MATSUBA TOSHIHIRO (JP)
ABE MASAHIKO (JP)
MATSUBA TOSHIHIRO (JP)
JPH06144831A | 1994-05-24 | |||
JPS5978926A | 1984-05-08 | |||
JPH08290914A | 1996-11-05 | |||
JPH0393617A | 1991-04-18 |
バイヤー法で得られた水酸化アルミニウムを焼成して製造されるαアルミナであって、1500℃で3時間の焼結条件での焼結嵩密度(焼結後試料の質量/焼結後試料の体積)A(g/cm 3 )が3.90g/cm 3 以上であり、かつ、この焼結嵩密度Aと1600℃で3時間の焼結条件での焼結嵩密度B(g/cm 3 )との間の密度変化率{[(B-A)/A]×100}(%)が1%以下であることを特徴とする焼結特性に優れた良焼結性αアルミナ。 |
バイヤー法で得られたソーダ分(Na 2 O)含有量0.1質量%以下の水酸化アルミニウムを定置型焼成炉の炉内に仕込み嵩密度1.0g/cm 3 以下の条件で仕込み、焼成し粉砕することを特徴とする良焼結性αアルミナの製造方法。 |
焼成した後、粉砕前に水又は酸を用いて洗浄する請求項2に記載の良焼結性αアルミナの製造方法。 |
この発明は、バイヤー法で得られた水酸 アルミニウムを焼成して製造される焼結特 に優れた良焼結性αアルミナ及びその製造 法に係り、特に低温で焼結し、かつ、焼結 度における密度変化の少ない焼結特性に優 た良焼結性αアルミナ及びその製造方法に関 する。
αアルミナは、耐熱性、耐摩耗性、電気 縁性、熱伝導性、耐蝕性等の物性に優れて り、これまでも、各種のセラミックスや耐 物等の製造原料として、あるいは、研磨剤 の用途に、広範囲に用いられてきている。 して、例えば、半導体集積回路基板、切削 具、軸受け等の用途に用いられる焼結体用α アルミナについては、近年のこれら用途での 技術進歩が著しく、得られる焼結体の機械的 強度、硬度、耐摩耗性、嵩密度等の物性に対 する要求も厳しくなってきており、その製造 原料としてのαアルミナに求められる品質特 についても年々厳しくなっているのが現状 ある。
このようなことから、これまでにもαアル
ナの品質特性を改善し向上させる幾つかの
みがされ、提案されている。
例えば、特許文献1には、大気中で水酸化ア
ルミニウムを焼成する際に、原料の水酸化ア
ルミニウムとして平均粒子径と粒度分布の均
一性を表す均等数とが所定の条件を満たすも
のを用いることにより、1400℃以下の焼結温
で焼結嵩密度3.90g/cm 3
以上の焼結体が得られる易焼結アルミナの製
造方法が記載されている。
また、特許文献2には、Na含有量500ppm以下 びSi含有量40ppm以下の水酸化アルミニウム析 出粒子に平均粒子径0.5μm以下のαアルミナを0 .1~8.0重量%の範囲で添加して粉砕し、粉砕粒 を分級して粒径の大きいものを分離し、焼 し、洗浄することにより、超易焼結性アル ナを製造する方法が記載されている。
更に、特許文献3には、焼成してアルミナ に相転移する際にベーマイト相を経由するア ルミナが全体の30%以下である水酸化アルミニ ウム析出粒子を粉砕し、粉砕粒子を分級して 粒径の大きいものを分離し、焼成し、洗浄す ることにより、微粒・易焼結性アルミナを製 造する方法が記載されている。
更にまた、特許文献5には、BET比表面積5~9m 2 /g、所定の粒度分布(D10=0.1-0.2μm、D50=0.3-0.5μm D90=0.7-2μm、及び1μm以下80質量%以上)、Mg含有 100~350ppm、Na含有量400ppm以下、Si含有量100ppm 下、及びCa含有量100ppm以下であって、高い焼 結密度及び高純度の焼結体を与える易焼結性 アルミナ粒子が記載されている。
しかしながら、これまでに焼結体用途とし
提供されてきたαアルミナにおいて、例え
1300℃程度の低温で焼結して焼結嵩密度の高
ものも存在するが、このような特別に低温
焼結して焼結嵩密度の高いαアルミナにつ
ては、焼結温度がある温度を超えると低温
密度>高温嵩密度となる、いわゆるオーバ
ファイヤー現象(原理的には、焼結により閉
じていたクローズドポアの境界が更なる高温
での焼結によって収縮し、若干クローズドポ
アが開くことと考えられている。)が発生し
焼結体の密度低下による強度不足の問題が
生するのを避けられなかった。そして、オ
バーファイヤー現象の対応措置として、よ
精密な密度変化管理が重要となる。更に、
合セラミックスでは成分により収縮特性等
挙動が異なるために収縮をあわせる必要が
る。それ故、オーバーファイヤー現象によ
材料強度等の特性低下がより顕著に起こる
そこで、本発明者らは、1400~1500℃程度の温 で容易に焼結すると共に、1500℃で3時間の 結条件で得られた焼結体の焼結嵩密度が3.90g /cm 3 以上であり、しかも、焼結時の密度変化、特 に1500~1600℃での焼結時の密度変化が1%以下と めて低く、焼結特性に優れた良焼結性αア ミナの開発について鋭意検討した結果、意 なことには、ソーダ分(Na 2 O)含有量0.1質量%以下の水酸化アルミニウムを 用い、定置焼成炉の炉内に仕込み嵩密度1.0g/c m 3 未満の条件で仕込んで焼成し、粉砕すること により、目的の焼結特性に優れた良焼結性α ルミナが得られることを見い出し、本発明 完成した。
従って、本発明の目的は、低温で容易に焼 すると共に、1500℃で3時間の焼結条件での 結嵩密度が3.90g/cm 3 以上であって、焼結時の密度変化が極めて低 い焼結特性に優れた良焼結性αアルミナを提 することにある。
また、本発明の他の目的は、このような 温で容易に焼結すると共に焼結特性に優れ 良焼結性αアルミナの製造方法を提供する とにある。
すなわち、本発明は、バイヤー法で得られ 水酸化アルミニウムを焼成して製造される アルミナであって、1500℃で3時間の焼結条件 での焼結嵩密度(焼結後試料の質量/焼結後試 の体積)A(g/cm 3 )が3.90g/cm 3 以上であり、かつ、この焼結嵩密度Aと1600℃ 3時間の焼結条件での焼結嵩密度B(g/cm 3 )との間の密度変化率{[(B-A)/A]×100}(%)が1%以下 あることを特徴とする焼結特性に優れた良 結性αアルミナである。
また、本発明は、バイヤー法で得られたソ ダ分(Na 2 O)含有量0.1質量%以下の水酸化アルミニウムを 定置焼成炉の炉内に仕込み嵩密度1.0g/cm 3 以下の条件で仕込み、焼成し粉砕することを 特徴とする良焼結性αアルミナの製造方法で る。
本発明において、αアルミナとしては、1500 で3時間の焼結条件での焼結嵩密度Aが3.90g/cm 3 以上であって、この焼結嵩密度Aと1600℃で3時 間の焼結条件での焼結嵩密度Bとの間の密度 化率{[(B-A)/A]×100}(%)が1%以下である必要があ が、より好ましくは、1400℃で3時間の焼結条 件での焼結嵩密度C(g/cm 3 )と1600℃で3時間の焼結条件での焼結嵩密度B の間の密度変化率{[(B-C)/C]×100}(%)が10%以下、 り好ましくは8%以下であるのがよい。上記 結嵩密度Aと焼結嵩密度Bとの間の密度変化率 が1%を超えたり、また、上記焼結嵩密度Cと焼 結嵩密度Bとの間の密度変化率が10%を超える 、低温焼結時の収縮制御が難しくなって強 不足の問題が生じる虞がある。
また、本発明のαアルミナについては、 ましくは、1500℃で3時間の焼結条件での焼結 嵩密度Aと、1600℃で3時間の焼結条件での焼結 嵩密度Bと、1400℃で3時間の焼結条件での焼結 嵩密度CとがC<A<Bの関係を有するものであ るのがよい。このように焼結嵩密度A、焼結 密度B及び焼結嵩密度CがC<A<Bの関係を有 ることにより、オーバーファイヤー現象を 実に防止することができ、これによって焼 体の密度低下による強度不足の問題が発生 るのを確実に防止することができる。
本発明のαアルミナの製造方法において、 の原料として用いる水酸化アルミニウムに いては、バイヤー法で得られたものであっ 、少なくともそのソーダ分(Na 2 O)含有量が0.1質量%以下、好ましくは0.05質量% 下、より好ましくは0.01質量%以下であるの よい。このソーダ分(Na 2 O)含有量が0.1質量%を超えると、そのソーダ分 (Na 2 O)が焼結を阻害し、焼結温度に対して焼結嵩 度が上がり難くなるという問題が生じる。
また、本発明の方法において、αアルミ の製造に用いる焼成炉については、その炉 に所定の仕込み嵩密度で仕込む必要がある とから、焼成中に嵩密度が変化し難い、若 くは、焼成中に原料の水酸化アルミニウム 相対位置が変化しない構造の定置型の焼成 である必要があり、原料の水酸化アルミニ ム自体を移動させながら焼成する方式のロ タリーキルン、流動式焼成炉等の焼成炉は 嵩密度が常に変化するので、好ましくない
そして、この定置焼成炉の炉内に原料の水 化アルミニウムを仕込む際の仕込み嵩密度 ついては、少なくとも1.0g/cm 3 以下、好ましくは0.95g/cm 3 以下であるのがよく、この仕込み嵩密度が1.0 g/cm 3 より大きくなると、水酸化アルミニウム同士 の距離が近くなり、アルミナに変化する際の 反応熱が他の粒子に影響して一次粒子径の大 きなアルミナが生成し易くなる結果、焼結体 の強度不足となる。
更に、本発明の方法において、水酸化ア ミニウムを焼成してαアルミナを製造する の焼成条件については、特に従来の場合と わりなく、例えば、焼成温度が1000℃以上1200 ℃以下、好ましくは1050℃以上1180℃以下であ て、焼成時間が数分から十数時間、好まし は1時間以上20時間以下、好ましくは3時間以 上10時間以下である。
更にまた、本発明の方法において、焼成 に得られたαアルミナを粉砕するが、このα アルミナ粉砕の方法や条件についても、従来 の場合と特には変わることがなく、例えば、 湿式方法であっても乾式方法であってもよく 、また、振動ボールミル、回転ボールミル、 ジェットミル、ビーズミル等を用いる方法で よく、αアルミナの用途によっても異なるが 通常平均粒子径0.1μm以上1.0μm以下、好まし は0.1μm以上0.4μm以下に粉砕される。
更に、この焼成して得られたαアルミナ 粉砕に際しては、好ましくはαアルミナの粉 砕に先駆けてこのαアルミナを水あるいは酸 洗浄するのがよく、これによってαアルミ に含まれるNa、Ca等の不純物を予め十分に除 するのがよい。このように粉砕前にαアル ナの不純物を十分に除去することにより、 純物が焼結を阻害することによる焼結体の 度低下の問題を防止することができ、焼結 の嵩密度向上、電気特性の向上を達成する とができる。
本発明の良焼結性αアルミナは、1400~1500℃
度の温度で容易に焼結すると共に、1500℃で3
時間の焼結条件での焼結嵩密度が3.90g/cm 3
以上であって、1400℃、1500℃及び1600℃での焼
結時の密度変化が極めて低いという優れた焼
結特性を有する。
また、本発明の良焼結性αアルミナの製造
法によれば、このように低温で容易に焼結
ると共に優れた焼結特性を有する良焼結性α
アルミナを工業的に容易に製造することがで
きる。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本 明の好適な実施の形態を具体的に説明する
[実施例1~5及び比較例1~3]
バイヤー法で得られた表1に示す水酸化アル
ミニウムを、表1に示す仕込み密度で箱型匣
に仕込み、この箱型匣鉢を定置型電気炉(シ
コニット高熱工業株式会社製シリコニット
)の炉内にセットし、表1に示す焼成温度で10
時間焼成した後、生成したαアルミナを炉内
ら取り出した。
実施例1~3及び比較例1~3においては、6リッ トル(L)のポット内に15mmφのアルミナボール7.8 kgが収容された振動ボールミル(中央化工機株 式会社製振動ミル)を用い、そのポット内に 実施例又は各比較例で得られたαアルミナ1.0 kgとエタノール15gとを充填し、36時間粉砕し 実施例1~3及び比較例1~3のαアルミナを得た。
また、実施例4及び5においては、粉砕前 各実施例で得られたαアルミナを、その質量 2倍の水で撹拌下に洗浄すると共に、その後 量5倍の水で通水洗浄し、引き続いて上記の 施例1~3及び比較例1~3の場合と同様にして粉 し、実施例4及び5のαアルミナを得た。
このようにして得られた各実施例1~5及び比
例1~3のαアルミナについて、粒度分布測定
置(日機装株式会社製Microtrac MT3300)を用いて
その平均粒子径(Dp50)を測定した。
また、各実施例1~5及び比較例1~3のαアルミ
について、蛍光X線分析装置(株式会社リガク
製ZSX100e、実施例1~3及び比較例1~3)若しくは原
吸光分光光度計(株式会社島津製作所製AA-660
、実施例4及び5)を用いてソーダ分(Na 2
O換算)の測定を行った。
結果を表1に示す。
[焼結試験]
また、上記の各実施例1~5及び比較例1~3のα
ルミナについて、試料8~15gを秤量して金型に
入れ、34.32MPaの成形圧力で成形して高さ6~7mm×
25mmφの大きさの試料ピースを調製し、得られ
た各実施例1~5及び比較例1~3の試料ピースの質
量、直径(D)、及び高さ(H)を精密に測定した。
次に、このようにして調製された試料ピ スについて、焼結炉(株式会社モトヤマ製SH2 035D)を用い、各設定温度(1400℃、1500℃、及び1 600℃)で3時間かけて焼成し、各実施例1~5及び 較例1~3の焼結ピースを得た。
このようにして得られた各実施例1~5及び比
例1~3の焼結ピースについて、その質量、直
(D)、及び高さ(H)を精密に測定し、これら各
結ピースの質量、直径(D)、及び高さ(H)の値
先に測定した各試料ピースの質量、直径(D)
及び高さ(H)の値とから、各設定温度での焼
嵩密度A(1500℃)、焼結嵩密度B(1600℃)、及び
結嵩密度C(1400℃)を求めると共に、焼結嵩密
A(1500℃)と焼結嵩密度B(1600℃)との間の密度
化率{[(B-A)/A]×100}([B-A]密度変化率)及び焼結嵩
密度C(1400℃)と焼結嵩密度B(1600℃)との間の密
変化率{[(B-C)/C]×100}([B-C]密度変化率)を求め
。
結果を表1に示す。
上記表1に示す実施例1~5及び比較例1~3の結果 から明らかなように、ソーダ分(Na 2 O)含有量0.1質量%以下の水酸化アルミニウムを 定置型焼成炉の炉内に仕込み嵩密度1.0g/cm 3 未満の条件で仕込んで焼成し、粉砕して得ら れた各実施例1~5のαアルミナは、その何れも1 500℃で3時間の焼結条件での焼結嵩密度A(g/cm 3 )が3.90g/cm 3 以上であって、焼結嵩密度Aと焼結嵩密度Bと 間の密度変化率が1%以下であり、優れた焼 特性を示すのに対して、比較例1及び3の場合 には共にNa 2 O含有量が0.1質量%を超えており、また、比較 2の場合には仕込み嵩密度が1.0g/cm 3 を超えており、結果としてこれら比較例1~3の αアルミナは、その何れも、焼結嵩密度Aが3.9 0g/cm 3 に達しないほか、[B-A]密度変化率が1%を超え ことが判明した。
本発明の良焼結性αアルミナ及びその製造 法は、低温で容易に焼結するにもかかわら 、1500℃で3時間の焼結条件で得られた焼結体 の焼結嵩密度が3.90g/cm 3 以上であり、しかも、焼結時の密度変化、特 に1500~1600℃での焼結時の密度変化が1%以下と めて低く、焼結特性に優れており、焼結体 対する機械的強度、硬度、耐摩耗性、嵩密 等の物性に対する要求の厳しい分野におい 、工業的に極めて有用である。