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Title:
ANTI-FOGGING COMPOUND AND ANTI-FOGGING COMPOUND KIT, AND ANTI-FOGGING PRODUCT AND METHOD OF MANUFACTURING SAID ANTI-FOGGING PRODUCT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/151086
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are an anti-fogging compound and anti-fogging compound kit, and an anti-fogging product and method of manufacturing said anti-fogging product, which are able to form an anti-fogging film provided with both excellent anti-fogging properties and durability. The anti-fogging compound is characterized by containing a specific low-hygroscopicity cross-linked polymer (A), obtained using a polyepoxy with less than 20% aqueous solubility, and a specific high-hygroscopicity cross-linked polymer (B), obtained using a polyepoxy with 100% aqueous solubility. Also disclosed are an anti-fogging compound kit to prepare the anti-fogging compound, an anti-fogging product, whereby an anti-fogging film is formed by said anti-fogging compound on a hydrophilic substrate, and a method of manufacturing said anti-fogging product.

Inventors:
KISHIKAWA NORIKO (JP)
MORI KAZUTOMO (JP)
FUJIMOTO HIROKI (JP)
YONEDA TAKASHIGE (JP)
SHIMIZU JUNICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/060640
Publication Date:
December 17, 2009
Filing Date:
June 10, 2009
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI GLASS CO LTD (JP)
KISHIKAWA NORIKO (JP)
MORI KAZUTOMO (JP)
FUJIMOTO HIROKI (JP)
YONEDA TAKASHIGE (JP)
SHIMIZU JUNICHI (JP)
International Classes:
C09D163/00; B05D5/00; B05D7/24; C03C17/28; C09D5/00; C09D7/12; C09K3/00
Domestic Patent References:
WO2007052710A12007-05-10
Foreign References:
JPH0827291A1996-01-30
JPH01155968A1989-06-19
JPH11129404A1999-05-18
JP3700273B22005-09-28
JP2008273067A2008-11-13
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (JP)
Spring name Kenji (JP)
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Claims:
 親水性基体上に防曇膜を形成する組成物であって、下記に示す低吸湿性架橋重合体(A)および高吸湿性架橋重合体(B)を含むことを特徴とする防曇性組成物。
 低吸湿性架橋重合体(A):水溶解度が20%未満のポリエポキシド類(a1)、硬化剤(a2)、および下式(I)で表されるシランカップリング剤(a3)の架橋重合反応により得られる重合体である。ただし、前記ポリエポキシド類(a1)、硬化剤(a2)、およびシランカップリング剤(a3)の合計質量(100質量%)に対するシランカップリング剤(a3)の質量割合は7質量%以上である。
 高吸湿性架橋重合体(B):水溶解度が100%のポリエポキシド類(b1)と硬化剤(b2)との架橋重合反応により得られる重合体(B1)、または/および前記ポリエポキシド類(b1)と硬化剤(b2)と下式(I)で表されるシランカップリング剤(b3)との架橋重合反応により得られる重合体(B2)からなる重合体である。ただし、前記重合体(B2)の架橋重合反応に用いる前記ポリエポキシド類(b1)、硬化剤(b2)、およびシランカップリング剤(b3)の合計質量(100質量%)に対するシランカップリング剤(b3)の質量割合は3質量%以下である。
 R 1 -(CH 2 ) n -Si(R 2 ) m (R 3 ) 3-m   ・・・(I)
(式中のR 1 はグリシジル基、アミノ基、または(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルキル基であり、nは1~3の整数であり、R 2 は加水分解性基であり、mは1~3の整数であり、R 3 は炭素原子数1~3のアルキル基である。)
 前記低吸湿性架橋重合体(A)と前記高吸湿性架橋重合体(B)の質量比が30/70~70/30である、請求項1に記載の防曇性組成物。
 前記硬化剤(a2)および硬化剤(b2)がポリアミン系化合物である、請求項1または2に記載の防曇性組成物。
 前記ポリエポキシド類(a1)が、6個以上の水酸基を有する脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテルである、請求項1~3のいずれかに記載の防曇性組成物。
 前記ポリエポキシド類(b1)が、脂肪族グリシジルエーテル化合物である、請求項1~4のいずれかに記載の防曇性組成物。
 前記シランカップリング剤(a3)が、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、または3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランである、請求項1~5のいずれかに記載の防曇性組成物。
 請求項1~6のいずれかに記載の防曇性組成物を調製するキットであって、
 前記低吸湿性架橋重合体(A)を含む液状組成物と、前記高吸湿性架橋重合体(B)を含む液状組成物とを備えた防曇性組成物用キット。
 親水性基体と、該親水性基体表面に形成された防曇膜とを有し、前記防曇膜は請求項1~6のいずれかに記載の防曇性組成物から形成される架橋樹脂層からなり、かつ前記防曇膜の飽和吸湿量が20mg/cm 3 以上である防曇性物品。
 前記架橋樹脂層が、界面活性剤を含む、請求項8に記載の防曇性物品。
 親水性基体上に架橋樹脂層からなる防曇膜を有する防曇性物品の製造方法であって、
 請求項1~6のいずれかに記載の防曇性組成物を含む液状組成物を前記親水性基体上に塗布する工程と、加熱硬化して架橋樹脂層を形成する工程とを含む防曇性物品の製造方法。
Description:
防曇性組成物および防曇性組成 用キットならびに防曇性物品および該防曇 物品の製造方法

 本発明は、たとえば、ガラスやプラスチ ク等の透明な親水性基体に塗布し、微細な 滴が付着しても該親水性基体の透明性が損 われることを防ぐ防曇膜、その防曇膜を形 するための防曇性組成物およびその防曇性 成物を調製するための防曇性組成物用キッ 、ならびに防曇性物品および該防曇性物品 製造方法に関する。

 たとえば、ガラスやプラスチック等の透 な基体は、基体表面が露点温度以下になっ 場合、表面に微細な水滴が付着し、該水滴 よって透過光が散乱されて透明性が損なわ る、いわゆる「曇り」の状態となる。曇り 防ぐ手段として、種々の提案がなされてい 。

 具体的には、(1)基体表面を界面活性剤で 理して表面張力を下げる方法、(2)基体表面 親水性樹脂や親水性無機化合物を用いて親 性基を付与し、基体表面を親水性にする方 、(3)基体表面に吸湿性化合物層を設け、基 表面の雰囲気湿度を低減する方法、(4)基体 ヒーター等を設置して加温することにより 基体表面を露点温度以上に維持する方法な が知られている。

 (1)や(2)の方法は、形成した膜表面に水膜が 成されるため、高湿度環境に長期間保持さ ると、歪みの発生や水滴化などにより外観 変化が起きやすく、べたべたした使用感も や不快に感じられる場合があった。
 一方、(3)の方法では、表面に水が存在しな ので、外観に変化はなく、使用感も好評で る場合が多かった。さらに、(3)の方法は、 記方法のなかでもランニングコストを必要 せずに最も優れた防曇性を発現できること ら、曇りを防ぐ手段として特に優れた方法 ある。

 (3)の吸湿性化合物層を利用する方法による のとしては、防曇性能と耐摩耗性とを兼ね えた、界面活性剤とトリアルカノールアミ とを有するウレタン樹脂を形成する塗布剤 よび該塗布剤による防曇性膜が示されてい (特許文献1)。
 また、基材上に疎水性重合体セグメントが 成され、該疎水性重合体セグメント上に、 湿性化合物層に相当すると考えられる親水 重合体セグメントが形成された防曇膜を有 る物品およびその製造方法が示されている( 特許文献2)。

 また、疎水性重合体部分と親水性重合体部 とからなるブロック又はグラフト共重合体 含有する防曇剤組成物および車両灯具が示 れている(特許文献3)。
 さらに、基体上に、シランカップリング剤 、疎水性単量体を含む組成物層、および親 性単量体を含む組成物層を有する防曇性物 の製造方法が示されている(特許文献4)。

特開2004-269851号公報

特許第3700273号公報

特許第3216262号公報

特開平8-27290号公報

 しかし、特許文献1の技術では、界面活性 剤を基体に固定することが難しく、吸湿性も 充分でなかったため、防曇性能を長期間にわ たり充分に維持することが困難な場合があっ た。

 特許文献2の技術では、形成される2層膜の 温水性、耐湿性などの耐久性が充分でなか た上に、2層塗布しているために量産性に劣 場合があった。
 特許文献3の技術では、基体との密着性が充 分でなく、また耐温水性、耐湿性などの耐久 性が充分でない場合があった。
 特許文献4の技術では、2層塗布する上にそ らをそれぞれ硬化させる硬化工程を2回行う 法であるため、量産性に劣る場合があった
 そのため、防曇性能に優れ、かつ各種耐久 および量産性を兼ね備えた防曇性物品が望 れている。

 そこで、本発明は、優れた防曇性能に加 て、耐温水性、耐湿性などの耐久性および 産性を兼ね備え、その防曇性能の持続性に れた防曇性物品およびその簡便な製造方法 その防曇性物品を形成するための防曇性組 物、およびその防曇性組成物を調製する防 性組成物用キットを提供する。

 本発明の防曇性組成物は、親水性基体上 防曇膜を形成する組成物であって、下記に す低吸湿性架橋重合体(A)および高吸湿性架 重合体(B)を含むことを特徴とする組成物で る。

 低吸湿性架橋重合体(A):水溶解度が20%未満 のポリエポキシド類(a1)、硬化剤(a2)、および 式(I)で表されるシランカップリング剤(a3)の 架橋重合反応により得られる重合体である。 ただし、前記ポリエポキシド類(a1)、硬化剤(a 2)、およびシランカップリング剤(a3)の合計質 量(100質量%)に対するシランカップリング剤(a3 )の質量割合は7質量%以上である。

 高吸湿性架橋重合体(B):水溶解度が100%のポ エポキシド類(b1)と硬化剤(b2)との架橋重合反 応により得られる重合体(B1)、または/および 記ポリエポキシド類(b1)と硬化剤(b2)と下式(I )で表されるシランカップリング剤(b3)との架 重合反応により得られる重合体(B2)からなる 重合体である。ただし、前記重合体(B2)の架 重合反応に用いる前記ポリエポキシド類(b1) 硬化剤(b2)、およびシランカップリング剤(b3 )の合計質量(100質量%)に対するシランカップ ング剤(b3)の質量割合は3質量%以下である。
 R 1 -(CH 2 ) n -Si(R 2 ) m (R 3 ) 3-m   ・・・(I)
(式中のR 1 はグリシジル基、アミノ基、または(メタ)ア リロイルオキシ基を含むアルキル基であり nは1~3の整数であり、R 2 は加水分解性基であり、mは1~3の整数であり R 3 は炭素原子数1~3のアルキル基である。)
 また、本発明の防曇性組成物は、前記低吸 性架橋重合体(A)と前記高吸湿性架橋重合体( B)の質量比が30/70~70/30であることが好ましい
 また、前記硬化剤(a2)および硬化剤(b2)がポ アミン系化合物であることが好ましい。

 また、本発明の防曇性組成物用キットは 前記いずれかの防曇性組成物を調製するキ トであって、前記低吸湿性架橋重合体(A)を む液状組成物と、前記高吸湿性架橋重合体( B)を含む液状組成物とを備えている。

 また、本発明の防曇性物品は、親水性基体 、該親水性基体表面に形成された防曇膜と 有し、前記防曇膜が前記いずれかの防曇性 成物から形成される架橋樹脂層からなり、 つ前記防曇膜の飽和吸湿量が20mg/cm 3 以上の物品である。
 また、本発明の製造方法は、親水性基体上 架橋樹脂層からなる防曇膜を有する防曇性 品の製造方法であって、前記いずれかの防 性組成物を含む液状組成物を前記親水性基 上に塗布する工程と、加熱硬化して架橋樹 層を形成する工程とを含む方法である。

 本発明の防曇性組成物は、優れた防曇性能 加えて、耐温水性、耐湿性などの耐久性を ね備え、その防曇性能の持続性に優れた防 膜を形成することができる。また、本発明 よれば、前記防曇性組成物を調製する防曇 組成物用キットを提供することができる。
 また、本発明の防曇性物品は、優れた防曇 能に加えて、耐温水性、耐湿性などの耐久 および量産性を兼ね備え、その優れた防曇 能を長期間持続できる。
 また、本発明の製造方法は、前記防曇性物 を簡便に製造できる。

<防曇性組成物>
 本発明の防曇性組成物は、親水性基体に防 膜を形成する組成物であって、低吸湿性架 重合体(A)と、該低吸湿性架橋重合体(A)より 吸湿性(吸水性ともいう。)に優れた高吸湿 架橋重合体(B)とを含む組成物である。低吸 性架橋重合体の飽和吸湿量は10mg/cm 3 以下が好ましく、5mg/cm 3 以下がより好ましく、1mg/cm 3 以下が特に好ましい。一方、高吸湿性架橋重 合体の飽和吸湿量は低吸湿性架橋重合体の飽 和吸湿量よりも大きく、20mg/cm 3 以上が好ましく、45mg/cm 3 以上がより好ましい。

[低吸湿性架橋重合体(A)]
 低吸湿性架橋重合体(A)は、ポリエポキシド (a1)、硬化剤(a2)、およびシランカップリン 剤(a3)を架橋重合反応させることにより得ら る重合体である。低吸湿性架橋重合体(A)の 橋重合反応は、架橋性成分がある程度残存 るように行う。
 この残存した架橋性成分により、防曇性組 物を加熱硬化させることで架橋樹脂層から る防曇膜が形成される。架橋性成分とは、 リエポキシド類(a1)が有する架橋性基、硬化 剤(a2)およびシランカップリング剤(a3)が有す 反応基を含めたものをいう。

(ポリエポキシド類(a1))
 ポリエポキシド類(a1)は、水溶解度が20%未満 のポリエポキシド類である。
 本発明におけるポリエポキシド類の水溶解 は、以下のようにして求められる水溶解度 あり、架橋重合反応を行う前の値である。
 容器に、蒸留水の質量W1に対するポリエポ シド類の質量W2の割合(W1:W2)を90:10として溶液 を作製し、25℃にて5分以上攪拌して、該溶液 を1時間静置した後、蒸留水から分離して沈 または浮遊したポリエポキシド類を回収し その質量W3を測り、下式により水に溶解した ポリエポキシド類の割合を算出したものを水 溶解度とする。
 水溶解度(%)={(W2-W3)/W2}×100
 また、ポリエポキシド類とは、架橋性基と てエポキシ基を有し、硬化剤との反応によ 架橋性樹脂となる成分である。

 ポリエポキシド類(a1)はエポキシ基以外の架 橋性基を有していてもよい。エポキシ基以外 の架橋性基としては、カルボキシ基、水酸基 が好ましい。
 ポリエポキシド類(a1)の平均エポキシ官能基 数は2以上であり、2~10であることが好ましい
 ポリエポキシド類(a1)は、たとえば、グリシ ジルエーテル化合物、グリシジルエステル化 合物、およびグリシジルアミン化合物等のグ リシジル化合物の水溶解度を20%未満としたも のが挙げられる。なかでも、グリシジルエー テル化合物が好ましい。グリシジルエーテル 化合物としては、2官能以上のアルコールの リシジルエーテルであることが好ましく、 久性および防曇性能が良好になることから3 能以上のアルコールのグリシジルエーテル あることがより好ましい。また、これらの ルコールは、脂肪族アルコール、脂環式ア コール、または糖アルコールであることが ましい。

 具体例としては、たとえば、エチレングリ ールジグリシジルエーテル、ポリエチレン リコールジグリシジルエーテル、プロピレ グリコールジグリシジルエーテル、ポリプ ピレングリコールジグリシジルエーテル、 オペンチルグリコールジグリシジルエーテ 、グリセロールポリグリシジルエーテル、 グリセロールポリグリシジルエーテル、ポ グリセロールポリグリシジルエーテル、ト メチロールプロパンポリグリシジルエーテ 、ソルビトールポリグリシジルエーテル、 ンタエリスリトールポリグリシジルエーテ が挙げられる。また、ここで「ポリ」とは 均して2を超えるものであることを示す。
 これらのポリエポキシド類(a1)は、1種のみ 単独で使用してもよく、2種以上を併用して よい。
 ポリエポキシド類(a1)としては、特に架橋密 度に優れた架橋樹脂層からなる防曇膜が得ら れることから、6個以上の水酸基を有する脂 族ポリオールのポリグリシジルエーテル(1分 子あたり平均のグリシジル基が5を超えるも )が好ましい。具体的には、ソルビトールポ グリシジルエーテルが挙げられる。
 ポリエポキシド類(a1)の水溶解度は、分子中 における親水性基の数と疎水性基の数の割合 に影響される。親水性基が多くなるほど水溶 解度が高くなり、疎水性基が多くなるほど水 溶解度が低くなる。

 親水性基としては、たとえば、水酸基、 ルボキシ基、スルホニル基、アミド基、ア ノ基、四級アンモニウム塩基、オキシアル レン基が挙げられる。また、疎水性基とし は、たとえば、エポキシ基、クロロ基、ア キル基が挙げられる。

 ポリエポキシド類(a1)の水溶解度は、下式で 表される親水性基の数と疎水性基の数との割 合Pの値と相関(比例関係)が見られる。そのた め、Pの値を調節することによりポリエポキ ド類(a1)の水溶解度を調節することができる
 P=(親水性基の数)/[(親水性基の数)+(疎水性基 の数)]
 ポリエポキシド類(a1)中の親水性基の量は、 たとえば、水酸基価を調節することにより調 節できる。また、疎水性基の量は、ポリエポ キシド類(a1)中のクロロ基やアルキル基等の 有量(質量%)、エポキシ当量(WPE)を調節するこ とにより調節できる。

 水溶解度が20%未満のポリエポキシド類(a1) の具体例としては、たとえば、デナコールEX- 622(商品名、ソルビトールポリグリシジルエ テル、水溶解度0.08%未満、ナガセケムテック ス社製)が挙げられる。

 ポリエポキシド類(a1)は、線状のポリマー であることが好ましい。ポリエポキシド類(a1 )が有する架橋性基の数は、本発明において 要とされる防曇性能および耐久性を満足す 限りは何個であってもよく、ポリエポキシ 類(a1)1分子当たり2~6個であることが好ましい 。また、ポリエポキシド類(a1)の分子量は数 均分子量で500~50000であることが好ましい。

 低吸湿性架橋重合体(A)の調製におけるポ エポキシド類(a1)、硬化剤(a2)、およびカッ リング剤(a3)の合計質量(100質量%)に対するポ エポキシド類(a1)の質量割合は、硬化剤(a2) 種類によって異なるが、40~75質量%であるこ が好ましい。

 ポリエポキシド類(a1)の質量割合が40質量% 以上であれば、一定量の低吸湿性成分を架橋 樹脂層に導入できるので、充分な耐温水性や 耐湿性等を付与しやすい。ポリエポキシド類 (a1)の質量割合が75質量%以下であれば、硬化 (a2)およびカップリング剤(a3)を当量比1.0程度 に配合して、最大の架橋度を実現できるので 、充分な耐久性が得られやすい。

(硬化剤(a2))
 硬化剤(a2)は、架橋重合反応を行えるもので あればよく、ラジカル重合、イオン重合、重 縮合反応、重付加反応等に通常用いられる硬 化剤を用いることができる。好ましい硬化剤 (a2)は、下記のいずれかの硬化剤である。硬 剤(a2-1)は重付加反応に好適であり、硬化剤(a 2-2)はイオン重合に好適である。

 硬化剤(a2-1):ポリエポキシド類(a1)が有す 架橋性基と反応し得る反応性基を有する化 物であり、ポリエポキシド類(a1)と反応して3 次元網目構造の架橋性樹脂を形成する化合物 。

 硬化剤(a2-2):ポリエポキシド類(a1)の架橋反 を触媒することによって、3次元網目構造の 橋性樹脂の形成を促す化合物。
 硬化剤(a2-1)の反応性基は、硬化剤(a2-1)と組 合わせるポリエポキシド類(a1)の架橋性基の 種類に応じ、該架橋性基と反応できる反応性 基から選択される。
 硬化剤(a2-1)の反応性基としては、たとえば ビニル基、エポキシ基、スチリル基、(メタ )クリロイルオキシ基、アミノ基、ウレイド 、クロロプロピル基、メルカプト基、スル ィド基、イソシアネート基、水酸基、カル キシ基、酸無水物基が挙げられる。
 なかでも、ポリエポキシド類(a1)は架橋性基 としてエポキシ基を有するため、硬化剤(a2-1) の反応性基はカルボキシ基、アミノ基、酸無 水物基、または水酸基であることが好ましい 。
 また、ポリエポキシド類(a1)の架橋性基が水 酸基を含む場合には、反応性基がエポキシ基 やイソシアネート基の硬化剤(a2-1)を併用する ことが好ましい。また、ポリエポキシド類(a1 )の架橋性基がカルボキシ基を含む場合には 反応性基がアミノ基の硬化剤(a2-1)を併用す ことが好ましく、反応性基がエポキシ基の 化剤(a2-1)を併用することがより好ましい。

 硬化剤(a2-1)1分子が有する反応性基の数は平 均1.5個以上であり、2~4個であることが好まし い。
 硬化剤(a2-1)は2種以上を併用することができ る。たとえば、主たる第1の硬化剤(a2-1-1)と共 に第2の硬化剤(a2-1-2)を併用する場合には、第 2の硬化剤(a2-1-2)の反応性基は、ポリエポキシ ド類(a1)の架橋性基と反応するだけでなく、 1の硬化剤(a2-1-1)の反応性基と反応するもの あってもよい。第1の硬化剤(a2-1-1)と反応す 第2の硬化剤(a2-1-2)は、第1の硬化剤(a2-1-1)を してポリエポキシド類(a1)と結合する。この うな第2の硬化剤(a2-1-2)を併用することによ 、ポリエポキシド類(a1)と主たる第1の硬化 (a2-1-1)とによる架橋性樹脂の形成を促進する ことができる。また、このとき、第2の硬化 (a2-1-2)の反応性基は、第1の硬化剤(a2-1-1)の反 応性基と同じであっても、異なってもよい。 たとえば、エポキシ基のみを有するポリエポ キシド類(a1)に対して硬化剤(a2)としてアミノ を有する第1の硬化剤(a2-1-1)を用いる際、さ に水酸基を有する第2の硬化剤(a2-1-2)や酸無 物基を有する第2の硬化剤(a2-1-2)を併用する とにより、低吸湿性架橋重合体(A)の形成が 進される。

 本発明で使用できる硬化剤(a2-1)としては たとえば、ポリアミン系化合物、ポリカル ン酸系化合物(ポリカルボン酸無水物を含む 。)、ポリオール系化合物、ポリイソシアネ ト系化合物、ポリエポキシ系化合物が挙げ れる。これら硬化剤(a2-1)はポリエポキシド (a1)の架橋性基に応じて選択される。ポリエ キシド類(a1)は少なくともエポキシ基を有し ているため、硬化剤(a2-1)としては、前記化合 物のなかでもポリアミン系化合物であること が好ましい。また、ポリアミン系化合物の第 1の硬化剤(a2-1-1)と共に、第2の硬化剤(a2-1-2)と してポリオール系化合物やポリカルボン酸無 水物等を併用することも好ましい。なお、硬 化剤(a2-1)としてポリエポキシ系化合物を用い る場合、ポリエポキシド類(a1)とは異なる化 物を選択する。

 ポリアミン系化合物としては、脂肪族ポ アミン系化合物、または脂環式ポリアミン 化合物が好ましい。具体例としては、たと ば、エチレンジアミン、トリエチレンテト ミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサ チレンジアミン、イソホロンジアミン、メ センジアミン、メタフェニレンジアミン、 リプロピレングリコールポリアミン、ポリ チレングリコールポリアミン、3,9-ビス(3-ア ミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5 )ウンデカンが挙げられる。

 ポリカルボン酸系化合物としては、たと ば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、リン 酸、クエン酸、メチルテトラヒドロ無水フ ル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、4-メチ ヘキサヒドロ無水フタル酸が挙げられる。

 ポリオール系化合物としては、たとえば 多価アルコール-エチレンオキシド付加物、 多価アルコール-プロピレンオキシド付加物 ポリエステルポリオール挙げられる。

 ポリイソシアネート系化合物としてはヘ サメチレンジイソシアネート、イソホロン イソシアネートが挙げられる。

 ポリエポキシ系化合物としては、たとえ 、グリシジルエーテル化合物、グリシジル ステル化合物、およびグリシジルアミン化 物等のグリシジル化合物が挙げられる。な でもグリシジルエーテル化合物が好ましく 脂肪族グリシジルエーテル化合物がより好 しい。グリシジルエーテル化合物としては 2官能以上のアルコールのグリシジルエーテ ルであることが好ましく、耐久性および防曇 性能が良好になることから3官能以上のアル ールのグリシジルエーテルであることがよ 好ましい。また、これらのアルコールは、 肪族アルコール、脂環式アルコール、また 糖アルコールであることが好ましい。

 具体的には、たとえば、エチレングリコー ジグリシジルエーテル、ポリエチレングリ ールジグリシジルエーテル、プロピレング コールジグリシジルエーテル、ポリプロピ ングリコールジグリシジルエーテル、ネオ ンチルグリコールジグリシジルエーテル、 リセロールポリグリシジルエーテル、ジグ セロールポリグリシジルエーテル、ポリグ セロールポリグリシジルエーテル、トリメ ロールプロパンポリグリシジルエーテル、 ルビトールポリグリシジルエーテル、ペン エリスリトールポリグリシジルエーテルが げられる。また、ここで「ポリ」とは平均 て2を超えるものであることを示す。
 これらの硬化剤(a2-1)は、1種のみを単独で使 用してもよく、2種以上を併用してもよい。

 低吸湿性架橋重合体(A)における硬化剤(a2- 1)の使用量は、ポリエポキシド類(a1)の架橋性 基の数と、硬化剤(a2-1)の反応性基およびシラ ンカップリング剤(a3)の反応性基の合計数と ほぼ等しくなる割合が適当であり、前記架 性基に対する前記反応性基の当量比が0.8~1.2 度であることが好ましい。

 また、たとえ防曇膜を構成する架橋樹脂層 に残存しても差し支えない架橋性基であれ 、前記反応性基に対するポリエポキシド類( a1)の架橋性基の割合はさらに多くてもよい。 同様に、硬化剤(a2-1)の反応性基が防曇膜を構 成する架橋樹脂層中に残存しても差し支えな いものであれば、ポリエポキシド類(a1)の架 性基およびシランカップリング剤(a3)の反応 基に対する硬化剤(a2-1)の反応性基の割合は らに多くてもよい。
 前記のように、第2の硬化剤(a2-1-2)は架橋性 分を架橋する他に、防曇膜の物性調整のた に使用することができる。たとえば、第2の 硬化剤(a2-1-2)として、第1の硬化剤(a2-1-1)であ アミン系化合物と反応する酸無水物系化合 を使用することにより、アミノ基と酸無水 基が反応した親水性の結合を架橋樹脂層か なる防曇膜にもたらすことができる。この 合には、第2の硬化剤(a2-1-2)中の1つの反応性 基のみが反応した場合であっても機能が発揮 される。

 また、第2の硬化剤(a2-1-2)は、防曇膜の物 が調整できるものであれば、ポリエポキシ 類(a1)や第1の硬化剤(a2-1-1)に結合し得る反応 性基を1つだけ有する化合物であってもよい この場合、この反応性基を1つだけ有する化 物は架橋機能を有しない化合物である。第1 の硬化剤(a2-1-1)に加えて、第2の硬化剤(a2-1-2) して反応性基を1つ有する化合物を使用する 場合、その量は第1の硬化剤(a2-1-1)に対して等 質量以下であることが好ましく、0.01~0.5倍質 であることがより好ましい。なお、第1の硬 化剤(a2-1-1)もまた防曇膜の機能に影響を与え ものであり、その点で第2の硬化剤(a2-1-2)と 間に本質的な区別はない。

 硬化剤(a2)として硬化剤(a2-1)を用いる場合、 ポリエポキシド類(a1)、硬化剤(a2-1)、および ランカップリング剤(a3)の合計質量(100質量%) 対する硬化剤(a2-1)の質量割合は、15~50質量% あることが好ましい。
 硬化剤(a2-1)の質量割合が15質量%以上であれ 、ポリエポキシド類(a1)との充分な架橋重合 度を実現して、優れた耐久性を得やすくなる 。硬化剤(a2-1)の質量割合が50質量%以下であれ ば、過剰な硬化剤(a2)が、全体の架橋重合反 を阻害し、耐久性が低下することを防ぎや い。

 硬化剤(a2-2)は、架橋性成分の架橋反応を 進する物質であり、一般に重合触媒として られている化合物が使用できる。硬化剤(a2- 2)としては、たとえば、ジシアンジアミド類 有機酸ジヒドラジド類、トリス(ジメチルア ミノメチル)フェノール類、ジメチルベンジ アミン類、ホスフィン類、イミダゾール類 芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウ 塩、芳香族ヨードニウム塩が挙げられる。 かでも、トリス(ジメチルアミノメチル)フェ ノール類、ホスフィン類、芳香族スルホニウ ム塩、または芳香族ヨードニウム塩が好まし い。

 硬化剤(a2)として硬化剤(a2-2)を用いる場合 、ポリエポキシド類(a1)に対する硬化剤(a2-2) 質量割合は2~15質量%であることが好ましい。 硬化剤(a2-2)の質量割合が2質量%以上であれば 架橋重合反応が充分に進行し、充分な吸湿 や耐久性が得られやすい。また、硬化剤(a2- 2)の質量割合が15質量%以下であれば、防曇膜 形成した際に架橋樹脂層中に残渣が残存し 、防曇膜に黄変等の外観上の問題が発生す ことを防ぎやすい。

(シランカップリング剤(a3))
 シランカップリング剤(a3)は、下式(I)で表さ れるシランカップリング剤である。
  R 1 -(CH 2 ) n -Si(R 2 ) m (R 3 ) 3-m   ・・・(I)
 シランカップリング剤(a3)におけるR 1 は、グリシジル基、アミノ基、または(メタ) クリロイルオキシ基を含むアルキル基であ 。
 R 2 は加水分解性基である。加水分解性基は、加 水分解によりシラノール(SiOH)となる基であり 、たとえば、クロロ基、アルコキシ基、アセ トキシ基、イソプロペノキシ基、アミノ基が 挙げられる。
 R 3 は炭素原子数1~3のアルキル基である。
 また、nは1~3の整数であり、mは1~3の整数で る。

 シランカップリング剤(a3)の具体例として は、たとえば、2-(3,4-エポキシシクロヘキシ )エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキ プロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキ シプロピルトリエトキシシラン、3-グリシド シプロピルメチルジエトキシシラン、3-(メ )アクリロキシプロピルメチルジメトキシシ ラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメ キシシラン、3-イソシアネートプロピルトリ メトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノ プロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミ エチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラ ン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3 -アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N- フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラ ン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン 3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン 挙げられる。

 なかでも、3-アミノプロピルトリメトキ シラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシ シラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル メチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル) -3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-グ シドキシプロピルトリメトキシシラン、3- リシドキシプロピルトリエトキシシラン、3- グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ ン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメト シシラン、3-メタクリロキシプロピルトリ トキシシラン、または3-アクリロキシプロピ ルトリメトキシシランが好ましい。

 シランカップリング剤(a3)は、親水性基体 に結合しやすい基を有するため、親水性基体 に形成される防曇膜において、親水性基体側 に近いほど低吸湿性架橋重合体(A)の割合が高 くなるように、低吸湿性架橋重合体(A)の分布 を調整する役割を果たす。これにより、防曇 膜の親水性基体側が低吸湿性となるため親水 性基体との密着性が高まり、防曇膜の耐久性 が向上する。また、同時に防曇膜表面側は高 吸湿性架橋重合体(B)の割合が高くなるため、 防曇性能も向上する。

 低吸湿性架橋重合体(A)の調製に用いるポ エポキシド類(a1)、硬化剤(a2)、およびシラ カップリング剤(a3)の合計質量(100質量%)に対 るシランカップリング剤(a3)の質量割合は、 7質量%以上であればよく、7~30質量%であるこ が好ましい。

 前記質量割合が7質量%以上であれば、優 た防曇性能と耐久性を兼ね備えた防曇膜を 成することのできる防曇性組成物が得られ 。また、前記質量割合が30質量%以下であれ 、過剰なシランカップリング剤(a3)が、高吸 性架橋重合体(B)中に移行して、低吸湿性架 重合体(A)と高吸湿性架橋重合体(B)の分布が くなり、吸湿性と耐久性が低下することを ぎやすい。

(製造方法)
 低吸湿性架橋重合体(A)の製造方法としては 溶剤中にポリエポキシド類(a1)、硬化剤(a2) およびシランカップリング剤(a3)を添加、混 して架橋重合反応させる方法が好ましい。 れにより、低吸湿性架橋重合体(A)が液状組 物として得られる。
 溶剤としては、ポリエポキシド類(a1)、硬化 剤(a2)、およびシランカップリング剤(a3)の溶 性が良好な溶剤で、かつこれらの成分に対 て不活性な溶剤であれば特に限定されない 具体的には、たとえば、アルコール類、酢 エステル類、エーテル類、ケトン類、水が げられる。
 溶剤としては、ジアセトンアルコール、メ ルエチルケトン、酢酸ブチル、プロピレン ーボネート、またはジエチレングリコール メチルエーテルが好ましい。
 溶剤は1種のみを単独で使用してもよく、2 以上を併用してもよい。

 また、溶剤としてプロトン性溶剤を用いる 、得られた防曇性組成物により防曇膜を形 する際に、種類によっては該プロトン性溶 とポリエポキシド類(a1)とが反応して架橋樹 脂層が形成されにくくなる場合がある。した がって、プロトン性溶剤を使用する場合は、 ポリエポキシド類(a1)と反応し難い溶剤を選 することが好ましい。使用可能なプロトン 溶剤としては、エタノール、イソプロピル ルコールが挙げられる。
 溶剤の使用量は、ポリエポキシド類(a1)、硬 化剤(a2)、およびシランカップリング剤(a3)の 計質量に対して1~5倍量であることが好まし 。
 低吸湿性架橋重合体(A)の架橋重合反応は、 橋性成分がある程度残存するように行う。

 架橋重合反応は、15~35℃で攪拌混合するこ により行うことが好ましい。前記温度が15℃ 以上であれば、充分な反応速度が得られやす い。また、前記温度が35℃以下であれば、反 が進行しすぎることを防ぎやすい。
 また、反応後、必要に応じて、得られた低 湿性架橋重合体(A)を酢酸ブチル等により希 してもよい。
 より好ましい低吸湿性架橋重合体(A)の製造 法は、予め溶剤中にポリエポキシド類(a1)お よび硬化剤(a2)を添加し、15~35℃で撹拌混合し た後、さらにシランカップリング剤(a3)を添 し、15~35℃で撹拌混合して架橋重合反応させ る方法である。これにより、シランカップリ ング剤(a3)の効果が充分に発揮されやすくな 、防曇性能および耐久性に優れた防曇膜が られやすくなる。

[高吸湿性架橋重合体(B)]
 高吸湿性架橋重合体(B)は、ポリエポキシド (b1)と硬化剤(b2)とを架橋重合反応させるこ により得られる重合体(B1)、または/およびポ リエポキシド類(b1)と硬化剤(b2)とシランカッ リング剤(b3)とを架橋重合反応させることに より得られる重合体(B2)からなる重合体であ 。高吸湿性架橋重合体(B)は、重合体(B1)と重 体(B2)のいずれか一方であってもよく、重合 体(B1)と重合体(B2)との混合物であってもよい 、重合体(B1)のみであることが好ましい。
 重合体(B1)および重合体(B2)の架橋重合反応 、それらが有する架橋性成分がある程度残 するように行う。この残存した架橋性成分 より、防曇性組成物を加熱硬化させること 架橋樹脂層からなる防曇膜が形成される。

(ポリエポキシド類(b1))
 ポリエポキシド類(b1)は、水溶解度が100%の リエポキシド類である。ポリエポキシド類(b 1)はエポキシ基以外の架橋性基を有していて よい。エポキシ基以外の架橋性基としては カルボキシ基、または水酸基が好ましい。
 ポリエポキシド類(b1)の平均エポキシ官能基 数は2以上であり、2~10であることが好ましい
 ポリエポキシド類(b1)としては、たとえば、 グリシジルエーテル化合物、グリシジルエス テル化合物、およびグリシジルアミン化合物 等のグリシジル化合物の水溶解度が100%であ ものが挙げられる。なかでも、脂肪族グリ ジルエーテル化合物が好ましい。
 ポリエポキシド類(b1)は、1種のみを単独で 用してもよく、2種以上を併用してもよい。
 ポリエポキシド類(b1)の水溶解度は、ポリエ ポキシド類(a1)の場合と同様に、下式で表さ るPの値を調節することにより調節すること できる。
 P=(親水性基の数)/[(親水性基の数)+(疎水性基 の数)]
 ポリエポキシド類(b1)中の親水性基の量は、 たとえば、水酸基価を調節することにより調 節できる。また、疎水性基の量は、ポリエポ キシド類(b1)中のクロロ基、アルキル基等の 有量(質量%)、エポキシ当量(WPE)を調節するこ とにより調節できる。

 ポリエポキシド類(b1)の具体例としては、た とえば、デナコールEX-1610(商品名、脂肪族グ シジルエーテル化合物、水溶解度100%、ナガ セケムテックス社製)が挙げられる。
 ポリエポキシド類(b1)は、線状のポリマーで あることが好ましい。架橋性成分であるポリ マーが有する架橋性基の数は、本発明におい て必要とされる防曇性能および耐久性を満足 する限りは何個であってもよく、ポリエポキ シド類(b1)1分子当たり2~6個であることが好ま い。また、ポリエポキシド類(b1)の分子量は 数平均分子量で500~50000であることが好ましい 。

(硬化剤(b2))
 硬化剤(b2)は、硬化剤(a2)で挙げたものと同 ものが挙げられ、好ましい態様も同じであ 。好ましい硬化剤(b2)は、下記のいずれかの 化剤である。硬化剤(b2-1)は重付加反応に好 であり、硬化剤(b2-2)はイオン重合に好適で る。

 硬化剤(b2-1):ポリエポキシド類(b1)が有す 架橋性基と反応し得る反応性基を有する化 物であり、ポリエポキシド類(b1)と反応して3 次元網目構造の架橋性樹脂を形成する化合物 。

 硬化剤(b2-2):ポリエポキシド類(b1)の架橋反 を触媒することによって、3次元網目構造の 橋性樹脂の形成を促す化合物。
 硬化剤(b2)は、硬化剤(b2-1)であるポリアミン 系化合物が好ましい。
 また、硬化剤(b2-1)は、反応性基の数が2~8個 あることが好ましい。硬化剤(b2-1)の反応性 の数がこの範囲であれば、防曇性能と耐摩 性とのバランスに優れた防曇膜が得られや い。
 また、第1の硬化剤(b2-1-1)に加えて第2の硬化 剤(b2-1-2)を用いる場合、第2の硬化剤(b2-1-2)は ポリエポキシド類(b1)の架橋反応を促進する 他に、親水性基体に形成する防曇膜の物性を 調節する目的でも使用できる。たとえば、第 2の硬化剤(b2-1-2)によって防曇膜の吸湿性(吸 性ともいう。)を高めることができる。

(シランカップリング剤(b3))
 シランカップリング剤(b3)は、シランカップ リング剤(a3)と同じものが挙げられ、好まし 態様も同じである。
 重合体(B1)は、前記ポリエポキシド類(b1)お び硬化剤(b2)の架橋重合反応により得られる
 重合体(B1)の調製に用いるポリエポキシド類 (b1)および硬化剤(b2)の合計質量(100質量%)に対 るポリエポキシド類(b1)の質量割合は、硬化 剤(b2)の種類によって異なるが、40~80質量%で ることが好ましい。

 ポリエポキシド類(b1)の質量割合が40質量%以 上であれば、一定量の高吸湿性成分を架橋樹 脂層に導入できるので、充分な防曇性能を付 与しやすい。また、ポリエポキシド類(b1)の 量割合が80質量%以下であれば、硬化剤(b2)を 量比1.0程度に配合して、最大の架橋度を実 できるので、充分な耐久性が得られやすい
 重合体(B1)の調製における硬化剤(b2)として 化剤(b2-1)を用いる場合、硬化剤(b2-1)の使用 は、ポリエポキシド類(b1)の架橋性基の数と 化剤(b2-1)の反応性基の数がほぼ等しくなる 合が適当であり、前記架橋性基に対する前 反応性基の当量比が0.8~1.2程度であることが 好ましい。ただし、第2の硬化剤(b2-1-2)が存在 する場合は、それらを含めた相互に反応する 反応性基の架橋性基に対する当量比を0.8~1.2 度とすることが適当である。また、たとえ 曇膜を構成する架橋樹脂層中に残存しても し支えない架橋性基であれば、前記反応性 に対するポリエポキシド類(b1)の架橋性基の 合はさらに多くてもよい。同様に、硬化剤( b2-1)の反応性基が防曇膜を構成する架橋樹脂 中に残存しても差し支えないものであれば ポリエポキシド類(b1)の架橋性基に対する硬 化剤(b2-1)の反応性基の割合はさらに多くても よい。

 重合体(B1)の調製に硬化剤(b2)として硬化 (b2-1)を用いる場合、用いるポリエポキシド (b1)および硬化剤(b2-1)の合計質量(100質量%)に する硬化剤(b2-1)の質量割合は、20~60質量%で ることが好ましい。

 硬化剤(b2-1)の質量割合が20質量%以上であ ば、ポリエポキシド類(b1)との充分な架橋重 合度を実現して、優れた防曇性能と耐久性を 両立することが容易になる。硬化剤(b2-1)の質 量割合が60質量%以下であれば、過剰な硬化剤 (b2)が、全体の架橋重合反応を阻害し、耐久 が低下することを防ぎやすい。

 重合体(B1)の調製における硬化剤(b2)として 化剤(b2-2)を用いる場合、ポリエポキシド類(b 1)に対する硬化剤(b2-2)の質量割合は、2~15質量 %であることが好ましい。硬化剤(b2-2)の質量 合が2質量%以上であれば、架橋重合反応が充 分に進行し、充分な吸湿性や耐久性が得られ やすい。また、硬化剤(b2-2)の質量割合が15質 %以下であれば、防曇膜を形成した際に架橋 樹脂層中に残渣が残存して、防曇膜に黄変等 の外観上の問題が発生することを防ぎやすい 。
 重合体(B2)は、前記ポリエポキシド類(b1)お び硬化剤(b2)と、シランカップリング剤(b3)と の架橋重合反応により得られる。
 重合体(B2)の調製における硬化剤(b2)として 化剤(b2-1)を用いる場合、硬化剤(b2-1)の使用 は、ポリエポキシド類(b1)の架橋性基の数と 硬化剤(b2-1)の反応性基およびシランカップ ング剤(b3)の反応性基の合計数がほぼ等しく なる割合が適当であり、前記架橋性基に対す る前記反応性基の当量比が0.8~1.2程度である とが好ましい。
 また、たとえ防曇膜を構成する架橋樹脂層 に残存しても差し支えない架橋性基であれ 、前記反応性基に対するポリエポキシド類( b1)の架橋性基の割合はさらに多くてもよい。 同様に、硬化剤(b2-1)の反応性基が防曇膜を構 成する架橋樹脂層中に残存しても差し支えな いものであれば、ポリエポキシド類(b1)の架 性基およびシランカップリング剤(b3)の反応 基に対する硬化剤(b2-1)の反応性基の割合は らに多くてもよい。

 重合体(B2)の調製における硬化剤(b2)として 化剤(b2-1)を用いる場合、ポリエポキシド類(b 1)、硬化剤(b2-1)、およびシランカップリング (b3)の合計質量(100質量%)に対する硬化剤(b2-1) の質量割合は、20~60質量%であることが好まし い。
 硬化剤(b2-1)の質量割合が20質量%以上であれ 、ポリエポキシド類(b1)との充分な架橋重合 度を実現して、優れた防曇性能と耐久性を両 立することが容易になる。硬化剤(b2-1)の質量 割合が60質量%以下であれば、過剰な硬化剤(b2 )が、全体の架橋重合反応を阻害し、耐久性 低下することを防ぎやすい。
 重合体(B2)の調製における硬化剤(b2)として 化剤(b2-2)を用いる場合、ポリエポキシド類(b 1)に対する硬化剤(b2-2)の質量割合は、2~15質量 %であることが好ましい。硬化剤(b2-2)の質量 合が2質量%以上であれば、架橋重合反応が充 分に進行し、充分な吸湿性や耐久性が得られ やすい。また、硬化剤(b2-2)の質量割合が15質 %以下であれば、得られる架橋性樹脂中に残 渣が残存して防曇膜に黄変等の外観上の問題 が発生することを防ぎやすい。

 重合体(B2)の調製に用いるポリエポキシド類 (b1)、硬化剤(b2-1)、およびシランカップリン 剤(b3)の合計質量(100質量%)に対するシランカ プリング剤(b3)の質量割合は、3質量%以下で るのが好ましい。
 前記質量割合が3質量%以下であれば、親水 基体側に近いほど低吸湿性架橋重合体(A)の 合が高く、かつ防曇膜表面に近いほど重合 (B2)の割合が高くなるように、重合体(B2)の分 布を調整することを妨げないので、優れた防 曇性能と耐久性を兼ね備えた防曇膜を形成す ることのできる防曇性組成物が得られる。ま た、シランカップリング剤(b3)の使用量が過 にならないようにすれば、高温に曝された きに酸化等により防曇膜が着色することを ぎやすい。

(製造方法)
 高吸湿性架橋重合体(B)の製造方法は、低吸 性架橋重合体(A)と同様の方法を用いること できる。すなわち、重合体(B1)の製造方法は 、溶剤中にポリエポキシド類(b1)および硬化 (b2)を添加し、撹拌混合して架橋重合反応さ る方法が好ましい。また、重合体(B2)の製造 方法は、溶剤中にポリエポキシド類(b1)、硬 剤(b2)、およびシランカップリング剤(b3)を添 加し、攪拌混合して架橋重合反応させる方法 が好ましい。

 溶剤は、低吸湿性架橋重合体(A)で挙げたも と同じ溶剤が挙げられる。溶剤としては、t -ブタノール、ジアセトンアルコール、メチ エチルケトン、酢酸ブチル、プロピレンカ ボネート、またはジエチレングリコールジ チルエーテルが好ましい。
 溶剤は1種のみを単独で使用してもよく、2 以上を併用してもよい。
 重合体(B1)を製造する場合の溶剤の使用量は 、ポリエポキシド類(b1)および硬化剤(b2)の合 質量に対して1~5倍量であることが好ましい また、重合体(B2)を製造する場合の溶剤の使 用量は、ポリエポキシド類(b1)、硬化剤(b2)、 よびシランカップリング剤(b3)の合計質量に 対して1~5倍量であることが好ましい。
 高吸湿性架橋重合体(B)の架橋重合反応は、 橋性成分がある程度残存するように行う。

 架橋重合反応は、20~60℃で攪拌混合するこ により行うことが好ましい。前記温度が20℃ 以上であれば、充分な反応速度が得られやす い。また、前記温度が60℃以下であれば、反 が進行しすぎることを防ぎやすい。
 また、反応後、必要に応じて、得られた高 湿性架橋重合体(B)を酢酸ブチル等により希 してもよい。

 本発明の防曇性組成物は、以上説明した低 湿性架橋重合体(A)および高吸湿性架橋重合 (B)を含む組成物である。低吸湿性架橋重合 (A)は、1種のみであってもよく、2種以上で ってもよい。また、高吸湿性架橋重合体(B) ついても、1種のみであってもよく、2種以上 であってもよい。
 防曇性組成物中の低吸湿性架橋重合体(A)[質 量:Ma(g)]と高吸湿性架橋重合体(B)[質量:Mb(g)]の 割合(Ma/Mb)は、30/70~70/30であることが好ましい 。前記割合(Ma/Mb)が前記範囲内であれば、優 た防曇性能と耐久性を兼ね備えた防曇膜を 成しやすくなる。

 また、本発明の防曇性組成物は、低吸湿 架橋重合体(A)および高吸湿性架橋重合体(B) 外に、フィラーを含んでいることが好まし 。フィラーを含むことによって、形成され 架橋樹脂層からなる防曇膜の機械的強度、 熱性を高めることができ、また架橋重合反 時の樹脂の硬化収縮を低減することができ 。

 フィラーとしては、金属酸化物からなるフ ラーが好ましい。金属酸化物としては、た えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジル ニアが挙げられ、なかでもシリカが好まし 。このようなフィラーとしては、スノーテ クスIPA-ST(日産化学工業社製)等が挙げられ 。
 また、前記フィラーの他に、ITO(Indium Tin Ox ide)からなるフィラーも使用できる。ITOは赤 線吸収性を有するため、防曇膜に熱線吸収 を付与できる。よって、ITOからなるフィラ を使用すれば、吸湿性に加えて熱線吸収に る防曇効果も期待できる。

 フィラーは粒子状であることが好ましい フィラーの平均粒子径は0.01~0.3μmであるこ が好ましく、0.01~0.1μmであることがより好ま しい。また、フィラーの配合量は、ポリエポ キシド類と硬化剤との合計質量に対して1~20 量%であることが好ましく、1~10質量%である とがより好ましい。フィラーの配合量を1質 %以上とすれば、ポリエポキシド類の硬化収 縮の低減効果の低下を抑えやすい。また、フ ィラーの配合量を20質量%以下とすれば、吸水 するための空間が充分に確保することができ 、優れた防曇性能を得やすい。

 また、防曇性組成物を親水性基体表面に 布、乾燥して防曇膜を形成する場合、防曇 組成物の濡れ性によって塗膜の厚さが不均 になり、透視歪みを生じる場合がある。塗 の厚さを均一にするためには、レベリング を添加することが好ましい。レベリング剤 しては、たとえば、シリコーン系レベリン 剤、フッ素系レベリング剤、アクリル系レ リング剤が挙げられ、なかでもシリコーン レベリング剤が好ましい。

 シリコーン系レベリング剤としては、た えば、アミノ変性シリコーン、カルボニル 性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、 リエーテル変性シリコーン、およびアルコ シ変性シリコーンが挙げられる。また、シ コーン系レベリング剤としては、アミノ変 シリコーンまたはポリエーテル変性シリコ ンが好ましい。

 その他、防曇膜に親水性を付与すること でき、防曇性能を向上させられる点から、 キシエチレン鎖、オキシプロピレン鎖等の キシアルキレン鎖を有するシリコーン系レ リング剤を添加することも好ましい。

 シリコーン系レベリング剤の添加量は、防 性組成物の質量に対して0.02~1質量%とするこ とで濡れ性を改善でき、塗膜の厚さを均一に できる。また、シリコーン系レベリング剤の 添加量は、塗膜の白濁が防ぎ易いことから、 防曇性組成物の質量に対して0.02~0.30質量%で ることが好ましく、0.02~0.10質量%であること より好ましい。
 また、本発明の防曇性組成物には、界面活 剤が含まれていてもよい。
 界面活性剤としては、ノニオン系界面活性 、カチオン系界面活性剤、ベタイン系界面 性剤、アニオン系界面活性剤のいずれを用 てもよい。界面活性剤がオキシエチレン鎖 オキシプロピレン鎖等のオキシアルキレン を有する界面活性剤であれば、形成される 曇膜に親水性を付与することができ、防曇 能が向上する。

<防曇性組成物用キット>
 本発明の防曇性組成物用キットは、本発明 防曇性組成物を調製するキットであって、 吸湿性架橋重合体(A)を含む液状組成物(以下 、液状組成物Aという。)と、高吸湿性架橋重 体(B)を含む液状組成物(以下、液状組成物B いう。)とを備えたキットである。
 本発明の防曇性組成物用キットには、低吸 性架橋重合体(A)および高吸湿性架橋重合体( B)を前述の製造方法により製造し、それぞれ 状組成物A、Bとしたものを酢酸ブチル等で 要に応じて希釈することにより調製するこ ができる。
 液状組成物Aおよび液状組成物Bには、必要 応じて、前記フィラー、レベリング剤、界 活性剤等が含まれていてもよい。

 本発明の低吸湿性架橋重合体(A)および低 湿性架橋重合体(B)は、保存環境によっては それらが硬化反応を起こしてしまうことが る。そのため、防曇性組成物用キットとし 用い、できるだけ使用する直前に混合して 曇性組成物を調製することが好ましい。

 液状組成物A(100質量%)中の低吸湿性架橋重合 体(A)の含有量は、10~40質量%であることが好ま しい。低吸湿性架橋重合体(A)の含有量が10質 %以上であれば、優れた防曇性能と耐久性を 兼ね備えた防曇膜を形成する防曇性組成物を 調製しやすい。また、低吸湿性架橋重合体(A) の含有量が40質量%以下であれば、液状組成物 A中で低吸湿性架橋重合体(A)が硬化反応を起 すことを抑制しやすい。
 液状組成物B(100質量%)中の高吸湿性架橋重合 体(B)の含有量は、10~40質量%であることが好ま しい。高吸湿性架橋重合体(B)の含有量が10質 %以上であれば、優れた防曇性能と耐久性を 兼ね備えた防曇膜を形成する防曇性組成物を 調製しやすい。また、高吸湿性架橋重合体(B) の含有量が40質量%以下であれば、液状組成物 B中で高吸湿性架橋重合体(B)が硬化反応を起 すことを抑制しやすい。

<防曇性物品>
 本発明の防曇性物品は、親水性基体と、該 水性基体表面に形成された防曇膜とを有す 。
[親水性基体]
 親水性基体は、水接触角が20°以下の基体で ある。
 親水性基体は、ガラス、プラスチック、金 、セラミックス、またはこれらの組み合わ (複合材料、積層材料等)からなる基体であ ことが好ましく、ガラス若しくはプラスチ クからなる透明基体、または鏡であること より好ましい。ガラスとしては、ソーダラ ムガラスが特に好ましい。
 親水性基体の形状は平板でもよく、全面ま は一部が曲率を有していてもよい。親水性 体の厚さは、防曇性物品の用途により適宜 択することができ、一般的には1~10mmである が好ましい。
 また、親水性基体は、表面に反応性基を有 ることが好ましい。反応性基としては、親 性基が好ましく、親水性基としては水酸基 好ましい。また、基体に酸素プラズマ処理 コロナ放電処理、オゾン処理等を施し、表 に付着した有機物を分解除去したり、表面 微細な凹凸構造を形成させたりすることに り、基体表面を親水性としてもよい。ガラ や金属酸化物は通常、表面に水酸基を有し いる。
 また、親水性基体は、防曇膜との密着性を める目的で、ガラス等の表面にシリカ、ア ミナ、チタニア、ジルコニア等の金属酸化 薄膜や有機基含有金属酸化物薄膜が設けら たものでもよい。

 金属酸化物薄膜は、加水分解性基を有する 属化合物を用い、ゾルゲル法で形成できる 金属化合物としては、テトラアルコキシシ ン、テトライソシアネートシラン、または れらのオリゴマー等が好ましい。
 有機基含有金属酸化物薄膜は、有機金属系 ップリング剤で基体表面を処理することに り得られる。有機金属系カップリング剤と ては、表面処理用のシランカップリング剤 チタン系カップリング剤、アルミニウム系 ップリング剤等が使用でき、シラン系カッ リング剤を用いるのが好ましい。

[防曇膜]
 本発明の防曇膜は、前述の防曇性組成物に り形成される架橋樹脂層からなる膜である 架橋樹脂層とは、3次元網目構造を有する非 線状の重合体からなる層である。
 防曇膜においては、親水性基体側に近いほ 低吸湿性架橋重合体(A)の割合が高くなって り、防曇膜表面側に近いほど高吸湿性架橋 合体(B)の割合が高くなっている。これによ 、優れた防曇性能と耐久性を両立すること できる。
 防曇膜の飽和吸湿量は20mg/cm 3 以上である。また、防曇膜の飽和吸湿量は、 45~150mg/cm 3 であることが好ましく、60~100mg/cm 3 であることがさらに好ましい。飽和吸湿量が 20mg/cm 3 以上であれば、高い防曇性能が得られる。一 方、飽和吸湿量が150mg/cm 3 以下であれば、吸湿時の耐久性や密着性が低 下することを防ぎやすい。

 防曇膜の膜厚は、1.0μm以上であり、5μm以上 であることが好ましく、10μm以上であるのが り好ましい。防曇膜の膜厚が1.0μm以上であ ば、防曇膜全体として必要な飽和吸湿量が 保し易くなる。一方、防曇膜の耐久性が低 なることを防ぐ観点から、防曇膜の膜厚は 50μm以下であることが好ましく、30μm以下で あるのがより好ましい。
 防曇膜の飽和吸湿量は、防曇膜を構成する 橋樹脂層中の親水性基の量に比例するため 親水性基の量を調節することにより制御で る。架橋樹脂層中の親水性基の量は、ポリ ポキシド類および硬化剤に含まれる親水性 の量(たとえば、水酸基価)を調節すること より調節することができる。また、架橋反 によって親水性基が形成されるような場合 は、架橋性成分および硬化剤の官能基数や 橋度を調節することにより飽和吸湿量が制 できる。
 また、飽和吸湿量は架橋樹脂層中の架橋度 も依存する。ある単位量当たりの架橋樹脂 に含まれる架橋点の数が多ければ、架橋樹 層が緻密な3次元網目構造となり、保水のた めの空間が小さくなるため吸湿性が低くなる と考えられる。一方、単位量当たりに含まれ る架橋点が少なければ、保水のための空間が 大きくなり、吸湿性が高くなると考えられる 。架橋性樹脂のガラス転移点は、架橋性樹脂 中の架橋点の数と関連が深く、一般に、ガラ ス転移点が高い樹脂は、ある単位量当たりに 含まれる架橋点の数が多いと考えられる。
 したがって、防曇性能を高くするには、高 湿性架橋重合体(B)のガラス転移点を低くす ことが好ましく、耐久性を高めるには、低 湿性架橋重合体(A)のガラス転移点を高くす ことがよい。

 以上のことから、高吸湿性架橋重合体(B) ガラス転移点は、10~200℃であることが好ま く、30~150℃であることがより好ましい。ま 、低吸湿性架橋重合体(A)のガラス転移点は 50~200℃であることが好ましく、90~150℃であ ことがより好ましい。低吸湿性架橋重合体( A)および高吸湿性架橋重合体(B)のガラス転移 を前記範囲内とすれば、防曇性能と耐久性 を高いレベルで両立させやすい。

 ガラス転移点は、JIS K 7121に準拠して測定 た値である。具体的には、基体上に低吸湿 架橋重合体(A)または高吸湿性架橋重合体(B) より膜を形成し、これを20℃、相対湿度50% 環境下に1時間放置した後、示差走査熱量計 用いて測定した値である。ただし、測定時 加熱速度は10℃/分とする。
 また、防曇性物品は、吸湿量が架橋樹脂層 限界量を超えた場合、用途によっては曇っ 状態になるよりも水膜となったほうがよい 合(洗面化粧台に使用する場合など)もある そのため、架橋樹脂層が界面活性剤を含ん いることが好ましい。架橋樹脂層に界面活 剤を含ませる方法としては、防曇性組成物 界面活性剤を添加しておく方法、防曇性組 物を親水性基体上に塗布した後、界面活性 を含む組成物をさらに塗布して加熱硬化を う方法等が挙げられ、より効果が優れる点 ら後者が好ましい。この目的で使用する界 活性剤は、反応性基を有することが好まし 。反応性基を有することによって界面活性 が架橋樹脂層の一部となり、効果がより高 なる。
 また、防曇膜は、JIS R 3212に従って実施し 耐摩耗性試験による試験前後のヘイズ値の 化が20%以下であることが好ましい。

<防曇性物品の製造方法>
 本発明の防曇性物品の製造方法としては、 記防曇性組成物を含む液状組成物を親水性 体上で反応させる方法(1)、前記防曇性組成 をフィルム状に成形し、該フィルムを親水 基体と貼り合わせる方法(2)等が挙げられる なかでも、大面積の親水性基体表面に防曇 を設ける場合や工業的量産の際に良好な外 を維持できることから(1)の方法が好ましい

 以下、方法(1)について詳述する。
 方法(1)は、親水性基体上に架橋樹脂層から る防曇膜を有する防曇性物品の製造方法で って、本発明の防曇性組成物を含む液状組 物(以下、液状組成物Cという。)を親水性基 上に塗布する塗布工程と、加熱硬化して架 樹脂層を形成する硬化工程とを含む方法で る。硬化工程では、低吸湿性架橋重合体(A) よび高吸湿性架橋重合体(B)に残存している リエポキシド類(a1)およびポリエポキシド類 (b1)の架橋性基が架橋反応により硬化して架 樹脂層が形成される。

 塗布工程においては、液状組成物Cを親水 性基体の表面に塗布する。液状組成物Cは塗 作業性を向上させるために溶剤を含むこと 好ましい。そのため、低吸湿性架橋重合体(A )および高吸湿性架橋重合体(B)を、前述の方 のように溶剤を含む液状組成物として調製 、必要に応じて希釈した後に混合して、液 組成物Cとして溶剤を含む防曇性組成物を得 ことが好ましい。

 親水性基体表面への液状組成物Cの塗布方法 としては、スピンコート、ディップコート、 スプレーコート、フローコート、およびダイ コート等が挙げられ、なかでもスプレーコー ト、フローコート、ダイコートが好ましい。
 液状組成物Cを塗布して得られる塗膜の厚さ は、5~100μmであることが好ましい。

 硬化工程では、液状組成物Cの塗膜を加熱 硬化により架橋樹脂層を形成させる。この架 橋反応は、親水性基体表面との結合形成反応 を伴っていてもよい。得られる防曇性物品の 耐久性の観点からは、架橋反応は親水性基体 表面との結合形成反応を伴っていることが好 ましい。

 加熱硬化の条件は、たとえば、赤外線加熱 等を用いて、塗膜を有する親水性基体を100~ 300℃で1分間~1時間保持することにより実施で きる。また、メタルハライドランプ、高圧水 銀ランプ、ハロゲンランプ等を用いて、紫外 線または可視光線を照射することによっても 実施できる。この場合の積算光量は、10~1000mJ /cm 2 が好ましい。
 また、架橋樹脂層に界面活性剤を含有させ 場合は、液状組成物C中に界面活性剤を含ま せて前記方法を用いて架橋樹脂層を形成して もよく、液状組成物Cの塗布工程の後にさら 界面活性剤を含む液状組成物を塗布した後 硬化工程を行う方法であってもよい。
 以上説明した方法により、親水性基体上に 橋樹脂層からなる防曇膜が形成された防曇 物品が得られる。

 一般に、基体表面に吸湿性の架橋樹脂層 形成させる場合、吸湿により発現する防曇 能は、形成した架橋樹脂層の吸湿性と相関 る。架橋樹脂層の吸湿性が高いほど、基体 面に形成した架橋樹脂層表面の雰囲気湿度 低減させる効果が長期間持続するため、防 性能が高くなる。また、吸湿性架橋樹脂層 、吸湿するときに膨張し、放湿するときに 縮する。そのため、高い防曇性能を有する 湿性架橋樹脂層は、大きな膨張・収縮を繰 返すこととなり、基体と吸湿性架橋樹脂層 の接着界面に界面応力が蓄積し、密着性が 下する傾向が高く、吸湿性架橋樹脂層の剥 等が起こる場合がある。

 また、架橋樹脂層は、吸湿時に、水と共 洗浄剤や飲料水に由来するアルカリイオン 酸性イオンを内部に取り込む。アルカリイ ンや酸性イオンが基体と架橋樹脂層との接 界面へと移行すると、基体表面の反応性基 架橋樹脂層における架橋性樹脂との結合が 断され、架橋樹脂層の剥離や分解が起こる 合がある。また、基体がソーダライムガラ である場合には、吸湿性架橋樹脂層が水を り込んで接着界面に水が移行すると、基体 らアルカリ成分が出てくるため同様の問題 生じる。

 これに対し、本発明における防曇膜を構成 る架橋樹脂層は、シランカップリング剤(a3) の効果により親水性基体側の低吸湿性架橋重 合体(A)の割合が高いため、親水性基体近傍の 飽和吸湿量が小さく、膨張・収縮の程度が小 さい。そのため、架橋樹脂層と親水性基体と の密着性が高い。また、親水性基体側の低吸 湿性架橋重合体(A)の割合が高いことから、水 と共に取り込んだアルカリイオン、酸性イオ ン等が、架橋樹脂層と親水性基体との間にく ることを阻害でき、親水性基体と防曇膜との 間の結合が切断されることを抑制できる。同 様に、架橋樹脂層と親水性基体の間に水が移 行してくることも防げることから、親水性基 体がガラスであっても、該親水性基体からの アルカリ成分による防曇膜の剥離等の問題が ほとんど起きなくなる。
 さらに、本発明においては、同時に防曇膜 表面側は高吸湿性架橋重合体(B)の割合が高 なるため、防曇膜の表面側が高吸湿性とな 、高い防曇性能を発揮できる。

 本発明の防曇性組成物は、低吸湿性架橋重 体(A)と高吸湿性架橋重合体(B)を重合体とし 混合することにより、それらの相溶性があ 程度低下するため、シランカップリング剤 効果を利用して防曇膜における上記のよう 分布が生じさせることができる。
 また、本発明における防曇性組成物にはポ エポキシド類を用いていることから、架橋 応により水酸基が生じるために、防曇膜に れた防曇性能を発揮させることができる。
 また、本発明における防曇膜は、低吸湿性 橋樹脂層と高吸湿性架橋樹脂層との2層構成 としておらず、防曇膜内に界面を有していな いことから、防曇膜における応力の発生を抑 えることができるため、耐久性に優れている 。
 以上のことから、本発明の防曇性組成物を いて親水性基体上に防曇膜を形成した本発 の防曇性物品は、優れた防曇性能と耐久性 兼ね備えている。

 尚、本発明の防曇性物品は、必ずしも親 性基体の全面に架橋樹脂層からなる防曇膜 設けられていなくてもよい。たとえば、防 膜は基体表面の一部分に形成されていても い。また、本発明の防曇膜は、単層には限 されず、本発明の条件を満たす範囲内であ ば、複数の層からなっていても構わない。

 以下、実施例および比較例を示して本発明 詳細に説明する。ただし、本発明は以下の 載によっては限定されない。
 本実施例に用いるポリエポキシド類の水溶 度は、以下に示す方法により算出した。
[水溶解度]
 容器に、蒸留水の質量W1に対するポリエポ シド類の質量W2の割合(W1:W2)を90:10として溶液 を作製し、25℃にて5分以上攪拌した。該溶液 を1時間静置した後、蒸留水から分離して沈 または浮遊したポリエポキシド類を回収し その質量W3を測り、下式により水に溶解した ポリエポキシド類の割合を算出して水溶解度 とした。
 水溶解度(%)={(W2-W3)/W2}×100

<評価方法>
 本実施例における防曇性組成物および防曇 物品の評価は、以下のように行った。

[膜厚の測定]
 防曇性物品を25℃、相対湿度50%の環境下に1 間放置した後、触針式表面形状測定器DEKTAK3 030(アルバック社製)を用いて、架橋樹脂層か なる防曇膜の膜厚段差を測定した。

[飽和吸湿量の測定]
 飽和吸湿量の測定は、架橋樹脂層からなる 曇膜全体について行った。
 まず、基体に架橋樹脂層を設け、これを25 、相対湿度50%の環境下に1時間放置し、次い 該表面を40℃の温水浴上に翳し、曇りまた 水膜による歪みが生じた直後に、微量水分 を用いて全体の水分量(Q1)を測定した。
 また、別途、架橋樹脂層を形成していない 基体そのものの水分量(Q2)を同様の手順で測 定し、水分量(Q1)から水分量(Q2)を引いた値を 橋性樹脂の体積で除した値を飽和吸湿量と た。

 水分量は、微量水分計FM-300(ケット科学研究 所社製)によって測定した。試験サンプルを12 0℃で加熱し、該試験サンプルから放出され 水分を微量水分計内のモレキュラーシーブ に吸着させ、モレキュラーシーブスの質量 化を水分量とした。
 また、測定の終点は、モレキュラーシーブ の質量の1分間当たりの変化量が0.02mg以下に なった時点とした。また、飽和吸湿量の評価 は、3.3cm×10cm×厚さ5mmの鏡基板、3.3cm×10cm×厚 100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)基 、50mmφ×3mmのアルミニウム基板、および3.3cm 10cm×厚さ2mmのソーダライムガラス基板(比較 象)を用いて作製したサンプル(架橋樹脂層 面積は33cm 2 。)により実施した。

[防曇性能の評価]
 25℃、相対湿度50%の環境下に1時間放置した 曇性物品の防曇膜表面を、40℃の温水浴上 翳し、水膜が認められるまでの防曇時間(分) および曇りが認められるまでの防曇時間(分) 測定した。防曇加工を行っていない通常の 体(防曇膜を有さない鏡基板、ソーダライム ガラス基板、PET基板、アルミニウム基板)は0. 01~0.08分で曇りを生じた。
 防曇膜に求められる防曇性能は用途により なる。本実施例では、水膜または曇りのど らか一方が認められるまでの時間が、実用 は0.3分以上必要であり、0.5分以上が好まし 、1分以上がより好ましいとして評価した。

[防曇維持性の評価]
 防曇性物品の防曇膜表面で、蒸留水(1mL)を ませたネル布(綿300番)を4.9N/4cm 2 の荷重をかけて5000回往復させた後、40℃の温 水浴上に翳し、以下の評価基準に基づき評価 した。
 ◎:外観に変化がなく、防曇時間が1分以上 あった。
 ○:外観に変化がなく、防曇時間が0.3分以上 1分未満であった。
 ×:外観に変化があるか、または、防曇時間 0.3分未満であるか、の少なくとも一方が観 された。

[乾布耐摩擦性の評価]
 防曇性物品の防曇膜表面を、ネル布(綿300番 )を用いて、14.7N/4cm 2 の荷重をかけて、5000回往復した後、40℃の温 水浴上に翳し、以下の評価基準に基づき評価 した。
 ◎:外観に変化がなく、防曇時間が1分以上 あった。
 ○:外観に変化がなく、防曇時間が0.3分以上 1分未満であった。
 ×:外観に変化があるか、または、防曇時間 0.3分未満であるか、の少なくとも一方が観 された。

[耐温水性の評価]
 防曇性物品を、60℃蒸留水に10日間浸漬した 後、室温で乾燥させ、以下の評価基準に基づ き評価した。
 ◎:外観に変化がなく、防曇時間が1分以上 あった。
 ○:外観に変化がなく、防曇時間が0.3分以上 1分未満であった。
 △:外観にわずかに変化があるが実用可能な レベルであり、防曇時間が0.3分以上1分未満 あった。
 ×:外観に変化があるか、または、防曇時間 0.3分未満であるか、の少なくとも一方が観 された。

[耐湿性の評価]
 防曇性物品を、60℃、相対湿度95%に調整さ た恒温恒湿槽に14日間放置し、表面を清浄に した後に40℃の温水浴上に翳し、以下の評価 準に基づき評価した。
 ◎:外観に変化がなく、防曇時間が1分以上 あった。
 ○:外観に変化がなく、防曇時間が0.3分以上 1分未満であった。
 ×:外観に変化があるか、または、防曇時間 0.3分未満であるか、の少なくとも一方が観 された。

[耐汚染性の評価]
 防曇性物品の防曇膜表面に、市販のうがい (イソジンうがい液、明治製菓社製)0.5mLを滴 下して室温で3時間放置し、水洗して室温で2 間乾燥した後、40℃の温水浴上に翳し、以 の評価基準に基づき目視にて評価した。
 ◎:外観に変化がなく、着色がほとんど認め られなかった。
 ○:外観に変化がなく、着色が認められた。
 ×:外観に変化が認められた。

<防曇性組成物の製造>
 防曇性組成物の製造に用いたポリエポキシ 類の物性を表1に示す。ただし、表1中のWPE エポキシ当量であり、親水性基は水酸基(OH )とオキシアルキレン基であり、疎水性基は ポキシ基、クロロ基(Cl基)、アルキル基であ る。また、表1中のポリエポキシド類の種類 略号は以下の意味を示す。
 EX622:ソルビトールポリグリシジルエーテル 商品名:デナコールEX-622、ナガセケムテック ス社製
 EX321:トリメチロールプロパンポリグリシジ エーテル、商品名:デナコールEX-321、ナガセ ケムテックス社製
 EX314:グリセロールポリグリシジルエーテル 商品名:デナコールEX-314、ナガセケムテック ス社製
 EX1610:脂肪族グリシジルエーテル化合物、商 品名:デナコールEX-1610、ナガセケムテックス 製

[製造例1]
 撹拌機、温度計がセットされたガラス容器 、ジアセトンアルコール(純正化学社製)を7. 47g、蒸留水(和光純薬社製)を0.11g、ポリエポ シド類(a1)としてソルビトールポリグリシジ エーテル(水溶解度0.08%未満、デナコールEX-6 22、ナガセケムテックス社製)を5.94g、硬化剤( a2)としてポリオキシアルキレントリアミン( ェファーミンT403、ハンツマン社製)を1.88g入 、25℃にて10分間撹拌した。次いで、シラン カップリング剤(a3)として3-アミノプロピルト リメトキシシラン(KBM903、信越化学工業社製)0 .90gを添加し、25℃にて20分間撹拌し、酢酸ブ ルで3倍に希釈して、低吸湿性架橋重合体(A- 1)を得た。デナコールEX-622のエポキシ当量は1 91g/molであり、水酸基価は67mgKOH/g(1.19meq/g)であ る。
 また、撹拌機、温度計がセットされたガラ 容器に、t-ブタノール(純正化学社製)を19.59g 、硬化剤(b2)としてジェファーミンT403(ハンツ マン社製)を2.17g、ポリエポキシド類(b1)とし 脂肪族グリシジルエーテル化合物(水溶解度1 00%、デナコールEX-1610、ナガセケムテックス 製)を5.32g入れ、25℃にて15分間攪拌した後、5 0℃にて1時間攪拌した。攪拌終了後、室温ま 冷却し、酢酸ブチルで1.5倍に希釈して、高 湿性架橋重合体(B1-1)を得た。デナコールEX-1 610のエポキシ当量は170g/molである。得られた 吸湿性架橋重合体(A-1)および高吸湿性架橋 合体(B1-1)を防曇性組成物用キットとした。
 攪拌機がセットされたガラス容器に、低吸 性架橋重合体(A-1)を10g、高吸湿性架橋重合 (B1-1)を10g入れ、25℃にて10分間攪拌して、防 性組成物(Z-1)を得た。

[製造例2]
 撹拌機、温度計がセットされたガラス容器 、ジアセトンアルコール(純正化学社製)を10 .92g、ポリエポキシド類(a1)としてデナコールE X-622(ナガセケムテックス社製)を5.94g、硬化剤 (a2)として水素化メチルナジック酸無水物(HNA- 100、新日本理化社製)を5.72g入れ、25℃にて1時 間撹拌した。次いで、シランカップリング剤 (a3)として3-グリシドキシプロピルトリメトキ シシラン(KBM403、信越化学工業社製)0.90gを添 し、25℃にて1時間撹拌し、酢酸ブチルで3倍 希釈して、低吸湿性架橋重合体(A-2)を得た
 また、製造例1と同様の方法で高吸湿性架橋 重合体(B1-1)を得た。得られた低吸湿性架橋重 合体(A-2)および高吸湿性架橋重合体(B1-1)を防 性組成物用キットとした。
 攪拌機がセットされたガラス容器に、低吸 性架橋重合体(A-2)を10g、高吸湿性架橋重合 (B1-1)を10g入れ、25℃にて10分間攪拌して、防 性組成物(Z-2)を得た。

[製造例3]
 製造例2と同様の方法で低吸湿性架橋重合体 (A-2)を得た。
 また、撹拌機、温度計がセットされたガラ 容器に、ジアセトンアルコール(純正化学社 製)を28.97g、硬化剤(b2)として水素化メチルナ ック酸無水物(HNA-100、新日本理化社製)を5.76 g、ポリエポキシド類(b1)としてデナコールEX-1 610(ナガセケムテックス社製)を5.32g入れ、25℃ にて15分間攪拌した後、50℃にて1時間攪拌し 。攪拌終了後、室温まで冷却し、酢酸ブチ で1.5倍に希釈して、高吸湿性架橋重合体(B1- 2)を得た。得られた低吸湿性架橋重合体(A-2) よび高吸湿性架橋重合体(B1-2)を防曇性組成 用キットとした。
 攪拌機がセットされたガラス容器に、低吸 性架橋重合体(A-2)を10g、高吸湿性架橋重合 (B1-2)を10g入れ、25℃にて10分間攪拌して、防 性組成物(Z-3)を得た。

[製造例4~7]
 低吸湿性架橋重合体(A-1)と高吸湿性架橋重 体(B1-1)の割合(合計質量20g)を表2に示す通り 変更した以外は製造例4と同様の方法で防曇 組成物(Z-4)~防曇性組成物(Z-7)を得た。

[製造例8]
 製造例1と同様の方法で低吸湿性架橋重合体 (A-1)を得た。
 また、撹拌機、温度計がセットされたガラ 容器に、t-ブタノール(純正化学社製)を19.59g 、硬化剤(b2)としてジェファーミンT403(ハンツ マン社製)を2.17g、ポリエポキシド類(b1)とし デナコールEX-1610(ナガセケムテックス社製) 5.32g入れ、25℃にて10分間攪拌した後、50℃に て1時間攪拌した。次いで、シランカップリ グ剤(b3)としてKBM903(信越化学工業社製)の0.20g を添加し、25℃にて15分間間攪拌した。攪拌 了後、室温まで冷却し、酢酸ブチルで1.5倍 希釈して、高吸湿性架橋重合体(B2-1)を得た 得られた低吸湿性架橋重合体(A-1)および高吸 湿性架橋重合体(B2-1)を防曇性組成物用キット とした。
 攪拌機がセットされたガラス容器に、低吸 性架橋重合体(A-1)を10g、高吸湿性架橋重合 (B2-1)を10g入れ、25℃にて10分間攪拌して、防 性組成物(Z-8)を得た。

[製造例9]
 シランカップリング剤(b3)であるKBM903(信越 学工業社製)の添加量を0.30gとした以外は、 造例8と同様の方法で高吸湿性架橋重合体(B2 -1)を得て、得られた低吸湿性架橋重合体(A-1 )および高吸湿性架橋重合体(B2’-1)を防曇性 成物用キットとし、防曇性組成物(Z-9)を得た 。

[製造例10]
 シランカップリング剤(a3)であるKBM903(信越 学工業社製)の添加量を0.50gとした以外は、 造例1と同様の方法で低吸湿性架橋重合体(A -1)を得た。
 また、製造例1と同様の方法で高吸湿性架橋 重合体(B1-1)を得た。得られた低吸湿性架橋重 合体(A’-1)および高吸湿性架橋重合体(B1-1)を 曇性組成物用キットとした。
 攪拌機がセットされたガラス容器に、低吸 性架橋重合体(A’-1)を10g、高吸湿性架橋重 体(B1-1)を10g入れ、25℃にて10分間攪拌して、 曇性組成物(Z-10)を得た。

[製造例11]
 撹拌機、温度計がセットされたガラス容器 、ジアセトンアルコール(純正化学社製)を6. 69g、蒸留水(和光純薬社製)を0.11g、ポリエポ シド類(a1)としてデナコールEX-622(ナガセケム テックス社製)を5.94g、硬化剤(a2)としてジェ ァーミンT403(ハンツマン社製)を1.88g入れ、25 にて2時間撹拌した。次いで、酢酸ブチルで 3倍に希釈して、低吸湿性架橋重合体(A’-2)を 得た。
 また、製造例1と同様の方法で高吸湿性架橋 重合体(B1-1)を得た。得られた低吸湿性架橋重 合体(A’-2)および高吸湿性架橋重合体(B1-1)を 曇性組成物用キットとした。
 攪拌機がセットされたガラス容器に、低吸 性架橋重合体(A’-2)を10g、高吸湿性架橋重 体(B1-1)を10g入れ、25℃にて10分間攪拌して、 曇性組成物(Z-11)を得た。

[製造例12]
 撹拌機、温度計がセットされたガラス容器 、ジアセトンアルコール(純正化学社製)を6. 09g、蒸留水(和光純薬社製)を0.11g、ポリエポ シド類(a1)以外の他のポリエポキシド類とし トリメチロールプロパンポリグリシジルエ テル(水溶解度27%、デナコールEX-321、ナガセ ケムテックス社製)を4.35g、硬化剤(a2)として ェファーミンT403(ハンツマン社製)を1.88g入れ 、25℃にて10分間撹拌した。次いで、シラン ップリング剤としてKBM903(信越化学工業社製) の0.90gを添加し、25℃にて20分間撹拌し、酢酸 ブチルで3倍に希釈して、低吸湿性架橋重合 (A’-3)を得た。デナコールEX-321のエポキシ当 量は140g/molである。
 また、製造例1と同様の方法で高吸湿性架橋 重合体(B1-1)を得た。得られた低吸湿性架橋重 合体(A’-3)および高吸湿性架橋重合体(B1-1)を 曇性組成物用キットとした。
 攪拌機がセットされたガラス容器に、低吸 性架橋重合体(A’-3)を10g、高吸湿性架橋重 体(B1-1)を10g入れ、25℃にて10分間攪拌して、 曇性組成物(Z-12)を得た。

[製造例13]
 ジアセトンアルコールの使用量を6.09gとし 以外は、製造例1と同様の方法で低吸湿性架 重合体(A-1)を得た。
 撹拌機、温度計がセットされたガラス容器 、t-ブタノール(純正化学社製)を17.46g、ポリ エポキシド類(b1)以外の他のポリエポキシド としてグリセロールポリグリシジルエーテ (水溶解度64%、デナコールEX-314、ナガセケム ックス社製)を4.51g、硬化剤(b2)としてジェフ ァーミンT403(ハンツマン社製)を2.17g入れ、25 にて15分間攪拌した後、50℃にて1時間攪拌し た。攪拌終了後、室温まで冷却し、酢酸ブチ ルで1.5倍に希釈して、高吸湿性架橋重合体(B1 ’-1)を得た。デナコールEX-314のエポキシ当量 は144g/molである。得られた低吸湿性架橋重合 (A-1)および高吸湿性架橋重合体(B1’-1)を防 性組成物用キットとした。
 攪拌機がセットされたガラス容器に、低吸 性架橋重合体(A-1)を10g、高吸湿性架橋重合 (B1’-1)を10g入れ、25℃にて10分間攪拌して、 曇性組成物(Z-13)を得た。

<防曇性物品の製造>
 製造例で得られた防曇性組成物を用いて、 種基体に防曇膜を形成し、評価を行った。
[実施例1]
 攪拌機がセットされたガラス容器に、酢酸 チルを83.46g、ジアセトンアルコールを15.00g および界面活性剤としてアクリロイルオキ 基含有ノニオン系界面活性剤(ER10、アデカ 製)を1.54g入れて、25℃にて10分間攪拌し、界 活性剤組成物(X)を得た。
 親水性基体として、酸化セリウムで表面を 磨洗浄し、乾燥した清浄な鏡基板(水接触角 5°、100mm×200mm×厚さ5mm)を用い、該鏡基板の表 面に製造例1で得た防曇性組成物(Z-1)をスプレ ーコートによって塗布した。続いて、界面活 性剤組成物(X)をスプレーコートによって塗布 し、360℃に設定された赤外線加熱炉で5分間 持し、架橋樹脂層を有する防曇性物品を得 。

[実施例2]
 親水性基体として、表面汚染物をアセトン 除去し、UVオゾンガス処理を行った清浄なPE T基板(水接触角15°、210mm×297mm×厚さ100μm、HS-1 00、帝人デュポンフィルム社製)を用い、該PET 基板の表面に製造例1で得た防曇性組成物(Z-1) をスプレーコートによって塗布した。続いて 、界面活性剤組成物(X)をスプレーコートによ って塗布し、360℃に設定された赤外線加熱炉 で5分間保持し、架橋樹脂層を有する防曇性 品を得た。

[実施例3]
 親水性基体として、表面汚染物をアセトン 除去し、UVオゾンガス処理を行った清浄な ルミニウム基板(水接触角5°、50mmφ×厚さ3mm) 用い、該アルミニウム基板の表面に製造例1 で得た防曇性組成物(Z-1)をスピンコートによ て塗布した。
 続いて、界面活性剤組成物(X)をスピンコー によって塗布し、360℃に設定された赤外線 熱炉で5分間保持し、架橋樹脂層を有する防 曇性物品を得た。

[実施例4]
 親水性基体として、酸化セリウムで表面を 磨洗浄し、乾燥した清浄な鏡基板(水接触角 5°、100mm×200mm×厚さ5mm)を用い、該鏡基板の表 面に製造例1で得た防曇性組成物(Z-1)をスプレ ーコートによって塗布した。続いて、360℃に 設定された赤外線加熱炉で5分間保持し、架 樹脂層を有する防曇性物品を得た。

[実施例5~8]
 親水性基体として、酸化セリウムで表面を 磨洗浄し、乾燥した清浄な鏡基板(水接触角 5°以下、100mm×200mm×厚さ5mm)を用い、該鏡基板 の表面に、表3に示すように製造例で得られ 防曇性組成物をスプレーコートによって塗 した。続いて、界面活性剤組成物(X)をスプ ーコートによって塗布し、360℃に設定され 赤外線加熱炉で5分間保持し、架橋樹脂層を する防曇性物品をそれぞれ得た。

[実施例9]
 防曇性組成物(Z-8)を用いた以外は、実施例4 同様の方法で架橋樹脂層を有する防曇性物 を得た。

[実施例10、11]
 表3に示す通りに防曇性組成物を用いた以外 は、実施例5~8と同様の方法で架橋樹脂層を有 する防曇性物品を得た。

[比較例1および2]
 防曇性組成物(Z-9)、(Z-10)を用いた以外は、 施例4と同様の方法で架橋樹脂層を有する防 性物品を得た。

[比較例3~5]
 親水性基体として、酸化セリウムで表面を 磨洗浄し、乾燥した清浄な鏡基板(水接触角 5°以下、100mm×200mm×厚さ5mm)を用い、該鏡基板 の表面に、製造例11~13で得た防曇性組成物(Z-1 1)~(Z-13)をスプレーコートによって塗布した。 続いて、界面活性剤組成物(X)をスプレーコー トによって塗布し、360℃に設定された赤外線 加熱炉で5分間保持し、架橋樹脂層を有する 曇性物品を得た。

[比較例6]
 表面を洗浄していない鏡基板(水接触角42° 100mm×200mm×厚さ5mm)の表面に、製造例1で得た 曇性組成物(Z-1)をスプレーコートによって 布した。続いて、界面活性剤組成物(X)をス レーコートによって塗布し、360℃に設定さ た赤外線加熱炉で5分間保持し、架橋樹脂層 有する防曇性物品を得た。該架橋樹脂層に 一部ハジキ模様が見られた。
 実施例1~11および比較例1~6で得られた防曇性 物品の評価結果を表3に示す。

 表3に示すように、本発明の防曇性組成物を 用いた実施例1~9の防曇性物品は、防曇性能に 優れ、かつ防曇性能の持続性(防曇維持性)、 布耐摩擦性、耐温水性、耐湿性、耐汚染性 の耐久性に優れていた。また、本発明の防 性組成物は、低吸湿性架橋重合体(A)および 吸湿性架橋重合体(B)を含む組成物であり、 層の防曇膜として形成できるので、量産性 も優れていた。
 また、実施例10、11の防曇性物品は、共に防 曇時間は1分以上であり、防曇性能の持続性 優れていた。また、実施例10、11とも防曇膜 耐久性は実用上問題なかった。なお、実施 11においては、耐温水性で外観不良が観察 れたものの、防曇膜の端部から一部に剥が が見られる程度であり、比較例で観察され 膜面に存在する外観不良とは異なり、実用 能なレベルであった。実施例10、11の結果と 施例1~9の結果から、本発明の防曇性組成物 、防曇性組成物中の低吸湿性架橋重合体(A)[ 質量:Ma(g)]と高吸湿性架橋重合体(B)[質量:Mb(g)] の割合(Ma/Mb)は、30/70~70/30である場合に、より 優れた防曇性能と耐久性とが得られやすいこ とがわかった。

 一方、高吸湿性架橋重合体に含有されるシ ンカップリング剤の量が多い比較例1では、 実施例に比べて防曇維持性に劣っていた。ま た、低吸湿性架橋重合体に含有されるシラン カップリング剤の量が少ない比較例2でも同 に、実施例に比べて防曇維持性に劣ってい 。また、低吸湿性架橋重合体にシランカッ リング剤が含有されていない比較例3では、 曇維持性、乾布耐摩擦性、温水性、耐湿性 劣っていた。
 また、低吸湿性架橋重合体に水溶解度が20% 上のポリエポキシド類を用いた比較例4では 、温水性および耐湿性に劣っていた。また、 高吸湿性架橋重合体に水溶解度が100%未満の リエポキシド類を用いた比較例5では、防曇 持性および乾布耐摩擦性に劣っており、防 性能も劣っていた。

 また、親水性基体を用いなかった比較例6 では、防曇維持性、乾布耐摩擦性、温水性、 耐候性、耐湿性に劣っていた。

 本発明の防曇性物品は、例えば、輸送機器( 自動車、鉄道、船舶、飛行機等)用窓ガラス 冷蔵ショーケース、洗面化粧台用鏡、浴室 鏡、光学機器等に使用できる。

 なお、2008年6月11日に出願された日本特許出 願2008-152921号の明細書、特許請求の範囲、お び要約書の全内容をここに引用し、本発明 明細書の開示として取り入れるものである




 
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