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Patent Searching and Data


Title:
BEND PIPE AND PROCESS FOR MANUFACTURING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/139639
Kind Code:
A1
Abstract:
A bend pipe that realizes not only simultaneous possession of high strength and excellent toughness by its base metal but also possession of excellent toughness by its weld metal, for example, API Standard X100-grade or higher. A thick steel sheet is produced by hot rolling followed by, at 700° to 500°C, cooling at a cooling rate of less than 5°C/sec at its central part in the direction of thickness. A bend stock pipe being a weld steel pipe using the above thick steel sheet as a raw material is produced, heated to 900° to 1100°C, and subjected to bend working. The resultant pipe at 700° to 500°C is cooled at a cooling rate of 5°C/sec or higher at its central part in the direction of thickness to a temperature zone of 300°C or below. Thereafter, tempering at 300° to 500°C is carried out to thereby attain production of a bend pipe of API Standard X100-grade equivalent or higher.

Inventors:
TAKAHASHI NOBUAKI (JP)
YAMAMOTO AKIO (JP)
HAMADA MASAHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/063004
Publication Date:
November 20, 2008
Filing Date:
June 28, 2007
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO METAL IND (JP)
TAKAHASHI NOBUAKI (JP)
YAMAMOTO AKIO (JP)
HAMADA MASAHIKO (JP)
International Classes:
C21D8/10; C22C38/58; C21D9/08; C22C38/00
Foreign References:
JPH0790375A1995-04-04
JP2005350724A2005-12-22
JP2001107137A2001-04-17
JPS5635722A1981-04-08
JPH07150245A1995-06-13
JPH073330A1995-01-06
JPH0892649A1996-04-09
JP2003277831A2003-10-02
JP2004332083A2004-11-25
JP2005350724A2005-12-22
Other References:
See also references of EP 2147986A4
Attorney, Agent or Firm:
HIROSE, Shoichi (4-2Nihonbashi Honcho 4-chome,Chuo-k, Tokyo 23, JP)
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Claims:
 熱間圧延した後に700~500℃の温度域で5℃/sec未満となる板厚方向中心部の冷却速度で冷却することにより厚鋼板を製造し、該厚鋼板を素材とする溶接鋼管であるベンド素管を製造し、該ベンド素管を熱間で曲げ加工した後、700~500℃の温度域で5℃/sec以上の肉厚方向中心部の冷却速度で冷却することにより、母材の引張強度が前記ベンド素管の母材の引張強度よりも高いベンド管を製造することを特徴とするベンド管の製造方法。
 熱間圧延した後に700~500℃の温度域で5℃/sec未満となる板厚方向中心部の冷却速度で冷却することにより厚鋼板を製造し、該厚鋼板を素材とする溶接鋼管であるベンド素管を製造し、該ベンド素管を900℃以上1100℃以下の温度域に加熱して曲げ加工した後、700~500℃の温度域で5℃/sec以上の肉厚方向中心部の冷却速度で300℃以下の温度域まで冷却し、その後300℃以上500℃以下の温度域で焼き戻すことを特徴とするベンド管の製造方法。
 前記ベンド管は、質量%で、C:0.03~0.12%、Si:0.05~0.50%、Mn:1.4~2.2%、S:0.01%以下、Mo:0.05~1.0%、Al:0.005~0.06%、N:0.008%以下を有し、Cu:0.05~1.0%、Ni:0.05~2.0%又はCr:0.05~1.0%の1種又は2種以上を有し、さらに、Nb:0.005~0.1%、V:0.005~0.1%又はTi:0.005~0.03%の1種又は2種以上を有し、残部Fe及び不純物からなり、下記式により求められる炭素当量Ceqが0.45%以上である鋼組成を有する母材を備え、、API規格X100グレード相当以上のベンド管である請求項1又は請求項2に記載されたベンド管の製造方法。
 前記ベンド管の母材がB:0.030質量%以下を含有する請求項3に記載されたベンド管の製造方法。
 前記ベンド管の母材がCa:0.005質量%以下を含有する請求項3又は請求項4に記載されたベンド管の製造方法。
 ベンド素管に曲げ加工を行われることにより製造されるベンド管であって、
 質量%で、C:0.03~0.12%、Si:0.05~0.50%、Mn:1.4~2.2%、S:0.01%以下、Mo:0.05~1.0%、Al:0.005~0.06%、N:0.008%以下を有し、Cu:0.05~1.0%、Ni:0.05~2.0%又はCr:0.05~1.0%の1種又は2種以上を有し、さらに、Nb:0.005~0.1%、V:0.005~0.1%又はTi:0.005~0.03%の1種又は2種以上を有し、残部Fe及び不純物からなり、下記式により求められる炭素当量Ceqが0.45%以上である鋼組成を有する母材を備え、強度が前記ベンド素管の強度よりも30MPa以上高いことを特徴とするAPI規格X100グレード相当以上のベンド管。
 さらに、前記母材がB:0.030質量%以下を含有する請求項6に記載されたベンド管。
 さらに、前記母材がCa:0.005質量%以下を含有する請求項6又は請求項7に記載されたベンド管。
Description:
ベンド管及びその製造方法

 本発明は、ベンド管及びその製造方法に する。具体的には、本発明は、母材が高い 度と優れた靭性とを有するとともに溶接金 も優れた靭性を有する、例えばAPI規格X100グ レード相当以上の超高強度のベンド管及びそ の製造方法に関する。

 パイプラインの建設コストを低減するた 、主に大口径のラインパイプ用鋼管として 高強度の溶接鋼管が用いられる。既設のパ プラインには、API規格X70グレードの高強度 溶接鋼管が多用され、さらに強度を高めたA PI規格X80グレードの溶接鋼管は僅か数例しか 用化されていない。近年、パイプラインにA PI規格X100グレード相当やAPI規格X120グレード 当といった、これまでには存在しない超高 度の溶接鋼管を用いることが検討されてい 。現在、これらの超高強度の溶接鋼管は、 インパイプ用鋼管として規格化されてはい いものの、近い将来正式に規格化される可 性が高い。

 なお、以降の説明では、「API規格X100グレ ード相当」、「API規格X120グレード相当」を それぞれ、「X100グレード」、「X120グレード 」と略記する。例えば、X100グレードの規格 、「母材の降伏強度YS:690MPa以上、引張強度:7 60MPa以上、降伏比:97.0%以下、-10℃でのシャル ー吸収エネルギー:80J以上、溶接金属の-10℃ でのシャルピー吸収エネルギー:40J以上、延 破面率:50%以上、溶接熱影響部の-10℃でのシ ルピー吸収エネルギー:40J以上、延性破面率 :50%以上」と予想されている。

 ラインパイプ用の溶接鋼管の超高強度化 伴って、パイプラインの建設に不可欠とな ベンド管に関しても、X100グレード以上の超 高強度化が要求される可能性が高い。しかし 、超高強度のベンド管の製造技術は十分に確 立されていない。ベンド管の製造では不可欠 である熱処理によって、ベンド管の強度及び 靱性を高いレベルで両立することが困難にな るからである。

 高強度のベンド管に関する発明は、これま にも多数提案されている(例えば特許文献1~5 参照)。特許文献1~5により開示された発明は いずれも、曲げ加工を行われる前の鋼管で るベンド素管の組成やベンド管の製造条件 定めることによって、高強度のベンド管を 造する発明である。しかし、これらの発明 、ベンド素管やその素材である厚鋼板の製 条件を考慮するものではない。

特開平7-3330号公報

特開平8-92649号公報

特開2003-277831号公報

特開2004-332083号公報

特開2005-350724号公報

 本発明者らが検討した結果、これらの従 の発明に基づいて例えばX100グレード以上の 超高強度のベンド管を製造しようとすると、 ベンド管の溶接金属の靭性が低下し、目標の 靱性が得られないという課題があることが分 かった。この理由を説明する。

 曲げ加工後にX100グレード以上の母材の強 度を確保するために、母材の組成を、合金元 素を比較的多量に含有する組成とする必要が ある。また、ベンド素管の製造における拡管 工程での溶接金属の破断を防止するために、 溶接金属の合金元素の含有量が母材の合金元 素の含有量よりも多い、いわゆるオーバーマ ッチの組成とすることにより溶接金属の強度 を母材の強度よりも高める必要もある。

 したがって、例えばX100グレード以上の超 高強度のベンド管を製造するためには、必然 的に、溶接金属の合金元素の含有量は相当高 くなり、これにより、ベンド管の溶接金属の 強度がかなり上昇する。一般的に強度と靭性 とは反比例するので、ベンド管の溶接金属の 靭性が低下し、目標の靱性を得られなくなる 。

 本発明の目的は、母材が高い強度と優れ 靭性とを有するとともに溶接金属も優れた 性を有する、例えばX100グレード以上の超高 強度のベンド管及びその製造方法を提供する ことである。

 例えばX100グレード以上の超高強度のベン ド管を製造するに際し、ベンド素管の素材で ある厚鋼板の熱間圧延後に、これまで慣用さ れてきたように水冷するのではなく、例えば 空冷することにより、700℃以下500℃以上の温 度域で5℃/sec未満の板厚方向中心部の冷却速 で冷却する。

 これにより、厚鋼板の強度を、水冷によ 製造する場合に比較して30~100MPa程度低下す ことができる。したがって、オーバーマッ の組成を維持しながら、ベンド素管の溶接 属の強度も30~100MPa程度低下することができ 。

 次に、この厚鋼板を素材とするとともに 接金属の強度も30~100MPa程度低下したベンド 管に曲げ加工を行う。そして、その後に行 れる焼入れ焼戻しの条件を、これまでの条 とは変更することにより、ベンド管の強度 ベンド素管の強度よりも30~100MPa程度上昇す 。

 これらにより、母材が高い強度と優れた 性とをともに有するとともに溶接金属も優 た靭性を有する、例えばX100グレード以上の 超高強度のベンド管を、溶接金属の合金元素 の含有量を増加することなく、確実に製造す ることができる。

 略述すると、本発明は、「熱間圧延後の 却速度を低下することにより強度を低下し 厚鋼板を製造し、この厚鋼板を素材とする ともに溶接金属の強度も低下してオーバー ッチの組成を維持しながらベンド素管を製 することによりベンド素管の拡管工程での 接金属の破断を防止し、このベンド素管に げ加工を行い、さらに、曲げ加工後の焼入 焼戻し条件を変更してベンド管の強度を高 ることにより、母材が高い強度と優れた靭 とをともに有するとともに溶接金属も優れ 靭性を有する、例えばX100グレード以上の超 高強度のベンド管を製造できる」という、独 創的な技術思想に基づく発明である。

 本発明は、熱間圧延した後に700℃以下500 以上の温度域で5℃/sec未満となる板厚方向 心部の冷却速度で冷却することにより厚鋼 を製造し、この厚鋼板を素材とする溶接鋼 であるベンド素管を製造し、このベンド素 を熱間で曲げ加工した後、700℃以下500℃以 の温度域で5℃/sec以上の肉厚方向中心部の冷 却速度で冷却することにより、母材の引張強 度がベンド素管の母材の引張強度よりも高い ベンド管を製造することを特徴とするベンド 管の製造方法である。

 また、本発明は、熱間圧延した後に700℃ 下500℃以上の温度域で5℃/sec未満となる板 方向中心部の冷却速度で冷却することによ 厚鋼板を製造し、この厚鋼板を素材とする 接鋼管であるベンド素管を製造し、このベ ド素管を900℃以上1100℃以下の温度域に加熱 て曲げ加工した後、700℃以下500℃以上の温 域で5℃/sec以上の肉厚方向中心部の冷却速 で300℃以下の温度域まで冷却し、その後300 以上500℃以下の温度域で焼き戻すことを特 とするベンド管の製造方法である。

 これらの本発明に係るベンド管の製造方 では、ベンド管が、C:0.03%以上0.12%以下(本明 細書では特にことわりがない限り組成に関す る「%」は「質量%」を意味する)、Si:0.05%以上0 .50%以下、Mn:1.4%以上2.2%以下、S:0.01%以下、Mo:0. 05%以上1.0%以下、Al:0.005%以上0.06%以下、N:0.008% 下を有し、Cu:0.05%以上1.0%以下、Ni:0.05%以上2. 0%以下又はCr:0.05%以上1.0%以下の1種又は2種以 を有し、さらに、Nb:0.005%以上0.1%以下、V:0.005 %以上0.1%以下又はTi:0.005%以上0.03%以下の1種又 2種以上を有し、残部Fe及び不純物からなり 下記(1)式により求められる炭素当量Ceqが0.45 %以上である鋼組成を有する母材を備え、X100 レード以上のベンド管であることが、例示 れる。

 別の観点からは、本発明は、ベンド素管 曲げ加工を行われることにより製造される ンド管であって、C:0.03%以上0.12%以下、Si:0.05 %以上0.50%以下、Mn:1.4%以上2.2%以下、S:0.01%以下 、Mo:0.05%以上1.0%以下、Al:0.005%以上0.06%以下、N :0.008%以下を有し、Cu:0.05%以上1.0%以下、Ni:0.05% 以上2.0%以下又はCr:0.05%以上1.0%以下の1種又は2 種以上を有し、さらに、Nb:0.005%以上0.1%以下 V:0.005%以上0.1%以下又はTi:0.005%以上0.03%以下の 1種又は2種以上を有し、残部Fe及び不純物か からなり、上記(1)式により求められる炭素 量Ceqが0.45%以上である鋼組成を有する母材を 備え、強度が前記ベンド素管の強度よりも30M Pa以上高いことを特徴とするX100グレード以上 のベンド管である。

 これらの本発明では、ベンド管の母材が任 添加元素として、B:0.030%以下、及び/又は、C a:0.005%以下を、さらに含有してもよい。
 これらの本発明では、ベンド管の溶接金属 B含有量が5ppm以下であるとともに溶接金属 O含有量が280ppm以下であることが望ましい。

 これらの本発明では、「ベンド管」は、 材及び溶接金属を有する溶接鋼管に曲げ加 を行うことにより得られるベンド管を意味 る。また、本発明において「X100グレード以 上」とは、母材の降伏強度YS:690MPa以上、引張 強度:760MPa以上という特性を備えることを意 する。

 本発明によれば、母材が高い強度と優れ 靭性とを有するとともに溶接金属も優れた 性を有する、例えばX100グレード以上の超高 強度のベンド管を提供することができる。こ のため、X100グレードやX120グレードといった 高強度の溶接鋼管をラインパイプ用として いることができるようになり、パイプライ の建設コストを低減することができる。

図1における線aは、熱間圧延後に20℃/se cの冷却速度で水冷して製造されるベンド素 用の厚鋼板の炭素当量と引張強度との関係 定性的に示すグラフ(比較例)であり、線bは 5℃/sec未満の冷却速度で空冷して製造される ベンド素管用の厚鋼板の炭素当量と引張強度 との関係を定性的に示すグラフ(本発明例)で り、線dは、このどちらかの厚鋼板を用いて 製造されるベンド素管の溶接金属の炭素当量 と引張強度との関係を定性的に示すグラフで あり、さらに、線cは、このベンド素管を用 て製造されたベンド管の母材及び溶接金属 れぞれに関する炭素当量Ceq(%)と周方向の引 強度TS(MPa)との関係を、定性的に示すグラフ ある。 焼戻し条件(焼戻しなし(AsQ)、350℃での 戻し、400℃での焼戻し、又は450℃での焼戻 )とシャルピー衝撃試験における吸収エネル ギーvE-10deg.℃(J)との関係を示すグラフである 。 焼戻し条件(ベンド素管、焼戻しなし(As Q)、350℃での焼戻し、400℃での焼戻し、又は4 50℃での焼戻し)と母材の強度(0.5%YS、TS)との 係を示すグラフである。 焼戻し条件(ベンド素管、焼戻しなし(As Q)、350℃での焼戻し、400℃での焼戻し、又は4 50℃での焼戻し)と、溶接金属の内面及び外面 の強度(YS、TS)との関係を示すグラフである。 炭素当量Ceqが0.40%である組成の溶接金 の熱処理後の靱性(-10℃でのシャルピー衝撃 験の吸収エネルギー)に及ぼす焼入れ温度と 溶接金属のB含有量(24ppm、3ppm)との影響を示す グラフである。

 以下、本発明を実施するための最良の形態 、添付図面を参照しながら詳細に説明する はじめに、本実施の形態におけるベンド管 びその製造方法において、ベンド素管用の 鋼板、ベンド素管又はベンド管の母材の組 を限定する理由を説明する。
(C:0.03%以上0.12%以下)
 Cは、強度の上昇に有効な元素であり、X100 レード以上の強度を有するために0.03%以上含 有する。一方、C含有量が0.12%を超えると、靭 性が著しく低下して母材の機械的特性に悪影 響を及ぼすとともに、スラブの表面傷の発生 が増加する。このため、C含有量は0.03%以上0.1 2%以下とする。同様の観点から、C含有量の上 限は0.08%であることが望ましく、下限は0.04% あることが望ましい。
(Si:0.05%以上0.50%以下)
 Siは、鋼の脱酸剤として、また鋼を強化す ために含有する。Si含有量が0.05%未満である 脱酸が不十分となる。一方、Si含有量が0.50% を越えると溶接熱影響部に縞状マルテンサイ トが多量に生成して靭性が著しく低下し、ベ ンド管の機械的性質が低下する。そこで、Si 有量は0.05%以上0.50%以下とする。同様の観点 からSi含有量の上限は0.20%であることが望ま い。Si含有量は、ベンド素管用の厚鋼板の板 厚とのバランスを考慮して決定することが望 ましい。
(Mn:1.4%以上2.2%以下)
 Mnは、鋼の強度及び靱性をともに高める基 元素であり、強度を確保するために1.4%以上 有する。しかし、Mn含有量が2.2%を超えると 溶接金属の靭性が低下するとともにベンド の母材及び溶接熱影響部の靭性も低下する このため、Mn含有量は1.4%以上2.2%以下とする 。同様の観点からMn含有量の上限は2.0%である ことが望ましく、下限は1.45%であることが望 しい。
(S:0.01%以下)
 S含有量が0.01%を超えると母材の靭性が劣化 る。このため、S含有量は0.01%以下とする。 様の観点からS含有量の上限は0.004%であるこ とが望ましい。
(Mo:0.05%以上1.0%以下)
 Moは、0.05%以上含有することにより、ベンド 管の母材及び溶接熱影響部の靭性の劣化を抑 制するとともに、ベンド管の母材及び溶接部 の強度を高める。しかし、Mo含有量が1.0%を超 えると、ベンド管の現地周溶接性や溶接熱影 響部の靭性が劣化する。そこで、Mo含有量は0 .05%以上1.0%以下とする。同様の観点からMo含 量の上限は0.40%であることが望ましく、下限 は0.10%であることが望ましい。
(Al:0.005%以上0.06%以下)
 Alは、Siと同様に、0.005%以上含有することに より鋼の脱酸材として作用する。しかし、Al 、0.06%含有すれば十分な脱酸効果を得られ これを超えて含有してもコストが上昇する けとなる。そこで、Al含有量は0.005%以上0.06% 下と限定する。同様の観点からAl含有量の 限は0.050%であることが望ましく、下限は0.010 %であることが望ましい。
(N:0.008%以下)
 Nは、VやTi等と窒化物を形成して高温強度を 高める。しかし、N含有量が0.008%を超えると Nb、VやTiとともに炭窒化物を形成し、母材及 び溶接熱影響部の靭性が低下する。このため 、N含有量は0.008%以下とする。同様の観点か N含有量の上限は0.0050%であることが望ましい 。
(Cu:0.05%以上1.0%以下、Ni:0.05%以上2.0%以下又はCr :0.05%以上1.0%以下の1種又は2種以上)
 Cu、Ni又はCrは、いずれも、0.05%以上含有す ことにより、固溶強化と焼入れ性の増大効 による組織変化とを通じて、靭性を大きく なうことなく強度を高めることができる。

 しかし、Cu含有量が1.0%を超えるとスラブ 表面傷に有害なCuチェッキングが発生する めにスラブを低温で加熱する必要が生じ、 造条件が制限される。このため、Cu含有量は 0.05%以上1.0%以下とする。

 また、Niは、ベンド管の母材及び溶接熱 響部の靭性の劣化を抑制する作用を有する 、Ni含有量が2.0%を超えるとコストの上昇が 著になる。このため、Ni含有量は0.05%以上2.0% 以下とする。

 さらに、Cr含有量が1.0%を超えると溶接熱影 部の靭性が低下する。このため、Cr含有量 0.05%以上1.0%以下とする。
 Cu、Ni又はCrは、一種を単独で、又は二種以 を複合して含有する。
(Nb:0.005%以上0.1%以下、V:0.005%以上0.1%以下、又 Ti:0.005%以上0.03%以下の1種又は2種以上)
 Nb、V又はTiは、いずれも、0.005%以上含有す ことにより、析出強化や焼入れ性の増大に る強度の上昇、あるいは、結晶粒の微細化 伴う靭性の改善に大きな効果がある。特にTi は、TiNを生成して溶接熱影響部の粒成長を抑 制して靭性を向上する。しかし、Tiを過剰に 有すると、溶接金属の靭性が低下する。そ で、Nb含有量は0.005%以上0.1%以下とし、V含有 量は0.005%以上0.1%以下とし、さらにTi含有量は 0.005%以上0.03%以下と限定する。

 Nb、V又はTiは、一種を単独で、又は二種以 を複合して含有する。
 これらの必須元素に加えて、必要に応じて 以下に説明する任意添加元素を1種又は2種 上含有してもよい。そこで、任意添加元素 ついても説明する。
(B:0.030%以下)
 Bは、鋼の焼入れ性を顕著に増大させる。し かし、B含有量が0.0030%を越えると溶接性が低 する。そこで、Bを含有する場合にはその含 有量は0.030%以下とする。焼入れ性の増大効果 を確実に得るためには、B含有量は0.005%以上 することが望ましい。
(Ca:0.005%以下)
 Caは、介在物の球状化に効果があり、水素 起割れやラメラーティアーを防止する。し し、Ca含有量が0.005%を超えるとこの効果は飽 和する。そこで、Caを含有する場合にはその 有量は0.005%以下とする。

 上記以外の組成は、Fe及び不純物である。
 以上説明した組成とともに、ベンド素管用 厚鋼板、ベンド素管又はベンド管の母材の 素当量Ceqと、ベンド素管又はベンド管の溶 金属のB含有量及びO含有量は、いずれも、 えばX100グレード以上といった高強度及び高 性のベンド管を製造するためには重要であ 。そこで、これらについても説明する。
(炭素当量Ceq:0.45%以上)
 例えばX100グレード以上といった超高強度を 確保するために、炭素当量Ceqは0.45%以上とす 。同様の観点から炭素当量Ceqは0.48%以上で ることが望ましい。

 なお、炭素当量Ceqは下記式により与えら る。

(溶接金属のB含有量:5ppm以下(ボロンフリー)、 O含有量:280ppm以下)
 ベンド素管の強度を低減することが、溶接 属の靭性の向上に影響する。さらに、冶金 に溶接金属の靱性の向上に影響する因子は ベンド素管の溶接金属におけるB含有量及び O含有量である。B含有量及びO含有量は、いず れも、溶接時のフラックス成分に依存する。

 目標の靱性を得るために、溶接金属のO含 有量は、できるだけ低いことが望ましく、例 えば280ppm以下とすることが望ましい。溶接金 属のO含有量を低減するには、溶接の際に塩 度が高いフラックスを用いればよい。

 X70グレードまでの直管のUOE鋼管のシーム 接金属のB含有量は、靱性の低下を防止する ために、一般的に10ppm以上30ppm以下である。 れにより、粒界フェライトの析出を抑制し 均質なアシキュラーフェライト組織を得る とができ、靱性の低下を防止する。

 しかし、X70グレードを超える超高強度のU OE鋼管の溶接金属は、逆にBを含有しないこと が靱性を向上するためには望ましい。この理 由は、焼き入れ性の増加によりBを含有しな とも粒界フェライトの析出を十分に防止で るとともに、Bを含有するとむしろ組織のラ 化が促進されて靱性が低下するからである

 次に、本実施の形態のベンドの製造方法を 明する。
 本実施の形態では、上述した鋼組成を有す 鋼片に周知慣用の手段により熱間圧延を行 。そして、熱間圧延した後に、700℃以下500 以上の温度域で5℃/sec未満の板厚方向中心 の冷却速度で冷却することにより、ベンド 管用の厚鋼板を製造する。

 従来の製造方法によって例えばX100グレー ド以上の超高強度のベンド管を製造するには 、合金元素を多く含有する被圧延材を用い、 熱間圧延を終了した後に水冷し、例えば20℃/ sec以上の高い冷却速度で焼き入れることによ って、ベンド素管の素材である厚鋼板を超高 強度化する。そして、この厚鋼板を素材とし て溶接鋼管であるベンド素管を製管する。こ の製管の際の拡管工程における溶接金属の破 断を防止するために、溶接金属の強度を、超 高強度化された母材の強度よりもさらに高く する。このため、従来の製造方法によって例 えばX100グレード以上の超高強度のベンド管 製造しようとすると、ベンド管の溶接金属 強度が過剰に上昇し、これに伴って、ベン 管の溶接金属の靭性が不可避的に低下する

 これに対し、本実施の形態では、ベンド 管用の厚鋼板の合金元素の含有量を特に高 ずに、熱間圧延後に700℃以下500℃以上の温 域で5℃/sec未満の板厚方向中心部の冷却速 で冷却することによりベンド素管用の厚鋼 を製造する。これにより、ベンド素管用の 鋼板の強度を、熱間圧延後に水冷する場合 りも約30MPa以上100MPa以下程度低下することが できる。これに応じて、ベンド素管の溶接金 属の強度も、熱間圧延後に水冷する場合より も30MPa以上100MPa以下程度低下することができ 。したがって、ベンド管の溶接金属の靱性 充分に確保することができる。

 本実施の形態では、このようにして製造 れた厚鋼板を素材として、例えばUOE製管法 の周知、慣用の手段により、溶接鋼管であ ベンド素管を製造する。ベンド素管の製管 は特定の方法に限定する必要はない。また このような製管法は当業者にとっては周知 あるので、その説明は省略する。

 本実施の形態では、このようにしてベン 素管を製造した段階では、ベンド素管の強 は、最終的な目標である例えばX100グレード 以上の強度よりも30~100MPa程度低い。しかし、 後述するように、曲げ加工後に行う焼入れ焼 戻しの条件を最適化することによってベンド 管の強度をベンド素管の強度よりも約30~100MPa 程度高めるので、例えばX100グレード以上の 高強度のベンド管を製造できる。

 本実施の形態では、このようにして製造 れたベンド素管を、900℃以上1100℃以下の温 度域に加熱して曲げ加工した後、700℃以下500 ℃以上の温度域で5℃/sec以上の肉厚方向中心 の冷却速度で300℃以下の温度域まで冷却し その後300℃以上500℃以下の温度範囲で焼き す、すなわち300℃以上500℃以下の温度範囲 時効処理する。

 曲げ加工は、周知、慣用であるように、ベ ド素管の溶接金属が曲げ加工部の内側に位 するようにして、行う。
 本実施の形態は、特にX100グレード以上とい った超高強度になるにつれて困難となるベン ド管での溶接金属の靭性の低下を解決するた めに、ベンド素管用の厚鋼板の熱間圧延後の 冷却条件を、従来の冷却条件とは異ならせて ベンド素管を製造するとともに、曲げ加工後 の焼入れ焼戻しの条件も、従来の焼入れ焼戻 し条件とは異ならせてベンド管を製造する。

 ここで、曲げ加工後の熱処理として、900 以上1100℃以下での加熱と、700℃以下500℃以 上の温度域で5℃/sec以上の板厚方向中心部の 却速度で300℃以下、例えば室温までの冷却 を行った上で、300℃以上500℃以下の低温で 焼戻しを行う。

 300℃以上500℃以下という低い温度範囲で 、転位はそれほど自由に動くことができな 。したがって、転位はセメンタイトのみに り十分にピンニングされる。このため、本 施の形態によれば、転位のピンニング作用 奏する析出物を必要としないので、引張強 を殆ど低下することなく、降伏強度のみ上 することができる。

 本実施の形態によれば、適正な成分系を いてベンド素管の強度を低下するとともに 曲げ加工後に適切な熱処理を行うことによ ベンド管の超高強度化を図る。このため、 実施の形態によれば、合金元素を多量に含 することによるコストの上昇を伴うことな 、母材が高い強度と優れた靭性とを有する ともに、溶接金属も優れた靭性を有する、 えばX100グレード以上の超高強度のベンド管 を製造することができる。

 本実施の形態は、曲げ加工後の強度及び 性の確保に重点を置いた焼き入れまま、つ り焼戻しを省略する従来の発明や、曲げ加 後の高強度及び高靭性を確保するための高 での焼戻しを行う従来の発明等とは異なる 本実施の形態は、熱間圧延後に700℃以下500 以上の温度域で5℃/sec未満の板厚方向中心 の冷却速度で冷却されて製造された厚鋼板 素材として用いて、ベンド素管を製管する このため、厚鋼板の強度を低下することが き、これに伴って、ベンド管の溶接金属の 度も低下することができる。

 したがって、本実施の形態により、熱間 延後に水冷されて製造される厚鋼板を素材 するベンド管の母材の強度が不可避的に高 ることに起因して低下する溶接金属の靭性 、大幅に向上することができる。このため 例えばX100グレード以上といった超高強度の ベンド管における技術課題である溶接金属の 靭性の低下を、事実上解消することができる 。

 図1における線aは、熱間圧延後に20℃/sec 冷却速度で水冷して製造されるベンド素管 の厚鋼板の炭素当量と引張強度との関係を 性的に示すグラフ(比較例)であり、線bは、5 /sec未満の冷却速度で空冷して製造されるベ ンド素管用の厚鋼板の炭素当量と引張強度と の関係を定性的に示すグラフ(本発明例)であ 、線dは、このどちらかの厚鋼板を用いて製 造されるベンド素管の溶接金属の炭素当量と 引張強度との関係を定性的に示すグラフであ り、さらに、線cは、このベンド素管を用い 製造されたベンド管の母材及び溶接金属そ ぞれに関する炭素当量Ceq(%)と周方向の引張 度TS(MPa)との関係を、定性的に示すグラフで る。

 同図にグラフで示すように、X100グレード を満足する超高強度のベンド管を製造する場 合を例にとって説明する。はじめに、厚鋼板 の母材の組成として炭素当量がAである成分 選択すると、ベンド素管の母材の強度は、 材である厚鋼板の製造時に水冷(例えば冷却 度20℃/sec)を用いるときには白三角印となり 、空冷(例えば冷却速度5℃/sec)を用いるとき は黒三角印となる。また、溶接金属の強度 、ベンド素管の製管工程での破断を防止す ために、母材の強度よりも高くする必要が る。ラインd上で白三角印により示す母材の 度に見合う溶接金属の強度は白丸印であり その組成は炭素当量がBである成分となる。

 これに対し、黒三角印に見合うベンド素管 溶接金属は、ラインdで示すベンド管での強 度をも考慮すると黒丸印により示され、その 組成は炭素当量がCである成分となる。
 図1に示すグラフから、ベンド素管の素材で ある厚鋼板の熱間圧延後の冷却条件の違いに よりこの厚鋼板の強度は大きく変化するため 、これに見合う溶接金属の強度及び成分も大 きく相違することがわかる。一般的に強度及 び靭性は反比例するので、炭素当量がBであ 成分を有するベンド管の溶接金属の靱性は 炭素当量がCである成分を有するベンド管の 接金属の靱性よりも、かなり低下している とがわかる。

 このように、本発明により、ベンド素管 溶接金属の合金元素の含有量を、炭素当量 Bである成分から炭素当量がCである成分へ 大幅に低減することができるので、ベンド の溶接金属の靱性を大幅に向上することが きる。

 このようにして、本実施の形態によれば 母材が高い強度と優れた靭性とを有すると もに溶接金属も優れた靭性を有する、例え X100グレード以上の超高強度のベンド管を製 造することができる。具体的には、本実施の 形態により製造されるX100グレード以上のベ ド管は、母材の降伏強度YS:690MPa以上、引張 度:760MPa以上、降伏比:97.0%以下、-10℃でのシ ルピー吸収エネルギー:80J以上であり、溶接 金属の-10℃でのシャルピー吸収エネルギー:40 J以上、延性破面率:50%以上であり、さらに、 接熱影響部の-10℃でのシャルピー吸収エネ ギー:40J以上、延性破面率:50%以上の性能を する。

 次に、本実施の形態の効果を確認するた 、以下に説明する直線加熱試験を行った。 ンド管を実際に製造して試験を行うのでは 験に要するコストの上昇が大きい。この直 加熱試験は、実際のベンド管の製造工程か 曲げ加工工程のみを除外して製造される直 の機械的特性を評価する試験であって、ベ ド管の製造工程における熱処理条件の有効 を比較的安価かつ容易に判定することがで る。

 直線加熱試験は、具体的には、熱間圧延 に25℃/secの冷却速度で水冷して得られた厚 板を素材とするベンド素管を用い、曲げ加 せずに焼入れした後、焼戻しなし、350、400 は450℃の焼戻し温度で焼き戻すことによっ 、行った。

 直線加熱試験に用いたベンド素管は、外 914mm、肉厚16mmのUOE鋼管である。表1には、こ のベンド素管の母材及び溶接金属の組成を示 す。表2には、このベンド素管の母材、溶接 属及び溶接熱影響部の各種の機械的特性を す。

 この直線加熱試験では、熱間圧延後に25 /secの冷却速度で水冷することによりベンド 管の素材である厚鋼板を製造し、さらに、 の厚鋼板の強度に応じて、溶接金属の組成 、合金元素の含有量が多い組成とした(表1 照)。このため、ベンド素管の溶接金属の強 は非常に高くなっている。

 このベンド素管を1030℃に加熱し、肉厚方 向中心部における測定値16℃/秒の冷却速度で 300℃以下の温度まで水冷し、その後常温まで 放冷した。その後、表3に示す焼戻し条件で 処理した。焼き戻し処理における保持時間 、1時間/1インチ(25.4mm)を基準とした。このた め、本試験での保持時間は、ベンド素管の肉 厚が16mmであるので、約38分間とした。

 表3には、得られた直管の母材の引張試験 の結果(YS、TS、YR)と、母材のシャルピー衝撃 験における吸収エネルギーと、溶接金属の ャルピー衝撃試験における吸収エネルギー びSA(延性破面率)と、溶接熱影響部のシャル ピー衝撃試験における吸収エネルギー及びSA( 延性破面率)とを示す。引張試験は、APIに規 される板状の引張り試験片を用いて行い、 らに、シャルピー試験は、10mm×10mmの2mmVノッ チシャルピー試験片を用いて-10℃の試験温度 で行った。

 図2は、焼戻し条件(焼戻しなし(AsQ)、350℃ での焼戻し、400℃での焼戻し又は、450℃での 焼戻し)とシャルピー衝撃試験における吸収 ネルギーvE-10deg.℃(J)との関係を示すグラフ ある。図2のグラフにおいて、黒丸印は母材 示し、黒三角印は溶接金属を示し、さらに 白丸印は溶接熱影響部を示す。

 図3は、焼戻し条件(ベンド素管、焼戻し し(AsQ)、350℃での焼戻し、400℃での焼戻し又 は、450℃での焼戻し)と母材の強度(0.5%YS、TS) の関係を示すグラフである。

 さらに、図4は、焼戻し条件(ベンド素管 焼戻しなし(AsQ)、350℃での焼戻し、400℃での 焼戻し又は、450℃での焼戻し)と、溶接金属 内面及び外面の強度(YS、TS)との関係を示す ラフである。

 図2~4に示すグラフから、直管の母材の引 強度及び靭性はいずれも良好であることが かる。しかし、溶接金属の靭性は、吸収エ ルギーvE-10deg.℃が50J程度と極めて不芳であ 。このように溶接金属の靱性が不芳である は、母材の強度が900MPa程度であるのに対し 溶接金属の強度が1050MPa程度と高いためであ る。

 つまり、溶接金属の合金元素の含有量を 減することによってベンド管の溶接金属の 度を低下することが、例えばX100グレード以 上といった超高強度のベンド管の溶接金属の 靭性を確保するためには、有効である。しか し、溶接金属の合金元素の含有量を単に低減 するのでは、溶接金属の組成がいわゆるアン ダーマッチとなって溶接金属の強度が母材の 強度よりも低下し、ベンド素管の製管時にお ける拡管工程で溶接金属が破断する。これに 対し、本実施の形態では、ベンド素管の母材 である厚鋼板の強度を低下するため、ベンド 素管の溶接金属がオーバーマッチの組成であ ることを維持しながら、溶接金属の合金元素 の含有量を低減することができる。

 さらに、図5は、炭素当量Ceqが0.40%である 成(C:0.06%、Si:0.2%、Mn:1.6%、Cu:0.15%、Ni:1.0%、Cr: 0.45%、Mo:0.25%、Ti:0.012%、O:0.018%、CE(IIW):0.56%、 部Fe及び不純物)溶接金属の熱処理後の靱性(- 10℃でのシャルピー衝撃試験の吸収エネルギ )に及ぼす焼入れ温度と溶接金属のB含有量(2 4ppm、3ppm)との影響を示すグラフである。

 上述したように、ベンド管の溶接金属の 性を向上するには、溶接金属の強度を低下 ることが最も有効である。さらに、図5にグ ラフで示すように、溶接金属のB含有量を5ppm 下に低減することによっても、溶接金属の 性を向上できる。このため、溶接金属のB含 有量を5ppm以下に低減することも望ましい。

 一般に、X70グレード以下のベンド管では ロン添加型フラックスを用いる。しかし、 えばX100グレード以上の超高強度のベンド管 ではBをできるだけ含有しないフラックスを いることが、溶接金属の靱性を高めるため は望ましい。焼き入れ性の増加によりBを含 しなくとも粒界のフェライトの析出を充分 防止できるとともに、Bを含有することによ り組織のラス化がむしろ促進され、靱性が低 下するからである。

 実施例を参照しながら、本発明をより具体 に説明する。
 鋼片に熱間圧延を行った後に空冷又は水冷 ることにより、表4に示す鋼組成、炭素当量 Ceq及び溶接割れ感受性指数Pcmを有する厚鋼板 を製造した。そして、この厚鋼板を素材とし てUOE製管法により、UOE鋼管であるベンド素管 を製造した。

 このベンド素管を、肉厚方向中心部の温 が表4に示す加熱温度となるように加熱して から曲げ加工した。曲げ加工した後に直ちに 表4に示すベンド管冷却速度で300℃以下の温 域まで冷却し、その後、表4に示すベンド管 戻し温度で焼き戻すことにより、外径914.4mm 、肉厚16mm及び全長12000mmのベンド管を製造し 。

 表4における「Plate冷却速度」とは、厚鋼 の熱間圧延後における水冷速度(35、20又は22 ℃/sec)又は空冷速度(3、2℃/sec)を、その板厚 向中心部の位置で測定した値である。また 表4における「ベンド管冷却速度」とは、ベ ド管の肉厚方向中心部の位置で測定した値 ある。さらに、表4における「ベンド管焼戻 温度」も同様にベンド管の肉厚方向中心部の 位置で測定した値である。

 焼戻時間は、1時間/1インチ(25.4mm)を基準 したので、60分×16mm/25.4mm=38分とした。これ 以外の肉厚のベンド管を製造する場合にも の基準を採用することが望ましい。このよ に焼戻時間を規定することが望ましい理由 、焼戻時間が過剰に長いと生産性が低下す とともに、内部まで均一に焼戻しの効果を るためには最低必要な時間が存在するから ある。したがって、この基準により算出さ る保持時間tに対して0.8t以上1.2t以下の時間 焼戻すことが望ましい。

 ベンド素管及びベンド管についての試験 果を表5にまとめて示す。表5における左側 2列の値はベンド素管の結果を示し、これら 外の全ての値はベンド管の結果を示す。

 表4、5におけるNo.1、3、6、7、8、9及び10は 、本発明例である。表4、5におけるNo.2、4、5 11、12及び13は、組成又は製造条件のいずれ が本発明で規定する条件を外れる比較例で る。

 表5に示す曲げ加工部の溶接金属の靭性の 目標は、現在一般的に議論されているX100グ ードで規格化されると予想される値(-10℃で シャルピー吸収エネルギー:40J以上、延性破 面率:50%以上)とした。

 表5に示す結果から、本発明例では、ベンド 管の母材及び溶接金属の強度が、ベンド素管 の母材及び溶接金属の強度よりも、いずれも 高いことがわかる。
 また、表5に示す結果から、本発明例によれ ば、X100グレード以上の目標性能を十分に満 することができ、X100グレード以上の超高強 のベンド管を確実に製造できるのに対し、 発明で規定する条件を外れると、X100グレー ド以上の目標性能を満足できないことがわか る。