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Title:
AQUEOUS DISPERSION FOR CHEMICAL MECHANICAL POLISHING AND CHEMICAL MECHANICAL POLISHING METHOD FOR SEMICONDUCTOR DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/117593
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an aqueous dispersion for chemical mechanical polishing containing (A) a colloidal silica having an average particle size as calculated from a specific surface area determined by a BET method of 10-50 nm, (B) phosphoric acid, (C) a polyethyleneimine, and (D) a quaternary ammonium compound represented by the general formula (1) below. This aqueous dispersion for chemical mechanical polishing has a pH of 3-5. (1) (In the formula (1), R1-R4 independently represent a hydrocarbon group, and M- represents an anion.)

Inventors:
MATSUMOTO TAICHI (JP)
UENO TOMIKAZU (JP)
ANDOU MICHIAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052804
Publication Date:
October 02, 2008
Filing Date:
February 20, 2008
Export Citation:
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Assignee:
JSR CORP (JP)
MATSUMOTO TAICHI (JP)
UENO TOMIKAZU (JP)
ANDOU MICHIAKI (JP)
International Classes:
H01L21/304; B24B37/00; C09K3/14
Foreign References:
JPH06124932A1994-05-06
JP2004269577A2004-09-30
Attorney, Agent or Firm:
OFUCHI, Michie et al. (Ogikubo TM Bldg.26-13, Ogikubo 5-chome,Suginami-k, Tokyo 51, JP)
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Claims:
 (A)BET法を用いて測定した比表面積から算出される平均粒径は、10nm~50nmであるコロイダルシリカと、
 (B)リン酸と、
 (C)ポリエチレンイミンと、
 (D)下記一般式(1)で示される四級アンモニウム化合物と、
を含み、かつ、pHは3~5である、化学機械研磨用水系分散体。
((1)式中、R 1 ないしR 4 は、各々独立して炭化水素基を表す。M - は、アニオンを表す。)
 請求項1において、
 前記(A)成分と前記(C)成分との質量比(C)/(A)は、0.001~0.05である、化学機械研磨用水系分散体。
 請求項1または2において、
 前記(B)成分と前記(C)成分との質量比(C)/(B)は、0.002~0.2である、化学機械研磨用水系分散体。
 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
 前記(C)成分の数平均分子量は、100~2,000である、化学機械研磨用水系分散体。
 請求項1ないし4のいずれかにおいて、
 さらに、酒石酸、リンゴ酸およびクエン酸から選択される少なくとも1種の有機酸を含む、化学機械研磨用水系分散体。
 請求項1ないし5のいずれかにおいて、
 前記(A)成分のコロイダルシリカ粒子の長径(Rmax)と短径(Rmin)との比率(Rmax/Rmin)は、1.2よりも大きい、化学機械研磨用水系分散体。
 請求項1ないし6のいずれかにおいて、
 シリコン窒化膜とシリコン酸化膜との研磨速度比(シリコン窒化膜/シリコン酸化膜)は、0.9以上1.1以下である、化学機械研磨用水系分散体。
 請求項1ないし7のいずれかにおいて、
 シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜を共存する半導体装置の被研磨面を研磨するための化学機械研磨用水系分散体。
 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の化学機械研磨用水系分散体を用いて、シリコン酸化膜およびシリコン窒化膜を共存する被研磨面を研磨し、前記シリコン酸化膜で研磨を停止させる、半導体装置の化学機械研磨方法。
Description:
化学機械研磨用水系分散体およ 半導体装置の化学機械研磨方法

 本発明は、化学機械研磨用水系分散体、 よびそれを用いた半導体装置の化学機械研 方法に関する。

 従来の半導体素子の分離工程では、化学 械研磨(以下、「CMP」ともいう。)によって リコン窒化膜上に形成されたシリコン酸化 を除去し、シリコン窒化膜を熱リン酸で溶 させエッチングする方法が用いられている しかしながら、シリコン窒化膜を熱リン酸 溶解させエッチングする方法は、エッチン 処理を時間でコントロールするため、残膜 発生したり、またはシリコン窒化膜の下層 ダメージを与えてしまうことがあった。し がって、シリコン窒化膜についてもCMPによ 除去することが望まれていた。

 シリコン酸化膜とシリコン窒化膜を同時 CMPにより除去するためには、その研磨速度 をほぼ同等とすることが必要となる。すな ち、シリコン酸化膜に対するシリコン窒化 の研磨速度比(以下、単に「研磨速度比」と もいう。)を0.7~1.1とすることによって、シリ ン酸化膜のディッシングまたはエロージョ を発生させることなく、平坦に研磨するこ ができる。このような課題に対して、例え 特開平11-176773号公報、特開2001-7061号公報、 開2001-35820号公報、特開2002-190458号公報、お び特開2004-269577号公報には、研磨速度比を ントロールした化学機械研磨用水系分散体 開示されている。

 実際の化学機械研磨は、シリコン窒化膜 シリコン酸化膜の埋め込まれた基板を、定 上に貼り付けた研磨布に押し当てて固定し 研磨布上に化学機械研磨用水系分散体を供 しながら、基板と定盤とを相対的に動かす とにより達成できる。しかしながら、研磨 に基板または定盤からの圧力やそれらの回 数を変化させると、研磨速度比を0.7~1.1に保 持することが難しいという問題があった。上 記の特許文献に開示された化学機械研磨用水 系分散体についても、研磨速度比を十分にコ ントロールできているとはいえず、実用的で はなかった。

 本発明の目的は、シリコン酸化膜とシリ ン窒化膜の研磨速度をほぼ同等とし、研磨 においてもその研磨速度比を保持できる化 機械研磨用水系分散体、およびそれを用い 半導体装置の化学機械研磨方法を提供する とにある。

 本発明に係る化学機械研磨用水系分散体 、(A)BET法を用いて測定した比表面積から算 される平均粒径は、10nm~50nmであるコロイダ シリカと、(B)リン酸と、(C)ポリエチレンイ ンと、(D)下記一般式(1)で示される四級アン ニウム化合物と、を含み、かつ、pHは3~5で る。

((1)式中、R 1 ないしR 4 は、各々独立して炭化水素基を表す。M - は、アニオンを表す。)
 本発明に係る化学機械研磨用水系分散体に いて、前記(A)成分と前記(C)成分との質量比( C)/(A)は、0.001~0.05であることができる。

 本発明に係る化学機械研磨用水系分散体 おいて、前記(B)成分と前記(C)成分との質量 (C)/(B)は、0.002~0.2であることができる。

 本発明に係る化学機械研磨用水系分散体 おいて、前記(C)成分の数平均分子量は、100~ 2,000であることができる。

 本発明に係る化学機械研磨用水系分散体 おいて、さらに、酒石酸、リンゴ酸および エン酸から選択される少なくとも1種の有機 酸を含むことができる。

 本発明に係る化学機械研磨用水系分散体 おいて、前記(A)成分のコロイダルシリカ粒 の長径(Rmax)と短径(Rmin)との比率(Rmax/Rmin)は 1.2よりも大きくすることができる。

 本発明に係る化学機械研磨用水系分散体 おいて、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜 の研磨速度比(シリコン窒化膜/シリコン酸 膜)は、0.9以上1.1以下であることができる。

 本発明に係る化学機械研磨用水系分散体 、シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜を 存する半導体装置の被研磨面を研磨するた に用いることができる。

 本発明に係る半導体装置の化学機械研磨 法は、上記の化学機械研磨用水系分散体を いて、シリコン酸化膜およびシリコン窒化 を共存する被研磨面を研磨し、前記シリコ 酸化膜で研磨を停止させることを特徴とす 。

 上記の化学機械研磨用水系分散体によれ 、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜の研磨 度をほぼ同等とすることができる。また、 磨中においてもその研磨速度比を保持する とができる。これにより、シリコン酸化膜 シリコン窒化膜を同時に研磨するようなCMP 程において、シリコン酸化膜のディッシン またはエロージョンの発生を抑制しながら シリコン酸化膜およびシリコン窒化膜を研 することができる。

 本明細書において、シリコン酸化膜とシ コン窒化膜との研磨速度比が「ほぼ同等」 あるとは、シリコン酸化膜に対するシリコ 窒化膜の研磨速度比が0.7~1.1、好ましくは0.9 ~1.1の範囲内であることをいう。

 例えば、薄膜トランジスタの形成工程の 部であるゲート電極の形成工程中に、シリ ン酸化膜とシリコン窒化膜を同時に研磨し シリコン窒化膜の上面部分を完全に除去し ければならないという工程がある。このよ な工程に、本発明に係る化学機械研磨用水 分散体を適用すると、特に効果を発揮する

コロイダルシリカ粒子の長径および短 を模式的に示した概念図である。 コロイダルシリカ粒子の長径および短 を模式的に示した概念図である。 コロイダルシリカ粒子の長径および短 を模式的に示した概念図である。 第1の具体例の化学機械研磨工程に用い る被処理体を模式的に示した断面図である。 第1の具体例の化学機械研磨工程を模式 的に示した断面図である。 第1の具体例の化学機械研磨工程を模式 的に示した断面図である。 第1の実験例に用いる被処理体を模式的 に示した断面図である。 第1の実験例の化学機械研磨工程を模式 的に示した断面図である。 第1の実験例の化学機械研磨工程を模式 的に示した断面図である。 第2の実験例に用いる被処理体を模式 に示した断面図である。 第2の実験例の化学機械研磨工程を模 的に示した断面図である。 第2の実験例の化学機械研磨工程を模 的に示した断面図である。

 以下、本発明の好適な実施形態について 明する。

 なお、本発明は、下記の実施形態に限定 れるものではなく、本発明の要旨を変更し い範囲において実施される各種の変型例も む。

 1.化学機械研磨用水系分散体
 本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散 は、(A)BET法を用いて測定した比表面積から 出される平均粒径は、10nm~50nmであるコロイ ルシリカと、(B)リン酸と、(C)ポリエチレン ミンと、(D)下記一般式(1)で示される四級ア モニウム化合物と、を含み、かつpHは3~5で る。

((1)式中、R 1 ないしR 4 は、各々独立して炭化水素基を表す。M - は、アニオンを表す。)
 以下、本実施形態に係る化学機械研磨用水 分散体に含まれる各成分について詳述する

 1.1 (A)コロイダルシリカ
 本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散 は、砥粒として、コロイダルシリカを含む このコロイダルシリカは、BET法を用いて測 した比表面積から算出される平均粒径が好 しくは10nm~50nmであり、より好ましくは12nm~45 nmであり、特に好ましくは15nm~35nmである。コ イダルシリカの平均粒径が10nm~50nmの範囲内 あると、化学機械研磨用水系分散体として 保存安定性に優れるため、調製直後におけ 性能(研磨速度など)を保持することができ 。コロイダルシリカの平均粒径が10nm未満で ると、いずれの膜についても研磨速度が小 くなりすぎるため実用的ではない。一方、 ロイダルシリカの平均粒径が50nmを超えると 、コロイダルシリカがシリコン酸化膜を機械 的に研磨するようになり、シリコン酸化膜の 研磨速度が大きくなりすぎるため、ディッシ ングを引き起こしてしまう。

 コロイダルシリカの平均粒径は、例えば 流動式比表面積自動測定装置「micrometrics Fl owSorb II 2300(株式会社島津製作所製)」により 、BET法を用いて測定した比表面積から算出さ れる。

 以下、コロイダルシリカの比表面積から 均粒径を算出する方法について説明する。

 コロイダルシリカ粒子の形状を真球状であ と仮定し、粒子の直径をd(nm)、比重をρ(g/cm 3 )とする。粒子n個の表面積Aは、A=nπd 2 となる。粒子n個の質量Nは、N=ρnπd 3 /6となる。比表面積Sは、粉体の単位質量あた りの全構成粒子の表面積で表される。そうす ると、粒子n個の比表面積Sは、S=A/N=6/ρdとな 。この式に、コロイダルシリカの比重ρ=2.2 代入し、単位を換算すると、下記式(2)を導 出すことができる。
平均粒径(nm)=2727/S(m 2 /g)…(2)
 なお、本明細書中におけるコロイダルシリ の平均粒径は、全て(2)式に基づいて計算し いる。

 コロイダルシリカの添加量は、使用時に ける化学機械研磨用水系分散体の質量に対 て、好ましくは1~5質量%であり、より好まし くは1.25~4質量%であり、特に好ましくは1.5~3質 量%である。コロイダルシリカの添加量が1質 %未満になると十分な研磨速度が得られず実 用的ではない。一方、コロイダルシリカの添 加量が5質量%を超えると、いずれの膜につい も研磨速度が大きくなるが、スクラッチ等 欠損を引き起こすことがある。また、コス が高くなるとともに安定した化学機械研磨 水系分散体を得られないことがある。

 コロイダルシリカ粒子の長径(Rmax)と短径( Rmin)との比率(Rmax/Rmin)が1.2よりも大きく、好 しくは1.3以上3以下、より好ましくは1.4以上2 .5以下である場合、シリコン酸化膜とシリコ 窒化膜との研磨速度をほぼ同等とすること でき、研磨中においてもその研磨速度比を 持することができる。これにより、シリコ 酸化膜とシリコン窒化膜を同時に研磨する うなCMP工程において、シリコン酸化膜のデ ッシングまたはエロージョンの発生を抑制 ながら、シリコン酸化膜およびシリコン窒 膜を研磨することができる。

 ここで、コロイダルシリカ粒子の長径(Rma x)とは、透過型電子顕微鏡により撮影された つの独立したコロイダルシリカ粒子の像に いて、像の端部と端部を結んだ距離のうち も長い距離を意味する。コロイダルシリカ 子の短径(Rmin)とは、透過型電子顕微鏡によ 撮影された一つの独立したコロイダルシリ 粒子の像について、像の端部と端部を結ん 距離のうち最も短い距離を意味する。

 例えば、図1に示すように透過型電子顕微 鏡により撮影された一つの独立したコロイダ ルシリカ粒子60aの像が楕円形状である場合、 楕円形状の長軸aをコロイダルシリカ粒子の 径(Rmax)と判断し、楕円形状の短軸bをコロイ ルシリカ粒子の短径(Rmin)と判断する。図2に 示すように、透過型電子顕微鏡により撮影さ れた一つの独立したコロイダルシリカ粒子60b の像が2つの粒子の凝集体である場合、像の 部と端部を結んだ最も長い距離cをコロイダ シリカ粒子の長径(Rmax)と判断し、像の端部 端部を結んだ最も短い距離dをコロイダルシ リカ粒子の短径(Rmin)と判断する。図3に示す うに、透過型電子顕微鏡により撮影された つの独立したコロイダルシリカ粒子60cの像 3以上の粒子の凝集体である場合、像の端部 端部を結んだ最も長い距離eをコロイダルシ リカ粒子の長径(Rmax)と判断し、像の端部と端 部を結んだ最も短い距離fをコロイダルシリ 粒子の短径(Rmin)と判断する。

 上記のような判断手法により、例えば、5 0個のコロイダルシリカ粒子の長径(Rmax)と短 (Rmin)を測定し、長径(Rmax)と短径(Rmin)の平均 を算出した後、長径と短径との比率(Rmax/Rmin) を計算して求めることができる。

 1.2 (B)リン酸
 本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散 は、リン酸を含む。リン酸を添加すると、 リコン窒化膜に対する研磨速度を大きくす ことができる。これは、リン酸のシリコン 化膜に対する化学的研磨作用と、コロイダ シリカの機械的研磨作用との相乗効果によ 達成されるものと推測される。

 リン酸の添加量は、使用時における化学 械研磨用水系分散体の質量に対して、好ま くは0.1~2質量%であり、より好ましくは0.2~1.5 質量%であり、特に好ましくは0.3~1.2質量%であ る。リン酸の添加量が0.1質量%未満であると リコン窒化膜に対する十分な研磨速度が得 れず実用的ではない。一方、リン酸の添加 が2質量%を超えると、シリコン窒化膜に対す る研磨速度はほぼ一定となり、それ以上添加 してもコストが高くなるだけなので適さない 。

 1.3 (C)ポリエチレンイミン
 本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散 は、ポリエチレンイミンを含む。ポリエチ ンイミンを添加すると、シリコン酸化膜に する研磨速度を大きくすることができる。

 このメカニズムについて説明する。ポリ チレンイミンは、下記一般式(3)で表すこと できる。

 ポリエチレンイミンは、水溶液中で解離さ 、イオン化された状態で存在している。す わち、[-CH 2 CH 3 N(CH 2 CH 2 NH 2 )-] x の作用基である-NH 2 は、水中でH + を受け取り、-NH 3 + となる。一方、[-CH 2 CH 2 NH-] y の作用基である-NH基も、水溶液中でH + を受け取り、-NH 2 + となり、いずれも正に帯電する。

 pH3~5において、シリコン酸化膜は、負に 電する傾向があり、シリコン窒化膜は、正 帯電する傾向がある。ポリエチレンイミン 、静電的相互作用によりシリコン酸化膜表 に優先的に吸着し、シリコン酸化膜の表面 正に帯電させる。コロイダルシリカは、pH3~5 において負に帯電している。そうすると、ポ リエチレンイミンが介在することにより、コ ロイダルシリカをシリコン酸化膜の表面に引 き寄せることができるため、シリコン酸化膜 の機械的研磨を促進させることができる。

 ところで、正に帯電したポリエチレンイ ンは、負に帯電したコロイダルシリカの表 に吸着した状態で存在しているとも考えら る。しかしながら、コロイダルシリカは、 身のブラウン運動または表面の凹凸形状等 より、ポリエチレンイミンの吸着を妨げる とができる。したがって、ポリエチレンイ ンは、コロイダルシリカに吸着することな 、化学機械研磨用水系分散体中に均一に溶 した状態で存在する。

 ポリエチレンイミンの添加量は、使用時 おける化学機械研磨用水系分散体の質量に して、好ましくは0.001~0.1質量%であり、より 好ましくは0.0025~0.04質量%であり、特に好まし くは0.005~0.02質量%である。ポリエチレンイミ の添加量が0.001質量%未満であると、シリコ 酸化膜の研磨速度が著しく低下するため実 的ではない。一方、ポリエチレンイミンの 加量が0.1質量%を超えると、コロイダルシリ カの凝集を引き起こし、分散安定性に影響を 及ぼす。

 ポリエチレンイミンの分子量は、好まし は100~2,000、より好ましくは200~1,800、特に好 しくは300~1,200である。分子量が100未満であ と、ポリエチレンイミンを添加してもシリ ン酸化膜の研磨速度を大きくすることがで ない。一方、分子量が2,000を超えると、保 安定性を損なうため適用することができな 。

 本実施形態に係る化学機械研磨用水系分 体における、(A)コロイダルシリカと(C)ポリ チレンイミンの質量比(C)/(A)は、好ましくは 0.001~0.05であり、より好ましくは0.002~0.03であ 、特に好ましくは0.004~0.02である。質量比が この範囲内にあると、シリコン酸化膜とシリ コン窒化膜の研磨速度をほぼ同等とすること ができる。これにより、シリコン酸化膜とシ リコン窒化膜を共存する被研磨面において、 シリコン酸化膜のディッシングの発生を抑制 しながら、シリコン窒化膜を研磨することが できる。質量比(C)/(A)が0.001未満になると、シ リコン酸化膜の研磨速度が大きくなりすぎる 場合がある。一方、質量比(C)/(A)が0.05を超え と、コロイダルシリカの凝集を引き起こし 分散安定性に影響を及ぼすことがある。ま 、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜の双方 研磨速度が小さくなるため適さない。

 本実施形態に係る化学機械研磨用水系分 体における、(B)リン酸と(C)ポリエチレンイ ンとの質量比(C)/(B)は、好ましくは0.002~0.2で あり、より好ましくは0.003~0.1であり、特に好 ましくは0.005~0.08である。質量比がこの範囲 にあると、シリコン酸化膜とシリコン窒化 の研磨速度をほぼ同等とすることができる これにより、シリコン酸化膜とシリコン窒 膜を共存する被研磨面において、シリコン 化膜のディッシングの発生を抑制しながら シリコン窒化膜を研磨することができる。 量比(C)/(B)が0.002未満になると、シリコン酸 膜の研磨速度が小さくなりすぎる場合があ 。一方、質量比(C)/(B)が0.2を超えると、コロ ダルシリカの凝集を引き起こし、分散安定 に影響を及ぼすことがある。また、シリコ 酸化膜とシリコン窒化膜の双方の研磨速度 小さくなるため適さない。

 1.4 (D)四級アンモニウム化合物
 本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散 は、下記一般式(1)に示される四級アンモニ ム化合物を含む。

((1)式中、R 1 ないしR 4 は、各々独立して炭化水素基を示す。M - は、アニオンを示す。)
 上記の四級アンモニウム化合物は、化学機 研磨用水系分散体のpHの調整、およびシリ ン酸化膜に対する研磨速度を抑制する目的 用いられる。

 一般式(1)において、R 1 ないしR 4 で示される炭化水素基としては、脂肪族、芳 香族、芳香脂肪族、または脂環族のいずれで もよい。また、脂肪族および芳香脂肪族等の 脂肪族としては、飽和でも不飽和でもよいし 、直鎖状でも分枝状でもよい。これらの炭化 水素基として、例えば、直鎖状、分枝状、環 状の飽和または不飽和のアルキル基、アラル キル基、アリール基等が挙げられる。

 アルキル基としては、通常炭素数が1~6の 級アルキル基のものが好ましく、炭素数1~4 低級アルキル基が特に好ましい。具体的に 、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピ 基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル 、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル 、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペン ル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、iso- キシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基 シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビ ル基、n-プロペニル基、iso-プロペニル基、n -ブテニル基、iso-ブテニル基、sec-ブテニル基 、tert-ブテニル基等が挙げられる。

 アラルキル基としては、通常炭素数7~12の ものが好ましい。具体的には、例えば、ベン ジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基 、フェニルブチル基、フェニルヘキシル基、 メチルベンジル基、メチルフェネチル基、エ チルベンジル基等が挙げられる。

 アリール基としては、通常炭素数6~14のも のが好ましい。具体的には、例えば、フェニ ル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、 2,3-キシリル基、2,4-キシリル基、2,5-キシリル 基、2,6-キシリル基、3,5-キシリル基、ナフチ 基、アントリル基等が挙げられる。

 上記のアリール基またはアラルキル基の 香環は、例えば、メチル基、エチル基等の 級アルキル基や、ハロゲン原子、ニトロ基 アミノ基等を、置換基として有していても い。

 M - で示されるアニオンとしては、例えば、水酸 化物イオン(OH - )等を挙げることができる。

 上記の四級アンモニウム化合物の具体例 して、例えば、以下のものが挙げられる。 酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸 トリメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウ (コリン)、水酸化テトラエチルアンモニウ (TEAH)、水酸化テトラプロピルアンモニウム 水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化 ノメチルトリエチルアンモニウム、水酸化 メチルジエチルアンモニウム、水酸化トリ チルモノエチルアンモニウム、水酸化モノ チルトリプロピルアンモニウム、水酸化ジ チルジプロピルアンモニウム、水酸化トリ チルモノプロピルアンモニウム、水酸化モ メチルトリブチルアンモニウム、水酸化ジ チルジブチルアンモニウム、水酸化トリメ ルモノブチルアンモニウム、水酸化モノエ ルトリプロピルアンモニウム、水酸化ジエ ルジプロピルアンモニウム、水酸化トリエ ルモノプロピルアンモニウム、水酸化モノ チルトリブチルアンモニウム、水酸化ジエ ルジブチルアンモニウム、水酸化トリエチ モノブチルアンモニウム、水酸化モノプロ ルトリブチルアンモニウム、水酸化ジプロ ルジブチルアンモニウム、水酸化トリプロ ルモノブチルアンモニウム、水酸化トリエ ル-2-ヒドロキシエチルアンモニウム、水酸 トリプロピル-2-ヒドロキシエチルアンモニ ム、水酸化トリブチル-2-ヒドロキシエチル ンモニウム、水酸化トリメチル-3-ヒドロキ プロピルアンモニウム、水酸化トリエチル-3 -ヒドロキシプロピルアンモニウム、水酸化 リプロピル-3-ヒドロキシプロピルアンモニ ム、水酸化トリブチル-3-ヒドロキシプロピ アンモニウム、水酸化トリメチル-4-ヒドロ シブチルアンモニウム、水酸化トリエチル-4 -ヒドロキシブチルアンモニウム、水酸化ト プロピル-4-ヒドロキシブチルアンモニウム 水酸化トリブチル-4-ヒドロキシブチルアン ニウム、水酸化トリメチル-3-ヒドロキシブ ルアンモニウム、水酸化トリエチル-3-ヒド キシブチルアンモニウム、水酸化トリプロ ル-3-ヒドロキシブチルアンモニウム、水酸 トリブチル-3-ヒドロキシブチルアンモニウ 、水酸化ジメチルエチル-2-ヒドロキシエチ アンモニウム、水酸化メチルジエチル-2-ヒ ロキシエチルアンモニウム、水酸化ジメチ エチル-3-ヒドロキシプロピルアンモニウム 水酸化メチルジエチル-3-ヒドロキシプロピ アンモニウム、水酸化ジメチルエチル-4-ヒ ロキシブチルアンモニウム、水酸化メチル エチル-4-ヒドロキシブチルアンモニウム、 酸化ジメチルエチル-3-ヒドロキシブチルア モニウム、水酸化メチルジエチル-3-ヒドロ シブチルアンモニウム、水酸化ジメチルジ(2 -ヒドロキシエチル)アンモニウム、水酸化ジ チルジ(3-ヒドロキシプロピル)アンモニウム 、水酸化ジメチルジ(3-ヒドロキシブチル)ア モニウム、水酸化ジメチルジ(4-ヒドロキシ チル)アンモニウム、水酸化ジエチルジ(2-ヒ ロキシエチル)アンモニウム、水酸化ジエチ ルジ(3-ヒドロキシプロピル)アンモニウム、 酸化ジエチルジ(3-ヒドロキシブチル)アンモ ウム、水酸化ジエチルジ(4-ヒドロキシブチ )アンモニウム、水酸化メチルエチルジ(2-ヒ ドロキシエチル)アンモニウム、水酸化メチ エチルジ(3-ヒドロキシプロピル)アンモニウ 、水酸化ジエチルジ(3-ヒドロキシブチル)ア ンモニウム、水酸化メチルエチルジ(4-ヒドロ キシブチル)アンモニウム、水酸化メチルト (2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、水酸化 チルトリ(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム 、水酸化プロピルトリ(2-ヒドロキシエチル) ンモニウム、水酸化ブチルトリ(2-ヒドロキ エチル)アンモニウム、水酸化メチルトリ(3- ドロキシプロピル)アンモニウム、水酸化エ チルトリ(3-ヒドロキシブチル)アンモニウム 水酸化メチルトリ(4-ヒドロキシブチル)アン ニウム、水酸化エチルトリ(4-ヒドロキシブ ル)アンモニウム、水酸化メチルトリ(3-ヒド ロキシブチル)アンモニウム、水酸化エチル リ(3-ヒドロキシブチル)アンモニウム。これ の中でも、水酸化テトラメチルアンモニウ (TMAH)等が特に好ましい。これらの四級アン ニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上 組み合わせて使用することができる。

 四級アンモニウム化合物の添加量は、使 時における化学機械研磨用水系分散体の質 に対して、好ましくは0.1~5質量%であり、よ 好ましくは0.2~4質量%であり、特に好ましく 0.3~3質量%である。四級アンモニウム化合物 添加量が0.1質量%未満になると、シリコン酸 化膜とシリコン窒化膜との研磨速度比を適切 な範囲に調整することができない。一方、四 級アンモニウム化合物の添加量が5質量%を超 ると、シリコン窒化膜やシリコン酸化膜の 面にダメージを与え、該表面を凹凸形状と てしまうことがあるため好ましくない。

 1.5 pH
 本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散 のpHは、3以上5以下である。pHがこの範囲内 あると、シリコン窒化膜の研磨速度を大き することができる。また、化学機械研磨用 系分散体としての保存安定性に優れるとい メリットもある。より好ましいpHの範囲は 3.2以上4.5以下である。pHを3未満とすると、 リコン窒化膜の研磨速度を大きくすること できず、本願発明の目的を達成することが きない。一方、pHを5よりも大きくすると、 リコン窒化膜の研磨速度が著しく低下する かりでなく、化学機械研磨用水系分散体と ての保存安定性にも優れない。

 1.6 その他の添加剤
 本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散 は、必要に応じて下記の添加剤を添加する とができる。

 1.6.1 界面活性剤
 本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散 は、必要に応じて、界面活性剤を添加する とができる。界面活性剤としては、例えば カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活 剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性 を挙げることができる。

 カチオン性界面活性剤としては、例えば 脂肪族アミン塩、脂肪族アンモニウム塩等 挙げることができる。

 アニオン性界面活性剤としては、例えば カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステ 塩、リン酸エステル塩等を挙げることがで る。カルボン酸塩としては、脂肪酸せっけ 、アルキルエーテルカルボン酸塩等を挙げ ことができる。スルホン酸塩としては、ア キルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフ レンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン 塩等を挙げることができる。硫酸エステル としては、例えば、高級アルコール硫酸エ テル塩、アルキル硫酸エステル塩等を挙げ ことができる。リン酸エステルとしては、 えば、アルキルリン酸エステル等を挙げる とができる。

 非イオン性界面活性剤としては、例えば エーテル型界面活性剤、エーテルエステル 界面活性剤、エステル型界面活性剤、アセ レン系界面活性剤等を挙げることができる エーテルエステル型界面活性剤としては、 えば、グリセリンエステルのポリオキシエ レンエーテル等を挙げることができる。エ テル型界面活性剤としては、例えば、ポリ チレングリコール脂肪酸エステル、グリセ ンエステル、ソルビタンエステル等を挙げ ことができる。アセチレン系界面活性剤と ては、例えば、アセチレンアルコール、ア チレングリコール、アセチレンジオールの チレンオキサイド付加物を挙げることがで る。

 両性界面活性剤としては、例えば、ベタ ン系界面活性剤を挙げることができる。

 これらの界面活性剤は、1種単独でまたは 2種以上を組み合わせて使用することができ 。

 これらの界面活性剤の中では、アニオン 界面活性剤が好ましく、特にスルホン酸塩 好ましい。また、スルホン酸塩の中ではア キルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、特 ドデシルベンゼンスルホン酸塩が好ましい

 界面活性剤の添加量は、使用時における 学機械研磨用水系分散体の質量に対して、 ましくは1質量%以下であり、より好ましく 0.001~0.1質量%である。界面活性剤の添加量が 記の範囲内にあると、シリコン窒化膜を研 除去した後に、平滑な被研磨面を得ること できる。

 1.6.2 酸または塩基
 本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散 は、必要に応じて、酸または塩基を添加す ことができる。本実施の形態に係る化学機 研磨用水系分散体のpHは、上記のとおり3以 5以下とする必要がある。酸および塩基は、 化学機械研磨用水系分散体のpHを調整する目 で使用することができる。

 前記酸としては、例えば、有機酸または 機酸(リン酸を除く。)を挙げることができ 。

 有機酸としては、例えば、酒石酸、リン 酸、クエン酸、パラトルエンスルホン酸、 デシルベンゼンスルホン酸、イソプレンス ホン酸、グルコン酸、乳酸、グリコール酸 マロン酸、ギ酸、シユウ酸、コハク酸、フ ル酸、マレイン酸、フタル酸等が好ましい これらの有機酸の中では、一分子内に二以 のカルボキシル基および一以上のヒドロキ ル基を有する、酒石酸、リンゴ酸、クエン が特に好ましい。この有機酸中のヒドロキ ル基は、シリコン窒化膜中に存在する窒素 子と水素結合するため、シリコン窒化膜の 面にこの有機酸が多く存在するようになる これにより、有機酸中のカルボキシル基は シリコン窒化膜に対して化学的研磨作用を ぼし、シリコン窒化膜の研磨速度を大きく ることができる。また、これらの有機酸は リン酸の添加によるpHの急激な変化を防ぐ めの緩衝作用も有する。

 無機酸としては、例えば、硝酸、硫酸等 挙げることができる。

 前記塩基としては、有機塩基または無機 基を挙げることができる。

 有機塩基としては、例えば、水酸化テト メチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエ ルアンモニウム(TEAH)等を挙げることができ 。

 無機塩基としては、例えば、アルカリ金 の水酸化物を挙げることができる。具体的 は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、 酸化ルビジウム、水酸化セシウム等を挙げ ことができる。

 1.6.3 水溶性高分子
 本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散 は、必要に応じて、水溶性高分子を添加す ことができる。水溶性高分子は、被研磨面 表面に吸着し研磨摩擦を低減させる機能を する。これにより、水溶性高分子を添加す と、ディッシングやコロージョンの発生を 制することができる。

 水溶性高分子としては、ポリアクリルア ド、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコー 、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチ セルロース等を挙げることができる。

 水溶性高分子の添加量は、化学機械研磨 水系分散体の粘度が2mPa・s未満となるよう 調整することができる。本発明に係る化学 械研磨用水系分散体の粘度は、水溶性高分 の重量平均分子量および添加量によってほ 決定されるので、それらのバランスを考慮 ながら調整することができる。化学機械研 用水系分散体の粘度が2mPa・sを超えると研磨 速度が低下することがあり、また粘度が高く なりすぎて研磨布上に安定して化学機械研磨 用水系分散体を供給できないことがある。そ の結果、研磨布の温度上昇や研磨むら(面内 一性の劣化)等が生じて、研磨速度やディッ ングのばらつきが発生することがある。

 1.6.4 防食剤
 本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散 に用いられる防食剤としては、例えば、ベ ゾトリアゾールおよびその誘導体を挙げる とができる。ここで、ベンゾトリアゾール 導体とは、ベンゾトリアゾールの有する1個 または2個以上の水素原子を、例えば、カル キシル基、メチル基、アミノ基、ヒドロキ ル基等で置換したものをいう。ベンゾトリ ゾール誘導体としては、4-カルボキシルベン ゾトリアゾールおよびその塩、7-カルボキシ ンゾトリアゾールおよびその塩、ベンゾト アゾールブチルエステル、1-ヒドロキシメ ルベンゾトリアゾールまたは1-ヒドロキシベ ンゾトリアゾール等を挙げることができる。

 防食剤の添加量は、使用時における化学 械研磨用水系分散体の質量に対して、好ま くは1質量%以下であり、より好ましくは0.001 ~0.1質量%である。

 1.7 化学機械研磨用水系分散体の調製方法
 本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分 体は、水等の溶媒に前記各成分を溶解また 分散させることにより調製することができ 。溶解または分散方法は特に限定されるも ではなく、均一に溶解、分散できればどん 方法を適用してもよい。また、各成分の混 順序や混合方法についても特に限定されな 。

 本実施形態に係る化学機械研磨用水系分 体は、濃縮タイプの原液として調製し、使 時に水等の溶媒で希釈して使用することも きる。

 2.化学機械研磨方法および半導体装置の製 方法
 本実施形態に係る化学機械研磨方法および 導体装置の製造方法を、図面を用いて詳細 説明する。

 2.1 被処理体
 図4に、第1の具体例の化学機械研磨方法に る被処理体100の一例を示す。まず、シリコ 基板10の上に、CVD法または熱酸化法を用いて 、ストッパーとしての第1のシリコン酸化膜20 を形成する。さらに、第1のシリコン酸化膜20 の上に、CVD法を用いてシリコン窒化膜30を形 する。

 次いで、シリコン窒化膜30をパターニン する。それをマスクとして、シリコン基板10 ないしシリコン酸化膜20をフォトリソグラフ ー法またはエッチング法を適用して連通す トレンチ50を形成する。

 最後に、トレンチ50を充填するように、 化シリコンを堆積させると、被処理体100が られる。

 2.2 化学機械研磨方法
 (1)まず、被処理体100のシリコン窒化膜30上 堆積した第2のシリコン酸化膜40を除去する めに、シリコン窒化膜に対するシリコン酸 膜の研磨速度比が大きい化学機械研磨用水 分散体を用いて化学機械研磨を行う。これ より、図5に示すように、第2のシリコン酸化 膜40の大部分を除去することができる。

 (2)図5に示すような、シリコン酸化膜とシ リコン窒化膜を共存する被研磨面に対して、 本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体 を用いて、化学機械研磨することができる。 第2のシリコン酸化膜40を研磨していくと、シ リコン窒化膜30が発現する。ここで、従来の 学機械研磨用水系分散体を用いて研磨した 合には、シリコン酸化膜に対するシリコン 化膜の研磨速度比が大きいため、シリコン 化膜のディッシングの発生を抑制すること できなかった。

 ところが、本実施形態に係る化学機械研 用水系分散体を用いて研磨すると、シリコ 酸化膜とシリコン窒化膜の研磨速度を研磨 においてほぼ同等とすることができるため シリコン酸化膜のディッシングの発生を抑 しながら、シリコン窒化膜を研磨すること できる。すなわち、本実施形態に係る化学 械研磨用水系分散体は、常に平坦な状態を ちながら、被研磨面を全面的に研磨するこ ができる。

 (3)こうして、図6に示すようなトレンチ50 酸化シリコンが埋め込まれた半導体装置を ることができる。本実施形態に係る化学機 研磨方法は、例えば、トレンチ分離(STI)等 適用することができる。

 3.実施例
 以下、本発明を実施例により説明するが、 発明はこの実施例により何ら限定されるも ではない。

 3.1 無機砥粒を含む水分散体の調製
 3.1.1 コロイダルシリカを含む水分散体の調 製
 容量2000cm 3 のフラスコに、25質量%濃度のアンモニア水70g 、イオン交換水40g、エタノール175gおよびテ ラエトキシシラン21gを投入し、180rpmで撹拌 ながら60℃に昇温した。60℃のまま1時間撹拌 した後冷却し、コロイダルシリカ/アルコー 分散体を得た。次いで、エバポレータによ 、80℃でこの分散体にイオン交換水を添加し ながらアルコール分を除去する操作を数回繰 り返すことにより分散体中のアルコールを除 き、表1に記載の固形分濃度の水分散体を調 した。上述したBET法を用いて測定した比表 積から算出した平均粒子径は、15nmであった なお、算出に用いたBET法による表面積測定 、コロイダルシリカから溶液を取り除き、8 00℃にて加熱処理した後、測定した値を用い 。また、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノ ロジーズ社製、「H-7650」)にて撮影倍率20000倍 の条件で粒子の画像を撮影し、先に述べた方 法で50個のコロイダルシリカ粒子を測定し、 径および短径の平均値を算出し、長径と短 の比率を算出した。他の粒径のコロイダル リカは、上記方法と同様の作製方法で、適 テトラエトキシシランの添加量、撹拌時間 調整して作製した。

 また、扶桑化学工業社製のコロイダルシ カ(品番;PL-1、PL-2、PL-2L、PL-3、PL-3L、PL-3H、PL -5、EXP-101)を用いて同様に水分散体を調製し 。

 3.1.2 ヒュームドシリカを含む水分散体の調 製
 商品名「アエロジル#90」(日本アエロジル株 式会社製)2kgを、超音波分散機を用いてイオ 交換水6.7kg中に分散させた。その後、孔径5μ mのフィルターを用いてろ過し、ヒュームド リカ粒子を23質量%含む水分散体を得た。な 、上述したBET法を用いて測定した比表面積 ら算出した平均粒子径は、30nmであった。

 平均粒子径54nmのヒュームドシリカを含む 水分散体は、上記の「アエロジル#90」に代え て、商品名「アエロジル#50」(日本アエロジ 株式会社製)を用いて、同様の操作を行い調 した。

 3.1.3 ヒュームドセリアを含む水分散体の調 製
 水酸化セリウムを900℃で、2時間焼成するこ とにより、酸化セリウムの粉末を得た。得ら れた酸化セリウムの粉末を、ビーズミルを用 いてイオン交換水中に分散させて、酸化セリ ウムを10質量%含む水分散体を得た。なお、上 述したBET法を用いて測定した比表面積から算 出した平均粒子径は、45nmであった。

 一方、水酸化セリウムを700℃で、2時間焼 成することにより、酸化セリウムの粉末を得 た。得られた酸化セリウムの粉末を、ビーズ ミルを用いてイオン交換水中に分散させて、 酸化セリウムを10質量%含む水分散体を得た。 なお、上述したBET法を用いて測定した比表面 積から算出した平均粒子径は、20nmであった

 3.2 化学機械研磨用水系分散体の調製
 「3.1 無機砥粒を含む水分散体の調製」に いて調製された水分散体の所定量を容量1000c m 3 のポリエチレン製の瓶に投入し、これに、リ ン酸、ポリエチレンイミン、およびその他の 添加剤を所定の含有量となるようにそれぞれ 添加し十分に混合撹拌した。なお、ポリエチ レンイミンは、日本触媒社製の製品(品番;SP-0 03、SP-006、SP-012、SP-018、SP-200)を用いた。その 後、撹拌をしながら必要に応じて界面活性剤 水溶液を添加した。さらにイオン交換水を加 え、四級アンモニウム化合物を0.1~5質量%の範 囲内で所定のpHを確認しながら徐々に添加し 所定のpHとなるように分散体を調整した後 孔径5μmのフィルターで濾過し、実施例、比 例、および参考例に用いる化学機械研磨用 系分散体を得た。

 3.3 化学機械研磨試験
 「3.2 化学機械研磨用水系分散体の調製」 おいて調製した化学機械研磨用水系分散体 用いて、直径8インチのシリコン窒化膜また シリコン酸化膜付きシリコン基板を被研磨 として、下記の<研磨条件1>で化学機械 磨を行った。
<研磨条件1>
・研磨装置:(株)荏原製作所製、型式「EPO-112
・研磨パッド:ロデール・ニッタ(株)製、「IC1 000/K-Groove」
・化学機械研磨用水系分散体供給速度:200mL/
・定盤回転数:90rpm
・研磨ヘッド回転数:90rpm
・研磨ヘッド押し付け圧:280hPa
 3.3.1 研磨速度の算出
 被研磨体である直径8インチのシリコン窒化 膜またはシリコン酸化膜付き基板のそれぞれ について、研磨前の膜厚を光干渉式膜厚計「 NanoSpec 6100」(ナノメトリクス・ジャパン(株) )によって予め測定しておき、上記の条件で 1分間研磨を行った。研磨後の被研磨体の膜 を、同様に光干渉式膜厚計を用いて測定し 研磨前と研磨後の膜厚の差、すなわち化学 械研磨により減少した膜厚を求めた。そし 、化学機械研磨により減少した膜厚および 磨時間から研磨速度を算出した。この結果 表1ないし表4に示す。

 3.4 実施例1~15、比較例1~15
 実施例1~15、比較例1~15は、表1ないし表4に記 載のとおり、化学機械研磨用水系分散体の成 分または濃度を一部変更したものである。

 実施例1~15の化学機械研磨用水系分散体で は、いずれもシリコン酸化膜に対するシリコ ン窒化膜の研磨速度比が0.7~1.1の範囲内にあ 。したがって、実施例1~15の化学機械研磨用 系分散体を用いて化学機械研磨を行うと、 リコン酸化膜とシリコン窒化膜を共有する 坦な被研磨面において、シリコン酸化膜の ィッシングの発生を抑制しながら、シリコ 窒化膜を研磨することができる。

 比較例1および2は、砥粒としてヒューム シリカを含有するスラリーを適用した例で る。いずれの場合もシリコン窒化膜の研磨 度が大きく、本願発明の目的を達成するこ ができない。

 比較例3および4は、砥粒としてヒューム セリアを含有するスラリーを適用した例で る。いずれの場合もシリコン酸化膜の研磨 度が大きく、適切な研磨速度比を得ること できないため、本願発明の目的を達成する とができない。

 比較例5は、砥粒として平均粒径6nmのコロ イダルシリカを含有するスラリーを適用した 例である。シリコン窒化膜の研磨速度が大き く、適切な研磨速度比を得ることができない ため、本願発明の目的を達成することができ ない。

 比較例6は、砥粒として平均粒径70nmのコ イダルシリカを用いた例である。シリコン 化膜の研磨速度が大きすぎ、適切な研磨速 比を得ることができないため、本願発明の 的を達成することができない。

 比較例7は、pHが3未満のスラリーを適用し た例である。シリコン酸化膜に対するシリコ ン窒化膜の研磨速度が小さくなってしまうた め、本願発明の目的を達成することができな い。

 比較例8は、pHが5を超えたスラリーを適用 した例である。コロイダルシリカの凝集が認 められ、評価試験を行うことができなかった 。

 比較例9は、砥粒として平均粒径70nmのコ イダルシリカを含有し、かつpHが5を超えた ラリーを適用した例である。コロイダルシ カの凝集が認められ、評価試験を行うこと できなかった。

 比較例10~13は、ポリエチレンイミンを含 しないスラリーを適用した例である。ポリ チレンイミンを含有しないスラリーでは、 リコン酸化膜に対する研磨速度とシリコン 化膜に対する研磨速度のバランスを保てな 傾向が認められるため、本願発明の目的を 成することができない。

 比較例14は、砥粒として平均粒径51.9nmの ロイダルシリカを含有し、かつpHが3未満の ラリーを適用した例である。シリコン窒化 に対するシリコン酸化膜の研磨速度が大き なりすぎてしまうため、本願発明の目的を 成することができない。

 比較例15は、リン酸を含有せず、数平均 子量が20,000のポリエチレンイミンを含有す スラリーを適用した例である。リン酸を含 せず、ポリエチレンイミンの分子量が大き ぎるため、化学機械研磨用水系分散体中に リエチレンイミン由来の沈殿が確認された したがって、評価することができなかった

 以上のように、比較例1~15の化学機械研磨 用水系分散体では、本願発明の目的を達成す ることができない。

 3.5 実施例16~19
 実施例16~19は、A液(リン酸4質量%、ポリエチ ンイミン[分子量600]0.05質量%および水酸化テ トラメチルアンモニウムを適量添加し、pHを3 .7としたもの)とB液(平均粒径15nmのコロイダル シリカを12.5質量%添加し、pHを7としたもの)を あらかじめ調製し、A液とB液と脱イオン水を 5に記載の割合で混合して得られた化学機械 研磨用水系分散体を用いて、「3.3 化学機械 磨試験」を実施した例である。

 実施例16は、実施例1と同様の組成となる 実施例16の化学機械研磨試験の結果は、実 例1と全く同じであった。このことから、組 が同一であれば、添加剤の添加順序等は、 リコン酸化膜やシリコン窒化膜の研磨速度 ほとんど影響を及ぼさないことがわかる。

 実施例17~19は、A液とB液と脱イオン水の割 合を種々変化させて得られた化学機械研磨用 水系分散体を用いて、「3.3 化学機械研磨試 」を実施した例である。実施例17~19のよう 、A液とB液と脱イオン水の割合を調整すれば 、研磨速度比を0.7~1.1に制御できることがわ る。

 実施例20~22は、実施例15で得られた化学機 械研磨用水系分散体を用いて、研磨条件を種 々変化させて、「3.3 化学機械研磨試験」を 施した例である。研磨条件は、研磨荷重、 学機械研磨用水系分散体の流量、テーブル 転数、ヘッド回転数の4つであり、これらの 条件を種々変化させた。実施例15で得られた 学機械研磨用水系分散体は、いずれの研磨 件においても研磨速度比を0.7~1.1とすること ができた。このことより、本実施の形態に係 る化学機械研磨用水系分散体は、研磨条件に よって変動することのない安定した研磨速度 比を提供できることがわかる。

 3.6 実験例
 3.6.1 第1の実験例
 あらかじめシリコン窒化膜が埋め込まれた スト用ウエハを用いて、化学機械研磨を行 た。具体的には、被処理体200として864CMP(ア ドバンスマテリアルズテクノロジー社製のテ スト用ウエハであり、図7に示すような断面 造を有するもので、ポリシリコン膜12の底部 からシリコン窒化膜32の上部までの厚さが約5 00nm、シリコン酸化膜22の厚さが約10nm、シリ ン窒化膜32の厚さが約150nmのもの。)を用いた 。

 前記テスト用ウエハは、あらかじめJSR社製C MS4301および4302を使用して、下記の<研磨条 2>で100秒間化学機械研磨を行った。
<研磨条件2>
・研磨装置:(株)荏原製作所製、型式「EPO-112
・研磨パッド:ロデール・ニッタ(株)製、「IC1 000/K-Groove」
・化学機械研磨用水系分散体供給速度:200mL/
・定盤回転数:100rpm
・研磨ヘッド回転数:107rpm
・研磨ヘッド押し付け圧:350hPa
 化学機械研磨後の被研磨面は、図8に示すよ うに、シリコン窒化膜32上のシリコン酸化膜4 2の大部分が除去されていた。光干渉式膜厚 「NanoSpec 6100」よりパターン密度50%の100μmピ ッチ内におけるシリコン窒化膜32上のシリコ 酸化膜42の厚さを測定したところ、シリコ 酸化膜42の厚さは約100nmであった。

 また、シリコン窒化膜32の段差量を測定 るために、触針式段差測定装置「HRP240」に 測定したところ、段差は確認されなかった

 次に、実施例1に係る化学機械研磨用水系 分散体を用いて、上記の<研磨条件1>で180 秒間研磨を行った。

 その結果、図9に示すような半導体装置が 得られた。研磨後の被研磨面におけるシリコ ン窒化膜32の厚さは、ほぼ0nmであった。パタ ン密度50%の100μmピッチ内における第2のシリ コン酸化膜42のディッシング量もほぼ0nmであ た。

 このことから、実施例1に係る化学機械研 磨用水系分散体を用いると、シリコン窒化膜 とシリコン酸化膜の研磨速度をほぼ同じとす ることができるため、シリコン酸化膜のディ ッシングの発生を抑制することができ、シリ コン窒化膜を除去する上で有効であることが わかる。

 3.6.2 第2の実験例
 あらかじめシリコン窒化膜が埋め込まれた スト用ウエハを用いて、化学機械研磨を行 た。具体的には、被処理体300として864CMP(ア ドバンスマテリアルズテクノロジー社製のテ スト用ウエハであり、図10に示すような断面 造を有するもので、シリコン膜14の底部か シリコン窒化膜32の上部までの厚さが約500nm シリコン酸化膜22の厚さが約10nm、シリコン 化膜32の厚さが約150nmのもの。)を用いた。

 前記テスト用ウエハは、あらかじめJSR社 CMS4301および4302を使用して、上記の<研磨 件2>で100秒間化学機械研磨を行った。

 化学機械研磨後の被研磨面は、図11に示 ように、シリコン窒化膜32上のシリコン酸化 膜42の大部分が除去されていた。光干渉式膜 計「NanoSpec 6100」よりパターン密度50%の100μ mピッチ内におけるシリコン窒化膜32上のシリ コン酸化膜42の厚さを測定したところ、シリ ン酸化膜42の厚さは約100nmであった。

 また、シリコン窒化膜32の段差量を測定 るために、触針式段差測定装置「HRP240」に 測定したところ、段差は確認されなかった

 次に、実施例9に係る化学機械研磨用水系 分散体を用いて、上記の<研磨条件1>で180 秒間研磨を行った。

 その結果、図12に示すような半導体装置 得られた。研磨後の被研磨面におけるシリ ン窒化膜32の厚さは、ほぼ0nmであった。パタ ーン密度50%の100μmピッチ内における第2のシ コン酸化膜42のディッシング量もほぼ0nmであ った。

 このことから、実施例9に係る化学機械研 磨用水系分散体を用いると、シリコン窒化膜 とシリコン酸化膜の研磨速度をほぼ同じとす ることができるため、シリコン酸化膜のディ ッシングの発生を抑制することができ、シリ コン窒化膜を除去する上で有効であることが わかる。

 3.6.3 第3の実験例
 被処理体300について、実験例1と同様の方法 により化学機械研磨を行った。

 化学機械研磨後の被研磨面は、図11に示 ように、シリコン窒化膜32の上にあった第2 シリコン酸化膜42の大部分が除去されていた 。光干渉式膜厚計「NanoSpec 6100」よりパター 密度50%の100μmピッチ内におけるシリコン窒 膜32上のシリコン酸化膜42の厚さを測定した ところ、シリコン酸化膜42の厚さは約100nmで った。

 また、シリコン窒化膜32の段差量を測定 るために、触針式段差測定装置「HRP240」に 測定したところ、段差は確認されなかった

 次に、実施例1に係る化学機械研磨用水系 分散体を用いて、上記の<研磨条件1>で180 秒間研磨を行った。

 その結果、図12に示すような半導体装置 得られた。研磨後の被研磨面におけるシリ ン窒化膜32の厚さは、ほぼ0nmであった。パタ ーン密度50%の100μmピッチ内における第2のシ コン酸化膜42のディッシング量もほぼ0nmであ った。

 このことから、実施例1に係る化学機械研 磨用水系分散体を用いると、シリコン窒化膜 とシリコン酸化膜の研磨速度をほぼ同じとす ることができるため、シリコン酸化膜のディ ッシングの発生を抑制することができ、シリ コン窒化膜を除去する上で有効であることが わかる。