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Title:
ACTUATOR ELEMENT UTILIZING CARBON NANOTUBE ELECTRODE WITH ADDED AUXILIARY CONDUCTING AGENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/157491
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is the creation of an actuator that operates stably with high generating power in a broader frequency band. Provided is an electrically conductive thin film configured from a polymer gel comprising an auxiliary conducting agent, carbon nanotubes, an ionic liquid and a polymer.

Inventors:
SUGINO TAKUSHI (JP)
TAKEUCHI ICHIROH (JP)
ASAKA KINJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/061536
Publication Date:
December 30, 2009
Filing Date:
June 24, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NAT INST OF ADVANCED IND SCIEN (JP)
SUGINO TAKUSHI (JP)
TAKEUCHI ICHIROH (JP)
ASAKA KINJI (JP)
International Classes:
H01B5/02; B81B3/00; C01B31/02; H01B1/18; H01B5/14; H02N11/00
Domestic Patent References:
WO2007088746A12007-08-09
WO2009054273A12009-04-30
Foreign References:
JP2008034268A2008-02-14
JP2001356568A2001-12-26
JP2007327058A2007-12-20
JP2008148452A2008-06-26
JP2007126624A2007-05-24
JP2005220316A2005-08-18
Attorney, Agent or Firm:
SAEGUSA & PARTNERS (JP)
Patent business corporation 3 Edakuni [Hajime] patent firm (JP)
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Claims:
導電補助剤、カーボンナノチューブ、イオン液体およびポリマーを含む高分子ゲルから構成される導電性薄膜。
導電補助剤が導電性高分子、炭素粒子、メソポーラス無機材料および金属酸化物からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1に記載の導電性薄膜。
請求項1または2に記載の1又は2以上の導電性薄膜と、イオン液体およびポリマーから構成される1又は2以上の電解質膜を積層してなる積層体。
請求項3の積層体からなるアクチュエータ素子。
イオン液体およびポリマーから構成される電解質膜の表面に、請求項1または2に記載の導電性薄膜を電極とする導電性薄膜層が互いに絶縁状態で少なくとも2個形成され、当該導電性薄膜層に電位差を与えることにより変形可能に構成されている請求項4に記載のアクチュエータ素子。
Description:
導電補助剤を添加したカーボン ノチューブ電極を用いたアクチュエータ素

 本発明は、導電性薄膜を有する導電体及 アクチュエータ素子に関する。ここでアク ュエータ素子は、電気化学反応や電気二重 の充放電などの電気化学プロセスを駆動力 するアクチュエータ素子である。

 空中、あるいは真空中で作動可能なアク ュエータ素子として、カーボンナノチュー とイオン液体とのゲルを導電性の伸縮性の る活性層として用いるアクチュエータが提 されている(特許文献1)。

 従来の素子の構造は、伸縮性のある活性 としてカーボンナノチューブとイオン液体 のゲルを用い、イオン液体ゲルを電解質層 して電極層でサンドイッチ構造にしたもの ある。アクチュエータの性能は主に、伸縮 、応答速度、発生力の3つのパラメータによ り評価されるが、この3つのパラメータを同 に改善あるいは進歩させることは難しい。 えば、カーボンナノチューブとイオン液体 ルからなるアクチュエータ素子は膜の導電 が良いものほどアクチュエータ応答が良い 考えられるが、導電性を上げるためカーボ ナノチューブを高濃度に添加すると膜自身 固くなり、変形応答が悪くなる。一方、イ ン液体の濃度を上げることにより、イオン 電性を向上させることが出来るが、入れす ると素子自体が柔らかくなり、発生力が減 してしまう。このように、3つのパラメータ うち、どれかを改善しようとすると、残り パラメータの一つもしくは二つのパラメー が犠牲になってしまうことが多い。

特開2005-176428

WO2007/078005

WO2006/011655

Don N. Futaba, Kenji Hata, Takeo Yamada, Tatsuk i Hiraoka, Yuhei Yamamizu, Yozo Kakudate, Osamu Tanai ke, Hiroaki Hatori, Motoo Yumura and Sumio Iijima, N ature Materials, Vol.5, 987 (2006). Kenji Hata et al, Water-Assisted Highly Efficien t Synthesis of Impurity-Free Single-Walled Carbon Nano tubes, SCIENCE, 2004.11.19, vol.306, p.1362-1364

 本発明は、アクチュエータ素子の更なる 機能化を目指して、高発生力、より広い周 数帯域で安定に作動するアクチュエータの 出を目的とする。

 本発明者は上記課題に鑑み検討を重ねた 果、これまで開発してきたアクチュエータ 子に導電性を補助する添加物を添加するこ により、伸縮性能および発生力ともに、大 く向上したアクチュエータ素子を作製する とに成功した。また、添加物量を最適化す ことにより応答速度も大きく改善させるこ に成功した。

 本発明は、以下の導電性薄膜、積層体お びアクチュエータ素子を提供するものであ 。

 1.導電補助剤、カーボンナノチューブ、 オン液体およびポリマーを含む高分子ゲル ら構成される導電性薄膜。

 2.導電補助剤が導電性高分子、炭素粒子 メソポーラス無機材料および金属酸化物か なる群から選択される少なくとも一種であ 、項1に記載の導電性薄膜。

 3.項1または2に記載の1又は2以上の導電性 膜と、イオン液体およびポリマーから構成 れる1又は2以上の電解質膜を積層してなる 層体。

 4.項3の積層体からなるアクチュエータ素 。

 5.イオン液体およびポリマーから構成さ る電解質膜の表面に、項1または2に記載の導 電性薄膜を電極とする導電性薄膜層が互いに 絶縁状態で少なくとも2個形成され、当該導 性薄膜層に電位差を与えることにより変形 能に構成されている項4に記載のアクチュエ タ素子。

 本発明によれば、導電補助剤を使用する とで、伸縮率および発生力が大きく向上し これにより高発生力応答が可能なアクチュ ータ素子を提供することができる。さらに 添加する導電補助剤の量を最適化すること より、伸縮応答の速度を改善できる。

本発明の実施例でアクチュエータ素子 位評価法に用いたレーザ変位計による評価 を示す。 図2(A)は、本発明のアクチュエータ素子 (3層構造)の一例の構成の概略を示す図であり 、図2(B)は、本発明のアクチュエータ素子(5層 構造)の一例の構成の概略を示す図である。 本発明のアクチュエータ素子の作動原 を示す図である。 本発明のアクチュエータ素子の他の例 概略を示す図である。 ポリアニリンを含む実施例1のアクチュ エータの伸縮率の周波数依存性 (矩形波)。± 2.0V@200~5mHz。 ポリアニリンを含む実施例1のアクチュ エータのV-I-D応答(±2.0V@0.1Hz)。伸縮率=0.72%;char ge量=+65mC, -69mC。 MCM41を含む実施例2のアクチュエータの 縮率の周波数依存性 (矩形波)。±2.0V@200~5mHz 。 MCM-41を含む実施例2のアクチュエータの V-I-D応答(±2.0V@0.1Hz)。伸縮率=0.59%;charge量=+23mC,  -22mC。 MCM-41を含む実施例3のアクチュエータの 伸縮率の周波数依存性 (矩形波)。±2.0V@200~5mH z。 MCM-41を含む実施例3のアクチュエータ V-I-D応答(±2.0V@0.1Hz)。伸縮率=0.59%;charge量=+37mC , -36mC。 導電補助剤を用いない比較例1のアク ュエータの伸縮率の周波数依存性(矩形波)。 ±2.0V@200~5mHz。 導電補助剤を用いない比較例1のアク ュエータのV-I-D応答(±2.0V@0.1Hz)。伸縮率=0.49%; charge量=+28mC, -28mC。 CNT,CBのみを用いた場合のV-I-D比較 CNT/CB混合系の伸縮率比較(周波数変化) CNT/CB混合系の伸縮率比較(周波数:0.005Hz ) ポリアニリンを含む実施例1及び7~10な びにポリアニリンを含まない比較例1のアク チュエータの伸縮率の周波数依存性 (矩形波 )。±2.0V@200~5mHz。 酸化ルテニウムを含む実施例11及び酸 ルテニウムを含まない比較例3のアクチュエ ータの変位の電圧依存性 (矩形波)。±0.5~3.0V@ 0.1Hz。

 本発明において、アクチュエータ素子の 極層に使用する導電性薄膜には、カーボン ノチューブ、ポリマー、イオン液体と導電 助剤が使用される。

 本発明に用いられるイオン液体(ionic liqui d)とは、常温溶融塩または単に溶融塩などと 称されるものであり、常温(室温)を含む幅 い温度域で溶融状態を呈する塩であり、例 ば0℃、好ましくは-20℃、さらに好ましくは- 40℃で溶融状態を呈する塩である。また、本 明で使用するイオン液体はイオン導電性が いものが好ましい。

 本発明においては、各種公知のイオン液体 使用することができるが、常温(室温)また 常温に近い温度において液体状態を呈する 定なものが好ましい。本発明において用い れる好適なイオン液体としては、下記の一 式(I)~(IV)で表わされるカチオン(好ましくは イミダゾリウムイオン、第4級アンモニウム オン)と、アニオン(X - )より成るものが挙げられる。

 上記の式(I)~(IV)において、Rは直鎖又は分枝 有するC 1 ~C 12 アルキル基またはエーテル結合を含み炭素と 酸素の合計数が3~12の直鎖又は分枝を有する ルキル基を示し、式(I)においてR 1 は直鎖又は分枝を有するC 1 ~C 4 アルキル基または水素原子を示す。式(I)にお いて、RとR 1 は同一ではないことが好ましい。式(III)およ (IV)において、xはそれぞれ1~4の整数である

 直鎖又は分枝を有するC 1 ~C 12 アルキル基としては、メチル、エチル、n-プ ピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチ 、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシ 、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、 ンデシル、ドデシルなどの基が挙げられる 炭素数は好ましくは1~8,より好ましくは1~6で る。

 直鎖又は分枝を有するC 1 ~C 4 アルキル基としては、メチル、エチル、n-プ ピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチ 、sec-ブチル、t-ブチルが挙げられる。

 エーテル結合を含み炭素と酸素の合計数が3 ~12の直鎖又は分枝を有するアルキル基として は、CH 2 OCH 3 、(CH 2 ) p (OCH 2 CH 2 ) q OR 2 (ここで、pは1~4の整数、qは1~4の整数、R 2 はCH 3 又はC 2 H 5 を表す)が挙げられる。

 アニオン(X - )としては、テトラフルオロホウ酸イオン(BF 4 - )、BF 3 CF 3 - 、BF 3 C 2 F 5 - 、BF 3 C 3 F 7 - 、BF 3 C 4 F 9 - 、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF 6 - )、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミ ド酸イオン((CF 3 SO 2 ) 2 N - )、過塩素酸イオン(ClO 4 - )、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭 素酸イオン(CF 3 SO 2 ) 3 C - )、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF 3 SO 3 - )、ジシアンアミドイオン((CN) 2 N - )、トリフルオロ酢酸イオン(CF 3 COO - )、有機カルボン酸イオンおよびハロゲンイ ンが例示できる。

 これらのうち、イオン液体としては、例え 、カチオンが1-エチル-3-メチルイミダゾリ ムイオン、[N(CH 3 )(CH 3 )(C 2 H 5 )(C 2 H 4 OC 2 H 4 OCH 3 )] + 等であり、アニオンがハロゲンイオン、テト ラフルオロホウ酸イオン等のものが、具体的 に挙げられる。なお、カチオン及び/又はア オンを2種以上使用し、融点をさらに下げる とも可能である。

 ただし、これらの組み合わせに限らず、イ ン液体であって、導電率が0.1Sm -1 以上のものであれば、使用可能である。

 本発明に用いられるカーボンナノチュー は、グラフェンシートが筒形に巻いた形状 ら成る炭素系材料であり、その周壁の構成 から単層ナノチューブ(SWNT)と多層ナノチュ ブ(MWNT)とに大別され、また、グラフェンシ トの構造の違いからカイラル(らせん)型、 グザグ型、およびアームチェア型に分けら るなど、各種のものが知られている。本発 には、このような所謂カーボンナノチュー と称されるものであれば、いずれのタイプ カーボンナノチューブも用いることができ 。

 実用に供されるカーボンナノチューブの 適な例として、一酸化炭素を原料として比 的量産が可能なHiPco(カーボン・ナノテクノ ジー・インコーポレーテッド社製)が挙げら れるが、勿論、これに限定されるものではな い。

 本発明に用いられるポリマーとしては、 リフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピ レン共重合体[PVDF(HFP)]などの水素原子を有す フッ素化オレフィンとパーフッ素化オレフ ンの共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVDF) どの水素原子を有するフッ素化オレフィン ホモポリマー、パーフルオロスルホン酸(Naf ion,ナフィオン)、ポリ-2-ヒドロキシエチルメ クリレート(poly-HEMA)、ポリメチルメタクリ ート(PMMA)などのポリ(メタ)アクリレート類、 ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリロニ リル(PAN)などが挙げられる。

 導電補助剤としては、例えば、導電性高 子、メソポーラス無機材料、金属酸化物、 素粒子、金微粒子などが挙げられる。

 導電補助剤の添加により電極の電子導電 の向上、および、CNTとポリマーが形成する 分子の網の目の充填化、さらに発生圧力の 上が期待できる。

 導電性高分子としては、例えば、ポリアセ レン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポ ピロール、ポリフルオレン、ポリフェニレ 、ポリフェニレンサルファイド、ポリ(1,6- プタジイン)、ポリビフェニレン(ポリパラフ ェニレン)、ポリパラフェニレンスルフィド ポリフェニルアセチレン、ポリ(2,5-チエニレ ン)、ポリインドール、ポリ-2,5-ジアミノアン トラキノン、ポリ(o-フェニレンジアミン)、 リ(キノリニウム)塩、ポリ(イソキノリニウ )塩、ポリピリジン、ポリキノキサリン、ポ フェニルキノキサリン等を挙げることがで る。これらの導電性ポリマー は、種々の 換基を有していてもよい。このような置換 の具体例として、例えば、直鎖又は分枝を するC 1 ~C 12 アルキル基、水酸基、直鎖又は分枝を有する C 1 ~C 12 アルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、 スルホン酸基、ハロゲン基、ニトロ基、シア ノ基、直鎖又は分枝を有するC 1 ~C 12 アルキルスルホン酸基、ジ(直鎖又は分枝を するC 1 ~C 4 アルキル)アミノ基等を挙げることができる

 導電性高分子を用いた場合、伸縮率が大 く向上するだけでなく、発生力も高いため 好ましい。特に、その効果は低周波数域で 著であるが、添加量を調整すると1Hz程度の 波数でも、導電性高分子を用いない場合に べ、伸縮率、発生力とも向上させることが 能である。

 メソポーラス無機材料は、一次元細孔が 則的に配列した構造を有するメソポーラス 機材料である。「一次元細孔が規則的に配 した構造」とは、均一な孔径を有し、一次 細孔が規則的に配列された構造であれば特 限定されることはない。規則的に配列され とは、細孔が一軸配向性を有して整列して ることを意味する。均一な孔径とは、各細 の孔径が一定の範囲内であることをいう。 径の大きさは適宜設定し得るが、通常1~30nm 好ましくは1.5~15nmである。細孔の大きさは 界面活性剤を変えることにより作り分ける とができる。一次元細孔が規則的に配列し 構造としては、具体的には、ヘキサゴナル 造、オルソロンビック構造、モノクリニッ 構造が挙げられる。

 このようなメソポーラス無機材料は、規 的な細孔構造を形成し得る界面活性剤を鋳 として調製することができる。

 メソポーラスの無機材料としては、適宜 望のものを用いることができる。例えば、 リカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、 リカ-アルミナ、シリカ-チタニア、リン酸 ズ、リン酸ニオブ、リン酸アルミニウム、 ン酸チタン、ならびにそれらの酸化物、窒 物、硫化物、セレン化物、テルル化物又は 合酸化物、複合塩などを用いることができ 。これらのうち、特にシリカ等の含ケイ素 化物が耐熱性、耐薬品性、及び機械的特性 優れる点で好ましい。

 好ましいメソポーラス無機材料は、MCM-41で る。MCM-41は、CNTと同程度の空孔径(2.7nm)、比 表面積(~1000m 2 /g)を持つ規則構造体(ハニカム構造)であり、C NTの添加量を少なくでき、コスト的に有利で るばかりでなく、イオン液体を効率よく移 させる一次元チャンネルとしても機能でき 。理論に拘束されることを望まないが、本 明者は、メソポーラス無機材料はカチオン 効率的な吸着もしくは電極の鋳型に使用で ると考えている。

 金属酸化物としては、例えば、酸化チタン( TiO 2 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO 2 )、酸化アルミニウム(Al 2 O 3 )、酸化ルテニウム(RuO 2 )等を挙げることができる。

 炭素粒子としては、例えば、カーボンブ ック、ケッチェンブラック、アセチレンブ ック、人造黒鉛、炭素繊維、ファーネスブ ック、チャンネルブラック、ランプブラッ 、サーマルブラック等を挙げることができ 。

 炭素粒子を用いた場合、導電性高分子を いた場合と同様、伸縮率および発生力の大 な向上が見られる。また、適量の炭素粒子 用いることにより、より広い周波数域(200Hz~ 5mHz)で伸縮率および発生力の向上が見られる め、好ましい。

 これらの導電補助剤は、一種単独で、ま は二種以上を組み合わせて用いることがで る。

 アクチュエータ素子の電極層に使用され 導電性薄膜層は、カーボンナノチューブ、 オン液体、ポリマー及び導電補助剤から構 される。

 導電性薄膜層中のこれらの成分の好ましい 合割合は:
カーボンナノチューブ:
3~90重量%、好ましくは16.6~70重量%、より好ま くは20~50重量%;
イオン液体:
5~ 80重量%、好ましくは15~ 73.4重量%、より好 しくは20~69重量%;
ポリマー:
4~70重量%、好ましくは10~68.4重量%、より好ま くは11~64重量%;
である。

 導電補助剤は、カーボンナノチューブ、 オン液体及びポリマーの合計量100重量部に し3~90重量部、好ましくは4~65重量部配合さ る。

 本発明のアクチュエータ素子としては、 えば、電解質膜1を、その両側から、カーボ ンナノチューブとイオン液体とポリマーと導 電補助剤を含む導電性薄膜層(電極層)2,2で挟 だ3層構造のものが挙げられる(図2A) 。また 、電極の表面伝導性を増すために、電極層2,2 の外側にさらに導電層3,3が形成された5層構 のアクチュエータ素子であってもよい(図2B) 。

 電解質膜の表面に導電性薄膜層を形成し アクチュエータ素子を得るには、カーボン ノチューブ、イオン液体、ポリマーおよび 電補助剤を溶媒に分散した電極用ゲル溶液 イオン液体およびポリマーからなる電解質 ゲル溶液を交互にキャスト法により塗布、 燥、積層することにより行うか、もしくは 上記のようにキャスト、乾燥することによ 得た電解質膜の表面に、同様に別途、キャ ト、乾燥することにより得た導電性薄膜を 圧着することにより得ることが出来る。

 また、導電性薄膜層は例えば以下の様に て得ることもできる。導電補助剤を配合し カーボンナノチューブにイオン液体を染み ませる。あるいは、導電補助剤を配合した ーボンナノチューブにイオン液体とポリマ を溶媒に分散させたイオン液体ゲルの溶液 染み込ませる、あるいは、溶液中に導電補 剤を配合したカーボンナノチューブを浸し その後、溶媒を乾燥させることによって得 ことができる。電解質膜は、イオンゲル溶 をキャスト法により製膜し、溶媒を蒸発、 燥させることによって得ることができる。

 本発明では、導電補助剤、カーボンナノ ューブとイオン液体、必要に応じてさらに リマーを含む導電性薄膜層の調製において 各成分を均質に混合するのが重要である。 成分が均質混合された分散液を調製するた には、溶媒を用いるのが好ましく、例えば 水性溶媒と親水性溶媒の混合溶媒を使用す のが特に好ましい。

 親水性溶媒としては、エチレンカーボネ ト、プロピレンカーボネート、ジメチルカ ボネート、ジエチルカーボネート、メチル チルカーボネート、プロピレンカーボネー 、ブチレンカーボネートなどのカーボネー 類、テトラヒドロフランなどのエーテル類 アセトン、メタノール、エタノールなどの 素数1~3の低級アルコール、アセトニトリル が挙げられる。疎水性溶媒としては、4-メ ルペンタン-2-オンなどの炭素数5~10のケトン 、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロ ン化炭化水素類、トルエン、ベンゼン、キ レンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサン、 クロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水 類、N,N-ジメチルアセトアミド等が挙げられ る。

 本発明の導電性薄膜を製造するための分 液は、導電補助剤、イオン液体とカーボン ノチューブを混練してゲル化させ、その後 リマーと溶剤(例えば、イオン液体が親水性 の場合には、親水性溶媒と疎水性溶媒の混合 溶媒、イオン液体が疎水性の場合には、疎水 性溶媒)を加えて分散液を調製してもよく、 電補助剤、カーボンナノチューブ、イオン 体、ポリマー及び必要に応じて溶剤(例えば イオン液体が親水性の場合には、親水性溶 と疎水性溶媒の混合溶媒、イオン液体が疎 性の場合には、疎水性溶媒)を加え、ゲル化 のプロセスなしに分散液を調製してもよい。 その場合、各成分を混合するのに超音波によ る分散も有効である。

 いったんゲル化させた後に分散液を調製 る場合、混合溶媒の割合としては、親水性 媒:疎水性溶媒(重量比)=20:1~1:10であるのが好 ましく、2:1~1:5であるのがより好ましい。

 また、ゲル化のプロセスなしに分散液を 製する場合、親水性溶媒(PC)/疎水性溶媒(MP)= 1/100~20/100が好ましく、より好ましくは3/100~15/ 100である。単一溶媒を用いることもでき、そ の場合、N, N-ジメチルアセトアミドが好まし い。

 導電性薄膜層は、導電補助剤、カーボン ノチューブ、イオン液体及びポリマーを含 高分子ゲルから構成される。

 導電性薄膜層中の(導電補助剤+カーボン ノチューブ+イオン液体)と(ポリマー)の配合 (重量比)は、(導電補助剤+カーボンナノチュ ーブ+イオン液体):(ポリマー)=1:2~4:1であるの 好ましく、(導電補助剤+カーボンナノチュー ブ+イオン液体):(ポリマー)=1:1~3:1であるのが り好ましい。この配合の際には、親水性溶 と疎水性溶媒との混合溶媒を用いる。導電 助剤とカーボンナノチューブとイオン液体 混合して予めゲルを形成し、このゲルにポ マーと溶媒(好ましくは疎水性溶媒)を混合し て導電性薄膜調製用の分散液を得ることもで きる。この場合、(導電補助剤+カーボンナノ ューブ+イオン液体):(ポリマー)は、より好 しくは1:1~3:1である。

 なお、導電性薄膜層には溶媒(疎水性溶媒 と親水性溶媒)が若干含まれていてもよいが 通常の乾燥条件において除去可能な溶媒は きるだけ除去しておくのが好ましい。

 イオン伝導層を構成するゲル状組成物は ポリマーとイオン液体から構成される。好 しいイオン伝導層は、このゲル状組成物を る際の親水性イオン液体とポリマーの配合 (重量比)が、親水性イオン液体:ポリマー=1:4 ~4:1であるのが好ましく、親水性イオン液体: リマー=1:2~2:1であるのがより好ましい。こ 配合の際にも、上記と同様に、親水性溶媒 疎水性溶媒とを任意の割合で混合した溶媒 用いるのが好ましい。

 2つ以上の導電性薄膜層を分離するセパレ ーターの役割を果たすイオン伝導層は、ポリ マーを溶媒に溶解し、塗布、印刷、押し出し 、キャスト、射出などの常法に従い形成する ことができる。イオン伝導層は、実質的にポ リマーのみで形成してもよく、イオン液体を ポリマーに加えて形成してもよい。

 導電性薄膜層とイオン伝導層に使用する リマーは同一であっても異なっていてもよ が、両者は同一であるか、性質の類似した リマーであるのが、導電性薄膜層とイオン 導層の密着性を向上させるのに好ましい。

 電解質膜の厚さは、5~200μmであるのが好 しく、10~100μmであるのがより好ましい。導 性薄膜層の厚さは、10~500μmであるのが好ま く、50~300μmであるのがより好ましい。また 各層の製膜にあたっては、スピンコート、 刷、スプレー等も用いることができる。さ に、押し出し法、射出法等も用いることが きる。

 このようにして得られたアクチュエータ 子は、電極間(電極は導電性薄膜層に接続さ れている)に0.5~4Vの直流電圧を加えると、数 以内に素子長の0.05~1倍程度の変位を得るこ ができる。また、このアクチュエータ素子 、空気中あるいは真空中で、柔軟に作動す ことができる。

 このようなアクチュエータ素子の作動原 は、図3に示すように、電解質膜1の表面に 互に絶縁状態で形成された導電性薄膜層2,2 電位差がかかると、導電性薄膜層2,2内のカ ボンナノチューブ相とイオン液体相の界面 電気二重層が形成され、それによる界面応 によって、導電性薄膜層2,2が伸縮するとい ものである。図3に示すように、プラス極側 曲がるのは、量子化学的効果により、カー ンナノチューブがマイナス極側でより大き のびる効果があることと、現在よく用いら るイオン液体では、カチオン4のイオン半径 が大きく、その立体効果によりマイナス極側 がより大きくのびるからであると考えられる 。図3において、4はイオン液体のカチオンを し、5はイオン液体のアニオンを示す。

 上記の方法で得ることのできるアクチュ ータ素子によれば、カーボンナノチューブ イオン液体とのゲルの界面有効面積が極め 大きくなることから、界面電気二重層にお るインピーダンスが小さくなり、カーボン ノチューブの電気伸縮効果が有効に利用さ る効果に寄与する。また、機械的には、界 の接合の密着性が良好となり、素子の耐久 が大きくなる。その結果、空気中、真空中 、応答性がよく変位量の大きい、且つ耐久 のある素子を得ることができる。しかも、 造が簡単で、小型化が容易であり、小電力 作動することができる。さらに、カーボン ノチューブに導電性の添加剤を加えること より、電極膜の導電性および充填率が向上 、従来の同様の素子より、効率的に力の発 が起こる。

 本発明のアクチュエータ素子は、従来の ーボンナノチューブ、イオン液体と支持高 子からなるアクチュエータ素子(特許文献1) 比較して、伸縮性能および発生力が飛躍的 向上している。また、本発明のアクチュエ タ素子は、空気中、真空中で耐久性良く作 し、しかも低電圧で柔軟に作動することか 、安全性が必要な人と接するロボットのア チュエータ(例えば、ホームロボット、ペッ トロボット、アミューズメントロボットなど のパーソナルロボットのアクチュエータ)、 た、宇宙環境用、真空チェンバー内用、レ キュー用などの特殊環境下で働くロボット また、手術デバイスやマッスルスーツ、床 れ防止用などの医療、福祉用ロボット、ブ ーキ、さらにはマイクロマシーンなどのた のアクチュエータとして最適である。

 特に、純度の高い製品を得るために、真 環境下、超クリーンな環境下での材料製造 おいて、純度の高い製品を得るために、試 の運搬や位置決め等のためのアクチュエー の要求が高まっており、全く蒸発しないイ ン液体を用いた本発明のアクチュエータ素 は、汚染の心配のないアクチュエータとし 、真空環境下でのプロセス用アクチュエー として有効に用いることができる。

 なお、電解質膜表面への導電性薄膜層の 成は少なくとも2層必要であるが、図4に示 ように、平面状の電解質膜1の表面に多数の 電性薄膜層2を配置することにより、複雑な 動きをさせることも可能である。このような 素子により、蠕動運動による運搬や、マイク ロマニピュレータなどを実現可能である。ま た、本発明のアクチュエータ素子の形状は、 平面状とは限らず、任意の形状の素子が容易 に製造可能である。例えば、図4に示すもの 、径が1mm程度の電解質膜1のロッドの周囲に4 本の導電性薄膜層2を形成したものである。 の素子により、細管内に挿入できるような クチュエータが実現可能である。

 以下、本発明を実施例に基づき、より詳 に説明するが、本発明がこれら実施例に限 されないことは言うまでもない。

 なお、本実施例において、アクチュエー 素子変位評価は、以下のようにして行った

 アクチュエータ素子変位評価法:図1に示 様にレーザ変位計を用い、素子を1mmx10mmの短 冊状に切り取り、電圧を加えた時の5mmの位置 の変位を測定した。

 実施例および比較例で用いたイオン液体(IL) は、エチルメチルイミダゾリウムテトラフル オロボレート(EMIBF 4 )である。

 実施例および比較例で用いたカーボンナ チューブは、高純度単層カーボンナノチュ ブ(カーボン・ナノテクノロジー・インコー ポレーテッド社製「HiPco」)(以下、SWNTともい )である。

 実施例および比較例で用いたポリマーは ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロ ピレン共重合体[PVDF(HFP);商品名kynar2801](III)で る。

 実施例および比較例で用いた溶媒はN,N-ジ メチルアセトアミド(DMAC)である。

 実施例で用いたポリアニリンは、20wt% pol yaniline on carbon black (Aldrich社製、導電率:40  S/cm)である。

 実施例で用いたポリメソポーラスシリカは MCM-41:pore size=2.7nm, pore volume=0.98cm 3 /g、BET surface area= ~1000m 2 /gである。

 実施例で用いたカーボンブラックは電気 学工業(株)製のデンカブラック(粒状品)であ る。

 調製例1
 [導電性薄膜層形成用分散液の調製]
 DMAC溶媒中に、カーボンナノチューブ(SWNT)と イオン液体(IL)、ポリマー[粉末状PVDF(HFP)]、導 電補助剤(ポリアニリン、MCM-41、炭素粒子又 RuO 2 )を分散させて、マグネチックスターラーに 撹拌、その後、超音波による分散を行うこ により導電性薄膜層形成用分散液を調製す 。

 [電解質膜形成用溶液の調製]
 イオン液体(IL)とポリマー[粉末状PVDF(HFP)]を 上記導電性薄膜層形成用分散液の調製と同 にして、溶媒に溶解させることにより、電 質膜形成用溶液を調製する。ここで溶媒は 4-メチルペンタン-2-オンとプロピレンカー ネートとの混合溶媒を用いた。

 [アクチュエータ素子の製造]
 導電性薄膜、電解質膜は、それぞれ上記の うに調製した分散液および溶液を、別々に ャストし、室温で一昼夜溶媒を乾燥させ、 いで、真空乾燥を行うことにより得る。得 れた導電性薄膜2枚の間に、電解質膜を1枚 んで熱圧着することにより3層構造のアクチ エータ素子を得る。

 [アクチュエータ素子の評価方法1]
 製造したアクチュエータ素子の変位応答性 評価は、図1に示した装置を用いて行った。 アクチュエータ素子を、幅1mm×長さ10mmの短冊 状に切断し、端3mmの部分を電極付きホルダー でつかんで、空気中で電圧を加えた。レーザ 変位計を用いて、固定端から5mmの位置での変 位を測定して行った。電圧の周波数を200Hz~5mH zで変化させて変位を調べた。

 伸縮率(ε(%))は、アクチュエータの素子長(L( mm))、素子厚(W(mm))、変位(D(mm))から下記式によ り算出した(図1参照):
 ε(%)=2DW/(L 2 +D 2 )×100     
 [アクチュエータ素子の評価方法2]
 製造したアクチュエータ素子の変位応答性 評価は、図1に示した装置を用いて行った。 アクチュエータ素子を、幅1mm×長さ15mmの短冊 状に切断し、端3mmの部分を電極付きホルダー でつかみ、空気中で、周波数0.1Hzで電圧を加 た。レーザ変位計を用いて、固定端から10mm の位置での変位を測定して行った。電圧を±0 .5~3.0Vで変化させて変位を調べた。

 実施例および比較例で用いた溶媒はN,N-ジ メチルアセトアミド(DMAC)である。

 実施例1
 以下の比率で、カーボンナノチューブ(CNT) イオン液体(EMIBF 4 )、ポリマー(kynar2801)及び導電添加剤(ポリア リン;poly-An)を使用して、導電性薄膜層(電極) -電解質膜-導電性薄膜層(電極)からなる、3層 造のフィルム状のアクチュエータ素子を製 した。
電極:CNT/kynar2801/EMIBF 4 /poly-An=50.3mg/80.5mg/120.2mg/50.4mg
電解質:kynar2801/EMIBF 4 =101.8mg/114.3mg。

 実施例2
 以下の比率で、カーボンナノチューブ(CNT) イオン液体(EMIBF 4 )、ポリマー(kynar2801)及び導電添加剤(MCM-41)を 用して、導電性薄膜層(電極)-電解質膜-導電 性薄膜層(電極)からなる、3層構造のフィルム 状のアクチュエータ素子を製造した。
電極:CNT/kynar2801/EMIBF 4 /MCM-41=25.4mg/80.0mg/119.8mg/25.4mg
電解質:kynar2801/EMIBF 4 =101.8mg/114.3mg。

 実施例3
 以下の比率で、カーボンナノチューブ(CNT) イオン液体(EMIBF 4 )、ポリマー(kynar2801)及び導電添加剤(MCM-41)を 用して、導電性薄膜層(電極)-電解質膜-導電 性薄膜層(電極)からなる、3層構造のフィルム 状のアクチュエータ素子を製造した。
電極:CNT/kynar2801/EMIBF 4 /MCM-41=50.1mg/80.0mg/140.8mg/50.1mg
電解質:kynar2801/EMIBF 4 =101.8mg/114.3mg。

 実施例4
 以下の比率で、カーボンナノチューブ(CNT) イオン液体(EMIBF 4 )、ポリマー(kynar2801)及び導電添加剤(カーボ ブラック:CB)を使用して、導電性薄膜層(電極 )-電解質膜-導電性薄膜層(電極)からなる、3層 構造のフィルム状のアクチュエータ素子を製 造した。
電極:CNT/CB/kynar2801/EMIBF 4 =50.3mg/8.2mg/80.3mg/120.7mg
電解質:kynar2801/EMIBF 4 =200.0mg/202.8mg。

 実施例5
 以下の比率で、カーボンナノチューブ(CNT) イオン液体(EMIBF 4 )、ポリマー(kynar2801)及び導電添加剤(カーボ ブラック:CB)を使用して、導電性薄膜層(電極 )-電解質膜-導電性薄膜層(電極)からなる、3層 構造のフィルム状のアクチュエータ素子を製 造した。
電極:CNT/CB/kynar2801/EMIBF 4 =50.3mg/24.1mg/80.3mg/120.6mg
電解質:kynar2801/EMIBF 4 =200.0mg/202.8mg。

 実施例6
 以下の比率で、カーボンナノチューブ(CNT) イオン液体(EMIBF 4 )、ポリマー(kynar2801)及び導電添加剤(カーボ ブラック:CB)を使用して、導電性薄膜層(電極 )-電解質膜-導電性薄膜層(電極)からなる、3層 構造のフィルム状のアクチュエータ素子を製 造した。
電極:CNT/CB/kynar2801/EMIBF 4 =50.3mg/40.3mg/80.3mg/120.6mg
電解質:kynar2801/EMIBF 4 =200.0mg/202.8mg。

 実施例7
 以下の比率で、カーボンナノチューブ(CNT) イオン液体(EMIBF 4 )、ポリマー(kynar2801)及び導電添加剤(ポリア リン;poly-An)を使用して、導電性薄膜層(電極) -電解質膜-導電性薄膜層(電極)からなる、3層 造のフィルム状のアクチュエータ素子を製 した。
電極:CNT/kynar2801/EMIBF 4 /poly-An=50.7mg/80.0mg/121.0mg/10.4mg
電解質:kynar2801/EMIBF 4 =200.6mg/201.3mg。

 実施例8
 以下の比率で、カーボンナノチューブ(CNT) イオン液体(EMIBF 4 )、ポリマー(kynar2801)及び導電添加剤(ポリア リン;poly-An)を使用して、導電性薄膜層(電極) -電解質膜-導電性薄膜層(電極)からなる、3層 造のフィルム状のアクチュエータ素子を製 した。
電極:CNT/kynar2801/EMIBF 4 /poly-An=50.3mg/80.0mg/120.8mg/20.3mg
電解質:kynar2801/EMIBF 4 =200.6mg/201.3mg。

 実施例9
 以下の比率で、カーボンナノチューブ(CNT) イオン液体(EMIBF 4 )、ポリマー(kynar2801)及び導電添加剤(ポリア リン;poly-An)を使用して、導電性薄膜層(電極) -電解質膜-導電性薄膜層(電極)からなる、3層 造のフィルム状のアクチュエータ素子を製 した。
電極:CNT/kynar2801/EMIBF 4 /poly-An=50.2mg/80.8mg/121.4mg/30.4mg
電解質:kynar2801/EMIBF 4 =200.6mg/201.3mg。

 実施例10
 以下の比率で、カーボンナノチューブ(CNT) イオン液体(EMIBF 4 )、ポリマー(kynar2801)及び導電添加剤(ポリア リン;poly-An)を使用して、導電性薄膜層(電極) -電解質膜-導電性薄膜層(電極)からなる、3層 造のフィルム状のアクチュエータ素子を製 した。
電極:CNT/kynar2801/EMIBF 4 /poly-An=50.7mg/80.6mg/120.1mg/40.0mg
電解質:kynar2801/EMIBF 4 =200.6mg/201.3mg。

 実施例11
 以下の比率で、カーボンナノチューブ(CNT) イオン液体(EMIBF 4 )、ポリマー(kynar2801)及び導電添加剤(RuO 2 )を使用して、導電性薄膜層(電極)-電解質膜- 電性薄膜層(電極)からなる、3層構造のフィ ム状のアクチュエータ素子を製造した。
電極:CNT/kynar2801/EMIBF 4 /RuO 2 =27.8mg/44.0mg/70.9mg/20.0mg
電解質:kynar2801/EMIBF 4 =101.8mg/114.3mg。

 比較例1
 以下の比率で、カーボンナノチューブ(CNT) イオン液体(EMIBF 4 )、ポリマー(kynar2801)を使用して、導電性薄膜 層(電極)-電解質膜-導電性薄膜層(電極)からな る、3層構造のフィルム状のアクチュエータ 子を製造した。
電極:CNT/kynar2801/EMIBF 4 =50.2mg/80.6mg/121.7mg
電解質:kynar2801/EMIBF 4 =206.2mg/208.3mg。

 比較例2
 以下の比率で、カーボンブラック(CB)、イオ ン液体(EMIBF 4 )、ポリマー(kynar2801)を使用して、導電性薄膜 層(電極)-電解質膜-導電性薄膜層(電極)からな る、3層構造のフィルム状のアクチュエータ 子を製造した。
電極:CB/kynar2801/EMIBF 4 =50.4mg/80.3mg/121.2mg
電解質:kynar2801/EMIBF 4 =206.2mg/208.3mg。

 比較例3
 以下の比率で、カーボンナノチューブ(CNT) イオン液体(EMIBF 4 )、ポリマー(kynar2801)を使用して、導電性薄膜 層(電極)-電解質膜-導電性薄膜層(電極)からな る、3層構造のフィルム状のアクチュエータ 子を製造した。
電極:CNT/kynar2801/EMIBF 4 =22.2mg/36.0mg/56.7mg
電解質:kynar2801/EMIBF 4 =101.8mg/114.3mg。

 試験例1
 実施例1~6および比較例1~2で得られたアクチ エータ素子の電圧に対する応答性の評価を 上述したアクチュエータ素子の評価方法1に より行った。得られた結果を、図5~図15に示 。

 図5~図15の結果から、導電添加剤としてポ リアニリン、MCM-41を添加することにより、低 周波での変形応答が劇的に向上し(特にポリ ニリンの場合、図5)、最大変位が伸びて高周 波での応答が2~3倍向上し、さらにcharge量が少 なくなり(特に、MCM-41の場合)、省電力化が実 できることが明らかになった(図7,9)。

 また、カーボンブラックを電極に配合す ことで、伸縮率が最大で3倍程度向上するこ とが明らかになった。

 カーボンブラックを添加した系とポリア リン添加の系を比較して特徴的なことは、 ずれの場合も、添加することで伸縮率が3倍 近く向上することであるが、ポリアニリンを 添加した場合は、印加電圧の周波数が速くな るにつれて劇的に伸縮率が減少し、0.1Hzより 周波数では無添加の場合(比較例1)に比べ、 縮率は小さくなってしまう。一方、カーボ ブラックを添加した場合、ポリアニリンの 合とは異なり、例えば、10Hzでも、無添加の 場合よりも3倍程度大きな伸縮率を示すこと 明らかになった(図14)。このことは、カーボ ブラックを添加した効果として、より広い 波数帯でアクチュエータの伸縮率が大きく 上することを意味している。

 試験例2
 試験例1で得られた最大伸縮率と別途測定し た導電性薄膜層のヤング率から変形時の発生 力を算出した。導電性薄膜層のヤング率はセ イコーインスツルメンツ社製のTMA/SS6000にて 定した。求められた発生力を表1に示す。表1 は、最大伸縮率(0.005Hz時)での発生力比較を示 す。導電補助剤としてポリアニリンを添加し た場合は導電補助剤無添加の場合(CNT(50))に比 べ、伸縮率が3倍近く向上するだけでなく、 生力も4倍以上向上することが明らかになっ 。一方、MCM-41を添加した場合、伸縮率はMCM- 41をCNTと同量余分に入れることにより1.6倍程 向上するものの、発生力は無添加の場合と じである。導電性薄膜層中のCNTの量を半減 、その減少分MCM-41を添加した場合(実施例2) 、伸縮率はCNT量を半減しても大きな差はな 、無添加時とほぼ同程度であるものの、発 力は半減することが分かった。

 また、導電補助剤としてカーボンブラッ (CB)を添加した場合は、カーボンブラックの みでは(比較例2)、伸縮率、発生力ともにCNTの みの場合に比べ大きく減少する。しかし、CNT にカーボンブラックを添加していくと、CNT(50 mg)に対しCBを20mg以上入れると、伸縮率が向上 するだけでなく、発生力が2倍以上大きくな ことが分かった。さらに、CBの添加量を40mg すると(実施例6)、伸縮率、発生力とも飛躍 に向上し、ポリアニリンを添加した場合と 程度の変形(伸縮率)および力(発生力)を示す とが明らかになった。また、図14で伸縮率 周波数変化をカーボンブラック無添加時(比 例1)の場合と比較すると、無添加時の0.1Hzで の伸縮率と同程度の伸縮率は、例えば、CBを4 0mg添加した場合(実施例6)では10Hzで達成され いる。すなわち、CBを40mg添加することによ 、同程度の伸縮率を達成するのに10倍速い応 答速度で変形することが可能となったと言え る。ここで用いたカーボンブラックは1000円/k g程度でカーボンナノチューブや他の導電補 剤に比べ非常に安価であるため、カーボン ラックを用いることにより、高伸縮、高発 力のアクチュエータをより低コストで提供 きる可能性を示していると言える。

 試験例3
 実施例1、7~10及び比較例1で得られたアクチ エータ素子の電圧に対する応答性の評価を 上述したアクチュエータ素子の評価方法1に より行った。得られた結果を、図16に示す。

 図16の結果から、導電添加剤としてポリ ニリンを10~50mg添加することにより、低周波 の伸縮率が大きく向上することが明らかに った。特に、最大伸縮率(0.005Hz時)はポリア リンを40mg添加した場合が最大になった。

 また、0.1~1Hzといった比較的高い周波数で は、実施例1及び7~10のうち、ポリアニリンを2 0mg添加した実施例8が最もよい応答を示した

 試験例4
 実施例1及び7~10で得られたアクチュエータ 子について、試験例3で得られた最大伸縮率 別途測定した導電性薄膜層のヤング率から 形時の発生力を算出した。導電性薄膜層の ング率はセイコーインスツルメンツ社製のT MA/SS6000にて測定した。求められた発生力を表 2に示す。表2は、最大伸縮率(0.005Hz時)での発 力比較を示す。導電補助剤としてポリアニ ンを10~50mg添加した場合は導電補助剤無添加 の場合(表1、CNT(50))に比べ、最大伸縮率及び 生力共に大幅に向上することが明らかにな た。

 試験例5
 実施例11および比較例3で得られたアクチュ ータ素子の電圧に対する応答性の評価を、 述したアクチュエータ素子の評価方法2によ り行った。得られた結果を、図17に示す。

 図17から、導電添加剤として酸化ルテニ ムを添加することにより、±1.5Vより大きな 圧を印加することにより、変形応答が劇的 向上することが分かる。

 1 電解質膜
 2 導電性薄膜層
 3 導電層
 4 イオン性液体のカチオン
 5 イオン性液体のアニオン