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Patent Searching and Data


Title:
CONDUCTIVE INK, CONDUCTIVE COATING THEREFROM AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/016863
Kind Code:
A1
Abstract:
A conductive ink comprising a metal colloid liquid and a saccharide compound, wherein the saccharide compound is contained in an amount of 3 to 15 wt.% based on the solid contents of the metal colloid liquid. Accordingly, there is provided a conductive ink capable of forming a conductive coating exhibiting high conductivity and high adherence to base materials. Further, there are provided a conductive coating made by use of the conductive ink and method for producing them.

Inventors:
TOMURA TAKUYA
YAMADA MITSURU
Application Number:
PCT/JP2008/056938
Publication Date:
February 05, 2009
Filing Date:
April 08, 2008
Export Citation:
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Assignee:
BANDO CHEMICAL IND (JP)
TOMURA TAKUYA
YAMADA MITSURU
International Classes:
C09D11/00; C09D11/52; H01B1/22; H01B13/00
Foreign References:
JP2004182812A2004-07-02
JP2005310703A2005-11-04
JP2007131741A2007-05-31
JPH047371A1992-01-10
JP2002324966A2002-11-08
JP2002334618A2002-11-22
JP2001261778A2001-09-26
JP2002245854A2002-08-30
Other References:
See also references of EP 2174993A4
Attorney, Agent or Firm:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK (2-6 Tenjinbashi 2-chome Kita,Kita-k, Osaka-shi Osaka 41, JP)
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Claims:
 金属コロイド液および糖類化合物を含む導電性インクであって、上記糖類化合物が、金属コロイド液の固形分に対して3重量%以上15重量%以下含まれることを特徴とする導電性インク。
 上記糖類化合物は六員環構造および/または五員環構造を有することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の導電性インク。
 上記糖類化合物が、グルコース、トレハロース、マルトシルトレハロース、イソマルトオリゴ糖、還元麦芽糖、還元澱粉糖化物、糖アルコールおよびヒアルロン酸からなる群より選ばれる1以上の糖類化合物であることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載の導電性インク。
 上記金属のイオン化列が水素より貴であることを特徴とする請求の範囲第1項から第3項のいずれか1項に記載の導電性インク。
 上記金属コロイド液は、金属成分と有機成分とからなる粒子を主成分とする固形分と、溶媒とを含むことを特徴とする請求の範囲第1項から第4項のいずれか1項に記載の導電性インク。
 請求の範囲第1項から第5項のいずれか1項に記載の導電性インクを製造する方法であって、金属コロイド液と糖類化合物とを混合する工程を含み、上記糖類化合物を、上記金属コロイド液の固形分に対して3重量%以上15重量%以下となるように混合することを特徴とする方法。
 請求の範囲第1項から第6項のいずれか1項に記載の導電性インクを用いてなる導電性被膜であって、上記糖類化合物が1重量%以上15重量%以下含まれることを特徴とする導電性被膜。
 請求の範囲第7項に記載の導電性被膜の製造方法であって、請求の範囲第1項から第6項のいずれか1項に記載の導電性インクを基材に塗布後、または、請求の範囲第1項から第6項のいずれか1項に記載の導電性インクを用いて基材に描画後、当該導電性インクを300℃以下の温度で焼成させて被膜を形成することを特徴とする方法。
Description:
導電性インクおよびこれを用い なる導電性被膜、導電性インクおよび導電 被膜の製造方法

 本発明は、糖類化合物を所定量含有する とによって、高い導電性および優れた密着 を有する導電性被膜を形成可能な導電性イ ク、当該導電性インクを用いてなる導電性 膜、およびこれらの製造方法に関するもの ある。

 導電性被膜の製造方法としては従来から 例えば、(1)金属の真空蒸着、化学蒸着、イ ンスパッタリング等の方法、(2)メッキによ て導電性被膜を形成する方法、(3)フォトリ グラフィー法、等の方法が用いられている

 上記(1)の方法は、真空系または密閉系で 作業を必要とするため、操作が煩雑であり 装置が大掛かりであるため大きなスペース 必要とし、費用がかさむ上、量産性に乏し 等の問題がある。また、上記(2)の方法は、 量の廃液を処理する必要があり、材料ロス 大きく余分な費用がかかる上、環境に対す 負荷が大きいという問題がある。さらに、 記(3)の方法は、基材上に形成された導電性 膜の必要部分をマスクする工程が余分に必 である。また、用いられる感光性樹脂や除 された金属被膜、およびそれらを溶解させ 廃液が多量に排出されるため、処理費用が さみ、環境に対する負荷が大きいという問 がある。

 一方、導電性被膜を形成する材料をコー ィング剤として用い、基材上に描画する方 は、特別な装置を設ける必要もなく、簡単 設備で生産できるため、広いスペースを必 とせず、費用も少なくてすむ。また、材料 スや廃液の発生も殆どないことから、コス 面でも有利であり、環境負荷も小さくする とができる。そのため、導電性被膜の製造 法として、当該方法が広く用いられるよう なってきている。

 上記コーティング剤としては、従来、銀 他の金属粒子を樹脂成分や有機溶媒を用い 練りこんだ金属ペーストや、導電性インク 称されるものが用いられ、これらをディス ンサーやスクリーン印刷を用いて塗布し、 電性被膜を形成することが多い。また、最 では、粘度の低いコロイド状の金属分散液 導電性インクとして用い、インクジェット 式で描画し、配線パターンを形成する方法 試みられている。

 導電性インクとしては、例えば、有機溶 を含む樹脂組成物中に、微細な平均粒子径 金属超微粒子を均一に分散してなる導電性 ンク(特許文献1)、有機溶剤中に所定の平均 子径の金属超微粒子が分散されており、金 超微粒子表面は当該金属と配位結合可能な 能基を有する化合物によって被覆されてお 、加熱処理時に当該化合物が解離可能とな ている導電性インク(特許文献2)、銀粉末と 定のエポキシ樹脂成分からなる導電性イン (特許文献3)などが知られている。

 なお、導電性インクの溶媒としては、有機 剤、非有機溶剤のいずれを用いることもで るが、非有機溶剤、特に水を用いることで 人体に対する影響や環境に対する負荷を低 することができる。

日本国公開特許公報「特開2002―324966号 報(公開日:平成14(2002)年11月8日)」

日本国公開特許公報「特開2002―334618号 報(公開日:平成14(2002)年11月22日)」

日本国公開特許公報「特開2001―261778号 報(公開日:平成13(2001)年9月26日)」

 しかしながら、特許文献1に開示された導 電性インクは、各種基材に対する密着強度が 有機樹脂類(樹脂組成物)との相性に依存して るため、一般的に、低抵抗な配線や電極を 成する際に用いられる、水素や窒素を用い 還元焼成の工程において、有機樹脂分の分 により発生するガスによって微小なクラッ が発生しやすいという問題点がある。した って、当該導電性インクを用いて形成され 導電性被膜は、高い導電性と基材への高い 着性とを両立することはできない。

 また、特許文献2に開示された導電性イン クは、基材との密着強度を付与するバインダ ーが含有されていないため、基材との密着強 度が乏しく、高温焼成によって金属粉を焼結 させるような用途以外では使用が困難である という問題点がある。

 さらに、特許文献3に開示された導電性イ ンクは、密着性に優れるが、密着性を付与す るためには有機樹脂を添加することが不可欠 である。しかし、有機樹脂は絶縁物として機 能するため、被膜の抵抗値は必然的に高くな ってしまう。よって、特許文献3に開示され 導電性インクも、高い導電性と基材への高 密着性とを両立することはできず、用途が 定されるという問題点がある。

 このように、高い導電性と基材への高い 着性とを両立した導電性インクはこれまで 見出されておらず、当該導電性インクの開 が望まれていた。

 本発明は、上記の問題点に鑑みてなされ ものであり、その目的は、高い導電性と基 への高い密着性とを示す導電性被膜を形成 能な導電性インクおよびこれを用いてなる 電性被膜、並びにこれらの製造方法を提供 ることにある。

 本発明者は上記課題を解決するために鋭 検討を行った。その結果、糖類化合物を導 性インクに所定量含有させ、当該導電性イ クを用いて導電性被膜を形成することによ て、高い導電性および高い密着性を示す導 性被膜が得られることを見出し、本発明を 成するに至った。さらに、当該導電性イン は低い加熱温度によっても焼成可能である とも見出した。

 すなわち、本発明にかかる導電性インク 、金属コロイド液および糖類化合物を含む 電性インクであって、上記糖類化合物が、 属コロイド液の固形分に対して3重量%以上15 重量%以下含まれることを特徴としている。

 糖類化合物は1分子内に多数の水酸基を有 し、水素結合能に優れている。本発明にかか る導電性インクは糖類化合物を所定量含有し ているため、水溶性に優れ、水素結合能に優 れるものとなる。したがって、ガラス、PET( リエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレ ンナフタレート),PI(ポリイミド)などの基材に 対して良好な密着性を示すことができる。

 それゆえ、金属コロイドに起因する高い 電性を保持しつつ、基材に対する高い密着 を示すことができ、高い導電性と基材への い密着性とを両立することができる。

 また、糖類化合物は比較的剛直な構造を ているが、本発明にかかる導電性インクは 類化合物を所定量含有しているため、導電 被膜に比較的剛直な構造を与えることがで る。したがって、比較的融点が高く、強靭 導電性被膜を形成することもできる。さら 、本発明にかかる導電性インクは糖類化合 を所定量含有しているため、糖類化合物と 様に水酸基を有する化合物であるヒドロキ 酸との相性が良い。したがって、ヒドロキ 酸を分散剤とした導電性インクの分散安定 を損なわないという効果を奏することもで る。

 本発明にかかる導電性インクにおいては 上記糖類化合物は六員環構造および/または 五員環構造を有することが好ましい。

 六員環構造および/または五員環構造を有 する糖類化合物は、三員環構造や四員環構造 を有するが六員環構造および/または五員環 造を有しない糖類化合物よりも剛直な構造 なり、1分子内の水酸基数も多い。したがっ 、上記構成によれば、導電性インクはより 好な密着性を有し、かつ、より強靭な被膜 形成することができる。

 本発明にかかる導電性インクにおいては 上記糖類化合物はグルコース、トレハロー 、マルトシルトレハロース、イソマルトオ ゴ糖、還元麦芽糖、還元澱粉糖化物、糖ア コールおよびヒアルロン酸からなる群より ばれる1以上の糖類化合物であることが好ま しい。

 上記糖類化合物は、いずれも水溶性に優 る糖類化合物であるため、これらの糖類化 物を所定量含有する導電性インクを用いて 成された導電性被膜の密着性をより高める とができる。

 本発明にかかる導電性インクにおいては 上記金属のイオン化列が水素より貴である とが好ましい。

 上記金属を用いた金属コロイド液からな 被膜は導電性が良好であることが知られて る(例えば、特開2002-245854号公報を参照)。し たがって、上記構成によれば、糖類化合物に 起因する良好な密着性とともに、高い導電性 をも備える導電性被膜を形成可能な導電性イ ンクを、より確実に提供することができる。

 上記金属コロイド液は、金属成分と有機 分とからなる粒子を主成分とする固形分と 溶媒とを含むことが好ましい。

 上記構成によれば、金属コロイド液が有 成分を含んでいるので、溶液中での金属コ イド粒子の分散安定性を向上させることが きる。したがって、金属コロイド中の金属 量を増やしても金属コロイド粒子が凝集し くく、良好な分散性を保つことができる。

 本発明にかかる導電性インクを製造する 法は、金属コロイド液と糖類化合物とを混 する工程を含み、上記糖類化合物を、上記 属コロイド液の固形分に対して3重量%以上15 重量%以下となるように混合することを特徴 している。

 上記構成によれば、導電性インクに糖類 合物が所定量含有されるので、金属コロイ に起因する高い導電性と、糖類化合物の水 性に起因する基材への高い密着性とを両立 た導電性インクを製造することができる。

 本発明にかかる導電性被膜は、本発明に かる導電性インクを用いてなる導電性被膜 あって、上記糖類化合物が1重量%以上15重量 %以下含まれることを特徴としている。

 上記構成によれば、被膜中に糖類化合物 上記の量含まれているので、高い導電性と い密着性とを両立することができる。した って、基材の種類の制約や用途の制約を受 ることなく、導電性に優れた導電パターン 形成することができる。

 本発明にかかる導電性被膜の製造方法は 本発明にかかる導電性インクを基材に塗布 、または、本発明にかかる導電性インクを いて基材に描画後、当該導電性インクを300 以下の温度で焼成させて被膜を形成するこ を特徴としている。

 上記構成によれば、焼成が比較的低温で われるので、糖類化合物の分解を防ぎつつ 導電性インクの焼成を行うことができる。 たがって、高い導電性と高い密着性とを両 した導電性被膜を製造することができる。

 本発明の他の目的、特徴、および優れた は、以下に示す記載によって十分分かるで ろう。また、本発明の利点は、添付図面を 照した次の説明によって明白になるであろ 。

 以下、本発明について詳しく説明する。 、本明細書では、「重量」は「質量」と同 語として扱い、「重量%」は「質量%」と同 語として扱う。また、範囲を示す「A~B」は A以上B以下であることを示し、主成分とは、 組成物中で最も多く含まれている成分を意味 し、好ましくは50重量%以上含有しているとい う意味である。

 本実施の形態に係る導電性インクは、金 コロイド液および糖類化合物を含む導電性 ンクであって、上記糖類化合物が、金属コ イド液の固形分に対して3重量%以上15重量% 下含まれるものである。

 (1)金属コロイド液
 本発明に用いられる金属コロイド液および の成分を、以下に説明する。

 (1-1)金属コロイド粒子および固形分
 本明細書において、金属コロイド液は、金 成分を含み、本発明に係る導電性インクに 電性を付与することができるコロイド液で れば特に限定されるものではない。ただし 金属成分の分散性を向上させることができ ため、金属成分と有機成分とからなる粒子 主成分とする固形分(以下「金属コロイド粒 子」という)と、溶媒とを含むことが好まし 。

 本明細書中で使用される場合、金属コロ ド液の「固形分」は、金属コロイド液から 部分の溶媒をシリカゲルなどにより取り除 た後、30℃以下の温度で乾燥させたときに 存する固形分が意図され、通常、金属コロ ド粒子、残留分散剤および残留還元剤など らなる。本発明に用いられる金属コロイド において、好ましい固形分の濃度は1~70重量% である。固形分の濃度が1重量%未満であると 製造した導電性インクにおける金属の含有 が少なすぎるので、導電効率が低い。また 固形分の濃度が70重量%を超えると、金属コ イド液の粘性が上昇して取り扱いが困難に るので、工業的に不利である。より好まし は、固形分の濃度が10~65重量%である。

 本発明に用いられる金属コロイド液は、 形分に対して10℃/分の昇温速度で熱重量分 を行ったときの100~500℃における重量損失が 10重量%以下であることが好ましい。上記固形 物を500℃まで加熱すると、有機物などが酸化 分解され、大部分のものはガス化されて消失 する。このため、500℃までの加熱による減量 は、ほぼ固形分中の有機物の量に相当し得る 。

 上記重量損失が多いほど金属コロイドの 散安定性は優れるが、多すぎると有機物が 純物として導電性インク中に残留して、導 性被膜の導電性を低下させる。特に100℃程 の低温での加熱によって導電性の高い導電 被膜を得るためには、上記重量損失が10重 %以下であることが好ましい。一方、上記重 損失が少なすぎるとコロイド状態での分散 定性が損なわれるため、0.01重量%以上であ ことが好ましい。より好ましい固形分の濃 は、0.05重量%以上、4.5重量%以下である。

 金属コロイドの固形分に含まれるべき金 コロイド粒子の形態としては、例えば、金 成分からなる粒子の表面に有機成分が付着 ているもの、上記金属成分からなる粒子を アとして、その表面が有機成分で被覆され いるもの、金属成分と有機成分とが均一に 合されてなる粒子などが挙げられるが、特 限定されない。金属成分からなる粒子をコ として、その表面が有機成分で被覆されて るもの、金属成分と有機成分とが均一に混 されてなる粒子が好ましい。なお、当業者 、上述した形態を有する金属コロイド粒子 、当該分野における周知技術を用いて適宜 製することができる。

 上記金属コロイド粒子の平均粒径は、1~40 0nmであることが好ましく、70nm以下であるこ がより好ましい。上記金属コロイド粒子の 均粒径が1nm未満であっても、良好な導電性 膜を形成可能な導電性インクは得られるが 一般的にそのような微金属コロイド粒子の 造はコスト高で実用的ではない。400nmを超え ると、金属コロイド粒子の分散安定性が経時 的に変化しやすい。

 (1-2)金属成分
 上記金属成分としては、特に限定されるも ではないが、被膜の導電性を良好にするこ ができるため、上記金属のイオン化列が水 より貴であることが好ましい。上記金属の オン化列が水素より貴である金属としては 例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、 ジウム、イリジウム、オスミウム、ルテニ ム、レニウム等を挙げることができる。中 も、銀、銅、白金、パラジウムがより好ま い。これらの金属は単独で用いてもよく、2 種以上を併用して用いてもよい。

 例えば、上記金属コロイド液として銀コ イド液を用いる場合、導電性インクを用い 形成した被膜の導電率が良好となるが、マ グレーションの問題を考慮する必要がある ここで、銀およびその他の金属からなる混 コロイド溶液を用いることによって、マイ レーションを起こりにくくすることができ 。当該「その他の金属」としては、上述の オン化列が水素より貴である金属、すなわ 金、銅、白金、パラジウム、ロジウム、イ ジウム、オスミウム、ルテニウム、レニウ 等が好ましく、銅、白金、パラジウムがよ 好ましい。

 (1-3)有機成分
 本明細書中において使用される場合、金属 ロイド粒子中の「有機成分」は、金属成分 ともに実質的に金属コロイド粒子を構成す 有機物のことであり、金属中に最初から不 物として含まれる微量有機物、後述する製 過程で混入した微量の有機物が金属成分に 着したもの、洗浄過程で除去しきれなかっ 残留還元剤、残留分散剤などのように、金 成分に微量付着した有機物などは含まれな 。なお、上記「微量」は、具体的には、金 コロイド粒子中1重量%未満が意図される。

 金属コロイド粒子は有機成分を含んでい ので、溶液中での金属コロイド粒子の分散 定性が高い。そのため、金属コロイド中の 属含量を上げても金属コロイド粒子が凝集 にくく、その結果、良好な分散性が保たれ 。

 金属コロイド粒子中の有機成分の含有量 、0.5~30重量%が好ましい。有機成分の含有量 が0.5重量%未満であると、得られる金属コロ ド粒子の貯蔵安定性が悪くなる傾向があり 30重量%を超えると、得られる金属コロイド 子を用いて製造される導電性インクの導電 が悪くなる傾向がある。有機成分のより好 しい含有量は1重量%以上、20重量%以下であり 、さらに好ましい含有量は1重量%以上、10重 %以下である。

 上記有機成分としては、例えば、分散剤 たは還元剤として用いられる有機物が挙げ れる。分散剤としては、有機酸(例えば、ク エン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸な ど);イオン性化合物(例えば、クエン酸三ナト リウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三リ チウム、クエン酸一カリウム、クエン酸水素 二ナトリウム、クエン酸二水素カリウム、リ ンゴ酸二ナトリウム、酒石酸二ナトリウム、 酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウムカリウム 、酒石酸水素カリウム、酒石酸水素ナトリウ ム、グリコール酸ナトリウムなど);界面活性 (例えば、トデシルベンゼンスルホン酸ナト リウム、オレイン酸ナトリウム、ポリオキシ エチレンアルキルエーテル、パーフルオロア ルキルエチレンオキシド付加物など);高分子 質(例えば、ゼラチン、アラビアゴム、アル ブミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルセ ルロース類、アルカンチオール類など)が挙 られるが、分散媒に溶解し、かつ分散効果 示すものであれば特に限定されず、これら 単独で用いられても2種類以上が併用されて よい。

 また、分散剤は、COOH基とOH基とを有し、 つ、基の数がCOOH≧OHであるヒドロキシ酸ま はその塩であることが好ましい。このよう 分散剤を使用すれば、100℃程度の低温で焼 しても高導電性を示す導電性被膜を形成可 な導電性インクを提供することができる。 に、COOH基とOH基とを合わせて3個以上有し、 かつ、COOH基の数がOH基の数以上であるヒドロ キシ酸またはその塩を用いると、金属コロイ ド粒子の分散安定性が向上するので、導電性 に優れた導電性被膜を得ることができる。

 このような分散剤としては、有機酸(例え ば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコー ル酸など);イオン性化合物(例えば、クエン酸 三ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン 酸三リチウム、クエン酸一カリウム、クエン 酸水素二ナトリウム、クエン酸二水素カリウ ム、リンゴ酸二ナトリウム、酒石酸二ナトリ ウム、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウムカ リウム、酒石酸水素カリウム、酒石酸水素ナ トリウム、グリコール酸ナトリウムなどが挙 げられ、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三 カリウム、クエン酸三リチウム、リンゴ酸二 ナトリウム、酒石酸二ナトリウムなどが好ま しい。

 還元剤としては、適当な溶媒に溶解して 元作用を示すものであれは特に限定されな が、タンニン酸およびヒドロキシ酸が好適 用いられる。タンニン酸およびヒドロキシ は、還元剤として機能すると同時に、分散 としての効果を発揮する。これらの還元剤 たは分散剤は単独で用いられても、複数組 合わせて用いられてもよい。

 タンニン酸としては、一般に「タンニン 」に分類されるものであれば特に限定され 、ガロタンニン酸、五倍子タンニンなども まれる。

 タンニン酸の含有量は、金属イオン1価/g 対して、0.01~6gであることが好ましい。例え ば1価の銀イオンの場合、銀イオン1g当たりの タンニン酸の含有量は0.01~6gであり、3価の金 オンの場合は、金イオン1g当たりのタンニ 酸の含有量は0.03~18gである。タンニン酸の含 有量が少なすぎると還元反応が不十分であり 、多すぎると過剰に吸着して導電性インク中 に残存することがある。タンニン酸のより好 ましい含有量は、0.02g以上、1.5g以下である。

 (1-4)金属コロイド液のその他の構成要素
 本発明に用いられる金属コロイド液は界面 性剤を含有していてもよい。多成分溶媒系 導電性インクにおいては、乾燥時の揮発速 の違いによる被膜表面の荒れおよび固形分 偏りが生じやすい。本発明に用いられる金 コロイドは、界面活性剤を含有することに ってこれらの不利益を抑制し、均一な被膜 形成することができる導電性インクを提供 ることができる。

 含まれるべき界面活性剤としては特に限 されず、アニオン性界面活性剤、カチオン 界面活性剤、ノニオン性界面活性剤の何れ 用いられてもよく、例えば、アルキルベン ンスルホン酸塩、4級アンモニウム塩などが 挙げられ得るが、少量の添加で効果が得られ るので、フッ素系界面活性剤が好ましい。

 界面活性剤の含有量は少なすぎると効果 得られず、多すぎると被膜中で残量不純物 なるので、導電性が阻害される。好ましい 面活性剤の含有量は、溶媒100重量部に対し 0.01~5重量部である。

 また、本発明に用いられる金属コロイド 、溶液の特性を改質するための他の添加剤 さらに含有していてもよい。上記他の添加 としては、特に限定されず、例えば、水と 意に相溶する多価アルコール(例えば、1,3- ロパンジオール、グリセリン、エチレング コール等)や、消泡剤、レベリング剤、増粘 などを挙げることができる。

 なお、本発明に用いられる金属コロイド を構成する溶媒としては、上述した金属コ イド粒子を首尾よく分散し得るものであれ 特に限定されないが、水及び/又は水溶性溶 剤が挙げられる。溶媒として水及び/又は水 性溶剤を用いると、本発明に係る導電性イ クを製造する際の、環境に対する悪影響が ないため好ましい。

 (2)金属コロイド液の製造
 本発明に用いられる金属コロイド液を製造 る方法としては、特に限定されないが、例 ば、金属コロイド粒子を含む溶液を調製し 次いで、その溶液の洗浄を行う方法などが げられる。金属コロイド粒子を含む溶液を 製する工程としては、例えば、分散剤を用 て溶液中に分散させた金属塩または金属イ ンを還元させればよく、還元手順としては 化学還元法に基づく手順が採用されていれ よい。

 金属コロイド液に含有させるための金属 分を得るための出発材料としては、例えば 銀塩(例えば、硝酸銀、硫酸銀、塩化銀、酸 化銀、酢酸銀、亜硝酸銀、塩素酸銀、硫化銀 など);金塩(例えば、塩化金酸、塩化金カリウ ム、塩化金ナトリウムなど);白金塩(例えば、 塩化白金酸、塩化白金、酸化白金、塩化白金 酸カリウムなど);パラジウム塩(例えば、硝酸 パラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウ ム、酸化パラジウム、硫酸パラジウムなど) が挙げられるが、適当な分散媒中に溶解し 、かつ還元可能なものであれば特に限定さ ない。また、これらは単独で用いられても 数併用されてもよい。

 金属塩を還元する方法としては、特に限 されず、還元剤を用いて還元しても、光(例 えば、紫外線)、電子線、熱エネルギーなど 用いて還元してもよい。

 上記還元剤としては、アミン化合物(例え ば、ジメチルアミノエタノール、メチルジエ タノールアミン、トリエタノールアミン、フ ェニドン、ヒドラジンなど);水素化合物(例え ば、水素化ホウ素ナトリウム、ヨウ素化水素 、水素ガスなど);酸化物(例えば、一酸化炭素 、亜硫酸など);低原子価金属塩(例えば、硫酸 第一鉄、酸化鉄、フマル酸鉄、乳酸鉄、シュ ウ酸鉄、硫化鉄、酢酸スズ、塩化スズ、二リ ン酸スズ、シュウ酸スズ、酸化スズ、硫酸ス ズなど);有機化合物(例えば、ホルムアルデヒ ド、ハイドロキノン、ピロガロール、タンニ ン、タンニン酸、サリチル酸、D-グルコース どの糖など)などが挙げられるが、分散媒に 溶解し上記金属塩を還元し得るものであれば 特に限定されない。上記還元剤を使用する場 合は、光及び/又は熱を加えて還元反応を促 させてもよい。

 上記金属塩、分散剤および還元剤を用い 金属コロイド液を製造する方法としては、 えば、上記金属塩を純水等に溶かして金属 溶液を調製し、その金属塩溶液を徐々に分 剤と還元剤とが溶解した水溶液中に滴下す 方法等が挙げられる。

 上記のようにして得られた金属コロイド には、金属コロイド粒子の他に、還元剤の 留物や分散剤が存在しており、液全体の電 質濃度が高くなっている。このような状態 液は、電導度が高いので、金属コロイド粒 の凝析が起こり、沈殿しやすい。上記金属 ロイド粒子を含む溶液を洗浄して余分な電 質を取り除くことにより、電導度が10mS/cm以 下の金属コロイド液を得ることができる。

 上記洗浄方法としては、例えば、得られ 金属コロイド液を一定時間静置し、生じた 澄み液を取り除いた上で、純水を加えて再 攪拌し、更に一定期間静置して生じた上澄 液を取り除く工程を幾度か繰り返す方法、 記の静置の代わりに遠心分離を行う方法、 外濾過装置やイオン交換装置等により脱塩 る方法等が挙げられる。中でも、脱塩する 法が好ましい。また、脱塩等した液は、適 濃縮してもよい。

 (3)糖類化合物
 本発明に係る導電性インクは、糖類化合物 含み、上記糖類化合物は、金属コロイド液 固形分に対して3重量%以上15重量%以下含ま る。なお、「上記糖類化合物は、金属コロ ド液の固形分に対して3重量%以上15重量%以下 含まれる」とは、糖類化合物の固形分が、金 属コロイド液の固形分に対して3重量%以上15 量%以下含まれることを意味する。例えば、 述する実施例2では、糖類化合物添加量を、 対金属コロイド液の固形分重量部=8としてい が、これは、(商品名マビット(固形分75%)の 形分重量/金属コロイド液の固形分重量)×100 =8重量部であることを意味している。

 上述のように、糖類化合物は1分子内に多 数の水酸基を有し、水素結合能に優れている ため、本発明に係る導電性インクは、ガラス 、PET、PEN,PIなどの基材に対して良好な密着性 を備えることになる。それゆえ、本発明に係 る導電性インクを用いることにより、高い導 電性と基材への高い密着性とを両立した導電 性被膜を形成することができる。

 本明細書において、「糖類化合物」とは 糖質および/またはその誘導体をいう。糖質 またはその誘導体は単独で用いてもよいし、 複数種を組み合わせて用いてもよい。なお、 糖質とは、アルデヒド基またはケトン基と2 以上のアルコール性水酸基を持ち、3個以上 炭素からなる化合物とその誘導体およびそ らの脱水縮合したものをいう。

 上記糖質としては、特に限定されるもの はないが、単糖類、二糖類およびオリゴ糖 からなる群より選ばれる1以上の糖質である ことが好ましい。また、糖質はアルドースで あってもケトースであってもよい。糖質を構 成する単糖類は三単糖以上であれば特に限定 されるものではないが、六単糖(六員環構造) よび/または五単糖(五員環構造)を有するこ が好ましい。

 単糖類としては、特に限定されるもので ないが、例えば、セドヘプツロース、グル ース、フルクトース、リブロース、ガラク ース、タロース、マンノース、アピオース リボース、キシロース、エリトロース、ト オース、グリセルアルデヒド、ジヒドロキ アセトン等を用いることができる。

 二糖類としては還元性二糖類であっても 還元性二糖類であってもよく、マルトース ラクトース、スクロース、セロビオース、 ゲロース、ソホロース、メリビオース、ラ ナリビオース、タガトース、トレハロース を用いることができる。

 オリゴ糖類としては、マルトシルトレハ ース、イソマルトオリゴ糖、フルクトオリ 糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖等を いることができる。

 上記誘導体としては、例えばアミノ糖、 アルコール、ウロン酸、アルドン酸等が挙 られる。

 アミノ糖としては、特に限定されるもの はないが、例えば、グルコースの水酸基の 部がアミノ基に置換されたグルコサミンの 、ガラクトサミン、マンノサミン、ノイラ ン酸、ムラミン酸等を挙げることができる なお、アミノ糖はN-アセチル化されていて よい。例えば、N-アセチルグルコサミンやN- セチルガラクトサミン等であってもよい。

 また、ウロン酸としては、特に限定され ものではないが、グルクロン酸、イズロン 、ガラクツロン酸、グルロン酸、マンヌロ 酸等を用いることができ、グルコサミンと ルクロン酸とが結合したヒアルロン酸を用 ることもできる。糖アルコールとしては、 に限定されるものではないが、グリセリン エリトリトール、アラビトール、キシリト ル、リビトール、ソルビトール、マンニト ル、ガラクチトール、マルチトール、ラク トール、イノシトール、クエルシトール、 元麦芽糖、還元澱粉糖化物(還元水飴)、還 デキストリン等を用いることができる。

 中でも、糖類化合物としては、グルコー 、トレハロース、マルトシルトレハロース イソマルトオリゴ糖、還元麦芽糖、還元澱 糖化物、糖アルコールおよびヒアルロン酸 らなる群より選ばれる1以上の糖類化合物で あることが好ましい。

 なお、上記「還元麦芽糖」とはマルトー (麦芽糖)を還元して得られる糖アルコール あり、主成分はマルチトールである。後述 る実施例では、商品名;「マビット」(林原商 事(株)製)を用いているが、これに限定される ものではない。また、上記「還元澱粉糖化物 」とは、澱粉のカルボニル基を還元して得ら れる鎖状多価アルコールである。後述する実 施例では、商品名;「HS500」(林原商事(株)製) 用いているが、これに限定されるものでは い。

 上記糖類化合物の含有量は、金属コロイ 液の固形分に対して3重量%以上15重量%以下 ある。上記含有量が3重量%未満であると、糖 類化合物による導電性被膜の密着性向上効果 を十分に得ることができず、導電性被膜と基 材との密着性が不足してしまう場合があるた め好ましくない。一方、上記含有量が15重量% を超えると、導電性被膜と基材との密着性は 良好であるが、200℃以下の低温で導電性イン クを焼成することによって形成した導電性被 膜の導電性が悪化する場合があるため好まし くない。

 上記糖類化合物のより好ましい含有量は 金属コロイド液の固形分に対して5重量%以 10重量%以下であり、さらに好ましくは6重量% 以上9重量%以下である。

 本発明に係る導電性インクの粘度は、1~10 00cpsの粘度範囲であることが望ましく、5~900cp sの粘度範囲がより好ましく、30~800cpsの粘度 囲であることが特に好ましい。当該粘度範 とすることにより、基材上に導電性インク 塗布する方法、または、導電性インクを用 て基材上に描画する方法として幅広い方法 適用することができるようになる。例えば ディッピング、スクリーン印刷、スプレー 式、バーコート法、スピンコート法、イン ジェット法、ディスペンサー法、刷毛によ 塗布方法等を適用することができるように る。本発明に係る導電性インクは、このよ に比較的高い粘度であっても、高い導電性 高い密着性とを兼ね備えることができる。

 (4)導電性インクの製造
 本発明に係る導電性インクは、上記金属コ イド液を含むので、電導度を10mS/cm以下とす ることができる。従来の導電性インクは、存 在する電解質成分の濃度に敏感に反応して凝 集沈降するので、貯蔵安定性が損なわれるこ とがあった。しかし、10mS/cm以下の電導度を していることによって、本発明に係る導電 インクは、十分な貯蔵安定性を有し、ガラ 容器中での保管によるアルカリ分の流出、 気中の炭酸ガスの溶解による経時的な電解 濃度の上昇による貯蔵安定性の悪化などを 止することができる。

 さらに、10mS/cm以下の電導度を有している 導電性インクは分散安定性が高いため、固形 分濃度が高い導電性インクの製作が容易とな り、容積を減ずることができ、流通時および 運搬時の取り扱いを容易にすることができる 。高濃度の導電性インクは、後で適当な溶媒 を用いて、使用に最適な濃度に調整してもよ い。

 本発明に係る導電性インクを製造する方 は、金属コロイド液と糖類化合物とを混合 る工程を含み、上記糖類化合物を、上記金 コロイド液の固形分に対して3重量%以上15重 量%以下となるように混合する方法である。

 金属コロイド液と糖類化合物との混合方 は特に限定されるものではなく、スターラ 等を用いて従来公知の方法によって行うこ ができる。

 複数の金属からなる導電性インクを製造 る方法としては特に限定されず、例えば、 とその他の金属とからなる導電性インクを 造する場合には、「(2)金属コロイド液の製 」に記載した方法にて、銀コロイド液とそ 他の金属のコロイド液とを別々に製造し、 の後混合してもよく、銀イオン溶液とその の金属イオン溶液とを混合し、その後に還 してもよい。

 (5)導電性被膜およびその製造方法
 本発明に係る導電性被膜は、本発明に係る 電性インクを用いてなる導電性被膜であっ 、上記糖類化合物が1重量%以上15重量%以下 まれるものである。

 上記導電性被膜は、本発明に係る導電性 ンクを基材に塗布後、または、本発明に係 導電性インクを用いて基材に描画後、当該 電性インクを300℃以下の温度で焼成させて 膜を形成することにより、形成することが きる。

 上記基材としては特に限定されず、例え 、熱に強い金属、ガラス、セラミック等か なる比較的熱に強い基材;ポリエステル樹脂 、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカー ボネート樹脂、ビニル樹脂等の高温をかける と変形や分解のおそれがある高分子系の基材 等を挙げることができる。

 上記導電性インクを基材上に塗布する方 、または上記導電性インクを用いて基材上 描画する方法としては、特に限定されるも ではなく、(3)において説明したディッピン 等の従来公知の方法を用いることができる 上記焼成を行う方法は特に限定されるもの はなく、例えば従来公知のギアオーブン等 用いて、基材上に塗布または描画した上記 電性インクの温度が300℃以下となるように 成することによって導電性被膜を形成する とができる。上記温度が300℃以下であれば 上記導電性インクに含まれる糖類化合物の 解を抑制することができ、導電性被膜に高 導電性および密着性を付与するという本発 の目的を達成できるため好ましい。したが て、上記焼成の温度の下限は必ずしも限定 れず、基材上に導電性被膜を形成できる温 であればよい。

 本発明に係る導電性インクによれば、100 程度の低温加熱処理でも高い導電性を発現 る導電性被膜を形成することができるので 比較的熱に弱い基材上にも導電性被膜を形 することができる。上記基材の形状として 、例えば、板状、フィルム状等が挙げられ 。

 また、焼成時間は特に限定されるもので なく、焼成温度に応じて、基材上に導電性 膜を形成でき、糖類化合物の含有量を1重量 %以上15重量%以下として確保できる焼成時間 あればよい。

 作製した導電性被膜中における糖類化合物 含有量は、以下の手法によって算出するこ ができる。まず、ブランクとして糖類化合 を含まない導電性インクを作製した。当該 電性インクを基材に塗布後、または、当該 電性インクを用いて基材に描画後、焼成し 基材上に形成された導電性被膜を金属ヘラ を用いてかき取り、熱重量分析(TG)測定(昇 速度10℃/分、窒素雰囲気)に供した。熱重量 析前後の上記被膜の重量から、重量減少率 求めた。次に、糖類化合物を含む本発明に る導電性インクを作製し、ブランクと同様 条件で処理した被膜を、ブランクと同様の 件で熱重量分析を行い、式(1)に従って重量 少率の差分を求め、当該差分を、導電性被 中における糖類化合物の含有量とする。
糖類化合物の含有量(重量%)=(本発明に係る導 性被膜の重量減少率(%))-(ブランクの導電性 膜の重量減少率(%))・・・式(1)
 本発明に係る導電性被膜には、糖類化合物 1重量%以上15重量%以下含まれるため、基材 の密着性が高い。上記基材と導電性被膜と 密着性を高めるため、上記基材の表面処理 行ってもよい。上記表面処理方法としては 例えば、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理 、電子線処理等のドライ処理;基材上にあら じめプライマー層や導電性インク受容層を ける方法等が挙げられる。

 本発明に係る導電性被膜は、高い導電性 よび基材への高い密着性を有するので、ブ ウン管の電磁波遮蔽、建材又は自動車の赤 線遮蔽、電子機器や携帯電話の静電気帯電 止材、曇ガラスの熱線、回路基材やICカー の配線、フラットパネルディスプレイの電 、樹脂に導電性を付与するためのコーティ グ、スルーホール又は回路自体等に好適に いられる。

 本発明に係る導電性インクにより、高い 電性を発現する被膜を形成することができ と同時に、基材への高い密着性を有する被 を形成することが可能となる。このため、 材の種類に制約を受けることなく導電性に れた導電パターンを形成することができる とに加えて、被膜の剥離が起こりにくいの 、幅広い描画装置、印刷機械等に用いるこ ができる。

 以下、実施例に基づいて本発明をより詳細 説明するが、本発明は以下の実施例に限定 れるものではない。
(1)金属コロイド液の調製
 (1-1)銀コロイド液Aの調製
 10N NaOH水溶液を3mL添加してアルカリ性にし 水50mLに、クエン酸3ナトリウム2水和物17g、 ンニン酸0.36gを溶解した。得られた溶液に して3.87mol/L硝酸銀水溶液3mLを添加し、2時間 拌を行い銀コロイド水溶液を得た。得られ 銀コロイド水溶液に対し、導電率が30μS/cm 下になるまで透析することで脱塩を行った 透析後、3000rpm(920G)、10分の条件で遠心分離 行うことで、粗大金属コロイド粒子を除去 、銀コロイド液Aとした。この銀コロイド液A 中の固形分を、乾燥重量法によって求めた。 ここで得られた固形分について、セイコー電 子工業社製TG/DTA300を用いて昇温速度10℃/分で 室温から500℃までの大気中における熱重量変 化を求め、100℃から500℃までの重量減少を計 算した。銀コロイド液A中の固形分は55重量% あり、熱重量分析による500℃昇温時の重量 少は1.9重量%であった。

 (1-2)銀コロイド液Bの調製
 硝酸銀1.97gをイオン交換水100mlに溶解し、硝 酸銀水溶液を調製した。次に、没食子酸0.8g イオン交換水100mlに加えて攪拌しながら、先 に調製した硝酸銀水溶液と、pH調製用の1N NaO H水溶液10mlを添加し、1時間攪拌することで銀 コロイド水溶液を得、銀コロイド液Bとした 銀コロイド液Bを、分画分子量5万の限外濾過 膜(アドバンテック東洋製)を用いて濾過し、 純物イオンを除去した。銀コロイド液Bの固 形分は55重量%であり、熱重量分析による500℃ 昇温時の重量減少は5.0重量%であった。

 (1-3)銀コロイド液Cの調製
 グリシン(和光純薬工業製、試薬特級)0.44gと 硫酸第一鉄七水和物(和光純薬工業製、試薬 級)3.2gとを90mlのイオン交換水に溶解し、水 化ナトリウム水溶液(和光純薬工業製、試薬 級をイオン交換水で適当な濃度に調整した の)でpH7に調整した後、イオン交換水を添加 して全量を128mlとした。

 次に、当該128mlの溶液を、室温下、マグ ティックスターラーで攪拌しながら、1gの硝 酸銀(和光純薬工業製、試薬特級)を含む水溶 2mlを滴下させて銀コロイド液Cを調製した。 得られた銀コロイド液Cは、分画分子量5万の 外濾過膜(アドバンテック東洋製)を用いて 過し、不純物イオンを除去した。銀コロイ 液Cの固形分は55重量%であり、熱重量分析に る500℃昇温時の重量減少は9.7重量%であった 。

 (1-4)金コロイド液Dの調製
 分散剤としてクエン酸ナトリウム二水和物( 和光純薬工業製、試薬特級)6.82g、還元剤とし て硫酸第一鉄七水和物(和光純薬工業製、試 特級)5.82gを用い、上記分散剤と上記還元剤 をイオン交換水に溶解し、液量を100mlとした 。次に、当該100mlの溶液を室温下、マグネテ ックスターラーで攪拌しながら、塩化金酸 水和物(和光純薬工業製、試薬特級)2.89gを含 む水溶液100mlを滴下して、金コロイド液Dを調 製した。得られた金コロイド液Dは、分画分 量5万の限外濾過膜(アドバンテック東洋製) 用いて濾過し、不純物イオンを除去した。 該濾過は、100mlのイオン交換水を20回、計2000 mlのイオン交換水を用いて行った。金コロイ 液Dの固形分は55重量%であり、熱重量分析に よる500℃昇温時の重量減少は9重量%であった

 (2)導電性インクの調製
 上記金属コロイド液に、表1に示した各種糖 類化合物を添加した後、さらにイオン交換水 およびその他の添加物を添加して、最終固形 分が40重量%になるように調整し、導電性イン クとした。銀コロイド液Aは実施例1,4~7および 比較例1~7で、銀コロイド液Bは実施例2で、銀 ロイド液Cは実施例3,8で、金コロイドDは実 例9で使用した。なお、ヒドロキシエチルセ ロース(HEC)を添加した系は、添加剤が溶解 るのに十分な時間静置してから使用した。

 なお、表1に記載したグルコースは試薬特 級(和光純薬工業製)、商品名「マビット」は 元麦芽糖(主成分:マルチトール、林原商事( )製)、商品名「HS500」は還元澱粉糖化物(林 商事(株)製)、商品名「パノラップ」はイソ ルトオリゴ糖(林原商事(株))、商品名「HEC SP -900」はヒドロキシエチルセルロース(ダイセ 化学工業製)、商品名「ハイドランAP-40N」は 水性ウレタン樹脂(大日本インキ工業製)であ 。表1における「糖類化合物添加量(対金属 ロイド液の固形分重量部)」は、糖類化合物 固形分の、金属コロイド液の固形分に対す 重量%を表している。

 (3)導電性被膜の性能評価
 (3-1)導電性評価
 上記(2)で調製した導電性インクを、スライ ガラス上にディスペンサー(武蔵エンジニア リング製、SHOTMASTER 300、ニードル:SNA-30G(内径 0.14mm))を用いて線幅300μm、長さ10cmのラインを 引いて塗布し、被膜を得た。得られた被膜を 自然乾燥した後、ギアオーブン((株)東洋精機 製作所製、形式:STD)にて、以下に示す所定の 件で加熱を行い、導電性被膜を得た。その 、横河電機社製 PORTABLE DOUBLE BRIDGE 2769を いて、ダブルブリッジ法により体積抵抗値 求めた。結果は表2に示した。
(加熱条件)
実施例1、4~7、比較例1~5:150℃×1時間
実施例2:200℃×1時間
実施例3、9:250℃×1時間
 (3-2)導電性被膜中の糖類化合物含有量の測
 導電性被膜中の糖類化合物の含有量は、上 のように熱重量分析(TG)測定(測定装置:セイ ーインスツル(株)製 EXSTAR6000 TG/DTA6300、昇 速度10℃/分、窒素雰囲気)を行い、実施例お び比較例の導電性インクより作製した導電 被膜の熱重量分析前後の重量減少率と、糖 化合物を添加せずに作製したブランクの導 性被膜における熱重量分析前後の重量減少 との差分を式(1)に従って求めることによっ 算出した。

 (3-3)密着性評価
 上記(2)で調製した導電性インクをスライド ラス上に刷毛塗りし、自然乾燥した後、ギ オーブン((株)東洋精機製作所製、形式:STD) て、以下に示す所定の条件で加熱を行い、 電性被膜を得た。次に、当該導電性被膜を ロテープ(登録商標)剥離試験に供した。

 セロテープ(登録商標)剥離試験は、基材 対する被膜の密着性を、メンディングテー No.810(住友スリーエム(株)製)を用いて評価す 試験である。メンディングテープを被膜に 全に付着させてから1分後に、該テープの一 方の端を持ち、基材に対して90度の角度を保 ながら一気に引き剥がすことによって、剥 を行った。評価基準としては、試験面に対 て全く剥離しなかった場合から、試験面に して剥離しなかった面の割合が90%以上であ た場合までを、「○」とし、試験面に対し 剥離しなかった面の割合が90%未満の場合を ×」とした。結果は表2に示した。

 表1、表2に示すように、糖類化合物を金 コロイド液の固形分に対して2重量%含む導電 性インクを用い、導電性被膜中に含まれる糖 類化合物が1重量%未満であった比較例6では、 被膜の導電性は優れるものの、密着性に問題 があった。また、糖類化合物を金属コロイド 液の固形分に対して20重量%含む導電性インク を用い、導電性被膜中に含まれる糖類化合物 が17重量%であった比較例7では、密着性に問 はないものの、体積抵抗値が大きく、導電 は劣っていた。

 一方、糖類化合物を金属コロイド液の固 分に対して15重量%含む導電性インクを用い 導電性被膜中に含まれる糖類化合物が7重量 %であった実施例8では、導電性および密着性 いずれも良好であった。

 これらの結果および他の実施例の結果に みると、糖類化合物を金属コロイド液の固 分に対して3重量%以上15重量%以下含む、本 明に係る導電性インクを用いて作製した導 性被膜であって、上記糖類化合物が1重量%以 上15重量%以下含まれる導電性被膜は、導電性 に優れ、かつ、基材への密着性に優れている といえることが分かる。

 本発明は上述した各実施形態に限定され ものではなく、請求項に示した範囲で種々 変更が可能であり、異なる実施形態にそれ れ開示された技術的手段を適宜組み合わせ 得られる実施形態についても本発明の技術 範囲に含まれる。

 本発明に係る導電性インクは、以上のよ に、金属コロイド液および糖類化合物を含 導電性インクであって、上記糖類化合物が 金属コロイド液の固形分に対して3重量%以 15重量%以下含まれるという構成である。

 このため、金属コロイドに起因する高い 電性を保持しつつ、基材に対する高い密着 を示すことができ、高い導電性と基材への い密着性とを両立した導電性被膜を提供す ことができるという効果を奏する。

 発明の詳細な説明の項においてなされた 体的な実施形態または実施例は、あくまで 、本発明の技術内容を明らかにするもので って、そのような具体例にのみ限定して狭 に解釈されるべきものではなく、本発明の 神と次に記載する請求の範囲内において、 ろいろと変更して実施することができるも である。

 本発明に係る導電性インクは、糖類化合 を所定量含有することによって、高い導電 および優れた密着性を有する導電性被膜を ることができる。それゆえ、幅広い描画装 、印刷機器等に好適に適用することができ 。