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Title:
AMELIORATING AGENT FOR INSULIN RESISTANCE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/102777
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are an ameliorating agent for insulin resistance and a prophylactic/therapeutic agent for a disease associated with impaired glucose metabolism, each of which comprises a substance which inhibits the expression or activity of CPSF5 protein and/or a substance which inhibits the expression or activity of CPSF6 protein. As the substance, the following substances (a) to (c) and the like are provided: (a) an antisense nucleic acid for a nucleic acid encoding CPSF5 (or CPSF6); (b) siRNA for RNA encoding CPSF5 (or CPSF6); and (c) a nucleic acid which can produce siRNA for RNA encoding CPSF5 (or CPSF6). Further disclosed is a method for the screening of a substance capable of ameliorating insulin resistance, which utilizes a cell capable of producing CPSF5 and/or CPSF6.

Inventors:
KIZAWA HIDEKI (JP)
FUKUSUMI SHOJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052767
Publication Date:
August 28, 2008
Filing Date:
February 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TAKEDA PHARMACEUTICAL (JP)
KIZAWA HIDEKI (JP)
FUKUSUMI SHOJI (JP)
International Classes:
A61K45/00; A61K31/7105; A61K48/00; A61P1/16; A61P3/00; A61P3/04; A61P3/06; A61P3/10; A61P9/04; A61P9/10; A61P9/12; A61P13/12; A61P25/00; A61P27/02; A61P43/00; G01N33/15; G01N33/50
Domestic Patent References:
WO2006014755A22006-02-09
WO2005076939A22005-08-25
WO2005118865A22005-12-15
WO2006082390A12006-08-10
Foreign References:
US20070031841A12007-02-08
JP2007039947A2007-02-15
Other References:
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Attorney, Agent or Firm:
TAKASHIMA, Hajime (1-1 Fushimimachi 4-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 44, JP)
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Claims:
 配列番号:2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含むタンパク質の発現もしくは活性を阻害する物質、および/または配列番号:4で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含むタンパク質の発現もしくは活性を阻害する物質を含有してなるインスリン抵抗性改善剤。
 配列番号:2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含むタンパク質の発現を阻害する物質、および/または配列番号:4で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含むタンパク質の発現を阻害する物質が、以下の(a)~(c)のいずれかである、請求項1記載の剤。
(a) 各タンパク質をコードする核酸に対するアンチセンス核酸
(b) 各タンパク質をコードするRNAに対するsiRNA
(c) 各タンパク質をコードするRNAに対するsiRNAを生成し得る核酸
 糖新生阻害作用を有するものである、請求項1記載の剤。
 糖代謝異常が関与する疾患の予防・治療剤である、請求項1記載の剤。
 配列番号:2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含むタンパク質の発現もしくは活性を阻害する物質、および/または配列番号:4で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含むタンパク質の発現もしくは活性を阻害する物質の有効量を動物に投与することによる、該動物におけるインスリン抵抗性の改善方法。
 インスリン抵抗性改善剤の製造のための、配列番号:2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含むタンパク質の発現を阻害する物質、および/または配列番号:4で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含むタンパク質の発現を阻害する物質の使用。
 インスリン抵抗性改善物質のスクリーニング方法であって、以下の(a)および/または(b): 
(a) 配列番号:2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含むタンパク質またはその部分ペプチド
(b) 配列番号:4で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含むタンパク質またはその部分ペプチド
を産生する細胞を試験化合物に接触させ、前記(a)のタンパク質またはその部分ペプチドおよび/または前記(b)のタンパク質またはその部分ペプチドの発現量あるいは活性を測定することを含む方法。
 インスリン抵抗性改善物質が糖新生阻害作用を有するものである、請求項7記載の方法。
 インスリン抵抗性改善物質が糖代謝異常が関与する疾患を予防・治療し得るものである、請求項7記載の方法。
Description:
インスリン抵抗性改善剤

 本発明は、インスリン抵抗性の改善剤、 尿病の予防・治療剤、並びにそれらのスク ーニングなどに関する。

〔発明の背景〕
 インスリン抵抗性は、肝臓および骨格筋、 肪でのインスリン感受性が低下する病態で 特にII型糖尿病では、インスリン分泌不全 加え、糖尿病の発症や進展に関わる主な病 となっている。一般的に、肥満を伴う糖尿 患者の多くがインスリン抵抗性を呈してい ことから、インスリン抵抗性は肥満と深く わっていると考えられている。さらに、糖 病のみならず動脈硬化等の脂質代謝異常に 因する疾病にもインスリン抵抗性が見られ ことが知られている(非特許文献1)。

 糖尿病患者においては、肝臓での糖放出 進と、肝臓での糖取り込み低下が認められ その両者が高血糖状態形成にきわめて重要 ある。肝臓糖放出を規定する要素はグリコ ゲン分解、合成系の制御不全と糖新生系の 進に分けられるが、中でも糖尿病における 新生系のメカニズムの異常が注目されてい 。肝臓糖新生の調節は、ホスホエノールピ ビン酸カルボキシキナーゼ(phosphoenolpyruvate  carboxykinase; PEPCK)、グルコース-6-ホスファタ ゼ(glucose-6-phosphatase; G6Pase)等が律速酵素とし て働いている。これらの酵素をマウスの肝臓 で過剰発現させると、インスリン抵抗性、耐 糖能異常を生じ、また、各種糖尿病モデル動 物の肝臓でこれらの酵素の発現が亢進してい ることが知られている(非特許文献2)。

 肝臓でのこれら酵素の発現を抑制するこ により、将来の糖尿病治療につながること 期待される(非特許文献3)。具体的には、肝 インスリン抵抗性に関して、これらの酵素 転写調節を行う因子としてforkhead box O1 (Fo xo1)やperoxisome proliferator-activated receptor gamma, coactivator 1 alpha (PGC-1α)が報告されている。 PGC-1αは、代表的な糖新生酵素PEPCKの遺伝子発 現調節機構に関して転写活性化の方向に働く 。また、Foxo1は、PGC-1αとPEPCKの両方の転写を に調節する。Foxo1はインスリンにより負に 御されている。したがって、インスリン作 によってFoxo1、PGC-1αの両者の活性が低下す ため、糖新生が抑制される(非特許文献3)。 のことから、これらの転写調節因子は、肝 インスリン抵抗性に関して、抑制すればよ 創薬標的と考えられている(非特許文献3およ び4)。

 DNA上の遺伝情報がタンパク質として発現 るまでにはさまざまな過程が存在する。DNA ら転写されてできたmRNA前駆体がさまざまな プロセッシングを受け、細胞質に輸送されて タンパク質合成の鋳型として働く。そしてmRN A以外にも、tRNA、Uridine-rich small nuclear RNA (U snRNA)、micro RNA (miRNA)といったRNAが必須な機 を果たす。RNAは遺伝子発現過程の中枢を担 、複雑かつ精巧な遺伝子発現調節を行なう とで、発現の多様性を生み出している。こ 調節機構に狂いが生じた時、個体レベルで 疾病として現れる。転写調節以外にも、現 までに数多くの疾病の原因として、これら 遺伝子発現過程の異常が同定されている。 えば、mRNAスプライシング異常の例として家 性高コレステロール血症(LDL-Rスプライシン 異常)、サラセミア(β-グロビンスプライシ グ異常)が、3'末端のプロセッシングとRNA輸 の異常の例として眼咽頭筋ジストロフィー(P ABP2のGCGリピート増幅)、血栓性素因(プロトロ ンビンのpolyAの変異)が、RNA編集の異常の例と してアルツハイマー病、ハンチントン病(GluR2 のEditing異常)が知られている(非特許文献5)。 のように転写調節以外の機能としてもRNAが 患と関係することが明確になっている。

 CPSF5およびCPSF6は、mRNA前駆体から3'末端のプ ロセシングを触媒する酵素複合体であるCleava ge factor I, mammal (CFIm) を構成するサブユニ トである。CPSF5およびCPSF6はmRNAの3'末端のpol yA付加に関係する一群の遺伝子群に含まれる 伝子であり、3'末端の切断促進に必要であ 。また、mRNAの3'末端にpolyA付加シグナルが存 在する際、切断部位の決定にCPSF5が必要であ ことも報告されている(非特許文献6)。さら 、最近、CPSF5およびCPSF6はスプライシングに も関係することが報告されている(非特許文 7および8)。
Saltiel, A.R., Cell, 104巻, 517-529頁, 2001年 Friedman, J.E. et al.,J. Biol. Chem., 272巻, 3 1475-31481頁, 1997年 Samuel, V.T. et al., Diabetes, 55巻, 2042-2050 , 2006年 Puigserver, P. et al., Nature, 423巻, 550-555 , 2003年 Stoilov, P. et al., DNA Cell Biol., 21巻, 803 -818頁, 2002年 Krainer, A.R. ed., “Eukaryotic mRNA Processing  IRL (Oxford University) Press, 1997年 Millevoi, S. et al., EMBO J., 25巻, 4854-4864 , 2006年 Kubo, T. et al., Nucleic Acids Res., 34巻, 62 64-6271頁, 2006年

 インスリン抵抗性を改善する安全で優れ 糖尿病治療薬が求められている。

 RNA干渉は、二重鎖RNAがRNA-induced silencing comp lex (RISC)効果を介して特異的にmRNAを分解し翻 訳や転写の調節を行なう技術であり、遺伝子 を配列特異的に抑制できることから、将来の 医薬品への応用を考えて研究開発が進んでい る。また、本技術は簡便に遺伝子をノックダ ウンできることから、実験室レベルで遺伝子 の機能喪失の実験に用いることができる。さ らに、肝臓は、in vivoの全身投与を考えた時 核酸が到達しやすい臓器であり、short interf ering RNA (siRNA) やアンチセンスオリゴヌクレ オチド等の核酸で創薬標的を探した次のステ ップとして、簡便な核酸デリバリーシステム と組み合わせた修飾核酸の投与により、医薬 品への応用など臓器特異性の面から実現可能 性が高い。
 以上のことから、本発明者らは、上記の課 を解決する手段を得るべく、RNA機能に関係 ると予想される種々の遺伝子をsiRNAを用い ノックダウンし、肝臓糖新生を指標として 肝臓でのインスリン抵抗性に関与する遺伝 を探索した。その結果、CPSF5(cleavage and polya denylation specificitiy factor 5)およびCPSF6(cleavage and polyadenylation specificitiy factor 6)に対するs iRNAが、肝臓インスリン抵抗性改善作用を有 ることを見出した。
 本発明者らは、これらの知見に基づいてさ に検討を重ねた結果、本発明を完成するに った。

 すなわち、本発明は、
[1]配列番号:2で表されるアミノ酸配列と同一 しくは実質的に同一のアミノ酸配列を含む ンパク質の発現もしくは活性を阻害する物 、および/または配列番号:4で表されるアミ 酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミ 酸配列を含むタンパク質の発現もしくは活 を阻害する物質を含有してなるインスリン 抗性改善剤;
[2]配列番号:2で表されるアミノ酸配列と同一 しくは実質的に同一のアミノ酸配列を含む ンパク質の発現を阻害する物質、および/ま たは配列番号:4で表されるアミノ酸配列と同 もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含 タンパク質の発現を阻害する物質が、以下 (a)~(c)のいずれかである、上記[1]記載の剤;
(a) 各タンパク質をコードする核酸に対する ンチセンス核酸
(b) 各タンパク質をコードするRNAに対するsiRN A
(c) 各タンパク質をコードするRNAに対するsiRN Aを生成し得る核酸
[3]糖新生阻害作用を有するものである、上記 [1]記載の剤;
[4]糖代謝異常が関与する疾患の予防・治療剤 である、上記[1]記載の剤;
[5]配列番号:2で表されるアミノ酸配列と同一 しくは実質的に同一のアミノ酸配列を含む ンパク質の発現もしくは活性を阻害する物 、および/または配列番号:4で表されるアミ 酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミ 酸配列を含むタンパク質の発現もしくは活 を阻害する物質の有効量を動物に投与する とによる、該動物におけるインスリン抵抗 の改善方法;
[6]インスリン抵抗性改善剤の製造のための、 配列番号:2で表されるアミノ酸配列と同一も くは実質的に同一のアミノ酸配列を含むタ パク質の発現を阻害する物質、および/また は配列番号:4で表されるアミノ酸配列と同一 しくは実質的に同一のアミノ酸配列を含む ンパク質の発現を阻害する物質の使用;
[7]インスリン抵抗性改善物質のスクリーニン グ方法であって、以下の(a)および/または(b):
(a) 配列番号:2で表されるアミノ酸配列と同 もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含 タンパク質またはその部分ペプチド
(b) 配列番号:4で表されるアミノ酸配列と同 もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含 タンパク質またはその部分ペプチド
を産生する細胞を試験化合物に接触させ、前 記(a)のタンパク質またはその部分ペプチドお よび/または前記(b)のタンパク質またはその 分ペプチドの発現量あるいは活性を測定す ことを含む方法;
[8]インスリン抵抗性改善物質が糖新生阻害作 用を有するものである、上記[7]記載の方法; よび
[9]インスリン抵抗性改善物質が糖代謝異常が 関与する疾患を予防・治療し得るものである 、上記[7]記載の方法などを提供する。

 CPSF5および/またはCPSF6の発現もしくは活 を阻害する物質は、インスリン刺激した時 糖新生を抑制する一方、デキサメタゾン (De x)/8-(4-CHLOROPHENYLTHIO)-ADENOSINE 3':5'-CYCLIC MONOPHOSP HATE SODIUM SALT (8CPT)刺激による糖産生には影 しないので、乳酸アシドーシス等の毒性を 現することなく、インスリン抵抗性を改善 得るという優れた効果を奏し、安全かつ有 な抗糖尿病薬などとして用いられ得る。

H4IIE-C3-No.75株(A)および76株(B)のインスリ ン刺激糖産生抑制作用を示す図である。 siRNAライブラリーに含まれる標的RNA関 因子を示す図である。 CPSF5、CPSF6に対するsiRNAの糖産生評価(A よびB)およびmRNAノックダウンのTaqman解析(Cお よびD)の結果を示す図である。図中、NCはネ ティブコントロール(siRNA導入なし)を示す。

〔発明の詳細な説明〕
 本発明におけるCPSF5は、配列番号:2で表され るアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一 のアミノ酸配列を含むタンパク質である。ま た、本発明におけるCPSF6は、配列番号:4で表 れるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に 一のアミノ酸配列を含むタンパク質である 本明細書において、タンパク質およびペプ ドは、ペプチド標記の慣例に従って左端がN 端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル 末端)で記載される。
 CPSF5およびCPSF6タンパク質は、ヒトや他の温 血動物(例えば、モルモット、ラット、マウ 、ニワトリ、ウサギ、イヌ、ブタ、ヒツジ ウシ、サルなど)の細胞[例えば、肝細胞、脾 細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、 髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハン 細胞、表皮細胞、上皮細胞、杯細胞、内皮 胞、平滑筋細胞、線維芽細胞、線維細胞、 細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファ ージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞 肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単 )、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、 骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞もしくは間質 細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞 もしくは癌細胞など]もしくはそれらの細胞 存在するあらゆる組織[例えば、脳、脳の各 位(例、嗅球、扁桃核、大脳基底球、海馬、 視床、視床下部、大脳皮質、延髄、小脳)、 髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖 、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋 (例、平滑筋、骨格筋)、肺、消化管(例、大 、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺 末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮 骨、関節、脂肪組織(例、白色脂肪組織、褐 色脂肪組織)など]等から、自体公知のタンパ 質分離精製技術により単離・精製されるも であってよい。

 「配列番号:2(もしくは配列番号:4)で表さ るアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸 列」としては、配列番号:2(もしくは配列番 :4)で表されるアミノ酸配列と約50%以上、好 しくは約60%以上、より好ましくは約70%以上 いっそう好ましくは約80%以上、特に好まし は約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相 性を有するアミノ酸配列などが挙げられる ここで「相同性」とは、当該技術分野にお て公知の数学的アルゴリズムを用いて2つの アミノ酸配列をアラインさせた場合の、最適 なアラインメント(好ましくは、該アルゴリ ムは最適なアラインメントのために配列の 方もしくは両方へのギャップの導入を考慮 得るものである)における、オーバーラップ る全アミノ酸残基に対する同一アミノ酸お び類似アミノ酸残基の割合(%)を意味する。 類似アミノ酸」とは物理化学的性質におい 類似したアミノ酸を意味し、例えば、芳香 アミノ酸(Phe、Trp、Tyr)、脂肪族アミノ酸(Ala Leu、Ile、Val)、極性アミノ酸(Gln、Asn)、塩基 アミノ酸(Lys、Arg、His)、酸性アミノ酸(Glu、A sp)、水酸基を有するアミノ酸(Ser、Thr)、側鎖 小さいアミノ酸(Gly、Ala、Ser、Thr、Met)など 同じグループに分類されるアミノ酸が挙げ れる。このような類似アミノ酸による置換 タンパク質の表現型に変化をもたらさない( ち、保存的アミノ酸置換である)ことが予測 される。保存的アミノ酸置換の具体例は当該 技術分野で周知であり、種々の文献に記載さ れている(例えば、Bowieら,Science, 247:1306-1310 ( 1990)を参照)。

 本明細書におけるアミノ酸配列の相同性 、相同性計算アルゴリズムNCBI BLAST(National  Center for Biotechnology Information Basic Local Align ment Search Tool)を用い、以下の条件(期待値=10; ギャップを許す;マトリクス=BLOSUM62;フィルタ ング=OFF)にて計算することができる。アミ 酸配列の相同性を決定するための他のアル リズムとしては、例えば、Karlinら, Proc. Natl . Acad. Sci. USA, 90: 5873-5877 (1993)に記載のア ゴリズム[該アルゴリズムはNBLASTおよびXBLAST プログラム(version 2.0)に組み込まれている(Alt schulら, Nucleic Acids Res., 25: 3389-3402 (1997))] Needlemanら, J. Mol. Biol., 48: 444-453 (1970)に記 載のアルゴリズム[該アルゴリズムはGCGソフ ウェアパッケージ中のGAPプログラムに組み まれている]、MyersおよびMiller, CABIOS, 4: 11-1 7 (1988)に記載のアルゴリズム[該アルゴリズ はCGC配列アラインメントソフトウェアパッ ージの一部であるALIGNプログラム(version 2.0) 組み込まれている]、Pearsonら, Proc. Natl. Aca d. Sci. USA, 85: 2444-2448 (1988)に記載のアルゴ ズム[該アルゴリズムはGCGソフトウェアパッ ケージ中のFASTAプログラムに組み込まれてい ]等が挙げられ、それらも同様に好ましく用 いられ得る。

 より好ましくは、配列番号:2(もしくは配 番号:4)で表されるアミノ酸配列と実質的に 一のアミノ酸配列とは、配列番号:2(もしく 配列番号:4)で表されるアミノ酸配列と約50% 上、好ましくは約60%以上、より好ましくは 70%以上、いっそう好ましくは約80%以上、特 好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95% 上の同一性を有するアミノ酸配列である。

 「配列番号:2(もしくは配列番号:4)で表され アミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一 アミノ酸配列を含むタンパク質」は、配列 号:2(もしくは配列番号:4)で表されるアミノ 配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含み かつ配列番号:2(もしくは配列番号:4)で表さ るアミノ酸配列からなるタンパク質と実質 に同質の活性を有するタンパク質である。
 ここで「活性」とは、mRNA前駆体の3'末端プ セッシング活性(切断因子I m (CFI m ) 活性)である。また、「実質的に同質」と 、例えば生理学的に、あるいは薬理学的に て、その性質が定性的に同じであることを 味する。したがって、CFI m 活性が同等であることが好ましいが、これら の活性の程度(例、約0.01~約100倍、好ましくは 約0.1~約10倍、より好ましくは0.5~2倍)や、タン パク質の分子量などの量的要素は異なってい てもよい。
 CFI m 活性の測定は、自体公知の方法に準じて行う ことができるが、例えば、Ruegseggerら(Mol. Cell ., 1巻, 243-253頁, 1998年)に記載の方法等に従 て行うことができる。

 また、本発明におけるCPSF5として、例えば (i)配列番号:2で表されるアミノ酸配列中の1 たは2個以上(例えば1~50個程度、好ましくは1~ 30個程度、より好ましくは1~10個程度、さらに 好ましくは数(1~5、4、3もしくは2)個)のアミノ 酸が欠失したアミノ酸配列、(ii)配列番号:2で 表されるアミノ酸配列に1または2個以上(例え ば1~50個程度、好ましくは1~30個程度、より好 しくは1~10個程度、さらに好ましくは数(1~5 4、3もしくは2)個)のアミノ酸が付加したアミ ノ酸配列、(iii)配列番号:2で表されるアミノ 配列に1または2個以上(例えば1~50個程度、好 しくは1~30個程度、より好ましくは1~10個程 、さらに好ましくは数(1~5、4、3もしくは2)個 )のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、(iv) 列番号:2で表されるアミノ酸配列中の1また 2個以上(例えば1~50個程度、好ましくは1~30個 程度、より好ましくは1~10個程度、さらに好 しくは数(1~5、4、3もしくは2)個)のアミノ酸 他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、 たは(v)それらを組み合わせたアミノ酸配列 含有するタンパク質などのいわゆるムテイ も含まれる。同様に、本発明におけるCPSF6と して、例えば、(i)配列番号:4で表されるアミ 酸配列中の1または2個以上(例えば1~100個程 、好ましくは1~50個程度、より好ましくは1~10 個程度、さらに好ましくは数(1~5、4、3もしく は2)個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、 (ii)配列番号:4で表されるアミノ酸配列に1ま は2個以上(例えば1~100個程度、好ましくは1~50 個程度、より好ましくは1~10個程度、さらに ましくは数(1~5、4、3もしくは2)個)のアミノ が付加したアミノ酸配列、(iii)配列番号:4で されるアミノ酸配列に1または2個以上(例え 1~100個程度、好ましくは1~50個程度、より好 しくは1~10個程度、さらに好ましくは数(1~5 4、3もしくは2)個)のアミノ酸が挿入されたア ミノ酸配列、(iv)配列番号:4で表されるアミノ 酸配列中の1または2個以上(例えば1~100個程度 好ましくは1~50個程度、より好ましくは1~10 程度、さらに好ましくは数(1~5、4、3もしく 2)個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換され アミノ酸配列、または(v)それらを組み合わ たアミノ酸配列を含有するタンパク質など 含まれる。
 上記のようにアミノ酸配列が挿入、欠失ま は置換されている場合、その挿入、欠失ま は置換の位置は、mRNA前駆体の3'末端プロセ シング活性(CFI m 活性)が保持される限り、特に限定されない

 CPSF5タンパク質の好ましい例としては、 えば、配列番号:2で表されるアミノ酸配列か らなるヒトCPSF5(RefSeq Accession No. NP_008937.1)、 あるいは他の哺乳動物におけるそれらのホモ ログ(例えば、GenBankにRefSeq Accession No. NP_0808 99.1として登録されているマウスホモログ)、 らにはそれらの天然のアレル変異体などが げられる。また、CPSF6タンパク質の好まし 例としては、例えば、配列番号:4で表される アミノ酸配列からなるヒトCPSF6(RefSeq Accession No. NP_008938.1)、あるいは他の哺乳動物におけ るそれらのホモログ(例えば、GenBankにRefSeq Ac cession No. NP_001013409.1として登録されている ウスホモログ)、さらにはそれらの天然のア ル変異体などがあげられる。

 本発明において「CPSF5(もしくはCPSF6)タン ク質の発現を阻害する物質」とは、CPSF5(も くはCPSF6)遺伝子の転写レベル、転写後調節 レベル、蛋白質への翻訳レベル、翻訳後修 のレベル等のいかなる段階で作用するもの あってもよい。従って、CPSF5(もしくはCPSF6) ンパク質の発現を阻害する物質としては、 えば、該遺伝子の転写を阻害する物質、初 転写産物からmRNAへのプロセッシングを阻害 する物質、mRNAの細胞質への輸送を阻害する 質、mRNAの分解を促進する物質、mRNAからタン パク質への翻訳を阻害する物質、CPSF5(もしく はCPSF6)ポリペプチドの翻訳後修飾を阻害する 物質などが含まれる。いずれの段階で作用す るものであっても好ましく用いることができ るが、CPSF5もしくはCPSF6タンパク質の産生を 接的に阻害するという意味では、mRNAからタ パク質への翻訳を阻害する物質が好ましい

 CPSF5もしくはCPSF6のmRNAからタンパク質への 訳を特異的に阻害し得る物質として、好ま くは、これらのmRNAの塩基配列と相補的もし は実質的に相補的な塩基配列またはその一 を含む核酸が挙げられる。
 CPSF5もしくはCPSF6のmRNAの塩基配列と実質的 相補的な塩基配列とは、インスリン抵抗性 病態を呈し、あるいは将来インスリン抵抗 となるリスクが高いと予測される哺乳動物 内の生理的条件下において、該mRNAの標的配 に結合してその翻訳を阻害し得る程度の相 性を有する塩基配列を意味し、具体的には 例えば、該mRNAの塩基配列と完全相補的な塩 基配列(すなわち、mRNAの相補鎖の塩基配列)と 、オーバーラップする領域に関して、約70%以 上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約 90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を 有する塩基配列である。
 本発明における「塩基配列の相同性」は、 同性計算アルゴリズムNCBI BLAST(National Center  for Biotechnology Information Basic Local Alignment  Search Tool)を用い、以下の条件(期待値=10;ギャ ップを許す;フィルタリング=ON;マッチスコア= 1;ミスマッチスコア=-3)にて計算することがで きる。塩基配列の相同性を決定するための他 のアルゴリズムとしては、例えば、Karlinら,  Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 5873-5877 (1993)に 載のアルゴリズム[該アルゴリズムはNBLASTお びXBLASTプログラム(version 2.0)に組み込まれ いる(Altschulら, Nucleic Acids Res., 25: 3389-3402 (1997))]、Needlemanら, J. Mol. Biol., 48: 444-453 ( 1970)に記載のアルゴリズム[該アルゴリズムは GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラム に組み込まれている]、MyersおよびMiller, CABIOS , 4: 11-17 (1988)に記載のアルゴリズム[該アル ゴリズムはCGC配列アラインメントソフトウェ アパッケージの一部であるALIGNプログラム(ver sion 2.0)に組み込まれている]、Pearsonら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85: 2444-2448 (1988)に記載 アルゴリズム[該アルゴリズムはGCGソフトウ アパッケージ中のFASTAプログラムに組み込 れている]等が挙げられ、それらも同様に好 しく用いられ得る。

 より具体的には、CPSF5のmRNAの塩基配列と相 的もしくは実質的に相補的な塩基配列とし は、(a)配列番号:1で表される塩基配列また (b)該塩基配列とハイストリンジェントな条 下でハイブリダイズする塩基配列であって 配列番号:2で表されるアミノ酸配列からなる タンパク質と実質的に同質の活性を有するタ ンパク質をコードする配列と、相補的もしく は実質的に相補的な塩基配列が挙げられる。 また、CPSF6のmRNAの塩基配列と相補的もしくは 実質的に相補的な塩基配列としては、(a)配列 番号:3で表される塩基配列または(b)該塩基配 とハイストリンジェントな条件下でハイブ ダイズする塩基配列であって、配列番号:4 表されるアミノ酸配列からなるタンパク質 実質的に同質の活性を有するタンパク質を ードする配列と、相補的もしくは実質的に 補的な塩基配列が挙げられる。ここで「実 的に同質の活性」とは前記と同義である。
 ハイストリンジェントな条件とは、例えば ナトリウム濃度が約19~約40mM、好ましくは約 19~約20mMで、温度が約50~約70℃、好ましくは約 60~約65℃の条件をいう。特に、ナトリウム塩 度が約19mMで温度が約65℃の場合が好ましい

 CPSF5のmRNAは、好ましくは、配列番号:1に される塩基配列を含むヒトCPSF5 mRNA(RefSeq Acc ession No. NM_007006.2)、あるいは他の哺乳動物 おけるそれらのホモログ(例えば、GenBankにRef Seq Accession No. NM_026623.3として登録されてい マウスホモログ)、さらにはそれらの天然の アレル変異体である。また、CPSF6のmRNAは、好 ましくは、配列番号:3に示される塩基配列を むヒトCPSF6 mRNA(RefSeq Accession No. NM_007007.1) あるいは他の哺乳動物におけるそれらのホ ログ(例えば、GenBankにRefSeq Accession No. NM_00 1013391.1として登録されているマウスホモログ )、さらにはそれらの天然のアレル変異体で る。

 「CPSF5もしくはCPSF6のmRNAの塩基配列と相 的もしくは実質的に相補的な塩基配列の一 」とは、CPSF5もしくはCPSF6のmRNAに特異的に結 合することができ、且つ該mRNAからのタンパ 質の翻訳を阻害し得るものであれば、その さや位置に特に制限はないが、配列特異性 面から、標的配列に相補的もしくは実質的 相補的な部分を少なくとも10塩基以上、好ま しくは約15塩基以上、より好ましくは約20塩 以上含むものである。

 具体的には、CPSF5もしくはCPSF6のmRNAの塩基 列と相補的もしくは実質的に相補的な塩基 列またはその一部を含む核酸として、以下 (a)~(c)のいずれかのものが好ましく例示され 。
(a) CPSF5もしくはCPSF6のmRNAに対するアンチセ ス核酸
(b) CPSF5もしくはCPSF6のmRNAに対するsiRNA
(c) CPSF5もしくはCPSF6のmRNAに対するsiRNAを生成 し得る核酸

(a) CPSF5もしくはCPSF6のmRNAに対するアンチセ ス核酸
 本発明における「CPSF5もしくはCPSF6のmRNAに するアンチセンス核酸」とは、該mRNAの塩基 列と相補的もしくは実質的に相補的な塩基 列またはその一部を含む核酸であって、標 mRNAと特異的かつ安定した二重鎖を形成して 結合することにより、タンパク質合成を抑制 する機能を有するものである。
 アンチセンス核酸は、2-デオキシ-D-リボー を含有しているポリデオキシリボヌクレオ ド、D-リボースを含有しているポリリボヌク レオチド、プリンまたはピリミジン塩基のN- リコシドであるその他のタイプのポリヌク オチド、非ヌクレオチド骨格を有するその のポリマー(例えば、市販のタンパク質核酸 および合成配列特異的な核酸ポリマー)また 特殊な結合を含有するその他のポリマー(但 、該ポリマーはDNAやRNA中に見出されるよう 塩基のペアリングや塩基の付着を許容する 置をもつヌクレオチドを含有する)などが挙 げられる。それらは、二本鎖DNA、一本鎖DNA、 二本鎖RNA、一本鎖RNA、DNA:RNAハイブリッドで ってもよく、さらに非修飾ポリヌクレオチ (または非修飾オリゴヌクレオチド)、公知の 修飾の付加されたもの、例えば当該分野で知 られた標識のあるもの、キャップの付いたも の、メチル化されたもの、1個以上の天然の クレオチドを類縁物で置換したもの、分子 ヌクレオチド修飾のされたもの、例えば非 電結合(例えば、メチルホスホネート、ホス トリエステル、ホスホルアミデート、カル メートなど)を持つもの、電荷を有する結合 または硫黄含有結合(例、ホスホロチオエー 、ホスホロジチオエートなど)を持つもの、 えばタンパク質(例、ヌクレアーゼ、ヌクレ アーゼ・インヒビター、トキシン、抗体、シ グナルペプチド、ポリ-L-リジンなど)や糖(例 モノサッカライドなど)などの側鎖基を有し ているもの、インターカレント化合物(例、 クリジン、ソラレンなど)を持つもの、キレ ト化合物(例えば、金属、放射活性をもつ金 属、ホウ素、酸化性の金属など)を含有する の、アルキル化剤を含有するもの、修飾さ た結合を持つもの(例えば、αアノマー型の 酸など)であってもよい。ここで「ヌクレオ ド」、「ヌクレオチド」および「核酸」と 、プリンおよびピリミジン塩基を含有する みでなく、修飾されたその他の複素環型塩 をもつようなものを含んでいて良い。この うな修飾物は、メチル化されたプリンおよ ピリミジン、アシル化されたプリンおよび リミジン、あるいはその他の複素環を含む のであってよい。修飾されたヌクレオシド よび修飾されたヌクレオチドはまた糖部分 修飾されていてよく、例えば、1個以上の水 酸基がハロゲンとか、脂肪族基などで置換さ れていたり、またはエーテル、アミンなどの 官能基に変換されていてよい。

 上記の通り、アンチセンス核酸はDNAであ てもRNAであってもよく、あるいはDNA/RNAキメ ラであってもよい。アンチセンス核酸がDNAの 場合、標的RNAとアンチセンスDNAとによって形 成されるRNA:DNAハイブリッドは、内在性RNase H に認識されて標的RNAの選択的な分解を引き起 こすことができる。したがって、RNase Hによ 分解を指向するアンチセンスDNAの場合、標 配列は、mRNA中の配列だけでなく、CPSF5もし はCPSF6遺伝子の初期翻訳産物におけるイン ロン領域の配列であってもよい。例えば、 トの場合、CPSF5遺伝子は第16番染色体の16q13 域、CPSF6遺伝子は第12番染色体の12q15領域に れぞれ存在するので、これらの領域のゲノ 配列と、配列番号:1で表されるヒトCPSF5 cDNA 基配列および配列番号:3で表されるヒトCPSF6  cDNA塩基配列とをBLAST、FASTA等のホモロジー 索プログラムを用いて比較して、イントロ 配列を決定することができる。

 本発明のアンチセンス核酸の標的領域は 該アンチセンス核酸がハイブリダイズする とにより、結果としてCPSF5もしくはCPSF6タン パク質への翻訳が阻害されるものであればそ の長さに特に制限はなく、これらタンパク質 をコードするmRNAの全配列であっても部分配 であってもよく、短いもので約10塩基程度、 長いものでmRNAもしくは初期転写産物の全配 が挙げられる。合成の容易さや抗原性、細 内移行性の問題等を考慮すれば、約10~約40塩 基、特に約15~約30塩基からなるオリゴヌクレ チドが好ましいが、それに限定されない。 体的には、CPSF5およびCPSF6遺伝子の5'端ヘア ンループ、5'端6-ベースペア・リピート、5' 非翻訳領域、翻訳開始コドン、タンパク質 ード領域、ORF翻訳終止コドン、3'端非翻訳 域、3'端パリンドローム領域または3'端ヘア ンループなどが、アンチセンス核酸の好ま い標的領域として選択しうるが、それらに 定されない。

 さらに、本発明のアンチセンス核酸は、C PSF5もしくはCPSF6のmRNAや初期転写産物とハイ リダイズしてタンパク質への翻訳を阻害す だけでなく、二本鎖DNAであるこれらの遺伝 と結合して三重鎖(トリプレックス)を形成し 、RNAへの転写を阻害し得るもの(アンチジー )であってもよい。

 アンチセンス核酸を構成するヌクレオチド 子は、天然型のDNAもしくはRNAでもよいが、 定性(化学的および/または対酵素)や比活性( RNAとの親和性)を向上させるために、種々の 学修飾を含むことができる。例えば、ヌク アーゼなどの加水分解酵素による分解を防 ために、アンチセンス核酸を構成する各ヌ レオチドのリン酸残基(ホスフェート)を、例 えば、ホスホロチオエート(PS)、メチルホス ネート、ホスホロジチオネートなどの化学 飾リン酸残基に置換することができる。ま 、各ヌクレオチドの糖(リボース)の2'位の水 基を、-OR(Rは、例えばCH 3 (2'-O-Me)、CH 2 CH 2 OCH 3 (2'-O-MOE)、CH 2 CH 2 NHC(NH)NH 2 、CH 2 CONHCH 3 、CH 2 CH 2 CN等を示す)に置換してもよい。さらに、塩基 部分(ピリミジン、プリン)に化学修飾を施し もよく、例えば、ピリミジン塩基の5位への メチル基やカチオン性官能基の導入、あるい は2位のカルボニル基のチオカルボニルへの 換などが挙げられる。

 RNAの糖部のコンフォーメーションはC2'-end o(S型)とC3'-endo(N型)の2つが支配的であり、一 鎖RNAではこの両者の平衡として存在するが 二本鎖を形成するとN型に固定される。した って、標的RNAに対して強い結合能を付与す ために、2'酸素と4’炭素を架橋することに り、糖部のコンフォーメーションをN型に固 定したRNA誘導体であるBNA(LNA)(Imanishi, T. et al ., Chem. Commun., 1653-9, 2002; Jepsen, J.S. et al.,  Oligonucleotides, 14, 130-46, 2004)やENA(Morita, K.  et al., Nucleosides Nucleotides Nucleic Acids, 22, 16 19-21, 2003)もまた、好ましく用いられ得る。

 本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチ は、CPSF5およびCPSF6のcDNA配列もしくはゲノ ックDNA配列に基づいてmRNAもしくは初期転写 物の標的配列を決定し、市販のDNA/RNA自動合 成機(アプライド・バイオシステムズ社、ベ クマン社等)を用いて、これに相補的な配列 合成することにより調製することができる また、上記した各種修飾を含むアンチセン 核酸も、いずれも自体公知の手法により、 学的に合成することができる。

(b) CPSF5もしくはCPSF6のmRNAに対するsiRNA
 本明細書においては、CPSF5もしくはCPSF6のmRN Aに相補的なオリゴRNAとその相補鎖とからな 二本鎖RNA、いわゆるsiRNAもまた、CPSF5もしく CPSF6のmRNAの塩基配列と相補的もしくは実質 に相補的な塩基配列またはその一部を含む 酸に包含されるものとして定義される。短 二本鎖RNAを細胞内に導入するとそのRNAに相 的なmRNAが分解される、いわゆるRNA干渉(RNAi) と呼ばれる現象は、以前から線虫、昆虫、植 物等で知られていたが、この現象が動物細胞 でも広く起こることが確認されて以来[Nature, 411(6836): 494-498 (2001)]、リボザイムの代替技 として汎用されている。siRNAは標的となるmR NAの塩基配列情報に基づいて、市販のソフト ェア(例:RNAi Designer; Invitrogen)を用いて適宜 計することができる。具体的には、後述の 施例において使用されるsiRNA等が本発明のsi RNAとして好ましく例示され得るが、それらに 限定されない。

 siRNAを構成するリボヌクレオシド分子も た、安定性、比活性などを向上させるため 、上記のアンチセンス核酸の場合と同様の 飾を受けていてもよい。但し、siRNAの場合、 天然型RNA中のすべてのリボヌクレオシド分子 を修飾型で置換すると、RNAi活性が失われる 合があるので、RISC複合体が機能できる最小 の修飾ヌクレオシドの導入が必要である。

 siRNAは、mRNA上の標的配列のセンス鎖及び ンチセンス鎖をDNA/RNA自動合成機でそれぞれ 合成し、適当なアニーリング緩衝液中、約90~ 約95℃で約1分程度変性させた後、約30~約70℃ 約1~約8時間アニーリングさせることにより 製することができる。また、siRNAの前駆体 なるショートヘアピンRNA(shRNA)を合成し、こ をダイサー(dicer)を用いて切断することによ り調製することもできる。

(c) CPSF5もしくはCPSF6のmRNAに対するsiRNAを生成 し得る核酸
 本明細書においては、生体内で上記のCPSF5 しくはCPSF6のmRNAに対するsiRNAを生成し得るよ うにデザインされた核酸もまた、CPSF5もしく CPSF6のmRNAの塩基配列と相補的もしくは実質 に相補的な塩基配列またはその一部を含む 酸に包含されるものとして定義される。そ ような核酸としては、上記したshRNAやそれ 発現するように構築された発現ベクターな が挙げられる。shRNAは、mRNA上の標的配列の ンス鎖およびアンチセンス鎖を適当なルー 構造を形成しうる長さ(例えば15から25塩基程 度)のスペーサー配列を間に挿入して連結し 塩基配列を含むオリゴRNAをデザインし、こ をDNA/RNA自動合成機で合成することにより調 することができる。shRNAの発現カセットを む発現ベクターは、上記shRNAをコードする二 本鎖DNAを常法により作製した後、適当な発現 ベクター中に挿入することにより調製するこ とができる。shRNAの発現ベクターとしては、U 6やH1などのPol III系プロモーターを有するも が用いられ得る。この場合、該発現ベクタ を導入された動物細胞内で転写されたshRNA 、自身でループを形成した後に、内在の酵 ダイサー(dicer)などによってプロセシングさ ることにより成熟siRNAが形成される。

 CPSF5もしくはCPSF6のmRNAの塩基配列と相補 もしくは実質的に相補的な塩基配列または の一部を含む核酸の他の好ましい例として 、該mRNAをコード領域の内部で特異的に切断 得るリボザイムが挙げられる。「リボザイ 」とは、狭義には、核酸を切断する酵素活 を有するRNAをいうが、本明細書では配列特 的な核酸切断活性を有する限りDNAをも包含 る概念として用いるものとする。リボザイ として最も汎用性の高いものとしては、ウ ロイドやウイルソイド等の感染性RNAに見ら るセルフスプライシングRNAがあり、ハンマ ヘッド型やヘアピン型等が知られている。 ンマーヘッド型は約40塩基程度で酵素活性 発揮し、ハンマーヘッド構造をとる部分に 接する両端の数塩基ずつ(合わせて約10塩基 度)をmRNAの所望の切断部位と相補的な配列に することにより、標的mRNAのみを特異的に切 することが可能である。このタイプのリボ イムは、RNAのみを基質とするので、ゲノムDN Aを攻撃することがないというさらなる利点 有する。CPSF5およびCPSF6 mRNAが自身で二本鎖 造をとる場合には、RNAヘリカーゼと特異的 結合し得るウイルス核酸由来のRNAモチーフ 連結したハイブリッドリボザイムを用いる とにより、標的配列を一本鎖にすることが きる[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 98(10): 5572-5577  (2001)]。さらに、リボザイムを、それをコー ドするDNAを含む発現ベクターの形態で使用す る場合には、転写産物の細胞質への移行を促 進するために、tRNAを改変した配列をさらに 結したハイブリッドリボザイムとすること できる[Nucleic Acids Res., 29(13): 2780-2788 (2001) ]。

 CPSF5もしくはCPSF6のmRNAの塩基配列と相補 もしくは実質的に相補的な塩基配列または の一部を含む核酸は、リポソーム、ミクロ フェアのような特殊な形態で供与されたり 遺伝子治療に適用されたり、付加された形 で与えられることができうる。こうして付 形態で用いられるものとしては、リン酸基 格の電荷を中和するように働くポリリジン ようなポリカチオン体、細胞膜との相互作 を高めたり、核酸の取込みを増大せしめる うな脂質(例、ホスホリピド、コレステロー など)などの疎水性のものが挙げられる。付 加するに好ましい脂質としては、コレステロ ールやその誘導体(例、コレステリルクロロ ルメート、コール酸など)が挙げられる。こ したものは、核酸の3'端または5'端に付着さ せることができ、塩基、糖、分子内ヌクレオ シド結合を介して付着させることができうる 。その他の基としては、核酸の3'端または5' に特異的に配置されたキャップ用の基で、 キソヌクレアーゼ、RNaseなどのヌクレアーゼ による分解を阻止するためのものが挙げられ る。こうしたキャップ用の基としては、ポリ エチレングリコール、テトラエチレングリコ ールなどのグリコールをはじめとした当該分 野で知られた水酸基の保護基が挙げられるが 、それに限定されるものではない。

 これらの核酸のCPSF5(もしくはCPSF6)タンパ 質発現阻害活性は、CPSF5(もしくはCPSF6)遺伝 を導入した形質転換体、生体内や生体外のC PSF5(もしくはCPSF6)遺伝子発現系、または生体 や生体外のCPSF5(もしくはCPSF6)タンパク質翻 系を用いて調べることができる。

 本発明におけるCPSF5(もしくはCPSF6)タンパ 質の発現を阻害する物質は、上記のようなC PSF5もしくはCPSF6のmRNAの塩基配列と相補的も くは実質的に相補的な塩基配列またはその 部を含む核酸に限定されず、CPSF5(もしくはCP SF6)タンパク質の産生を直接的または間接的 阻害する限り、低分子化合物などの他の物 であってもよい。そのような物質は、例え 、後述する本発明のスクリーニング方法に り取得することができる。

 本発明において「CPSF5(もしくはCPSF6)タンパ 質の活性を阻害する物質」とは、いったん 能的に産生されたCPSF5(もしくはCPSF6)タンパ 質が、mRNA前駆体の3'末端プロセッシング活 (CFI m 活性)を発揮するのを阻害する限りいかなる のでもよく、例えば、CPSF5とCPSF6との複合体 成を阻害する物質や、CPSF5、CPSF6もしくは該 複合体のmRNA結合能を阻害する物質、CPSF5やCPS F6の核移行を阻害する物質等が挙げられる。

 具体的には、CPSF5(もしくはCPSF6)タンパク質 活性を阻害する物質として、例えば、CPSF5 しくはCPSF6タンパク質に対する抗体が挙げら れる。該抗体はポリクローナル抗体、モノク ローナル抗体の何れであってもよい。これら の抗体は、自体公知の抗体または抗血清の製 造法に従って製造することができる。抗体の アイソタイプは特に限定されないが、好まし くはIgG、IgMまたはIgA、特に好ましくはIgGが挙 げられる。また、該抗体は、標的抗原を特異 的に認識し結合するための相補性決定領域(CD R)を少なくとも有するものであれば特に制限 なく、完全抗体分子の他、例えばFab、Fab'、 F(ab’) 2 等のフラグメント、scFv、scFv-Fc、ミニボディ 、ダイアボディー等の遺伝子工学的に作製 れたコンジュゲート分子、あるいはポリエ レングリコール(PEG)等のタンパク質安定化 用を有する分子等で修飾されたそれらの誘 体などであってもよい。
 好ましい一実施態様において、CPSF5もしく CPSF6タンパク質に対する抗体はヒトを投与対 象とする医薬品として使用されることから、 該抗体(好ましくはモノクローナル抗体)はヒ に投与した場合に抗原性を示す危険性が低 された抗体、具体的には、完全ヒト抗体、 ト化抗体、マウス-ヒトキメラ抗体などであ り、特に好ましくは完全ヒト抗体である。ヒ ト化抗体およびキメラ抗体は、常法に従って 遺伝子工学的に作製することができる。また 、完全ヒト抗体は、ヒト-ヒト(もしくはマウ )ハイブリドーマより製造することも可能で はあるが、大量の抗体を安定に且つ低コスト で提供するためには、ヒト抗体産生マウスや ファージディスプレイ法を用いて製造するこ とが望ましい。

 CPSF5およびCPSF6はCFI m 複合体を形成し、mRNA前駆体の3'末端における プロセッシングにおいて中心的な役割を担っ ているので、CPSF5(もしくはCPSF6)タンパク質の 活性を阻害する物質は、細胞内移行性、核移 行性に優れた物質であることが望ましい。し たがって、CPSF5(もしくはCPSF6)タンパク質の活 性を阻害するより好ましい物質は、Lipinski's  Ruleに見合った低分子化合物である。そのよ な化合物は、例えば、後述する本発明のス リーニング法を用いて取得することができ 。

 本発明のCPSF5もしくはCPSF6の発現もしくは活 性を阻害する物質は、インスリン刺激した時 の糖新生を抑制するため、インスリン抵抗性 の病態改善に有用である。しかも該物質は、 Dex/8CPT刺激による糖産生には影響しないので 乳酸アシドーシス等の毒性を発現する危険 が低いというさらなる有利な効果を奏する
 したがって、CPSF5もしくはCPSF6の発現もしく は活性を阻害する物質を含有する医薬は、例 えばインスリン抵抗性改善剤、(肝臓などに ける)糖新生阻害剤などとして、例えば糖代 異常が関与する疾患、脂質代謝異常が関連 る疾患の予防および/または治療剤などとし て使用することができる。

(1)アンチセンス核酸、siRNA、その前駆体核酸 含有する医薬
 CPSF5もしくはCPSF6遺伝子の転写産物に相補的 に結合し、該転写産物からのタンパク質の翻 訳を抑制することができる本発明のアンチセ ンス核酸や、CPSF5もしくはCPSF6遺伝子の転写 物における相同な(もしくは相補的な)塩基配 列を標的として該転写産物を切断し得るsiRNA( もしくはリボザイム)、さらに該siRNAの前駆体 であるshRNAなど(以下、包括的に「本発明の核 酸」という場合がある)は、生体内におけるCP SF5もしくはCPSF6タンパク質の機能や作用を抑 し、肝臓などにおける糖新生作用を阻害す ことができるので、例えばインスリン抵抗 改善剤、糖新生阻害剤などとして、例えば 代謝異常が関連する疾患〔例、糖尿病(好ま しくはII型糖尿病)、糖尿病性合併症(例、神 障害、腎症、網膜症等)、耐糖能異常、肥満 、メタボリックシンドローム等〕、脂質代 異常が関連する疾患〔例、動脈硬化、高血 、高脂血症(特に高トリグリセリド血症等) 脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、突 心臓死、非致死性心筋梗塞、安静狭心症・ 作狭心症、心血管疾患(例、狭心症の不安定 等)、脳血管障害(例、脳血栓、脳塞栓、脳 血、クモ膜下出血、一過性脳虚血発作等)等 の予防・治療剤として使用することができ 。
 本発明の核酸を含有する医薬は低毒性であ 、そのまま液剤として、または適当な剤型 医薬組成物として、ヒトまたは非ヒト哺乳 物(例、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、 ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対し 経口的または非経口的(例、血管内投与、皮 投与など)に投与することができる。

 本発明の核酸を上記のインスリン抵抗性改 剤、糖および/または脂質代謝異常が関連す る疾患の予防・治療剤などとして使用する場 合、自体公知の方法に従って製剤化し、投与 することができる。即ち、本発明の核酸を、 単独あるいはレトロウイルスベクター、アデ ノウイルスベクター、アデノウイルスアソシ エーテッドウイルスベクターなどの適当な哺 乳動物細胞用の発現ベクターに機能可能な態 様で挿入した後、常套手段に従って製剤化す ることができる。該核酸は、そのままで、あ るいは摂取促進のための補助剤とともに、遺 伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカ テーテルによって投与することができる。あ るいは、エアロゾル化して吸入剤として気管 内に局所投与することもできる。
 さらに、体内動態の改良、半減期の長期化 細胞内取り込み効率の改善を目的に、前記 酸を単独またはリポソームなどの担体とと に製剤(注射剤)化し、静脈、皮下等に投与 てもよい。

 本発明の核酸は、それ自体を投与しても いし、または適当な医薬組成物として投与 てもよい。投与に用いられる医薬組成物と ては、本発明の核酸と薬理学的に許容され る担体、希釈剤もしくは賦形剤とを含むも であってよい。このような医薬組成物は、 口または非経口投与に適する剤形として提 される。

 非経口投与のための組成物としては、例 ば、注射剤、坐剤等が用いられ、注射剤は 脈注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉 射剤、点滴注射剤等の剤形を包含しても良 。このような注射剤は、公知の方法に従っ 調製できる。注射剤の調製方法としては、 えば、上記本発明の核酸を通常注射剤に用 られる無菌の水性液、または油性液に溶解 懸濁または乳化することによって調製でき 。注射用の水性液としては、例えば、生理 塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等 液等が用いられ、適当な溶解補助剤、例え 、アルコール(例、エタノール)、ポリアル ール(例、プロピレングリコール、ポリエチ ングリコール)、非イオン界面活性剤〔例、 ポリソルベート80、HCO-50(polyoxyethylene(50mol)adduc t of hydrogenated castor oil)〕等と併用してもよ い。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆 油等が用いられ、溶解補助剤として安息香酸 ベンジル、ベンジルアルコール等を併用して もよい。調製された注射液は、適当なアンプ ルに充填されることが好ましい。直腸投与に 用いられる坐剤は、上記核酸を通常の坐薬用 基剤に混合することによって調製されてもよ い。

 経口投与のための組成物としては、固体 たは液体の剤形、具体的には錠剤(糖衣錠、 フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆 剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等が挙げら れる。このような組成物は公知の方法によっ て製造され、製剤分野において通常用いられ る担体、希釈剤もしくは賦形剤を含有してい ても良い。錠剤用の担体、賦形剤としては、 例えば、乳糖、でんぷん、蔗糖、ステアリン 酸マグネシウムが用いられる。

 上記の非経口用または経口用医薬組成物 、活性成分の投与量に適合するような投薬 位の剤形に調製されることが好都合である このような投薬単位の剤形としては、例え 、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプ ル)、坐剤が挙げられる。本発明の核酸は、 えば、投薬単位剤形当たり通常5~500mg、とり け注射剤では5~100mg、その他の剤形では10~250 mg含有されていることが好ましい。

 本発明の核酸を含有する上記医薬の投与 は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルー などによっても異なるが、例えば、成人の 尿病の治療・予防のために使用する場合に 、本発明の核酸を1回量として、通常0.01~20mg /kg体重程度、好ましくは0.1~10mg/kg体重程度、 らに好ましくは0.1~5mg/kg体重程度を、1日1~5 程度、好ましくは1日1~3回程度、静脈注射に り投与するのが好都合である。他の非経口 与および経口投与の場合もこれに準ずる量 投与することができる。症状が特に重い場 には、その症状に応じて増量してもよい。

 なお前記した各組成物は、本発明の核酸 の配合により好ましくない相互作用を生じ い限り他の活性成分を含有してもよい。

 さらに、本発明の核酸は、他の薬剤、例 ば、インスリン抵抗性改善薬(例、トログリ タゾン、ビオグリタゾン等のチアドリジン誘 導体等)、血糖降下薬(例、トルブタミド、グ コピラミド、アセトヘキサミド等のスルホ ルウレア薬、グリミジン、グリブゾール等 スルホンアミド薬、メトフォルミン、ブフ ルミン等のビグアナイド薬等)、アルドース 還元酵素阻害薬(例、エパルレスタット等)、 -グルコシダーゼ阻害薬(例、ボグリボース、 アカルボース等)ソマトメジンC製剤(例、メカ セルミン等)などの抗糖尿病薬;中枢性抗肥満 (例、デキスフェンフルラミン、フェンフル ラミン、フェンテルミン等)、MCH受容体拮抗 (例、SB-568849、SNAP-7941等)、ニューロペプチド Y拮抗薬(例、CP-422935等)、カンナビノイド受容 体拮抗薬(例、SR-141716、SR-147778等)、グレリン 抗薬、レプチン、β3アゴニストなどの抗肥 薬などと併用してもよい。本発明の核酸お び上記薬剤は、同時または異なった時間に 者に投与すればよい。

(2)CPSF5もしくはCPSF6に対する抗体、CPSF5もしく はCPSF6の発現または活性を阻害する低分子化 物等を含有する医薬
 CPSF5もしくはCPSF6に対する抗体や、CPSF5もし はCPSF6の発現または活性を阻害する低分子 合物は、CPSF5もしくはCPSF6タンパク質の産生 たは活性を阻害、あるいはCPSF5およびCPSF6の 相互作用(複合体形成)を阻害することができ 。したがって、これらの物質は、生体内に けるCPSF5もしくはCPSF6タンパク質の機能や作 用を抑制し、肝臓などにおける糖新生作用を 阻害することができ、例えばインスリン抵抗 性改善剤、糖新生阻害剤などとして、例えば 糖代謝異常が関連する疾患〔例、糖尿病(好 しくはII型糖尿病)、糖尿病性合併症(例、神 障害、腎症、網膜症等)、耐糖能異常、肥満 症、メタボリックシンドローム等〕、脂質代 謝異常が関連する疾患〔例、動脈硬化、高血 圧、高脂血症(特に高トリグリセリド血症等) 脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、突 心臓死、非致死性心筋梗塞、安静狭心症・ 作狭心症、心血管疾患(例、狭心症の不安定 化等)、脳血管障害(例、脳血栓、脳塞栓、脳 血、クモ膜下出血、一過性脳虚血発作等)等 〕の予防・治療剤として使用することができ る。
 上記の抗体や低分子化合物を含有する医薬 低毒性であり、そのまま液剤として、また 適当な剤型の医薬組成物として、ヒトまた 哺乳動物(例、マウス、ラット、ウサギ、ヒ ツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど) 対して経口的または非経口的(例、血管内投 、皮下投与など)に投与することができる。

 上記の抗体や低分子化合物は、それ自体 投与してもよいし、または適当な医薬組成 として投与してもよい。投与に用いられる 薬組成物としては、上記の抗体もしくは低 子化合物またはその塩と薬理学的に許容さ 得る担体、希釈剤もしくは賦形剤とを含む のであってもよい。このような医薬組成物 、経口または非経口投与に適する剤形とし 提供される。

 非経口投与のための組成物としては、例 ば、注射剤、坐剤等が用いられ、注射剤は 脈注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉 射剤、点滴注射剤等の剤形を包含しても良 。このような注射剤は、公知の方法に従っ 調製できる。注射剤の調製方法としては、 えば、上記本発明の抗体もしくは低分子化 物またはその塩を通常注射剤に用いられる 菌の水性液、または油性液に溶解、懸濁ま は乳化することによって調製できる。注射 の水性液としては、例えば、生理食塩水、 ドウ糖やその他の補助薬を含む等張液等が いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アル ール(例、エタノール)、ポリアルコール(例 プロピレングリコール、ポリエチレングリ ール)、非イオン界面活性剤〔例、ポリソル ベート80、HCO-50(polyoxyethylene(50mol)adduct of hydro genated castor oil)〕等と併用してもよい。油性 液としては、例えば、ゴマ油、大豆油等が用 いられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル 、ベンジルアルコール等を併用してもよい。 調製された注射液は、適当なアンプルに充填 されることが好ましい。直腸投与に用いられ る坐剤は、上記抗体またはその塩を通常の坐 薬用基剤に混合することによって調製されて も良い。

 経口投与のための組成物としては、固体 たは液体の剤形、具体的には錠剤(糖衣錠、 フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆 剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等が挙げら れる。このような組成物は公知の方法によっ て製造され、製剤分野において通常用いられ る担体、希釈剤もしくは賦形剤を含有してい ても良い。錠剤用の担体、賦形剤としては、 例えば、乳糖、でんぷん、蔗糖、ステアリン 酸マグネシウムが用いられる。

 上記の非経口用または経口用医薬組成物 、活性成分の投与量に適合するような投薬 位の剤形に調製されることが好都合である このような投薬単位の剤形としては、例え 、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプ ル)、坐剤が挙げられる。抗体や低分子化合 は、投薬単位剤形当たり通常5~500mg、とりわ 注射剤では5~100mg、その他の剤形では10~250mg 有されていることが好ましい。

 上記の抗体もしくは低分子化合物または の塩を含有する上記医薬の投与量は、投与 象、対象疾患、症状、投与ルートなどによ ても異なるが、例えば、成人の糖尿病の治 ・予防のために使用する場合には、抗体も くは低分子化合物を1回量として、通常0.01~2 0mg/kg体重程度、好ましくは0.1~10mg/kg体重程度 さらに好ましくは0.1~5mg/kg体重程度を、1日1~ 5回程度、好ましくは1日1~3回程度、静脈注射 より投与するのが好都合である。他の非経 投与および経口投与の場合もこれに準ずる を投与することができる。症状が特に重い 合には、その症状に応じて増量してもよい

 上記の抗体もしくは低分子化合物またはそ 塩は、それ自体または適当な医薬組成物と て投与することができる。上記投与に用い れる医薬組成物は、上記抗体もしくは低分 化合物またはその塩と薬理学的に許容され る担体、希釈剤もしくは賦形剤とを含むも である。かかる組成物は、経口または非経 投与(例、血管内注射、皮下注射など)に適 る剤形として提供される。
 なお前記した各組成物は、上記抗体や低分 化合物との配合により好ましくない相互作 を生じない限り他の活性成分を含有しても い。
 さらに、上記の抗体もしくは低分子化合物 、本発明の核酸を含有する医薬において前 したと同様の他の薬剤と併用してもよい。 記の抗体もしくは低分子化合物とそれらの の薬剤とは、同時または異なった時間に患 に投与すればよい。

(3)疾病に対する医薬候補化合物のスクリーニ ング
 上述の通り、CPSF5および/またはCPSF6の発現 よび/または活性を阻害すると、インスリン 激したときの肝臓などにおける糖新生作用 阻害される。従って、CPSF5もしくはCPSF6タン パク質の発現および/または活性を阻害する 合物またはその塩は、例えばインスリン抵 性改善剤、糖新生阻害剤などとして、例え 糖代謝異常が関連する疾患〔例、糖尿病(好 しくはII型糖尿病)、糖尿病性合併症(例、神 経障害、腎症、網膜症等)、耐糖能異常、肥 症、メタボリックシンドローム等〕、脂質 謝異常が関連する疾患〔例、動脈硬化、高 圧、高脂血症(特に高トリグリセリド血症等) 、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、突 然心臓死、非致死性心筋梗塞、安静狭心症・ 労作狭心症、心血管疾患(例、狭心症の不安 化等)、脳血管障害(例、脳血栓、脳塞栓、脳 出血、クモ膜下出血、一過性脳虚血発作等) 〕の予防・治療剤として使用することがで る。
 したがって、CPSF5および/またはCPSF6タンパ 質あるいはその部分ペプチドを産生する細 は、該タンパク質(遺伝子)の発現量および/ たは活性を指標とすることにより、インス ン抵抗性改善作用を有する物質のスクリー ングのためのツールとして用いることがで る。

 CPSF5もしくはCPSF6タンパク質の活性を阻害 する化合物またはその塩をスクリーニングす る場合、該スクリーニング方法は、CPSF5およ /またはCPSF6タンパク質を産生する能力を有 る細胞を、試験化合物の存在下および非存 下に培養し、両条件下におけるCPSF5および/ たはCPSF6タンパク質の活性を比較すること 含む。

 上記のスクリーニング方法において用いら るCPSF5および/またはCPSF6タンパク質を産生 る能力を有する細胞としては、それらを生 発現しているヒトもしくは他の哺乳動物細 またはそれを含む生体試料(例、血液、組織 臓器等)であれば特に制限はないが、インス リン低感受性の細胞株(例、後述の実施例の 法に従って樹立され得るラット肝臓由来の ンスリン低感受性細胞株)等が好ましく挙げ れる。非ヒト動物由来の血液、組織、臓器 の場合は、それらを生体から単離して培養 てもよいし、あるいは生体自体に試験化合 を投与し、一定時間経過後にそれら生体試 を単離してもよい。
 また、CPSF5および/またはCPSF6タンパク質ま はその部分ペプチドを産生する能力を有す 細胞としては、公知慣用の遺伝子工学的手 により作製された各種の形質転換体が例示 れる。宿主としては、例えば、H4IIE-C3細胞、 HepG2細胞、HEK293細胞、COS7細胞、CHO細胞などの 動物細胞が好ましく用いられる。

 具体的には、CPSF5またはその部分ペプチド コードするDNA(即ち、配列番号:1で表される 基配列もしくは該塩基配列とハイストリン ェントな条件下でハイブリダイズし、且つ 列番号:2で表されるアミノ酸配列からなるタ ンパク質と同質の活性を有するポリペプチド をコードする塩基配列を含むDNA)、および/ま はCPSF6またはその部分ペプチドをコードす DNA(即ち、配列番号:3で表される塩基配列も くは該塩基配列とハイストリンジェントな 件下でハイブリダイズし、且つ配列番号:4で 表されるアミノ酸配列からなるタンパク質と 同質の活性を有するポリペプチドをコードす る塩基配列を含むDNA)を、適当な発現ベクタ 中のプロモーターの下流に連結して宿主動 細胞に導入することにより調製することが きる。
 CPSF5またはその部分ペプチドをコードするDN AおよびCPSF6またはその部分ペプチドをコード するDNAは、例えば、配列番号:1および配列番 :3で表される塩基配列に基づいて、適当な リゴヌクレオチドをプローブもしくはプラ マーとして合成し、前記したCPSF5およびCPSF6 産生する細胞・組織由来のcDNAもしくはcDNA イブラリーから、ハイブリダイゼーション やPCR法を用いてクローニングすることがで る。ハイブリダイゼーションは、例えば、 レキュラー・クローニング(Molecular Cloning)第 2版(J. Sambrook et al., Cold Spring HarborLab. Press , 1989)に記載の方法などに従って行なうこと できる。また、市販のライブラリーを使用 る場合、ハイブリダイゼーションは、該ラ ブラリーに添付された使用説明書に記載の 法に従って行うことができる。

 DNAの塩基配列は、公知のキット、例えば、M utan TM -super Express Km(宝酒造(株))、Mutan TM -K(宝酒造(株))等を用いて、ODA-LA PCR法、Gapped duplex法、Kunkel法等の自体公知の方法あるい それらに準じる方法に従って変換すること できる。

 クローン化されたDNAは、目的によりその ま、または所望により制限酵素で消化する 、リンカーを付加した後に、使用すること できる。該DNAはその5'末端側に翻訳開始コ ンとしてのATGを有し、また3'末端側には翻訳 終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有して いてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳 終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用 いて付加することができる。

 発現ベクターとしては、動物細胞発現プラ ミド(例:pA1-11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RSV、pcDNAI/Neo) ;λファージなどのバクテリオファージ;レト ウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウ ルスなどの動物ウイルスベクターなどが用 られる。プロモーターとしては、遺伝子の 現に用いる宿主に対応して適切なプロモー ーであればいかなるものでもよい。例えば SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロ モーター、CMV(サイトメガロウイルス)プロモ ター、RSV(ラウス肉腫ウイルス)プロモータ 、MoMuLV(モロニーマウス白血病ウイルス)LTR、 HSV-TK(単純ヘルペスウイルスチミジンキナー )プロモーターなどが用いられる。なかでも CMVプロモーター、SRαプロモーターなどが好 ましい。
 発現ベクターとしては、上記の他に、所望 よりエンハンサー、スプライシングシグナ 、ポリA付加シグナル、選択マーカー、SV40 製起点(以下、SV40 oriと略称する場合がある) などを含有しているものを用いることができ る。選択マーカーとしては、例えば、ジヒド ロ葉酸還元酵素遺伝子(以下、dhfrと略称する 合がある、メソトレキセート(MTX)耐性)、ア ピシリン耐性遺伝子(以下、amp r と略称する場合がある)、ネオマイシン耐性 伝子(以下、neo r と略称する場合がある、G418耐性)等が挙げら る。特に、dhfr遺伝子欠損チャイニーズハム スター細胞を用い、dhfr遺伝子を選択マーカ として使用する場合、チミジンを含まない 地によって目的遺伝子を選択することもで る。

 CPSF5をコードするDNAとCPSF6をコードするDNA の両方を宿主動物細胞に導入する場合、これ らのDNAは同一ベクター上にジシトロニックに 挿入されてもよいし、IRES配列を用いてモノ ストロニックに挿入されてもよい。あるい 、これらのDNAは別個の発現ベクターにそれ れ挿入され、コトランスフェクションによ 宿主細胞に導入されてもよい。

 上記したCPSF5および/またはCPSF6をコードす DNAを含む発現ベクターで宿主を形質転換す ことにより、CPSF5および/またはCPSF6発現細胞 を製造することができる。
 宿主としては、哺乳動物細胞、例えば、HepG 2細胞、HEK293細胞、HeLa細胞、ヒトFL細胞、サ COS-7細胞、サルVero細胞、チャイニーズハム ター卵巣細胞(以下、CHO細胞と略記)、dhfr遺 子欠損CHO細胞(以下、CHO(dhfr - )細胞と略記)、マウスL細胞,マウスAtT-20細胞 マウスミエローマ細胞、ラットH4IIE-C3細胞、 ラットGH3細胞などが用いられ得る。

 形質転換は、リン酸カルシウム共沈殿法 PEG法、エレクトロポレーション法、マイク インジェクション法、リポフェクション法 どにより行うことができる。例えば、細胞 学別冊8 新細胞工学実験プロトコール,263-26 7 (1995)(秀潤社発行)、ヴィロロジー(Virology),52 巻,456 (1973)に記載の方法を用いることができ る。

 上記のようにして得られる形質転換細胞 生来CPSF5およびCPSF6タンパク質を産生する能 力を有する哺乳動物細胞または該細胞を含む 組織・臓器は、例えば、約5~20%の胎仔牛血清 含む最小必須培地(MEM)〔Science,122巻,501(1952) ,ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)〔Virology,8 巻,396(1959)〕,RPMI 1640培地〔The Journal of the A merican Medical Association,199巻,519(1967)〕,199培地 Proceeding of the Society for the Biological Medici ne,73巻,1(1950)〕などの培地中で培養すること できる。培地のpHは約6~8であるのが好ましい 。培養は通常約30~40℃で行ない、必要に応じ 通気や撹拌を加える。

 試験化合物としては、例えばタンパク質 ペプチド、抗体、非ペプチド性化合物、合 化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽 液、動物組織抽出液、血漿などが挙げられ これらの物質は新規なものであってもよい 、公知のものであってもよい。

 試験化合物の上記細胞との接触は、例え 、上記の培地や各種緩衝液(例えば、HEPES緩 液、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水 トリス塩酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酢酸緩 液など)の中に試験化合物を添加して、細胞 を一定時間インキュベートすることにより実 施することができる。添加される試験化合物 の濃度は化合物の種類(溶解度、毒性等)によ 異なるが、例えば、約0.1nM~約100nMの範囲で 宜選択される。インキュベート時間として 、例えば、約10分~約24時間が挙げられる。

 CPSF5およびCPSF6タンパク質を産生する細胞 が、非ヒト哺乳動物個体の形態で提供される 場合、該動物個体の状態は特に制限されない が、例えば、db/dbマウス、ob/obマウス、KKAyマ ス、Zucker fattyラット等の肥満および/また 糖尿病モデル動物であってもよい。使用さ る動物の飼育条件に特に制限はないが、SPF レード以上の環境下で飼育されたものであ ことが好ましい。試験化合物の該細胞との 触は、該動物個体への試験化合物の投与に って行われる。投与経路は特に制限されな が、例えば、静脈内投与、動脈内投与、皮 投与、皮内投与、腹腔内投与、経口投与、 道内投与、直腸投与等が挙げられる。投与 も特に制限はないが、例えば、1回量として 0.5~20 mg/kgを、1日1~5回、好ましくは1日1~3回 1~14日間投与することができる。

 上記のスクリーニング方法におけるCPSF5 よび/またはCPSF6活性の測定は、例えば、標 したRNAプローブとの結合などを指標にして 定することができ、例えば、Ruegseggerら(1998 , 上述)に記載の方法等に従って行うことが きるが、それに限定されない。活性測定の めの被験試料としては、CPSF5および/またはC PSF6タンパク質を産生する細胞が細胞培養、 織、臓器培養の形態で提供される場合は該 養物の抽出液が、該細胞がそれを含む非ヒ 哺乳動物個体として提供される場合は、該 体から分離した細胞、組織、臓器の抽出物 例えば、肝臓、脂肪組織、骨格筋、あるい それらの組織切片等のホモジネートなどが げられる。

 例えば、上記のスクリーニング方法にお て、試験化合物の存在下におけるCPSF5およ /またはCPSF6タンパク質の活性が、試験化合 の非存在下における活性に比べて、約20%以 、好ましくは30%以上、より好ましくは約50% 上阻害された場合に、該試験化合物または の塩を、CPSF5および/またはCPSF6タンパク質の 活性阻害物質、従って、インスリン抵抗性改 善作用を有する物質の候補として選択するこ とができる。

 本発明はまた、CPSF5および/またはCPSF6タ パク質を産生する能力を有する細胞におけ 該タンパク質(遺伝子)の発現を、試験化合物 の存在下と非存在下で比較することを特徴と する、インスリン抵抗性改善作用を有する物 質のスクリーニング方法を提供する。本方法 において用いられる細胞、試験化合物の種類 、試験化合物と細胞との接触の態様などは、 上記したCPSF5および/またはCPSF6タンパク質の 性を指標とする方法と同様である。

 CPSF5およびCPSF6の発現量は、前記したCPSF5ま はCPSF6をコードするDNAとハイストリンジェ トな条件下でハイブリダイズし得る核酸、 ち、配列番号:1(配列番号:3)で表される塩基 列もしくはそれと相補的な塩基配列とハイ トリンジェントな条件下でハイブリダイズ 得る核酸(以下、「本発明の検出用核酸」と う場合がある)を用いて、CPSF5またはCPSF6のmR NAを検出することにより、RNAレベルで測定す ことができる。あるいは、該発現量は、前 したCPSF5に対する抗体またはCPSF6に対する抗 体(以下、「本発明の検出用抗体」とい場合 ある)を用いて、これらのタンパク質を検出 ることにより、タンパク質レベルで測定す こともできる。
 従って、より具体的には、本発明は、
(a)CPSF5および/またはCPSF6タンパク質を産生す 能力を有する細胞を試験化合物の存在下お び非存在下に培養し、両条件下における該 ンパク質をコードするmRNAの量を、本発明の 検出用核酸を用いて測定、比較することを特 徴とする、インスリン抵抗性改善物質のスク リーニング方法、および
(b)CPSF5および/またはCPSF6タンパク質を産生す 能力を有する細胞を試験化合物の存在下お び非存在下に培養し、両条件下における該 ンパク質の量を、本発明の検出用抗体を用 て測定、比較することを特徴とする、イン リン抵抗性改善物質のスクリーニング方法 提供する。

 例えば、CPSF5および/またはCPSF6のmRNA量また タンパク質量の測定は、具体的には以下の うにして行うことができる。
(i)正常あるいは疾患(例えば、糖尿病、肥満 高血圧、高脂血症など)モデル非ヒト哺乳動 (例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ 、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対 て、薬剤(例えば、インスリン、cAMP、グルコ ース等)などを与え、一定時間経過した後に 血液、あるいは特定の臓器(例えば、肝臓、 肪組織、骨格筋等)、あるいは臓器から単離 した組織または細胞を得る。
 得られた細胞に含まれるCPSF5および/またはC PSF6のmRNAは、例えば、通常の方法により細胞 からmRNAを抽出し、例えば、RT-PCRなどの手法 を用いることにより定量することができ、あ るいは自体公知のノーザンブロット解析によ り定量することもできる。一方、CPSF5およびC PSF6タンパク質量は、ウェスタンブロット解 や以下に詳述する各種イムノアッセイ法を いて定量することができる。
(ii)CPSF5および/またはCPSF6タンパク質をコード するポリヌクレオチドを導入した形質転換体 を上記の方法に従って作製し、該形質転換体 に含まれるCPSF5および/またはCPSF6タンパク質 るいはそれをコードするmRNAを、上記(i)と同 様にして定量、解析することができる。

 CPSF5および/またはCPSF6の発現量を変化させ 物質のスクリーニングは、
(i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物に 対して、薬剤などを与える一定時間前(30分前 ~24時間前、好ましくは30分前~12時間前、より ましくは1時間前~6時間前)もしくは一定時間 後(30分後~3日後、好ましくは1時間後~2日後、 り好ましくは1時間後~24時間後)、または薬 などと同時に試験化合物を投与し、投与か 一定時間が経過した後(30分後~3日後、好まし くは1時間後~2日後、より好ましくは1時間後~2 4時間後)、該動物から単離した細胞に含まれ CPSF5をコードするmRNA量および/またはCPSF6を ードするmRNA量、あるいはCPSF5タンパク質量 よび/またはCPSF6タンパク質量を定量、解析 ることにより、あるいは
(ii)形質転換体を常法に従って培養する際に 験化合物を培地もしくは緩衝液中に添加し 一定時間インキュベート後(1日後~7日後、好 しくは1日後~3日後、より好ましくは2日後~3 後)、該形質転換体に含まれるCPSF5をコード るmRNA量および/またはCPSF6をコードするmRNA 、あるいはCPSF5タンパク質量および/またはCP SF6タンパク質量を定量、解析することにより 行うことができる。

 上記(b)のスクリーニング方法におけるCPSF5 よびCPSF6タンパク質の量の測定は、具体的に は、例えば、
(i)本発明の検出用抗体と、試料液および標識 化されたCPSF5もしくはCPSF6タンパク質とを競 的に反応させ、該抗体に結合した標識化さ たタンパク質を検出することにより試料液 のCPSF5もしくはCPSF6タンパク質を定量する方 、
(ii)試料液と、担体上に不溶化した本発明の 出用抗体および標識化された別の本発明の 出用抗体とを、同時あるいは連続的に反応 せた後、不溶化担体上の標識剤の量(活性)を 測定することにより、試料液中のCPSF5もしく CPSF6タンパク質を定量する方法等が挙げら る。
 上記(ii)の定量法においては、2種の抗体はCP SF5もしくはCPSF6タンパク質の異なる部分を認 するものであることが望ましい。例えば、 方の抗体が該2タンパク質のN端部を認識す 抗体であれば、他方の抗体として該タンパ 質のC端部と反応するものを用いることがで る。
 標識物質を用いる測定法に用いられる標識 としては、例えば、放射性同位元素、酵素 蛍光物質、発光物質などが用いられる。放 性同位元素としては、例えば、〔 125 I〕、〔 131 I〕、〔 3 H〕、〔 14 C〕、〔 32 P〕、〔 33 P〕、〔 35 S〕などが用いられる。上記酵素としては、 定で比活性の大きなものが好ましく、例え 、β-ガラクトシダーゼ、β-グルコシダーゼ アルカリフォスファターゼ、パーオキシダ ゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる 蛍光物質としては、例えば、フルオレスカ ン、フルオレッセンイソチオシアネート、 アニン蛍光色素などが用いられる。発光物 としては、例えば、ルミノール、ルミノー 誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが いられる。さらに、抗体あるいは抗原と標 剤との結合にビオチン-(ストレプト)アビジ 系を用いることもできる。

 本発明の検出用抗体を用いるCPSF5およびCP SF6タンパク質の定量法は、特に制限されるべ きものではなく、試料液中の抗原量に対応し た、抗体、抗原もしくは抗体-抗原複合体の を化学的または物理的手段により検出し、 れを既知量の抗原を含む標準液を用いて作 した標準曲線より算出する測定法であれば いずれの測定法を用いてもよい。例えば、 フロメトリー、競合法、イムノメトリック およびサンドイッチ法が好適に用いられる 感度、特異性の点で、例えば、後述するサ ドイッチ法を用いるのが好ましい。

 抗原あるいは抗体の不溶化にあたっては 物理吸着を用いてもよく、また通常タンパ 質あるいは酵素等を不溶化・固定化するの 用いられる化学結合を用いてもよい。担体 しては、アガロース、デキストラン、セル ースなどの不溶性多糖類、ポリスチレン、 リアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂 あるいはガラス等があげられる。

 サンドイッチ法においては不溶化した本 明の検出用抗体に試料液を反応させ(1次反 )、さらに標識化した別の本発明の検出用抗 を反応させ(2次反応)た後、不溶化担体上の 識剤の量もしくは活性を測定することによ 、試料液中のCPSF5もしくはCPSF6タンパク質を 定量することができる。1次反応と2次反応は の順序で行っても、また、同時に行っても いし、時間をずらして行ってもよい。標識 剤および不溶化の方法は前記のそれらに準 ることができる。また、サンドイッチ法に る免疫測定法において、固相化抗体あるい 標識化抗体に用いられる抗体は必ずしも1種 類である必要はなく、測定感度を向上させる 等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用い もよい。

 本発明の検出用抗体は、サンドイッチ法以 の測定システム、例えば、競合法、イムノ トリック法あるいはネフロメトリーなどに 用いることができる。
 競合法では、試料液中のCPSF5もしくはCPSF6タ ンパク質と標識したCPSF5もしくはCPSF62タンパ 質とを抗体に対して競合的に反応させた後 未反応の標識抗原(F)と、抗体と結合した標 抗原(B)とを分離し(B/F分離)、B、Fいずれかの 標識量を測定することにより、試料液中のCPS F5もしくはCPSF6タンパク質を定量する。本反 法には、抗体として可溶性抗体を用い、ポ エチレングリコールや前記抗体(1次抗体)に する2次抗体などを用いてB/F分離を行う液相 、および、1次抗体として固相化抗体を用い るか(直接法)、あるいは1次抗体は可溶性のも のを用い、2次抗体として固相化抗体を用い (間接法)固相化法とが用いられる。
 イムノメトリック法では、試料液中のCPSF5 しくはCPSF6タンパク質と固相化したCPSF5もし はCPSF6タンパク質とを一定量の標識化抗体 対して競合反応させた後、固相と液相を分 するか、あるいは試料液中のCPSF5もしくはCPS F6タンパク質と過剰量の標識化抗体とを反応 せ、次に固相化したCPSF5もしくはCPSF6タンパ ク質を加えて未反応の標識化抗体を固相に結 合させた後、固相と液相を分離する。次に、 いずれかの相の標識量を測定し試料液中の抗 原量を定量する。
 また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるい 溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性 沈降物の量を測定する。試料液中のCPSF5も くはCPSF6タンパク質の量がわずかであり、少 量の沈降物しか得られない場合にもレーザー の散乱を利用するレーザーネフロメトリーな どが好適に用いられる。

 これら個々の免疫学的測定法を本発明の定 方法に適用するにあたっては、特別の条件 操作等の設定は必要とされない。それぞれ 方法における通常の条件、操作法に当業者 通常の技術的配慮を加えてCPSF5およびCPSF6タ ンパク質の測定系を構築すればよい。これら の一般的な技術手段の詳細については、総説 、成書などを参照することができる。
 例えば、入江 寛編「ラジオイムノアッセ 」(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編「続 ジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発 )、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書 院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫 測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、 川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学 院、昭和62年発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」  Vol. 70 (Immunochemical Techniques (Part A))、同書  Vol. 73 (Immunochemical Techniques (Part B))、同書  Vol. 74 (Immunochemical Techniques (Part C))、同書  Vol. 84 (Immunochemical Techniques (Part D: Selected  Immunoassays))、同書 Vol. 92 (Immunochemical Techniqu es (Part E: Monoclonal Antibodies and General Immunoa ssay Methods))、同書 Vol. 121 (Immunochemical Techni ques (Part I: Hybridoma Technology and Monoclonal Ant ibodies))(以上、アカデミックプレス社発行)な を参照することができる。
 以上のようにして、本発明の検出用抗体を いることによって、細胞におけるCPSF5およ CPSF6タンパク質の量を感度よく定量すること ができる。

 例えば、上記(a)および(b)のスクリーニン 法において、試験化合物の存在下におけるC PSF5および/またはCPSF6の発現量(mRNA量またはタ ンパク質量)が、試験化合物の非存在下にお る場合に比べて、約20%以上、好ましくは約30 %以上、より好ましくは約50%以上阻害された 合、該試験化合物またはその塩を、CPSF5およ び/またはCPSF6タンパク質の発現阻害物質、従 って、インスリン抵抗性改善作用を有する物 質の候補として選択することができる。

 本発明のスクリーニング方法を用いて得ら る、CPSF5の発現および/または活性阻害物質 らびにCPSF6の発現および/または活性阻害物 (遊離体であっても塩の形態であってもよい )は、例えばインスリン抵抗性改善剤、糖新 阻害剤などとして、例えば糖代謝異常が関 する疾患〔例、糖尿病(好ましくはII型糖尿 )、糖尿病性合併症(例、神経障害、腎症、網 膜症等)、耐糖能異常、肥満症、メタボリッ シンドローム等〕、脂質代謝異常が関連す 疾患〔例、動脈硬化、高血圧、高脂血症(特 高トリグリセリド血症等)、脂肪肝、非アル コール性脂肪肝炎(NASH)、突然心臓死、非致死 性心筋梗塞、安静狭心症・労作狭心症、心血 管疾患(例、狭心症の不安定化等)、脳血管障 (例、脳血栓、脳塞栓、脳出血、クモ膜下出 血、一過性脳虚血発作等)等〕の予防・治療 として使用することができる。
 本発明のスクリーニング方法を用いて得ら る物質を上述の予防・治療剤として使用す 場合、上記CPSF5(もしくはCPSF6)の発現および/ または活性を阻害する低分子化合物と同様に 製剤化することができ、同様の投与経路およ び投与量で、ヒトまたは哺乳動物(例えば、 ウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウ 、ウマ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジー ど)に対して、経口的にまたは非経口的に投 することができる。

 本明細書において、塩基やアミノ酸などを 号で表示する場合、IUPAC-IUB Commissionon Bioche mical Nomenclature による略号あるいは当該分野 における慣用略号に基づくものであり、その 例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性 体があり得る場合は、特に明示しなければL を示すものとする。
 DNA     :デオキシリボ核酸
 cDNA    :相補的デオキシリボ核酸
  A      :アデニン
  T      :チミン
  G      :グアニン
  C      :シトシン
 RNA     :リボ核酸
 mRNA    :メッセンジャーリボ核酸
 dATP    :デオキシアデノシン三リン酸
 dTTP    :デオキシチミジン三リン酸
 dGTP    :デオキシグアノシン三リン酸
 dCTP    :デオキシシチジン三リン酸
 ATP     :アデノシン三リン酸
 EDTA    :エチレンジアミン四酢酸
 SDS     :ドデシル硫酸ナトリウム
 Gly      :グリシン
 Ala         :アラニン
 Val         :バリン
 Leu         :ロイシン
 Ile         :イソロイシン
 Ser         :セリン
 Thr         :スレオニン
 Cys          :システイン
 Met      :メチオニン
 Glu      :グルタミン酸
 Asp      :アスパラギン酸
 Lys      :リジン
 Arg      :アルギニン
 His      :ヒスチジン
 Phe      :フェニルアラニン
 Tyr      :チロシン
 Trp      :トリプトファン
 Pro      :プロリン
 Asn      :アスパラギン
 Gln      :グルタミン
 pGlu    :ピログルタミン酸
 Sec     :セレノシステイン(selenocysteine)

 本願明細書の配列表の配列番号は、以下の 列を示す。
〔配列番号:1〕
CPSF5をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:2〕
CPSF5のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:3〕
CPSF6をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:4〕
CPSF6のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:5〕
CPSF5に対するsiRNA、CPSF5-1の標的配列の塩基配 を示す。
〔配列番号:6〕
CPSF5に対するsiRNA、CPSF5-1のセンス鎖の塩基配 を示す。
〔配列番号:7〕
CPSF5に対するsiRNA、CPSF5-1のアンチセンス鎖の 基配列を示す。
〔配列番号:8〕
CPSF6に対するsiRNA、CPSF6-1の標的配列の塩基配 を示す。
〔配列番号:9〕
CPSF6に対するsiRNA、CPSF6-1のセンス鎖の塩基配 を示す。
〔配列番号:10〕
CPSF6に対するsiRNA、CPSF6-1のアンチセンス鎖の 基配列を示す。
〔配列番号:11〕
CPSF5に対するsiRNA、CPSF5-2の標的配列の塩基配 を示す。
〔配列番号:12〕
CPSF5に対するsiRNA、CPSF5-2のセンス鎖の塩基配 を示す。
〔配列番号:13〕
CPSF5に対するsiRNA、CPSF5-2のアンチセンス鎖の 基配列を示す。
〔配列番号:14〕
CPSF5に対するsiRNA、CPSF5-3の標的配列の塩基配 を示す。
〔配列番号:15〕
CPSF5に対するsiRNA、CPSF5-3のセンス鎖の塩基配 を示す。
〔配列番号:16〕
CPSF5に対するsiRNA、CPSF5-3のアンチセンス鎖の 基配列を示す。
〔配列番号:17〕
CPSF5に対するsiRNA、CPSF5-4の標的配列の塩基配 を示す。
〔配列番号:18〕
CPSF5に対するsiRNA、CPSF5-4のセンス鎖の塩基配 を示す。
〔配列番号:19〕
CPSF5に対するsiRNA、CPSF5-4のアンチセンス鎖の 基配列を示す。
〔配列番号:20〕
CPSF6に対するsiRNA、CPSF6-2の標的配列の塩基配 を示す。
〔配列番号:21〕
CPSF6に対するsiRNA、CPSF6-2のセンス鎖の塩基配 を示す。
〔配列番号:22〕
CPSF6に対するsiRNA、CPSF6-2のアンチセンス鎖の 基配列を示す。
〔配列番号:23〕
CPSF6に対するsiRNA、CPSF6-3の標的配列の塩基配 を示す。
〔配列番号:24〕
CPSF6に対するsiRNA、CPSF6-3のセンス鎖の塩基配 を示す。
〔配列番号:25〕
CPSF6に対するsiRNA、CPSF6-3のアンチセンス鎖の 基配列を示す。
〔配列番号:26〕
CPSF6に対するsiRNA、CPSF6-4の標的配列の塩基配 を示す。
〔配列番号:27〕
CPSF6に対するsiRNA、CPSF6-4のセンス鎖の塩基配 を示す。
〔配列番号:28〕
CPSF6に対するsiRNA、CPSF6-4のアンチセンス鎖の 基配列を示す。
〔配列番号:29〕
CPSF5に対するセンスプライマーの塩基配列を す。
〔配列番号:30〕
CPSF5に対するアンチセンスプライマーの塩基 列を示す。
〔配列番号:31〕
CPSF5に対するプローブの塩基配列を示す。
〔配列番号:32〕
CPSF6に対するセンスプライマーの塩基配列を す。
〔配列番号:33〕
CPSF6に対するアンチセンスプライマーの塩基 列を示す。
〔配列番号:34〕
CPSF6に対するプローブの塩基配列を示す。
〔配列番号:35〕
β-アクチンに対するセンスプライマーの塩基 配列を示す。
〔配列番号:36〕
β-アクチンに対するアンチセンスプライマー の塩基配列を示す。
〔配列番号:37〕
β-アクチンに対するプローブの塩基配列を示 す。

 以下において、実施例および参考例によ 本発明をより具体的にするが、この発明は れらに限定されるものではない。

実施例1
(1)ラット肝臓癌細胞株H4IIE-C3のクローン株H4II E-C3-No.75, 76株の選択
 ラット肝臓癌細胞株H4IIE-C3株(大日本製薬)か ら限界希釈法により分離したクローンとして H4IIE-C3-No.75細胞およびH4IIE-C3-No.76細胞を取得 た。これらのクローンについて、インスリ 刺激による糖産生抑制作用の評価を以下の うに行った。
 H4IIE-C3-No.75細胞およびH4IIE-C3-No.76細胞を、1 コラーゲンコートされた24wellプレート(日本 クトンディッキンソン社)に5x10 5 cells/wellの濃度になるようにそれぞれ播種し 。増殖培地(Dulbecco Modified Essential Medium F12( DMEM/F12)+10%(Fetal Bovine Serum (FBS))中で48時間H4II E-C3-No.75細胞またはH4IIE-C3-No.76細胞を培養後、 無血清培地(DMEM)に交換し、さらに24時間後イ スリンを添加したグルコース産生バッファ (GPB: 20mM 乳酸ナトリウム、1mM ピルビン酸 トリウム、および15mM HEPES (pH7.5)を含むフ ノールレッド不含、グルコース不含DMEM)に交 換して1時間インキュベートした。さらにデ サメタゾン(Dex)500nMおよび8-(4-CHLOROPHENYLTHIO)-AD ENOSINE 3':5'-CYCLIC MONOPHOSPHATE SODIUM SALT(8CPT)、( Calbiochem社) 100μMを添加後、翌日培養上清を 収した。得られた培養上清中のグルコース 度をAmplex red Glucose oxidase assayキット(Molecul ar Probes社)を用いて測定した。最終的にラッ 肝臓癌細胞株H4IIE-C3由来株として取得した ンスリン抵抗性株H4IIE-C3-No.75のインスリンの Dex/8CPT刺激糖産生抑制作用のED 50 値は330nM、およびインスリン感受性株 H4IIE-C3 -No.76のED 50 値は60nMであった(図1)。

(2)RNA関連因子のsiRNAのライブラリー作成
 C.elegansにおいて全ゲノムを対象としたsiRNA 用いたスクリーニングによりRNA干渉効果に 要な役割を果たすと報告されている遺伝子90 個 (Science 308巻, 1164頁, 2005年)の哺乳類ホモ ログ、既知のRISC関連因子、RNAヘリカーゼお びRNA結合タンパクなどをRNA関連因子の候補 して選択し、RNA関連因子として図2に示す。 2記載のラット型271遺伝子のsiRNAをAmbion社お びQiagen社から購入し、RNA関連因子ライブラ ーとした。

(3)H4IIE-C3-No.75株を用いたスクリーニング系の 定
 上記で得られたインスリン抵抗性株H4IIE-C3-N o.75株に、上記RNA関連因子ライブラリーのsiRNA  271個をそれぞれエレクトロポレーション法 より導入した。エレクトロポレーションに Nucleofector II(amaxa社)を用い、試薬はNucleofecto r T、プログラムはT-27(amaxa社)を使用した。細 胞数は4x10 6 cells/キュベットとした。20μM siRNAを16μl/キュ ベット使用した。エレクトロポレーション後 48時間増殖培地で培養後、無血清培地で24時 インキュベートした。さらにPhosphate Buffered Saline(PBS)で二回洗浄しGPBに交換した後、終濃 度100nMインスリン刺激およびDex/8CPT刺激を24時 間行った後、培養上清を回収し、Amplex red Gl ucose oxidase assayキット(Molecular Probes)を用い 糖濃度を測定した。無刺激の場合、Dex/8CPT刺 激をしてインスリン無刺激の場合、Dex/8CPT刺 に加えインスリンで刺激した場合の各糖濃 を測定し、インスリン無刺激時よりもイン リン刺激時に強く糖産生を抑制させるsiRNA スクリーニングし、CPSF5に対するsiRNA(CPSF5-1) よびCPSF6に対するsiRNA(CPSF6-1)を選択した。
a)CPSF5-1
標的配列: 5'-CCGTATATTCCTGCACATATA-3'(配列番号:5)
センス鎖: 5'-r(GUAUAUUCCUGCACAUAUA)dTdT-3'(配列番号 :6)
アンチセンス鎖: 5'-r(UAUAUGUGCAGGAAUAUAC)dGdG-3'(配 列番号:7)
b)CPSF6-1
標的配列: 5'-TAGATGTAGTGTTGTAATAAA-3'(配列番号:8)
センス鎖: 5'-r(GAUGUAGUGUUGUAAUAAA)dTdT-3'(配列番号 :9)
アンチセンス鎖: 5'-r(UUUAUUACAACACUACAUC)dTdA-3'(配 列番号:10)

(4)CPSF5に対するsiRNAおよびCPSF6に対するsiRNAの 産生評価
 CPSF5およびCPSF6に対して、それぞれ以下のよ うな複数のsiRNAを用いてインスリン刺激時の 産生の抑制に対する効果を調べた。その結 図3の上段に示すように、複数のsiRNA、具体 にはCPSF5-1、2、3、4およびCPSF6-1、2、3、4に ってインスリン刺激時の糖産生を抑制させ 効果が確認できた。
i)CPSF5に対するsiRNA
a)CPSF5-1
標的配列: 5'-CCGTATATTCCTGCACATATA-3'(配列番号:5)
センス鎖: 5'-r(GUAUAUUCCUGCACAUAUA)dTdT-3'(配列番号 :6)
アンチセンス鎖: 5'-r(UAUAUGUGCAGGAAUAUAC)dGdG-3'(配 列番号:7)
b)CPSF5-2
標的配列: 5'-CTGGTTCAGCTTCAAGAGAAA-3'(配列番号:11)
センス鎖: 5'-r(GGUUCAGCUUCAAGAGAAA)dTdT-3'(配列番号 :12)
アンチセンス鎖: 5'-r(UUUCUCUUGAAGGUGAACC)dAdG-3'(配 列番号:13)
c)CPSF5-3
標的配列: 5'-CGGGAGGAATTTGATAAGATT-3'(配列番号:14)
センス鎖: 5'-r(GGAGGAAUUUGAUAAGAUU)dTdT-3'(配列番号 :15)
アンチセンス鎖: 5'-r(AAUCUUAUCAAAUUCCUCC)dCdG-3'(配 列番号:16)
d)CPSF5-4
標的配列: 5'-CCAGGAGAAGATGAAGTTGAA-3'(配列番号:17)
センス鎖: 5'-r(AGGAGAAGAUGAAGUUGAA)dTdT-3'(配列番号 :18)
アンチセンス鎖: 5'-r(UUCAACUUCAUCUUCUCCU)dGdG-3'(配 列番号:19)
ii)CPSF6に対するsiRNA
a)CPSF6-1
標的配列: 5'-TAGATGTAGTGTTGTAATAAA-3'(配列番号:8)
センス鎖: 5'-r(GAUGUAGUGUUGUAAUAAA)dTdT-3'(配列番号 :9)
アンチセンス鎖: 5'-r(UUUAUUACAACACUACAUC)dTdA-3'(配 列番号:10)
b)CPSF6-2
標的配列: 5'-CACGGTCAGAATCCTGTTGTA-3'(配列番号:20)
センス鎖: 5'-r(CGGUCAGAAUCCUGUUGUA)dTdT-3'(配列番号 :21)
アンチセンス鎖: 5'-r(UACAACAGGAUUCUGACCG)dTdG-3'(配 列番号:22)
c)CPSF6-3
標的配列: 5'-ATCGGGCAAATGGACAATCAA-3'(配列番号:23)
センス鎖: 5'-r(CGGGCAAAUGGACAAUCAA)dTdT-3'(配列番号 :24)
アンチセンス鎖: 5'-r(UUGAUUGUCCAUUUGCCCG)dAdT-3'(配 列番号:25)
d)CPSF6-4
標的配列: 5'-AACGTGCAATATGCAAATAAT-3'(配列番号:26)
センス鎖: 5'-r(CGUGCAAUAUGCAAAUAAU)dTdT-3'(配列番号 :27)
アンチセンス鎖: 5'-r(AUUAUUUGCAUAUUGCACG)dTdT-3'(配 列番号:28)

(5)CPSF5およびCPSF6のmRNAノックダウンのTaqman解
 上記のsiRNAを(3)の方法に従い導入した細胞H4 IIE-C3-No.75株から抽出したRNA中のCPSF5、CPSF6お びβ-アクチンのmRNA量をTaqmanPCR法により測定 た。TaqmanPCR法は、以下のプライマーおよび ローブを用い、ABI社の定法に従い行った。 果は図3の下段に示すものであった。
i)CPSF5に対する
センスプライマー: 5'-ACCGTTGTTTGAACTGTACGACA-3'(配 列番号:29)
アンチセンスプライマー: 5'-CCTGCTCAGCAGCTGAGGA-3 '(配列番号:30)
プローブ: 5'-FAM-TCCGGGATACGGACCCATCATTTCTAGT-TAMURA-3' (配列番号:31)
ii)CPSF6に対する
センスプライマー: 5'-AGCTTGTGATTTTGCTGAATGG-3'(配 番号:32)
アンチセンスプライマー: 5'-TTTTTTGACCCCTAACACATT GAA-3'(配列番号:33)
プローブ: 5'-FAM-ATGTAAACGTGTAAAAACTGAAATCTGACAGAGCAATC -TAMURA-3'(配列番号:34)
iii)β-アクチンに対する
センスプライマー: 5'-TCCTGGCCTCACTGTCCAC-3'(配列 号:35)
アンチセンスプライマー: 5'-GGGCCGGACTCATCGTACT-3 '(配列番号:36)
プローブ: 5'-FAM-TTCCAGCAGATGTGGATCAGCAAGCA-TAMURA-3'( 列番号:37)

 CPSF5およびCPSF6はsiRNAを導入することにより Dex/8CPT刺激による糖産生に大きく影響せず Dex/8CPT刺激およびインスリン刺激を行った時 に糖産生の抑制を増強する、すなわちインス リン抵抗性を回復させる作用が認められた。
 このインスリン抵抗性を回復させる作用は それぞれのsiRNAを用いて実験した時の標的 なる遺伝子のノックダウン効率と相関して た。例えば、siRNA、CPSF6-4は糖産生抑制効果 少ないが、それはsiRNAによるCPSF6遺伝子のノ クダウン効果が少ないことに起因すると考 られる。同じ遺伝子に対する複数のsiRNAが 様の作用を示したことから、この作用がsiRNA のオフターゲット効果によるものではないこ と、すなわち、この効果がCPSF5およびCPSF6遺 子のノックダウン効果によるものであるこ が示された(図3)。これより、CPSF5およびCPSF 発現または機能を阻害することにより、イ スリン抵抗性の改善、糖尿病の予防・治療 可能であることが示された。

 CPSF5の発現もしくは活性を阻害する物質 よびCPSF6の発現もしくは活性を阻害する物質 は、インスリン刺激した時の糖新生を抑制す る一方、Dex/8CPT刺激による糖産生には影響し い。このことは、該物質は、乳酸アシドー ス等の毒性を発現することなく、インスリ 抵抗性を改善し得ることを示している。従 て、該物質は、安全かつ有効な抗糖尿病薬 どとして有用である。

 mRNA前駆体の3'末端におけるプロセシング部 が一つの遺伝子で複数存在する例が多数知 れているが(Genome Biol. 6,R100 (2005))、CPSF5に するsiRNAを用いてCPSF5遺伝子をノックダウン すると、3'-UTRに複数の切断部位を有する遺伝 子のmRNAではその切断位置が5'側にシフトし、 結果として3'-UTRの短いmRNAができることが報 されている(Nucleic Acids Res. 34,6264 (2006))。3' -UTRに切断部位が一箇所しかない遺伝子の場 には、CPSF5をノックダウンしても3'-UTRの長さ は変わらないので、CPSF5は、ある特定の遺伝 について、mRNA前駆体の3'-UTRの長さ決定に寄 与すると言える。
 一方、microRNA(21-23塩基対からなるnon-coding RN A)は遺伝子のmRNAの3'-UTRに存在する特定の配列 を認識することにより、その遺伝子の翻訳を 抑制することが知られている。microRNAによる 御を受けている遺伝子に関してmRNAの3'-UTRの 長さが短くなることによりその認識配列が失 われてしまうと、その遺伝子のmicroRNAによる 訳抑制を受けなくなるため、そのタンパク の発現量は増加する可能性がある。
 これらのことから、CPSF5の発現または活性 阻害する物質は、あるインスリン感受性増 作用を示す遺伝子の3'-UTRの長さを短くする とにより、糖尿病の病態において、ある種 microRNAによる特定の遺伝子の翻訳抑制を解除 し、結果として特定のタンパク質を増大させ ることによってインスリン感受性を増強し、 抗糖尿病作用を発揮している可能性がある。 CPSF6に関しても同じCFI m 複合体の構成成分であるため同様の可能性が 示唆される。
 このように、CPSF5およびCPSF6は、一般にmRNA 駆体の3'末端におけるプロセシングを担って はいるが、その発現または活性阻害による影 響は、特定の遺伝子発現に限局されることか ら、CPSF5もしくはCPSF6の発現または活性を阻 する物質は低毒性であり、インスリン感受 増強作用を示す特定の遺伝子の発現増強に 択的に作用し得ると考えられる。

 本発明を好ましい態様を強調して説明して たが、好ましい態様が変更され得ることは 業者にとって自明であろう。本発明は、本 明が本明細書に詳細に記載された以外の方 で実施され得ることを意図する。したがっ 、本発明は添付の「請求の範囲」の精神お び範囲に包含されるすべての変更を含むも である。
 本出願は、日本で出願された特願2007-039947( 願日:平成19年2月20日)を基礎としており、そ こに開示される内容は本明細書にすべて包含 されるものである。また、ここで述べられた 特許および特許出願明細書を含む全ての刊行 物に記載された内容は、ここに引用されたこ とによって、その全てが明示されたと同程度 に本明細書に組み込まれるものである。