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Patent Searching and Data


Title:
COMPOSITE SILVER NANOPARTICLES, COMPOSITE SILVER NANOPASTE, AND PRODUCTION METHOD, PRODUCTION APPARATUS, CONJUGATION METHOD AND PATTERNING METHOD OF THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/090846
Kind Code:
A1
Abstract:
A cold formation method of composite silver nanoparticles has been established. Thus, provided are composite silver nanoparticles comprising a silver core, which is made up of aggregated silver atoms and has an average particle diameter of from 1 to 20 nm, and an organic coating layer formed thereon which comprises at least one member selected from an alcohol molecule derivative having 1 to 12 carbon atoms, an alcohol molecule residue or an alcohol molecule; a composite silver nanopaste which contains at least the composite silver nanoparticles and a solvent and/or a tackifier added thereto; a method of producing the same; an apparatus for producing the same; a method of conjugating the same; and a method of patterning the same. The method of producing the composite silver nanoparticles comprises mixing silver salt microparticles with an alcohol solvent in excess to prepare an excess alcoholic solution, reacting the solution in a reaction chamber for a predetermined period of time at a predetermined temperature, and thus forming silver cores from the silver salt at a low temperature by the reducing effect of the alcohol and also forming an organic coating layer derived from the above-described alcohol around the silver cores.

Inventors:
KOMATSU TERUO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/073660
Publication Date:
July 23, 2009
Filing Date:
December 25, 2008
Export Citation:
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Assignee:
APPLIED NANOPARTICLE LAB CORP (JP)
KOMATSU TERUO (JP)
International Classes:
B22F1/054; B22F1/102; B22F1/107; B22F9/20; H01B1/22; H01B5/00; H01B13/00
Domestic Patent References:
WO2001070435A12001-09-27
WO2000076699A12000-12-21
WO2001070435A12001-09-27
WO2005075132A12005-08-18
Foreign References:
JP2007254841A2007-10-04
JP2007191789A2007-08-02
JP2004107728A2004-04-08
JP3205793B22001-09-04
JP2003342605A2003-12-03
JP2007095510A2007-04-12
JP2004107728A2004-04-08
Other References:
See also references of EP 2298471A4
Attorney, Agent or Firm:
MIKI, Hisami (3-8 Kyutaromachi 2-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 56, JP)
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Claims:
銀原子の集合体からなる平均粒径が1~20nmの範囲にある銀核の周囲に、炭素数が1~12のアルコール分子誘導体、アルコール分子残基、又はアルコール分子の一種以上からなる有機被覆層を形成したことを特徴とする複合銀ナノ粒子。
前記複合銀ナノ粒子が複数個凝集して凝集体を形成した請求項1に記載の複合銀ナノ粒子。
前記有機被覆層がアルコキシド基及び/又はカルボン酸基を少なくとも含有する請求項1又は2に記載の複合銀ナノ粒子。
前記複合銀ナノ粒子を昇温速度VT=1℃/minで大気中熱分析した場合に、示差熱分析(DTA)から得られる金属化温度T3(℃)が200℃以下である請求項1、2又は3に記載の複合銀ナノ粒子。
前記複合銀ナノ粒子を昇温速度VT=1(℃/min)で大気中熱分析した場合に、熱重量測定(TG)から得られる分解開始温度T1(℃)と示差熱分析(DTA)から得られる分解温度T2(℃)の関係が、T2-100≦T1≦T2である請求項1~4のいずれかに記載の複合銀ナノ粒子。
前記複合銀ナノ粒子を生成する生成温度PT(℃)が前記金属化温度T3(℃)より小さい請求項4又は5に記載の複合銀ナノ粒子。
前記複合銀ナノ粒子を高分解能透過型電子顕微鏡で観察した場合に、前記銀核に格子像が観察される請求項1~6のいずれかに記載の複合銀ナノ粒子。
前記分解開始温度T1(℃)、前記分解温度T2(℃)及び前記金属化温度T3(℃)が前記昇温速度VTの増加に従って増加する請求項4~7のいずれかに記載の複合銀ナノ粒子。
銀塩と炭素数1~12のアルコールを出発原料とする請求項1~8のいずれかに記載の複合銀ナノ粒子。
請求項1~9のいずれかに記載の複合銀ナノ粒子を少なくとも含有し、溶剤及び/又は粘性付与剤を添加したことを特徴とする複合銀ナノペースト。
銀微粒子を配合した請求項10に記載の複合銀ナノペースト。
前記複合銀ナノペーストを昇温速度VT(℃/min)で大気中熱分析した場合に、熱重量測定(TG)及び示差熱分析(DTA)から得られるペースト分解開始温度Tp1(℃)、ペースト分解温度Tp2(℃)及びペースト金属化温度Tp3(℃)が前記昇温速度VTの増加に従って増加する請求項10又は11に記載の複合銀ナノペースト。
前記複合銀ナノ粒子及び前記複合銀ナノペーストを昇温速度VT=1~20(℃/min)で大気中熱分析した場合に、夫々の金属化温度をT3(℃)及びTp3(℃)としたとき、T3≦Tp3≦T3+50が成立する請求項10、11又は12に記載の複合銀ナノペースト。
銀塩微粒子を炭素数1~12のアルコール溶媒中に混合してアルコール溶液を調製し、前記アルコール溶液を反応室中で所定の生成温度PTで所定の生成時間だけ加熱して、前記アルコール溶媒により前記銀塩微粒子を還元して平均粒径が1~20nmの銀核を形成し、この銀核の周囲に前記アルコール溶媒のアルコール分子誘導体、アルコール分子残基、又はアルコール分子の一種以上からなる有機被覆層を形成することを特徴とする複合銀ナノ粒子の製法。
前記銀塩微粒子が前記アルコール溶媒に分散又は溶解している請求項14に記載の複合銀ナノ粒子の製法。
前記アルコール溶液は、前記アルコール溶媒が前記銀塩微粒子のモル数よりも過剰に添加された過剰アルコール溶液である請求項14又は15に記載の複合銀ナノ粒子の製法。
前記複合銀ナノ粒子を昇温速度VT=1(℃/min)で大気中熱分析したとき、示差熱分析(DTA)から得られる金属化温度T3(℃)が200℃以下である請求項14、15又は16に記載の複合銀ナノ粒子の製法。
前記生成温度PT(℃)が前記金属化温度T3(℃)より小さい請求項17に記載の複合銀ナノ粒子の製法。
前記複合銀ナノ粒子の前記生成時間は60分以内である請求項14~18のいずれかに記載の複合銀ナノ粒子の製法。
前記生成時間後に前記アルコール溶液を冷却して生成反応を停止させる請求項14~19のいずれかに記載の複合銀ナノ粒子の製法。
前記銀塩微粒子は粒径が10nm~1000nmの範囲になるまで微細化処理される請求項14~20のいずれかに記載の複合銀ナノ粒子の製法。
前記過剰アルコール溶液における前記アルコール溶媒の銀塩微粒子に対するモル比は5~100の範囲に調整される請求項16~21のいずれかに記載の複合銀ナノ粒子の製法。
前記複合銀ナノ粒子が生成された前記アルコール溶液から前記複合銀ナノ粒子を分離する請求項14~22のいずれかに記載の複合銀ナノ粒子の製法。
銀塩微粒子をアルコール溶媒に混合してアルコール溶液を調製する原料混合器と、前記アルコール溶液を加熱器により所定温度で所定時間だけ加熱して複合銀ナノ粒子を生成する反応器と、前記反応器から供給される前記アルコール溶液を冷却する冷却器とを有し、前記冷却器から供給されるアルコール溶液から複合銀ナノ粒子を分離する成分精製器を付設することができ、前記原料混合器と前記反応器と前記冷却器と成分精製器が連続式、一部連続式又はバッチ式に接続されることを特徴とする複合銀ナノ粒子の製造装置。
前記原料混合器に投入される銀塩微粒子は事前に微細化処理されている請求項24に記載の複合銀ナノ粒子の製造装置。
前記原料混合器から供給されるアルコール溶液中の銀塩微粒子を微細化する微細化器と、前記微細化器により形成された微細化アルコール溶液を前記反応器に供給する請求項24に記載の複合銀ナノ粒子の製造装置。
前記成分精製器から供給される前記複合銀ナノ粒子を含有する精製液を処理して、前記複合銀ナノ粒子をアルコール湿式状態又は粉体として回収する請求項24~26のいずれかに記載の複合銀ナノ粒子の製造装置。
前記成分精製器は遠心限外濾過装置から構成され、微細孔を介して前記複合銀ナノ粒子を抽出溶媒中に拡散させて前記精製液を形成する請求項24~27のいずれかに記載の複合銀ナノ粒子の製造装置。
前記限外濾過装置は内管、中管、外管の三重管からなり、前記内管及び中管を同軸回転させ、前記複合銀ナノ粒子を生成した過剰アルコール溶液は前記内管と中管の間の中通路に供給され、前記微細孔は前記内管の表面に形成され、前記内管内部の内通路に前記抽出溶媒を供給し、前記複合銀ナノ粒子は前記中通路から前記微細孔を介して前記抽出溶媒中に選択的に拡散される請求項28に記載の複合銀ナノ粒子の製造装置。
請求項10~13のいずれかに記載の複合銀ナノペーストを用意し、前記複合銀ナノペーストを下体に塗着してペースト層を形成し、前記ペースト層上に上体を配置し、加熱により前記ペースト層を銀化して前記下体と前記上体を接合することを特徴とする接合方法。
請求項10~13のいずれかに記載の複合銀ナノペーストを用意し、前記複合銀ナノペーストを基体の面上に所定パターンに塗着してペーストパターンを形成し、加熱により前記ペーストパターンを銀化して銀パターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。
Description:
複合銀ナノ粒子、複合銀ナノペ スト、その製法、製造装置、接合方法及び ターン形成方法

 本発明は、多数の銀原子からなる銀核の 囲に有機物からなる有機被覆層を形成した 合銀ナノ粒子に関し、特に詳細には、所定 度に加熱することにより前記有機被覆層を 散させて、金属化、即ち銀化する複合銀ナ 粒子、複合銀ナノペースト、その製法、製 装置、接合方法及びパターン形成方法に関 る。

 一般に、半導体、電子回路、電子機器な は各種の電子部品を基板に半田で溶融固定 て電気的導通性を確保している。しかし、 来の半田はSnとPbの合金であり、近年の環境 保全対策としてPbの使用が禁止されつつある め、前記従来半田に替わるPbフリーの代替 田が開発されつつある。SnとPbの共晶半田の 点は183℃であり、従来代替半田であるSn・Ag ・Cu半田の融点は217℃である。樹脂基板に半 付けする場合には、樹脂の耐熱性は低いか 、従来の代替半田では融点が高過ぎて、樹 基板を損傷することが有り、低温用半田が 望されていた。上記の従来代替半田の融点 ら考慮しても、200℃以下で接合できる代替 田が切望されている。

 代替半田の特性として、Pbを含有せず、 かも金属化温度が低いことは当然であるが その他に安全性が高く、腐食性が無く、し も電気伝導性や熱伝導性が良好であること 要望されている。この期待に応える素材と て銀が注目された。しかも、融点を低下さ るために、超微粒子の複合銀ナノ粒子が開 されるに到った。

 特許文献1として特許第3205793号公報(特開 10-183207号)が公開された。出発物質として銀 有機化合物(特に銀有機錯体)が選択された。 気を遮断した不活性ガス雰囲気下で、前記 有機化合物を分解開始温度以上で、且つ完 分解温度未満の温度で加熱し、分解還元さ た銀核の周囲に前記銀有機化合物由来の有 物を被覆層とした複合銀ナノ粒子が製造さ た。この製法は固体-気体反応である。銀核 の粒径は1~100nmであり、そのため通称で複合 ナノ粒子と称される。具体的には、固形の テアリン酸銀100gを窒素気流下のフラスコ内 おいて250℃で4時間加熱すると、粒径5nmの銀 核の周囲にステアリン酸基の有機被覆層を有 する複合銀ナノ粒子が生成された。

 前記製法では、ステアリン酸銀の固形物 溶媒無しに加熱するため、生成された複合 ナノ粒子が分散し難く、多数の複合銀ナノ 子が団子状態に結合した大きな2次粒子にな る欠点がある。しかも、生成温度は250℃と高 く、複合銀ナノ粒子の金属化温度は220℃と極 めて高いことが分かる。生成温度が高い銀ナ ノ粒子は銀化温度も高くなる。一般のSn-Pb半 の融点が183℃であり、切望される接合温度 200℃以下であることを考慮すると、前記金 化温度(銀化温度)が220℃では高すぎ、低温 の代替半田として使用することは困難であ た。金属化温度が高いのは、団子状態の巨 粒子であり、且つステアリン酸基の分解温 が高いためであると考えられる。しかも、 記銀核は単結晶ではなく、単なる原子集団 あり、若しくは多結晶であることをその発 者から確認している。銀核が多結晶や無秩 の場合、多数の粒界面での電子散乱や熱散 が生じ、その結果、電気伝導度や熱伝導度 低下する原因となる。

 次に、特許文献2として特開2003-342605号公 が公開された。前記特許文献2は、発明者の 一人として本発明者も参加した発明である。 金属有機化合物を有機溶媒や水中に溶解・分 散させて、前記金属有機化合物由来の有機物 を被覆した複合銀ナノ粒子の製造に成功した 。この製法は固体-液体反応である。しかも この複合銀ナノ粒子を高分解能透過型電子 微鏡で観察すると、銀核に格子像が確認さ 、単結晶銀核であることが確認された。固 反応法に基づき、金属有機化合物が分子と て溶媒中に溶解分散し、前記分子を還元し 銀原子を析出させ、銀原子同士の再結合に り単結晶化したものと考えられる。即ち、 の単結晶性は分子間反応に起因すると考え れる。銀核が単結晶であるから、電気伝導 や熱伝導度が高い利点がある。しかし、銀 温度については、[0076]に、ステアリン酸基 覆の複合銀ナノ粒子を250℃で10分間加熱した 、と書かれている。つまり、銀化温度が250℃ とかなり高温であることが、特許文献2の弱 である。銀化温度が高い理由は、酢酸銀、 キサン酸銀、オクタン酸銀などの銀有機化 物から出発しているため、被覆層を構成す 有機酸基の分解温度が高いためである。金 化温度を200℃以下にする更なる工夫が必要 ある。

 そこで、特許文献3としてWO00/076699号公報 公開された。本発明者はこの国際公開公報 発明者の一人である。この公開公報には複 の発明が開示されているが、その中でも金 無機化合物を界面活性剤を用いて処理する 法が初めて公開され、金属無機化合物を出 物質とする道が開かれた。即ち、金属無機 合物を界面活性剤を用いて非水系溶媒中で ロイド化して超微粒子前駆体を形成する第1 工程と、このコロイド溶液中に還元剤を添加 して前記超微粒子前駆体を還元し、金属核の 外周に界面活性剤殻を被覆層として形成した 複合金属ナノ粒子を生成する第2工程から構 される。

 前記方法は、非水系溶媒に金属無機化合 を溶解させるから、生成した複合金属ナノ 子同士が非水系溶媒中に分散し、団子状態 なり難い特徴を有している。しかし、実施 は、オレイン酸銅、アビエチン酸銀、酢酸 、オレイン酸ニッケル、ジエチルヘキサン ンジウム、酢酸銅、ステアリン酸銀であり 有機金属化合物しか実施されていない。し も、ステアリン酸銀から生成された複合銀 ノ粒子の金属化温度は220℃と高いことが分 った。金属化温度を200℃以下にする更なる 夫が必要である。Sn-Pb半田よりも更に高特 にするには、金属化温度を150℃以下にする 層の努力が要求される。しかも、特許文献3 は、銀核の単結晶性・多結晶性の判定がな れていないから、複合金属ナノ粒子の電気 導性や熱伝導性の良否が判定不能である。

 以上の状況下で、特許文献4としてWO01/070435 公報が公開され
た。この国際公開公報には、金属塩から得ら れる粒径が1~100nmの金属核の周囲に炭素数4以 のアルコール性水酸基を含む有機化合物か なる被覆層を形成した複合金属ナノ粒子が 示されている。しかも、吸着性を有する官 基を含む有機化合物として、炭素数6以上の 高級アルコールが記載されている。

 更に、特許文献5としてWO2005/075132号公報 公開された。この公報には、中心部が金属 からなり、その周囲に熱脱離開始温度が140 以上で190℃未満の有機物の被覆層を有した 合金属ナノ粒子が開示されている。製法と て、無機金属塩と有機物質を共存させ、無 金属塩が分解して金属核が形成され、その 囲に有機物の被覆層が形成された複合金属 ノ粒子が製造されることが記載されている また、無機金属塩又は分解生成された無機 属化合物の周囲に有機物の被覆層が形成さ た複合金属ナノ粒子も開示されている。

 特許文献6として特開2007-95510号公報が公開 れている。特許文献6の請求項1には、(R-A) n -Mの化学式で表現される金属塩に由来する金 成分から構成された金属コアと、前記金属 に由来する有機被覆層からなる複合金属ナ 粒子と有機溶媒よりなる導電性ペーストが 示されている。Rは炭素数4~9の炭化水素基、 AはCOO、OSO 3 、SO 3 又はOPO 3 であり、Mは銀、金又は白金族である。従っ 、複合銀ナノ粒子が包含されている。

 特許文献7として特開2004-107728号公報が開 されている。特許文献7の請求項1には、平 粒径100nm以下の金属核の周囲にC、H及び/又は Oを主成分とする有機被覆層を有する複合金 ナノ粒子が記載され、この有機被覆層は有 酸金属塩から生成されたものであることが 載されている。

特許第3205793号(特開平10-183207号)

特開2003-342605号

WO00/076699号

WO01/070435号

WO2005/075132号

特開2007-95510号

特開2004-107728号

 特許文献4には、5~10nmの粒径の複合銀ナノ 粒子は、有機化合物の分解温度が80℃以下で れば、銀皮膜形成温度は80℃になることが 載され、分解温度が80℃以上であれば、その 分解温度にまで加熱すれば銀皮膜を形成でき ることが記載されている。しかし、前述内容 は単なる希望的観測であるに過ぎず、実施例 には、そのような例は一切記載されていない 。以下に、具体的に述べてみよう。

 実施例1には、ギ酸銅と1-デカノールを反 させると、185℃付近から溶液が変色して複 銀ナノ粒子ができ、その銀化焼成温度は200~ 350℃であり、250~300℃が好ましいと記載され いる。実施例2には、炭酸銀とミリスチン酸( C数は14)から、230℃で溶液変色により複合銀 ノ粒子ができたと記載され、空気中焼成で 250℃で銀コーティング膜が形成されている 実施例3では、炭酸銀とステアリルアルコー (C数は18)から、150℃にて1時間加熱で溶液変 により複合銀ナノ粒子の生成が確認されて るが、窒素雰囲気下での銀化温度は250℃と 載されている。実施例4では、炭酸銀とフェ ノール(C数は6)から、180℃にて1時間加熱で溶 変色により複合銀ナノ粒子の生成が確認さ 、銀化温度は300℃と記載されている。実施 5では、酢酸銅とラウリルアルコール(C数は1 2)から、100℃にて1時間加熱で溶液変色により 複合銀ナノ粒子の生成が確認されたが、水素 添加窒素の雰囲気下では銀化温度は250℃であ った。

 更に、実施例6では、塩化白金とエチレン グリコール(C数は2)から、180℃にて1時間加熱 溶液変色により複合白金ナノ粒子の生成が 認されたが、加熱処理温度は300℃であった 実施例7では、酢酸銅とラウリルアルコール (C数は12)から、110℃にて溶液変色により複合 ナノ粒子の生成が確認されているが、窒素 囲気下での銅化温度は300℃であった。最後 、実施例8では、酢酸銅とエタノール(C数は2 )とノニオン性界面活性剤(ソルビタントリス アレート)から、150℃にて溶液変色により複 合銅ナノ粒子の生成が確認されているが、窒 素雰囲気下での銅化温度は300℃であった。

 以上のように、特許文献3の8個の実施例 は、C数14以上の有機被覆層を有した銀核が 載されているだけで、しかも銀化温度(金属 温度)は200℃以上の高温である。炭素数が14 上であるから分子量が大きくなり、有機被 層の重量が銀核重量に対し相対的に増大し 有機分量が増大した分だけ焼成時の排ガス が増え、ペーストとしての適格性が低下す 。しかも、いずれの複合銀ナノ粒子も金属 温度が200℃をかなり超えており、切望され 200℃以下の金属化温度を実現する複合金属 ノ粒子は生成されていない。従って、代替 田として不適格であることが明らかである 即ち、本発明の目的であるアルコール由来 有機被覆層、換言すれば、炭素数が1~12のア ルコール分子誘導体、アルコール分子残基、 又はアルコール分子の一種以上からなる有機 被覆層を有することによって、200℃以下の金 属化、更に好ましくは150℃以下の金属化を達 成するには、ほど遠い状態であることが明白 である。しかも、銀や銅の金属核について、 単結晶核か多結晶核のいずれであるかは記載 もされず、示唆さえされていないのが実情で ある。従って、電気伝導性や熱伝導性の良否 に関しては全く判定不能である。

 特許文献5には、理解不能の事が記載されて いる。無機金属塩と有機物質を共存させると 、無機金属塩又は分解された無機金属化合物 を含む中心核の周囲に有機物の被覆層が形成 されると記載されている。例えば、6頁には 炭酸銀(無機金属塩)とミリスチルアルコール (有機物質、C数は14)の混合物を120℃で2時間反 応させると、有機物が銀又は炭酸銀に物理吸 着した複合銀ナノ粒子が生成される、と記載 されている。炭酸銀の周囲に有機物が付着す ると、炭酸銀から銀析出する熱分解温度は400 ℃を超えることは、以下の反応式から明白で ある。
  Ag 2 CO 3 →Ag 2 O+CO 2  (150℃<T<210℃) (A)
  Ag 2 O→2Ag+1/2O 2  (T>400℃)      (B)
まず、式(A)の反応が生起するが、式(B)の分解 温度は400℃以上であり、200℃以下の金属化を 達成できず、融点183℃のSn-Pb半田の代替品と ても不適格である。しかも、銀核の結晶性 全く記載されておらず、電気伝導性と熱伝 性の良否の判定は全く不能である。

 更に、手続補正書により補正された請求項7 には、炭酸銀とミリスチルアルコールとを共 存させて加熱し、70℃以上、140℃未満の温度T (℃)で、下記の式(C)が成立する時間t(h)にわた って加熱して得られた複合銀ナノ粒子が記載 されている。
 7.85≦(T+273)(20+logt)×10-3≦7.98  (C)

 式(C)に、T=70℃を代入して保持時間t(h)を 算すると、794h≦t≦1995hとなり、70℃での生 時間は794時間~1995時間になり、日数換算する と33日~83日になり、生成時間は月単位になる これは明らかに間違っている。T=100℃を代 すると、11.22h≦t≦24.54hなり、生成時間は半 ~1日となる。この結果は本発明とは全く逆 ことを示している。T=140℃を代入すると、0.1 h≦t≦0.2hとなり、換言するとt=6分~12分である から、やっとナノ銀生成に妥当な領域に入る が、上記(C)式の限界領域で妥当になっても、 それは指針にもならない式であることは明白 である。しかも、T=200℃にすれば反応時間は 十秒~数秒ということになり、これも本発明 者の結果とは全く異なる。数十秒~数秒の反 時間では複合銀ナノ粒子を生成する化学反 を制御することすら不可能である。勿論、 記(C)式は140℃以下の制限があるから、200℃ 適用することができないことは当然である 後述する本発明者等の発明によれば、反応 度が50℃~200℃の範囲では、反応時間は1時間 内であり、温度が高くなるにつれて反応時 は急速に短縮され、200℃では数分にする必 がある。その理由は、反応時間が長くなる 複合ナノ粒子が急速に凝集し、しかも金属 が同時的に発生するからである。特許文献5 の内容は、本発明とは全く逆の事を示してお り、参考にさえすることができない。また、 ミリスチルアルコールはC数が14と分子量が大 きく、銀核に対する有機被覆層の重量が増大 して、焼成温度が高くなると同時に、焼成時 の排ガス量が増大して、接合時に大量のボイ ドが生じ、接合用ペーストとしての適格性が 低下する欠点を有する。

 特許文献6の複合金属ナノ粒子は、金属塩を 分解した分解生成物として金属核と有機被覆 層が形成されるもので、有機金属化合物から 出発する点で本発明とは異なる。本発明は、 炭酸銀から銀核を形成し、アルコールから有 機被覆層を形成するもので、製法が全く異な っている。しかも、有機被覆層は炭化水素基 とCOO、OSO 3 、SO 3 又はOPO 3 との結合基であり、構造が複雑で分解温度が 高い。特に、硫黄Sが含まれているため、焼 により大気汚染成分であるSO X が生成され、環境基準に適合しないものであ る。[0018]に記載されるように、金属化温度を 150℃程度に達成できても、実施することが不 可能な複合金属ナノ粒子である。また、半導 体接合には不適なSやPを含有しており、半導 接合時にSやPが半導体中へ拡散するおそれ あるため、半導体接合には使用できない弱 を有する。しかも、金属核の結晶性は全く 載も示唆もされておらず、電気伝導性と熱 導性の良否の判定は全く不能である。

 特許文献7の複合金属ナノ粒子は、有機酸 金属塩を分解して有機被覆層が形成されるか ら、有機被覆層は有機酸基であり、気散温度 はかなり高くなる。その[0031]には融点が210℃ であることが記載され、[0068]には210~250℃の 度範囲で焼成することが記載されている。 って、本発明が目的とする200℃以下、好ま くは150℃以下の金属化は、特許文献7では到 実現できない。しかも、金属核の結晶性は く記載も示唆もされておらず、電気伝導性 熱伝導性の良否の判定は全く不能である。

 本発明は、上記課題に鑑みてなされたも であって、C数が1~12のアルコール由来の有 被覆層を有した複合銀ナノ粒子を低温で生 する方法及び製造装置を確立し、C数が小さ ために銀核重量が従来よりかなり増大し、 つ200℃以下の金属化温度(銀化温度)を実現 たアルコール由来有機被覆型の複合銀ナノ 子を提供するものである。前記アルコール 来有機被覆層は、アルコール分子誘導体、 ルコール分子残基又はアルコール分子の一 以上からなるから、焼成してもH2OとCO2が生 されるだけであり、環境基準に完全に適合 る。しかも、200℃以下で金属化するから、Pb -Sn半田の代替半田として利用できる。しかも 、分解開始温度T1と分解温度T2の相互関係がT2 -100≦T1≦T2の範囲に制限することに成功し、 温焼成が可能な複合銀ナノ粒子を製造する とに成功した。そのような複合銀ナノ粒子 生成温度PT(℃)は金属化温度T3より小さくで るから、PT≦T3≦200℃の不等式が成立する低 温生成に成功したものである。しかも、本発 明方法により製造される複合銀ナノ粒子を高 分解能透過電子顕微鏡により観察すると、格 子像が明瞭に確認され、結晶性の高い複合銀 ナノ粒子であることが実証された。従って、 高い電気伝導性及び熱伝導性を有する複合銀 ナノ粒子を製造することに成功したものであ る。同時に、前記複合銀ナノ粒子を含んだ複 合銀ナノペーストを提供する。この複合銀ナ ノペーストを用いて半導体や電子部品の接合 を行う接合方法を確立し、同時に低融点基板 に銀パターンを焼成するパターン形成方法を 確立した。更に、前述した様に、アルコール 由来物質とは、具体的にはアルコール誘導体 、アルコール残基又はアルコール分子であり 、焼成してH2OとCO2しか発生しないから、半導 体などの電子部品接合にも有効に適用するこ とが可能である。アルコール誘導体にはカル ボン酸やカルボン酸基、またアルコキシドや アルコキシド基も含まれ、アルコールから化 学反応により誘導される化合物全般が包含さ れる。

 本発明は上記課題を解決するために為さ たものであり、本発明の第1形態は、銀原子 の集合体からなる平均粒径が1~20nmの範囲にあ る銀核の周囲に、炭素数が1~12のアルコール 子誘導体、アルコール分子残基、又はアル ール分子の一種以上からなる有機被覆層を 成した複合銀ナノ粒子である。

 本発明の第2形態は、前記第1形態におい 、前記複合銀ナノ粒子が複数個凝集して凝 体を形成した複合銀ナノ粒子である。

 本発明の第3形態は、前記第1又は第2形態 おいて、前記有機被覆層がアルコキシド基 び/又はカルボン酸基を少なくとも含有する 複合銀ナノ粒子である。

 本発明の第4形態は、前記第1、第2又は第3 形態において、前記複合銀ナノ粒子を昇温速 度VT=1℃/minで大気中熱分析した場合に、示差 分析(DTA)から得られる金属化温度T3(℃)が200 以下の複合銀ナノ粒子である。

 本発明の第5形態は、前記第1~第4形態のい ずれかにおいて、前記複合銀ナノ粒子を昇温 速度VT=1(℃/min)で大気中熱分析した場合に、 重量測定(TG)から得られる分解開始温度T1(℃) と示差熱分析(DTA)から得られる分解温度T2(℃) の関係が、T2-100≦T1≦T2である複合銀ナノ粒 である。

 本発明の第6形態は、前記第4又は第5形態 おいて、前記複合銀ナノ粒子を生成する生 温度PT(℃)が前記金属化温度T3(℃)より小さ 複合銀ナノ粒子である。

 本発明の第7形態は、前記第1~第6形態のい ずれかにおいて、前記複合銀ナノ粒子を高分 解能透過型電子顕微鏡で観察した場合に、前 記銀核に格子像が観察される複合銀ナノ粒子 である。

 本発明の第8形態は、前記第4~第7形態のい ずれかにおいて、前記分解開始温度T1(℃)、 記分解温度T2(℃)及び前記金属化温度T3(℃)が 前記昇温速度VTの増加に従って増加する複合 ナノ粒子である。

 本発明の第9形態は、前記第1~第8形態のい ずれかにおいて、銀塩と炭素数1~12のアルコ ルを出発原料とする複合銀ナノ粒子である

 本発明の第10形態は、前記第1~第9形態の ずれかの複合銀ナノ粒子を少なくとも含有 、溶剤及び/又は粘性付与剤を添加した複合 ナノペーストである。

 本発明の第11形態は、前記第10形態におい て、銀微粒子を配合した複合銀ナノペースト である。

 本発明の第12形態は、前記第10又は第11形 において、前記複合銀ナノペーストを昇温 度VT(℃/min)で大気中熱分析した場合に、熱 量測定(TG)及び示差熱分析(DTA)から得られる ースト分解開始温度Tp1(℃)、ペースト分解温 度Tp2(℃)及びペースト金属化温度Tp3(℃)が前 昇温速度VTの増加に従って増加する複合銀ナ ノペーストである。

 本発明の第13形態は、前記第10、第11又は 12形態において、前記複合銀ナノ粒子及び 記複合銀ナノペーストを昇温速度VT=1~20(℃/mi n)で大気中熱分析した場合に、夫々の金属化 度をT3(℃)及びTp3(℃)としたとき、T3≦Tp3≦T3 +50が成立する複合銀ナノペーストである。

 本発明の第14形態は、銀塩微粒子を炭素 1~12のアルコール溶媒中に混合してアルコー 溶液を調製し、前記アルコール溶液を反応 中で所定の生成温度PTで所定の生成時間だ 加熱して、前記アルコール溶媒により前記 塩微粒子を還元して平均粒径が1~20nmの銀核 形成し、この銀核の周囲に前記アルコール 媒のアルコール分子誘導体、アルコール分 残基、又はアルコール分子の一種以上から る有機被覆層を形成する複合銀ナノ粒子の 法である。

 本発明の第15形態は、前記第14形態におい て、前記銀塩微粒子が前記アルコール溶媒に 分散又は溶解している複合銀ナノ粒子の製法 である。

 本発明の第16形態は、前記第14又は第15形 において、前記アルコール溶液は、前記ア コール溶媒が前記銀塩微粒子のモル数より 過剰に添加された過剰アルコール溶液であ 複合銀ナノ粒子の製法である。

 本発明の第17形態は、前記第14、第15又は 16形態において、前記複合銀ナノ粒子を昇 速度VT=1(℃/min)で大気中熱分析したとき、示 熱分析(DTA)から得られる金属化温度T3(℃)が2 00℃以下である複合銀ナノ粒子の製法。

 本発明の第18形態は、前記第17形態におい て、前記生成温度PT(℃)が前記金属化温度T3( )より小さい複合銀ナノ粒子の製法である。

 本発明の第19形態は、前記第14~第18形態の いずれかにおいて、前記複合銀ナノ粒子の前 記生成時間は60分以内である複合銀ナノ粒子 製法である。

 本発明の第20形態は、前記第14~第19形態の いずれかにおいて、前記生成時間後に前記ア ルコール溶液を冷却して生成反応を停止させ る複合銀ナノ粒子の製法である。

 本発明の第21形態は、前記第14~第20形態の いずれかにおいて、前記銀塩微粒子は粒径が 10nm~1000nmの範囲になるまで微細化処理される 求項13~19のいずれかに記載の複合銀ナノ粒 の製法である。

 本発明の第22形態は、前記第16~第21形態の いずれかにおいて、前記過剰アルコール溶液 における前記アルコール溶媒の銀塩微粒子に 対するモル比は5~100の範囲に調整される複合 ナノ粒子の製法である。

 本発明の第23形態は、前記第14~第22形態の いずれかにおいて、前記複合銀ナノ粒子が生 成された前記アルコール溶液から前記複合銀 ナノ粒子を分離する複合銀ナノ粒子の製法で ある。

 本発明の第24形態は、銀塩微粒子をアル ール溶媒に混合してアルコール溶液を調製 る原料混合器と、前記アルコール溶液を加 器により所定温度で所定時間だけ加熱して 合銀ナノ粒子を生成する反応器と、前記反 器から供給される前記アルコール溶液を冷 する冷却器とを有し、前記冷却器から供給 れるアルコール溶液から複合銀ナノ粒子を 離する成分精製器を付設することができ、 記原料混合器と前記反応器と前記冷却器と 分精製器が連続式、一部連続式又はバッチ に接続される複合銀ナノ粒子の製造装置で る。

 本発明の第25形態は、前記第24形態におい て、前記原料混合器に投入される銀塩微粒子 は事前に微細化処理されている複合銀ナノ粒 子の製造装置である。

 本発明の第26形態は、前記第24形態におい て、前記原料混合器から供給されるアルコー ル溶液中の銀塩微粒子を微細化する微細化器 と、前記微細化器により形成された微細化ア ルコール溶液を前記反応器に供給する複合銀 ナノ粒子の製造装置である。

 本発明の第27形態は、前記第24~第26形態の いずれかにおいて、前記成分精製器から供給 される前記複合銀ナノ粒子を含有する精製液 を処理して、前記複合銀ナノ粒子をアルコー ル湿式状態又は粉体として回収する複合銀ナ ノ粒子の製造装置である。

 本発明の第28形態は、前記第24~第27形態の いずれかにおいて、前記成分精製器は遠心限 外濾過装置から構成され、微細孔を介して前 記複合銀ナノ粒子を抽出溶媒中に拡散させて 前記精製液を形成する複合銀ナノ粒子の製造 装置である。

 本発明の第29形態は、前記第28形態におい て、前記限外濾過装置は内管、中管、外管の 三重管からなり、前記内管及び中管を同軸回 転させ、前記複合銀ナノ粒子を生成した過剰 アルコール溶液は前記内管と中管の間の中通 路に供給され、前記微細孔は前記内管の表面 に形成され、前記内管内部の内通路に前記抽 出溶媒を供給し、前記複合銀ナノ粒子は前記 中通路から前記微細孔を介して前記抽出溶媒 中に選択的に拡散される複合銀ナノ粒子の製 造装置である。

 本発明の第30形態は、前記第10~第13形態の いずれかの複合銀ナノペーストを用意し、前 記複合銀ナノペーストを下体に塗着してペー スト層を形成し、前記ペースト層上に上体を 配置し、加熱により前記ペースト層を銀化し て前記下体と前記上体を接合する接合方法で ある。

 本発明の第31形態は、前記第10~第13形態の いずれかの複合銀ナノペーストを用意し、前 記複合銀ナノペーストを基体の面上に所定パ ターンに塗着してペーストパターンを形成し 、加熱により前記ペーストパターンを銀化し て銀パターンを形成するパターン形成方法で ある。

 本発明の第1形態によれば、銀原子の集合体 からなる平均粒径が1~20nmの範囲にある銀核の 周囲に、炭素数が1~12のアルコール分子誘導 、アルコール分子残基又はアルコール分子 一種以上からなる有機被覆層を形成した複 銀ナノ粒子が提供される。炭素数(C数)が1~12 アルコールであるから、C14以上と比較して ルコール分子量が従来よりも比較的小さく 焼成時の排ガス量が少ないだけにボイド発 量が少なくなり、接合強度が高く且つ銀核 量比が増大する利点がある。有機被覆層は ルコール由来成分から構成されるので、手 に付着しても安全であり、焼成によりCO 2 とH 2 Oが気散するだけであるから極めて安全で、 境保全に有効である。アルコール分子誘導 とはアルコール分子から誘導生成されるア コール誘導物質全般であり、カルボン酸や ルボン酸基、アルコキシドやアルコキシド などが含まれる。アルコール分子残基とは ルコール分子の一部成分が分離された残基 あり、アルコキシドやアルコキシド基も含 れ、その他の切断残基も含まれる。アルコ ル分子とはアルコール分子自体である。
 複合銀ナノ粒子の銀核粒径は1~20nmであり、 合銀ナノ粒子自体の粒径はアルコール有機 覆層の厚み分だけ増大するが、炭素数が1~12 に制限されるから、その厚みはそれほど大き くない。炭素数が小さくなるほどその厚みも 小さくなり、同時に銀核重量比が増大し、接 合強度も強くなる性質を有する。

 本発明の第2形態によれば、複合銀ナノ粒子 が複数個凝集して凝集体を形成した複合銀ナ ノ粒子が提供される。本発明の複合銀ナノ粒 子は有機溶媒中で単分散する性質を有するが 、生成中の衝突作用で凝集して凝集体を形成 する場合があり、本発明ではその凝集体も複 合銀ナノ粒子と称する。その結果、複合銀ナ ノ粒子が集合した粉体の粒度分布は小から大 へ分布し、最小限界は単一の複合銀ナノ粒子 粒径d 0 であり、最大限界は凝集個数Nの1/3乗に比例 るから、d 0 (Nmax) 1/3 になる。このように粒径が分布した複合銀ナ ノ粒子粉体を用いると、大小の複合銀ナノ粒 子が相互に隙間を埋設しながら焼結するから 、隙間が少ない分だけ接合強度が増大する効 果を有する。

 本発明の第3形態によれば、有機被覆層がア ルコキシド基及び/又はカルボン酸基を少な とも有した複合銀ナノ粒子が提供される。 数個凝集して凝集体を形成した複合銀ナノ 子が提供される。アルコールの分子式をC n H 2n+1 OHとしたとき、そのアルコキシド基とはC n H 2n+1 Oであり、更に低級のアルコキシド基でも、 記アルコキシド基に相当する。アルコキシ 基はアルコール分子残基といっても良いが アルコール分子誘導体といっても構わない また、アルコールの分子式をC n H 2n+1 OHとしたとき、そのカルボン酸基とはC n-1 H 2n-1 COOであるが、更に低級のカルボン酸基でも構 わない。このカルボン酸基はアルコール分子 誘導体に含まれる。有機被覆層がカルボン酸 基やアルコキシド基を含む場合には、複合銀 ナノ粒子が極めて安全である。また、生成後 の有機被覆層が時間的に変化して、カルボン 酸基になったり、アルコキシド基になったり 、それらの混合層に変化する事もある。C n H 2n+1 Oは狭義のアルコキシド基であるが、本発明 アルコキシド被覆複合銀ナノ粒子と称する 合は広義の意味で使用され、前記アルコー 由来有機被覆層を有した複合銀ナノ粒子を 味する。有機被覆層の材料は全てアルコー 由来であり、アルコールの安全性は他の有 物と比較して極めて高いから、本発明の複 銀ナノ粒子は、安全性、環境保全性、取扱 易性において保証される。

 本発明の第4形態によれば、前記複合銀ナノ 粒子を昇温速度VT=1℃/minで大気中熱分析した 合に、示差熱分析(DTA)から得られる金属化 度T3(℃)が200℃以下の複合銀ナノ粒子が提供 れる。複合銀ナノ粒子を大気中で示差熱分 (DTA)すると、有機被覆層が酸化して反応熱 発生し、大きなDTAピークが形成される。こ DTAピークが単一ピークで構成される場合に 、この単一ピークが終了した温度が金属化 度T3(℃)である。前記DTAピークが複数ピーク 構成される場合には、最終ピークが終了し 温度が金属化温度T3(℃)である。熱重量測定 (TG)の観点では、TG曲線の減少終了温度が前記 金属化温度T3(℃)に相当する。本発明では、 記金属化温度T3が200℃以内であるから、複合 銀ナノ粒子を低温焼成することが可能になる 。DTA測定時の昇温速度VTが大きくなると、前 温度T3も増大するが、本発明ではVT=1℃/minで 測定した場合の金属化温度T3(℃)が200℃以下 ある。
 当初、本発明者は、低温焼成型の複合銀ナ 粒子を研究し、T3≦150℃又はT2≦150℃を満足 する複合銀ナノ粒子を開発したが、更に研究 を重ねてT3≦200℃の範囲の複合銀ナノ粒子を 発するに到ったものである。従来文献を検 しても、T3≦200℃の複合銀ナノ粒子は存在 ず、本発明によりT3≦200℃の複合銀ナノ粒子 が初めて実現したものである。
 金属化温度T3が200℃以下の複合銀ナノ粒子 開発により、従来のSn-Pb半田の融点183℃に匹 敵する高特性の代替半田を提供することに成 功したものである。金属化温度T3が200℃以下 あるから、製造装置や製造設備のコストも 幅に低減できる。従って、本発明の複合銀 ノ粒子は、プリント配線・導電性材料など 電子材料、磁気記録媒体・電磁波吸収体・ 磁波共鳴器などの磁性材料、遠赤外材料・ 合皮膜形成材などの構造材料、焼結助剤・ ーティング材料などのセラミックス・金属 料、医療材料などの各種用途に適用できる

 本発明の第5形態によれば、前記複合銀ナノ 粒子を昇温速度VT=1(℃/min)で大気中熱分析し 場合に、熱重量測定(TG)から得られる分解開 温度T1(℃)と示差熱分析(DTA)から得られる分 温度T2(℃)の関係が、T2-100≦T1≦T2である複 銀ナノ粒子である。前記分解開始温度T1(℃) TG曲線の減少開始温度で測定できるが、初 からTG曲線が直線的に減少し、途中から直線 から離れて2次曲線的に減少する場合には、 の変化点、即ち直線からの乖離点を分解開 温度T1と定義できる。直線領域は純粋のアル コール成分の減少域を示すとも理解できる。 TG曲線の微分曲線、即ちDTG曲線を用いると、D TG曲線が一定値から下降し始める温度を分解 始温度T1と定義してもよい。有機被覆層が 力に酸化分解を受ける分解温度T2は、DTAピー クが単一ピークの場合にはそのピーク温度、 またDTAピークが複数ピークの場合には最初の 第1ピーク温度で定義される。T2-100≦T1≦T2の 囲では、分解開始温度T1が分解温度T2の下方 100℃の範囲内に存在することを意味しており 、第4形態のT2≦T3≦200℃と組み合わせると、T 2-100≦T1≦T2≦T3≦200℃となる。従って、各温 T1、T2、T3の全てが200℃以下の低温領域に存 し、本発明の複合銀ナノ粒子が低温焼成用 あることを意味し、本発明に係る複合銀ナ 粒子の特性の一つである。
 本発明者は、2種類のCnAgAL(n=1~12)の熱解析測 を実行し、第1種類ではT2-60≦T1≦T2、第2種 ではT2-90≦T1≦T2を結論として得た。これら 纏めて、本発明では、T2-100≦T1≦T2の不等式 成立することを確認したものである。

 本発明の第6形態によれば、前記複合銀ナ ノ粒子を生成する生成温度PT(℃)が前記金属 温度T3(℃)より小さい複合銀ナノ粒子が提供 れる。第4形態によれば、金属化温度T3はT3 200(℃)であり、本形態では、PT≦T3(℃)である から、両者を組み合わせると、PT≦T3≦200(℃) となる。従って、生成温度PTは200℃を最大値 する金属化温度T3よりも小さいから、本発 では低温生成用の複合銀ナノ粒子が提供さ る。

 本発明の第7形態によれば、前記複合銀ナ ノ粒子を高分解能透過型電子顕微鏡で観察し た場合に、銀核に格子像が観察される複合銀 ナノ粒子が提供される。京都大学に設置され ている加速電圧200kVの透過型電子顕微鏡JEM-200 0FXにより本発明の複合銀ナノ粒子を撮影する と、単分散した状態にある複合銀ナノ粒子の 銀核に格子像が確認された。その銀核直径は 1~20nmの範囲にあり、格子間隔は0.24nmとなり、 バルク銀の(111)面の面間隔と一致することが かった。この結果から、銀核は多結晶では く、銀の単結晶であるか、単結晶に近い状 にあることが分かった。従って、本発明に るアルコール由来物質により被覆された複 銀ナノ粒子は、格子像が観察される程度に 晶性が高く、その結果、銀核内部に粒界が んど無いため、電子散乱性や熱散乱性が小 く、高電気伝導性と高熱伝導性を有するこ が実証された。従来から言われていた多結 性を完全に否定した画期的な新物質である とが分かった。アルコール由来の有機被覆 を有した銀核に格子像が観察されることは 本発明により初めて明らかになった事実で る。

 本発明の第8形態によれば、前記分解開始 温度T1(℃)、前記分解温度T2(℃)及び前記金属 温度T3(℃)が前記昇温速度VTの増加に従って 加する複合銀ナノ粒子が提供される。前記 温速度VTを1~20(℃/min)の範囲だけ変化すると 分解開始温度T1は約50℃ほど増加し、分解温 度T2は約60℃ほど増加し、金属化温度T3は約70 ほど増加する傾向が見られる。第4形態及び 第5形態ではVT=1(℃/min)でT1、T2、T3を定義した ら、同じ複合銀ナノ粒子をVT=20(℃/min)で測 すると、前記T1、T2、T3は夫々約50℃、約60℃ 約70℃増加すると考えられる。しかし、こ らの温度増加量は有機被覆層の炭素数に依 することは云うまでもなく、銀核粒径にも 少は依存すると考えられる。

 本発明の第9形態によれば、銀塩と炭素数1~1 2のアルコールを出発原料とする複合銀ナノ 子が提供される。銀塩としては、無機銀塩 有機銀塩が利用でき、無機銀塩には炭酸銀 塩化銀、硝酸銀、リン酸銀、硫酸銀、ほう 銀、フッ化銀などがあり、また有機銀塩に ギ酸銀、酢酸銀などの脂肪酸塩、スルホ酸 、ヒドロキシ基・チオール基・エノール基 銀塩などがある。この中でもC、H、OとAgから なる銀塩又はC、OとAgからなる銀塩が好まし 。その理由は、P、S、Nといった原子は半導 やセラミックスに拡散して不純物となり物 を低下させる可能性があるからである。そ 観点から、炭酸銀(Ag 2 CO 3 )が最も好適である。アルコールを溶媒とし 用いるから、アルコールの還元力により、 機銀塩でも有機銀塩でも比較的低温で本発 の複合銀ナノ粒子が生成できる。無機銀塩 アルコールに難溶性であるが、有機銀塩は ルコールに溶解するものと難溶性のものが る。アルコール溶解性有機銀塩としてはア チエン酸銀など極めて少数であり、無機銀 と多くの有機銀塩はアルコール難溶性と考 てよい。
 本発明の複合銀ナノ粒子は、以下の表記で CnAgALと書かれる。n=1~12に対応して、C1AgAL、C 2AgAL、C3AgAL、C4AgAL、C5AgAL、C6AgAL、C7AgAL、C8AgAL C9AgAL、C10AgAL、C11AgAL、C12AgALが存在する。そ 意味は、炭素数n=1~12のアルコールから生成 れた複合銀ナノ粒子である。従って、C1は タノール、C2はエタノール、C3はプロパノー 、C4はブタノール、C5はペンタノール、C6は キサノール、C7はヘプタノール、C8はオクタ ノール、C9はノナノール、C10はデカノール、C 11はウンデカノール、C12はドデカノールを意 している。n=偶数のアルコールは天然植物 来のアルコールであり、他方、n=奇数は化学 合成アルコールであるから、n=偶数のアルコ ルは比較的安価であり、安価な複合銀ナノ 子を提供できる。また、炭素数nが少なくな るに応じて銀核の重量比が高くなり、銀量の 多い複合銀ナノ粒子を提供できる。

 本発明の第10形態によれば、前記第1~第9形 のいずれかの複合銀ナノ粒子を少なくとも 有し、溶剤及び/又は粘性付与剤を添加した 合銀ナノペーストが提供される。
前記溶剤は複合銀ナノ粒子からなる粉体を分 散させて溶液化する材料であり、例えばアル コール、アセトン、トルエン、キシレン、プ ロパノール、エーテル、石油エーテル、ベン ゼンなどが利用できる。前記粘性付与剤は前 記溶液に添加して塗着し易い粘性を付与する 材料であり、例えばテレピンオイル、ターピ ネオール、メチルセルロース、エチルセルロ ース、ブチラール、各種テルペン誘導体、IBC H(イソボルニルシクロヘキサノール)、グリセ リン、C14以上の常温で固形のアルコールなど が利用できる。テルペン誘導体としては1,8- ルピンモノアセテート、1,8-テルピンジアセ ートなどがある。IBCHは松脂状、グリセリン はシロップ状、C14以上のアルコールは固液変 化する性質を有し、10℃以下では非流動性を する。前記非流動性粘性付与剤に本発明の 合銀ナノ粒子を混合分散させて非流動性ペ ストにすれば、10℃以下の低温では複合銀 ノ粒子が分散状に固定されているから、複 銀ナノ粒子同士の凝集が生起しない。使用 る直前に前記非流動性ペーストを加熱すれ 流動化してペーストとして塗着可能になり ペーストとしての機能を発揮できる。また 使用直前に前記非流動性ペーストに溶剤を 加すれば、加熱しなくても流動性ペースト なり、ペーストとしての機能を発揮できる とは云うまでもない。
 本発明の複合銀ナノ粒子は金属化温度T3が20 0℃以下であるから、前記溶剤及び/又は粘性 与剤の蒸発温度或いは分解温度は極力低く 定されることが望ましい。従って、ペース の焼成温度は複合銀ナノ粒子の金属化温度 けでは決まらず、溶剤及び/又は粘性付与剤 の蒸発温度や分解温度にも依存する。また、 加熱により蒸発・分解気散する必要があり、 炭化して残留するものは除かれる。また、使 用形態として、溶剤だけ添加したペースト、 粘性付与剤だけ添加したペースト、溶剤と粘 性付与剤の両者を添加したペーストが利用で きる。

 本発明の第11形態によれば、銀微粒子を 合した複合銀ナノペーストが提供される。 記複合銀ナノ粒子は銀核と有機被覆層から り、有機被覆層を構成するアルコール由来 質の炭素数(C数)が少ないほど、複合銀ナノ 子中での銀含有率は高くなる。更に、ペー ト全体として銀含有率を高めるためには、 微粒子を前記ペースト中に配合すれば良い 銀微粒子の粒径は小さいほど良いが、接合 位の種類に応じて、例えば50nm~5μmの範囲が 当であるが、より好適には0.1μm~1μmの銀微粒 子が良く、複合銀ナノ粒子とのサイズ適合性 がある。複合銀ナノ粒子と銀微粒子の質量比 は適切に調整できる。

 本発明の第12形態によれば、前記複合銀ナ ペーストを昇温速度VT(℃/min)で大気中熱分析 した場合に、熱重量測定(TG)及び示差熱分析(D TA)から得られるペースト分解開始温度Tp1(℃) ペースト分解温度Tp2(℃)及びペースト金属 温度Tp3(℃)が前記昇温速度VTの増加に従って 加する複合銀ナノペーストが提供できる。
 本発明の複合銀ナノペーストのペースト分 開始温度Tp1(℃)、ペースト分解温度Tp2(℃)及 びペースト金属化温度Tp3(℃)の定義は、前述 た本発明の複合銀ナノ粒子における分解開 温度T1(℃)、分解温度T2(℃)及び金属化温度T3 (℃)の定義と対応する。ただし、複合銀ナノ ーストでは、複合銀ナノ粒子に溶剤及び/又 は粘性付与剤が添加されているから、複合銀 ナノ粒子が酸化分解される前に、溶剤及び/ は粘性付与剤の脱離や酸化分解が先行する 従って、TG曲線及びDTA曲線に溶剤及び/又は 性付与剤の曲線が先行し、その後に複合銀 ノ粒子の曲線が後続する。つまり、TG曲線に 出現する第1の急激な減少は、その微分曲線 あるDTG曲線に最初の深い谷間を形成し、こ 谷間が復帰してDTG曲線がほぼゼロになった 度がペースト分解開始温度Tp1と判断できる このTp1はDT曲線の第2の減少開始温度を与え 。このペースト分解開始温度Tp1の後に、DTA 線においてDTAピークが出現し、その最初に 現するDTA第1ピーク温度がペースト分解温度T p2(℃)である。DTAピークの最後に出現する急 な最終ピークは、有機被覆層が酸化分解さ た後に残留する裸の銀核同士が結合する結 エネルギーの放出ピークと考えられる。こ 最終ピークが落ちて横方向に折れる点がペ スト金属化温度Tp3(℃)と定義される。これら のペースト温度は、Tp1≦Tp2≦Tp3の不等式を満 足する。
 前記昇温速度VTを1~20(℃/min)の範囲だけ変化 ると、ペースト分解開始温度Tp1は約50℃ほ 増加し、ペースト分解温度Tp2は約65℃ほど増 加し、ペースト金属化温度Tp3は約80℃ほど増 する傾向が見られる。従って、複合銀ナノ ーストをVT=1(℃/min)で昇温しながらTp1、Tp2、 Tp3を測定し、同じ複合銀ナノペーストをVT=20( ℃/min)で測定すると、前記Tp1、Tp2、Tp3は夫々 50℃、約65℃、約80℃増加すると考えられる しかし、これらの温度増加量は有機被覆層 炭素数に依存することは云うまでもなく、 核粒径にも多少は依存すると考えられる。

 本発明の第13形態によれば、前記複合銀ナ 粒子及び前記複合銀ナノペーストを昇温速 VT=1~20(℃/min)で大気中熱分析した場合に、夫 の金属化温度をT3(℃)及びTp3(℃)としたとき T3≦Tp3≦T3+50が成立する複合銀ナノペースト が提供できる。本発明者の研究によれば、複 合銀ナノ粒子(CnAgAL、n=1~12と表記)のT1、T2、T3 、複合銀ナノペースト(PCnAgAL、n=1~12と表記) Tp1、Tp2、Tp3の間には、昇温速度VT=1~20(℃/min) の範囲で、次の不等式がほぼ満足されること が分かった。
   T1(VT)≦Tp1(VT)≦T1(VT)+100   (P1)
   T2(VT)≦Tp2(VT)≦T2(VT)+70    (P2)
   T3(VT)≦Tp3(VT)≦T3(VT)+50    (P3)
本形態は(P3)式を表現したものである。この 等式により、複合銀ナノ粒子の特性温度T1、 T2、T3を測定することによって、その複合銀 ノペーストの特性温度のTp1、Tp2、Tp3を推定 ることが可能になった。

 本発明の第14形態によれば、銀塩微粒子を 素数1~12のアルコール溶媒中に混合してアル ール溶液を調製し、前記アルコール溶液を 応室中で所定の生成温度PTで所定の生成時 だけ加熱して、前記アルコール溶媒により 記銀塩微粒子を還元して平均粒径が1~20nmの 核を形成し、この銀核の周囲に前記アルコ ル溶媒のアルコール分子誘導体、アルコー 分子残基、又はアルコール分子の一種以上 らなる有機被覆層を形成する複合銀ナノ粒 の製法が提供される。
 アルコール溶液とは、銀塩とアルコールの 合液であり、アルコール量を増加させて、 成された複合銀ナノ粒子がアルコール中を 遊する状態にすれば、相互の衝突確率が低 し、複合銀ナノ粒子の会合が阻止できる。 た、大量のアルコール分子を前記銀塩微粒 の表面に吸着させ、表面反応を促進させる アルコールの一般式はR n OH(R n は炭化水素基)であり、R n は疎水基で、OHは親水基であるから、考え方 変えればアルコールは界面活性作用を有し 界面活性剤である。銀塩の多くはアルコー 難溶性であるが、銀塩微粒子表面はアルコ ルのOH基が結合しやすい性質を有している 従って、銀塩微粒子はアルコールで取り囲 れ、銀塩微粒子の粒径が小さくなると安定 単分散コロイドになると云っても良い。銀 微粒子の粒径が大きくなると、アルコール を沈殿する可能性があるが、混合攪拌して 定時間分散状態にある場合には、その間に 応を完了させれば良い。
 また、アルコール自体でも還元作用を有す が、アルコールは200℃以下の生成温度でも ルデヒドに容易に変化し、このアルデヒド 強力な還元作用を有する。つまり、前記銀 微粒子の表面にアルコール及び/又はアルデ ヒドが作用して次第に銀が析出し、最終的に は銀塩微粒子の全領域が還元されて銀核へと 転化する。この銀核の周囲に、アルコールに 由来するアルコール分子誘導体、アルコール 分子残基、又はアルコール分子の一種以上か らなる有機被覆層が形成されて複合銀ナノ粒 子が生成される。生成温度PTを例えば200℃以 に設定すれば、金属化温度T3の低い複合銀 ノ粒子を生成できる。本発明では、生成温 PTを金属化温度T3(≦200℃)より低く設定して 低温焼成用の複合銀ナノ粒子を生成する。 核の平均粒径は1~20nmであるが、銀塩微粒子 微細化処理を徹底的に行えば、より小さな 径の複合銀ナノ粒子を製造することができ 。

 本発明の第15形態によれば、前記銀塩微粒 が前記アルコール溶媒に分散又は溶解して る複合銀ナノ粒子の製法が提供できる。
 本発明において使用される銀塩微粒子とし は、無機銀塩と有機銀塩が利用でき、無機 塩には炭酸銀、塩化銀、硝酸銀、リン酸銀 硫酸銀、ほう酸銀、フッ化銀などがあり、 た有機銀塩にはギ酸銀、酢酸銀などの脂肪 塩、スルホ酸塩、ヒドロキシ基・チオール ・エノール基の銀塩などがある。この中で C、H、OとAgからなる銀塩又はC、OとAgからな 銀塩が好ましい。その理由は、P、S、Nとい た原子は半導体やセラミックスに拡散して 純物となり物性を低下させる可能性がある らである。その観点から、炭酸銀(Ag 2 CO 3 )が最も好適である。アルコールを溶媒とし 用いるから、アルコールの還元力により、 機銀塩でも有機銀塩でも比較的低温で本発 の複合銀ナノ粒子が生成できる。無機銀塩 アルコールに難溶性であるが、有機銀塩は ルコールに溶解するものと難溶性のものが る。アルコール溶解性有機銀塩としては例 ばアビチエン酸銀など極めて少数であり、 機銀塩と多くの有機銀塩はアルコール難溶 と考えてよい。アルコール溶解性銀塩はア コールに分子レベルで溶解し、アルコール の反応性が高められる。他方、アルコール 溶性銀塩は微粒子化してアルコールに混合 散され、その微粒子サイズがナノサイズに で微細化されると、アルコール溶媒中に安 して分散し、アルコールとの反応性を高め ことができる。

 本発明の第16形態によれば、前記アルコー 溶液は、前記アルコール溶媒が前記銀塩微 子のモル数よりも過剰に添加された過剰ア コール溶液である複合銀ナノ粒子の製法が 供される。
 本製法では、アルコール質量は、銀塩質量 りもかなり過剰である。例えば、銀塩が炭 銀の場合を例に取ると、通常の銀アルコキ ドの生成は下記の式(D)で与えられる。
  Ag 2 CO 3 +2R n OH→2R n OAg+CO 2 +H 2 O   (D)
つまり、炭酸銀:アルコール=1モル:2モルであ 、このモル比が化学量論比である。本製法 は、アルコールのモル比を前記化学量論比 りかなり大きくして過剰アルコール溶液と る。この過剰度が高まるほど、生成された 合銀ナノ粒子が相互に衝突し難くなり、複 銀ナノ粒子の会合と凝集を阻止することが きる。複合銀ナノ粒子が凝集して大きくな と、金属化温度T3が高くなり過ぎ、金属化 度T3を200℃以上にする可能性が有る。本製法 では、過剰アルコール溶液にすることによっ て、初めて金属化温度T3を200以下に低下させ ことに成功した。

 本発明の第17形態によれば、前記複合銀 ノ粒子を昇温速度VT=1(℃/min)で大気中熱分析 たとき、示差熱分析(DTA)から得られる金属 温度T3(℃)が200℃以下である複合銀ナノ粒子 製法が提供される。金属化温度T3が200℃以 に調整されると、そのペースト金属化温度Tp 3も(p3)式から250℃以下に調整することが可能 なり、低温焼成用ペーストの提供が可能に る。

 本発明の第18形態によれば、前記生成温 PT(℃)が前記金属化温度T3(℃)より小さい複合 銀ナノ粒子の製法が提供できる。本発明者の 経験によれば、複合銀ナノ粒子の生成温度PT その大気中金属化温度T3より小さい傾向、 まりPT≦T3の関係がある。従って、T3≦200(℃) とすると、生成温度PTでは、PT≦T3≦200(℃)と り、低温生成且つ低温焼成の複合銀ナノ粒 の製法を提供することができる。

 本発明の第19形態によれば、前記複合銀 ノ粒子の前記生成時間が60分以内である複合 銀ナノ粒子の製法を提供できる。複合銀ナノ 粒子は次第にアルコール溶液中に生成される から、生成時間を長くすると、複合銀ナノ粒 子同士の凝集が生起し、複合銀ナノ粒子の粒 径が増大する事実を確認した。この点を考慮 し、生成時間を60分以内に制限し、この時間 であれば目的とする銀核粒径の複合銀ナノ 子を製造することができる。また、炭素数 小さくなると、有機被覆層が薄くなり、そ 作用で凝集が加速する事実も確認した。従 て、炭素数が小さくなるほど生成時間を60 よりも更に短縮することが重要になる。

 本発明の第20形態によれば、前記生成時 後に前記アルコール溶液を冷却して生成反 を停止させる複合銀ナノ粒子の製法が提供 れる。生成時間が終了すると、アルコール 液を冷却して生成反応を急速に停止させ、 のことにより同時に凝集反応も低下でき、 径が揃った均質な複合銀ナノ粒子を製造で るようになった。冷却速度は急速なほどよ 、冷却装置として電気的冷却装置、流体に る冷却装置などが利用できる。単純には、 水で0℃に冷却すると効果的である。更に、 応容器を液体窒素に浸漬して生成反応の急 停止を行なうことも出来る。

 本発明の第21形態によれば、前記銀塩微 子は粒径が10nm~1000nmの範囲になるまで微細化 処理される複合銀ナノ粒子の製法が提供され る。市販の銀塩微粒子の平均粒径は10μmであ が、粒径分布のバラツキが大きく、50μmの 子も存在する。従って、これをミキサーで 砕してできるだけ均一な平均粒径10μmにする 。その次に、ビーズと一緒に遠心回転させ、 ビーズにより銀塩微粒子を強制粉砕して、銀 塩微粒子の粒径を10nm~1000nmの範囲になるまで 細化するが、その粒径が小さいほど、均一 小さな銀核粒径を有した複合銀ナノ粒子を 造できる。

 本発明の第22形態によれば、前記過剰ア コール溶液における前記アルコール溶媒の 塩に対するモル比は5~200の範囲に調整される 複合銀ナノ粒子の製法が提供される。アルコ ール溶媒の銀塩に対するモル比は5~200の範囲 調製される。5以下では、複合銀ナノ粒子の 凝集が目立ち、100以上、特に200以上ではアル コールコストが高くなりすぎ不経済であり、 また反応室も大きくなり設備コストが過大に なる。更に、前記モル比は10~100の範囲がより 好ましい。

 本発明の第23形態によれば、前記複合銀 ノ粒子が生成された前記アルコール溶液か 複合銀ナノ粒子を分離する複合銀ナノ粒子 製法である。銀塩微粒子とアルコールは反 容器内で完全に反応して、反応容器内に複 銀ナノ粒子とアルコールが残留することが も望ましい。しかし、未反応の銀塩と複合 ナノ粒子が共存する場合も有り、複合銀ナ 粒子だけを反応容器から単離して、複合銀 ノ粒子の純度を向上するほうが良い。また 多少の銀塩が不純物として残留しても、焼 により銀塩も分解する。

 本発明の第24形態によれば、銀塩微粒子を ルコール溶媒に混合してアルコール溶液を 製する原料混合器と、前記アルコール溶液 加熱器により所定温度で所定時間だけ加熱 て複合銀ナノ粒子を生成する反応器と、前 反応器から供給される前記アルコール溶液 冷却する冷却器とを有し、前記冷却器から 給されるアルコール溶液から複合銀ナノ粒 を分離する成分精製器を付設することがで 、前記原料混合器と前記反応器と前記冷却 と成分精製器が連続式、一部連続式又はバ チ式に接続される複合銀ナノ粒子の製造装 が提供できる。
 本装置は、銀塩微粒子をアルコール溶媒に 合させてアルコール溶液を調製する原料混 器と、前記アルコール溶液を加熱器により 定温度で所定時間だけ加熱して複合銀ナノ 子を生成する反応器と、前記反応器から供 されるアルコール溶液を冷却する冷却器か 基本的に構成される。この基本構成に、前 冷却器から供給されるアルコール溶液から 合銀ナノ粒子を分離する成分精製器を付設 ることもできる。前記反応器は、加熱装置 反応容器から構成され、前記加熱装置とし は、誘導加熱装置・赤外線加熱装置・プラ マ加熱装置・レーザー加熱装置・超音波加 装置・又はそれらの組合せ加熱装置が利用 きる。本装置としては、連続製造装置でも ッチ式製造装置でもよく、そのため、前記 料混合器と前記反応器と前記冷却器と成分 製器が連続式、一部連続式又はバッチ式に 続される複合銀ナノ粒子の製造装置が提供 きる。有する複合銀ナノ粒子の製造装置が 供される。本装置により、複合銀ナノ粒子 高速大量製造することが可能になり、Sn-Pb 田に替わる代替半田の量産装置を提供でき 。前記原料混合器の中にビーズを投入して 原料混合器を原料微細化混合器とする場合 本形態に包含される。

 本発明の第25形態によれば、前記原料混 器に投入される銀塩微粒子は事前に微細化 理されている複合銀ナノ粒子の製造装置が 供される。前記原料混合器に投入される炭 銀はミキサーやビーズにより事前に微細化 れていれば、反応させる銀塩微粒子の粒径 微細化と均一性を保証でき、その結果、生 される複合銀ナノ粒子の粒径均一性を高度 できる。勿論、前記原料混合器の中でミキ ーにより前記銀塩微粒子を微細化しても良 ことは云うまでも無い。従って、装置形態 して、微細粉砕器と原料混合器と反応器と 却器と成分精製器を連続式又はバッチ式に 成した製造装置が提供される。微細粉砕器 ミキサーによる第1段微細化とし、原料微細 混合器はビーズによる超微細化と位置づけ も良い。

 本発明の第26形態によれば、前記原料混 器から供給されるアルコール溶液中の銀塩 粒子を更に微細化する微細化器と、前記微 化器により形成された微細化アルコール溶 を前記反応器に供給する複合銀ナノ粒子の 造装置が提供される。従って、装置形態と て、原料混合器と微細化器と反応器と冷却 と成分精製器を連続式又はバッチ式に構成 た製造装置が提供される。この装置配置で 、原料混合器と反応器の間に微細化器を配 した点で、上述の構成と異なる。いずれに ても、銀塩微粒子を微細化すればするほど 複合銀ナノ粒子の微細化と粒径の微小化・ 一化を達成できる。

 本発明の第27形態によれば、前記成分精 器から供給される前記複合銀ナノ粒子を含 する精製液を処理して、前記複合銀ナノ粒 をアルコール湿式状態又は粉体として回収 る複合銀ナノ粒子の製造装置が提供される 最終的に複合銀ナノ粒子が分散した精製液 抽出し、この抽出液から溶媒を分離すれば 最終的に目的とする複合銀ナノ粒子が単離 きる。分離方法には、膜分離法、蒸発乾燥 などがある。湿式状態とは、前記粉体が少 のアルコールなどの溶媒により湿っており 粉体の飛散防止を実現できる。

 本発明の第28形態によれば、前記成分精 器は遠心限外濾過装置から構成され、微細 を介して前記複合銀ナノ粒子を抽出溶媒中 拡散させて前記精製液を形成する複合銀ナ 粒子の製造装置が提供される。複合銀ナノ 子が生成されたアルコール溶液中には、未 応の銀塩微粒子、複合銀ナノ粒子、アルコ ルが存在し、その粒径順序は、銀塩微粒子&g t;複合銀ナノ粒子>アルコールである。また 、質量順序は、銀塩微粒子>複合銀ナノ粒 >アルコールと考えられる。従って、遠心 により、質量の軽いアルコールを外側に飛 して分離する。また、ヘキサン、トルエン どの抽出溶媒に複合銀ナノ粒子を拡散させ 分離する。その結果、銀塩も分離できる。 のように、成分を分離すれば、アルコール 炭酸銀は再使用が可能になり、また不純物 混在しない純粋な複合銀ナノ粒子粉体を回 することが可能になる。

 本発明の第29形態によれば、前記限外濾 装置は内管、中管、外管の三重管からなり 前記内管及び中管を同軸回転させ、前記複 銀ナノ粒子を生成した過剰アルコール溶液 前記内管と中管の間の中通路に供給され、 記微細孔は前記内管の表面に形成され、前 内管内部の内通路に前記抽出溶媒を供給し 前記複合銀ナノ粒子は前記中通路から前記 細孔を介して前記抽出溶媒中に選択的に拡 される複合銀ナノ粒子の製造装置が提供さ る。質量の小さなアルコールは、遠心力に り外方に飛ばされ、中管の壁面に小さな微 孔を形成しておけば、この微細孔から中管 外管の間に形成される外通路に分離される 中通路には銀塩微粒子だけが残留する。こ ようにして、本装置により、アルコール、 反応銀塩微粒子及び複合銀ナノ粒子が夫々 離される。

 本発明の第30形態によれば、前記第10~第13 形態のいずれかの複合銀ナノペーストを用意 し、前記複合銀ナノペーストを下体に塗着し てペースト層を形成し、前記ペースト層上に 上体を配置し、加熱により前記ペースト層を 銀化して前記下体と前記上体を接合する接合 方法が提供される。本形態は、複合銀ナノペ ーストを用いた2物体の接合方法であり、一 の物体を下体、他方の物体を上体と称し、 者をペースト層を介して接着させ、焼成し ペースト層の銀化により、強固な接合を達 できる。しかも、銀膜は電気伝導性と熱伝 性に優れ、低温焼成が可能であるから、低 点物体同士の接合も可能になる。

 本発明の第31形態によれば、前記第10~第13 形態のいずれかの複合銀ナノペーストを用意 し、前記複合銀ナノペーストを基体の面上に 所定パターンに塗着してペーストパターンを 形成し、焼成により前記ペーストパターンを 銀化して銀パターンを形成するパターン形成 方法が提供される。例えば、低融点の樹脂基 板上に所定パターンの銀膜を形成する場合な ど、本発明形態により各種素材上に種々パタ ーンの銀膜を低温度で形成する方法が提供さ れる。

図1は、本発明に係る複合銀ナノ粒子の 低温生成反応の第1工程の説明図である。 図2は、本発明に係る複合銀ナノ粒子の 低温生成反応の第2工程の説明図である。 図3は、本発明に係る複合銀ナノ粒子の 低温生成手順を示した詳細フロー図である。 図4は、本発明に係る複合銀ナノ粒子の 製造装置による低温生成手順を示した製造装 置詳細フロー図である。 図5は、本発明に係る複合銀ナノ粒子の 製造装置の構成図である。 図6は、図5の製造装置の成分精製器に る精製方法図である。 図7は、本発明に係るC6AgALの生成量と生 成温度の関係図である。 図8は、本発明に係るC6AgALの物質成分(%) と生成温度の関係図である。 図9は、本発明に係る生成温度PT=70℃のC 6AgALの熱解析図である。 図10は、本発明に係る生成温度PT=80℃ のC6AgALの熱解析図(昇温速度1℃/min)である。 図11は、本発明に係る生成温度PT=90℃ のC6AgALの熱解析図(昇温速度1℃/min)である。 図12は、本発明に係る生成温度PT=100℃ のC6AgALの熱解析図(昇温速度1℃/min)である。 図13は、本発明に係る生成温度PT=110℃ のC6AgALの熱解析図(昇温速度1℃/min)である。 図14は、本発明に係るC8AgALの吸収強度 生成時間の関係図である。 図15は、本発明に係るC10AgALの生成を示 す光学濃度と表面プラズモン遷移領域の光子 エネルギーの関係図である。 図16は、本発明に係るC10AgAL生成におい てアルデヒド生成を示す光学濃度と表面プラ ズモン遷移領域の光子エネルギーの関係図で ある。 図17は、本発明に係るC10AgALの吸収強度 と生成温度の関係図である。 図18は、本発明に係るC10AgALの吸収強度 と生成時間の関係図である。 図19は、90℃で生成されたC10AgALの格子 を示す透過電子顕微鏡図である。 図20は、126℃で生成されたC12AgALの格子 像を示す透過電子顕微鏡図である。 図21は、図20に示されたC12AgALの粒径分 図である。 図22は、本発明に係る生成温度PT=59℃ のC1AgALの熱解析図(昇温速度1℃/min)である。 図23は、本発明に係る生成温度PT=65℃ のC2AgALの熱解析図(昇温速度1℃/min)である。 図24は、本発明に係るC2AgALの格子像を す透過電子顕微鏡図である。 図25は、本発明に係る生成温度PT=80℃ のC4AgALの熱解析図(昇温速度1℃/min)である。 図26は、本発明に係るC4AgALの格子像を す透過電子顕微鏡図である。 図27は、本発明に係る複合銀ナノ粒子C nAgAL(C1~C12)の生成温度PTと分解温度T2の関係図 ある。 図28は、本発明に係る複合銀ナノ粒子C nAgAL(C1~C12)の分解開始温度T1と分解温度T2の関 図である。 図29は、本発明に係る複合銀ナノ粒子C nAgAL(C1~C12)の分解開始温度T1の範囲T2-60≦T1≦T2 を示す関係図である。 図30は、本発明に係る複合銀ナノ粒子C nAgAL(C1~C12)の昇温速度1℃/minにおける特性温度 (PT、T1、T2、T3)とC数の関係図である。 図31は、別実施例である複合銀ナノ粒 C1AgAL(PT=40℃)及びC2AgAL(PT=78℃)の熱解析図(昇 速度1℃/min)である。 図32は、別実施例である複合銀ナノ粒 C3AgAL(PT=97℃)及びC4AgAL(PT=117℃)の熱解析図(昇 温速度1℃/min)である。 図33は、別実施例である複合銀ナノ粒 C5AgAL(PT=120℃)及びC6AgAL(PT=110℃)の熱解析図( 温速度1℃/min)である。 図34は、別実施例である複合銀ナノ粒 C7AgAL(PT=132℃)及びC8AgAL(PT=148℃)の熱解析図( 温速度1℃/min)である。 図35は、別実施例である複合銀ナノ粒 C9AgAL(PT=110℃)及びC10AgAL(PT=140℃)の熱解析図( 温速度1℃/min)である。 図36は、別実施例である複合銀ナノ粒 C11AgAL(PT=148℃)及びC12AgAL(PT=151℃)の熱解析図( 昇温速度1℃/min)である。 図37は、別実施例の複合銀ナノ粒子CnAg AL(C1~C12)の昇温速度1℃/minにおける特性温度(PT 、T1、T2、T3)とC数の関係図である。 図38は、別実施例の複合銀ナノ粒子CnAg AL(C1~C12)の分解開始温度T1の範囲T2-90≦T1≦T2を 示す関係図である。 図39は、他実施例である複合銀ナノ粒 C10AgAL(PT=176℃)の熱解析図(昇温速度1℃/min)で ある。 図40は、他実施例である複合銀ナノ粒 C10AgAL(PT=176℃)の熱解析図(昇温速度3℃/min)で ある。 図41は、他実施例である複合銀ナノ粒 C10AgAL(PT=176℃)の熱解析図(昇温速度5℃/min)で ある。 図42は、他実施例である複合銀ナノ粒 C10AgAL(PT=176℃)の熱解析図(昇温速度10℃/min) ある。 図43は、他実施例である複合銀ナノ粒 C10AgAL(PT=176℃)の熱解析図(昇温速度15℃/min) ある。 図44は、他実施例である複合銀ナノ粒 C10AgAL(PT=176℃)の熱解析図(昇温速度20℃/min) ある。 図45は、他実施例である複合銀ナノペ ストPC10AgAL(PT=176℃)の熱解析図(昇温速度1℃/ min)である。 図46は、他実施例である複合銀ナノペ ストPC10AgAL(PT=176℃)の熱解析図(昇温速度3℃/ min)である。 図47は、他実施例である複合銀ナノペ ストPC10AgAL(PT=176℃)の熱解析図(昇温速度5℃/ min)である。 図48は、他実施例である複合銀ナノペ ストPC10AgAL(PT=176℃)の熱解析図(昇温速度10℃ /min)である。 図49は、他実施例である複合銀ナノペ ストPC10AgAL(PT=176℃)の熱解析図(昇温速度15℃ /min)である。 図50は、他実施例である複合銀ナノペ ストPC10AgAL(PT=176℃)の熱解析図(昇温速度20℃ /min)である。 図51は、図39~図50で得られたCnAgAL及びPC nAgALの特性温度(T1、T2、T3、Tp1、Tp2、Tp3)と昇 速度との関係図である。 図52は、図51から得られたCnAgALとPCnAgAL 特性温度(T1、T2、T3、Tp1、Tp2、Tp3)の大小関 図である。

符号の説明

10    超微細化器
11    原料混合器
12    超微細化容器
13    投入口
14    中心管
15    回転軸
16    回転翼
17    ビーズ
20    反応器
21    原料供給口
22    反応管
23    加熱器
24    生成領域
25    冷却器
26    冷却領域
27    生成吐出口
30    成分精製器
31    外管
32    中管
33    超微細孔
34    内管
35    微細孔
36    内通路
37    中通路
38    外通路
40    中間分離器
41    銀塩分離容器
42    アルコール分離容器
50    粉体回収器
51    スプレー
52    乾燥器
53    ミスト
54    ホッパー
55    回収管
56    粉体回収容器
HE    抽出溶媒

 以下、本発明に係る複合銀ナノ粒子、複 銀ナノペースト、その製法、製造装置、接 方法及びパターン形成方法の実施形態を図 及び表により詳細に説明する。

 図1は、本発明に係る複合銀ナノ粒子の低温 生成反応の第1工程の説明図である。原料と る無機化合物は銀塩(1)である。銀塩として 、無機銀塩と有機銀塩が利用でき、無機銀 には炭酸銀、塩化銀、硝酸銀、リン酸銀、 酸銀、ほう酸銀、フッ化銀などがあり、ま 有機銀塩にはギ酸銀、酢酸銀などの脂肪酸 、スルホ酸塩、ヒドロキシ基・チオール基 エノール基の銀塩などがある。これらの銀 の中でも、C、H、O、Agからなる銀塩、C、H、A gからなる銀塩、H、O、Agからなる銀塩、C、O Agからなる銀塩、O、Agからなる銀塩が不純物 を含有しない点で好適である。その理由は、 生成された複合銀ナノ粒子に銀塩が不純物と して混入した場合でも、焼成により、H 2 O、CO 2 、O 2 等しか生成されないからである。本発明の実 施例では、炭酸銀Ag 2 CO 3 を好適な銀塩として後述するが、同様に他の 銀塩でも同様であることは云うまでもない。

 アルコールは式(2)で示されるアルコールが 用される。式(3)のR n はアルコールの炭化水素基を示している。炭 素数nは1~12に限られる。一般に、銀塩微粒子 アルコール不溶性であるが、アルコールの 水基OHは銀塩微粒子の表面と結合しやすい 質を有する。またアルコールの疎水基R n はアルコール溶媒と親和性が高い。従って、 式(4)に示すように、銀塩微粒子をアルコール 溶媒に分散させると、銀塩微粒子表面にアル コールが周回状に吸着してアルコール溶液中 を浮遊する。銀塩微粒子の粒径が小さい場合 には、安定な銀塩微粒子コロイドが形成され る。他方、銀塩微粒子の粒径が大きい場合に は沈殿する場合もあるが、浮遊状態が数十分 継続するなら問題は無く、また緩慢に攪拌し ながら反応させてもよい。

 図2は、本発明に係る複合銀ナノ粒子の低温 生成反応の第2工程の説明図である。反応式 明確にするため、ここでは銀塩として炭酸 を例にとって説明するが、他の銀塩の場合 も同様である。炭酸銀微粒子表面の炭酸銀 アルコールと反応して、式(5)に示されるよ に銀化と同時にアルデヒドR n-1 CHOが生成される。また、式(6)に示されるよう に、アルデヒドが形成されずに、直ちに銀ア ルコキシドAgOR n が生成される反応経路も存在する。前記アル デヒドは強力な還元作用を有し、式(7)に示さ れるように、炭酸銀を還元して、銀化と同時 にカルボン酸R n-1 COOHが形成される。中間生成されたAg、AgOR n 、R n-1 COOHは、式(8)及び式(9)に示される反応により 互に凝集し、複合銀ナノ粒子としてAg k+m (OR n ) m 、Ag k+m (OR n ) m R n-1 COOHが生成される。これらの複合銀ナノ粒子 式(10)及び式(11)に図示されている。前記反応 は炭酸銀微粒子の表面反応であり、表面から 次第に内部に浸透しながら反応が継続し、中 心核となる炭酸銀微粒子は銀核へと転化して ゆく。最終的に、式(10)及び式(11)に示される 合銀ナノ粒子が生成される。
 式(10)及び式(11)は、銀核とその周囲に形成 れる有機被覆層の構成式を示す。有機被覆 はアルコキシド基OR n の場合もあれば、カルボン酸R n-1 COOHの場合もある。勿論、カルボン酸(脂肪酸) からHが脱離したカルボン酸基R n-1 COOの場合も有る。従って、有機被覆層は、ア ルコキシド、アルコキシド基、カルボン酸、 カルボン酸基、又はそれらの混合形も存在す る。

 表1は、複合銀ナノ粒子の原料(炭酸銀と ルコール)の種類、その質量及び過剰アルコ ル溶液のモル比を示す。また、表1は、複合 銀ナノ粒子の原料の分子量と100g当りのモル を示す。炭素数(C数)nに対応して、アルコー の個別名称が示される。後述する実施例1は n=6、実施例2はn=8、実施例3はn=10、実施例4はn= 12、実施例5はn=1、実施例6はn=2、実施例7はn=4 実施例8はn=3、実施例9はn=5、実施例10はn=7、 実施例11はn=9、実施例12はn=11に対応する。

 前述した式(D)に示すように、炭酸銀とア コールのガス反応では、化学量論比は炭酸 :アルコール=1モル:2モルである。しかし、 1に示すように、本発明では炭酸銀を過剰な ルコールに分散させる必要がある。これは 成された複合銀ナノ粒子の衝突確率を低下 せて、複合銀ナノ粒子の凝集を防止するた である。表1に示すとおり、実施例1~12では モル比はアルコールモル数/炭酸銀モル数=10~ 63.9の範囲に調製され、過剰アルコール溶液 している。炭酸銀以外の銀塩でも過剰アル ール溶液に調整する。表1は次の通りである

 図3は、本発明に係る複合銀ナノ粒子の低 温生成手順を示した詳細フロー図である。ス テップn=1では、所定量の市販銀塩をミキサー で微細化する。市販銀塩は平均粒径が10μmで っても、そのバラツキは極めて大きい。ミ サーによりほぼ均一粒径10nmに揃える。ステ ップn=2では、微細化された銀塩粉体を過剰量 のアルコールに分散させる。ステップn=3では 、銀塩過剰アルコール溶液をビーズと一緒に 回転させ、次第に銀塩粒子を磨り潰して超微 細化する。ビーズ粒径と銀塩超微細化粒径と の関係は、表2により後述する。ステップn=4 は、メッシュを通してビーズを回収する。 テップn=5では、最終的にアルコールを添加 て、過剰な所定モル比のアルコール溶液を 製する。

 ステップn=6では、超微細化銀塩過剰アル ール溶液を反応容器に投入し、ステップn=7 は所定温度まで加熱する。この所定温度は 成温度PTに対応する。ステップn=8では、所 時間だけ前記所定温度で加熱してCnAgALを生 する。ステップn=9では、CnAgAL溶液を所定量 けサンプリングし、更にステップ10で温度を 上昇させて更に高温の生成温度でCnAgALを生成 させる。この繰り返しにより、各種の生成温 度のCnAgALを作成する。抽出されたCnAgAL溶液は 、ステップn=11で直ちに氷水で0℃まで急速に 却され、生成反応が停止される。ステップn =12では、抽出容器からアルコール分を加圧濾 過し、ステップn=13では、生成されたCnAgALを 体粉体として回収する。ステップn=14では、 成された各種生成温度のCnAgALが各種測定さ る。

 表2はビーズ粒径とAg2CO3を含む銀塩超微細 化粒径の関係表である。ビーズ粒径が小さい 程、超微細化粒径も小さくなり、前述で生成 されるCnAgALの粒径も小さくなる。ビーズ粒径 は1mm~0.03mmまで存在し、これにより超微細化 径は5000nm~10nmの範囲に自在に制御できる。

 図4は、本発明に係る複合銀ナノ粒子の製 造装置による低温生成手順を示した製造装置 詳細フロー図である。このフロー図は、図5 製造装置の各製造段階に対応している。ス ップs=1では、所定量の銀塩粉体と過剰アル ールを混合し、ミキサーで銀塩粒子を均一 微細化する。ステップs=2では、銀塩アルコ ル溶液をビーズで超微細化し、メッシュフ ルターでビーズを除去する。従って、この 階で超微細化銀塩アルコール溶液になる。 テップs=3では、超微細化銀塩アルコール溶 を反応器に供給し、生成温度で所定時間(生 時間)だけ加熱してCnAgALが生成される。ここ で、アルコールの炭素数nはn=1~12の範囲であ 。抽出されたアルコール溶液は直ちに冷却 れ、生成反応が停止される。

 ステップs=4では、生成されたCnAgAL溶液を 分精製器に供給し、遠心限外濾過してCnAgAL 製液を製造する。ステップs=5では、前記ア コール溶液中のアルコール成分はアルコー 分離容器に回収され、銀塩は銀塩分離容器 回収される。ステップs=6では、前記CnAgAL精 液を乾燥して抽出溶媒を気化させ、CnAgAL粉 を回収する。ステップs=7では、各生成温度 のCnAgAL粒子が各種測定にかけられる。

 図5は、本発明に係る複合銀ナノ粒子の製 造装置の構成図である。この製造装置の各部 分装置の機能は、図4に示される各ステップ 対応する。超微細化器10は原料混合器11と超 細化容器12から構成される。過剰所定量の ルコールと所定量の銀塩は原料混合器11に投 入され、この中にはミキサーが装備されてい る。この微細化過剰アルコール溶液は矢印a 向に投入口13から超微細化容器12に供給され 。超微細化容器12の内部には、多数のビー 17が充填されており、中心管14に内挿された 転軸15により回転翼16が回転し、ビーズ17に り前記銀塩微細化粒子が磨り潰され、銀塩 細化粒子が銀塩超微細化粒子へと転化する 超微細化過剰アルコール溶液は矢印b方向へ と反応器20に供給される。

 反応器20では、超微細化過剰アルコール 液は原料供給口21から反応管22へと供給され 加熱器23により加熱されて、CnAgALが生成領 24にて生成される。更に矢印c方向に供給さ 、冷却器25により反応液は冷却領域26により 温化され、生成反応は急速に停止される。 記生成アルコール溶液は生成吐出口27から 印d方向に成分精製器30へと供給される。

 成分精製器30は外管31と中管32と内管34の 重管であり、中管32は矢印e方向に軸回転し 内管34は矢印f方向に軸回転し、外管31は回転 しない固定管である。内管34の周壁面にはCnAg ALが通過する程度の大きさを有した微細孔35 無数に形成されている。同時に、中管32の周 壁面にはアルコール分子が通過する程度の大 きさの超微細孔33が無数に形成されている。

 内管34には内通路36が開いており、内管34 中管32の間の隙間には中通路37が形成されて おり、また中管32と外管31の間の隙間には外 路38が形成されている。中通路36にはCnAgALを 散的に分散させるヘキサンなどの抽出溶媒H Eを供給する。中通路37には、生成吐出口27か 送出される生成アルコール溶液が矢印d方向 に従って供給される。

 生成アルコール溶液中には、生成された 合銀ナノ粒子CnAgALと未反応銀塩とアルコー が含まれている。一番質量の軽いアルコー 分子は遠心力で超微細孔33を介して外通路38 に移動する。CnAgALは微細孔35を介して内通路3 6の抽出溶媒HEに拡散する。未反応銀塩は中通 路37に留まったままである。

 中間分離器40はアルコール分離容器42と銀 塩分離容器41から構成される。外通路38から 出するアルコールはアルコール分離容器42に 回収され、中通路37から流出する未反応銀塩 銀塩分離容器41に回収される。内通路36から 流出するCnAgALを含有した抽出溶媒は粉体回収 器50へと矢印h方向へ供給される。

 CnAgAL抽出溶液はスプレー51から乾燥器52へ とミスト53として噴霧され、抽出溶媒は蒸発 、CnAgALは粉体化される。CnAgAL粉体はホッパ 54から回収管55を介して粉体回収容器56に回 される。

 図6は、図5の製造装置の成分精製器によ 精製方法図である。中通路37に供給される生 成アルコール溶液ASは銀塩AGと複合銀ナノ粒 CAとアルコール分子ALの混合溶液である。内 路36には抽出溶媒HEが供給される。中通路37 物質は強力な遠心力により、一番質量の軽 アルコール分子ALが超微細孔33から外通路38 排出される。複合銀ナノ粒子CAは微細孔35か ら抽出溶媒HEへと拡散的に浸入する。その結 、内通路36からは複合銀ナノ粒子CAを含有し た抽出溶液が排出され、中通路37からは未反 銀塩AGが排出され、外通路38からはアルコー ルALが排出される。このようにして、3種類の 物質が分離回収されることになる。

[実施例1:C6AgAL]
 表3は、C6AgALに関して、実験から得られた測 定データ等を「低温生成反応におけるC6AgALの 生成量」、「C6AgALの低温生成における各物質 量の質量」及び「C6AgALの生成温度と特性温度 の関係」として表にまとめたものである。「 低温生成反応におけるC6AgALの生成量」には、 表に示すように、各生成温度に対するC6AgALの 生成時間及び生成量に関する詳細な実験デー タが記載されている。「C6AgALの低温生成にお ける各物質量の質量」には、前記各生成温度 (70℃、80℃、90℃、100℃、111.5℃)において、 成物に含まれる炭酸銀とC6AgALの質量比率とC6 AgALに含まれる有機成分とAgの質量比率が記載 されている。ここで、生成物又はC6AgALの全質 量を1としている。「C6AgALの生成温度と特性 度の関係」には、前記各生成温度PT(℃)で生 されたC6AgALのTG減少開始温度T1(℃)、DTAピー 温度T2(℃)及び金属化温度T3(℃)が記載され いる。

 このように、生成温度PTは自由に可変で 、生成温度PTが増加すると、TG減少開始温度 相当する分解開始温度T1、DTA第1ピーク温度 相当する分解温度T2、TG減少終了温度又はDTA 最終ピーク終了温度に相当する金属化温度T3 次第に増加する傾向を示す。従って、分解 度T2が150℃以下になるように生成温度PTを設 定して、複合銀ナノ粒子を自在に設計しなが ら製造することが可能である。金属化温度T3 分解温度T2より数℃上昇するだけで有る。 解析において、TG曲線は熱重量測定曲線で重 量減少を%で示し、TG曲線が減少を開始するこ とは有機被覆層から有機物が気散しているこ とを示す。従って、TG減少開始温度即ち分解 始温度T1は有機物の分解開始温度に相当す 。DTA曲線は示差熱分析曲線で発熱をμVで示 ものである。DTA曲線が上昇することは分解 応により発熱していることを示し、DTA曲線 減少することは冷却していることを示す。DT A曲線がピークを形成すると、そのピーク温 で分解発熱が最大に達し、分解反応がピー に達していることを示す。DTAピークが複数 在する場合には、DTA第1ピーク温度により分 温度を定義する。DTAピークにおけるDTA最終 ークは有機被覆層が気散した後に裸の銀核 士が結合する結合エネルギー放出ピークで ると、本発明者は考察している。従って、D TA第1ピーク温度T2は有機物の分解が最高速に む分解温度を示す。有機物が完全に気散し しまうと発熱は停止し、前記ピークは急速 低下し、低下しきった温度が金属化(銀化) 度T3に相当する。つまり、分解温度T2でTG曲 は急速に低下し、有機物の全量が気散した 果、金属化温度T3でTG曲線は一定値に収斂す 。前記DTAピークを通過した後に、DTA曲線が 減したり、TG曲線が減少すると、複合銀ナ 粒子以外の別の反応が生起していることを し、個別の分析が必要になる。いずれにし も、DTA曲線に出現するDTA第1ピークは複合銀 ノ粒子における有機被覆層の分解気散を示 。

 図7は、本発明に係るC6AgALの生成量と生成 温度の関係図である。縦軸はC6AgALの生成量(g) であり、表3に示した各温度生成量(g)を黒菱 で、1分当り各温度生成量(g)を黒丸で、積分 成量(g)を黒三角で各生成温度PT(℃)に対しプ ロットしている。図から明らかなように、100 ℃以下においてもC6AgALが生成されており、本 発明に係る複合銀ナノ粒子が低温生成される ことが確認されたことになる。

 図8は、本発明に係るC6AgALの物質成分(%)と 生成温度の関係図である。即ち、図8は、表3 「C6AgALの低温生成における各物質量の質量 に記載される炭酸銀とC6AgALの質量比率(%)を 成温度PT(℃)に対して、それぞれ、黒丸と黒 四角でプロットし、C6AgALに含まれる有機成分 量とAg量の質量比率(%)を生成温度PT(℃)に対し 、それぞれ、黒菱形と黒三角でプロットして いる。生成温度の上昇に伴って、炭酸銀の質 量比(黒丸)が減少し、C6AgALの質量比(黒四角) 増大しており、炭酸銀を原料として6AgALが生 成されていることが解る。特に、100℃以下の 生成温度においても、C6AgALが生成されており 、本発明に係る複合銀ナノ粒子が炭酸銀を原 料として低温生成されることが確認されたこ とになる。更に、生成されるC6AgALは、低温生 成においてもAg量の比率(黒三角)が高く、好 な複合銀ナノ粒子が生成されていることが かる。従って、本発明に係る複合銀ナノ粒 は、金属含有率が高く、代替半田として好 な材料であることが実証された。

 図9~図13は、それぞれ、本発明に係る生成温 度PT=70℃、80℃、90℃、100℃、110℃におけるC6A gALの昇温速度VT=1℃/minでの熱解析図である。 中の矢印PTは生成温度(℃)、T1は分解開始温 (℃)、T2は分解温度、T3は金属化温度(℃)を しており、これらの具体的な温度は、表3の C6AgALの生成温度と特性温度の関係」に記載 れており、図9~図13の熱解析から見積もられ たものである。代表として図9で説明すると 示差熱分析(differential thermal analysis;DTA)では 分解開始温度T1より高温になると、C6AgALの 機被覆層が分解して放熱量が明確に増大し いることが分かる。更に、分解温度T2で有機 被覆層の分解による放熱量がピーク値を示す 。これらの結果は、熱重量測定(thermogravimetry; TG)とも一致し、分解開始温度T1より高温側で 、有機被覆層の分解により質量が減少して ることが分かる。前記DTA最終ピークが下降 た金属化温度T3で有機被覆層の全量が気散 、複合銀ナノ粒子の銀核同士が結合して銀 が完了したことを示す。
 図9~図11では、DTAピークが単一ピークである が、図12~図13では、DTAピークがダブルピーク なっている。前述した様に、DTA第1ピークは 急速に分解が生起する分解ピークであり、DTA 最終ピーク、つまりDTA第2ピークは裸の銀核 士の結合エネルギーピークと考えると理解 容易になる。実際には、図9~図11でも、DTA第1 ピークとDTA第2ピークが存在するが、相互に 近しているため、オーバーラップにより単 ピークに見えているだけであると考える。

 更に、図12に示すように、DTA第1ピーク温 T2では、金属化に伴う放熱量の大きなピー 値が現れ、TGにも窪みが見られる。また、前 記DTA最終ピークが低下した金属化温度T3では TGも一定値になる。その後、TGが緩慢に減少 するのは、不純物である炭酸銀の有機物減少 であると考えられる。尚、図12~図13では、DTA 1ピークに連続してDTA最終ピークが出現し、 この第1ピークのDTA第1ピーク温度T2と金属化 度T3を特性温度として見積もっている。図9~ 12に示すように、生成温度PTが70℃~100℃の範 囲ある場合、分解温度T2と金属化温度T3は、 て150℃以下となっている。しかも、分解開 温度T1は分解温度T2の下側60℃以内に含まれ いる。即ち、100℃以下の生成温度で得られ C6AgALを用いれば、150℃以下で含有される有 物が分解され、金属化させることができる 適な代替半田材料を提供することができる また、図13では、分解温度T2と金属化温度T3 、それぞれ、T2=153℃とT3=161℃となっている 、150℃を僅かに越えるだけであり、代替半 の材料として利用することができる。また T1=105℃であり、TG減少開始温度T1はDTAピーク 度T2の下側60℃以内に含まれている。

[実施例2:C8AgAL]
 表4は、C8AgALの低温生成におけるプラズモン 吸収とアルデヒド吸収の測定結果を記載した ものである。反応管内の温度を上昇させなが ら各温度でサンプルを採取し、ナノ粒子プラ ズモンの吸収ピーク(波長:410nm)とアルデヒド 収(波長:290nm)の光学濃度(O.D.)を測定してい 。反応時間は、各温度に到達するまでの時 であり、C8AgALの生成時間に相当する。また ナノ粒子プラズモンのピーク位置は、ナノ 子における表面プラズモンの共鳴エネルギ に相当する。

 図14は、本発明に係るC8AgALの吸収強度と生 時間の関係図である。この図は、表4に記載 た吸収強度と反応温度(生成温度)を反応時 に対し、ナノ粒子プラズモンの吸収強度を 丸で、アルデヒド光学濃度を黒菱形でプロ トしている。図2の説明において述べたよう 、炭酸銀微粒子表面の炭酸銀はアルコール 反応して、銀化と同時にアルデヒドR n-1 CHOが生成され、アルデヒドの強力な還元作用 により炭酸銀が還元されて銀化されると共に 、カルボン酸R n-1 COOHが形成される。中間生成されたAg、AgOR n 、R n-1 COOHは相互に凝集し、複合銀ナノ粒子が生成 れる。図14において、最初の10分間にナノ粒 プラズモンの吸収強度が急激に増大して、 ノ粒子が急速に成長していることが分かる 他方、アルデヒド光学濃度は緩慢に増加し 上述のように、アルコールとの反応による 酸銀の銀化と共に、生成されたアルデヒド 還元反応により、炭酸銀の銀化が増強され 短時間で複合銀ナノ粒子が高効率に生成さ ていることが分かる。更に、生成時間10分 の生成温度(反応温度)は、90℃であり、100℃ 下で複合銀ナノ粒子が高効率に生成される とがこの測定からも実証されたことになる 尚、ナノ粒子プラズモン吸収強度の減少は 凝集して生成される複合銀ナノ粒子の増加 よるものと考えられる。

 また、実施例1のC6AgALにおいても、ナノ粒 子プラズモン吸収強度とアルデヒド光学濃度 の測定を行っているが、実施例2と同様の結 が得られているため、測定結果の記載を省 する。また、実施例2に関する熱分析におい も実施例1と同様の結果が得られており、100 ℃以下での複合銀ナノ粒子の生成が確認され ている。また、DTAピーク温度T2は150℃以下で り、TG減少開始温度T1も前記T2の下側60℃以 に存することが確認され、有機被膜層の分 及び金属化が150℃以内で発生することが確 されている。

[実施例3:C10AgAL]
 図15は、本発明に係るC10AgALの生成を示す光 濃度と表面プラズモン遷移領域の光子エネ ギーの関係図である。C10AgALに関しても、実 施例2と同様に、表面プラズモン遷移領域に ける光学測定を行っており、図に示すよう 、温度の上昇に伴うナノ粒子の表面プラズ ンによる吸収強度の増大が測定されている C10AgALの生成では、生成時間17分、生成温度81 .9℃のスペクトルで表面プラズモンによる吸 が最大となっている。

 図16は、本発明に係るC10AgALの生成試験に いてアルデヒド生成を示す光学濃度と光子 ネルギーの関係図である。炭酸銀微粒子表 の炭酸銀はアルコールと反応して、銀化と 時にアルデヒドが生成され、温度の上昇及 生成時間の増大に伴って、アルデヒドによ 吸収強度の増大が測定されている。即ち、 過時間17分、生成温度81.9℃で、アルデヒド 収が最大に成り、アルデヒドによる炭酸銀 還元が促進されることを証明している。

 図17は、本発明に係るC10AgALの吸収強度と 成温度の関係図である。この図は、図15及 図16に示した表面プラズモンの吸収強度を黒 丸で、アルデヒド光学濃度を黒四角で生成温 度に対してプロットしたものである。生成温 度PTが100℃に到達する前に、表面プラズモン 吸収強度が急激に増大し、アルデヒド吸収 増大していることが分かる。即ち、前述の うに、アルコールとの反応による炭酸銀の 化と共に、生成されたアルデヒドによる還 反応により、炭酸銀の銀化が増強され、100 以下で複合銀ナノ粒子が高効率に生成され いる。

 表5は、「C10AgALのプラズモン吸収の生成 度・生成時間依存性」と「C10AgALのアルデヒ 吸収の生成温度・生成時間依存性」の一覧 である。反応容器の温度(生成温度)を次第 上昇させながら、プラズモン吸収とアルデ ド吸収を測定した。

 図18は、本発明に係るC10AgALの吸収強度と 成時間の関係図である。この図は、生成時 に対して、表5に示した表面プラズモンの吸 収強度を黒丸で、アルデヒド光学濃度を黒菱 形でプロットしたものである。表面プラズモ ンの吸収強度とアルデヒド吸収が急激に増大 し、生成時間が17分で共に最大となっており アルコールとの反応による炭酸銀の銀化と に、生成されたアルデヒドの還元反応によ 、短時間で炭酸銀の銀化が高効率に行われ ことがわかる。生成温度PTが100℃以下で、C1 0AgALの生成が数十分以内に急速に生起するこ が認められる。

 図19は、90℃で生成されたC10AgALの高分解 透過型電子顕微鏡図である。透過型電子顕 鏡像の拡大図では、明確に銀ナノ粒子の銀 の格子像が見られ、結晶性が極めて高いこ が実証された。これらの格子像から、銀核 ほぼ単結晶化していることが分かった。こ 高度結晶性により、本発明の複合銀ナノ粒 は高電気伝導性と高熱伝導性を有すること 結論できる。尚、複合銀ナノ粒子の有機被 層は、透過電子顕微鏡で観察することがで ないため、図中では見えていないが、前述 実験結果からも、有機被覆層が形成されて ることは明らかである。更に、3000個の複合 ナノ粒子の直径を測定し、平均粒径DをD=4.5 1(nm)と見積もっており、好適なサイズの複合 銀ナノ粒子が得られていることが分かる。

[実施例4:C12AgAL]
 図20は、126℃で生成されたC12AgALの透過電子 微鏡図である。C12AgALに関しても透過型電子 顕微鏡像を観察しており、その拡大図では、 明確に銀ナノ粒子の格子像が見られており、 高度に結晶化していることが分かる。この格 子像から、ほぼ単結晶であると判断できる。 この単結晶性により、本発明の複合銀ナノ粒 子は高電気伝導性と高熱伝導性を有すること が結論できる。
 3000個の複合銀ナノ粒子の直径を測定し、平 均粒径DをD=3±1(nm)と見積もっている。C12AgALの 生成温度は、126℃と100℃を越えているが、D=3 ±1(nm)と極めて小さな粒径の複合銀ナノ粒子 得られている。

 図21は、図20に示されたC12AgALの粒径分布 である。前述のように、3000個の複合銀ナノ 子の直径を測定し、平均粒径Dを見積もって おり、粒径分布はガウス分布に従うものと考 えられ、この分布から平均粒径DがD=3±1(nm)と 積もられている。

[実施例5:C1AgAL]
 図22は、本発明に係る生成温度PT=59℃のC1AgAL の熱解析図(VT=1℃/min)である。実施例1と同様 、TG及びDTAから分解開始温度T1(℃)、分解温 T2(℃)及び金属化温度T3(℃)が、T1=70℃、T2=123 ℃、T3=141℃と見積もられている。C1AgALにおい ても、100℃以下でC1AgALが生成されると共に、 150℃以下で有機被膜層等の有機成分が分解さ れ、更に金属化されることが分かる。T2-T1=53( ℃)であるから、TG減少開始温度T1はDTAピーク 度T2の下方60℃以内にあることが分かった。 前記60℃はこの53℃を含む境界値として設定 れたものである。C1AgALのように、炭素数が さな複合銀ナノ粒子の場合、銀の含有比率 高く、有機成分の少ない代替半田材料やパ ーン材料の金属素材として用いることがで る。

[実施例6:C2AgAL]
 図23は、本発明に係る生成温度PT=65℃のC2AgAL の熱解析図(VT=1℃/min)である。図に示すよう 、炭素数が小さなC2AgALにおいても、TG及びDTA から分解開始温度T1(℃)、分解温度T2(℃)及び 属化温度T3(℃)が測定され、T1=109℃、T2=111℃ 、T3=115℃と見積もられた。したがって、100℃ 以下で生成されたC2AgALは、150℃以下でその有 機被膜層等の有機成分が分解され、金属化す ることが実験的に確かめられた。また、T2-T1= 2(℃)であるから、TG減少開始温度T1はDTAピー 温度T2の下方60℃以内にあることが分かった

 図24は、65℃で生成されたC2AgALの透過型電 子顕微鏡図である。C2AgALに関しても透過型電 子顕微鏡像を観察しており、その拡大図では 、明確に銀ナノ粒子の格子像が見られており 、高度に結晶化していることが分かる。この 格子像から、ほぼ単結晶であると判断できる 。格子像の面間隔は0.24nmである。バルク銀結 晶の格子定数a=0.40862nmから計算すると、(111) の面間隔d=a/√3=0.24nmとなるから、前記格子 は(111)面を表すことが分かった。この単結晶 性により、本発明の複合銀ナノ粒子は高電気 伝導性と高熱伝導性を有することが結論でき る。

[実施例7:C4AgAL]
 図25は、本発明に係る生成温度PT=80℃のC4AgAL の熱解析図である。C4AgALにおいても、TG及びD TAから分解開始温度T1(℃)、分解温度T2(℃)及 金属化温度T3(℃)が測定され、T1=103℃、T2=120 、T3=122℃と見積もられた。以上から、100℃ 下で生成されたC4AgALは、150℃以下でその有 被膜層等の有機成分が分解され、金属化す ことが実験的に確かめられている。また、T 2-T1=17(℃)であるから、TG減少開始温度T1はDTA ーク温度T2の下方60℃以内にあることも確認 れた。

 図26は、80℃で生成されたC4AgALの透過型電 子顕微鏡図である。C4AgALに関しても透過型電 子顕微鏡像を観察しており、その拡大図では 、明確に銀ナノ粒子の格子像が見られており 、高度に結晶化していることが分かる。格子 像の面間隔は0.24nmである。バルク銀結晶の(11 1)面の面間隔d=0.24nmと一致するから、前記格 像は(111)面を表すことが分かった。上側の銀 核は単結晶であると判断できるが、下側の銀 核は、単結晶又は双晶であると判断できる。 この高度の結晶性により、本発明の複合銀ナ ノ粒子は高電気伝導性と高熱伝導性を有する ことが結論できる。

[実施例8:C3AgAL]
 生成温度PT=88℃のC3AgALについて熱解析を行 った。TG及びDTAから分解開始温度T1(℃)、分 温度T2(℃)及び金属化温度T3(℃)が測定され、 T1=112℃、T2=129℃、T3=132℃が得られた。従って 、100℃以下で生成されたC3AgALは、150℃以下で その有機被膜層等の有機成分が分解され、金 属化することが実験的に確かめられた。また 、T2-T1=17(℃)であるから、TG減少開始温度T1はD TAピーク温度T2の下方60℃以内にあることが分 かった。更に、高分解能透過型電子顕微鏡に よりC3AgAL粒子の銀核にも格子像が観察された 。前述と同様であるから、TG・DTA曲線と電子 微鏡図は省略する。

[実施例9:C5AgAL]
 生成温度PT=89℃のC5AgALについて熱解析を行 った。TG及びDTAから分解開始温度T1(℃)、分 温度T2(℃)及び金属化温度T3(℃)が測定され、 T1=117℃、T2=134℃、T3=138℃が得られた。従って 、100℃以下で生成されたC5AgALは、150℃以下で その有機被膜層等の有機成分が分解され、金 属化することが実験的に確かめられた。T2-T1= 17(℃)であるから、TG減少開始温度T1はDTAピー 温度T2の下方60℃以内にあることが分かった 。また、高分解能透過型電子顕微鏡によりC5A gAL粒子の銀核にも格子像が観察された。前述 と同様であるから、TG・DTA曲線と電子顕微鏡 は省略する。

[実施例10:C7AgAL]
 生成温度PT=92℃のC7AgALについて熱解析を行 った。TG及びDTAから分解開始温度T1(℃)、分 温度T2(℃)及び金属化温度T3(℃)が測定され、 T1=120℃、T2=135℃、T3=141℃が得られた。これか ら、100℃以下で生成されたC7AgALは、150℃以下 でその有機被膜層等の有機成分が分解され、 金属化することが実験的に確かめられた。T2- T1=15(℃)であるから、TG減少開始温度T1はDTAピ ク温度T2の下方60℃以内にあることが分かっ た。また、高分解能透過型電子顕微鏡により C7AgAL粒子の銀核にも格子像が観察された。前 述と同様であるから、TG・DTA曲線と電子顕微 図は省略する。

[実施例11:C9AgAL]
 生成温度PT=94℃のC9AgALについて熱解析を行 った。TG及びDTAから分解開始温度T1(℃)、分 温度T2(℃)及び金属化温度T3(℃)が測定され、 T1=124℃、T2=138℃、T3=144℃が得られた。これか ら、100℃以下で生成されたC9AgALは、150℃以下 でその有機被膜層等の有機成分が分解され、 金属化することが実験的に確かめられた。T2- T1=14(℃)であるから、TG減少開始温度T1はDTAピ ク温度T2の下方60℃以内にあることが分かっ た。また、高分解能透過型電子顕微鏡により C9AgAL粒子の銀核にも格子像が観察された。前 述と同様であるから、TG・DTA曲線と電子顕微 図は省略する。

[実施例12:C11AgAL]
 生成温度PT=98℃のC11AgALについて熱解析を行 った。TG及びDTAから分解開始温度T1(℃)、分 温度T2(℃)及び金属化温度T3(℃)が測定され T1=127℃、T2=141℃、T3=148℃が得られた。これ ら、100℃以下で生成されたC11AgALは、150℃以 でその有機被膜層等の有機成分が分解され 金属化することが実験的に確かめられた。T 2-T1=14(℃)であるから、TG減少開始温度T1はDTA ーク温度T2の下方60℃以内にあることが分か た。また、高分解能透過型電子顕微鏡によ C11AgAL粒子の銀核にも格子像が観察された。 前述と同様であるから、TG・DTA曲線と電子顕 鏡図は省略する。

 表6には、実施例1~12における生成温度PT、 分解開始温度T1(℃)、分解温度T2(℃)及び金属 温度T3(℃)の具体的な値が記載されている。 C12AgALを除いて生成温度PTは100℃以下であり、 分解温度T2及び金属化温度T3は150℃以下であ 、且つ分解開始温度T1は分解温度T2の下方60 以内に存在することが明らかとなった。C12Ag ALの生成温度PTは126℃であるが、分解温度T2及 び金属化温度T3は150℃以下であり、且つ分解 始温度T1は分解温度T2の下方60℃以内に存在 る条件も、他のCnAgALと同様であることが分 った。従って、分解温度T2が150℃以下の条 、及び分解開始温度T1が分解温度T2の下方60 以内に存在する条件は、C1~C12のCnAgALで共通 件であることが分かった。上記のCnAgALの測 では、T2-60≦T1≦T2の」不等式が得られた。

 表7は複合銀ナノ粒子における生成温度PT 分解温度T2の関係一覧表である。図27は表7 データを図示したもので、横軸を生成温度PT (℃)及び縦軸を分解温度T2(℃)で表現したもの である。分解温度T2が150℃以下の条件は、生 温度PT=111.5℃のC6AgALだけであり、他のC6AgAL T2≦150℃を満足している。従って、本実施形 態では、分解温度T2≦150℃が得られた。

 表8は、複合銀ナノ粒子における分解開始 温度T1と分解温度T2の関係一覧表である。図28 は表8のデータを図示したもので、横軸を分 開始温度T1(℃)及び縦軸を分解温度T2(℃)で表 現したものである。図28から明白なように、 解温度T2が150℃以下であり、且つ分解開始 度T1は140℃以下が成立している。

 表9は、複合銀ナノ粒子における分解開始 温度T1、分解温度T2、及びT2-60の関係一覧表で ある。T2-60は、T2-60≦T1≦T2の範囲の満足性の 定のために記載されている。上記実施形態 は、上記範囲が満足されていることは数値 に明らかである。

 図29は、表9のデータを図示したもので、 軸はC数、縦軸は特性温度を示す。本発明の 特性温度は、生成温度PT、分解開始温度T1、 解温度T2、金属化温度T3であるが、図29では T2-60も特性温度として包含される。黒四角は 分解温度T2であり、黒三角はT2-60であり、黒 は分解開始温度T2を示す。全ての黒丸が黒三 角と黒四角の間に存在するから、T2-60≦T1≦T2 の不等式条件がC1~C12について成立しているこ とが上記実施形態に対して実証された。

 表10は実施例1~12における生成温度PT、分解 始温度T1(℃)、分解温度T2(℃)、金属化温度T3( ℃)及びC数対応アルコールの沸点BTの一覧表 ある。C数対応アルコールとは、C数=nならC n H 2n+1 OHを意味する。

 図30は、表10のデータを図示したもので、 横軸はアルコール由来有機被覆層のC数、縦 は特性温度を示す。本発明の特性温度は、 成温度PT、分解開始温度T1、分解温度T2、金 化温度T3及びアルコール沸点BTである。図30 本発明の主要な条件が全て含まれている。 成温度PT≦100℃の条件については、C12以外で は全て成立している。DTAピーク温度T2≦150℃ ついては、C1~C12の全てで成立している。金 化温度T3≦150℃については、C1~C12の全てで 立している。T2-60≦T1≦150℃についても、C1~C 12の全てで成立している。本発明は過剰アル ール溶液内での銀塩反応であるが、加熱温 制御に関しては、アルコールの沸点BTで制 することも行なっている。例えば、C1のメタ ノールの沸点BT=64.7℃であるから、アルコー を沸騰状態で反応させても、アルコール温 は64.7℃を超えず、生成温度PTはPT=64.7℃(=BT) 固定される。しかし、アルコール沸点BTはC の増加に応じて上昇する。沸点の低いアル ールでは、加圧沸騰により、生成温度を沸 より高く設定することが可能である。また 沸点の高いアルコールでは、減圧沸騰によ 生成温度を沸点より低く設定することが可 になる。

 表11はC1~C12におけるCnAgALの高分解能透過 電子顕微鏡による格子像の一覧表である。C1 ~C12の複合銀ナノ粒子の全てにおいて、銀核 格子像が確認され、結晶性が極めて高いこ が実証されている。このように、アルコキ ド被覆銀ナノ粒子で銀核の格子像を確認し のは、本発明者が初めてであり、銀核の単 晶性又は双晶性など、高度の結晶性を有す アルコキシド被覆銀ナノ粒子を提供するこ に成功した。従って、本発明のCnAgALの電気 電性と熱伝導性は極めて高いことが実証さ た。

[実施例011~123:C1~C12の複合銀ナノペーストの特 性]
 次に、本発明により生成された複合銀ナノ 子を用いて複合銀ナノペーストを作成した C1~C12のCnAgALの夫々から次の3種類のペースト を作成した。(1)CnAgAL+粘性付与剤、(2)CnAgAL+溶 +粘性付与剤、(3)CnAgAL+銀粒子+溶剤+粘性付与 剤。CnAgALの少なくとも一つは実施例1~12に示 れた金属化温度T3を有し、CnAgALの残りは金属 化温度T3が前記実施例の金属化温度T3とやや なるものが用いられている。しかし、金属 温度T3は全て150℃以下のものが選択されてい る。銀粒子の粒径は0.4μmと1.0μmの2種類が使 された。溶剤は、メタノール、エタノール ブタノール、キシレン、トルエン、ヘキサ から選択された。粘性付与剤は、テレピン イル、ターピネオール、テルピン誘導体(1,8- テルピンモノアセテートと1,8-テルピンジア テートの混合物)、メチルセルロースから選 された。メチルセルロースは粉体であり、 ず溶剤と併用される。銀粒子の粒径、溶剤 種類、粘性付与剤の種類、各成分のmass%及 大気中ペースト焼成温度は表12及び表13に記 された通りである。C1~C12のCnAgALの金属化温 T3(℃)と実際の大気中ペースト焼成温度(℃) 表12及び表13に記載されている。

 大気中ペースト焼成温度はCnAgALの金属化 度T3よりも高く設定されている。その理由 、CnAgALを金属化させるだけでなく、溶剤を 発させたり、粘性付与剤を蒸発又は分解気 させる必要があるからである。また、CnAgAL 金属化温度T3は150℃以下であるが、金属化温 度よりも高い温度で焼成すると、秀麗な金属 膜が形成でき、しかも電気伝導度の高い銀膜 を形成できるからでもある。従って、表12及 表13に示されるように、大気中ペースト焼 温度は前記金属化温度T3よりも高く設定され 、高温ほど銀膜特性の向上が確認された。粘 性付与剤としてテレピンオイルを使用した場 合では、大気中ペースト焼成温度は200℃以下 に調整された。また、粘性付与剤としてテル ピン誘導体を使用した場合には、更に焼成温 度を高くしている。更に、粘性付与剤として メチルセルロースを使用した場合には、焼成 温度は400℃、450℃と一層高く設定された。以 上のように、大気中ペースト焼成温度は粘性 付与剤の気散温度に依存する。

 実施例011~実施例123に示される36種類のペ ストを耐熱ガラス基板に塗着し、表12及び 13の大気中ペースト焼成温度で焼成したとこ ろ、ガラス基板には秀麗な銀膜が形成された 。形成された銀膜表面を光学顕微鏡で観察し 、比抵抗を測定したところ、実用に耐える銀 膜であることが確認され、本発明の複合銀ナ ノペーストが有効であることが結論された。

[実施例124:半導体電極と回路基板との接合]
 半導体チップを上体とし、回路基板を下体 して接合試験を行った。半導体チップの電 端を回路基板のスルーホールに挿入し、両 間の接触部に実施例011~実施例123の複合銀ナ ノペーストを塗着して、36種のペースト試験 を得た。その後、前記塗着部を表12及び表13 に記載のペースト焼成温度で局所的に加熱し て、前記塗着部を金属化させ、接合を完了し た。冷却した後、光学顕微鏡により、前記接 合部の外観を検査したところ、36種の試験体 問題はなかった。電気導通試験と電気抵抗 定を行なったが、代替半田として有効に機 していることが確認された。前記36種類の 合試験から、本発明に係る複合銀ナノペー トは代替半田として工業的に利用できるこ が分かった。

[実施例125:耐熱ガラス基板上への銀パターン 形成]
 耐熱ガラス基板を基体とし、この基体上に 施例011~実施例123の複合銀ナノペーストをス クリーン印刷して、所定パターンのペースト パターンを形成した36種類の試験体を得た。 の後、前記試験体を電気炉により表12及び 13に記載の大気中ペースト焼成温度で加熱し て、前記ペーストパターンから銀パターンを 形成した。冷却した後、光学顕微鏡により、 前記銀パターンの表面を検査したところ、36 の試験体で問題はなかった。前記36種類の ターン形成試験から、本発明に係る複合銀 ノペーストは銀パターン形成用材料として 業的に利用できることが分かった。

[実施例1001~1012:CnAgAL(n=1~12)の第2実施形態の熱 析]
 前述したように、第1実施形態のCnAgAL(n=1~12) 対して熱解析を行なって、表10、図29及び図 30の特性温度の一覧を得た。この点を更に検 するため、本発明者は別の複合銀ナノ粒子C nAgAL(n=1~12)に対して、第2実施形態として、特 温度の一覧を得る実験を行なった。

 図31~図36は、別の複合銀ナノ粒子C1AgAL~C12A gALに対し昇温速度1℃/minで行なった熱解析図 あり、各熱解析図はTG曲線とDTA曲線から構 される。分解開始温度T1はTG減少開始温度で り、分解温度T2はDTA第1ピーク温度であり、 属化温度T3はTG減少終了温度又はDTA最終ピー ク終了温度である。これらの具体的な温度と 生成温度PTは、表14に記載されており、T1、T2 びT3の温度は図31~図13の熱解析から見積もら れたものである。更に、図37には、実施例1001 ~1012の複合銀ナノ粒子CnAgAL(C1~C12)の昇温速度1 /minにおける特性温度(PT、T1、T2、T3)とC数の 係図として、表14に示した温度をプロット ている。

 図31及び図32のC1AgAL~C3AgALでは、DTAピーク 単一ピークであり、図32~図36のC4AgAL~C12AgALで 、DTAピークがダブルピークになっている。 述した様に、DTA第1ピークは急速に分解が生 起する分解ピークであり、DTA最終ピーク、つ まりDTA第2ピークは裸の銀核同士の結合エネ ギーピークと考えると理解が容易になる。 際には、図31及び図32のC1AgAL~C3AgALでも、DTA第 1ピークとDTA第2ピークが存在するが、相互に 近しているため、オーバーラップにより単 ピークに見えているだけであると考える。

 図32~図36に示したC2AgAL~C12AgALのDTAでは、分 解開始温度T1より高温になると、C6AgALの有機 覆層が分解して放熱量が明確に増大してい ことが分かる。このような傾向は、図32に したC1AgALのDTAでは明確に見られていないが これは複合銀ナノ粒子以外の成分による放 のために明確に現れていないと考えている しかしながら、図32~図36のC1AgAL~C12AgALでは、 解温度T2で有機被覆層の分解による放熱量 ピーク値を示し、TGとも一致している。分解 開始温度T1より高温側では、有機被覆層の分 により質量が減少していることが分かる。 た、前記DTA最終ピークが下降した金属化温 T3で有機被覆層の全量が気散し、複合銀ナ 粒子の銀核同士が結合して銀化が完了して ることが分かる。

 図32のC4AgALに示すように、DTA第1ピーク温 T2では、金属化に伴う放熱量の大きなピー 値が現れ、TGにも窪みが見られる。更に、連 続してDTA第2ピークとDTA最終ピークが現れ、 のDTA最終ピークが低下した金属化温度T3では 、TGも一定値になる。その後、TGが緩慢に増 するのは、不純物である炭酸銀の分解によ ものと考えられる。尚、図32~図36に示したC4A gAL~C12AgALのDTAでは、第1ピークのDTA第1ピーク 度T2と金属化温度T3を特性温度として見積も ている。

 図37に示すように、C1AgAL~C7AgAL及びC9AgALで 、分解温度T2と金属化温度T3は、全て200℃以 下となっている。即ち、別実施例の複合銀ナ ノ粒子を昇温速度VT=1℃/minで大気中熱分析し 結果、DTAから得られる金属化温度T3(℃)が200 ℃以下の複合銀ナノ粒子が生成されることが 明らかとなった。従って、低温焼成で金属化 させることができる好適な代替半田材料を提 供することができる。また、C8AgALとC10AgAL~C12A gALにおいて、金属化温度T3は、200℃近傍か僅 に200℃を超える程度であり、代替半田の材 として利用することができる。しかも、C1Ag AL~C12AgALにおいて、分解開始温度T1は分解温度 T2の下側100℃以内に含まれている。

 表15は、実施例1001~1012の複合銀ナノ粒子 おける分解開始温度T1、分解温度T2、及びT2-9 0の関係一覧表である。T2-90は、T2-90≦T1≦T2の 範囲の満足性の判定のために記載されている 。上記実施形態では、上記範囲が満足されて いることは数値的に明らかである。

 図38は、表15のデータを図示したもので、 横軸はC数、縦軸は特性温度を示す。本発明 特性温度は、生成温度PT、分解開始温度T1、 解温度T2、金属化温度T3であるが、図38では T2-90も特性温度として包含される。黒四角 分解温度T2であり、黒三角はT2-90であり、黒 は分解開始温度T2を示す。全ての黒丸が黒 角と黒四角の間に存在するから、T2-90≦T1≦T 2の不等式条件がC1~C12について成立している とが第2実施形態に対して実証された。

 図39~44は、他実施例である複合銀ナノ粒 C10AgAL(PT=176℃)の熱解析図であり、昇温速度VT を1~20℃/minの範囲で変化させている。図39~44 は、DTAとTGの測定結果と共に、このTGから見 もられた微分熱重量(DTG)をプロットしてい 。図39~図44では昇温速度VTが、ぞれぞれ、VT=1 ℃/min、3℃/min、5℃/min、10℃/min、15℃/min、20 /minとなっている。図39~図44において、分解 始温度T1はTG減少開始温度であり、分解温度T 2はDTA第1ピーク温度であり、金属化温度T3はTG 減少終了温度又はDTA最終ピーク終了温度であ る。DTGのプロットから、分解開始温度T1とは 直線的なTGの減少から曲線的なTGの減少に変 化する温度であることが分かる。即ち、DTGの プロットにおいて、分解開始温度T1より低温 では、TG減少率が略定数となる傾向を示し 分解開始温度T1を越えるとTG減少率が急激に 加している。直線的なTGの減少は僅かであ 、TGの試料となる複合銀ナノ粒子粉体に含ま れた残留物等の蒸発による成分と考えられる 。従って、分解開始温度T1を見積もったTG減 開始温度とは、純粋な複合銀ナノ粒子のTG減 少開始温度と云うことができ、このTG減少開 温度から分解開始温度T1を見積もることは 当であったと云える。

 更に、図39~図44のDTGプロットには、DTA第1 ーク、DTA第2ピーク及び最終ピークの位置又 はその近傍で極小となるディップ構造があり 、TG減少率が極大となっている。これらのデ ップ構造においてTG減少率が極大となるこ と、DTAの各ピーク温度又はその近傍におい 、有機物の分解に伴う放熱量が極大となる とは整合しており、良い一致を示している 更に、金属化温度T3を越えるとDTGは略ゼロと なり、複合銀ナノ粒子の金属化に伴って、TG 減少が終了していることがより明確に示さ ている。

 前述のように、図39~図44では、複合銀ナ 粒子C10AgALの昇温速度VTを1~20の範囲で変化さ ており、図39~図44における分解開始温度T1、 分解温度T2、金属化温度T3は、昇温速度VTの増 大に伴って上昇している。昇温速度VTが増大 ることにより所定温度に到達するまでの時 が短くなり、複合銀ナノ粒子に加えられる 量の時間積分値が減少する。これが主要な 因となり、分解開始温度T1、分解温度T2及び 金属化温度T3が昇温速度VTの増大に伴って上 している。

 図45~図50は、他実施例である複合銀ナノ ーストPC10AgAL(PT=176℃)の熱解析図であり、昇 速度VTを1~20℃/minの範囲で変化させている。 図45~図50では、DTAとTGと共にこのTGから見積も った微分熱重量(DTG)をプロットしている。図4 5~図50では昇温速度VTが、ぞれぞれ、VT=1℃/min 3℃/min、5℃/min、10℃/min、15℃/min、20℃/minと なっている。図45~図50のDTGにおいて、ペース 分解開始温度Tp1より低温側では、複合銀ナ ペーストに含まれる粘性付与剤の蒸発によ ディップ構造が見られる。即ち、複合銀ナ ペーストでは、複合銀ナノ粒子に溶剤及び/ 又は粘性付与剤が添加されているから、複合 銀ナノ粒子が酸化分解される前に、溶剤及び /又は粘性付与剤の脱離や酸化分解が先行す 。

 従って、図45~図50におけるペースト分解 始温度Tp1は、複合銀ナノペーストに含まれ 粘性付与剤の蒸発し、前記有機被膜層の分 に伴うTGの減少が開始される温度を示してい る。図45~図50では、ペースト分解開始温度Tp1 DTGのプロットがほぼゼロになるか又はゼロ 傍の値となり、DTGの第2の減少開始温度を与 えている。このペースト分解開始温度Tp1の後 に、DTA曲線においてDTAピークが出現し、その 最初に出現するDTA第1ピーク温度がペースト 解温度Tp2(℃)である。DTAピークの最後に出現 する急峻な最終ピークは、有機被覆層が酸化 分解された後に残留する裸の銀核同士が結合 する結合エネルギーの放出ピークと考えられ る。この最終ピークが落ちて横方向に折れる 点がペースト金属化温度Tp3(℃)と定義される これらのペースト温度は、Tp1≦Tp2≦Tp3の不 式を満足する。

 表16には、図39~図50から見積もられた複合 銀ナノ粒子粉体の分解開始温度T1、分解温度T 2及び金属化温度T3と複合銀ペーストの分解開 始温度Tp1、分解温度Tp2及び金属化温度Tp3から なる特性温度を記載している。更に、図51は 表16に示した図39~図50で得られたCnAgAL及びPCn AgALの特性温度(T1、T2、T3、Tp1、Tp2、Tp3)と昇温 速度との関係図である。表16及び図51に示す うに、前記昇温速度VTを1~20(℃/min)の範囲だ 変化すると、ペースト分解開始温度Tp1は約50 ℃ほど増加し、ペースト分解温度Tp2は約65℃ ど増加し、ペースト金属化温度Tp3は約80℃ ど増加する傾向が見られる。従って、複合 ナノペーストをVT=1(℃/min)で昇温しながらTp1 Tp2、Tp3を測定し、同じ複合銀ナノペースト VT=20(℃/min)で測定すると、前記Tp1、Tp2、Tp3 夫々約50℃、約65℃、約80℃増加すると考え れる。しかし、これらの温度増加量は有機 覆層の炭素数に依存することは云うまでも く、銀核粒径にも多少は依存すると考えら る。

 図52は、図51から得られたCnAgALとPCnAgALの 性温度(T1、T2、T3、Tp1、Tp2、Tp3)の大小関係図 である。図50から、複合銀ナノ粒子(CnAgAL、n=1 ~12と表記)及び複合銀ナノペースト(PCnAgAL、n=1 ~12と表記)を昇温速度VT=1~20(℃/min)で大気中熱 析した場合、粉体分解開始温度T1とペース 分解開始温度Tp1では、T1(VT)≦Tp1(VT)≦T1(VT)+100 の関係が成り立っている。更に、粉体分解温 度T2とペースト分解温度Tp2の関係と粉体金属 温度T3(℃)とペースト金属化温度Tp3(℃)の関 をまとめると、昇温速度VT=1~20(℃/min)の範囲 において、図52に示す(P1)~(P3)の不等式がほぼ 足されることが分かった。これらの不等式 より、複合銀ナノ粒子の特性温度T1、T2、T3 測定することによって、その複合銀ナノペ ストの特性温度のTp1、Tp2、Tp3を推定するこ が可能になった。

 本発明は、上記実施形態や変形例に限定 れるものではなく、本発明の技術的思想を 脱しない範囲における種々変形例、設計変 などをその技術的範囲内に包含するもので ることは云うまでもない。

 本発明によれば、DTAピーク温度T2が200℃ 下であり、アルコール残基、アルコール誘 体又はアルコール分子の一種以上の有機被 層を有し、銀核粒径が1~20nmの複合銀ナノ粒 が提供される。また、前記複合銀ナノ粒子 TG減少開始温度T1はT2-90≦T1≦T2の範囲にある このような複合銀ナノ粒子は、生成温度PT 160℃以下、より好ましくは140℃以下に低下 せることにより生成することが可能であり DTAピーク温度T2、TG減少開始温度T1及び生成 度PTは相互にリンクした関係にある。金属化 温度T3はDTAピーク温度T2から数℃高いだけで り、DTAピーク温度T2が200℃以下であるから、 金属化温度T3もほぼ200℃以下になる。従って 複合銀ナノ粒子を低温生成することにより ほぼ200℃以下での金属化を達成したもので る。従来のSn-Pb半田の融点が183℃であるか 、本発明の複合銀ナノ粒子は鉛フリーの代 半田として用いることができ、また銀膜形 材料として利用できる。生成温度が160℃以 であるから、製造装置や製造設備のコスト 大幅に低減できる。従って、本発明の複合 ナノ粒子は、プリント配線・導電性材料な の電子材料、磁気記録媒体・電磁波吸収体 電磁波共鳴器などの磁性材料、遠赤外材料 複合皮膜形成材などの構造材料、焼結助剤 コーティング材料などのセラミックス・金 材料、医療材料などの各種用途に適用でき 。更に、本発明によれば、複合銀ナノ粒子 安価な製造方法や製造装置を提供すること できる。