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Patent Searching and Data


Title:
BREADS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/090739
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide a bread which is excellent in texture, lightness and flavor though it contains catechins in a large amount. A bread produced by adding a purified plant extract containing catechins so as to give a catechin content of 0.2 to 0.5 part by weight per 100 parts by weight of cereal flours, wherein the weight ratio of catechins/tannin in the purified plant extract containing catechins is from 0.81 to 1.10.

Inventors:
KAMEO YOJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/000065
Publication Date:
July 31, 2008
Filing Date:
January 23, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KAO CORP (JP)
KAMEO YOJI (JP)
International Classes:
A21D2/36; A21D13/00; A23G3/00; A23G3/34
Foreign References:
JP2003299440A2003-10-21
JPH10313768A1998-12-02
JP2006174755A2006-07-06
JPS60156614A1985-08-16
JPH03133928A1991-06-07
JP2005269996A2005-10-06
JPH10313768A1998-12-02
Other References:
See also references of EP 2127524A4
Attorney, Agent or Firm:
THE PATENT CORPORATE BODY ARUGA PATENT OFFICE (3-6 Nihonbashiningyocho 1-chome, Chuo-k, Tokyo 13, JP)
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Claims:
 穀粉類100重量部に対してカテキン類が0.2~0.5重量部配合されるようカテキン類含有植物抽出精製物を添加し、焼成して製造されたパン類であって、該カテキン含有植物抽出精製物における高速液体クロマトグラフィーで測定したカテキン類含有量と酒石酸鉄法で測定したタンニン含有量の比が0.81~1.10であるパン類。
 カテキン類含有植物抽出精製物が緑茶抽出物の精製物である請求項1記載のパン類。
 カテキン類含有植物抽出精製物を水分率10重量%未満の粉末形態で添加して得られたものである、請求項1又は2記載のパン類。
 パン類が食パン、調理パン、菓子パン、特殊パン及び前記パンにフィリングを詰め物したパンからなる群より選択されるものである請求項1~3の何れか一項に記載のパン類。
Description:
パン類

 本発明はカテキンを配合したパン類に関 る。

 カテキンには一般に広く知られている酸 防止剤としての機能の他に、α-アミラーゼ 性阻害作用、コレステロール吸収阻害作用 の生理作用があることが知られており(特許 文献1、2参照)、種々の食品に配合することが 近年検討されている。当該カテキンとしては 、食品に添加するものであることから、茶、 ブドウ、リンゴ、大豆等の植物由来のものが 広く用いられている。

 一方、食パン等のパン類においては、軽 、体積膨張率が高く、食感が良いものが求 られており、そのための技術として、乳化 、油脂、糖質等の配合又はこれらの材料か なる乳化物の配合や酵素の配合等が行なわ ている。

 このような状況のため、これまで茶抽出物 を配合したパン類が種々提案されてきたが 上記生理機能が期待できる程度にカテキン を高濃度配合し、且つ食感を含む品質面で 好なものを作ることは困難であった。なぜ ら、パンはイーストが発生するガスをその 部に保持することで膨らむために、小麦粉 主原料とする原材料を水と捏ねて粘弾性を する生地を調製する必要がある。その粘弾 発現には小麦粉の主成分である不溶性蛋白( グルテン)が重要な役割を果たしている。一 で、カテキン類を含む茶抽出物や茶タンニ 類は、自身の有する還元力のためグルテン 粘弾性発現に重要な役割を果たすS-S結合を 元してしまったり、S-S結合促進のために配 されているアスコルビン酸等の酸化剤と先 反応してしまうため、高濃度で配合すると 地の粘弾性を著しく低下させてしまい製パ を困難にするという欠点がある。
 事実、パンにカテキンを配合することを記 した特許文献においても、カテキン類の添 量は製パン用穀粉100gに対して0.001~0.005gと非 常に低いものである(特許文献3)。
 また、特許文献4には、タンニン類(カテキ 、タンニン酸、フラボン、アントシアンな のポリフェノール類)をパン生地中の小麦粉1 00重量部に対して0.05~1.0重量部となるように 加したパン組成物配合する技術が開示され いる。なお、特許文献4は具体的にはタンニ 酸を配合した場合の電子レンジ加熱後のパ の品質向上についての言及しかなく、カテ ン類を配合した場合についての言及はなさ ていない(特許文献4)。

特開昭60-156614号公報

特開平3-133928号公報

特開2005-269996号公報

特開平10-313768号公報

 本発明は、穀粉類100重量部に対してカテ ン類が0.2~0.5重量部配合されるようカテキン 類含有植物抽出精製物を添加し、焼成して製 造されたパン類であって、該カテキン含有植 物抽出精製物における高速液体クロマトグラ フィーで測定したカテキン類含有量と酒石酸 鉄法で測定したタンニン含有量の比(以下、 テキン類/タンニン重量比という)が0.81~1.10で あるパン類を提供するものである。

発明の実施の形態

 しかし、カテキン類の生理作用を得るべく 例えば前述のような茶抽出物を、小麦粉を 体とする穀粉類100重量部に対し、カテキン として0.2重量部以上となるよう多量に配合 てパン類を製造すると、当該抽出物由来の 味、渋味等が生じるため風味が低下してし う。また得られたパン類が硬く、食感が悪 なってしまい、明度も低いものとなってし うという問題が生じることが判明した。
 従って、本発明は、小麦粉を主体とする穀 類100重量部に対し、カテキン類として0.2重 部以上という生理活性的に好ましい量のカ キン類が配合され、かつ食感、明度、体積 風味の良好なパン類を提供することにある

 本発明者は、種々のカテキン類含有物を いてパン類を製造し、その食感、風味等に いて鋭意検討してきたところ、全く意外に 穀粉類100重量部に対してカテキン類が0.2~0.5 重量部配合されるようカテキン類含有植物抽 出精製物を添加して製造されたパン類であっ て、カテキン類含有植物抽出精製物中のカテ キン類/タンニン重量比が0.81~1.10であれば、 テキン類/タンニン重量比が低いものを用い 場合に比べて、パン類へのカテキン類の配 量が同量であっても、明度が高く、ソフト しっとりとした食感で、風味も良好なパン が得られることを見出した。

 本発明のパン類は、多量のカテキン類が 合されているにもかかわらず、苦味、渋味 収斂味の出方が少なく、明度も高く、ソフ な食感で、風味も良好であるという効果を する。

 本発明のパン類は、穀粉類(A)を主原料と 、穀粉類(A)100重量部に対してカテキン類が0 .2~0.5重量部配合されることとなるよう副原料 のひとつであるカテキン類含有植物抽出精製 物(B)を添加し、焼成して製造される。なお、 本発明ではカテキン類含有植物抽出精製物(B) のカテキン類/タンニン重量比は0.81~1.10であ ことを特徴とする。

 本発明においてカテキン類とは、非重合体 テキン類を意味し、カテキン、ガロカテキ 、カテキンガレート、ガロカテキンガレー 等の非エピ体カテキン類;及びエピカテキン 、エピガロカテキン、エピカテキンガレート 、エピガロカテキンガレート等のエピ体カテ キン類をあわせての総称である。
 また、本発明においてタンニンとは上述の テキン類に加えて、縮合型タンニン、加水 解性タンニンを含むものである。
 本発明におけるカテキン類量は、実施例記 の条件における高速液体クロマトグラフィ による測定値であり、タンニン量は、実施 記載の条件における酒石酸鉄法による測定 である。

 本発明のパン類は、カテキン類が穀粉類1 00重量部に対して0.2~0.5重量部配合されるよう (B)カテキン類含有植物抽出精製物を添加して 製造されたものであるが、この量は、風味、 生理効果、明度、体積膨張及び食感等の点か ら、0.25~0.5重量部、特に0.3~0.5重量部であるこ とが好ましい。

 本発明においては、カテキン類/タンニン 重量比が0.81~1.10のカテキン類含有植物抽出精 製物を用いる。当該精製物を用いると、カテ キン類/タンニン重量比が0.81~1.10の範囲外の の等を用いた場合に比べて、パン類の明度 高く、体積膨張率が良く、ソフトな食感と り、さらに苦味、渋味等も低減され、風味 良好となるからである。

 本発明のパン類に配合されるカテキン類 有植物抽出精製物(B)のカテキン類/タンニン 重量比率は、特に風味、色調の点から0.81~1.10 であり、0.82~1.10が好ましく、さらに0.85~1.10が 好ましい。カテキン類/タンニン重量比が0.81 り低い場合、カテキン類を配合するために の共雑物を多量に配合することになり、作 性及びパンの品質、特に風味に悪影響を及 すため好ましくない。

 また、カテキン類含有植物抽出精製物(B) ガレート体率が75重量%以下であることが好 しい。ここで、ガレート体率とは、全カテ ン類中のガレート体の量を重量%で表したも のであり、全カテキン類中には、前記の如く 、カテキンガレート、ガロカテキンガレート 、エピカテキンガレート及びエピガロカテキ ンガレートといったガレート体と、カテキン 、ガロカテキン、エピカテキン及びエピガロ カテキンといった非ガレート体とが存在する ことから計算される。当該ガレート体が75重 %以下のカテキン類を用いることによって、 明度が高く、体積膨張率が良好で、食感が良 好で、風味が良いパン類を得ることが容易に なる。より好ましいガレート体率は、5~70重 %であり、さらに好ましくは10~65重量%であり 特に20~60重量%の範囲が好ましく、さらに20~4 5重量%が好ましく、20~40重量%が特に好ましい

 また、カテキン類含有植物抽出精製物(B) カテキン類濃度は40重量%以上が好ましく、 り好ましくは41~95重量%であり、さらに好ま くは45~90重量%、特に好ましくは50~85重量%で る。

 さらにまた、カテキン類含有植物抽出精 物(B)は、パンのカフェイン由来風味を低減 せる点からカフェイン含有量が少ないもの 好ましく、従って、そのカフェイン/カテキ ン類比(重量比)は、0.20以下、さらに0.10以下 特に0.06以下が好ましい。

 さらにまた、カテキン類含有植物抽出精 物(B)としては、茶、ブドウ、リンゴ、大豆 の抽出物の精製物が挙げられるが、このう 緑茶抽出物の精製物が好ましく、例えば緑 抽出物や緑茶抽出物の濃縮物を精製するこ により得ることができる。ここで緑茶抽出 の濃縮物とは具体的には、緑茶抽出物の濃 物の水溶液、当該緑茶抽出物の濃縮物に緑 抽出液を配合したもの、あるいは緑茶抽出 の粉末等が挙げられる。ここでいう緑茶抽 物の濃縮物とは、緑茶葉から熱水もしくは 溶性有機溶媒により抽出した溶液から水分 一部除去することによりカテキン類濃度を めたものであり、形態としては、固体、水 液、スラリー状など種々のものが挙げられ 。また、緑茶抽出物とは濃縮や精製操作を わない抽出液のことをいう。緑茶抽出物の 縮物の市販品としては三井農林(株)「ポリ ェノン」、伊藤園(株)「テアフラン」、太陽 化学(株)「サンフェノン」などが挙げられる

 これら緑茶抽出物の濃縮物を精製してカテ ン類含有植物抽出精製物(B)を調製する方法 しては、緑茶抽出物の濃縮物を水又は水と タノールなどの有機溶媒の混合物に懸濁し 生じた沈殿を除去し、次いで水や有機溶媒 留去する方法が挙げられる。
 また、上述の沈殿除去処理の他に、(i)緑茶 出物に、活性炭、酸性白土及び活性白土か 選ばれる少なくとも1種を添加して処理する 方法;(ii)緑茶抽出物をタンナーゼ処理する方 、及び;(iii)緑茶抽出物を合成吸着剤により 理する方法等を挙げることができる。
 カテキン類含有植物抽出精製物(B)としては さらに、茶葉から熱水もしくはエタノール どの水溶性有機溶媒により抽出した抽出物 濃縮したものをさらに精製したもの、ある は抽出物を直接精製したものであってもよ 。

 カテキン類含有植物抽出精製物(B)の形態 しては、液状、スラリー状、粉末状等のい れでもよいが、パン類においてはカテキン 含有植物抽出精製物と小麦粉中の蛋白とを 時間接触させたくないため、例えば中種製 であれば本捏工程で配合するのが好ましい この本捏工程では加水量を極めて少なくす 必要がある場合もあり、よって、水分率10 量%未満の粉末形態のものを用いるのが好ま い。

 本発明のパン類は、主原料として穀粉類( A)が用いられ、副原料としてカテキン類含有 物抽出精製物(B)以外に、油脂(C)、糖類(D)、 ースト、イーストフード、水、乳製品、食 、調味料(グルタミン酸ソーダ類や核酸類) 保存剤、ビタミン、カルシウム等の強化剤 蛋白質、乳化剤、アミノ酸、化学膨張剤、 レーバー、色素、レーズン等の乾燥果実、 ッツ、小麦ふすま、全粒粉、チョコ及びチ コレート類等を適宜使用できる。また、増 多糖類も適宜使用できる。

 本発明に用いられる穀粉類(A)としては、 常パン類に用いられるものであれば配合す ことができ、小麦粉、米、とうもろこし、 チとうもろこし(ワキシーコーン)、タピオ 等由来のでんぷん類及びこれらの加工でん ん等が挙げられる。小麦粉としては、強力 、準強力粉が主に用いられ、食感改善等の 点より、中力粉及び薄力粉が一部用いられ 。一般には上記分類は小麦粉中蛋白量で定 され、強力粉は11.5~13.0%、準強力粉は10.5~12.5% 、中力粉は7.5~9.0%、薄力粉は6.5~8.0%と規定さ る。

 油脂(C)としては、通常パン類に用いられ ものであれば配合することができ、動物性 植物性のいずれでも良く、バター、ラード マーガリン、ショートニングなどの可塑性 持ったもの、液状油、又はそれらに水素添 をした硬化油(固体脂)、エステル交換油等 広いものを単独又は複数用いることができ 。油脂(C)の配合量は穀粉類100重量部に対し 0.5~70重量部が好ましく、さらに1~60重量部、 に3~50重量部とすることが製パン作業性及び 風味の点から好ましい。

 糖類(D)としては、通常パン類に用いられる のであれば配合することができる。具体的 はグルコース、フルクトース、ガラクトー 等の単糖類;マルトース、ショ糖、麦芽糖、 水飴、異性化糖、転化糖、サイクロデキスト リン、分岐サイクロデキストリン、デキスト リンなどの二糖類ないし多糖類;澱粉加水分 物などの還元糖を使用することができる。 れらは1種又は2種以上を組み合せて使用する ことができる。本発明における糖類(D)の配合 量は、穀粉類100重量部に対して0.5~30重量部が 好ましく、さらに1~27重量部、特に2~25重量部 することが作業性及び風味の点から好まし 。
 また、その他の甘味料として、ソルビトー 、マルチトール、キシリトールなどの糖ア コール類;スクラロース、アスパルテーム、 アセスルファムカリウムなどを使用すること ができる。

 蛋白質は栄養強化や食感改善のために配 することが好ましい。蛋白質としては食感 善の観点より、水に溶解した時、粘性を呈 るものであれば良く、乳蛋白質及び動植物 蛋白質等が挙げられる。乳蛋白質としては トリウムカゼイン、カルシウムカゼイン、 ンネットカゼイン、ミルクカゼイン、ミル ホエー、ラクトアルブミン、ラクトグロブ ン等が挙げられる。これら蛋白質は単独で いても、これらから選択された2種以上の混 合系で用いても良い。本発明における蛋白質 の配合量は、穀粉類100重量部に対して0.01~20 量部が好ましく、さらに0.1~15重量部、特に0. 5~10重量部とすることが食感及び風味の点か 好ましい。

 乳化剤としては、通常パン類に用いられ ものであれば配合することができ、例えば グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸 ステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロ レングリコール脂肪酸エステル、レシチン レシチン誘導体等が挙げられる。また、こ らから選択された2種以上の混合系で用いら れることが乳化剤自身の分散性を向上させ、 かつ作業性向上及び食感、特に保存時の老化 防止を達成するという理由により好ましい。 特に製パン作業性及び老化防止の観点からグ リセリン脂肪酸エステルの使用が好ましい。 本発明における乳化剤の配合量は、穀粉類100 重量部に対して0.1~10重量部が好ましく、さら に0.1~10重量部、特に0.2~7重量部とすることが 業性向上及び保存時の老化防止の点から好 しい。

 本発明のパン類としては、食パン(角型、 山型)、マフィン等の特殊パン、調理パン、 子パン及びこれらのパンにフィリングなど 詰め物をしたものが挙げられる。具体的に 、食パンとしては白パン、黒パン、フラン パン、バラエティーブレッド、ロール(テー ルロール、バンズ、バターロールなど)が挙 げられる。特殊パンとしてはマフィンなど、 調理パンとしてはホットドック、ハンバーガ ーなど、菓子パンとしてはジャムパン、あん パン、クリームパン、レーズンパン、メロン パン、スィートロール、リッチグッズ(クロ ッサン、ブリオッシュ、デニッシュペスト ー)などが挙げられる。

 本発明のパン類の製造方法としては特に 定されず、ストレート法(直捏法)、中種法 ベーシック・スイート・ドウ法が挙げられ 。その焼成条件は、前記パンの種類によっ 適宜決定される。

(非重合体カテキン類の測定方法)
 カテキン製剤中の非重合体カテキン類の測 は、カテキン製剤を蒸留水で希釈し、フィ ター(孔径:0.8μm)でろ過後、島津製作所社製 高速液体クロマトグラフ(型式SCL-10AVP)を用 、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ パックドカラム L-カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm: 団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し カラム温度35℃で、A液及びB液を用いたグラ エント法によって行った。移動相A液は酢酸 0.1mol/L含有の蒸留水溶液、B液酢酸0.1mol/L含有 アセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μ L、UV検出器波長は280nmの条件で行った。

(タンニンの測定方法)
 タンニンの測定は酒石酸鉄法により、標準 として没食子酸エチルを用い、没食子酸の 算量として求める。(参考文献:「緑茶ポリ ェノール」飲食料品用機能性素材有効利用 術シリーズNO.10)。試料5mLを酒石酸鉄標準液5m Lで発色させ、リン酸緩衝液で25mLに定溶し、5 40nmで吸光度を測定し、没食子酸エチルによ 検量線からタンニンを求める。
 酒石酸鉄標準液の調製:硫酸第一鉄・7水和 100mgと酒石酸ナトリウム・カリウム500mgを蒸 水で100mLとする。
 リン酸緩衝液の調製:1/15mol/Lリン酸水素二ナ トリウム溶液と1/15mol/Lリン酸二水素ナトリウ ム溶液を混合しpH7.5に調整する。

(カフェインの測定方法)
 下記の装置を使用した。
 HPLC(日立製作所社製)
 プロッター:D-2500,ディティクター:L-4200
 ポンプ:L-7100,オートサンプラー:L-7200
 カラム:lnertsil ODS-2、内径2.1mm×長さ250mm

 分析条件は下記の通りである。
 サンプル注入量:10μL,流量:1.0mL/min
 紫外線吸光光度計検出波長:280nm
 溶離液A:0.1mol/L酢酸水溶液,溶離液B:0.1mol/L酢 アセトニトリル溶液
 濃度勾配条件(体積%)
  時間(分)   溶離液A   溶離液B
   0       97      3
   5       97      3
  37       80     20
  43       80     20
  43.5      0    100
  48.5      0    100
  49       97      3
  62       97      3

 カフェインのリテンションタイムは27.2分で あった。
 ここで求めたエリア%から標準物質により重 量%を求めた。

(カテキン製剤水分率の測定方法)
 カテキン製剤を2~3g秤量し、105℃に設定した 恒温槽に2時間入れた前後の重量差を水分量 して、入れる前のカテキン製剤重量で水分 を割った値の百分率をカテキン製剤水分率 した。

製造例
(緑茶抽出物の濃縮物:ポリフェノンHG)
 固形分中における非重合体カテキン類濃度 33.7重量%であった。
 ガレート体率51重量%であった。
 非重合カテキン類濃度/タンニン重量比は0.6 9であった。

(カテキン製剤(i)三井農林社製 POL-JK)
 固形分中における非重合体カテキン類濃度 30.6重量%であった。
 ガレート体率50重量%であった。
 非重合カテキン類濃度/タンニン重量比は0.8 0であった。
 カテキン製剤(i)の水分率は6.8重量%であった 。

(カテキン製剤(ii)の製造)
 緑茶抽出物の濃縮物(ポリフェノンHG、東京 ードテクノ社製)200gを常温、250r/min攪拌条件 下の68重量%エタノール水溶液800g中に分散さ 、酸性白土ミズカエース#600(水澤化学社製)35 gを投入後、約10分間攪拌を続けた。その後、 2号ろ紙でろ過した。その後、活性炭20gを添 し再び2号ろ紙でろ過した。次に孔径0.2μmメ ブランフィルターによって再ろ過を行った イオン交換水200gをろ過液に添加して、40℃ 0.0272kg/cm 2 でエタノールを留去し、イオン交換水でカテ キン類濃度を調整して緑茶抽出物の濃縮物の 精製物を得た。さらにこれを凍結乾燥し、粉 末状のカテキン製剤(ii)を得た。
 カテキン製剤(ii)の固形分中における非重合 体カテキン類濃度は42.3重量%であった。
 カテキン製剤(ii)の非重合カテキン類濃度/ ンニン重量比は0.81であった。
 カテキン製剤(ii)のガレート体率は51重量%で あった。
 カテキン製剤(ii)の水分率は5.4重量%であっ 。

(カテキン製剤(iii)の製造)
 緑茶抽出物の濃縮物(ポリフェノンHG、東京 ードテクノ社製)200gを常温、250r/min攪拌条件 下の95重量%エタノール水溶液800g中に分散さ 、酸性白土ミズカエース#600(水澤化学社製)10 0gを投入後、約10分間攪拌を続けた。その後 2号ろ紙でろ過した。その後、活性炭20gを添 し再び2号ろ紙でろ過した。次に孔径0.2μmメ ンブランフィルターによって再ろ過を行った 。イオン交換水200gをろ過液に添加して、40℃ 、0.0272kg/cm 2 でエタノールを留去し、イオン交換水でカテ キン類濃度を調整して緑茶抽出物の濃縮物の 精製物を得た。さらにこれを凍結乾燥し、粉 末状のカテキン製剤(iii)を得た。
 カテキン製剤(iii)の固形分中における非重 体カテキン類濃度は62.5重量%であった。
 カテキン製剤(iii)の非重合カテキン類濃度/ ンニン重量比は0.94であった。
 カテキン製剤(iii)のガレート体率は51重量% あった。
 カテキン製剤(iii)の水分率は3.2%重量%であっ た。

(カテキン製剤(iv)の製造)
 緑茶葉(ケニア産、大葉種)3kgに88℃の熱水45k gを添カロし、60分間攪拌バッチ抽出したのち 、100メッシュ金網で粗ろ過後、抽出液中の微 粉を除去する為に遠心分離操作を行い、「緑 茶抽出液」36.8kg(pH5.3)を得た(緑茶抽出液中の 重合体カテキン類濃度=0.88重量%、緑茶抽出 のガレート体率=51.6重量%、カフェイン0.17重 量%)。緑茶抽出液の一部を凍結乾燥し、カテ ン製剤(iv)を得た。カテキン製剤(iv)中の固 分中における非重合体カテキン類濃度=32.8質 量%、カテキン製剤(iv)のガレート体率は51.6質 量%、カテキン製剤(iv)のカフェイン/カテキン 比=0.193であった。

(カテキン製剤(v)の製造)
 緑茶葉(ケニア産、大葉種)3kgに88℃の熱水45k gを添加し、60分間攪拌バッチ抽出したのち、 100メッシュ金網で粗ろ過後、抽出液中の微粉 を除去する為に遠心分離操作を行い、「緑茶 抽出液」36.8kg(pH5.3)を得た(緑茶抽出液中の非 合体カテキン類濃度=0.88重量%、緑茶抽出液 ガレート体率=51.6重量%、カフェイン0.17重量 %)。この緑茶抽出液を温度15℃に保持し、タ ナーゼ(キッコーマン社製タンナーゼKTFH、500 U/g)を緑茶抽出液に対して430ppmとなる濃度で カロし、55分間保持し、90℃に溶液をカロ熱 て、2分間保持し酵素を失活させ、反応を止 めた(pH5.2)。次いで70℃、6.7kpaの条件下で、減 圧濃縮でBrix濃度20%まで濃縮処理を行い、さ に噴霧乾燥して粉末状のタンナーゼ処理し カテキン製剤(v)1.0kgを得た。カテキン製剤(v) 中の固形分中における非重合体カテキン類含 有量30.5重量%、カテキン製剤(v)のガレート体 31.6重量%、カテキン製剤(v)のカフェイン/カ キン比=0.183であった。

(カテキン製剤(vi)の製造)
 酸性白土(ミズカエース#600、水澤化学社製)1 00gを常温、250r/min攪拌条件下の92質量%エタノ ル水溶液800g中に分散させ、約10分間攪拌を った後、カテキン製剤(iv)120g、カテキン製 (v)80gの混合物を投入し、室温のまま約3時間 攪拌を続けた(pH4.1)。その後、生成している 沈殿及び酸性白土を2号ろ紙で濾過した。得 れたろ液にイオン交換水を417g添加し、15℃ 100r/min攪拌条件下で約5分間攪拌を行った。 の混合溶液を小型冷却遠心分離機を用い(日 工機社製)、操作温度15℃で析出した濁り成 を分離した(6000rpm、5分)。分離した溶液を活 性炭(クラレコールGLC、クラレケミカル社製)3 0gと接触させ、続けて0.2μmメンブランフィル ーによってろ過を行った。その後、凍結乾 してカテキン製剤(vi)を得た。
 カテキン製剤(vi)中には固形分中における非 重合体カテキン類59.5重量%が含まれており、 レート体率は44.1重量%、カテキン/タンニン =0.928、水分率は4.6重量%であった。

(カテキン製剤(vii)の製造)
 カテキン製剤(v)85gを、脱イオン水8415gに25℃ で30分間撹枠溶解した(タンナーゼ処理液)。 テンレスカラム1(内径110mm×高さ230mm、容積218 5mL)に合成吸着剤SP-70(三菱化学(株)製)を2048mL 填した。タンナーゼ処理液8200g(4倍容積対合 吸着剤)をSV=1(h -1 )でカラム1に通液し透過液は廃棄した。次い SV=1(h -1 )で2048mL(1倍容積対合成吸着剤)の水で洗浄し 。水洗後、50質量%エタノール水溶液をSV=1(h -1 )で4096mL(2倍容積対合成吸着剤)を通液し、「 脂処理品1」4014g(pH4.58)を得た。この抽出物中 には非重合体カテキン類1.89質量%が含まれて り、非重合体カテキン類組成物のガレート 率は36.2%であった。又、カフェイン0.281質量 %であった。茶抽出物の固形分中の非重合体 テキン類60.1質量%であった。次いで、ステン レスカラム2(内径22mm×高さ145mm、容積55.1mL)に 状活性炭太閤SGP(フタムラ化学(株)製)を8.5g 填した。「樹脂処理品1」1000gをSV=1(h -1 )でカラム2に通液した(活性炭の量はタンナー ゼ処理した緑茶抽出物に対して0.4)。さらに 結乾燥してカテキン製剤(vii)を得た。このカ テキン製剤(vii)には固形分中における非重合 カテキン類77.6重量%が含まれており、ガレ ト体率は26.1重量%、カテキン/タンニン比=1.07 2、水分率は3.7重量%であった。

実施例1~6、比較例1及び2
<食パンの製造条件>
 表1記載の分量の原材料を用い、下記の方法 により実施例1~6、比較例1及び2のパンを調製 た。
1.中種生地調製条件
 縦型ミキサー(カントーミキサー 型式SS型  10コート、フック使用)を用い、中種配合材料 をミキサーに入れ、低速3分、中高速2分で混 し捏上温度を24.0±0.5℃とし、中種生地とし 。次にこれを発酵(中種発酵)させた。この の条件を下記に示す。
  中種発酵温度    28℃
  中種発酵相対湿度  80%
  中種発酵時間    4時間30分
  中種発酵終了温度  29.5℃

2.本捏生地調製条件
 縦型ミキサー(カントーミキサー 型式SS型  10コート、フック使用)に中種発酵生地を入れ たところへ本捏配合材料(ショートニングを く全材料:この際カテキン製剤は砂糖と混ぜ 配合した)を添加し、低速3分、中高速3分で 捏後に、ショートニングを添加し、低速3分 、中低速3~5分、高速1~7分で混捏し、本捏生地 とした。本捏生地の捏上温度は26.0~26.5℃であ る。
 次に、混捏でダメージを受けた生地を回復 せるために28.0℃にてフロアータイムを20分 り、この後に225gの生地に分割する。分割で の生地ダメージを回復させるためにベンチタ イムを28.0℃で20分とり、モルダーで成型する 。成型物6個を角食のパン型に入れ発酵(ホイ )を行なった。ホイロの条件を以下に示す。
  ホイロ温度    38℃
  相対湿度     80%RH
  ホイロ時間    60分
 上記条件において調製したパン生地を210℃ オーブンで40分間焼成した。焼成後、20℃に おいて60分間冷却後、ポリエチレン袋に入れ 密閉化し、さらに20℃において3日間保存を い、スライサーを用いて厚み20mmにカットし たものを評価用サンプルとした。結果を表2 示す。

<評価方法>
(1)色差測定
 スライスした食パンのクラム部の中心部の の評価を行うため、分光式色差計(Spectro Col or Meter SE2000 :NIPPON DENSHOKU社製)を用いて色 を測定した。

(2)体積測定
 厚み20mmにスライスした食パンにおいて、パ ンの端から3,7,10,14,17枚目をサンプリングした 。
 「レーザー体積計測機WinVM200」(ASTEX社製)を い、予め重量を測定したパンの体積を測定 、得られた体積を重量で割ることによりパ 比容積を算出した。測定モードは2CCD精度計 測にて行った。

(3)圧縮応力測定
 スライスした食パンのクラム中心部より厚 20mm×縦30mm×横30mmの片を切り出し、測定試料 とした。
 上記試料について島津製作所製テクスチャ アナライザーEZTestを用い、厚み方向へ50%圧 した際の応力を測定した。

<製パン作業性評価>
 作業性評価については、捏上直後の本捏生 のべたつきの無さ及びフロアータイム後の 地分割時の生地のべたつきの無さをカテキ 無添加の場合と比較して評価した。
  4:カテキン無添加の食パンと同様にほとん ど問題無く良好である。
  3:カテキン無添加の食パンと比較して、若 干劣るがまだ良好なレベルである。
  2:カテキン無添加の食パンと比較して、劣 るがまだ作業可能なレベルである。
  1:カテキン無添加の食パンと比較して、非 常に劣り、作業困難なレベル。

<食感・風味官能評価>
  4:カテキン無添加の食パンと同様にほとん ど問題無く良好である。
  3:カテキン無添加の食パンと比較して、若 干劣るがまだ良好なレベルである。
  2:カテキン無添加の食パンと比較して、劣 るがまだ食べることができるレベルである。
  1:カテキン無添加の食パンと比較して、非 常に劣り、食べることができないレベルであ る。

 表1及び2から明らかなとおり、カテキン製 (ii)、(iii)、(vi)、及び(vii)をそれぞれパンに 合したものは、カテキン配合量を同一にす よう比較カテキン製剤(カテキン製剤(i))を配 合したものと比較してパン内相の本来の明る い色を維持し、体積の向上が確認できた。
 物性においても比較カテキン製剤(カテキン 製剤(i))に見られる硬さの増加がなく、比較 テキン製剤を配合したパンと比較して柔ら さが向上した。さらに食感においてはしっ り感及び口の中で塊になり飲み込みにくく る傾向が抑えられ、口どけ感の向上が確認 きた。
 さらに、パン本来の風味である発酵風味が 持された。
 カテキン由来の風味においても比較カテキ 製剤(カテキン製剤(i))と比較して、苦味、 味、収斂味の出方が少なく、風味上好まし った。




 
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