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Title:
CATALYST FOR PHOSPHORUS-CONTAINING COMPOUND AND SULFUR-CONTAINING COMPOUND
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/051025
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a process for producing an alkenylphosphorus compound using a hydrogenated phosphonic acid ester, a hydrogenated phosphinic acid ester, or a disubstituted phosphine oxide as a starting compound in the presence of an inexpensive catalyst. A complex compound represented by [HNi(PR1R2R3)2]+X- or [HNi(R1R2P(CH2)XPR4R5)]+X- wherein R1, R2, R3, R4, and R5 each independently represent a substituted or unsubstituted hydrocarbon group; X represents an anion of an acid as a hydride donor (for example, an inorganic acid or an organic acid); and x is a positive integer.

Inventors:
HAN LI-BIAO (JP)
FUJINO HIROYOSHI (JP)
SAGA YUTA (JP)
KITAGAKI KOUJI (JP)
HASEGAWA KAORU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/068110
Publication Date:
April 23, 2009
Filing Date:
October 03, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KATAYAMA CHEMICAL IND CO LTD (JP)
NAT INST OF ADVANCED IND SCIEN (JP)
HAN LI-BIAO (JP)
FUJINO HIROYOSHI (JP)
SAGA YUTA (JP)
KITAGAKI KOUJI (JP)
HASEGAWA KAORU (JP)
International Classes:
C07F9/50; B01J31/24; C07C319/18; C07C321/28; C07F9/40; C07F15/04
Other References:
HAN, L-B. ET AL.: "Efficient and Selective Nickel-Catalyzed Addition of H-P(O) and H-S Bonds to Alkynes", JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY, vol. 126, no. 16, 2004, pages 5080 - 5081
CRESTANI, M. G. ET AL.: "o-Borane Coordinated to Nickel(0) and Some Related Nickel(II) Trihydride Complexes", JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY, vol. 127, no. 51, 2005, pages 18066 - 18073
Attorney, Agent or Firm:
YAMAMOTO, Shusaku et al. (Crystal Tower2-27, Shiromi 1-chome,Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 15, JP)
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Claims:
[HNi(PR 1 R 2 R 3 ) 2 ] + X - または[HNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )] + X - で示される錯体化合物(ここで、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 は、それぞれ独立して、置換されたまたは置換されていない炭化水素基であり、Xはヒドリド供与体である酸の陰イオンであり、xは正の整数である。)。
前記炭化水素基は、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アリル基、アルケニル基およびアラルキル基からなる群より選択される、請求項1に記載の錯体化合物。
前記炭化水素基は、C1~C6アルキル基、C3~C8アリール基、C3~C8シクロアルキル基、C3~C8アリル基、C2~C6アルケニル基およびC3~C8アラルキル基からなる群より選択される、請求項1に記載の錯体化合物。
前記炭化水素基は、メチル基、エチル基およびフェニル基からなる群より独立して選択される、請求項1に記載の錯体化合物。
前記錯体化合物は、前記炭化水素基がC1~C2アルキル基、またはC6アリール基である[HNi(PR 1 R 2 R 3 ) 2 ] + X - であるか、または前記炭化水素基がC1アルキル基でありxが2である[HNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )] + X - である、請求項1に記載の錯体化合物。
前記ヒドリド供与体である酸は、無機酸または有機酸である、請求項1に記載の錯体化合物。
前記ヒドリド供与体である酸は、無機酸である、請求項1に記載の錯体化合物。
前記ヒドリド供与体である酸は、有機酸である、請求項1に記載の錯体化合物。
前記ヒドリド供与体である酸の陰イオンは、無機オキソ酸アニオンである、請求項1に記載の錯体化合物。
前記ヒドリド供与体である酸の陰イオンは、酢酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、 - O-P(O)(OH) 2- O-S(O) 2 (OH)、 - O-P(O)R 6 2- O-P(O)(OR 6 ) 2 およびClO 4 - 、R 6 CO 2 - からなる群より選択される、R 6 は、それぞれ独立して、置換されたまたは置換されていない炭化水素基である、請求項1に記載の錯体化合物。
前記ヒドリド供与体である酸は、酢酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、 - O-P(O)(C 6 H 5 ) 2 および - O-P(O)(C 6 H 5 O) 2 からなる群より選択される、請求項1に記載の錯体化合物。
前記ヒドリド供与体である酸は、H 3 PO 4 、H 2 SO 4 、(C 6 H 5 O) 2 PO 2 Hまたは(C 6 H 5 ) 2 PO 2 Hである、請求項1に記載の錯体化合物。
請求項1に記載の錯体化合物を含む、アルケニルホスホン酸エステル化合物またはアルケニルスルフィド化合物の製造のための触媒組成物。
ゼロ価ニッケル又は系中で容易にゼロ価に還元されるニッケル前躯体と、PR 1 R 2 R 3 またはR 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )と、HX(ここで、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 は、それぞれ独立して、置換されたまたは置換されていない炭化水素基であり、Xはヒドリド供与体である酸の陰イオンであり、xは正の整数である。)との混合物または組み合わせ。
前記ゼロ価ニッケル又は系中で容易にゼロ価に還元されるニッケル前躯体は、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(O)(Ni(cod) 2 )である、請求項14に記載の混合物または組み合わせ。
請求項2~12のいずれか1項に記載の特徴をさらに有する、請求項14に記載の混合物または組み合わせ。
ゼロ価ニッケル又は系中で容易にゼロ価に還元されるニッケル前躯体と、PR 1 R 2 R 3 またはR 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )と、HX(ここで、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 は、それぞれ独立して、置換されたまたは置換されていない炭化水素基であり、Xはヒドリド供与体である酸の陰イオンであり、xは正の整数である。)との混合物または組み合わせのアルケニルホスホン酸エステル化合物またはアルケニルスルフィド化合物の製造における使用。
請求項17に記載の混合物または組み合わせを含む、アルケニルホスホン酸エステル化合物またはアルケニルスルフィド化合物の製造のための触媒または触媒原料。
Ni(PR 1 R 2 R 3 ) 4 またはNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 ) 2 で示される化合物と、HX(ここで、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 は、それぞれ独立して、置換されたまたは置換されていない炭化水素基であり、Xはヒドリド供与体である酸の陰イオンであり、xは正の整数である。)との混合物または組み合わせ。
請求項2~12のいずれか1項に記載の特徴をさらに有する、請求項19に記載の混合物または組み合わせ。
Ni(PR 1 R 2 R 3 ) 4 またはNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 ) 2 で示される化合物と、HX(ここで、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 は、それぞれ独立して、置換されたまたは置換されていない炭化水素基であり、Xはヒドリド供与体である酸の陰イオンであり、xは正の整数である。)のアルケニルホスホン酸エステル化合物またはアルケニルスルフィド化合物の製造における使用。
請求項19に記載の混合物または組み合わせを含む、アルケニルホスホン酸エステル化合物またはアルケニルスルフィド化合物の製造のための触媒または触媒原料。
 アルケニルホスホン酸エステル化合物
(R a1 O)(R a2 O)P(O)-R b
(ここで、R a1 およびR a2 は、それぞれ独立して置換されたか置換されていない炭化水素基であるか一緒になって環状の炭化水素基を形成し、R b は置換されたか置換されていないアルケニル基である。)または
 アルケニルスルフィド化合物
R c S-R b
(ここで、R c は置換されたか置換されていない炭化水素基であり、R b は置換されたか置換されていないアルケニル基である。)の製造のための方法であって、
 A)ホスホン酸エステル化合物(R a1 O)(R a2 O)P(O)Hまたはスルフィド化合物R c SHと、一般式(2)
R b1 (C≡CR b2 ) n (2)
(式中、nは1又は2であり、R b1 は、nが1の場合、置換されたか置換されていない、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はシリル基を、nが2の場合、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、ヘテロアリーレン基、アルケニレン基、アルキレンジオキシ基、アリーレンジオキシ基、又はシリレンジオキシ基を示す。R b2 は水素原子を示す。)で示されるアセチレン化合物との反応系に、請求項1に記載の錯体化合物または請求項11または16に記載の混合物または組み合わせを同時または順次加えて混合して、該アルケニルホスホン酸エステル化合物またはアルケニルスルフィド化合物を生成する工程を包含する、方法。
前記工程A)において、ビス(1,5-シクロオクタンジエン)ニッケル(O)と前記PR 1 R 2 R 3 またはR 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 とヒドリド供与体である酸との存在下で、前記ホスホン酸エステル化合物またはスルフィド化合物と前記アルキン化合物とを反応させることを包含する、請求項23に記載の方法。
前記工程A)の後、B)前記PR 1 R 2 R 3 またはR 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 を除去する工程を包含する、請求項23に記載の方法。
前記工程A)の後、窒素気流下で加熱および減圧に前記反応系を供して前記PR 1 R 2 R 3 またはR 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 を除去する工程を包含する、請求項23に記載の方法。
前記工程B)の後、C)ニッケル触媒を失活させる工程を包含する、請求項25に記載の方法。
前記工程B)の後、空気吹き込み攪拌を行い、ニッケル触媒又はホスフィンを酸化させる工程を包含する、請求項25に記載の方法。
前記工程C)の後、D)前記アルケニルホスホン酸エステル化合物またはアルケニルスルフィド化合物を濾別する工程をさらに包含する、請求項27に記載の方法。
前記工程D)の後、前記濾別により得られた濾液を濃縮して蒸留精製する工程を包含する、請求項29に記載の方法。
請求項23に記載の方法によって製造されたアルケニルホスホン酸エステル化合物またはアルケニルスルフィド化合物の製造原料。
Description:
含リン化合物と含イオウ化合物 触媒

 本発明は、カチオン性ニッケルヒドリド 体及びその製造方法に関する。本発明はま 、この錯体を用いたアルケニルリン化合物( たとえば、ビニルホスホン酸エステル)とア ケニルスルフィド化合物(たとえば、フェニ ビニルスルフィド)の製造に関する。このよ うなアルケニルリン化合物は、その基本骨格 が天然に見出され、酵素などと作用すること により、それ自身が生理活性を示すことが知 られている。同化合物は、各種触媒反応の補 助配位子等として広く用いられる第3級ホス ィン等に容易に変換される極めて有用な化 物でもある。更に、同化合物は、求核剤や ジカル種と容易に反応し、Horner-Wittig反応に いることもできるなど、精密化学品の合成 面でも有用性が高い一群の化合物である。 えて、これらの化合物は高分子、プラスチ ク類のノンハロ難燃剤として用いられる。

 このようなアルケニルリン化合物を炭素- リン結合の生成を伴って合成する方法として は、対応するアルケニルハライド化合物を水 素化ホスフィン酸エステル及び二置換ホスフ ィンオキシド(以下、これらのリン化合物を 称してP-H化合物と呼ぶ。)で置換する方法が えられる。しかし、この方法では、反応に って同時に生成するハロゲン化水素を捕捉 るための塩基の添加が必要であり、これに って、大量のハロゲン化水素塩を併産する また、その出発原料であるアルケニルハラ ド化合物は、工業的には必ずしも入手が容 でなく、また一般に毒性を有する。このた 、この方法は、工業的に有利な方法とは考 られない。一方、触媒を用いて、P-H化合物 アセチレンへの付加によるアルケニルリン 合物の製造法も最近報告されているが(特許 文献1~5=日本国特許第2775426号、第2777985号、第 2849712号、第3007984号、第3041396号等)、何れも 価なパラジウム又はロジウム触媒を使用す 方法である。

 さらに、ゼロ価NiによるP-Hの付加として 特許文献6~9(特開2004-026655、特開2004-075688、特 開2005-232067、特開2005-232060)が知られている。 た、特許文献10~12(特表2001-518905、特表2002-518 507、特開2005-132841)も知られている。

 ゼロ価NiによるS-Hの付加としては、特許 献13(特開2005-068096)が知られている。

 カチオン性錯体ニッケルヒドリドは、これ で配位飽和状態の[HNi(PR 3 ) 4 ] + X - すなわち、4個のホスフィンを配位子を持つ5 位のものしか知られていない(非特許文献1~4 (The organic chemistry of nickel,by P.W. Jolly and G . Wilke,Vol. 1,Academic Press,1974,chapter IV; US 67-6 82623; Inorganic Chemistry,1970,9,392; Inorganic Chemist ry,1970,9,394; 1991,30,2005; J. Am. Chem. Soc. 1970,92 ,4217; J. Am. Chem. Soc. 1970,92,6777; 1970,92,6785;  1972,94,2994.))。これらのカチオン性錯体は、工 業的にオレフィン類の転移やジエン類の重合 触媒などに使用される。

特許第2775426号

特許第2777985号

特許第2849712号

特許第3007984号

特許第3041396号

特開2004-026655

特開2004-075688

特開2005-232067

特開2005-232060

特表2001-518905

特表2002-518507

特開2005-132841

特開2005-068096 The organic chemistry of nickel,by P.W. Jolly a nd G. Wilke,Vol. 1,Academic Press,1974,chapter IV; US 67-682623; Inorganic Chemistry,1970,9,392; Inorganic Chemistry,1970,9,394; 1991,30,2005; J. A m. Chem. Soc. 1970,92,4217 J. Am. Chem. Soc. 1970,92,4217 J. Am. Chem. Soc. 1970,92,6777; 1970,92,6785; 19 72,94,2994.

 ビニルリン類とビニルスルフィド類の製 において、ゼロ価のホスフィンを配位子と る中性ニッケル触媒が使用される(特許文献 6~13など)。これらの触媒系では、高い触媒活 を得るために、ニッケルに対して、一般的 4当量以上のホスフィンが必要である。しか し、ホスフィン類は高価であることから、少 ないホスフィンを用いる、工業スケールに耐 えうる触媒の登場が待ち望まれている。また 、従来用いられるこれらゼロ価ニッケル触媒 は空気に暴露すると直ちに酸化されるため、 その取り扱いは酸素のない雰囲気下で行なわ なければならず、操作は煩雑である。

 本発明者らは、鋭意検討をした結果、Ni(PR 3 ) 4 を用いて、ヒドリド供与体である酸(たとえ 、無機酸または有機酸)HXとの反応を検討す 過程で、新規カチオン性錯体[HNi(PR 3 ) 2 ] + X - が定量的に発生させることを予想外に見出し 、[HNi(PR 1 R 2 R 3 ) 2 ] + X - または[HNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )] + X - で示される錯体化合物(ここで、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 は、それぞれ独立して、置換されたまたは置 換されていない炭化水素基であり、Xはヒド ド供与体である酸(たとえば、無機酸または 機酸)の陰イオンであり、xは正の整数であ 。)またはその関連化合物画使用可能である とを見出したた。これらのカチオン性錯体 空気中でも取り扱えることが特徴である。 たがって、産業上の利用として実際に製品 して販売することができるという特徴を有 る。

 具体的には、本発明は、カチオン性ニッ ルヒドリド錯体及びその製造方法を提供す 。本発明はまた、上記カチオン性錯体を用 る触媒反応(P-H付加+S-H付加反応によるビニ リンとビニルスルフィドの製造)を提供する

 本発明の化合物の具体的な化学式としては [HNi(PR 1 R 2 R 3 ) 2 ] + X - または[HNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )] + X - で示される錯体化合物(ここで、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 は、それぞれ独立して、置換されたまたは置 換されていない炭化水素基であり、Xはヒド ド供与体である酸(たとえば、無機酸または 機酸)の陰イオンであり、xは正の整数であ 。)を挙げることができ、代表的には、

を挙げることができる。ここで、ホスフィン PR 3 (ここで、Rは本明細書において定義される炭 水素基またはその誘導体である。)について :ホスフィンPR 3 のRは、必ずしも同じである必要がない。ま 、R 2 P(CH 2 )xPR 2 のようなキレート型でもいい(但し、この場 、2ではなく1となる)。
Xについて:無機オキソ酸アニオンOY、具体例 して、O-P(O)(OH) 2 ,O-S(O) 2 (OH),O-P(O)Ph 2 (ここでPhはフェニル基を指す。),O-P(O)(OR) 2 (ここで、Rは本明細書において定義される炭 水素基またはその誘導体である。)、ClO 4 ,RCO 2 など(すなわち、無機のオキソ酸根(OHのHがと た後のもの)などを挙げることができる。

 金属錯体触媒反応では、一般的に、配位 飽和なものほど活性が高い。すなわち、ホ フィン配位子の数が少ないほうが触媒活性 いと期待される。また、高価なホスフィン の使用量を節約できるので、工業プロセス して好ましい様態であるといえる。

 したがって、本発明は、以下を提供する。
(1)[HNi(PR 1 R 2 R 3 ) 2 ] + X - または[HNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )] + X - で示される錯体化合物(ここで、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 は、それぞれ独立して、置換されたまたは置 換されていない炭化水素基であり、Xはヒド ド供与体である酸の陰イオンであり、xは正 整数である。)。
(2)前記炭化水素基は、アルキル基、アリール 基、シクロアルキル基、アリル基、アルケニ ル基およびアラルキル基からなる群より選択 される、上記項目に記載の錯体化合物。
(3)前記炭化水素基は、C1~C6アルキル基、C3~C8 リール基、C3~C8シクロアルキル基、C3~C8アリ 基、C2~C6アルケニル基およびC3~C8アラルキル 基からなる群より選択される、上記項目に記 載の錯体化合物。
(4)前記炭化水素基は、メチル基、エチル基お よびフェニル基からなる群より独立して選択 される、上記項目の錯体化合物。
(5)前記錯体化合物は、前記炭化水素基がC1~C2 ルキル基、またはC6アリール基である[HNi(PR 1 R 2 R 3 ) 2 ] + X - であるか、または前記炭化水素基がC1アルキ 基でありxが2である[HNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )] + X - である、上記項目に記載の錯体化合物。
(6)前記ヒドリド供与体である酸は、無機酸ま たは有機酸である、上記項目に記載の錯体化 合物。
(7)前記ヒドリド供与体である酸は、無機酸で ある、上記項目に記載の錯体化合物。
(8)前記ヒドリド供与体である酸は、有機酸で ある、上記項目に記載の錯体化合物。
(9)前記ヒドリド供与体である酸の陰イオンは 、無機オキソ酸アニオンである、上記項目に 記載の錯体化合物。
(10)前記ヒドリド供与体である酸の陰イオン 、酢酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン - O-P(O)(OH) 2 - O-S(O) 2 (OH)、 - O-P(O)R 6 2 - O-P(O)(OR 6 ) 2 およびClO 4 - 、R 6 CO 2 - からなる群より選択される、R 6 は、それぞれ独立して、置換されたまたは置 換されていない炭化水素基である、上記項目 に記載の錯体化合物。
(11)前記ヒドリド供与体である酸は、酢酸イ ン、硫酸イオン、リン酸イオン、 - O-P(O)(C 6 H 5 ) 2 および - O-P(O)(C 6 H 5 O) 2 からなる群より選択される、上記項目に記載 の錯体化合物。
(12)前記ヒドリド供与体である酸は、H 3 PO 4 、H 2 SO 4 、(C 6 H 5 O) 2 PO 2 Hまたは(C 6 H 5 ) 2 PO 2 Hである、上記項目に記載の錯体化合物。
(13)上記項目に記載の錯体化合物を含む、ア ケニルホスホン酸エステル化合物またはア ケニルスルフィド化合物の製造のための触 組成物。
(14)ゼロ価ニッケル又は系中で容易にゼロ価 還元されるニッケル前躯体と、PR 1 R 2 R 3 またはR 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )と、HX(ここで、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 は、それぞれ独立して、置換されたまたは置 換されていない炭化水素基であり、Xはヒド ド供与体である酸の陰イオンであり、xは正 整数である。)との混合物または組み合わせ 。
(15)前記ゼロ価ニッケル又は系中で容易にゼ 価に還元されるニッケル前躯体は、ビス(1,5- シクロオクタジエン)ニッケル(O)(Ni(cod) 2 )である、項目14に記載の混合物または組み合 わせ。
(16)項目2~12のいずれか1項に記載の特徴をさら に有する、項目14に記載の混合物または組み わせ。
(17)ゼロ価ニッケル又は系中で容易にゼロ価 還元されるニッケル前躯体と、PR 1 R 2 R 3 またはR 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )と、HX(ここで、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 は、それぞれ独立して、置換されたまたは置 換されていない炭化水素基であり、Xはヒド ド供与体である酸の陰イオンであり、xは正 整数である。)との混合物または組み合わせ のアルケニルホスホン酸エステル化合物また はアルケニルスルフィド化合物の製造におけ る使用。
(18)項目17に記載の混合物または組み合わせを 含む、アルケニルホスホン酸エステル化合物 またはアルケニルスルフィド化合物の製造の ための触媒または触媒原料。
(19)Ni(PR 1 R 2 R 3 ) 4 またはNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 ) 2 で示される化合物と、HX(ここで、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 は、それぞれ独立して、置換されたまたは置 換されていない炭化水素基であり、Xはヒド ド供与体である酸の陰イオンであり、xは正 整数である。)との混合物または組み合わせ 。
(20)項目2~12のいずれか1項に記載の特徴をさら に有する、項目19に記載の混合物または組み わせ。
(21)Ni(PR 1 R 2 R 3 ) 4 またはNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 ) 2 で示される化合物と、HX(ここで、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 は、それぞれ独立して、置換されたまたは置 換されていない炭化水素基であり、Xはヒド ド供与体である酸の陰イオンであり、xは正 整数である。)のアルケニルホスホン酸エス テル化合物またはアルケニルスルフィド化合 物の製造における使用。
(22)上記項目に記載の混合物または組み合わ を含む、アルケニルホスホン酸エステル化 物またはアルケニルスルフィド化合物の製 のための触媒または触媒原料。
(23) アルケニルホスホン酸エステル化合物
(R a1 O)(R a2 O)P(O)-R b
(ここで、R a1 およびR a2 は、それぞれ独立して置換されたか置換され ていない炭化水素基であるか一緒になって環 状の炭化水素基を形成し、R b は置換されたか置換されていないアルケニル 基である。)または
 アルケニルスルフィド化合物
R c S-R b
(ここで、R c は置換されたか置換されていない炭化水素基 であり、R b は置換されたか置換されていないアルケニル 基である。)の製造のための方法であって、
 A)ホスホン酸エステル化合物(R a1 O)(R a2 O)P(O)Hまたはスルフィド化合物R c SHと、一般式(2)
R b1 (C≡CR b2 ) n (2)
(式中、nは1又は2であり、R b1 は、nが1の場合、置換されたか置換されてい い、アルキル基、シクロアルキル基、アリ ル基、アラルキル基、ヘテロアリール基、 ルケニル基、アルコキシ基、アリールオキ 基、又はシリル基を、nが2の場合、アルキ ン基、シクロアルキレン基、アリーレン基 アラルキレン基、ヘテロアリーレン基、ア ケニレン基、アルキレンジオキシ基、アリ レンジオキシ基、又はシリレンジオキシ基 示す。R b2 は水素原子を示す。)で示されるアセチレン 合物との反応系に、項目1に記載の錯体化合 または項目11または16に記載の混合物または 組み合わせを同時または順次加えて混合して 、該アルケニルホスホン酸エステル化合物ま たはアルケニルスルフィド化合物を生成する 工程を包含する、方法。
(24)前記工程A)において、ビス(1,5-シクロオク ンジエン)ニッケル(O)と前記PR 1 R 2 R 3 またはR 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 とヒドリド供与体である酸との存在下で、前 記ホスホン酸エステル化合物またはスルフィ ド化合物と前記アルキン化合物とを反応させ ることを包含する、上記項目に記載の方法。
(25)前記工程A)の後、B)前記PR 1 R 2 R 3 またはR 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 を除去する工程を包含する、上記項目に記載 の方法。
(26)前記工程A)の後、窒素気流下で加熱および 減圧に前記反応系を供して前記PR 1 R 2 R 3 またはR 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 を除去する工程を包含する、上記項目に記載 の方法。
(27)前記工程B)の後、C)ニッケル触媒を失活さ る工程を包含する、上記項目に記載の方法
(28)前記工程B)の後、空気吹き込み攪拌を行い 、ニッケル触媒又はホスフィンを酸化させる 工程を包含する、上記項目に記載の方法。
(29)前記工程C)の後、D)前記アルケニルホスホ 酸エステル化合物またはアルケニルスルフ ド化合物を濾別する工程をさらに包含する 上記項目に記載の方法。
(30)前記工程D)の後、前記濾別により得られた 濾液を濃縮して蒸留精製する工程を包含する 、上記項目に記載の方法。
(31)上記項目に記載の方法によって製造され アルケニルホスホン酸エステル化合物また アルケニルスルフィド化合物の製造原料。

 従って、本発明のこれらおよび他の利点 、以下の詳細な説明を読めば、明白である

 本発明は、医薬・農薬などの生理活性物 や触媒調製用配位子等の合成中間体として 用なアルケニルリン化合物(アルケニルホス ホン酸エステル、アルケニルホスフィン酸エ ステル及びアルケニルホスフィンオキシド化 合物)の高収率で且つ実用性の高い製造方法 提供するものである。本発明のアルケニル ン化合物の合成方法は、触媒として比較的 価なニッケル錯体触媒を使用し、アセチレ 類にP-H化合物(水素化ホスホン酸エステル、 素化ホスフィン酸エステル及び二置換ホス ィンオキシド)を反応させるだけで、簡便、 安全、且つ効率的に合成することができ、生 成物の分離精製も容易である。従って、本発 明は工業的に多大の効果をもたらす。

 本発明のアルケニルホスホン酸エステル 合物またはアルケニルスルフィド化合物の 造方法では、従来の触媒を用いた場合に比 て、格段に触媒使用量が減少していること よび取り扱いやすいことが特徴である。す わち、従来の触媒では、アルケニルホスホ 酸エステル化合物またはアルケニルスルフ ド化合物を高収率に得るためには、反応基 に対して触媒を約5モルパーセント使用して いた。しかし、高価な触媒をこれだけ使用し ていては工業スケールにはとても及ばない。 本発明の触媒を用いると、触媒の使用量が0.5 モルパーセント程度でその収率が、90%以上、 しかも殆どの場合95%以上という高収率を達成 した。このような収率であれば、工業スケー ルに見合う生産を行うことができる。また、 有毒で高価なホスフィン配位子についても、 従来の触媒ではニッケル対リンの比が一般的 に1対4であるのに対して、本発明ではニッケ 対リンの比が1対2で十分である。さらに、 来の触媒は空気中では直ちに失活するのに して、本触媒は、空気中でも取り扱えるか 、簡便に使用できる。

 以下、本発明を説明する。本明細書の全 にわたり、単数形の表現は、特に言及しな 限り、その複数形の概念をも含むことが理 されるべきである。従って、単数形の冠詞( 例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」 など)は、特に言及しない限り、その複数形 概念をも含むことが理解されるべきである また、本明細書において使用される用語は 特に言及しない限り、当該分野で通常用い れる意味で用いられることが理解されるべ である。したがって、他に定義されない限 、本明細書中で使用される全ての専門用語 よび科学技術用語は、本発明の属する分野 当業者によって一般的に理解されるのと同 意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定 を含めて)が優先する。

 (用語の定義)
 以下に本明細書において特に使用される用 の定義を記載する。

 本明細書において「錯体化合物」または 錯体」とは、交換可能に用いられ、当該分 において通常用いられる意味で用いられ、 属元素または金属類似元素の原子またはイ ンを中心として、これに配位子(原子・原子 団・分子またはイオン)が結合した集団をい 。錯イオン・錯塩のほか、ニッケル‐カル ニル(ニッケル原子に4個の一酸化炭素分子が 配位)のような非電解質をも含まれる。

 本明細書において「炭化水素」とは、当 分野において使用される通常の意味で用い れ、炭素と水素とが結合した任意の物質ま はその誘導体をいう。置換基が結合してい 場合は、特に置換(された)炭化水素という とがある。

 本明細書において「置換」とは、有機化 物のある特定の水素原子をほかの原子ある は原子団で置き換えることをいう。

 本明細書において「置換基」とは、化学 造中で,他のものを置換した原子または官能 基をいう。

 本明細書において「ヒドリド供与体である 」とは、ヒドリド(H + )を供与することができる任意の酸をいい、 表的には無機酸および有機酸を含む。

 本明細書において「無機酸」とは、酸と ての性質をもつ無機化合物を総称していう 塩酸,硫酸,硝酸が含まれる。

 本明細書において「有機酸」とは、酸と ての性質をもつ有機化合物を総称していう カルボン酸(たとえば、酢酸、安息香酸、サ リチル酸)が含まれる。好ましくは酢酸が使 される。

 本明細書において「陰イオン」とは、負 荷をもつイオンを総称していう。

 本明細書においては、特に言及がない限 、置換は、ある有機化合物または置換基中 1または2以上の水素原子を他の原子または 子団で置き換えるか、または二重結合もし は三重結合とすることをいう。水素原子を1 除去して1価の置換基に置換するかまたは単 結合と一緒にして二重結合とすることも可能 であり、そして水素原子を2つ除去して2価の 換基に置換するか、または単結合と一緒に て三重結合とすることも可能である。

 本発明における置換基としては、アルキ 、シクロアルキル、アルケニル、シクロア ケニル、アルキニル、アルコキシ、炭素環 、ヘテロ環基、ハロゲン、ヒドロキシ、チ ール、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキ 、カルバモイル、アシル、アシルアミノ、 オカルボキシ、アミド、置換されたカルボ ル、置換されたチオカルボニル、置換され スルホニルまたは置換されたスルフィニル 挙げられるがそれらに限定されない。この うな置換基は、本発明において、アミノ酸 設計のときに、適宜利用することができる

 好ましくは、置換基は、複数存在する場 それぞれ独立して、水素原子またはアルキ であり得るが、複数の置換基全てが水素原 であることはない。より好ましくは、独立 て、置換基は、複数存在する場合それぞれ 立して、水素およびC1~C6アルキルからなる より選択され得る。置換基は、すべてが水 以外の置換基を有していても良いが、好ま くは、少なくとも1つの水素、より好ましく 、2~n(ここでnは置換基の個数)の水素を有し る。置換基のうち水素の数が多いことが好 しくあり得る。大きな置換基または極性の る置換基は本発明の効果(特に、アルデヒド 基との相互作用)に障害を有し得るからであ 。従って、水素以外の置換基としては、好 しくは、C1~C6アルキル、C1~C5アルキル、C1~C4 ルキル、C1~C3アルキル、C1~C2アルキル、メチ などであり得る。ただし、本発明の効果を 強し得ることもあることから、大きな置換 を有することもまた好ましくあり得る。

 本明細書において、C1、C2、、、Cnは、炭 数を表す(ここで、nは任意の正の整数を示 。)。従って、C1は炭素数1個の置換基を表す めに使用される。

 本明細書において「アルキル」とは、メタ 、エタン、プロパンのような脂肪族炭化水 (アルカン)から水素原子が一つ失われて生 る1価の基をいい、一般にC n H 2n+1 -で表される(ここで、nは正の整数である)。 ルキルは、直鎖または分枝鎖であり得る。 明細書において「置換されたアルキル」と 、以下に規定する置換基によってアルキル Hが置換されたアルキルをいう。これらの具 例は、C1~C2アルキル、C1~C3アルキル、C1~C4ア キル、C1~C5アルキル、C1~C6アルキル、C1~C7ア キル、C1~C8アルキル、C1~C9アルキル、C1~C10ア ルキル、C1~C11アルキルまたはC1~C12アルキル、 C1~C2置換されたアルキル、C1~C3置換されたア キル、C1~C4置換されたアルキル、C1~C5置換さ たアルキル、C1~C6置換されたアルキル、C1~C7 置換されたアルキル、C1~C8置換されたアルキ 、C1~C9置換されたアルキル、C1~C10置換され アルキル、C1~C11置換されたアルキルまたはC1 ~C12置換されたアルキルであり得る。ここで 例えばC1~C10アルキルとは、炭素原子を1~10個 する直鎖または分枝状のアルキルを意味し メチル(CH 3 -)、エチル(C 2 H 5 -)、n-プロピル(CH 3 CH 2 CH 2 -)、イソプロピル((CH 3 ) 2 CH-)、n-ブチル(CH 3 CH 2 CH 2 CH 2 -)、n-ペンチル(CH 3 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 -)、n-ヘキシル(CH 3 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 -)、n-ヘプチル(CH 3 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 -)、n-オクチル(CH 3 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 -)、n-ノニル(CH 3 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 -)、n-デシル(CH 3 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 -)、-C(CH 3 ) 2 CH 2 CH 2 CH(CH 3 ) 2 、-CH 2 CH(CH 3 ) 2 などが例示される。また、例えば、C1~C10置換 されたアルキルとは、C1~C10アルキルであって 、そのうち1または複数の水素原子が置換基 より置換されているものをいう。

 本明細書において「置換されていてもよ アルキル」とは、上で定義した「アルキル または「置換されたアルキル」のいずれで ってもよいことを意味する。

 本明細書において「アルキレン」とは、メ レン、エチレン、プロピレンのような脂肪 炭化水素(アルカン)から水素原子が二つ失 れて生ずる2価の基をいい、一般に-C n H 2n -で表される(ここで、nは正の整数である)。 ルキレンは、直鎖または分枝鎖であり得る 本明細書において「置換されたアルキレン とは、以下に規定する置換基によってアル レンのHが置換されたアルキレンをいう。こ らの具体例は、C1~C2アルキレン、C1~C3アルキ レン、C1~C4アルキレン、C1~C5アルキレン、C1~C6 アルキレン、C1~C7アルキレン、C1~C8アルキレ 、C1~C9アルキレン、C1~C10アルキレン、C1~C11ア ルキレンまたはC1~C12アルキレン、C1~C2置換さ たアルキレン、C1~C3置換されたアルキレン C1~C4置換されたアルキレン、C1~C5置換された ルキレン、C1~C6置換されたアルキレン、C1~C7 置換されたアルキレン、C1~C8置換されたアル レン、C1~C9置換されたアルキレン、C1~C10置 されたアルキレン、C1~C11置換されたアルキ ンまたはC1~C12置換されたアルキレンであり る。ここで、例えばC1~C10アルキレンとは、 素原子を1~10個有する直鎖または分枝状のア キレンを意味し、メチレン(-CH 2 -)、エチレン(-C 2 H 4 -)、n-プロピレン(-CH 2 CH 2 CH 2 -)、イソプロピレン(-(CH 3 ) 2 C-)、n-ブチレン(-CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 -)、n-ペンチレン(-CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 -)、n-ヘキシレン(-CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 -)、n-ヘプチレン(-CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 -)、n-オクチレン(-CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 -)、n-ノニレン(-CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 -)、n-デシレン(-CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 -)、-CH 2 C(CH 3 ) 2 -などが例示される。また、例えば、C1~C10置 されたアルキレンとは、C1~C10アルキレンで って、そのうち1または複数の水素原子が置 基により置換されているものをいう。本明 書において「アルキレン」は、酸素原子お び硫黄原子から選択される原子を1またはそ れ以上含んでいてもよい。

 本明細書において「置換されていてもよ アルキレン」とは、上で定義した「アルキ ン」または「置換されたアルキレン」のい れであってもよいことを意味する。

 本明細書において「シクロアルキル」と 、環式構造を有するアルキルをいう。「置 されたシクロアルキル」とは、以下に規定 る置換基によってシクロアルキルのHが置換 されたシクロアルキルをいう。具体例として は、C3~C4シクロアルキル、C3~C5シクロアルキ 、C3~C6シクロアルキル、C3~C7シクロアルキル C3~C8シクロアルキル、C3~C9シクロアルキル、 C3~C10シクロアルキル、C3~C11シクロアルキル、 C3~C12シクロアルキル、C3~C4置換されたシクロ ルキル、C3~C5置換されたシクロアルキル、C3 ~C6置換されたシクロアルキル、C3~C7置換され シクロアルキル、C3~C8置換されたシクロア キル、C3~C9置換されたシクロアルキル、C3~C10 置換されたシクロアルキル、C3~C11置換された シクロアルキルまたはC3~C12置換されたシクロ アルキルであり得る。例えば、シクロアルキ ルとしては、シクロプロピル、シクロヘキシ ルなどが例示される。

 本明細書において「置換されていてもよ シクロアルキル」とは、上で定義した「シ ロアルキル」または「置換されたシクロア キル」のいずれであってもよいことを意味 る。

 本明細書において「アルケニル」とは、分 内に二重結合を一つ有する脂肪族炭化水素 ら水素原子が一つ失われて生ずる1価の基を いい、一般にC n H 2n-1 -で表される(ここで、nは2以上の正の整数で る)。「置換されたアルケニル」とは、以下 規定する置換基によってアルケニルのHが置 換されたアルケニルをいう。具体例としては 、C2~C3アルケニル、C2~C4アルケニル、C2~C5アル ケニル、C2~C6アルケニル、C2~C7アルケニル、C2 ~C8アルケニル、C2~C9アルケニル、C2~C10アルケ ル、C2~C11アルケニルまたはC2~C12アルケニル C2~C3置換されたアルケニル、C2~C4置換された アルケニル、C2~C5置換されたアルケニル、C2~C 6置換されたアルケニル、C2~C7置換されたアル ケニル、C2~C8置換されたアルケニル、C2~C9置 されたアルケニル、C2~C10置換されたアルケ ル、C2~C11置換されたアルケニルまたはC2~C12 換されたアルケニルであり得る。ここで、 えばC2~C10アルキルとは、炭素原子を2~10個含 直鎖または分枝状のアルケニルを意味し、 ニル(CH 2 =CH-)、アリル(CH 2 =CHCH 2 -)、CH 3 CH=CH-などが例示される。また、例えば、C2~C10 置換されたアルケニルとは、C2~C10アルケニル であって、そのうち1または複数の水素原子 置換基により置換されているものをいう。

 本明細書において「置換されていてもよ アルケニル」とは、上で定義した「アルケ ル」または「置換されたアルケニル」のい れであってもよいことを意味する。

 本明細書において「アルケニレン」とは、 子内に二重結合を一つ有する脂肪族炭化水 から水素原子が二つ失われて生ずる2価の基 をいい、一般に-C n H 2n-2 -で表される(ここで、nは2以上の正の整数で る)。「置換されたアルケニレン」とは、以 に規定する置換基によってアルケニレンのH が置換されたアルケニレンをいう。具体例と しては、C2~C25アルケニレンまたはC2~C25置換さ れたアルケニレンが挙げられ、なかでも特に C2~C3アルケニレン、C2~C4アルケニレン、C2~C5ア ルケニレン、C2~C6アルケニレン、C2~C7アルケ レン、C2~C8アルケニレン、C2~C9アルケニレン C2~C10アルケニレン、C2~C11アルケニレンまた C2~C12アルケニレン、C2~C3置換されたアルケ レン、C2~C4置換されたアルケニレン、C2~C5置 されたアルケニレン、C2~C6置換されたアル ニレン、C2~C7置換されたアルケニレン、C2~C8 換されたアルケニレン、C2~C9置換されたア ケニレン、C2~C10置換されたアルケニレン、C2 ~C11置換されたアルケニレンまたはC2~C12置換 れたアルケニレンが好ましい。ここで、例 ばC2~C10アルキルとは、炭素原子を2~10個含む 鎖または分枝状のアルケニレンを意味し、- CH=CH-、-CH=CHCH 2 -、-(CH 3 )C=CH-などが例示される。また、例えば、C2~C10 置換されたアルケニレンとは、C2~C10アルケニ レンであって、そのうち1または複数の水素 子が置換基により置換されているものをい 。本明細書において「アルケニレン」は、 素原子および硫黄原子から選択される原子 1またはそれ以上含んでいてもよい。

 本明細書において「置換されていてもよ アルケニレン」とは、上で定義した「アル ニレン」または「置換されたアルケニレン のいずれであってもよいことを意味する。

 本明細書において「シクロアルケニル」 は、環式構造を有するアルケニルをいう。 置換されたシクロアルケニル」とは、以下 規定する置換基によってシクロアルケニル Hが置換されたシクロアルケニルをいう。具 体例としては、C3~C4シクロアルケニル、C3~C5 クロアルケニル、C3~C6シクロアルケニル、C3~ C7シクロアルケニル、C3~C8シクロアルケニル C3~C9シクロアルケニル、C3~C10シクロアルケニ ル、C3~C11シクロアルケニル、C3~C12シクロアル ケニル、C3~C4置換されたシクロアルケニル、C 3~C5置換されたシクロアルケニル、C3~C6置換さ れたシクロアルケニル、C3~C7置換されたシク アルケニル、C3~C8置換されたシクロアルケ ル、C3~C9置換されたシクロアルケニル、C3~C10 置換されたシクロアルケニル、C3~C11置換され たシクロアルケニルまたはC3~C12置換されたシ クロアルケニルであり得る。例えば、好まし いシクロアルケニルとしては、1-シクロペン ニル、2-シクロヘキセニルなどが例示され 。

 本明細書において「置換されていてもよ シクロアルケニル」とは、上で定義した「 クロアルケニル」または「置換されたシク アルケニル」のいずれであってもよいこと 意味する。

 本明細書において「アルキニル」とは、ア チレンのような、分子内に三重結合を一つ する脂肪族炭化水素から水素原子が一つ失 れて生ずる1価の基をいい、一般にC n H 2n-3 -で表される(ここで、nは2以上の正の整数で る)。「置換されたアルキニル」とは、以下 規定する置換基によってアルキニルのHが置 換されたアルキニルをいう。具体例としては 、C2~C3アルキニル、C2~C4アルキニル、C2~C5アル キニル、C2~C6アルキニル、C2~C7アルキニル、C2 ~C8アルキニル、C2~C9アルキニル、C2~C10アルキ ル、C2~C11アルキニル、C2~C12アルキニル、C2~C 3置換されたアルキニル、C2~C4置換されたアル キニル、C2~C5置換されたアルキニル、C2~C6置 されたアルキニル、C2~C7置換されたアルキニ ル、C2~C8置換されたアルキニル、C2~C9置換さ たアルキニル、C2~C10置換されたアルキニル C2~C11置換されたアルキニルまたはC2~C12置換 れたアルキニルであり得る。ここで、例え 、C2~C10アルキニルとは、例えば炭素原子を2~ 10個含む直鎖または分枝状のアルキニルを意 し、エチニル(CH≡C-)、1-プロピニル(CH 3 C≡C-)などが例示される。また、例えば、C2~C1 0置換されたアルキニルとは、C2~C10アルキニ であって、そのうち1または複数の水素原子 置換基により置換されているものをいう。

 本明細書において「置換されていてもよ アルキニル」とは、上で定義した「アルキ ル」または「置換されたアルキニル」のい れであってもよいことを意味する。

 本明細書において「アルコキシ」とは、ア コール類のヒドロキシ基の水素原子が失わ て生ずる1価の基をいい、一般にC n H 2n+1 O-で表される(ここで、nは1以上の整数である) 。「置換されたアルコキシ」とは、以下に規 定する置換基によってアルコキシのHが置換 れたアルコキシをいう。具体例としては、C1 ~C2アルコキシ、C1~C3アルコキシ、C1~C4アルコ シ、C1~C5アルコキシ、C1~C6アルコキシ、C1~C7 ルコキシ、C1~C8アルコキシ、C1~C9アルコキシ C1~C10アルコキシ、C1~C11アルコキシ、C1~C12ア コキシ、C1~C2置換されたアルコキシ、C1~C3置 換されたアルコキシ、C1~C4置換されたアルコ シ、C1~C5置換されたアルコキシ、C1~C6置換さ れたアルコキシ、C1~C7置換されたアルコキシ C1~C8置換されたアルコキシ、C1~C9置換された アルコキシ、C1~C10置換されたアルコキシ、C1~ C11置換されたアルコキシまたはC1~C12置換され たアルコキシであり得る。ここで、例えば、 C1~C10アルコキシとは、炭素原子を1~10個含む 鎖または分枝状のアルコキシを意味し、メ キシ(CH 3 O-)、エトキシ(C 2 H 5 O-)、n-プロポキシ(CH 3 CH 2 CH 2 O-)などが例示される。

 本明細書において「置換されていてもよ アルコキシ」とは、上で定義した「アルコ シ」または「置換されたアルコキシ」のい れであってもよいことを意味する。

 本明細書において「ヘテロ環(基)」とは 炭素およびヘテロ原子をも含む環状構造を する基をいう。ここで、ヘテロ原子は、O、S およびNからなる群より選択され、同一であ ても異なっていてもよく、1つ含まれていて 2以上含まれていてもよい。ヘテロ環基は、 芳香族系または非芳香族系であり得、そして 単環式または多環式であり得る。ヘテロ環基 は置換されていてもよい。

 本明細書において「置換されていてもよ ヘテロ環(基)」とは、上で定義した「ヘテ 環(基)」または「置換されたヘテロ環(基)」 いずれであってもよいことを意味する。

 本明細書において「アルコール」とは、 肪族炭化水素の1または2以上の水素原子を ドロキシル基で置換した有機化合物をいう 本明細書においては、ROHとも表記される。 こで、Rは、アルキル基である。好ましくは Rは、C1~C6アルキルであり得る。アルコール しては、例えば、メタノール、エタノール 1-プロパノール、2-プロパノールなどが挙げ られるがそれらに限定されない。

 本明細書において「炭素環基」とは、炭 のみを含む環状構造を含む基であって、前 の「シクロアルキル」、「置換されたシク アルキル」、「シクロアルケニル」、「置 されたシクロアルケニル」以外の基をいう 炭素環基は芳香族系または非芳香族系であ 得、そして単環式または多環式であり得る 「置換された炭素環基」とは、以下に規定 る置換基によって炭素環基のHが置換された 炭素環基をいう。具体例としては、C3~C4炭素 基、C3~C5炭素環基、C3~C6炭素環基、C3~C7炭素 基、C3~C8炭素環基、C3~C9炭素環基、C3~C10炭素 環基、C3~C11炭素環基、C3~C12炭素環基、C3~C4置 された炭素環基、C3~C5置換された炭素環基 C3~C6置換された炭素環基、C3~C7置換された炭 環基、C3~C8置換された炭素環基、C3~C9置換さ れた炭素環基、C3~C10置換された炭素環基、C3~ C11置換された炭素環基またはC3~C12置換された 炭素環基であり得る。炭素環基はまた、C4~C7 素環基またはC4~C7置換された炭素環基であ 得る。炭素環基としては、フェニル基から 素原子が1個欠失したものが例示される。こ で、水素の欠失位置は、化学的に可能な任 の位置であり得、芳香環上であってもよく 非芳香環上であってもよい。

 本明細書において「置換されていてもよ 炭素環基」とは、上で定義した「炭素環基 または「置換された炭素環基」のいずれで ってもよいことを意味する。

 本明細書において「アリール」とは、芳香 炭化水素の環に結合する水素原子が1個離脱 して生ずる基をいい、本明細書において、炭 素環基に包含される。ベンゼンからはフェニ ル基(C 6 H 5 -),トルエンからはトリル基(CH 3 C 6 H 4 -)‐,キシレンからはキシリル基((CH 3 ) 2 C 6 H 3 -),ナフタレンからはナフチル基(C 10 H 8 -)が誘導される。

 本明細書において「ヘテロ環基」とは、 素およびヘテロ原子をも含む環状構造を有 る基をいう。ここで,ヘテロ原子は、O、Sお びNからなる群より選択され、同一であって も異なっていてもよく、1つ含まれていても2 上含まれていてもよい。ヘテロ環基は、芳 族系または非芳香族系であり得、そして単 式または多環式であり得る。「置換された テロ環基」とは、以下に規定する置換基に ってヘテロ環基のHが置換されたヘテロ環基 をいう。具体例としては、C3~C4炭素環基、C3~C 5炭素環基、C3~C6炭素環基、C3~C7炭素環基、C3~C 8炭素環基、C3~C9炭素環基、C3~C10炭素環基、C3~ C11炭素環基、C3~C12炭素環基、C3~C4置換された 素環基、C3~C5置換された炭素環基、C3~C6置換 された炭素環基、C3~C7置換された炭素環基、C 3~C8置換された炭素環基、C3~C9置換された炭素 環基、C3~C10置換された炭素環基、C3~C11置換さ れた炭素環基またはC3~C12置換された炭素環基 の1つ以上の炭素原子をヘテロ原子で置換し ものであり得る。ヘテロ環基はまた、C4~C7炭 素環基またはC4~C7置換された炭素環基の炭素 子を1つ以上へテロ原子で置換したものであ り得る。ヘテロ環基としては、チエニル基、 ピロリル基、フリル基、イミダゾリル基、ピ リジル基などが例示される。水素の欠失位置 は、化学的に可能な任意の位置であり得、芳 香環上であってもよく、非芳香環上であって もよい。

 本明細書において、炭素環基またはヘテ 環基は、下記に定義されるように1価の置換 基で置換され得ることに加えて、2価の置換 で置換され得る。そのような二価の置換は オキソ置換(=O)またはチオキソ置換(=S)であり 得る。

 本明細書において「ハロゲン」とは、周 表17族(最近の定義では、17族と呼んでいる) 属するフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ (I)などの元素の1価の基をいう。

 本明細書において「ヒドロキシ」とは、- OHで表される基をいう。「置換されたヒドロ シ」とは、ヒドロキシのHが下記で定義され る置換基で置換されているものをいう。

 本明細書において「チオール」とは、ヒ ロキシ基の酸素原子を硫黄原子で置換した (メルカプト基)であり、-SHで表される。「 換されたチオール」とは、メルカプトのHが 記で定義される置換基で置換されている基 いう。

 本明細書において「シアノ」とは、-CNで表 れる基をいう。「ニトロ」とは、-NO 2 で表される基をいう。「アミノ」とは、-NH 2 で表される基をいう。「置換されたアミノ」 とは、アミノのHが以下で定義される置換基 置換されたものをいう。

 本明細書において「カルボキシ」とは、- COOHで表される基をいう。「置換されたカル キシ」とは、カルボキシのHが以下に定義さ る置換基で置換されたものをいう。

 本明細書において「チオカルボキシ」と 、カルボキシ基の酸素原子を硫黄原子で置 した基をいい、-C(=S)OH、-C(=O)SHまたは-CSSHで され得る。「置換されたチオカルボキシ」 は、チオカルボキシのHが以下に定義される 置換基で置換されたものをいう。

 本明細書において「アシル」とは、カルボ 酸からOHを除いてできる1価の基をいう。ア ル基の代表例としては、アセチル(CH 3 CO-)、ベンゾイル(C 6 H 5 CO-)などが挙げられる。「置換されたアシル とは、アシルの水素を以下に定義される置 基で置換したものをいう。

 本明細書において「アミド」とは、アンモ アの水素を酸基(アシル基)で置換した基で り、好ましくは、-CONH 2 で表される。「置換されたアミド」とは、ア ミドが置換されたものをいう。

 本明細書において「カルボニル」とは、 ルデヒドおよびケトンの特性基である-(C=O)- を含むものを総称したものをいう。「置換さ れたカルボニル」は、下記において選択され る置換基で置換されているカルボニル基を意 味する。

 本明細書において「チオカルボニル」と 、カルボニルにおける酸素原子を硫黄原子 置換した基であり、特性基-(C=S)-を含む。チ オカルボニルには、チオケトンおよびチオア ルデヒドが含まれる。「置換されたチオカル ボニル」とは、下記において選択される置換 基で置換されたチオカルボニルを意味する。

 本明細書において「スルホニル」とは、特 基である-SO 2 -を含むものを総称したものをいう。「置換 れたスルホニル」とは、下記において選択 れる置換基で置換されたスルホニルを意味 る。

 本明細書において「スルフィニル」とは 特性基である-SO-を含むものを総称したもの をいう。「置換されたスルフィニル」とは、 下記において選択される置換基で置換されて いるスルフィニルを意味する。

 本明細書において「アルケニルホスホン酸 ステル化合物」とは、
(R a1 O)(R a2 O)P(O)-R b
(ここで、R a1 およびR a2 は、それぞれ独立して置換されたか置換され ていない炭化水素基であるか一緒になって環 状の炭化水素基を形成し、R b は置換されたか置換されていないアルケニル 基である。)をいう。アルケニルリン化合物 、その基本骨格が天然に見出され、酵素な と作用することにより、それ自身が生理活 を示すことが知られている。同化合物は、 種触媒反応の補助配位子等として広く用い れる第3級ホスフィン等に容易に変換される めて有用な化合物でもある。更に、同化合 は、求核剤やラジカル種と容易に反応し、H orner-Wittig反応に用いることもできるなど、精 密化学品の合成の面でも有用性が高い一群の 化合物である。

 本明細書において「アルケニルスルフィド 合物」とは、
R c S-R b
(ここで、R c は置換されたか置換されていない炭化水素基 であり、R b は置換されたか置換されていないアルケニル 基である。)をいう。アルケニルスルフィド 合物は、各種求核剤やラジカル種と容易に 応し、医薬品・天然化合物の合成などに広 用いられ、精密化学品の合成の面で有用性 高い化合物である。

 本明細書において「ゼロ価ニッケル又は系 で容易にゼロ価に還元されるニッケル前躯 」とは、もともとゼロ価のニッケル化合物 たは容易にゼロ価に還元される任意のニッ ル化合物をいう。もともとゼロ価のニッケ 化合物としては、たとえば、ビス(1,5-シク オクタジエン)ニッケル(O)(本明細書において Ni(cod) 2 とも表記する。)、ニッケルカルボニルなど 挙げられるが、これらに限定されるもので ない。ホスフィンやホスファイトを配位子 含有するニッケル錯体の具体例としては、 トラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル 、テトラキス(ジフェニルメチルホスフィン) ッケル、テトラキス(ジメチルフェニルホス フィン)ニッケル、テトラキス(トリエチルホ フィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニ ホスファイト)ニッケルなどがあげられるこ ができるがこれに限定されず、また、容易 ゼロ価に還元される前躯体の組み合わせと ては、たとえば、反応系中で容易にゼロ原 価に変換される前駆体を用いることもでき 。また、反応系中でグリニャールや有機リ ウムなどの有機金属試剤との反応により、 易に高活性ゼロ価のニッケル触媒を与える 駆体も使用することができる。このような 前駆体の具体例として、ジクロロビス(トリ フェニルホスフィン)ニッケル、ジクロロビ (ジフェニルメチルホスフィン)ニッケル、ジ クロロビス(ジメチルフェニルホスフィン)ニ ケルなどがあげられる。これらの前駆体と リニャール試薬や有機リチウムなどの有機 属試剤と作用し、多原子価ニッケルが還元 れ、ゼロ価ニッケルを発生する。また、同 に、ニッケルアセチルアセトナートなどの 価のニッケル化合物とホスフィンやホスフ イトの混合物に有機アルミニウムやLiAlH 4 などの還元剤と作用させることによりも、ゼ ロ価のニッケル触媒を調製することもできる 。

 本明細書において「カチオン性ニッケルヒ リド錯体」とは陽電荷を有するニッケルの 意のヒドリド錯体をいう。[HNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )] + X - などもこの範疇に属する。

 (好ましい実施形態の説明)
 以下に本発明の好ましい実施形態を説明す 。以下に提供される実施形態は、本発明の りよい理解のために提供されるものであり 本発明の範囲は以下の記載に限定されるべ でない。従って、当業者は、本明細書中の 載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変 行うことができることは明らかである。

 (錯体化合物)
 1つの局面において、本発明は、[HNi(PR 1 R 2 R 3 ) 2 ] + X - または[HNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )] + X - で示される錯体化合物(ここで、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 は、それぞれ独立して、置換されたまたは置 換されていない炭化水素基であり、Xはヒド ド供与体である酸(たとえば、無機酸または 機酸)の陰イオンであり、xは正の整数であ 。)を提供する。本発明において用いられる 炭化水素基としては、アルキル基、シクロ ルキル基、アリル基、アリール基、アラル ル基などを挙げることができる。

 炭化水素基の炭素数としては、触媒作用 ある限り任意の数を用いることができるが 単離する必要がある場合は、炭素数は少な ほうがよい。

 たとえば、アルキル基が置換基として使 される場合は、好ましくは、炭素数は18以 、より好ましくは、6以下、さらに好ましく 、3以下、さらにより好ましくは2以下、も とも好ましくは1(すなわちメチル基)であり る。そして、いったん炭素数1または別の炭 数のものでアルキル基置換体が触媒として 用することが判明したならば、任意の炭素 のアルキル基のもので置換したものもまた 触媒として作用することが理解される。そ 理論的説明としては、これに束縛されるこ を望まないが、金属ニッケルとホスフィン の結合はホスフィンの不対電子のニッケル の電子供用に伴うシグマ性結合形成とニッ ル上の電子のホスフィンへの逆供用による 結合形成によるものであることから、不対 子を持つ三価のホスフィンであれば、基本 に上記機能を有し、類似の挙動を示すこと ら、触媒作用がアルキルの炭素数に左右さ ことは考えられにくい。

 たとえば、アリール基が置換基として使 される場合は、好ましくは、炭素数は18以 、より好ましくは、12以下、さらに好ましく は、8以下、さらにより好ましくは7以下、も とも好ましくは6(すなわちフェニル基)であ 得る。そして、いったん炭素数6または別の 炭素数のものでアリール基置換体が触媒とし て作用することが判明したならば、任意の炭 素数のアリール基のもので置換したものもま た、触媒として作用することが理解される。 その理論的説明としては、これに束縛される ことを望まないが、金属ニッケルとホスフィ ンとの結合はホスフィンの不対電子のニッケ ルへの電子供用に伴うシグマ性結合形成とニ ッケル上の電子のホスフィンへの逆供用によ るπ結合形成によるものであることから、不 電子を持つ三価のホスフィンであれば、基 的に上記機能を有し、類似の挙動を示すこ から、触媒作用がアルキルの炭素数に左右 れことは考えられにくい。

 また、炭化水素基であれば、別の種類の のであっても、置換することがでい、置換 が触媒として作用することが理解される。

 本発明において、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 は、互いに同じであっても異なっていてもよ い。同じものを含む触媒は、合成が容易であ るという利点があるが、触媒としては、すべ てが同じであっても異なる置換基が混入して いてもほぼ同等であり、影響がないことが判 明している。また、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 が互いに同じである利点としては、これらの ホスフィンを比較的容易に合成できるため、 したがって触媒をより安価であるなどを挙げ ることができる。他方、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 が異なることの利点としては、ホスフィン類 の物性制御がしやすいこと、反応の選択性な ど異なる置換基を有するホスフィンを用いる ことにより、よりコントロールしやすいなど の利点を挙げることができる。

 また、本発明の錯体化合物の置換基とし は、アルキル基、アリール基のほか、シク アルキル基、アリル基、アルケニル基、ア ルキル基なども用いることができる。いっ んアルキル基置換体またはアリール基置換 が触媒として作用することが判明したなら 、シクロアルキル基、アリル基、アルケニ 基、アラルキル基のもので置換したものも た、触媒として作用することが理解される その理論的説明としては、これに束縛され ことを望まないが、金属ニッケルとホスフ ンとの結合はホスフィンの不対電子のニッ ルへの電子供用に伴うシグマ性結合形成と ッケル上の電子のホスフィンへの逆供用に るπ結合形成によるものであることから、 対電子を持つ三価のホスフィンであれば、 本的に上記機能を有し、類似の挙動を示す とから、触媒作用がアルキルの炭素数に左 されことは考えられにくい。

 好ましい実施形態では、炭化水素基は、 チル基、エチル基、フェニル基などを使用 ることができる。理論に束縛されることを まないが、これらのメチル基、エチル基、 ェニル基を含む触媒を用いることが好まし 理由としては、扱いが簡単なこと、合成が 易であること、触媒反応性が高いこと、な が挙げられる。

 1つの実施形態では、本発明の錯体化合物は 、炭化水素基がC1~C2アルキル基、またはC6ア ール基である[HNi(PR 1 R 2 R 3 ) 2 ] + X - であるか、または前記炭化水素基がC1アルキ 基でありxが2である[HNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )] + X - である。理論に束縛されることを望まないが 、これらの特定の触媒を用いることが好まし い理由としては、扱いが簡単なこと、合成が 容易であること、触媒反応性が高いこと、な どが挙げられる。

 本明細書において、Xとしては任意の酸を 用いることができることが理解される。たと えば、1つの実施形態では、ヒドリド供与体 ある酸の陰イオンは、無機オキソ酸アニオ であり得る。

 好ましい実施形態では、ヒドリド供与体で る酸の陰イオンは、硫酸イオン、リン酸イ ン、 - O-P(O)R 6 2 - O-P(O)(OR 6 ) 2 、ClO 4 - 、R 6 CO 2 - などであり得る。

 そして、いったん特定の酸(たとえば、リ ン酸など)が触媒として作用することが判明 たならば、このグループに属する任意の酸 含む触媒もまた、触媒として作用すること 理解される。

 より好ましい実施形態では、無機酸の陰イ ンは、硫酸イオン、リン酸イオン、 - O-P(O)R 6 2 - O-P(O)(OR 6 ) 2 などであり得る。

 好ましい実施形態では、無機酸は、H 3 PO 4 、H 2 SO 4 、(C 6 H 5 O) 2 PO 2 Hまたは(C 6 H 5 ) 2 O 2 Hであり得る。

 好ましい実施形態では、有機酸は、酢酸 安息香酸、サリチル酸があり得、より好ま くは酢酸であり得る。

 1つの実施形態では、XとR 1 ~R 5 の組み合わせとしては、任意の物を使用する ことができることが理解される。

 R 1 ~R 5 がアルキル基の場合のアルキル基としては、 例えば炭素数1~6、好ましくは1~4のアルキル基 が挙げられ、その具体例としては、例えば、 メチル基、エチル基、n-又はiso-プロピル基、 n-、iso-、sec-又はtert-ブチル基、n-ペンチル基 n-ヘキシル基などが挙げられる。

 R 1 ~R 5 がシクロアルキル基の場合のシクロアルキル 基としては、例えば炭素数3~12、好ましくは5~ 12のシクロアルキル基が挙げられ、その具体 としては、例えば、シクロペンチル基、シ ロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロ デシル基などが挙げられる。

 R 1 ~R 5 がアリール基の場合のアリール基としては、 例えば炭素数6~14、好ましくは6~10のアリール が挙げられ、その具体例としては、例えば フェニル基、ナフチル基などが挙げられ、 らにそれらの置換体(トリル基、キシリル基 、ベンジルフェニル基など)も包含される。

 R 1 ~R 5 がアラルキル基の場合のアラルキル基として は、例えば炭素数7~15、好ましくは7~11のアラ キル基が挙げられ、その具体例としては、 えばベンジル基、フェネチル基、ナフチル チル基などが挙げられる。

 R 1 ~R 5 で示されるアルキル基、シクロアルキル基、 アリール基又はアラルキル基は,反応に不活 な置換基、例えば、メトキシ基、メトキシ ルボニル基、シアノ基、ジメチルアミノ基 フルオロ基、クロロ基、ヒドロキシ基など 置換されていてもよい。

 本発明で用いられるホスフィン酸の具体 としては、例えばジフェニルホスフィン酸 ジメチルホスフィン酸などが挙げられる。 の使用量は、用いるP-H化合物に対して等モ 以下、好ましくは、0.1~10モル%である。

 反応は特に溶媒を用いなくてもよいが、 要に応じて溶媒中で実施することもできる 溶媒としては、トルエン、キシレン等の炭 水素系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフ ン(THF)、ジイソプロピルエーテル、ジメト シエタン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル 酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトン メチルエチルケトン等のケトン類、アセト トリル、プロピオノニトリル等のニトリル 溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)等のア ド系溶媒等、種々のものが使用できる。ま 、これらは単独若しくは2種以上の混合物と て使用することも出来る。

 具体的化合物としては、たとえば(ここでMe 、メチル基をさし、Etはエチル基をさし、Ph はフェニル基をさす。)、Ni(PMe 3 ) 4 、[HNi(PMe 3 ) 2 ] + (H 2 PO 4 ) - 、反応系中にて形成するものとして、[HNi(PMe 3 ) 2 ] + (H 2 PO 4 ) - 、[HNi(PMe 3 ) 2 ] + (HSO 4 ) - 、[HNi(PMe 3 ) 2 ] + [PO 2 (OC 6 H 5 ) 2 ] - [HNi(PMe 3 ) 2 ] + [PO 2 (C 6 H 5 ) 2 ] - 、[HNi(PPhMe 2 ) 2 ] + (H 2 PO 4 ) - 、[HNi(PEt 3 ) 2 ] + (H 2 PO 4 ) - 、[HNi(PMe 3 ) 2 ] + ((Ph 2 P O 2 ) - 、[HNi(PMe 3 ) 2 ] + ((PhO) 2 P O 2 ) - 、[HNi(PMe 3 ) 2 ] + (HSO 4 ) - 、[HNi(PMe 3 ) 2 ] + (H 2 PO 4 ) - などを挙げることができる。

 (触媒の製造例)
 本発明の触媒を製造する方法を一般化する 以下のとおりとなる。

 ([HNi(PR 1 R 2 R 3 ) 2 ] + X - の場合)
 本発明の[HNi(PR 1 R 2 R 3 ) 2 ] + X - は、R 1 R 2 R 3 はアルキル基、アリール基のほか、シクロア ルキル基、アリル基、アルケニル基、アラル キル基など、Xとして硫酸イオン、リン酸イ ン、 - O-P(O)R 6 2 - O-P(O)(OR 6 ) 2 、ClO 4 - 、R 6 CO 2 - 、であっても製造することができる。すなわ ち、零度で、かくはんしながら、Ni(PR 1 R 2 R 3 ) 4 (たとえば、1ミリモル)の溶媒、(たとえばTHF 5mL)溶液にヒドリド供与体である酸(たとえば 、無機酸または有機酸)HX(たとえば、1ミリモ )を加えた。直ちに沈殿(たとえば、黄色沈 )が生じることが確認される。たとえば、沈 物をろ過して、溶媒(たとえば、THFとペンタ ン)で洗い、得られた固体を真空乾燥するこ により、[HNi(PR 1 R 2 R 3 ) 2 ] + X - を得ることができる。

 ([HNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )] + X - の場合)
 本発明の[HNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )] + X - もまた、同様に製造することができ、アルキ ル基、アリール基のほか、シクロアルキル基 、アリル基、アルケニル基、アラルキル基な ど、Xとして硫酸イオン、リン酸イオン、 - O-P(O)R 6 2 - O-P(O)(OR 6 ) 2 、ClO 4 - 、R 6 CO 2 - 、であっても、以下のように製造することが できる。

 零度で、かくはんしながら、Ni(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 ) 2 (たとえば、1ミリモル)の溶媒(たとえば、THF 5mL)溶液にヒドリド供与体である酸(たとえば 、無機酸または有機酸)HX(たとえば、1ミリモ )を加える。直ちに沈殿が生じる。沈殿物を ろ過して、溶媒(たとえば、THFとペンタン)で い、得られた固体を真空乾燥することによ 、[([HNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )] + X - が得られる。
[HNi(PR 1 R 2 R 3 ) 2 ] + X - と[HNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )] + X - には、溶液中Ni(PR 1 R 2 R 3 ) 2 またはNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )とHXの平衡にあり、平衡が著しくNi(PR 1 R 2 R 3 ) 2 またはNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )とHXに片寄る時には、純[HNi(PR 1 R 2 R 3 ) 2 ] + X - または[HNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )] + X - を単離困難な場合が存在しうるが、その場合 であっても、その原料を供給することで本発 明を実施することができる。したがって、本 発明は、そのように、溶液中に主に存在する 触媒を生成する材料の組み合わせまたは混合 物も範囲とすることが企図される。この場合 、これらの材料・原料の組み合わせまたは混 合物中に存在する各成分は触媒として存在す べきモル比(たとえば、ゼロ価ニッケル:PR 1 R 2 R 3 :HX=1:2:1;Ni(PMe 3 ) 4 +H 3 PO 4 (1当量);Ni(cod) 2 +2.0PMe 3 +1.0H 3 PO 4 など)で提供されることが好ましい。

 [HNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )] + X - の場合、材料を反応系に入れた場合に反応系 でのみ生成するが、分離が困難なものが存在 しうる。そのような場合であっても、[HNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )] + X - 自体は生成しており、それらの触媒として、 上記材料のセットを提供してもよい。この場 合、これらの材料・原料の組み合わせまたは 混合物中に存在する各成分は触媒として存在 すべきモル比で提供されることが好ましい。

 したがって、本発明は、ゼロ価ニッケル又 系中で容易にゼロ価に還元されるニッケル 躯体(たとえば、ビス(1,5-シクロオクタジエ )ニッケル(O)(Ni(cod) 2 )と、PR 1 R 2 R 3 またはR 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )と、HX(ここで、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 は、それぞれ独立して、置換されたまたは置 換されていない炭化水素基であり、Xはヒド ド供与体である酸(たとえば、無機酸または 機酸)の陰イオンであり、xは正の整数であ 。)との混合物または組み合わせを提供する この混合物または組み合わせは、反応する 、本発明の触媒を生成することから、有用 ある。

 あるいは、本発明は、Ni(PR 1 R 2 R 3 ) 4 またはNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 ) 2 で示される化合物と、HX(ここで、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 は、それぞれ独立して、置換されたまたは置 換されていない炭化水素基であり、Xはヒド ド供与体である酸(たとえば、無機酸または 機酸)の陰イオンであり、xは正の整数であ 。)との混合物または組み合わせを提供する この混合物または組み合わせは、反応する 、本発明の触媒を生成することから、有用 ある。

 (アルケニルホスホン酸エステル化合物また はアルケニルスルフィド化合物の製造のため の触媒組成物)
 本発明はまた、本発明の錯体化合物を含む アルケニルホスホン酸エステル化合物また アルケニルスルフィド化合物の製造のため 触媒組成物を提供する。ここで、触媒組成 としては、「錯体化合物」において記載さ る任意の形態を使用することができること 理解される。

 本発明はまた、ゼロ価ニッケル又は系中で 易にゼロ価に還元されるニッケル前躯体(た とえば、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケ ル(O)(Ni(cod) 2 )と、PR 1 R 2 R 3 またはR 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )と、HX(ここで、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 は、それぞれ独立して、置換されたまたは置 換されていない炭化水素基であり、Xはヒド ド供与体である酸(たとえば、無機酸または 機酸)の陰イオンであり、xは正の整数であ 。)との混合物または組み合わせを含む、ア ケニルホスホン酸エステル化合物またはア ケニルスルフィド化合物の製造のための触 組成物を提供する。すなわち、ゼロ価ニッ ル又は系中で容易にゼロ価に還元されるニ ケル前躯体(たとえば、ビス(1,5-シクロオク ジエン)ニッケル(O)(Ni(cod) 2 )と、PR 1 R 2 R 3 またはR 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )と、HX(ここで、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 は、それぞれ独立して、置換されたまたは置 換されていない炭化水素基であり、Xはヒド ド供与体である酸(たとえば、無機酸または 機酸)の陰イオンであり、xは正の整数であ 。)との混合物または組み合わせは、アルケ ルホスホン酸エステル化合物またはアルケ ルスルフィド化合物の製造において使用す ことができる。したがって、ゼロ価ニッケ 又は系中で容易にゼロ価に還元されるニッ ル前躯体(たとえば、ビス(1,5-シクロオクタ エン)ニッケル(O)(Ni(cod) 2 )と、PR 1 R 2 R 3 またはR 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )と、HX(ここで、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 は、それぞれ独立して、置換されたまたは置 換されていない炭化水素基であり、Xはヒド ド供与体である酸(たとえば、無機酸または 機酸)の陰イオンであり、xは正の整数であ 。)との混合物または組み合わせは、アルケ ルホスホン酸エステル化合物またはアルケ ルスルフィド化合物の製造のための触媒ま は触媒原料ということができる。ここで、 触媒原料」とは、反応または混合すると触 となる任意の物質をいう。ここで、触媒組 物としては、「錯体化合物」において記載 れる任意の形態を使用することができるこ が理解される。

 あるいは、本発明は、Ni(PR 1 R 2 R 3 ) 4 またはNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 ) 2 で示される化合物と、HX(ここで、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 は、それぞれ独立して、置換されたまたは置 換されていない炭化水素基であり、Xはヒド ド供与体である酸(たとえば、無機酸または 機酸)の陰イオンであり、xは正の整数であ 。)との混合物または組み合わせを含む触媒 成物を提供する。すなわち、Ni(PR 1 R 2 R 3 ) 4 またはNi(R 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 ) 2 で示される化合物と、HX(ここで、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 は、それぞれ独立して、置換されたまたは置 換されていない炭化水素基であり、Xはヒド ド供与体である酸(たとえば、無機酸または 機酸)の陰イオンであり、xは正の整数であ 。)との混合物または組み合わせは、アルケ ルホスホン酸エステル化合物またはアルケ ルスルフィド化合物の製造において触媒ま は触媒原料として使用することができる。 こで、触媒組成物としては、「錯体化合物 において記載される任意の形態を使用する とができることが理解される。

 必要に応じて、本発明の触媒組成物は、 発明の錯体化合物または反応系において錯 化合物を生成する材料に加えて、触媒組成 を溶かすものを加えても良い。その具体例 しては、水、メタノール、エタノールなど アルコール類、DMSOジメチルスルホンオキシ ド、DMFジメチルホルムアミドなどを挙げられ るが、これらに限定されることはない。トル エン、ペンタン、ヘキサン、ジエチルエーテ ル、アセトンを加えてもよいがこれに限定さ れない。これらのものを加えてよい理由とし ては、これらものの存在下によって、触媒の 性能が損なわれないし、一方、溶液にするこ とにより、より簡便に取り扱える利点がある という理由を挙げることができる。

 (アルケニルホスホン酸エステル化合物また はアルケニルスルフィド化合物の製造)
 別の局面において、本発明は、アルケニル スホン酸エステル化合物
(R a1 O)(R a2 O)P(O)-R b
(ここで、R a1 およびR a2 は、それぞれ独立して置換されたか置換され ていない炭化水素基であるか一緒になって環 状の炭化水素基を形成し、R b は置換されたか置換されていないアルケニル 基である。)または
 アルケニルスルフィド化合物
R c S-R b
(ここで、R c は置換されたか置換されていない炭化水素基 であり、R b は置換されたか置換されていないアルケニル 基である。)の製造のための方法であって、
 A)ホスホン酸エステル化合物(R a1 O)(R a2 O)P(O)Hまたはスルフィド化合物R c SHと、一般式(2)
R b1 (C≡CR b2 ) n (2)
(式中、nは1又は2であり、R b1 は、nが1の場合、置換されたか置換されてい い、アルキル基、シクロアルキル基、アリ ル基、アラルキル基、ヘテロアリール基、 ルケニル基、アルコキシ基、アリールオキ 基、又はシリル基を、nが2の場合、アルキ ン基、シクロアルキレン基、アリーレン基 アラルキレン基、ヘテロアリーレン基、ア ケニレン基、アルキレンジオキシ基、アリ レンジオキシ基、又はシリレンジオキシ基 示す。R b2 は水素原子を示す。)で示されるアセチレン 合物との反応系に、本発明の錯体化合物ま は本発明の混合物または組み合わせを同時 たは順次加えて混合して、該アルケニルホ ホン酸エステル化合物またはアルケニルス フィド化合物を生成する工程を包含する、 法を提供する。

 ここで、工程Aでは、材料であるホスホン酸 エステル化合物(R a1 O)(R a2 O)P(O)Hまたはスルフィド化合物R c SHと、他方の材料であるアセチレン化合物と 反応系に混合し、そこに、本発明の触媒組 物またはその原料を同時または順次加える とによって反応を進行させ、アルケニルホ ホン酸エステル化合物またはアルケニルス フィド化合物を製造することができる。

 ここで、反応する条件としては、任意の のを使用することができるが、通常温度-20 から150℃、濃度0.01M~20M、溶媒の種類等:溶媒 は用いても用いなくても反応を進行させるこ とができる。たとえば、溶媒については、種 々用いられ、好ましくは、ヘキサン、トルエ ンなどの非極性溶媒などを挙げることができ 、好ましい条件の例としては、温度0℃~150℃ 濃度0.01M~2M、トルエンという条件を挙げる とができる。

 反応は特に溶媒を用いなくてもよいが、 要に応じて溶媒中で実施することもできる 溶媒としては、トルエン、キシレン等の炭 水素系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフ ン(THF)、ジイソプロピルエーテル、ジメト シエタン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル 酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトン メチルエチルケトン等のケトン類、アセト トリル、プロピオノニトリル等のニトリル 溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)等のア ド系溶媒等、種々のものが使用できる。ま 、これらは単独若しくは2種以上の混合物と て使用することも出来る。

 反応温度は、あまりに低温では反応が有 な速度で進行せず、あまりに高温では触媒 分解するので、一般的には、-20℃から300℃ 範囲から選ばれ、好ましくは0℃から150℃の 範囲で実施される。反応時間は、用いるアセ チレン化合物及びP-H化合物の種類や反応温度 その他の反応条件等により自ずから異なるが 、通常数時間~数十時間程度である。

 本反応は空気中等の酸素の存在下でも進 するが、本反応系中で作用する触媒活性種 酸素に敏感なので、反応の実施は窒素、ア ゴン、メタン等の不活性ガス雰囲気で行う が好ましい。反応混合物からの生成物の分 は、クロマトグラフィー、蒸留、再結晶等 よって容易に達成される。

 一つの実施形態では、工程A)において、ビ (1,5-シクロオクタンジエン)ニッケル(O)と前 PR 1 R 2 R 3 またはR 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 とヒドリド供与体である酸(たとえば、無機 または有機酸)との存在下で、前記ホスホン エステル化合物またはスルフィド化合物と 記アルキン化合物とを反応させることがで る。触媒または触媒原料を加えるタイミン は、触媒として機能する限り任意のものを 用することができる。同時であることが好 しいがこれに限定されない。

 本発明のアルケニルホスホン酸エステル 合物またはアルケニルスルフィド化合物の 造方法では、従来の触媒を用いた場合に比 て、格段に触媒使用量が減少していること よび取り扱いやすいことが特徴である。す わち、従来の触媒では、アルケニルホスホ 酸エステル化合物またはアルケニルスルフ ド化合物を高収率に得るためには、反応基 に対して触媒を約5モルパーセント使用して いた。しかし、高価な触媒をこれだけ使用し ていては工業スケールにはとても及ばない。 本発明の触媒を用いると、触媒の使用量が0.5 モルパーセント程度でその収率が、90%以上、 しかも殆どの場合95%以上という高収率を達成 した。このような収率であれば、工業スケー ルに見合う生産を行うことができる。また、 有毒で高価なホスフィン配位子についても、 従来の触媒ではニッケル対リンの比が一般的 に1対4であるのに対して、本発明ではニッケ 対リンの比が1対2で十分である。さらに、 来の触媒は空気中では直ちに失活するのに して、本触媒は、空気中でも取り扱えるか 、簡便に使用できる。

 アルケニルリン化合物は、その基本骨格 天然に見出され、酵素などと作用すること より、それ自身が生理活性を示すことが知 れている。同化合物は、各種触媒反応の補 配位子等として広く用いられる第3級ホスフ ィン等に容易に変換される極めて有用な化合 物でもある。更に、同化合物は、求核剤やラ ジカル種と容易に反応し、Horner-Wittig反応に いることもできるなど、精密化学品の合成 面でも有用性が高い一群の化合物である。

 したがって、このような有用性が高い化 物の生産効率を大幅に上昇させたというこ は、価値が高いというべきである。

 他の局面では、本発明はまた、アルケニ ホスホン酸エステル化合物またはアルケニ スルフィド化合物またはその製造原料もし はそれらを含む組成物を提供する。本発明 よって得られたアルケニルホスホン酸エス ル化合物またはアルケニルスルフィド化合 の製造原料は、収率が格段に優れた方法に って得られたものであるので、不純物が低 されているという効果を有している。した って、本発明の方法によって製造されたア ケニルホスホン酸エステル化合物またはア ケニルスルフィド化合物の製造原料は、で た状態の物質(混合物)がこれまでにないも といえ、それを原料として用いること自体 新規といえると考えられる。また、本発明 製造原料は、好ましくは90%以上のアルケニ ホスホン酸エステル化合物またはアルケニ スルフィド化合物を含み、かつ、本発明の 媒を認識可能な量で含まれることが特徴の とつであるといえる。

 本明細書において引用された、科学文献 特許、特許出願などの参考文献は、その全 が、各々具体的に記載されたのと同じ程度 本明細書において参考として援用される。

 以下、実施例により、本発明の構成をよ 詳細に説明するが、本発明はこれに限定さ るものではない。以下において使用した試 類は、特に言及した場合を除いて、市販さ ているものを使用した。

  以下に本発明の実施例について説明す が、これに限定されるものではない。以下 用いた試薬は、アルドリッチ社、東京化成 は和光純薬から購入したか、定法(J. Am. Chem .Soc. 1970年92巻2956ページ以降)により製造した 。

 (実施例1)
 (実験例)
 零度で、かくはんしながら、Ni(PMe 3 ) 4 (1ミリモル(mmol))のTHF(5mL)溶液にリン酸(1ミリ ル(mmol))のTHF(2ml)溶液を加えた。直ちに黄色 殿が生じた。窒素下、沈殿物をろ過して、TH Fとペンタンで洗い、固体を真空乾燥した。 量的に(308 mg)[HNi(PMe 3 ) 2 ] + (H 2 PO 4 ) - が得られた。この錯体はこれまで知られてい ない新しいものである。その構造は、以下の ように決定した。

 (結果)
元素分析:計算値 C,23.33%; H,6.85%. 測定値:C,23. 63%; H,6.91%.
1 H NMR (DMSO-d6): δ7.23 (bs,2H),1.62 (s,18H),-16.9 (s, 1H,H-Ni)
31 P NMR (DMSO-d6): δ1.5 (H 2 PO 4 ),-16.8 (PMe 3 )(なお、δ1.5と-16.8のシグナルの積分比は1:2で ある)。
同様な手法を用いていかに示す異なるニッケ ル錯体とヒドリド供与体である酸と反応をさ せることにより、対応する種々の[HNi(PR 3 ) 2 ] + X-を定量的に得られた。

 (表1:Ni(PR 3 ) 4 とヒドリド供与体である無機酸の反応による [HNi(PR 3 ) 2 ] + X - の合成)

 (実施例2~4:カチオン性錯体を用いる触媒反 )
 これらの錯体は以下の付加反応に高い触媒 性を示す。

 (手順)
 (MeO) 2 P(O)H 1mmolと1-オクチン1mmolとを混合し、0.5mol% 本発明の触媒または比較例となる触媒(Ni(PMe 3 ) 4 )を混合して、25℃で1Mテトラヒドロフラン(THF )中で反応させ、下記1および2の化合物を得た 。その際の反応時間および収率を以下に示す 。

 (結果)
 本発明の触媒組成物は、中性Ni(PMe 3 ) 4 に比べて、収率が高く、生成物の選択性が高 いことがわかった。その結果をまとめたもの を以下の表にまとめて示す。

 上記例は何れも単離した[HNi(PR 3 ) 2 ] + X - の例であるが、実際の反応系では、系中で発 生させるので、例えば、PR 1 R 2 R 3 またはR 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )+ヒドリド供与体である酸(たとえば、無機酸 または有機酸)、或いは(Ni(cod) 2 )などのゼロ価ニッケル又は系中で容易にゼ 価に還元されるニッケル前躯体+PR 1 R 2 R 3 またはR 1 R 2 P(CH 2 ) x PR 4 R 5 )+ヒドリド供与体である酸(たとえば、無機酸 または有機酸)などの組み合わせまたは混合 も本発明の範囲内であることが想定される

 (製造の比較例)
 A.ビニルホスホン酸ジエチルエステル製造 比較例
 (比較例A-1)
 反応装置に亜リン酸ジエチル6.45mL、トルエ 50mLを加えアセチレンガスを吹き込みながら Ni(PMe3) 4 4.5mL(亜リン酸ジエチルに対して2.25mol%)を加え 反応させた。蒸留精製し、ビニルホスホン酸 ジエチルエステル2.44g(収率29.7%)を得た。

 (比較例A-2)
 反応装置に亜リン酸ジエチル6.45mL、トルエ 12.9mL、リン酸0.15gを加え、アセチレンガス 吹き込みながらNi(PMe 3 ) 4 3.98mL(亜リン酸ジエチルに対して2mol%)を加え 応させた。蒸留精製しビニルホスホン酸ジ チルエステル7.16g(収率87.7%)を得た。

 (比較例B.ビニルホスホン酸ジメチルエステ 製造の比較例)
 (比較例B-1)
反応装置に亜リン酸ジメチル13.8mL、トルエン 150mLを加え、アセチレンガスを吹き込みなが Ni(PMe 3 ) 4 6mL(亜リン酸ジメチルに対して1mol%)を加え反 させた。蒸留精製しビニルホスホン酸ジエ ルエステル9.86g(収率48.3%)を得た。

 (実施例5~23:他の組み合わせ)
 実施例2~4と同じ手順で種々のP-H化合物とア チレン類への付加反応を行なった。結果は 実施例5~23として以下の表にまとめた。

 (結果)

 以上のように、本発明の触媒は、単独で 用されるのであれ、組み合わせまたは混合 として使用されるのであれ、反応系におい 生成する触媒が所望のものである限り、こ ごとく90%以上であることが理解される。

 (実施例24~35:他の組み合わせ)
 実施例2~4と同じ手順で種々のP-H化合物とア チレン類への付加反応のさらなる実施例を った。以下に、実施例24~35として、実施例1~ 23とは別の本発明の範囲内の触媒および反応 の組み合わせを記載する。

 (結果)
 表4に記載される組み合わせであっても、実 施例1~23と同様の高い収率の反応が生じ、実 実施例26では91%、実施例32では90%の収率が観 された。

 (有機酸の場合)
 同様の実験を酸として有機酸を使用した例 して実施例36-38を実施した。実施例36-38では 、酸として有機酸を使用したこと以外は無機 酸の場合と同様の実験を行った。

 以上のように、本発明の触媒は、無機酸 代わりに有機酸を使用した場合であっても 単独で使用されるのであれ、組み合わせま は混合物として使用されるのであれ、反応 において生成する触媒が所望のものである り、ことごとく90%以上であことが理解され 。

 (まとめ)
 以上のように、本発明の好ましい実施形態 用いて本発明を例示してきたが、本発明は この実施形態に限定して解釈されるべきも ではない。本発明は、特許請求の範囲によ てのみその範囲が解釈されるべきであるこ が理解される。当業者は、本発明の具体的 好ましい実施形態の記載から、本発明の記 および技術常識に基づいて等価な範囲を実 することができることが理解される。本明 書において引用した特許、特許出願および 献は、その内容自体が具体的に本明細書に 載されているのと同様にその内容が本明細 に対する参考として援用されるべきである とが理解される。

 本発明は、各種触媒反応の補助配位子等 して広く用いられる第3級ホスフィン等に容 易に変換される極めて有用な化合物でもある 。更に、同化合物は、求核剤やラジカル種と 容易に反応し、Horner-Wittig反応に用いること できるなど、精密化学品の合成の面でも有 性が高い一群の化合物を効率よい製造を達 する。

 本発明は、医薬・農薬などの生理活性物 や触媒調製用配位子等の合成中間体として 用なアルケニルリン化合物(アルケニルホス ホン酸エステル、アルケニルホスフィン酸エ ステル及びアルケニルホスフィンオキシド化 合物)の高収率で且つ実用性の高い製造方法 提供するものである。本発明のアルケニル ン化合物の合成方法は、触媒として比較的 価なニッケル錯体触媒を使用し、アセチレ 類にP-H化合物(水素化ホスホン酸エステル、 素化ホスフィン酸エステル及び二置換ホス ィンオキシド)を反応させるだけで、簡便、 安全、且つ効率的に合成することができ、生 成物の分離精製も容易である。従って、本発 明は工業的に多大の効果をもたらす。

 したがって、このリン化合物またはイオ 化合物を利用するすべての産業において利 可能性を見出す。