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Title:
CERAMIC PART FOR MAGNETRON, MAGNETRON EMPLOYING THE SAME, AND PROCESS FOR PRODUCING CERAMIC PART FOR MAGNETRON
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/142804
Kind Code:
A1
Abstract:
A ceramic part for magnetrons which has a metallic layer having improved adhesion strength. The ceramic part for magnetrons comprises a ceramic main body part (1) comprising an alumina sinter and Mo-Mn metallic layers (9 and 10) disposed by metallization on the surface of part of the ceramic main body part, wherein the ceramic main body part is an alumina sinter having an Mn-containing grain boundary phase and has an Mn-rich phase at the interface between the ceramic main body part and the Mo-Mn metallic layers.

Inventors:
IMAIZUMI TATSUYA
HOSHINO MASANORI
SATO HIDEKI
Application Number:
PCT/JP2007/063598
Publication Date:
November 27, 2008
Filing Date:
July 06, 2007
Export Citation:
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Assignee:
TOSHIBA KK (JP)
TOSHIBA MATERIALS CO LTD (JP)
IMAIZUMI TATSUYA
HOSHINO MASANORI
SATO HIDEKI
International Classes:
H01J23/14; C04B41/88; H01J9/30
Foreign References:
JPH0636691A1994-02-10
JP2006100364A2006-04-13
JPH01119570A1989-05-11
JPS6385077A1988-04-15
JPH04188892A1992-07-07
JP4075618B22008-04-16
JPH0340983A1991-02-21
Attorney, Agent or Firm:
HATANO, Hisashi et al. (2nd Floor Miyata Building, 17-16, Nishi-Shimbashi 1-Chome, Minato-K, Tokyo 03, JP)
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Claims:
 アルミナ焼結体からなるセラミックス本体部と、このセラミックス本体部の一部の表面上に設けられたMo-Mnメタライズ層とを有するマグネトロン用セラミックス部品において、
 前記セラミックス本体部は、Mnを含む粒界相を有するアルミナ焼結体であり、
 前記セラミックス本体部と前記Mo-Mnメタライズ層との間にMnリッチ相を具備することを特徴とするマグネトロン用セラミックス部品。
 前記Mnリッチ相は平均厚さ2~15μmであることを特徴とする請求項1記載のマグネトロン用セラミックス部品。
 Mnリッチ相はガラス相を主相とすることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のマグネトロン用セラミックス部品。
 前記メタライズ層の接合強度が40kgf/cm以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のマグネトロン用セラミックス部品。
 前記メタライズ層の接合強度が60kgf/cm以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のマグネトロン用セラミックス部品。
 前記セラミックス本体部のうち前記メタライズ層が形成されるメタライズ層形成部は、表面粗さRaが0.1μm以上であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のマグネトロン用セラミックス部品。
 前記セラミックス本体部のうち前記メタライズ層が形成されるメタライズ層形成部は、表面粗さRaが0.4~3.0μmであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のマグネトロン用セラミックス部品。
 前記セラミックス本体部のうち前記メタライズ層が形成されるメタライズ層形成部は、焼結上がり面であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のマグネトロン用セラミックス部品。
 前記セラミックス本体部を構成するアルミナ焼結体の色がXYZ色度図において、x=0.440±0.020、y=0.350±0.020の範囲内であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のマグネトロン用セラミックス部品。
 前記マグネトロン用セラミックス部品がマグネトロン用ステムであることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載のマグネトロン用セラミックス部品。
 請求項1ないし10のいずれか1項に記載のマグネトロン用セラミックス部品を用いたことを特徴とするマグネトロン。
 アルミナ焼結体からなるセラミックス本体部と、このセラミックス本体部上に形成されたメタライズ層とを有するマグネトロン用セラミックス部品の製造方法において、
 Mnを含む粒界相を有するアルミナ焼結体からなるセラミックス本体部を用意する工程と、
 Mo-Mn系ペーストを前記セラミックス本体部の一部に塗布し、還元雰囲気中1350~1500℃で焼成することによりメタライズ層を形成する工程と、
を具備することを特徴とするマグネトロン用セラミックス部品の製造方法。
 前記メタライズ層を形成する工程は、前記Mo-Mn系ペーストを前記セラミックス本体部の一部に塗布した後、40~120℃で乾燥させた後、還元雰囲気中1350~1500℃で焼成することを特徴とする請求項12記載のマグネトロン用セラミックス部品の製造方法。
 前記メタライズ層を形成する工程は、前記セラミックス本体部の色が変化するまで行うことを特徴とする請求項12または13のいずれか1項に記載のマグネトロン用セラミックス部品の製造方法。
 前記変化した後のセラミックス本体部の色がXYZ色度図において、x=0.440±0.020、y=0.350±0.020の範囲内であることを特徴とする請求項14記載のマグネトロン用セラミックス部品の製造方法。
 前記メタライズ層を形成する工程は、前記セラミックス本体部の色がXYZ色度図において、x=0.440±0.020、y=0.350±0.020の範囲内になるまで焼成することを特徴とする請求項12または13のいずれか1項に記載のマグネトロン用セラミックス部品の製造方法。
 前記メタライズ層を形成する工程は、還元性雰囲気ガスの流量が100リットル/分以上であることを特徴とする請求項12ないし16のいずれか1項に記載のマグネトロン用セラミックス部品の製造方法。
 前記セラミックス本体部は、Mn含有量が1~5質量%のアルミナ焼結体であることを特徴とする請求項12ないし17のいずれか1項に記載のマグネトロン用セラミックス部品の製造方法。
 前記セラミックス本体部を構成するアルミナ焼結体の粒界相はガラス相であることを特徴とする請求項12ないし18のいずれか1項に記載のマグネトロン用セラミックス部品の製造方法。
 前記Mo-Mn系ペーストは、平均粒径0.5~10μmのMo粉末と平均粒径0.5~10μmのMn粉末とのそれぞれについて40時間以上の解砕処理を施した後、バインダーと混合して調製されたものであることを特徴とする請求項12ないし19のいずれか1項に記載のマグネトロン用セラミックス部品の製造方法。
 前記Mo-Mn系ペーストは、平均粒径0.5~1.0μmのMo粉末と平均粒径1.3μm以上のMo粉末とを混合したMo粉末と、Mn粉末と、バインダーとを混合して調製されたものであることを特徴とする請求項12ないし20のいずれか1項に記載のマグネトロン用セラミックス部品の製造方法。
 前記メタライズ層を形成する工程の後、リード部を挿入する工程またはメタライズ層上にNiメッキを施す工程の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項12ないし21のいずれか1項に記載のマグネトロン用セラミックス部品の製造方法。
 前記Niメッキを施す工程は、マグネトロン用セラミックス部品と金属製ダミー部材とを混合してバレル式電解メッキ法を行うことを特徴とする請求項22記載のマグネトロン用セラミックス部品の製造方法。
 前記セラミックス本体部はステム本体部であり、
 このステム本体部と前記メタライズ層との間にはガラス相からなる析出層が形成されていることを特徴とする請求項12ないし23のいずれか1項に記載のマグネトロン用ステムの製造方法。
 前記メタライズ層を形成する工程は、焼成する際に還元性雰囲気を循環させることを特徴とする請求項12ないし24のいずれか1項に記載のマグネトロン用ステムの製造方法。
 前記マグネトロン用セラミックス部品がマグネトロン用ステムであることを特徴とする請求項12ないし25のいずれか1項に記載のマグネトロン用セラミックス部品の製造方法。
 アルミナ焼結体からなるセラミックス本体部と、このセラミックス本体部上に形成されたメタライズ層とを有するマグネトロン用セラミックス部品の製造方法において、
 Mnを含む粒界相を含有するアルミナ焼結体からなるセラミックス本体部を用意する工程と、
 平均粒径0.5~10μmのMo粉末と平均粒径0.5~10μmのMn粉末とのそれぞれについて40時間以上の解砕処理を施した後、バインダーと混合してMo-Mn系ペーストを調製する工程と、
 前記Mo-Mn系ペーストを前記セラミックス本体部の一部に塗布し、乾燥させた後、還元雰囲気中1350~1500℃で焼成することによりメタライズ層を形成する工程と、
を具備することを特徴とするマグネトロン用セラミックス部品の製造方法。
 アルミナ焼結体からなるセラミックス本体部と、このセラミックス本体部上に形成されたメタライズ層とを有するマグネトロン用セラミックス部品の製造方法において、
 Mnを含む粒界相を含有するアルミナ焼結体からなるセラミックス本体部を用意する工程と、
 Mo-Mn系ペーストは平均粒径0.5~1.0μmのMo粉末と平均粒径1.3μm以上のMo粉末とを混合したMo粉末と、Mn粉末と、バインダーと混合してMo-Mn系ペーストを調製する工程と、
 前記Mo-Mn系ペーストを前記セラミックス本体部の一部に塗布し、乾燥させた後、還元雰囲気中1350~1500℃で焼成することによりメタライズ層を形成する工程と、
を具備することを特徴とするマグネトロン用セラミックス部品の製造方法。
Description:
マグネトロン用セラミックス部 およびそれを用いたマグネトロン並びにマ ネトロン用セラミックス部品の製造方法

 本発明は、電子レンジ等のマイクロ波加 機器に用いられるマグネトロン用ステム等 マグネトロンに用いられるセラミックス部 およびそれを用いたマグネトロン並びにそ 製造方法に関する。

 従来、マグネトロンの陰極支持部に用い ステムとして、図1に示すものが知られてい る(特公平4-75618号公報(特許文献1))。図中、符 号1はセラミックスからなるステム本体部で このステム本体部1には両端面間に貫通する 通孔2が形成されている。ステム本体部1の 方の側面には座金接合面3が形成され、且つ 方の側面には座金接合面3の周囲に段差をも たせてエンベローブ接合面4が形成されてい 。ステム本体部1の貫通孔2には陰極支持棒と してリード部5,6が挿通され、これらリード部 5,6と、ステム本体部1の座金接合面3にろう付 により接合した座金7,7とは、ろう付けを施 て接合封着されている。なお、リード部5,6 高温下で使用されるため高温強度にすぐれ Moで形成されている。ステム本体部1のエン ロープ接合面4には、金属エンベロープ8が う付けにより接合封着してある。前記ステ 本体部1の座金接合面3とエンベロープ接合面 4とには、それぞれメタライズ層9および10が 成され、座金7および金属エンベロープ8がろ う付けされている。

 また、リード部5,6と座金7との接合部はス テム本体部1の外気に対する封止部となる。 のため、リード部5,6と座金7との接合部には ろう材ののりを良くし接合封着性を高める めに、メタライズ層9および10の表面にNiメ キが施されている。なお、図中、符号11は陰 極フイラメント、符号12,13は陰極フイラメン 11をリード部5,6に保持するエンドシールド ある。

 従来、ステム本体部1にはアルミナ焼結体 、メタライズ層9にはMo単独のメタライズ層が 用いられていた。しかし、Moメタライズ層はN iメッキとの接合強度が弱いことから、近年 Mo-Mn系メタライズ層が用いられている(特開20 02-56783号公報(特許文献2))。これによりメタラ イズ層とNiメッキの接合強度が高くなり、さ にNiメッキ層と座金との接合強度、機密性 高くなるため封止効果が向上している。

 前述のように、Mo-Mn系メタライズ層を形 すると、Moメタライズ層を形成する場合に比 べて接合強度は向上する。しかし、Mo-Mn系メ ライズ層を形成するメタライズ工程はMoメ ライズ層を形成する場合に比べて煩雑にな ため、歩留まりという点では十分改善され いなかった。また、Mo-Mn系メタライズ層と座 金との接合性を向上させるにはMo-Mn系メタラ ズ層へのNiメッキが必須であったが、メッ の歩留まりについても十分改善されていな った。

  特許文献1:特公平4-75618号公報
  特許文献2:特開2002-56783号公報

[発明の開示]
 本発明は、メタライズ層の接合強度が高い グネトロン用セラミックス部品を提供する とを目的とする。また、本発明は、歩留ま が大幅に向上するマグネトロン用セラミッ ス部品の製造方法を提供することを目的と る。

 本発明のマグネトロン用セラミックス部 は、アルミナ焼結体からなるセラミックス 体部と、このセラミックス本体部の一部の 面上に設けられたMo-Mnメタライズ層とを有 るマグネトロン用セラミックス部品におい 、前記セラミックス本体部は、Mnを含む粒界 相を有するアルミナ焼結体であり、前記セラ ミックス本体部と前記Mo-Mnメタライズ層との にMnリッチ相を具備することを特徴とする のである。

 前記Mnリッチ相は平均厚さ2~15μmであるこ が好ましい。Mnリッチ相はガラス相を主相 することが好ましい。

 前記メタライズ層の接合強度は、通常40kg f/cm以上であり、好ましくは60kgf/cm以上である 。

 前記セラミックス本体部のうち前記メタ イズ層が形成されるメタライズ層形成部は 面粗さRaが0.1μm以上であることが好ましい 前記セラミックス本体部のうち前記メタラ ズ層が形成されるメタライズ層形成部は表 粗さRaが0.4~3.0μmであることが好ましい。セ ミックス本体部のうち前記メタライズ層が 成されるメタライズ層形成部は、焼結上が 面であることが好ましい。前記アルミナ焼 体の色がXYZ色度図においてx=0.440±0.020、y=0.35 0±0.020の範囲内であることが好ましい。

 前記マグネトロン用セラミックス部品が グネトロン用ステムであることが好ましい

 また、本発明のマグネトロンは、上記マ ネトロン用セラミックス部品を用いたこと 特徴とするものである。

 さらに、本発明のマグネトロン用セラミ クス部品の製造方法は、アルミナ焼結体か なるセラミックス本体部と、このセラミッ ス本体部上に形成されたメタライズ層とを するマグネトロン用セラミックス部品の製 方法において、Mnを含む粒界相を有するア ミナ焼結体からなるセラミックス本体部を 意する工程と、Mo-Mn系ペーストを前記セラミ ックス本体部の一部に塗布し、還元雰囲気中 1350~1500℃で焼成することによりメタライズ層 を形成する工程と、を具備することを特徴と するものである。

 前記メタライズ層を形成する工程は、前 Mo-Mn系ペーストを前記セラミックス本体部 一部に塗布した後、40~120℃で乾燥させた後 還元雰囲気中1350~1500℃で焼成することが好 しい。

 前記メタライズ層を形成する工程は、前 セラミックス本体部の色が変化するまで行 ことが好ましい。前記変化した後のセラミ クス本体部の色がXYZ色度図においてx=0.440±0 .020、y=0.350±0.020の範囲内であることが好まし い。前記メタライズ層を形成する工程は、前 記セラミックス本体部の色がXYZ色度図におい て、x=0.440±0.020、y=0.350±0.020の範囲内になる で焼成することが好ましい。

 前記メタライズ層を形成する工程は、還 性雰囲気ガスの流量が100リットル/分以上で あることが好ましい。前記セラミックス本体 部は、Mn含有量が1~5質量%のアルミナ焼結体で あることが好ましい。前記セラミックス本体 部を構成するアルミナ焼結体の粒界相はガラ ス相であることが好ましい。

 前記Mo-Mn系ペーストは、平均粒径0.5~10μm Mo粉末と平均粒径0.5~10μmのMn粉末とのそれぞ について40時間以上の解砕処理を施した後 バインダーと混合して調製されたものであ ことが好ましい。Mo-Mn系ペーストは平均粒径 0.5~1.0μmのMo粉末と平均粒径1.3μm以上のMo粉末 を混合したMo粉末と、Mn粉末と、バインダー とを混合して調製されたものであることが好 ましい。

 前記メタライズ層を形成する工程の後、 ード部を挿入する工程またはメタライズ層 にNiメッキを施す工程の少なくとも一方を することが好ましい。前記Niメッキを施す工 程は、マグネトロン用セラミックス部品と金 属製ダミー部材とを混合してバレル式電解メ ッキ法を行うことが好ましい。前記セラミッ クス本体部はステム本体部であり、このセラ ミックス本体部と前記メタライズ層との間に はガラス相からなる析出層が形成されている ことが好ましい。前記メタライズ層を形成す る工程は、焼成する際に還元性雰囲気を循環 させることが好ましい。前記マグネトロン用 セラミックス部品がマグネトロン用ステムで あることが好ましい。

 また、本発明のマグネトロン用セラミッ ス部品の製造方法は、アルミナ焼結体から るセラミックス本体部と、このセラミック 本体部上に形成されたメタライズ層とを有 るマグネトロン用セラミックス部品の製造 法において、Mnを含む粒界相を含有するア ミナ焼結体からなるセラミックス本体部を 意する工程と、平均粒径0.5~10μmのMo粉末と平 均粒径0.5~10μmのMn粉末とのそれぞれについて4 0時間以上の解砕処理を施した後、バインダ と混合してMo-Mn系ペーストを調製する工程と 、前記Mo-Mn系ペーストを前記セラミックス本 部の一部に塗布し、乾燥させた後、還元雰 気中1350~1500℃で焼成することによりメタラ ズ層を形成する工程と、を具備することを 徴とする。

 さらに、本発明のマグネトロン用セラミ クス部品の製造方法は、アルミナ焼結体か なるセラミックス本体部と、このセラミッ ス本体部上に形成されたメタライズ層とを するマグネトロン用セラミックス部品の製 方法において、Mnを含む粒界相を含有する ルミナ焼結体からなるセラミックス本体部 用意する工程と、Mo-Mn系ペーストは平均粒径 0.5~1.0μmのMo粉末と平均粒径1.3μm以上のMo粉末 を混合したMo粉末と、Mn粉末と、バインダー と混合してMo-Mn系ペーストを調製する工程と 前記Mo-Mn系ペーストを前記セラミックス本 部の一部に塗布し、乾燥させた後、還元雰 気中1350~1500℃で焼成することによりメタラ ズ層を形成する工程と、を具備することを 徴とする。

[発明の効果]
 本発明によれば、メタライズ層の接合強度 向上し、マグネトロン用セラミックス部品 信頼性が向上する。また、本発明によれば マグネトロン用ステム等のマグネトロン用 ラミックス部品の歩留まりが大幅に向上す 。

 本発明のマグネトロン用セラミックス部 とは図1に示したマグネトロン用ステム以外 にも、マグネトロンの陰極の先端部等に用い られるリング形状の絶縁性封着部材にも適用 できる。つまり、マグネトロンの陰極支持部 において金属部材との絶縁性を保ちかつメタ ライズ層を利用して封着し気密性を維持する ための部材であればリング形状、ステム形状 など様々な部材に適用可能である。

 本発明のマグネトロン用セラミックス部 の製造方法は、アルミナ焼結体からなるセ ミックス本体部、本体部上に形成されたメ ライズ層を有するマグネトロン用セラミッ ス部品の製造方法において、Mnを含む粒界 を含有するアルミナ焼結体からなる本体部 用意する工程、Mo-Mn系ペーストを前記本体部 の一部に塗布し、還元雰囲気中1350~1500℃で焼 成することによりメタライズ層を形成する工 程、を具備することを特徴とするものである 。また、Mo-Mn系ペースト塗布後、40~120℃で乾 させる工程を行うことも有効である。

(セラミックス本体部を用意する工程)
 はじめに、Mnを含む粒界相を有するアルミ 焼結体からなるセラミックス本体部を用意 る工程を行う。

 本発明で用いられるセラミックス本体部 、Mnを含有するアルミナ焼結体からなる。 ルミナ焼結体のMnの含有量は、好ましくは1~5 質量%、さらに好ましくは1.5~3.5質量%である。 アルミナ焼結体は、Mnを含有することにより 焼結性が向上すると共にメタライズ層との れ性が良くなるのでMo-Mnメタライズ層との 合強度が向上する。Mn含有量が1質量%未満で 、組織が緻密化せず、Mo-Mnメタライズ層と 接合強度が十分に向上しないおそれがある 一方、5質量%を越えるとアルミナ焼結体を緻 密化できないおそれがある。

 Mnを含有するアルミナ焼結体は茶色に着 している。この茶色のアルミナ焼結体は後 のメタライズ工程においてピンク色に変色 るため、メタライズ工程の完了度合いを目 により確認することができる点でも好まし 。

 Mnを含有するアルミナ焼結体は、アルミ (酸化アルミニウム)粉末と、酸化マンガン、 炭酸マンガン等のMn化合物とを混合し、成形 焼結することにより得られる。なお、リー 部を挿通するための穴やメタライズ層を形 するための凸部(段差)は、焼成後に形成す には研削等の工程が必要となり、製造性が くなるため、成形の際に設けておいた方が い。

 また、Mnを含有するアルミナ焼結体は、 定の焼結助剤を配合してから焼成すること より、アルミナ焼結体中にガラス相からな 粒界相を形成することができる。粒界相が ラス相であると後述のメタライズ層形成時 焼成工程においてガラス相が表面に析出し くなるため好ましい。

 本発明で用いられる焼結助剤としては、酸 珪素(SiO 2 )、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(Ca O)等が挙げられる。焼結助剤は、アルミナ焼 体中で、Si、MgおよびCaの少なくとも1種が金 属元素単体換算で合計1~10質量%含有されるよ に配合することが好ましい。

 添加した焼結助剤はMn化合物と反応し、ア ミナ焼結体中にMnO-SiO 2 -MgO、MnO-SiO 2 、MnO-MgO等のガラス相からなる粒界相を形成 る。アルミナ焼結体はこの粒界相により緻 化される。また、アルミナ焼結体中のガラ 相は、Mo-Mnメタライズ層を焼成する際にMo-Mn タライズ層の空隙に入り込んでいきメタラ ズ層を強化する。このため、アルミナ焼結 中にガラス相からなる粒界相が形成される 、アルミナ焼結体からなるセラミックス本 部とMo-Mnメタライズ層との接合強度が向上 る。本発明で用いられるアルミナ焼結体は アルミナ焼結体中にMnが含有されているため 元々Mo-Mnメタライズ層とのなじみが良いが、 結助剤を配合してアルミナ焼結体中にガラ 相からなる粒界相を形成することにより、M o-Mnメタライズ層とのなじみをより良くする とができる。

 なお、アルミナ焼結体の粒界相がガラス であるか否かはX線回折により確認すること ができる。具体的にはガラス相は結晶性を有 さないため、X線回折を行った粒界相にピー が検出されない場合は、粒界相がガラス相 あることが分かる。

 セラミックス本体部のサイズと形状は特 限定されないが、例えばステムに用いる場 は直径10~20mm、長さ7~15mm程度の円柱形状のも のが挙げられる。また、セラミックス本体部 がリング形状のセラミックス部材である場合 は、外径10~20mm、高さ5~20mm、肉厚は0.8~3mm程度 好ましい。肉厚は求められる絶縁性により 宜設定する。

 アルミナ焼結体からなるセラミックス本 部の表面のうち、メタライズ層が設けられ メタライズ層形成部は、ダイヤモンド砥石 用いた機械研磨を行った面であってもよい 、焼成後に研磨を施さない研磨レス面(焼結 上がり面)であっても良い。

 すなわち、従来、メタライズ層の接合強 を上げるためにアルミナ焼結体の表面を機 研磨し表面粗さRaを0.1μm未満の平坦面に研 加工していたが、本発明のアルミナ焼結体 よびメタライズ層は接合強度が十分に高く 機械研磨の必要がないからである。このよ に本発明のアルミナ焼結体とメタライズ層 の接合強度が高い理由は、アルミナ焼結体 よびメタライズ層がいずれもMnを含み、アル ミナ焼結体中の粒界相がメタライズ層中に析 出して、アルミナ焼結体とメタライズ層との 界面にMnを多く含んだMnリッチ相を形成する とによると考えられる。

 このため、セラミックス本体部のメタラ ズ層形成部は、表面粗さRa(中心線平均粗さ) を、通常0.1μm以上、好ましくは0.4~3.0μmのよ に粗いままとすることができる。

 メタライズ層形成部は、一般的に表面粗 が小さいほどメタライズ層との接合強度が くなるが、本発明では表面粗さRaが上記範 内のように粗い場合であってもメタライズ との接合強度が十分に高いため、機械研磨 施さなくて済み、製造コストの低減を図る とができる。なお、本発明では、ばり取り ためのバレル研磨は施しても良い。

(メタライズ層を形成する工程)
 次に、Mo-Mn系ペーストを前記セラミックス 体部の一部に塗布し、40~120℃で乾燥させた 、1350~1500℃で焼成することによりメタライ 層を形成する工程を行う。メタライズ層を 成する場所は任意であり、通電させたい箇 、Niメッキ等を介して封着したい箇所などを 適宜選択する。

 Mo-Mn系ペーストはMo粉末とMn粉末と有機バ ンダーとを混合したものである。本発明で いられる有機バインダーとしては乾燥工程 焼成工程により焼失するものであればよく に限定されるものではない。Mn粉末はMn単体 の粉末であってもよいしMnO等のMn化合物粉末 あってもよい。有機バインダーの好ましい 例としてはエチルセルロースが挙げられる

 Mo-Mn系ペーストの調製は、平均粒径0.5~10μ mのMo粉末と平均粒径0.5~10μmのMn粉末とのそれ れについて40時間以上の解砕処理を施した 、バインダーと混合して調製されたもので ることが好ましい。Mo-Mn系ペーストにおける MoとMnの比率はMoとMnの合計を100質量%としたと きMnが4~12質量%、好ましくは6~8質量%である。M o-Mn系ペーストを調整する一連の工程は窒素 の不活性雰囲気で行うことが好ましい。特 Mnは活性な金属であるので不活性雰囲気中で 処理することが好ましい。

 一般的にMo-Mnメタライズ層を形成すると タライズ層に空隙が形成され易い。この空 は有機バインダーが焼失する際に形成され 隙間が主であり、Mo粉末およびMn粉末の粒径 大きいと隙間が大きくなり易い。従って、 タライズ層に空隙を形成させないためには 微細で均一なMo粉末、Mn粉末を用意すること が必要である。

 本発明では、メタライズ層に空隙を形成 せないため、平均粒径0.5~10μmのMo粉末と平 粒径0.5~10μmのMn粉末とのそれぞれについて40 間以上の解砕処理して得られたMo粉末およ Mn粉末を用いることが好ましい。Mo粉末とMn 末とを別々に解砕することにより、より均 な粉末にすることができる。

 解砕時間は40時間以上のように長時間と ることが好ましい。この理由は、Moは比重が 重く硬い金属であることから短時間で解砕し ようとすると解砕機への負荷が大きく、解砕 機の寿命を低下させることになり、返って製 造コストを増大させるからである。また、Mn 活性な金属であることから、短時間で細か 解砕しようとすると発火のおそれがあるか である。解砕時間の上限は特に限定される のではないが、あまり時間が長いと製造時 が長くなるので100時間以下が好ましい。

 解砕処理のより好ましい態様は、Mo粉末 よびMn粉末としてそれぞれ平均粒径が1~4μmの ものを用い、別々に60~80時間解砕することで る。解砕方法は乾式、湿式どちらでも良い 湿式の方がMnの発火特性を抑制できるため ましい。解砕後のMo粉末およびMn粉末は乾燥 ることが好ましい。解砕処理にはアルミナ ール等の硬質メディアを使って行っても良 。解砕処理は、解砕後のMo粉末およびMn粉末 の平均粒径がそれぞれ0.2~2.0μm程度になるま 行うことが好ましい。

 また、Mo粉末として、平均粒径0.5~1.0μmのM o粉末と平均粒径1.3μm以上のMo粉末との2種類 Mo粉末を用いる方法も有効である。平均粒径 の異なる2種類の粉末を用いることによりMo粒 子同士の隙間(粒界の隙間)を小さくできるた 、樹脂バインダーが焼失した際の隙間も小 くできる。また、Mn成分がガラス相となりMo 粒子同士の隙間に入り込みメタライズ層を強 化することができる。なお、平均粒径の異な る2種類のMo粉末を用いる場合、混合したMo粉 が平均粒径0.7~2.0μmになるように混合する。 解砕処理は、混合後に行っても良いし、行わ なくても良い。

 平均粒径0.5~1.0μmのMo粉末と平均粒径1.3μm 上のMo粉末との2種類のMo粉末を用いる場合 解砕処理したMo粉末を篩い分けして平均粒径 0.5~1.0μmと平均粒径1.3μm以上の2種類のMo粉末 調製しても良い。

 Mo粉末およびMn粉末の解砕処理の後、Mo粉 とMn粉末を所定量量り取り有機バインダー 混合する。Mo粉末とMn粉末と有機バインダー の混合方法としては、容器に入れて混合し 後、三本ロール等の負荷の高い混合方法を いることが好ましい。有機バインダーとの 合は10~30時間混合することが好ましい。

 このように調製したMo-Mn系ペーストは、Mo 粉末とMn粉末が均一に混合され、さらには適 な粘性を有していることからセラミックス 体部に塗布しても流れ落ちるといった不具 が発生し難い。このため、表面に加え裏面 ペーストを塗布してもペーストが流れ落ち いので、一度の乾燥工程ですべてのメタラ ズ層を乾燥させることができる。

 Mo-Mn系ペーストの塗布は、スクリーン印 法を用いると量産性が上がるため好ましい Mo-Mn系ペーストの塗布厚さは10~40μmが好まし 。塗布厚さが10μm未満であるとメタライズ 形成後、Mo層の厚さにバラツキができ接合強 度を低下させるおそれがある。一方、40μmを えると所定値以上の接合強度の向上がみら ず、経済的でない。

 乾燥工程での乾燥温度は、通常40~120℃、 ましくは50~100℃、さらに好ましくは50~80℃ ある。乾燥工程で用いられる乾燥雰囲気と ては、大気、不活性雰囲気(窒素、アルゴン )または還元雰囲気が挙げられる。還元雰囲 気のうちでは、水素含有雰囲気が好ましく、 より好ましくは水素を10~20vol%含有した不活性 ガス(アルゴン、窒素等)である。乾燥時間は5 ~30分、好ましくは10~20分である。乾燥工程を うとMo-Mn系ペースト中の不要なバインダー 予め除去できるため、メタライズ層を形成 る焼成時にメタライズ層の隙間にガラス相 入り込み易くて好ましい。

 なお、乾燥工程を還元雰囲気中で行うこと より、アルミナ焼結体およびMo-Mnペースト のMn酸化物が還元される。Mn酸化物が還元さ ると、焼成工程において、Mnと、他の酸化 、例えばSiO 2 、MgO等の焼結助剤とでガラス相を形成する反 応が顕著になり、メタライズ層中の空隙にガ ラス相が入り込み易くなる。この結果、メタ ライズ層の接合強度が向上するため好ましい 。

 乾燥工程後は、焼成工程を行う。焼成温 は1350~1550℃、好ましくは1400~1480℃である。 成時間は30分~5時間の範囲内が好ましい。雰 囲気としては還元性雰囲気が用いられる。

 焼成時間は好ましくは1時間以上である。 1時間以上焼成すると、アルミナ焼結体中の ラス相がアルミナ焼結体の表面に均一に析 してなる析出層が形成され易いため好まし 。ガラス相からなる析出層はアルミナ焼結 の表面とMo-Mnメタライズ層との間に析出する とともに、メタライズ層の空隙に入り込んで 空隙を少なくするため、メタライズ層が緻密 化され、アルミナ焼結体からなるセラミック ス本体部と、メタライズ層との接合強度が向 上する。

 メタライズ層の厚さは平均値が、通常10~1 00μm、好ましくは20~50μmである。10μm未満であ ると接合強度が不十分となりやすい。100μmを 超えるとメタライズ層の隙間にガラス相の析 出がいきわたり難くなるので接合強度のバラ ツキが大きくなりやすい。

 本発明ではアルミナ焼結体とMoメタライ 層の両方がMn成分を含有しているため、ガラ ス相がアルミナ焼結体表面に析出する際にMo タライズ層中のMnを取込み、Mnを多く含んだ ガラス質のMnリッチ相を形成することができ 。Mnを多く含む相を形成することにより、 ルミナ焼結体からなるセラミックス本体部 、Moメタライズ層との接合強度を向上させる ことができる。

 Mnリッチ相は、アルミナ焼結体とメタラ ズ層との接合断面をEPMAを用いた面分析(1000 程度の倍率)によりMnの分布を調べたときにMn の分布が相状に見えることで存在を確認する ことができる。Mnリッチ相の厚さは平均値で2 ~15μmが好ましい。2μm未満では接合強度の向 が小さく、15μmを超えるとガラス相の量が多 すぎてメタライズ層の表面の平坦性を損なう おそれがある。メタライズ層の表面の平坦性 が損なわれると、メタライズ層の表面のNiメ キ層の接合強度にバラツキが出てマグネト ンに組み込んだ際に気密性に悪影響がでる また、Mnリッチ相の横方向の長さは接合界 一面に連続して存在するのが最も好ましい 、5μm以下であれば隙間(Mnの割合が少ない領 )があってもよい。

 焼成時には還元性雰囲気を循環させるこ が好ましい。還元雰囲気で焼成すると主に ラミックス本体部中のガラス質の粒界相が 元される。粒界相に由来する還元された酸 は水素と反応して水になる。焼成雰囲気は1 350℃以上の高温であるため水は水蒸気となる が、あまり水蒸気が残存するとメタライズ層 に悪影響を与える。このため、焼成時には還 元性雰囲気を循環させて水蒸気を除去するこ とが好ましい。

 還元性雰囲気ガスの流量は、通常100L/min(= リットル/分)以上、好ましくは100~300L/min、さ に好ましくは130~250L/minである。還元性雰囲 ガスの流量が100L/min未満であると還元反応 より生じた水蒸気を除去させ難いため好ま くない。一方、上記流量が300L/minを超えると 供給装置の管理に負荷がかかり、還元性雰囲 気とセラミックス本体部の反応にバラツキが 生じ易いため好ましくない。

 焼成工程を行う焼成炉は連続炉、バッチ どちらでもよい。セラミックス本体部を搭 する部材としてはMoボードを用いることが ましい。焼成炉の連続稼動によりメタライ 工程を行う場合は還元性雰囲気ガスの流量 理を行うことが好ましい。

 焼成によりメタライズ層が完成するとア ミナ焼結体の色が変化する。例えば、茶色 ったものがピンク色に変化する。これはア ミナ焼結体中のMn酸化物が還元されたこと 示すものである。Mn酸化物が還元されると他 の焼結助剤と反応して生成したガラス相がメ タライズ層の空隙に入り込む効果が得られる 。特に焼成工程により高温に晒されるとガラ ス相がアルミナ焼結体の内部から表面側に析 出し、さらに、メタライズ層中メタライズ層 中の隙間を埋めるようになる。このように、 本発明のアルミナ焼結体は焼成の際に色の変 化を伴いメタライズの進行状況が目視により 確認できるためメタライズ不良の有無を確認 し易い。なお、前述のピンク色は綺麗なピン ク色から曇ったピンク色(小豆色)までを含む 念である。

 メタライズ層形成後のアルミナ焼結体の ンク色はXYZ色度図において、x=0.440±0.020、y= 0.350±0.020の範囲内であることが好ましい。XYZ 色度図はCIE(国際照明委員会)にて定められた 色系である。日本ではJIS-Z-8701で規定されて いる。測定条件についてはJIS-Z-8722に準じた 差計を用いて測定することが好ましい。

 メタライズ層形成後のアルミナ焼結体の ンク色がXYZ色度図において、x=0.440±0.020、y= 0.350±0.020の範囲内になっているとメタライズ 層の接合強度が向上する。アルミナ焼結体の ピンク色の発色は、ガラス相がメタライズ層 とアルミナ焼結体の間に析出して析出層を形 成することに起因する。ガラス相の析出に伴 いマンガン酸化物が還元されマンガン酸化物 の酸素量が減るため色が変化するのである。 このため、アルミナ焼結体の色の変化をガラ ス相の析出した度合いを測る目安とすること により、逆にメタライズの進行度合いを目視 的に確認することが可能となる。言い換える と、メタライズ層形成後のアルミナ焼結体の 色が、XYZ色度図において、x=0.440±0.020、y=0.350 ±0.020の範囲内になるように焼成することが ましい。なお、メタライズ工程前のアルミ 焼結体は前述のように茶色であることが好 しくXYZ色度表においてx=0.450±0.020、y=0.400±0.0 20が好ましい。つまり、茶色(x=0.450±0.020、y=0. 400±0.020)のアルミナ焼結体をピンク色(x=0.440± 0.020、y=0.350±0.020)になるまで熱処理してメタ イズすることが好ましい工程である。

(リード部を挿通する工程)
 メタライズ工程が終わった後、セラミック 本体部に、必要に応じてリード部を挿通す 工程を行う。リード部はMo等の高融点金属 ステンレスからなるものが好ましい。リー 部の長さは任意である。なお、マグネトロ 用ステムを製造する場合は、リード部の挿 ・固定工程を行う。挿通・固定工程とは、 ード部の挿通と固定とを順次行う工程を意 する。マグネトロン用ステム以外のものを 造する場合はリード部の挿通・固定工程は くても良く、必要に応じ後述のメッキ工程 行う。リード部の固定は、Niメッキ後に行っ ても良い。

 リード部は、セラミックス本体部の穴に 通した後、ろう材で固定する。ろう材はAg ろう材が好ましい。Ag系ろう材としては、Ag Ag-Cu、Ag-Snなどが挙げられる。特に好ましい Ag系ろう材は、Agを71~73質量%、Cuを27~29質量%含 み共晶組成にしたものである。ろう付け温度 は通常700~900℃である。電子レンジ等のマグ トロンのステム部は一般的に400℃以下の温 までしか上昇しないが、耐熱性のマージン 確保するためろう材の融点は700℃以上のも を用いることが好ましい。

(Niメッキを施す工程)
 リード部を挿通した後は、メタライズ層上 Niメッキを施す工程を行う。Niメッキの厚さ は1~5μmの範囲が好ましい。

 Niメッキを施す工程をバレル式電解メッ で行うと、マグネトロン用セラミックス部 の量産性を向上させることができるため好 しい。バレル式電解メッキを用いると、回 容器中に電解液とセラミックス部品(例えば ード付きステム)を均一に混合できるため、 一度に1000個以上のセラミックス部品をメッ することができる。なお、アルミナは絶縁 であるため、セラミックス本体部にはNiメッ キされない。Niメッキは、導電体であるメタ イズ層やリード部に行われる。

 バレル式電解メッキを行う際に、メッキ 槽中に金属製ダミー部材を混合させると、N iメッキの歩留まりを向上させることができ ため好ましい。

 金属製ダミー部材は、メッキ浴槽中に混 することにより電解液の通電性を向上させ ッキ効率を上げる金属製の部材である。ま 、金属製ダミー部材は、クッション代わり なるためセラミックス本体部同士が衝突し 破損することを抑制できる。このため、バ ル式電解メッキを行う際に金属製ダミー部 を用いると、Niメッキの歩留まりが向上し かつNiメッキの接合強度も上がる。

 金属製ダミー部材の材質としては、たと ば、鉄、ステンレス等の金属単体や合金が げられる。

 金属製ダミー部材の形状としては、たと ば、図2(a)、(b)、図3、図4に示した形状が挙 られる。

 図2(a)は金属製ダミー部材の一例の正面図 であり、図2(b)は図2(a)に示す金属製ダミー部 の斜視図である。図3は金属製ダミー部材の 他の一例の正面図である。図4は金属製ダミ 部材のさらに他の一例の正面図である。ま 、図中、d1はハトメ形状部の外径、d2はダミ 部材の本体部内径、Lは金属製ダミー部材の 長さを示す。

 図2(a)および図2(b)に示す金属製ダミー部 20は、円柱状の本体部21の長手方向の一方端 ハトメ形状部22が設けられたものである。 こでハトメ形状部とは、リング状に形成さ た部分を意味する。図3に示す金属製ダミー 材20Aは、円柱状の本体部21の長手方向の両 にハトメ形状部22、22が設けられたものであ 。図4に示す金属製ダミー部材20Bは、円柱状 の本体部21のみからなるものである。

 金属製ダミー部材の形状としては、図4に 示す金属製ダミー部材20Bのような単純な円柱 状のものから、図2および図3に示す金属製ダ ー部材20、20Aのような円柱状の本体部にハ メ形状部を設けたものまで様々なものが挙 られる。なお、本体部21の形状は円柱状に限 られるものではなく四角柱、多角柱、三角柱 、三角錐、球形であってもよい。本体部21の 状は、これらのうち、円柱や球形のように ばった部分が無いものがセラミックス本体 を傷つけないため好ましい。

 金属製ダミー部材は、セラミックス本体 より小さなものが好ましく、具体的には、 属製ダミー部材の体積をセラミックス本体 の体積で除した(金属製ダミー部材の体積/ ラミックス本体部の体積)比が0.01~0.2となる のがよい。(金属製ダミー部材の体積/セラミ ックス本体部の体積)比が0.01未満であると金 製ダミー部材が小さすぎるため大量にダミ 部材を投入する必要があるとともに、リー 部間に挟まる等の問題も生じるため好まし ない。一方、(金属製ダミー部材の体積/セ ミックス本体部の体積)比が0.2を越えて大き と電解液中に占めるダミー部材の割合が大 くなりすぎて処理できるセラミックス本体 の量が減り、製造効率が下がるため好まし ない。

 金属製ダミー部材は、メッキ浴槽中に、 ラミックス本体部の総体積に対し、5~30vol% 合されていることが好ましい。5vol%未満では 混合の効果が十分得られず、30vol%を超えると 一度に処理できるステムの量が減るため好ま しくない。なお、リード付きステムをメッキ する場合の金属製ダミー部材の混合割合も、 リード部の体積を除いたセラミックス本体部 の総体積で計算する。

 金属製ダミー部材のうち、金属製ダミー 材の体積/セラミックス本体部の体積)比が0. 01~0.2になる具体例としては、d1が2~5mm、d2が1~3 mm、Lが3~6mmのものが挙げられる。

 電解浴槽の温度は通常40~70℃程度であり メッキ時間は通常30~60分である。

 上記のバレル式電解メッキ法を用いると 一度に1000個以上、さらには2500個以上のセ ミックス本体部やリード付きステムを30~60分 の処理時間で処理した場合でも、Niメッキの 留まりを90%以上、さらには95%以上とするこ ができる。一度に処理することができるセ ミックス本体部の個数は電解浴槽のサイズ リード部のサイズ等によるが2500~3500個のリ ド付きステムを処理したとしても歩留まり 90%以上、さらには95%以上にすることができ 。

 以上のマグネトロン用セラミックス部品 製造方法によれば歩留まりを大幅に改善す ことができる。具体的には、メタライズ層 形成、リードの固定、Niメッキの形成と言 た複雑な工程を経て製造した場合でも歩留 りを90%以上と大幅に改善することができる また、メタライズ層やNiメッキの接合強度を も向上させることができる。このため、マグ ネトロンに装着した際の封着性の良い信頼性 の高いマグネトロンを製造することができる 。

 マグネトロン用ステムの製造方法の一例 して図1のような形状を有するマグネトロン 用ステムを製造する工程を用いて本実施例の 効果を確認した。以下の実施例等において用 いられるステム本体部は、直径15mm×長さ10mm アルミナ焼結体の先端に、メタライズ層を 成するための凸部(段差)を設けたものである 。また、メタライズ層形成面として焼結上が り面(表面粗さRa1.25μm)を用いた。

[実施例1、比較例1~3、参考例1]
 実施例1、比較例1~3、参考例1は、以下の工 でマグネトロン用ステムを製造したもので る。

実施例1:工程A1→工程B1→工程C1→工程D1→工 E1→工程F1
比較例1:工程A2→工程B1→工程C1→工程D1→工 E1→工程F1
比較例2:工程A1→工程B2→工程C2→工程D1→工 E1→工程F1
比較例3:工程A1→工程B1→工程C1→工程D2→工 E1→工程F1
参考例1:工程A1→工程B1→工程C1→工程D1→工 E1→工程F2
 各工程は、以下のとおりである。

 工程A1:アルミナに、焼結助剤として、Mn酸 物(MnO 2 )、酸化珪素および酸化マグネシウムを添加 て焼成したアルミナ焼結体を、ステム本体 として用いた。アルミナ焼結体中のMn含有量 はMn単体換算で3.0wt%、Si単体換算で1.9wt%、Mg単 体換算で2.4wt%であった。また、アルミナ焼結 体中の粒界相の成分をX線回折法で分析した ころ結晶ピークは検出されずガラス相であ ことが分かった。

 工程A2:Mnを含有しない以外は工程A1と同じ アルミナ焼結体を用意した。

 工程B1:平均粒径2μmのMo粉末と、平均粒径2 μmのMn粉末とをそれぞれボールミルを用いて7 5時間解砕した。Mo粉末およびMn粉末を乾燥し 後、Mo粉末と、Mn粉末と、バインダーとして のエチルセルロースとを混合した。混合は単 ロール法により10時間混合した後、三本ロー 法により17.5時間混合した。この工程により Mnを7質量%含有するMo-Mn系ペーストを調製した 。本工程は窒素雰囲気中で行った。

 工程B2:解砕処理をしない以外は工程B1と じ工程を用いてMo-Mn系ペーストを調製した。

 工程C1:Mo-Mn系ペーストをステム本体部の 定の位置に塗布厚20μmでスクリーン印刷し、 還元雰囲気(水素15vol%含有の不活性雰囲気)下 70℃で15分乾燥させた。また、還元性雰囲気 ガスの流量は195L/minとした。

 工程C2:乾燥を大気中65℃で行った以外は 程C1と同じ乾燥工程を行った。

 工程D1:還元雰囲気(水素15vol%含有の不活性 雰囲気)下で1425℃で2.5時間熱処理することに りメタライズ層を形成した。なお、熱処理 、還元性雰囲気を循環させながら行った。 た、還元性雰囲気ガスの流量は195L/minとし 。

 工程D2:熱処理を大気中で行った以外は工 D1と同じ方法によりメタライズ層を形成し 。

 工程E1:Mo製リード部をステム本体部の貫 孔に挿通し、Ag-Cu(Ag73wt%、Cu27wt%)系ろう材に りステム本体部の座金にろう付けした。

 工程F1:3000個のリード付きステムに対し、 体積比10vol%になるように鉄を主成分とする金 属製ダミー部材(図2に示した一方にハトメ形 部を設けた形状でd1が2mm、d2が1mm、Lが4mm)と るよう投入し、バレル式電解メッキを50℃ 40分行った。

 工程F2:金属製ダミー部材を用いない以外 工程F1と同じ方法でバレル式電解メッキを った。

 各工程を組合せて下記の実施例および比較 でマグネトロン用ステムを製造し、歩留ま およびメタライズ層の接合強度を求めた。 留まりは3000個のマグネトロン用ステム本体 部を用意し、最終的にマグネトロン用ステム として製造できた個数を3000個で除した割合 して求めた。メタライズ層の接合強度とし 、Niメッキを施したメタライズ層にコバール 板をろう付けし、コバール板を引き剥がすこ とにより引張り強度(kgf/cm)を求めた。この作 をマグネトロン用ステム100個について行い 張り強度の平均値を平均接合強度(kgf/cm)と た。また引張り強度の中で最も低い値を最 接合強度(kgf/cm)とした。メタライズ工程(工 C~工程D)において、ステム本体部を構成する ルミナ焼結体の色の変化の有無を観察した また、アルミナ焼結体の色についても測定 た。アルミナ焼結体とメタライズ層の間に ける、ガラス相からなる析出層の生成の有 も観察した。析出層の有無は接合界面の断 を見ることで判断した。結果を表1に示す。

 表から分かる通り、実施例1は歩留まりが 高い。また、接合強度も高い値が得られた。 表には示していないが実施例1は、接合強度 最大値が102kgf/cmであった。

 一方、比較例1は外見上の歩留まりは高か ったがアルミナ焼結体中にMnを含有していな のでメタライズ層の接合強度は低かった。 較例2はペーストの調製や乾燥工程が不十分 であるためメタライズ層の接合強度は低かっ た。

 比較例3はメタライズ工程を還元性雰囲気 で行っていないためアルミナ焼結体のMn酸化 が還元されないためガラス相の移動が少な メタライズ層の接合強度が低下した。参考 1はメッキ工程で金属製ダミー部材を使用し ていないことからメッキ不良が多く歩留まり が低下した。

 また、実施例1のアルミナ焼結体の色はす べてXYZ色度図で(x=0.440±0.020、y=0.350±0.020)の範 囲内であった。一方、比較例1のものはすべ 上記範囲外であった。比較例2および比較例3 には一部に上記範囲外となる色を示すものが あり、色が上記範囲外のものはメタライズ層 の接合強度が低かった。

[実施例2~5]
 工程B1を表2のように変えた以外は実施例1と 同様の方法でマグネトロン用ステムを製造し 、同様の測定を行った。結果を表2に示す。

 表から分かる通り、解砕時間の短い実施 4や、Mo粉末およびMn粉末が好ましい範囲を えて大きい実施例5は、歩留まりおよび接合 度が低下する傾向にあることが分かった。 お、表には示さないが、実施例2~5のいずれ メタライズ工程においてアルミナ焼結体の の変化が確認された。

 また、実施例2~5のいずれもアルミナ焼結 の色はすべてXYZ色度図で(x=0.440±0.020、y=0.350 ±0.020)の範囲内であった。

[実施例6~8]
 工程F1を表3のように変えた以外は実施例1と 同様の方法でマグネトロン用ステムを製造し 、同様の測定を行った。結果を表3に示す。

 表から分かる通り、実施例6のように金属 性ダミー部材の添加量が5vol%未満であると通 性の改善効果が小さいのでメッキ不良の改 効果は小さい。また、実施例7のようにメッ キ時間が短い場合もメッキ不良の原因となる 。

 一方、実施例8、実施例9および実施例1を 留まりの良い順に並べると実施例8、実施例 1、実施例9の順番で前者ほど良い。この比較 ら考えると金属製ダミー部材にはハトメ形 部があった方が歩留まりが向上すると言え 。これはハトメ形状部がクッション代わり なりステム同士のぶつかり合いを抑制でき ためであると考えられる。

[実施例10~13]
 次に実施例1と同様の方法を用いて処理する ステム量を表4のように変えて歩留まりを測 した。結果を表4に示す。

 表から分かる通り、ステムの個数が増え も高い歩留まりを示すことが確認された。

 以上のように本実施例にかかるマグネト ン用ステムの製造方法は歩留まりが良く、 られるステムのメタライズ層の接合強度も い。このため、信頼性の高いマグネトロン ステムを製造でき、その結果、それを用い マグネトロンの信頼性も向上させることが きる。

[実施例14~17、比較例4~5]
 次に実施例1の工程D1の条件を表5のように変 えたものを実施例14~17、比較例4~5とした。各 グネトロン用ステムに対し、析出層の有無 接合強度の平均値、最小値を求めた。結果 表6に示す。

 表から分かる通り、実施例15~17のように 成時間が1時間以上であるとガラス相からな 析出層が層状に存在することが確認された これに対し、実施例14のように焼成時間が40 分の場合は、析出層は縞状にまだらに析出し 、層状にはなっていなかった。

 また、比較例4のように焼成温度が低すぎ るものは析出層が不十分でありメタライズ層 に空隙が見られた。このため比較例4の接合 度は非常に低かった。一方、比較例5のよう 焼成温度が高すぎるものはガラス相の析出 が多くなりすぎるためメタライズ層にフク が確認され返って接合強度が低下した。

[実施例1B、実施例18~20、比較例1B~3B]
 実施例1および比較例1~3の製造工程により得 られたマグネトロン用ステムを用意し、メタ ライズ層の接合間にのMnリッチ相の有無、お び接合強度を測定した。また、製造工程を 下のように変えたものを実施例18~20として 意し同様の測定を行った。なお、メタライ 層形成面として焼結上がり面(表面粗さRa1.25 m)を用いた。

 Mnリッチ相の分析に関しては、アルミナ 結体とメタライズ層の接合断面を横100μm×縦 70μm程度の視野でMnについてEPMA面分析を行っ 。EPMA面分析結果を画像解析することにより Mnリッチ相の平均厚さ、最小厚さ、最大厚さ 測定した。この作業を任意の3箇所について 行い、その平均値、3箇所の中で最も小さな を最小厚さ、最も大きな厚さを最大厚さと て表に示した。

 実施例1B、実施例18~20、比較例1B~3Bは、以 の工程でマグネトロン用ステムを製造した のである。

実施例1B:実施例1と同様の工程
比較例1B:比較例1と同様の工程
比較例2B:比較例2と同様の工程
比較例3B:比較例3と同様の工程
実施例18:工程A3→工程B1→工程C2→工程D1→工 E2→工程F1→工程E3
実施例19:工程A3→工程B3→工程C2→工程D1→工 E2→工程F1→工程E3
実施例20:工程A3→工程B4→工程C2→工程D1→工 E2→工程F1→工程E3
 工程A3:アルミナに、焼結助剤として、Mn炭 塩(MnCO 3 )、酸化珪素および酸化マグネシウムを添加 て焼成したアルミナ焼結体を、ステム本体 として用いた。アルミナ焼結体中のMn含有量 はMn単体換算で2.8wt%、Si単体換算で1.8wt%、Mg単 体換算で2.5wt%であった。また、アルミナ焼結 体中の粒界相の成分をX線回折法で分析した ころピークは検出されずガラス相であるこ が分かった。

 工程B3:平均粒径0.8μmのMo粉末と平均粒径1. 5μmのMo粉末とを質量比で50:50になるように混 した混合Mo粉末を用意した。また、平均粒 1.8μmのMn粉末をボールミルを用いて70時間解 した。混合Mo粉末およびMn粉末を乾燥した後 、混合Mo粉末と、Mn粉末と、バインダーとし のエチルセルロースとを混合した。混合は ロール法により13時間混合した後、三本ロー ル法により20時間混合した。この工程によりM nを7質量%含有するMo-Mn系ペーストを調製した 本工程は窒素雰囲気中で行った。

 工程B4:平均粒径0.9μmのMo粉末と平均粒径1. 4μmのMo粉末とを質量比で50:50になるように混 した混合Mo粉末を用意した。また、平均粒 1.6μmのMn粉末を用意した。混合Mo粉末とMn粉 とをそれぞれボールミルを用いて65時間解砕 した。その後、混合Mo粉末およびMn粉末を乾 し、混合Mo粉末と、Mn粉末と、バインダーと てのエチルセルロースとを混合した。混合 単ロール法により20時間混合した後、三本 ール法により25時間混合した。この工程によ りMnを7質量%含有するMo-Mn系ペーストを調製し た。本工程は窒素雰囲気中で行った。

 工程E2:Mo製リード部をステム本体部の貫 孔に挿通し、リード部のろう付け固定は行 なかった。

 工程E3:工程F1(メッキ処理)の後、ステム本体 部の貫通孔に挿通したMo製リード部を、工程E 1と同様にしてろう付けした。

表から分かる通り、実施例1B、実施例18~20 比較例2B~3Bにかかるマグネトロン用ステムは 、アルミナ焼結体とメタライズ層の間にMnリ チ相が確認された。実施例1Bと実施例18を比 較すると、工程C2において還元雰囲気中で乾 しているため実施例1Bの方がMnリッチ相が均 一であった。

 図5に実施例18の接合界面を含む断面にお るEPMA分析(Mn面分析)の結果の一例を示す。 6に実施例19の接合界面を含む断面におけるEP MA分析のMn面分析結果の一例を示す。図7に実 例19の接合界面を含む断面におけるEPMA分析 Mo面分析結果の一例を示す。図8に実施例19 接合界面を含む断面におけるEPMA分析のSi面 析結果の一例を示す。図9に比較例1Bの接合 面を含む断面におけるEPMA分析(Mn面分析)の結 果を示す。

 図5~図9中、符号31はセラミックス本体部( ルミナ焼結体)、符号32はMnリッチ相、符号33 はMo-Mnメタライズ層を示す。

 実施例19および実施例20より、平均粒径が 2種類のMo粉末を用いたものはMo粉末同士の隙 を小さくできるためMnリッチ相の厚さを均 にし易く、接合強度が向上することが分か た。実施例1B、実施例18~20のMnリッチ相はい れもガラス相であった。実施例1B、実施例18~ 20、比較例2B~3BのMnリッチ相中にはMn以外の成 (焼結助剤として添加したSi、Mg)のリッチ相 確認されなかった。つまり、Mn以外の焼結 剤成分はリッチ相を形成せずメタライズ層 に均一分散していた。

 一方、比較例1Bはアルミナ焼結体中にMnを 含有していないためMnリッチ相は確認されな った。また、比較例2BはMnリッチ相の最大厚 さが大きかった。これはMo粉末を解砕してい いことによりMo粉末同士の隙間が大きくな たためであると考えられる。さらに、比較 3Bはメタライズ工程(工程D2)を還元性雰囲気 で行っていないためアルミナ焼結体からのMn を含むガラス相の析出量が少なかったために 生じた結果と考えられる。

 また、比較例2Bおよび比較例3Bは、Mnリッ 相同士の最大隙間が大きかった。ここでMn ッチ相同士の最大隙間とは、Mnリッチ相の広 がり方向、すなわち厚さ方向の垂直方向に、 Mnリッチ相が不連続な隙間部分が生じた場合 おいて、この隙間部分の断面写真で測定し 最大幅を意味する。比較例2Bおよび比較例3B の結果からMnリッチ相の析出形態が不十分で るとメタライズ層の接合強度が低下するこ が分かった。

 また、実施例1Bおよび実施例18~20のアルミ ナ焼結体の色はいずれもすべてXYZ色度図で(x= 0.440±0.020、y=0.350±0.020)の範囲内であった。

[実施例21~23]
 実施例21~23は、以下の工程でマグネトロン ステムを製造したものである。

実施例21:工程A3→工程B1→工程C3→工程D1→工 E2→工程F1→工程E3
実施例22:工程A3→工程B1→工程C2→工程D3→工 E2→工程F1→工程E3
実施例23:工程A3→工程B1→工程C3→工程D3→工 E2→工程F1→工程E3
 工程C3:乾燥を大気中60℃で20分乾燥させた。

 工程D3:還元雰囲気(水素10vol%含有の不活性 雰囲気)下で1460℃で1.5時間熱処理することに りメタライズ層を形成した。なお、熱処理 、還元性雰囲気を循環させながら行った。 た、還元性雰囲気ガスの流量は150L/minとし 。

 実施例21~23について実施例18と同様の測定を 行った。結果を表8に示す。

 表から分かる通り、本実施例にかかるマ ネトロン用セラミックス部品は良好な結果 得られた。

 本発明に係るマグネトロン用セラミック 部品およびそれを用いたマグネトロンは、 子レンジ等のマイクロ波加熱機器に用いら るマグネトロン用ステム等のようなセラミ クス部品、このセラミックス部品を用いて るマグネトロン等に使用することができる

 また、本発明に係るマグネトロン用セラ ックス部品の製造方法は、上記セラミック 部品の製造に使用することができる。

本発明のマグネトロン用ステムを用い マグネトロンの一例を示す断面図。 本発明の金属製ダミー部材の一例を示 た図。 本発明の金属製ダミー部材の他の一例 示した図。 本発明の金属製ダミー部材の他の一例 示した図。 実施例18の接合界面のEPMA(Mn面分析)結果 の一例を示す図。 実施例19の接合界面のEPMA(Mn面分析)結果 の一例を示す図。 実施例19の接合界面のEPMA(Mo面分析)結果 の一例を示す図。 実施例19の接合界面のEPMA(Si面分析)結果 の一例を示す図。 比較例1Bの接合界面のEPMA(Mn面分析)結果 の一例を示す図。