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Patent Searching and Data


Title:
BEARING DEVICE FOR WHEEL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/149512
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] A bearing device for a wheel, in which a seal has improved sealing performance and in which bearing performance is maintained for a long period. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] A base section (6b) of a wheel installation flange (6) is formed in a circular arc shape. A metal ring (12) installed on the base section (6b) is constructed by press working from a steel plate and has a circular tube-shaped fitting section (12a), a circular arc-shaped curve section (12b), a circular plate section (12c) made to be in intimate contact with a side surface (6c), and an umbrella section (12d) extending axially away from the wheel installation flange (6). The seal (8) includes a core (13) fitted in an outer member (2) and also includes a seal member (14) having side lips (14a, 14b) that extend radially outward in an inclined manner and further having a grease lip (14c) that extends toward the inside of a bearing. Each seal lip is in sliding contact with the metal ring (12). The umbrella section (12d) is constructed so as to face the outer peripheral surface (2c) of the outer member (2) with a radial gap (A) of 1 mm or less in diameter maintained in between and so as to have a tapered shape gradually expanded in diameter toward an end section at an inclination angle θ of 15˚ or less.

Inventors:
SHIGEOKA KAZUHISA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/001327
Publication Date:
December 11, 2008
Filing Date:
May 28, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
SHIGEOKA KAZUHISA (JP)
International Classes:
B60B35/18; B60B35/02; F16C19/18; F16C33/80
Foreign References:
JP2005291485A2005-10-20
JP2005337423A2005-12-08
JP2005212713A2005-08-11
Attorney, Agent or Firm:
KOSHIKAWA, Takao (111-2 Itayamachi, Naka-ku, Hamamatsu-sh, Shizuoka 91, JP)
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Claims:
 外周に懸架装置に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
 一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪に嵌合された内輪または等速自在継手の外側継手部材からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
 この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体と、
 前記外方部材と内方部材とで形成される環状空間の開口部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受装置において、
 前記車輪取付フランジのインナー側の基部が円弧状に形成され、この基部に装着される金属環が鋼板からプレス加工にて形成され、前記ハブ輪の肩部に外嵌される円筒状の嵌合部と、前記基部の形状に対応して円弧状に形成された湾曲部と、この湾曲部から径方向外方に延び、前記車輪取付フランジのインナー側の側面に密着される円板部と、この円板部の外径部から前記車輪取付フランジに対して軸方向に離間して延びる傘部とを備え、
 前記シールのうちアウター側のシールが、前記外方部材の端部内周に嵌合される芯金と、この芯金に一体に接合され、径方向外方に傾斜して延びるサイドリップと、軸受内方側に傾斜して延びるグリースリップとを有するシール部材からなり、このシール部材のサイドリップおよびグリースリップが前記金属環に摺接されると共に、
 前記金属環の傘部が、前記外方部材の外周面に対して僅かな径方向すきまを介して対向し、所定の傾斜角が設けられて端部に向って漸次拡径するテーパ状に形成されていることを特徴とする車輪用軸受装置。
 前記金属環の傘部と前記外方部材の外周面との径方向すきまが直径で1mm以下に設定されると共に、前記傘部の傾斜角が15°以下に設定されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
 前記基部が所定の曲率半径rからなる円弧面に形成されると共に、この円弧面に対応して前記金属環の湾曲部が所定の曲率半径Rからなる円弧面に形成され、それぞれの曲率半径R、rがR≧rになるように設定されている請求項1または2に記載の車輪用軸受装置。
 前記金属環に軸方向に突出した弾性リップが一体に接合され、所定のシメシロを介して前記車輪取付フランジのインナー側の側面に弾性接触している請求項1乃至3いずれかに記載の車輪用軸受装置。
 前記金属環の素材となる鋼板の表面粗さがRa0.2~0.6の範囲に設定されている請求項1乃至4いずれかに記載の車輪用軸受装置。
 前記金属環が耐食性を有する鋼板で形成されている請求項1乃至5いずれかに記載の車輪用軸受装置。
Description:
車輪用軸受装置

 本発明は、自動車等の車輪を回転自在に 承する車輪用軸受装置、特に、密封性能の 上を図った車輪用軸受装置に関するもので る。

 従来から自動車等の車輪を支持する車輪 軸受装置は、車輪を取り付けるためのハブ を転がり軸受を介して回転自在に支承する ので、駆動輪用と従動輪用とがある。構造 の理由から、駆動輪用では内輪回転方式が 従動輪用では内輪回転と外輪回転の両方式 一般的に採用されている。この車輪用軸受 置には、所望の軸受剛性を有し、ミスアラ メントに対しても耐久性を発揮すると共に 燃費向上の観点から回転トルクが小さい複 アンギュラ玉軸受が多用されている。一方 オフロードカーやトラック等、車体重量が む車両には複列円錐ころ軸受が使用されて る。

 これらの車輪用軸受装置は泥水等がかか 易い部位に配置されるため、シール装置が 着されて外方部材と内方部材との間を密封 るように構成されている。一般的に、シー 装置は、シールリップを備えたシール部材 固定側部材となる外方部材に装着され、シ ルリップが内方部材の外周面に摺接されて る。

 こうした車輪用軸受装置の一例を図3に示 す。この車輪用軸受装置50は、車体側に非回 に取り付けられる外輪部材(外方部材)51と、 外輪部材51にボール(図示せず)を介して回転 持される内輪部材(内方部材)52とを有し、車 (図示せず)は内輪部材52に固定されて車体に 対して回転可能とされている。そして、車輪 用軸受装置50は、泥水等がかかり易い場所に 置されるため、密封装置を配置して内輪部 52と外輪部材51との間を密封するように構成 されている。

 この密封装置は、外輪部材51の端部内周 嵌着されたシール部材53と、ハブ輪54の車輪 付フランジ55の基部56に嵌着された金属環57 からなる。シール部材53は、円環状の弾性 ール体58と、この弾性シール体58を保持する 金59とから構成されている。弾性シール体58 は、円環状の3個のシールリップ58a、58b、58c 有しており、シールリップ58aはハブ輪54のフ ランジ面54aに、シールリップ58bはハブ輪54の ール面54bに、また、シールリップ58cは、ハ 輪54の肩部外周面54cに、それぞれ近接して 置されるように形成されている。

 金属環57は、ハブ輪54の肩部外周面54cに嵌 合される嵌合部57aと、ハブ輪54のフランジ面5 4aに密着される鍔部57bと、この鍔部57bの外径 周縁部に、ハブ輪54のフランジ面54aから離 する方向に断面略クランク状に形成された ール装着部57cと、さらに、外輪部材51の面取 り部51aに沿って軸方向に延設された非接触シ ール部57dとを有している。非接触シール部57d の内周面と外輪部材51の面取り部51aおよび外 面51bとの隙間Cは極めて狭い寸法に設定され ている。

 そして、金属環57の鍔部57bをハブ輪54のフ ランジ面54aに密着させて、金属環57の嵌合部5 7aをハブ輪54の肩部外周面54cに嵌合させた時 フランジ面54aとシール装着部57cとの間に形 されたシール空間に弾性体60が装着されてい る。また、非接触シール部57dの内周面と外輪 部材51の面取り部51aおよび外周面51bとによっ ラビリンスが形成されている。

 シール空間に装着された弾性体60のシール 果により、金属環57とハブ輪54との嵌合部に 水等が侵入するのを防止すると共に、非接 シール部57dの内周面と外輪部材51の面取り 51aおよび外周面51bとによって形成されたラ リンスの効果により、シール部材53と金属環 57との摺接部に泥水等が侵入するのを防止す ことができる。

特開2005-291485号公報

 こうした従来の車輪用軸受装置の密封装 では、非接触シール部57dの内周面と外輪部 51の面取り部51aおよび外周面51bとによって 成されたラビリンスの効果により、シール 材53と金属環57との摺接部に泥水等が侵入す のを防止することができる特徴を備えてい 。然しながら、この僅かな隙間Cから一旦侵 入した泥水等は外部に排出され難いと言う問 題があった。そして、弾性シール体58上に滞 した泥水等がシールリップ58aの摺接面に付 してシールリップ58aを摩耗させる可能性が り、長期間に亘って安定した密封性を保持 るのは難しい。

 本発明は、このような事情に鑑みてなさ たもので、シールの密封性能の向上を図り 軸受性能を長期間に亘って維持することが きる車輪用軸受装置を提供することを目的 している。

 係る目的を達成すべく、本発明のうち請 項1記載の発明は、外周に懸架装置に取り付 けられるための車体取付フランジを一体に有 し、内周に複列の外側転走面が一体に形成さ れた外方部材と、一端部に車輪を取り付ける ための車輪取付フランジを一体に有し、外周 に小径段部が形成されたハブ輪、およびこの ハブ輪に嵌合された内輪または等速自在継手 の外側継手部材からなり、外周に前記複列の 外側転走面に対向する複列の内側転走面が形 成された内方部材と、この内方部材と前記外 方部材の両転走面間に保持器を介して転動自 在に収容された複列の転動体と、前記外方部 材と内方部材とで形成される環状空間の開口 部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受 装置において、前記車輪取付フランジのイン ナー側の基部が円弧状に形成され、この基部 に装着される金属環が鋼板からプレス加工に て形成され、前記ハブ輪の肩部に外嵌される 円筒状の嵌合部と、前記基部の形状に対応し て円弧状に形成された湾曲部と、この湾曲部 から径方向外方に延び、前記車輪取付フラン ジのインナー側の側面に密着される円板部と 、この円板部の外径部から前記車輪取付フラ ンジに対して軸方向に離間して延びる傘部と を備え、前記シールのうちアウター側のシー ルが、前記外方部材の端部内周に嵌合される 芯金と、この芯金に一体に接合され、径方向 外方に傾斜して延びるサイドリップと、軸受 内方側に傾斜して延びるグリースリップとを 有するシール部材からなり、このシール部材 のサイドリップおよびグリースリップが前記 金属環に摺接されると共に、前記金属環の傘 部が、前記外方部材の外周面に対して僅かな 径方向すきまを介して対向し、所定の傾斜角 が設けられて端部に向って漸次拡径するテー パ状に形成されている。

 このように、外方部材と内方部材との間 形成される環状空間の開口部にシールが装 された車輪用軸受装置において、車輪取付 ランジのインナー側の円弧状に形成された 部に金属環が装着され、この金属環が鋼板 らプレス加工にて形成され、ハブ輪の肩部 外嵌される円筒状の嵌合部と、基部の形状 対応して円弧状に形成された湾曲部と、こ 湾曲部から径方向外方に延び、車輪取付フ ンジのインナー側の側面に密着される円板 と、この円板部の外径部から車輪取付フラ ジに対して軸方向に離間して延びる傘部と 備え、シールのうちアウター側のシールが 外方部材の端部内周に嵌合される芯金と、 の芯金に一体に接合され、径方向外方に傾 して延びるサイドリップと、軸受内方側に 斜して延びるグリースリップとを有するシ ル部材からなり、このシール部材のサイド ップおよびグリースリップが金属環に摺接 れると共に、金属環の傘部が、外方部材の 周面に対して僅かな径方向すきまを介して 向し、所定の傾斜角が設けられて端部に向 て漸次拡径するテーパ状に形成されている で、傘部の内周面と外方部材の外周面とに って形成されたラビリンス効果により、シ ルと金属環との摺接部に泥水等が侵入する を防止することができると共に、この僅か 径方向すきまから泥水等が侵入したとして 、金属環の回転に伴う遠心力、および金属 の傘部がテーパ状に形成されていることに って容易に外部に排出され、シールの密封 能の向上を図り、軸受性能を長期間に亘っ 維持することができる車輪用軸受装置を提 することができる。

 好ましくは、請求項2に記載の発明のよう に、前記金属環の傘部と前記外方部材の外周 面との径方向すきまが直径で1mm以下に設定さ れると共に、前記傘部の傾斜角が15°以下に 定されていれば、傘部が外方部材と干渉す ことなく、有効にラビリンス効果を発揮し 密封性を高めることができる。

 また、請求項3に記載の発明のように、前 記基部が所定の曲率半径rからなる円弧面に 成されると共に、この円弧面に対応して前 金属環の湾曲部が所定の曲率半径Rからなる 弧面に形成され、それぞれの曲率半径R、r R≧rになるように設定されていれば、金属環 を基部に嵌合した時に基部の円弧面に金属環 の湾曲部が干渉して浮き上がるのを防止する ことができ、車輪取付フランジの側面と金属 環の円板部との間にすきまが生じるのを防止 することができる。これにより、両者が密着 してサイドリップのシメシロのバラツキを抑 え、安定した密封性を確保することができる 。

 また、請求項4に記載の発明のように、前 記金属環に軸方向に突出した弾性リップが一 体に接合され、所定のシメシロを介して前記 車輪取付フランジのインナー側の側面に弾性 接触していれば、金属環が浮き上がるのを防 止して密着性を高めると共に、車輪取付フラ ンジの側面と金属環の円板部との間から異物 が侵入するのを防止して基部および金属環の 装着部の発錆を長期間に亘って防止すること ができる。

 また、請求項5に記載の発明のように、前 記金属環の素材となる鋼板の表面粗さがRa0.2~ 0.6の範囲に設定されていれば、良好なシール 摺接面を得ることができ、リップ摩耗を抑制 すると共に、劣悪な環境で使用されても、シ ールの密封性能の維持を図ることができる。

 また、請求項6に記載の発明のように、前 記金属環が耐食性を有する鋼板で形成されて いれば、長期間に亘って発錆を防止して密封 性を維持することができる。

 本発明に係る車輪用軸受装置は、外周に 架装置に取り付けられるための車体取付フ ンジを一体に有し、内周に複列の外側転走 が一体に形成された外方部材と、一端部に 輪を取り付けるための車輪取付フランジを 体に有し、外周に小径段部が形成されたハ 輪、およびこのハブ輪に嵌合された内輪ま は等速自在継手の外側継手部材からなり、 周に前記複列の外側転走面に対向する複列 内側転走面が形成された内方部材と、この 方部材と前記外方部材の両転走面間に保持 を介して転動自在に収容された複列の転動 と、前記外方部材と内方部材とで形成され 環状空間の開口部に装着されたシールとを えた車輪用軸受装置において、前記車輪取 フランジのインナー側の基部が円弧状に形 され、この基部に装着される金属環が鋼板 らプレス加工にて形成され、前記ハブ輪の 部に外嵌される円筒状の嵌合部と、前記基 の形状に対応して円弧状に形成された湾曲 と、この湾曲部から径方向外方に延び、前 車輪取付フランジのインナー側の側面に密 される円板部と、この円板部の外径部から 記車輪取付フランジに対して軸方向に離間 て延びる傘部とを備え、前記シールのうち ウター側のシールが、前記外方部材の端部 周に嵌合される芯金と、この芯金に一体に 合され、径方向外方に傾斜して延びるサイ リップと、軸受内方側に傾斜して延びるグ ースリップとを有するシール部材からなり このシール部材のサイドリップおよびグリ スリップが前記金属環に摺接されると共に 前記金属環の傘部が、前記外方部材の外周 に対して僅かな径方向すきまを介して対向 、所定の傾斜角が設けられて端部に向って 次拡径するテーパ状に形成されているので 金属環の傘部の内周面と外方部材の外周面 によって形成されたラビリンス効果により シールと金属環との摺接部に泥水等が侵入 るのを防止することができると共に、この かな径方向すきまから泥水等が侵入したと ても、金属環の回転に伴う遠心力、および 属環の傘部がテーパ状に形成されているこ によって容易に外部に排出され、サイドリ プ上に滞留することはない。したがって、 水等がサイドリップの摺接面に付着して摩 するのを防止し、長期間に亘って安定した 封性を保持することができる。

 外周に懸架装置に取り付けられるための 体取付フランジを一体に有し、内周に複列 外側転走面が一体に形成された外方部材と 一端部に車輪を取り付けるための車輪取付 ランジを一体に有し、外周に前記複列の外 転走面の一方に対向する内側転走面と、こ 内側転走面から軸方向に延びる小径段部が 成されたハブ輪、およびこのハブ輪に嵌合 れ、外周に前記複列の外側転走面の他方に 向する内側転走面が形成された内輪からな 内方部材と、この内方部材と前記外方部材 両転走面間に保持器を介して転動自在に収 された複列の転動体と、前記外方部材と内 部材とで形成される環状空間の開口部に装 されたシールとを備えた車輪用軸受装置に いて、前記車輪取付フランジのインナー側 基部が円弧状に形成され、この基部に装着 れる金属環が耐食性を有する鋼板からプレ 加工にて形成され、前記ハブ輪の肩部に外 される円筒状の嵌合部と、前記基部の形状 対応して円弧状に形成された湾曲部と、こ 湾曲部から径方向外方に延び、前記車輪取 フランジのインナー側の側面に密着される 板部と、この円板部の外径部から前記車輪 付フランジに対して軸方向に離間して延び 傘部とを備え、前記シールのうちアウター のシールが、前記外方部材の端部内周に嵌 される芯金と、この芯金に一体に接合され 径方向外方に傾斜して延びるサイドリップ 、軸受内方側に傾斜して延びるグリースリ プとを有するシール部材からなり、このシ ル部材のサイドリップおよびグリースリッ が前記金属環に摺接されると共に、前記金 環の傘部が、前記外方部材の外周面に直径 1mm以下の径方向すきまを介して対向し、傾 角が15°以下に設定されて端部に向って漸次 拡径するテーパ状に形成されている。

 以下、本発明の実施の形態を図面に基づい 詳細に説明する。
 図1は、本発明に係る車輪用軸受装置の一実 施形態を示す縦断面図、図2は、図1の要部拡 図である。なお、以下の説明では、車両に み付けた状態で車両の外側寄りとなる側を ウター側(図面左側)、中央寄り側をインナ 側(図面右側)という。

 この車輪用軸受装置は第3世代と呼称され る従動輪用であって、内方部材1と、この内 部材1に複列の転動体(ボール)3を介して外挿 れた外方部材2とを備えている。内方部材1 、ハブ輪4と、このハブ輪4に固定された内輪 5とからなる。

 ハブ輪4は、アウター側の端部に車輪(図 せず)を取り付けるための車輪取付フランジ6 を一体に有し、外周に一方(アウター側)の内 転走面4aと、この内側転走面4aから軸方向に 延びる小径段部4bが形成されている。車輪取 フランジ6にはハブボルト6aが周方向等配に 設されている。内輪5は、外周に他方(イン ー側)の内側転走面5aが形成され、ハブ輪4の 径段部4bに所定のシメシロを介して圧入さ 、小径段部4bの端部を径方向外方に塑性変形 させて形成した加締部4cによってハブ輪4に対 して軸方向に固定されている。

 ハブ輪4はS53C等の炭素0.40~0.80wt%を含む中 炭素鋼で形成され、車輪取付フランジ6のイ ナー側の基部6bから段差部4dを介して小径段 部4bに亙って高周波焼入れによって表面硬さ 58~64HRCの範囲に硬化処理されている。なお 加締部4cは鍛造加工後の表面硬さのままで未 焼入れ部とされている。これにより、車輪取 付フランジ6に負荷される回転曲げ荷重に対 て充分な機械的強度を有し、内輪5の嵌合部 なる小径段部4bの耐フレッティング性が向 すると共に、加締加工によって加締部4cに微 小クラック等が発生するのを防止している。

 外方部材2は、外周にナックル(図示せず) 取り付けられるための車体取付フランジ2b 一体に有し、内周に内方部材1の複列の内側 走面4a、5aに対向する複列の外側転走面2a、2 aが一体に形成されている。この外方部材2はS 53C等の炭素0.40~0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成 され、複列の外側転走面2a、2aが高周波焼入 によって表面硬さを58~64HRCの範囲に硬化処理 されている。一方、内輪5および転動体3はSUJ2 等の高炭素クロム鋼で形成され、ズブ焼入れ によって芯部まで58~64HRCの範囲に硬化処理さ ている。そして、外方部材2と内方部材1の 転走面間に複列の転動体3、3が収容され、保 持器7、7によって転動自在に保持されて背面 せタイプの複列アンギュラ玉軸受が構成さ ている。

 また、外方部材2と内方部材1との間に形 される環状空間の開口部にはシール8、9が装 着されている。これらのシール8、9によって 軸受内部に封入されたグリースの外部への 洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部 侵入するのを防止している。インナー側シ ル9は、断面が略L字状をなして互いに対向 置された環状のシール板10とスリンガ11とか なる、所謂パックシールを構成している。

 ここで、本実施形態では、車輪取付フラ ジ6のインナー側の基部6bに金属環12が装着 れ、アウター側のシール8は、この金属環12 摺接するように配設されている。シール8は 図2に拡大して示すように、外方部材2のア ター側の端部内周に嵌合される芯金13と、こ の芯金13に加硫接着等により一体に接合され シール部材14とからなる。芯金13は、オース テナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系 )、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑( JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて断面が コの字状に形成されている。

 一方、シール部材14は、芯金13の外周部に 接合され、径方向外方に傾斜して延びる一対 のサイドリップ14a、14bと、芯金13の内縁部に 合され、軸受内方側に傾斜して延びるグリ スリップ14cとを有している。これらのサイ リップ14a、14b、およびグリースリップ14cは 車輪取付フランジ6のインナー側の基部6bに 着された金属環12に摺接されている。なお 芯金13の外方部にはシール部材14が回り込ん 接合され、外方部材2と芯金13との嵌合部か 泥水等の異物が軸受内部に侵入するのを防 している。

 金属環12は、耐食性を有する鋼板、例え 、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格 SUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間 圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工に て形成され、ハブ輪4の肩部4eに外嵌される円 筒状の嵌合部12aと、基部6bに対応して円弧状 形成された湾曲部12bと、この湾曲部12bから 方向外方に延び、車輪取付フランジ6のイン ナー側の側面6cに密着される円板部12cと、さ に、この円板部12cの外径部から車輪取付フ ンジ6に対して軸方向に離間して延びる傘部 12dとを備えている。

 また、この金属環12は、素材となる鋼板 表面粗さがRa0.2~0.6の範囲に設定されている これにより、良好なシール摺接面を得るこ ができ、リップ摩耗を抑制すると共に、劣 な環境で使用されても、シール8の密封性能 維持を図ることができる。なお、Raは、JIS 粗さ形状パラメータの一つで(JIS B0601-1994)、 算術平均粗さのことで、平均線から絶対値偏 差の平均値を言う。

 基部6bは、ハブ輪4の肩部4eと車輪取付フ ンジ6との間の角部に所定の曲率半径rからな る円弧面に形成されている。そして、この円 弧面に対応して、金属環12の湾曲部12bは所定 曲率半径Rからなる円弧面からなり、それぞ れの曲率半径R、rがR≧rになるように設定さ ている。これにより、金属環12を基部6bに嵌 した時に基部6bの円弧面に金属環12の湾曲部 12bが干渉して浮き上がるのを防止している。 したがって、車輪取付フランジ6の側面6cと金 属環12の円板部12cとの間にすきまが生じるの 防止され、両者が密着してサイドリップ14a 14bのシメシロのバラツキを抑え、安定した 封性を確保することができる。

 また、車輪取付フランジ6の側面6cと金属 12のとの間に形成される環状のシール空間15 に弾性リップ16が装着されている。すなわち 金属環12の円板部12cと傘部12dとの繋ぎ部12e 軸方向に突出した弾性リップ16が加硫接着等 により一体に接合され、所定のシメシロを介 して車輪取付フランジ6の側面6cに僅かな接触 力で弾性接触している。この弾性リップ16に り車輪取付フランジ6の側面6cと金属環12の 板部12cとの間から異物が侵入するのを防止 て基部6bおよび金属環12の装着部の発錆を長 間に亘って防止することができる。

 本実施形態では、傘部12dは、外方部材2の 外周面2cに対して所定の傾斜角θが設けられ 端部に向って漸次拡径するテーパ状に形成 れている。そして、外周面2cとの間に僅かな 径方向すきまAが形成され、ラビリンスシー が構成されている。傾斜角θは、0<θ≦15° 設定されると共に、径方向すきまAは、直径 で最大1mmに設定されている。なお、傾斜角θ 15°を超えて設定すると、泥水等が浸入しや すくなる恐れがあるため好ましくない。

 このように、傘部12dの内周面と外方部材2 の外周面2cとによって形成されたラビリンス 果により、シール8と金属環12との摺接部に 水等が侵入するのを防止することができる 共に、この僅かな径方向すきまAから泥水等 が侵入したとしても、金属環12の回転に伴う 心力、および金属環の傘部がテーパ状に形 されていることによって容易に外部に排出 れ、サイドリップ14a上に滞留することはな 。したがって、泥水等がサイドリップ14aの 接面に付着して摩耗するのを防止し、長期 に亘って安定した密封性を保持することが きる。

 なお、ここでは、車輪用軸受装置として 動輪側の第3世代構造を例示したが、本発明 に係る車輪用軸受装置はこれに限らず、適用 可能な構造であればどの世代であっても良い 。また、駆動輪側であっても良い。さらに、 本実施形態では、転動体3にボールを使用し 複列アンギュラ玉軸受で構成されたものを 示したが、無論これに限らず、転動体に円 ころを使用した複列円錐ころ軸受で構成さ ていても良い。

 以上、本発明の実施の形態について説明 行ったが、本発明はこうした実施の形態に 等限定されるものではなく、あくまで例示 あって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内 おいて、さらに種々なる形態で実施し得る とは勿論のことであり、本発明の範囲は、 許請求の範囲の記載によって示され、さら 特許請求の範囲に記載の均等の意味、およ 範囲内のすべての変更を含む。

 本発明に係る車輪用軸受装置は、駆動輪 、従動輪用に拘わらず、あらゆる世代の車 用軸受装置に適用することができる。

本発明に係る車輪用軸受装置の一実施 態を示す縦断面図である。 図1の要部拡大図である。 従来の車輪用軸受装置の密封装置を示 要部拡大図である。

符号の説明

1・・・・・・・・・・・・・・・・内方部
2・・・・・・・・・・・・・・・・外方部
2a・・・・・・・・・・・・・・・外側転走
2b・・・・・・・・・・・・・・・車体取付 ランジ
2c・・・・・・・・・・・・・・・外周面
3・・・・・・・・・・・・・・・・転動体
4・・・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
4a、5a・・・・・・・・・・・・内側転走面
4b・・・・・・・・・・・・・・・小径段部
4c・・・・・・・・・・・・・・・加締部
4d・・・・・・・・・・・・・・・段差部
4e・・・・・・・・・・・・・・・肩部
5・・・・・・・・・・・・・・・・内輪
6・・・・・・・・・・・・・・・・車輪取 フランジ
6a・・・・・・・・・・・・・・・ハブボル
6b・・・・・・・・・・・・・・・基部
6c・・・・・・・・・・・・・・・インナー の側面
7・・・・・・・・・・・・・・・・保持器
8・・・・・・・・・・・・・・・・アウタ 側のシール
9・・・・・・・・・・・・・・・・インナ 側のシール
10・・・・・・・・・・・・・・・シール板
11・・・・・・・・・・・・・・・スリンガ
12・・・・・・・・・・・・・・・金属環
12a・・・・・・・・・・・・・・嵌合部
12b・・・・・・・・・・・・・・湾曲部
12c・・・・・・・・・・・・・・円板部
12d・・・・・・・・・・・・・・傘部
12e・・・・・・・・・・・・・・繋ぎ部
13・・・・・・・・・・・・・・・芯金
14・・・・・・・・・・・・・・・シール部
14a、14b・・・・・・・・・・サイドリップ
14c・・・・・・・・・・・・・・グリースリ ップ
15・・・・・・・・・・・・・・・シール空
16・・・・・・・・・・・・・・・弾性リッ
50・・・・・・・・・・・・・・・車輪用軸 装置
51・・・・・・・・・・・・・・・外輪部材
51a・・・・・・・・・・・・・・面取り部
51b・・・・・・・・・・・・・・外周面
52・・・・・・・・・・・・・・・内輪部材
53・・・・・・・・・・・・・・・シール部
54・・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
54a・・・・・・・・・・・・・・フランジ面
54b・・・・・・・・・・・・・・アール面
54c・・・・・・・・・・・・・・肩部外周面
55・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付 ランジ
56・・・・・・・・・・・・・・・基部
57・・・・・・・・・・・・・・・金属環
57a・・・・・・・・・・・・・・嵌合部
57b・・・・・・・・・・・・・・鍔部
57c・・・・・・・・・・・・・・シール装着 部
57d・・・・・・・・・・・・・・非接触シー ル部
58・・・・・・・・・・・・・・・弾性シー 体
58a、58b、58c・・・・・・シールリップ
59・・・・・・・・・・・・・・・芯金
60・・・・・・・・・・・・・・・弾性体
A・・・・・・・・・・・・・・・・径方向 きま
C・・・・・・・・・・・・・・・・隙間
θ・・・・・・・・・・・・・・・・傾斜角