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Title:
APPARATUS AND METHOD FOR TREATING WASTE GAS FOR ROTARY HEARTH FURNACE-TYPE REDUCING FURNACE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/008256
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides an apparatus and method for treating a waste gas, which, without an excessive increase in equipment cost, prevent troubles such as clogging caused by dust deposition in a waste gas treatment equipment and a deterioration of equipment by corrosion in a rotary hearth furnace-type reducing furnace and, at the same time, can realize effective utilization of sensible heat of a waste gas in preheating of air for burner combustion in the rotary hearth furnace-type reducing furnace. This apparatus is provided with an emission heat exchanger (2) for heat exchange between the waste gas and the air discharged from the rotary hearth furnace-type reducing furnace. This emission heat exchanger (2) comprises a metallic inner cylinder (22) surrounding a space for waste gas flow, an outer cylinder (21), which is disposed on the radial outer side of the inner cylinder and defines a flow passage for air flow for heat exchange with the waste gas between the outer cylinder (21) and the inner cylinder (22), and a highly heat conductive refractory (23) which is applied on the inner side of the inner cylinder (22) so as to cover the inner face of the inner cylinder (22).

Inventors:
SUGITATSU HIROSHI
HARADA TAKAO
FUJIMOTO HIDEAKI
Application Number:
PCT/JP2008/061324
Publication Date:
January 15, 2009
Filing Date:
June 20, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KOBE STEEL LTD (JP)
SUGITATSU HIROSHI
HARADA TAKAO
FUJIMOTO HIDEAKI
International Classes:
F27D17/00; C21B13/10; F27B9/18; F27B9/30; C22B7/02
Foreign References:
JPS5333044U1978-03-23
JP2004332947A2004-11-25
JP2001048650A2001-02-20
JP2001201271A2001-07-27
JPH11342314A1999-12-14
JP2002168433A2002-06-14
JPS59113666U1984-08-01
JPS56109596U1981-08-25
JPH0718149U1995-03-31
JPH11142062A1999-05-28
JPS5263252U1977-05-10
JPH11279611A1999-10-12
JP2000169906A2000-06-20
JP2003090686A2003-03-28
JPH11342314A1999-12-14
JP2001048650A2001-02-20
Other References:
See also references of EP 2172726A4
Attorney, Agent or Firm:
KOTANI, Etsuji et al. (2nd Floor2-2, Nakanoshima,2-chome, Kita-ku, Osaka-shi, Osaka 05, JP)
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Claims:
 回転炉床式還元炉から排出される排ガスを処理するための排ガス処理装置であって、
 前記回転炉床式還元炉から排出される排ガスと空気とを熱交換させるための輻射式熱交換器を備え、
 この輻射式熱交換器は、前記排ガスが流通するための空間を囲む金属製の内筒と、この内筒の径方向外側に配置され、この内筒との間に前記排ガスと熱交換すべき空気が流通するための流路を形成する外筒と、前記内筒の内面を覆うように当該内筒の内側に施工される高熱伝導性耐火物とを有する。
 請求項1に記載の回転炉床式還元炉の排ガス処理装置において、
 前記高熱伝導性耐火物は、SiC、ZrB 2 、BNのいずれかを主体として含有する。
 請求項2に記載の回転炉床式還元炉の排ガス処理装置において、
 前記高熱伝導性耐火物が、SiCを主体として含有する炭化珪素系耐火物である。
 請求項3に記載の回転炉床式還元炉の排ガス処理装置において、
 前記炭化珪素系耐火物のSiC含有量が60質量%以上である。
 請求項1~4のいずれか1項に記載の回転炉床式還元炉の排ガス処理装置において、
 前記熱交換器の入口における排ガスの温度を1100℃以上である目標温度に制御する熱交換器入口ガス温度制御手段を備える。
 請求項5記載の回転炉床式還元炉の排ガス処理装置において、
 前記熱交換器入口ガス温度制御手段は、前記熱交換器の入口における排ガスの温度を1200℃以上の目標温度に制御する。
 請求項5または6に記載の回転炉床式還元炉の排ガス処理装置において、
 前記熱交換器入口ガス温度制御手段は、前記回転炉床式還元炉からの排ガス中に空気を導入することにより、前記熱交換器の入口における排ガスの温度を制御する。
 請求項5または6に記載の回転炉床式還元炉の排ガス処理装置において、
 前記熱交換器入口ガス温度制御手段は、前記回転炉床式還元炉からの排ガス中に冷却後の燃焼排ガスを導入することにより、前記熱交換器の入口における排ガスの温度を制御する。
 請求項1~8のいずれか1項に記載の回転炉床式還元炉の排ガス処理装置において、
 さらに、前記熱交換器の後段に設けられて該熱交換器の出口から排出された排ガスを強制冷却するための排ガス冷却塔を備える。
 請求項9記載の回転炉床式還元炉の排ガス処理装置において、
 さらに、前記熱交換器の出口から前記排ガス冷却塔に至る耐火物ダクトを備え、この耐火物ダクトは、金属製のダクト本体と、このダクト本体の内面の少なくとも一部を覆うように施工される耐火物とを有する。
 請求項1~10のいずれか1項に記載の回転炉床式還元炉の排ガス処理装置における伝熱面に付着したダストを剥離する方法であって、
 前記高熱伝導性耐火物の表面の温度を還元操業時の当該表面の温度よりも一時的に下げることにより、当該表面に付着したダスト層にその剥離を促進する亀裂を生じさせることを含む。
 回転炉床式還元炉から排出される排ガスを処理するための排ガス処理方法であって、
 前記回転炉床式還元炉から排出される排ガスを熱交換器に導入して当該排ガスと空気とを熱交換させることにより当該空気を予熱することを含み、
 前記熱交換器には、前記排ガスが流通するための空間を囲む内筒と、この内筒の径方向外側に配置され、この内筒との間に前記空気が流通するための流路を形成する外筒と、前記内筒の内面を覆うように配置される高熱伝導性耐火物とを有する輻射式熱交換器を用いる。
 請求項12記載の回転炉床式還元炉の排ガス処理方法において、
 前記熱交換器の入口における排ガスの温度を1100℃以上である目標温度に制御することを含む。
 請求項13記載の回転炉床式還元炉の排ガス処理方法において、
 前記熱交換器の入口における排ガスの温度の目標温度が1200℃以上の温度である。
 請求項12~14のいずれかに記載の回転炉床式還元炉の排ガス処理方法において、
 前記熱交換器では、当該熱交換器の出口における排ガス温度が当該熱交換器の入口における排ガス温度よりも低い温度であって600℃以上の温度まで低下するように当該排ガスと空気との間で熱交換を行わせ、
 さらに、前記熱交換器から排出される排ガスを排ガス冷却塔内に導入して当該排ガスの温度を5秒以内で600℃から200℃まで降下させるような強制冷却を行うことを含む。
Description:
回転炉床式還元炉の排ガス処理 置および方法

 本発明は、回転炉床式還元炉(以下、「回 転炉床炉」ともいう。)にて炭材内装酸化金 塊成化物を還元する際に発生する排ガスを 理するための装置および方法に関し、より しくは、前記排ガスの顕熱を有効に回収す ための熱交換器の構造およびそれを用いた ガス処理技術に関する。

 従来の還元鉄製造プロセスには、還元剤 して高価な天然ガスを必要とすること、プ ントの立地が通常天然ガスの産地に限られ ことなどの制約がある。このため、近年、 記還元剤として比較的安価でかつプラント 地の地理的制約も緩和される石炭を用いた 還元鉄の製造方法が注目されている。

 このように還元剤に石炭を用いた還元鉄 製造方法として、例えば特許文献1では、鉄 鉱石と石炭との粉状混合物を塊成化した炭材 内装酸化鉄塊成化物(以下、単に「塊成化物 ともいう。)を回転炉床炉内に装入すること 、この塊成化物を高温雰囲気下で加熱し還 することとを含むものが提案されている。

 このプロセスでは、排ガスの顕熱の有効 用のため、排ガス経路の第1段階に熱交換器 が設置されて前記排ガスを空気により間接的 に冷却するとともに、この熱交換器で予熱さ れた空気は、回転炉床炉を加熱するためのバ ーナ燃焼用空気として利用される。このよう な高温の排ガスとバーナ燃焼用空気との熱交 換は、当該バーナ燃焼用空気の予熱温度を十 分に高めることができ、エネルギ効率に優れ た還元鉄製造プロセスの構築を可能にする。

 また、前記鉄鉱石に代えて製鉄所ダスト 原料とすることで、前記プロセスを原料中 亜鉛や鉛等を還元揮発して除去するダスト 理プロセスに適用することも進められてい 。

 ところが、製鉄所ダストを原料とした場 には、回転炉床炉内の高温雰囲気下で塊成 物中の亜鉛や鉛が還元されて金属蒸気とな て揮発し、あるいはその一部が塩化揮発し 塊成化物から分離除去されることにより、 鉛や鉛の他、アルカリ金属やハロゲンなど 不純物元素を含んだ大量のダストが発生す 。このダストは、前記排ガスとともに炉外 排ガス処理設備に導入されて熱交換器の金 伝熱面やダクト面などに強固に固着して成 する。このダストの成長は、当該熱交換器 伝熱効率の低下、排ガス流路の閉塞、ある は金属の腐食による設備寿命の短縮などを き起こす。

 このような、回転炉床炉の排ガス処理設 への固着閉塞や設備の早期腐食劣化の問題 対策として、次のような種々の提案がなさ ている。

 1)特許文献2、3は、回転炉床炉の排ガス処 理の第1段階として水を冷媒とする廃熱ボイ を設置することと、その後段に空気を冷媒 する熱交換器を設置することと、前記廃熱 イラの内表面温度を400℃以下に制御すると もに、廃熱ボイラ内面に付着したダストを ートブローやハンマリング機構で除去する ととを含む方法を開示する。

 しかし、この方法は、排ガス処理設備へ 廃熱ボイラの付加を要するため、設備コス の増大を伴う。さらに、後段の熱交換器の 口ガス温度が例えば600℃程度まで低く抑え れるため、排ガス処理の第1段階に熱交換器 が設置される前記特許文献1に記載のプロセ に比べて、バーナ燃焼用の予熱空気の温度 十分高くすることができず、回転炉床炉の ネルギ効率が劣る。また、スートブローや ンマリング機構といった機械式のダスト除 手段を必要とするため、設備トラブルが起 りやすい。

 2)特許文献4は、回転炉床炉の排ガス処理 備の第1段階として空気を冷媒とする輻射式 の熱交換器を設置することにより、回転炉床 炉から流出する際の1200℃程度の排ガスの温 を1000℃程度まで低下させることと、その後 水冷ダクトで750℃程度に予備冷却すること 、さらに排ガス中に冷風を導入して250℃以 に急速に冷却することとを含む方法を開示 る。

 しかし、この方法も、前記特許文献1に記 載の方法と同様、熱交換器の内面へのダスト の付着や該内面の腐食劣化の問題が生じるこ とを回避することはできない。

 3)特許文献5は、熱交換器用伝熱管の外筒がS iCを主体とする多孔質セラミックで形成され ものを開示するが、この伝熱管はセラミッ のみで構成された単管であるから、その用 は著しく制限される。具体的に、その管径 小さい場合には必要な強度を維持すること 可能であるが、例えば管内部に大量の排ガ を通過させる必要がある場合など、非常に きい内径が必要とされる場合に適用するこ が強度上困難である。

特開平11-279611号公報

特開平2000-169906号公報

特開2003-90686号公報

特開平11-342314号公報

特開2001-48650号公報

 本発明は、前記の事情に鑑み、設備コス を過度に上昇させることなく、回転炉床式 元炉の排ガス処理設備におけるダスト付着 よる閉塞や設備の腐食劣化などのトラブル 防止しつつ、排ガスの顕熱を回転炉床式還 炉のバーナ燃焼用空気の予熱に有効に利用 うる排ガス処理装置および方法を提供する とを目的とする。

 この目的を達成するため、本発明に係る 転炉床式還元炉の排ガス処理装置は、前記 転炉床式還元炉から排出される排ガスと冷 とを熱交換させるための輻射式熱交換器を え、この輻射式熱交換器は、前記排ガスが 通するための空間を囲む金属製の内筒と、 の内筒の径方向外側に配置され、この内筒 の間に前記排ガスと熱交換すべき空気が流 するための流路を形成する外筒と、前記内 の内面を覆うように当該内筒の内側に施工 れる高熱伝導性耐火物とを有する。

 また、本発明に係る回転炉床式還元炉の ガス処理方法は、前記回転炉床式還元炉か 排出される排ガスを熱交換器に導入して当 排ガスと空気とを熱交換させることにより 該空気を予熱することを含み、前記熱交換 には、前記排ガスが流通するための空間を む内筒と、この内筒の径方向外側に配置さ 、この内筒との間に前記空気が流通するた の流路を形成する外筒と、前記内筒の内面 覆うように配置される高熱伝導性耐火物と 有する輻射式熱交換器を用いるものである

本発明の実施形態に係る回転炉床式還 炉の排ガス処理装置の概略構成を示すフロ 図である。 前記排ガス処理装置に含まれる輻射式 交換器の詳細を示す斜視図である。 炭化珪素系耐火物のSiC含有量が60質量% 場合における、操業経過日数と輻射式熱交 器の伝熱面における総括伝熱係数との関係 示すグラフである。 炭化珪素系耐火物のSiC含有量が60質量% 場合における、操業経過日数と予熱空気温 との関係を示すグラフである。 炭化珪素系耐火物のSiC含有量が80質量% 場合における、操業経過日数と輻射式熱交 器の伝熱面における総括伝熱係数との関係 示すグラフである。 炭化珪素系耐火物のSiC含有量が80質量% 場合における、操業経過日数と、予熱空気 度との関係を示すグラフ図である。 輻射式熱交換器の伝熱面における温度 ロフィルを示す断面図である。 比較例に係る回転炉床式還元炉の排ガ 処理装置の概略構成を示すフロー図である

 以下、本発明の好ましい実施の形態につ て図面を参照しつつ、詳細に説明する。

 図1は、本発明の一実施形態に係る回転炉 床式還元炉の排ガス処理装置の概略構成を示 す。この排ガス処理装置は、排ガスGを排出 る回転炉床炉1と、この回転炉床炉1から排出 される排ガスGを前記回転炉床炉1で使用され バーナ燃焼用の空気Aとの間で熱交換させる 輻射式の熱交換器2と、この熱交換器2の出口 耐火物ダクト3を介して接続され、この耐火 物ダクト3を経由して導入される排ガスを急 冷却する排ガス冷却塔4と、その急速冷却後 排ガスを除塵処理する集塵機5と、その除塵 後の排ガスを煙突7を通じて排出する誘引フ ン6とを備える。

 以下、前記排ガスGの流れに沿ってさらに 詳細に説明する。

〔熱交換器2について〕
 前記回転炉床炉1から1100~1450℃の温度をもつ 排ガスGが排出される。この高温の排ガスは 必要により温度調整(後記にて詳述)された後 、前記熱交換器2に導入され、回転炉床炉1で 用されるバーナ燃焼用の空気Aとの間で熱交 換する。

 図2は、前記熱交換器2の詳細を示す。こ 熱交換器2は、金属製の外筒21と、この外筒21 の内側面から距離をおいてその内側に配置さ れる金属製の内筒22と、その内筒22の内面を うように当該内筒22に内張りされる高熱伝導 性耐火物23とを有する。前記内筒22及び前記 火物23は、熱源としての排ガスGが流通する めの排ガス流路を囲む。一方、内筒22と外筒 21はその間に冷媒としての空気Aが流通するた めの空気流路を形成する。これら内筒22及び 筒21を構成する金属としては、例えば、炭 鋼やステンレス鋼等からなる鋼板が好適で る。

 前記排ガスG中に高濃度に含まれるダスト は、高熱伝導性耐火物23の表面に接触するこ により冷却されて固化し、該表面に付着層 形成するが、高熱伝導性耐火物23の表面に 成されたダストの付着層は脆くて剥がれや いため成長しにくく、よって当該付着層の みは薄い。従って、この付着層は前記熱交 器2の伝熱効率にほとんど影響を与えず、ま 、排ガス流通経路を閉塞に至らせることは い。

 前記耐火物23は、前記内筒22の内面を覆う ことにより、当該内筒22に腐食性のダストが 接接触することを阻止し、その腐食劣化を 止する。また、この耐火物23の表面にダス の薄い付着層が形成されることは、却って 耐火物23が排ガスとともに流動するダストと の接触で磨耗または損耗することを防ぐ。こ のことは、前記特許文献2、3に記載されるよ な、操業中にダストを除去するための機械 の除去手段を不要にする。ダストの付着層 厚みが増すと伝熱効率が低下したり排ガス 流通経路を閉塞させるおそれがあるが、前 ダストの付着層は脆くて剥がれやすいので その除去は簡単である。例えば、熱交換器 入口部および出口部に予め保全孔を設ける とと、保全時に前記保全孔を開いて当該保 孔から金棒を熱交換器内に挿入して前記付 層をつつくこととにより、当該付着層を簡 に除去することができる。

 さらに、前記高熱伝導性耐火物23の表面 温度を還元操業時の当該表面の温度よりも 時的に下げることにより、当該表面に付着 たダスト層にその剥離を促進する亀裂を生 させることが可能であり、これにより、予 設けられた保全孔から棒等を挿入して前記 スト層をつつくといった作業を行わなくて 、前記ダスト層の除去を容易に行うことが 能である。

 この操作は、例えば1ヶ月に1回程度の頻 で行われればよい。1回あたりの操作時間(温 度を下げる時間)は、日修等に合わせて連続8~ 12時間程度が好ましいが、30分~1時間程度の短 時間の操作でも前記の効果を得ることが可能 である。

 この操作は原料を回転炉床炉内に装入し がら行われることも可能であるが、好まし は、日修時など原料の装入が行われない時 アイドリング運転として行われるのがよい 例えば、還元操業時では熱交換器入口温度 1,350℃とする一方、前記アイドリング運転 は当該熱交換器入口温度を1,050℃とする(す わちガス温度を約300℃下げる)ことにより、 熱伝導性耐火物23の表面に付着するダスト を熱収縮させてこれに亀裂を生じさせるこ ができ、この亀裂により当該ダスト層の剥 を促進することができる。

 なお、前記アイドリング時の排ガス量及び 焼空気量は還元操業運転時のそれよりも少 く、例えば還元操業運転時に11,700Nm 3 /hであった排ガス量は6,000Nm 3 /h程度まで低下し、還元操業運転時に13,100Nm 3 /hであった予熱空気量も6,000Nm 3 /h程度まで低下する。しかし、当該アイドリ グ運転時の予熱空気量を意図的に増加させ ことによっても、高熱伝導性耐火物23の表 温度を下げることが可能であり、その増加 より生ずる予熱空気の余剰分は大気に放散 ればよい。

 高熱伝導性耐火物23としては、熱伝導率の いSiC、ZrB 2 、BNなどを主体として含有する耐火物が例示 きる。これらの耐火物は、熱伝導性に優れ だけでなく、耐摩耗性、耐食性にも優れて り、回転炉床炉からの腐食性のダストを高 度に含有する排ガスに対して耐性を有する でも好ましい。

 なかでも、SiCを主体として含有する耐火物( 炭化珪素系耐火物)は、比較的低コストでも り、最も推奨される。炭化珪素系耐火物を いる場合、その熱伝導性を確保する観点か SiC含有量の高いものほど好ましく、SiC含有 が60質量%以上、さらには70質量%以上とする が望ましい。ちなみに、炭化珪素系耐火物 熱伝導率の一例を挙げると、SiC30質量%含有 4.65W/(mK)、SiC60質量%含有で8.72W/(mK)、SiC78%含有 で11.1W/(mK)(いずれも、残部主としてAl 2 O 3 、SiO 2 であり、熱伝導率は1,000℃における値である) である。また、SiCを主に含む耐火物は、その 表面に耐食性に優れたSiO 2 皮膜を形成する利点を有する。

 高熱伝導性耐火物23の厚みは、熱交換器2 総括伝熱係数を確保するためには薄いほど いが、金属製の内筒22の耐熱温度、耐火物23 の損耗や耐火物23の内筒22内面への施工性等 考慮すると、30mm以上100mm以下の範囲で適宜 整されるのがよい。耐火物23の施工は、例え ば、内筒22の内面への複数の金属製アンカー 溶接と、型枠の設置と、この型枠へのキャ タブル耐火物の流し込みにより行われるこ が可能である。前記キャスタブル耐火物は 振動充填されることが好ましい。この振動 填は、耐火物施工の緻密性を高めることに り、熱伝導率の低下の防止及びダストの付 の抑制を可能にする。さらに、耐火物表面 平滑に仕上げられることが好ましい。また 施工時の水分管理が重要である。

 前記熱交換器2に導入される(すなわち前 熱交換器2の入口における)排ガスGの温度は 所定の熱交換器入口ガス温度制御手段8によ 、回転炉床炉1から排出される排ガスGの温 よりも低い温度であって1,100℃以上、さらに 好ましくは1,200℃以上の目標温度に調整され ことが好ましい。金属製の内筒の内面が耐 物により覆われていない従来の熱交換器で 、当該内筒の耐熱性の制約から、熱交換器 導入しうる排ガス温度の上限は1,000℃程度 あるのに対し、本発明に係る排ガス処理装 では、内筒の内面を覆う耐火物が、より高 の排ガスの導入を可能にする。

 前記熱交換器入口ガス温度制御手段8は、 例えば、回転炉床炉1からの排ガスG中に空気 導入するものや、同排ガスG中に冷却後の燃 焼排ガスを導入するものが好ましい。その他 、排ガスG中に冷却水を直接噴霧するものや 排ガスGを水冷管内に流通させて間接冷却す ものであってもよい。

 しかし、このような冷却水を用いる制御手 は、排ガスGの顕熱総量を減少させてしまう のに対し、排ガスG中に空気または冷却され 燃焼排ガスを導入する手段は、排ガスGをそ 顕熱総量を減少させることなく熱交換器2に 導入することを可能にし、熱回収の効率を向 上させることができる。特に、排ガスGに冷 後の燃焼排ガスを導入する手段は、当該燃 排ガス中に輻射率の高いCO 2 成分やH 2 O成分が含まれていることから、空気を導入 る手段に比べて排ガスGの輻射率を高めて輻 伝熱量を増加させることができるので、よ 好ましい。

 前記冷却後の燃焼排ガスとしては、例え 、本排ガス処理装置の集塵機5の出側や誘引 ファン6の出側から冷却・徐塵後の排ガスGの 部を抜き出して使用すればよい。あるいは 燃焼排ガスとして、本排ガス処理装置とは の設備、例えば他の燃焼炉や乾燥炉などの 出ガスを利用することもできる。

 なお、前記耐火物23の耐熱性が十分に高 、熱交換器2の入口温度を特に抑える必要が い場合には、熱交換器2での熱回収率を高め るべく、前記熱交換器入口ガス温度制御手段 8による入口温度の制御(すなわち回転炉床炉1 からの排ガスGの冷却)を省略し、あるいは逆 、当該入口温度を高めるように熱交換器入 ガス温度制御手段8が構成されてもよい。前 記排ガスGの冷却が省略される場合、前記排 スGに残存するCOガス等の可燃成分に起因し 当該入口温度が逆に上昇することもあり得 。さらに、当該排ガスG中に前記可燃成分や 鉛等の重金属の蒸気が含まれる場合、この ガスGに酸素を含むガス(例えば空気や燃焼 ガス)を導入して前記可燃成分や前記蒸気の 焼(酸化)を促進することによって、当該排 スGの温度を積極的に上昇させる(すなわち熱 交換器入口温度を上昇させる)制御を行うこ も可能である。

 また、前記熱交換器2の出口温度の調整は 、予め設定された温度(例えば700℃)以上の高 に保たれることが好ましい。このことは、 該熱交換器2内の高熱伝導性耐火物23の表面 付着するダストの量を減らし、長期間の運 を可能にする。この出口温度は、熱交換器2 の入口ガス温度の設定の変更や、熱交換器2 の空気の流量の変更により調整されること 可能である。回転炉床炉1内での反応により 発する成分のほとんどは低融点化合物であ て気体であり、600℃を超える融点をもつ化 物は少量であるから、前記高熱伝導性耐火 23の表面を600℃を超える温度に保つことは 当該表面に付着するダストの量を有効に削 する。

 前記実施形態では、単一の輻射式熱交換 2のみが用いられるが、本発明では、互いに 直列および/または並列に接続された複数基 輻射式熱交換器が用いられてもよい。その 体的な基数及び接続形式は、還元金属の製 規模(すなわち、排ガス発生量の規模)、設置 場所、設備コスト等の総合的な勘案により決 定されればよい。

 また、前記実施形態で例示した輻射式熱 換器2は、排ガスGと空気とが同じ方向に流 る並流型であるが、これらが逆方向に流れ 向流型のものであってもよい。

〔耐火物ダクト3及び排ガス冷却塔4その他に いて〕
 前記熱交換器2から排出される排ガスGは、 火物ダクト3を通じて排ガス冷却塔4に導入さ れる。この耐火物ダクト3は、金属製のダク 本体と、このダクト本体の内面の少なくと 一部(一般には高温部;好ましくは全部)を覆 ように施工される耐火物とを備えるもので る。

 この耐火物ダクト3の代わりに水冷ダクト が用いられることも可能であるが、当該耐火 物ダクト3は、その耐火物がダクト本体の内 を腐食から保護するために、より長い寿命 有することが可能である。水冷ダクトでは ダクト表面の温度の低下により、ダクト内 の高温腐食(溶融塩腐食)はある程度防がれる が、ダクト内の排ガスの偏流などに起因して 当該ダクト内に酸の露点よりも低い温度の領 域が生ずると、この領域で、前記ダクト本体 を構成する金属の酸腐食が生ずるおそれがあ る。これに対し、前記耐火物ダクト3では、 記耐火物が前記排ガスと前記ダクト本体の 面(金属面)との接触を阻止することにより、 当該内面の高温腐食と酸腐食の双方を防ぐこ とができる。

 なお、この耐火物ダクト3に用いられる耐 火物は、必ずしも前記熱交換器2に施工され ような高熱伝導性耐火物である必要はなく 使用温度に応じて種々の耐火物を用いるこ が可能である。例えば、アルミナ-シリカ系 安価な耐火物の使用も可能である。また、 クト本体がその熱膨張を吸収するための伸 管部を有する場合、その伸縮管部に耐火物 施工することは難しいので、当該伸縮管部 グラスウールなどの保温材が施工されても い。

 かかる耐火物の施工は、前記と同様の理 で排ガス冷却塔4の内部にも行われることが 、より好ましい。その場合、当該排ガス冷却 塔4の下流側部分では排ガス温度がかなり低 しているので、上流側部分のみに施工され もよいが、塔内で排ガスが上から下に向か て流される排ガス冷却塔では、上流側部分 ある上部のみに耐火物を施工することは構 を複雑にするので、当該耐火物が全面にわ り施工されてもよい。

 前記排ガス中に塩素成分が含有される場 には、ダイオキシンの合成(再合成)を抑制 るために、排ガス冷却塔4の入口における排 ス温度は600℃以上、好ましくは800℃以上に 定され、当該排ガスは前記排ガス冷却塔4内 で200℃以下、好ましくは180℃以下まで急冷さ れる。前記排ガスの原料中に塩素成分やダイ オキシンが含まれていても、この原料は回転 炉床炉1内で1,100℃以上の高温雰囲気下で急速 加熱されるため、塩素成分からのダイオキシ ンの合成はほとんどない。また、原料中にダ イオキシンが存在していてもそのダイオキシ ンはほぼ完全に分解される。従って、回転炉 床炉1から排出されたばかりの高温の排ガスG にはダイオキシンはほとんど存在しない。

 前記排ガス冷却塔4の入口における排ガス 温度は、前記熱交換器2の出口温度の調整と 様、熱交換器2の入口ガス温度の設定の変更 、熱交換器2内の空気の流量の変更により調 整されることが可能である。

 前記排ガス冷却塔4での排ガスの冷却速度 については、当該排ガスの温度を5秒以内で60 0℃から200℃まで降下させるような急速冷却( 制冷却)が行われることが好ましい。この急 速冷却は、例えば、排ガス中への散水、希釈 空気の導入、または、他の流体との熱交換、 あるいはこれらの併用により実現可能である 。

 前記実施形態では、排ガスGが熱交換器2 ら耐火物ダクト3を経由して排ガス冷却塔4へ 導入されるが、この排ガスGが前記排ガス冷 塔4に導入される前に廃熱ボイラや他の形式 熱交換器を用いた熱回収が行われてもよい

 前記排ガス冷却塔4内における排ガスG中 の散水及び希釈空気の導入は、この排ガス 却塔4から排出された排ガスGを除塵するため の集塵機5がバグフィルタ等を用いた乾式の のであることを前提とする。この集塵機5と て、排ガスに直接多量の冷却水を接触させ ベンチュリスクラバなど湿式の集塵機が用 られる場合は、有害な不純物元素が冷却水 溶け込むので、別途廃水処理が必要となる 能性がある。

 この排ガス冷却塔4で200℃以下、好ましく は180℃以下に冷却された排ガスGは、前記バ フィルタ等からなる集塵機5にて除塵処理さ た後、誘引ファン6によって煙突7から大気 へ排出される。

[実施例1](本発明の基本構成の効果の確認)
 本発明の効果の確証のため、図1に示す排ガ ス処理装置を用いた実験が行われた。この実 施例1では、輻射式熱交換器2として、内径1.55 m、長さ8.2m、伝熱面積40m 2 の、ステンレス鋼製の鋼板で構成した内筒22 、厚さ50mmの炭化珪素系耐火物(SiC含有量60質 量%、残部主としてAl 2 O 3 、SiO 2 )からなり、前記内筒22の内面を覆うようにキ ャスタにより内張りされた耐火物23とを備え ものが用いられた。また、排ガス冷却塔4に は、排ガス中への散水と常温空気の導入とを 行うものが用いられた。

 前記回転炉床炉1からは約1,450℃の排ガスが 11,600Nm 3 /hの流量で排出され、この排ガス中に常温の 気が約1,130Nm 3 /hの流量で導入されることにより前記排ガス 温度が約1,350℃に調整され、この温度調整 の排ガスが前記熱交換器2に導入された。熱 換器2内では、冷媒として常温の空気が約13, 130Nm 3 /hで流された。また、排ガス冷却塔4の入口に おける排ガス温度は800℃以上の温度に制御さ れ、当該排ガス冷却塔4の出口における排ガ 温度は180℃以下の温度に制御された。排ガ 冷却塔4内では、排ガスの温度が1,070℃から17 0℃まで約2秒で降下するように当該排ガスが 速冷却された。

 前記条件にて約190日間操業が継続され、 の間における、熱交換器2の総括伝熱係数お よび予熱空気温度の変化が調査された。その 調査結果を図3および4に示す。これらの図中 「60%」の表示は炭化珪素系耐火物のSiC含有 が60質量%であることを示し、(I)の表示があ ものは、回転炉床炉が雰囲気温度維持のた の加熱だけを行って塊成化物を装入してい いアイドリング時のデータを示し、(O)の表 のあるものは、回転炉床炉に塊成化物を装 して実際に還元鉄の製造を行っている還元 業時のデータをそれぞれ示している(後記図 5および6においても同様)。

 これらの図から明らかなように、長期間 操業後においても、熱交換器の総括伝熱係 および予熱空気温度に大きな変化は見られ かった。また、前記約190日間の操業後に、 交換器2の内筒内部を目視観察したところ、 炭化珪素系耐火物の脱落は見られず、また、 該耐火物表面に薄く付着層が形成されている ものの、この付着層は作業員が手作業で金棒 にてつつくことで容易に除去できることを確 認した。

 これらの結果より、熱交換器の内筒の内 面(伝熱面)を覆うように高熱伝導性耐火物 施工することで、伝熱面への付着による排 ス流路の閉塞および伝熱面の腐食を防止し つ、排ガス顕熱を有効に回収できることが 認できた。

 また、バグフィルタからなる集塵機5の出 口における排ガスの成分を分析した結果、ダ イオキシンの合成(再合成)は認められなかっ 。この合成の防止には前記排ガス冷却塔4内 の急速冷却が寄与しているものと考えられる 。

[実施例2](炭化珪素系耐火物のSiC含有量の影 の確認)
 実施例2として、前記実施例1に係る排ガス 理装置において、熱交換器2の内筒22の内側 施工される炭化珪素系耐火物として、前記 SiC含有量60質量%のものに代え、当該SiC含有 が80質量%のものが用いられ、当該実施例1と 様の操業条件にて約190日間操業が継続され 。

 図5および図6は、前記操業期間中での熱交 器2の総括伝熱係数および予熱空気温度の変 を示す。図5において、約150日経過以降の還 元操業時のデータに総括伝熱係数が低めのも のが含まれているが、このことは、伝熱性能 の劣化を示すものではなく、予熱空気量が前 記基準量(約13,130Nm 3 /h)より少ない条件で熱交換を実施した結果、 熱交換量が少なくなったことに起因する。

 これらの図からも明らかなように、前記 施例1と同様、長期間の操業後においても、 熱交換器の総括伝熱係数および予熱空気温度 に大きな変化は見られなかった。また、前記 約190日間の操業後に、熱交換器2の内筒内部 目視観察したところ、炭化珪素系耐火物の 落は見られず、また、該耐火物表面に薄く 着層が形成されているものの、作業員が手 業にて金棒でつつくことで容易に除去でき ことは前記実施例1と同様であった。

 下記表1は、図3~6に示す各期間中における 、総括伝熱係数および予熱温度の平均値を対 比して示したものである。

 この表1より明らかなように、炭化珪素系 耐火物のSiC含有量を60質量%から80質量%に増加 させることにより、還元操業時における、熱 交換器の総括伝熱係数が約2倍に上昇し、予 空気温度が約150℃も上昇しており、SiC含有 を高めるほど伝熱効率が良くなることがわ る。

 次に、SiC含有量80質量%の炭化珪素系耐火 を施工した場合について、還元操業時にお る、熱交換器2の伝熱面近傍における温度プ ロフィルを推算した結果を図7に示す。この 7から、該耐火物表面温度は常に850℃以下、 筒鋼板の内表面温度は常に650℃以下である 推定することができ、各材質の耐熱温度を 分に下回ることを確認することができる。

[実施例3](炭化珪素系耐火物の厚みの影響に いて)
 前記実施例1,2では、炭化珪素系耐火物の厚 が50mmであるが、該耐火物厚みが100mmである 、厚み50mmの場合を基準として熱交換量が約 15%低下し、前記厚みが200mmであると、厚み50mm の場合を基準として熱交換量が約27%低下する と試算される。従って、高熱伝導性耐火物の 厚みは、施工可能な範囲でできるだけ薄くす るのが良い。

[実施例4](熱交換器入口における排ガス温度 調整手段の影響の確認)
 前記実施例2では、熱交換器入口における排 ガス温度の調整が常温空気の導入により行わ れ、その結果、熱交換器入口における温度調 整後の排ガス組成は、容量%で、O 2 :3.6%、CO 2 :7.6%、H 2 O:14.6%、N 2 :74.2%であった。

 これに対し、実施例4では、熱交換器入口に おける排ガス温度の調整が、冷却後の燃焼排 ガスの導入により行われた。具体的には、前 記実施例2と同じく回転炉床炉1から約11,600Nm 3 /hの流量で排出される約1,450℃の排ガスに対 、前記実施例2とは異なり、誘引ファン6の出 側から取り出した冷却・除塵後の排ガス(組 は、容量%で、O 2 :9.3%,CO 2 :5.0%,H 2 O:28.6%、N 2 :57.1%、温度は170℃)が約1,150Nm 3 /hの流量で導入されることにより、当該排ガ の温度が約1,350℃に調整され、この温度調 後の排ガスが熱交換器2に導入された。

 この実験の結果、該温度調整後の排ガス中 おける輻射率の高いCO 2 およびH 2 O成分の含有率が増加したことにより、前記 施例2で得られた予熱空気の還元操業時の平 温度(375℃)よりも高い約400℃の平均温度を ることができ、その予熱空気の量も前記実 例2と比較して約25%増量することを確認する とができた。

 さらに、このような条件下での還元操業運 とは別に、定期的にアイドリング運転(熱交 換器2の入口温度を意図的に下げる運転)を行 ことにより、ダストを有効に除去すること できることが確認された。具体的には、熱 換器入口の排ガス流量及び予熱空気量をと に6,000Nm 3 /hにして当該熱交換器入口の排ガス温度を1,05 0℃まで下げる運転を12時間行うことにより、 前記熱交換器2内の高熱伝導性耐火物23の表面 に付着したダスト層に亀裂が生じて当該ダス ト層が剥離し、当該ダスト層を除去するため のつつき作業が不要になった。

[比較例1]
 比較例では、図8に示す排ガス処理装置、す なわち、回転炉床炉1、水冷ダクト13、排ガス 冷却塔4、熱交換器12、集塵機5、誘引ファン6 及び煙突7を備えた排ガス処理装置が用いら れ、その熱交換器12には、プレート型熱交換 (伝熱面積350m 2 )が用いられた。このプレート型の熱交換器12 では、その伝熱面上に耐火物が施工されてい ないので、当該伝熱面上での付着層の形成お よび伝熱面の腐食を抑制するために、熱交換 器12の入口の排ガス温度が400~600℃になるよう に排ガス冷却塔4で排ガスの冷却を行う必要 あった。

 そこで、前記実施例1,2と同じく約11,600Nm 3 /hの流量で回転炉床炉1から排出された約1,450 の排ガスに対し、排ガス冷却塔4内で直ちに 散水と希釈空気の導入とが行われることによ り、当該排ガスの温度が約500℃まで温度を低 下させ、その後に当該排ガスがプレート型熱 交換器12に導入され、約13,130Nm 3 /hの流量の常温空気と熱交換した。この結果 約350℃の予熱空気が得られたが、熱交換器1 2入口での排ガス温度が低いため、伝熱面積 さらに拡大しても、予熱空気の温度をさら 高めることが困難であることが確認された

 これに対して、実施例1及び実施例2では、 ずれも伝熱面積40m 2 で、それぞれ227℃、375℃という還元操業時の 予熱空気の平均温度が得られている。しかも 、熱交換器2の入口での排ガス温度が十分高 (約1,350℃)ことから、その伝熱面積を拡大す ことで、予熱空気温度をさらに高めること 可能である。具体的に、実施例1については 伝熱面積を75m 2 程度まで拡大し、実施例2では伝熱面積を45m 2 程度まで拡大することで、いずれも容易に400 ℃の予熱空気温度を得ることが可能である。

 また、実施例1及び実施例2では、熱交換 2の出口から排ガス冷却塔4の出口に至るまで の排ガス流路に臨む金属面(具体的には耐火 ダクト3のダクト本体の内面及び排ガス冷却 4の内面)を覆うように耐火物が施工される とにより、380日間の連続運転にかかわらず 該金属面の腐食が生じなかった。これに対 、前記金属面を覆うような耐火物が前記水 ダクト13及び排ガス冷却塔4に施工されてい い比較例では、その金属面(排ガスと直接接 する金属面)に腐食が生じた。この腐食は酸 腐食であり、前記排ガスの偏流等に起因して 局部的に排ガス温度が酸の露点を下回る領域 で発生したものと推察される。

 前記実施例1~4及び比較例との対比で明ら なように、熱交換器の伝熱面上に耐火物が 工されておらず当該伝熱面が露出する従来 排ガス冷却装置では、当該伝熱面へのダス 等の付着や伝熱面の腐食の抑制のために、 該熱交換器内に導入される排ガスの温度を 下させる必要があることから、前記熱交換 での伝熱効率が極端に低下する問題がある に対し、本発明に係る排ガス冷却装置では 前記伝熱面を覆うように高熱伝導性耐火物 施工されることにより、伝熱面への付着や 熱面の腐食の抑制と、伝熱効率の維持ない 向上との両立を容易に実現することが可能 ある。

 すなわち、本発明に係る排ガス処理装置 、前記回転炉床式還元炉から排出される排 スが導入される輻射式熱交換器を備え、こ 輻射式熱交換器は、前記排ガスが流通する 間を囲む内筒と、この内筒の径方向外側に 置され、この内筒との間に前記排ガスと熱 換するための冷媒が流通するための流路を 成する外筒と、前記内筒の内面を覆うよう 配置される高熱伝導性耐火物とを有するも であるので、金属製の内筒の内面が露出す 従来装置の当該内面に対するダストの付着 度に比べて前記高熱伝導性耐火物へのダス の付着強度が低く、当該ダストが剥離しや い。従って、このダスト付着による閉塞が 止される。また、前記高熱伝導性耐火物は 腐食性を有するダストが金属製の内筒に直 接触するのを阻止することにより、当該内 の腐食劣化を防止することができる。

 さらに、前記高熱伝導性耐火物の表面の 度を還元操業時の当該表面の温度よりも一 的に下げることにより、当該表面に付着し ダスト層にその剥離を促進する亀裂を生じ せることが可能であり、これにより、前記 スト層の除去を容易に行うことが可能であ 。

 また、前記耐火物は高熱伝導性を有する め、熱交換器の総括伝熱係数を著しく低下 せることがない。そればかりか、排ガスと 接接触する部分が金属より耐熱温度の高い 火物により構成されることは、前記熱交換 に導入される排ガスの許容温度を高めるた 、排ガスと空気との伝熱速度を従来と同様 しくはこれよりも高くすることが可能であ 。このことは、排ガス顕熱を回転炉床式還 炉のバーナ燃焼用空気の予熱に有効に利用 ることも可能にする。

 また、前記耐火物は、前記内筒の腐食や 該内筒へのダストの付着によるトラブルを 制することにより、設備寿命の延長、稼働 の上昇による生産能力の向上、熱ロスの低 による運転費の低減、保全コストの低減等 効果を生じさせる。

 さらに、これらの効果は、既存の熱交換 の内筒の内側に高熱伝導性耐火物を施工す だけで得ることが可能であるから、還元炉 に廃熱ボイラ等の余分の設備を設ける必要 なく、設備コストの過度の上昇を招くこと ない。

 前記高熱伝導性耐火物としては、SiC、ZrB 2 、BNのいずれかを主体として含有するものが 好適であり、特に、SiCを主体として含有す 炭化珪素系耐火物が好ましい。さらに、こ 炭化珪素系耐火物のSiC含有量が60質量%以上 あれば、高い伝熱効率を確保することがで る。

 この排ガス処理装置では、熱交換器に導 される排ガスの許容温度が高いため、その 際の温度を高くすることで、熱回収率を高 ることができる。具体的には、前記熱交換 の入口における排ガスの温度を1100℃以上で ある目標温度に制御する熱交換器入口ガス温 度制御手段を備えることが、好ましい。さら に、この熱交換器入口ガス温度制御手段は、 前記熱交換器の入口における排ガスの温度を 1200℃以上の目標温度に制御することが、よ 好ましい。

 具体的に、前記熱交換器入口ガス温度制 手段は、例えば、前記回転炉床式還元炉か の排ガス中に空気や冷却後の燃焼排ガスを 入することにより、前記熱交換器の入口に ける排ガスの温度を制御することができる

 さらに、前記熱交換器の後段に設けられ 該熱交換器の出口から排出された排ガスを 制冷却するための排ガス冷却塔を備えたも では、その強制冷却によってダイオキシン 合成(再合成)を有効に抑止することができ 。

 さらに、前記熱交換器の出口から前記排 ス冷却塔に至る耐火物ダクトを備え、この 火物ダクトが、金属製のダクト本体と、こ ダクト本体の内面の少なくとも一部を覆う うに施工される耐火物とを有するものでは 当該耐火物が前記ダクト本体の高温腐食及 酸腐食の双方を防ぐことができる。

 また本発明は、回転炉床式還元炉から排 される排ガスを処理するための排ガス処理 法であって、前記回転炉床式還元炉から排 される排ガスを熱交換器に導入して当該排 スと空気とを熱交換させることにより当該 気を予熱することを含み、前記熱交換器に 、前記排ガスが流通するための空間を囲む 筒と、この内筒の径方向外側に配置され、 の内筒との間に前記空気が流通するための 路を形成する外筒と、前記内筒の内面を覆 ように配置される高熱伝導性耐火物とを有 る輻射式熱交換器を用いるものである。

 この方法では、前記熱交換器の入口にお る排ガスの温度を1100℃以上である目標温度 に制御することが好ましく、当該目標温度は 1200℃以上であることが、より好ましい。

 また、前記熱交換器では、当該熱交換器 出口における排ガス温度が当該熱交換器の 口における排ガス温度よりも低い温度であ て600℃以上の温度まで低下するように当該 ガスと空気との間で熱交換を行わせ、さら 、前記熱交換器から排出される排ガスを排 ス冷却塔内に導入して当該排ガスの温度を5 秒以内で600℃から200℃まで降下させるような 強制冷却を行うことが、より好ましい。