晶質であるか非晶質であるかは、 制限視野電子 回折によりハローパターンが得られるかを確 認することで判断できる。 ハロ —バターンとは、 明瞭な回折ピークのない、 低角度でブロードな回折図形の ことである。
[0024] 1_ 丨 〇化合物における各元素の組成は、 元素が丁 3及び 1\1匕のうち、 少なくとも 1種の元素である場合、 例えば !_ 丨 ,八〇^で示すことができる。 式中の X、 ソは元素の価数に即した範囲内で任意の値を 取り得る。 中でも、 八元素 1モルに対して、 !_ 丨が 1モルより過剰に含まれている組成 (父>1 ) であることが特に好ましい。 そうすることで、 八と〇との化合物が生成す ることを抑制し、 界面抵抗を効果的に低減することができる。
[0025] !_ 丨 八〇化合物が !_ 丨 X 八 で表される場合において、 父>1 を満足させ る方法としては、 元素原料に対するリチウム原料の配合量を、 生成が想定 される組成、 例えば !_ 丨 〇 3 の化学量論組成比よりも過剰にする方法 を挙げ \¥0 2020/175506 9 卩(:170? 2020 /007578
ることができる。 この際、 単に 1_ 丨 を過剰に添加しただけでは、 活物質の表 面に、 過剰分の 1- 丨 に起因して炭酸リチウムが生成し、 これが抵抗となって 、 かえってレート特性及びサイクル特性を悪化 させる傾向がある。 そのため 、 望ましくない化合物である炭酸リチウムが生 成することを考慮して、 し ! 八〇 V が所定の組成になるように、 元素原料配合量及びリチウム原料配合量 を調整することが好ましい。
[0026] 3 . 芯材粒子
芯材粒子は、 活物質として機能するものであればよく、 特に限定されない 。 芯材粒子は、 例えば、 リチウム金属複合酸化物を含んでいてもよい 。 リチ ウム金属複合酸化物としては、 公知のリチウム金属複合酸化物を用いること ができる。 例えば一般式 1_ 丨 1\/1〇 2 (IV!は金属元素) で示される層状岩塩型構 造のリチウム含有複合酸化物、 一般式 1_ 丨 1\/1 2 〇 4 で示されるスピネル型構造の リチウム含有複合酸化物、 一般式 (IV!は金属元素) 又は 1_ 丨 1\/1 3 1 〇 4 (IV!は金属元素) で示されるオリビン構造のリチウム含有複合 酸化物の うちのいずれか 1種或いは二種類以上の組み合わせであって よい。 ただし 、 これらに限定するものではない。
[0027] 3 - 1 . 芯材粒子八
芯材粒子は、 !_ 丨、 IV! n及び 0と、 これら以外の 1種類以上好ましくは 2 種類以上の元素とを含むスピネル型複合酸化 物からなる粒子であることが好 ましい (以下、 この芯材粒子のことを 「芯材粒子八」 ともいう。 ) 。 芯材粒 子八を含む本発明の活物質を正極活物質とし て用いた場合、 金属し 丨基準電 位で 4 . 5 V以上の作動電位を有する。 「金属 !_ 丨基準電位で 4 . 5 以上 の作動電位を有する」 とは、 プラトー領域として 4 . 5 V以上の作動電位の みを有している必要はなく、 4 . 5 V以上の作動電位を一部有している場合 も包含する意である。 したがって本発明は、 プラトー領域として 4 . 5 以 上の作動電位を有する 5 V級正極活物質のみからなる正極活物質に限 され るものではない。 例えば本発明の活物質は、 プラトー領域として 4 . 5 未 満の作動電位を有する正極活物質を含んでい てもよい。 具体的には、 当該 5 \¥0 2020/175506 10 卩(:170? 2020 /007578
V級正極活物質が 3 0質量%以上を占めていることが好ましく、 好ましくは 5 0質量%以上、 その中でも特に好ましくは 8 0質量%以上 ( 1 0 0質量% 含む) を占める正極活物質を許容するものである。
[0028] 上述のとおり、 芯材粒子八は、 !_ し M n及び〇と、 これら以外の 2種類 以上の元素とを含むスピネル型複合酸化物か らなる粒子であることが好まし い。 「これら以外の 2種以上の元素」 のうちの少なくとも 1元素は、 1\! し 〇〇及び 6からなる群から選択される金属元素 IV! 1であることが好ましく 、 他の 1元素は、 N 3、 IV! 9、 八 I、 、 [<、 〇 3、 丁 I、 V、 〇 「、 6 、 〇〇、 〇リ、 〇 、 丫、 「、 ㊀及び〇 6からなる群から選択される 1種又は 2種以上の組み合わせからなる金属元 素 IV! 2であることが好ましい。
[0029] 芯材粒子八の好ましい組成例として、 !_ 丨 IV! n 2 〇 4 _ 5 における IV! nサイ ト の一部を、 !_ 丨 と、 金属元素 IV! 1 と、 他の金属元素 IV! 2とで置換してなる結 晶構造を有するスピネル型リチウムマンガン 含有複合酸化物を含むものを挙 げることができる。
[0030] 金属元素 IV! 1は、 主に金属 !_ 丨基準電位で 4 . 5 V以上の作動電位を発現 させるのに寄与する置換元素であり、 1\1 し 〇〇及び 6などを挙げること ができ、 これらのうち少なくとも 1種を含んでいればよく、 中でも 1\1 丨及び 〇〇のうちの少なくとも 1種類の元素を含んでいることが特に好まし 。
[0031] 金属元素 IV! 2は、 主に結晶構造を安定化させて特性を高めるの に寄与する 置換元素である。 例えば容量維持率向上に寄与する置換元素と して、 例えば N 8、 1\/1 9、 八 丨、 、 [<、 丁 丨、 V、 〇 「、 ㊀、 〇〇、 〇リ、 ◦
3、 丫、 1% 〇 6などを挙げること ができ、 中でも N 3、 IV! 9、 八 I、 、 [<、 〇 3、 7 , 〇 1% 6、 〇〇
金属元素 IV! 2は、 上述した元素のうちの 1種又は 2種以上の組み合わせであ つてもよい。 金属元素 IV! 2は、 上述した元素のうちの少なくとも 1種を含ん でいることが好ましく、 上述した元素以外の金属元素を含んでいても よい。 \¥02020/175506 11 卩(:170? 2020 /007578
構造中に含まれる金属元素 IV! 2は金属元素 IV! 1 と異なる元素種である。
[0032] 芯材粒子八の組成の一例として、 式 ( 1) : 1_ 丨 X
_ 2 ) 〇 4 _ 5 で示されるスピネル型リチウムマンガン 含有複合酸化物を含むもの を挙げることができる。 式 (1) における金属元素 IV! 1及び金属元素 IV! 2は 上述のとおりである。
[0033] 前記の式 (1) において、 「X」 は、 ·! . 00以上·! . 20以下であるこ とが好ましく、 中でも 1. 01以上或いは 1. 1 0以下、 その中でも 1. 0 2以上或いは 1. 08以下であることがより一層好ましい。 金属元素 IV! 1の 含有量を示す 「V」 は、 〇. 20以上·! . 20以下であることが好ましく、 中でも〇. 30以上或いは 1. 1 0以下、 その中でも〇. 35以上或いは 1 . 05以下であることがより一層好ましい。 金属元素 IV! 2の含有量を示す 「 å」 は、 〇. 001以上〇. 400以下であることが好ましく、 中でも〇.
002以上或いは〇. 400以下、 その中でも〇. 005以上或いは 0. 3 〇以下、 更にその中でも〇. 1 0以上であることがより一層好ましい。 特に 〇. 1 0以上とすることでより効果的にサイクル特 を向上させることがで きる。
[0034] 芯材粒子八の組成の他の例として、 式 (2) :—般式 [!_ 丨 X (1\1 丨 3 2 -5 ] で示されるスピネル型リチウムマンガン含有 複合酸化 物を挙げることができる。 式 (2) において、 「X」 は、 1. 00以上1.
20以下であることが好ましく、 中でも 1. 01以上或いは 1. 1 0以下、 その中でも 1. 02以上或いは 1. 08以下であることがより一層好ましい 。 式 (2) において、 「ソ」 は、 0. 20以上〇. 70以下であることが好 ましく、 中でも〇. 30以上或いは〇. 60以下、 その中でも〇. 35以上 或いは 0. 55以下であることがより一層好ましい。
[0035] 前記の式 (2) において、 金属元素 IV! 3としては、 例えば、 N 3、 IV! 9 、 八 丨、 、 [<、 03 % 丁 丨、 V、 〇 「、 ㊀、 〇〇、 〇リ、
及び〇 6等が挙げられ、 中でも N 3、 1^9、 八 1、 、 [<、 03 % 丁 丨、 〇 「、 ㊀、 〇〇、 〇リ、 丫、 r、 N b、 Mo、 T a及び Wであることが好ましい。 金属元素 M3は、 上述 した元素のうちの 1種又は 2種以上の組み合わせであつてもよい。 金属元素 M3のモル比を示す 「z」 は、 0より大きく且つ 0. 5以下であることが好 ましく、 中でも 0. 01 より大きく或いは 0. 45以下、 その中でも 0. 0 5以上或いは 0. 40以下、 更にその中でも 0. 1 0以上或いは 0. 35以 下であることがより一層好ましい。 特に 0. 1 0以上とすることでより効果 的にサイクル特性を向上させることができる 。
[0036] なお、 前記の式 (1) 及び (2) における 「4-5」 は、 酸素欠損を含ん でいてもよいことを示している。 また、 酸素の一部がフッ素又はその他の元 素で置換されていてもよい。 この際、 Sは 0以上或いは 0. 2以下であるこ とが好ましく、 その中でも 0. 1以下、 その中でも 0. 05以下であること が更に好ましい。
[0037] 芯材粒子 Aは、 前記の L i、 Mn、 金属元素 M 1、 金属元素 M2、 金属元 素 M 3及び〇以外の他の成分を含有してもよい。 特にその他の元素をそれぞ れ 0. 5重量%以下であれば含んでいてもよい。 この程度の量であれば、 芯 材粒子の性能にほとんど影響しないと考えら れるからである。
[0038] 芯材粒子 Aは B (ホウ素) を含有してもよい。 Bの存在状態としては、 ス ピネルの結晶相の他に、 N i、 M n及び Bを含む複合酸化物相を含有してい てもよい。 N i、 M n及び Bを含む前記複合酸化物相としては、 例えば N i 5 M n 0 4 (Boy 2 の結晶相を挙げることができる。 N i 5 Mn〇 4 (B〇 3 )
2 の結晶相を含有することは、 X線回折 (XRD) により得られた回折バター ンを、 P D F (P owd e r D i f f r a c t i o n F i l e) 番号 「 01 -079- 1 029」 と照合することにより確認することができる 。 N i、 M n及び Bを含む前記複合酸化物は、 芯材粒子 Aの表面や粒界に存在し ているものと推察される。
[0039] N i、 M n及び Bを含む前記複合酸化物相の含有量に関して 、 芯材粒子 A中の B元素の含有量が 0. 02質量%以上 0. 80質量%以下となるよう に前記複合酸化物相を含有することが好まし く、 中でも 0. 05質量%以上 \¥0 2020/175506 13 卩(:170? 2020 /007578
或いは〇. 6 0質量%以下、 その中でも〇. 3 0質量%以下、 特に 0 . 2 5 質量%以下となるように前記複合酸化物相を 含有することが更に好ましい。 巳元素の含有量が〇. 0 2質量%以上であれば、 高温 (例えば 4 5 °〇 での 放電容量を維持することができ、 巳元素の含有量が〇. 8 0質量%以下であ ればレート特性を維持することができるから 、 好ましい。
[0040] なお、 芯材粒子八は、 例えば、 (0 r I 9 I n 〇 〇
1 〇 6 2) の立方晶の結晶構造モデルとフィッティング した際、 観測強度と 計算強度の一致の程度を表す 8 、
5であることにより、 スピネル型構造であると確認することができ る。
[0041 ] 芯材粒子八の一次粒子は、 単結晶体ではなく、 多結晶体であることが好ま しい。 単結晶体とは、 一次粒子が一つの結晶子で構成されている粒 子を意味 し、 多結晶体とは一次粒子内に複数の結晶子が存 在している粒子であること を意味する。 芯材粒子が多結晶体であるか否かは、 電子線後方散乱回折法 ( £ 6 3 0) により、 一次粒子断面を観察することで確認すること ができる。 多結晶体である場合は、 _次粒子内に複数の方位を持つ結晶体が存在 るこ とを確認できる。
[0042] 3 - 2 . 芯材粒子巳
芯材粒子は、 !_ 丨、 IV!元素 (IV!は、 少なくとも し 〇〇、 及び八 I からなる群から選択される 1種又は 2種以上の元素の組み合わせを含む。 ) 及び〇を含む層状構造を持つリチウムニッケ ル金属複合酸化物からなる粒子 であることも好ましい (以下、 この芯材粒子のことを 「芯材粒子巳」 ともい う。 ) 。 本発明の活物質は、 芯材粒子巳の他に、 他の成分を含んでいてもよ い。 尤も、 芯材粒子巳の特性を効果的に得ることができ る観点から、 芯材粒 子巳が 8 0質量%以上、 中でも 9 0質量%以上、 その中でも 9 5質量%以上 (1 0 0質量%を含む) を占めることが好ましい。
[0043] 芯材粒子巳は、 一般式 (3) (式中、 IV!は、 1\1 し 〇
〇、 M n及び 丨からなる群から選択される 1種又は 2種以上の元素の組み 合わせであるか、 若しくは、 !\1 し 0〇, IV! n及び八 丨からなる群から選択 \¥02020/175506 14 卩(:170? 2020 /007578
される 1種又は 2種以上の元素の組み合わせと、 周期律表の第 3族元素から 第 1 1族元素の間に存在する遷移金属元素、 及び、 周期律表の第 1周期から 第 3周期までの典型金属元素からなる群のうち いずれか 1種或いは 2種以 上の組み合わせとを含む (これらを 「構成元素 1\/1」 と称する) 。 ) で表され る層状構造を持つリチウム金属複合酸化物か らなる粒子であることが好まし い。
1. 09以下、 中でも〇. 97以上或いは 1. 07以下、 その中でも 0. 9 8以上·! . 05以下であることが好ましい。
[0045] 前記の式 (3) 中の は、 1\/^、 〇〇及び 丨の 3元素を含んでいて もよい。 例えば Mn、 0〇及び 丨の 3元素のみから構成されていてもよい し、 当該 3元素に前記その他の元素の 1種以上を含んでいてもよいし、 その 他の構成でもよい。
[0046] 周期律表の第 3族元素から第 1 1族元素の間に存在する遷移金属元素、 及 び、 周期律表の第 1周期から第 3周期までの典型金属元素としては、 例えば
「、 IV!〇、 、 7 a s どを挙げることができ、 中でも 、 V、 6
あることが好ましい。
[0047] 前記の式 (3) 中の が、 Mn、 0〇及び 丨の 3元素を含有する場 合、 IV! 〇〇及び 1\1 丨の含有モル比率は、 1\/^ : 〇〇 : 1\1 丨 =〇. 00以 上〇. 45以下: 〇. 00以上〇. 40以下: 〇. 30以上·! . 00以下で あることが好ましく、 1\/^ : 〇〇 : 1\1 丨 =0. 01以上〇. 45以下: 〇. 01以上〇. 40以下: 〇. 30以上〇. 95以下であることが好ましく、 中でも1\/1 n : 〇〇 : 1\1 丨 = 0. 05以上〇. 40以下: 〇. 03以上 0. 4 0以下: 0. 30以上 0. 85以下、 その中でも IV! n : 〇〇 : 1\1 丨 = 0. 0 5以上〇. 40以下: 0. 03以上〇. 40以下: 0. 30以上〇. 75以 下であることが更に好ましい。 \¥0 2020/175506 15 卩(:170? 2020 /007578
[0048] 前記の式 (3) において、 酸素量の原子比は、 便宜上 「2」 と記載してい るが、 多少の不定比性を有してもよい。 すなわち、 酸素量の原子比は 「2 - 5」 であってよく、 この際 「一5」 は酸素欠損を示しており、 5は 0以上或 いは〇. 2以下であることが好ましく、 その中でも〇. 1以下、 その中でも 〇. 0 5以下であることが更に好ましい。
[0049] 芯材粒子巳は、 不可避不純物を含んでいてもよい。 例えば不可避不純物の 元素をそれぞれ 0 . 1 7質量%以下であれば含んでいてもよい。 この程度の 量であれば、 芯材粒子巳の特性にほとんど影響しないと考 えられるからであ る。
[0050] なお、 芯材粒子巳は、 例えば、 空間群 3 の六方晶の結晶構造モデル とフィッティングした際、 観測強度と計算強度の一致の程度を表す 、
3の範囲が、 [¾ \/\/ < 1 0又は 3 < 2 . 5であることにより、 それが層状構 造であると確認することができる。
[0051 ] 芯材粒子巳の一次粒子は、 芯材粒子八と同様に、 単結晶体ではなく、 多結 晶体であることが好ましい。 単結晶体及び多結晶体の定義は、 芯材粒子八の 場合と同じである。
[0052] 4 . 活物質
本発明の活物質は、 次のような特徴を有することが好ましい。
[0053] (結晶性)
本発明の活物質の一次粒子は、 単結晶体ではなく、 多結晶体であることが 好ましい。 詳細にいえば、 多結晶体である芯材粒子の表面に非晶質であ る非 晶質化合物が存在していることが好ましい。 単結晶体とは、 一次粒子が一つ の結晶子で構成されている粒子を意味し、 多結晶体とは一次粒子内に複数の 結晶子が存在している粒子であることを意味 する。
[0054] 活物質の一次粒子が単結晶体ではない、 つまり多結晶体であるか否かは、 平均 _次粒子径に対する結晶子サイズの比率 (結晶子サイズ/平均 _次粒子径 ) が 0に近い、 具体的には 0より大きく、 1 より小さい範囲内であることを 確認することでも判断できる。 0に近いことは、 一次粒子内に結晶子が多く \¥0 2020/175506 16 卩(:170? 2020 /007578
含まれることを意味する。 尤も、 この判断方法に限定するものではない。
[0055] 本発明において 「一次粒子」 とは、 3巳1\/1 (走査型電子顕微鏡、 例えば 5
0 0倍以上 5 0 0 0倍以下) で観察したときに、 粒界によって囲まれた最も 小さな単位の粒子を意味する。 平均一次粒子径は、 3巳1\/1 (走査型電子顕微 鏡、 例えば 5 0 0倍以上 5 0 0 0倍以下) で観察して、 任意に 3 0個の一次 粒子を選択し、 画像解析ソフトウェアを用い、 選ばれた一次粒子の粒子径を 算出し、 3 0個の一次粒子径を平均して求めることがで る。 他方、 本発明 において 「二次粒子」 とは、 複数の一次粒子がそれぞれの外周 (粒界) の一 部を共有するようにして凝集し、 他の粒子と孤立した粒子を意味するもので ある。 そして、 レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測 定して得られる 体積基準粒度分布による 0 5 0 は、 これら一次粒子及び二次粒子を含めた粒子 の平均径の代替値としての意味を有する。 また、 「結晶子」 とは、 単結晶と みなせる一次粒子を意味し、 測定し、 リートべルト解析を行うことに より求めることができる。
[0056] (モード径)
本発明の活物質のモード径、 すなわちレーザー回折散乱式粒度分布測定法 により測定して得られる体積粒度分布測定に よるモード径は〇. 4〇 以 上 1 1 .〇 以下であることが好ましく、 中でも 1 . 〇〇 より大きい或 いは 1 1 . 0 01未満、 その中でも ·! . 0 0 〇1より大きい或いは 1 0 . 0 未満、 その中でも特に 1 . 5 0 より大きい或いは 1 0 . 0 未満、 更 にその中でも 2 . 0 0 〇1より大きい或いは 9 . 0 未満であることが特に 好ましい。 モード径を前記の範囲内とすることで、 二次粒子内に!- 丨が拡散 するときの抵抗を小さくすることができ、 その結果、 放電末期特性を向上さ せられる。
[0057] (0 5 〇)
本発明の活物質の口 5 0 、 すなわちレーザー回折散乱式粒度分布測定法 によ り測定して得られる体積粒度分布測定による 口 5 〇は、 例えば〇. 5 以上 であることが好ましく、 1 . 0 以上であることが好ましく、 2 . \¥02020/175506 17 卩(:170? 2020 /007578
以上であることが好ましく、 2. 5 以上であることが好ましい。 一方、 前記口 50 は、 例えば 1 5.〇 以下であることが好ましく、 中でも 1 0.0 以下であることが好ましく、 特に 8. 0 以下であることが好ましい 。 〇 50 を前記の範囲とすることで、 二次粒子内に !_ 丨が拡散するときの抵抗 を小さくすることができ、 その結果、 放電末期特性を向上させることができ る。
[0058] ( | モード径ーロ 50 丨 /モ_ド径)
本発明の活物質は、 モード径に対する、 モード径と口 50 との差の絶対値の 百分率 ( (丨 モード径_〇 5 。 丨 /モード径) X 1 〇〇) の値が 0%£ ( ( | モ—ド径 _〇 50 | /モード径) X I 〇〇) £25%を満たすことが好ましい 。 中でも ( (丨 モード径 _ 口 5 。 丨 /モ_ド径) X 1 00) は、 ( (丨 モード 径ーロ 50 I /モード径) X 1 00) £20%を満たすことが好ましく、 特に ( ( I モード径 _口 50 I /モ_ド径) X 1 00) £ 1 7%を満たすことが好 ましく、 更に ( ( I モード径ーロ 50 I /モ_ド径) X 1 00) £ 1 6%を満 たすことが好ましく、 中でもまた ( ( | モード径 _ 〇 50 | /モード径) X I 00) £ 1 5%以下を満たすことが好ましい。 一方、 (
I /モ_ド径) X 1 00) は、 0%< ( (丨 モード径一口 5 。 1 /モ_ド径) X 1 00) を満たすことが好ましく、 中でも 1 %£ (
/モード径) X I 00) を満たすことが好ましく、 特に 2%£ ( ( | モード 径 _〇 50 | /モード径) X I 00) を満たすことが好ましく、 更にまた 2. 5%£ ( ド径) X 1 〇〇) を満たすことが好ま しい。 (丨 モード径 _口 5 。 丨 /モ_ド径) X 1 〇〇の値が前記の範囲である ということは、 粒度分布が単峰型、 すなわち複数のピークを持たない分布で あり、 しかも、 正規分布であるかそれに近い分布であること を意味する。
[0059] (0 10 )
本発明の活物質の口!〇、 すなわちレーザー回折散乱式粒度分布測定法 によ り測定して得られる体積粒度分布測定による 口 10 は、 例えば〇. 2 以上 8. 0 〇!以下であることが好ましい。 活物質の口 10 は、 中でも 1. 〇 \¥02020/175506 18 卩(:170? 2020 /007578
以上であることが好ましく、 特に 2. 0 以上であることが好ましい。 一 方、 活物質の口 10 は、 中でも 6. 〇 以下であることが好ましく、 特に、 5. 0 以下であることが好ましい。 口!〇を前記の範囲に調整することに より、 副反応を抑制することができる。
[0060] ( | モード径一 ド径)
本発明の活物質は、 モード径に対する、 モード径と口!〇との差の絶対値の 百分率 ( ( | モード径—〇 1 。 I /モード径) X 1 00) の値が 0%< ( ( | モ—ド径—〇 10 I /モード径) X I 〇〇) £ 58. 0%であることが好まし い。 中でも ( (丨 モード径 _ 〇 10 丨 /モ_ド径) X I 00) は、 ( (丨 モー ド径一口 ] 〇 I /モード径) X 1 00) £55. 0 %を満たすことが好ましく 、 特に ( (丨 モード径一口!。 丨 /モ_ド径) X 1 00) £45. 0%を満た すことが好ましく、 更に ( ( | モード径ーロ 10 | /モード径) X 1 00) £ 40. 0%を満たすことが好ましい。 一方、 ( ( | モード径 _〇 10 | /モ_ ド径) X 1 00) は、 1 %£ ( ( | モード径一 0 ! 〇 I /モ_ド径) X 1 00 ) を満たすことが好ましく、 特に 2%£ ( ( I モード径ーロ 10 I /モ_ド径 ) X I 00) を満たすことが好ましく、 更にまた 2. 5%£ ( ( | モード径 —〇 50 | /モ_ド径) X 1 00) を満たすことが好ましい。 ( ( | モード径 _0 10 | /モード径) X I 00) の値が前記の範囲であるということは、 活 物質のモード径から口!〇までの分布の幅が 狭いことを意味する。
[0061] また、 モード径に対する、 モード径と口 5 〇との差の絶対値の百分率 ( ( | モード径— 0 50 | /モード径) X I 〇〇) を前記の範囲に調整すること、 又 は、 モード径に対する、 モード径と〇 ! 〇との差の絶対値の百分率 ( ( I モー ド径ーロ 10 I /モード径) X I 00) の値を前記の範囲にすることにより、 粒度分布が正規分布に近く、 シャープな分布となる。 つまり、 一次粒子及び 二次粒子の大きさを均一化することができる 。 このことは、 粒度分布全体に おける微粉領域の割合を小さくすることがで きることを意味している。 微粉 はサイクル特性に悪影響を及ぼすため、 微粉の占める割合を小さくすること で、 サイクル特性を改善できる。 \¥0 2020/175506 19 卩(:170? 2020 /007578
[0062] しかも本発明においては、 シャープな粒度分布を有する活物質の粒子が 、 上述した 1_ 丨 〇化合物を含む被覆層を有していることで、 充電特性が改善 されるという有利な効果が奏される。 特に、 後述する活物質の製造方法を採 用する場合、 上述した 1_ 丨 0化合物を含む被覆層の構造を導入する際に 材粒子への吸着現象を利用するので、 粒子径が揃ったシャープな粒度分布を 有する芯材粒子を用いると、 各粒子での被覆率や被覆厚みの平準化が首尾 よ く行われ、 粒子の被覆状態が粒子毎で揃った、 シャープな粒度分布を有する 活物質の粒子が得られる。 そのことに起因して、 充電時にリチウムイオンの 移動が粒子毎に平準化され、 充電特性が向上する。
[0063] ( 0 , ,„)
本発明の活物質の すなわちレーザー回折散乱式粒度分布測定法 によ り測定して得られる体積粒度分布測定による „は、 例えば〇. 1 以上 であることが好ましく、 中でも 0 . 1 5 より大きいことが好ましく、 特 に 2 . 〇 より大きいことが好ましく、 更にその中でも〇. 6 より大 きいことが好ましい。 一方、 例えば 6 . 〇 以下であることが好 ましく、 中でも 5 . 〇 未満であることが好ましく、 特に 4 . 〇 未満 であることが好ましく、 更にその中でも 3 . 0 未満であることが好まし く、 更にその中でも 2 . 〇 以下であることが好ましく、 更には 1 . 8 IX 未満であることが好ましい。 副反応 を抑制でき、 またサイクル特性を向上させることができる 。
[0064] 本発明の活物質の二次粒子の粒度分布を前記 のように調整するには、 例え ば焼成して粉砕するとともに該粉砕後に熱処 理をすればよい。 ただし、 かか る方法に限定するものではない。
[0065] (平均一次粒子径)
本発明の活物質の平均一次粒子径、 すなわち 3巳 IV!画像より算出した平均 —次粒子径は、 例えば〇. 1 〇 以上であることが好ましく、 中でも〇. 2 5 より大きいことが好ましく、 特に〇. 4 0 より大きいことが好 ましく、 更に〇. 5〇 より大きいことが好ましい。 一方、 前記平均一次 \¥0 2020/175506 20 卩(:170? 2020 /007578
粒子径は、 例えば、 5 . 0 0 以下であることが好ましく、 中でも 4 . 0 〇 以下であることが好ましく、 特に 3 . 0 0 以下であることが好ま しい。 平均一次粒子径が前記の範囲内であることに より、 レート特性の向上 を達成できる。
[0066] (平均一次粒子径/ 0 5 〇)
本発明の活物質は、 口 5 0 に対する平均一次粒子径の比率 (平均一次粒子径 /〇 5 0 ) が〇. 0 1以上〇. 9 9以下であることが好ましい。 中でも、 上記 比率は、 〇. 1以上であることが好ましく、 特に、 〇. 2以上であることが 好ましく、 その中でも〇. 3以上であることが好ましく、 更に〇. 4以上で あることが好ましい。 一方、 上記比率は、 〇. 9以下であることが好ましく 、 中でも〇. 8 5以下であることが好ましく、 特に〇. 7以下であることが 好ましい。 平均一次粒子径 /口 5 。を前記の範囲にすることにより、 一次粒子 の分散性を高めることができる。 そのため、 二次粒子が粒度分布の半分以上 を占める場合に比べて、 一次粒子 1つ 1つが充分に固体電解質と接触するこ とができる。 これにより、 !_ 丨 と粒子との反応面積が増加するとともに、 二 次粒子内の一次粒子どうしの界面における抵 抗を減少させることができ、 放 電末期特性改善に繫がる。
[0067] 本発明の活物質の平均一次粒子径を前記のよ うに調整するには、 焼成温度 を調整したり、 ホウ素化合物やフッ素化合物のように、 焼成時の反応性を高 める物質を添加して焼成したりして活物質を 製造することが好ましい。 尤も 、 この方法に限定するものではない。
[0068] (結晶子サイズ)
本発明の活物質は、 結晶子サイズが例えば 8 0 n 以上 4 9 0 n 以下で あることが好ましい。 中でも、 結晶子サイズは、 1 0 0 n m以上であること が好ましく、 特に 1 1 〇门 以上であることが好ましく、 更に 1 2 0 n 以 上であることが好ましく、 その中でも 1 3 0门 以上であることが好ましい 。 一方、 結晶子サイズは、 3 5 0 n 以下であることが好ましく、 2 4 0 n 以下であることが好ましい。 結晶子サイズを前記の範囲に規定することに \¥0 2020/175506 21 卩(:170? 2020 /007578
より、 結晶子内のイオン導電性を高めることができ 、 抵抗を低減することが できる。 また、 抵抗低減により、 サイクル時の分極を抑えることができ、 高 温時における充放電の繰り返しに伴って徐々 に放電容量が低下するのを抑制 することができる。
[0069] (結晶子サイズ/平均 _次粒子径)
本発明の活物質は、 結晶子サイズに対する平均一次粒子径の比率 (結晶子 サイズ/平均一次粒子径) が例えば〇. 0 1以上〇. 5 0以下であることが好 ましい。 中でも、 上記比率は、 〇. 0 2以上であることが好ましく、 特に 0 . 0 3以上であることが好ましく、 更に〇. 0 4以上であることが好ましく 、 その中でも〇. 0 5以上であることが好ましい。 一方、 上記比率は、 〇.
4 1以下であることが好ましく、 中でも〇. 3 2以下であることが好ましく 、 特に〇. 2 6以下であることが好ましい。 上述のように、 本発明の活物質 は好適には多結晶体であるから、 結晶子サイズ/平均一次粒子径は 1未満の 値となり、 更に前記の範囲であれば粉体中の一次粒子の 分散性が良好となり 、 一次粒子と固体電解質との接触面積が増加す るとともに、 二次粒子内の一 次粒子どうしの界面における抵抗を減少させ ることができ、 放電末期特性改 善に繫げることができる。 結晶子サイズを前記の範囲に調整するには、 焼成 温度、 焼成時間、 反応性を高める助剤、 焼成雰囲気、 原料種などを調節する ことが好ましい。 尤も、 これらの方法に限定するものではない。
[0070] (歪み)
本発明の活物質は、 X線回折装置 (乂[¾ 0) により測定される X線回折パ 夕 _ンにおいて、 リートべルト解析から得られる歪みの数値が 、 例えば〇.
0 0以上〇. 3 5以下であることが好ましい。 この程度に歪みが少なければ 、 リチウムニッケル金属複合酸化物の骨格が充 分に強固であるから、 リチウ ムニ次電池の活物質として使用した場合に、 放電末期特性及びサイクル特性 を更に高めることができる。 かかる観点から、 本発明の活物質の歪みは、 中 でも〇. 3 5未満、 その中でも〇. 3 2未満、 その中でも〇. 3 0未満、 そ の中でも更に〇. 2 8未満、 その中でも〇. 2 5未満、 その中でも更に〇. \¥02020/175506 22 卩(:170? 2020 /007578
20未満、 更にその中でも〇. 1 5未満であることがより一層好ましい。 本 発明の活物質の歪みを前記の範囲にするには 、 好ましい条件で熱処理すれば よい。 尤も、 これらの方法に限定するものではない。
[0071] (比表面積)
本発明の活物質はその比表面積が、 副反応を抑える観点から、 例えば〇.
1 0 12 /9以上 1 2. 0 2/9以下であることが好ましく、 中でも〇. 20 12 /9より大きい或いは 1 〇. 〇 2 /9未満であることが更に好ましく、 その 中でも 8. 0 2 / 9未満、 その中でも更に 7. 0 2 / 9未満、 その中でも 特に 5. 〇〇! 2 / 未満であることがより一層好ましい。 場合によっては、 本 発明の活物質の比表面積は、 例えば 0. 40^/9以上或いは 1 2. 〇 2 /
9以下であることが好ましく、 中でも〇. 501 2 /9以上或いは 1 〇. 〇 2 / 9以下であることが更に好ましく、 その中でも 8.0 2 / 9以下、 その中 でも更に 5. 0 2 / 以下であることがより一層好ましい。
[0072] 比表面積は次のように測定する。 先ず、 サンプル 2. 09を全自動比表面 積測定装置 IV! 8〇 3〇 「匕 (株式会社マウンテック製) 用のガラスセル (標 準セル) に秤量し、 才一トサンブラーにセッ トする。 窒素ガスでガラスセル 内を置換した後、 前記窒素ガス雰囲気中で 200 ° 〇 1 5分間、 熱処理する。 その後、 窒素 ·ヘリウム混合ガスを流しながら、 4分間冷却する。 冷却後、 サンプル (粉体) を巳巳丁_点法にて測定する。 冷却時及び測定時の吸着ガ スは、 窒素 30 V〇 丨% : ヘリウム 70 〇 丨%の混合ガスを用いる。
[0073] (表面組成)
本発明の活物質が、 芯材粒子の表面が非晶質化合物で被覆されて なる構成 を備えている場合には、 活物質の表面における !_ 丨 と 元素との比率を所定 範囲に制御することにより、 リチウムイオン伝導性向上と抵抗抑制を両立 さ せることができ、 放電末期特性を改善するとともに、 レート特性、 サイクル 特性を有効に改善することができる。 詳細には、 X線光電子分光分析 (乂 3) によって得られる、 活物質 (粒子) の表面における 元素含有量に対す る 1- 丨含有量の 〇 I比率 (1_ 丨 / ) は〇. 5以上 33. 3以下であるこ \¥0 2020/175506 23 卩(:170? 2020 /007578
とが好ましく、 中でも〇. 7より大きい或いは 3 0 . 0未満、 その中でも 1 . 0より大きい或いは 2 0 . 0未満、 その中でも 1 . 1 より大きい或いは 1 5 . 0未満、 更にその中でも 1 . 2より大きい或いは 1 0 . 0未満であるこ とが好ましい。 場合によっては、 前記 〇 丨比率 (1 - 丨 / ) は〇. 5以上 3 . 5以下であることが好ましく、 中でも〇. 7より大きい或いは 3 . 4以 下、 その中でも 1 . 0より大きい或いは 3 . 0未満、 その中でも 1 . 1 より 大きい或いは 2 . 5未満、 更にその中でも 1 . 2より大きい或いは 2 . 1未 満であることが好ましい。 前記 〇 I比率 (1_ 丨 / ) は炭酸リチウム起因 の 1_ 丨 も含めた値である。
[0074] 本発明の活物質の表面における 1_ 丨 と 元素との比率を前記の範囲に制御 するためには、 前述したように、 活物質の表面に生成する炭酸リチウム起因 の 1_ 丨分を考慮した上で、 前記 〇 丨比率 (1_ 丨 / ) が前記範囲になるよ うに、 元素原料配合量及びリチウム原料配合量を調 整することが好ましい
[0075] (炭酸イオン量: 〇〇 -量)
本発明の活物質の表面に存在する炭酸塩 (炭酸リチウムや炭酸ナトリウム など) の量が多いと抵抗となってリチウムイオン伝 導性を低下させる可能性 がある。 そのため、 炭酸塩由来と考えられる炭酸イオン量すなわ ち<3〇 3 2 -量 は、 本発明の活物質に対して 4 . 0質量%未満であることが好ましく、 中でも 3 . 0質量%未満、 その中でも 2 . 5質量%未満、 更にその中でも 2 . 0質量 %未満、 とりわけその中でも 1 . 0質量%未満であることが更に好ましい。 活物質の表面に存在する炭酸リチウム量を低 下させるためには、 例えば、 酸 素雰囲気下などの二酸化炭素を含まない雰囲 気で焼成し、 更に好ましくは、 超音波を照射しながら加水分解することが好 ましい。
[0076] <活物質の製造方法>
本発明の活物質は、 例えば、 !_ し IV!元素 (IV!は し 0〇、 IV! n及び八 Iからなる群から選択される 1種又は 2種以上の元素の組み合わせである。
) 及び〇を含む層状構造を持つリチウム金属複 合酸化物からなる芯材粒子粉 \¥0 2020/175506 24 卩(:170? 2020 /007578
末を調整する一方、 リチウム原料、 元素原料を溶媒に溶解させた混合溶液 に芯材粒子を加えた後、 所定条件の下で乾燥、 焼成することにより製造でき る。 或いは、 リチウム原料、 元素原料を溶媒に溶解させた混合溶液に芯材 粒子を加えた後、 所定条件の下で乾燥、 焼成することにより、 芯材粒子に表 面被覆処理を施して製造することができる。 尤も、 これらの製造方法は好ま しい一例であって、 このような製造方法に限定するものではない 。 例えば、 転動流動コーティング法 (ゾルゲル法) 、 メカノフュージョン法、 〇 〇法 及び V 0法等でも、 条件を調整することにより製造することは可 能である
[0077] <芯材粒子の製造方法>
芯材粒子の製造方法の一例として、 原料混合工程、 湿式粉砕工程、 造粒エ 程、 焼成工程、 熱処理工程、 洗浄 ·乾燥工程及び粉砕工程を備えた製造方法 を挙げることができる。 尤も、 かかる製造方法は好ましい一例であって、 こ のような製造方法に限定するものではない。
[0078] <表面被覆処理>
前記のように作製した芯材粒子の表面を、 1_ 丨 〇化合物で被覆させるた めには、 例えば、 リチウム原料、 八元素原料を溶媒に溶解させた混合溶液に 芯材粒子粉末を加えて、 所定条件下で乾燥、 焼成すればよい。 例えば、 水溶 性八元素塩及びリチウム原料を水に溶解して 表面処理液を調製し、 この表面 処理液中に芯材粒子を投入し、 混練してスラリー状とし、 これを乾燥するこ とによって好適に製造できる。 ただし、 活物質の製造方法をこのような方法 に限定するものではない。 例えば、 転動流動コーティング法 (ゾルゲル法)
、 メカノフュージョン法、 ◦ 〇法及び 〇法等でも、 条件を調整するこ とにより製造することは可能である。
[0079] より具体的には、 1_ 丨量と 元素量との比率を所定範囲に調整したリチウ ム原料及び 元素原料を溶媒に撹拌溶解した後、 これに芯材粒子粉末を投入 することが好ましい。 なお、 本発明の活物質製造方法では、 溶媒中に芯材粒 子粉末を投入することにより、 芯材粒子の表面に存在する残存不純物を溶媒 \¥0 2020/175506 25 卩(:170? 2020 /007578
中に溶解させてから表面処理することがで きるため好ましい。 この方法によ り、 本発明の活物質の ! !を低減させることができ、 放電末期特性及びサイ クル特性の向上させることができる。 例えば、 特開 2 0 1 6— 1 7 0 9 7 3 号公報に記載されているように、 単にコアとなる活物質粒子に錯体溶液を噴 霧する方法では、 前記のような効果が得られない可能性がある 。 ただし、 ! !を低減する方法をこの方法に限定するもの はない。
[0080] <活物質の用途>
本発明の活物質は、 通常、 正極活物質として用いることができる。 また、 本発明の活物質は、 固体電池に用いられるものである。 特に本発明の活物質 は、 固体電解質として固体電解質を含む固体電池 に用いられることが有利で ある。 固体電池において、 本発明の活物質と、 固体電解質との接触部分が存 在することにより、 本発明の効果を享受することができる。 ここで 「活物質 と、 固体電解質との接触部分が存在する」 とは、 (ア) 正極合剤等の電極合 剤中に固体電解質を含有させること (この場合、 固体電解質層は硫化物でも 非硫化物でも可。 ) 、 (イ) 正極合剤等の電極合剤中に固体電解質を含有 さ せず、 固体電解質層に固体電解質を含有させること 、 及び (ウ) 正極合剤等 の電極合剤中に固体電解質を含有させ、 且つ固体電解質層に固体電解質を含 有させることのいずれかを意味する。
[0081 ] 巳. 電極合剤
正極合剤等の本発明の電極合剤は、 活物質と、 固体電解質とを含む。 なお 、 電極合剤に含まれる活物質については、 前記 「 . 活物質」 の項に記載し た内容と同様とすることができるため、 ここでの記載は省略する。
[0082] 本発明で用いる固体電解質は、 一般的な固体電池に用いられる固体電解質 と同様とすることができる。 例えば、 硫化物固体電解質、 酸化物固体電解質 、 窒化物固体電解質、 ハロゲン化物固体電解質等が挙げられるが、 中でも硫 黄 (3) 元素を含有する硫化物固体電解質であること が好ましい。 本発明に おける硫化物固体電解質は、 例えば、 リチウム (!_ 丨) 元素及び硫黄 (3) 元素を含みリチウムイオン伝導性を有するも のであってもよく、 或いは、 リ \¥02020/175506 26 卩(:170? 2020 /007578
チウム (1_ 丨) 元素、 リン ( ) 元素及び硫黄 (3) 元素を含みリチウムイ オン伝導性を有するものであってもよい。 硫化物固体電解質は、 結晶性材料 、 ガラスセラミックス、 ガラスのいずれであってもよい。 硫化物固体電解質 は、 アルジロダイ ト型構造の結晶相を有していてもよい。 このような硫化物 固体電解質としては、 例えば、 1_ 丨 2 3_? 2 3 5 、 1_ 丨 2 3_? 2 3 5 _1_ 1 乂
、 1_ 丨 7 _^3 6 _^ ; < (アルジロダイ ト型構造の結晶相を有する固体電解質 、 「X」 は 1種以上のハロゲン元素を示し、 〇. 2<父<2. 0又は 0. 2 <父<1. 8である。 ) などが挙げられる。
[0083] 本発明の電極合剤に含まれる活物質は、 本発明の活物質のみであってもよ く、 その他の活物質と組み合わせて使用すること もできる。 その他の活物質 としては、 前記の公知のリチウム遷移金属複合酸化物か らなる粒子が挙げら れ、 当該粒子は被覆層を有していてもよく、 或いは有していなくてもよい。 組み合わせて使用する場合は、 活物質全体に対して本発明の活物質を 50モ ル%以上、 更に好ましくは 70 %以上含有していることが好ましい。
[0084] 本発明の電極合剤における硫化物固体電解質 の割合は、 典型的には 5質量 %以上 50質量%以下である。 また、 電極合剤は、 必要に応じて導電助剤や バインダー等の他の材料を含んでもよい。 また、 電極合剤と溶剤とを混合し てべーストを作製し、 アルミニウム箔等の集電体上に塗布、 乾燥させること によって正極層等の電極層を作製できる。
[0085] 0. 固体電池
本発明の固体電池は、 正極層、 負極層、 及び固体電解質層を備え、 前記正 極層が、 上述した正極合剤を含む。
[0086] 本発明の固体電池は、 例えば、 前記のようにして作製した正極層、 固体電 解質層、 及び負極層を 3層重ねて加圧成型することによって作製で る。 「 固体電池」 とは、 液状物質又はゲル状物質を電解質として一切 含まない固体 \¥0 2020/175506 27 卩(:170? 2020 /007578
電池の他、 例えば 5 0質量%以下、 3 0質量%以下、 1 0質量%以下の液状 物質又はゲル状物質を電解質として含む態様 も包含する。
[0087] 前記負極層に用いる負極活物質は、 一般的な固体電池に用いられる負極活 物質と同様とすることができる。 具体的な負極活物質としては、 リチウムイ オンを吸蔵放出する材料、 例えば炭素材料、 シリコン及び 3 丨 _〇などの酸 化ケイ素系化合物、 スズ系化合物、 チタン酸リチウム等の公知の材料を用い ることができる。 前記炭素材料としては、 例えばポリアクリロニトリル、 フ エノール樹脂、 フエノールノボラック樹脂、 セルロースなどの有機高分子化 合物を焼結したもの、 人造黒鉛や天然黒鉛を挙げることができる。 前記負極 層は、 このような負極活物質を用いる以外は正極層 の作製と同様にして作製 できる。
実施例
[0088] 以下、 実施例により本発明を更に詳細に説明する。 しかしながら本発明の 範囲は、 かかる実施例に制限されない。
[0089] 〔実施例 1〕
平均粒径 (〇 5 0 ) 7 の炭酸リチウムと、 平均粒径 (0 5 〇) 2 3 で 比表面積が 4 0 0^ / 9の電解二酸化マンガンと、 平均粒径 (0 5 〇) 2 2 の水酸化ニッケルと、 平均粒径 (0 5 0 ) 2 の酸化チタンをそれぞれ秤量 した。
イオン交換水中へ、 分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム塩 水溶液 ( サンノブコ (株) 製 3 1\1デイスパーサント 5 4 6 8) を添加した。 この際 、 分散剤の添加量は、 前述の !_ 丨原料、 1\! 丨原料、 IV! n 原料及び丁 丨原料の 合計に対して、 6質量%になるようにし、 イオン交換水中へ充分に溶解混合 させた。 そして、 秤量しておいた 1\1 し IV! n原料を、 あらかじめ分散剤を溶 解させた前記イオン交換水中へ加えて、 混合撹拌して、 続いて、 湿式粉砕機 で 1 3 0 0 「 、 1 2 0分間粉砕して平均粒径 (口 5 0 ) を〇. 6 0 以 下の粉砕スラリーを得た。 次いで、 残りの原料を前記スラリー中に加えて、 撹拌し、 続いて 1 3 0 0 「 、 1 2 0分間粉砕して平均粒径 (0 5 0 ) を 0 \¥0 2020/175506 28 卩(:170? 2020 /007578
. 6〇 以下の粉砕スラリーを得た。 この際の固形分濃度は 4 0質量%と した。
得られた粉砕スラリーを熱噴霧乾燥機 (スプレードライヤー、 大川原化工 機 (株) 製 0」 ) を用いて造粒乾燥させた。 この際、 噴霧にはツ インジェッ トノズルを用い、 噴霧圧を〇. 4 6 1\/1 3、 スラリー供給量 3 4 n % 乾燥塔の出口温度 1 0 0。〇以上 1 1 0 °〇以下となるように 温度を調節して造粒乾燥を行った。
[0090] 得られた造粒粉を、 静置式電気炉を用いて、 大気雰囲気において、 9 0 0 °〇を 3 7時間保持するように焼成した後、 解砕機 (オリエント堅型粉砕機、 オリエント粉砕機株式会社製) で解砕した。
前記解砕後、 静置式電気炉を用いて、 大気雰囲気において、 7 5 0 ° ◦を 3 7時間保持するように熱処理 (第 1熱処理) し、 解砕機 (オリエント堅型粉 砕機、 オリエント粉砕機株式会社製) で解砕した。
前記解砕後、 1 ~ 1 6以上 7以下、 温度 2 5 °〇のイオン交換水 2 0 0 0 !_ を入れたプラスチックビーカー (容量 5 0 0 0 !_) の中に投入し、 攪拌機 (プロペラ面積 3 3〇〇! 2 ) を用いて 4 0 0 「 〇1以上 5 5 0 「 以下の回 転で 2 0分間撹拌した。 撹拌後、 撹拌を停止して攪拌機を水中から取り出し 、 1 〇分間静置した。 そして、 デカンテーシヨンにより上澄み液を除去し、 残りについて吸引ろ過器 (ろ紙 1\1〇. 1 3 1) を使用して沈降物を回収し、 回収した沈降物を 1 2 0 ° 〇環境下で 1 2時間乾燥させた。 その後、 品温が 5 0 0 °〇となるように加熱した状態で 7時間乾燥させた。
[0091 ] そして、 乾燥後、 カウンタージェッ トミル (粉砕分級装置、 ホソカワミク ロン株式会社製) で解砕した (解砕条件:分級機回転数 1 1 0 0 0 「 〇〇 。 その後、 目開き 5 3 の舗で分級した。
[0092] その後、 管状型静置炉にて酸素供給量〇. 5 !_ / 丨 n にて流入させなが ら、 炉設定温度を 7 2 5 °〇として、 5時間保持するように熱処理 (第 2熱処 理) を実施した。
第 2熱処理後の粉体を目開き 5 3 の篩で分級し、 篩下を回収してリチ \¥02020/175506 29 卩(:170? 2020 /007578
ウムマンガン含有複合酸化物を準備した。 このリチウムマンガン含有複合酸 化物は、 後述するように、 測定で、 スピネル型リチウムマンガン含有 複合酸化物であることを同定した。 以後の実施例及び比較例についても同様 である。
[0093] このスピネル型リチウムマンガン含有複合酸 化物、 すなわち芯材粒子の化 学分析を実施したところ、 化学分析の結果、 1- 丨 : 4. 2質量%、 Mn : 4 1. 6質量%、 1\1 丨 : 1 3. 5質量%、 丁 丨 : 5. 1質量%であった。 粒子の断面 3巳 IV!写真から芯材粒子が多結晶体であることを 確認した。
なお、 前記焼成時及び熱処理時の温度は、 炉内の処理物に熱電対を接触さ せて測定した処理物の品温である。 後述する実施例 ·比較例でも同じである
[0094] 正極活物質の製造
1 3. 5 9 の 1_ 丨 〇1 ~ 1 . 1 ~ 1 2 〇と、 フッ素を含有するペルオキソニオブ酸ア ンモニウム 29. 39とを 586 1_の水に溶解して水溶液を得た。 この水 溶液を の結晶を得 た。 前記 ( 1 巳) で得られた芯材粒子 1 09を、 !_ 丨濃度を 1 1. 4 9 /1_ に調整した水酸化リチウム水溶液 45 1_に添加しスラリーを作製した。 そ のスラリーを 90°〇以上に加熱し、 そこへ、 1_ 丨 _1\1匕_〇水溶液 1 5 1_ を加えた。 1_ 丨 一 1\1匕一〇水溶液は 1_ 丨 一 1\1匕一〇結晶〇.
1-を混合して作製した。 更にそのスラリーを 90°〇以上で 1 0分間加熱した 。 90°〇以上で加熱することにより正極活物質 表面に吸着し易い性質を持 つ !_ 丨 _ 1\1匕 _〇系化合物が芯材粒子の表面に生成する。 液をデカンテーシ ョンして、 〇. 1 4 〇 I /!_の硫酸リチウム溶液 90 !_で 2回洗浄した 。 その後 1 30°〇で乾燥後、 200°〇で 2時間熱処理して正極活物質を得た 。 このサンプルは X八 3の測定によって得られる動径分布関数にお て 0 . 1 45门〇1以上〇. 1 85门 以下の範囲に 1本ピークを有し、 0. 28 01^〇!以上〇. 3 1 01^〇!以下の範囲にも 1本ピークを有した。
[0095] 〔実施例 2〕 \¥02020/175506 30 卩(:170? 2020 /007578
実施例 1 において、 管状型静置炉にて保持時間を 6時間保持するように熱 処理 (第 2熱処理) を実施し、 正極活物質の製造時に 1 30 ° 〇で乾燥後、 3 50 ° 〇で 2時間熱処理した以外は実施例 1 と同様にして正極活物質を得た。 このサンプルは X八 3の測定によって得られる動径分布関数にお て〇. 1 45门〇1以上〇. 1 85门 以下の範囲に 1本ピークを有し、 〇. 280
[0096] 〔実施例 3〕
実施例 1 において、 静置式電気炉を用いて、 大気雰囲気において、 750 °〇を 38時間保持するように熱処理 (第 1熱処理) し、 正極活物質の製造時 に 1 30°〇で乾燥後、 500°〇で 2時間熱処理した以外は実施例 1 と同様に して正極活物質を得た。 このサンプルは乂八 3の測定によって得られる動 径分布関数において〇. 1 45 n m以上〇. 1 85 n 以下の範囲に 1本ピ —クを有し、 〇. 3 1 0门 以下の範囲にも 1本ピーク を有した。
[0097] 〔実施例 4〕
実施例 1 において、 静置式電気炉を用いて、 大気雰囲気において、 750 °〇を 36時間保持するように熱処理 (第 1熱処理) し、 正極活物質の製造時 に 1 30°〇で乾燥後、 700°〇で 2時間熱処理した以外は実施例 1 と同様に して正極活物質を得た。 このサンプルは乂八 3の測定によって得られる動 径分布関数において〇. 1 45 n m以上〇. 1 85 n 以下の範囲に 1本ピ —クを有し、 〇. 3 1 0门 以下の範囲にも 1本ピーク を有した。
[0098] 〔比較例 1〕
平均粒径 (〇 50 ) 7 の炭酸リチウムと、 平均粒径 (0 5 〇) 23 で 比表面積が 40 の電解二酸化マンガンと、 平均粒径 (0 50 ) 22 の水酸化ニッケルとそれぞれ秤量した。
イオン交換水中へ、 分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム塩 水溶液 ( サンノブコ (株) 製 3 !\1デイスパーサント 5468) を添加した。 この際 \¥02020/175506 31 卩(:170? 2020 /007578
、 分散剤の添加量は、 前述の!- 丨原料、 丨原料及び IV! n 原料の合計に対し て、 6質量%になるようにし、 イオン交換水中へ充分に溶解混合させた。 秤 量しておいた原料を、 あらかじめ分散剤を溶解させた前記イオン交 換水中へ 加えて、 混合撹拌して、 固形分濃度 40質量%のスラリーを調整した。
湿式粉砕機で 1 300 「 、 1 20分間粉砕して平均粒径 (050) を 〇. 60 以下とした。
得られた粉砕スラリーを熱噴霧乾燥機 (スプレードライヤー、 大川原化工 機 (株) 製 0」 ) を用いて造粒乾燥させた。 この際、 噴霧にはツ インジエッ トノズルを用い、 噴霧圧を 0. 1 スラリー供給量 35 n % 乾燥塔の出口温度 1 00。〇以上 1 1 0°〇以下となるように 温度を調節して造粒乾燥を行った。
[0099] 得られた造粒粉を、 静置式電気炉を用いて、 酸素分圧〇. の 雰囲気において、 950°〇を 37時間保持するように焼成した後、 酸素分圧 〇. 02 1 1\/1 3の雰囲気において 750°〇を 37時間保持するように熱処 理した。
熱処理して得られた焼成粉を目開き 53 の篩で分級し、 篩下粉を回収 してスピネル型リチウムマンガン含有複合酸 化物粉末すなわち正極活物質 ( サンプル) を得た。
[0100] スピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物 粉末を準備した。 得られたス ピネル型リチウムマンガン含有複合酸化物粉 末の化学分析を実施したところ 、 !_ 丨 : 3. 9質量%、 1\1 丨 : 1 6. 0質量%、 IV! n : 43. 0質量%であ った。 このサンプルは X八 3の測定によって得られる動径分布関数にお て〇. 1 45 〇!以上〇. 以下の範囲、 及び〇.
〇. 3 1 0门 以下の範囲にピークを有さなかった。
[0101] 〔実施例 5〕
先ず、 硫酸ニッケルと硫酸コバルトと硫酸マンガン を溶解した水溶液に、 水酸化ナトリウムとアンモニアを供給し、 共沈法により、 ニッケルとコバル 卜とマンガンのモル比が〇. 6 : 0. 2 : 0. 2である金属複合水酸化物を \¥02020/175506 32 卩(:170? 2020 /007578
作製した。
[0102] 次に、 炭酸リチウムと金属複合水酸化物を秤量した 後、 ボールミルを用い て充分混合し、 得られた混合粉を、 静置式電気炉を用いて 720 ° ◦で 1 0時 間仮焼成した。
得られた仮焼粉を解砕し、 再度、 静置式電気炉を用いて、 920 ° ◦で 22 時間焼成を行った。 焼成して得られた焼成塊を乳鉢に入れて乳棒 で解砕し、 目開き 53 の篩で分級し、 篩下のリチウム金属酸化物粉体を回収した。 このリチウム金属酸化物は、 後述する乂[¾〇測定で、 層状構造を有するリチ ウム金属酸化物であることを同定した。 よって、 このリチウム金属酸化物を 層状リチウム金属酸化物と称する。 以後の実施例及び比較例についても同様 である。
[0103] 回収した層状リチウム金属酸化物粉体すなわ ち芯材粒子の口 50 は 6. 8 であった。 一次粒子の断面 3巳 IV!写真から芯材粒子が多結晶体であること を確認した。
[0104] 3. 689の!_ 丨 〇1 ~ 1 . 1 ~ 1 2 〇及び249のぺルオキソニオブ酸アンモニ ウ ムを、 2000 !_の水に溶解して処理液を調製した。 この処理液を処理液 八という。 前記で得られた芯材粒子 200 9 に処理液八を添加し、 90 °〇以 上で加熱した。 90 ° 〇以上で加熱することにより、 リチウム原料とペルオキ ソニオブ酸アンモニウムとが溶液内で反応す る。 これにより、 芯材粒子の表 面に吸着し易い性質を持つ !_ 丨 _ 1\1匕 _〇系化合物が、 芯材粒子の表面に生 成する。 その後、 スプレードライ造粒法によって 3 1 0 ° 〇で乾燥して正極活 物質を得た。 これら以外は実施例 1 と同様にして正極活物質を得た。 このサ ンプルは X八 3の測定によって得られる動径分布関数にお て〇. 1 45 n 以上〇. 以下の範囲に 1本ピークを有し、 〇. 2801^ 111以 上〇. 3 1 0 n 以下の範囲にも 1本ピークを有した。
[0105] 〔実施例 6〕
実施例 5において、 芯材粒子の組成を 1\1 丨 : 〇〇 : 1\/^ = 0. 33 : 0.
33 : 0. 33にし、 回収した層状リチウム金属酸化物粉体すなわ ち芯材粒 \¥02020/175506 33 卩(:170? 2020 /007578
子の [5 50 を 2. 5 〇1とした。 スプレードライ造粒法によって 1 1 0°〇で乾 燥し、 その後 350 ° 〇で熱処理した以外は実施例 5と同様にして正極活物質 を得た。 このサンプルは X八 3の測定によって得られる動径分布関数にお いて〇. 1 45门〇1以上〇. 1 85门 以下の範囲に 1本ピークを有し、 0 . 280 n 以上〇. 3 1 0 n 以下の範囲にも 1本ピークを有した。
[0106] 〔実施例 7〕
実施例 5において、 回収した層状リチウム金属酸化物粉体すなわ ち芯材粒 子の 0 50 を 2. 4 〇1とした。 スプレードライ造粒法によって 320°〇で乾 燥し、 更に 1 20°〇で 2時間真空乾燥を行った。 それ以外は実施例 5と同様 にして正極活物質を得た。 このサンプルは乂八 3の測定によって得られる 動径分布関数において〇. 1 45 n m以上 0. 1 85 n 以下の範囲に 1本 ピークを有し、 〇. 280门 以上〇. 3 1 0门 以下の範囲にも 1本ピー クを有した。
[0107] 〔比較例 2〕
実施例 5において、 ペルオキソニオブ酸アンモニウム 59及び水酸化リチ ウム〇. 709をイオン交換水 1 00 !_に溶解して表面処理液を調製した 。 この表面処理液を処理液巳という。
を投入し、 90 °〇以上で加熱した
。 90 ° 〇以上で加熱することにより、 リチウム原料とペルオキソニオブ酸ア ンモニウムとが溶液内で反応する。 これにより、 芯材粒子の表面に吸着し易 い性質を持つ 1- 丨 系化合物が、 芯材粒子の表面に生成する。 その 後、 熱風炉を用い 1 20 ° 〇で乾燥し、 更に 500 ° 〇で 5時間にわたり熱処理 した。 それ以外は実施例 5と同様にして正極活物質を得た。 このサンプルは 乂八 3の測定によって得られる動径分布関数にお て 0. 1 45 n m以上 〇. 1 85门 以下の範囲にピークを有さず、 〇. 3 1 0 n 以下の範囲に 1本ピークを有した。
[0108] <各種物性値の測定方法>
実施例及び比較例で得られた正極活物質の各 種物性値を次のように測定し \¥02020/175506 34 卩(:170? 2020 /007578
た。
[0109] (組成分析)
実施例及び比較例で得られた正極活物質につ いて、 誘導結合プラズマ (丨 09)発光分光分析により、 各元素の含有量を測定した。
[0110] (モード径、 0 5 〇, 0 10 )
実施例及び比較例で得られた正極活物質につ いて、 レーザー回折粒子径分 布測定装置用自動試料供給機 (マイクロトラック ·ベル株式会社製 「1\/1 丨 〇 「〇 30(3」 ) を用い、 サンプル (粉体) を水溶性溶媒に投入し 、 40%の流速中、 4〇 の超音波を 360秒間複数回照射した後、 マイク 口トラック ベル株式会社製レーザー回折粒度分布測定機 「1\/1丁 300011 」 を用いて粒度分布を測定し、 得られた体積基準粒度分布のチヤートからモ —ド径、 〇 50 及び〇 10 を測定した。
超音波の照射回数は、 超音波照射前後における口 50 の変化率が 8%以下と なるまでの回数とした。
なお、 測定の際の水溶性溶媒は 60 のフィルターを通し、 「溶媒屈折 率」 を 1. 33、 粒子透過性条件を 「透過」 、 粒子屈折率 2. 46、 「形状 」 を 「非球形」 とし、 測定レンジを〇. 1 33 以上 704. 〇 以下 、 測定時間を 30秒とした。
[0111] (平均一次粒子径)
実施例及び比較例で得られた正極活物質の平 均一次粒子径を、 次のように 測定した。
3巳1\/1 (走査型電子顕微鏡) を用いて、 サンプル (粉体) を 1 000倍で 観察し、 口 5 〇に相当する大きさの粒子を選択した。 次に、 口 50 に応じて、 2 000倍以上 1 0000倍以下に倍率を変更して撮影した。 撮影倍率を例示 すると、 口 5 。が 7 程度の場合は 1 0000倍、 1 5 程度の場合は 5 000倍、 22 程度の場合は 2000倍にすると、 後述する画像解析ソ フ トウェアでの平均一次粒子径を求めるのに適 した画像を撮影できる。
[0112] 撮影した画像を画像解析ソフトウェア (株式会社マウンテック社製 !\/!八〇 \¥0 2020/175506 35 卩(:170? 2020 /007578
- V I 4) を用いて、 選択した粒子の平均一次粒子径を求めた 。 なお、 この平均一次粒子径は、 体積分布での累積 5 0 %粒径 (1 ~ 1 6 7 〇 〇〇1径:円相当径) のことである。
また、 平均一次粒子径を算出するためには、 一次粒子を 3 0個以上測定し 、 その平均値を算出するのが好ましい。 測定個数が足りない場合は、 口 5 0 に 相当する大きさの粒子を追加選択して撮影し 、 合計して一次粒子が 3 0個以 上になるように測定を行った。
[01 13] (結晶構造の同定)
実施例及び比較例で得られた芯材粒子につい て、 X 8口装置を使用して結 晶構造を、 次のように同定した。
(株) リガク製」 を用い、 下 記測定条件 1で測定を行って、 乂[¾ロパターンを得た。 統合粉末 X線解析ソ フトウェア 0 X 1- ( (株) リガク製) を用いて、 得られた乂[¾ロバターン について結晶相情報を決定した。
[01 14] 結晶相情報としては、 芯材粒子八に関しては、 空間群 _ 3 (〇 「 I
9 I 1^ の立方晶に帰属され、 8 8サイ トに 1_ 1、 1 6 ¢1 サイ トに IV! n、 金属元素 IV! 1、 金属元素 IV! 2、 そして過剰な !_ 丨分、 3 2 6 サイ トに〇が占有されていると仮定し、 各サイ トの席占有率及び原子変位パ ラメ—夕巳を 1 とし、 観測強度と計算強度の一致の程度を表す 、 3が 収束するまで繰り返し計算を行った。
—方、 芯材粒子巳に関しては、 空間群 _ 3〇1の六方晶に帰属され、 3 3 サイ トに 1_ 丨、 3匕サイ トに 1\1 丨、 〇〇、 IV! IV!元素そして過剰な 1_ 丨分 、 6〇サイ トに〇が占有されていると仮定し、 3 3、 3匕、 6〇サイ トの席 占有率及び原子変位パラメータ巳を 1 とし、 観測強度と計算強度の一致の程 度を表す[¾ 、 3が収束するまで繰り返し計算を行った。
観測強度と計算強度が充分に一致していると いうことは、 得られたサンプ ルが空間群に限定されず、 スピネル型の結晶構造である信頼性が高いこ とを 意味している。 [0115] =X R D測定条件 1 =
線源: C u K a (線焦点) 、 波長: 1. 54 1 836 A
操作軸: 26/6,測定方法:連続、 計数単位: c p s
開始角度 = 1 5. 0 ° 、 終了角度 = 1 20. 0 ° 、 積算回数: 1回 サンプリング幅: 0. 01 ° 、 スキヤンスピード: 1. 0 ° /m i n 電圧: 40 k V、 電流: 40mA
発散スリッ ト : 0. 2 mm、 発散縦制限スリッ ト : 1 0mm
散乱スリッ ト :開放、 受光スリッ ト :開放
オフセッ ト角度: 0 °
ゴニオメーター半径: 285 mm、 光学系:集中法
アタッチメント : A S C-48
スリッ ト : D/t eX U l t r a用スリッ ト
検出器: D/t e X U l t r a
インシデントモノクロ : C B 0
N i -K/Sフイルター:無
回転速度: 50 r p m
[0116] (結晶子サイズ)
結晶子サイズを求めるための X線回折バターンの測定は、 C u _Ka線を 用いた X線回折装置 (ブルカー ·エイエックスエス株式会社製 D 8 ADV ANCE) を使用し、 下記測定条件 2で測定を行った。
回折角 20= 1 0° 以上 1 20° 以下の範囲より得られた X線回折バター ンのピークについて解析ソフトウェア (製品名 「T o p a s Ve r s i o n 3」 ) を用いて解析することにより、 サンプルの結晶子サイズ及び歪みを 求めた。
[0117] 結晶構造は、 芯材粒子 Aに関しては、 空間群 F d _3m (O r i g i n C h o i c e 2) の立方晶に帰属され、 その 8 aサイ トに L iが存在し、 1 6 dサイ トにMn、 金属元素 M 1、 金属元素 M2、 過剰な L i分が存在し、
32eサイ トを〇が占有していると仮定し、 パラメータ B e q.を 1と固定し、 32 eサイ トの 0の分率座標と席占有率を変数として、 観測強度と計算強度 の一致の程度を表す指標 Rw p< 1 0. 0、 GO F<2. 8を目安に収束す るまで繰り返し計算を行った。
—方、 芯材粒子 Bに関しては、 空間群 R— 3 m (O r i g i n C h o i c e 2) の六方晶に帰属され、 3 aサイ トに L i、 3 bサイ トに N i、 C〇 、 Mn、 M元素そして過剰な L i分、 6 cサイ トに〇が占有されていると仮 定し、 3 a、 3 bサイ トの席占有率及び原子変位パラメータ Bを 1、 6 cサ イ トの分率座標と席占有率を可変とし、 観測強度と計算強度の一致の程度を 表す Rw p、 GO Fが収束するまで繰り返し計算を行った。
なお、 結晶子サイズはガウス関数を用いて解析を行 い算出した。
[0118] =XRD測定条件 2 =
線源: C u K a、 操作軸: 26/6, 測定方法:連続、 計数単位: c p s 開始角度: 1 0 ° 、 終了角度 = 1 20 °
D e t e c t o r : PS D
D e t e c t o r T y p e : VANT EC— 1
H i g h Vo l t a g e : 5585 V
D i s c r . L owe r L e v e l : 0. 25 V
D i s c r. W i n d ow W i d t h : 0. 1 5 V
G r i d L owe r L e v e l : 0. 075 V
G r i d W i n d ow W i d t h : 0. 524V
F l o o d F i e l d Co r r e c t i o n : D i s a b l e d
P r i m a r y r a d i u s : 250mm
S e c o n d a r y r a d i u s : 250mm
R e c e i v i n g S l i t W i d t h : 0. 1 436626 mm
D i v e r g e n c e S I i t : 0. 3 °
F i I ame n t L e n g t h : 1 2mm
S am p l e L e n g t h : 25 mm
R e c i e v i n g S I i t L e n g t h : 1 2mm P r i m a r y S o l I e r s : 2. 623
S e c o n d a r y S o l I e r s : 2. 623°
L o r e n t z i a n, 1 /Co s : 0 004933548 T h 電圧: 40 k V、 電流: 35 m A
[0119] <固体型リチウムニ次電池の作製と評価>
実施例及び比較例で作製した正極活物質と固 体電解質とを用いて正極合剤 を作製し、 固体型リチウムニ次電池 (固体 G r/正極活物質セル) を作製し て、 電池特性評価を行った。
[0120] (材料)
正極活物質として実施例及び比較例で作製し たものを用い、 負極活物質と してグラフアイ ト (G r) 粉末を用い、 固体電解質粉末としてアルジロダイ 卜型構造を持つ硫化物固体電解質を用いた。
正極合剤粉末は、 実施例及び比較例で作製した正極活物質、 固体電解質粉 末及び導電材 (力ーボン系材料) 粉末を 60質量% : 30質量% : 1 0質量 %の割合で乳鉢混合することで調整した。
負極合剤粉末は、 グラフアイ ト (G r) 粉末と固体電解質粉末を 50質量 % : 50質量%の割合で乳鉢混合することで調整し 。
[0121] (固体型リチウムニ次電池の作製)
正極合剤粉末 (サンプル) 1 3 m gを密閉型セルの絶縁筒内 (09 mm) に充填して、 368M P aで一軸成型することで正極合剤粉末ペレッ トを作 製した。 得られた正極合剤粉末ペレッ トを密閉型セルの絶縁筒内 (ø 1 0.
5 mm) に移し、 正極合剤粉末ペレッ ト上に固体電解質粉末 5 Om gを充填 した。
次に、 正極合剤粉末ペレッ トとともに、 固体電解質粉末を 1 84 M P aで —軸成型した。 更に、 前記固体電解質の上に 1 〇m gの負極合剤粉末を充填 し、 55 1 MP aで一軸成型し、 加圧ネジで締め込み、 正極層、 負極層、 及 び固体電解質層を備えた固体電池 (固体型リチウムニ次電池) を作製した。
[0122] (電池特性評価) \¥0 2020/175506 39 卩(:170? 2020 /007578
実施例 1〜 4の固体電池については、 1サイクル目に充電終止電圧 5 . 0 Vまで〇. 1 〇で定電流充電を行った。 その後、 5 . 〇 で電流値が 0 . 0 1 〇になるまで定電圧充電を行った。 5 . 0 Vに到達するまで定電流充電で 得られた容量を〇〇容量とした。 〇〇容量を 1サイクル目の全充電容量で除 した値に 1 0 0を乗じた値を充電特性とした。 比較例 1の充電特性を実施例 1〜 4の充電特性から引いた値を、 比較例 1の充電特性で除した値に 1 0 0 を乗じ、 それによって得られた値を充電特性改善指数 とし、 表 1 に記載した 。 前記充電特性改善指数は、 充電時におけるリチウムイオンの移動性 (脱離 性) の改善率を示しており、 当該充電特性改善指数により、 急速充電につい て評価することができる。 実施例 5〜 7の固体電池については、 1サイクル 目に充電終止電圧 4 . 5 Vまで〇. 3〇で定電流充電を行った。 その後、 4 . 5 Vで電流値が〇. 0 1 〇になるまで定電圧充電を行った。 比較例 2の充 電特性に対して実施例 1〜 4と同様の方法で実施例 5〜 7の充電特性改善指 数を算出し、 表 1 に記載した。
[0123]
〇 2020/175506 40 卩(:170? 2020 /007578
[表 1 ]
[0124] 表 1 に示す結果から明らかなとおり、 各実施例で得られた正極活物質を用 いた固体電池は、 比較例よりも充電特性が良好であり、 急速充電に適したも のであることが判る。 \¥0 2020/175506 41 卩(:170? 2020 /007578
なお、 図 3に、 実施例 3の正極活物質についての X八 3測定によって得 られた動径分布関数を示す。
産業上の利用可能性
[0125] 以上、 詳述したとおり、 本発明によれば、 充電時におけるリチウムイオン の脱離性が改善された活物質が提供される。 したがって本発明の活物質を用 いることで、 固体電池の急速充電が可能となる。