MIHARA KUNITERU (JP)
EGUCHI TATSUHIKO (JP)
KANEKO HIROSHI (JP)
MIHARA KUNITERU (JP)
EGUCHI TATSUHIKO (JP)
JP2006336068A | 2006-12-14 | |||
JP2006274445A | 2006-10-12 | |||
JP2006265731A | 2006-10-05 | |||
JP2006342389A | 2006-12-21 | |||
JP2007016304A | 2007-01-25 |
質量で、X元素を0.1~4%(ここで、X元素はNi、Fe、Co、Crの遷移元素の中の1種または2種以上である)およびY元素を0.01~3%(ここでY元素はTi、Si、Zr、Hfの中の1種または2種以上である)含有し、残部が銅と不可避不純物からなる銅合金材であって、 50%IACS以上の導電率と、600MPa以上の耐力を有し、耐力の80%の応力を付与した状態で1000時間保持したときの応力緩和率が20%以下であることを特徴とする銅合金材。 |
質量で、Z元素を0.01~3%(ここで、Z元素はSn、Mg、Zn、Ag、Mn、B、Pの中の1種または2種以上である)更に含有することを特徴とする請求項1記載の銅合金材。 |
平均結晶粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の銅合金材。 |
50~1000nmの粒径の第二相が10 4 個/mm 2 以上の分布密度で存在することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の銅合金材。 |
前記第二相が、Si、Co、Ni、Fe、Ti、ZrまたはCrを含む化合物であることを特徴とする請求項4記載の銅合金材。 |
前記第二相が三元からなる化合物であることを特徴とする請求項5記載の銅合金材。 |
銅合金材素材に、鋳造[1]、均質化熱処理[2]、熱間加工[3]、面削[4]、冷間加工[6]、溶体化熱処理[7]、冷間加工[9]、時効析出熱処理[10]、冷間加工[11]および調質焼鈍[12]とから構成される処理をこの順に施し、その冷間加工[9]での加工率R1(%)と冷間加工[11]での加工率R2(%)の和が5~65%とする請求項1~6のいずれか1項記載の銅合金材を得ることを特徴とする銅合金材の製造方法。 |
銅合金材素材に、鋳造[1]、均質化熱処理[2]、熱間加工[3]、面削[4]、冷間加工[6]、溶体化熱処理[7]、時効析出熱処理[8]、冷間加工[9]、時効析出熱処理[10]、冷間加工[11]および調質焼鈍[12]とから構成される処理をこの順に施し、その冷間加工[9]での加工率R1(%)と冷間加工[11]での加工率R2(%)の和が5~65%で、時効析出熱処理[8]の処理温度が400~700℃、時効析出熱処理[10]の処理温度が時効析出熱処理[8]の処理温度よりも低くする請求項1~6のいずれか1項記載の銅合金材を得ることを特徴とする電子電気機器用銅合金材の製造方法。 |
請求項7または8の製造方法において、面削[4]の後に400~800℃で5秒~20時間の時効析出熱処理[5]を行い、冷間加工[6]を行うことを特徴とする電子電気機器用銅合金材の製造方法。 |
本発明は、銅合金材およびその製造方法 関する。
電気・電子機器用のリードフレーム、コネ
タ、端子材等、例えば、自動車車載用など
コネクタや端子材、リレ-、スイッチ、ソケ
ットなどの用途に使用される銅合金材に要求
される特性項目は、導電率、耐力(降伏応力)
引張強度、曲げ加工性、耐応力緩和特性が
る。近年、電気・電子機器の小型化、軽量
、高機能化、高密度実装化や、使用環境の
温化に伴って、この要求特性が高まってい
。
従来、一般的に電気・電子機器用材料とし
は、鉄系材料の他、リン青銅、丹銅、黄銅
の銅系材料も広く用いられている。これら
合金はSnやZnの固溶強化と、圧延や線引きな
どの冷間加工による加工硬化の組み合わせに
より強度を向上させている。この方法では、
導電率が不十分であり、また、高い冷間加工
率を加えることによって高強度を得ているた
めに、曲げ加工性や耐応力緩和特性が不十分
である。
これに替わる強化法として材料中にナノ ートルオーダーの微細な第二相を析出させ 析出強化がある。この強化方法は強度が高 なることに加えて、導電率を同時に向上さ るメリットがあるため、多くの合金系で行 れている。その中で、Cu中にNiとSiの化合物 微細に析出させて強化させたCu-Ni-Si系合金( えば、CDA[Copper Development Association]登録合金 であるCDA70250)は、その強化する能力が高いメ リットはあるものの、導電率が不十分であり 、更なる高導電化の要求がある。
また一般的に析出硬化型合金では微細な析
状態を得る時効析出熱処理の前に、溶質原
を固溶させるための溶体化熱処理が中間工
で導入される。この温度は合金系や溶質濃
によって異なるものの750℃から1000℃と高温
である。充分な析出硬化量を得るためには溶
質原子の濃度を増やし、溶体化処理温度をよ
り高温にして析出密度を増やすことが好まし
い。
また、高導電の実現には、銅母相への溶質
子の固溶限が小さい析出型銅合金系を選択
る必要があり、この場合も必要な析出硬化
を得るためには、溶体化温度が高くなる。
の溶体化処理温度が高温になるために、材
の結晶粒径が粗大になる問題がある。結晶
径が粗大な場合、曲げ加工時の局所変形を
長してクラックが発生する不具合や、曲げ
表面のシワが大きくなるために、曲げ部を
点として使用する場合は電流の集中や、材
表面に施されたメッキが割れたりなどの不
合が発生する。この溶体化熱処理での高温
において結晶粒径を小さく制御する技術が
められている。
この技術背景に対して、NiとTiの化合物を分
散させた高強度銅合金の製造法の発明例があ
る(例えば、特公平04-53945号公報参照)。また
TiとFeの化合物を分散させた銅合金の製造法
発明例がある(例えば、特開平07-258806号公報
参照)。
しかし、強度、導電率、耐応力緩和特性、
げ加工性を並立させることが難しく、これ
全ての要求特性を満足するには至っていな
。
本発明者等は、銅合金材の組成とその平均
晶粒径および導電性、耐力、応力緩和性、
げ加工性について検討し、これを適正に規
することにより、これらの特性を改善しう
ことを知見し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明によれば、以下の手段が
供される:
(1)質量で、X元素を0.1~4%(ここで、X元素はNi、F
e、Co、Crの遷移元素の中の1種または2種以上
ある)およびY元素を0.01~3%(ここでY元素はTi、S
i、Zr、Hfの中の1種または2種以上である)含有
、残部が銅と不可避不純物からなる銅合金
であって、
50%IACS以上の導電率と、600MPa以上の耐力を有
し、耐力の80%の応力を付与した状態で1000時
保持したときの応力緩和率が20%以下である
とを特徴とする銅合金材、
(2)質量で、Z元素を0.01~3%(ここで、Z元素はSn、
Mg、Zn、Ag、Mn、B、Pの中の1種または2種以上で
ある)更に含有することを特徴とする(1)記載
銅合金材、
(3)平均結晶粒径が10μm以下であり、曲げ加工
に優れていることを特徴とする(1)または(2)
載の銅合金材、
(4)50~1000nmの粒径の第二相が10 4
個/mm 2
以上の分布密度で存在することを特徴とする
(1)~(3)のいずれか1項記載の銅合金材、
(5)前記第二相が、Si、Co、Ni、Fe、Ti、Zrまたは
Crを含む化合物であることを特徴とする(4)記
の銅合金材、
(6)前記第二相が三元からなる化合物であるこ
とを特徴とする(4)または(5)記載の銅合金材、
(7)銅合金材素材に、鋳造[1] 、均質化熱処理[
2]、熱間加工[3]、面削[4]、冷間加工[6]、溶体
熱処理[7]、冷間加工[9]、時効析出熱処理[10]
、冷間加工[11]および調質焼鈍[12]とから構成
れる処理をこの順に施し、その冷間加工[9]
の加工率R1(%)と冷間加工[11]での加工率R2(%)
和が5~65%とする前記(1)~(6)のいずれか1項記載
銅合金材を得ることを特徴とする銅合金材
製造方法、
(8)銅合金材素材に、鋳造[1] 、均質化熱処理[
2]、熱間加工[3]、面削[4]、冷間加工[6]、溶体
熱処理[7]、時効析出熱処理[8]、冷間加工[9]
時効析出熱処理[10]、冷間加工[11]および調
焼鈍[12]とから構成される処理をこの順に施
、その冷間加工[9]での加工率R1(%)と冷間加
[11]での加工率R2(%)の和が5~65%で、時効析出熱
処理[8]の処理温度が400~700℃、時効析出熱処
[10]の処理温度が時効析出熱処理[8]の処理温
よりも低くする前記(1)~(6)のいずれか1項記
の銅合金材を得ることを特徴とする電子電
機器用銅合金材の製造方法、および
(9)前記(7)または(8)の製造方法において、面削
[4]の後に400~800℃で5秒~20時間の時効析出熱処
[5]を行い、冷間加工[6]を行うことを特徴と
る電子電気機器用銅合金材の製造方法。
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、 宜添付の図面を参照して、下記の記載から り明らかになるであろう。
本発明の銅合金材の好ましい実施の態様に
いて、詳細に説明する。
まず、本発明の電気・電子機器用に好適な
合金材を構成する成分元素の添加理由とそ
含有量について述べる。
本発明の中では、X元素とは、Ni、Fe、Co、Cr
3d電子を外殻に持つ遷移元素のことを示し
Y元素とは、Ti、Si、Zr、Hfの価電子が2個また
4個である元素のことを示す。X元素とY元素
、NiSiTi、NiSiZr、CoSiTi、Co 2
Si、CuSiTi、CoHfSi、CuHfSi、Fe 5
Si 3
、Ti 5
Si 3
、Ni 3
Ti 2
Si、Co 3
Ti 2
Si、Cr 3
Ti 2
Si、Fe 2
Ti、Ni 3
Zr 2
Si、CoSiZr、Cr 2
Ti、CrMnTi、Ni 2
Si、Ni 3
Si、Ni 9
Ti 2
Zrなどの化合物や、これらの化合物の構成元
が他の元素に置換された化合物が、銅中で
に50nm以下の微細な大きさで母相に対して整
合に析出することによって、強度、導電率、
耐応力緩和特性を向上するはたらきがある。
この効果は、X元素の含有量が0.1質量%未満
または、Y元素の含有量が0.01質量%未満の場
は、その析出硬化量が不十分であるため、
ましくない。また、X元素が4質量%、または
Y元素とも3質量%を上回る場合は、合金材組
中に粗大な晶出物が発生してメッキ性を悪
させたり、曲げ加工時のクラックの原因に
るため、好ましくない。
したがって、X元素の範囲は、0.1~4質量%、好
ましくは0.3~3.0質量%、更に好ましくは、0.3~2.5
質量%である。Y元素の含有範囲は、0.01~3質量%
、好ましくは0.03~2.0質量%、更に好ましくは0.0
4~1.5質量%である。
本発明では、Z元素とは、Sn、Mg、Zn、Ag、Mn
B、Pを示す。
Sn、Mg、Zn、Ag、MnはX、Y元素と化合物を形成
て相乗効果によって、また一部は単独で銅
に固溶することで、強度や耐応力緩和特性
向上させる働きがある。B、PはXとY元素、ま
たはXとYとZ元素からなる微細析出物の密度を
向上させることによって強度と耐応力緩和特
性を向上させる作用を発揮する。また、Z元
は後述する、結晶粒径の制御に効果のある
二相の構成元素となる場合もある。
Z元素の含有量が少なすぎる場合ではこの作
用効果が充分に得られない場合がある。また
、多すぎる場合では、導電率の低下や鋳造性
の悪化を招く場合がある。したがって、Z元
の含有量範囲は、通常0.01~3質量%、好ましく
0.03~2質量%、更に好ましくは0.05~1.0質量%であ
る。
本発明の銅合金材は、50%IACS以上の導電率と
、600MPa以上の耐力を有し、耐力の80%の応力を
付与した状態で1000時間保持したときの応力
和率が20%以下である。ここで、導電率の上
値は特に制限されず、通常70%IACS以下である
耐力の上限値は特に制限されず、通常900MPa
下である。前記応力緩和率の下限値は特に
限されず、通常8%以上である。
なお、応力緩和率は、後述するように、片
ち梁法により耐力の80%の初期応力を負荷し
、日本電子材料工業会標準規格 EMAS-3003に
じて150℃×1000時間の条件で測定できる。
また、高温の溶体化熱処理で結晶粒径を制
でき、結晶粒径の平均が10μm以下の場合に
げ加工性を良好にすることが出来る。結晶
を小さくすることによって、強度を向上す
作用効果がある。好ましい平均結晶粒径は6
m以下、さらに好ましくは4μm以下とすること
により、良好な曲げ加工性と強度が得られる
。また、平均結晶粒径の下限値は特に制限さ
れず、通常3μm以上である。
なお、平均結晶粒径は後述するJISH0501の切
法に基づき測定できる。
また、結晶粒径を制御するにあたっては、5
0~1000nmの第二相を10 4
個/mm 2
以上の密度で分散させることが有効であるこ
とも、本発明で見出した。ここで第二相とは
主に析出物と一部の晶出物のことを指す。750
℃以上などの高温での溶体化熱処理において
、この第二相が存在する場合は再結晶粒の成
長を抑制する効果があり、その結果、結晶粒
径をより小さく保持することによって高強度
と曲げ加工性をさらに改善することが出来る
。この第二相の粒径は、好ましくは60nm~800nm
更に好ましくは、70nm~700nmであり、その分布
度は、好ましくは10 5
個/mm 2
以上である。
前記第二相の粒径が小さすぎる場合は、粒
長を抑制する効果が低く、大きすぎる場合
、曲げ加工性の低下や第二相の密度低下を
く場合がある。
なお、第二相の粒径と分布密度は後述する
法に基づき測定できる。
この第二相は、Si、Co、Ni、Fe、Ti、Zr、Crと
った融点が1400℃以上の元素から構成される
とによって、より高温でも銅中で固溶せず
安定して存在することが出来るために、結
粒径の粗大化を抑制する作用・効果を大き
出来る。
この第二相の構成は、具体的には、(a)これ
の元素が単体の場合、(b)これらの元素がSi
Co、Ni、Fe、Ti、Zr、Crを含む化合物の場合、(c
)これらの元素がCu-Zr、Cu-Hfなどの銅と化合物
形成している場合が含まれる。
(b)の場合としては、例えば、Ni-Co-Cr-Si、Co-Si
Ni-Co-Si、Cr-Ni-Si、Co-Cr-Si、Ni-Zr、Mn-Zr、Ni-Mn-Zr
Fe-Zr、Mn-Zr、Fe-Mn-Zr、Ni-Ti、Co-Ti、Ni-Co-Ti、Fe-Ni
-Si、Fe-Si、Mn-Si、Ni-Mn-P、Fe-P、Ni-P、Fe-Ni-P、Mn-B
、Fe-B、Mn-Fe-B、Ni-B、Cr-B、Ni-Cr-B、Ni-Co-B、Ni-Co-
Hf-Si、Ni-Co-Al、Ni-Ca、Ni-Co-Mn-Sn、Co-Ni-P、Al-Hf、A
l-Zr、Al-Crなどの化合物を形成している場合で
ある。
この第二相は、中でもCr-Ni-Si、Co-Cr-Si、Fe-Ni-
Si、のような三元からなる化合物が好ましい
次に、本発明の合金材系の特性を最も有効
引き出し、電気・電子機器用として適切な
合金材の製造方法について、その好ましい
理工程を例示する。
銅合金材素材に、鋳造[1] 、均質化熱処理[2
]、熱間加工[3]、面削[4]、冷間加工[6]、溶体
熱処理[7]、冷間加工[9]、時効析出熱処理[10]
冷間加工[11]および調質焼鈍[12]とから構成
れる処理工程をこの順に施す。
冷間加工[6]は、溶体化熱処理[7]において、
細析出物の析出状態を制御によって、より
密、微細にするはたらきがあり、強度、導
率、耐応力緩和特性を向上させることが出
る。冷間加工[9]は、加工硬化によって強度
向上させることが出来る。その冷間加工[9]
の加工率R1(%)と冷間加工[11]での加工率R2(%)
和を5~65%とするのが好ましい。
この冷間加工の加工率の合計が小さすぎる
合は、上記の効果を充分に得られない場合
あり、また、大きすぎる場合は曲げ加工性
著しく低下させる場合がある。二つの加工
の合計を5~65%にすることによって、全ての
性を良好にすることが出来る。好ましくは
加工率10~60%、更に好ましくは15~55%である。
また、本発明の銅合金材の製造方法におい
は、上記の処理工程の溶体化熱処理[7]の次
時効析出熱処理[8]を追加するのが好ましい
時効析出熱処理[8]は、析出の核を与え、ま
冷間加工[7]での転位密度を上昇させること
よって、時効析出熱処理[8]において析出状
をより高密、微細にするはたらきがあり、
度、導電率、耐応力緩和特性を向上させる
とが出来る。時効析出熱処理[8]の温度は400~
700℃、好ましくは425~675℃、更に好ましくは45
0~650℃の温度範囲である。この温度が低すぎ
場合は析出量が少なく、高すぎる場合は析
物が粗大になってしまうために、上記の効
が充分に得られない場合がある。400~700℃に
おいて5秒~20時間の場合に最も良好な特性が
られる。
析出硬化に寄与する析出物を高密かつ微細
保つ必要があるので、時効析出熱処理[10]の
処理温度は、時効析出熱処理[8]の処理温度よ
りも低くするのが好ましい。
さらに、50~1000nmの第二相の分散状態を制御
る方法として、面削[4]の後に400~800℃で5秒~2
0時間の時効析出熱処理[5]を施すのが好まし
。
結晶粒径を制御するための第2相は、熱間加
工[3]の冷却過程や溶体化熱処理[7]の昇温過程
で析出し、結晶粒径を小さく制御することに
寄与するが、時効析出熱処理[5]は、前記第2
の密度をさらに高密にする働きがある。こ
温度が低すぎるかまたは高すぎる場合や処
時間が短すぎる場合は、その効果が小さい
また、この処理時間が長すぎる場合は、第2
の密度が粗大になるためにその効果が小さ
。時効析出熱処理[5]の温度は好ましくは、4
25~675℃、更に好ましくは450~650℃の温度範囲
ある。
本発明によって導電率、強度、耐応力緩 特性および曲げ加工性が共に優れた、電気 電子機器の用途に最適な銅合金材とその製 方法を提供することができる。なお、応力 和特性の評価としは、標準規格では150℃で 評価であるが、本発明の銅合金材は少なく も150℃以下では、その効果が発揮される。
さらに、本発明によれば、導電率、強度 耐応力緩和特性、曲げ加工性に優れ、電気 電子機器用の、コネクタ、端子材等、例え 、自動車車載用などのコネクタや端子材、 レ-、スイッチ、ソケットなどへの使用に適 した銅合金材を提供することができる。特に 、Cu-Ni-Si系では実現し難い50%IACS以上の高い導 電率を実現出来る析出型銅合金材と、その製 造において結晶粒径を制御するための技術を 提供することができる。
以下に、本発明を実施例に基づきさらに詳
に説明するが、本発明はそれらに限定され
ものではない。
なお、実施例で得られた銅合金材の供試材
ついて、下記の特性調査を行った。
A.耐力[YS]:
圧延平行方向から切り出したJIS Z2201-13B号
試験片をJIS Z2241に準じて3本測定しその平均
値を求めた。
B.導電率[EC]:
20℃(±0.5℃)に保たれた恒温槽中で四端子法
より比抵抗を計測して導電率を算出した。
お、端子間距離は100mmとした。
C.応力緩和率[SR]:
日本電子材料工業会標準規格 EMAS-3003に準
て150℃×1000時間の条件で測定した。片持ち
法により耐力の80%の初期応力を負荷した。
図1は応力緩和特性の試験方法の説明図であ
り、図1(a)は熱処理前、図1(b)は熱処理後の状
である。図1(a)に示すように、試験台4に片
ちで保持した試験片1に、耐力の80%の初期応
を付与した時の試験片1の位置は、基準から
δ 0
の距離である。これを150℃の恒温槽に1000時
保持(1の状態での熱処理)し、負荷を除いた
の試験片2の位置は、図1(b)に示すように基準
からH t
の距離である。3は応力を負荷しなかった場
の試験片であり、その位置は基準からH 1
の距離である。
この関係から、応力緩和率(%)は次式に従っ
算出した。
(H t
-H 1
)/(δ 0
-H 1
)×100
式中、δ 0
は、たわませた時の試験片の基準位置からの
距離であり、H 1
は、たわませなかった時の試験片の基準位置
からの距離であり、H t
は、たわませて熱処理し、除荷したあとの試
験片の基準位置からの距離である。
D.曲げ加工性[R/t]:
圧延方向に平行に幅10mm、長さ25mmに切出し
これに曲げの軸が圧延方向に直角と平行にW
げし、曲げ部における割れの有無を光学顕
鏡および走査型電子顕微鏡(SEM)によりその
げ加工部位の割れの有無を観察し、割れが
生しない限界の曲げ半径Rと板厚tの比を採用
して、R/tを算出した。測定は供試材から各板
厚の板巾w=10(mm)のサンプルを金属研磨粉で表
上を軽くこすり酸化膜を除去した後、曲げ
内側の角度が90°になるようなw曲げを圧延
向に平行なサンプルについての曲げ(GOOD WAY:
以下GW)、圧延方向に垂直なサンプルについて
の曲げ(BAD WAY:以下BW)の2種類において行った
E.平均結晶粒径[GS]:
供試材の圧延方向に垂直な断面を湿式研磨
バフ研磨により鏡面に仕上げた後、クロム
:水=1:1の液で数秒研磨面を腐食した後、走
型電子顕微鏡(SEM)の反射電子像を用いて400~10
00倍の倍率で写真をとり、断面粒径をJIS H0501
のクロスカット法によって測定した。
F.第二相の粒径と分布密度:
供試材を直径3mmへ打ち抜き、ツインジェッ
研磨法を用いて薄膜研磨を行って観察試験
を作製した。加速電圧300kVの透過型電子顕
鏡(TEM)で2000倍と40000倍の写真を任意で10視野
つ撮影して、第二相の粒径と分布密度を測
した。視野中の50~1000nm大の個数を測定し、
の個数を単位面積当たり(/mm 2
)へ演算した。化合物の同定にはTEM付属のEDX
析装置を使用した。
(実施例1)
下記の表1-1、表1-2に示す成分・組成(質量%)
なるようにX元素およびY元素を配合し、残
がCuと不可避不純物からなる合金を高周波溶
解炉により溶解し、これを0.1~100℃/秒の冷却
度で鋳造して鋳塊を得た。これを900~1050℃
0.5~10hrの均質化熱処理後、断面減少率が50%以
上で処理温度が650℃以上である熱間加工を行
った後に水焼き入れを行い、酸化スケール除
去のために面削した。
この後の工程は、次に記載する工程A~Dのい
れかの(表示する)処理を施こすことによっ
銅合金材を製造した。
工程A:断面減少率が50~98%の冷間加工を施し
800~1000℃の溶体化熱処理を施し、断面減少率
が5~50%の冷間加工を施し、400~650℃の時効析出
熱処理を施し、5~50%の仕上げ冷間加工を施し
200~450℃で5秒~10時間の調質焼鈍を行った。
工程B:断面減少率が50~98%の冷間加工を施し
800~1000℃の溶体化熱処理を施し、400~650℃の
効析出熱処理を施し、断面減少率が5~50%の冷
間加工を施し、400~650℃の時効析出熱処理を
し、5~50%の仕上げ冷間加工を施し、200~550℃
5秒~10時間の調質焼鈍を行った。
工程C:400~650℃の時効析出熱処理を施し、断
減少率が50~98%の冷間加工を施し、800~1000℃
溶体化熱処理を施し、断面減少率が5~50%の冷
間加工を施し、400~650℃の時効析出熱処理を
し、5~50%の仕上げ冷間加工を施し、200~550℃
5秒~10時間の調質焼鈍を行った。
工程D:400~650℃の時効析出熱処理を施し、断
減少率が50~98%の冷間加工を施し、800~1000℃
溶体化熱処理を施し、400~550℃の時効析出熱
理を施し、断面減少率が5~50%の冷間加工を
し、400~650℃の時効析出熱処理を施し、5~50%
仕上げ冷間加工を施し、200~550℃で5秒~10時間
の調質焼鈍を行った。
得られた銅合金材の各一部を供試材とし その各供試材について、耐力[YS]、導電率[EC ]および応力緩和率[SR]の特性調査を行い、得 れた結果を表1-1、表1-2に示した。
表1で明らかなように、本発明例1-1~本発 例1-32は、耐力、導電性、耐応力緩和特性に れた。しかし、表1-2に示すように、本発明 規定を満たさない場合は、特性が優れなか た。すなわち、比較例1-1はX元素の量が少な いために、析出物の密度が低く、強度と導電 率と耐応力緩和特性が劣った。比較例1-2はX 素の量が多いために固溶原子量が増え、導 率が劣った。比較例1-3はY元素の量が少ない めに、析出物の密度が低く、強度と導電率 耐応力緩和特性が劣った。比較例1-4はY元素 の量が多いために、固溶原子量が増え、導電 率が劣った。
(実施例2)
下記の表2-1、表2-2に示す成分・組成になる
うにX元素、Y元素およびZ元素を配合し、残
がCuと不可避不純物からなる銅合金を上記
施例1に記載したと同様の製造方法に従って
金材を作製し、その各一部を供試材とした
この各供試材について実施例1と同様に特性
調査を行い、得られた結果を表2-1及び表2-2に
示した。
表2-1で明らかなように、本発明例2-1~本発 明例2-32は耐力、導電性、耐応力緩和特性に れた。しかし、表2-2に示すように、本発明 成分量の規定値を満たさない場合は、特性 優れなかった。すなわち、比較例2-1~比較例2 -3はZ元素の量が多すぎるために導電率が非常 に劣っていた。
(実施例3)
下記の表3-1、表3-2に示す成分・組成になる
うにX元素、Y元素およびZ元素を配合し、残
がCuと不可避不純物からなる銅合金を上記
施例1に記載したと同様の製造方法に従って
金材を作製し、その各一部を供試材とした
しかし、比較例3-1~比較例3-3は本発明例3-1~
発明例3-3のそれぞれの製造工程よりも溶体
熱処理を20~30℃程度高い温度で行った。
この各供試材について実施例1と同様に耐力
[YS]、導電率[EC]および応力緩和率[SR]の他に、
平均結晶粒径[GS]および曲げ加工性[R/t]の特性
調査を行い、得られた結果を表3-1及び表3-2に
示した。
表3-1で明らかなように、本発明例3-1~本発 明例3-32は耐力、導電性、耐応力緩和特性、 げ加工性に優れた。しかし、表3-2に示すよ に溶体化熱処理温度の高い比較例3-1~比較例3 -3の場合は、結晶粒径が10μmよりも大きく、 げ加工性が劣った。
(実施例4)
下記の表4-1、表4-2に示す成分・組成になる
うにX元素、Y元素およびZ元素を配合し、残
がCuと不可避不純物からなる銅合金を上記
施例1に記載したと同様の製造方法に従って
金材を作製し、その各一部を供試材とした
しかし、比較例4-1~比較例4-3は溶体化熱処理
を1200℃で10分間行った。
この各供試材について実施例3と同様に耐力
[YS]、導電率[EC]、応力緩和率[SR]、平均結晶粒
径[GS]および曲げ加工性[R/t]の特性調査の他に
、さらに第二相を構成する50~1000nm粒子の構成
元素とその粒子密度を調査し、得られた結果
を表4-1及び表4-2に示した。なお、表中「10^n
10 n
を表す」(以後の表中でも、同様である)。
表4-1で明らかなように、本発明例4-1~本発 明例4-32は耐力、導電性、耐応力緩和特性、 げ加工性に優れた。しかし、表4-2の比較例4- 1~比較例4-3に示すように、第二相の粒子密度 低い場合は、結晶粒径が10μmよりも大きく 曲げ加工性が劣った。
(実施例5)
下記の表5-1に示す成分・組成になるように
素を配合し、残部がCuと不可避不純物から
る合金を高周波溶解炉により溶解し、これ
0.1~100℃/秒の冷却速度で鋳造して鋳塊を得た
。これを900~1050℃で0.5~10hrの均質化処理後、
面減少率が50%以上で処理温度が650℃以上で
る熱間加工を行った後に水焼き入れを行い
酸化スケール除去のために面削した。その
に、断面減少率が50~98%の冷間加工を施し、80
0~1000℃の溶体化熱処理を施し、断面減少率が
表中R1[%]の冷間加工を施し、400~650℃の時効析
出熱処理を施し、断面減少率が表中R2[%]の仕
げ冷間加工を施し、200~450℃で5秒~10時間の
質焼鈍を行い、銅合金材を製造し、その各
部を供試材とした。その結果を表5-2、5-3に
す。
表5-2で明らかなように、本発明例5-1~本発 明例5-3は耐力、導電性、耐応力緩和特性、曲 げ加工性に優れた。しかし、比較例5-1に示す ように、R1とR2の和が5%未満の場合は強度が低 いために好ましくない。比較例5-2に示すよう に、R1とR2の和が65%を超える場合は、耐応力 和特性と曲げ加工性が劣り、好ましくない
(実施例6)
実施例5と同様に、表5-1に示す成分・組成に
なるように元素を配合し、残部がCuと不可避
純物からなる合金を高周波溶解炉により溶
し、これを0.1~100℃/秒の冷却速度で鋳造し
鋳塊を得た。これを900~1050℃で0.5~10hrの均質
処理後、断面減少率が50%以上で処理温度が6
50℃以上である熱間加工を行った後に水焼き
れを行い、酸化スケール除去のために面削
た。その後に、断面減少率が50~98%の冷間加
を施し、800~1000℃の溶体化熱処理を施し、
6-1および表6-2中にT8[℃]で示す温度で4時間の
時効析出熱処理を施し、断面減少率が5~50%の
間加工を施し、表中にT10[℃]で示す温度で4
間の時効析出熱処理を施した。続いて、5~50
%の仕上げ冷間加工を施し、200~450℃で5秒~10時
間の調質焼鈍を行い銅合金材を製造し、その
各一部を供試材とした。
この各供試材について、同様に耐力[YS]、導
電率[EC]、応力緩和率[SR]、平均結晶粒径[GS]、
曲げ加工性[R/t]および第二相の構成元素と密
等の特性調査を行い、得られた結果を表6-1
よび表6-2に示した。
表6-1で明らかなように、本発明例6-1~本発 明例6-2は耐力、導電性、耐応力緩和特性、曲 げ加工性に優れていた。しかし、表6-2の比較 例6-1と比較例6-2に示すように、時効析出熱処 理の温度T8よりもT10が高いと、析出硬化能が 十分であり、強度が低く好ましくないこと 分かる。
(実施例7)
実施例5と同様に、表5-1に示す成分・組成に
なるように元素を配合し、残部がCuと不可避
純物からなる合金を高周波溶解炉により溶
し、これを0.1~100℃/秒の冷却速度で鋳造し
鋳塊を得た。これを900~1050℃で0.5~10hrの均質
処理後、断面減少率が50%以上で処理温度が6
50℃以上である熱間加工を行った後に水焼き
れを行い、酸化スケール除去のために面削
た。その後に、表7中にT5[℃]で示す温度で4
間の時効析出熱処理を施し、断面減少率が5
0~98%の冷間加工を施し、800~1000℃の溶体化熱
理を施し、断面減少率が5~50%の冷間加工を施
し、400~650℃の時効析出熱処理を施し、5~50%の
仕上げ冷間加工を施し、200~550℃で5秒~10時間
調質焼鈍を行い、銅合金材を製造し、その
一部を供試材とした。
この各供試材について、同様に耐力[YS]、導
電率[EC]、応力緩和率[SR]、平均結晶粒径[GS]、
曲げ加工性[R/t]および第二相の構成元素と密
等の特性調査を行い、得られた結果を表7に
示した。
表7に示すように、時効析出熱処理[5]を400 ~800℃で行う場合には、第二相の密度を高く 、結晶粒径を小さくすることができ、曲げ 工性を良好に出来た。
本発明の銅合金材は、電気・電子機器用 リードフレーム、コネクタ、端子材等、例 ば、自動車車載用などのコネクタや端子材 リレ-、スイッチ、ソケットなどに好適に適 用されるものである。
本発明をその実施態様とともに説明した 、我々は特に指定しない限り我々の発明を 明のどの細部においても限定しようとする のではなく、添付の請求の範囲に示した発 の精神と範囲に反することなく幅広く解釈 れるべきであると考える。
本願は、2007年3月28日に日本国で特許出願 された特願2007-086026、及び2008年3月27日に日本 国で特許出願された特願2008-085013に基づく優 権を主張するものであり、これらはいずれ ここに参照してその内容を本明細書の記載 一部として取り込む。
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