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Patent Searching and Data


Title:
CHLOROPRENE POLYMER LATEX AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/026671
Kind Code:
A1
Abstract:
A latex of a chloroprene polymer formed from one or more monomers comprising 2-chloro-1,3-butadiene as the main monomer ingredient, characterized in that the solid matter in the polymer latex has a gel content less than 3 mass%, the solid matter in the polymer latex includes a tetrahydrofuran-soluble component having a weight-average molecular weight of 550,000-1,100,000 and a molecular-weight distribution (Mw/Mn) of 2.0-3.1, and the dried solid matter in the polymer latex has a crystallization rate (R) represented by hardness increase at -10°C (R is the time required for initial hardness (time=0) to increase by 30 points at -10°C as measured according to JIS-K6301) less than 60 min. The chloroprene polymer latex has an excellent balance among initial bond strength, contact adhesion, and water resistance. This latex is useful as an adhesive and can be used in applications where heat resistance of 60°C or higher, initial bond strength, and contact adhesion are required.

Inventors:
TAKENOSHITA YOUICHIRO (JP)
OGAWA NORIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/066842
Publication Date:
March 06, 2008
Filing Date:
August 30, 2007
Export Citation:
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Assignee:
SHOWA DENKO KK (JP)
TAKENOSHITA YOUICHIRO (JP)
OGAWA NORIKO (JP)
International Classes:
C08K3/00; C08F36/18; C08K5/00; C08L11/02; C09J111/02
Foreign References:
JP2006199932A2006-08-03
JPS61243813A1986-10-30
JP2000319453A2000-11-21
JPH06329728A1994-11-29
JPH08504228A1996-05-07
US0533277A1895-01-29
JPH0931429A1997-02-04
US5977222A1999-11-02
US6525132B12003-02-25
JPH11158327A1999-06-15
Other References:
ASAI H.: "Gosei Gomu Gaisetsu", vol. 2ND ED., 15 June 1974, ASAKURA SHOTEN, pages: 159 - 160, XP003024692
Attorney, Agent or Firm:
OHIE, Kunihisa et al. (Selva-Ningyocho 6F14-6, Nihonbashi-Ningyocho 2-chom, Chuo-ku Tokyo 13, JP)
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Claims:
 2-クロロ-1,3-ブタジエンを主たる単量体成分とするクロロプレン系重合体ラテックスであって、
前記重合体ラテックスの固形分中のゲル含有量が3質量%未満であり、
前記重合体ラテックスの固形分中のテトラハイドロフラン可溶成分の重量平均分子量が55万~110万、かつ分子量分布(Mw/Mn)が2.0~3.1の範囲にあり、
前記重合体ラテックスの固形分乾燥物の-10℃における硬度上昇で表される結晶化速度R(Rは、JIS-K6301に基いて-10℃で測定される初期(時間=0)硬度から30ポイント上昇するまでに要する時間)が、60分未満であることを特徴とするクロロプレン系重合体ラテックス。
 アニオン系の乳化剤を含み、pHが10~13.5の範囲である請求項1に記載のクロロプレン系重合体ラテックス。
 前記クロロプレン系重合体ラテックスの固形分100質量部に対して、少なくとも、受酸剤0.01~5質量部、酸化防止剤0.1~3質量部をさらに含む請求項1に記載のクロロプレン系重合体ラテックス。
 前記酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤である請求項3に記載のクロロプレン系重合体ラテックス。
 前記受酸剤が酸化亜鉛、またはハイドロタルサイトであり、かつ、前記酸化防止剤がヒンダードフェノール系酸化防止剤である請求項3に記載のクロロプレン系重合体ラテックス。
 オープンタイムが2時間以上、かつ初期接着力が3kN/m以上、耐熱性が60℃以上である請求項1に記載のクロロプレン系重合体ラテックス。
 請求項1乃至6のいずれかに記載のクロロプレン系重合体ラテックスを含むことを特徴とする接着剤。
 吸水性の被着体を対象とする請求項7に記載の接着剤。
 2-クロロ-1,3-ブタジエンを主たる単量体成分とするクロロプレン系重合体ラテックスの製造方法であって、
前記重合体ラテックスの固形分中のゲル含有量を3質量%未満とし、
前記重合体ラテックスの固形分中のテトラハイドロフラン可溶成分の重量平均分子量が55万~110万、かつ分子量分布(Mw/Mn)が2.0~3.1の範囲になるように、
0~30℃の温度で重合することを特徴とするクロロプレン系重合体ラテックスの製造方法。
 重合が乳化重合である請求項9に記載のクロロプレン系重合体ラテックスの製造方法。
 重合転化率が65%以上80%未満の範囲で重合させる請求項9または10に記載のクロロプレン系重合体ラテックスの製造方法。
Description:
クロロプレン系重合体ラテック 、及びその製造方法

 本発明は、クロロプレン系重合体ラテッ ス(その組成物を含む)、及びその製造方法 関し、60℃以上の耐熱接着力を維持しつつ、 初期接着力が改良され、かつコンタクト性、 耐水性が優れたクロロプレン系重合体ラテッ クス、及びその製造方法に関し、例えば、少 なくとも一方の被着体が柔軟な材料である被 着体同士を接着する用途、特に家具・建材用 に、フォームと木材やフォーム同士などの吸 水性の被着体を対象とする接着剤用に好適で 、高度の初期接着力とコンタクト性、耐水性 とのバランスを要求される用途で使用できる クロロプレン系重合体ラテックス、及びその 製造方法に関する。

 従来、接着剤用重合体として、酢酸ビニ 系重合体、クロロプレン系重合体、アクリ 酸エステル系重合体、天然ゴム、ウレタン 重合体などが使用されているが、中でもク ロプレン系重合体は、幅広い被着体に対し 、低圧着で高度の接着力が得られるため、 剤系コンタクト接着剤やグラフト接着剤な の接着剤用途で好適に使用されてきた。し し、近年の環境汚染や人体の健康に対する 慮から、VOC規制や溶剤規制が長年叫ばれ、 の要求に応えて、溶剤を排除すべく、クロ プレン系ラテックスを使用した水系接着剤 開発が盛んである。

 しかしながら、接着性能に関する要求が く、水系接着剤では、従来の溶剤系接着剤 比較して接着力が低い問題点が指摘されて る。そこで、接着力、特に、初期の接着力 改良要求が益々高度化してきたことに応え 、結晶化が速く、接着力発現の速い(クイッ クブレーク型)接着剤が開発されるようにな た。しかし、比較的低温の、例えば最大60℃ までの温度で使用(サービス)される製品、例 ば、家具や建材分野でのクッション・織物 布の接着用途では、耐熱性よりもむしろ、 温での貼り付け工程での粘着力(タック)の が重要である。すなわち、低貼り付け圧の での接触でも粘着する性質(コンタクト性)が 重要であるにも関わらず、この期待に十分に 応えられていない。これと同時に、耐水性も 重要である。

 特に、フォームのような被着体(基材)の 着では、基材を傷めない(変形・破壊しない) 程度の貼り付け圧で、短時間に初期接着力を 発現させる必要があるため、このコンタクト 性が極めて重要である。粘着力を増大させる ために低融点の粘着付与剤を使用する技術も 考えられるが、この場合、クロロプレンポリ マー特有の凝集力に基づく接着力が低下する 問題点が発生する。また、接着剤塗布の簡便 化・省力化のために、スプレー(噴射)塗布方 がよく採用されるが、大量の配合剤を使用 る場合、固体の配合剤が析出することによ 、スプレーのノズル目詰りを起こしやすく るので、加工上の問題も発生しやすくなる 以上から、クロロプレンラテックス自体で 熱性や接着力を維持しつつ、粘着力(コンタ クト性)や耐水性に優れることが益々、必要 なってきた。

 従来のクロロプレン重合体ラテックスで 、少なくとも60℃の耐熱性を維持しつつ、 期接着力と粘着力、耐水性とのバランスが 分でない問題点があった。

 クロロプレン重合体ラテックスに関する 来技術としては、例えば、特表平8-504228号 報(特許文献1)(US533277)が挙げられるが、クロ プレンと少なくとも2質量%の2,3-ジクロロブ ジエンとの共重合体であるために、結晶化 遅くなり、所望の凝集力を得られないので 度の初期接着力が期待できない。第二に、 開平9-31429号公報(特許文献2)(US5977222)が挙げ れるが、クロロプレン重合体の結晶性や重 温度に関する記載が無く、必ずしも高度な 期接着力を達成するとは限らない。第三に 特開平11-158327号公報(特許文献3)(US6525132)が げられるが、この発明の場合には、重合体 のゲル(架橋成分)量を3~40質量%含むと規定し おり、耐熱性に関しては十分となるが反面 ゲル量が多すぎるため、粘着力や耐水性が 分とは言えない。

 また、上記クロロプレン重合体ラテック に関する従来技術では、例えば80℃以上で 高水準の耐熱性を確保できているが、初期 着力、コンタクト性、耐水性のバランスに 題がある。すなわち、水系接着剤の用途に いて、従来のクロロプレン系重合体ラテッ スは、粘着力(コンタクト性)が十分でないと いう問題点がある。

特表平8-504228号公報

特開平9-31429号公報

特開平11-158327号公報

 本発明は、粘着力(コンタクト性)が優れ かつ、初期接着力、耐水性とのバランスに れた接着剤用クロロプレン系重合体ラテッ スを提供するものである。

 本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭 検討した結果、特定のクロロプレン系重合 ラテックスにより、上記問題点を解決でき ことを見出した。

 すなわち、本発明は、下記のクロロプレ 系重合体ラテックス、及びその製造方法の 様を含む。

1.2-クロロ-1,3-ブタジエンを主たる単量体成分 とするクロロプレン系重合体ラテックスであ って、
前記重合体ラテックスの固形分中のゲル含有 量が3質量%未満であり、
前記重合体ラテックスの固形分中のテトラハ イドロフラン可溶成分の重量平均分子量が55 ~110万、かつ分子量分布(Mw/Mn)が2.0~3.1の範囲 あり、
前記重合体ラテックスの固形分乾燥物の-10℃ における硬度上昇で表される結晶化速度R(Rは 、JIS-K6301に基いて-10℃で測定される初期(時 =0)硬度から30ポイント上昇するまでに要する 時間)が、60分未満であることを特徴とするク ロロプレン系重合体ラテックス。
2.アニオン系の乳化剤を含み、pHが10~13.5の範 である前記1に記載のクロロプレン系重合体 ラテックス。
3.前記クロロプレン系重合体ラテックスの固 分100質量部に対して、少なくとも、受酸剤0 .01~5質量部、酸化防止剤0.1~3質量部をさらに む前記1または2に記載のクロロプレン系重合 体ラテックス。
4.前記酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤 ある前記3に記載のクロロプレン系重合体ラ テックス。
5.前記受酸剤が酸化亜鉛、またはハイドロタ サイトであり、かつ、前記酸化防止剤がヒ ダードフェノール系酸化防止剤である前記3 または4に記載のクロロプレン系重合体ラテ クス。
6.オープンタイムが2時間以上、かつ初期接着 力が3kN/m以上、耐熱性が60℃以上である前記1 至5のいずれかに記載のクロロプレン系重合 体ラテックス。
7.前記1乃至6のいずれかに記載のクロロプレ 系重合体ラテックスを含むことを特徴とす 接着剤。
8.吸水性の被着体を対象とする前記7に記載の 接着剤。
9.2-クロロ-1,3-ブタジエンを主たる単量体成分 とするクロロプレン系重合体ラテックスの製 造方法であって、
前記重合体ラテックスの固形分中のゲル含有 量を3質量%未満とし、
前記重合体ラテックスの固形分中のテトラハ イドロフラン可溶成分の重量平均分子量が55 ~110万、かつ分子量分布(Mw/Mn)が2.0~3.1の範囲 なるように、
0~30℃の温度で重合することを特徴とするク ロプレン系重合体ラテックスの製造方法。
10.重合が乳化重合である前記9に記載のクロ プレン系重合体ラテックスの製造方法。
11.重合転化率が65%以上80%未満の範囲で重合さ せる前記9または10に記載のクロロプレン系重 合体ラテックスの製造方法。

 本発明によれば、重合体中のゲル含有量を 力少なく維持し、かつ、とり分け狭い分子 分布を維持しながら分子量を大きくするこ によって、初期接着力を満足しながら、従 では見いだされなかった粘着力が飛躍的に 良できる。これにより、60℃以上の耐熱性 維持しながら、初期接着力と粘着力や耐水 とのバランスが優れる点が先行の従来技術 は異なる特長である。本発明により、特段 粘着付与剤を使用しなくても、初期接着力 粘着力や耐水性との優れたバランスを得る とができる。
 また、本発明によれば、重合体の分子量分 が狭いので、同時に、接着層の伸びをも改 できる。これにより、接着剤塗布後の半乾 状態から柔軟な被着体を接着した後、接着 が伸びることによって、被着体の変形に追 することにより被着体の破壊を防止できる 共に、剥離せずに安定した接着力を維持で る。

 本発明のクロロプレン系重合体の製造方 としては、乳化重合を採用できる。特に、 業的には、水性乳化重合が採用できる。ま 、本発明のクロロプレン系重合体の重合方 としては、乳化重合以外にも乳化重合と同 の重合温度での溶液重合や懸濁重合を採用 ることもできる。

 乳化重合法における乳化剤としては、ア オン系の乳化剤が好ましい。特に、pHの調 により、コロイド状態の安定化、接着剤層 成のための不安定化が容易な点で、ロジン のカリウム塩またはナトリウム塩あるいは れらの併用系を用いることが好ましい。ロ ン酸のカリウム塩またはナトリウム塩ある はこれらの併用系は、pHが10~13.5の範囲で安 である。pHが10より低いと不安定化し、凝集 てしまうので、均一な接着層を形成できず 結果として、接着力が悪化しやすくなる。p Hが13.5を超えると、イオン強度が大きくなる め、コロイド粒子間で凝集しやすくなる。

 乳化剤の使用量は、単量体100質量部に対 て、1~8質量部が好ましい。さらに、2~5質量 がより好ましい。1質量部より小さい場合、 乳化不良となりやすいため、重合発熱制御の 悪化・凝集物の生成や製品外観不良などの問 題が発生しやすくなる。8質量部より大きい 合、残留した乳化剤のために重合体の耐水 が悪くなり、接着力が低下したり、乾燥時 発泡や製品の色調が悪化するなどの問題が 生しやすくなる。

 さらに、粒子間の凝集防止のために乳化 助剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸 トリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸 リエタノールアミン塩などのドデシルベン ンスルホン酸塩系や、ジフェニルエーテル ルホン酸ナトリウム塩、ジフェニルエーテ スルホン酸アンモニウム塩などのジフェニ エーテルスルホン酸塩系、β-ナフタレンス ホン酸ホルムアルデヒド縮合物のナトリウ 塩などのナフタレンスルホン酸塩系などを 用することができる。また、ノニオン系と て、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ テルやポリオキシエチレンオクチルフェニ エーテル、ポリオキシエチレンラウリルエ テルなどを併用することができる。

 これら乳化補助剤の使用量は、単量体100 量部に対して、0.05~1質量部が好ましい。さ に、0.1~0.5質量部がより好ましい。0.05質量 より小さい場合、分散不良となりやすいた 、凝集物の生成や製品外観不良などの問題 発生しやすくなる。1質量部より大きい場合 残留した乳化剤のために重合体の耐水性が くなり、粘着力や接着力が低下したり、乾 時の発泡や製品の色調が悪化するなどの問 が発生しやすくなる。

 本発明では、2-クロロ-1,3-ブタジエン(ク ロプレン)を100質量%とする重合体を基本とす るが、他の共重合可能な単量体、例えば、2,3 -ジクロロ-1,3-ブタジエン、1-クロロ-1,3-ブタ エン、ブタジエン、イソプレン、スチレン アクリロニトリル、アクリル酸及びそのエ テル類、メタクリル酸のエステル類等を本 明の目的を阻害しない範囲で使用できる。 要に応じて2種類以上用いても構わない。他 共重合可能な単量体が全単量体中の2質量% 上になると、例えば、初期接着力やコンタ ト性が低下することがある。

 分子量や分子量分布を調整するための連 移動剤としては、特に限定するものではな 、ジアルキルキサントゲンジスルフィドや ルキルメルカプタン等を使用できる。ただ 、ジアルキルキサントゲンジスルフィドは 重合体末端を不安定化し、架橋の活性点と るので、分子量やゲル含有量をコントロー しにくくなるため、アルキルメルカプタン より好ましい。

 ジアルキルキサントゲンジスルフィドと ては、例えばジイソプロピルキサントゲン スルフィド、ジエチルキサントゲンジスル ィド、ジシクロヘキシルキサントゲンジス フィド、ジラウリルキサントゲンジスルフ ド、ジベンジルキサントゲンジスルフィド が挙げられ、アルキルメルカプタンとして 、例えばn-ドデシルメルカプタン、n-デシル メルカプタン、オクチルメルカプタン等を挙 げることができる。2種類以上の連鎖移動剤 併用することも本発明の目的を阻害しない り可能である。連鎖移動剤の添加量はその 類や所望の重合転化率により好ましい量は なるが、一例としてn-ドデシルメルカプタン を使用する場合には単量体100質量部に対して 0.1~0.2質量部添加することが好ましい。

 本発明の重合体の重合転化率は、65%以上 80%未満であることが好ましい。さらに、70~7 9%であることが好ましい。重合転化率が65%未 である場合は、重合体ラテックスの固形分 低下し、接着剤塗布後の乾燥工程に負荷が かったり、接着層の均一化が困難であった するだけでなく、残留単量体による臭気や 着力、接着力を悪化させたりするなどの問 を起こすことがある。また、重合転化率が8 0%以上である場合は、重合体中に分岐が増え り、分子量が大きくなるために、分子量分 が広がり、本発明で規定した分子量分布の 限を超えやすくなるため、ひいては、本発 において重要な性能であるコンタクト性、 水性を悪化させる問題を起こすことがある この観点で、本発明では、重合転化率の調 が極めて重要である。なお、重合転化率の 御は、目標転化率に到達した時点で後述の 合停止剤を添加して反応を停止させる。

 本発明の重合温度は、好ましくは、0~30℃ であり、さらに好ましくは、5~15℃の温度範 である。重合温度が0℃未満では、重合体の 産性が低下したり、コンタクト性が不十分 なったり、耐水性が悪化したりすることが る。また、重合温度が30℃より高い場合は 初期接着力が不十分となる問題が発生する とがある。

 本発明では、クロロプレン系重合体ラテ クスの固形分中のゲル含有量、すなわちテ ラハイドロフラン不溶分量が、3質量%未満 なるように重合させる。より好ましくは2質 %以下、さらに好ましくは1質量%以下である クロロプレン系重合体ラテックスの固形分 のゲル含有量が3質量%以上の場合、コンタ ト性や耐水性が悪化する。

 本発明では、クロロプレン系重合体ラテ クスの固形分中のテトラハイドロフラン可 部分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグ ラフィー)によって測定した重量平均分子量 、55万~110万となるように重合させる。さら は、70万~90万が好ましい。重量平均分子量が 55万未満では、初期接着力や耐熱性が悪化す 。また、110万以上では、コンタクト性や耐 性が低下する。

 加えて、本発明では、クロロプレン系重 体ラテックスの固形分中のテトラハイドロ ラン可溶成分の分子量分布(Mw/Mn)は、2.0~3.1 あり、さらには、2.3~2.8であることが好まし 。分子量分布が2.0より小さいと初期接着力 耐熱性が悪くなり、3.1より大きいと高分子 の重合体が多くなるため、コンタクト性や 水性が悪化する。本発明では、クロロプレ 系重合体の分子量、分子量分布を制御する が、良好なコンタクト性の発現に特に有効 ある。

 また、本発明では、クロロプレン系重合 ラテックスの固形分乾燥物(乾燥重合体)の-1 0℃における硬度上昇で表される結晶化速度R( Rは、JIS-K6301に基いて-10℃で測定される初期( 間=0)硬度から30ポイント上昇するまでに要 る時間)は、60分未満である。結晶化速度Rが6 0分以上では、初期接着力や耐熱性が悪くな 。結晶化速度は、重合温度が高いほど、ま 、共重合可能な単量体を多く含むほど低下 る傾向がある。上記所定の結晶化速度は重 温度を30℃以下に制御することで得られる。 共重合可能な単量体は前述の通り2質量%以下 することが好ましい。

 重合用の開始剤としては、通常のラジカ 重合開始剤を使用することができる。例え 、乳化重合の場合、通常の、過酸化ベンゾ ル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム の有機あるいは無機の過酸化物、アゾビス ソブチロニトリル等のアゾ化合物が使用さ る。併せて、適宜、アントラキノンスルホ 酸塩や亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム どの助触媒を使用できる。

 一般に、クロロプレン系重合体の製造で 所望の分子量及び分布の重合体を得る目的 、所定の重合転化率に到達した時点で、重 停止剤を添加し、反応を停止させる。重合 止剤としては、特に制限が無く、通常用い れる重合停止剤、例えばフェノチアジン、 ラ-t-ブチルカテコール、ハイドロキノン、 イドロキノンモノメチルエーテル、ジエチ ヒドロキシルアミン等を用いることができ 。

 クロロプレン系重合体は、一般に酸素に る劣化を受けやすいため、本発明では、発 の効果を損なわない範囲で、受酸剤や酸化 止剤などの安定剤を適宜使用することが望 しい。

 重合体ラテックスの固形分100質量部に対 て、受酸剤0.01~5質量部、酸化防止剤0.1~3質 部をさらに配合することによって、接着力 耐熱性の経時安定性が改良された組成物が られる。配合に使用される原料のうち、水 不溶であったり、重合体ラテックスのコロ ド状態を不安定化させる場合には、予め水 分散体を作製してから重合体ラテックスに 加する。

 本発明で用いられる受酸剤としては、特 制限が無いが、具体的には酸化亜鉛、ハイ ロタルサイト(協和化学(株)製;DHT-4A,DHT-6など )等が挙げられる。これらは2種以上を併用し 用いることもできる。これらの受酸剤の添 量はクロロプレン系重合体ラテックスの固 分100質量部に対して0.01~5質量部が好ましい さらに、0.05~1質量部が好ましい。0.01質量% 満では、経時、重合体から発生する脱離塩 の中和が十分でなく、逆に5質量%を超えると 粘着力や接着力が悪化する。また、重合体ラ テックスの組成物のコロイド安定性も悪くな り、沈降などの問題が発生しやすくなる。

 接着剤用途では、貼り付け糊のはみ出し (glueline)の変色や衛生性を問題視する場合が 多いので、本発明で用いられる酸化防止剤と しては、フェノール系酸化防止剤、特にヒン ダードフェノール系酸化防止剤が好んで使用 される。かかるヒンダードフェノール系酸化 防止剤としては、2,2’-メチレンビス(4-エチ -6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビ (4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブ チリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノー )、p-クレゾールとジシクロペンタジエンの チル化反応生成物などを挙げることができ 。酸化防止剤の添加量はクロロプレン系重 体ラテックスの固形分100質量部に対して、0 .1~3質量部であることが好ましい。さらに、0. 5~2質量部であることが好ましい。酸化防止剤 の添加量が0.1質量部未満では、酸化防止効果 が十分でなく、逆に3質量部を超えると、粘 力、接着力が悪化したりする。

 本発明では、必要に応じて、本発明の効 を阻害しない範囲で、上記受酸剤及び酸化 止剤以外の添加剤を使用することができる すなわち、充填剤、粘着付与剤、顔料、着 剤、湿潤剤、消泡剤、増粘剤などを適宜、 用することができる。

 本発明における接着に好適な吸水性の被 体とは、例えば、ポリウレタン、エチレン- 酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンなどの材 質からなる発泡体(フォーム)あるいは、木材 布、織物などの被着体を挙げることができ 。

 以上の様な条件で製造されたクロロプレ 系重合体ラテックスは、優れた初期接着力 コンタクト性、耐水性のバランスを与え、 期接着力が3kN/m以上、オープンタイムが2時 以上、さらに60℃以上の耐熱性がある等の れた特長(各物性の測定方法は実施例に記載 る。)を有するため、接着剤等に有用である 。

 下記に実施例及び比較例を挙げて本発明 説明するが、以下の例により本発明は何等 定されるものではない。

[ラテックス組成物の作製]
 下記、配合にて、クロロプレン系重合体ラ ックス組成物を作製した。
  配合:                   (乾燥質 部)
   クロロプレン系重合体ラテックス        100
   酸化亜鉛 1)                     0.2
   フェノール系酸化防止剤 2)              2
    注:1)大崎化学(株)製,AZ-SW(酸化亜鉛の水 分散体)
      2)中京油脂(株)製,K-840(WingstayLの水系 散体)

[試験片の作製]
1)オープンタイム測定用試験片
 ポリウレタンフォーム(100×100×50mm)の100mm×10 0mmの面上に、スプレーガンを使用して、ラテ ックス組成物を100~120g/m 2 となるように塗布した。室温、65%RH(相対湿度 )下で、10分間放置した。

2)接着試験用試験片
 綿帆布上に、刷毛を使用して、ラテックス 成物を100~200μmの厚みとなるように塗布した 。室温、65%RH(相対湿度)下で、1時間放置した その後、貼り付けし、5kgローラーを使用し 、往復1回で加圧し、圧着した。

3)結晶化速度用試験片
 ポリエステル(デュポン製、マイラー(登録 標))フィルム上に、バーコーターを使用して 、ラテックス組成物を乾燥後100~200μmの厚み なるように塗布し、室温にて1時間乾燥後、7 0℃で1時間、加熱乾燥した。以上、塗布から 燥までを繰り返して、厚み4.5~5.5mmのクロロ レン重合体のシートを作製した。このシー を結晶化速度測定用の試験片として用いた

 上記試験片を用いて、以下の物性評価を行 た。
[測定法]
ゲル含有量:
 ラテックス1gをTHF(テトラハイドロフラン)溶 剤100mLに滴下して、1晩振とうした後、遠心分 離機にて上澄みの溶解相を分離し、100℃、1 間かけて溶剤を蒸発、乾固させて、溶解分 を計算し、差引き、THF不溶分としてのゲル 有量を評価した。

分子量:
 ゲル含有量測定時の上澄みの溶解相を分離 、THFで希釈して、GPC(ゲルパーミエーション 法)により、ポリスチレン換算の分子量測定 行った。重量平均分子量を評価した。
 GPC測定条件としては、装置が横河アナリテ カルシステムズ製,HP1050シリーズ、検出器と してShodex RI-71(示差屈折率検出器)を使用し、 カラムの種類がPLgel 10μm MiniMIX-B、カラム温 が40℃、流出速度が0.4mL/minとした。

結晶化速度:
 硬度の上昇を測定した。初期(上記試験片作 製のための乾燥後-10℃保管直前)の表面硬度(J IS-A)から30ポイント上昇するのに要した時間 もって、結晶化速度Rを評価した。
 表面硬度(JIS-A)の測定は、JIS-K6301の方法に準 じて行った。

オープンタイム:
 コンタクト性の指標。試験片を経時、指で まんだ時に粘着し、指を離しても、ポリウ タンフォームが剥がれずに接着した状態を てば、粘着可能とした。粘着可能な最大経 時間をもって、オープンタイム(貼り付け可 能時間)とした。

初期接着力・常態接着力:
 被着体として、綿帆布を選び、T型剥離試験 をJIS-K6854に準じた方法で行った。本試験によ り、初期(貼り付け後、1時間)、常態(貼り付 後、1週間)接着力(kN/m)を測定した。

耐水接着力(耐水性):
 被着体として、綿帆布を選び、T型剥離試験 をJIS-K6854に準じた方法で行った。本試験によ り、貼り付け後、1週間養生の試験片を純水 に1日浸漬した後、接着力(kN/m)を測定した。

耐熱性:
 上記、接着試験で使用した綿帆布を使用し 試験片と同一サイズ試験片の両端の接着剤 塗布していない部分に穴を開けて、熱風乾 機中に吊るし、下端に1kgの錘を吊るして、4 0℃から130℃まで、20℃/時間の一定の速度で 温した時に、錘が落下した時の温度(℃)を測 定して耐熱性(一定クリープに到達する温度) した。

実施例1:
 内容積60リットルの反応器を使用して、ク ロプレン20kg、n-ドデシルメルカプタン20g、 ジン酸カリウム300g、ドデシルベンゼンスル ン酸ナトリウム50g、イオン交換水19kg、水酸 化カリウム200g、亜硫酸カリウム20g、を仕込 、乳化させた後、過硫酸カリウムを開始剤 して用い、窒素雰囲気下、10℃で重合を行っ た。所定の重合転化率(79%)に達したところで 直ちにフェノチアジンの乳濁液を添加して 合を停止し、ポリマーラテックスを得た。
 このラテックスから減圧下、水蒸気蒸留を い、残留するクロロプレンモノマーを除去 ることによって、クロロプレン重合体のポ マーラテックスを得た。このラテックスを の後の評価に使用した。

実施例2~5、比較例1~5:
 実施例1において、重合温度、重合転化率、 n-ドデシルメルカプタン量を変更して、重合 行い、表1に記載する重合体ラテックスを得 た。
 以上の実施の結果をまとめて、表1に示した 。

 以上の様に、本発明によれば、耐熱性を 持しつつ、初期接着力とコンタクト性、耐 性とのバランスに極めて優れた接着剤用ク ロプレン系重合体ラテックスが得られる。 に、少なくとも一方の被着体が柔軟な材料 ある被着体同士を接着する用途に好適で、 えば、家具用途におけるポリウレタンフォ ム同士やポリウレタンフォームと木材や布 の接着剤用に好適である。