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Patent Searching and Data


Title:
COMPOSITE MATERIAL FOR POSITIVE ELECTRODE OF LITHIUM BATTERY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/081704
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a composite material for positive electrode of lithium battery, wherein a diffusion path for Li is sufficiently secured and electrical conductivity is high. This composite material for positive electrode of lithium battery enables to obtain a lithium battery having excellent high-rate discharge characteristics. Also disclosed are a method for producing such a composite material for positive electrode of lithium battery, a positive electrode using such a composite material for positive electrode of lithium battery, and a battery. Specifically disclosed is a composite material for positive electrode of lithium battery, which is composed of composite particles containing positive electrode active material particles and a fibrous carbon. The composite particles are in a form wherein the positive electrode active material particles are supported by the fibrous carbon.

Inventors:
OKI KAZUO (JP)
SAWAI MINORU (JP)
KITAYAMA HIROAKI (JP)
SAITO TAKAMITSU (JP)
MIURA TAMAKI (JP)
WATANABE KYOUICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/071958
Publication Date:
July 02, 2009
Filing Date:
December 03, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KAO CORP (JP)
OKI KAZUO (JP)
SAWAI MINORU (JP)
KITAYAMA HIROAKI (JP)
SAITO TAKAMITSU (JP)
MIURA TAMAKI (JP)
WATANABE KYOUICHI (JP)
International Classes:
H01M4/36; H01M4/62
Foreign References:
JP2007273639A2007-10-18
JP2007109631A2007-04-26
JP2005158721A2005-06-16
JP2007048692A2007-02-22
JPH11283629A1999-10-15
JP2006310628A2006-11-09
JPH11283629A1999-10-15
JP2006164859A2006-06-22
JP2003173777A2003-06-20
Other References:
See also references of EP 2228856A4
Attorney, Agent or Firm:
UNIUS PATENT ATTORNEYS OFFICE (13-9 Nishinakajima 5-chome,Yodogawa-ku, Osaka-sh, Osaka 11, JP)
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Claims:
 正極活物質粒子と繊維状炭素とを含む複合粒子から構成されるリチウム電池正極用複合材料であって、
 前記複合粒子は、前記正極活物質粒子が前記繊維状炭素により保持されている形態を有するリチウム電池正極用複合材料。
 前記複合粒子は、前記繊維状炭素の少なくとも一部が前記正極活物質粒子間隙に存在する形態を有する請求項1に記載のリチウム電池正極用複合材料。
 前記複合粒子は、前記繊維状炭素の一部が前記正極活物質粒子間隙に存在するとともに、前記繊維状炭素が前記正極活物質粒子を網目状に包み込んだ形態を有する請求項1又は2に記載のリチウム電池正極用複合材料。
 前記正極活物質粒子の平均凝集粒径が、0.1~10μmである請求項1~3のいずれか1項に記載のリチウム電池正極用複合材料。
 前記繊維状炭素の繊維径が、1~1000nmである請求項1~4のいずれか1項に記載のリチウム電池正極用複合材料。
 前記繊維状炭素が、カーボンナノチューブである請求項1~5のいずれか1項に記載のリチウム電池正極用複合材料。
 前記複合粒子は、溶媒中に前記正極活物質粒子と前記繊維状炭素とが分散した状態で含まれるスラリーから噴霧造粒により得られる請求項1~6のいずれか1項に記載のリチウム電池正極用複合材料。
 前記複合粒子は、前記溶媒中にて前記繊維状炭素が分散剤により分散されている前記スラリーから噴霧造粒により得られる請求項7に記載のリチウム電池正極用複合材料。
 前記複合粒子は、前記噴霧造粒で得られた造粒物から前記分散剤を除去して得られる請求項8に記載のリチウム電池正極用複合材料。
 前記分散剤が、芳香族環及び/又は脂肪族環を含む官能基を有する請求項8又は9に記載のリチウム電池正極用複合材料。
 請求項1~10のいずれか1項に記載のリチウム電池正極用複合材料、及びバインダーを含有してなるリチウム電池正極。
 請求項1~10のいずれか1項に記載のリチウム電池正極用複合材料、及びバインダーを含有してなる正極を備えるリチウム電池。
 正極活物質粒子と繊維状炭素とを含む複合粒子から構成されるリチウム電池正極用複合材料の製造方法であって、
 溶媒中に前記正極活物質粒子と前記繊維状炭素とが分散した状態で含まれるスラリーを得る工程1と、
 前記工程1で得たスラリーを用いて噴霧造粒して、前記正極活物質粒子と前記繊維状炭素とを含有する造粒物を得る工程2とを含むリチウム電池正極用複合材料の製造方法。
 前記工程1において、前記スラリーがさらに分散剤を含有する請求項13に記載のリチウム電池正極用複合材料の製造方法。
 前記工程2で得た造粒物は、前記正極活物質粒子が前記繊維状炭素により保持されている造粒物である請求項13又は14に記載のリチウム電池正極用複合材料の製造方法。
 前記工程2において、又は前記工程2の後に、前記造粒物から前記分散剤を除去して複合粒子を得る工程3をさらに含む請求項14又は15に記載のリチウム電池正極用複合材料の製造方法。
 前記正極活物質の平均凝集粒径が、0.1~10μmである請求項13~16のいずれか1項に記載のリチウム電池正極用複合材料の製造方法。
 前記繊維状炭素の繊維径が、1~1000nmである請求項13~17のいずれか1項に記載のリチウム電池正極用複合材料の製造方法。
 前記繊維状炭素が、カーボンナノチューブである請求項13~18のいずれか1項に記載のリチウム電池正極用複合材料の製造方法。
 前記分散剤が、芳香族環及び/又は脂肪族環を含む官能基を有する請求項14~19のいずれか1項に記載のリチウム電池正極用複合材料の製造方法。
Description:
リチウム電池正極用複合材料

 本発明は、正極活物質粒子と繊維状炭素 を含む複合粒子から構成されるリチウム電 正極用複合材料及びその製造方法、並びに 該リチウム電池正極用複合材料を用いた正 及び電池に関する。

 近年、石油資源の高騰、国際的な地球環 保護運動の高まりを背景として、電気自動 、ハイブリッド自動車、燃料電池車の導入 促進すべく研究が行われている。これらの 動システムには、補助用電源としてバッテ ーが不可欠であり、しかも自動車の急発進 加速に追随できる高出力な電池が望まれて る。また、車への重量負荷、燃費向上の観 から、エネルギー密度の高い電池が望まれ 。このような背景から、二次電池の中で最 エネルギー密度が高く、かつ高出力を発現 きるリチウムイオン二次電池が有望視され いる。

 一般にリチウムイオン二次電池は、リチ ムイオン含有酸化物を含む正極と、炭素物 を含む負極とで電極が構成されている。正 では、リチウムイオン含有酸化物(正極活物 質)自体の導電性が低いことから、導電性を 上させるために、カーボンブラックやカー ンファイバー等の導電材が添加されている カーボンファイバーにおいては、近年、気 法による繊維径がナノオーダーのVGCF(登録商 標)やカーボンナノチューブが開発され、電 用途への応用が検討されている。

 例えば特許文献1では、正極活物質、カー ボンナノチューブ、グラファイトおよびバイ ンダーを混合してペースト状にしたものを塗 布し、正極を作製した例が開示されている。

 また、特許文献2には、粒径5~30μmの球状 極活物質とカーボンナノファイバーを遠心 ールミルで機械的に強いせん断力を加えな ら混合し、カーボンナノファイバーを分断 て活物質表面に付着させる手法が試みられ いる。

 更に、特許文献3には、遷移金属化合物と リチウム化合物とを混合・焼成して得られた 正極活物質と、炭素粉等の導電助剤とを噴霧 乾燥して複合化するリチウム電池正極用複合 材料の製造方法が開示されている。

特開平11-283629号公報

特開2006-164859号公報

特開2003-173777号公報

 しかしながら、カーボンナノチューブの うな繊維状炭素は、繊維状炭素同士が絡み って糸玉状になっているため、特許文献1に 記載されたような混合方法では、繊維状炭素 をほぐして均一に正極活物質と混合すること は非常に困難であり、カーボンナノチューブ のポテンシャルを十分に引き出すことができ ない。

 また、特許文献2に開示されているように 、遠心ボールミルで機械的に強いせん断力を 加えながら混合する方法では、カーボンナノ ファイバーが分断してしまうため、カーボン ナノファイバーの特徴である高いアスペクト 比による長距離の導電パスが阻害されてしま うという問題がある。

 更に、特許文献3に記載の正極用複合材料 の製造方法においても、噴霧乾燥に用いるス ラリーを調製する際に繊維状炭素を正極活物 質と均一に混合することが困難であるため、 この製造方法における導電助剤として、炭素 粉に代えて繊維状炭素を用いることは困難で あった。

 そこで、本発明は、高速放電特性に優れ リチウム電池を与える、Liの拡散経路が十 確保され、導電性が高い、リチウム電池正 用複合材料及びその製造方法、並びに当該 チウム電池正極用複合材料を用いた正極及 電池を提供する。

 本発明者らは、溶媒中に正極活物質粒子 繊維状炭素とが十分に分散したスラリーを いて噴霧造粒することで、前記正極活物質 子が前記繊維状炭素により保持されている 粒物が得られ、この造粒物が高速放電特性 優れた正極用複合材料となることを見出し 本発明を完成するに至った。

 即ち、本発明のリチウム電池正極用複合 料は、正極活物質粒子と繊維状炭素とを含 複合粒子から構成されるリチウム電池正極 複合材料であって、前記複合粒子は、前記 極活物質粒子が前記繊維状炭素により保持 れている形態を有するリチウム電池正極用 合材料である。

 更に、本発明は、上記本発明のリチウム 池正極用複合材料を用いた正極および電池 関する。

 また、本発明のリチウム電池正極用複合 料の製造方法は、正極活物質粒子と繊維状 素とを含む複合粒子から構成されるリチウ 電池正極用複合材料の製造方法であって、 媒中に前記正極活物質粒子と前記繊維状炭 とが分散した状態で含まれるスラリーを得 工程1と、前記工程1で得たスラリーを用い 噴霧造粒して、前記正極活物質粒子と前記 維状炭素とを含有する造粒物を得る工程2と 含むリチウム電池正極用複合材料の製造方 である。

実施例1で得られた正極用複合材料の走 査型電子顕微鏡(SEM)写真 実施例2で得られた正極用複合材料の走 査型電子顕微鏡(SEM)写真 実施例3で得られた正極用複合材料の走 査型電子顕微鏡(SEM)写真 実施例4で得られた正極用複合材料の走 査型電子顕微鏡(SEM)写真

 本発明のリチウム電池正極用複合材料(以 下、単に「正極用複合材料」という場合があ る)は、正極活物質粒子と繊維状炭素とを含 複合粒子から構成されるリチウム電池正極 複合材料であって、前記正極活物質粒子が 記繊維状炭素により保持されているリチウ 電池正極用複合材料である。ここで、「正 活物質粒子が繊維状炭素により保持されて る」とは、複合粒子に含まれる正極活物質 子が繊維状炭素により保持されて、複合粒 の形状が維持される状態を指し、後述する 法により確認することができる。

 本発明の正極用複合材料は、正極活物質 子が繊維状炭素により保持されていること ら、全ての正極活物質粒子に導電ネットワ クが構築されており、非常に導電性が高い 極用複合材料を提供できると考えられる。 た、繊維状炭素の絡み合いによって微細な 間ができ易いため、この隙間を介してリチ ムイオンがスムーズに拡散できることから 高速放電に優れた正極用複合材料を提供で ると考えられる。さらに、繊維状炭素から るネットが正極活物質を包み込んでいる場 は、このネットが柔軟性に富んでいるため 電極を作製する際のプレスにより球形構造 押しつぶされて崩壊することを抑制できる このようなことから、本発明の正極用複合 料は、従来のものよりも電池の内部抵抗を さくできるため、高速放電特性に優れたリ ウム電池を提供することができると考えら る。

 つまり、本発明のリチウム電池正極用複 材料の複合粒子は、繊維状炭素の少なくと 一部が正極活物質粒子間隙に存在する形態 有することが好ましく、繊維状炭素の一部 正極活物質粒子間隙に存在するとともに、 維状炭素が正極活物質粒子を網目状に包み んだ形態を有することがより好ましい。こ ような形態は、後述する実施例で示すよう 、走査型電子顕微鏡観察により確認するこ ができる。

 正極活物質粒子の材料としては、従来公知 何れの材料も使用でき、例えば、LiMn 2 O 4 などのLi・Mn系複合酸化物、LiCoO 2 などのLi・Co系複合酸化物、LiNiO 2 などのLi・Ni系複合酸化物、LiFeO 2 などのLi・Fe系複合酸化物などが挙げられ、Li x CoO 2 ,Li x NiO 2 ,MnO 2 ,LiMnO 2 ,Li x Mn 2 O 4 ,Li x Mn 2-y O 4 ,α-V 2 O 5 ,TiS 2 等が挙げられる。なかでも、熱的安定性、及 び容量、出力特性に優れるという観点から、 LiMn 2 O 4 などのマンガン酸リチウム,LiCoO 2 などのコバルト酸リチウム,LiNiO 2 などのニッケル酸リチウムが好ましく、LiMn 2 O 4 などのマンガン酸リチウムがより好ましい。

 正極活物質粒子の平均凝集粒径としては 正極活物質の安全性や安定性、サイクル特 の観点から、好ましくは0.1μm以上、より好 しくは0.3μm以上、さらに好ましくは、0.5μm 上、また、反応性、高速放電性の観点から1 0μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以下 さらに好ましくは2μm以下である。これらの 観点を総合すると、正極活物質粒子の平均凝 集粒径は、0.1~10μmが好ましく、0.3~5μmがより ましく、0.5~2μmが更に好ましい。

 本発明では、各繊維状炭素が絡み合いな ら、正極活物質が繊維状炭素により保持さ ていることが好ましい。このような観点か 、繊維状炭素は、繊維径が細く、かつ繊維 が長いことが好ましい。更に導電性の観点 ら、繊維状炭素の繊維長(L)に対する繊維径( W)のアスペクト比(L/W)は、好ましくは50以上、 より好ましくは100以上、更に好ましくは200以 上であり、繊維状炭素の分散性の観点から、 好ましくは20000以下、より好ましくは5000以下 、さらに好ましくは1000以下である。これら 観点を総合すると、アスペクト比(L/W)は、50~ 20000が好ましく、100~5000がより好ましく、200~1 000が更に好ましい。

 同様の観点から、繊維状炭素は絡まりや い構造のものが好ましく、繊維状炭素の繊 長は、好ましくは50nm以上、より好ましくは 500nm以上、更に好ましくは1μm以上である。ま た、本発明の正極用複合材料を用いて作製さ れた、正極電極表面の平滑性の観点から、繊 維状炭素の繊維長は、好ましくは50μm以下、 り好ましくは30μm以下、さらに好ましくは10 μm以下である。これらの観点を総合すると、 繊維状炭素の繊維長は、50nm~50μmが好ましく 500nm~30μmがより好ましく、1μm~10μmが更に好 しい。また、繊維状炭素の繊維長と正極活 質粒子の平均凝集粒径(活物質粒径)の比(繊 状炭素の繊維長/活物質粒径)は、正極活物質 を繊維状炭素に保持する観点から、好ましく は1以上、より好ましくは2以上、さらに好ま くは3以上である。また、同様の観点から、 繊維状炭素の繊維長と活物質粒径の比は、好 ましくは500以下、より好ましくは100以下、さ らに好ましくは20以下である。これらの観点 総合すると、繊維状炭素の繊維長と活物質 径の比は、1~500が好ましく、2~100がより好ま しく、3~20がさらに好ましい。

 同様の観点から、繊維状炭素は絡まりや い構造のものが好ましいことと、正極活物 表面とより多く接触して導電経路を確立さ る観点とから、繊維状炭素の繊維径は、1~10 00nmが好ましく、1~500nmがより好ましく、1~100nm が更に好ましく、1~50nmが更により好ましい。

 繊維状炭素としては、前述の好適なアスペ ト比、繊維長及び繊維径を形成し易く、正 活物質粒子が繊維状炭素により保持された 粒物が噴霧造粒(後述する)により得られ易 観点から、ポリアクリロニトリル(PAN)に代表 される高分子を原料とした繊維状炭素、ピッ チを原料としたピッチ系繊維状炭素も使用可 能であるが、カーボンナノチューブ(グラフ イトの1枚面つまりグラフェンシートを巻い 筒状にした形状物(微粒子工学大系第I巻P651 株式会社フジ・テクノシステム))であって 炭化水素ガスを原料とする気相成長系の繊 状炭素(例えば、VGCF:登録商標)、アーク放電 、レーザー蒸発法、化学気相成長法などで られる、いわゆる狭義のカーボンナノチュ ブ(以下、狭義のカーボンナノチューブを単 にカーボンナノチューブという)などが好適 用いられる。より多くの導電経路を構築さ る観点から、繊維径の細い繊維状炭素が好 しく、VGCFやカーボンナノチューブが好適に いられ、中でもカーボンナノチューブを用 ることが好ましい。カーボンナノチューブ 、例えば、HeやAr、CH 4 、H 2 などの雰囲気ガスのもとで、黒鉛電極をアー ク放電で蒸発させるアーク放電法、NiやCo、Y Feなどの金属触媒を含む黒鉛電極をアーク 電で蒸発させるアーク放電法、Ni-Co、Pd-Rdな の金属触媒を混ぜた黒鉛にYAGレーザーを当 蒸発させ、Arの気流で1200℃程度に加熱され 電気炉に送り出すレーザー蒸発法、触媒に ンタカルボニル鉄(Fe(CO) 5 )を用い、一酸化炭素を高圧で熱分解するHiPCO 法等で得ることができる。カーボンナノチュ ーブのアスペクト比については、例えば、炭 化水素(ベンゼン等)と水素ガス等の雰囲気ガ の濃度比が小さいほど、生成するカーボン ノチューブの直径が細くなり、アスペクト が大きくなる。また、反応時間が短いほど 生成するカーボンナノチューブの直径が細 なり、やはりアスペクト比が大きくなる。

 本発明では、繊維状炭素の他に導電性を 助する炭素材料を配合しても良い。そのよ な炭素材料としては、グラファイトやカー ンブラックが挙げられ、これらのうちカー ンブラックを使用することが好ましい。

 カーボンブラックとしては、サーマルブ ック法、アセチレンブラック法等の分解法 チャンネルブラック法、ガスファーネスブ ック法、オイルファーネスブラック法、松 法、ランプブラック法等の不完全燃焼法の ずれの製法で製造されたものも使用できる 、導電性の観点からファーネスブラック、 セチレンブラックが好ましく用いられる。 れらは単独で用いても良いし、2種以上を混 合しても良い。

 カーボンブラックのDBP吸収量は、繊維状炭 の導電性を好適に補助する観点から、40~300c m 3 /100gが好ましく、80~200cm 3 /100gがより好ましい。

 繊維状炭素以外の炭素材料を添加する場 、このような炭素材料は、繊維状炭素の分 液の中に添加し、繊維状炭素とともに正極 物質粒子と複合するのに使用しても良い。 た、繊維状炭素と正極活物質の分散液から 霧造粒により得られた粒子と炭素材料を混 して、造粒物間の導電性を向上させる目的 利用しても良い。

 繊維状炭素以外の炭素材料の配合量は、 電性を補助しつつ造粒物の形状を保持する 点から、正極活物質100重量部に対して、好 しくは0~20重量部、より好ましくは0~10重量 、更に好ましくは0~5重量部である。

 炭素材料の総配合量、即ち、繊維状炭素 繊維状炭素以外の炭素材料の総配合量は、 極用複合材料の体積抵抗低減の観点から、 極活物質100重量部に対して、好ましくは0.02 重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、 更に好ましくは0.5重量部以上である。また、 正極用複合材料のエネルギー密度を高める観 点から、好ましくは30重量部以下、より好ま くは20重量部以下、更に好ましくは10重量部 以下である。これらの観点を総合すると、繊 維状炭素と繊維状炭素以外の炭素材料の総配 合量は、0.02~30重量部が好ましく、0.1~20重量 がより好ましく、0.5~10重量部が更に好まし 。

 本発明の正極用複合材料の体積抵抗は、 極において十分な導電性を付与する観点か 、0~3ω・cmが好ましく、0~2ω・cmがより好ま く、0~1.5ω・cmが更に好ましい。

 また、本発明の正極用複合材料は、繊維 炭素の絡みあった部分の隙間や正極活物質 の隙間により微細孔が形成され易い。微細 が形成される場合、Liの移動がスムーズに われる観点から、0.01~1μmの細孔容量の合計 、0.3ml/g以上が好ましく、0.4ml/g以上がより好 ましい。また、バインダー添加量を少なくさ せる観点から、0.01~1μmの細孔容量の合計が0.8 ml/g以下が好ましく、0.6ml/g以下がより好まし 。

 次に、本発明のリチウム電池正極用複合 料の製造方法について説明する。なお、本 明のリチウム電池正極用複合材料の製造方 は、上述した本発明のリチウム電池正極用 合材料を製造するための好適な方法である め、上述した説明と重複する部分について 省略する。

 本発明のリチウム電池正極用複合材料の 造方法は、正極活物質粒子と繊維状炭素と 含む複合粒子から構成されるリチウム電池 極用複合材料の製造方法であって、以下で べる工程1及び工程2を含むものである。ま 、工程1では、溶媒中に正極活物質粒子と繊 状炭素とが分散した状態で含まれるスラリ を得る。

 繊維状炭素の選択については、次の観点 考慮される。即ち、本発明では各繊維が絡 合って糸玉状に凝集している繊維状炭素を 溶媒中で後述する程度の分散状態にまで分 せしめ(好ましくは分散剤を用いて分散せし め)、これに正極活物質を混合することで繊 状炭素と正極活物質粒子が均一に混合した ラリーを形成し、それを噴霧乾燥し、前記 極活物質と前記繊維状炭素とを有する球状 複合粒子を構築させるのが好ましい。さら 噴霧造粒を行う際に、正極活物質に分散し 繊維状炭素が絡まることにより、近傍の正 活物質が繊維状炭素により保持されている とが好ましく、包み込んだ状態で保持され 球状粒子が形成されることが更に好ましい このような観点から、繊維状炭素としては 上述した本発明のリチウム電池正極用複合 料の場合と同様のものが使用できる。なか もVGCFやカーボンナノチューブが好適に用い れ、カーボンナノチューブを用いることが り好ましい。

 スラリー中の繊維状炭素の添加量は、正 材料の体積抵抗の低減の観点から、正極活 質100重量部に対して、好ましくは0.01重量部 以上、より好ましくは、0.1重量部以上、更に 好ましくは0.5重量部以上である。また、正極 活物質表面への被覆性の観点から、好ましく は15重量部以下、より好ましくは10重量部以 、更に好ましくは5重量部以下である。これ の観点を総合すると、スラリー中の繊維状 素の添加量は、0.01~15重量部が好ましく、0.1 ~10重量部がより好ましく、0.5~5重量部が更に ましい。

 本発明では、主として2つの工程、好まし くは3つの工程により正極用複合材料を作製 る。

 まず[工程1]として、溶媒中に正極活物質 子と繊維状炭素とが分散した状態で含まれ スラリーを得る。ここに、正極活物質粒子 繊維状炭素とが分散した状態とは、スラリ をサンプリングして所定濃度に希釈し、遅 なく粒度分布測定装置で平均粒径を測定し 際に、当該平均粒径が正極活物質の平均凝 粒径の130%以内になるような分散状態を指す (具体的な測定方法は後述する)。つまり、初 の凝集状態からこのような分散状態に移行 ることによって、測定される平均粒径が正 活物質の平均凝集粒径に近づき(繊維状炭素 の分散状態もこの測定値に反映される)、こ 現象から上記の分散状態を把握することが きる。

 このように正極活物質粒子と繊維状炭素 が分散した状態にする方法としては、繊維 炭素を溶媒中、分散剤を用いて分散させた 、正極活物質、場合によっては繊維状炭素 外の炭素材料を添加して、超音波を照射す 方法が例示できる。

 次いで、[工程2]として、工程1で得たスラ リーを用いて噴霧造粒して、正極活物質粒子 と繊維状炭素とを含有する造粒物を得る。好 ましくは、スラリーを噴霧し球形状の液滴を 生成させた後、熱で溶媒を蒸発させて乾燥し 、球形状の造粒粉体を形成する、いわゆる噴 霧造粒を行うものである。

 更に工程2において又は工程2の後に、任 の工程である[工程3]として、造粒物から分 剤を除去して複合粒子を得ることが好まし 。

 また、上記3つの工程により得られた粒子 間の導電パスを好適に構築するために、繊維 状炭素以外の炭素材料を混合する工程を加え ても良い。

 工程1で分散に用いる溶媒としては、N-メ ル-2-ピロリドン(NMP、沸点202℃)、ジメチル ルムアミド(DMF、沸点153℃)、ジメチルアセト アミド(沸点165℃)、水(沸点100℃)、メチルエ ルケトン(沸点79.5℃)、テトラヒドロフラン( 点66℃)、アセトン(沸点56.3℃)、エタノール( 沸点78.3℃)、酢酸エチル(沸点76.8℃)などが好 に用いられる。コスト面および繊維状炭素 分散のさせやすさの観点から水を用いるこ が好ましい。

 工程1における溶媒の使用量は、繊維状炭 素を十分に分散させ、かつ、工程2である噴 造粒を行うのに十分な粘度とする観点から 正極活物質100重量部に対して、60重量部以上 が好ましく、100重量部以上がより好ましく、 200重量部以上が更に好ましい。また、生産性 の観点から、3000重量部以下が好ましく、2000 量部以下がより好ましく、1500重量部以下が 更に好ましい。

 工程1では、分散剤を使用することも可能 であり、その場合に使用する分散剤としては 、アニオン性、ノニオン性もしくはカチオン 性界面活性剤、または高分子分散剤を用いる ことが出来る。繊維状炭素は、直径が1000nm以 下の微細炭素繊維であるが、炭素六角網面の ネットワークが円筒状に延びた構造を呈して いる。このような構造と親和性の良好な分散 剤の特徴として、炭素六角網面とサイズおよ び形状が似ている芳香族の官能基を有してい るものや、脂環化合物を官能基ユニットとし て有する分散剤が特に繊維状炭素に吸着しや すい性質を有しているため好ましい。つまり 、使用する分散剤としては、芳香族環及び/ は脂肪族環を含む官能基を有することが好 しい。

 高分子分散剤としては種々の化合物を使 することができるが、分子内に複数のカル キシル基を有するポリカルボン酸系高分子 散剤、分子内に複数のアミノ基を有するポ アミン系高分子分散剤、分子内に複数のア ド基を有する高分子分散剤や分子内に複数 多環式芳香族化合物を含有する高分子分散 が好ましい。

 ポリカルボン酸系高分子分散剤としては リ(メタ)アクリル酸とその誘導体が挙げら る。その誘導体の具体例としては、(メタ)ア クリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共 合体、(メタ)アクリル酸と無水マレイン酸 の共重合体、更にはそのアミド化物やエス ル化物、(メタ)アクリル酸とマレイン酸との 共重合体、および(メタ)アクリル酸ユニット 持つくし型ポリマー等を挙げることができ 。なお、本明細書において、(メタ)アクリ 酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を指す

 ポリアミン系高分子分散剤としてはポリ ルキレンアミンおよびその誘導体、ポリア ルアミンおよびその誘導体、ポリジアリル ミンおよびその誘導体、ポリN,N-ジメチルア ミノエチルメタクリレートおよびその誘導体 、更には上記ポリアミンにポリエステルをグ ラフトさせたくし型ポリマー等を挙げること ができる。

 分子内に複数のアミド基を有する高分子 散剤としては、縮合反応によって得られる リアミドおよびその誘導体やポリビニルピ リドンおよびその誘導体やポリN,N-ジメチル アクリルアミドおよびその誘導体、更にはこ れらポリアミドにポリエステルやポリアルキ レングリコールをグラフトさせたくし型ポリ マー等を挙げることができる。

 多環式芳香族化合物を含有する高分子分 剤としては、ピレンやキナクリドン骨格を するビニルモノマーと各種モノマーとの共 合体を挙げることが出来る。

 これらの分散剤は単独で、あるいは二種 上の分散剤を混合して用いることができる 分散剤を用いる場合の好適な添加量は、ス リーの分散を好適に行いながらスラリー粘 を下げる観点から、スラリーに対して0.05~20 重量%であり、より好ましくは0.05~10重量%であ る。

 また、分散剤が本発明の正極用複合材料 残留していると、それ自体が抵抗成分とな 、電池の高速放電性能を阻害する場合があ 。従って、後ほど詳細に説明する工程3のよ うに、分散剤を除去するのが好ましい。除去 法は、分散剤を洗浄により除去する手法と熱 処理により分解する手法が主として用いられ るが、そのような観点から、洗浄しやすい分 散剤として、界面活性剤を用いることが好ま しい。また、熱処理により完全に分解し、カ ウンターイオンを残留させず気化してしまう 性質のものが好ましい観点から、ノニオン性 の界面活性剤が更に好ましい。

 工程1における分散剤の配合量は、繊維状 炭素を分散させる観点から、繊維状炭素100重 量部に対して、好ましくは1重量部以上、よ 好ましくは5重量部以上、10重量部以上が更 好ましい。また、工程3である分散剤除去工 での負荷を軽減させる観点から、好ましく 200重量部以下、より好ましくは150重量部以 、100重量部以下が更に好ましい。これらの 点を総合すると、分散剤の配合量は、1~200 量部が好ましく、5~150重量部がより好ましく 、10~100重量部が更に好ましい。

 繊維状炭素をスラリー化する際、分散に 立って解凝集(予備分散)を行うことが好ま い。即ち、カーボンナノファイバー等の繊 状炭素は、一般的に糸玉状に凝集している 、これを分散剤で分散する前に、ある程度 械的に解砕し、解凝集させることが好まし 。このような事前の解凝集には、乾式粉砕 を用いることが好ましく、具体的には、ロ タースピードミル、ハンマーミル等の衝撃 粉砕機、乾式転動ボールミル、乾式振動ボ ルミル、乾式遊星ミル、媒体撹拌ミル等の 式媒体粉砕機、ジェットミル等の気流式粉 機、などを用いる方法が挙げられる。なか も、適度な粉砕を行う観点から、ローター ピードミル、ハンマーミル等の衝撃式粉砕 を用いる方法が好ましい。

 工程1では、分散剤を使って溶媒中で繊維 状炭素を分散させることが好ましいが、その 際、分散を促進するために、分散剤をスラリ ーに加えながら、もしくは加える前又は後、 好ましくは後に、分散機を用いて強制的に分 散することがより好ましい。分散機としては 、例えば超音波型分散機、攪拌型分散機、高 速回転せん断型分散機、ミル型分散機、高圧 噴射型分散機などが挙げられるが、強制分散 させる工程に使用する場合、超音波型分散機 、高圧噴射型分散機が好適に用いられる。

 工程1により、繊維状炭素は溶媒中に分散 するが、その際の繊維状炭素の平均凝集粒径 としては、繊維状炭素を単繊維までほぐす観 点から、0.1~40μmが好ましく、0.1~10μmがより好 ましく、0.1~5μmが更に好ましい。

 工程1で得られるスラリーの固形分濃度( 極活物質+繊維状炭素+その他の炭素材料+分 剤)としては、次工程の噴霧造粒の生産性を める観点から、1重量%以上が好ましく、2重 %以上がより好ましく、5重量%以上が更に好 しい。また、工程2で得られる造粒物の粒径 を好ましい範囲にする観点から、60重量%以下 が好ましく、50重量%以下がより好ましく、40 量%以下が更に好ましい。これらの観点を総 合すると、スラリーの固形分濃度は、1~60重 %が好ましく、2~50重量%がより好ましく、5~40 量%が更に好ましい。また、工程1で得られ スラリーの粘度は、工程2で得られる造粒物 粒径を好ましい範囲に制御する観点から、5 000mPa・s以下が好ましく、1000mPa・s以下がより 好ましく、100mPa・s以下が更に好ましい。

 工程2では、工程1で得られたスラリーを いて噴霧造粒するが、噴霧造粒の方法とし は、スラリーをノズル、アトマイザー等に り液滴化し、これをごく短時間に乾燥する いわゆる噴霧乾燥法のほか、前記液滴を短 間に凍結した後、減圧下等で乾燥する噴霧 結乾燥法や、噴霧乾燥と焼成を組み合わせ 噴霧熱分解法等の方法を用いることができ 。このうち、噴霧乾燥法が好ましい。

 工程2において、噴霧により得られた液滴 の乾燥温度は、繊維状炭素や他の炭素材料が 、燃焼されない温度で乾燥することが好まし く、具体的には、400℃以下が好ましく、300℃ 以下がより好ましい。

 工程2における造粒物の平均凝集粒径は、 Liの挿入・脱離能を向上させ、かつ塗膜の平 性を維持する観点から、20μm以下が好まし 、15μm以下がより好ましく、10μm以下が更に ましい。また、電池の正極として、塗膜を 製する際に、バインダーの量を減らす観点 ら、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好 しく、5μm以上が更に好ましい。これらの観 を総合すると、造粒物の平均凝集粒径は、1 ~20μmが好ましく、3~15μmがより好ましく、5~10 mが更に好ましい。

 工程3は、工程2により得られた粒子内に 繊維状炭素を分散するために加えた分散剤 含まれる場合に有効である。分散剤が残留 ていると、分散剤が抵抗成分となってしま 、電池の高速放電特性を阻害するだけでな 、電池中で分解することによる、ガスの発 や、充放電のサイクル特性の低下要因にな 。したがって、残留した分散剤を除去する 要があり、これの処理が工程3である。

 具体的な手法としては2つの手法が挙げら れ、(1)分散剤を溶解できる溶媒で洗浄して除 去する方法と、(2)分散剤を熱処理により分解 気化させて除去する方法である。(1)の方法は ほとんどの分散剤に適用できる面で好ましく 、(2)の方法は、(1)の方法よりも低コストで生 産性の高い手法である面で好ましい。

 工程3において、熱処理を行って分散剤を 除去する場合(上記(2)の手法)、分散剤を効率 く分解させる観点から、加熱温度は、100℃ 上が好ましく、150℃以上がより好ましい。 た、繊維状炭素を分解させない観点から、4 00℃以下が好ましく、300℃以下がより好まし 。

 以上の工程1~3によって得られた正極用複 材料の形状は、球形状であるが、必ずしも 球状のもののみが得られるわけではなく、 子表面に多少凸凹があるもの、球全体が多 歪んだもの、一部がへこんだものや、欠け もの、球状粒子がいくつか合体して凝集し ものなど、噴霧造粒で得られうる粒子形態 ものが得られうる。また、繊維状炭素とし 、繊維径の大きいカーボンファイバーを含 する場合、カーボンファイバーが、球形状 粒子表面から突き出た形態を示すものも得 れうる。

 工程3を経て得られた複合粒子の平均凝集 粒径は、電池の正極として、塗膜を作製する 際に、バインダーの量を減らす観点から、1μ m以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、5 μm以上が更に好ましい。また、本複合粒子を 用いて得られる正極電極の表面性の観点から 、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm 下、10μm以下が更に好ましい。これらの観点 を総合すると、複合粒子の平均凝集粒径は、 1~20μmが好ましく、3~15μmがより好ましく、5~10 μmが更に好ましい。

 本発明のリチウム電池正極は、上述した 極用複合材料及びバインダーを含有してな 。また、本発明のリチウム電池は、上述し 正極用複合材料及びバインダーを含有して る正極を備える。即ち、本発明のリチウム 池正極およびリチウム電池は、上述した正 用複合材料を正極材料として用いる限り、 の構成要件に関しては、何ら制限されるも ではない。例えば、上記バインダーとして 、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミドイミ 、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチ ン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メ ルなどの従来のバインダーが何れも使用で る。

 本発明の正極用複合材料を用いた電池の 途は、特に限定されないが、例えばノート ソコン、電子ブックプレーヤー、DVDプレー ー、携帯オーディオプレーヤー、ビデオム ビー、携帯テレビ、携帯電話などの電子機 に使用できるほか、コードレス掃除機やコ ドレス電動工具、電気自動車、ハイブリッ カーなどのバッテリー、燃料電池車の補助 源などの民生用機器に使用できる。このう 特に高出力が求められる自動車用バッテリ として好適に用いられる。      

 (実施例)
 以下、本発明を具体的に示す実施例等につ て説明する。なお、実施例等における評価 目は下記のようにして測定を行った。

 (1)DBP吸収量
 DBP吸収量は、JIS K 6217-4に基づいて測定し 。

 (2)平均凝集粒径
 レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA920( 堀場製作所製)を用い、水を分散媒とし、超 波3分照射後の粒度分布を相対屈折率1.5で測 したときの体積中位粒径(D50)の値を繊維状 素、カーボンブラックの平均凝集粒径、正 活物質、工程2における造粒物、及び工程3を 経て得られた複合粒子の平均凝集粒径とした 。

 (3)カーボンブラックの一次粒子径
 電界放出形走査電子顕微鏡(日立製S-4000)に り撮影した倍率10000~50000倍のSEM像から、一次 粒子50個を抽出し、それらの直径の平均値を 次粒子径とした。ただし、前記直径とは、( 長軸径+短軸径)/2で算出される値で、着目す カーボンブラックのSEM像を2本の平行線では んだ時、その2本の平行線の間隔が最小とな るときの間隔を短軸径、この平行線に直角な 方向の2本の平行線でこのカーボンブラック SEM像をはさんだ時、その2本の平行線の間隔 長軸径とする。

 (4)繊維状炭素の繊維径および繊維長
 電界放出形走査電子顕微鏡(日立製S-4000)に り撮影した倍率2000~50000倍のSEM像から、繊維 炭素30個を抽出し、以下のように測定した 分の長さの平均値を繊維径とし、繊維の長 の平均値を繊維長とした。ここで、前記線 の長さとは、30個の繊維状炭素のそれぞれに ついて、繊維状炭素の画像の長さ方向の輪郭 が描く2本の曲線の一方の曲線の法線が、こ ら2本の曲線に切り取られる線分の長さをい 。

 (5)繊維状炭素のアスペクト比
 繊維状炭素の繊維長を繊維径で除すること 求めた。

 (6)体積抵抗
 JIS K 1469の方法において、粉体試料量を0.3g 、粉体圧縮時圧力を100kg/cm 2 に変更して、円筒状に圧縮した圧縮粉体試料 の電気抵抗値を測定し、測定抵抗値より下記 の式1を用いて体積抵抗率(電気抵抗率)を算出 した。具体的には、絶縁性円筒(ベークライ 製、外径28mm、内径8mm)と(-)電極からなる円筒 容器に粉体試料を0.3g充填し、試料を詰めた 縁性円筒容器に(+)電極を挿入して粉体試料 挟み、プレス機架台上に設置した。プレス により円筒容器内の試料に100kg/cm 2 の力を加え、圧縮した。(+)電極と(-)電極をデ ジタルマルチメーターの測定用入力ケーブル に接続し、圧縮開始から3分経過後、電気抵 値を測定した。

 ρ=S/h×R  (式1)
 ここで、ρは電気抵抗率(ω・cm)、Sは試料の 面積(cm 2 )、hは試料の充填高さ(cm)、Rは電気抵抗値(ω) ある。

 用いた(-)電極は、電池グレードの黄銅製 あり、電極面は7.8±1mmφで、高さ5mmの突起部 のある台座状電極であり、(+)電極は、電池グ レードの黄銅製であり、電極面は7.8±1mmφで 長さ60mmの棒状電極であった。

 (7)細孔容量
 水銀圧入式細孔分布測定装置(ポアサイザー 9320、島津製作所製)を用いて、0.01~1μmの範囲 細孔容量の合計を測定し、得られた値を細 容量とした。

 (8)溶媒中での分散状態の確認方法
 レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA920( 堀場製作所製)に、スラリーと同一の溶媒120mL を添加し、攪拌循環(循環レベル4)させた。そ こに、サンプリングしたスラリー(溶媒中に 極活物質粒子と繊維状炭素とを含有するス リー)を滴下し、装置のセル内のレーザーの 過率が75~95%の範囲になるようスラリー濃度 調節した。そして、装置のメモリ7で超音波 3分照射後の粒度分布を相対屈折率1.5で測定 、このときの体積中位粒径(D50)を上記(2)の条 件で測定した正極活物質の平均凝集粒径で除 して、これに100を乗じて比率を算出した。本 発明では、この比率が130%以内になるような 態を分散状態とする。

 (9)正極活物質粒子が繊維状炭素により保持 れている状態の確認方法
 正極活物質と繊維状炭素とを有する一粒の 合粒子を、600℃1時間加熱したとき、当該一 粒の複合粒子が、複数の複合粒子に崩壊する か、又は繊維状炭素がほぼ消失した正極活物 質粒子に崩壊した場合、当該一粒の複合粒子 中の正極活物質粒子は繊維状炭素により保持 されていたものとする。すなわち、600℃1時 加熱した複合粒子を電界放出形走査電子顕 鏡(日立製S-4000)により撮影し、倍率1000~50000 のSEM画像を目視観察する。観察の結果、繊 状炭素がほぼ消失した正極活物質粒子のみ 察される場合、正極活物質粒子に繊維状炭 が絡んだ複合粒子のみ観察される場合、さ には、繊維状炭素がほぼ消失した正極活物 粒子と正極活物質粒子に繊維状炭素が絡ん 複合粒子の両方が観察される場合を正極活 質粒子が繊維状炭素により保持されていた のとする。一方、繊維状炭素がほぼ消失し 正極活物質粒子と凝集した繊維状炭素の粒 が観察される場合、正極活物質粒子が繊維 炭素により保持されていなかったものとす 。

 (10)電池の作製
 表2に示す配合比にて正極用複合材料、カー ボンブラック、12重量%ポリフッ化ビニリデン (PVDF)のNメチルピロリドン溶液、Nメチルピロ ドンを均一に混合し、塗工用ペーストを調 した。当該ペーストをコーター(YBA型ベーカ ーアプリケーター)にて集電体として用いた ルミニウム箔(厚さ20μm)上に均一に塗工(乾燥 後に0.009g/cm 2 )し、80℃にて12時間以上かけて減圧(100~300mmHg) 乾燥した。乾燥後、所定の大きさ(20mm×15mm)に 切断し、アルミニウム箔を含む全体の厚さが 55μmになるようにプレス機で均一膜厚に成型 て、試験用正極とした。

 ハードカーボン10重量部、12重量%ポリフッ ビニリデン(PVDF)のNメチルピロリドン溶液9.3 量部、Nメチルピロリドン8.5重量部を均一に 混合し、塗工用ペーストを調製した。当該ペ ーストをコーター(YBA型ベーカーアプリケー ー)にて集電体として用いた銅箔(厚さ18μm)上 に均一に塗工し、80℃にて12時間以上かけて 圧(100~300mmHg)乾燥した。乾燥後、所定の大き (20mm×15mm)に切断し、プレス機で均一膜厚に 型して、試験用負極とした。このときの負 層の厚さは25μmとした。セパレータはセル ード#2400(セルガード製)を使用した。電解液 、1mol/LのLiPF 6 のエチレンカーボネート:ジエチルカーボネ ト(1:1vol%)溶液を用いた。試験セルの組み立 はアルゴン雰囲気下のグローブボックス内 行った。試験セルの組み立て後、25℃にて24 間放置後、内部抵抗特性評価を行った。

 (11)内部抵抗特性評価
 後述する実施例3,4および比較例1により得ら れたリチウムイオン二次電池の内部抵抗を評 価した。まず、0.2Cの定電流で4.0Vまで充電し 後、4.0Vで定電位充電を1時間行うことによ 、各電池を満充電の約60%の充電状態に調整 た。そして、5Cの定電流値で30秒間放電を行 、電位降下値を測定した。この電位降下値 放電電流値で除した値を電池の内部抵抗値 して、得られたリチウムイオン二次電池の 部抵抗を評価した。表2には比較例1の内部 抗値を100とした場合の実施例3,4の内部抵抗 の相対値を示す。

 実施例1
 水100重量部にフェニル基を官能基にもつノ オン型分散剤(花王製エマルゲンA-90)を0.375 量部添加し溶解させた。その溶液に繊維径20 nm、繊維長5μm、アスペクト比250のカーボンナ ノチューブを0.375重量部添加し、カーボンナ チューブの平均凝集粒径が3μmになるまで超 音波分散した。このカーボンナノチューブ分 散液に超音波を照射しながら、平均凝集粒径 2μm(一次粒子径25nm)、DBP吸収量155cm 3 /100gのカーボンブラックを0.15重量部添加し1 間超音波照射した後、平均凝集粒径1.2μmの ンガン酸リチウム7.5重量部を添加し、更に 音波による分散を2分行った。得られた分散 を噴霧乾燥機(東京理化器械製SD-1000)を用い 熱風温度135℃で噴霧乾燥した。得られた顆 6gを円筒ろ紙にいれ、ソックスレー抽出機 、400mlのエタノールにより、8時間抽出し、 粒に残留している分散剤を除去した。得ら た正極用複合材料を図1に、物性を表1に示す 。得られた正極用複合材料は、上記(9)に示す 方法で確認したところ、正極活物質粒子がカ ーボンナノチューブにより保持された複合粒 子であり、より詳細には、図1に示すように カーボンナノチューブが正極活物質粒子間 に存在するとともに、カーボンナノチュー が正極活物質粒子を網目状に包み込んだ形 を有していた。

 実施例2
 実施例1と同じ要領で噴霧乾燥して得た、分 散剤が含有した顆粒1.5gを電気炉で200℃、10時 間加熱し、分散剤を分解気化させ除去した。 得られた正極用複合材料を図2に、物性を表1 示す。得られた正極用複合材料は、上記(9) 示す方法で確認したところ、正極活物質粒 がカーボンナノチューブにより保持された 合粒子であり、より詳細には、図2に示すよ うに、カーボンナノチューブが正極活物質粒 子間隙に存在するとともに、カーボンナノチ ューブが正極活物質粒子を網目状に包み込ん だ形態を有していた。

 実施例3
 フェニル基を官能基にもつノニオン型分散 の使用量を0.15重量部、カーボンナノチュー ブの使用量を0.15重量部にしたこと以外は、 施例1と同じ手法で正極用複合材料を得た。 られた正極用複合材料を図3に、物性を表1 電池作製時の内部抵抗を表2に示す。得られ 正極用複合材料は、上記(9)に示す方法で確 したところ、正極活物質粒子がカーボンナ チューブにより保持された複合粒子であり より詳細には、図3に示すように、カーボン ナノチューブが正極活物質粒子間隙に存在す るとともに、カーボンナノチューブが正極活 物質粒子を網目状に包み込んだ形態を有して いた。

 実施例4
 カーボンナノチューブの代わりに、繊維径1 20nm、繊維長10μm、アスペクト比83のVGCF(0.225重 量部)を用い、分散剤の使用量を0.225重量部と したこと以外は、実施例1と同じ手法により 極用複合材料を得た。得られた正極用複合 料を図4に、物性を表1、電池作製時の内部抵 抗を表2に示す。得られた正極用複合材料は 上記(9)に示す方法で確認したところ、正極 物質粒子がVGCFにより保持された複合粒子で り、より詳細には、図4に示すように、VGCF 正極活物質粒子間隙に存在するとともに、VG CFが正極活物質粒子を網目状に包み込んだ形 を有していた。

 比較例1
 実施例1において、カーボンナノチューブ0.3 75重量部を使用する代わりに、カーボンブラ ク0.375重量部を使用することで、カーボン ラックの合計量を0.525重量部としたこと以外 は、実施例1と同じ手法により正極用複合材 を得た。得られた正極用複合材料の物性を 1、電池作製時の内部抵抗を表2に示す。

 比較例2
 実施例1において、分散剤を加えずに、同量 のカーボンナノチューブ、カーボンブラック 、及びマンガン酸リチウムをマグネチックス ターラーにより混合して、スラリーを調製し たこと以外は、実施例1と同じ手法により正 用複合材料を得た。得られた正極用複合材 の物性を表1に示す。なお、実施例1~4では、 霧乾燥前の分散液の状態について、上記(8) 示す方法で求めた比率が何れも130%以内であ ったが、この比較例2では、当該比率が400%で り、分散状態とはいえなかった。また、比 例2の正極用複合材料は、上記(9)に示す方法 で確認したところ、一粒の複合粒子が、繊維 状炭素がほぼ消失した正極活物質粒子と凝集 した繊維状炭素の粒子とに崩壊したため、正 極活物質粒子が繊維状炭素(カーボンナノチ ーブ)により保持された複合粒子ではなかっ 。

 表1の結果が示すように、実施例1~4のリチ ウム電池正極用複合材料は、体積抵抗が小さ く、細孔容量も十分であるため、電池の放電 時にリチウムイオンの移動がスムーズになる と考えられる。また、表2の結果が示すよう 、電池作製時の特性として、その内部抵抗 より小さくすることができた。

 一方、繊維状炭素を使用せずに得られた チウム電池正極用複合材料(比較例1)では、 積抵抗が大きく、細孔容量も不十分であり 電池作製時の内部抵抗も大きい値となった また、繊維状炭素の分散が不十分なスラリ を使用して噴霧造粒により得られたリチウ 電池正極用複合材料(比較例2)では、正極活 質粒子がカーボンナノチューブにより保持 れていないため、体積抵抗が大きかった。