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Patent Searching and Data


Title:
AQUEOUS EMULSION AND PROCESS FOR PRODUCTION THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/069644
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are: an aqueous emulsion which comprises a polyvinyl alcohol resin as a dispersing agent and a polymer having a constituent unit derived from an ethylenically unsaturated monomer as a dispersoid, which enables the formation of a coating film having excellent transparency, and which has excellent mechanical stability, chemical stability, freezing stability and storage stability; and a process for producing the aqueous emulsion. In the aqueous emulsion, the disopersoid has an average particle diameter of 100 to 450 μm, and the apparent grafting degree of the polyvinyl alcohol resin to the dispersoid is 65 to 75%.

Inventors:
SHIBUTANI MITSUO
SAITO MASAHIRO
MANDAI SHUSAKU
MURAHASHI TAKAAKI
Application Number:
PCT/JP2008/071426
Publication Date:
June 04, 2009
Filing Date:
November 26, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON SYNTHETIC CHEM IND (JP)
SHIBUTANI MITSUO
SAITO MASAHIRO
MANDAI SHUSAKU
MURAHASHI TAKAAKI
International Classes:
C08F8/12; C08F2/30; C08F16/04; C08F261/02
Domestic Patent References:
WO2007129370A12007-11-15
WO2000024702A12000-05-04
Foreign References:
JP2006316260A2006-11-24
JP2006124682A2006-05-18
JP2000297107A2000-10-24
JP2006124682A2006-05-18
JP2006095825A2006-04-13
US5623086A1997-04-22
US6072079A2000-06-06
Other References:
See also references of EP 2216348A4
Attorney, Agent or Firm:
NAITO, Teruo (7-13 Nishi-Shimbashi 1-chom, Minato-ku Tokyo 03, JP)
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Claims:
ポリビニルアルコール系樹脂を含む分散剤と、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する重合体を分散質として含有する水性エマルジョンであって、かかる分散質の平均粒子径が100~450nmであり、分散質に対するポリビニルアルコール系樹脂のみかけグラフト化率が65~75%であることを特徴とする水性エマルジョン。
エチレン性不飽和単量体がアクリル系単量体であることを特徴とする請求項1記載の水性エマルジョン。
下記一般式(1)で表される1,2-ジオール構造単位を有し、ケン化度が80~93モル%であるポリビニルアルコール系樹脂の存在下、エチレン性不飽和単量体を水中に乳化分散させて得られるプレエマルジョンを水性媒体中に滴下しながら乳化重合してなることを特徴とする請求項1または2記載の水性エマルジョン。
[式中、R 1 、R 2 及びR 3 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R 4 、R 5 、及びR 6 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。]
ポリビニルアルコール系樹脂における一般式(1)で表わされる1,2-ジオール構造単位の含有量が2~15モル%であることを特徴とする請求項3記載の水性エマルジョン。
一般式(1)で表わされる1,2-ジオール構造単位を有するポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度が50~4000であることを特徴とする請求項3または4記載の水性エマルジョン。
一般式(1)で表わされる1,2-ジオール構造単位が、下記一般式(1’)で表わされる1,2-ジオール構造単位であることを特徴とする請求項3~5いずれか記載の水性エマルジョン。
分散質100重量部に対する分散剤の含有量が0.1~100重量部であることを特徴とする請求項3~6いずれか記載の水性エマルジョン。
固形分濃度が10~60重量%であることを特徴とする請求項1~7いずれか記載の水性エマルジョン。
架橋剤を含有することを特徴とする請求項1~8いずれか記載の水性エマルジョン。
架橋剤がメチロール化メラミンであることを特徴とする請求項9記載の水性エマルジョン。
架橋剤の含有量が、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して0.1~150重量部であることを特徴とする請求項9または10記載の水性エマルジョン。
一般式(1)で表される1,2-ジオール構造単位を有し、ケン化度が80~93モル%であるポリビニルアルコール系樹脂の存在下、エチレン性不飽和単量体を水中に乳化分散させてプレエマルジョンを得る工程、及び得られたプレエマルジョンを水性媒体中に滴下しながら乳化重合する工程を含むことを特徴とする水性エマルジョンの製造方法。
Description:
水性エマルジョン及びその製造 法

 本発明は、エチレン性不飽和単量体に由 する構造単位を含む重合体を分散質とする 性エマルジョン及びその製造方法に関し、 らに詳しくは、分散剤としてのポリビニル ルコール系樹脂の存在下、エチレン性不飽 単量体を乳化重合して得られた水性エマル ョンであって、造膜性、化学安定性、凍結 定性に優れ、透明性に優れた被膜が得られ 木材等に対する優れた接着性を示す水性エ ルジョン及びその製造方法に関する。

 従来より、エチレン性不飽和単量体の乳化 合において、分散剤としてポリビニルアル ール系樹脂(以下、ポリビニルアルコールを PVAと略記する)が好適に使用されている。
 かかるエチレン性不飽和単量体の中でも、 酸ビニルはPVA系樹脂との親和性が高く、安 性に優れた水性エマルジョンを得ることが きるが、得られた酢酸ビニル樹脂エマルジ ンは最低造膜温度が高いため、低温環境下 おいては造膜性や接着性が不足するという 題点があった。
 一方、アクリル系樹脂エマルジョンは低温 境下でも十分な造膜性を有していることか 、従来酢酸ビニル樹脂エマルジョンが使用 れていた用途に対し、かかるアクリル系樹 エマルジョンを適用するケースが増えつつ る。

 しかしながら、アクリル系樹脂エマルジョ の場合、一般的な未変性PVA系樹脂では乳化 散力が不充分であり、さらにアクリル系単 体は酢酸ビニルと比較してラジカル反応性 小さいため、PVA系樹脂の存在下では初期反 が起こりにくかったり、重合時の安定性が 足したりする場合がある。
 アクリル系樹脂エマルジョンの製造におけ このような問題点を解決するため、PVA系樹 として、より分散安定力の高い、各種変性P VA樹脂を用いる検討が広く行われている。

 例えば、乳化重合時の安定性に優れ、放置 定性、希釈安定性、機械安定性に優れるア リル系樹脂エマルジョンを得ることができ 分散剤として、ポリオキシアルキレン基を 鎖に有するPVA系樹脂が提案されている。(例 えば、特許文献1参照。)
 さらに、かかるポリオキシアルキレン基含 PVA系樹脂からなる分散剤は、アクリル系単 体を分散剤の存在下で水中に乳化分散させ プレエマルジョンとし、これを重合反応系 滴下して重合させる、プレエマルジョン法 よる重合法に好適に用いられている。
 なお、かかる特許文献1において用いられる ポリオキシアルキレン基含有PVA系樹脂は、そ のケン化度が30~80モル%であり、実施例では35~ 73モル%のもの、すなわち、PVA系樹脂としては ケン化度が低い領域のものが用いられている 。

 また、機械安定性、凍結安定性、さらに高 での長期放置安定性に優れたアクリル系樹 エマルジョンが得られる分散剤として、1,2- ジオール構造を側鎖に含有するPVA系樹脂が提 案されている。(例えば、特許文献2参照。)
 なお、かかる特許文献2においては、1,2-ジ ール構造単位を含有するPVA系樹脂として残 エステル基量が15モル%以下のもの(ケン化度 して85モル%を超えるもの)が好ましいと説明 されており、実施例では、残存エステル基量 が2.2~6.0モル%(ケン化度として94.0~97.8モル%)の の、すなわち、PVA系樹脂としてはケン化度 高い領域のものが用いられている。

特開2000-297107号公報

特開2006-124682号公報

 しかしながら、本発明者がかかる特許文献 記載の技術について詳細に検討したところ 特許文献1に従い、低ケン化度のポリオキシ アルキレン基含有PVA系樹脂を乳化分散剤とし て用い、プレエマルジョン法によって得られ たアクリル系樹脂エマルジョンは、重合安定 性に関しては優れたものであったが、化学安 定性および凍結安定性の点で不充分であり、 造膜性に点でも改善の余地があることが判明 した。
 また、特許文献2に従い、高ケン化度の1,2- オール構造を有するPVA系樹脂を分散剤とし 用い、滴下重合法によって得られたアクリ 系樹脂エマルジョンは、機械安定性、化学 定性、凍結安定性、および保存安定性に関 ては優れたものであったが、乳化重合条件 乳化重合に使用するモノマーの種類によっ 粗粒子が生成したり、また造膜性が不充分 あり、これから得られた被膜の透明性の点 も不充分であった。
 すなわち本発明は、造膜性、化学安定性、 結安定性に優れ、透明性に優れた被膜が得 れ、木材等に対する優れた接着性を示す水 エマルジョン及びその製造方法の提供を目 とするものである。

 本発明者は、上記事情に鑑み鋭意検討した 果、以下の構成によって本発明の目的が達 されることを見出し、本発明を完成した。
(1) ポリビニルアルコール系樹脂を含む分散 と、エチレン性不飽和単量体に由来する構 単位を有する重合体を分散質として含有す 水性エマルジョンであって、かかる分散質 平均粒子径が100~450nmであり、分散質に対す ポリビニルアルコール系樹脂のみかけグラ ト化率が65~75%であることを特徴とする水性 マルジョン。
(2) エチレン性不飽和単量体がアクリル系単 体であることを特徴とする上記(1)記載の水 エマルジョン。

 すなわち、本発明は、エチレン性不飽和 量体を乳化重合してなる水性エマルジョン おいて、分散質の粒子径を小さくすること よって造膜性と得られた被膜の透明性が向 し、さらに、通常、粒子径が小さくなると 面積の増大によって低下する傾向にある各 安定性に対して、分散質に対するPVA系樹脂 みかけグラフト化率の高さ、すなわち保護 ロイド力の強さによって、その低下を抑え ことを特徴とするものである。

(3) 本発明の水性エマルジョンは、例えば 下記一般式(1)で表される1,2-ジオール構造単 位を有し、ケン化度が80~93モル%であるPVA系樹 脂の存在下、エチレン性不飽和単量体を水中 に乳化分散させて得られるプレエマルジョン を水性媒体中に滴下しながら乳化重合するこ とによって得ることができる。

[式中、R 1 、R 2 及びR 3 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を 示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R 4 、R 5 、及びR 6 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を 示す。]
 これは、エチレン性不飽和単量体、および の重合体のいずれに対しても親和性に優れ PVA系樹脂を分散剤として用いたことによっ 、単量体が水中に微分散したプレエマルジ ンを得ることができ、さらに、これを重合 応系に滴下、乳化重合することにより、分 質である重合体の粒子径が極めて小さい水 エマルジョンが得られたものである。
(4) ポリビニルアルコール系樹脂における一 式(1)で表わされる1,2-ジオール構造単位の含 有量が2~15モル%であることを特徴とする上記( 3)記載の水性エマルジョン。
(5) 一般式(1)で表わされる1,2-ジオール構造単 位を有するポリビニルアルコール系樹脂の平 均重合度が50~4000であることを特徴とする上 (3)または(4)記載の水性エマルジョン。
(6) 一般式(1)で表わされる1,2-ジオール構造単 位が、下記一般式(1’)で表わされる1,2-ジオ ル構造単位であることを特徴とする上記(3)~( 5)いずれか記載の水性エマルジョン。

(7) 分散質100重量部に対する分散剤の含有量 0.1~100重量部であることを特徴とする上記(3) ~(6)いずれか記載の水性エマルジョン。
(8) 固形分濃度が10~60重量%であることを特徴 する上記(1)~(7)いずれか記載の水性エマルジ ョン。
(9) 架橋剤を含有することを特徴とする上記( 1)~(8)いずれか記載の水性エマルジョン。
(10) 架橋剤がメチロール化メラミンであるこ とを特徴とする上記(9)記載の水性エマルジョ ン。
(11) 架橋剤の含有量が、ポリビニルアルコー ル系樹脂100重量部に対して0.1~150重量部であ ことを特徴とする上記(9)または(10)記載の水 エマルジョン。
(12) 一般式(1)で表される1,2-ジオール構造単 を有し、ケン化度が80~93モル%であるポリビ ルアルコール系樹脂の存在下、エチレン性 飽和単量体を水中に乳化分散させてプレエ ルジョンを得る工程、及び得られたプレエ ルジョンを水性媒体中に滴下しながら乳化 合する工程を含むことを特徴とする水性エ ルジョンの製造方法。

 本発明の水性エマルジョンは造膜性、化 安定性、凍結安定性に優れ、透明性に優れ 被膜が得られ、さらに木材等に対する優れ 接着力を示すことから、各種基材に対する ーティング剤、接着剤、粘着剤等の用途に めて好適である。

 以下に記載する構成要件の説明は、本発明 実施態様の一例(代表例)であり、これらの 容に特定されるものではない。
 以下、本発明について詳細に説明する。

 本発明の水性エマルジョンは、PVA系樹脂を 散剤とし、エチレン性不飽和単量体に由来 る構造単位を有する重合体(以下、単に「エ チレン性不飽和単量体の重合体」ということ もある)を分散質とする水性エマルジョンで る。
 本発明の水性エマルジョンにおける分散質 、エチレン性不飽和単量体の重合体であり 例えば、ビニルエステル系単量体、アクリ 系単量体、ジエン系単量体、オレフィン系 量体、アクリルアミド系単量体、アクリル トリル系単量体、スチレン系単量体、ビニ エーテル系単量体、アリル系単量体に由来 る構造単位を主体として含有する重合体を げることができる。なかでも、本発明の効 が最大限に得られる点で、アクリル系単量 に由来する構造単位を含む重合体を分散質 するものが好適である。

 かかるアクリル系単量体としては、(メタ )アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル 、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリ ル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、 (メタ)アクリル酸i-ブチル、(メタ)アクリル酸 t-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル 、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリ 酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸等を挙げ ることができる。

 また、上記のアクリル系単量体は、それ れ単独で重合に用いることも可能であるが 得られる重合体のガラス転移やその他の特 をコントロールする目的で2種類以上混合し て用いたり、さらにスチレン系単量体等の他 の単量体を併用することも好ましい実施態様 である。

 本発明のエマルジョンは、分散質(即ち、 上記重合体)の平均粒子径が100~450nmであるも で、これは通常のエマルジョンと比較して めて小さく、特に100~350nm、さらに100~200nmで るものが好ましく用いられる。かかる平均 子径が小さすぎると、エマルジョンの濃度 高い場合に粘度が高くなり、取扱い性が低 する傾向がある。逆に大きすぎると、エマ ジョンの造膜性が低下したり、得られた塗 の透明性が低下する傾向がある。

 なお、かかるエマルジョンにおける分散 の平均粒子径は、50gの水にエマルジョンを0 .1g滴下し、超音波を5分間当てることで高希 、高分散の評価用サンプルを作成し、Particle  Sizing Systems社製「NICOMP380」を用い、23℃に ける平均粒子径をVolume-Wt NICOMP DISTRIBUTIONモ ドによって求められたものである。

 また、本発明の水性エマルジョンは、平均 子径が小さいだけでなく、粗粒子が少ない のであり、その量は、通常0~0.5%であり、特 0~0.3%、さらに0~0.1%である。かかる粗粒子量 多すぎると造膜性が低下したり、使用時の 布性が損なわれる場合があるため好ましく い。
 なお、かかる粗粒子とは、水性エマルジョ を120メッシュナイロンを用いてろ過した際 、ナイロン布上に残った固形分であり、そ 量は、水性エマルジョンの重量を基準とす ものである。

 本発明の水性エマルジョンのもう一つの 徴は、分散質に対するPVA系樹脂のみかけグ フト化率が65~75%の範囲内にあることであり 特に68~75%がより好ましい範囲である。本発 では、通常、エマルジョンの粒子径が小さ なり、表面積が増大するに従って低下する 向にある各種安定性を、分散剤であるPVA系 脂の分散質への高いみかけグラフト化率、 なわち、強い保護コロイド力によって、そ 低下の抑制することができたものである。

 なお、かかるみかけグラフト化率は、下記 方法によって測定されるものである。
 PETフイルム上に100μm用のアプリケーターを いて水性エマルジョンを塗布し、23℃、50%RH の雰囲気下で24時間静置乾燥して皮膜を作成 る。これを約1g(a)精秤し、50℃の酢酸メチル 、98℃の熱水、98℃のトルエン、98℃の熱水、 50℃のメチルエチルケトンに、各々6時間ずつ 浸漬し、その乾燥重量b(g)を求めた。また、 験前の皮膜について、別途揮発分c(%)を測定 ておき、これらの値を用いて、下記式より かけグラフト化率を算出した。
 みかけグラフト化率(%)=〔b/{a×(100-c)/100}〕×1 00

 かかるみかけグラフト化率が小さすぎる PVA系樹脂による保護コロイド力が不足する ととなり、水性エマルジョンの各種安定性 不充分となる傾向がある。また、みかけグ フト化率が75%を超えることは困難であると もに、かかる値が高くなりすぎると、アク ル系単量体の種類によっては重合安定性が 下し、安定した水性エマルジョンが得られ くなる傾向がある。

 また、本発明の水性エマルジョンの固形分 度は、通常10~60%であり、特に38~52%のものが ましく用いられる。かかる濃度が低すぎる エマルジョン粒子が沈降しやすくなり、保 安定性が低下したり、凍結安定性が低下す 傾向にあり、逆に高すぎると作業性が阻害 れる傾向がある。
 なお、かかる水性エマルジョンの固形分濃 は、水性エマルジョンを105℃で3時間乾燥さ せた際の残分である。

 本発明のエマルジョンは造膜性に優れるこ を特徴の一つとするもので、これは水性エ ルジョン中のエチレン性不飽和単量体の重 体のガラス転移点(Tg)と水性エマルジョンの 最低造膜温度(MFT)の差(Tg-MFT)が大きいことか 明らかである。本発明の水性エマルジョン おけるTg-MFTの値は、通常4℃以上であり、特 6~10℃であるものが好ましく用いられる。
 なお、かかる水性エマルジョンの最低造膜 度(MFT)とは、エマルジョンを基材等に塗布 たとき、エマルジョン粒子が融着して連続 た皮膜を形成することができる最低温度を わすものであり、エマルジョン中の重合体 組成、すなわち重合体のTgと分散媒との親和 性に大きく影響を受けるが、通常、40℃以下 あり、特に-20~40℃、ことに0~30℃のものが好 ましく用いられる。
 エチレン性不飽和単量体の重合体のガラス 移点(Tg)としては、通常110℃以下であり、特 に0~40℃のものが好ましく用いられる。
 本発明においては、エマルジョンの粒径が さいことで粒子間の毛細管圧力が高くなっ 粒子同士が接近することと、本発明で用い れる特定構造のPVA系樹脂が造膜助剤として くことによって最低造膜温度が低下し、そ 結果、Tgとの温度差が大きくなったものと 測される。

 次に、本発明のエマルジョンの製造法につ て説明する。
 本発明のエマルジョンの製造法は、特に限 されるものではないが、単量体を水性媒体 で乳化重合する方法や、重合体を水中に乳 分散させる方法などが挙げられ、中でも単 体をPVA系樹脂や界面活性剤などの分散剤存 下で水中に乳化分散させて得られたプレエ ルジョンを重合反応系に滴下しながら重合 せるプレエマルジョン法による乳化重合が ましく、特にかかる分散剤として下記一般 (1)で表される1,2-ジオール構造単位を有し、 ケン化度が80~93モル%であるPVA系樹脂を用いる プレエマルジョン法が好適に用いられる。
 かかるPVA系樹脂は、エチレン性不飽和単量 、およびその重合体のいずれに対しても親 性に優れており、まず、かかる単量体を水 に微分散させてプレエマルジョンとする際 分散剤として働き、かかるプレエマルジョ を、重合開始剤を含み、反応温度に設定さ た反応系に滴下し、乳化重合することで、 めて粒子径が小さい重合体を分散質とする マルジョンが得られたものである。
 また、一般にプレエマルジョン法で得られ エマルジョンは、粒子径が小さくなること よって分散剤として用いたPVA系樹脂のグラ ト化率が低下しがちであるが、本発明で用 るPVA系樹脂はグラフト化能が高いため、高 グラフト化率が得られ、各種安定性が高い マルジョンが得られたものである。

 以下、かかる一般式(1)で表わされる1,2-ジオ ール構造単位を有するPVA系樹脂を分散剤とし て用いたプレエマルジョン法による製造法に ついて詳しく説明する。
 かかるプレエマルジョン法に用いられるPVA 樹脂は、下記一般式(1)で示される構造単位 有するもので、一般式(1)におけるR 1 、R 2 、及びR 3 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を 示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R 4 、R 5 、及びR 6 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を 示すものである。

 一般式(1)で表わされる1,2-ジオール構造単位 中のR 1 ~R 3 、及びR 4 ~R 6 は、すべて水素原子であることが望ましく、 下記一般式(1’)で表わされる構造単位を有す るPVA系樹脂が好適に用いられる。

 なお、かかる一般式(1)で表わされる構造単 中にR 1 ~R 3 、及びR 4 ~R 6 は、樹脂特性を大幅に損なわない程度の量で あれば有機基であってもよく、その有機基と しては特に限定されないが、例えばメチル基 、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基 n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等 の炭素数1~4のアルキル基が好ましく、その有 機基は、必要に応じて、ハロゲン基、水酸基 、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基 等の置換基を有していてもよい。
 また、一般式(1)で表わされる1,2-ジオール構 造単位中のXは代表的には単結合であり、熱 定性の点や高温下/酸性条件下での構造安定 の点で単結合であるものが最も好ましいが 本発明の効果を阻害しない範囲であれば結 鎖であってもよく、かかる結合鎖としては に限定されないが、アルキレン、アルケニ ン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレ 等の炭化水素(これらの炭化水素はフッ素、 塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていて も良い)の他、-O-、-(CH 2 O) m -、-(OCH 2 ) m -、-(CH 2 O) m CH 2 -、-CO-、-COCO-、-CO(CH 2 ) m CO-、-CO(C 6 H 4 )CO-、-S-、-CS-、-SO-、-SO 2 -、-NR-、-CONR-、-NRCO-、-CSNR-、-NRCS-、-NRNR-、-HPO 4 -、-Si(OR) 2 -、-OSi(OR) 2 -、-OSi(OR) 2 O-、-Ti(OR) 2 -、-OTi(OR) 2 -、-OTi(OR) 2 O-、-Al(OR)-、-OAl(OR)-、-OAl(OR)O-、等(Rは各々独 して任意の置換基であり、水素原子、アル ル基が好ましく、またmは自然数である)が挙 げられる。中でも製造時あるいは使用時の安 定性の点で炭素数6以下のアルキレン基、特 メチレン基、あるいは-CH 2 OCH 2 -が好ましい。

 本発明で用いられるPVA系樹脂の製造法は 特に限定されないが、(i)ビニルエステル系 ノマーと下記一般式(2)で示される化合物と 共重合体をケン化する方法や、(ii)ビニルエ ステル系モノマーと下記一般式(3)で示される 化合物との共重合体をケン化及び脱炭酸する 方法や、(iii)ビニルエステル系モノマーと下 一般式(4)で示される化合物との共重合体を ン化及び脱ケタール化する方法が好ましく いられる。

 上記一般式(2)、(3)、(4)中のR 1 、R 2 、R 3 、X、R 4 、R 5 、R 6 は、いずれも一般式(1)の場合と同様である。 R 7 及びR 8 はそれぞれ独立して水素原子またはR 9 -CO-(式中、R 9 はアルキル基である)である。R 10 及びR 11 はそれぞれ独立して水素原子または有機基で ある。

 (i)、(ii)、及び(iii)の方法については、例え 、特開2006-95825に説明されている方法を採用 できる。
 なかでも、共重合反応性および工業的な取 扱い性に優れるという点から、(i)の方法に いて、一般式(2)で表わされる化合物としてR 1 ~R 6  が水素、Xが単結合、R 7 ~R 8  がR 9 -CO-であり、R 9 がアルキル基である、3,4-ジアシロキシ-1-ブ ンを用いることが好ましく、さらにそのな でも特にR 9 がメチル基である3,4-ジアセトキシ-1-ブテン 好ましく用いられる。
 なお、ビニルエステル系モノマーとして酢 ビニルを用い、これと3,4-ジアセトキシ-1-ブ テンを共重合させた際の各モノマーの反応性 比は、r(酢酸ビニル)=0.710、r(3,4-ジアセトキシ -1-ブテン)=0.701、であり、これは(ii)の方法で いられる一般式(3)で表される化合物である ニルエチレンカーボネートの場合の、r(酢 ビニル)=0.85、r(ビニルエチレンカーボネート )=5.4、と比較して、3,4-ジアセトキシ-1-ブテン が酢酸ビニルとの共重合反応性に優れること を示すものである。

 また、3,4-ジアセトキシ-1-ブテンの連鎖移 動定数は、Cx(3,4-ジアセトキシ-1-ブテン)=0.003( 65℃)であり、これはビニルエチレンカーボネ ートの場合の、Cx(ビニルエチレンカーボネー ト)=0.005(65℃)や、(iii)の方法で用いられる一 式(4)で表される化合物である2,2-ジメチル-4- ニル-1,3-ジオキソランの場合のCx(2,2-ジメチ -4-ビニル-1,3-ジオキソラン)=0.023(65℃)と比較 して、重合度が上がりにくくなったり、重合 速度低下の原因となることがないことを示す ものである。

 また、かかる3,4-ジアセトキシ-1-ブテンは 、その共重合体をケン化する際に発生する副 生物が、ビニルエステル系モノマーとして多 用される酢酸ビニルに由来する構造単位から ケン化時に副生する化合物と同一であり、そ の後処理や溶剤回収系に敢えて特別な装置や 工程を設ける必要がなく、従来からの設備を 利用出来るという点も、工業的に大きな利点 である。

 なお、上記3,4-ジアセトキシ-1-ブテンは、例 えば、WO00/24702に記載の1,3-ブタジエンを出発 質とした合成ルートで製造された製品や、U SP5623086、USP6072079に記載の技術によるエポキ ブテン誘導体を中間体として製造された製 を入手することができ、また試薬レベルで アクロス社の製品をそれぞれ市場から入手 ることができる。また、1,4-ブタンジオール 造工程中の副生成物として得られる3,4-ジア セトキシ-1-ブテンを精製して利用することも できる。
 また、1,4-ブタンジオール製造工程の中間生 成物である1,4-ジアセトキシ-1-ブテンを塩化 ラジウムなどの金属触媒を用いた公知の異 化反応することによって3,4-ジアセトキシ-1- テンに変換して用いることもできる。また 再公表WO00-24702号公報に記載の有機ジエステ ルの製造方法に準じて製造することも可能で ある。

 なお、(ii)や(iii)の方法によって得られたP VA系樹脂は、ケン化度が低い場合や、脱炭酸 るいは脱アセタール化が不充分な場合には 鎖にカーボネート環あるいはアセタール環 残存する場合があり、その結果、かかるPVA 樹脂を分散剤として用いた水性エマルジョ の粗粒子量が増加する傾向があり、これら 点からも、(i)の方法によって得られたPVA系 脂が本用途においては最も好適である。

 上記ビニルエステル系モノマーとしては、 酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ 、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪 ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビ ル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニ 、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル が挙げられるが、経済的にみて中でも酢酸 ニルが好ましく用いられる。
 また上述のモノマー(ビニルエステル系モノ マー、一般式(2)、(3)、(4)で示される化合物) 他に、樹脂物性に大幅な影響を及ぼさない 囲であれば、共重合成分として、エチレン プロピレン等のαーオレフィン;3-ブテン-1-オ ール、4-ペンテン-1-オール、5-ヘキセン-1,2-ジ オール等のヒドロキシ基含有α-オレフィン類 、およびそのアシル化物などの誘導体;イタ ン酸、マレイン酸、アクリル酸等の不飽和 類あるいはその塩あるいはモノ又はジアル ルエステル;アクリロニトリル等のニトリル 、メタクリルアミド、ジアセトンアクリル ミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、 リルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、A MPS等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩 などの化合物、などが共重合されていてもよ い。

 本発明で用いられるPVA系樹脂のケン化度( JIS K6726に準拠して測定)は、80~93モル%である とが好ましく、特に85~90モル%のものがより ましい。かかるケン化度が低すぎると曇点 象によって重合中にPVA系樹脂の不溶物が析 し、重合を阻害する場合があり、逆に高す るとプレエマルジョンモノマー液が不安定 なる傾向がある。

 一般に、エマルジョン重合は70~80℃の温度 行われることから、これに分散剤として用 られるPVA系樹脂は、曇点が80℃以上であるも のが用いられ、特に90℃以上であるものが好 しく用いられる。かかる曇点が低すぎると 上述と同様に重合中にPVA系樹脂が析出し、 れによってエマルジョンが凝集する場合が る。
 ただし、生産性の面で好ましいことではな が、高重合度化を目指してエマルジョン重 をより低温で行う場合には、曇点が80℃未 のPVA系樹脂を用いることも可能である。
 なお、かかるPVA系樹脂の曇点は、固形分濃 0.1%のPVA系樹脂水溶液を23℃に調温し、これ 1度/分の速度で昇温し、その430nmの吸光度が 0.1を超えた温度を曇点としたものである。

 また、PVA系樹脂の平均重合度(JIS K6726に 拠して測定)は通常は50~4000であり、特に100~20 00、さらに200~800のものが好ましく用いられる 。かかる平均重合度が低すぎると、保護コロ イド力が得られず、逆に高すぎると得られた エマルジョンの粘度が高くなりすぎ、重合中 に攪拌できず、重合困難となる場合がある。

 PVA系樹脂に含まれる1,2-ジオール構造単位 の含有量は通常は2~15モル%であり、特に3~12モ ル%、さらに4~10モル%が好ましい。かかる含有 量が少なすぎると、アクリル樹脂に対するPVA 系樹脂のグラフト性能が安定なエマルジョン が得られにくくなる傾向があり、逆に多すぎ るとPVAの親水性が高くなりすぎたり、残酢酸 エステル基の平均連鎖長が短くなる為にアク リル系単量体に対する吸着性能が低下し、プ レエマルジョンが不安定となる傾向がある。

 なお、PVA系樹脂中の1,2-ジオール構造単位の 含有率は、PVA系樹脂を完全にケン化したもの の 1 H-NMRスペクトル(溶媒:DMSO-d6、内部標準:テトラ メチルシラン)から求めることができ、具体 には1,2-ジオール単位中の水酸基プロトン、 チンプロトン、およびメチレンプロトン、 鎖のメチレンプロトン、主鎖に連結する水 基のプロトンなどに由来するピーク面積か 算出すればよい。

 次に、上述の一般式(1)で表わされる1,2-ジ オール構造単位を含有するPVA系樹脂を分散剤 として用い、水中にエチレン性不飽和単量体 が分散されたプレエマルジョンの製造方法に ついて説明する。

 かかるプレエマルジョン中に分散剤とし 使用されるPVA系樹脂の使用量としては、そ 種類やエマルジョンの樹脂分等によって多 異なるが、通常分散質100重量部に対して0.1~ 100重量部であり、特に1~50重量部、さらには3~ 10重量部の範囲が好ましく用いられる。かか PVA系樹脂の使用量が多すぎると水性エマル ョンから得られた被膜の耐水性が低下する 向があり、逆に少なすぎると単量体の分散 定性が低下し、良好なプレエマルジョンが られなくなる傾向があるため好ましくない

 かかるプレエマルジョンの製造方法とし は、例えば、上述のPVA系樹脂の水溶液を攪 しながらエチレン性不飽和単量体を滴下す 方法が挙げられる。その際の攪拌装置とし は、乳化重合時に用いるものと同様の攪拌 による攪拌混合や、ステティックミキサー バイプロミキサー、ホモジナイザーなどの 知の分散機を用いることができるが、なか も攪拌翼による攪拌混合が好適である。

 かくして得られたエチレン性不飽和単量 を含むプレエマルジョンは、攪拌装置、還 冷却器を備えた反応容器中の、重合開始剤 水とを含む反応液中に滴下され、乳化重合 れる。

 重合開始剤としては、通常、普通過硫酸カ ウム、過硫酸アンモニウム、臭素酸カリウ 等がそれぞれ単独で又は酸性亜硫酸ナトリ ムと併用して、更には過酸化水素-酒石酸、 過酸化水素-鉄塩、過酸化水素-アスコルビン -鉄塩、過酸化水素-ロンガリット、過酸化 素-ロンガリット-鉄塩等の水溶性のレドック ス系の重合開始剤が用いられ、具体的には化 薬アクゾ社製『カヤブチルB』や同社製『カ ブチルA-50C』等の有機過酸化物とレドックス 系からなる触媒を用いることもできる。中で も過硫酸アンモニウムが重合安定性の点で好 ましく用いられる。
 重合開始剤の添加方法としては、特に制限 なく、初期に一括添加する方法や重合の経 に伴って連続的に添加する方法等を採用す ことができる。

 かかる重合開始剤の使用量は、用いる単量 の種類や重合条件などによって一概に言え いが、通常は、エチレン性不飽和単量体100 量部に対して0.01~1重量部、特に0.01~0.5重量 の範囲が好ましく用いられる。
 また、重合反応時の温度は、通常40~90℃で り、特に60~80℃の範囲が好ましく用いられる 。

 反応液へのプレエマルジョンの滴下速度は 用いるエチレン性不飽和単量体の反応性や 合開始剤の使用量、反応温度などによって 概に言えず、重合熱による反応液の温度の 況等を観察しながら適宜決定すればよい。
 なお、プレエマルジョンの一部、例えば全 の5~20%を予め反応液中に投入しておき、重 の進行に応じて残りのプレエマルジョンを 下していくことも可能である。また、プレ マルジョンを全量滴下した後、一定時間の 成期間を設けることも好ましい実施態様で る。

 本発明のエマルジョンは、分散剤としてPVA 樹脂を単独で用いることが好ましいが、さ に他の水溶性高分子や非イオン性活性剤、 ニオン性活性剤を併用することもできる。
 なお、他の分散剤を併用する場合、PVA系樹 の含有量は、分散剤の全量に対して通常は7 0重量%以上であり、特に80重量%以上、さらに9 0重量%以上であることが好ましい。
 併用が可能な水溶性高分子としては、上記 PVA系樹脂以外の、未変性PVA、カルボキシル 含有PVA、PVAのホルマール化物、アセタール 物、ブチラール化物、ウレタン化物、スル ン酸、カルボン酸等とのエステル化物等のP VAやアセトアセチル化PVA、ジアセトンアクリ アミド変性PVA、末端チオール変性PVA、高温 圧重合によって得られる主鎖の1,2-グリコー ル結合の量が1.8モル%以上であるPVA、エチレ オキサイド変性PVA、ビニルエステルとそれ 共重合可能な単量体との共重合体ケン化物 が挙げられる。ビニルエステルと共重合可 な単量体としてはエチレン、ブチレン、イ ブチレン、α-オクテン、α-ドデセン、α-オ タデセン等のオレフィン類、アクリル酸、 タクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無 マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あ いはその塩あるいはモノ又はジアルキルエ テル等、アクリロニトリル、メタクリロニ リル等のニトリル類、アクリルアミド、ジ セトンアクリルアミド、メタクリルアミド のアミド類、エチレンスルホン酸、アリル ルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレ ィンスルホン酸あるいはその塩類、アルキ ビニルエーテル類、ビニルケトン、N-ビニル ピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等 が挙げられる。特にエチレンを共重合する場 合は、0.1~19モル%の範囲が好ましい。

 又、上記のPVA以外の水溶性高分子として メチルセルロース、エチルセルロース、ヒ ロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロ ルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメ ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー 、カルボキシメチルセルロース、アミノメ ルヒドロキシプロピルセルロース、アミノ チルヒドロキシプロピルセルロース等のセ ロース誘導体類、デンプン、トラガント、 クチン、グルー、アルギン酸又はその塩、 ラチン、ポリビニルピロリドン、ポリアク ル酸又はその塩ポリメタクリル酸又はその 、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルア ド、酢酸ビニルとマレイン酸、無水マレイ 酸、アクリル酸、アクリル酸、メタクリル 、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等不 和酸との共重合体、スチレンと上記不飽和 との共重合体、ビニルエーテルと上記不飽 酸との共重合体及び前記共重合体の塩類又 エステル類が挙げられる。

 非イオン性活性剤としては、例えばポリ キシエチレン-アルキルエーテル型、ポリオ キシエチレン-アルキルフェノール型、ポリ キシエチレン-多価アルコールエステル型、 価アルコールと脂肪酸とのエステル、オキ エチレン・オキシプロピレンブロックポリ ー等が挙げられる。

 アニオン性活性剤としては、例えば高級ア コール硫酸塩、高級脂肪酸アルカリ塩、ポ オキシエチレンアルキルフェノールエーテ 硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、 フタリンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、 ルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、 アルキルスルホコハク酸塩、高級アルコー リン酸エステル塩等が挙げられる。
 更に、フタル酸エステル、リン酸エステル の可塑剤、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウ 、リン酸ナトリウム等のpH調整剤等も併用 れ得る。
 また、重合反応性を制御するための助剤と て、鉄化合物やメタノールなどの連鎖移動 を併用してもよい。

 このようにして得られた本発明の水性エマ ジョンには、その用途や使用目的等に応じ 顔料、分散剤、消泡剤、油剤、粘性改質剤 粘着付与剤、増粘剤、保水剤、繊維柔軟剤 平滑剤、帯電防止剤等、各種用途に応じた 加剤を適宜混合することができる。
 また、本発明の水性エマルジョンは、これ 噴霧乾燥することによってパウダーエマル ョンとすることも可能であり、その場合に 、パウダー化および再分散性を向上させる めに、PVA系樹脂、特にエチレン変性PVAや部 鹸化PVA等を後添加することが好ましい。

 さらに、本発明の水性エマルジョンは、架 剤を併用し、乾燥皮膜中のPVA系樹脂を架橋 せることによって、皮膜の耐水白化性を大 に改善することが可能である。
 PVA系樹脂を分散剤として得られた水性エマ ジョンの乾燥皮膜には、PVA系樹脂の連続相 存在し、かかる皮膜が水と接触すると、PVA 樹脂が可視光領域の大きさに膨潤したり、 るいは溶出してボイドが発生することによ 、分散質からなる相との屈折率の差が生じ 白化が起ると考えられている。
 本発明の水性エマルジョンでは、分散質の 径を小さくしてPVA系樹脂の連続相を微細化 ることによって、かかる乾燥皮膜の水によ 白化が改善されているが、PVA系樹脂を架橋 せ、水による膨潤や溶出を抑制することで さらなる改善が可能である。

 本発明の水性エマルジョンに用いられる架 剤としては、PVA系樹脂の架橋剤として公知 あるものを用いることができ、具体的には PVA系樹脂中の水酸基と縮合反応するメチロ ル化合物やシリコーン化合物、アセタール 反応するアルデヒド化合物、エーテル結合 形成するエポキシ化合物、キレートを形成 るジルコニウム、チタニウム、アルミニウ 、ホウ素などの無機系化合物を挙げること できる。
 中でも、低温での架橋反応性に優れるメチ ール化合物、およびジルコニウム化合物が 適である。

 かかるメチロール化合物としては、メチロ ル化メラミン、メチロール化尿素、メチロ ル化ビスフェノールSなどを挙げることがで き、特にメチロール化メラミンが好ましく用 いられる。
 また、ジルコニウム化合物としては、塩化 ルコニウム、酢酸ジルコニウム、酢酸ジル ニル、硝酸ジルコニウム、硝酸ジルコニル 硫酸ジルコニウム、硫酸ジルコニル、ジル ニウムアセチルアセトネート、炭酸ジルコ ウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリ ム、オクチル酸ジルコニル、オキシ塩化ジ コニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、 ドロキシ塩化ジルコニルなどを挙げること できる。

 さらに、メチロール化合物を架橋剤とし 用いる場合には、酸性域、特にpH3以下にお て、より効果的に架橋反応が進行する。な 、乳化重合時の重合開始剤として過硫酸カ ウムや過硫酸アンモニウムを用いて得られ 水性エマルジョンの場合には、重合後に酸 になるため、特にpH調整を行う必要がない

 また、炭酸ジルコニウム、および炭酸ジ コニウムカリウムは、中性からアルカリ性 で効果的に架橋反応がおこることから、か るpH域の水性エマルジョンが得られるレド クス系の重合開始剤を用いたものに対する 橋剤として好適に用いることができる。

 かかる架橋剤の配合量は、その目的によ て一概にはいえないが、通常、PVA系樹脂100 量部に対して0.1~150重量部であり、特に1~100 量部、さらに5~50重量部、殊に10~30重量部の 囲が好ましく用いられる。かかる架橋剤の 合量が少なすぎると充分な耐水白化性が得 れない場合があり、逆に多すぎると水性エ ルジョンの安定性が低下し、増粘する傾向 ある。

 以下に、本発明を実施例を挙げて説明する 、本発明はその要旨を超えない限り、実施 の記載に限定されるものではない。
 尚、例中、「部」、「%」とあるのは、断り のない限り重量基準を意味する。

実施例1
〔PVA系樹脂の製造〕
 まず、酢酸ビニル1500部、3,4-ジアセトキシ-1 -ブテン174部(6モル%対仕込み酢酸ビニル)、メ ノール300部、アゾビスイソブチロニトリル( AIBN)0.2モル%(対仕込み酢酸ビニル)を準備した
 次いで、還流冷却器、滴下漏斗、攪拌機を えた反応缶に、メタノールとAIBNの全量、お よび酢酸ビニルと3,4-ジアセトキシ-1-ブテン 20%を投入し、攪拌しながら窒素気流下で温 を上昇させ、重合を開始した。さらに酢酸 ニルと3,4-ジアセトキシ-1-ブテンの残部(80%) 7時間かけて滴下し、酢酸ビニルの重合率が9 0%となった時点でm-ジニトロベンゼンを所定 添加して重合を終了し、続いて、メタノー 蒸気を吹き込みつつ蒸留することで未反応 酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合 のメタノール溶液を得た。

 ついで、上記溶液を濃度40%に調整してニ ダーに仕込み、溶液温度を40℃に保ちなが 、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共 重合体中の酢酸ビニル構造単位および3,4-ジ セトキシ-1-ブテン構造単位の合計量1モルに して3.8ミリモルとなる割合で加えてケン化 行った。ケン化が進行すると共にケン化物 析出し、粒子状となった時点で、中和用の 酸を水酸化ナトリウムの5当量添加し、濾別 、メタノールで充分洗浄して熱風乾燥機中で 乾燥し、前記式(1’)で表される1,2-ジオール 造単位を有するPVA系樹脂を得た。

 得られたPVA系樹脂のケン化度は、残存酢酸 ニルおよび3,4-ジアセトキシ-1-ブテンの加水 分解に要するアルカリ消費量で分析を行った ところ89モル%であり、平均重合度は、JIS K 6 726に準じて分析を行ったところ500であった。 また、1,2-ジオール構造単位の含有量は  1 H-NMR(内部標準物質;テトラメチルシラン)で測 して算出したところ6モル%であった。なお かるPVA系樹脂の曇点は90℃以上であった。

〔プレエマルジョンの調製〕
 かかるPVA系樹脂を分散剤として用い、かか PVA系樹脂9.2部、水317部を仕込んだ反応缶に 、300rpmで攪拌しながら、メタクリル酸メチ 216部、アクリル酸n-ブチル177部を30分かけて 滴下混合分散しその後、30分間攪拌し続ける とで、プレエマルジョンを調整した。

〔乳化重合〕
 パドル型攪拌翼、還流冷却器、滴下漏斗、 度計を備えたセパラブルフラスコに水635部 PVA系樹脂18.3部とあらかじめ作成しておいた プレエマルジョンの10分の1である71.9部を仕 み、攪拌速度230rpmで攪拌しながらフラスコ の温度を75℃に上げた。
 過硫酸アンモニウム5%水溶液8.4部を添加し 1時間初期重合を行った後、プレエマルジョ の10分の9である647.1部を3.5時間かけて滴下 た。その後、90分間熟成を行った後、常温ま で冷却してエマルジョンを得た。なお、プレ エマルジョン滴下開始から30分おきに、各2.4 合計7回過硫酸アンモニウム5%水溶液を添加 、90分間の熟成段階において、45分おきに各 1.4部を合計2回、過硫酸アンモニウム5%水溶液 を添加した。

 上記で得られた水性エマルジョンの平均粒 径、みかけグラフト化率、ガラス転移点(Tg) 、および最低造膜温度(MFT)を下記のように測 した。
(平均粒子径)
 50gの水に得られた水性エマルジョンを0.1g滴 下し、超音波を5分間当てることで高希釈、 分散の評価用サンプルを作成した。かかる ンプル中の23℃におけるエマルジョンの粒子 径をParticle Sizing Systems社製「NICOMP380」にて 定し、Volume-Wt NICOMP DISTRIBUTIONモードによる 均粒子径を求めた。

(みかけグラフト化率)
 PETフイルム上に100μm用のアプリケーターを いて水性エマルジョンを塗布し、23℃、50%RH の雰囲気下で24時間静置乾燥して皮膜を作成 る。これを約1g(a)精秤し、50℃の酢酸メチル 、98℃の熱水、98℃のトルエン、98℃の熱水、 50℃のメチルエチルケトンに、各々6時間ずつ 浸漬し、その乾燥重量b(g)を求めた。また、 験前の皮膜について、別途揮発分c(%)を測定 ておき、これらの値を用いて、下記式より かけグラフト化率を算出した。
 みかけグラフト化率(%)=〔b/{a×(100-c)/100}〕×1 00

(ガラス転移点)
 常温で作成したキャストフィルムを真空乾 し、得られた試料ををDSC(Perkin-Elmer社製Therma l analysis)にて、-20℃~150℃の温度範囲、昇温 度10℃/分で得られたセカンドランのガラス 移点(Tg)を求めた。

(最低造膜温度)
 ヨシミツ精機社製造膜温度測定装置を用い -5~40℃の範囲で温度勾配をつけた評価板上 水性エマルジョンを100μmのコーターで塗布 、12時間静置後、皮膜の形成状態を目視観察 し、透明な皮膜が形成された境界の温度を読 み取って最低造膜温度(MFT)とした。

 次に、得られた水性エマルジョンについて 以下の評価を行った。結果を表2~5に示す。
(化学安定性)
 水性エマルジョンを水にて固形分濃度1%に 釈し、その10gに硫酸マグネシウム0.5gを添加 手で攪拌した後、状態を目視にて30分間観 し、以下のように評価した。
  ○・・・変化なし
  ×・・・凝集物が沈降

(凍結安定性)
 100mlポリ容器に水性エマルジョン50gを入れ -5℃の冷凍庫内に16時間放置し、エマルジョ を冷凍した。その後、20℃の恒温槽内に6時 放置し、エマルジョンを解凍した。これを3 回繰り返し、その状態を観察し、以下のよう に評価した。
  ○・・・安定
  ×・・・凝集

(接着力)
 木材試料としてマカンバ(平均比重0.7、含水 率9%)を用い、その表面に水性エマルジョンを 300g/m 2 となるように塗布し、塗布面を併せて、1MPa 24時間圧縮接着し、引張剪断型シングルラッ プ試験片を作成した。23℃、50%RH下で1週間以 調湿した後、東洋ボールドウィン社製テン ロンSTM-F1000Pを用い、試験速度10mm/分にて引 試験を行い、8試験片中、接着面ではなく、 木材試料部分で破壊されたものの割合(木破 )を求めた。

(皮膜透明性)
 PETフィルム上に膜厚が60~80μmとなるように 性エマルジョンを塗布し、23℃、50%RHの環境 で2日間静置し、フィルムを作製した。かか るフィルムの透明性をヘイズメーター(日本 色工業社製「Haze Meter NDH2000」を用い、JIS K  7105に従って測定し、膜厚10μmに換算したヘ ズ値を求めた。

(耐水白化性)
 皮膜透明性の評価に用いたフィルムを23℃ 水に3時間浸漬した後、その透明度をヘイズ ーター(日本電色工業社製「Haze Meter NDH2000 を用い、JIS K 7105に従って測定し、膜厚10μ mに換算したヘイズ値を求めた。
 さらに、水性エマルジョンにメチロール化 ラミンをエマルジョン中のPVA系樹脂100重量 に対して20重量部加え、これをPETフィルム に膜厚が60~80μmとなるように塗布し、23℃、5 0%RHの環境下で3日間静置して得られた架橋フ ルムに対しても、同様の評価を行った。

実施例2
〔プレエマルジョンの調製〕
 実施例1と同様のPVA系樹脂23.3部、水317部を 込んだ反応缶に、300rpmで攪拌しながら、メ クリル酸メチル193部、アクリル酸n-ブチル157 部を30分かけて滴下混合分散しその後、30分 攪拌し続けることで、プレエマルジョンを 整した。
〔乳化重合〕
 パドル型攪拌翼、還流冷却器、滴下漏斗、 度計を備えたセパラブルフラスコに水635部 PVA系樹脂46.7部とあらかじめ作成しておいた プレエマルジョンの10分の1である69.1部を仕 み、攪拌速度230rpmで攪拌しながらフラスコ の温度を75℃に上げた。
 過硫酸アンモニウム5%水溶液を8.4部を添加 、1時間初期重合を行った後、プレエマルジ ンの10分の9である621.1部を3.5時間かけて滴 した。その後、90分間熟成を行った後、常温 まで冷却してエマルジョンを得た。なお、プ レエマルジョン滴下開始から30分おきに、各2 .4部合計7回過硫酸アンモニウム5%水溶液を添 し、90分間の熟成段階において、45分おきに 各1.4部を合計2回、過硫酸アンモニウム5%水溶 液を添加した。
 得られた水性エマルジョンを実施例1と同様 に評価した。結果を表2~5に示す。

実施例3
 実施例1において、プレエマルジョン中の単 量体をスチレン193重量部、アクリル酸n-ブチ 157重量部とした以外は実施例1と同様にして 水性エマルジョンを作製し、同様に評価した 。結果を表2~5に示す。

実施例4
 実施例1において、PVA系樹脂として実施例1 準じた方法で得られた側鎖1,2-ジオール構造 位の含有量6モル%、重合度500、ケン化度92.6 ル%であるPVA系樹脂を用いた以外は実施例1 同様にして水性エマルジョンを作製し、同 に評価した。結果を表2~5に示す。

比較例1 
〔PVA系樹脂の製造〕
 まず、酢酸ビニル1500部、3,4-ジアセトキシ-1 -ブテン87部(3モル%対仕込み酢酸ビニル)、メ ノール600部、アゾビスイソブチロニトリル(A IBN)0.3モル%(対仕込み酢酸ビニル)を準備した
 次いで、還流冷却器、滴下漏斗、攪拌機を えた反応缶に、メタノールとAIBNの全量、お よび酢酸ビニルと3,4-ジアセトキシ-1-ブテン 10%を投入し、攪拌しながら窒素気流下で温 を上昇させ、重合を開始した。さらに酢酸 ニルと3,4-ジアセトキシ-1-ブテンの残部(90%) 9時間かけて滴下し、酢酸ビニルの重合率が9 0%となった時点でm-ジニトロベンゼンを所定 添加して重合を終了し、続いて、メタノー 蒸気を吹き込みつつ蒸留することで未反応 酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合 のメタノール溶液を得た。

 ついで、上記溶液を濃度45%に調整してニ ダーに仕込み、溶液温度を40℃に保ちなが 、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共 重合体中の酢酸ビニル構造単位および3,4-ジ セトキシ-1-ブテン構造単位の合計量1モルに して5ミリモルとなる割合で加えてケン化を 行った。さらに、粘度上昇が始まってから30 後に、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶 を同様に2ミリモルとなる割合で追加した。 ン化が進行すると共にケン化物が析出し、 子状となった時点で、中和用の酢酸を水酸 ナトリウムの5当量添加し、濾別、メタノー ルで充分洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、前 記式(1’)で表される1,2-ジオール構造単位を するPVA系樹脂を得た。

 得られたPVA系樹脂のケン化度は、残存酢酸 ニルおよび3,4-ジアセトキシ-1-ブテンの加水 分解に要するアルカリ消費量で分析を行った ところ98.6モル%であり、平均重合度は、JIS K 6726に準じて分析を行ったところ300であった また、1,2-ジオール構造単位の含有量は  1 H-NMR(内部標準物質;テトラメチルシラン)で測 して算出したところ3モル%であった。なお かるPVA系樹脂の曇点は90℃以上であった。
〔乳化重合〕 
 パドル型攪拌翼、還流冷却器、滴下漏斗、 度計を備えたセパラブルフラスコに、得ら たPVA系樹脂の6.14%水溶液746部、攪拌速度230rp mで攪拌しながら温度を75℃とした。ここに、 メタクリル酸メチル36.0部、アクリル酸n-ブチ ル29.4部、過硫酸アンモニウム8.4部を仕込み 1時間攪拌し、初期重合を行った後、メタク ル酸メチル 324部、アクリル酸n-ブチル265部 の混合物を3.5時間分けて滴下し、さらに、90 間熟成を行い、その後、常温まで冷却して マルジョンを得た。なお、プレエマルジョ 滴下開始から30分おきに、各2.4部合計7回過 酸アンモニウム5%水溶液を添加し、90分間の 熟成段階において、45分おきに各1.4部を合計2 回、過硫酸アンモニウム5%水溶液を添加した
 得られた水性エマルジョンに実施例1と同様 に評価した。結果を表2~5に示す。

比較例2
 実施例1において、PVA系樹脂として側鎖にエ チレンオキサイド基(鎖長15)を4.3モル%を含有 る、重合度170、ケン化度64モル%であるPVA系 脂を用いた以外は実施例1と同様にして水性 エマルジョンを作製し、同様に評価した。結 果を表2~5に示す。

比較例3
 実施例1において、PVA系樹脂として実施例1 準じた方法で得られた側鎖1,2-ジオール構造 位の含有量6モル%、重合度500、ケン化度77.6 ル%、曇点73℃であるPVA系樹脂を用いた以外 実施例1と同様にして水性エマルジョンを作 製し、同様に評価した。結果を表2~5に示す。

比較例4
 実施例1において、PVA系樹脂として実施例1 準じた方法で得られた側鎖1,2-ジオール構造 位の含有量6モル%、重合度500、ケン化度95モ ル%であるPVA系樹脂を用いた以外は実施例1と 様にして水性エマルジョンを作製し、同様 評価した。結果を表2~5に示す。
 また、以下の表1には、使用したPVA系樹脂と 、重合方法を記載した。

 これらの結果から明らかなように、本発明 水性エマルジョンは、TgとMFT(最低造膜温度) との差が大きいことから造膜性に優れ、化学 安定性、凍結安定性に優れ、木材との接着力 にも優れるものである。また、本発明の水性 エマルジョンから得られる乾燥皮膜は透明性 が高く、耐水白化性にも優れるものであるが 、さらに架橋剤を併用することによって、そ の耐水白化性はさらに改善される。
 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照 て説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱 ることなく様々な変更や修正を加えること できることは当業者にとって明らかである
 本出願は、2007年11月28日出願の日本特許出 (特願2007-306689)に基づくものであり、その内 はここに参照として取り込まれる。

 本発明の水性エマルジョンは、透明性に れた被膜が得られ、機械安定性、化学安定 、凍結安定性、保存安定性に優れることか 、接着剤やコーティング剤などの用途に極 て好適である。