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Patent Searching and Data


Title:
BEARING FOR WHEEL AND METHOD FOR MANUFACTURING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/102529
Kind Code:
A1
Abstract:
A bearing for a wheel ensuring hardness and strength comparable to conventional thermal refining product levels by enhancing strength and durability of a hub ring under rotary bending conditions while reducing its weight without altering the profile and dimensions of a wheel fixing flange and without impairing its eccentricity, and a method for manufacturing the same. Following forging, controlled cooling of a hub ring (1) is performed such that it has a troostite texture or a sorbite texture, or the mixed texture of a troostite texture and a sorbite texture, thus setting the hardness of the hub ring (1) in the range of 23-35 HRC.

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Inventors:
MAEDA KIKUO (JP)
OHTSUKI HISASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/000231
Publication Date:
August 28, 2008
Filing Date:
February 15, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
MAEDA KIKUO (JP)
OHTSUKI HISASHI (JP)
International Classes:
B60B35/02; B60B27/00; B60B35/18; F16C19/18; F16C33/62; F16C33/64; F16C33/78; F16C35/063
Domestic Patent References:
WO2007010772A12007-01-25
Foreign References:
JP2007024273A2007-02-01
JP2005188599A2005-07-14
JP2004156764A2004-06-03
JP2006226373A2006-08-31
JP2001303174A2001-10-31
JP2007043595A2007-02-15
JP2002087008A2002-03-26
JP2005003061A2005-01-06
Other References:
See also references of EP 2113394A4
Attorney, Agent or Firm:
SUGIMOTO, Shuji et al. (10-2 Edobori 1-chome,Nishi-ku, Osaka-sh, Osaka 02, JP)
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Claims:
 内周に複列の外側転走面を有する外方部材と、前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面を有する内方部材と、前記外方部材および内方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容した複列の転動体とを備え、前記外方部材または内方部材のいずれか一方に車輪取付フランジを一体に形成した車輪用軸受装置であって、
 少なくとも前記車輪取付フランジを有する外方部材または内方部材が、鍛造成形されこの鍛造時の冷却速度を制御するかまたは恒温変態させることによりトルースタイト組織またはソルバイト組織、またはトルースタイトおよびソルバイト組織の混合組織とされており、これら外方部材および内方部材のそれぞれの転走面が所定の表面硬さに焼入れ硬化されている車輪用軸受装置。
 前記内方部材が、車輪取付フランジを有するハブ輪と、このハブ輪に圧入された内輪とを備え、前記外方部材の複列の外側転走面のうち一方の外側転走面に対向する内側転走面が前記ハブ輪の外周面に直接形成され、他方の外側転走面に対向する内側転走面が前記内輪の外周面に形成されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
 前記車輪取付フランジのアウトボード側付け根部の表面硬さを23HRC以上35HRC以下に設定した請求項1に記載の車輪用軸受装置。
 前記ハブ輪のインボード側端部を径方向外方に塑性変形させて加締部を形成し、この加締部で前記内輪を前記ハブ輪に対して軸方向に固定した請求項2に記載の車輪用軸受装置。
 前記加締部を焼戻しによりその表面硬さを18HRC以上25HRC以下に設定した請求項4に記載の車輪用軸受装置。
 前記外方部材の両端部にシールを装着し、そのアウトボード側のシールのシールリップが摺接するシールランド部を、前記車輪取付フランジのインボード側付け根部に形成すると共に、前記シールランド部の表面硬さを54HRC以上64HRC以下とした請求項2に記載の車輪用軸受装置。
 前記鍛造時の冷却速度を制御するかまたは恒温変態処理される内方部材または外方部材は、炭素0.40wt%以上0.80wt%以下を含む中炭素鋼からなる請求項1に記載の車輪用軸受装置。
 請求項1に記載の車輪用軸受装置を製造する方法であって、
 前記外方部材または内方部材の鍛造時からの冷却において、所定の組織と硬度を得るように700℃以下400℃以上の範囲での冷却速度を100℃/分以上300℃/分以下で冷却し、以後空冷する制御冷却を用いることで、トルースタイト組織またはソルバイト組織、またはトルースタイトおよびソルバイト組織の混合組織にする車輪用軸受装置の製造方法。
 請求項1に記載の車輪用軸受装置を製造する方法であって、
 前記外方部材または内方部材の鍛造時からの冷却において、所定の組織と硬度を得るように冷却過程において、500℃以上650℃以下の温度で所定時間恒温保持し、トルースタイト組織またはソルバイト組織、またはトルースタイトおよびソルバイト組織の混合組織にする車輪用軸受装置の製造方法。
Description:
車輪用軸受装置およびその製造 法 関連技術

 本出願は、2007年2月23日出願の特願2007-0435 95の優先権を主張するものであり、その全体 参照により本願の一部をなすものとして引 する。

 この発明は、自動車等の車両の車輪を車 に対して回転自在に支承した車輪用軸受装 およびその製造方法に関し、特に回転曲げ 件下でのハブ輪の強度、耐久性を向上させ 車輪用軸受装置およびその製造方法に関す ものである。

 自動車の車輪用軸受装置には、従動輪用 駆動輪用とがあり、それぞれの用途に応じ 種々の形式のものがあるが、例えば、図5に 示す従来の駆動輪用の車輪用軸受装置では、 ハブ輪51と内輪52とを備えた内方部材50と、複 列の転動体53、54と、外方部材55と、エンジン 動力をハブ輪51に伝達する等速自在継手56と 主要な構成要素としている。こうした駆動 輪用軸受装置において、車輪(図示せず)およ びブレーキロータ57を支持するハブ輪51には 鍛造の容易性、切削性、熱処理性、または 済性の面からS53C等の機械構造用の中炭素鋼 採用されている。このハブ輪51をはじめこ 種の車輪用軸受装置の小型・軽量化を図る とは、自動車の燃費向上と走行安定性の向 に大きく寄与するため、ハブ輪51の車輪取付 フランジ58のリブ化や薄肉化が進んでいる。 かし、このハブ輪51自体の機械的強度が、 材である中炭素鋼の疲労限に近付きつつあ 、これ以上の小型・軽量化を図ることは難 くなってきている。

 特に、ハブ輪51においては、軽量化のた に車輪取付フランジ58を薄肉化する場合、そ のアウトボード側の付け根部、すなわち、ブ レーキロータ取付面59から円筒状のパイロッ 部60に延びる隅部61に回転曲げの応力が集中 し、対策が必要である。したがって、この隅 部61の寸法、つまり曲率半径を大きくするこ によって発生応力を緩和することも考えら るが、今度は車輪取付フランジ58に取り付 られるブレーキロータ57の干渉が問題となる ために限界がある。

 このような背景において、本出願人は、 輪取付フランジ58の形状・寸法を変更する となく、軽量化を図り、かつハブ輪51の強度 アップを図ることができる車輪用軸受装置を 既に提案している。この車輪用軸受装置は、 図4に示すように、ハブ輪51の車輪取付フラン ジ58の隅部61に表面硬化層62を高周波焼入れ等 によって形成している。これにより、回転曲 げ疲労の最弱部となる車輪取付フランジ58の 部61を高強度化することができ、ハブ輪51の 耐久性向上を図ることができる。

 また、これ以外の部位、すなわち、図示し い外方部材55のアウトボード側端部に装着 れたシールのシールリップが摺接するシー ランド部をはじめ、軌道面から小径段部の 部位a~dに亙って、高周波焼入れ等によって 面硬化層63を形成している。さらには、ハブ 輪51の内周面に形成されたセレーション部64 も表面硬化層65を形成している。こうした表 面硬化層63、65により、各部位a~dにおいて要 される回転曲げ疲労強度、耐摩耗性、転が 疲労寿命等を向上させることができる(例え 、特許文献1)。

特開2002-87008号公報(第4、5頁、第2図)

特開2005-3061号公報

 しかしながら、こうした従来の車輪用軸 装置において、ハブ輪51の車輪取付フラン 58の隅部61に表面硬化層62を形成することに り、車輪取付フランジ58の形状・寸法を変更 することなく、軽量化を図りつつハブ輪51の 度アップを図ることができるが、高周波焼 れ工程で車輪取付フランジ58に熱処理変形 生じ、ブレーキロータ取付面59の面振れが大 きくなるという新たな問題が発生した。この 傾向は車輪取付フランジ58の薄肉化にも起因 ている。この面振れは、ブレーキロータ57 振れに影響してブレーキジャダーを招来す ことになり、自動車の操縦安定性やドライ フィーリングが低下する。ここで、ハブ輪51 の熱処理後にこのブレーキロータ取付面59を らに旋削加工し、変形分を修正して面振れ 改善する方法も考えられるが、隅部61と未 入れ部であるブレーキロータ取付面59とに硬 度差があるため、隅部61の表面硬化層62との 界部に僅かな段差が発生するという相反す 問題が内在していた。

 この問題を解決するため、外方部材また 内方部材のいずれか一方に車輪取付フラン を一体に形成した車輪用軸受装置において 少なくとも前記車輪取付フランジを有する 方部材または内方部材が調質処理されてい 技術もある(特許文献2)が、外方部材または 方部材を調質のために鍛造後、A1変態点以 に一旦加熱、焼入し、400℃以上の温度に焼 戻す工程が必要であった。

 本発明は、このような事情に鑑みてなさ たもので、車輪取付フランジの形状・寸法 変更することなく、また、その面振れを劣 させることなく、軽量化を図りつつ、回転 げ条件下でのハブ輪の強度、耐久性を向上 せ、従来の調質品レベルの硬度と強度を得 車輪用軸受装置およびその製造方法を提供 ることを目的としている。

 この発明の車輪用軸受装置は、内周に複 の外側転走面を有する外方部材と、前記複 の外側転走面に対向する複列の内側転走面 有する内方部材と、前記外方部材および内 部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収 した複列の転動体とを備え、前記外方部材 たは内方部材のいずれか一方に車輪取付フ ンジを一体に形成した車輪用軸受装置であ て、少なくとも前記車輪取付フランジを有 る外方部材または内方部材が、鍛造成形さ この鍛造時の冷却速度を制御するかまたは 温変態させることによりトルースタイト組 またはソルバイト組織、またはトルースタ トおよびソルバイト組織の混合組織とされ おり、これら外方部材および内方部材のそ ぞれの転走面が所定の表面硬さに焼入れ硬 されている。

 この構成によると、少なくとも車輪取付フ ンジを有する外方部材または内方部材が、 造成形されこの鍛造時の冷却速度を制御す かまたは恒温変態させることにより、前記 方部材または内方部材を焼入・焼戻しによ 調質処理と同様の硬度となるような焼入ソ バイト、焼入トルースタイト、または焼入 ルースタイトおよび焼入ソルバイト組織の 合組織とし、これら外方部材および内方部 のそれぞれの転走面を所定の表面硬さに焼 れ硬化している。このため、所望の軸受寿 を確保すると共に、車輪取付フランジの形 ・寸法を変更することなく、現行の加工方 や既存設備のままで、回転曲げ疲労に対す 強度、耐久性を高めることができる。
 更に、焼入ソルバイト組織がより好ましい 焼入ソルバイト組織にすると、より延性、 性が向上し、回転曲げ疲労に対する強度、 久性をより高めることができる。

 この発明において、前記内方部材が、車 取付フランジを有するハブ輪と、このハブ に圧入された内輪とを備え、前記外方部材 複列の外側転走面のうち一方の外側転走面 対向する内側転走面が前記ハブ輪の外周面 直接形成され、他方の外側転走面に対向す 内側転走面が前記内輪の外周面に形成され いても良い。この場合、車輪用軸受装置の 型・軽量化を図ることができると共に、ハ 輪の強度、耐久性を高めることができる。

 この発明において、前記車輪取付フラン のアウトボード側付け根部の表面硬さを23HR C以上35HRC以下に設定することが好ましい。こ の場合、切削等の加工性が向上すると共に、 熱処理変形を抑制することができ、熱処理変 形による車輪取付フランジのブレーキロータ 取付面の面振れ精度の劣化を防止することが できる。また、ハブボルトが圧入されるボル ト孔の表面硬さがそのハブボルトの表面硬さ に近付き、ハブボルトのセレーションが潰れ て固着力が低下するのを防止することができ る。

 この発明において、前記ハブ輪のインボ ド側端部を径方向外方に塑性変形させて加 部を形成し、この加締部で前記内輪を前記 ブ輪に対して軸方向に固定した、所謂セル リテイン構造としても良い。この場合、従 のようにナット等で強固に緊締して予圧量 管理する必要がないため、車両への組込性 簡便にすることができると共に、かつ長期 その予圧量を維持することができる。

 この発明において、前記加締部を焼戻し よりその表面硬さを23HRC以上25HRC以下に設定 することが好ましい。この場合、従来のよう な鍛造後のままの未熱処理部に比べ、加締部 の硬さバラツキを抑制することができ、加工 性を低下させず、また塑性加工によって表面 に微小クラックが発生する恐れがなくなり、 一層品質面でその信頼性が向上する。

 この発明において、前記外方部材の両端 にシールを装着し、そのアウトボード側の ールのシールリップが摺接するシールラン 部を、前記車輪取付フランジのインボード 付け根部に形成すると共に、前記シールラ ド部の表面硬さを54HRC以上64HRC以下とするこ とが好ましい。この場合、耐摩耗性が向上す るばかりでなく、車輪取付フランジに負荷さ れる回転曲げ荷重に対して充分な機械的強度 を増し、さらにハブ輪の強度、耐久性が向上 する。

 この発明において、前記鍛造時の冷却速 を制御するかまたは恒温変態処理される内 部材または外方部材は、炭素0.40wt%以上0.80wt %以下を含む中炭素鋼からなるものとするこ が好ましい。この場合、鍛造の容易性、切 性、熱処理性、または経済性の面から有利 あると共に、特に、高周波焼入れ等に好適 ある。

 この発明の車輪用軸受装置の製造方法は この発明の車輪用軸受装置を製造する方法 あって、前記外方部材または内方部材の鍛 時からの冷却において、所定の組織と硬度 得るように700℃以下400℃以上の範囲での冷 速度を100℃/分以上300℃/分以下で冷却し、 後空冷する制御冷却を用いることで、トル スタイト組織またはソルバイト組織、また トルースタイトおよびソルバイト組織の混 組織にする。

 また、この発明の車輪用軸受装置の製造 法は、この発明の車輪用軸受装置を製造す 方法であって、前記外方部材または内方部 の鍛造時からの冷却において、所定の組織 硬度を得るように冷却過程において、500℃ 上650℃以下の温度で所定時間恒温保持し、 ルースタイト組織またはソルバイト組織、 たはトルースタイトおよびソルバイト組織 混合組織にする。

 この発明は、添付の図面を参考にした以下 好適な実施形態の説明からより明瞭に理解 れるであろう。しかしながら、実施形態お び図面は単なる図示および説明のためのも であり、この発明の範囲を定めるために利 されるべきでない。この発明の範囲は添付 クレームによって定まる。添付図面におい 、複数の図面における同一の部品番号は、 一部分を示す。
この発明の第1の実施形態に係る車輪用 軸受装置の断面図である。 この発明の第2の実施形態に係る車輪用 軸受装置の断面図である。 この発明の第3の実施形態に係る車輪用 軸受装置の断面図である。 従来の車輪用軸受装置の断面図である 従来の他の車輪用軸受装置の断面図で る。

 以下、本発明の実施の形態を図面に基づ て詳細に説明する。図1は、本発明の第1の 施形態に係る車輪用軸受装置の断面図であ 。なお、以下の説明では、車両に組み付け 状態で車両の外側寄りとなる側をアウトボ ド側(図面左側)、中央寄り側をインボード側 (図面右側)という。以下の説明は、車輪用軸 装置の製造方法についての説明をも含む。

 この車輪用軸受装置は、駆動輪用であっ 、ハブ輪1と複列の転がり軸受2とをユニッ 化し、ハブ輪1の内周に等速自在継手4の外側 継手部材40を、セレーションを介してトルク 達可能に嵌合した構造を備えている。

 複列の転がり軸受2は、内周に複列の外側 転走面5a、5aが形成され、外周には車体(図示 ず)に固定される車体取付フランジ5bを一体 有する外方部材5と、この外側転走面5a、5a 対向する複列の内側転走面のうち、一方の 側転走面1aが外周に直接形成されたハブ輪1 、ハブ輪1の小径段部1bに圧入され、他方の 側転走面6aが外周に形成された内輪6と、前 外側転走面5a、5aと内側転走面1a、6a間に収容 された複列の転動体7、7を有している。複列 転動体7、7は、図示しない保持器によって 動自在に保持されている。ハブ輪1および内 6が内方部材3を形成している。また、複列 転がり軸受2の端部にはシール8、8が装着さ 、軸受内部に封入した潤滑グリースの漏洩 、外部からの雨水やダスト等の侵入を防止 ている。

 ハブ輪1は、中心部に挿入孔42を有し、内 にトルク伝達用のセレーション(またはスプ ライン)9が形成されると共に、アウトボード の端部外周には、ブレーキロータ24と共に 輪WHを取付けるための車輪取付フランジ10を 体に有している。この車輪取付フランジ10 円周方向等配には車輪を締結するためのハ ボルト11が植設されている。

 この車輪用軸受装置では、別体の内輪6を ハブ輪1の小径段部1bに圧入させた後、その小 径段部1bの端部を径方向外方に塑性変形させ ことにより加締部12が形成され、この加締 12でハブ輪1に対して内輪6を軸方向に固定し 複列の転がり軸受2とハブ輪1とをユニット している。このようなユニット化により、 定ナット等の締結手段を使用せずとも複列 転がり軸受2の予圧管理を行なうことができ 、所謂セルフリテイン構造の第3世代の車輪 用軸受装置を提供することができる。ここで は転動体7、7をボールとした複列アンギュラ 軸受を例示したが、これに限らず転動体に すいころを使用した複列円すいころ軸受で っても良い。

 等速自在継手4は、外側継手部材40と、図 しない内側継手部材と、この内側継手部材 外側継手部材40間に収容されたトルク伝達 ールと、このトルク伝達ボールを円周方向 配に保持するケージとを備えている。外側 手部材40は、カップ状のマウス部13と、この ウス部13の底部をなす肩部14と、この肩部14 ら軸方向に延びるステム部15を一体に有し いる。このステム部15の外周面にはセレーシ ョン(またはスプライン)16が形成され、端部 は雄ねじ17が形成されている。

 外側継手部材40のステム部15をハブ輪1の 入孔42に内嵌し、ハブ輪1に形成されたセレ ション9とステム部15のセレーション16を係合 させることにより、トルク伝達可能としてい る。そして、肩部14の端面をハブ輪1の加締部 12に衝合させた状態で、ステム部15の端部を 定ナット18により締結することにより、等速 自在継手4は複列の転がり軸受2に対して分離 能に固定されている。

 この車輪用軸受装置において、ハブ輪1は 、日本工業規格、略称JIS:Japanese Industrial Stan dardsで規定される、例えばS53C等の炭素0.40wt% 上0.80wt%以下を含む中炭素鋼を熱間鍛造後、 定の温度範囲を強制空冷または恒温保持す ことで冷却速度を制御し、トルースタイト 織またはソルバイト組織、またはトルース イトおよびソルバイト組織の混合組織とし 、硬度がHRC23以上HRC35以下になっており、そ の後旋削加工によって所望の形状・寸法に形 成されている。車輪取付フランジ10における ウトボード側の付け根部、すなわち、ブレ キロータ取付面19からブレーキロータ24の支 持面となる円筒状のパイロット部20に延びる 部21は、ブレーキロータ24が干渉しない程度 の曲率半径を有する円弧面またはヌスミに形 成されている。

 本実施形態において、ハブ輪1は、鍛造後 にトルースタイト組織またはソルバイト組織 、またはトルースタイトおよびソルバイト組 織の混合組織になるように制御冷却されるこ とで、硬度が23HRC以上35HRC以下になっている この処理により、従来のフェライト・パー イト組織に比べてほぼ同程度ながら組織は 細化し、引張、曲げ、衝撃値等の機械的性 が上昇して延性や靭性が高まる。このため 従来の調質(焼入と高温焼戻)相当の高強度に できる。

 表面硬さを上げることにより機械的強度 向上するが、ここではハブ輪に、例えば、 質処理を施している。ただし、前記調質処 に必ずしも限定されるものではない。この 理後のハブ輪の表面硬さを35HRC以下に設定 ている。何故なら、表面硬さを35HRCを超えて 設定すると切削等の加工性が低下すると共に 、熱処理変形が大きくなり、車輪取付フラン ジ10のブレーキロータ取付面19の面振れ精度 劣化すると共に、硬さアップによって切削 が低下してバイトの寿命が短くなるからで る。また、ハブボルト11が圧入されるボルト 孔11aの表面硬さがそのハブボルト11の表面硬 に近付き、ハブボルト11のセレーション11b 潰れて固着力が著しく低下する恐れがある らである。

 換言すれば、ハブ輪1を前述のように制御 冷却することで、このハブ輪1の表面硬さを35 HRC以下に設定し、この後の工程の切削等の加 工性を良好にすることができる。その他以下 のような効果を奏する。これと共に、熱処理 変形を抑え、車輪取付フランジ10のブレーキ ータ取付面19の面振れ精度が劣化すること 防止することができる。しかも、表面硬さ 大きくなり過ぎることに起因して切削性が 下することを防止し、切削用のバイトの寿 を表面硬さが35HRCを超えたものよりも長くす ることが可能となる。また、ハブボルト11が 入されるボルト孔11aの表面硬さと、そのハ ボルト11の表面硬さとを離反させることが きるので、ハブボルト11のセレーション11bが 潰れることを未然に防止し、このハブボルト 11の固着力の低下を抑えることができる。

 さらに、前述した加締部12を形成する際、 ブ輪1のインボード側端部の表面硬さが35HRC 超えると、加工性が低下するばかりでなく 塑性加工によって表面に微小クラックが発 する恐れがあり、品質面でその信頼性が低 する。塑性加工の面からは表面硬さが低い が好ましいが、18HRC未満では十分な機械的強 度が得られない。この加締部12において、高 波焼戻しによって、その表面硬さを18HRC以 35HRC以下、好ましくは18HRC以上25HRC以下に設 することにより信頼性が向上する。さらに 従来のような鍛造後のままの未熱処理部に べ、加締部の硬さバラツキを抑制すること でき、また塑性加工によって表面に微小ク ックが発生する恐れがなくなり、一層品質 でその信頼性が向上する。
 ハブ輪に調質処理を施すことなく、ハブ輪 素材である中炭素鋼を熱間鍛造後、所定の 度範囲を強制空冷または恒温保持すること 冷却速度を制御し、ハブ輪の表面硬さを35HR C以下に設定しても良い。この場合でも、本 施形態と同様の効果を奏する。

 このように、ハブ輪1を鍛造後の冷却速度を 制御し、所望のミクロ組織すなわちトルース タイト組織またはソルバイト組織または前記 混合組織と、前述の表面硬さに設定すること により、車輪取付フランジ10の形状・寸法を 更することなく、現行の加工方法や既存設 のままで、回転曲げ疲労の最弱部となる隅 21の強度を高めることができる。
 また、この後にハブ輪1に旋削加工を行なう ことにより、車輪取付フランジ10のブレーキ ータ取付面19の面振れ精度を、従来のもの 比べ一層向上させることができる。さらに 加締部12においては、塑性加工時の加工性を 低下させることなく、クラック発生を抑制す ることができ、品質面の信頼性を維持するこ とができる。

 表1はモデルリングつまり試験片を用いての 、S53C材における従来のフェライト・パーラ ト組織、調質組織(850℃加熱後油焼入し、400 焼戻と600℃焼戻)、本願の3種類の組織の10 7 回疲労強度比を示す。前記本願の組織とは、 表1において、試験片を鍛造後400℃までを200 /分で冷却したもの、および試験片を鍛造後5 50℃で5分間保持後急冷したものである。
 この試験条件を表2に表す。この表2におい 、試験片は、外径寸法38mm、内径寸法30mm、幅 寸法15mmのモデルリングを用意した。

 表1によると、調質品である、試験片を850 ℃加熱後油焼入し600℃焼戻しした調質組織の 疲労強度比1.0で、試験片を850℃加熱後油焼入 し400℃焼戻しした調質組織の疲労強度比1.1で あるのに対し、本願の試験片を鍛造後400℃ま でを200℃/分で冷却したものは、疲労強度比0. 9で、本願の試験片を鍛造後550℃で5分間保持 急冷したものは、疲労強度比1.0であった。 の試験結果によると、本願のものは調質品 大きく変わらない疲労強度を示している。

 また、ハブ輪1は、アウトボード側の内側 転走面1aをはじめ、シール8が摺接するシール ランド部22、および小径段部1bに、高周波焼 れによって表面硬さを54HRC以上64HRC以下の範 に硬化層23(図中クロスハッチングで示す)が 形成されている。これにより、シールランド 部22は、耐摩耗性が向上するばかりでなく、 輪取付フランジ10に負荷される回転曲げ荷 に対して、充分な機械的強度を有し、ハブ 1の耐久性が向上する。小径段部1bに圧入さ る内輪6は、JISで規定されるSUJ2等の高炭素ク ロム軸受鋼からなり、ズブ焼入れにより芯部 まで54HRC以上64HRC以下の範囲で硬化処理され いる。

 一方、外方部材5は、ハブ輪1と同様にS53C の炭素0.40wt%以上0.80wt%以下を含む中炭素鋼 形成され、複列の外側転走面5a、5aをはじめ シール8、8が嵌合する端部内径面は、高周 焼入れによって表面硬さを54HRC以上64HRC以下 範囲に硬化処理されている。

 図2は、本発明の第2の実施形態にかかる車 用軸受装置の断面図である。この実施形態 いわゆる第1世代の車輪用軸受装置で、前述 た実施形態と同一部位、同一部品、または 一の機能を有する部位には同じ符号を付け その詳細な説明を省略する。
 この車輪用軸受装置は、ブレーキロータ24 共に図示外の車輪を固定するハブ輪25と、こ のハブ輪25を回転自在に支持し、外輪26、一 の内輪27、27、および内外輪27、26間に転動自 在に収容された複列の転動体7を有する車輪 軸受28とを有している。この軸受28は車体の 持するナックル29に取り付けられ、図示外 ドライブシャフトの動力をハブ輪25に伝達す る等速自在継手4が連結されている。ここで 転動体7、7をボールとした複列アンギュラ玉 軸受を例示したが、これに限らず転動体に円 すいころを使用した複列円すいころ軸受であ っても良い。

 車輪用軸受28の外輪26は、ナックル29に内 され、止め輪30によって軸方向に位置決め 定されている。一方、一対の内輪27、27は、 ブ輪25に形成された円筒状の小径段部31に圧 入され、インボード側の内輪27の大径側端面 外側継手部材40の肩部14に衝合させた状態で 、ステム部15の端部を固定ナット18で締結す ことにより、等速自在継手4は分離可能に固 されている。

 この車輪用軸受装置において、ハブ輪25 、S53C等の炭素0.40wt%以上0.80wt%以下を含む中 素鋼を熱間鍛造後に制御冷却処理が施され 表面硬さを23HRC以上35HRC以下に設定している このように、ハブ輪25を鍛造後に例えば調 処理を施し、所望の表面硬さに設定するこ により、車輪取付フランジ10の形状・寸法を 変更することなく、回転曲げ疲労の最弱部と なる隅部21の強度を高めることができる。た し、このハブ輪25に調質処理を施すことな 、ハブ輪25の素材である中炭素鋼を熱間鍛造 後、所定の温度範囲を強制空冷または恒温保 持することで冷却速度を制御し、ハブ輪25の 面硬さを35HRC以下に設定しても良い。この 合でも、本実施形態と同様の効果を奏する

 さらに、ハブ輪25の車輪取付フランジ10の インボード側付け根部32は、第1の実施形態の インボード側付け根部22と同様に、その曲率 径を可能な限り大きく設定し、この付け根 32から小径段部31にわたって高周波焼入れに よって表面硬さを54HRC以上64HRC以下の範囲に 化層23(図中クロスハッチングで示す)が形成 れている。この構成も加わって、車輪取付 ランジ10に負荷される回転曲げ荷重に対し 充分な機械的強度を発揮し、ハブ輪25の耐久 性が向上する。

 小径段部31に圧入される一対の内輪27、27 、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズ ブ焼入れにより芯部まで54HRC以上64HRC以下の 囲で硬化処理されている。この小径段部31に 所定の硬化層23が形成されていることにより 内輪27、27との間の嵌合面に発生するフレッ ティング摩耗を最小限に抑えることができる 。そのため、このフレッティング摩耗の発生 により、内輪27、27の嵌合面に、錆、摩耗、 たはかじり等が生じて内輪27、27を損傷する いうことがなくなり、耐久性を向上させる とができる。なお、ハブ輪25の内周面に形 されたセレーション9の表面にも高周波焼入 によって表面硬さを54HRC以上64HRC以下の範囲 に硬化層33(図中クロスハッチングで示す)が 成されている。これにより、セレーション9 耐摩耗性が向上すると共に、強度アップに りセレーション9の有効長さを短くすること ができ、ハブ輪25の小型・軽量化に寄与する とができる。一方、外輪26は、内輪27と同様 、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズ 焼入れにより芯部まで54HRC以上64HRC以下の範 で硬化処理されている。以上説明した図2の 車輪用軸受装置によれば、図1の車輪用軸受 置と同様の効果を奏する。

 図3は、本発明の第3の実施形態にかかる 輪用軸受装置の断面図である。この実施形 はいわゆる第3世代の車輪用軸受装置で、前 した第1,第2の実施形態と同一部位、同一部 、または同一の機能を有する部位には同じ 号を付けてその詳細な説明を省略する。

 この車輪用軸受装置は、従動輪用であっ 、ハブ輪34と複列の転がり軸受35とをユニッ ト化した構造を備えている。複列の転がり軸 受35は、外方部材5と、ハブ輪34と、ハブ輪34 小径段部1bに圧入された別体の内輪6と、複 の転動体7、7を有している。

 この車輪用軸受装置では、内輪6をハブ輪 34の小径段部1bに圧入させた後、その小径段 1bの端部を径方向外方に塑性変形させること により加締部12が形成され、この加締部12で ブ輪34に内輪6を軸方向に固定して複列の転 り軸受35をユニット化している。このような ユニット化により、固定ナット等の締結手段 を使用せずとも複列の転がり軸受35の予圧管 を行なうことができる、所謂セルフリテイ 構造の第3世代の車輪用軸受装置を提供する ことができる。

 この車輪用軸受装置において、ハブ輪34 、S53C等の炭素0.40wt%以上0.80wt%以下を含む中 素鋼を熱間鍛造後に制御冷却処理が施され 表面硬さを23HRC以上35HRC以下に設定している このように、ハブ輪34を鍛造後に制御冷却 理を施し、所望の表面硬さに設定すること より、車輪取付フランジ10の形状・寸法を変 更することなく、回転曲げ疲労の最弱部とな る隅部21の強度を高めることができる。

 また、ハブ輪34の車輪取付フランジ10のイ ンボード側付け根部は、アウトボード側のシ ール8のシールランド22部となり、その曲率半 径を可能な限り大きく設定している。このシ ールランド部22から小径段部1bにわたって高 波焼入れによって表面硬さを54HRC以上64HRC以 の範囲に硬化層23(図中クロスハッチングで す)が形成されている。これにより、シール ランド部22は耐摩耗性が向上すると共に、車 取付フランジ10に負荷される回転曲げ荷重 対して充分な機械的強度を発揮し、ハブ輪34 の耐久性が向上する。

 以上説明した車輪用軸受装置によれば、ハ 輪34の素材を熱間鍛造後に制御冷却処理を し、このハブ輪34の表面硬さを23HRC以上35HRC 下に設定したので、車輪取付フランジ10の形 状・寸法を変更することなく、回転曲げ疲労 の最弱部となる隅部21の強度を高めることが きる。その他図1に示す実施形態と同様の効 果を奏する。
 第3の実施形態では、ハブ輪34に車輪取付フ ンジ10を一体に形成したものを例示したが これに限らず、外方部材に車輪取付フラン を一体に形成した外輪回転式の車輪用軸受 置にも適用できることは言うまでもない。 の場合、外方部材に調質処理を行なうこと なる。

 以上、本発明の実施の形態について説明 行ったが、本発明はこうした実施の形態に 等限定されるものではなく、あくまで例示 あって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内 おいて、さらに種々なる形態で実施し得る とは勿論のことであり、本発明の範囲は、 許請求の範囲の記載によって示され、さら 特許請求の範囲に記載の均等の意味、およ 範囲内のすべての変更を含む。