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Title:
AUTOMATIC TRANSMISSION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/004831
Kind Code:
A1
Abstract:
An automatic transmission in which sufficient centrifugal hydraulic pressure in a cancel hydraulic chamber is secured and in which hydraulic oil is quickly discharged to appropriately maintain clutch timing. One clutch (C3) is placed on the outer diameter side of the other clutch (C4) so that they are axially overlapped on each other. Hydraulic pressure acts on a hydraulic servo (20) of the clutch (C3) through an oil hole (b) formed in a clutch drum (22). Oil is supplied from a supply hole (a) of a boss section (22c) through a space (A) to a cancel hydraulic chamber (28) formed on the rear surface of the hydraulic servo, and the oil is released outward from a discharge hole (e) of the boss section (22c) through a groove (g) of a sleeve (81).

Inventors:
KITOU MASASHI (JP)
IIZUKA KOHEI (JP)
KATOU HIROSHI (JP)
NISHIDA MASAAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/053100
Publication Date:
January 08, 2009
Filing Date:
February 22, 2008
Export Citation:
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Assignee:
AISIN AW CO (JP)
KITOU MASASHI (JP)
IIZUKA KOHEI (JP)
KATOU HIROSHI (JP)
NISHIDA MASAAKI (JP)
International Classes:
F16H3/66; F16D25/0638; F16H3/62
Foreign References:
JP2006057822A2006-03-02
JP2004092716A2004-03-25
JP2003278798A2003-10-02
JP2007139066A2007-06-07
JPH0932919A1997-02-07
JP2003314635A2003-11-06
JP2006189112A2006-07-20
JP2002349683A2002-12-04
Attorney, Agent or Firm:
CHIKASHIMA, Kazuo (9-7 Shibaura 1-chome,Minato-k, Tokyo 23, JP)
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Claims:
 クラッチドラムと、該クラッチドラムの一部をシリンダとして油圧サーボを構成するピストンと、前記クラッチドラムに係合する多数の摩擦板と、前記ピストンの背面側に配置されて前記油圧サーボに作用する遠心油圧をキャンセルするキャンセル油室とを有するクラッチを備えてなる自動変速機において、
 前記キャンセル油室は、前記クラッチドラム内径側のボス部からオイルが供給されると共に、前記ボス部に形成された排出孔からオイルが前記クラッチドラムの油圧サーボ側の外側へ排出されてなる、
 ことを特徴とする自動変速機。
 前記ボス部の内周面にスリーブが嵌合して配置され、
 前記スリーブの外周面における前記排出孔に整列する位置に、端面に抜ける凹溝を形成し、
 前記キャンセル油室からのオイルが排出孔及び凹溝を介して排出されてなる、
 請求項1記載の自動変速機。
 前記油圧サーボに、前記ボス部に形成された油孔を介して油圧が給排され、
 前記油圧サーボ用の油孔と、前記キャンセル油室の排出孔とが、前記ボス部の周方向位置を相違して配置されてなる、
 請求項1又は2記載の自動変速機。
 前記クラッチである一方のクラッチに隣接して、クラッチドラムと、該クラッチドラムの一部をシリンダとして油圧サーボを構成するピストンと、前記クラッチドラムに係合する多数の摩擦板と、前記ピストンの背面側に作用する遠心油圧をキャンセルするキャンセル油室とを有する他のクラッチを備え、
 前記ボス部における、前記一方のクラッチのキャンセル油室へのオイルの供給孔に対して前記排出孔と軸方向反対側に、前記他方のクラッチの油圧サーボへ油圧の給排する油孔が配置されてなる、
 請求項1ないし3のいずれか記載の自動変速機。
 前記一方のクラッチの油圧サーボ及びキャンセル油室は、他方のクラッチの油圧サーボ及びキャンセル油室の外径側にそれぞれが軸方向にオーバラップして配置され、
 前記一方のクラッチの油圧サーボに、該一方のクラッチのクラッチドラムに形成された油路を介して油圧が給排され、
 前記一方のクラッチのキャンセル油室に、該一方のクラッチのクラッチドラムと前記他方のクラッチのクラッチドラムの間の空間を介してオイルが給排され、
 前記他方のクラッチの油圧サーボ及びキャンセル油室が、前記空間と径方向にオーバラップして軸方向に並んで配置されてなる、
 請求項4記載の自動変速機。
 前記一方のクラッチのキャンセル油室を構成するキャンセルプレートは、その外径側を前記一方のクラッチのクラッチドラムの内周面に油密状に嵌合すると共に、その内径側を前記他方のクラッチのクラッチドラムの外周面に油密状に嵌合してなる、
 請求項5記載の自動変速機。
 前記他方のクラッチの油圧サーボ及びキャンセル油室が、前記一方のクラッチの油圧サーボ及びキャンセル油室と径方向にオーバラップして軸方向に並んで配置され、
 前記他方のクラッチのクラッチドラムが、前記一方のクラッチのキャンセルプレートを構成してなる、
 請求項4記載の自動変速機。
 駆動源からの入力回転が入力される入力軸と、
 ケース又は該ケースと一体の固定部材に対して回転固定された第1のサンギヤと、前記入力軸に連結される第1のキャリヤと、それら回転固定された第1のサンギヤ及び入力回転が入力される前記第1のキャリヤによって減速回転を出力する第1のリングギヤと、からなる減速プラネタリギヤと、
 第1のクラッチの係合により前記第1のリングギヤの減速回転を入力する第2のサンギヤと、第3のクラッチの係合により前記第1のリングギヤの減速回転を入力し、かつ第4のクラッチの係合により前記第1のキャリヤを介した前記入力軸の回転を入力し、かつ第1のブレーキの係止により回転が固定される第3のサンギヤと、前記第3のサンギヤに噛合するロングピニオン並びに該ロングピニオン及び前記第2のサンギヤに噛合するショートピニオンを有し、第2のブレーキの係止により回転が固定され、かつ第2のクラッチの係合により前記入力軸の回転を入力する第2のキャリヤと、前記ロングピニオンに噛合すると共に、出力部材に回転連結される第2のリングギヤと、からなるプラネタリギヤセットと、を備え、
 前記一方のクラッチは、前記第3のクラッチであり、
 前記他方のクラッチは、前記第4のクラッチであり、
 前記第1のクラッチを係合すると共に、前記第2のブレーキを係止することにより前進1速段を、
 前記第1のクラッチを係合すると共に、前記第1のブレーキを係止することにより前進2速段を、
 前記第1のクラッチと前記第3のクラッチとを係合することにより前進3速段を、
 前記第1のクラッチと前記第4のクラッチとを係合することにより前進4速段を、
 前記第1のクラッチと前記第2のクラッチとを係合することにより前進5速段を、
 前記第2のクラッチと前記第4のクラッチとを係合することにより前進6速段を、
 前記第2のクラッチと前記第3のクラッチとを係合することにより前進7速段を、
 前記第2のクラッチを係合すると共に、前記第1のブレーキを係止することにより前進8速段を、
 前記第3のクラッチ又は前記第4のクラッチを係合すると共に、前記第2のブレーキを係止することにより後進段を、それぞれ達成してなる、
 請求項1乃至7のいずれか記載の自動変速機。
Description:
自動変速機

 本発明は、油圧サーボを構成するピスト の背面に配置されて該油圧サーボに作用す 遠心油圧をキャンセルするキャンセル油室 有するクラッチを備えた自動変速機に係り 特に2つのクラッチが隣接して配置され、キ ャンセル油室のオイルをキャンセルプレート から排出することが困難なクラッチの配置に 適用して好適であり、詳しくはキャンセル油 室からのオイルの排出構造に関する。

 近時、車輌に搭載される自動変速機は、 えば前進8速段等の多段化が図られていると 共に、車輌搭載性の観点から、多くの構成部 品、例えばクラッチをコンパクトに配置する ことが求められている。

 従来、入出力部材の一方を共通にして他 を異にする2つのクラッチを、軸方向にオー バラップして径方向の異なる位置に配置して 、コンパクト化、特に軸方向のコンパクト化 を図った自動変速機が提案されている(特開 7-269665号公報参照)。上記2つのクラッチは、 板からなる摩擦板、これら摩擦板を操作す 油圧サーボ、並びに油圧サーボの油圧室の 心油圧をキャンセルするキャンセル油室が れぞれ軸方向にオーバラップして配置され いる。

 上記2個の油圧サーボ及びキャンセル油室 は、タービンシャフトと一体のクラッチドラ ムに配置されており、上記2個の油圧サーボ は、上記クラッチドラムのボス部に形成さ た油路を介してそれぞれ油圧が供給されて る。また、上記2個のキャンセル油室の内の 径側のキャンセル油室には、クラッチドラ のボス部に形成された油孔を介して直接オ ルが供給され、外径側のキャンセル油室に 、上記内径側のキャンセル油室のオイルが 内径側のクラッチのピストンに設けた油路 び上記固定部材である内径側のクラッチド ムに形成された油路を介して供給されてい 。

 これにより、外径側のキャンセル油室は 遠心油圧0の基点を内径側のキャンセル油室 の内径側よりも内側にして、外径側の油圧サ ーボに発生する遠心油圧に対して充分にバラ ンスさせることを可能としている。また、外 径側のキャンセル油室におけるキャンセルプ レート(隔壁)の内径側からオイルが漏れない うに、該キャンセルプレートを支持する内 側クラッチドラムの外周面にOリングを装着 している。

 上記2つのクラッチは、油圧サーボ及びキ ャンセル油室への油圧(又はオイル)を供給す 油路構造が複雑となり、特に外径側のキャ セル油室へのオイルの供給は、複雑な油路 路となって、外径側クラッチの切り時に油 サーボの油圧を排出する際、外径側のキャ セル油室にオイルを素早く供給して、適時 クラッチタイミングを取ることに支障を生 る虞がある。

 また、油圧サーボへの油圧供給に基づき キャンセル油室のオイルを排出する際、(潤 滑)オイルの供給経路を逆戻りして排出され ため、排出効率が悪く、適時のクラッチタ ミングを取ることに支障を生ずる虞がある

 また、上記特開平7-269665号公報のものは 上記複雑な油路構造、特に外径側クラッチ キャンセル油室へのオイルの供給構造によ 、各油圧サーボ及びキャンセル油室を径方 の異なる位置に配置することが可能となり その結果、各キャンセル油室を独立して配 し、そのキャンセルプレートに隣接して他 部材を配置していないが(即ちキャンセルプ ートの軸方向外側が空スペースとなってい )、その分スペースを有効利用していないこ とになり、多段変速機へ向けての更なる空間 の有効利用の余地が存在する。この場合、キ ャンセルプレートに排出孔を設ける通常設計 を採用することができず、上述したキャンセ ル油室への供給経路を逆戻りして排出するこ ととなり、クラッチタイミングを適正にとる ことに支障を生ずる虞がある。

 また、上記外径側キャンセル油室への油 を形成するため、内径側のピストンに油圧 ーボ用のOリングの外に、上記油路用Oリン を介在する必要があり、上記外径側キャン ル油室の漏れ防止用Oリングの存在と相俟っ 、更なる軸方向の短縮化の障害となってし う。

 一方、スリーブに設けた油孔からキャン ル油室へオイルを供給する構成にあっては キャンセルプレートに設けた排出孔又は排 溝によりオイルを排出することが一般に採 されているが、このものにあっては、キャ セル油室のオイルの遠心油圧0の基点が、上 記キャンセルプレートの排出孔又は溝となっ て、キャンセル油室のキャンセル油圧が不充 分となり、油圧サーボに作用する遠心油圧を 速やかに排出できない虞を生ずる。特に、軸 方向にオーバラップして径方向の異なる位置 に2つのクラッチを配置した場合、外径側の ラッチのキャンセル油室に上記充分なキャ セル油圧を確保することが困難になり易い

 そこで、本発明は、キャンセル油室の排 孔を適正に設定し、もって上述した課題を 決した自動変速機を提供することを目的と るものである。

 請求項1に係る本発明は(例えば図3~図6参照) クラッチドラム(22)と、該クラッチドラムの 一部をシリンダとして油圧サーボ(20)を構成 るピストン(24)と、前記クラッチドラムに係 する多数の摩擦板(21)と、前記ピストンの背 面側に配置されて前記油圧サーボに作用する 遠心油圧をキャンセルするキャンセル油室(28 )とを有するクラッチ(C3)を備えてなる自動変 機(1)において、
 前記キャンセル油室(28)は、前記クラッチド ラム(22)内径側のボス部(22c)からオイルが供給 されると共に、前記ボス部に形成された排出 孔(e)からオイルが前記クラッチドラム(22)の 圧サーボ側(20)の外側へ排出されてなる、
 ことを特徴とする自動変速機にある。

 請求項1に係る本発明によると、キャンセ ル油室にオイルが供給されるクラッチドラム 内径側のボス部に排出孔を設けたので、キャ ンセル油室に充分な遠心キャンセル油圧を確 保することができ、かつ上記ボス部に専用の 排出孔を形成したので、油圧サーボへの油圧 の供給時に、キャンセル油室のオイルを速や かに排出でき、クラッチタイミングを適正に 保持することができる。

 また、キャンセル油室のオイルは、ボス に形成された排出孔を経てクラッチドラム 油圧サーボ側(開放側と反対側)の外側に排 されるので、キャンセル油室のキャンセル レート側の配置、例えば他のクラッチの油 サーボの配置に支障を来たすことがなく、 ンパクト化へ向けての設計の自由度を高め ことができ、かつクラッチドラムの外側に 出されたオイルを他の部材(例えばワッシャ) の潤滑に利用することも可能となる。

 請求項2に係る本発明は(例えば図3~図5参照) 前記ボス部(22c)の内周面にスリーブ(81)が嵌 して配置され、
 前記スリーブの外周面における前記排出孔( e)に整列する位置に、端面に抜ける凹溝(g)を 成し、
 前記キャンセル油室(28)からのオイルが排出 孔(e)及び凹溝(g)を介して排出されてなる、
 請求項1記載の自動変速機にある。

 請求項2に係る本発明によると、ボス部内 周面に嵌合したスリーブに凹溝を形成し、前 記排出孔からのオイルを上記凹溝を介してク ラッチドラムの外側に排出するので、簡単な 構造でもって、キャンセル油室の遠心油圧の 0基点を上記スリーブの凹溝として、キャン ル率を更に向上することができる。

 請求項3に係る本発明は、前記油圧サーボ(20 )に、前記ボス部(22c)に形成された油孔(b)を介 して油圧が給排され、
 前記油圧サーボ用の油孔(b)と、前記キャン ル油室(28)の排出孔(e)とが、前記ボス部(22c) 周方向位置を相違して配置されてなる、
 請求項1又は2記載の自動変速機にある。

 請求項3に係る本発明によると、前記ボス 部に形成した油圧サーボへの油圧給排用油孔 と周方向位相を相違して前記排出孔を配置し たので、キャンセル油室からのオイルを、簡 単な構造でもってクラッチドラムの外側に容 易かつ確実に排出することができる。

 請求項4に係る本発明は(例えば図3~図6参照) 前記クラッチである一方のクラッチ(C3)に隣 接して、クラッチドラム(42)と、該クラッチ ラムの一部をシリンダとして油圧サーボ(40) 構成するピストン(44)と、前記クラッチドラ ムに係合する多数の摩擦板(41)と、前記ピス ンの背面側に作用する遠心油圧をキャンセ するキャンセル油室(48)とを有する他のクラ チ(C4)を備え、
 前記ボス部(22c)における、前記一方のクラ チ(C3)のキャンセル油室(28)へのオイルの供給 孔(a)に対して前記排出孔(e)と軸方向反対側に 、前記他方のクラッチ(C4)の油圧サーボ(40)へ 圧の給排する油孔(c)が配置されてなる、
 請求項1ないし3のいずれか記載の自動変速 にある。

 請求項4に係る本発明によると、2つのク ッチを隣接して配置し、前記クラッチであ 一方のクラッチのキャンセル油室へのオイ 供給孔に対して排出孔と反対側である前記 ス部に、上記他方のクラッチの油圧サーボ の油圧給排用の油孔を配置したので、一方 クラッチのキャンセル油室のキャンセルプ ート側に他方のクラッチを密接して配置す ことができ、2個のクラッチをコンパクトに とめて配置することが可能となる。

 請求項5に係る本発明は(例えば図3~図5参照) 前記一方のクラッチ(C4)の油圧サーボ(20)及 キャンセル油室(28)は、他方のクラッチ(C4)の 油圧サーボ(40)及びキャンセル油室(48)の外径 にそれぞれが軸方向にオーバラップして配 され、
 前記一方のクラッチ(3)の油圧サーボ(20)に、 該一方のクラッチのクラッチドラム(22)に形 された油路(b,B)を介して油圧が給排され、
 前記一方のクラッチ(C3)のキャンセル油室(28 )に、該一方のクラッチのクラッチドラム(22) 前記他方のクラッチ(C4)のクラッチドラム(42 )の間の空間(A)を介してオイルが給排され、
 前記他方のクラッチ(C4)の油圧サーボ(40)及 キャンセル油室(48)が、前記空間(A)と径方向 オーバラップして軸方向に並んで配置され なる、
 請求項4記載の自動変速機にある。

 請求項5に係る本発明によると、一方のク ラッチの油圧サーボ及びキャンセル油室を、 他方のクラッチの油圧サーボ及びキャンセル 油室の外径側にそれぞれが軸方向にオーバラ ップして配置され、2つのクラッチをコンパ ト、特に軸方向にコンパクトに配置したも でありながら、一方のクラッチの油圧サー にはクラッチドラムに形成した油路を介し 油圧が給排され、かつそのキャンセル油室 は一方及び他方のクラッチドラムの間の空 を介してオイルが給排されるので、外径側 配置された一方のクラッチの油圧サーボに 、大きな遠心油圧が作用するのに拘らず、 油圧サーボのピストン背面側に配置された ャンセル油室には、クラッチドラム内径側 ボス部に形成された排出孔に基づくキャン ル油圧が作用して、前記油圧サーボは、上 大きな遠心油圧が常に適正にキャンセルさ て、その油圧を正確かつ速く給排して、適 なクラッチタイミングを保持することがで る。

 また、他方のクラッチの油圧サーボ及び ャンセル油室が、前記空間と径方向にオー ラップして軸方向に並んで配置され、2つの クラッチをコンパクトにまとめて配置し、か つ前記一方のクラッチのキャンセル油室の給 排油路は、前記空間及びボス部に形成された 専用の供給孔及び排出孔であって、軸方向に コンパクトに構成され、これらが相俟って自 動変速機のコンパクト化、特に軸方向のコン パクト化を図ることができる。

 請求項6に係る本発明は(例えば図3,図4参照) 前記一方のクラッチ(C3)のキャンセル油室(28 )を構成するキャンセルプレート(25)は、その 径側を前記一方のクラッチのクラッチドラ (22)の内周面に油密状(58)に嵌合すると共に その内径側を前記他方のクラッチ(C4)のクラ チドラム(42)の外周面に油密状(82)に嵌合し なる、
 請求項5記載の自動変速機にある。

 請求項6に係る本発明によると、一方のク ラッチのキャンセルプレートは、その外径側 及び内径側を油密状に嵌合することにより、 オイルが漏れることがなく、上記外径側に位 置するキャンセル油室のキャンセル油圧を適 正に保持することができる。

 請求項7に係る本発明は(例えば図6参照)、前 記他方のクラッチ(C4)の油圧サーボ(40)及びキ ンセル油室(48)が、前記一方のクラッチ(C3) 油圧サーボ(20)及びキャンセル油室(48)と径方 向にオーバラップして軸方向に並んで配置さ れ、
 前記他方のクラッチ(C4)のクラッチドラム(42 )が、前記一方のクラッチのキャンセルプレ トを構成してなる、
 請求項4記載の自動変速機にある。

 請求項7に係る本発明によると、一方のク ラッチのキャンセルプレートが、他方のクラ ッチのクラッチドラムを構成して、2個のク ッチを径方向にオーバラップして軸方向に んで配置することにより、コンパクト化、 に径方向のコンパクト化を図ることができ 。

 請求項8に係る本発明は(例えば図1参照)、駆 動源からの入力回転が入力される入力軸(7)と 、
 ケース又は該ケースと一体の固定部材(6)に して回転固定された第1のサンギヤ(S1)と、 記入力軸に連結される第1のキャリヤ(CR1)と それら回転固定された第1のサンギヤ(S1)及び 入力回転が入力される前記第1のキャリヤ(CR1) によって減速回転を出力する第1のリングギ (R1)と、からなる減速プラネタリギヤ(DP)と、
 第1のクラッチ(C1)の係合により前記第1のリ グギヤ(R1)の減速回転を入力する第2のサン ヤ(S2)と、第3のクラッチ(C3)の係合により前 第1のリングギヤ(R1)の減速回転を入力し、か つ第4のクラッチ(C4)の係合により前記第1のキ ャリヤ(CR1)を介した前記入力軸の回転を入力 、かつ第1のブレーキ(B1)の係止により回転 固定される第3のサンギヤ(S3)と、前記第3の ンギヤ(S3)に噛合するロングピニオン(P3)並び に該ロングピニオン及び前記第2のサンギヤ(S 2)に噛合するショートピニオン(P4)を有し、第 2のブレーキ(B2)の係止により回転が固定され かつ第2のクラッチ(C2)の係合により前記入 軸(7)の回転を入力する第2のキャリヤ(CR2)と 前記ロングピニオン(P3)に噛合すると共に、 力部材(8)に回転連結される第2のリングギヤ (R2)と、からなるプラネタリギヤセット(PU)と を備え、
 前記一方のクラッチは、前記第3のクラッチ (C3)であり、
 前記他方のクラッチは、前記第4のクラッチ (C4)であり、
 前記第1のクラッチ(C1)を係合すると共に、 記第2のブレーキ(B2)を係止することにより前 進1速段を、
 前記第1のクラッチ(C1)を係合すると共に、 記第1のブレーキ(B1)を係止することにより前 進2速段を、
 前記第1のクラッチ(C1)と前記第3のクラッチ( C3)とを係合することにより前進3速段を、
 前記第1のクラッチ(C1)と前記第4のクラッチ( C4)とを係合することにより前進4速段を、
 前記第1のクラッチ(C1)と前記第2のクラッチ( C2)とを係合することにより前進5速段を、
 前記第2のクラッチ(C2)と前記第4のクラッチ( C4)とを係合することにより前進6速段を、
 前記第2のクラッチ(C2)と前記第3のクラッチ( C3)とを係合することにより前進7速段を、
 前記第2のクラッチ(C2)を係合すると共に、 記第1のブレーキ(B1)を係止することにより前 進8速段を、
 前記第3のクラッチ(C3)又は前記第4のクラッ (C4)を係合すると共に、前記第2のブレーキ(B 2)を係止することにより後進段を、それぞれ 成してなる、
 請求項1乃至7のいずれか記載の自動変速機 ある。

 請求項8に係る本発明によると、前進8速 及び後進1速段を達成する自動変速機にあっ 、コンパクトに構成し、かつ第3のクラッチ のキャンセル油室に充分な遠心油圧を確保す ると共に、油圧サーボへの油圧供給時にオイ ルを速やかに排出でき、適正なクラッチタイ ミングによる滑らかなシフトを行うことがで きる。

 なお、上記カッコ内の符号は、図面と対 するためのものであるが、これにより請求 の記載に何等影響を及ぼすものではない。

本自動変速機を模式的に示すスケルト 図。 本自動変速機の係合表。 第1の実施の形態に係る自動変速機の一 部を示す拡大断面図。 (a)Rr方向から見た第1の実施の形態に係 インナドラムの平面図。(b)第1の実施の形態 に係る自動変速機の一部を示す拡大断面図。 (c)Fr方向から見た第1の実施の形態に係るイン ナドラムの平面図。 Rr方向から見た第1の実施の形態に係る ウタドラムの平面図。 他の実施の形態を示すクラッチ部分を す断面図。

 以下、本発明の実施の形態を図1乃至図5 沿って説明する。

 本発明に係る自動変速機は、FF(フロント ンジン・フロントドライブ)タイプ等の車輌 に搭載されて好適な自動変速機であり、図1 図3、図4及び図5中における左右方向が動力 達系上の前後方向(駆動源側を前方、車輪側 後方とする)に対応するが、説明の便宜上、 エンジン等の駆動源側である図中右側を「前 方側」、図中左方側を「後方側」というもの とする。

 まず、本発明を適応し得る自動変速機1の 概略構成について図1に沿って説明する。図1 示すように、FFタイプの自動変速機1は、ハ ジング及びミッションケース等のケース6を 備えており、該ケース(具体的にはコンバー ハウジング)6の前方側に、不図示のエンジン に接続し得る自動変速機1としての入力部材( ロントカバー及びセンターピース)10を有し いる。また、該自動変速機1は、ロックアッ プクラッチ2aを有するトルクコンバータ2が配 置されており、ケース6内に、変速機構3、カ ンタシャフト部4、及びディファレンシャル 部5が配置されている。

 該トルクコンバータ2は、エンジン(不図 )の出力軸と同軸上である変速機構3の入力軸 7を中心とした軸上に配置されている。また カウンタシャフト部4が、入力軸7と平行な軸 上であるカウンタシャフト12上に配置されて り、ディファレンシャル部5は、該カウンタ シャフト12と平行な軸上に左右車軸15,15を有 る形で配置されている。

 変速機構3には、上記入力軸7上において プラネタリギヤ(減速プラネタリギヤ)DPが備 られ、その後方側において、プラネタリギ ユニット(プラネタリギヤセット)PUが備えら れている。

 上記プラネタリギヤDPは、第1のサンギヤS 1、第1のキャリヤCR1、及び第1のリングギヤR1 備えており、該第1のキャリヤCR1に、第1の ンギヤS1に噛合するピニオンP2及び第1のリン グギヤR1に噛合するピニオンP1を互いに噛合 る形で有している、いわゆるダブルピニオ プラネタリギヤである。

 一方、プラネタリギヤユニットPUは、4つ 回転要素として、第2のサンギヤS2、第3のサ ンギヤS3、第2のキャリヤCR2及び第2のリング ヤR2を有し、該第2のキャリヤCR2に、第3のサ ギヤS3及び第2のリングギヤR2に噛合するロ グピニオンP3と、第2のサンギヤS2に噛合する ショートピニオンP4とを互いに噛合する形で している、いわゆるラビニヨ型プラネタリ ヤである。

 上記プラネタリギヤDPの第1のサンギヤS1 、ケース6に対して回転が固定されている。 た、上記キャリヤCR1は、上記入力軸7に接続 されて、該入力軸7の回転と同回転(以下、「 力回転」という。)になっていると共に、第 4のクラッチC4に接続されている。更に、第1 リングギヤR1は、該固定された第1のサンギ S1と該入力回転する第1のキャリヤCR1とによ 、入力回転が減速された減速回転になると に、第1のクラッチC1及び第3のクラッチC3に 続されている。

 上記プラネタリギヤユニットPUの第3のサ ギヤS3は、第1のブレーキB1に接続されてケ ス6に対して固定自在になっていると共に、 記第4のクラッチC4及び上記第3のクラッチC3 接続されて、第4のクラッチC4を介して上記 1のキャリヤCR1の入力回転が、第3のクラッ C3を介して上記第1にリングギヤR1の減速回転 が、それぞれに入力自在となっている。また 、上記第2のサンギヤS2は、第1のクラッチC1に 接続されており、上記第1のリングギヤR1の減 速回転が入力自在となっている。

 更に、上記第2のキャリヤCR2は、入力軸7 回転が入力される第2のクラッチC2に接続さ て、該第2のクラッチC2を介して入力回転が 力自在となっており、また、ワンウェイク ッチF1及び第2のブレーキB2に接続されて、該 ワンウェイクラッチF1を介してケース(具体的 にはミッションケース)6に対して一方向の回 が規制されると共に、該第2のブレーキB2を して回転が固定自在となっている。そして 上記第2のリングギヤR2は、ケース6に固定さ れたセンターサポート部材に対して回転自在 に支持されたカウンタギヤ8に接続されてい 。

 また、上記カウンタギヤ8には、上記カウ ンタシャフト部4のカウンタシャフト12上に固 定されている大径ギヤ11が噛合しており、該 ウンタシャフト12には、外周面上に形成さ ている小径ギヤ12aを介してディファレンシ ル部5のギヤ14が噛合している。そして、該 ヤ14は、ディファレンシャルギヤ13に固定さ ており、ディファレンシャルギヤ13を介し 左右車軸15,15に接続されている。

 つづいて、上記構成に基づき、変速機構3 の作用について図1および図2に沿って説明す 。

 例えばD(ドライブ)レンジであって、前進1 速段(1st)では、図2に示すように、第1のクラ チC1及びワンウェイクラッチF1が係合される すると、固定された第1のサンギヤS1と入力 転である第1のキャリヤCR1によって、減速回 転する第1のリングギヤR1の回転が、第1のク ッチC1を介して第2のサンギヤS2に入力される 。また、第2のキャリヤCR2の回転が一方向(正 回転方向)に規制されて、つまり第2のキャ ヤCR2の逆回転が防止されて固定された状態 なる。すると、第2のサンギヤS2に入力され 減速回転が、固定された第2のキャリヤCR2を して第2のリングギヤR2に出力され、前進1速 段としての正回転がカウンタギヤ8から出力 れる。

 なお、エンジンブレーキ時(コースト時) は、第2のブレーキB2を係止して第2のキャリ CR2を固定し、該第2のキャリヤCR2の正回転を 防止する形で、上記前進1速段の状態を維持 る。また、該前進1速段では、ワンウェイク ッチF1により第2のキャリヤCR2の逆回転を防 し、かつ正回転を可能にするので、例えば 走行レンジから走行レンジに切換えた際の 進1速段の達成を、ワンウェイクラッチF1の 動係合により滑らかに行うことができる。

 前進2速段(2nd)では、第1のクラッチC1が係 され、第1のブレーキB1が係止される。する 、固定された第1のサンギヤS1と入力回転で る第1のキャリヤCR1によって減速回転する第 1のリングギヤR1の回転が、第1のクラッチC1を 介して第2のサンギヤS2に入力される。また、 第1のブレーキB1の係止により第3のサンギヤS3 の回転が固定される。すると、第2のキャリ CR2が第2のサンギヤS2よりも低回転の減速回 となり、該第2のサンギヤS2に入力された減 回転が該第2のキャリヤCR2を介して第2のリン グギヤR2に出力され、前進2速段として正転回 転がカウンタギヤ8から出力される。

 前進3速段(3rd)では、第1のクラッチC1及び 3のクラッチC3が係合される。すると、固定 れた第1のサンギヤS1と入力回転である第1の キャリヤCR1によって減速回転する第1のリン ギヤR1の回転が第1のクラッチC1を介して第2 サンギヤS2に入力される。また、第3のクラ チC3の係合により第1のリングギヤR1の減速回 転が第3のサンギヤS3に入力される。つまり、 第3のサンギヤS3及び第2のサンギヤS2に第1の ングギヤR1の減速回転が入力されるため、プ ラネタリギヤユニットPU減速回転の直結状態 なり、そのまま減速回転が第2のリングギヤ R2に出力され、前進3速段としての正転回転が カウンタギヤ8から出力される。

 前進4速段(4th)では、第1のクラッチC1及び 4のクラッチC4が係合される。すると、固定 れた第1のサンギヤS1と入力回転である第1の キャリヤCR1によって減速回転する第1のリン ギヤR1の回転が、第1のクラッチC1を介して第 2のサンギヤS2に入力される。また、第4のク ッチC4の係合により第1のキャリヤCR1の入力 転が第3のサンギヤS3に入力される。すると 第2のキャリヤCR2が第2のサンギヤS2よりも高 転の減速回転となり、該第2のサンギヤS2に 力された減速回転が該第2のキャリヤCR2を介 して第2のリングギヤR2に出力され、前進4段 しての正転回転がカウンタギヤ8から出力さ る。

 前進5速段(5th)では、第1のクラッチC1及び 2クラッチC2が係合される。すると、固定さ た第1のサンギヤS1と入力回転である第1のキ ャリヤCR1によって減速回転する第1のリング ヤR1の回転が、第1のクラッチC1を介して第2 サンギヤS2に入力される。また、第2のクラ チC2の係合により第2のキャリヤCR2に入力回 が入力される。すると、該第2のサンギヤS2 入力された減速回転と第2のキャリヤCR2に入 された入力回転とにより、上記前進4段より 高い減速回転となって第2のリングギヤR2に出 力され、前進5段としての正転回転がカウン ギヤ8から出力される。

 前進6速段(6th)では、第2のクラッチC2及び 4のクラッチC4が係合される。すると、第4の クラッチC4の係合により第3のサンギヤS3に第1 のキャリヤCR1の入力回転が入力される。また 、第2のクラッチC2の係合により第2キャリヤCR 2に入力回転が入力される。つまり、第3のサ ギヤS3及び第2のキャリヤCR2に入力回転が入 されるため、プラネタリギヤユニットPUが 力回転の直結状態となり、そのまま入力回 が第2のリングギヤR2に出力され、前進6速段 しての正回転がカウンタギヤ8から出力され る。

 前進7速段(7th)では、第2のクラッチC2及び 3クラッチC3が係合される。すると、固定さ た第1のサンギヤS1と入力回転である第1のキ ャリヤCR1によって減速回転する第1のリング ヤR1の回転が、第3のクラッチC3を介して第3 サンギヤS3に入力される。また、第2のクラ チC2の係合により第2のキャリヤCR2に入力回 が入力される。すると、該第3のサンギヤS3 入力された減速回転と第2のキャリヤCR2に入 された入力回転とにより、入力回転より僅 に高い減速回転となって第2のリングギヤR2 出力され、前進7段としての正転回転がカウ ンタギヤ8から出力される。

 前進8速段(8th)では、第2のクラッチC2が係 され、第1のブレーキB1が係止される。する 、第2のクラッチC2の係合により第2のキャリ ヤCR2に入力回転が入力される。また、第1の レーキB1の係止により第3のサンギヤS3の回転 が固定される。すると、固定された第3のサ ギヤS3により第2のキャリヤCR2の入力回転が 記前進7段より高い増速回転となって第2のリ ングギヤR2に出力され、前進8速段として正回 転がカウンタギヤ8から出力される。

 後進1速段(Rev1)では、第3のクラッチC3が係 合され、第2のブレーキB2が係止される。する と、固定された第1のサンギヤS1と入力回転で ある第1のキャリヤCR1によって減速回転する 1のリングギヤR1の回転が、第3のクラッチC3 介して第3のサンギヤS3に入力される。また 第2のブレーキB2の係止により第2のキャリヤC R2の回転が固定される。すると、第3のサンギ ヤS3に入力された減速回転が、固定された第2 のキャリヤCR2を介して第2のリングギヤR2に出 力され、後進1速段として逆転回転がカウン ギヤ8から出力される。

 後進2速段(Rev2)では、第4のクラッチC4が係 合され、第2のブレーキB2が係止される。する と、第4のクラッチC4の係合により第1のキャ ヤCR1の入力回転が第3のサンギヤS3に入力さ る。また、第2のブレーキB2の係止により第2 キャリヤCR2の回転が固定される。すると、 3のサンギヤS3に入力された入力回転が、固 された第2のキャリヤCR2を介して第2のリン ギヤR2に出力され、後進2速段として逆転回 がカウンタギヤ8から出力される。

 なお、例えば、P(パーキング)レンジ及びN (ニュートラル)レンジでは、第1のクラッチC1 第2のクラッチC2、第3のクラッチC3及び第4の クラッチC4が、開放される。すると、第1のキ ャリヤCR1と第3のサンギヤS3との間、第1のリ グギヤR1と、第3のサンギヤS3及び第2のサン ヤS2との間、即ちプラネタリギヤDPと、プラ タリギヤユニットPUとの間が切断状態とな 。また、入力軸7と第2のキャリヤCR2との間が 切断状態となる。これにより、入力軸7とプ ネタリギヤユニットPUとの間の動力伝達が切 断状態となり、つまり入力軸7とカウンタギ 8との動力伝達が切断状態となる。

 つづいて、自動変速機1において、本発明 の第1の実施の形態に係る第3の(一方の)クラ チC3、第4の(他方の)クラッチC4の構成を図3~ 5に沿って説明する。内径側に位置する第4の クラッチC4は、第3のクラッチC3に内包される で二階建てに配設されている。即ち、第3の クラッチC3は、第4のクラッチC4の外径側にあ て、軸方向にオーバラップし、かつ径方向 異なる位置に配置されている。

 該第3のクラッチC3は、多数の外摩擦板21a 内摩擦板21bからなる多板摩擦板21と、これ の摩擦板21を断接させる油圧サーボ20と、該 圧サーボ20に作用する遠心油圧をキャンセ するキャンセル油室28と、を備える。また、 内径側に位置する第4のクラッチC4も同様に、 多数の外摩擦板41a、内摩擦板41bからなる多板 摩擦板41と、これらの摩擦板41を断接させる 圧サーボ40と、該油圧サーボ40に作用する遠 油圧をキャンセルするキャンセル油室48と を備える。

 上記第3のクラッチC3の油圧サーボ20は、ク ッチドラム22、ピストン部材24、キャンセル レート25、リターンスプリング26を有してお り、これらにより、作動油室27を構成してい と共に、その背面にキャンセル油室28を構 している。クラッチドラム22は、その内径側 にボス部22c及びピストン支持部22eを構成する インナドラム(内周側部材)22 1 と、ドラム部22a及び底部22bを構成するアウタ ドラム(外周側部材)22 2 とが、溶接等により一体に形成されており、 ドラム部22aは、外周側を第1のクラッチC1(不 示)後方まで延び、ボス部22cは、ブッシュ55 介してステータシャフト(固定部材)6aに回転 在に支持されている。また、該ボス部22cと ラム部22aとは、底部22bにより連結されてお 、更にボス部22cの内周面にはスリーブ81が 合・固定されている。なお、一体に結合さ るコンバータハウジング、ミッションケー は、ケース6として表記すると共に、該ケー 自体及び該ケースに一体に固定されるもの 固定部材であり、従って固定部材は、上記 ース、オイルポンプカバー及びケース、ス ータシャフト6a等を含む。従って、第1のサ ギヤS1及びドラム22のボス部22cは、固定部材 であれば、上記ステータシャフト6aに限らず ケース6又はそれと一体の固定部材に固定さ れ(サンギヤS1)又は回転自在に支持される(ボ 部22c)。

 クラッチドラム22の底部22bの中間部分に 、ボス部22cから外径側に伸びたピストン支 部22eの外周に鍔部22dが形成され、該鍔部22d 、ドラム部22a及びボス部22cと同方向にかつ れらドラム部及びボス部に比して大幅に短 延びている。また、鍔部22dは、外周面にお てピストン部材24とOリング31を介して油密状 に連結されており、かつその内周面において 、後述する第4のクラッチC4のクラッチドラム 42とスプライン係合(54)している。

 ピストン部材24は、該鍔部22dと軸方向移 自在に嵌合されると共に、その外周面を、 ラッチドラム22の内周面と、シール部材56を して油密状に連結し、該ピストン部材24と シリンダを形成するクラッチドラム22の内周 面と、で前記作動油室27が構成される。また ピストン部材24は、後方に向けて延設され 延長部24aを備えており、該延長部24aが摩擦 21を押圧することにより第3のクラッチC3の断 接が行われる。

 一方、第4のクラッチC4のクラッチドラム4 2は、第3のクラッチC3のボス部22cにスナップ ング50によって軸方向位置を規制されかつ、 Oリング57を介して油密状に設けられている。 また該クラッチドラム42は、第3のクラッチC3 鍔部22dとのスプライン係合部54後方におい 断面階段形状の段差部53を備えている。

 第3のクラッチC3のキャンセルプレート25 、第4のクラッチC4のクラッチドラム42に設け られた該段差部53に当接して後方への軸方向 動が規制され、その外周においてシール部 58を介してピストン24と油密状に設けられて いると共に、内周部において第4のクラッチ クラッチドラム42にシール部材82を介して油 状に嵌合している。このキャンセルプレー 25の外周面と、ピストン24の内周面とによっ て第3のクラッチの作動油室27に発生した遠心 油圧と平衡する油圧を発生させる前記キャン セル油室28が構成される。また、キャンセル レート25と、ピストン24との間にはリターン スプリング26が配設され、該ピストン24を常 前方へと付勢している。なお、該リターン プリング26は、後述する第4のクラッチC4のキ ャンセル油室48に設けられたリターンスプリ グ46よりも付勢力の強いスプリングが使用 れている。

 上記第3のクラッチC3の作動油室27には、イ ナドラム22 1 のピストン支持部22eと、アウタドラム22 2 の底部22bと、の間に設けられた所定の隙間B 介して、油孔bからの油が供給される。該隙 Bは、全周に亘り面状に拡がって設けられて いるため、軸方向に短い(狭い)スペースで通 孔に比して大きな通油断面積を有している

 また、第3のクラッチC3のキャンセル油室28 は、第4のクラッチC4のクラッチドラム42と、 第3のクラッチC3のインナドラム22 1 におけるピストン支持部22e背面との間に設け られた空間(隙間)Aを介して、油孔aからの潤 油が供給される構成となっている。空間Aは 中心部分(入力軸7に近い部分)は、軸方向に 較的広いスペースを有していると共に、外 側は狭い隙間となっているが、全周に亘り 状に拡がって設けられているため、両クラ チドラム22,42の軸方向間隔を狭く保持する の(従って軸方向寸法の短縮化を図る)であり ながら、通油孔を用いるものに比して大きな 通油断面積を有している。なお、第4のクラ チC4のクラッチドラム42と、第3のクラッチC3 鍔部22eとの間に設けられたスプライン係合 54には、欠歯が設けられており、上記油路 油の流れを妨げないように構成されている

 一方、上記第4のクラッチC4の油圧サーボ4 0は、上述したクラッチドラム42と、ピストン 部材44、キャンセルプレート45及びリターン プリング46を有しており、これらにより、作 動油室47を構成していると共に、その背面に ャンセル油室48を構成している。

 該ピストン44は、第3のクラッチC3のクラ チドラム22のボス部22cとシール部材59を介し 油密状かつ軸方向移動可能に設けられてい と共に、摩擦板41を押圧する延長部44aを備 ており、該延長部44aの外周面と、クラッチ ラム42の内周面と、がOリング51を介して油密 状に嵌合している。

 第4のクラッチC4の作動油室47は、ピスト 44の外周面と、シリンダを形成するクラッチ ドラム42の内周面とによって構成され、該作 油室47には、ボス部22cに形成された油孔cに って油が供給される構成となっている。

 また、第4のクラッチC4のキャンセルプレ ト45は、スナップリング30によって軸方向位 置を規制されて設けられており、該キャンセ ルプレート45は、ピストン44の内周面とシー 部材60を介して油密状に嵌合している。

 第4のクラッチC4の作動油室47に発生する 心油圧と平衡する油圧が発生するキャンセ 油室48は、キャンセルプレート45の内側面と ピストン44の背面とにより構成される。ピ トン44とキャンセルプレート45との間にはリ ーンスプリング46が設けられており、ピス ン44は、常に前方に向かって付勢される。ま た、このキャンセル油室48には油孔dによって 潤滑油が供給されると共に、キャンセルプレ ート45の内周側に形成された凹溝83によりス ップリング30との間から排出される。

 油路構造について、図4及び図5に沿って に詳細な説明をする。

 上述したように、第3のクラッチC3の作動油 27には、油孔bから隙間Bを介して油が供給さ れ、キャンセル油室28には、油孔aから空間A 介して潤滑油が供給されるよう構成されて る。該隙間Bは、インナドラム22 1 のアウタドラム22 2 との対向面であるインナドラム21 1 の外側面71と、アウタドラム22 2 の内側面73との間に面状に広がった隙間であ 、空間Aは、インナドラム22 1 の内側面(背面)70と、第4のクラッチC4のクラ チドラム42の作動油室背面となる外側面42sと の間に面状に広がった空間である。クラッチ ドラム42は、内径側が後方に向くように斜め 構成されており、垂直に立ち上がるインナ ラム背面70と相俟って、上記空間Aは、中心 が軸方向に広いスペースとなり、外径側が い空間となる。

 上記インナドラム22 1 の背面70には、その円周上の4箇所において、 第4のクラッチC4に向けてリブ状の突起部72(突 起)が突設されていると共に、上記突起部72は 、上記クラッチドラム42の傾斜面に合せて径 向に斜めに構成されており、該突起部の内 には上記作動油室27へと油を供給する油孔b 形成されている。該油孔bは、インナドラム 22 1 内を貫通し、外側面71にて開口部b 2 が形成されると共に、内径側にてスリーブ81 孔に連通する開口部b 1 が形成されている。なお、上記突起部72は、4 個に限らず、3個又は5個、更にはその他の数 もよい。

 図4(a)に示すように、インナドラム22 1 は、その内径側に形成されている円筒型のボ ス部22cにおいて、上記油孔bと、キャンセル 室28に潤滑油を供給する油孔a及びその排出 eと、が周方向に位相を違えて位置しており かつ上記油孔aと排出孔eとも周方向に位相 違えて配置されている(なお、図4(b)において 、両孔a,eが共に表記されているが、これは、 作図上の便宜によるものであり、この部分は 一部異なる断面を示す)。油孔bは、突起部72 同様にボス部22cの円周上の4箇所に配設され いると共に、該油孔bの間にて油孔aが排出 eに左右を挟まれて配設されている。また、 給用の油孔a,bには、その内径側において油 りa 1 ,b 1 が周方向に大きく形成されている。

 インナドラム22 1 の外側面71と対向するアウタドラム22 2 の内側面73には、外側面71に形成された油孔b 開口部b 2 と対面して溝74が設けられており、該溝74は 側面73の面上を外径方向に向かって放射状に 伸びている。また、溝74は、作動油室27まで 間Bの全長に亘って細長い長方形状の凹部と て形成されており、隙間Bの通油断面積を軸 方向に拡がることなく大きくしていると共に 、油孔bの開口部b 2 から供給される油を素早くその円周方向に充 満させている。

 一方、インナドラム22 1 の背面70のうち、突起部72が形成されていな 面、即ち油孔a及び排出孔eと同位相に位置し ている面は、アウタドラム22 2 側(Fr方向)に向かって凹んで形成されている 該背面70は、キャンセル油室28に潤滑油を供 する空間Aを第4のクラッチC4のクラッチドラ ム42と共に構成しており、背面70を油孔a及び 出孔eにあわせて凹ませて形成することによ って、該空間Aの通油断面積を軸方向に拡げ ことなく大きく構成している。

 また、第3のクラッチC3のクラッチドラム22 、そのインナドラム22 1 の突起部72と、アウタドラム22 2 の溝74とを円周上の同位相の位置に対応して 置し、インナドラム22 1 の背面70の凹部と、内壁73の該溝74以外の部分 とを円周上の同位相の位置に対応して配置し ており、これにより全体として薄肉かつ高い 剛性を有した構成となっている。

 なお、第4のクラッチC4において作動油室4 7に油を供給する油孔c及びキャンセル油室48 潤滑油を供給する油孔dを円周方向に同位相 は位相を違えて配置して、上記作動油室47 構成するクラッチドラム42の内周面において 第3のクラッチC3と同様に溝を外径方向に向か って放射状に形成してもよい。

 そして、空間Aに連通しているキャンセル 油室28の排出孔eは、クラッチドラム(インナ ラム)22の角部において空間A側から前方(Fr)及 び内径側に向って斜めに延びて貫通しており 、該貫通部分に整列して、スリーブ81の外周 に凹溝gが形成されており、該凹溝gは、ク ッチドラムの前側端に開口している。クラ チドラム22の前側端は、ステータスリーブ6a 段部とワッシャ85を介して対面しており、 記スリーブの凹溝gから排出されるオイルは 上記ワッシャ85に供給される。従って、キ ンセル油室28は、空間A、排出孔e及び凹溝gを 介してクラッチドラム22の閉塞側(油圧サーボ 側)である前部の外側に開放されている。

 また、前記クラッチドラム22のボス部22c は、第3のクラッチC3のキャンセル油室28への オイルの供給孔aに対して前記排出孔eと軸方 反対側に、第4のクラッチC4のクラッチの油 サーボ40へ油圧を給排する油孔cが形成さて る。従って、第3のクラッチのキャンセル油 室28へのオイル給排路である空間Aの油圧サー ボ側と軸方向反対側には、第4のクラッチC4の 油圧サーボ40が密接して配置されている。

 ついで、第3のクラッチC3及び第4のクラッ チC4の作用について以下に説明する。

 第3のクラッチC3は、作動油室27に生じる 圧によってピストン24を軸方向に移動させ、 摩擦板21を押圧することによって第3のクラッ チC3の断接をする。該作動油室27には、不図 のオイルポンプによって発生した油圧に基 いた作動油が、クラッチドラム22に形成され た油孔bから全周に亘り面状に設けられた隙 B及び溝74を通り供給される。

 また、該作動油室27には遠心油圧が働く め、ピストン24を挟んで対向するキャンセル 油室28に、油孔aから全周に亘り面状に設けら れた空間Aを介して潤滑油を供給し、該キャ セル油室28に遠心油圧を発生させ、作動油室 27に発生した遠心油圧と平衡させている。こ 際、キャンセル油室28は、そのキャンセル レート25その内外径側両方ともシール部材58, 82によりシールされ、かつ空間Aにより内径側 に油密状に連通して、排出孔e及び凹溝gを介 て外方に解放されており、遠心油圧の基点 なるO点は、凹溝gのレベルとなり、外径側 位置する作動油室27にみあった遠心油圧が作 用する。

 第4のクラッチC4も同様に、作動油室47に 油孔cよりオイルポンプ(不図示)に基づいた 動油を供給し、ピストン44を軸方向に移動さ せ、摩擦板41を押圧することによって第4のク ラッチC4の断接をすると共に、キャンセル油 48に、油孔dより潤滑油を供給し、該キャン ル油室48に遠心油圧を発生させ、作動油室47 に発生した遠心油圧と平衡させる。

 従って、第3のクラッチC3が切断する際、 動油室27の圧油は上記隙間B、溝74及び油孔b 介してドレーンされるが、クラッチドラム2 2が回転しているため、作動油室27に遠心油圧 が発生している。この際、ピストン部材24の の背面には、リターンスプリング26の付勢 及びキャンセル油室48のオイルに作用する遠 心油圧が作用しており、ピストン部材24を上 作動油室27の遠心油圧に抗して急速に退入 向に移動し、これに伴いキャンセル油室28の 容量が増大するが、上記両クラッチドラム22, 42の空間Aを通って素早くオイルが補給され、 第3のクラッチC3の作動遅れを生じることはな い。

 一方、第3のクラッチC3を接続する際、作 油室27に上記隙間B、溝74及び油孔bを介して 早く油圧が供給され、これに伴い、キャン ル油室28のオイルは、空間A及び専用の排出 e及び凹溝gを介して素早く排出され、ピス ン24の素早い動きを妨げることはない。また 、排出孔e及び凹溝gが直接クラッチドラム22 外方に排出されたオイルは、ワッシャ85を潤 滑する。

 以上説明したように、本発明に係る自動 速機1によると、第3のクラッチC3を第4のク ッチC4の外径側にあって、軸方向にオーバラ ップし、かつ径方向の異なる位置に配置する ことによって、クラッチユニット及び自動変 速機を軸方向にコンパクトに構成することが できると共に、第3のクラッチC3のクラッチド ラム22の内径側に油路bを設け、その外径側に おいて、該クラッチドラム22と、ピストン支 部22eとの間に面状に拡がる隙間Bを有するこ とによって、第3のクラッチC3の油圧サーボ20 の油圧の給排を素早く行うことが可能とな 。また、隙間Bにおいて溝74を形成すること より、更に素早い第3のクラッチC3の油圧サ ボ20への油圧の給排を行うこともできる。

 更に、第3のクラッチC3のクラッチドラム22 、第4のクラッチC4のクラッチドラム42間に設 けられた空間Aを、第3のクラッチC3のキャン ル油室28へのオイル供給路として構成すると 共に、上記隙間Bを作動油室27への油路として 使用することによりクラッチドラム22を薄肉 構成したため、軸方向の短縮化が可能とな 。この際、第3のクラッチC3に溝74や、イン ドラム22 1 の背面70を凹ましてを形成しても、該溝74及 外面70の凹部を円周方向の位相をずらして形 成するため、第3のクラッチC3のクラッチドラ ム22は全体として高い剛性を保つことができ 。

 また、キャンセル油室28からのオイルは 空間A、排出孔e及び凹溝gを通って、クラッ ドラム22の閉塞側外方に直接排出されるため 、クラッチドラムの開放側には、他方のクラ ッチC3の油圧サーボ等を密接して配置するこ ができ、クラッチ構造、ひいては自動変速 をコンパクト、特に軸方向にコンパクトに 成できる。

 次に、上記第3のクラッチC3と第4のクラッ チC4との径方向位置を異にし、軸方向に並列 せた第2の実施の形態について、図6に基づ て説明する。図3の第3及び第4のクラッチC3,C4 と対応した部材については図3と同一の符号 付している。

 内径側に位置する第4のクラッチC4と、外径 に位置する第3のクラッチC3とは軸方向の異 る位置にて隣接して配置されており、該内 側に位置する第4のクラッチC4のクラッチド ム42のフランジ部42bの外側面42b 1 を第3のクラッチC3のキャンセル油室28を構成 るキャンセルプレートとして共用している

 上記第3のクラッチC3は、多数の内摩擦板2 1b、外摩擦板21aからなる多板摩擦板21と、こ らの摩擦板を断接させる油圧サーボ20と、該 油圧サーボ20に作用する遠心油圧をキャンセ するキャンセル油室28とを備える。また、 径側に位置する第4のクラッチC4も同様に、 数の内摩擦板41b、外摩擦板41aからなる多板 擦板41と、これらの摩擦板を断接させる油圧 サーボ40と、該油圧サーボ40に作用する遠心 圧をキャンセルするキャンセル油室48とを備 える。

 上記第3のクラッチC3の油圧サーボ20は、 ラッチドラム22、ピストン24、キャンセルプ ートとして機能する第4のクラッチC4のクラ チドラム42のフランジ部42b、リターンスプ ング26とを有しており、これにより作動油室 27を構成していると共にその背面側にキャン ル油室28を構成している。クラッチドラム22 は、ボス部22c及び底部22bを形成する内周側部 材と、ドラム部22aを構成する外周側部材が溶 接等により一体に形成されており、該ボス部 22cには外スプライン54aが形成され、後述する 第4のクラッチC4のクラッチドラム44のボス部4 2cに形成される内スプライン54bと係合してい 。該スプライン係合部54により、第3のクラ チC3のクラッチドラム22と、第4のクラッチC4 のクラッチドラム42は、回転方向一体に構成 れる。

 また、上記ピストン24はその内径側にお て、第3のクラッチC3のボス部22c上にOリング3 1を介し油密状かつ軸方向移動自在に構成さ ると共に、その外周面は第3のクラッチC3の ラッチドラム22の内周面とシール部材56を介 て油密状に嵌合されている。作動油室27は 該ピストン24の外周面と第3のクラッチC3のク ラッチドラム22の内周面とから形成され、該 ラッチドラム22のボス部22cに設けられた油 bから直接、油が供給される。

 一方、第4のクラッチC4のクラッチドラム42 、内径側において円筒状に形成されるボス 42cと、該ボス部42cから外径側に伸びるフラ ジ部42bと、外摩擦板41aがスプライン係合さ るドラム部42aからなると共に、第3のクラッ C3のボス部22cに形成されるスナップリング50 によって軸方向の移動を規制されている。ま た、該ドラム部42aには、フランジ部42bの外径 側において2つのL字状の段差部53 1 ,53 2 が形成されており、その内径側に位置する内 段差部53 2 は機体後方に向って形成されていると共に、 外径側に位置する外段差部53 1 は機体前方に向って形成されている。

 該第4のクラッチC4のクラッチドラム42は、 ス部42cにおいて、第3のクラッチC3のボス部22 cとをOリング57 1 ,57 2 を介して、油密状に嵌合していると共に、外 段差部53 1 においても、その外周と第3のクラッチC3のピ ストン24の内周面とがシール部材58を介して 密状に嵌合している。

 第3のクラッチC3のキャンセル油室28は、上 第4のクラッチC4のフランジ部42bの外側面42b 1 と、第3のクラッチC3のピストン24の背面とか なると共に、第3のクラッチC3のボス部22cに 成された油孔aから潤滑油が供給される。ま た、該第4のクラッチC4のフランジ部42bの外周 面42b 1 と第3のクラッチC3のピストン24の内周面との には、リターンスプリング26が配設されて り、該リターンスプリング26は、後述する第 4のクラッチC4に設けられるリターンスプリン グ46よりも付勢力の強いスプリングが使用さ ている。そのため、第4のクラッチC4のクラ チドラム42は、常に後方に向って付勢され いると共に、スナップピン50と当接して位置 決めされている。

 一方、第4のクラッチC4の油圧サーボ40は クラッチドラム42、ピストン44、キャンセル レート45、及びリターンスプリング46を有し ており、これらにより作動油室47を構成して ると共に、その背面にキャンセル油室48を 成している。

 該ピストン44は、シール部材59を介してクラ ッチドラム42のボス部42c上に軸方向移動自在 つ油密状に配設されていると共に、上記第4 のクラッチC4のクラッチドラム42に形成され 内段差部53 2 とその外周面においてOリング51を介して油密 状に嵌合している。第4のクラッチC4の作動油 室47は、該ピストン44の外周面と、シリンダ 形成するクラッチドラム42の内周面とによっ て構成され、油孔cを介して油が供給される

 また、第4のクラッチC4のキャンセルプレ ト45は、第3のクラッチC3のボス部22cに形成 れたスナップリング30によって軸方向の移動 が規制されて設けられていると共に、その外 径側において第4のクラッチC4のピストン44の 周面とシール部材60を介して油密状に嵌合 ており、第4のクラッチC4の作動油室47に発生 する遠心油圧と平衡する油圧が発生するキャ ンセル油室48は、該キャンセルプレート45の 周面と、ピストン44の内周面とにより構成さ れる。このキャンセル油室48には油孔dを介し て潤滑油が供給されると共に、上記ピストン 44とキャンセルプレート45との間にはリター スプリング46が設けられており、ピストン44 、常に前方に向かって付勢されている。

 そして、第3のクラッチC3のキャンセル油 28は、クラッチドラム22のボス部22aに形成さ れた専用の排出孔eを介してクラッチドラム22 の閉塞側(作動油室側)の外方に直接解放され いる。なお、先の実施の形態とも同様であ が、ボス部22cにおいて、第3のクラッチC3の ャンセル油室28の排出孔eが、該キャンセル 室の供給孔aに対して第4のクラッチC4の油圧 サーボ40への給排油孔cと軸方向反対側に配置 されている。

 ついで、上記第2の実施形態に係る第3の ラッチC3及び第4のクラッチC4の作用について 以下に説明する。

 第3のクラッチC3は、作動油室27に生じる 圧によってピストン24を軸方向に移動させ、 摩擦板21を押圧することによって第3のクラッ チC3の断接をする。該作動油室27には、不図 のオイルポンプによって発生した油圧に基 いた作動油が、クラッチドラム22に形成され た油孔bを介して供給される。

 また、該作動油室27には遠心油圧が働く め、ピストン24を挟んで対向するキャンセル 油室28に、油孔aから直接、潤滑油を供給し、 該キャンセル油室28に遠心油圧を発生させ、 動油室27に発生した遠心油圧と平衡させて る。また、キャンセル油室28のオイルは、排 出孔eから直接クラッチドラム22の外方に排出 される。

 第4のクラッチC4も同様に、作動油室47に 油孔cよりオイルポンプ(不図示)に基づいた 動油を供給し、ピストン44を軸方向に移動さ せ、摩擦板41を押圧することによって第4のク ラッチC4の断接をすると共に、キャンセル油 48に、油孔dより潤滑油を供給し、該キャン ル油室48に遠心油圧を発生させ、作動油室47 に発生した遠心油圧と平衡させる。

 従って、第3のクラッチC3が切断する際、 動油室27の圧油は油孔bを介してドレーンさ るが、クラッチドラム22が回転しているた 、作動油室27に遠心油圧が発生している。こ の際、ピストン部材24のその背面には、リタ ンスプリング26の付勢力及びキャンセル油 28のオイルに作用する遠心油圧が作用してお り、ピストン部材24を上記作動油室27の遠心 圧に抗して急速に退入方向に移動する。

 第3及び第4のクラッチC3、C4が同時に切断 れて、第3のクラッチC3のクラッチドラム22 第4のクラッチC4のクラッチドラム42とが相反 する方向の軸力が作用しない場合や第4のク ッチC4を係合するために第4のクラッチC4のピ ストン44をストロークさせている時のように 第4のクラッチC4のクラッチドラム42が第3の ラッチC3のクラッチドラム22の方へ近づこう とする力が作用する場合が生じても、第3の ラッチC3のリターンスプリング26の取付荷重( ピストン24が作動してなくリターンスプリン 26が縮んでいない状態の荷重)が、第4のクラ ッチC4のリターンスプリング46の作動荷重(ピ トン44が作動してリターンスプリング46が縮 んだ状態の荷重)よりも大きく設定されてい ので、リターンスプリング26の付勢力が直接 にクラッチドラム42に作用して、両クラッチ ラム22,42は、常に離れる方向の軸力が作用 てスナップリング50にて位置決めされる。

 以上説明したように、本実施例に係る自 変速機1によると、第3のクラッチC3のキャン セル油室28を構成するキャンセルプレートを 第4のクラッチC4のクラッチドラム42のフラ ジ部42bで構成することにより、該キャンセ プレートを省くことができ、自動変速機1の 方向長さの短縮化を図ることができる。

 本発明は、乗用車、トラック、バス等の 輌に搭載される自動変速機に係るものであ 、特に前進変速段が8段等の多段の自動変速 機に用いて好適であり、隣接して配置される 2つのクラッチを有する自動変速機に利用さ る。