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Title:
ALUMINUM ALLOY PLATE FOR PRESS MOLDING
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/152919
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides an aluminum alloy plate for press molding wherein, in aluminum or a texture of an aluminum alloy plate for press molding, the orientation density of CR orientation ({001} <520>; the same shall apply hereinafter) is higher than that in any orientation other than the CR orientation. The orientation density of the CR orientation is preferably not less than 10 (random ratio; the same shall apply hereinafter). Preferably, the orientation densities of all orientations other than the CR orientation are less than 10. The aluminum alloy plate for press molding is preferably formed of an Al-Mg-Si alloy.

Inventors:
ASANO MINEO (JP)
UCHIDA HIDETOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/059897
Publication Date:
December 18, 2008
Filing Date:
May 29, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO LIGHT METAL IND (JP)
ASANO MINEO (JP)
UCHIDA HIDETOSHI (JP)
International Classes:
C22C21/02; C22C21/00; C22C21/06; C22F1/00; C22F1/04; C22F1/05
Domestic Patent References:
WO2001004369A12001-01-18
Foreign References:
JP2000319741A2000-11-21
JPH04504141A1992-07-23
JPS61170548A1986-08-01
JPS50133912A1975-10-23
JP2000017414A2000-01-18
JP2000319741A2000-11-21
Other References:
See also references of EP 2169088A4
Attorney, Agent or Firm:
TAKAHASHI, Yoshiyasu et al. (26-19 Meieki 3-chome, Nakamura-ku, Nagoya-sh, Aichi 02, JP)
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Claims:
 アルミニウム又はアルミニウム合金板(以下、アルミニウム合金板)の集合組織について、CR方位({001}<520>、以下同じ)の方位密度が、CR方位以外のいずれの方位の方位密度よりも高いことを特徴とするプレス成形用アルミニウム合金板。
 請求項1において、上記CR方位の方位密度が10以上(ランダム比、以下同じ)であることを特徴とするプレス成形用アルミニウム合金板。
 請求項1又は請求項2において、上記CR方位以外の方位が全て10未満であることを特徴とするプレス成形用アルミニウム合金板。
 請求項1~3のいずれか1項において、上記プレス成形用アルミニウム合金板は、Al-Mg-Si系合金からなることを特徴とするプレス成形用アルミニウム合金板。
 請求項4において、上記プレス成形用アルミニウム合金板は、Si:0.2%~2.0%(質量%、以下同様)、Mg:0.2%~1.5%を含有し、さらに、Cu:1.0%以下、Zn:0.5%以下、Fe:0.5%以下、Mn:0.3%以下、Cr:0.3%以下、V:0.2%以下、Zr:0.15%以下、Ti:0.1%以下、B:0.005%以下のうち1種又は2種以上を含有し、残部は不可避的不純物及びアルミニウムからなることを特徴とするプレス成形用アルミニウム合金板。
 請求項1~3のいずれか1項において、上記プレス成形用アルミニウム合金板は、Al-Mg系合金からなることを特徴とするプレス成形用アルミニウム合金板。
 請求項6において、上記プレス成形用アルミニウム合金板は、Mg:1.5~6.5%(質量%、以下同様)を含有し、さらに、Mn:1.5%以下、Fe:0.7%以下、Si:0.5%以下、Cu:0.5%以下、Cr:0.5%以下、Zn:0.4%以下、Zr:0.3%以下、V:0.2%以下、Ti:0.2%以下、B:0.05%以下のうち1種又は2種以上を含有し、残部は不可避的不純物及びアルミニウムからなることを特徴とするプレス成形用アルミニウム合金板。
 請求項1~3のいずれか1項において、上記プレス成形用アルミニウム合金板は、Al-Mn系合金からなることを特徴とするプレス成形用アルミニウム合金板。
 請求項8において、上記プレス成形用アルミニウム合金板は、Mn:0.3~2.0%(質量%、以下同様)を含有し、さらに、Mg:1.5%以下、Si:1.0%以下、Fe:1.0%以下、Cu:0.5%以下、Cr:0.5%以下、Zn:0.5%以下、Zr:0.5%以下、V:0.2%以下、Ti:0.2%以下、B:0.05%以下のうち1種又は2種以上を含有し、残部は不可避的不純物及びアルミニウムからなることを特徴とするプレス成形用アルミニウム合金板。
Description:
プレス成形用アルミニウム合金

 本発明は、プレス成形性に優れ、特に自 車ボディパネル等の自動車部品に適したプ ス成形用アルミニウム合金板に関する。

 従来、アルミニウム合金板をプレス成形す 際には、プレス成形の種類(例えば、深絞成 形性、張出成形性、曲げ加工性等)に応じて ルミニウム合金板の集合組織等を制御し、 形性を向上させることが提案されている。
 例えば、Al-Mg-Si系アルミニウム合金板の集 組織において、少なくともCube方位の方位密 をプレス成形の種類に応じて制御すること より、該プレス成形性に合わせた改善を行 ことができることが提案されている(特許文 献1)。

 しかしながら、自動車ボディパネル等の レス成形は、上述のプレス成形の種類が複 化されている。そのため、自動車ボディパ ルをプレス成形する際の成形性を改善する めには、材料の等二軸変形、平面ひずみ変 、及び一軸変形での破断限界を改善するこ (破断限界ひずみを向上させること)が必要 ある。

特開2000-319741号公報

 本発明は、かかる従来の問題点に鑑みて されたものであって、等二軸変形、平面ひ み変形、及び一軸変形での破断限界を高め 、プレス成形に適したプレス成形用アルミ ウム合金板を提供しようとするものである

 本発明は、アルミニウム又はアルミニウ 合金板(以下、アルミニウム合金板)の集合 織について、CR方位({001}<520>、以下同じ) の方位密度が、CR方位以外のいずれの方位の 位密度よりも高いことを特徴とするプレス 形用アルミニウム合金板にある。

 上記プレス成形用アルミニウム合金板は、 の集合組織について、CR方位の方位密度が CR方位以外のいずれの方位の方位密度よりも 高い。これにより、後述する実施例から知ら れるように、プレス成形性を改善するために 必要な、材料の等二軸変形、平面ひずみ変形 、及び一軸変形での破断限界を改善すること ができる。
 このように、本発明によれば、等二軸変形 平面ひずみ変形、及び一軸変形での破断限 を高めて、プレス成形に適したプレス成形 アルミニウム合金板を得ることができる。

実施例1~3における、熱間圧延方向に対 る冷間圧延方向を示す説明図。

 本発明のプレス成形用アルミニウム合金板 、上述したように、その集合組織について CR方位の方位密度が、CR方位以外のいずれの 方位の方位密度よりも高い。
 ここで、アルミニウム合金の集合組織につ て説明する。アルミニウム合金等の多結晶 料は、いくつかの特定方位に結晶粒が配向 た組織、すなわち集合組織を持つことが多 。上記方位としては、CR方位、Cube方位、Goss 方位、Brass方位、S方位、Copper方位、RW方位、P P方位等がある。
 また、結晶方位が均一に分散して集積がな とき、集合組織はランダムであるという。
 また、集合組織の体積分率が変化すると、 性異方性が変化することが知られている。

 上記集合組織のでき方は同じ結晶系の場 でも加工法によって異なる。圧延による板 の集合組織の場合には、圧延面と圧延方向 表されており、圧延面は面を表すミラー指 (hkl)で表現され、圧延方向は方向を表すミ ー指数[uvw]で表現される(h,k,l,u,v,wは整数)。 して、hu+kv+lw=0の条件を満たすように、h,k,l びu,v,wの順番を入れ替えて得られる24通りの 価な方位群をとりまとめて{h,k,l}<u,v,w> 表し、方位の一般的表示としている。

 かかる表現方法に基づいて、上記各方位は 下のように示される。
CR方位:{001}<520>、
Cube方位:{001}<100>、
Goss方位:{011}<100>、
Brass方位:{011}<211>、
S方位:{123}<634>、
Copper方位:{112}<111>、
RW方位:{001}<110>、
PP方位:{011}<122>。

 上記集合組織の方位密度とは、ランダムな 位に対する各方位の強度を比率で示したも である。
 本発明ではこれらの方位から±10度以内の方 位のずれは同一の方位であると定義する。た だし、Copper方位及びS方位に関しては、±9度 内の方位のずれは同一の方位であると定義 る。

 上記方位密度の分布は、例えば、X線回折法 を用いて、結晶粒方位分布関数(ODF)を求める とにより測定することができる。
 具体的には、X線回折装置で測定した極点図 から、3次元方位解析によりODFを求めること 、各結晶方位の方位密度を求める。ODFはBunge の提唱した級数展開法により偶数項の展開次 数を22次、奇数項の展開次数を19次として計 する。なお、方位密度は、特定方位の方位 度とランダム方位を有する試料の方位密度 の比で示し、ランダム比と表記する。ラン ム強度Irは検体試料強度Icから次式により算 する。
 ここで、α、βは測定角度、δsはステップ角 度である。

 また、上記アルミニウム合金を製造する 法は、集合組織についてCR方位の方位密度 CR方位以外のいずれの方位の方位密度よりも 高いプレス成形用アルミニウム合金板を得る ことができれば特に限定されないが、例えば 、アルミニウム合金からなる鋳塊に対して熱 間圧延を施し、続いて、熱間圧延の圧延方向 に対して90°方向で冷間圧延を行って、更に 溶体化処理、焼入れを行い、その後、熱処 を行う方法が挙げられる。今後、上記プレ 成形用アルミニウム合金板のより効率的な 造方法が出てくる可能性は十分にある。

 また、上記プレス成形用アルミニウム合金 は、上記CR方位の方位密度が10以上(ランダ 比、以下同じ)であることが好ましい。
 この場合には、特に、等二軸変形、平面ひ み変形、及び一軸変形での破断限界を高め ことができる。
 上記CR方位の方位密度が10未満の場合には、 上記各変形での破断限界が低下し、成形性が 劣化するおそれがある。

 また、上記CR方位以外の方位が全て10未満で あることが好ましい。
 この場合には、特に、等二軸変形、平面ひ み変形、及び一軸変形での破断限界を高め ことができる。
 上記CR方位以外の方位としては、上記Cube方 、Goss方位、Brass方位、S方位、Copper方位、RW 位、PP方位等が挙げられる。

 また、上記CR方位以外の方位の方位密度 いずれかひとつでも10を越える場合には、上 記各変形での破断限界が低下し、成形性が劣 化するおそれがある。

 また、上記プレス成形用アルミニウム合金 は、Al-Mg-Si系合金からなることが好ましい
 この場合には、特に、張り出し成形や曲げ 工性が求められる自動車のエンジンフード トランクフード等、又は深絞り成形性が求 られる自動車ドアやフェンダー等に好適な 料とすることができる。

 また、特に好適な成分を有する上記Al-Mg-S i系合金は、Si:0.2%~2.0%(質量%、以下同様)、Mg:0. 2%~1.5%を含有し、さらに、Cu:1.0%以下、Zn:0.5%以 下、Fe:0.5%以下、Mn:0.3%以下、Cr:0.3%以下、V:0.2% 以下、Zr:0.15%以下、Ti:0.1%以下、B:0.005%以下の ち1種又は2種以上を含有し、残部は不可避 不純物及びアルミニウムからなる上記Al-Mg-Si 系合金であることが好ましい。

 Siは、ベークハード性を得るために必要で り、Mg 2 Si等のMg-Si系化合物を形成して強度を高める う機能する。
 Siの含有量が0.2%未満の場合には、150℃~200℃ の範囲内で10~60分保持する熱処理で十分なベ クハード性を得ることができないおそれが る。一方、Siの含有量が2.0%を超える場合に 、成形加工時の耐力が高くなり、離型によ 材料の弾性変形分が形状回復(弾性回復)す スプリングバックが大きくなる問題が生じ 。成形性が劣化するおそれがある。また、Si の含有量が0.2%未満あるいは2.0%超えの場合に 、CR方位の方位密度が低くなりやすく、成 性が劣化するおそれがある。
 Siの含有量は、更に好ましくは0.8~1.2%である 。

 また、上記プレス成形用アルミニウム合金 は、Mg:0.2~1.5%を含有する。
 Mgは、上述のSiと同様にベークハード性を得 るために必要であり、Mg 2 Si等のMg-Si系化合物を形成して強度を高める う機能する。
 Mgの含有量が0.2%未満の場合には、150℃~200℃ の範囲内で10~60分保持する熱処理で十分なベ クハード性を得ることができないおそれが る。一方、Mgの含有量が1.5%を超える場合に 、溶体化処理後もしくは最終熱処理完了後 耐力が高くなり、スプリングバックが大き なるおそれがある。また、上記Mgの含有量 0.2%未満もしくは1.5%超えの場合には、CR方位 方位密度が低くなりやすく、成形性が劣化 るおそれがある。
 Mgの含有量は、更に好ましくは0.3~0.7%である 。

 上記プレス成形用アルミニウム合金板は、 らにCu:1.0%以下、Zn:0.5%以下、Fe:0.5%以下、Mn:0 .3%以下、Cr:0.3%以下、V:0.2%以下、Zr:0.15%以下、 Ti:0.1%以下、B:0.005%以下のうち1種又は2種以上 含有する。
 Cuは、強度を高め、成形性を向上させるよ 機能する。Cuの含有量が1.0%を超える場合に 、耐食性を劣化させるおそれがある。

 Znは、表面処理時のリン酸亜鉛処理性を向 させるよう機能する。Znの含有量が0.5%を超 る場合には、耐食性が劣化するおそれがあ 。
 Fe、Mn、Cr、V、Zrは、強度を高め、結晶粒を 細化して成形加工時の肌荒れを防止するよ 機能する。Fe、Mn、Cr、V、Zrの含有量が上述 範囲を超える場合には、CR方位の方位密度 低くなりやすく、成形性が劣化するおそれ ある。
 Ti、Bは、鋳造組織を微細化して成形性を向 させるよう機能する。Ti、Bの含有量が、上 の範囲を超える場合には、CR方位の方位密 が低くなりやすく、成形性が劣化するおそ がある。

 また、上記プレス成形用アルミニウム合金 は、Al-Mg系合金からなってもよい。
 この場合には、特に、張出成形や曲げ加工 が求められる自動車のエンジンフードやト ンクフード等、又は深絞成形性が求められ 自動車ドアやフェンダー等に好適な材料と ることができる。

 また、特に好適な成分を有する上記Al-Mg 合金は、Mg:1.5~6.5%(質量%、以下同様)を含有し 、さらに、Mn:1.5%以下、Fe:0.7%以下、Si:0.5%以下 、Cu:0.5%以下、Cr:0.5%以下、Zn:0.4%以下、Zr:0.3% 下、V:0.2%以下、Ti:0.2%以下、B:0.05%以下のうち 1種又は2種以上を含有し、残部は不可避的不 物及びアルミニウムからなるAl-Mg系合金で ることが好ましい。

 Mgは、強度を得るために必要であり、固 して強度を高めるよう機能する。Mgの含有量 が1.5%未満の場合には、十分な強度を得るこ ができず、成形性が劣化するおそれがある 一方、Mgの含有量が6.5%を超える場合には、 間圧延時に割れ易くなり、圧延できなくな 問題が生じる。また、上記Mgの含有量が1.5% 満もしくは6.5%超えの場合には、CR方位の方 密度が低くなりやすく、成形性が劣化する それがある。Mgの含有量は、更に好ましくは 2.2~6.2%である。

 上記プレス成形用アルミニウム合金板は さらに、Mn:1.5%以下、Fe:0.7%以下、Si:0.5%以下 Cu:0.5%以下、Cr:0.5%以下、Zn:0.4%以下、Zr:0.3%以 下、V:0.2%以下、Ti:0.2%以下、B:0.05%以下のうち1 種又は2種以上を含有する。Mn、Fe、Si、Cu、Cr Zn、Zr、Vは、強度を高め、成形性を向上さ るよう機能する。Mn、Fe、Si、Cu、Cr、Zn、Zr、 Vの含有量が上述の範囲を超える場合には、CR 方位の方位密度が低くなりやすく、成形性が 劣化するおそれがある。Ti、Bは、鋳造組織を 微細化して成形性を向上させるよう機能する 。Ti、Bの含有量が、上述の範囲を超える場合 には、CR方位の方位密度が低くなりやすく、 形性が劣化するおそれがある。

 また、上記プレス成形用アルミニウム合金 は、Al-Mn系合金からなってもよい。
 この場合には、特に、張出成形と、深絞成 の両方が求められる自動車のヒートインシ レーター等に好適な材料とすることができ 。

 また、特に好適な成分を有する上記Al-Mn 合金は、Mn:0.3~2.0%(質量%、以下同様)を含有し 、さらに、Mg:1.5%以下、Si:1.0%以下、Fe:1.0%以下 、Cu:0.5%以下、Cr:0.5%以下、Zn:0.5%以下、Zr:0.5% 下、V:0.2%以下、Ti:0.2%以下、B:0.05%以下のうち 1種又は2種以上を含有し、残部は不可避的不 物及びアルミニウムからなるAl-Mn系合金で ることが好ましい。

 Mnは強度を得るために必要であり、Al-Mn系 化合物を形成して強度を高めるよう機能する 。Mnの含有量が0.3%未満の場合には、十分な強 度を得ることができず、成形性が劣化するお それがある。一方、Mnの含有量が2.0%を超える 場合には、鋳造時に粗大な晶出物を形成しや すくなり、成形性が劣化するおそれがある。 また、上記Mnの含有量が0.3%未満もしくは2.0% えの場合には、CR方位の方位密度が低くなり やすく、成形性が劣化するおそれがある。Mn 含有量は、更に好ましくは0.8~1.5%である。

 上記プレス成形用アルミニウム合金板は さらに、Mg:1.5%以下、Si:1.0%以下、Fe:1.0%以下 Cu:0.5%以下、Cr:0.5%以下、Zn:0.5%以下、Zr:0.5%以 下、V:0.2%以下、Ti:0.2%以下、B:0.05%以下のうち1 種又は2種以上を含有する。Mg、Si、Fe、Cu、Cr Zn、Zr、Vは、強度を高め、成形性を向上さ るよう機能する。Mg、Si、Fe、Cu、Cr、Zn、Zr、 Vの含有量が上述の範囲を超える場合には、CR 方位の方位密度が低くなりやすく、成形性が 劣化するおそれがある。Ti、Bは、鋳造組織を 微細化して成形性を向上させるよう機能する 。Ti、Bの含有量が上述の範囲を超える場合に は、CR方位の方位密度が低くなりやすく、成 性が劣化するおそれがある。

(実施例1)
 本例は、本発明のプレス成形用アルミニウ 合金板にかかる実施例及び比較例として、 レス成形用アルミニウム合金板(試料E1~試料 E10、及び試料C1~試料C10)を製造した。これら 実施例は、本発明の一実施態様を示すもの あり、本発明はこれに限定されるものでは い。
 以下、これを詳説する。

 上記プレス成形用アルミニウム合金板の製 方法について説明する。
 まず、表1に示す組成を有し、残部が不可避 的不純物とアルミニウムとからなる鋳塊(合 A~合金J)をDC鋳造法(Direct Chill Casting Process) 呼ばれる半連続鋳造方法により造塊した。 られた鋳塊を550℃で6時間の均質化処理を行 た後、室温まで冷却した。

 次に、上記鋳塊を420℃まで再加熱して熱間 延を開始し、厚さ4.0mmの熱間圧延板を得た 熱間圧延の終了温度は250℃とした。
 続いて、図1(a)に示すように、熱間圧延方向 (矢印A)に対して0°方向(矢印B)、あるいは図1(b )に示すように、熱間圧延方向(矢印C)に対し 90°方向(矢印D)で冷間圧延を行って1.0mmの冷 圧延板とした。
 更に、540℃で20秒の溶体化処理を行い、30℃ /sの冷却速度で室温まで焼入れした。
 焼入れ後、3分後に100℃で1時間の熱処理を った。これにより、プレス成形用アルミニ ム合金板(試料E1~試料E10、及び試料C1~試料C10) を得た。
 表2及び表3に、上記試料E1~試料E10、及び試 C1~試料C10について、用いた合金の種類、熱 圧延方向に対する冷間圧延方向を示す。

 次に、上記試料E1~試料E10、及び試料C1~試 C10について、最終熱処理から7日後に以下の 方法で、結晶方位分布関数(ODF)、及び成形性 評価を行った。結果を表2及び表3に併せて す。

<結晶方位分布関数>
 結晶方位分布関数(ODF)は、X線回折装置(株式 会社リガク製RINT2000)で測定した極点図から、 3次元方位解析によりODFを求めることで、各 晶方位の方位密度を求めた。ODFはBungeの提唱 した級数展開法により偶数項の展開次数を22 、奇数項の展開次数を19次として計算した なお、方位密度は、特定方位の方位密度と ンダム方位を有する試料の方位密度との比 示し、ランダム比と表記した。ランダム強 Irは検体試料強度Icから次式により算出した
 ここで、α、βは測定角度、δsはステップ角 度である。

 表2及び表3に、CR方位の方位密度と、CR方 以外の方位の中で方位密度が最大値を示す 位とその方位密度(CR方位以外の方位とその 位密度)を示す。例えば、試料E1において、 記CR方位及びCR方位以外の方位密度は、それ ぞれCR方位:20、Cube方位:2、Goss方位:0、Brass方 :1、S方位:0、Copper方位:0、RW方位:0、PP方位:1 あった。そのため、表2の試料E1のCR方位以外 の方位とその方位密度には、CR方位以外の方 で方位密度が最大値を示したCube方位と、そ の方位密度の2を示した。

<成形性>
 成形性は、等二軸変形、平面ひずみ変形、 び一軸変形の破断限界ひずみを測定するこ により評価した。
(等二軸変形)
 等二軸変形の破断限界ひずみは、φ6.3mmのス クライブドサークルを転写したブランクを用 い、パンチ径:φ50mm、成形速度:2mm/s、ブラン サイズ:100mm×100mmの成形条件にて成形試験を った後、破断限界ひずみの測定を行った。
 潤滑剤として、高粘度鉱油を両面に塗布し ビニールシートをパンチとブランクの間に 入して用いた。
 破断限界は0.40以上を合格とし、0.40未満を 合格とした。

(平面ひずみ変形)
 平面ひずみ変形は、上記等二軸変形の破断 界ひずみ測定方法の、潤滑剤を変更し、低 度鉱油をブランクに塗布して行った。
 破断限界は0.30以上を合格とし、0.30未満を 合格とした。

(一軸変形)
 一軸変形での破断限界ひずみは、φ6.35mmの クライブドサークルを転写したJIS5号試験片 用い、引っ張り試験を行い、破断限界ひず の測定を行った。
 破断限界は0.40以上を合格とし、0.40未満を 合格とした。
(評価)
 成形性は、等二軸変形、平面ひずみ変形、 軸変形のいずれにおいても合格である場合 合格(評価○)とし、いずれか一つでも不合 がある場合を不合格(評価×)とした。
 また、一例として、耐力を表2及び表3に併 て示す。

 表2より知られるごとく、実施例としての試 料E1~試料E10は、集合組織について、CR方位の 位密度がCR方位以外のいずれの方位の方位 度よりも高く、CR方位の方位密度が10以上で り、かつCube方位以外の方位の方位密度がす べて4以下であった。
 そして、上記試料E1~試料E10は、成形性つい も良好な結果を示した。
 これにより、本発明によれば、等二軸変形 平面ひずみ変形、及び一軸変形での破断限 を高めて、プレス成形に適したプレス成形 アルミニウム合金板を得ることができるこ がわかる。

 また、比較例としての試料C1~試料C10は、 合組織について、最も高い方位密度を示す 位がCR以外の方位であるCube方位であると共 、その方位密度が10以上であった。そのた 、等二軸変形、平面ひずみ変形、及び一軸 形のいずれの破断限界ひずみも低く、成形 が不合格であった。

(実施例2)
 本例では、本発明のプレス成形用アルミニ ム合金板にかかる実施例及び比較例として Al-Mg系合金からなるプレス成形用アルミニ ム合金板(試料E11~試料E14、及び試料C11~試料C1 4)を製造した。これらの実施例は、本発明の 実施態様を示すものであり、本発明はこれ 限定されるものではない。以下、これを詳 する。

 上記プレス成形用アルミニウム合金板の製 方法について説明する。
 まず、表4に示す組成を有し、残部が不可避 的不純物とアルミニウムとからなる鋳塊(合 K~合金N)をDC鋳造法と呼ばれる半連続鋳造方 により造塊した。得られた鋳塊に対して480 で6時間の均質化処理を行った後、室温まで 却した。

 次に、上記鋳塊を450℃まで再加熱して熱 圧延を開始し、厚さ3.0mmの熱間圧延板を得 。熱間圧延の終了温度は350℃とした。続い 、図1(a)に示すように、熱間圧延方向(矢印A) 対して0°方向(矢印B)、あるいは図1(b)に示す ように、熱間圧延方向(矢印C)に対して90°方 (矢印D)で冷間圧延を行って1.0mmの冷間圧延板 とした。さらに、450℃で30秒の軟化処理を行 た。これにより、プレス成形用アルミニウ 合金板(試料E11~試料E14、試料C11~試料C14)を得 た。表5に、上記試料E11~試料E14、及び、試料C 11~試料C14について、用いた合金の種類、熱間 圧延方向に対する冷間圧延方向を示す。

 次に、上記試料E11~試料E14、及び試料C11~ 料C14について、上述の実施例1と同様の方法 、結晶方位分布関数(ODF)、及び成形性の評 を行った。結果を表5に併せて示す。

 表5より知られるように、実施例としての 試料E11~試料E14は、集合組織について、CR方位 の方位密度がCR方位以外の方位の方位密度よ も高く、CR方位の方位密度が10以上であり、 かつCube方位以外の方位の方位密度が全て4以 であった。そして、上記試料E11~試料E14は、 成形性についても良好な結果を示した。これ により、本発明によれば、等二軸変形、平面 ひずみ変形、及び一軸変形での破断限界を高 めて、プレス成形に適したプレス成形用アル ミニウム合金板を得ることができることがわ かる。

 また、表5より知られるように、比較例と しての試料C11~試料C14は、集合組織について 最も高い方位密度を示す方位がCR方位以外の 方位であるCube方位であった。そのため、等 軸変形、平面ひずみ変形、及び一軸変形の ずれの破断限界ひずみも低く、成形性が不 格であった。

(実施例3)
 本例では、本発明のプレス成形用アルミニ ム合金板にかかる実施例及び比較例として Al-Mn系合金からなるプレス成形用アルミニ ム合金板(試料E15~試料E18、及び試料C15~試料C1 8)を製造した。これらの実施例は、本発明の 実施態様を示すものであり、本発明はこれ 限定されるものではない。以下、これを詳 する。

 上記プレス成形用アルミニウム合金板の製 方法について説明する。
 まず、表6に示す組成を有し、残部が不可避 的不純物とアルミニウムとからなる鋳塊(合 O~合金R)をDC鋳造法と呼ばれる半連続鋳造方 により造塊した。得られた鋳塊に対して580 で6時間の均質化処理を行った後、室温まで 却した。

 次に、上記鋳塊を500℃まで再加熱して熱 圧延を開始し、厚さ3.0mmの熱間圧延板を得 。熱間圧延の終了温度は350℃とした。続い 、図1(a)に示すように、熱間圧延方向(矢印A) 対して0°方向(矢印B)、あるいは図1(b)に示す ように、熱間圧延方向(矢印C)に対して90°方 (矢印D)で冷間圧延を行って1.0mmの冷間圧延板 とした。さらに、450℃で30秒の軟化処理を行 た。これにより、プレス成形用アルミニウ 合金板(試料E15~試料E18、試料C15~試料C18)を得 た。表7に、上記試料E15~試料E18、及び、試料C 15~試料C18について、用いた合金の種類、熱間 圧延方向に対する冷間圧延方向を示す。

 次に、上記試料E15~試料E18、及び試料C15~ 料C18について、上述の実施例1と同様の方法 、結晶方位分布関数(ODF)、及び成形性の評 を行った。結果を表7に併せて示す。

 表7より知られるように、実施例としての 試料E15~試料E18は、集合組織について、CR方位 の方位密度がCR方位以外の方位の方位密度よ も高く、CR方位の方位密度が10以上であり、 かつCube方位以外の方位の方位密度が全て3以 であった。そして、上記試料E15~試料E18は、 成形性についても良好な結果を示した。これ により、本発明によれば、等二軸変形、平面 ひずみ変形、及び一軸変形での破断限界を高 めて、プレス成形に適したプレス成形用アル ミニウム合金板を得ることができることがわ かる。

 また、表7より知られるように、比較例と しての試料C15~試料C18は、集合組織について 最も高い方位密度を示す方位がCR方位以外の 方位であるCube方位であった。そのため、等 軸変形、平面ひずみ変形、及び一軸変形の ずれの破断限界ひずみも低く、成形性が不 格であった。




 
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