Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
AUTOMOBILE INSTRUMENT PANEL AND PROCESS FOR MANUFACTURING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/016725
Kind Code:
A1
Abstract:
Instrument panel (1) comprising skin (20) composed of flexible surface member (21) and, provided on the back face side (BF) of the surface member (21), foam layer (22) and comprising instrument base material (10), the foam layer (22) of the skin (20) and the instrument base material (10) integrally molded in mutually fast adhering relationship by vacuum forming, wherein in skin covered area (2) where the instrument base material (10) is covered with the skin (20), on the surface side (SF) covering the skin (20) in the direction of thickness (TH) of the instrument base material (10), the ridge line (IL) of corner portion (11) of the instrument base material (10) is provided with convex portion (12T).

Inventors:
MURASE TAKAO (JP)
KATO KENJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/064928
Publication Date:
February 05, 2009
Filing Date:
July 31, 2007
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
TOYOTA AUTO BODY CO LTD (JP)
MURASE TAKAO (JP)
KATO KENJI (JP)
International Classes:
B60K37/00; B29C51/10; B29C51/12; B29C63/04; B62D65/14; B29L9/00
Foreign References:
JP2005125735A2005-05-19
JP2005288987A2005-10-20
JPH09131785A1997-05-20
JPS5410367A1979-01-25
JPH06344433A1994-12-20
Attorney, Agent or Firm:
COSMOS PATENT OFFICE (Nagoya CenterBuilding, 2-22, Nishiki,2-chome, Naka-ku,Nagoya-sh, Aichi 03, JP)
Download PDF:
Claims:
可撓性を有する表面部材と該表面部材の裏面側に形成された発泡層とからなる表皮と、インストルメント基材とを備え、表皮の発泡層とインストルメント基材とが真空成形により一体に密着して成形される自動車のインストルメントパネルにおいて、
 前記インストルメント基材に前記表皮が覆われる表皮被覆部には、
  当該インストルメント基材の厚み方向のうち、前記表皮を覆う表面側に、
  当該インストルメント基材の角部の稜線に凸部が形成されていることを特徴とする自動車のインストルメントパネル。
請求項1に記載の自動車のインストルメントパネルにおいて、
 前記表皮被覆部のうち、前記インストルメント基材の凸部と一体に成形される凸部形成部では、
 前記表皮は、
  成形前の状態における当該表皮の厚みを基準厚さとしたとき、成形時に、前記基準厚さの20%を下限とする厚さまで圧縮されてなることを特徴とする自動車のインストルメントパネル。
請求項1または請求項2に記載の自動車のインストルメントパネルにおいて、
 前記凸部は、
  前記インストルメント基材の角部のうち、その頂部から遠ざかるにつれて当該凸部の厚みが次第に小さくなるテーパ形状で形成されていることを特徴とする自動車のインストルメントパネル。
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の自動車のインストルメントパネルにおいて、
 乗車する人から見える位置に、別体である取付ユニットを収納するための開口を囲う開口外枠縁部を備え、
 前記凸部は、前記開口外枠縁部に設けられていることを特徴とする自動車のインストルメントパネル。
  基材側吸引型と表皮側吸引型との型締めにより、インストルメント基材とこのインストルメント基材の表面を覆う表皮とを両吸引型の成形空間内に収納した状態で、外部から表皮側吸引型を通じて表皮を吸引してこの表皮の表面形状を成形すると共に、外部から基材側吸引型及びインストルメント基材の通気部を通じて表皮を吸引して、表皮をインストルメント基材の表面に密着させる自動車のインストルメントパネルの製造方法において、
 前記表皮を、その表面部材側から前記表皮側吸引型を通じて吸引する第1吸引工程と、
  前記第1吸引工程の後、前記表皮を、その発泡層側から前記基材側吸引型及び前記インストルメント基材の通気部を通じて吸引する第2吸引工程と、
  前記第1吸引工程と前記第2吸引工程との間に、前記基材側吸引型と前記表皮側吸引型との前記成形空間における真空圧力値を大気圧の圧力値に戻す圧力値還元工程とを有することを特徴とする自動車のインストルメントパネルの製造方法。
 
Description:
自動車のインストルメントパネ 及びその製造方法

 本発明は、真空成形によりインストルメ ト基材と表皮とを一体に成形した自動車用 装品に関するものであり、詳細には、イン トルメント基材の角部を覆う表皮がシャー エッジなデザイン意匠で成形された自動車 インストルメントパネルに関する。また、 のような自動車のインストルメントパネル 製造方法に関するものである。

 従来より、自動車用内装品の一つであるイ ストルメントパネルは、(1)ウレタン発泡法 または、(2)真空成形法によって主に成形さ ている。このウレタン発泡法と真空成形法 は、自動車の種類、自動車の仕様、自動車 販売する地域等に応じて使い分けられてい 。
 ウレタン発泡法は、型内に配置したインス ルメント基材と表皮との間にウレタン発泡 を流し込み、インストルメント基材と表皮 の間で発泡させて、インストルメントパネ を所定形状に成形する手法である。インス ルメントパネルを製造するメーカーでは、 レタン発泡法を用いた製造工程は、(1)イン トルメント基材を成形する基材成形工程、( 2)表皮を成形する表皮成形工程、(3)ウレタン 泡材の注入後、インストルメント基材、表 及びウレタン発泡体を一体に成形する一体 形工程、の3つの工程に大別されてなる。
 この製造工程では、1次成形されたインスト ルメント基材及び表皮はそれぞれ、所望形状 に形成された型に沿うようにして取付けられ る。そして、このインストルメント基材と表 皮との間にウレタン発泡材が流し込まれ、こ のウレタン発泡材を発泡させて、型に沿った 形状のフォーミングが行われる。
 このため、ウレタン発泡材の流し込みを調 するだけで、インストルメントパネルのう 、例えば、グローブボックス、コンソール ックス、ナビゲーションシステムのモニタ エアコンのデフロスタ等の別体取付ユニッ が収納される開口の外枠の縁部で、乗車す 人から見える位置にある開口外枠縁部を、 エッジまたは微小R形状に成形精度が高く成 形することができる。

 一方、真空成形法は、ポリプロピレン(PP)発 泡層と一体に形成された表皮を加熱し、型内 でこの表皮をその面方向に張り出した状態で インストルメント基材に型締めする。そして 、この表皮を型の外部から吸引して型内で引 き伸ばし、表皮のPP発泡層とインストルメン 基材とを一体に接着して所定形状に成形す 手法である。インストルメントパネルを製 するメーカーでは、真空成形法を用いた製 工程は、(1)インストルメント基材を成形す 基材成形工程、(2)表皮を吸引し、インスト メント基材と一体に接着する一体成形工程 の2つの工程に大別されてなる。
 真空成形法による製造工程は、インストル ントパネルの成形にあたり、ウレタン発泡 の場合と比べ、工程数が1工程分少なくでき 、コストも安価になるメリットを有している 。

 このような真空成形法は、例えば、特許文 1に開示されている。この特許文献1に記載 れた真空成形方法により製造された製品は 予め射出成形して得られた所定形状の基材( ンストルメント基材)と、この基材の表面側 を覆う表皮とからなる。基材と表皮とは型締 めされ、接着により一体に成形されている。 基材は、ポリプロピレン(PP)等の樹脂からな 。表皮は、サーモプラスチックオレフィン(T PO)等の薄膜に、ポリプロピレン発泡体(PPフォ ーム)製の発泡層を一体に接合したものであ 、薄膜が製品の表面(意匠面)となっている。
 また、この特許文献1に開示された製品の応 用例として、特許文献1の製品といずれも同 材質からなる基材(インストルメント基材)及 び表皮を有し、表皮を基材と一体に成形した 自動車のインストルメントパネルが、特許文 献2に開示されている。この自動車のインス ルメントパネルでは、基材と表皮との型締 後、表皮は、型締め前の表皮の厚みを100%と た場合、20~50%の厚みになるまで発泡層で圧 させている。

 ところで、近年、乗用車、RV(Recreation Vehicle )車 、スポーツカー、いわゆるミニバン(ツ ボックス車)など多種多様の自動車が製造さ ている。このような自動車のユーザー層は 例えば、購入するユーザーの年齢層や、自 車の用途等によって異なっている。
 このような自動車の中でも、RV車は、主と て三十代後半から五十代にかけての年齢層 、特に、例えば、キャンプ、渓流釣り、ス ー、登山等のアウトドアのレジャーを楽し 人たちの間で支持されている。RV車では、イ ンストルメントパネルは、乗用車やスポーツ カー等と比べて大きい。また、別体取付ユニ ット(例えば、グローブボックス、コンソー ボックス、ナビゲーションシステムのモニ 、エアコンのデフロスタ等)を取付けていな インストルメントパネル単体の状態では、 数の面によって複雑な形態に繋がれて構成 れている。すなわち、インストルメントパ ル単体は、開口外枠縁部を含め、角部を複 の部位に有している。このインストルメン パネルでは、後に取付けられる各々の別体 付ユニットの大きさも大きいため、いずれ 開口外枠縁部も広い範囲にわたって形成さ ている。

 このような別体取付ユニットは一般に、そ 稜線が一本の線で見えるような形態となっ いる。一方、RV車に乗る人から見ると、イ ストルメントパネルの開口外枠縁部の稜線 、別体取付ユニットの稜線と2本並んだ配置 形態になっていると、乗車する人は、この 態について美感を持って見えるようになる
 すなわち、RV車のユーザー層は、インスト メントパネルの開口外枠縁部の形態につい 、大きなR形状より微小なR形状に形成された デザインや、曲面より平面をほぼ直角状に繋 いだデザイン等のように、なるべくシャープ エッジを基調にしたデザイン意匠を好む傾向 にある。

特開2007-160604号公報

特許第3822208号公報

 しかしながら、ほぼシャープエッジな形状 開口外枠縁部を有するRV車向けのインスト メントパネルを、真空成形法によって成形 ることは困難である問題がある。
 以下、その理由について、図16及び図17を用 いて説明する。図16は、真空成形装置におい 型締めした状態で開口外枠縁部104を吸引し いるときの様子を説明するための説明図で り、図17は、真空成形終了後の開口外枠縁 104の様子を説明するための説明図である。
 ウレタン発泡法によるRV車向けのインスト メントパネルの成形では、そのインストル ントパネルの開口外枠縁部は、成形精度が く成形できる。
 その一方、このRV車向けのインストルメン パネルは、ウレタン発泡法の場合と比べて コストの真空成形法によっても成形されて る。しかしながら、真空成形法によりRV車向 けのインストルメントパネルを成形すると、 型締め時に、特に表皮120の発泡層122が、この RV車向けのインストルメントパネルの開口外 縁部104で局部的に伸ばされ、表皮120とイン トルメント基材110との間に隙間123Sができる (図16参照)。このため、この状態で表皮120を 内から型の外部に向けて(図16に示す矢印方 )吸引しても、加熱によって軟化した表皮120 薄膜121や発泡層122は、型から開放された後 図17に示すように、開口外枠縁部104で当該 皮120の面方向に沿ってだれてしまい、イン トルメントパネルの開口外枠縁部104の稜線 一本条の線とならない。
 前述したように、RV車のユーザー層は、イ ストルメントパネルの開口外枠縁部の形態 ついて、大きなR形状より微小なR形状に形成 されたデザインや、曲面より平面をほぼ直角 状に繋いだデザイン等のように、なるべくシ ャープエッジを基調にしたデザイン意匠を好 む傾向にある。しかしながら、真空成形法に よるRV車向けのインストルメントパネルの成 では、その開口外枠縁部を角エッジまたは 小R形状のような、ほぼシャープエッジ形状 のデザイン意匠に成形することは困難であり 問題となっていた。

  本発明は、かかる現状に鑑みてなされ ものであって、インストルメント基材を覆 た表皮がデザイン意匠となる自動車のイン トルメントパネルにおいて、インストルメ ト基材の角部で、表皮が、真空成形法によ シャープなエッジを持つデザイン意匠で成 された自動車のインストルメントパネル、 び、このような自動車のインストルメント ネルの製造方法を提供することを目的とす 。

 本発明の自動車のインストルメントパネル 、以下の特徴を有して構成されている。
 (1)可撓性を有する表面部材と該表面部材の 面側に形成された発泡層とからなる表皮と インストルメント基材とを備え、表皮の発 層とインストルメント基材とが真空成形に り一体に密着して成形される自動車のイン トルメントパネルにおいて、前記インスト メント基材に前記表皮が覆われる表皮被覆 には、当該インストルメント基材の厚み方 のうち、前記表皮を覆う表面側に、当該イ ストルメント基材の角部の稜線に凸部が形 されていること。

 (2)(1)に記載の自動車のインストルメント ネルにおいて、前記表皮被覆部のうち、前 インストルメント基材の凸部と一体に成形 れる凸部形成部では、前記表皮は、成形前 状態における当該表皮の厚みを基準厚さと たとき、成形時に、前記基準厚さの20%を下 とする厚さまで圧縮されてなること。

 (3)(1)または(2)に記載の自動車のインスト メントパネルにおいて、前記凸部は、前記 ンストルメント基材の角部のうち、その頂 から遠ざかるにつれて当該凸部の厚みが次 に小さくなるテーパ形状で形成されている と。

 (4)(1)乃至(3)に記載の自動車のインストル ントパネルにおいて、乗車する人から見え 位置に、別体である取付ユニットを収納す ための開口を囲う開口外枠縁部を備え、前 凸部は、前記開口外枠縁部に設けられてい こと。

 他の手段である本発明の自動車のインスト メントパネルの製造方法は、以下の特徴を して構成されている。
 (5)基材側吸引型と表皮側吸引型との型締め より、インストルメント基材とこのインス ルメント基材の表面を覆う表皮とを両吸引 の成形空間内に収納した状態で、外部から 皮側吸引型を通じて表皮を吸引してこの表 の表面形状を成形すると共に、外部から基 側吸引型及びインストルメント基材の通気 を通じて表皮を吸引して、表皮をインスト メント基材の表面に密着させる自動車のイ ストルメントパネルの製造方法において、 記表皮を、その表面部材側から前記表皮側 引型を通じて吸引する第1吸引工程と、前記 第1吸引工程の後、前記表皮を、その発泡層 から前記基材側吸引型及び前記インストル ント基材の通気部を通じて吸引する第2吸引 程と、前記第1吸引工程と前記第2吸引工程 の間に、前記基材側吸引型と前記表皮側吸 型との前記成形空間における真空圧力値を 気圧の圧力値に戻す圧力値還元工程とを有 ること。

  本発明は、その構成により以下の作用及 効果を有している。
 すなわち、本発明の自動車のインストルメ トパネルは、可撓性を有する表面部材と該 面部材の裏面側に形成された発泡層とから る表皮と、インストルメント基材とを備え 表皮の発泡層とインストルメント基材とが 空成形により一体に密着して成形される自 車のインストルメントパネルであって、イ ストルメント基材に表皮が覆われる表皮被 部は、当該インストルメント基材の厚み方 のうち、表皮を覆う表面側に、当該インス ルメント基材の角部の稜線に凸部が形成さ ているので、当該インストルメント基材の 部では、真空成形時に表皮が型内から型の 部に向けて吸引された後、型から開放され 後でも、表皮とインストルメント基材との に隙間をなくして、この凸部に沿って表皮 凸部と一体に密着することができる。
 したがって、表皮が、真空成形法により、 ンストルメント基材の角部の凸部に沿った ャープエッジなデザイン意匠で成形された 動車のインストルメントパネルが得られる

 ところで、例えば、特許文献2に開示された 従来の自動車のインストルメントパネルでは 、インストルメント基材と表皮との型締め後 、表皮は、型締め前の表皮の厚みを100%とし 場合、最大50%の厚みになるまで発泡層で圧 させている。
 すなわち、従来の自動車のインストルメン パネルにおいて、例えば、型締め前の表皮 厚みを5(mm)とすると、型締め時の表皮の厚 は、最大2.5(mm)になるまで圧縮されているこ になる。
 これに対し、本発明の自動車のインストル ントパネルは、表皮被覆部のうち、インス ルメント基材の凸部と一体に成形される凸 形成部では、表皮は、成形前の状態におけ 当該表皮の厚みを基準厚さとしたとき、成 時に、基準厚さの20%を下限とする厚さまで 縮されてなるので、例えば、型締め前の表 の厚みを5(mm)とした場合、成形時に、表皮 、1(mm)の厚みになるまで圧縮されていること になる。
  本発明の自動車のインストルメントパネ と従来の自動車のインストルメントパネル を対比してみると、型締め前の表皮の厚み いずれも厚さ5(mm)であっても、本発明の自動 車のインストルメントパネルでは、表皮は、 厚さ1(mm)を下限とする厚さまで圧縮されてい のに対し、従来の自動車のインストルメン パネルでは、表皮の厚みが最大2.5(mm)に留ま っている。このように、本発明の自動車のイ ンストルメントパネルでは、表皮は、上述の 例示のように、例えば、厚さ1(mm)等を下限と る厚さまで圧縮されている。
 したがって、表皮は、凸部の形状にほぼ沿 た形態に成形できるようになり、凸部形成 は、表皮の稜線が1本線条となるシャープエ ッジ形状のデザイン意匠となる。

 また、本発明の自動車のインストルメント ネルは、凸部は、インストルメント基材の 部から遠ざかるにつれて当該凸部の厚みが 第に小さくなるテーパ形状で形成されてい ので、成形時に、表皮の厚み分と凸部の厚 分との和が一定である場合の当該自動車の ンストルメントパネルでは、凸部の厚みが さくなるにつれて、表皮の厚みは大きくで る。
 このため、当該自動車のインストルメント ネルにおいて、インストルメント基材の角 が位置する部位では、表皮の厚みが小さく り、表皮は、その稜線が1本線条となるシャ ープエッジ形状に成形される。その一方、イ ンストルメント基材の角部から遠ざかるにつ れて凸部の厚みが次第に小さくなる部位では 、表皮の厚みは角部から遠ざかるにつれて大 きくなる。これにより、表皮にクッション性 が次第に大きく生じるようになり、これに伴 い表皮にソフト感が出てくる。
 したがって、当該自動車のインストルメン パネルの表皮は、インストルメント基材の 部に相当する位置では、表皮の稜線がはっ りとシャープエッジ形状に表れたデザイン 匠となり、この角部から遠ざかったところ は、ソフト感を備えたデザイン意匠となる

  本発明の自動車のインストルメントパネ は、乗車する人から見える位置に、別体で る取付ユニットを収納するための開口を囲 開口外枠縁部を備え、凸部は、開口外枠縁 に設けられているので、この開口外枠縁部 おけるインストルメント基材の角部では、 皮は凸部の形状に沿ったシャープなエッジ 状となり、表皮の稜線も1本線条のデザイン 匠となる。その一方で、開口に収納される 付ユニットが、その稜線が一本の線で見え 形態になっていると、取付ユニットの稜線 、インストルメントパネルの開口外枠縁部 稜線とが2本並んだ形態になる。
 したがって、このような2本の稜線が並んで 配置された当該インストルメントパネルでは 、このインストルメントパネルを備えた自動 車に乗る人から見ると、当該インストルメン トパネルの開口外枠縁部の稜線がはっきりと 表れるようになるので、美感を持って当該イ ンストルメントパネルは見えるようになる。
 なお、取付ユニットとしては、例えば、グ ーブボックス、コンソールボックス、ナビ ーションシステムのモニタ、エアコンのデ ロスタやスイッチ類、エアバック装置等の ニットが挙げられる。

 ところで、表面部材と発泡層とが一体に った表皮が、インストルメント基材の表面 密着した自動車のインストルメントパネル は、インストルメント基材表面の一部に、 該インストルメント基材の厚み方向に微小 凹んだ凹みが生じていることがある。この うな凹みを有したインストルメント基材と 皮とを、基材側吸引型及び表皮側吸引型で 締めし、基材側吸引型側と表皮側吸引型側 両方から表皮を同時に真空引きすると、表 の発泡層の一部が凹みに沿って凹みながら この発泡層の一部と表皮の表面部材とが互 に引き離される方向に同時に吸引される。 ると、表皮は型締め前に予め加熱されてい ため、熱により表面部材と発泡層とが境界 で相反する向きに微小に膨れるが、この双 向から同時に吸引することにより、凹んだ 態の発泡層と表面部材とが双方向に同時に 形して、両者の間に大きな空隙が生じるこ もある。このような空隙のある表皮をイン トルメント基材の表面に密着させると、表 において、空隙のある部分だけが、他の部 よりも隆起してしまい、自動車のインスト メントパネルのデザイン意匠は悪化してし う。

 これに対し、本発明の自動車のインスト メントパネルの製造方法は、基材側吸引型 表皮側吸引型との型締めにより、インスト メント基材とこのインストルメント基材の 面を覆う表皮とを両吸引型の成形空間内に 納した状態で、外部から表皮側吸引型を通 て表皮を吸引してこの表皮の表面形状を成 すると共に、外部から基材側吸引型及びイ ストルメント基材の通気部を通じて表皮を 引して、表皮をインストルメント基材の表 に密着させる自動車のインストルメントパ ルの製造方法であって、表皮を、その表面 材側から表皮側吸引型を通じて吸引する第1 吸引工程と、第1吸引工程の後、表皮を、そ 発泡層側から基材側吸引型及びインストル ント基材の通気部を通じて吸引する第2吸引 程と、第1吸引工程と第2吸引工程との間に 基材側吸引型と表皮側吸引型との成形空間 おける真空圧力値を大気圧の圧力値に戻す 力値還元工程とを有しているので、まず第1 引工程において、表皮をその表面部材側か 表皮側吸引型を通じて吸引することで、表 のうち、特にインストルメント基材の角部 沿うエッジ部を、表皮側吸引型の型形状に った、例えば、角エッジまたは微小R形状等 のシャープエッジ形状に成形しつつ、表皮の 表面部材にシボ転写が行われる。この第1吸 工程の後、第2吸引工程の前に、圧力値還元 程において、基材側吸引型と表皮側吸引型 の成形空間の真空圧力値が大気圧の圧力値 戻されるので、第2吸引工程を行うときには 、第1吸引工程で成形された表皮のエッジ部 、表皮側吸引型の型形状に沿った形状に維 された状態になっている。このため、第2吸 工程で、表皮をその発泡層側から基材側吸 型及びインストルメント基材の通気部を通 て吸引して、表皮とインストルメント基材 の間にある空気を脱気したとしても、成形 、表皮のエッジ部が、シャープエッジ形状 維持したまま、表皮がインストルメント基 に接着されている。

 また、第1吸引工程の後、圧力値還元工程を 経て第2吸引工程を行うので、表皮は、表皮 吸引型側及び基材側吸引型によって同時に 引されない。このため、微小の凹みを有し インストルメント基材と表皮とを密着させ 場合でも、表皮の表面部材側が先に吸引さ るので、凹みの有無に拘わらず、表皮の成 が行われる。その一方、第2吸引工程で表皮 発泡層側が吸引されて、発泡層の一部がイ ストルメント基材の凹みに沿って多少凹む ともあるが、発泡層側の吸引のとき、表面 材側を吸引していない分、多少凹んだ発泡 は、表面部材と互いに引き離れようとしな 。この結果、凹んだ状態の発泡層と表面部 との間に生じる空隙は、基材側吸引型側と 皮側吸引型側の両方から表皮を同時に真空 きする場合と比べて、小さく抑制される。
 したがって、表皮をインストルメント基材 表面に密着させた後、表皮において、小さ 抑制された空隙のある部分を、必要に応じ 補修することができるようになり、この空 の存在に起因して、自動車のインストルメ トパネルのデザイン意匠が悪化してしまう とを回避することができる。

本実施形態に係るインストルメントパ ルを示す図であり、車内から自動車のフロ ト側に見た正面図である。 図1に示すインストルメントパネルのA-A 矢視断面図である。 図2中、一点鎖線内で示したP部を拡大 て示す拡大断面図である。 図1に示すインストルメントパネルのB-B 矢視断面図である。 図4中、一点鎖線内で示したQ部を拡大 て示す拡大断面図である。 図1に示すインストルメントパネルのC-C 矢視断面図である。 図6中、一点鎖線内で示したR部を拡大 て示す拡大断面図である。 図1に示すインストルメントパネルのD-D 矢視断面図である。 本実施形態に係るインストルメントパ ルの製造方法について、補足的に説明する めの説明図である。 図9中、一点鎖線内で示したS部を拡大 て示す拡大断面図である。 本実施形態に係るインストルメントパ ネルの表皮を示す図であり、成形前の様子を 示す断面図である。 本実施形態に係るインストルメントパ ネルの製造工程を説明する説明図であり、型 締め前の様子を示す図である。 本実施形態に係るインストルメントパ ネルの製造工程のうち、第1吸引工程を説明 るための説明図である。 本実施形態に係るインストルメントパ ネルの製造工程のうち、圧力値還元工程を説 明する説明図である。 本実施形態に係るインストルメントパ ネルの製造工程のうち、第2吸引工程を説明 るための説明図である。 従来の形態の開口外枠縁部において、 真空成形法で型締めした状態で吸引している ときの様子を模式的に示した説明図である。 従来の形態の開口外枠縁部において、 真空成形終了後の様子を模式的に示した説明 図である。

符号の説明

 1 インストルメントパネル
 2 表皮被覆部
 3 凸部形成部
 4 開口外枠縁部
 10 インストルメント基材
 10a (基材の)表面
 10H 通気部
 10S 開口
 11 角部
 11T 頂部
 IL (角部の)稜線
 12T 凸部
 TH 厚み方向
 SF 表面側
 BF 裏面側
 20 表皮
 St 基準厚さ
 t1 (表皮の)厚さ
 21 表面部材
 22 発泡層
 30 取付ユニット
 30L (取付ユニットの)稜線
 50S 成形空間
  51 基材側吸引型
  52 表皮側吸引型

 以下、本実施形態に係るインストルメント ネルについて図1~図8を用いて説明する。
 このインストルメントパネル1は、図示しな いRV(Recreation Vehicle)車のフロントガラスより 内側で車幅方向(図1中、左右方向)に取付け れ、図1中左方が運転席側、図1中右方が助 席側となっている。

 インストルメントパネル1は、インストル メント基材10と表皮20とからなる。このイン トルメント基材10は、例えば、ポリプロピレ ン(PP)等の樹脂を射出成形して得られた板状 材であり、微小径で、厚み方向THに貫通する 微小通気路(図示せず)を複数備えている。イ ストルメント基材10には、図1に示すように RV車の組立てを行う工程で、例えば、グロ ブボックス、ナビゲーションシステムのモ タ、エアコンのデフロスタや操作スイッチ 等の取付ユニット30を収納するための開口10S が複数箇所に形成されている。インストルメ ント基材10は、図2~図8に示すように、角部11 複数の部位に有した形態となっている。な 、インストルメント基材10のうち、後述する 追い込み部12及び凸部12Tを除く部分における み方向THの厚さは、本実施形態では、3(mm)と なっている。

 一方、表皮20は、可撓性を有した、例えば サーモプラスチックオレフィン(TPO)等の表面 部材21と、この表面部材21の裏面側BFに形成さ れた発泡層22とからなる。表面部材21の表面 SFは、インストルメントパネル1の表面(意匠 なる面)となっている。発泡層22は、例えば ポリプロピレン発泡体(PPフォーム)からなる 。この発泡層22は、この表面部材21と一体に 着されており、図示しないが、この発泡層22 の裏面側BFには、例えば、熱溶融性のオレフ ン系接着剤等の接着剤が塗布されている。 皮20とインストルメント基材10とは、発泡層 22に塗布された接着剤によるホットメルトで 着される。
 なお、表皮20の厚み方向THの厚さt1は、真空 形前の状態において、本実施形態では、表 部材21が1(mm)、発泡層22が4(mm)で、表皮20全体 でt1=5(mm)の厚さとなっている(図10参照)。

 インストルメントパネル1は、図1に示すよ に、その一部で、インストルメント基材10に 表皮20が覆われる表皮被膜部2を有している。 表皮被膜部2では、表皮20の発泡層22とインス ルメント基材10とが密着して一体に成形さ ている。
 本実施形態では、表皮20は、真空成形前の 態における表皮20の厚さt1=5(mm)を基準厚さSt したとき、後述する真空成形装置50による成 形時に、その基準厚さStの60%に相当する厚さt 1=3(mm)まで圧縮されている。
 ただし、表皮被膜部2のうち、後述する凸部 12Tと一体に成形された凸部形成部3や、凸部12 Tを除いた追込み部12と一体に成形された部分 では、追込み部12(凸部12Tを含む)の厚みt2と表 皮20の厚みt1との和は、成形時に厚さ3(mm)とな るようにされている。すなわち、表皮20は、 の基準厚さStの60%を超え20%を下限とする厚 まで、追込み部12(凸部12Tを含む)の厚みt2に 当する分、主に発泡層22で余分に圧縮されて いる。
 表皮被膜部2には、インストルメント基材10 厚み方向THのうち、表皮20を覆う表面側SF、 なわち表皮20の発泡層22が形成されている側 に、インストルメント基材10の角部11の稜線IL に凸部12Tが形成されている。

 インストルメントパネル1では、角部11は 数の部位に形成されているので、具体的に 、図1において、(1)運転席側のコックピット 周囲(図2参照)、(2)インストルメントパネル1 車幅方向中央部(図4参照)、(3)助手席側のグ ーブボックス周囲(図6参照)、(4)クラスタ周 (図8参照)、4つの角部11を代表して説明する

 (1)運転席側のコックピット周囲
 コックピット周囲の表皮被膜部2では、図1 示すように、乗車する人から見える位置に 例えば、RV車の走行に必要な種々の計器類等 の取付ユニット30を収納するための開口10Sを う開口外枠縁部4が形成されている。開口10S は、インストルメント基材10に設けられてい 。この開口外枠縁部4では、インストルメン ト基材10の角部11は、図2及び図3に示すように 、インストルメント基材10のうち、図2等に示 す第1部位P1と第2部位P2との間に位置しており 、頂部11Tを境に折り返された形態となってい る。インストルメント基材10には、その表面 SFに向けて突出する追込み部12が、図2に示 第1部位P1と第3部位P3との間にかけて設けら ている。この追込み部12のうち、角部11にそ 稜線ILとなる凸部12Tが形成されている(図1参 照)。
 表皮被膜部2のうち、凸部12Tと一体に成形さ れた凸部形成部3では、角部11の頂部11T付近に おける凸部12Tの厚さt2が、本実施形態では、t 2=1.5(mm)となっている。これにより、成形時に おける凸部12Tの厚さt2と表皮20の厚さt1との和 は、厚さ3(mm)としているので、頂部11T付近に 置するエッジ近傍表皮20Tの厚さt1は、t1=1.5(m m)となり、表皮20の基準厚さSt(5mm)に対し、そ 30%に相当する厚さまで圧縮されている。

 (2)インストルメントパネル1の車幅方向中央 部
 車幅方向中央部の表皮被膜部2では、図1に すように、乗車する人から見える位置に、 えば、ナビゲーションシステムのモニタや アコンのスイッチ類等の取付ユニット30を収 納するための開口10Sを囲う開口外枠縁部4が 成されている。この開口外枠縁部4では、イ ストルメント基材10の角部11は、図4及び図5 示すように、インストルメント基材10のう 、図4等に示す第4部位Q1と第5部位Q2との間に 置しており、頂部11Tを境に折り返された形 となっている。インストルメント基材10に 、追込み部12が設けられ、この追込み部12の ち、角部11にその稜線ILとなる凸部12Tが形成 されている。
 表皮被膜部2の凸部形成部3では、角部11の頂 部11T付近における凸部12Tの厚さt2が、本実施 態では、t2=2(mm)となっている。これにより 成形時における凸部12Tの厚さt2と表皮20の厚 t1との和は、厚さ3(mm)としているので、頂部 11T付近に位置するエッジ近傍表皮20Tの厚さt1 、t1=1(mm)となり、表皮20の基準厚さSt(5mm)に し、その20%に相当する厚さまで圧縮されて る。

 (3)助手席側のグローブボックス周囲
 グローブボックス周囲の表皮被膜部2では、 図1に示すように、乗車する人から見える位 に、グローブボックスである取付ユニット30 を収納するための開口10Sを囲う開口外枠縁部 4が形成されている。この開口外枠縁部4では インストルメント基材10の角部11は、図6及 図7に示すように、インストルメント基材10 うち、図7等に示す第6部位R1と第8部位R3との に位置しており、頂部11Tを境に緩やかに折 返された形態となっている。インストルメ ト基材10には、追込み部12が設けられ、この 追込み部12のうち、角部11にその稜線ILとなる 凸部12Tが形成されている(図1参照)。
 表皮被膜部2の凸部形成部3のうち、第6部位R 1と第7部位R2との間では、凸部12Tの厚さt2は、 本実施形態では、t2=1.5(mm)となっており、表 20の厚さt1は、その基準厚さSt(5mm)に対し、30% に相当する厚さまで圧縮されている。
 また、第7部位R2から第8部位R3にかけて、凸 12Tは、角部11の頂部11Tから遠ざかるにつれ 凸部12Tの厚みt2が次第に小さくなるテーパ形 状で形成されている。そして、凸部12Tに続く 追込み部12は、第8部位R3を超えたところでt2=0 (mm)となっている。これにより、第7部位R2か 第8部位R3に向けて延設された凸部12T(追込み 12)では、表皮20の厚さt1は、その基準厚さSt( 5mm)に対し、30~60%に相当する厚さに圧縮され いる。

 (4)クラスタ周囲
 クラスタ周囲の表皮被膜部2では、図1に示 ように、乗車する人から見える位置に、例 ば、ナビゲーションシステムのモニタ等の 付ユニット30を収納するための開口10Sを囲う 開口外枠縁部4が形成されている。この開口 枠縁部4では、インストルメント基材10の角 11は、図8に示すように、インストルメント 材10のうち、図8に示す第9部位D1と第11部位D3 の間に位置しており、頂部11Tを境に釣り針 に折り返された形態となっている。インス ルメント基材10には、その角部11の稜線ILと る凸部12Tが形成されている(図1参照)。
 本実施形態では、表皮被膜部2の凸部形成部 3のうち、第9部位D1と第10部位D2との間では、 部12Tの厚さt2は、t2=1.5(mm)となっており、表 20の厚さt1は、その基準厚さSt(5mm)に対し、30 %に相当する厚さまで圧縮されている。また 第10部位D2と第11部位D3との間では、凸部12Tの 厚さt2は、t2=2(mm)となっており、表皮20の厚さ t1は、その基準厚さSt(5mm)に対し、20%に相当す る厚さまで圧縮されている。

  本実施形態のインストルメントパネル1は 可撓性を有する表面部材21と該表面部材21の 裏面側BFに形成された発泡層22とからなる表 20と、インストルメント基材10とを備え、表 20の発泡層22とインストルメント基材10とが 空成形により一体に密着して成形されるイ ストルメントパネル1であって、インストル メント基材10に表皮20が覆われる表皮被覆部2 、当該インストルメント基材10の厚み方向TH のうち、表皮20を覆う表面側SFに、当該イン トルメント基材10の角部11の稜線ILに凸部12T 形成されているので、当該インストルメン 基材10の角部11では、真空成形時に表皮20が 内から型の外部に向けて吸引されたときで 、表皮20とインストルメント基材10との間に 間ができずに、この凸部12Tに沿って表皮20 凸部12Tと一体に密着することができる。
 したがって、図1に示すように、表皮20が、 空成形法により、インストルメント基材10 角部11の凸部12Tに沿ったシャープエッジなデ ザイン意匠で成形されたRV車(自動車)のイン トルメントパネル1が得られる。

 ところで、例えば、特許文献2に開示された 従来の自動車のインストルメントパネルでは 、インストルメント基材と表皮との型締め後 、表皮は、型締め前の表皮の厚みを100%とし 場合、最大50%の厚みになるまで発泡層で圧 させている。
 すなわち、従来の自動車のインストルメン パネルにおいて、例えば、型締め前の表皮 厚みを5(mm)とすると、型締め時の表皮の厚 は、最大2.5(mm)になるまで圧縮されているこ になる。
 これに対し、本実施形態のインストルメン パネル1は、(1)運転席側のコックピット周囲 ~(4)クラスタ周囲の4つの部分を代表して説明 たように、表皮被覆部2の凸部形成部3では 表皮20は、その基準厚さStの20%を下限とする さまで圧縮されてなる。具体的には、例え 、(2)インストルメントパネル1の車幅方向中 央部における凸部形成部3では、エッジ近傍 皮20Tは、厚さt1=1(mm)になるまで圧縮されてい る。
 本実施形態のインストルメントパネル1と従 来の自動車のインストルメントパネルとを対 比してみると、型締め前の表皮の厚みがいず れも厚さ5(mm)であっても、本実施形態のイン トルメントパネル1では、表皮20は、厚さ1(mm )を下限とする厚さまで圧縮されているのに し、従来の自動車のインストルメントパネ では、表皮の厚みが最大2.5(mm)に留まってい 。
 上述した例示のように、本実施形態のイン トルメントパネル1では、表皮20は、t1=厚さ1 (mm)を下限とする厚さまで圧縮されている。
 したがって、表皮20は、凸部12Tの形状にほ 沿った形態に成形できるようになり、凸部 成部3は、図1に示すように、表皮20の稜線IL 1本線条となるシャープエッジ形状のデザイ 意匠となる。

 また、本実施形態のインストルメントパネ 1は、凸部12Tは、インストルメント基材10の 部11から遠ざかるにつれて当該凸部12Tの厚 t2が次第に小さくなるテーパ形状で形成され ているので、(3)助手席側のグローブボックス 周囲を例示して説明したように、成形時に、 表皮20の厚み(t1)分と凸部12Tの厚み(t2)分との が一定である当該インストルメントパネル1 は、凸部12Tの厚みt2が小さくなるにつれて 表皮12の厚みt1は大きくできる。
 このため、図7及び図8に示すように、当該 ンストルメントパネル1において、インスト メント基材10の角部11が位置する部位(図7等 示す第6部位R1と第7部位R2との間の部位)では 、表皮20の厚みt1が小さくなり、表皮20は、図 1に示すように、その稜線ILが1本線条となる ャープエッジ形状に成形される。
 その一方、インストルメント基材10の角部11 から遠ざかるにつれて凸部12の厚みが次第に さくなる部位(図7等に示す第7部位R2から第8 位R3を超えた部位)では、表皮20の厚みt1は、 角部11から遠ざかるにつれて大きくなってい 。これにより、表皮20にクッション性が次 に大きく生じるようになり、これに伴い表 にソフト感が出てくる。
 したがって、当該インストルメントパネル1 の表皮20は、インストルメント基材10の角部11 に相当する位置では、図1に示すように、表 20の稜線ILがはっきりとシャープエッジ形状 表れたデザイン意匠となり、この角部11か 遠ざかったところでは、ソフト感を備えた ザイン意匠となる。

 また、本実施形態のインストルメントパネ 1は、乗車する人から見える位置に、別体で ある取付ユニット30を収納するための開口10S 囲う開口外枠縁部4を備え、凸部12tは、開口 外枠縁部4に設けられているので、(1)運転席 のコックピット周囲~(4)クラスタ周囲の4つの 角部11を代表して説明したように、この開口 枠縁部4におけるインストルメント基材10の 部11では、表皮20は凸部12Tの形状に沿ったシ ャープなエッジ形状となり、図1に示すよう 、表皮20の稜線ILも1本線条のデザイン意匠と なる。その一方で、開口10Sに収納される取付 ユニット30が、その稜線30Lが一本の線で見え 形態になっていると、取付ユニット30の稜 30Lと、インストルメントパネル1の開口外枠 部4の稜線ILとが2本並んだ形態になる(図1参 )。
 したがって、このような2本の稜線IL,30Lが並 んで配置された当該インストルメントパネル 1では、このインストルメントパネル1を備え RV車(自動車)に乗る人から見ると、当該イン ストルメントパネル1の開口外枠縁部4の稜線I Lがはっきりと表れるようになるので、美感 持って当該インストルメントパネル1は見え ようになる。

 次に、本実施形態のインストルメントパネ 1の製造方法について、図9~図15を用いて説 する。
 インストルメントパネル1の製造には、公知 な構造で構成された真空成形装置50が用いら る。そこで、まず真空成形装置50について 単に説明する。
 この真空成形装置50は、予め所定形状に成 されたインストルメント基材10とシート状の 表皮20とを真空成形法により一体に密着させ インストルメントパネル1を成形する装置で ある。この真空成形装置50は、いずれも型開 方向(図12~図15中、上下方向)に昇降可能な基 材側吸引型51及び表皮側吸引型52と、引張方 (図12~図15中、左右方向)にテンションをかけ 表皮20を保持する複数のクランプ具55と、ヒ ータ56等とから構成されている。

  基材側吸引型51は、1次成形されたイン トルメント基材10の形状に沿う型形状に形成 され、微小径で、当該基材側吸引型51の内外 連通する微小孔(図示しない)を複数有して る。この基材側吸引型51の微小孔は、図示し ない吸引装置と気密に接続されている。

  表皮側吸引型52は、インストルメントパネ ル1の表皮被膜部2の形状に沿う型形状に形成 れ、微小径で、当該表皮側吸引型52の内外 連通する微小孔(図示しない)を複数有してい る。この表皮側吸引型52の微小孔は、図示し い吸引装置と気密に接続されている。
  基材側吸引型51及び表皮側吸引型52は、真 成形装置50の昇降機構に装着されており、 12に示す型開き位置と図13等に示す型締め位 との間の型開閉方向に移動可能に構成され いる。基材側吸引型51と表皮側吸引型52とが 型締めされたとき、基材側吸引型51及び表皮 吸引型52の内部には、インストルメント基 10と表皮20とを収容するための成形空間50Sが 成される。

 クランプ具55は、基材側吸引型51と表皮側吸 引型52との型開閉方向の間で、表皮20の引張 向両端側の端縁を把持し、この表皮20をほぼ 水平に保持する。
  ヒータ56は、クランプ具55で水平に保持さ た状態の表皮20を、その厚み方向THの両面側 、すなわち表面部材21の表面側SF及び発泡層22 の裏面側BFから加熱して軟化させる。このヒ タ56は、基材側吸引型51と表皮側吸引型52と 型開き時では、表皮20に沿う位置にあり、 締め時では、基材側吸引型51及び表皮側吸引 型52との干渉を回避する待機位置(図示しない )まで移動可能に構成されている。

 次いで、インストルメントパネル1の製造工 程について説明する。
 インストルメント基材10は、予め所定形状 1次成形されている。表皮20は、表面部材21と 発泡層22とが厚さt1=5(mm)で一体に溶着されて り、図11に示すように、所定サイズに裁断さ れている。
 次に、インストルメント基材10が、図12に示 すように、基材側吸引型51にセットされる。 皮20は、クランプ具55によって把持され、所 定位置に水平に保持された状態で、ヒータ56 よって両面側から加熱される。そして、表 20が、加熱により軟化した状態になると、 ータ56は待機位置に移動する。
 次に、基材側吸引型51が所定位置まで上昇 て、表皮20の発泡層22がインストルメント基 10の表面10aに被せられる。この基材側吸引 51がさらに下降することで、図13~図15に示す うに、基材側吸引型51と表皮側吸引型52とが 型締めされる。これにより、表皮20の発泡層2 2とインストルメント基材10の表面10aとが密着 した表皮被覆部2が、成形空間50S内で得られ 。

  型締め後、本発明の第1吸引工程、圧力 還元工程及び第2吸引工程がこの順序で行わ れる。第1吸引工程では、図13に示すように、 表皮20を、所定時間(本実施形態では例えば5 間)、所定の真空圧力値で、その表面部材21 から表皮側吸引型52の微小孔を通じて吸引す る。これにより、表皮被膜部2のうち、イン トルメント基材10の凸部12Tと一体に成形され る凸部形成部3(図3、図5、図7、図8参照)が表 側吸引型51の型形状に沿った、例えば、角エ ッジまたは微小R形状等のシャープエッジ形 に成形されると共に、表皮20の表面部材21に ボ転写が行われる。

  次いで、第1吸引工程において、成形空間5 0S内は真空状態になっていたので、圧力値還 工程では、基材側吸引型51と表皮側吸引型52 との成形空間50Sにおける真空圧力値を大気圧 の圧力値に強制的に戻す。そして、成形空間 50S内が大気圧の圧力値になったら、図14に示 ように、成形空間50S内が大気圧の圧力値に っている状態を、所定時間(本実施形態では 例えば2秒間)保持させる。
  次いで、第2吸引工程では、図15に示すよ に、表皮20を、所定時間(本実施形態では例 ば9.5秒間)、所定の真空圧力値で、その発泡 22側から基材側吸引型51及びインストルメン ト基材10の通気部10Hを通じて吸引する。

 本実施形態のインストルメントパネル1の製 造方法では、第1吸引工程の後、第2吸引工程 前に、圧力値還元工程を行っているので、 2吸引工程を行うときには、第1吸引工程で 形された表皮被膜部2、特に凸部形成部3は、 表皮側吸引型51の型形状に沿った形状に維持 れた状態になっている。このため、第2吸引 工程で、表皮20をその発泡層22側から基材側 引型51及びインストルメント基材10の通気部1 0Hを通じて吸引し、表皮20とインストルメン 基材10との間にある空気を脱気したとしても 、真空成形後、表皮20のエッジ部、すなわち 部形成部3は、シャープエッジ形状を維持し たまま、表皮20がインストルメント基材に接 されている。
  また、第1吸引工程の後、第2吸引工程の前 に、圧力値還元工程を行っている。このため 、吸引により、表皮20とインストルメント基 10とが互いに離間する方向に同時に引き離 れないので、表皮20とインストルメント基材 10とが、基材側吸引型側51と表皮側吸引型側52 の両方から表皮20を同時に真空引きする場合 比べて、より適切に密着できる。

 ところで、インストルメントパネル1のうち 、例えば、参照する図1及び図4に示す車幅方 中央部付近では、図9に示すように、インス トルメント基材10に複数のリブ10RBが設けられ ている。これらの隣接するリブ10RB,10RB同士は 、所定の間隔で離間しており、リブ10RB,10RB間 では、インストルメント基材10の裏面側BF(図9 中下方)は空間になっている。
 表面部材21と発泡層22とが一体になった表皮 20が、インストルメント基材10の表面10aに密 したインストルメントパネル1では、インス ルメント基材10の表面10aの一部に、当該イ ストルメント基材10の厚み方向に微小に凹ん だ凹部10Dが、隣接するリブ10RB,10RB同士の間に 生じていることがある(図9及び図10参照)。

 このような凹部10Dを有したインストルメ ト基材10と表皮20とを、基材側吸引型51及び 皮側吸引型52で型締めし、基材側吸引型51側 と表皮側吸引型52側の両方から表皮20を同時 真空引きすると、表皮20の発泡層22の一部が ンストルメント基材10の凹部10Dに沿って凹 ながら、この発泡層22の一部と表皮20の表面 材21とが互いに引き離される方向に同時に 引されてしまう。すると、表皮20は型締め前 に予め加熱されているため、熱により表面部 材21と発泡層22とがこれらの境界部で相反す 向きに微小に膨れるが、双方向から同時に 引することにより、凹んだ状態の発泡層22と 表面部材21とが双方向に同時に変形して、両 の間に大きな空隙が生じることもある。こ ような空隙のある表皮20をインストルメン 基材10の表面10に密着させると、表皮20にお て、空隙のある部分だけが、他の部分より 隆起してしまい、インストルメントパネル デザイン意匠は悪化してしまう。

 これに対し、本実施形態のインストルメ トパネル1の製造方法では、第1吸引工程の 、圧力値還元工程を経て第2吸引工程を行う で、表皮20は、基材側吸引型51及び表皮側吸 引型52によって同時に吸引されない。このた 、図9及び図10に示すように、微小の凹部10D 有したインストルメント基材20と表皮20とを 密着させる場合でも、表皮20の表面部材21側 先に吸引されるので、凹部10Dの有無に拘わ ず、表皮20の成形が行われる。なお、図9は 本実施形態に係るインストルメントパネル1 製造方法の作用及び効果について、補足的 説明するための説明図である。図10は、図9 、一点鎖線内で示したS部を拡大して示す拡 大断面図である。

  その一方、第2吸引工程で表皮20の発泡層22 側が吸引されて、発泡層22の一部がインスト メント基材10の凹部10Dに沿って多少凹むこ もあるが、発泡層22側の吸引のとき、表面部 材21側を吸引していない分、多少凹んだ発泡 22は、表面部材21と互いに引き離れようとし ない(図9及び図10参照)。
 この結果、凹んだ状態の発泡層22と表面部 21との間に生じる空隙23Sは、基材側吸引型51 と表皮側吸引型52側の両方から表皮20を同時 に真空引きする場合と比べて、小さく抑制さ れる。
 したがって、表皮20をインストルメント基 10の表面10aに密着させた後、表皮20において 小さく抑制された空隙23Sのある部分を、必 に応じて補修することができるようになり この空隙23sの存在に起因して、インストル ントパネル1のデザイン意匠が悪化してしま うことを回避することができる。

 以上において、本発明を実施形態に即して 明したが、本発明は上述の実施形態に限定 れるものではなく、その要旨を逸脱しない 囲で、適宜変更して適用できることはいう でもない。
  (1)例えば、本実施形態では、インストル ントパネル1のうち、(1)運転席側のコックピ ト周囲~(4)クラスタ周囲、の4つの角部11を代 表して例示し、開口外枠縁部4におけるイン トルメント基材10の角部11を説明した。
  しかしながら、開口外枠縁部におけるイ ストルメント基材の角部の位置は、本実施 態で例示した4つの角部以外にも、インスト メントパネルの表皮被膜部において、別体 ある取付ユニットを収納するための開口を う位置にあればよい。

  (2)また、本実施形態では、真空成形前 状態における表皮20の厚さt1(基準厚さSt)を、 表面部材21が1(mm)、発泡層22が4(mm)で、表皮20 体でt1=5(mm)の厚さとした。しかしながら、真 空成形前の状態における表皮の厚さt1(基準厚 さSt)は、本実施形態の厚みに限定されるもの ではなく、適宜変更可能である。

  (3)また、本実施形態では、表皮20の表面 部材21の材質について、サーモプラスチック レフィン(TPO)を例示した。しかしながら、 皮における表面部材の材質は、TPO以外にも 例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)等のように、可 撓性を有し、真空成形法に適す樹脂であれば 、種々変更可能である。

  (4)また、本実施形態では、表皮20の発泡 層22の材質について、ポリプロピレン発泡体( PPフォーム)を例示した。しかしながら、表皮 における発泡層の材質は、PPフォーム以外に 、例えば、発泡PVC等のように、真空成形法 適す樹脂であれば、種々変更可能である。

  (5)また、本実施形態では、インストル ント基材10の材質について、ポリプロピレン (PP)を例示した。しかしながら、インストル ント基材の材質は、PP以外にも、例えば、ポ リカーボネート(PC)、アクリロニトリル・ブ ジエン・スチレン三元共重合体(ABS)、ガラス 繊維強化アクリロニトリル・スチレン(ASG)等 合成樹脂であっても良い。

 以上の説明から明らかなように、本発明に れば、インストルメント基材を覆った表皮 デザイン意匠となる自動車のインストルメ トパネルにおいて、インストルメント基材 角部で、表皮が、真空成形法によりシャー なエッジを持つデザイン意匠で成形された 動車のインストルメントパネルを提供する とができる。