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Title:
ACTUATOR VOLTAGE CONTROL METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/105333
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS TO BE SOLVED] An actuator voltage control method in DC driving of a DC driving source is provided for making it possible to significantly improve an acceleration disturbance eliminating performance, so that the positioning precision of the actuator is also improved. [MEANS FOR SOLVING THE PROBLEMS] A voltage control method, which controls the voltage driving of a DC motor of an actuator by a controller and in which the actuator is expressed by a transfer function including an inductance of a coil in the DC motor, a resistor and a reverse motive force, includes a step for compensating gains of the inductance, the resistor and the reverse motive force; and a step for controlling the voltage driving source of the DC motor with a control signal to which the compensated gains are applied.

Inventors:
ONO HIROYUKI (JP)
HISANO TEIJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/053029
Publication Date:
September 04, 2008
Filing Date:
February 22, 2008
Export Citation:
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Assignee:
INT MFG & ENG SERVICES CO LTD (JP)
ONO HIROYUKI (JP)
HISANO TEIJI (JP)
International Classes:
H02P7/06; H02P29/00
Foreign References:
JPH06253569A1994-09-09
JPH09140175A1997-05-27
Attorney, Agent or Firm:
MIURA, Kunio et al. (1-4 Kojimachi 4-chome,Chiyoda-ku, Tokyo 83, JP)
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Claims:
アクチュエータのDCモータを電圧駆動する電圧源を制御器により制御する電圧制御方法であって、
 上記アクチュエータを、上記DCモータのコイルのインダクタンス、抵抗及び逆起電力を含む伝達関数で表して、この伝達関数により、上記インダクタンス、抵抗および逆起電力のゲインを補償する段階と、
 該補償したゲインをかけた制御信号により前記DCモータの電圧駆動源を制御する段階と、を含むことを特徴とするアクチュエータの電圧制御方法。
請求の範囲1記載のアクチュエータの電圧制御方法において、上記DCモータのインダクタンス、抵抗及び逆起電力を上記ゲインの補償を含めて最適化することを特徴とするアクチュエータの電圧制御方法。
請求の範囲1または2記載のアクチュエータの電圧制御方法において、上記DCモータの状態を検出する段階と、目標設定手段により設定された目標値と上記検出した状態信号との偏差を2階積分する段階と、この2階積分した偏差に、上記補償したゲインを加える段階を含むことを特徴とするアクチュエータの電圧制御方法。
請求の範囲3記載のアクチュエータの電圧制御方法において、上記DCモータの状態を検出する段階は、上記DCモータに流れる電流を検出する段階を含み、上記検出した電流値に基づいて上記コイルのインダクタンスと抵抗を推定し、上記各ゲインを修正しつつ適応制御するアクチュエータの電圧制御方法。
請求の範囲4記載のアクチュエータの電圧制御方法において、上記検出した電流からマイナーフィードバックを施して、見かけ上の上記コイルのインピーダンスを変化させる段階を含むアクチュエータの電圧制御方法。
請求の範囲1記載のアクチュエータの電圧制御方法において、上記伝達関数は、上記DCモータの電圧を制御する制御入力をu、DCモータの角度出力をx、角速度をv、DCモータに流れる電流をi、上記電圧駆動源と上記DCモータの状態を検出する状態検出器のゲインをまとめてgとおき、上記制御入力uから上記角度出力xへの伝達関数G(s)が下記式1で表されるアクチュエータの電圧制御方法。
 G(s)=x(s)/u(s)   =gk/[s(k 2 +JRs+JLs 2 )] ・・・式1
(ただし、RはDCモータの抵抗、Lはインダクタンス、kはトルク定数、Jは慣性モーメント、wはトルク外乱である。)
請求の範囲6記載のアクチュエータの電圧制御方法において、トルク外乱wに対する感度関数S(s)が下記式2で表されるアクチュエータの電圧制御方法。
 S(s)=(R+Ls)/[s(k 2 +JRs+JLs 2 )] ・・・式2
請求の範囲7記載のアクチュエータの電圧制御方法において、上記電圧源駆動の感度関数を(R+Ls)/[s(k 2 +JRs+JLs 2 )]、電流源駆動の感度関数を1/(Js 2 )としたときに、これらの比が下記式3で表され、式3を、ゲインをa、零点をq、極をp1、p2で下記式5に変形したときに、極p1、p2が複素極となる領域を使用するアクチュエータの電圧制御方法。
 Js(R+Ls)/(k 2 +JRs+JLs 2 )・・・式3
 as(s+q)/[(s+p1)(s+p2)] ・・・式5
請求の範囲7記載のアクチュエータの電圧制御方法において、電流関数i(s)が下記式7で表され、x、u、iの履歴からR、L、g、kを推定するアクチュエータの電圧制御方法。
 i(s)=(gu(s)-kv(s))/(R+sL)=(gu(s)-ksx(s))/(R+sL) ・・・式7
請求の範囲7記載のアクチュエータの電圧制御方法において、角度出力関数x(s)を下記式8で表して、x、i、の履歴と上記kの推定値からwとJを推定するアクチュエータの電圧制御方法。
 x(s)=(ki(s)+w(s))/(Js 2 )・・・式8
請求の範囲7記載のアクチュエータの電圧制御方法における上記式1の伝達関数G(s)において、制御関数に、DCモータに流れる電流iから制御入力uに戻るマイ
ナーフィードバックh(s)を加えて、DCモータ11のコイルインピーダンスを下記式9により設定したアクチュエータの電圧制御方法。
 R+sL-h(s) ・・・式9
請求の範囲11記載のアクチュエータの電圧制御方法において、h=Rの場合は、感度関数S(s)が下記式12で表されるアクチュエータの電圧制御方法。
 S(s)=1/(Js 2 +k 2 /L)・・・式12
請求の範囲11記載のアクチュエータの電圧制御方法において、h=R+sL1の場合は、感度関数S(s)が下記式13で表されるアクチュエータの電圧制御方法。
 S(s)=1/[Js 2 +k 2 /(L-L1)] ・・・式13
 (ただし、L1<Lである。)
請求の範囲11記載のアクチュエータの電圧制御方法において、h=-R1の場合は、感度関数S(s)が下記式15で表されるアクチュエータの電圧制御方法。
 S(s)=((R+R1)+Ls)/[s(k 2 +J(R+R1)s+JLs 2 )] ・・・式15
 (ただし、L1<Lである。)
Description:
アクチュエータの電圧制御方法

 本発明は、アクチュエータの制御、より 体的には、DC(直流)駆動源と位置または角度 センサ等を備えるアクチュエータを電圧源に て駆動する、アクチュエータの電圧制御方法 に関する。

 従来、DC駆動源であるDCモータは電流源で ドライブする方法が一般的であり、DCモータ 使った位置決め制御には、通常、電流源を 用した駆動回路が用いられている。電流とD Cモータが発生する出力(トルク)は略比例して おり、また出力とDCモータの出力可動部の位 は単純な2階積分の関係にあるので、モデル 化しやすく、制御系アルゴリズムが簡単だか らである。

 一方、電圧源でDCモータを駆動する方法も くから用いられてきた。電圧源によるDCモー タの駆動は、速度(回転速度)に比例した逆起 圧と印加電圧がバランスする点がDCモータ 速度となるため、定速度運動をさせたい場 などに、電流源駆動よりも有用である。し し従来の電圧源駆動では、DCモータのコイル の性質を厳密にモデル化していない、つまり 、DCモータのインダクタンスと抵抗、トルク 数(逆起電圧定数)を含めて最適化設計して なかった。そのため、DCモータ制御系のゲイ ンが非常に低く、精度や外乱抑制性能が限定 的になっている。例えば、玩具のDCモータを 池で駆動する場合などである。
 そこで、コイルの特性を考慮した電圧源駆 による制御方法が提案された(特許文献1)。

特開2002-237152号公報

 しかし、特許文献1記載の電圧源駆動によ る制御方法は、主要な目的が回路の簡略化( 流検出用の抵抗器が一つ減っている)にある め、熱などにより変化するコイルの特性を 償する方法、手段に関する記載や示唆がな 。しかも、もう一つの積分器の付加やマイ ーループに関する記載がなく、インダクタ ス、トルク定数等、DCモータの特性の最適 に関する記載も示唆もない。このため特許 献1の制御方法により得られる特性、性能は 電流源による駆動方法に比較して改善する とはなかった。したがってこの制御方法を 高精度な回転制御や位置制御が必要なDC駆 源、例えばVCM(VoiceCoilMotor)が用いられている ードディスクドライブのヘッドアクチュエ タの位置決め制御系には適用できなかった

 本発明は、かかる従来技術の課題を解決 るためになされたものであって、DC駆動源 DC電圧駆動において、加速度外乱除去性能の 大幅な改善により位置決め精度を向上させる アクチュエータの電圧制御方法を提供するこ とを目的とする。さらに本発明は、制御器内 部の二階積分により、ランプ状目標に対する ゼロ偏差追従を向上させ、高周波における動 作音を低減し、アナログ駆動系の非線形飽和 を回避できるアクチュエータの電圧制御方法 を提供することを目的とする。

 かかる課題を解決する本発明のアクチュ ータの電圧制御方法は、アクチュエータのD Cモータを電圧駆動する電圧源を制御器によ 制御する電圧制御方法であって、上記アク ュエータを、上記DCモータのコイルのインダ クタンス、抵抗及び逆起電力を含む伝達関数 で表して、この伝達関数により、上記インダ クタンス、抵抗および逆起電力のゲインを補 償する段階と、該補償したゲインをかけた制 御信号により前記DCモータの電圧駆動源を制 する段階とを含むことに特徴を有する。

 本発明のアクチュエータの電圧制御方法 おいては、上記DCモータのインダクタンス 抵抗及び逆起電力(パラメータ)を上記ゲイン の補償を含めて最適化する。

 実際的には、上記DCモータの状態を検出す 段階と、目標設定手段により設定された目 値と上記検出した状態信号との偏差を2階積 する段階と、この2階積分した偏差に、上記 補償したゲインを加える段階を含む。
 上記DCモータの状態を検出する段階は、上 DCモータに流れる電流を検出する段階を含み 、上記検出した電流値に基づいて上記コイル のインダクタンスと抵抗を推定し、上記各ゲ インを修正しつつ適応制御することが好まし い。
 さらに、上記検出した電流からマイナーフ ードバックを施して、見かけ上の上記コイ のインピーダンスを変化させる段階を含む とが好ましい。

 本発明のアクチュエータの電圧制御方法に いて、上記伝達関数は、上記DCモータの電 を制御する制御入力をu、DCモータの角度出 をx、角速度をv、DCモーターに流れる電流をi 、上記電圧駆動源と上記DCモータの状態を検 する状態検出器のゲインをまとめてgとおき 、上記制御入力uから上記角度出力xへの伝達 数G(s)を下記式1で表す。
 G(s)=x(s)/u(s)=gk/[s(k 2 +JRs+JLs 2 )] ・・・式1
(ただし、RはDCモータの抵抗、Lはインダクタ ス、kはトルク定数、Jは慣性モーメント、w トルク外乱である。)

 トルク外乱wに対する感度関数S(s)は、下記 2により表される。
 S(s)=(R+Ls)/[s(k 2 +JRs+JLs 2 )] ・・・式2

 さらに本発明のアクチュエータの電圧制御 法において、上記電圧源駆動の感度関数を( R+Ls)/[s(k 2 +JRs+JLs 2 )]、電流源駆動の感度関数を1/(Js 2 )としたときに、これらの比を下記式3で表し 式3を、ゲインをa、零点をq、極をp1、p2で下 記式5に変形したときに、極p1、p2が複素極と る領域を使用することが好ましい。
 Js(R+Ls)/(k 2 +JRs+JLs 2 )・・・式3
 as(s+q)/[(s+p1)(s+p2)] ・・・式5

 電流関数i(s)を下記式7で表して、x、u、iの 歴からR、L、g、kを推定する。
 i(s)=(gu(s)-kv(s))/(R+sL)=(gu(s)-ksx(s))/(R+sL) ・・・ 式7

 角度出力関数x(s)を下記式8で表して、x、i、 の履歴と上記kの推定値からwとJを推定する。
 x(s)=(ki(s)+w(s))/(Js 2 )・・・式8

 h=Rとした場合は、感度関数S(s)が下記式12で される。
 S(s)=1/(Js 2 +k 2 /L)・・・式12
 h=R+sL1とした場合は、感度関数S(s)が下記式13 で表される。
 S(s)=1/[Js 2 +k 2 /(L-L1)] ・・・式13
 (ただし、L1<Lである。)
 h=-R1とした場合は、感度関数S(s)が下記式15 表される。
 S(s)=((R+R1)+Ls)/[s(k 2 +J(R+R1)s+JLs 2 )] ・・・式15
 (ただし、L1<Lである。)

 本発明によれば、加速度外乱除去性能の大 な改善およびアクチュエータの位置決め精 が向上する。
 DCモータの駆動状態を検出する検出手段の 力を二階積分することにより、ランプ状目 に対するゼロ偏差追従が可能になり、高周 における動作音が低減し、アナログ駆動系 非線形飽和を回避できる。

 以下本発明を適用した最良の実施形態に いて図を参照して説明する。図1には、本発 明の電圧制御装置のハードウエア構成の実施 形態をブロックで示した。この電圧制御装置 は、DC駆動源としてのDCモータ11と、DC駆動源 状態を検出する手段としての位置(角度)検 器13とを備えた制御対象に対して、位置(角 )検出器13の出力から制御入力を算出する制 器15と、制御入力uに基づいてDCモータ11を駆 する電圧ドライバ(電圧源)17と、DCモータ11 流れる電流を検出する電流センサとしての 流検出器(AD変換器)19を備えている。

 制御器15は、DSPなどのディジタル演算器21 によって構成される。このディジタル演算器 21にはさらに、位置角度検出器13からのアナ グ信号をディジタル信号に変換するAD変換器 23、及びディジタル演算器21からの出力をア ログ信号に変換して制御入力を生成するDA変 換器25が付随する。

 電流検出器19は、DCモータ11の負入力に直 接続された低抵抗器Rsの端子電圧VsをAD変換 て電流値を出力するA/D変換器である。なお 低抵抗器Rsに替えてホール素子等を用いて よい。

 さらに電圧制御装置は、位置角度検出器1 3の出力の目標を設定する目標値設定回路27を 備えている。ディジタル演算器21は、位置角 検出器13の出力が目標値設定手段27から出力 された目標値refとの偏差を解消するようにDC ータ11を駆動する電圧を演算する。

 この電圧制御装置をハードディスクドラ ブに適用する場合は、DCモータ11がVCM(VoiceCoi lMotor)に、位置角度検出器13の出力が、磁気ヘ ッドが読み込んだPES(PositionErrorSignal)、または 磁気ヘッドをトラッキングするアームの回転 角を検出するエンコーダー出力に相当する。 この明細書では簡単のためロータリー型DCモ タ(VCM)に適用した場合について説明するが リニア型のDCモータに適用した場合の構成も 同様である。

 図1に示した電圧制御装置を含む制御対象全 体の伝達関数のブロック図を図2に示した。 こで、制御入力をu、角度出力をx、角速度を v、DCモータ11に流れる電流をi、及び電圧ドラ イバ17と位置角度検出器13のゲインをまとめ gとおく。さらに、DCモータ11の抵抗をR、イ ダクタンスをL、トルク定数をk、慣性モーメ ントをJ、トルク外乱をwとおく。このとき、 御入力uから角度出力xへの伝達関数G(s)は、 記式1のようになる。
 G(s)=x(s)/u(s)
   =gk/[s(k 2 +JRs+JLs 2 )] ・・・式1
 トルク外乱wから角度出力xへの伝達関数、 なわち外乱に対する感度関数S(s)は、下記式2 のようになる。
 S(s)=(R+Ls)/[s(k 2 +JRs+JLs 2 )] ・・・式2

 図2に示した伝達関数について詳細に説明 する。制御入力uに対して一定ゲインgがかか 、それが電圧となってDCモータ11に印加され る。その印加電圧とDCモータ11のインピーダ ス1/(R+sL)により電流iが流れ、電流iにトルク 数kを乗じたものがトルク(ik)となる。トル (ik)を慣性モーメントJで割り、一階積分する と角速度vが得られ、角速度vをさらに一階積 すると角度出力xが得られる。また、角速度 vに逆起電圧定数(=トルク定数)kを掛けて生じ 電圧が逆起電圧であり、入力からの電圧と 方向に働く。

 以上により、トルク外乱w=0として式、
 v(s)=[gu(s)-kv(s)][1/(R+sL)]k[1/(sJ)]x(s)
   =v(s)/s
を解くと、前記式1が得られる。
 また、制御入力u=0として式、
 v(s)=[w(s)-k 2 /(R+sL)v(s)][1/(sJ)]x(s)
   =v(s)/s
を解くと、前記式2が得られる。

 次に、式1と式2から、本発明を適用した実 の制御系における外乱除去比について、従 の電流源駆動における外乱除去比と比較し がら説明する。なお、電流源駆動では、ト ク外乱wから角度出力xへの伝達関数(感度関 )は1/(Js 2 )である。

 電圧源駆動の感度関数 (R+Ls)/[s(k 2 +JRs+JLs 2 )]と電流源駆動の感度関数 1/(Js 2 )の比(前項í後項)をとり、その値が1より小さ くなれば、電圧源駆動の方がトルク外乱wに する感度が低くなり、制御目的に適ってい 。上記感度関数の比を演算すると、
 Js(R+Ls)/(k 2 +JRs+JLs 2 )・・・式3
となる。
 式3を1/sで整理すると、
 [R/(Ls 2 )+1]/[k 2 /(JLs 2 )+R/(Ls)+1]  ・・・式4
となるから、sが無限大の場合におけるゲイ は1である。

 また、式3を、ゲインをa、零点をq、極をp1 p2として、
 as(s+q)/[(s+p1)(s+p2)] ・・・式5
と変形し、周波数特性を両対数プロットで表 すと、極p1と極p2の値により、概ね図3の(A)、( B)、(C)のパターンに大別される。図3の各グラ フにおいて、縦軸はゲイン(dB)、横軸は周波 である。

 図3の各グラフにおいて、斜線で示した領域 が本実施形態の電圧制御の方が外乱に対する 感度が低い領域、つまり外乱に強い領域であ ることを示している。なお、横線で示した領 域では逆であることを示している。
  図3(A)のケースは極p1、p2が実数かつp1≠p2 ときである。このケースは、感度関数の比 ほぼ全域で0dB、すなわち殆ど差はない。
  図3(B)のケースは極p1=p2のときである。こ ケースでは、中域以上の周波数域において 本実施形態の電圧制御が好ましいことが分 る。
  図3(C)のケースは、極p1、p2が複素極の場合 である。このケースでは電圧制御により大き な感度低下が達成されていて、本実施形態に おいて最も好ましい状態であることが分かる 。本発明の実施形態における電圧制御方法で はこのモード、すなわち、(k 2 +JRs+JLs 2 )=0  がsについて複素根を持つ場合を主に用 る。ただし、極p1、p2の周波数周辺において は、逆に感度関数が高くなる領域Pがあるの 、この領域Pは排除するように設定し、また の領域Pを使用しないように設定する。

 実際のDCモータを使用した電圧制御装置の ラメータの一例を、ハードディスクドライ のヘッドアクチュエータおよびこのヘッド クチュエータを駆動するDCモータとしてのVCM について説明する。このハードディスクドラ イブのアクチュエータ位置制御においては、 VCMのコイル抵抗=8ω、インダクタンス=5mH、ト ク定数=1N/A、慣性モーメント=10 -3 kg、等が普通である。これは、VCMの永久磁石 フェライト磁石を適用した一般的なケース ある。さらに強力な永久磁石、例えばネオ ウム系の磁石を用いることで、トルク定数 数倍に上げることが可能である。例えばト ク定数を10にすると、零点=R/L=1600(rad/sec)極
=800±I 4500(rad/sec)となって、零点は約254Hz、極 は約728Hzにおいて得られ、図3(C)に示した特性 が得られる。

 一方、式1の伝達関数の、特に低域に着目 すると、電圧源駆動の場合の伝達関数は一階 の積分特性と同等である。なお、電流源駆動 における入出力間伝達関数は、二階の積分特 性と同等である。すなわち、低周波数域にお いて、伝達関数は、電圧源駆動の場合は-6dB/o ct、電流源駆動の場合は-12dB/octであり、位相 それぞれ-90度、-180度回っている(図4参照)。 目標値に定常偏差ゼロで追従させることが目 的であるサーボ系では、制御器内部に積分器 を一つ以上含む。この積分器により、電流源 駆動の場合は位相がさらに90度回って-270度に なる。ここから適当な周波数に零点を2つ挿 して、開ループゲインが1になる周波数での 相を-150度(位相余裕30度)程度まで回復させ ことで閉ループを安定化させる。本発明の 圧制御方法では、低周波数域での位相は-90 であるから、電流制御の場合と同じ位相余 を得ても、制御器内にもう一つの積分器を れる余裕がある。そこで本発明では、制御 内に積分器を2つ含む制御系を構成した。こ により、通常のステップ状の目標値入力の ならず、ランプ状の目標値に対して、偏差 ロで追従できる。

 本発明の電圧制御方法及び電圧制御装置 よれば、ベアリングの非線形挙動等があっ も低周波数域でのゲインが高く、ランプ状 目標値に対する偏差をゼロにできる。これ 、例えばDVDやCD等のドライブで使用されて るスパイラルトラックへの追従性能を大き 改善する。さらに、ハードディスクドライ においても、従来の同心円として配置され トラック構成のみならず、スパイラルトラ クに追従する制御系を実現できることを示 ており、特に連続した大きなファイル、例 ば最近需要の大きい動画や音楽データへの クセス性能を大きく改善できることを示し いる。

 図5(A)、(B)には制御系の開ループ伝達関数 のプロット例を示した。上述の複素極がゼロ クロス周波数より高い周波数にあるのか(図5( A))、低い周波数にあるのか(図5(B))によって制 御系の構成は異なる。すなわち、複素極がゼ ロクロス周波数より低い周波数にある場合、 複素極は単なるピークフィルタとしてループ に含んでかまわないが、高い周波数にある場 合は、ノッチフィルタを用いるか位相補償す るなどの手段により安定化を施す必要がある 。この補償においてはDCモータ11の各パラメ タの依存度が大きいため、制御しやすい制 対象とすべく、各パラメータの最適化が重 である。

 また、本発明の電圧制御方法及び電圧制 装置ではコイルのインダクタンス、トルク 数をパラメータとして含むが、これらは熱 経時変化などにより変動する。そこでその 化を同定し、適応制御する方法が有用であ 。そのために本発明の実施形態では、VCMを 動する電圧源において、VCMの動作状態を検 する手段として、VCMを流れる電流を検出す センサを設けることが好ましい。このセン は、ホールセンサによる電流検出でもよい 、VCMと直列に接続された微小抵抗に発生す 電圧を測定する構成(図1参照)でもよい。本 明は、原理的にはこの電流検出センサがな とも各パラメータを同定することは可能で るが、電流検出センサがあれば外乱を分離 て負荷トルクを計測できるので、同定精度 改善できる。

 以下、パラメータ同定方法の実施例を示す
(1)電流センサがない場合
 式1と式2から角度出力関数x(s)は、 x(s)=[a/(s( s 2 +bs+c))]u(s)+[(R+Ls)/(s(s 2 +bs+c))]w(s) ・・・式6
となる。
x(s)、u(s)、w(s)が十分にリッチ(制御に必要な ての周波数成分を含む)であると仮定して、 度出力xと制御入力uの履歴からR、L、a、b、c 、wをそれぞれ推定して設定する。ただし、  a=gk/(JL)、 b=R/L、 c=k 2 /(JL)である。
電流センサがない場合は、g、k、Jを個別に推 定により設定することはできないが、制御の ためにはa、b、cを推定により設定できれば十 分である。

 この方法の場合は、トルク外乱wが未知か つ非常に大きい状況で全てのパラメータを設 定しなければならないので、精度が低い。

(2)電流センサがある場合
 図2の伝達関数から電流関数i(s)は、
 i(s)=(gu(s)-kv(s))/(R+sL)=(gu(s)-ksx(s))/(R+sL) ・・・ 式7
となるので、x、u、iの履歴からR、L、g、kを 定して設定する。電流センサがある場合は 乱項(トルク外乱w)を含まないので、高精度 推定による設定が可能である。

 同様に図2の伝達関数から角度出力関数x(s) 、
 x(s)=(ki(s)+w(s))/(Js 2 )・・・式8
となるので、x、i、の履歴と上記kの推定値か らwとJを推定により設定できる。
この式8は外乱項(w(s))を含むが、求めるパラ ータがトルク外乱wと慣性モーメントJだけな ので、(推定)精度への影響は無視できる。

 上記いずれの方法も、公知の推定アルゴ ズム、例えば最小二乗法や勾配法を利用で る。そうして推定したパラメータを用いて 制御系のゲインを決定し、設定する。この インの決定方法には、LQ法、極配置法など 公知のアルゴリズムを利用できる。また、 記はパラメータ推定であるが、制御系を含 た閉ループ系を常に同じ伝達関数に保つと う方針で一括して適応制御することも可能 ある。

 さらに、図2のブロックで示す伝達関数系に 、DCモータ11に流れる電流iから制御入力uに戻 るマイナーフィードバックh(s)を加え、図6に した伝達関数系(制御系)を構成することも きる。これにより見かけ上のDCモータ11のコ ルインピーダンスは、
 R+sL-h(s) ・・・式9
となり、マイナーフィードバックh(s)により 御できる。このとき、制御対象全体の伝達 数G(s)と、トルク外乱wに対する感度関数S(s) 、それぞれ式10、式11で表される。
 G(s)=x(s)/u(s)=gk/[s(k 2 +Js(R+Ls-h(s)))]  ・・・式10
 S(s)=(R+Ls-h(s))/[s(k 2 +Js(R+Ls-h(s)))]  ・・・式11

 マイナーフィードバックh(s)は、マイナール ープが安定(式9の極が安定)する限り任意に設 定できるが、以下、マイナーフィードバック h(s)を求める方法に対応した本発明の電圧制 方法について説明する。
 h=Rのとき、DCモータ11のコイルインピーダン スはインダクタンスs、Lのみであるから、感 関数S(s)は、
 S(s)=1/(Js 2 +k 2 /L)・・・式12
となり、電流源駆動に比べ、極以下の周波数 帯で一様に12dB/oct低くなる。ただし、h>Rの きは系が不安定になるので、実際に搭載す 場合はhをRより若干小さく設定しておく。 下同様である。

 h=R+sL1のとき Rに加え、インダクタンスL1を イナーフィードバックh(s)に含むことにより 、感度関数S(s)を、
 S(s)=1/[Js 2 +k 2 /(L-L1)] ・・・式13
とすることができる。これにより極を自在に 制御できる。
 ただし、L1<Lである。

 h=-R1のとき 式9はQ値が無限大となっている このような系でもフィードバックにより閉 ープを安定化できるが、近くに変動の大き 機械共振がある場合など、何らかの事情に りQ値を下げる必要がある場合は、hとして きなR1をネガティブフィードバックすること によってQ値を下げることができる。すなわ 、かかる制御系は、下記式14の伝達関数G(s) 表すことができる。
 G(s)=x(s)/u(s)=gk/[s(k 2 +J(R+R1)s+JLs 2 )] ・・・式14

 この場合の感度関数S(s)は式15のようになる 感度関数S(s)については、零点の周波数も上 がるので、R1の増加と共にトルク外乱抑制性 は劣化する。しかしそれでも電流源駆動に べ、6dB/octの優位性がある。
 S(s)=((R+R1)+Ls)/[s(k 2 +J(R+R1)s+JLs 2 )] ・・・式15

 h=-R1+L1sのとき 感度関数の劣化をできるだ 避け、かつQ値をできるだけ下げ、また極の 波数を高くとることが目的である場合は、 ンダクタンスも制御する。例えば、式14の 点と極の周波数を一致させることが一つの 計指針となる場合などである。この場合の 度関数S(s)は式16のようになる。
 S(s)=[(R+R1)+(L-L1)s]/[s(k 2 +J(R+R1)s+J(L-L1)s 2 )] ・・・式16
 ただし、L1<Lである。

 上記マイナーフィードバックh(s)を含む制 御系は、図1に示した低抵抗Rsに生じる電圧Vs 出し、h(s)Vs/Rs  としてフィードバックさせ ることで構成できる。これはアナログオペア ンプ等のアナログ回路で構成してもよいし、 図1のようにAD変換器19aを用いて電圧Vsを取り んだ後にマイナーフィードバックh(s)をディ ジタルフィルタとしてかけて、結果を制御入 力uに加算することによって構成することも きる。

 以上の電圧源による駆動及びDCモータ11の コイルに流れる電流を検出するハードウエア 回路を具備した場合の、図1に示されるディ タル演算器21内部の演算ブロック210の例を図 7に示した。この演算ブロック210は、検出し 位置と目標値の偏差を2階積分する積分回路2 11と、その微分をとる微分回路212と、一また 数サンプル前までの制御入力uにそれぞれ適 当な制御ゲインf1~f5をかけて和をとることに り制御入力を決定する制御入力決定回路213 、偏差と電流値と過去の制御入力の履歴か 適応的に制御対象のパラメータを同定し、 御ゲインf1~f5をチューニングする適応同定/ 応制御器214と、DCモータ11のコイルインピー ダンスを見かけ上変化させるためのコイルイ ンピーダンス変換フィルタ215とから構成され る。

 制御ゲインf1~f5は、位置信号と目標値ref 偏差にかけるゲインf3と、偏差を第一積分器 で積分した一階積分値にかけるゲインf2と、 階積分値を積分器で積分した二階積分値に けるゲインf1と、偏差を微分器で微分した 分値にかけるゲインf4と、ゲインf1乃至f5を けた出力を遅延回路で遅延された過去入力 にかけるゲインf5である。これらゲインf1~f5 かけられた値の和が制御入力値uとして出力 される。

 適応同定・適応制御器214は、制御入力値u 、AD変換器19からの電流値及び位置検出器13か らの位置信号に基づいてゲインf1~f5をチュー ングする。

 コイルインピーダンス変換フィルタ215は ゲインf6、f7及びf8により構成される。AD変 器19からの電流値にはゲインf6がかけられ、 の電流値が演算による遅延(DELAY)の後ゲイン f7がかけられ、さらにゲインf6、f7がかけられ た電流値が、遅延回路で遅延(DELAY)されてゲ ンf8がかけられ、これらのゲインf6、f7、f8が かけられた電流値が制御入力値uに加算され 。

 そうして加算された電流値と制御入力値u の和がDA変換器25に出力され、新たなアナロ の制御入力値uに変換されて電圧ドライバ17 出力される。

 なお、図7において、制御ゲインf1~f5は公 の制御系アルゴリズムで設定することがで る。例えば伝達関数法、極配置法、LQ法、H 法など多種の方法があり、また中間に状態 定器を入れてもよい。本発明は、いずれの 御方法を使用してもよく、制御方法には限 されない。また、コイルインピーダンス変 フィルタは、もっと次数の大きいフィルタ 入れることも可能であるため、系として安 である限り、フィルタの構成について限定 れるものではない。

 本発明は、ハードディスクドライブを始 とする、VCMなどのDC駆動源に用いた位置決 系の制御に特に有用である。

本発明の電圧制御装置のハードウエア 成の実施形態をブロックで示す図である。 図1に示した電圧制御装置の伝達関数を 示す図である。 図2の伝達関数に基づき、周波数特性を プロットしたグラフを示す図であって、(A)、 (B)、(C)はそれぞれ極極p1と極p2の値を異なら た場合を示す図である。 本発明の電圧駆動と従来の電流駆動の 出力間伝達関数の周波数とゲインとの関係 グラフで示す図である。 (A)、(B)はそれぞれ、本発明の電圧制御 置において制御系の開ループ伝達関数のプ ット例を示す図である。 図2に示した伝達関数系にマイナーフィ ードバックh(s)を加えた伝達関数系の実施形 をブロックで示す図である。 図1に示したディジタル演算器内部の演 算ブロックの実施形態を示す図である。

符号の説明

11 (DC駆動源)DCモータ
13 位置(角度)検出器
15 制御器
17 電圧ドライバ(電圧源)
19 電流検出器(電流センサ)
21 ディジタル演算器
23 AD変換器
27 目標値設定回路
u  制御入力
x  角度出力
v  角速度
i  DCモータに流れる電流
g  電圧ドライバと位置角度検出器のゲイン
ref  目標値
R  DCモータの抵抗
L  DCモータのインダクタンス
K  DCモータのトルク定数
J  DCモータの慣性モーメント
W  トルク外乱
G(s) 伝達関数(制御入力uから角度出力x)
S(s  )外乱に対する感度関数(トルク外乱wか 角度出力x)