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Patent Searching and Data


Title:
COMPOUND, LIGHT EMITTING MATERIAL, AND ORGANIC SEMICONDUCTOR LASER ELEMENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175624
Kind Code:
A1
Abstract:
This compound represented by Z1-L-Z2 is highly stable and exhibits excellent light emitting properties. Z1 and Z2 each independently represent a substituted or unsubstituted diarylamino group. The two aryl groups forming the diarylamino group are bound to each other either directly or via a linking group. L represents a conjugated linking group including a benzofuran structure and includes five or more rings in the chain linking Z1 and Z2.

Inventors:
MAMADA MASASHI (JP)
ADACHI CHIHAYA (JP)
OYAMA YUYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/008043
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 27, 2020
Export Citation:
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Assignee:
UNIV KYUSHU NAT UNIV CORP (JP)
International Classes:
C07D405/14; C09K11/06; H01L51/50; H01S5/36
Domestic Patent References:
WO2018221173A12018-12-06
WO2018060307A12018-04-05
WO2012050001A12012-04-19
Foreign References:
JP2008106032A2008-05-08
JP2008163190A2008-07-17
JP2008098433A2008-04-24
JP2018524803A2018-08-30
JP2018503622A2018-02-08
CN108424411A2018-08-21
CN107698601A2018-02-16
CN107602336A2018-01-19
CN107573307A2018-01-12
CN108892674A2018-11-27
US20180105534A12018-04-19
JP2017175128A2017-09-28
JP2015536567A2015-12-21
JP2010059147A2010-03-18
JP2003142263A2003-05-16
JP2006265172A2006-10-05
Other References:
TSUJI, H.: "Bis(carbazolyl)benzodifuran: a high-mobility ambipolar material for homojunction organic light-emitting diode devices", ADVANCED MATERIALS, vol. 21, 2009, pages 3776 - 3779, XP055734437
TSUJI, H.: "Modular synthesis and photophysical and electrochemical properties of 2, 3, 5, 6-tetraaryl substituted benzo[l, 2-b:5, 4-b']difurans", HETEROATOM CHEMISTRY, vol. 22, no. 3/4, 2011, pages 316 - 324, XP055629683, DOI: 10.1002/hc.20682
MITSUI, C.: "Bis(carbazolyl)benzodifuran has a high triplet energy level for application in blue phosphorescent OLED, Chemistry", AN ASIAN JOURNAL, vol. 6, 2011, pages 22 96 - 2300, XP055734608
A IMONO, TAKANORI: "100% fluorescene efficiency of 4, 4'-bis[(N-carbazole)styryl]biphenyl in a solid film and the very low amplified spontaneous emission threshold", APPLIED PHYSICS LETTERS, vol. 86, 2005, pages 071110, XP012066316
Attorney, Agent or Firm:
SIKS & CO. (JP)
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Claims:
〇 2020/175624 46 卩(:171? 2020 /008043

請求の範囲

[請求項 1 ] 下記一般式 (1) で表される化合物。

一般式 ( 1)

2 1 _ 1_ _ 2 2

[—般式 (1) において、 1および 2は各々独立に置換もしくは 無置換のジアリールアミノ基を表し、 前記ジアリールアミノ基を構成 する 2つのアリール基は互いに直接または連結基を介して結合してい る。 1_は、 ベンゾフラン構造を含む共役系連結基を表し、 と 2 を結ぶ連結鎖中に 5つ以上の環を含む。 ]

[請求項 2] 前記共役系連結基が、 置換もしくは無置換のベンゼン環、 置換もし くは無置換のフラン環、 置換もしくは無置換の複素芳香環、 および置 換もしくは無置換のエテニレン基から選択される 2以上が連結した構 造を有する (ここで前記ベンゼン環とフラン環は縮合していてもよく 、 また、 前記フラン環と前記複素芳香環は縮合していてもよい) 、 請 求項 1 に記載の化合物。

[請求項 3] 前記共役系連結基が置換もしくは無置換のベンゾフランー 2 , 6 _ ジイル基を含む、 請求項 1 または 2に記載の化合物。

[請求項 4] 前記共役系連結基が、 下記の群 から選択される 1以上の基が連結 した構造を有する、 請求項 1〜 3のいずれか 1項に記載の化合物。

\¥0 2020/175624 47 ?01/1?2020/008043

[化 1]

[上記の群八の各基における水素原子は置換されていてもよい。 *は 連結位置を示す。 上記の群 の中からはベンゾフラン構造を含む基が 少なくとも 1つは選択される。 また、 上記の群八の中のベンゾフラン 構造を含む基とフルオレン構造を含む基は、 それらの基を構成するべ ンゼン環の環骨格構成原子の少なくとも 1つが窒素原子に置換されて いてもよい。 ]

[請求項 5] 前記共役系連結基が、 下記の一般式 (2) で表される基を含む、 請 求項 1〜 4のいずれか 1項に記載の化合物。

[化 2]

[ は互いに結合して一〇一を形成 する。 および は、 各々独立に水素原子または置換基を表すか 、 互いに結合して連結基を形成する。 *は連結位置を す。 _般式 ( 〇 2020/175624 48 卩(:171? 2020 /008043

2) 中のベンゼン環に結合している水素原子は置換基で置換されてい てもよい。 ]

[請求項 6] 前記共役系連結基の鎖長原子数が 1 〇〜 30である、 請求項 1〜 5 のいずれか 1項に記載の化合物。

[請求項 7] 1および 2が各々独立に下記一般式 (3) で表される基である 、 請求項 1〜 6のいずれか 1項に記載の化合物。

[化 3]

[ 、 。は、 各々独立に水素原子また は置換基を表す。

を形成する。

、 [¾16と[¾17、 [¾17と[¾18、 [¾18と[¾19、 [¾19と[¾20は、 互いに 結合して環状構造を形成していてもよい。 氺は結合位置を示す。 ]

[請求項 8] 1および 2が各々独立に下記一般式 (4) 〜 (8) のいずれか で表される基である、 請求項 1〜 6のいずれか 1項に記載の化合物。

〇 2020/175624 49 卩(:171? 2020 /008043

[化 4-1]

〇 2020/175624 50 卩(:171? 2020 /008043

[化 4-2]

[—般式 (4) 〜 (8) において、 [¾21~[¾24、 [¾27~[¾38、 [¾41 〜848、 851〜858、 861〜865、 各々独立に水 素原子または置換基を表す。 [¾21と[¾22、 [¾22と[¾23、 、 [¾27と[¾28、 [¾28と[¾29、 [¾29と[¾30、 [¾31と[¾32、 [¾32と 3、 [¾33と[¾34、 [¾35と 836、 [¾36と 837、 [¾37と 838、 [¾41と 8

42、 [¾42と[¾43、 [¾43と[¾44、 [¾45と[¾46、 [¾46と[¾47、 [¾47と 848、 851と 852、 852と 853、 [¾53と 854、 [¾55と 856、 856 と 857、 [¾57と 858、 861と 862、 862と 863、 [¾63と 864、 86 4と ^65、 [¾54と ^61、 ^55と ^65、 ^81と ^82、 [¾82と ^83、 ^

83と[¾84、 [¾85と[¾86、 [¾86と[¾87、 [¾87と[¾88、 [¾89と[¾90は 、 互いに結合して環状構造を形成していてもよい。 氺は結合位置を示 す。 ]

[請求項 9] 1および 2が各々独立に前記一般式 (4) で表される基である

、 請求項 8に記載の化合物。

[請求項 10] 請求項 1〜 9のいずれか 1項に記載の化合物からなる発光材料。 〇 2020/175624 51 卩(:171? 2020 /008043

[請求項 1 1 ] 自然放出増幅光を放射する、 請求項 1 0に記載の発光材料。

[請求項 12] 有機半導体レーザー素子用の発光材料である、 請求項 1 0または 1

1 に記載の発光材料。

[請求項 13] 下記一般式 (1) で表される化合物を含む有機半導体レーザー素子 一般式 ( 1)

2 1 _ 1_ _ 2 2

[—般式 (1) において、 1および 2は各々独立に置換もしくは 無置換のジアリールアミノ基を表し、 前記ジアリールアミノ基を構成 する 2つのアリール基は互いに直接または連結基を介して結合してい る。 1_は、 ベンゾフラン構造を含む共役系連結基を表す。 ]

Description:
明 細 書

発明の名称 : 化合物、 発光材料および有機半導体レーザー素子 技術分野

[0001] 本発明は、 発光材料として有用な化合物に関する。

背景技術

[0002] レーザー発振閾値が低い有機半導体レーザー 素子の実現に向けた研究が盛 んに行われている。 特に、 そうした有機半導体レーザー素子の実現には 、 自 然放出増幅光 (AS E : Amplified Spontaneous Emissiom) を放射する化合 物の開発が必須であることから、 様々な化合物を合成して AS E特性を調査 し、 レーザー材料として有用な化合物を見出す研 究が精力的に進められてい る。 その中には、 スチルベン構造を基本構造として分子設計を 行うことによ り、 自然放出増幅光放射の閾値 (AS E閾値) が低いレーザー材料を実現し ようとする研究も見受けられる。

例えば、 非特許文献 1 には、 下記式で表されるビススチルベン誘導体 (BSB -Cz) が極めて低い AS E閾値を示し、 有機レーザー色素として優れているこ とが報告されている。

[0003] [化 1]

先行技術文献

非特許文献

[0004] 非特許文献 2005, 86, 071110

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005] 上記のように、 が優れた有機レーザー色素であることが知ら れてい 〇 2020/175624 2 卩(:171? 2020 /008043

る。 しかし、 本発明者らが の実用性を評価したところ、 ビススチルべ ン骨格に存在する二重結合が化学的に不安定 であるために、 を蒸着し て発光層を形成すると、 その高温での蒸着過程でシスートランス異性 化や分 解が生じ、 異性体や分解物等の不純物が生じることが判 明した (後掲の実施 例の IV! データ参照) 。 こうした不純物の生成は光学物性の変化や半 導体 特性の低下を招く原因になることから、 レーザー性能に優れたレーザー素子 を実現すべく、 より安定性が高いレーザー材料の開発が切望 されている。

[0006] このような状況下において本発明者らは、 と同等以上の優れた発光 特性を示し、 且つ、 安定性が高い化合物を見出すことを目指して 研究を重ね た。 そして、 レーザー発振閾値が低い有機半導体レーザー 素子を実現するこ とを目的として鋭意検討を進めた。

課題を解決するための手段

[0007] 鋭意検討を進めた結果、 本発明者らは、 のスチルベン構造のエテニ レン基 =〇! ! -) を酸素原子でベンゼン環に連結させてフラン 環を 形成することにより、 その安定性が顕著に向上し、 高い量子収率と低い八3 巳閾値を示すとともに、 安定性にも優れた化合物を提供できることを 見出し た。

本発明は、 これらの知見に基づいて提案されたものであ り、 具体的に、 以 下の構成を有する。

[0008] [ 1 ] 下記一般式 (1) で表される化合物。

一般式 ( 1)

2 1 _ 1_ _ 2 2

[一般式 (1) において、 1 および 2 は各々独立に置換もしくは無置換の ジアリールアミノ基を表し、 前記ジアリールアミノ基を構成する 2つのアリ —ル基は互いに直接または連結基を介して結 合している。 1_は、 ベンゾフラ ン構造を含む共役系連結基を表し、 1 2 を結ぶ連結鎖中に 5つ以上の環 を含む。 ]

[ 2 ] 前記共役系連結基が、 置換もしくは無置換のベンゼン環、 置換もし 20/175624 3 卩(:171? 2020 /008043

くは無置換のフラン環、 置換もしくは無置換の複素芳香環、 および置換もし くは無置換のエテニレン基から選択される 2以上が連結した構造を有する ( ここで前記ベンゼン環とフラン環は縮合して いてもよく、 また、 前記フラン 環と前記複素芳香環は縮合していてもよい) 、 [1] に記載の化合物。

[3] 前記共役系連結基が置換もしくは無置換のベ ンゾフランー 2 , 6— ジイル基を含む、 [1] または [2] に記載の化合物。

[4] 前記共役系連結基が、 下記の群 から選択される 1以上の基が連結 した構造を有する、 [1] 〜 [3] のいずれか 1項に記載の化合物。

[化 2]

群八

[上記の群 の各基における水素原子は置換されていても よい。 *は連結位 置を示す。 上記の群 の中からはベンゾフラン構造を含む基が少な くとも 1 つは選択される。 また、 上記の群 の中のベンゾフラン構造を含む基とフル オレン構造を含む基は、 それらの基を構成するベンゼン環の環骨格構 成原子 の少なくとも 1つが窒素原子に置換されていてもよい。 ]

[5] 前記共役系連結基が、 下記の一般式 (2) で表される基を含む、 [ 〇 2020/175624 4 卩(:171? 2020 /008043

1] 〜 [4] のいずれか 1項に記載の化合物。

[化 3]

は互いに結合して一〇一を形成する。 3 および 4 は、 各々独立に水素原子または置換基を表すか、 互いに結合して連 結基を形成する。 *は連結位置を示す。 一般式 (2) 中のベンゼン環に結合 している水素原子は置換基で置換されていて もよい。 ]

[6] 前記共役系連結基の鎖長原子数が 1 〇〜 30である、 [1] 〜 [5 ] のいずれか 1項に記載の化合物。

[7] 1 および 2 が各々独立に下記一般式 (3) で表される基である、 [1] 〜 [6] のいずれか 1項に記載の化合物。

[化 4]

一般式

[一般式 (3) において、 ◦は、 各々独立に水素原子または置換基 を表す。 16 は互いに結合して単結合または連結基を 形成する。 と[¾ 12 、 [¾ 12 と[¾ 13 、 [¾ 13 と[¾ 14 、 [¾ 14 と[¾ 15 、 [¾ 16 と[¾ 17 、 [¾ 17 と[¾ 18 、 [¾18と[¾ 19 、 [¾19と[¾ 2 。は、 互いに結合して環状構造を形成していてもよ い。 *は結合位置を示す。 ]

[8] 1 および 2 が各々独立に下記一般式 (4) 〜 (8) のいずれかで 〇 2020/175624 5 卩(:171? 2020 /008043 表される基である、 [1] 〜 [6] のいずれか 1項に記載の化合物。

[化 5-1]

\¥02020/175624 6 卩(:17 2020 /008043

[化 5-2]

[—般式 (4) 〜 (8) において、 [¾ 21 ~[¾ 24 、 [¾ 27 ~[¾ 38 、 [¾ 41 ~[¾ 48 、 [¾51〜[¾5 8 、 [¾61〜[¾65、 [¾81〜[¾9〇は、 各々独立に水素原子または置 換基を表す。 [¾ 21 と[¾ 22 、 [¾ 22 と[¾ 23 、 [¾ 23 と[¾ 24 、 [¾ 27 と[¾ 28 、 [¾ 28 と 8 29 、 8 29 と 8 30 、 8 31 と 8 32 、 8 32 と 8 33 、 [¾ 33 と 8 34 、 [¾ 35 と 8 36 、 ^36と ^37、 [¾37と ^38、 ^41と ^42、 ^42と ^43、 ^43と ^44、 [¾45と ^46、 ^46と ^47、 ^47と ^48、 ^ 51と ^ 52、 ^ 52と ^ 53、 [¾ 53と ^ 54、 ^55と ^56、 [¾56と ^57、 [¾57と ^58、 ^61と ^62、 ^62と ^63、 [¾63と ^64、 [¾64と ^65、 [¾54と ^61、 ^55と ^65、 ^81と ^82、 ^82と ^83、 ^83と ^84、 ^85と ^86、 [¾86と ^87、 [¾87と ^88、 [¾ 89と ^ 90は、 互い に結合して環状構造を形成していてもよい。 氺は結合位置を示す。 ]

[9] 1 および 2 が各々独立に前記一般式 (4) で表される基である、 [8] に記載の化合物。

[1 0] [1] 〜 [9] のいずれか 1項に記載の化合物からなる発光材料 〇 2020/175624 7 卩(:171? 2020 /008043

[1 1] 自然放出増幅光を放射する、 [1 0] に記載の発光材料。

[1 2] 有機半導体レーザー素子用の発光材料である 、 [1 0] または [ 1 1] に記載の発光材料。

[1 3] 前記一般式 (1) で表される化合物を含む有機半導体レーザー 素 子。

発明の効果

[0009] 本発明の化合物は、 高い量子収率と低い 巳閾値を示し、 安定性も高い ため、 発光材料として有用であり、 特に有機半導体レーザー素子用の発光材 料として有用性が高い。 本発明の化合物をレーザー材料に用いた有機 半導体 レーザー素子は、 低いレーザー発振閾値を実現しうる。

図面の簡単な説明

[0010] [図 1]本発明の有機半導体レーザー素子の層構 例を示す概略断面図である。

の光耐性を示すグラフである。

[図 3]化合物 2の単独膜の発光強度とピーク半値全幅 ( \^/ ! ~ 1 1\/1) の励起光強 度依存性を示すグラフである。

[図 4]化合物 2の単独膜の !_スぺクトルと八 3巳スぺクトルである。

[図 の単独膜の発光強度とピーク半値全幅 ( \^/ ! ~ 1 1\/1) の励起光強度 依存性を示すグラフである。

と八 3巳スぺクトルである。

の各単独膜の 3日発振時の耐久性を 示すグラフである。

発明を実施するための形態

[001 1] 以下において、 本発明の内容について詳細に説明する。 以下に記載する構 成要件の説明は、 本発明の代表的な実施態様や具体例に基づい てなされるこ とがあるが、 本発明はそのような実施態様や具体例に限定 されるものではな い。 なお、 本明細書において 「〜」 を用いて表される数値範囲は、 「〜」 の 前後に記載される数値を下限値および上限値 として含む範囲を意味する。 ま \¥0 2020/175624 8 卩(:17 2020 /008043

た、 本発明に用いられる化合物の分子内に存在す る水素原子の同位体種は特 に限定されず、 例えば分子内の水素原子がすべて 1 1·!であってもよいし、 一部 または全部が 2 ㈠ (デューテリウ厶 ) であってもよい。

[0012] [一般式 (1) で表される化合物]

本発明の化合物は、 下記一般式 (1) で表される構造を有するものである 一般式 ( 1)

2 1 _ 1_ _ 2 2 一般式 (1) において、 1 および 2 は各々独立に置換もしくは無置換の ジアリールアミノ基を表し、 そのジアリールアミノ基を構成する 2つのアリ —ル基は互いに直接結合しているか、 または連結基を介して結合している。

1_は、 ベンゾフラン構造を含む共役系連結基を表し 、 1 2 を結ぶ連結鎖 中に 5つ以上の環を含む。

[0013] 一般式 (1) の!-は、 ベ ンゾフラン構造を少なくとも 1つ含み、 なおかつ、 連結鎖中に 5つ以上の環 を含む連結基である。 共役構造は、 ベンゼン環、 複素芳香環、 フラン環、 エ テニレン基、 ベンゾフラン構造等の二重結合を有する構造 を連結することに より形成することができる。 ここでいう複素芳香環は 5員環または 6員環で あることが好ましく、 環骨格構成へテロ原子としては、 窒素原子、 酸素原子 、 硫黄原子を挙げることができる。 より好ましい複素芳香環は窒素原子を環 骨格構成へテロ原子として含む 6員環および酸素原子を環骨格構成へテロ原 子として含む 5員環であり、 例えばピリジン環、 ピリダジン環、 ピリミジン 環、 ピラジン環、 フラン環を挙げることができる。 !_が採りうる共役連結基 として、 例えば 2つ以上のベンゾフラン構造を連結した構造 有するもの、

1つ以上のベンゾフラン構造と 1つ以上のベンゼン環を連結した構造を有す るもの、 1つ以上のベンゾフラン構造と 1つ以上のエテニレン基を連結した 構造を有するもの、 1つ以上のベンゾフラン構造と 1つ以上のベンゼン環と 1つ以上のエテニレン基を連結した構造を有 るものを挙げることができる 〇 2020/175624 9 卩(:171? 2020 /008043

。 1_が表す共役連結基を構成するベンゼン環と ラン環は縮合していてもよ く、 また、 複素芳香環とフラン環も縮合していてもよい 。

1 が表す共役連結基は、 下記の群 から選択される 1以上の基が連結した 構造を有するものであることが好ましい。

[化 6]

群八

[0014] *は連結位置を示す。 上記の群 の中からはベンゾフラン構造を含む基が 少なくとも 1つは選択される。 また、 上記の群八の中のベンゾフラン構造を 含む基とフルオレン構造を含む基は、 それらの基を構成するベンゼン環の環 骨格構成原子の少なくとも 1つが窒素原子に置換されていてもよい。 1つの 環に置換される窒素原子の数は 1 または 2であることが好ましく、 2である 場合は 2つの窒素原子が直接結合しない位置 (隣接しない位置) に置換され ていることが好ましい。 本願でいう 「ベンゾフラン構造を含む」 とは、 ベン ゾフランを構成するベンゼン環にさらに別の 環が縮合しているものや、 ベン ゾフランを構成するフラン環にさらに別の環 が縮合しているものや、 ベンゾ フランを構成するベンゼン環とフラン環の両 方にそれぞれ別の環が縮合して 〇 2020/175624 10 卩(:171? 2020 /008043

いるものも含むことを意味する。 縮合する環は、 芳香環、 複素芳香環、 非芳 香環、 複素非芳香環のいずれであってもよく、 また環数は特に制限されない 。 環数は、 例えば 2〜 3 0の範囲内から選択したり、 2〜 1 5の範囲内から 選択したり、 2〜 8の範囲内から選択したりしてもよい。

!_が表す共役連結基は、 上記の構造の中でも特に以下のベンゾフラン 構造 を含むものであることが好ましい。

[化 7]

上記の中でも特に以下の共役連結基を選択し てもよい。

[0015] また、 !_が表す共役連結基は、 以下の一般式 (2) で表される構造を含む ものであることも好ましい。 〇 2020/175624 1 1 卩(:171? 2020 /008043

[化 8]

[0016] —般式 (2) において、 は互いに結合して一〇一を形成する。 3 および 4 は、 各々独立に水素原子または置換基を表すか、 互いに結合して連 結基を形成する。 *は連結位置を示す。 一般式 (2) 中のベンゼン環に結合 している水素原子は置換基で置換されていて もよい。

3 および 4 が互いに結合して形成する連結基は一〇 一であることが特に 好ましい。

[0017] !_は、 つ以上の環を含む。 ここでいう 「連結 鎖」 には、 分枝構造は含まない。 また、 縮合環については、 縮合している環 の数をカウントする。 例えば、 ベンゾフランであれば環は 2つ、 ジベンゾフ ランであれば環は 3つとカウントする。 1 2 を結ぶ連結鎖中に含まれる 環の数は例えば 7つ以上、 9つ以上としたりすることが可能であり、 また、

3 0以下、 2 0以下、 1 5以下としたりすることが可能である。

!_で表される共役連結基を構成するベンゼン 、 複素芳香環、 フラン環、 エテニレン基、 ベンゾフラン構造等における水素原子は、 置換基で置換され ていてもよいし、 無置換であることも好ましい。 置換基として、 例えばアル キル基 (炭素数は、 好ましくは 1〜 2 0、 より好ましくは 1〜 6) 、 アルケ ニル基 (炭素数は、 好ましくは 2〜 2 0、 より好ましくは 2〜 6) 、 アルキ ニル基 (炭素数は、 好ましくは 2〜 2 0、 より好ましくは 2〜 6) 、 アリー ル基 (炭素数は、 好ましくは 6〜 2 0、 より好ましくは 6〜 1 4) 、 ヘテロ アリール基 (環骨格構成原子数は、 好ましくは 5〜 2 0、 より好ましくは 5 〜 1 4) などを挙げることができる。 ベンゼン環、 複素芳香環、 フラン環、 ベンゾフラン環に結合する置換基は、 互いに結合して環状構造を形成しても よい。 そのような環状構造としては、 芳香環、 複素芳香環、 非芳香族炭化水 〇 2020/175624 12 卩(:171? 2020 /008043

素環、 非芳香族複素環などを挙げることができる。 一方、 エテニレン基の置 換基は、 互いに結合して環状構造を形成してもよいが 、 芳香環ゃ複素芳香環 は形成せず、 非芳香族炭化水素環、 非芳香族複素環であれば形成してもよい 。 置換基が結合して形成される環状構造は 5〜 7員環であることが好ましく 、 5または 6員環であることがより好ましい。

[0018] —般式 (1) における 1 および 2 は、 各々独立に置換もしくは無置換の ジアリールアミノ基を表し、 前記ジアリールアミノ基を構成する 2つのアリ —ル基は互いに直接または連結基を介して結 合している。 1 および 2 は同 —であっても異なっていてもよいが、 同一であることが好ましい。 また、 1 および 2 は、 各々独立に記一般式 (3) で表される基であることが好ましい

[化 9]

[0019] —般式 (3) において、 ◦は、 各々独立に水素原子または置換基 を表す。 16 は互いに結合して単結合または連結基を 形成する。 と[¾ 12 、 [¾ 12 と[¾ 13 、 [¾ 13 と[¾ 14 、 [¾ 14 と[¾ 15 、 [¾ 16 と[¾ 17 、 [¾ 17 と[¾ 18 、 [¾18と[¾ 19 、 [¾19と[¾ 2 。は、 互いに結合して環状構造を形成していてもよ い。 *は結合位置を示す。

とりうる置換基については、 1_で表される共役連結基を構成 する環等の置換基に関する説明を参照するこ とができる。 また、 [¾ 1 1 と[¾ 12 等が互いに結合して形成する環状構造につい ては、 1-で表される共役連結基 における環状構造に関する説明を参照するこ とができる。 〇 2020/175624 13 卩(:171? 2020 /008043

[0020] —般式 (3) で表される基の好ましい例として、 下記一般式 (4) 〜 (8 ) のいずれかで表される基を挙げることができ る。

[化 10-1 ]

一般式

一般式

一般式

〇 2020/175624 14 卩(:171? 2020 /008043

[化 10-2]

一般式 (7)

[0021] —般式 (4) 〜 (8) において、 [¾ 21 ~[¾ 24 、 [¾ 27 ~[¾ 38 、 [¾ 41 ~[¾ 48 、 [¾ 51 ~[¾ 58 、 [¾ 61 ~[¾ 65 、 各々独立に水素原子または置 換基を表す。 [¾ 21 と[¾ 22 、 [¾ 22 と[¾ 23 、 [¾ 23 と[¾ 24 、 [¾ 27 と[¾ 28 、 [¾ 28 と ^ 29 、 ^ 29 と ^ 30 、 ^ 31 と ^ 32 、 ^ 32 と ^ 33 、 [¾ 33 と ^ 34 、 ^ 35 と ^ 36 、 ^ 36 と ^ 37 、 [¾ 37 と ^ 38 、 ^ 41 と ^ 42 、 ^ 42 と ^ 43 、 ^ 43 と ^ 44 、 [¾ 45 と ^ 46 、 ^ 46 と ^ 47 、 ^ 47 と ^ 48 、 ^ 51 と ^ 52 、 ^ 52 と ^ 53 、 [¾ 53 と ^ 54 、 ^ 55 と ^ 56 、 [¾ 56 と ^ 57 、 [¾ 57 と ^ 58 、 ^ 61 と ^ 62 、 ^ 62 と ^ 63 、 [¾ 63 と ^ 64 、 [¾ 64 と ^ 65 、 [¾ 54 と ^ 61 、 ^ 55 と ^ 65 、 ^ 81 と ^ 82 、 ^ 82 と ^ 83 、 ^83と ^84、 ^85と ^86、 [¾86と ^87、 [¾87と ^88、 [¾ 89と ^ 90は、 互い に結合して環状構造を形成していてもよい。 *は結合位置を示す。

ここでいう置換基と環状構造についても、 一般式 (1) の!-に関する置換 基と環状構造の説明を参照することができる 。 〇 2020/175624 15 卩(:171? 2020 /008043

—般式 (4) 〜 (8) の中では、 一般式 (4) で表されるものであること が好ましい。

[0022] 一般式 (1) で表される化合物の例として、 例えば下記一般式 (9) で表 される化合物を挙げることができる。

[0023] [化 1 1]

一般式 (9)

[0024] 一般式 (9) において、 は各々独立に水素原子または置換基を表 し、 のうちの少なくとも 1組は、 互いに結合して一〇一を形成する。

一般式 (9) では、 4組とも一〇一を形成する化合物も好ましく 2、 だけが —〇一を形成する化合物も好ましい。 一般式 (9) において一〇一を形成し は水素原子であることが好ましい。 一般式 (9) のベンゼン環 に結合している水素原子は置換基で置換され ていてもよい。 また、 2つの置 換基が互いに結合して環状構造を形成しても よい。 置換基については、 一般 式 (1) の!-における置換基の説明を参照すること できる。 環状構造につ いては、 一般式 (1) の!-で表される共役連結基における環状構 に関する 説明を参照することができる。

[0025] 以下において、 一般式 (1) で表される化合物の具体例を例示する。 ただ し、 本発明において用いることができる一般式 (1) で表される化合物はこ れらの具体例によって限定的に解釈されるべ きものではない。

[0026] \¥0 2020/175624 16 卩(:17 2020 /008043

[化 12-1 ]

化合物 7

〇 2020/175624 17 卩(:171? 2020 /008043

[化 12-2]

化合物 1 2 ( =1~1)

化合物 1 3 ( =(31~1 3 )

化合物 1 4 ( = 0 6 1~1 5 )

[0027] [一般式 (1) で表される化合物の合成方法]

一般式 (1) で表される化合物は新規化合物である。

—般式 (1) で表される化合物は、 既知の反応を組み合わせることによっ て合成することができる。 例えば、 一般式

いに結合して一〇一を形成している化合物は 、 以下の反応式 (1) に示す 2 つの化合物を反応させることにより合成する ことが可能である。 また、 一般 式 (1) いに結合して一〇一を形成している化合 物は、 以下の反応式 (2) に示す 2つの化合物を反応させることにより合成 することが可能である。

[0028] [化 13]

反応式 ( 1)

反応式 (2)

[0029] 上記の反応式における R 1 〜 R 7 の説明については、 一般式 (1) における 対応する記載を参照することができる。 X 1 〜 X 3 はハロゲン原子を表し、 フ ッ素原子、 塩素原子、 臭素原子、 ヨウ素原子を挙げることができ、 塩素原子 、 臭素原子、 ヨウ素原子が好ましく、 ヨウ素であることがより好ましい。 上記の反応は、 公知のカップリング反応を応用したものであ り、 公知の反 応条件を適宜選択して用いることができる。 上記の反応の詳細については、 後述の合成例、 Adv. Funct. Mater. , 2018, 28, 4.、 Synthes i s· , 2008, 15, 2448. , j . New. Chem. , 2018, 42, 2446. , J. Org. Chem. , 2004, 69, 6832 .を参考にすることができる。 また、 一般式 (1) で表される化合物は、 その 他の公知の合成反応を組み合わせることによ っても合成することができる。

[0030] [発光材料]

本発明の発光材料は、 一般式 (1) で表される化合物からなることを特徴 とする。

一般式 (1) で表される化合物は、 優れた発光特性と高い安定性を示すた め、 発光材料として有用であり、 特に A S E閾値が低いため、 有機レーザー 素子用の発光材料として有用性が高い。 これは、 一般式 (1) で表される化 合物が BSB-Czと共通の構造を持ちながら、 BSB-Czとは異なり、 エテニレン基 (— C H = C H—) がベンゼン環に連結してフラン環を構成して いるという 〇 2020/175624 19 卩(:171? 2020 /008043

、 特徴的な構造を有するためであると推測され る。

すなわち、 3巳閾値が低く、 優れた有機レーザー色素であるこ とが知られているが、 反応性が高いエテニレン基 (一 C H = C H _) を分子 内に 2つ有しており、 芳香族化合物に比べて安定性が劣る。 しかし、 安定性 を高めるべく、 仮にスチルベン構造をクリセンのようなベン ゼン環の縮合構 造 (芳香族縮合環) に変換した場合には、 芳香族性が大きくなって発光性能 自体が変化してしまう。 また、 エテニレン基をアルキレン基でベンゼン環に 連結すれば、 芳香族性を増大させることなく、 エテニレン基が環状構造に組 み込まれ、 安定性が向上すると考えられる。 しかし、 この場合には、 合成エ 程が煩雑になることや、 蒸着による成膜が困難になる等の問題を生じ る。 こ れに対して、 本発明の一般式 (1) で表される化合物は、 が含むエテ ニレン基の少なくとも 1つが、 _〇一を介してベンゼン環に連結した構造を 有しており、 これにより、 エテニレン基がフラン構造に組み込まれた形 にな っている。 ここで、 フラン環は芳香族性を有するため、 エテニレン基よりも 安定性が高い一方で、 特にフラン環はベンゼン環に比べれば芳香族 性が低い ため、 フラン環が組み込まれてもスチルベン様の物 性は保持されると考えら れる。 また、 こうした連結構造により、 二重結合のシストランス異性化は完 全に回避される。

以上のことから、 一般式 (1) で表される化合物は、 と同様に、 低 い八 3巳閾値を示すことに加えて、 安定性が高い。 さらに、 一般式 (1) で 表される化合物は、 よりも量子収率が高い傾向がある。 そして、 858-0 が含むエテニレン基の少なくとも 1 つを一 3 _を介してベンゼン環に連結し てチオフエン環を形成した化合物よりも量子 収率が高い傾向がある。 また、 —般式 (1) で表される化合物は、 煩雑な工程を経ずに合成することが可能 であり、 また、 真空蒸着法により容易に成膜することができ る。 これらのこ とから、 一般式 (1) で表される化合物は、 発光材料、 特に有機半導体レー ザー素子用の発光材料として有用性が非常に 高い。

[0031 ] [有機レーザー素子] 20/175624 20 卩(:171? 2020 /008043

上記のように一般式 (1) で表される化合物は、 高い量子収率と低い八3 巳閾値を示すとともに、 安定性が高い。 そのため、 一般式 (1) で表される 化合物を有機レーザー素子の材料に用いるこ とにより、 その成膜時の蒸着プ ロセスで光学物性を損なうことがなく、 優れたレーザー特性を実現すること ができる。

本発明の化合物が適用される有機レーザー素 子は、 発光層に励起光が照射 されることでレーザー光を放射する光励起型 の有機レーザー素子であっても よいし、 発光層に正孔と電子が注入され、 それらが再結合して生じたエネル ギーによりレーザー光を放射する電流励起型 の有機レーザー素子 (有機半導 体レーザー素子) であってもよい。 光励起型の有機レーザー素子は、 基板上 に少なくとも発光層を形成した構造を有する 。 また、 有機半導体レーザー素 子は、 少なくとも陽極、 陰極、 および陽極と陰極の間に有機層を形成した構 造を有する。 有機層は、 少なくとも発光層を有するものであり、 発光層のみ からなるものであってもよいし、 発光層の他に 1層以上の有機層を有するも のであってもよい。 そのような他の有機層として、 正孔輸送層、 正孔注入層 、 電子阻止層、 正孔阻止層、 電子注入層、 電子輸送層、 励起子阻止層などを 挙げることができる。 正孔輸送層は正孔注入機能を有した正孔注入 輸送層で もよく、 電子輸送層は電子注入機能を有した電子注入 輸送層でもよい。 具体 的な有機半導体レーザー素子の構造例を図 1 に示す。 図 1 において、 1は基 板、 2は陽極、 3は正孔注入層、 4は正孔輸送層、 5は発光層、 6は電子輸 送層、 7は陰極を表わす。 電流励起型の有機半導体レーザー素子におい て、 発光層で生じたレーザー光は、 陽極を透過して外部に取り出されても、 陰極 を透過して外部に取り出されてもよく、 陽極および陰極を透過して外部に取 り出されてもよい。 また、 発光層で生じたレーザー光は、 有機層の端面から 外部に取り出されてもよい。

以下において、 有機半導体レーザー素子の各部材および各層 について説明 する。 なお、 基板と発光層の説明は光励起型の有機レーザ ー素子と発光層に も該当する。 〇 2020/175624 21 卩(:171? 2020 /008043

[0032] (基板)

本発明の有機半導体レーザー素子は、 基板に支持されていることが好まし い。 基板としては、 有機半導体レーザー素子が基板側からレーザ ー光を取り 出す構成である場合には、 レーザー光に対して透光性を有する基板が用 いら れ、 ガラス、 透明プラスチック、 石英などからなる透明基板を用いることが 好ましい。 一方、 有機半導体レーザー素子が基板と反対側から レーザー光を 取り出す構成である場合には、 基板は特に制限されず、 上記の透明基板の他 、 シリコン、 紙、 布からなる基板も用いることができる。

[0033] (陽極)

有機半導体レーザー素子における陽極として は、 仕事関数の大きい (4 6 V以上) 金属、 合金、 電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電 極材料と するものが好ましく用いられる。 このような電極材料の具体例としては八リ 等の金属、 〇リ 丨、 インジウムチンオキシド (丨 丁〇) 、 3 n〇 2 、 n〇、 丁 丨 1\1等の導電性透明材料が挙げられる。 また、 丨 D 丨 X〇 (丨 n 2 3 - Z n 0) 等の非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を 用いてもよい。 陽極は、 これらの電極材料を蒸着やスパッタリング等 の方法により成膜して形成する ことができる。 また、 形成した薄膜に、 フォトリソグラフィー法で所望の形 状のパターンを形成して陽極としてもよく、 あるいはパターン精度をあまり 必要としない場合は (1 〇〇 以上程度) 、 上記電極材料の蒸着やスパッ タリング時に所望の形状のマスクを介してパ ターンを形成してもよい。 ある いは、 有機導電性化合物のように塗布可能な材料を 用いる場合には、 印刷方 式、 コーティング方式等湿式成膜法を用いること もできる。

ただし、 有機半導体レーザー素子が、 陽極を透過させてレーザー光を取り 出す構成である場合には、 陽極はレーザー光に対して透光性を有するこ とを 要し、 そのレーザー光の透過率が 1 %より大きくなるように構成することが 好ましく、 1 0 %より大きくなるように構成することがより ましい。 具体 的には、 上記の導電性透明材料を陽極に用いるか、 金属または合金を 1 0〜 1 0 0 n の厚さで形成した薄膜を陽極に用いることが 好ましい。 〇 2020/175624 22 卩(:171? 2020 /008043

陽極としてのシート抵抗は数百 以下が好ましい。 さらに膜厚は材料 にもよるが、 通常 1 0〜 1 0 0 0门 01、 好ましくは 1 0〜 2 0 0 n の範囲 で選ばれる。

[0034] (陰極)

一方、 陰極としては、 陽極に用いる材料よりも仕事関数が小さい金 属 (電 子注入性金属と称する) 、 合金、 電気伝導性化合物およびこれらの混合物を 電極材料とするものが用いられる。 このような電極材料の具体例としては、 ナトリウム、 ナトリウムーカリウム合金、 マグネシウム、 リチウム、 マグネ シウム/銅混合物、 マグネシウム/銀混合物、 マグネシウム/アルミニウム 混合物、 マグネシウム/インジウム混合物、 アルミニウム/酸化アルミニウ ム (八 丨 2 0 3 ) 混合物、 インジウム、 リチウム/アルミニウム混合物、 希土 類金属等が挙げられる。 これらの中で、 電子注入性および酸化等に対する耐 久性の点から、 電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大 きく安定な金属 である第二金属との混合物、 例えば、 マグネシウム/銀混合物、 マグネシウ ム/アルミニウム混合物、 マグネシウム/インジウム混合物、 アルミニウム /酸化アルミニウム (八 I 2 0 3 ) 混合物、 リチウム/アルミニウム混合物、 アルミニウム等が好適である。 陰極は、 これらの電極材料を蒸着やスバッタ リング等の方法により成膜して形成すること ができる。

ただし、 有機半導体レーザー素子が、 陰極を透過させてレーザー光を取り 出す構成である場合には、 陰極はレーザー光に対して透光性を有するこ とを 要し、 そのレーザー光の透過率が 1 %より大きくなるように構成することが 好ましく、 1 0 %より大きくなるように構成することがより ましい。 具体 的には、 上記の電極材料を 1 〇〜 1 0 0 n の厚さで形成した薄膜を陰極に 用いることが好ましい。

以下が好ましく、 膜厚は通常 1 〇门 111の範囲で選ばれる。

[0035] (発光層)

発光層は、 陽極および陰極のそれそれから注入された正 孔および電子が再 20/175624 23 卩(:171? 2020 /008043

結合することにより励起子が生成し、 反転分布が形成された後、 レーザー光 を放射する層である。

発光層は、 発光材料のみで構成されていることが好まし いが、 発光材料と ホスト材料を含んでいてもよい。 発光材料としては、 一般式 (1) で表され る化合物群から選ばれる 1種または 2種以上を用いることができる。 本発明 の有機半導体レーザー素子の閾値電流密度を より低くするためには、 発光材 料に生成した一重項励起子および三重項励起 子の少なくとも一方を、 発光材 料中に閉じ込めることが重要である。 従って、 発光層中に発光材料に加えて ホスト材料を用いることが好ましい。 ホスト材料としては、 励起一重項エネ ルギー、 励起三重項エネルギーの少なくとも何れか一 方が、 発光材料として 用いる一般式 (1) で表される化合物よりも、 高い値を有する有機化合物を 用いることができる。 その結果、 発光材料に生成した一重項励起子および三 重項励起子を、 発光材料の分子中に閉じ込めることが可能と なり、 そのレー ザー光の放射を生ずるための閾値電流密度を より低くすることが可能となる 。 もっとも、 一重項励起子および三重項励起子を十分に閉 じ込めることがで きなくても、 低閾値化やレーザー特性の改善に寄与しうる 場合もあるため、 低閾値化やレーザー特性の改善を実現しうる ホスト材料であれば特に制約な く本発明に用いることができる。 本発明の有機半導体レーザー素子において 、 レーザー光は、 発光材料として含まれる _ 般式 (1) で表される化合物か ら放射される。 このレーザー光は自然放出増幅光であっても 、 外部から照射 された光により誘導放出された誘導放出光で あってもよい。 また、 発光層か らの光は、 ホスト材料から放出された光を含んでいても よい。

_ 般式 (1) で表されないホスト材料を用いる場合、 発光材料に用いる _ 般式 (1) で表される化合物が発光層中に含有される量 は〇. 1重量%以上 であることが好ましく、 1重量%以上であることがより好ましく、 また、 5 0重量%以下であることが好ましく、 2 5重量%以下であることがより好ま しく、 2 0重量%以下であることがさらに好ましく、 1 5重量%以下である ことが特に好ましい。 〇 2020/175624 24 卩(:171? 2020 /008043

発光層におけるホスト材料としては、 正孔輸送能、 電子輸送能を有し、 か つ発光の長波長化を防ぎ、 なおかつ高いガラス転移温度を有する有機化 合物 であることが好ましい。 なお、 一般式 (1) で表される化合物をホスト材料 として用いてもよい。

[0036] (注入層)

注入層とは、 駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と 有機層間に設け られる層のことで、 正孔注入層と電子注入層があり、 陽極と発光層または正 孔輸送層の間、 および陰極と発光層または電子輸送層との間 に存在させても よい。 注入層は必要に応じて設けることができる。

[0037] (阻止層)

阻止層は、 発光層中に存在する電荷 (電子もしくは正孔) および/または 励起子の発光層外への拡散を阻止することが できる層である。 電子阻止層は 、 発光層および正孔輸送層の間に配置されるこ とができ、 電子が正孔輸送層 の方に向かって発光層を通過することを阻止 する。 同様に、 正孔阻止層は発 光層および電子輸送層の間に配置されること ができ、 正孔が電子輸送層の方 に向かって発光層を通過することを阻止する 。 阻止層はまた、 励起子が発光 層の外側に拡散することを阻止するために用 いることができる。 すなわち電 子阻止層、 正孔阻止層はそれぞれ励起子阻止層としての 機能も兼ね備えるこ とができる。 本明細書でいう電子阻止層または励起子阻止 層は、 一つの層で 電子阻止層および励起子阻止層の機能を有す る層を含む意味で使用される。

[0038] (正孔阻止層)

正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機 能を有する。 正孔阻止層は電 子を輸送しつつ、 正孔が電子輸送層へ到達することを阻止する 役割があり、 これにより発光層中での電子と正孔の再結合 確率を向上させることができる 。 正孔阻止層の材料としては、 後述する電子輸送層の材料を必要に応じて用 いることができる。

[0039] (電子阻止層)

電子阻止層とは、 広い意味では正孔を輸送する機能を有する。 電子阻止層 〇 2020/175624 25 卩(:171? 2020 /008043

は正孔を輸送しつつ、 電子が正孔輸送層へ到達することを阻止する 役割があ り、 これにより発光層中での電子と正孔が再結合 する確率を向上させること ができる。

[0040] (励起子阻止層)

励起子阻止層とは、 発光層内で正孔と電子が再結合することによ り生じた 励起子が電荷輸送層に拡散することを阻止す るための層であり、 本層の揷入 により励起子を効率的に発光層内に閉じ込め ることが可能となり、 素子の発 光効率を向上させることができる。 励起子阻止層は発光層に隣接して陽極側 、 陰極側のいずれにも揷入することができ、 両方同時に揷入することも可能 である。 すなわち、 励起子阻止層を陽極側に有する場合、 正孔輸送層と発光 層の間に、 発光層に隣接して該層を挿入することができ 、 陰極側に挿入する 場合、 発光層と陰極との間に、 発光層に隣接して該層を挿入することができ る。 また、 陽極と、 発光層の陽極側に隣接する励起子阻止層との 間には、 正 孔注入層や電子阻止層などを有することがで き、 陰極と、 発光層の陰極側に 隣接する励起子阻止層との間には、 電子注入層、 電子輸送層、 正孔阻止層な どを有することができる。 阻止層を配置する場合、 阻止層として用いる材料 の励起一重項エネルギーおよび励起三重項エ ネルギーの少なくともいずれか 一方は、 発光材料の励起一重項エネルギーおよび励起 三重項エネルギーより も高いことが好ましい。

[0041 ] (正孔輸送層)

正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する 正孔輸送材料からなり、 正孔 輸送層は単層または複数層設けることができ る。

正孔輸送材料としては、 正孔の注入または輸送、 電子の障壁性のいずれか を有するものであり、 有機物、 無機物のいずれであってもよい。 使用できる 公知の正孔輸送材料としては例えば、 トリアゾール誘導体、 オキサジアゾー ル誘導体、 イミダゾール誘導体、 カルバゾール誘導体、 インドロカルバゾー ル誘導体、 ポリアリールアルカン誘導体、 ピラゾリン誘導体およびピラゾロ ン誘導体、 フエニレンジアミン誘導体、 アリールアミン誘導体、 アミノ置換 〇 2020/175624 26 卩(:171? 2020 /008043

カルコン誘導体、 オキサゾール誘導体、 スチリルアントラセン誘導体、 フル オレノン誘導体、 ヒ ドラゾン誘導体、 スチルベン誘導体、 シラザン誘導体、 アニリン系共重合体、 また導電性高分子オリゴマー、 特にチオフエンオリゴ マー等が挙げられるが、 ポルフィリン化合物、 芳香族第 3級アミン化合物お よびスチリルアミン化合物を用いることが好 ましく、 芳香族第 3級アミン化 合物を用いることがより好ましい。

[0042] (電子輸送層)

電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する 材料からなり、 電子輸送層は 単層または複数層設けることができる。

電子輸送材料 (正孔阻止材料を兼ねる場合もある) としては、 陰極より注 入された電子を発光層に伝達する機能を有し ていればよい。 使用できる電子 輸送層としては例えば、 ニトロ置換フルオレン誘導体、 ジフエニルキノン誘 導体、 チオピランジオキシド誘導体、 カルボジイミ ド、 フレオレニリデンメ タン誘導体、 アントラキノジメタンおよびアントロン誘導 体、 オキサジアゾ —ル誘導体等が挙げられる。 さらに、 上記オキサジアゾール誘導体において 、 オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に 置換したチアジアゾール誘導 体、 電子吸引基として知られているキノキサリン 環を有するキノキサリン誘 導体も、 電子輸送材料として用いることができる。 さらにこれらの材料を高 分子鎖に導入した、 またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高 分子材料を 用いることもできる。

[0043] (共振器構造)

本発明の有機半導体レーザー素子は、 さらに、 共振器構造を有していても よい。 「共振器構造」 とは、 発光材料が放出した光を発光層中で往復させ る ための構造である。 これにより、 光が繰り返し発光層中を走行して誘導放出 を引き起こすため、 より高い強度のレーザー光を得ることができ る。 共振器 構造は、 具体的には一対の反射鏡により構成され、 一方の反射鏡は 1 〇〇% の反射率を有することが好ましく、 他方の反射鏡は、 反射率が 5 0〜 9 5 % であることが好ましい。 他方の反射鏡の反射率を比較的低く設定する ことに 〇 2020/175624 27 卩(:171? 2020 /008043

より、 この反射鏡を透過させてレーザー光を外部に 取り出すことが可能にな る。 以下では、 レーザー光を取り出す側の反射鏡を 「出力鏡」 という。 反射 鏡および出力鏡は、 上記の有機半導体レーザー素子を構成する各 層および各 部とは別に設けてもよいし、 陽極や陰極に反射鏡または出力鏡の機能を兼 ね させてもよい。

[0044] 例えば、 陽極に反射鏡または出力鏡の機能を兼ねさせ る場合には、 陽極は 、 可視光の吸収が小さく、 反射率が高く、 且つ、 仕事関数が比較的大きい ( 4 . 〇 6 以上) 金属膜により構成することが好ましい。 そのような金属膜 として、 例えば八 9、 1:、 八リ等の金属膜、 または、 これらの金属を含む 合金膜を挙げることができる。 陽極の反射率および透過率は、 例えば数十门 01以上の範囲で、 金属膜の膜厚を制御することにより所望の値 に調整するこ とができる。

陰極に反射鏡または出力鏡の機能を兼ねさせ る場合には、 陰極は、 可視光 の吸収が小さく、 反射率が高く、 且つ、 仕事関数が比較的小さい金属膜によ り構成することが好ましい。 そのような金属膜として、 例えば八 1、 1\/1 9 等 の金属〗旲、 または、 これらの金属を含む合金〗旲を挙けることが できる。 陰極 の反射率および透過率は、 例えば数 + n 以上の範囲で、 金属膜の膜厚を制 御することにより所望の値に調整することが できる。

反射鏡または出力鏡を、 上記の各層および各部とは別に設ける場合に は、 陽極と有機層との間、 または、 基板と陽極の間に反射性の膜を形成して反射 鏡または出力鏡として機能させることが好ま しい。

陽極と有機層との間に反射鏡または出力鏡を 設ける場合には、 それらの材 料として、 可視光の吸収が小さく、 高い反射率が得られ、 且つ、 仕事関数が 大きい (仕事関数 4 . 〇 6 以上) 導電性材料を用いることが好ましい。 具 体的には、 八 9、 1:、 八リ等の金属、 または、 これらの金属を含む合金か らなる金属膜を反射鏡または出力鏡として用 いることができる。 この反射鏡 または出力鏡の反射率および透過率は、 例えば数 +门 以上の範囲で、 金属 膜の膜厚を制御することにより所望の値に調 整することができる。 ここで、 〇 2020/175624 28 卩(:171? 2020 /008043

こうした反射鏡または出力鏡を陽極と有機 層との間に設ける場合には、 陽極 の材料は、 仕事関数が大きいものである必要はなく、 公知の電極材料を広く 用いることができる。

基板と陽極の間に反射鏡または出力鏡を設け る場合には、 それらの材料と して、 可視光の吸収が小さく、 高い反射率が得られるものを用いることが好 ましい。 具体的には、 八 丨、 八 9、 1:等の金属、 または、 これらの金属を 含む合金からなる金属膜、 八 I と 3 丨の合金膜上に丁 丨膜を積層した積層膜 、 酸化ケイ素と酸化チタンを交互に成膜した誘 電体多層膜等を反射鏡または 出力鏡として用いることができる。 このうち、 金属膜の反射率および透過率 は、 例えば数 +〇 以上の範囲で膜厚を制御することにより所望 の値に調整 することができる。 また、 誘電体多層膜の反射率および透過率は、 酸化ケイ 素と酸化チタンの膜厚および積層数を制御す ることによって所望の値に調整 することができる。

反射鏡と出力鏡の組み合わせとしては、 出力鏡が陽極であり、 反射鏡が陰 極である組み合わせ、 出力鏡が陽極と有機層の間または基板と陽極 の間に配 された反射性の膜であり、 反射鏡が陰極である組み合わせ、 反射鏡が陽極で あり、 出力鏡が陰極である組み合わせ、 反射鏡が陽極と有機層の間または基 板と陽極の間に配された反射性の膜であり、 出力鏡が陰極である組み合わせ を挙げることができる。

こうした共振器構造では、 反射鏡と出力鏡の間に介在する層の光学膜厚 の 合計 (各層のそれぞれについて、 その膜厚に屈折率を乗じた値の合計) がレ —ザー光の半波長の整数倍となるように、 素子の層構造を設計することが好 ましい。 これにより、 反射鏡と出力鏡の間で定在波が形成されて光 が増幅さ れ、 より高い強度のレーザー光を得ることができ る。

[0045] また、 以上の共振器構造は、 基板の主面に対する垂直方向にレーザー光を 往復させるものであるが、 共振器構造は、 基板の主面に対する水平方向にレ —ザー光を往復させるものであってもよい。 こうした共振器構造は、 有機層 と空気との屈折率差による反射を利用し、 有機層の端面を反射鏡または出力 鏡として構成することができる。 また、 発光層付近に、 ス /2 n (ス :光の 波長、 n : 1以上の整数) の格子間隔で回折格子を設け、 発光層で発生した 光を回折格子の格子間隔によって周期的に反 射させるようにしてもよい。 本 発明では、 有機層の端面から発光させる態様と、 有機層 (基板) に垂直な方 向に発光させる態様の両方をとりうる。 例えば、 基板上に 2次元 D F B (dis tributed feedback) 回折格子構造を形成して基板に垂直な方向に 発光させる 態様を例示することができる。

[0046] [AS E閾値]

本明細書中における 「AS E閾値」 とは、 対象となる薄膜に励起光を照射 して発光強度の励起光強度依存性を測定し、 その励起光強度と発光強度の関 係を一次関数とみなしたとき、 その傾きが変化するところの励起光強度を意 味する。 ここで対象となる薄膜は、 電流励起型の有機半導体レーザー素子が 有する発光層であっても、 光励起型の有機レーザー素子が有する発光層 であ ってもよい。 また、 発光層は、 一般式 (1) で表される化合物のみから構成 されていてもよいし、 一般式 (1) で表される化合物とホスト材料を含んで いてもよい。 「AS E閾値」 の具体的な測定条件については実施例の欄を 参 照することができる。

有機半導体レーザー素子が有する発光層は、 この AS E閾値が 2 」/ c m 2 以下であることが好ましく、 1 〇 J/c m 2 以下であることがより好 ましく、 5 J / c m 2 以下であることがさらに好ましく、 1 J/c m 2 以 下であることが特に好ましい。

[0047] [AS E閾値での発光ピークの半値全幅]

本明細書中における 「AS E閾値での発光ピークの半値全幅」 とは、 発光 層に AS E閾値に対応する強度で励起光を照射して発 スぺクトルを観測し たとき、 その発光スペクトルに現れる発光ピークのう ち、 最も強度が大きい 発光ピークの半値全幅を意味する。 ここで対象となる薄膜についての説明は 、 AS E閾値における薄膜についての説明を参照す ことができる。

有機半導体レーザー素子が有する発光層は、 この AS E閾値での発光ピー 〇 2020/175624 30 卩(:171? 2020 /008043

クの半値全幅が 3 0 未満であることが好ましく、 2 0 未満であるこ とがより好ましく、 1 5 n 未満であることがさらに好ましい。

[0048] 以上のような有機半導体レーザー素子は、 陽極と陰極の間に閾値電流密度 以上の電流を流すことによりレーザー光を放 射する。 このとき、 本発明の有 機半導体レーザー素子では、 一般式 ) で表される化合物を含むことによ り閾値電流密度が低いため、 比較的低い電流密度でレーザー光を放射させ る ことができ、 優れたレーザー特性を得ることができる。

[0049] 本発明の有機半導体レーザー素子を作製する 際には、 一般式 (1) で表さ れる化合物を発光層に用いるだけでなく、 発光層以外の層にも用いてもよい 。 その際、 発光層に用いる一般式 (1) で表される化合物と、 発光層以外の 層に用いる一般式 (1) で表される化合物は、 同一であっても異なっていて もよい。 例えば、 上記の注入層、 阻止層、 正孔阻止層、 電子阻止層、 励起子 阻止層、 正孔輸送層、 電子輸送層などにも一般式 (1) で表される化合物を 用いてもよい。 これらの層の製膜方法は特に限定されず、 ドライプロセス、 ウエッ トプロセスのどちらで作製してもよい。 一般式 (1) で表される化合 物は安定性が高いため、 ドライプロセスにおいても構造が安定に保持 され、 成膜方法に関わらず、 その構造から奏される性能を十分に発現させ ることが できる。

実施例

[0050] 以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに 具体的に説明する。 以下に示 す材料、 処理内容、 処理手順等は、 本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更 することができる。 したがって、 本発明の範囲は以下に示す具体例により限 定的に解釈されるべきものではない。 なお、 発光特性の評価は、 蛍光分光光 度計 (日本分光社製: _ 8 6 0 0) 、 絶対 !_量子収率測定装置 (浜松 ホトニクス社製: 〇 1 1 3 4 7 - 0 1) 、 マルチチヤンネル分光器 (浜松ホ トニクス社製: 1\/1八_ 1 2) 、 蛍光寿命測定装置 (浜松ホトニクス社製: 0 て行った。 また、 熱的安定性の評価は、 熱 「社製: 24003八) を用いて行った。 さらに、 核磁気共鳴装置 (Bruker社製: AVANCE III 500 MHz spectrometer) と電気化学測定 (BAS社製: BAS 608D + DPV Electrochemical system) も用 いた。

[0051] [1 ] 化合物の合成

(合成例 1) 化合物 1の合成

[化 14]

中間体 1

[0052] 窒素雰囲気下で、 1\1, 1\1—ジメチルホルムアミ ド (200 1_) と 3—ブ ロモフエノール (30. 09 , 1 74〇1〇1〇 I) を 3ロフラスコに入れ、 氷 浴で 0 °〇に冷却した後、 水素化ナトリウム (1 2. 8 9 , 320〇1〇1〇 1) を加え、 1 —ブロモー2, 2—ジエトキシエタン (3 1. 59 ,

〇 I) を滴下して 1 50 ° ◦で 5時間攪拌した。 反応終了後、 反応液を室温ま で冷却し、 水を加えた後、 ジエチルエーテルで抽出を行った。 その有機層を 硫酸ナトリウムで乾燥し、 溶媒を減圧留去した。 その残留物 (反応生成物) を、 ヘキサン:ジクロロメタン = 1 : 1の混合溶媒を展開溶媒に用いてシリ カゲルカラムクロマトグラフィーにて分離、 精製し、 中間体 1の透明な油状 液体を収量 42. 89、 収率 85. 1 %で得た。

關(¾ (500 1!/1 , 0001 3 ): 5 7.07-7.15 ( , 3 , 6.84-6.88 (111, ^), 4.81 3.98-4.00 ( 」 = 5.0 , 2 , 3.72-3.79 (111, 2 , 3.59-3. 63 (111, 2 1.25 ( 」 = 7.1 , 6

[0053] 〇 2020/175624 32 卩(:171? 2020 /008043

[化 15]

中間体 1 中間体 2

[0054] /3すずゼオライ ト (触媒, 4. 1 69) を三ロフラスコに入れて窒素で置 換した後、 中間体 1 (1 2. 0 9 , 4 1. をベンゼントリフル オライ ド (200 1_) に溶解してフラスコ内に注入し、 1 1 2°〇で72時 間攪拌した。 反応液を濾過し、 残渣をベンゼントリフルオライ ドで洗浄して 得た濾液から溶媒を減圧留去した。 その残留物 (反応生成物) を、 ヘキサン を展開溶媒に用いてシリカゲルカラムクロマ トグラフィーにて分離、 精製し 、 中間体 2の透明な油状液体を収量 4. 24 9 、 収率 52. 0%で得た。

(500 1^ , 0001 3 ): 5 7.71 ( , ^), 7.62 ( 」 = 2.7 , ^), 7 .49 ( 」 = 9.6 , ^), 7.38 ( 」 = 2.7 , ^), 6.76 ( J = 2.7 H

[0055] [化 16]

中間体 2 中間体 3

[0056] 中間体 2 (4. 1 1 9 , 2〇. 9〇1〇1〇 1) 、 カルバゾール (〇 å, 5.

1 29, 3〇. 6〇1111〇 1) 、 酢酸パラジウム (卩〇1(0八(;) 2 ,〇. 1 69, 0. および炭酸カリウム (3. 589, 25. 9〇1〇1〇 1) を 三ロフラスコに入れて窒素で置換した後、 トルエン (1 50 1_) 、 トリー t 3 r t ブチルフォスフイン (〇. 7329, 3. 62〇1〇1〇 1) を加え て 1 20 ° 〇で 48時間攪拌した。 反応液に水を加え、 酢酸ェチルで抽出を行 〇 2020/175624 33 卩(:171? 2020 /008043

つた後、 得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して 溶媒を減圧留去した。 その残留物 (反応生成物) を、 ヘキサン:ジクロロメタン = 1 : 1の混合溶 媒を展開溶媒に用いてシリカゲルカラムクロ マトグラフィーにて分離、 精製 し、 中間体 3の透明な油状液体を収量 3. 66 9 、 収率 6 1. 6%で得た。 0001 3 ): 5 8.17 ( 」 = 7.9 , 2 , 7.80 ( 」= 8.2 , ^), 7.76 ( 」 = 2.2 , ^), 7.73 ($, ^), 7.45 ((^, 」 = 8.2, 1.

9 , ^), 7.41-7.43 (111, ), 7.28-7.32 (111, 2 , 6.91 ((^, 」 = 2.2 , ^); % (¾ (^01 3 ): 5 155.3, 146.3, 141.3, 134.2, 126.9, 125.9, 12 3.3, 122.4, 122.0, 120.3, 120.0, 110.6, 109.8, 106.7; 八 1· 干〇「

(: 2 (^ 13 1\10 : (:, 84.78; 1 4.62; 1\1, 4.94. ド〇 (:, 84.65; 4.61.

[0057] [化 17]

中間体 3 中間体 4

[0058] 中間体 3 (〇. 4969, 1. 75〇1〇1〇 1) をテトラヒドロフラン (1

0〇11_) に溶解して、 予めアルゴン置換しておいた三ロフラスコに 入れ、 一 40°〇に冷却した後、 n—ブチルリチウム (门-81£丨, 1.

1_, 2. 63 〇 丨) を滴下して 1時間攪拌した。 この混合物に、 ヨウ素 (〇. 724 9 , 2. 85〇1〇1〇 1) をテトラヒドロフラン (1 0 1_) に 溶解させた溶液を滴下した後、 室温に戻し、 さらに 1 2時間攪拌した。 この 反応液に、 飽和したチォ硫酸ナトリウム水溶液 (20〇!!_) を加えた後、 溶 媒を減圧留去し、 酢酸エチルによる抽出を行った。 有機層を硫酸ナトリウム で乾燥し、 さらに溶媒を減圧留去した。 その残留物 (反応生成物) を、 ジク ロロメタンを展開溶媒に用いてシリカゲルカ ラムクロマトグラフィーにて分 離、 精製し、 中間体 4の透明な油状液体を収量〇. 7349で得た。

7.71 (8, ]\\) 7.69-7.70 (111, 2 , 7.39-7.45 (111, ), 7.28-7.32 (111, 2 , 7.0 9 ( 」 = 0.95 , 1 ; % 關 (^01 3 ): 5 158.4, 141.1, 134.2, 128.6, 126.0, 123.4, 122.7, 120.4, 120.3, 120.1, 117.3, 110.0, 110.0, 97.1; 八门81· 。, 58.70; 2.96; 1\1, 3.42. ド〇11门〇1: 。, 58.47

; 2.99; 1\1, 3.25.

[0059] [化 18]

中間体 4 化合物 1

[0060] 4, 4 ,ービフエニルジボロン酸 (0. 1 69 g, 0. 698 mm〇 I ) とテトラキス (トリフエニルフォスフイン) パラジウム (0) (Pd(PPh 3 ) 4 ,

0. 226 g, 0. 1 96 mm〇 丨 ) をニロフラスコに入れて窒素で置換し た後、 中間体 4 (0. 730 g, 1. 78mmo l ) をトルエン (5 OmL ) に溶解して加え、 続いて炭酸カリウム (〇. 436 g , 3. 1 5 m m〇 I ) を水 (5 OmL) に溶解して加え、 40時間還流を行った。 反応液を濾過 し、 残渣をジクロロメタンと塩基水溶液で洗浄し た後、 〇 _ジクロロべンゼ ン (3 OmL) に溶解し、 1 80°Cに加熱して溶解させた。 この溶液にメタ ノールを加え、 析出した固体をろ取することにより、 目的の化合物 1の黄色 固体を収量〇. 063 g、 収率 1 2. 2%で得た。

】H NMR (500 MHz, CDCl 3 ): S 8.17 (dd, J = 8.5, 1.0 Hz, 4H), 8.04 (d, J = 8.5 Hz, 4H), 7.82-7.84 (m, 6H), 7.72 (s, 2H), 7.47 (dd, J = 10.1, 1.9 Hz, 6H), 7.42-7.46 (m, 4H) 7.29-7.33 (t, 4H), 7.27 (d, J = 0.95 H z, 2H) ; Anal. Calcd for C 52 H 32 N 2 0 2 : C, 87.13; H, 4.50; N, 3.91. Found: C

, 86.86; 4.46; 1\1, 3.83.

[0061] (合成例 2) 化合物 2の合成 〇 2020/175624 35 卩(:171? 2020 /008043

[化 19]

中間体 2 中間体 5

[0062] 合成例 1 と同様の工程で得た中間体 2 (1. 039, 5. 26〇1〇1〇 1) と、 ビス (ピナコラート) ジボロン (8 2 卩_1门 2 , 〇. 6459, 2. 54〇1111〇 I) 、 ビス (ジフエニルホスフイノ) フエロセン] ジクロロパラジウム(II) 炭酸カリウム (2. 1 3 , 、 素置換した後、 ジメチ ルスルホキシド (30〇11_) を加えて 80°〇で 24時間攪拌した。 この反応 液を室温まで冷却して水を加え、 析出物をろ取した。 この析出物を、 へキサ ン:ジクロロメタン = 9 : 1の混合溶媒を展開溶媒に用いてシリカゲル ラ ムクロマトグラフィーにて分離、 精製し、 中間体 5の無色固体を収量 0. 3 79 9 、 収率 62. 0%で得た。

0001 3 ): 5 7.78 ( , 2 , 7.65-7.67 (111, ), 7. 55

6, 」 = 8.2, 1.6 , 2 , 6.81 ((^, 」 = 1.1 , 2 ; % 關 (^01 3 ): 5 155.8, 145.6, 138.3, 126.7, 122.8, 121.4, 110.3, 106.6; 八 1· 〇31〇(^ 干〇 〇 16 ^1 10 2 : 82.04; 4.30. ド〇11门〇1: 81.97; 4.46.

[0063] [化 20]

中間体 5 中間体 6

[0064] 中間体 5 (〇. 3 1 59, 1. 35〇1111〇 1) をテトラヒドロフラン (1

0〇11_) に溶解して、 予めアルゴン置換しておいた三ロフラスコに 入れ、 一 40°〇に冷却した後、 n—ブチルリチウム (n—巳リ 1_ 丨, 1. 6 IV!, 2. 80 !_, 4. 34 〇 丨) を滴下して 1時間攪拌した。 この混合物に、 〇 2020/175624 36 卩(:171? 2020 /008043

ヨウ素 (1. 039, 4. 06〇1111〇 1) をテトラヒドロフラン (1 0〇11_

) に溶解させた溶液を滴下した後、 室温に戻し、 さらに 1 2時間攪拌した。 この反応液に、 飽和したチオ硫酸ナトリウム水溶液 (20 !_) を加えた後 、 溶媒を減圧留去し、 酢酸ェチルによる抽出を行った。 有機層を硫酸ナトリ ウムで乾燥し、 さらに溶媒を減圧留去した。 残留物 (反応生成物) を、 ジク ロロメタンを展開溶媒に用いてシリカゲルカ ラムクロマトグラフィーにて分 離、 精製し、 中間体 6の無色固体を収量〇. 5069、 収率 77. 5%で得 た。

關 (500 11/1 , 0001 3 ): 5 7.70 ( , 2 , 7.57 ( 」 = 8.2, 2 , 7.49 」 = 8.2, 1.6 , 2 , 6.99 ( 」 = 0 95 , 2 ; % (^01 3 ): 8 161.6, 140.4, 131.2, 125.7, 122.6, 119.9, 112.3, 99.0.

[0065] [化 21]

[0066] 4 - (91 ~ 1 -カルバゾールー 9 -イル) フエニルボロン酸 (1. 069,

3. 69〇1〇1〇 丨) 、 テトラキス (トリフエニルフォスフイン) パラジウム

(0) (卩 卩卩 , 0. 1 24 9 , 0. をニロフラスコに 入れて窒素で置換した後、 中間体 6 (0. 5 1 09, 1. を トルエン (50 1_) に溶解して加え、 続いて炭酸カリウム (1. 20 9 , 8. 68〇1〇1〇 丨) を水 (50 1_) に溶解して加え、 48時間還流を行つ た。 反応液を濾過し、 残渣をジクロロメタンと塩基水溶液で洗浄し た後、 〇 —ジクロロベンゼン (30 1_) に溶解し、 1 80°〇に加熱して溶解させた 。 この溶液を濾過して触媒を除去し、 メタノールを加えて析出した固体をろ 取することにより、 目的の化合物 2の黄色固体を収量〇. 4649、 収率 6 〇 2020/175624 37 卩(:171? 2020 /008043

2. 2%で得た。

0001 3 ): 5 8.17 ( 」 = 8.5, 8 , 7.92 ( , 2 , 7.71-

7.77 (111, 6 , 7.67 ((^, 」 = 8.2, 1.6 , 2 , 7.52 ( 」 = 8.2 , ), 7.43-7.47 (111, ) 7.30-7.33 (111, ), 7.24 ( 」 = 0.63 , 2 ; 】¾ 關 (^01 3 ): 5 155.8, 140.6, 138.2, 137.8, 129.3, 128.5, 127.3, 126. 3, 126.0, 123.5, 122.9, 121.3, 120.3, 120.1, 109.8, 109.6, 101.9; 八 1. 87.13; 4.50; 1\1, 3.91. ド〇11门〇1: 86.99;

4.51; 1\1, 3.67.

[0067] [2] 評価

合成した各化合物と下記の (比較化合物) について、 安定性と発光 特性の評価を行った。

[化 22]

886-0å (比較化合物)

[0068] (安定性の評価)

化合物 1、 2および について、 それぞれ真空蒸着法にて、 1 〇- 4

1 0_ 5 3の真空度で蒸着膜を形成した後、 溶融させ、 その後、 1\/|[¾分析 を行った。 また、 これとは別に、 化合物 1、 2 をそれぞれ昇華 させた後、 IV! 分析を行った。 ここで、 昇華装置内の圧力は、 真空蒸着装 置内の圧力よりも高くなるため、 昇華温度は真空蒸着法の蒸発温度よりも高 めになる。

スぺクトルにおいて、 真空蒸着前の IV! スぺクトルには見られない小さい ピークが観測され、 不純物の生成が確認された。 また、 昇華後に測定した スペクトルには、 さらに新たな不純物ピークが観測され、 その中には、 フエニルカルバゾールに由来するピークも確 認された。 このことから、 858-0 〇 2020/175624 38 卩(:171? 2020 /008043

は、 真空蒸着や昇華などの熱プロセスにより不純 物を生じ、 特に昇華の場合 には、 分解がかなり進行することがわかった。 一方、 化合物 1、 2では、 蒸 着膜の溶融後または昇華後に測定した IV! スぺクトルに分解物由来のピー クは認められず、 分解が抑えられていた。

また、 化合物 について、 1 3での熱重量測定 (丁〇 ) および での熱重量 ·示差熱測定 (丁〇_ 0丁八) を行ったところ

、 昇華温度は同じ程度であったものの、 分解温度は が 4 7 8 ° 〇である のに対して、 化合物 1は 5 3 9 ° 〇、 化合物 2は 5 4 3 ° 〇であり、 高い分解温 度を示した。

以上の結果から、 化合物 1、 2は、 に比べて熱的安定性が格段に高 いことが確認された。

[0069] (溶液の? !_発光特性および電気化学的特性の評価)

化合物 1、 、 それぞれトルエン、 クロロホルムまたは , 1\1—ジメチルホルムアミ ドに溶解して 9種類の溶液を調製した。 このとき 、 各溶液の濃度は 1 〇_ 5 1\/1とした。

調製した各溶液について、 吸収スぺクトルおよび 3 4 0 n 励起光による 発光特性を調べた。 発光特性の測定結果を表 1 に示す。 ここで、 フォトルミ ネッセンス量子収率 ( し量子収率〇 ) および発光寿命丁については、 大 気下 (_ a \ r) で測定した値と窒素雰囲気下 (_ 1\1 2 ) で測定した値の両方を ^した。

[0070]

〔¾二

[0071] 化合物 1、 2および BSB-Czの各溶液は、 吸収スペクトル、 発光寿命 Tおよ び放射速度定数 k rがよく一致していた。 ここで、 放射速度定数 k rは AS E発振閾値と相関があるため、 この結果から、 化合物 1、 2は BSB-Czと同様 に低い AS E発振閾値を示すことが示唆された。 また、 発光ピークについて は、 いずれの化合物も溶媒の極性が大きいもの程 (N, N—ジメチルホルム アミ ド、 クロロホルム、 トルエンの順に) 長波長側にシフトしたが、 そのシ フトの度合は同程度であり、 溶媒が同じもの同士では、 発光極大波長も概ね 同じであった。 一方、 フォトルミネッセンス量子収率は、 化合物 1、 2の溶 液の方が、 BSB-Czの溶液よりも高い値を示した。

このことから、 化合物 1、 2は、 BSB-Czと同様の発光特性を保持しつつ、 安定性と量子収率が向上しており、 発光材料として改善されたものであるこ とがわかった。

[0072] また、 化合物 1および BSB-Czを、 それぞれジクロロメタンに溶解し、 サイ クリックボルタンメ トリー (CV) および微分パルスボルタンメ トリー ( D P V) により電気化学的特性を測定した。 その結果を表 2に示す。 表 2にお ける各値は、 基準物質フエロセンの半波電位を 0として求めたものであり、 HOMO (Highest Occupied Molecular Orbital) および L UMO (Lowest Unoccupied Molecular Orbital) の各エネルギー準位は、 CVにより測定し た酸化電位、 還元電位から算出した。

[0073]

〇 2020/175624 42 卩(:171? 2020 /008043

[0074] 表 2に示すように、 化合物 1 は、 酸化電位、 還元電位がともに類 似しており、 1 ~ 1〇1\/1〇ぉょび1_ 111\/1〇の各ェネルギー準位も近ぃ値でぁった

[0075] (単独膜の? 1_発光特性の評価)

石英基板上に真空蒸着法にて、 真空度 1 〇_ 4 ? 3以下の条件で化合物 2の 薄膜 (単独膜) を 1 〇〇门 の厚さで形成した。 また、 同様の条件で、 石英 基板上に の薄膜 (単独膜) を 1 〇〇 n mの厚さで形成した。 形成した 各薄膜について、 原子間力顕微鏡による表面粗さの評価および X線回折分析 による結晶性の評価を行ったところ、 いずれも表面粗さが低く、 アモルファ スであることがわかった。

また、 各単独膜について、 340 n m励起光による発光特性を測定した結 果、 の単独膜は、 発光極大波長ス が 480 n 、 大気下での !_量 子収率〇 が 69%、 大気下での発光寿命丁が 1. 6 n s、 放射速度定数 が 4. 4X 1 0 8 3_ 1 であった。 また、 化合物 2の単独膜は、 発光極大波長ス が 452 n m、 大気下での 1_量子収率〇 が 79 %、 窒素雰囲気下での 1-量子収率 0^しが 87%、 大気下での発光寿命丁が 1. 7 n 3、 窒素雰囲 気下での発光寿命丁が 1. 8 n 3、 放射速度定数 1<「が 4. 7 X 1 0 8 3 - 1 で りも、 ? 1_量子収率および放射速度定数が高く、 発光特性が 改善されていることがわかった。

[0076] (単独膜の光耐久性の評価)

1-発光特性の評価で用いたのと同じ条件で作 した、 化合物 2の単独膜 および の単独膜に レーザー光源から強度 1 8 で連続照射し、 その発光強度の経時変化を調べた。 その結果を図 2に示 す。 なお、 ここでは各薄膜で励起子密度が等しくなるよ うに照射強度を調節 した。

図 2に示すように、 化合物 2の単独膜では、 励起光照射の間、 発光強度が 一定に保たれているのに対して、 の単独膜では、 発光強度が経時的に 減少した。 このことから、 化合物 2は、 に比べて励起状態での安定性 〇 2020/175624 43 卩(:171? 2020 /008043

(光耐久性) が高く、 励起子密度が必然的に高くなるレーザー材料 用の化合 物として適していることがわかった。

[0077] (ドープ膜の 1_発光特性の評価)

石英基板上に真空蒸着法にて、 真空度 1 〇_ 4 ? 3以下の条件で、 化合物 2 と〇巳 とを異なる蒸着源から共蒸着し、 化合物 2の濃度が 6. 0重量%で ある薄膜 (ドープ膜) を 1 30 n の厚さで形成した。 また、 同様の条件で 、 石英基板上に、 0巳?とを異なる蒸着源から共蒸着し、 濃度が 6. 0重量%である薄膜 (ドープ膜) を 1 30 n mの厚さで形成した 各ドープ膜について、 340 n 励起光による発光特性を測定したところ ドープ膜は、 発光極大波長ス が 462 n 、 大気下での !_量 子収率 0^しが 87%、 大気下での発光寿命丁が 1. 1 n 3, 放射速度定数 1<「 が 7. 9X 1 0 8 3_ 1 であった。 また、 化合物 2のドープ膜は、 発光極大波長 ス が 445 n 、 大気下および窒素雰囲気下での 1_量子収率〇 が共に 1 〇〇%、 大気下での発光寿命丁が 1. 3 n 3、 窒素雰囲気下での発光寿命 丁が 1. 6 n 3、 放射速度定数 1<「が 7. 6 X 1 0 8 3 _ 1 であり、

—プ膜に比べて高い量子収率を示した。

[0078] (ドープ膜の八 3巳発光特性の評価)

1-発光特性の評価で用いたのと同じ条件で作 した、 化合物 2のドープ 膜および のドープ膜について、 窒素ガスレーザーの 337 n 励起光 による 3巳発光特性を調べた。

化合物 2のドープ膜について、 発光強度と発光ピーク半値全幅 1 ~ 1 IV!の 励起強度依存性を測定した結果を図 3に示し、 1_スぺクトルおよび 3巳 スペクトルを図 4に示す。 1_スペクトルは〇. 7 」 /〇〇1 2 の励起強度で 測定した発光スペクトルである。 のドープ膜について、 発光強度と発 光ピーク半値全幅

91_スぺクトルおよび八 3巳スぺクトルを図 6に示す。 1_スぺクトルは、

0. した発光スペクトルであり、 八 3巳スぺ 〇 2020/175624 44 卩(:171? 2020 /008043

クトルは、 1 5 」/〇 2 の励起強度で測定した発光スペクトルで ある。 図 3、 5に示すように、 いずれのドープ膜も、 発光強度の励起強度依存性 グラフにおいて、 その傾きが変化する変化点 (閾値巳〇) が確認されるとと もに、 励起強度に依存して 1 ~ 1 IV!が狭くなる相関関係が認められた。 また 、 図 4、 6に示すように、 閾値巳〇以上の励起強度で、 ピークと認め うる急峻な発光ピークが観測された。 ここで、 これらの測定結果から、 358-0

が 4 4 2 n m、 八3巳閾値巳〇が〇. 9 0 」 /〇 2 で、 ドープ膜と 同等であった。

以上の結果から、 一般式 (1) で表される化合物は、 と同様に、 八 3巳を放射しうる化合物であり、 さらに、 りも量子収率と安定性が 高く、 より優れた発光材料であることがわかった。

[0079] (単独膜の 3巳発振時の耐久性の評価)

!_発光特性の評価で用いたのと同じ条件で作 した、 化合物 1の単独膜 および化合物 2の単独膜および の単独膜に、 3日発光特性の評価で 用いたのと同じ励起光源 パルス幅 0 . 8 1^ 3、 1 0 1 ~ 1 2) を 用い、 3巳発振しきい値よりも十分に高い強度 9 5 0 」/〇〇^で照射を 行い、 窒素雰囲気下で、 その発光強度の経時変化を調べた。 その結果を図 7 に示す。 なお、 横軸は測定時間を示す。

図 7に示すように、 化合物 1および化合物 2の単独膜の発光強度の減少は 、 の単独膜の発光強度の減少よりも小さかった 。 このことから、 化合 物 1および化合物 2は、 に比べてレーザー発振状態においても安定性 (光耐久性) が高く、 レーザー材料用の化合物として適しているこ とがわか つた。

[0080] \¥0 2020/175624 45 卩(:17 2020 /008043

[化 23]

産業上の利用可能性

[0081 ] 本発明の化合物は、 高い量子収率と低い 巳閾値を示し、 安定性も高い 。 そのため、 本発明の化合物を有機半導体レーザー素子の 発光材料として用 いることにより、 レーザー発振閾値が低い阪有機半導体レーザ ー素子を実現 しうる。 このため、 本発明は産業上の利用可能性が高い。

符号の説明

[0082] 1 基板

2 陽極

3 正孔注入層

4 正孔輸送層

5 発光層

6 電子輸送層

7 陰極