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Patent Searching and Data


Title:
COMMON-MODE CHOKE COIL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/139756
Kind Code:
A1
Abstract:
A common-mode choke coil which is so structured as to prevent malfunctions of a transmitting IC and a receiving IC during an induction immunity test and thereby can be improved in induction immunity characteristics and also can be suppressed with a decline in ESD resistance and self-resonant frequency. The common-mode choke coil comprises a core (2), external electrodes (3-1) to (3-4), a pair of windings (4-1) and (4-2), and a top plate (5). The core (2) consists of a core portion (20) and a pair of flanges (21) and (22). The pair of windings (4-1) and (4-2) are wound around the core portion (20) of the core (2) and the ends of the windings (4-1) and (4-2) are joined to the external electrodes (3-1) to (3-4), respectively. The bottom face (5b) and the outer peripheral side face (5c) of the top plate (5) are covered with a metal film (6), and joined on the top faces of the flanges (21) and (22) with an adhesive (7). The metal film (6) is divided into two metal film portions (6a) and (6b) by a gap (8), and therefore the divided metal film portions (6a) and (6b) are electrically insulated.

Inventors:
NISHIKAWA YOSHIE (JP)
HIRAI SHINYA (JP)
AOKI TAKAHIRO (JP)
MORINAGA TETSUYA (JP)
AZUMA TAKAHIRO (JP)
SAITO YASUSHI (JP)
GOTO YOSHIMASA (JP)
ISHIWATA YU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/051826
Publication Date:
November 20, 2008
Filing Date:
February 05, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MURATA MANUFACTURING CO (JP)
NISHIKAWA YOSHIE (JP)
HIRAI SHINYA (JP)
AOKI TAKAHIRO (JP)
MORINAGA TETSUYA (JP)
AZUMA TAKAHIRO (JP)
SAITO YASUSHI (JP)
GOTO YOSHIMASA (JP)
ISHIWATA YU (JP)
International Classes:
H01F17/04; H01F27/00
Foreign References:
JP2006196492A2006-07-27
JP2003168611A2003-06-13
JP2005347407A2005-12-15
JP2004146671A2004-05-20
JP2007142931A2007-06-07
JP2003168611A2003-06-13
JP2000133522A2000-05-12
Other References:
See also references of EP 2161727A4
Attorney, Agent or Firm:
TSUKAHARA, Takakazu (22-3 Minami-cho Kawasaki-k, Kawasaki-shi Kanagawa 15, JP)
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Claims:
 巻芯部及びこの巻芯部の両端部にそれぞれ設けられた第1及び第2の鍔部を有して成る磁性コアと、上記第1及び第2の鍔部にそれぞれ形成された外部電極と、上記第1の鍔部側から巻き初めて第2の鍔部側で巻き終わるように巻芯部に巻回され且つ各端部が上記外部電極まで引き出されて接合された1対の巻線と、当該1対の巻線に対向する面が上記第1及び第2の鍔部の周端面に接着剤で接合された磁性板とを備えるコモンモードチョークコイルであって、
 金属膜を、上記磁性板の少なくとも上記1対の巻線に対向する面に形成し、
 上記1対の巻線の上記巻き初め側に対応する部位と上記巻き終わり側に対応する部位との間で、上記金属膜を第1の金属膜部と第2の金属膜部とに二分してこれら第1及び第2の金属膜部の電気的接続を断つギャップを設けた、
 ことを特徴とするコモンモードチョークコイル。
 請求項1に記載のコモンモードチョークコイルにおいて、
 上記金属膜を、鉄,コバルト,ニッケル,クロム,マンガン及び銅の内の少なくともいずれかを含む強磁性体で形成した、
 ことを特徴とするコモンモードチョークコイル。
 請求項2に記載のコモンモードチョークコイルにおいて、
 上記金属膜を、ニッケルとクロムの合金又はニッケルと銅の合金を主成分とする強磁性体の合金で形成した、
 ことを特徴とするコモンモードチョークコイル。
 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のコモンモードチョークコイルにおいて、
 上記ギャップを、幅方向が上記1対の巻線の巻回軸方向を向き且つ長さ方向が上記1対の巻線の巻回軸方向に対して垂直な帯形状に形成した、
 ことを特徴とするコモンモードチョークコイル。
 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のコモンモードチョークコイルにおいて、
 上記ギャップを、上記1対の巻線の上記巻き初め側に対応する部位と上記巻き終わり側に対応する部位との中央位置に配設した、
 ことを特徴とするコモンモードチョークコイル。
 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のコモンモードチョークコイルにおいて、
 上記磁性コアと上記磁性板とを、それぞれフェライトで形成した、
 ことを特徴とするコモンモードチョークコイル。
 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のコモンモードチョークコイルにおいて、
 上記接着剤に、磁粉を混入した、
 ことを特徴とするコモンモードチョークコイル。
Description:
コモンモードチョークコイル

 この発明は、伝送線路上のコモンモード イズを除去するための巻線型のコモンモー チョークコイルに関するものである。

 従来、この種のコモンモードチョークコイ としては、例えば特許文献1や特許文献2に 示の技術がある。
 このコモンモードチョークコイルは、2本の 巻線を、両端に鍔部を有したコアの巻芯部に 巻回し、巻線の両端を鍔部の電極に接続する と共に、フェライト板を、鍔部の上面側に渡 した構成をなす。
 かかる構成により、差動伝送路等に侵入し コモンモードノイズを除去することができ ようになっている。

特開2003-168611号公報

特開2000-133522号公報

 しかし、上述した従来のコモンモードチョ クコイルでは次のような問題がある。
 通常、製品を市販する前に、製品を想定し る電磁妨害等に曝し、各種電磁妨害に耐え るかどうかのイミュニティ試験が行われる
 コモンモードチョークコイルのコモンモー ノイズに対するイミュニティ試験では、被 験品であるコモンモードチョークコイルを 差動伝送路を通じて送信IC(Integrated Circuit) 接続された受信ICの前段に配する。そして、 差動信号を差動伝送路を通じて送信ICから受 ICに送信すると共に、コモンモードノイズ 差動伝送路上に誘導させて、このコモンモ ドノイズを差動信号に載せる。かかる状態 、送信ICや受信ICが誤動作を起こすかどうか 確認する。このようなイミュニティ試験を 誘導イミュニティ試験という。
 上記従来のコモンモードチョークコイルで 、かかる誘導イミュニティ試験時において 被試験品のコモンモードチョークコイルの ンダクタンスと受信ICの入力容量とが共振 路を構成するため、この共振回路の共振周 数及びその近傍の周波数帯域においてコモ モードノイズを抑制する割合が低下する。 かる場合には、送信ICや受信ICが誤動作し、 試験品が誘導イミュニティ試験をパスしな という問題が生じる。

 この発明は、上述した課題を解決するた になされたもので、コイルの構造を誘導イ ュニティ試験時における送信ICや受信ICの誤 動作を防止可能な構造にして、誘導イミュニ ティ特性の改善を図り、しかもESD耐性の低下 や自己共振周波数の低下を抑制することがで きるコモンモードチョークコイルを提供する ことを目的とする。

 上記課題を解決するために、請求項1の発明 は、巻芯部及びこの巻芯部の両端部にそれぞ れ設けられた第1及び第2の鍔部を有して成る 性コアと、第1及び第2の鍔部にそれぞれ形 された外部電極と、第1の鍔部側から巻き初 て第2の鍔部側で巻き終わるように巻芯部に 巻回され且つ各端部が外部電極まで引き出さ れて接合された1対の巻線と、当該1対の巻線 対向する面が第1及び第2の鍔部の周端面に 着剤で接合された磁性板とを備えるコモン ードチョークコイルであって、金属膜を、 性板の少なくとも1対の巻線に対向する面に 成し、1対の巻線の巻き初め側に対応する部 位と巻き終わり側に対応する部位との間で、 金属膜を第1の金属膜部と第2の金属膜部とに 分してこれら第1及び第2の金属膜部の電気 接続を断つギャップを設けた構成とする。
 かかる構成により、金属膜を、磁性板の少 くとも1対の巻線に対向する面に形成したの で、1対の巻線内の電流による磁力線が、こ 金属膜を通り、金属膜に渦電流が発生する したがって、誘導イミュニティ試験時にお るコモンモードチョークコイルのインダク ンスと受信ICの入力部のキャパシタンスとで 構成される共振回路の共振周波数及びその近 傍の周波数帯域内のノイズに対する抵抗成分 が増加し、コモンモードノイズが抑圧される 。この結果、誘導イミュニティ試験における 全ての周波数帯域のノイズに対して、良好な ノイズ抑圧効果を発揮する。
 ところで、イミュニティ試験には、誘導イ ュニティ試験だけでなく、ESD(Electro Static D ischarge:静電気放電)イミュニティ試験という のもあり、部品の入出力間に大きなESC電圧 印加して、部品が損傷を受けるか否かが試 される。
 したがって、金属膜が、磁性板の少なくと 1対の巻線に対向する面に形成されているの で、巻線の巻き初め側-磁性板の間に生じる 量結合成分と巻線の巻き終わり側-磁性板の に生じる容量結合成分とが、この金属膜に って電気的に直接接続されるおそれがある かかる状態で、大きなESD電圧を1対の巻線の 巻き初め側又は巻き終わり側に加えると、大 きな電流が当該容量を通じて金属膜側に流れ 、損傷を受ける。すなわち、ESD耐性が低下し 、ESDイミュニティ試験をパスしないおそれが ある。また、通常の高周波信号使用時におい ても、電流が金属膜側を通じて1対の巻線の き終わり側又は巻き初め側に至るので、高 波領域でのインピーダンスが下がって、コ ンモードチョークコイルの自己共振周波数 低下するおそれがある。
 しかし、この発明では、ギャップを設け、1 対の巻線の巻き初め側に対応する部位と巻き 終わり側に対応する部位との間で、金属膜を 第1の金属膜部と第2の金属膜部とに二分し、 れら第1及び第2の金属膜部の電気的接続を つ構成としているので、電流が巻線側から 該金属膜側にほとんど流れることはない。 たがって、大きなESD電圧が印加されても損 を受けることはなく、ESD耐性の低下や高周 領域でのインピーダンスの低下による自己 振周波数の低下を抑制することができる。

 請求項2の発明は、請求項1に記載のコモン ードチョークコイルにおいて、金属膜を、 ,コバルト,ニッケル,クロム,マンガン及び銅 内の少なくともいずれかを含む強磁性体で 成した構成とする。
 かかる構成により、良好な磁気特性を保持 つつ、ノイズに対する抵抗成分をさらに増 させることができる。

 請求項3の発明は、請求項2に記載のコモ モードチョークコイルにおいて、金属膜を ニッケルとクロムの合金又はニッケルと銅 合金を主成分とする強磁性体の合金で形成 た構成とする。

 請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3 いずれかに記載のコモンモードチョークコ ルにおいて、ギャップを、幅方向が1対の巻 線の巻回軸方向を向き且つ長さ方向が1対の 線の巻回軸方向に対して垂直な帯形状に形 した構成とする。

 請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4の ずれかに記載のコモンモードチョークコイ において、ギャップを、1対の巻線の巻き初 め側に対応する部位と巻き終わり側に対応す る部位との中央位置に配設した構成とする。
 かかる構成により、金属膜側への電流の流 をより効果的に防止することができる。

 請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5の ずれかに記載のコモンモードチョークコイ において、磁性コアと磁性板とを、それぞ フェライトで形成した構成とする。
 かかる構成により、コモンモードチョーク イルの磁気特性を向上させることができる  

 請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6の ずれかに記載のコモンモードチョークコイ において、接着剤に、磁粉を混入した構成 する。
 かかる構成により、コモンモードチョーク イルの磁気特性をさらに向上させることが きる。

 以上詳しく説明したように、この発明のコ ンモードチョークコイルによれば、金属膜 磁性板の少なくとも1対の巻線に対向する面 に形成したので、誘導イミュニティ特性の改 善が図られ、この結果、誘導イミュニティ試 験における全ての周波数帯域のノイズに対す る良好なノイズ抑圧効果を実現することがで きるという効果がある。さらに、1対の巻線 巻き初め側に対応する部位と巻き終わり側 対応する部位との間で、金属膜を第1の金属 部と第2の金属膜部とに二分してこれら第1 び第2の金属膜部の電気的接続を断つギャッ を設けて、巻線側から当該金属膜側への電 の流れを阻止するようにしたので、ESD耐性 低下や自己共振周波数の低下を抑制するこ ができるという効果がある。
 また、請求項2の発明によれば、ノイズに対 する抵抗成分をさらに増加させることができ るので、ノイズ抑圧効果をさらに高めること ができる。
 また、請求項4及び請求項5の発明によれば 金属膜側への電流の流入をより効果的に防 することができるので、自己共振周波数低 の抑制効果を高めることができる。
 また、請求項6及び請求項7の発明によれば コモンモードチョークコイルの磁気特性を らに向上させることができる。

この発明の一実施例に係るコモンモー チョークコイルを示す斜視図である。 実施例のコモンモードチョークコイル 正面図である。 コモンモードチョークコイルの底面を す斜視図である。 ギャップの形状と形成位置とを示す天 の下面図である。 金属膜の機能を説明するための図1の矢 視A-A断面図である。 金属膜に発生する渦電流を示す部分拡 断面図である。 ギャップの機能を説明するための部分 大断面図である。 ESD電圧とギャップ幅との関係を示す線 である。 コモンモードチョークコイルの製造方 の第1工程を示す工程図である。 コモンモードチョークコイルの製造方 法の第2工程を示す工程図である。 誘導イミュニティ試験におけるコモン モードチョークコイルの作用及び効果を説明 するための概略ブロック図である。 実験で測定した周波数とインピーダン スとの相関図である。 実験に使用したコモンモードチョーク コイルの寸法説明図である。 実施例の一変形例を示す部分拡大断面 図である。 実施例の他の変形例を示す平面図であ る。

符号の説明

 1…コモンモードチョークコイル、 2…コ ア、 3-1~3-4…外部電極、 4-1,4-2…巻線、 4-1a ,4-1b,4-2a,4-2b…端部、 5…天板、 5a,21c,22c…上 面、 5b…下面、 5c…周側面、 6…金属膜、 6a,6b…金属膜部、 7…接着剤、 8…ギャップ 、 20…巻芯部、 21,22…鍔部、 21a,21b,22a,22b 脚部、 100…送信IC、 101…受信IC、 102…キ パシタンス、 111,112…差動伝送路、 120… イズ発生器、 D…領域、 P1…巻初め点、 P2 …巻終わり点。

 以下、この発明の最良の形態について図 を参照して説明する。

 図1は、この発明の一実施例に係るコモン モードチョークコイルを示す斜視図であり、 図2は、実施例のコモンモードチョークコイ の正面図であり、図3は、コモンモードチョ クコイルの底面を示す斜視図である。

 コモンモードチョークコイル1は、表面実 装型の巻線コイルであり、図1及び図2に示す うに、磁性コアとしてのコア2と、4つの外 電極3-1~3-4と、1対の巻線4-1,4-2と、磁性板と ての天板5とを備えている。

 コア2は、Ni-Zn系フェライト等のフェライ で形成されており、中央の巻芯部20とその 端に設けられた第1の鍔部としての鍔部21及 第2の鍔部としての鍔部22とで構成されてい 。

 外部電極3-1~3-4は、鍔部21,22の下部に形成さ ている。
 具体的には、図3に示すように、外部電極3-1 ,3-2が鍔部21の脚部21a,21bにそれぞれ形成され 外部電極3-3,3-4が鍔部22の脚部22a,22bにそれぞ 形成されている。

 図2において、1対の巻線4-1,4-2は、それぞ 銅線を絶縁膜で被覆して成るラインであり コア2の巻芯部20に巻回されている。具体的 は、1対の巻線4-1,4-2は、鍔部21側の巻初め点 P1から巻き初められ、鍔部22側の巻終わり点P2 で巻き終わるように、巻芯部20に巻回されて る。そして、図3にも示すように、巻線4-1,4- 2の端部4-1a,4-2aが外部電極3-1,3-2側に引き出さ て、外部電極3-1,3-2にそれぞれ接合されると 共に、巻線4-1,4-2の端部4-1b,4-2bが外部電極3-3,3 -4側に引き出されて、外部電極3-3,3-4にそれぞ れ接合されている。

 図1に示す天板5は、Mn-Zn系フェライト、Ni-Zn フェライト等のフェライトで形成されてい 。そして、図2にも示すように、この実施例 の特徴である金属膜6が、1対の巻線4-1,4-2に対 向する面である下面5bと周側面5cとに形成さ ている。
 この金属膜6は、鉄,コバルト,ニッケル,クロ ム,マンガン及び銅の内の少なくともいずれ を含む強磁性体によって形成されている。 し、ニッケルとクロムの合金又はニッケル 銅の合金を主成分とする強磁性体で形成す ことがより好ましい。
 このように金属膜6が形成された天板5は、 部21,22の周端面である上面21c,22cに架けられ 接着剤7でこれらの上面21c,22cに接合されてい る。なお、この接着剤7には、磁粉を混入す こともできる。磁粉の混入により、コア2と 板5とを接合するだけでなく、これらの間の 磁気特性をも向上させることができる。

 また、上記天板5の金属膜6には、この実施 の特徴であるギャップ8が設けられている。
 図4は、ギャップ8の形状と形成位置とを示 天板5の下面図である。
 図4において、矢印Bが1対の巻線4-1,4-2の巻線 方向であり、ギャップ8は、幅Wの方向が巻回 方向Bを向き、且つ長さ方向が巻回軸方向B して垂直な帯形状を成す。かかるギャップ8 、図2にも示すように、天板5の下面5bから周 側面5cに渡って形成され、天板5上の金属膜6 このギャップ8で二分されている。
 具体的には、1対の巻線4-1,4-2の巻初め点P1に 対応する部位から巻終わり点P2に対応する部 との領域Dのほぼ中央位置に、ギャップ8を 成した。これにより、金属膜6が第1の金属膜 部としての金属膜部6aと第2の金属膜部として の金属膜部6bとに二分され、これらの金属膜 6a,6bが、ギャップ8によって電気的切断され いる。

 次に、金属膜6とギャップ8との機能につい 説明する。
 図5は、金属膜6の機能を説明するための図1 矢視A-A断面図であり、図6は、金属膜6に発 する渦電流Iを示す部分拡大断面図である。
 コモンモードチョークコイル1が上記構成を 採ることにより、所定周波数の信号がコモン モードチョークコイル1に入力されると、図5 矢印で示すように、信号に対応した磁力線H が、巻芯部20と鍔部21,22と天板5とに沿って発 する。
 このとき、抵抗部6が、磁力線Hの通過部位 形成されているので、この抵抗部6がコモン ードチョークコイル1の抵抗成分として機能 する。
 具体的には、図6に示すように、鍔部21(22)か ら天板5に至る磁力線Hが、抵抗部6の金属膜6 通るため、この磁力線Hによって、渦電流Iが 、金属膜6の表面に発生する。この結果、1対 巻線4-1,4-2(図5参照)を流れる信号のエネルギ ーが消耗され、金属膜6が1対の巻線4-1,4-2を流 れる信号に対する抵抗として機能することと なる。

 図7は、ギャップ8の機能を説明するための 分拡大断面図である。
 この実施例のコモンモードチョークコイル1 では、金属膜6が天板5の下面5bに形成され、1 の巻線4-1,4-2と対向しているので、図7の(a) 示すように、容量Cが金属膜6と1対の巻線4-1,4 -2との間に発生し、例えば1対の巻線4-1,4-2に かう電流Iがこの容量Cを通じて金属膜6側に れようとする。このとき、同図のように、 属膜6が1対の巻線4-1,4-2の巻回軸方向に沿っ 連続してる場合には、電流Iが、巻初め点P1 から容量Cを通じて金属膜6内に入り込み、金 属膜6内を流れて、巻終わり点P側から流出す 。つまり、コモンモードチョークコイル1に 入力された電流Iが、1対の巻線4-1,4-2内を流れ ずに、金属膜6を迂回して出力されるおそれ ある。かかる状態で、大きなESD電圧を1対の 線4-1,4-2の巻初め点P1側又は巻終わり点P2側 加えると、大きな電流Iが容量Cを通じて金属 膜6に流れ、損傷を受ける。すなわち、金属 6の存在によってESD耐性が低下するおそれが る。また、通常の使用時においても、電流I が金属膜6側を通じて1対の巻線4-1,4-2の巻初め 点P1側又は巻終わり点P2側に至るので、高周 領域でのインピーダンスが下がって、コモ モードチョークコイルの自己共振周波数が 下するおそれがある。
 しかしながら、この実施例のコモンモード ョークコイル1では、図7の(b)に示すように ギャップ8を金属膜6に設けて金属膜部6a,6bに 分し、金属膜部6a,6bをギャップ8で電気的切 した状態にしているので、電流Iは、金属膜 6側に流れず、1対の巻線4-1,4-2内を正常に流れ る。この結果、ESD耐性の低下がなく、また、 高周波領域でのインピーダンスの低下による 自己共振周波数の低下もほとんど生じない。
 また、図7の(c)に示すように、ギャップ8を 巻初め点P1~巻終わり点P2の領域Dから外れた 位に形成すると、1対の巻線4-1,4-2の巻初め点 P1側と金属膜6の金属膜部6bとが近接して、電 Iが金属膜部6bに流れてしまう。したがって ギャップ8は、領域Dの内側に形成する必要 ある。このため、この実施例では、1対の巻 4-1,4-2の巻初め点P1及び巻終わり点P2から最 遠い、領域Dの中央位置に、ギャップ8を形成 して、金属膜6側への電流Iの流入をより効果 に防止するようにしている。

 ところで、図7の(b)示したように、ギャップ 8を金属膜6に設けて二分した状態にした場合 おいても、ギャップ8の幅Wが電流Iを流す電 に対して狭いと、金属膜部6a,6b間で放電し 電流Iが、金属膜部6a,6b間を流れる可能性が る。
 そこで、発明者等は、放電するESD電圧とギ ップ8の幅Wとの関係を実験によって調べた
 図8は、ESD電圧とギャップ幅との関係を示す 線図である。
 この実験では、金属膜6が設けられた天板5 長さ(図4の左右方向の長さ)と幅(図4の上下方 向の長さ)とを、約4.5mm及び約3.2mmに設定し、 ャップ8の幅Wを0.0mm~2.0mm迄変化させ、各幅W おいて、電流Iが金属膜6に流れたときのESD電 圧を測定してプロットした。
 すると、図8に示すように、ギャップ8の各 WにおけるESD電圧が直線Vに沿うようにプロッ トされた。そこで、6KV~30KVのESD電圧に耐えう ことができるように、この実施例では、ギ ップ8の幅Wを0.5mm~2.0mmに設定した。

 次いで、このようなコモンモードチョーク イル1の製造方法について説明する。
 図9は、コモンモードチョークコイル1の製 方法の第1工程を示す工程図であり、図10は コモンモードチョークコイル1の製造方法の 2工程を示す工程図である。
 第1工程は、図9に示すように、コモンモー チョークコイル本体を製造する工程である 具体的には、図9(a)に示すように、コア2を形 成した後、図9(b)に示すように、外部電極3-1~3 -4をコア2の鍔部21,22下部に塗布する。そして 図9(c)に示すように、巻線4-1,4-2をコア2の巻 部20に巻回して、端部4-1a,4-2aと端部4-1b,4-2b を、外部電極3-1,3-2と外部電極3-3,3-4とにそれ ぞれ接合する。しかる後、図9(d)に示すよう 、接着剤7を鍔部21,22の上面に塗布する。

 一方、第2工程は、図10に示すように、天板5 の部分を製造する工程であり、第1工程と平 して実行される。
 具体的には、図10(a)に示すように、天板5を 成する。そして、図10(b)に示すように、メ キ等の手段により、金属膜6とギャップ8とを この天板5の下面5bと周側面5cとに形成する。

 上記第1及び第2工程を実行した後、図2に すように、第1工程で作成された金属膜6付 の天板5を、第1工程で作成されたコア2の鍔 21,22上面に接着剤7で接着させることにより コモンモードチョークコイル1を製造するこ ができる。

 次に、この実施例のコモンモードチョーク イルが示す作用及び効果について説明する
 図11は、誘導イミュニティ試験におけるコ ンモードチョークコイル1の作用及び効果を 明するための概略ブロック図である。
 図11において、符号100,101は、送信IC,受信IC あり、これら送信IC100と受信IC101とが差動伝 路111,112で接続されている。そして、コモン モードノイズNを発生させるためのノイズ発 器120が送信IC100側の差動伝送路111,112部位に 置されている。
 コモンモードチョークコイル1は、このよう な差動伝送路111,112上であって、受信IC101側に 近い部位に接続した。具体的には、外部電極 3-2,3-4を差動伝送路111に接続すると共に、外 電極3-1,3-3を差動伝送路112に接続した。
 かかる状態で、差動信号S1,S1″を送信IC100か ら差動伝送路111,112に出力すると共に、ノイ 発生器120を用いて、所定周波数範囲のコモ モードノイズNを差動伝送路111,112上に誘導さ せる。
 すると、コモンモードノイズNが載った差動 信号S2,S2″がコモンモードチョークコイル1側 に向かって伝送され、外部電極3-1,3-2を通じ コモンモードチョークコイル1内に入力され 。そして、この差動信号S2,S2″が巻線4-1,4-2 抵抗R,Rを通り、外部電極3-3,3-4を通じて、差 動信号S3,S3″として差動伝送路111,112に出力さ れる。

 ところで、受信IC101の終端の容量は終端 生じる多くの容量の総和として生じる。こ では、理解を容易にするために、これらの 量をキャパシタンス102で表示した。このよ に、受信IC101の終端には、キャパシタンス102 が存在するので、コモンモードチョークコイ ル1の巻線4-1,4-2のインダクタンスとこのキャ シタンス102とが共振回路を構成する。そし 、この共振回路の共振周波数は、ノイズ発 器120で発生させるコモンモードノイズNの周 波数範囲内に含まれるおそれがある。かかる 状態では、この共振周波数及びその近傍の周 波数帯域内のコモンモードノイズNが十分抑 されず、コモンモードノイズNが載った差動 号S3,S3″が出力されるおそれがある。

 しかしながら、この実施例のコモンモー チョークコイル1では、金属膜6を天板5の下 5bと周側面5cとに形成し、図5及び図6に示し ように、磁力線Hがこの金属膜6を必ず通過 るようにしたので、金属膜6上における渦電 Iの発生によって、上記共振周波数及びその 近傍の周波数帯域内のコモンモードノイズN 対する抵抗成分Rが増加し、この抵抗成分Rが コモンモードノイズNを抑圧する。この結果 誘導イミュニティ試験における全ての周波 帯域のコモンモードノイズNに対して、良好 ノイズ抑圧効果を発揮する。 

 ところで、コモンモードチョークコイル1 の金属膜6が1対の巻線4-1,4-2と対向しているの で、図7に示したように、電流が金属膜6側に れて、コモンモードチョークコイル1のESD耐 性や高周波領域におけるインピーダンスを下 げるおそれがある。しかし、上記したように 、この実施例のコモンモードチョークコイル 1では、金属膜6をギャップ8で電気的切断した 状態にし、しかも、ギャップ8を1対の巻線4-1, 4-2の巻初め点P1及び巻終わり点P2から最も遠 、領域Dの中央位置に形成したので、金属膜6 側への電流の流入がより効果的に防止され、 ESD耐性の低下や高周波領域でのインピーダン スの低下が抑制される。

 高周波領域におけるインピーダンスの低下 対する抑制効果を確認すべく、発明者は次 ような実験を行った。
 図12は、実験で測定した周波数とインピー ンスとの相関図であり、図13は、実験に使用 したコモンモードチョークコイルの寸法説明 図である。

 この実験では、まず、金属膜6を設けていな いコモンモードチョークコイルについて、1MH z~100MHz迄の信号を入力して、各周波数におけ インピーダンス(ω)を測定した。
 具体的には、図13の(a)及び(b)に示すように 誤差±0.2mmの範囲で、長さL1,幅L2及び高さHが4 .5mm,3.2mm及び2.6mmで、各外部電極3-1(3-2~3-4)の縦 M1及び横M2が0.6mm及び0.8mmで、1対の巻線4-1,4-2 天板5との間の間隙Gが0.1mmで、1対の巻線4-1,4- 2のターン数が15ターンであるコモンモードチ ョークコイルを作成して、上記周波数の信号 を入力した。そして、図12の破線で示すイン ーダンス曲線V1を得た。
 かかるコモンモードチョークコイルでは、 属膜6がないので、入力された信号が全て1 の巻線4-1,4-2を流れ、インピーダンス曲線V1 示すように、20MHz~100MHzの高周波領域におい 、このコモンモードチョークコイルは、8000 ~20000ωという高インピーダンス状態となる。
 次に、金属膜6を上記コモンモードチョーク コイルの天板5の下面5bと周側面5cとに形成し 、上記と同様の実験を行ったところ、図12 実線で示すインピーダンス曲線V2を得た。か かるコモンモードチョークコイルでは、ギャ ップ8が金属膜6に形成されていないので、入 された信号が金属膜6側に流れ、インピーダ ンス曲線V2に示すように、20MHz~100MHzの高周波 域において、5000ω~約10000ωという低インピ ダンス状態となってしまう。
 最後に、図13の(a)及び(b)に示すように、幅W 2.0mmのギャップ8を金属膜6の中央部に形成し て、上記と同様の実験を行ったところ、図12 太実線で示すインピーダンス曲線V3を得た かかるコモンモードチョークコイルでは、 ャップ8が金属膜6に形成されているので、入 力された信号の金属膜6側への流入が抑制さ 、インピーダンス曲線V3に示すように、20MHz~ 100MHzの高周波領域において、インピーダンス が8000ω~13500ωという値になった。このように て、発明者等は、ギャップ8を金属膜6に設 ることで、高周波領域におけるインピーダ スの低下を抑制することができることを確 することができた。

 なお、この発明は、上記実施例に限定され ものではなく、発明の要旨の範囲内におい 種々の変形や変更が可能である。
 例えば、上記実施例では、図7の(b)に示した ように、ギャップ8を、巻初め点P1~巻終わり P2の領域Dの中央位置に形成したが、ギャッ 8は、領域Dの内側に形成されていれば良い。 したがって、図14の(a)及び(b)に示すように、 ャップ8を、領域D内で中央位置Mから左右に らした構造のコモンモードチョークコイル 、この発明の範囲に含まれる。
 また、上記実施例では、図4に示したように 、ギャップ8を等幅の帯形状に形成したが、 ャップ8の形状は任意であり、図15に示すよ に、天板5の裏面側から見て、ギャップ8が台 形を成すコモンモードチョークコイルも、こ の発明の範囲に含まれる。
 また、上記実施例では、金属膜6を、天板5 上面5aを除いて、下面5b及び周側面5cに形成 たが、金属膜6は、天板5の少なくとも下面5b 形成されていれば良い。したがって、金属 6を天板5の下面5bにのみ設けたコモンモード チョークコイルや、金属膜6を天板5の上面5a も含めた全面に設けたコモンモードチョー コイルも、この発明の範囲内に含まれる。
 また、上記実施例では、コア2と天板5とを それぞれフェライトで形成したが、これら 部材をフェライト以外の磁性体で形成した モンモードチョークコイルを、この発明の 囲から除外する意ではない。
 さらに、上記実施例では外部電極3-1~3-4をコ ア2の鍔部21,22に直接塗布して形成したが、他 の形態、例えば金属端子により鍔部2に外部 極を形成したコモンモードチョークコイル この発明の範囲から除外する意ではない。