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Patent Searching and Data


Title:
ADDITIVE FOR PAPERMAKING AND PAPER CONTAINING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/122982
Kind Code:
A1
Abstract:
Paper improved in air impermeability and smoothness is produced using a papermaking additive which comprises cellulose nanofibers whose aqueous dispersion having a concentration of 2% (w/v) has a Brookfield viscosity (60 rpm, 20°C) of 500-7,000 mPa⋅s, preferably 500-2,000 mPa⋅s. This additive is produced by a process which includes oxidizing a raw cellulosic material with an oxidizing agent in the presence of (1) an N-oxyl compound and (2) a bromide, an iodide, or a mixture of these to prepare an oxidized cellulose and subjecting the oxidized cellulose to wet pulverization to reduce the cellulose into nanofibers.

Inventors:
MIYAWAKI SHOICHI (JP)
KATSUKAWA SHIHO (JP)
ABE HIROSHI (JP)
IIJIMA YUKO (JP)
ISOGAI AKIRA (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/055967
Publication Date:
October 08, 2009
Filing Date:
March 25, 2009
Export Citation:
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Assignee:
JUJO PAPER CO LTD (JP)
MIYAWAKI SHOICHI (JP)
KATSUKAWA SHIHO (JP)
ABE HIROSHI (JP)
IIJIMA YUKO (JP)
ISOGAI AKIRA (JP)
International Classes:
D21H11/18; C08B15/02; D01F2/00; D21H19/10
Domestic Patent References:
WO2009020239A12009-02-12
Foreign References:
JP2008001728A2008-01-10
JP2002322313A2002-11-08
JP2003201695A2003-07-18
JP2008308802A2008-12-25
JP2002348522A2002-12-04
JP2004300624A2004-10-28
JPH0457798B21992-09-14
JP2003049390A2003-02-21
Other References:
See also references of EP 2267222A4
Attorney, Agent or Firm:
ONO, Shinjiro et al. (JP)
Ono Shinjiro (JP)
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Claims:
 (1)N-オキシル化合物、及び
 (2)臭化物、ヨウ化物及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物
の存在下で、セルロース系原料を酸化剤を用いて酸化して酸化されたセルロースを調製する工程、及び
 該酸化されたセルロースを湿式微粒化処理してナノファイバー化させる工程
を含む方法により得られる、濃度2%(w/v)の水分散液におけるB型粘度(60rpm、20℃)が500~7000mPa・sであるセルロースナノファイバー。
 濃度2%(w/v)の水分散液のB型粘度(60rpm、20℃)が500~2000mPa・sである、請求項1に記載のセルロースナノファイバー。
 前記湿式微粒化処理が、超高圧ホモジナイザーを用いて100MPa以上の圧力で前記酸化されたセルロースを解繊することを含む、請求項1または2に記載のセルロースナノファイバー。
 請求項1に記載のセルロースナノファイバーからなる製紙用添加剤。
 請求項1または2に記載のセルロースナノファイバーを含有する紙。
 前記紙が印刷用紙である、請求項5に記載の紙。
 請求項5に記載の紙を原紙とする感熱記録用紙。
 請求項5に記載の紙を原紙とする塗工紙。
 前記紙が新聞用紙である、請求項5に記載の紙。
 前記紙が加工用紙である、請求項5に記載の紙。
 前記紙が電子写真転写用紙である、請求項5に記載の紙。
 前記紙が板紙である、請求項5に記載の紙。
 前記紙が衛生用紙である、請求項5に記載の紙。
 前記紙がインクジェット記録用紙である、請求項5に記載の紙。
 前記紙が感熱記録用紙である、請求項5に記載の紙。
 前記紙が感圧記録用紙である、請求項5に記載の紙。
 請求項5に記載の紙を原紙とするインクジェット記録用紙。
 請求項5に記載の紙を原紙とする感圧記録用紙。
 請求項5に記載の紙の片面または両面に、1層以上の合成樹脂層を設けた積層紙。
 (1)N-オキシル化合物、及び
 (2)臭化物、ヨウ化物及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物
の存在下で、セルロース系原料を酸化剤を用いて酸化して酸化されたセルロースを調製する工程、及び
 該酸化されたセルロースを湿式微粒化処理してナノファイバー化させる工程
を含む、濃度2%(w/v)の水分散液におけるB型粘度(60rpm、20℃)が500~7000mPa・sであるセルロースナノファイバーを製造する方法。
 セルロースナノファイバーの濃度2%(w/v)の水分散液におけるB型粘度(60rpm、20℃)が500~2000mPa・sである、請求項20に記載の方法。
 前記湿式微粒化処理が、超高圧ホモジナイザーを用いて100MPa以上の圧力で前記酸化されたセルロースを解繊することを含む、請求項20または21に記載の方法。
Description:
製紙用添加剤及びそれを含有す 紙

 本発明は、濃度2%のB型粘度(60rpm、20℃)が5 00~7000mPa・s、好ましくは500~2000mPa・sであるセ ロースナノファイバーから成る製紙用添加 、及びそれを含有する紙に関する。更に詳 くは、透気抵抗度、平滑度を向上すること 可能な前記製紙用添加剤を含有する、印刷 紙、新聞用紙、電子写真転写用紙、インク ェット記録用紙、感熱記録用紙、感圧記録 紙、加工用紙、板紙、又は衛生用紙、ある は塗工紙又は積層紙などの原紙として使用 れる紙に関する。

 紙は空隙を有するものであり、特に紙の厚 方向に貫通した空隙は、酸素、水蒸気に対 るバリア性や、塗料の浸透性に影響を与え 。特許文献1には、塗料の原紙への浸透を抑 制する浸透抑制剤として、カルボキシメチル 置換度が0.25~0.5で、1%濃度の水溶液粘度が5~300 mPa・sであるカルボキシメチルセルロースナ リウム塩を用いることが開示されている。 た、紙の空隙の指標である透気抵抗度を向 させる方法として、特許文献2には、未糊化 粒澱粉を剥離紙用原紙に含有させることが 示されている。また、特許文献3には、アニ オン性ポリアクリルアミド樹脂から成る表面 紙質向上剤が開示されている。

特開2004-300624号公報

特公平4-57798号公報

特開2003-49390号公報

 しかしながら、上述のカルボキシメチル ルロース、未糊化顆粒澱粉、アニオン性ポ アクリルアミド樹脂を紙に適用することに り、紙の空隙を完全に埋める塗膜を形成さ ることは困難であり、十分な透気抵抗度を する紙は得られていなかった。紙の透気抵 度を向上させる他の方法として、パルプの 解を強化して繊維間結合を向上させる、あ いは強いカレンダー処理で空隙を潰す等の 法があるが、これらの方法で紙の透気抵抗 を向上させると、紙の密度が大幅に上昇し しまい、特殊な用途以外には適用し難い紙 なってしまうという問題があった。

 本発明は、紙の透気抵抗度を顕著に向上 せることができる製紙用添加剤と、その剤 含有する紙、具体的には印刷用紙、新聞用 、電子写真転写用紙、インクジェット記録 紙、感熱記録用紙、感圧記録用紙、加工用 、板紙、衛生用紙を提供することを目的と 、さらに、透気抵抗度が顕著に向上した紙 原紙として用いた塗工紙、インクジェット 録用紙、感熱記録用紙、感圧記録用紙、加 用紙、積層紙を提供することを目的とする

 本発明者らは、(1)N-オキシル化合物、及 (2)臭化物、ヨウ化物、又はこれらの混合物 存在下で、酸化剤を用いてセルロース系原 を酸化し、次いで酸化されたセルロース系 料を特定の手法で湿式微粒化処理して解繊 ることにより、濃度2%(w/v)の水分散液におけ B型粘度(60rpm、20℃)が500~7000mPa・s、好ましく は500~2000mPa・sであり、紙などの基材に塗布す ることができる適度な粘調性を有するセルロ ースナノファイバーが得られることを見いだ した。また、このセルロースナノファイバー から成る製紙用添加剤を紙に含有させること により、紙の密度を上昇させることなく、高 い透気抵抗度を有する紙が得られることを見 出した。

 本発明のセルロースナノファイバーから る製紙用添加剤は、澱粉やポリアクリルア ドに比べて、紙の透気抵抗度を向上させる 果が顕著に高く、本発明の製紙用添加剤を いることで透気抵抗度の高い高品質な紙を 造することができる。

実施例2(CNF)、比較例4(ブランク)、比較 5(澱粉)、比較例6(PVA)にて作成した新聞用紙 平滑度を測定した結果のグラフである。 実施例2(CNF)、比較例4(ブランク)、比較 5(澱粉)、比較例6(PVA)にて作成した新聞用紙 透気抵抗度を測定した結果のグラフである 実施例3(CNF)、比較例7(ブランク)、比較 8(澱粉)、比較例9(PVA)、比較例10(CMC)にて作成 したA3コート紙用原紙の平滑度を測定した結 のグラフである。 実施例3(CNF)、比較例7(ブランク)、比較 8(澱粉)、比較例9(PVA)、比較例10(CMC)にて作成 したA3コート紙用原紙の透気抵抗度を測定し 結果のグラフである。 実施例4(CNF)、比較例11(ブランク)、比較 例12(澱粉)、比較例13(PVA)にて作成した壁紙用 紙の平滑度を測定した結果のグラフである 実施例4(CNF)、比較例11(ブランク)、比較 例12(澱粉)、比較例13(PVA)にて作成した壁紙用 紙の透気抵抗度を測定した結果のグラフで る。 実施例5、比較例7(ブランク)にて作成し たA3コート紙用原紙の平滑度を測定した結果 グラフである。 実施例5、比較例7(ブランク)にて作成し たA3コート紙用原紙の透気抵抗度を測定した 果のグラフである。 実施例9~12、比較例22 (澱粉塗布量3.0g/m 2 でCNF塗布量を変更)、実施例13~16、比較例23(澱 粉塗布量2.0g/m 2 でCNF塗布量を変更)、実施例17~20、比較例24(澱 粉塗布量1.0g/m 2 でCNF塗布量を変更)にて作製した新聞用紙の 滑度を測定した結果のグラフである。 実施例9~12、比較例22((澱粉塗布量3.0g/m 2 でCNF塗布量を変更)、実施例13~16、比較例23(澱 粉塗布量2.0g/m 2 でCNF塗布量を変更)、実施例17~20、比較例24(澱 粉塗布量1.0g/m 2 でCNF塗布量を変更)にて作製した新聞用紙の 気抵抗度を測定した結果のグラフである。

 (セルロースナノファイバー)
 本発明の製紙用添加剤は、セルロースナノ ァイバーからなる。セルロースナノファイ ーとは、セルロース系原料を解繊すること より得られる幅2~5nm、長さ1~5μm程度のセル ースのシングルミクロフィブリルである。 発明では、特に、濃度2%(w/v)(すなわち、100ml 分散液中に2gのセルロースナノファイバー( 燥質量)が含まれる)におけるB型粘度(60rpm、2 0℃)が500~7000mPa・s、好ましくは500~2000mPa・sで るセルロースナノファイバーの水分散液を 紙用添加剤として用いる。本発明の製紙用 加剤は、適度な粘調性を有しており、所望 濃度に調整することで塗料として好適に使 できる。セルロースナノファイバーの2%(w/v) 水分散液におけるB型粘度は、比較的低い方 、塗料を調製する際に取り扱いが容易であ ため好ましく、具体的には、500~2000mPa・s程 が好ましく、500~1500mPa・s程度がより好まし 、500~1000mPa・s程度がさらに好ましい。

 本発明のセルロースナノファイバーの水 散液のB型粘度は、公知の手法により測定す ることができる。例えば、東機産業社のVISCOM ETER TV-10粘度計を用いて測定することができ 。

 本発明に用いられる濃度2%(w/v)の水分散液 におけるB型粘度(60rpm、20℃)が500~7000mPa・s、 ましくは500~2000mPa・sであるセルロースナノ ァイバーは、例えば、セルロース系原料を (1)N-オキシル化合物、及び(2)臭化物、ヨウ化 物又はそれらの混合物の存在下で、酸化剤を 用いて酸化し、さらに該酸化されたセルロー スを湿式微粒化処理して解繊し、ナノファイ バー化することにより製造することができる 。

 本発明のセルロースナノファイバーの原 となるセルロース系原料は、特に限定され ものではなく、各種木材由来のクラフトパ プ又はサルファイトパルプ、それらを高圧 モジナイザーやミル等で粉砕した粉末状セ ロース、あるいはそれらを酸加水分解など 化学処理により精製した微結晶セルロース 末などを使用できる。また、ケナフ、麻、 ネ、バガス、竹等の植物を使用することも きる。このうち、漂白済みクラフトパルプ 漂白済みサルファイトパルプ、粉末状セル ース、微結晶セルロース粉末を用いた場合 比較的低粘度(2%(w/v)水分散液のB型粘度にお て500~2000mPa・s程度)のセルロースナノファイ バーを効率よく製造することができるので好 ましく、粉末状セルロース、微結晶セルロー ス粉末を用いることがより好ましい。

 粉末セルロースとは、木材パルプの非結晶 分を酸加水分解処理で除去した後、粉砕・ い分けすることで得られる微結晶性セルロ スからなる棒軸状粒子である。粉末セルロ スにおけるセルロースの重合度は好ましく 100~500程度であり、X線回折法による粉末セ ロースの結晶化度は好ましくは70~90%であり レーザー回折式粒度分布測定装置による体 平均粒子径は好ましくは100μm以下であり、 り好ましくは50μm以下である。体積平均粒子 径が、100μm以下であると、流動性に優れるセ ルロースナノファイバー分散液を得ることが できる。本発明で用いる粉末セルロースとし ては、例えば、精選パルプを酸加水分解した 後に得られる未分解残渣を精製・乾燥し、粉 砕・篩い分けするといった方法により製造さ れる棒軸状である一定の粒径分布を有する結 晶性セルロース粉末を用いてもよいし、KCフ ック R (日本製紙ケミカル社製)、セオラス R (旭化成ケミカルズ社製)、アビセル R (FMC社製)などの市販品を用いてもよい。

 セルロース系原料を酸化する際に用いるN -オキシル化合物としては、目的の酸化反応 促進する化合物であれば、いずれの化合物 使用できる。例えば、本発明で使用されるN- オキシル化合物としては、下記一般式(式1)で 示される物質が挙げられる。

(式1中、R 1 ~R 4 は同一又は異なる炭素数1~4程度のアルキル基 を示す。)
 式1で表される化合物のうち、2,2,6,6-テトラ チル-1-ピペリジン-N-オキシラジカル(以下、 TEMPOと称する)、及び4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テト メチル-1-ピペリジン-N-オキシラジカル(以下 、4-ヒドロキシTEMPOと称する)を発生する化合 が好ましい。また、TEMPO又は4-ヒドロキシTEM POから得られる誘導体も好ましく用いること でき、特に、4-ヒドロキシTEMPOの誘導体が最 も好ましく用いることができる。4-ヒドロキ TEMPO誘導体としては、4-ヒドロキシTEMPOの水 基を、炭素数4以下の直鎖或いは分岐状炭素 鎖を有するアルコールでエーテル化して得ら れる誘導体か、あるいは、カルボン酸又はス ルホン酸でエステル化して得られる誘導体が 好ましい。4-ヒドロキシTEMPOをエーテル化す 際には、炭素数が4以下のアルコールを用い ば、アルコール中の飽和、不飽和結合の有 に関わらず、得られる誘導体が水溶性とな 、酸化触媒として良好に機能する4-ヒドロ シTEMPO誘導体を得ることができる。

 4-ヒドロキシTEMPO誘導体としては、例えば 、以下の式2~式4の化合物が挙げられる。

(式2~4中、Rは炭素数4以下の直鎖又は分岐状炭 素鎖である。)
 さらに、下記式5で表されるN-オキシル化合 のラジカル、すなわち、アザアダマンタン ニトロキシラジカルも、短時間で、均一な ルロースナノファイバーを製造できるため 特に好ましい。

(式5中、R 5 及びR 6 は、同一又は異なる水素又はC 1 ~C 6 の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基を示す。)
 セルロース系原料を酸化する際に用いるTEMP Oや4-ヒドロキシルTEMPO誘導体などのN-オキシ 化合物の量は、セルロース系原料をナノフ イバー化できる触媒量であれば特に制限さ ない。例えば、絶乾1gのセルロース系原料に 対して、0.01~10mmol、好ましくは0.01~1mmol、さら に好ましくは0.05~5mmol程度である。

 セルロース系原料の酸化の際に用いる臭 物またはヨウ化物としては、水中で解離し イオン化可能な化合物、例えば、臭化アル リ金属やヨウ化アルカリ金属などを使用す ことができる。臭化物またはヨウ化物の使 量は、酸化反応を促進できる範囲で選択で る。例えば、絶乾1gのセルロース系原料に して、0.1~100mmol、好ましくは0.1~10mmol、さら 好ましくは0.5~5mmol程度である。

 セルロース系原料の酸化の際に用いる酸 剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、 ハロゲン酸、過ハロゲン酸またはそれらの 、ハロゲン酸化物、過酸化物など、目的の 化反応を推進し得る酸化剤であれば、いず の酸化剤も使用できる。中でも、生産コス の観点から、現在工業プロセスにおいて最 汎用されている安価で環境負荷の少ない次 塩素酸ナトリウムが特に好適である。酸化 の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で 択できる。例えば、絶乾1gのセルロース系 料に対して、0.5~500mmol、好ましくは0.5~50mmol さらに好ましくは2.5~25mmol程度である。

 本発明におけるセルロース系原料の酸化 、上記のとおり、(1)4-ヒドロキシTEMPO誘導体 などのN-オキシル化合物と、(2)臭化物、ヨウ 物及びこれら混合物からなる群から選択さ る化合物の存在下で、次亜塩素酸ナトリウ などの酸化剤を用いて、水中で、セルロー 系原料を酸化することを特徴とする。この 法は、温和な条件であってもセルロース系 料の酸化反応を円滑に効率良く進行させる とができるという特色があるため、反応温 は15~30℃程度の室温であってもよい。なお 反応の進行に伴ってセルロース中にカルボ シル基が生成するため、反応液のpHの低下が 認められる。酸化反応を効率良く進行させる ためには、水酸化ナトリウム水溶液などのア ルカリ性溶液を添加することにより、反応液 のpHを9~12、好ましくは10~11程度に維持するこ が望ましい。

 上記のように、(1)N-オキシル化合物、及 (2)臭化物、ヨウ化物、又はこれらの混合物 存在下で、酸化剤を用いて得られた酸化処 されたセルロース系原料を、湿式微粒化処 して解繊することにより、セルロースナノ ァイバーを製造することができる。湿式微 化処理としては、例えば、高速せん断ミキ ーや高圧ホモジナイザーなどの混合・攪拌 乳化・分散装置を必要に応じて単独もしく 2種類以上組合せて用いることができる。特 、100MPa以上、好ましくは120MPa以上、さらに ましくは140MPa以上の圧力を可能とする超高 ホモジナイザーを用いて湿式微粒化処理を なうと、比較的低粘度(2%(w/v)水分散液のB型 度において500~2000mPa・s程度)のセルロースナ ノファイバーを効率よく製造することができ るので好ましい。

 本発明のセルロースナノファイバーは、 乾1gのセルロースナノファイバーにおける ルボキシル基量として、0.5mmol/g以上、好ま くは0.9mmol/g以上、さらに好ましくは1.2mmol/g 上であると、均一な分散液の状態となるか 望ましい。セルロースナノファイバーのカ ボキシル基量は、セルロースナノファイバ の0.5質量%スラリーを60ml調製し、0.1M塩酸水 液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナト ウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気 伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やか な弱酸の中和段階において消費された水酸化 ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出する ことができる。

 カルボキシル基量〔mmol/gパルプ〕= a〔ml〕  0.05/酸化パルプ質量〔g〕
 (セルロースナノファイバーを含有する紙)
 本発明のセルロースナノファイバーからな 製紙用添加剤を紙に含有させることにより 紙の透気抵抗度を向上させることができ、 への塗料の浸透抑制やバリア性の向上等の 能を付与することができる。また、本発明 製紙用添加剤を紙に塗布または含浸させる とにより、紙の平滑度を向上させることが き、紙の印刷適性を向上させることができ 。また、本発明のセルロースナノファイバ からなる製紙用添加剤を塗布または含浸さ て得られた紙は、バリア性、耐熱性に優れ おり、包装材料として使用することもでき 。

 本発明のセルロースナノファイバーから る製紙用添加剤を紙に適用する際には、紙 内添してもよいし、外添してもよいが、外 の方がセルローナノファイバーを紙表面付 により多量に存在させることができ、紙の 気抵抗度及び平滑度をより向上させること できるから、好ましい。外添する方法とし は、セルロースナノファイバーの水分散液 、2ロールサイズプレスコーター、ゲートロ ールコーター、ブレードメタリングコーター 、ロッドメタリングコーター等の塗工機によ って塗工するか、あるいは、紙に含浸させれ ばよい。

 本発明の紙における製紙用添加剤の好まし 含有量は、紙の乾燥質量当たりのセルロー ナノファイバーの乾燥質量に基づいて、0.1~ 10質量%であり、製紙用添加剤を外添する場合 は、片面当たりの塗布量として0.01~10g/m 2 、より好ましくは0.1~10g/m 2 が好ましい。本発明の製紙用添加剤を新聞用 紙などの印刷用紙に外添する場合には、片面 当たりの塗布量として0.1~5g/m 2 程度がより好ましく、壁紙用原紙などの加工 用紙に外添する場合には、片面当たりの塗布 量として1~5g/m 2 程度がより好ましく、2~5g/m 2 程度がさらに好ましく、また、コート紙用原 紙などの塗工紙の原紙に外添する場合には、 1~5g/m 2 程度がより好ましく、2~5g/m 2 程度がさらに好ましい。

 本発明のセルロースナノファイバーを含 する紙は公知の抄紙機にて製造されるが、 の抄紙条件は特に規定されるものではない 抄紙機としては、長網抄紙機、ツインワイ ー抄紙機等が使用される。なお、多層紙や 紙を製造するには、円網式抄紙機を使用し もよい。

 本発明の紙は、1層の紙の他、2層以上の 層紙又は板紙であってもよい。多層紙の場 は、本発明のセルロースナノファイバーか なる製紙用添加剤は少なくとも1層に含有さ ればよい。

 本発明の紙は、パルプ成分として、化学 ルプ(針葉樹の晒クラフトパルプ(NBKP)または 未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹の晒クラフ トパルプ(LBKP)または未晒クラフトパルプ(LUKP) 等)、機械パルプ(グランドパルプ(GP)、サーモ メカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカ パルプ(CTMP)等)、脱墨パルプ(DIP)等の再生パ プを単独または任意の割合で混合して使用 てもよい。抄紙時のpHは、酸性、中性、ア カリ性のいずれでもよい。

 また、本発明の紙は填料を含有してもよ 。填料としては、ホワイトカーボン、タル 、カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム 軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹 填料等の公知の填料を使用することができ 。中でも、環境面や紙の保存性等の観点か 、炭酸カルシウムを使用して、紙面がpH6~9 なるように中性抄紙することが望ましい。

 さらに、本発明の紙は、必要に応じて、 酸バンド、サイズ剤、紙力増強剤、歩留ま 向上剤、濾水性向上剤、着色剤、染料、消 剤、嵩高剤等を含有してもよい。

 (印刷用紙)
 本発明のセルロースナノファイバーを含有 る紙は、顔料を含まない表面処理剤を塗工 て印刷用紙としてもよい。表面処理剤とし は、表面強度やサイズ性の向上の観点から 水溶性高分子を主成分とする表面処理剤が ましい。水溶性高分子を用いる場合には、 溶性高分子と本発明のセルロースナノファ バーからなる製紙用添加剤とを混合して塗 することが好ましい。水溶性高分子と製紙 添加剤とを混合して塗工または含浸した場 、水溶性高分子単独の場合と比べ、平滑度 透気抵抗度が高く、オフセット印刷時のイ キ着肉性、裏抜け防止が良好な紙を得るこ ができる。

 水溶性高分子としては、澱粉、酸化澱粉 加工澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセ ロース、ポリアクリルアミド、ポリビニル ルコール等の表面処理剤として通常使用さ るものを単独で、あるいは混合して使用す ことができる。また、表面処理剤として、 溶性高分子の他に、耐水化及び表面強度の 上を目的とする紙力増強剤や、サイズ性付 を目的とする外添サイズ剤を用いてもよい 紙を中性抄紙する場合、外添サイズ剤とし はカチオン性表面サイズ剤が好ましい。

 水溶性高分子と本発明のセルロースナノ ァイバーから成る製紙用添加剤との混合割 は特に限定されないが、表面処理剤の塗工 の固形分濃度に対して水溶性高分子が80~98 量%、製紙用添加剤が2~20質量%であることが ましい。製紙用添加剤の割合が多すぎると 塗工液が増粘し塗工適性が悪化する傾向が る。

 表面処理剤は、2ロールサイズプレスコータ ー、ゲートロールコーター、ブレードメタリ ングコーター、ロッドメタリングコーター等 の塗工機によって塗布することができる。中 でも、ゲートロールコーターのような被膜転 写方式の塗工機を使用すると、2ロールサイ プレスコーターのような含浸方式の塗工機 比べて、表面処理剤中の有効成分が紙表面 より多量に留まることとなるため、より少 の表面処理剤塗布量でも効果が得られるか 好ましい。表面処理剤の塗布量としては、 面処理剤の乾燥質量として、片面当たり0.05g /m 2 以上3g/m 2 以下、好ましくは0.1g/m 2 以上3g/m 2 以下が好ましい。水溶性高分子と本発明の製 紙用添加剤とを混合して塗工する場合の好ま しい塗布量は、水溶性高分子が固形分で0.05~5 g/m 2 程度(両面)、セルロースナノファイバーが固 分で0.01~1g/m 2 程度(両面)である。

 本発明ではまた、印刷品質をより向上さ るため、本発明の製紙用添加剤を内添また 外添した紙の上に、顔料を含有する塗工層 設けて印刷用紙とすることもできる。また 所望の効果を阻害しない範囲で、カレンダ 処理を施してもよい。カレンダーは通常の 業範囲内の線圧で用いられるが、嵩高な紙 製造する観点から、紙の平滑性を維持でき 範囲でなるべく低線圧が好ましく、また、 フトニップカレンダーが好ましい。

 本発明のセルロースナノファイバーから る製紙用添加剤を印刷用紙に用いると、高 平滑性を付与でき、印刷品質を向上するこ ができる。

 例えば、新聞用紙は、印刷用紙の一種で り、一般に原料パルプとして100%の再生パル プ、又は再生パルプと、木材をほぐすことに より製造される少量の漂白した針葉樹パルプ が混在する機械パルプとから製造される。そ の他、必要に応じて上述した各種パルプを混 合して製造される。新聞用紙には、高速輪転 機による印刷において紙切れしにくく、平滑 で表裏差が少なく、不透明度が高く、かつ印 刷適性が高いことが要求される。本発明の製 紙用添加剤を新聞用紙に用いると、透気抵抗 度を顕著に向上させることができ、新聞用紙 に印刷インキが過度に浸透することを防ぎ、 印字濃度の低下を防ぐことができる。また、 紙表面が平滑になるため、印刷品質を向上さ せることができる。特に、水溶性高分子と本 発明の製紙用添加剤を混合して塗工した場合 、セルロースナノファイバーが紙表面の凹凸 を埋めることで平滑性がより高くなり、イン キ着肉性が向上すると考えられる。また、セ ルロースナノファイバーが紙表面に存在する ことで透気抵抗性がより高くなり、印刷時に インキが染み込みにくく裏抜け防止が良好に なると考えられる。

 この他、原料パルプとして、木材を化学処 してリグニンを除去し、セルロースとヘミ ルロースから構成される化学パルプを100%使 用する上級印刷用紙(上質紙)、40~100%の化学パ ルプを使用する中級印刷用紙(中質紙および 更紙)などに適用することができる。各種紙 諸物性は、それぞれ求められる用途に応じ 適宜設定され、例えば、新聞用紙の場合、 量30~60g/m 2 程度である。また、印刷方式は特に制限され ず、オフセット印刷、グラビア印刷、凸版印 刷等の各種印刷機に使用可能である。オフセ ット印刷方式としては、熱乾燥工程を含むヒ ートセット型、熱乾燥工程を含まず浸透乾燥 型インキを用いるコールドセット型のいずれ の印刷機にも使用することができる。

 (電子写真転写用紙、感熱記録用紙、加工用 紙、板紙、衛生用紙、インクジェット記録用 紙など)
 本発明のセルロースナノファイバーを含有 る紙は、印刷用紙、新聞用紙の他、電子写 用転写紙、インクジェット記録用紙、感熱 録用紙、感圧記録用紙、フォーム用紙、加 用紙、衛生用紙等として使用することがで る。加工用紙としてさらに詳しくは、積層 用原紙、壁紙用裏打ち紙、成型用途の原紙 が挙げられる。衛生用紙としてさらに詳し は、ティッシュペーパー、トイレットペー ー、ペーパータオル等が挙げられる。また 段ボール原紙等の板紙として使用すること できる。

 本発明の製紙用添加剤を、電子写真転写 紙に用いると、平滑度及び透気抵抗度が高 なることから、トナーの転写性が向上し、 画質化することができる。

 本発明の製紙用添加剤を、インクジェッ 記録用紙に用いると、平滑度及び透気抵抗 が高くなることから、インクの過度の浸透 抑制することができ、インキのにじみや定 性不良、印字濃度の低下を防ぐことができ 。

 本発明の製紙用添加剤を、感熱記録用紙 用いると、平滑度及び透気抵抗度が高くな ことから、感熱塗料が原紙に過度に浸透す ことを抑制し、また、感熱塗料が均一に塗 され、断熱効果が得られるため、発色感度 向上させることができる。

 本発明の製紙用添加剤を、感圧記録用紙 用いると、平滑度及び透気抵抗度が高くな ことから、感圧塗料が原紙に過度に浸透す ことを抑制し、また、感圧塗料が均一に塗 されることにより、発色感度を向上させる とができる。

 本発明の製紙用添加剤を、壁紙用裏打ち に用いると、平滑度及び透気抵抗度が高く ることから、水系澱粉糊などの接着剤が原 に過度に浸透することを抑制し、また原紙 の毛羽立ちを抑制して樹脂の突起物の発生 防ぐことができる。

 本発明の製紙用添加剤を、衛生用紙に用 ると、平滑度及び透気抵抗度が高くなるこ から、紙表面を滑らかにすることができる

 本発明の製紙用添加剤を、ダンボール原 等の板紙に用いると、平滑度及び透気抵抗 が高くなることから、印刷適性を向上する とができる。

 (塗工紙用原紙)
 さらに、本発明のセルロースナノファイバ を含有する紙は、塗工紙、インクジェット 録用紙、感熱記録用紙、感圧記録用紙、加 用紙等の、顔料を含む塗工層を有する紙の 紙としても使用することができる。塗工紙 してさらに詳しくは、アート紙、コート紙 微塗工紙、キャストコート紙、白板紙等が げられる。加工用紙としてさらに詳しくは 包装用紙、防湿紙、壁紙用裏打ち紙、紙器 原紙、成型用途の原紙等が挙げられる。特 、本発明のセルロースナノファイバーから る製紙用添加剤を紙に外添した紙は、高い 気抵抗度及び平滑度を有するので、これを 紙として塗料を塗工すると、塗料の原紙中 の浸透が抑制され、かつ平滑な塗工層が得 れるので、印刷適性が良好な塗工紙を得る とができ、好ましい。例えば、上質紙(化学 パルプ100%)又は中質紙(化学パルプに機械パル プを混合)からなるコート紙用原紙に、本発 のセルロースナノファイバーを外添するこ により、コート紙用原紙の平滑度と透気抵 度とを向上させることができ、顔料(カオリ 、炭酸カルシウムなど)及びバインダー(澱 、ラテックスなど)からなる塗料の原紙中へ 浸透を抑制して平滑な塗工層を得ることが き、それにより少ない塗工量で塗工紙(コー ト紙)の光沢を向上させたり、また、印刷適 を向上させることができる。

 また、本発明のセルロースナノファイバ を含有する紙を、インクジェット記録用紙 感熱記録用紙、及び感圧記録用紙の原紙と て使用した場合にも同様に、平滑なインク ェット記録層、感熱記録層、感圧記録層が られるので好ましい。また、本発明のセル ースナノファイバーを含有する紙は、その 面または両面に、1層以上の合成樹脂層を設 けた積層紙の原紙として使用することもでき る。

 本発明の塗工紙とは、本発明のセルロー ナノファイバーからなる製紙用添加剤を含 する原紙に、顔料と接着剤とを有する塗工 を設けたものである。塗工層に用いる顔料 しては、塗工紙用に従来から用いられてい 、カオリン、クレー、デラミネーテッドク ー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシ ム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム 硫酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸、ケイ 塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトな の無機顔料、およびプラスチックピグメン などの有機顔料を用いることができ、これ の顔料は必要に応じて単独で、又は混合し 使用することが出来る。

 塗工層に用いる接着剤は、塗工紙用に従 から用いられている、スチレン・ブタジエ 系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢 ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレ ト系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系 の各種共重合体及びポリビニルアルコール 無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メ ルメタクリレート系共重合体等の合成系接 剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白 質類;酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステ 化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉 どのエーテル化澱粉、デキストリン等の澱 類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキ エチルセルロース、ヒドロキシメチルセル ース等のセルロース誘導体等の通常の塗工 用接着剤を、必要に応じて、単独で、又は 合して使用することができる。これらの接 剤は顔料100質量部当たり5~50質量部程度の量 で使用することができる。塗工層の表面強度 をより良好にするためには、スチレン・ブタ ジエン系の共重合体ラテックスを10~25質量部 有する接着剤を用いることが好ましい。ま 、柔軟性の点から、接着剤における澱粉の は5質量部以下が好ましい。

 塗工層を形成させる際には、上記の顔料 び接着剤に加えて、必要に応じて、分散剤 増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色 等、通常の塗工紙用塗料に配合される各種 剤を適宜使用してもよい。

 原紙上に塗工層を設ける場合には、原紙の 面あるいは両面に、単層あるいは二層以上 塗工層を設けてもよい。塗工層のトータル 塗工量は、好ましくは片面当たり5~30g/m 2 、より好ましくは8~20g/m 2 である。また、アンダー塗工層を設ける場合 の塗工量は、好ましくは2~8g/m 2 である。

 顔料及び接着剤を主とする塗工層を原紙 塗工する際には、2ロールサイズプレスコー ターや、ゲートロールコーター、ブレードメ タリングサイズプレスコーター、ロッドメタ リングサイズプレスコーター、及びシムサイ ザー等のフィルム転写型ロールコーター、フ ラデッドニップ/ブレードコーター、ジェッ ファウンテン/ブレードコーター、ショート ウェルタイムアプリケート式コーターの他 ブレードの替わりにグルーブドロッド、プ ーンロッド等を用いたロッドメタリングコ ター、カーテンコーター、ダイコーター等 公知のコーターにより塗工することができ 。アンダー塗工液を塗工する際には、塗工 を原紙に適度にしみこませるために、ゲー ロールコーターなどのフィルム転写方式の ーターを用いることが好ましい。

 また、平滑性及び印刷品質の向上等のた 、上述の手法で得られた塗工紙を、表面処 してもよい。表面処理方法としては弾性ロ ルとしてコットンロールを用いたスーパー レンダーや、弾性ロールとして合成樹脂ロ ルを用いたソフトニップカレンダー等、公 の装置を用いることができる。

 (本発明の作用)
 本発明のセルロースナノファイバーからな 製紙用添加剤が、紙の平滑性と透気抵抗度 顕著に向上させる理由は明白ではないが、 ルロースナノファイバーは澱粉等の水溶性 分子とは異なり、繊維状の形態であるため 紙表面のパルプ繊維の空隙を埋めるように 橋した状態で存在することが可能であるた と推察される。

 以下に実施例にて本発明をより詳細に説 するが、本発明はかかる実施例に限定され ものではない。

 <セルロースナノファイバーの製造例1>
 粉末セルロース(日本製紙ケミカル(株)製、 径24μm)15g(絶乾)を、TEMPO(Sigma Aldrich社)78mg(0.5 mmol)と臭化ナトリウム755mg(5mmol)を溶解した水 液500mlに加え、粉末セルロースが均一に分 するまで攪拌した。反応系に次亜塩素酸ナ リウム水溶液(有効塩素5%)50ml添加した後、0.5 N塩酸水溶液でpHを10.3に調整し、酸化反応を 始した。反応中は系内のpHは低下するが、0.5 N水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10 調整した。2時間反応した後、遠心操作(6000r pm、30分、20℃)で酸化した粉末セルロースを 離し、十分に水洗することで酸化処理した 末セルロースを得た。酸化処理した粉末セ ロースの2%(w/v)スラリーをミキサーにより12,0 00rpm、15分処理し、さらに粉末セルロースス リーを超高圧ホモジナイザーにより140MPaの 力で5回処理したところ、透明なゲル状分散 が得られた。

 <セルロースナノファイバーの製造例2>
 粉末セルローススラリーを超高圧ホモジナ ザーにより120MPaの圧力で5回処理した以外は 、製造例1と同様にしてセルロースナノファ バー分散液を得た。

 <セルロースナノファイバーの製造例3>
 粉末セルローススラリーを超高圧ホモジナ ザーにより100MPaの圧力で5回処理した以外は 、製造例1と同様にしてセルロースナノファ バー分散液を得た。

 <セルロースナノファイバーの製造例4>
 湿式微粒化処理において、超高圧ホモジナ ザーの代わりに、回転刃ミキサー(周速37m/s 日本精機製作所社、処理時間30分)を用いた 外は、製造例1と同様にしてセルロースナノ ファイバー分散液を得た。

 <セルロースナノファイバーの製造例5>
 TEMPOの代わりに、4-メトキシTEMPOを用いた以 は、製造例1と同様にしてセルロースナノフ ァイバー分散液を得た。

 <セルロースナノファイバーの製造例6>
 粉末セルロースの代わりに、漂白済みの未 解サルファイトパルプ(日本製紙ケミカル社 製)を用い、140MPaの超高圧ホモジナイザーで40 回処理した以外は、製造例1と同様にしてセ ロースナノファイバー分散液を得た。

 <セルロースナノファイバーの製造例7>
 粉末セルロースの代わりに、漂白済みの未 解サルファイトパルプ(日本製紙ケミカル社 製)を用い、回転刃ミキサーで5時間処理した 外は、製造例5と同様にしてセルロースナノ ファイバー分散液を得た。

 製造例1~製造例8で得たセルロースナノフ イバーのB型粘度(60rpm、20℃)をVISCOMETER TV-10 度計(東機産業社)を用いて測定した。結果 表1に示す。

 製造例1~7の方法により、濃度2%(w/v)の水分散 液におけるB型粘度(60rpm、20℃)が500~7000mPa・s あるセルロースナノファイバーを得ること できた。このうち、製造例1~3及び製造例5で られたセルロースナノファイバーは、濃度2 %(w/v)の水分散液におけるB型粘度(60rpm、20℃) 500~2000mPa・sの範囲内であり、流動性がきわ て良好であり、紙などの基材に塗布しやす った。また、製造例4、6及び7で得られたセ ロースナノファイバーは、粘度が若干高め あり、紙に塗布した際に、紙への吸収が抑 されたため、同一塗工条件下で塗布した製 例1~3及び5のセルロースナノファイバーに比 て、塗布量が若干少なくなった。

 次に、上記の方法により得られたセルロ スナノファイバーを紙に塗布することによ 、セルロースナノファイバーを含有する紙 製造した例を示す。

 <セルロースナノファイバー(CNF)を含有す 上質紙の製造例>
 [実施例1]
 上質紙(化学パルプの配合率が100%の洋紙、 本製紙(株)製、坪量79g/m 2 )に、製造例1により製造されたセルロースナ ファイバーの分散液を両面で塗布量1.4g/m 2 になるように、2ロールサイズプレス装置に 塗布した。

 [比較例1]
 実施例1で使用した上質紙に水のみを2ロー サイズプレス装置にて塗布した。

 [比較例2]
 実施例1で使用した上質紙に酸化澱粉(商品 :SK200、日本コーンスターチ(株)製)の水溶液 両面で塗布量1.4g/m 2 になるように、2ロールサイズプレス装置に 塗布した。

 [比較例3]
 実施例1で使用した上質紙にポリアクリルア ミド(商品名:DS4340、星光PMC(株)製)の水溶液を 面で塗布量1.4g/m 2 になるように、2ロールサイズプレス装置に 塗布した。

 実施例1及び比較例1~3にて作成した紙の厚さ 、坪量を下記の方法で測定し、これを元に密 度を算出した。さらに、裂断長、テーバーこ わさ、白色度、不透明度、比散乱係数、平滑 度、透気抵抗度を下記の方法で測定した。結 果を表2に示す。
・厚さ:JIS P 8118:1998に従った。
・坪量:JIS P 8124:1998(ISO 536:1995)に従った。
・密度:塗布したシートの厚さ、坪量の測定 より算出した。
・裂断長:JIS P 8113:1998に従った。
・テーバーこわさ:JIS P 8125:1976(ISO 2493:1992) 従ってテーバーこわさを測定した。
・白色度:JIS P 8148:2001に準じて、ISO白色度を 測定した。
・不透明度:JIS P 8149:2000に従った。
・比散乱係数:TAPPI T425 om-91に準拠して色差 (村上色彩製)で測定した。
・平滑度、透気抵抗度:Japan TAAPI 紙パルプ試 験方法 No.5-2:2000に従い、王研式平滑度透気 試験器により測定した。

 表2に示されるように、本発明のセルロース ナノファイバーを塗布した紙は酸化澱粉やポ リアクリルアミドを塗布した紙に比較して、 顕著に平滑度及び透気抵抗度が向上した。

 <CNFを含有する新聞用紙の製造例>
 [実施例2]
 新聞用紙(日本製紙(株)製、坪量42g/m 2 、漂白した針葉樹パルプが混在する少量の機 械パルプと主要量の再生パルプとから製造さ れる)に上記のセルロースナノファイバー分 液を2ロールサイズプレス装置にて塗布量を えて塗布した。

 [比較例4]
 実施例2で使用した新聞用紙に水のみを2ロ ルサイズプレス装置にて塗布した。

 [比較例5]
 実施例2で使用した新聞用紙に酸化澱粉(商 名:SK200、日本コーンスターチ(株)製)の水溶 を2ロールサイズプレス装置にて塗布量を変 て塗布した。

 [比較例6]
 実施例2で使用した新聞用紙にポリビニルア ルコール(商品名:PVA117、(株)クラレ製)の水溶 を2ロールサイズプレス装置にて塗布量を変 えて塗布した。

 実施例2(CNF)、比較例4(ブランク)、比較例5 (澱粉)、比較例6(PVA)にて作成した紙の平滑度 び透気抵抗度を測定した。結果を図1及び2 示す。

 <CNFを含有する塗工紙用原紙の製造例>
 [実施例3]
 A3コート紙用原紙(日本製紙(株)製、坪量70g/m 2 、化学パルプと機械パルプを混合して得られ た中質紙)に上記製造例1により製造されたセ ロースナノファイバーの分散液を2ロールサ イズプレス装置にて塗布量を変えて塗布した 。

 [比較例7]
 実施例3で使用したA3コート紙用原紙に水の を2ロールサイズプレス装置にて塗布した。

 [比較例8]
 実施例3で使用したA3コート紙用原紙に酸化 粉(商品名:SK200、日本コーンスターチ(株)製) の水溶液を2ロールサイズプレス装置にて塗 量を変えて塗布した。

 [比較例9]
 実施例3で使用したA3コート紙用原紙にポリ ニルアルコール(商品名:PVA117、(株)クラレ製 )の水溶液を2ロールサイズプレス装置にて塗 量を変えて塗布した。

 [比較例10]
 実施例3で使用したA3コート紙用原紙にカル キシメチルセルロース(商品名:F01MC、日本製 紙ケミカル(株)製)の水溶液を2ロールサイズ レス装置にて塗布量を変えて塗布した。

 実施例3(CNF)、比較例7(ブランク)、比較例8 (澱粉)、比較例9(PVA)、比較例10(CMC)にて作成し た紙の平滑度及び透気抵抗度を測定した。結 果を図3及び4に示す。

 <CNFを含有する壁紙用裏打ち紙の製造例> ;
 [実施例4]
 壁紙用原紙(日本製紙(株)製、坪量64g/m 2 )に上記製造例1により製造されたセルロース ノファイバーの分散液を2ロールサイズプレ ス装置にて塗布量を変えて塗布した。

 [比較例11]
 実施例4で使用した壁紙用原紙に水のみを2 ールサイズプレス装置にて塗布した。

 [比較例12]
 実施例4で使用した壁紙用原紙に酸化澱粉( 品名:SK200、日本コーンスターチ(株)製)の水 液を2ロールサイズプレス装置にて塗布量を えて塗布した。

 [比較例13]
 実施例4で使用した壁紙用原紙にポリビニル アルコール(商品名:PVA117、(株)クラレ製)の水 液を2ロールサイズプレス装置にて塗布量を 変えて塗布した。

 実施例4(CNF)、比較例11(ブランク)、比較例 12(澱粉)、比較例13(PVA)にて作成した紙の平滑 及び透気抵抗度を測定した。結果を図5及び 6に示す。

 図2、図4、図6に示されるように、本発明 セルロースナノファイバーを塗布すること より、紙の種類(新聞用紙、コート紙用原紙 、壁紙用原紙)にかかわらず、酸化澱粉、ポ ビニルアルコール、カルボキシメチルセル ースを塗布した紙に比較して、顕著に透気 抗度が向上した。これにより、新聞用紙の 合には、印字濃度の低下を防いで印刷品質 向上させることができ、コート紙用原紙の 合には、塗料の過度の浸透を防いで印刷適 の高い塗工紙を製造することができ、また 壁紙用原紙の場合には、接着剤の過度の浸 を防いで壁紙の施行適正を向上させること できた。また、図5に示されるように、本発 のセルロースナノファイバーを塗布した壁 用原紙は、他の化合物を塗布した壁紙用原 に比べて、平滑度が向上した。これにより 壁紙の原紙の毛羽立ちを抑えることができ 平滑な表面を有する壁紙を得ることができ 。

 <CNFを含有する塗工紙用原紙の製造例>
 [実施例5]
 実施例3で使用したA3コート紙用原紙に、製 例3により製造されたセルロースナノファイ バーの分散液を2ロールサイズプレス装置に 塗布量を変えて塗布した。得られた紙の平 度及び透気抵抗度を測定した。結果を図7及 8に示す。

 <CNFを原紙に含有する感熱記録用紙の製造 例>
 [実施例6]
 実施例1で得られたセルロースナノファイバ ーが塗布された紙に、下記の組成の感熱塗料 をマイヤーバーで塗布量6g/m 2 となるように塗布し、ドライヤーで乾燥させ 、カレンダーで王研式平滑度500秒になるよう に処理し、感熱記録層を得た。
感熱層組成:
 顕色剤分散液(A液)              36.0
 ロイコ染料分散液(B液)          13.8部
 増感剤分散液(C液)              36.0
 完全ケン化型ポリビニルアルコール(クラレ 社商品名:PVA117)10%水溶液
                                    25.0部
 なお、上記の顕色剤分散液(A液)、ロイコ染 分散液(B液)、及び増感剤分散液(C液)は下記 通りであり、それぞれ別々にサンドグライ ダーで平均粒子径0.5ミクロンになるまで湿 磨砕処理を行った。
A液(顕色剤分散液)
 4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニ スルホン 6.0部
 ポリビニルアルコール10%水溶液                  18.8部
  水                                                11.2部
B液(塩基性無色染料分散液)
 3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフル ラン(ODB-2)3.0部
 ポリビニルアルコール10%水溶液                                  6.9部
  水                                                                 3.9部
C液(増感剤分散液)
 シュウ酸ジベンジル                                        6.0部
 ポリビニルアルコール10%水溶液                       18.8部
  水                                                      11.2部
 [比較例14]
 比較例1で得られた水のみが塗布された紙に 、上記の感熱塗料を塗布した以外は、実施例 6と同様にして感熱記録用紙を得た。

 実施例6及び比較例14にて作成した紙の発色 度を下記の方法で測定した。結果を表3に示 す。
・発色感度:大倉電機社製のTH-PMD(感熱記録紙 字試験機、京セラ社製サーマルヘッドを装 )を用い、印加エネルギー0.41mJ/dotで印字し 。記録部の記録濃度は、マクベス濃度計(RD-9 14、アンバーフィルター使用)で測定し評価し た。

 表3に示されるように、本発明のセルロース ナノファイバーを塗布した原紙を用いた感熱 記録用紙(実施例6)は、水を塗布した原紙を用 いた感熱記録用紙(比較例14)と比較して、顕 に発色感度が向上した。これは、セルロー ナノファイバーを塗布した原紙(実施例1)の 滑度及び透気抵抗度が、水のみを塗布した 紙(比較例1)に比べて、顕著に高いため、セ ロースナノファイバーを塗布した原紙を用 た感熱記録用紙(実施例6)では、感熱塗料の 紙への過度の浸透が抑制され、また、感熱 料が均一に塗布されて断熱効果が得られた め、発色感度が向上したと推測される。

 <CNFを含有するオフセット印刷用上質紙の 製造例>
 [実施例7]
 広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP、濾水度400ml)10 0部を離解して調製したパルプスラリーに、 乾パルプを基準として炭酸カルシウムを5.0% 加し、ツインワイヤー型抄紙機にて、坪量6 2g/m 2 となるように中性抄紙して上質紙原紙を得た 。得られた原紙の灰分は9.5%であった。

 この原紙に、ヒドロキシエチル化澱粉に上 の製造例1で得られたセルロースナノファイ バーを加えた塗工液を、表4に示される固形 濃度で調製し、澱粉の塗布量が固形分で2.0g/ m 2 (両面)、セルロースナノファイバーの塗布量 固形分で0.1g/m 2 (両面)となるよう、2ロールサイズプレス装置 にて塗布し、オフセット印刷用上質紙を得た 。

 [比較例15]
 実施例7で使用した原紙に、水のみを2ロー サイズプレス装置にて塗布した。

 [比較例16]
 実施例7で使用した原紙に、ヒドロキシエチ ル化澱粉の水溶液のみを、澱粉の塗布量が固 形分で2.0g/m 2 (両面)となるよう、2ロールサイズプレス装置 にて塗布した。

 [比較例17]
 実施例7で使用した原紙に、ポリアクリルア ミド(商品名:DS4340、星光PMC(株)製)の水溶液を ポリアクリルアミドの塗布量が固形分で2.0g /m 2 (両面)となるよう、2ロールサイズプレス装置 にて塗布した。

 [評価試験]
 実施例7、比較例15~17にて製造した紙の坪量 厚さを下記の方法で測定し、これをもとに 度を算出した。さらに、平滑度、透気抵抗 、および印刷時のインキ着肉性と裏抜けを 記の方法で測定した。結果を表4に示す。

 (坪量、紙厚、密度の測定)
坪量:JIS P 8124:1998(ISO 536:1995)に従った。
厚さ:JIS P 8118:1998に従った。
密度:塗布したシートの厚さ、坪量の測定値 より算出した。

 (平滑度、透気抵抗度の測定)
Japan TAPPI 紙パルプ試験法 No.5-2:2000に従い、 王研式平滑度透気度試験器により測定した。

 (RI印刷評価-インキ着肉性)
 石川島産業機械株式会社製RI印刷機(4色機) 用い、東洋インキ製造株式会社製のオフセ ト用エコインキである高粘度AFインキを使用 して印刷した。着肉性(印刷ムラ)について以 の基準で目視評価を行なった。
◎:印刷面にムラがなく、非常に均一な画像 得られている。
○:印刷面にムラがほとんどなく、均一な画 が得られている。
△:印刷面にムラが若干あり、不均一な画像 得られている。
×:印刷面にムラがあり、非常に不均一な画像 が得られている。

 (RI印刷評価-裏抜け)
 石川島産業機械株式会社製RI印刷機(4色機) 用い、東洋インキ製造株式会社製のオフセ ト用エコインキである高粘度AFインキを使用 して印刷した。裏抜けについて以下の基準で 目視評価を行なった。
◎:印刷裏面にインキが浸透していない。
○:印刷裏面にほとんどインキが浸透してい い。
△:印刷裏面に若干インキが浸透している。
×:印刷裏面にインキが浸透している。

 表4に示されるように、本発明のセルロース ナノファイバーを澱粉と混合して塗布した紙 は、澱粉単体やポリアクリルアミドを塗布し た紙と比較して、密度を上昇させることなく 、平滑度、透気抵抗度が向上し、印刷時のイ ンキ着肉性および裏抜けが良好だった。

 <CNFを含有するオフセット印刷用中質紙の 製造例>
 [実施例8]
 サーモメカニカルパルプ(TMP、濾水度100ml)95 、及び針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、濾水 600ml)5部を混合離解して調製したパルプスラ ーに、絶乾パルプを基準として炭酸カルシ ムを5.0%添加し、ツインワイヤー型抄紙機に て、坪量53g/m 2 となるように中性抄紙して中質紙原紙を得た 。得られた原紙の灰分は4.4%であった。

 この原紙に、ヒドロキシエチル化澱粉に上 の製造例1で得られたセルロースナノファイ バーを加えた塗工液を、表5に示される固形 濃度で調製し、澱粉の塗布量が固形分で2.0g/ m 2 (両面)、セルロースナノファイバーの塗布量 固形分で0.1g/m 2 (両面)となるよう、2ロールサイズプレス装置 にて塗布し、オフセット印刷用中質紙を得た 。

 [比較例18]
 実施例8で使用した原紙に、水のみを2ロー サイズプレス装置にて塗布した。

 [比較例19]
 実施例8で使用した原紙に、ヒドロキシエチ ル化澱粉の水溶液のみを、澱粉の塗布量が固 形分で2.0g/m 2 (両面)となるよう、2ロールサイズプレス装置 にて塗布した。

 [比較例20]
 実施例8で使用した原紙に、ポリアクリルア ミド(商品名:DS4340、星光PMC(株)製)の水溶液を ポリアクリルアミドの塗布量が固形分で2.0g /m 2 (両面)となるよう、2ロールサイズプレス装置 にて塗布した。

 [評価試験]
 実施例8、比較例18~20にて製造した紙の坪量 厚さを前記の方法で測定し、これをもとに 度を算出した。さらに、平滑度、透気抵抗 、および印刷時のインキ着肉性と裏抜けを 記の方法で測定した。結果を表5に示す。

 表5に示されるように、本発明のセルロース ナノファイバーを澱粉と混合して塗布した紙 は、澱粉単体やポリアクリルアミドを塗布し た紙と比較して、密度を上昇させることなく 、平滑度、透気抵抗度が向上し、印刷時のイ ンキ着肉性および裏抜けが良好だった。

 <新聞用紙の製造例>
 [実施例9]
 脱墨パルプ(DIP、濾水度180ml)80部、TMP(濾水度 100ml)15部、及び針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP 濾水度600ml)5部を混合離解して調製したパル スラリーに、絶乾パルプを基準として炭酸 ルシウムを7.5%添加し、ツインワイヤー型抄 紙機にて、坪量42g/m 2 となるように中性抄紙して新聞用紙原紙を得 た。得られた原紙の灰分は12.5%であった。

 この原紙に、ヒドロキシエチル化澱粉に上 の製造例1で得られたセルロースナノファイ バーを加えた塗工液を、表6に示される固形 濃度で調製し、澱粉の塗布量が固形分で3.0g/ m 2 (両面)、セルロースナノファイバーの塗布量 固形分で0.5g/m 2 (両面)となるよう、2ロールサイズプレス装置 にて塗布し、オフセット印刷用新聞用紙を得 た。

 [実施例10]
 澱粉の塗布量が固形分で3.0g/m 2 (両面)、セルロースナノファイバーの塗布量 固形分で0.3g/m 2 (両面)となるように代えた以外は、実施例9と 同様にした。

 [実施例11]
 澱粉の塗布量が固形分で3.0g/m 2 (両面)、セルロースナノファイバーの塗布量 固形分で0.1g/m 2 (両面)となるように代えた以外は、実施例9と 同様にした。

 [実施例12]
 澱粉の塗布量が固形分で3.0g/m 2 (両面)、セルロースナノファイバーの塗布量 固形分で0.05g/m 2 (両面)となるように代えた以外は、実施例9と 同様にした。

 [実施例13]
 澱粉の塗布量が固形分で2.0g/m 2 (両面)、セルロースナノファイバーの塗布量 固形分で0.5g/m 2 (両面)となるように代えた以外は、実施例9と 同様にした。

 [実施例14]
 澱粉の塗布量が固形分で2.0g/m 2 (両面)、セルロースナノファイバーの塗布量 固形分で0.3g/m 2 (両面)となるように代えた以外は、実施例9と 同様にした。

 [実施例15]
 澱粉の塗布量が固形分で2.0g/m 2 (両面)、セルロースナノファイバーの塗布量 固形分で0.1g/m 2 (両面)となるように代えた以外は、実施例9と 同様にした。

 [実施例16]
 澱粉の塗布量が固形分で2.0g/m 2 (両面)、セルロースナノファイバーの塗布量 固形分で0.05g/m 2 (両面)となるように代えた以外は、実施例9と 同様にした。

 [実施例17]
 澱粉の塗布量が固形分で1.0g/m 2 (両面)、セルロースナノファイバーの塗布量 固形分で0.5g/m 2 (両面)となるように代えた以外は、実施例9と 同様にした。

 [実施例18]
 澱粉の塗布量が固形分で1.0g/m 2 (両面)、セルロースナノファイバーの塗布量 固形分で0.3g/m 2 (両面)となるように代えた以外は、実施例9と 同様にした。

 [実施例19]
 澱粉の塗布量が固形分で1.0g/m 2 (両面)、セルロースナノファイバーの塗布量 固形分で0.1g/m 2 (両面)となるように代えた以外は、実施例9と 同様にした。

 [実施例20]
 澱粉の塗布量が固形分で1.0g/m 2 (両面)、セルロースナノファイバーの塗布量 固形分で0.05g/m 2 (両面)となるように代えた以外は、実施例9と 同様にした。

 [比較例21]
 実施例9で使用した原紙に、水のみを2ロー サイズプレス装置にて塗布した。

 [比較例22]
 実施例9で使用した原紙に、ヒドロキシエチ ル化澱粉の水溶液のみを、澱粉の塗布量が固 形分で3.0g/m 2 (両面)となるよう、2ロールサイズプレス装置 にて塗布した。

 [比較例23]
 実施例9で使用した原紙に、ヒドロキシエチ ル化澱粉の水溶液のみを、澱粉の塗布量が固 形分で2.0g/m 2 (両面)となるよう、2ロールサイズプレス装置 にて塗布した。

 [比較例24]
 実施例9で使用した原紙に、ヒドロキシエチ ル化澱粉の水溶液のみを、澱粉の塗布量が固 形分で1.0g/m 2 (両面)となるよう、2ロールサイズプレス装置 にて塗布した。

 [評価試験]
 実施例3~14、比較例7~10にて製造した紙の坪 、厚さを前記の方法で測定し、これをもと 密度を算出した。さらに、平滑度、透気抵 度、および印刷時のインキ着肉性と裏抜け 前記の方法で測定した。結果を表6、図9及び 10に示す。

 表6に示されるように、本発明のセルロース ナノファイバーを澱粉と混合して塗布した紙 は、澱粉単体を塗布した紙と比較して、密度 を上昇させることなく、平滑度、透気抵抗度 が向上し、印刷時のインキ着肉性および裏抜 けが良好だった。




 
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