Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
COPPER FOIL WITH RESIN AND PROCESS FOR PRODUCING COPPER FOIL WITH RESIN
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/084533
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a copper foil with a resin that can realize an improvement in dimensional stability of a build-up printed wiring board and can realize the formation of a fine pitch circuit. Also disclosed is a process for producing the copper foil with a resin. The copper foil with a resin comprises a copper foil, and a cured resin layer and a semi-cured resin layer provided in that order on a surface of the copper foil. The surface roughness (Rzjis) of a side, of the copper foil, in contact with the cured resin layer is 0.5 μm to 2.5 μm. The cured resin layer comprises any resin component selected from polyimide and polyamide-imide resins having a coefficient of thermal expansion of 0 ppm/°C to 25 ppm/°C or composite resins of the polyimide resins and the polyamide-imide resins. The semi-cured resin layer is provided on the cured resin layer and has a coefficient of thermal expansion of 0 ppm/°C to 50 ppm/°C after curing.

Inventors:
SATO TETSURO (JP)
MATSUSHIMA TOSHIFUMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/073412
Publication Date:
July 09, 2009
Filing Date:
December 24, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
MITSUI MINING & SMELTING CO (JP)
SATO TETSURO (JP)
MATSUSHIMA TOSHIFUMI (JP)
International Classes:
B32B15/088; H05K1/03
Foreign References:
JP2007245674A2007-09-27
JP2006045388A2006-02-16
JP2007130773A2007-05-31
JP2007204714A2007-08-16
JPH115828A1999-01-12
JPH11140281A1999-05-25
JPH05214301A1993-08-24
JP2004273744A2004-09-30
JPH0974273A1997-03-18
JP2002179772A2002-06-26
JP2004349654A2004-12-09
JP2005183599A2005-07-07
Attorney, Agent or Firm:
YOSHIMURA, Katsuhiro (Omiya F Bldg. 5-4,Sakuragicho 2-chome, Omiya-ku,Saitama-sh, Saitama 54, JP)
Download PDF:
Claims:
銅箔の表面に硬化樹脂層と半硬化樹脂層とを順次形成した樹脂付銅箔であって、
 前記硬化樹脂層と接する側の銅箔の表面粗さ(Rzjis)が0.5μm~2.5μmであり、
 前記硬化樹脂層は、熱膨張係数が0ppm/℃~25ppm/℃のポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、これらの複合樹脂のいずれかの樹脂成分で構成され、
 前記硬化樹脂層上に、硬化した後の熱膨張係数が0ppm/℃~50ppm/℃の半硬化樹脂層を備えることを特徴とする樹脂付銅箔。
前記銅箔の表面に形成した硬化樹脂層と半硬化樹脂層とが硬化した後の樹脂層全体の熱膨張係数が40ppm/℃以下である請求項1に記載の樹脂付銅箔。
前記硬化樹脂層は、ガラス転移温度が300℃以上である請求項1に記載の樹脂付銅箔。
前記半硬化樹脂層は、マレイミド系樹脂を用いて形成したものである請求項1に記載の樹脂付銅箔。
前記マレイミド系樹脂は、分子内に2個以上のマレイミド基を有する芳香族マレイミド樹脂である請求項4に記載の樹脂付銅箔。
前記マレイミド系樹脂は、分子内に2個以上のマレイミド基を有する芳香族マレイミド樹脂と芳香族ポリアミンとを重合させた重合付加物である請求項4に記載の樹脂付銅箔。
前記半硬化樹脂層は、当該半硬化樹脂層を100重量部としたとき、マレイミド系樹脂を20重量部~70重量部含有するものである請求項1に記載の樹脂付銅箔。
前記硬化樹脂層は、厚さが3μm~30μmである請求項1に記載の樹脂付銅箔。
前記半硬化樹脂層は、厚さが7μm~55μmである請求項1に記載の樹脂付銅箔。
前記硬化樹脂層と前記半硬化樹脂層との合計厚さが10μm~60μmである請求項1に記載の樹脂付銅箔。
前記銅箔は、無粗化銅箔を用いた請求項1に記載の樹脂付銅箔。
請求項1に記載の樹脂付銅箔の製造方法であって、以下の工程A及び工程Bを経ることを特徴とした樹脂付銅箔の製造方法。
工程A: 表面粗さ(Rzjis)が0.5μm~2.5μmの銅箔の表面に、熱膨張係数が0ppm/℃~25ppm/℃のポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、これらの複合樹脂のいずれかの樹脂成分を用いて硬化樹脂層を形成する。
工程B:前記硬化樹脂層上に、硬化した後の熱膨張係数が0ppm/℃~50ppm/℃の半硬化樹脂層を設けることで樹脂付銅箔を得る。
前記工程Aにおいて、表面粗さ(Rzjis)が0.5μm~2.5μmの銅箔の表面に、熱膨張係数が0ppm/℃~25ppm/℃のポリイミド樹脂を用いた硬化樹脂層を形成するに際してキャスティング法またはラミネート法を用いるものである請求項12に記載の樹脂付銅箔の製造方法。
前記工程Bにおいて、当該半硬化樹脂層を形成するために用いるマレイミド系樹脂を含有する樹脂組成物量を100重量部としたとき、マレイミド系樹脂を20重量部~70重量部含有する樹脂組成物を用いるものである請求項12に記載の樹脂付銅箔の製造方法。
前記工程Aと工程Bとの間に、硬化樹脂層の表面をプラズマ処理又はコロナ処理する表面改質工程を設けた請求項12に記載の樹脂付銅箔の製造方法。
Description:
樹脂付銅箔および樹脂付銅箔の 造方法

 本件発明は、プリント配線板材料として いる樹脂付銅箔および樹脂付銅箔の製造方 に関する。

 樹脂付銅箔は、導体としての銅箔に、絶 層としての樹脂層が積層配置されたもので ビルドアップ工法で製造した多層プリント 線板(以下、単に「ビルドアッププリント配 線板」と称する場合がある。)の製造分野等 各種目的で用いられてきた。例えば、ビル アッププリント配線板の製造においては、 層コア材に張り合わせた樹脂付銅箔の樹脂 で形成した絶縁層を、レーザー加工等で孔 加工しビアホール孔を形成し、このビアホ ル孔の内周壁面に層間導通めっきを施した 、外層銅箔の表面をパターンエッチングし 層回路を形成する。そして、パターンエッ ング加工後の外層回路の表面に樹脂付銅箔 更に積層し、同様の外層回路形成を繰り返 てビルドアッププリント配線板が製造され 。

 近年、プリント配線回路は、回路の微細 、電子部品の高密度実装化が進み、プリン 配線板には、高周波特性を考慮した回路の ッチングファクター、実装密度を向上させ ための回路位置精度が求められる。特に、 り返し積層の行われるビルドアッププリン 配線板においては、銅箔をエッチングして 成される回路が微細化する程、層間での導 回路の位置精度の問題が生じる。例えば、 リント配線板の加工時の熱履歴により、層 での位置ズレを起こすと、スタッキングビ ホールのスタック位置がずれ、良好な層間 通状態が得られなくなる。この結果、ビル アッププリント配線板材料として樹脂付銅 を用いる場合においても、良好なエッチン 性能を確保するために銅箔層を薄くして、 つ、優れた寸法安定性を備える樹脂層を備 るものが要求されてきた。

 この要求に応えるため、例えば、特許文 1には、樹脂層にシリカ等の無機充填剤を添 加して、熱膨張係数を引き下げて、プリント 配線板製品の寸法安定性を向上させる製品が 開示されている。この特許文献1においては その他にも、熱膨張係数を低減するために ビスマレイミド系樹脂やシアノエステル系 脂等、ガラス転移温度が高い樹脂が多用さ ている。ところが、特許文献1に開示の樹脂 銅箔の樹脂層形成に用いる樹脂材料のよう 、樹脂に無機充填材を分散混合させると、 脂層としての熱膨張係数の低減ができ、ビ ドアッププリント配線板の層間での回路位 の関係は良好となっても、硬化後の樹脂層 脆くなる傾向があり、銅箔で形成した回路 樹脂層との接着安定性が低下する。そのた 、樹脂付銅箔において、銅箔と樹脂層との 着性を高めるために、樹脂層と張り合わせ 側の銅箔表面に、微細金属粒を付着形成さ たり、エッチング法で粗化表面を形成する の粗化処理を施した銅箔を使用し、張り合 せ時にアンカー効果を発揮させてきた。

特開2005-322682号公報

特開平11-10794号公報

 しかしながら、特許文献1で使用する粗化 した銅箔の表面に、絶縁層を張り合わせて、 銅箔層をエッチング加工する場合には、粗化 形状をエッチング除去するためのオーバーエ ッチング時間を確保する必要があるため、エ ッチングファクターに優れたファインピッチ 回路形成が困難になるという問題がある。

 一方、回路のエッチングファクターのみ 着目し、ファインピッチ回路の形成にこだ るとすれば、例えば、特許文献2に開示して いるように、粗化銅箔を用いた場合に匹敵す る引剥がし強さと、エッチング処理後に銅粒 子が樹脂中に残らない回路形成に優れた銅張 積層板用銅箔の提供を目的として、無粗化銅 箔に2層以上の接着層を設ける銅張積層板用 箔がある。ところが、特許文献2に開示した 容から把握できる2層以上の接着層を設けた 無粗化銅箔では、無粗化銅箔と樹脂層との接 着安定性に欠け、半田耐熱性、耐熱衝撃性等 の諸特性が、近年の回路のファインピッチ化 に対応可能なレベルではなく、特許文献1に 示の樹脂付銅箔と同等の熱膨張性能を得る とが出来ず、ビルドアッププリント配線板 寸法安定性を改善できるものにはならなか た。

 以上のことから、ビルドアッププリント 線板の寸法安定性の改善が可能で、且つ、 ァインピッチ回路の形成が可能な樹脂付銅 が望まれてきた。

 そこで、本件発明者は、鋭意研究を行っ 結果、以下の樹脂付銅箔及び樹脂付銅箔の 造方法を採用した。本件発明に係る樹脂付 箔は、熱膨張係数が低い樹脂層を備え、プ ント配線板に加工したときの寸法安定性に れる。また、以下に述べる本件発明に係る 脂付銅箔は、低粗度の無粗化銅箔を使用し も樹脂層との密着安定性に優れ、高密度プ ント配線板材料として好適なものになる。 下、本件発明の概要に関して説明する。

樹脂付銅箔: 本件発明に係る樹脂付銅箔は 、銅箔の表面に硬化樹脂層と半硬化樹脂層と を順次形成した樹脂付銅箔であって、前記硬 化樹脂層と接する側の銅箔の表面粗さ(Rzjis) 0.5μm~2.5μmであり、前記硬化樹脂層は、熱膨 係数が0ppm/℃~25ppm/℃のポリイミド樹脂、ポ アミドイミド樹脂、これらの複合樹脂のい れかの樹脂成分で構成され、前記硬化樹脂 上に、硬化した後の熱膨張係数が0ppm/℃~50pp m/℃の半硬化樹脂層を備えることを特徴とす 。

 本件発明に係る樹脂付銅箔は、より好ま くは、前記銅箔の表面に形成した硬化樹脂 と半硬化樹脂層とが硬化した後の樹脂層全 の熱膨張係数が40ppm/℃以下である。

 本件発明に係る樹脂付銅箔は、より好ま くは、前記硬化樹脂層は、ガラス転移温度 300℃以上である。

 本件発明に係る樹脂付銅箔は、より好ま くは、前記半硬化樹脂層は、マレイミド系 脂を用いて形成したものである。

 本件発明に係る樹脂付銅箔は、より好ま くは、前記マレイミド系樹脂は、分子内に2 個以上のマレイミド基を有する芳香族マレイ ミド樹脂である。

 本件発明に係る樹脂付銅箔は、より好ま くは、前記マレイミド系樹脂は、分子内に2 個以上のマレイミド基を有する芳香族マレイ ミド樹脂と芳香族ポリアミンとを重合させた 重合付加物である。

 本件発明に係る樹脂付銅箔は、より好ま くは、前記半硬化樹脂層は、当該半硬化樹 層を100重量部としたとき、マレイミド系樹 を20重量部~70重量部含有するものである。

 本件発明に係る樹脂付銅箔は、より好ま くは、前記硬化樹脂層は、厚さが3μm~30μmで ある。

 本件発明に係る樹脂付銅箔は、より好ま くは、前記半硬化樹脂層は、厚さが7μm~55μm である。

 本件発明に係る樹脂付銅箔は、より好ま くは、前記硬化樹脂層と前記半硬化樹脂層 の合計厚さが10μm~60μmである。

 本件発明に係る樹脂付銅箔では、前記銅 は、無粗化銅箔を用いることがより好まし 。

樹脂付銅箔の製造方法:上述の樹脂付銅箔の 造方法であって、以下の工程A及び工程Bを経 ることを特徴とする。
工程A: 表面粗さ(Rzjis)が0.5μm~2.5μmの銅箔の表 面に、熱膨張係数が0ppm/℃~25ppm/℃のポリイミ ド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、これらの複 合樹脂のいずれかの樹脂成分を用いて硬化樹 脂層を形成する。
工程B:前記硬化樹脂層上に、硬化した後の熱 張係数が0ppm/℃~50ppm/℃の半硬化樹脂層を設 ることで樹脂付銅箔を得る。

 本件発明に係る樹脂付銅箔の製造方法で 、より好ましくは、前記工程Aにおいて、表 面粗さ(Rzjis)が0.5μm~2.5μmの銅箔の表面に、熱 張係数が0ppm/℃~25ppm/℃のポリイミド樹脂を いた硬化樹脂層を形成するに際してキャス ィング法またはラミネート法を用いるもの ある。

 本件発明に係る樹脂付銅箔の製造方法で 、より好ましくは、前記工程Bにおいて、当 該半硬化樹脂層を形成するために用いるマレ イミド系樹脂を含有する樹脂組成物量を100重 量部としたとき、マレイミド系樹脂を20重量 ~70重量部含有する樹脂組成物を用いるもの ある。

 本件発明に係る樹脂付銅箔の製造方法で 、より好ましくは、前記工程Aと工程Bとの に、硬化樹脂層の表面をプラズマ処理又は ロナ処理する表面改質工程を設ける。

 本件発明に係る樹脂付銅箔は、金属箔と 脂層との間の密着性に優れた樹脂層を備え ため、プリント配線板に加工した後の銅箔( 回路)と硬化した樹脂層との密着安定性に優 る。また、本件発明に係る樹脂付銅箔を用 たビルドアッププリント配線板は、当該樹 付銅箔の硬化した後の樹脂層の熱膨張係数 小さいため、プリント配線板への加工時の 履歴に対し、良好な寸法安定性を維持でき 。そして、本件発明に係る樹脂付銅箔は、 箔の樹脂層側の表面に粗化処理を施さずと 、銅箔と樹脂層との間での良好な密着性が られ、プリント配線板に加工した以降も、 脂付銅箔を構成する銅箔と硬化した樹脂層 の間で良好な密着安定性を示す。

 また、本件発明に係る樹脂付銅箔は、樹 層を硬化樹脂層と半硬化樹脂層とで構成す ため、銅箔単体ではハンドリング不能な厚 のものであっても、硬い硬化樹脂層が存在 ることで、ハンドリング時に銅箔のシワ、 れ等の損傷が生じるのを効果的に防止でき り扱い性に優れるものである。更に、本件 明に係る樹脂付銅箔は、無粗化の銅箔の使 も可能であるため、ファインピッチ回路の 成用として好適である。しかも、本件発明 係る樹脂付銅箔は、その樹脂層が硬化した には、低い熱膨張係数を備えるため、ビル アッププリント配線板の層間回路間の位置 度を向上させ、容易に回路の高密度化が可 になる。

 そして、本件発明に係る樹脂付銅箔の製 方法は、銅箔、硬化樹脂層、半硬化樹脂層 積層する際、特段の特殊設備を要するもの はなく、新たな設備投資を行うことなく、 れた樹脂付銅箔の製造が可能である。

 以下、本件発明に係る樹脂付銅箔及び樹 付銅箔の製造方法に関し、最良の実施形態 順に説明する。

樹脂付銅箔:本件発明に係る樹脂付銅箔は 銅箔の表面に硬化樹脂層と半硬化樹脂層と 順次積層した状態で形成された樹脂付銅箔 ある。

 本件発明に係る樹脂付銅箔は、銅箔とし 、硬化樹脂層と接する側の表面粗さ(Rzjis)が 0.5μm~2.5μmと、極めて低粗度の銅箔又は無粗 銅箔を使用する点が特徴の一つである。更 は、本件発明に係る樹脂付銅箔は、硬化樹 層と接する側の表面粗さが0.5μm~2.0μmの銅箔 使用することも可能であり、近年求められ いる銅箔のロープロファイル化に対応する とができるのである。従来は、樹脂層と銅 との密着性を向上させるために、銅箔の表 に粗化処理を施していた。ところが、本件 明に係る樹脂付銅箔は、銅箔に粗化処理を さずとも、銅箔と樹脂層との良好な密着性 備える。すなわち、本件発明に係る樹脂付 箔では、銅箔表面に硬化樹脂層を積層配置 ているが、この硬化樹脂層を積層配置する の銅箔の表面が低粗度であっても、硬化樹 層との密着性に優れる。特に、本件発明に る樹脂付銅箔を構成する銅箔として無粗化 箔を用いると、銅箔としての製造コストを 減できるだけでなく、銅箔としてのロープ ファイル化を図ることができる。そして、 体回路形成時のエッチングが均一に行われ 且つ、オーバーエッチング時間を長く設け 必要が無くなるため、エッチングファクタ が良好なファインピッチ回路の形成が容易 なる。なお、銅箔の厚さは特に限定されな が、電解銅箔を使用する場合は、厚さ7μm~18 μmが好ましい。また、5μm以下の銅箔を使用 る場合にはキャリア付銅箔を用いることが ましい。

 本明細書において、「硬化樹脂層」とは 加熱により再流動化しない程度の樹脂で構 した層である。言い換えれば、少なくとも 半硬化樹脂(Bステージの樹脂)よりも硬化度 高く、再流動化する程度の加熱を受けても 実質的に再流動化しない程度に硬化した樹 で形成された樹脂層のことである。

 そして、この硬化樹脂層は、硬化後の熱 張係数が0ppm/℃~25ppm/℃の樹脂で構成される とが好ましい。硬化樹脂層の熱膨張係数が2 5ppm/℃を超える場合には、樹脂付銅箔に加工 て、ビルドアップ成形に用いると、硬化樹 層に顕著な熱膨張が起こり、硬化樹脂層よ も熱膨張の小さな銅箔との界面での密着性 低下し、プリント配線板製造プロセスの熱 歴又は熱衝撃による膨張収縮挙動による回 剥離を防止できなくなると共に、得られる ルドアッププリント配線板の寸法精度が得 れにくくなる。一方、硬化樹脂層の熱膨張 数が低い程、樹脂付銅箔を用いたビルドア ププリント配線板の寸法精度が良好となる で、熱膨張係数の下限値は0ppm/℃とする。 お、当該硬化樹脂層の熱膨張係数は、ポリ ミド樹脂やポリアミドイミド樹脂の原料で る酸成分やアミン成分、イソシアネート成 の選択や組み合わせ、及び付加反応の際の 子量の調整により、0ppm/℃~25ppm/℃に調整で る。なお、上記熱膨張係数は、20ppm/℃以下 より好ましい。

 そして、樹脂成分は、このような熱膨張 数を備え、電気及び電子材料用途において 十分な絶縁性を発揮するものであれば、本 発明の樹脂付銅箔に使用可能である。しか 、このような熱膨張係数を備える樹脂の中 も、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹 、これらの複合樹脂のいずれかの樹脂成分 用いることが好ましい。これらの樹脂は、 めて良好な電気的絶縁性能、機械的強度、 撓性能を備え、電子材料用途に好適なもの ある。従って、この硬化樹脂層が、銅箔の 持層として機能するため、使用した銅箔層 薄くハンドリング性に欠けるものであって 、樹脂付銅箔としてみれば良好なハンドリ グ性能が得られる。ここで、硬化樹脂層は 熱膨張係数が上記範囲に含まれ、且つ、適 な流動性の調整を要する場合には、必要量 マレイミド系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエ テルサルホン樹脂、シアノエステル樹脂等 添加しても良い。

 ここで、ポリイミド樹脂は、無水ピロメ ット酸等の分子内に2個のカルボン酸二無水 物と、4,4’-ジアミノジフェニルメタン等、 子内に2個のアミノ基を有するポリアミン化 物とを付加反応を行った後に、加熱による 水、閉環を起こさせることにより得られる のである。また、ポリアミドイミド樹脂は 無水トリメリット酸等の、分子内にカルボ シル基とカルボン酸無水物の両者を併せ持 化合物と、メチレンジイソシアネート等の ソシアネート化合物を反応させることによ 得られるものである。そして、ポリイミド 脂とポリアミドイミド樹脂との複合樹脂と 、ポリアミドイミド樹脂の酸成分の一部を 分子内に2個のカルボン酸二無水物を有する 物質に置換して、ポリイミド変性ポリアミド イミド樹脂としたもの等を言う。

 更に、当該硬化樹脂層は、ガラス転移温 が300℃以上のものを使用することが、半田 熱性、耐熱衝撃性、高温耐久性等の種々の リント配線板に要求される耐熱特性を改善 るという観点から好ましい。この硬化樹脂 のガラス転移温度が300℃未満の場合には、 脂付銅箔の製造過程、ビルドアッププリン 配線板の製造過程において負荷される半田 フローによる熱衝撃、プレス加工による高 加熱等の温度で、「銅箔又は回路」と「硬 樹脂層」との界面での剥離現象が起こり、 ラミネーション、回路剥離の危険性が高く るため好ましくない。

 以上に述べてきた硬化樹脂層の好適な厚 は、3μm~30μmである。硬化樹脂層の厚さが3μ m未満の場合には、ビルドアップ工法で製造 た多層プリント配線板の寸法安定性を改善 る効果が十分に得られなくなるため好まし ない。一方、硬化樹脂層の厚さが30μmを超え る場合には、硬化樹脂層を銅箔上に形成する 工程において、樹脂組成物の塗布して乾燥す る際の加熱により、カールと呼ばれる変形が 強く発生し、硬化樹脂層側に巻き込んだ状態 となるため、樹脂付銅箔としてのハンドリン グ性が低下し、自動パイリング装置を用いて の自動レイアップが出来なくなるため好まし くない。そして、硬化樹脂層の厚さは、5μm~3 0μmとすることがより好ましい。本件明細書 おいて、「厚さ」とは、銅箔の表面が完全 平面と仮定して、そこに一定の量の樹脂を 布して得られる樹脂皮膜の算出厚さのこと ある。

 以上に述べてきたポリイミド樹脂やポリ ミドイミド樹脂を用いる硬化樹脂層は、無 化銅箔とも優れた密着性を有し、且つ、一 的に樹脂付銅箔の樹脂層として用いられて るエポキシ樹脂系の樹脂組成物と比べ、大 に低い熱膨張係数を示す。しかしながら、 のような硬化樹脂層は、高い耐熱性を有し 流動化しないため、ビルドアップ工法のプ ス成形によって、内層コア材の表面にある 層回路の回路間ギャップに樹脂を埋め込も としても、回路間ギャップの樹脂埋め込み 困難な硬化状態にある。そこで、本件発明 は、この硬化樹脂層の上に、半硬化樹脂層 更に積層配置して、内層回路の回路間ギャ プの樹脂埋め込みが可能となるようにして る。

 この半硬化樹脂層は、硬化樹脂層上に設 られる樹脂層であり、加熱により再流動化 、硬化反応を起こす熱硬化性樹脂により形 される。そして、当該半硬化樹脂層は、硬 後の熱膨張係数が0ppm/℃~50ppm/℃であること 好ましい。硬化後の熱膨張係数をこのよう 範囲とすることにより、硬化樹脂層の熱膨 係数との差を抑え、硬化後の樹脂層全体が ける熱に対する収縮挙動の乖離による層間 離等が生じることを防ぐことができる。な 、半硬化樹脂層の硬化後の熱膨張係数のよ 好ましい範囲は0ppm/℃~30ppm/℃である。

 そして、硬化樹脂層と半硬化樹脂層とか なる樹脂層全体が硬化した後の熱膨張係数 40ppm/℃以下とすることが好ましい。硬化後 樹脂層全体の熱膨張係数を40ppm/℃以下と低 抑えることにより、プリント配線板製品の 法安定性を向上させることができる。

 このような半硬化樹脂層は、マレイミド 樹脂を用いて形成することが好ましい。マ イミド系樹脂は、硬化する前には高い流動 を示すが、硬化後においては優れた耐熱性 び低い熱膨張係数を備える。また、エポキ 樹脂と比較しても、マレイミド系樹脂の方 熱膨張係数が低くなる。しかし、このマレ ミド系樹脂は、一旦硬化すると、硬くて脆 という特性を示すため、銅箔等の金属箔に する密着力が低くなり、無粗化銅箔と組み わせて使用しても、実用的な密着強度は得 れない。そのため、マレイミド系樹脂で形 した半硬化樹脂層は、上述の硬化樹脂層と み合わせて、初めて樹脂付銅箔の樹脂層の 成に用いることができるものである。

 ここで言うマレイミド系樹脂は、分子内 2個以上のマレイミド基を有する芳香族マレ イミド樹脂の使用が好ましい。そして、マレ イミド系樹脂は、上記芳香族マレイミド樹脂 をそのまま使用してもよいが、分子内に2個 上のマレイミド基を有する芳香族マレイミ 樹脂と芳香族ポリアミンとを重合させた重 付加物として用いてもよい。このときに、 香族ポリアミンは、エポキシ樹脂の硬化剤 しても作用するので、マレイミド樹脂とエ キシ樹脂とを併用する際には、芳香族ポリ ミンの添加は、両者を架橋させる手段とし 有用である。これらに関しては、以下の製 方法の中で詳細に述べる。

 そして、当該半硬化樹脂層は、形成され 半硬化樹脂層を100重量部としたとき、マレ ミド系樹脂を20重量部~70重量部含有するも が好ましい。マレイミド系樹脂をこの範囲 含有量で配合することにより、熱膨張係数 低下させる作用と、樹脂の脆さを抑制する きを両立させることが可能になる。ここで マレイミド系樹脂の含有量が20重量部未満の 場合には、硬化後の半硬化樹脂層の熱膨張係 数を低下させる効果が得られないため好まし くない。一方、マレイミド系樹脂の含有量が 70重量部を超えると、半硬化樹脂層が硬化す と脆い樹脂層になり、当該樹脂層にクラッ が生じやすくなり、プリント配線板の絶縁 としての信頼性が低下するため好ましくな 。

 そして、ここで言う半硬化樹脂層の好適 厚さは、7μm~55μmである。当該半硬化樹脂層 の厚さが7μm未満の場合には、内層コア材の 面にある内層回路の回路間ギャップに樹脂 埋め込もうとしても、回路間ギャップの樹 埋め込みが困難になる。一方、半硬化樹脂 厚さが55μmを超える場合には、ビルドアップ 工法によるプレス加工時で硬化した樹脂付銅 箔の樹脂層の厚さのバラツキが大きくなり、 プリント配線板の面内における厚さバラツキ を助長するようになるため好ましくない。な お、半硬化樹脂層の厚さは、15μm~55μmとする とがより好ましい。

 更に、本件発明に係る樹脂付銅箔におい 、硬化樹脂層と半硬化樹脂層との厚さの合 は、10μm~60μmであることが好ましい。この 脂付銅箔の樹脂層の合計厚さが10μm未満の場 合には、上述の硬化樹脂層の厚さが厚くなり 、半硬化樹脂層の厚さが適正な範囲より薄く なる。その結果、内層回路の埋め込みが困難 となり、実用に適さない樹脂付銅箔となる。 一方、近年、ビアホールは、レーザー加工に より直径50μm程度のものが形成されている。 のことを考慮すると、本件発明に係る樹脂 銅箔の硬化樹脂層と半硬化樹脂層との厚さ 合計が60μmを上回ると、レーザー加工によ 孔形状を良好な状態にすることや、ビアホ ル孔の内周壁面を滑らかな表面状態にする とが困難となる。その結果、ビアホール形 後の層間導通めっき処理で問題となるため ましくない。なお、硬化樹脂層と半硬化樹 層との合計厚さは、20μm~60μmとすることがよ り好ましい。

 本件発明に係る樹脂付銅箔は、内層コア への張り合わせを可能にする半硬化樹脂層 備え、更に、硬化樹脂層を備えることによ 熱膨張性を抑制し、ビルドアップ工法に好 なものである。このように樹脂付銅箔の樹 層を、当該硬化樹脂層と当該半硬化樹脂層 で構成すれば、この硬化樹脂層と半硬化樹 層との界面では、樹脂組成という観点から ると相互の樹脂組成が相溶した層が存在す ことになり、両樹脂層の界面における密着 を確保し、積層後の加工プロセスにおいて ける熱履歴や熱衝撃による寸法変化を抑制 きる。

 本件発明に係る樹脂付銅箔は、プリント 線板用途に限らず、硬化樹脂層を誘電体層 するキャパシタ回路形成材としても使用で る。例えば、本件発明に係る樹脂付銅箔を 回路パターンに積層し、熱間プレスするこ により、銅回路パターン間に半硬化樹脂層 位置するように樹脂付銅箔を押し込み、硬 樹脂層を銅回路パターンに突き当てること より、硬化樹脂層を誘電体層とすることが きる。

樹脂付銅箔の製造方法: 以上に述べてきた 本件発明に係る樹脂付銅箔は、以下の工程A び工程Bを経て製造される。以下、工程毎に 明する。

工程A: 表面粗さ(Rzjis)が0.5μm~2.5μmの銅箔の 表面に、熱膨張係数が0ppm/℃~25ppm/℃のポリイ ミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、これらの 複合樹脂のいずれかの樹脂成分を用いて硬化 樹脂層を形成する。最初に、銅箔に関して述 べる。ここで言う銅箔とは、圧延法及び電解 法で製造される全ての銅箔を含んだ概念とし て記載している。しかし、製品コストを考慮 すると電解銅箔の使用が好ましい。

 そして、当該電解銅箔には防錆処理層を形 することが好ましい。防錆処理層は、銅張 層板及びプリント配線板の製造過程で支障 きたすことの無いよう、電解銅箔の表面が 化腐食することを防止するために形成する のである。防錆処理に用いられる方法は、 ンゾトリアゾール、イミダゾール等を用い 有機防錆、若しくは亜鉛、クロメート、亜 合金等を用いる無機防錆のいずれを採用し も問題はない。電解銅箔のシャワーリング 布、電着法等の手法を採用することが可能 なる。無機防錆の場合は、電解で防錆元素 電解銅箔の表面に析出させる方法、その他 わゆる置換析出法等を用いることが可能で る。例えば、亜鉛防錆処理を行うとして、 ロ燐酸亜鉛めっき浴、シアン化亜鉛めっき 、硫酸亜鉛めっき浴等を用いることが可能 ある。例えば、ピロ燐酸亜鉛めっき浴であ ば、濃度が亜鉛5g/l~30g/l、ピロ燐酸カリウム 50g/l~500g/l、液温20℃~50℃、pH9~12、電流密度0.3A /dm 2 ~10A/dm 2 の条件とする等が挙げられる。

 なお、防錆処理の種類は、上述のように限 はないが、本件発明で用いる電解銅箔を粗 処理を行うことなく用いようとする場合に 、樹脂フィルムと銅箔表面との濡れ性を可 な限り向上させ、密着性を高めるため、以 の防錆処理を用いることが好ましい。すな ち、防錆処理層としてニッケル-亜鉛合金を 用いることが好ましい。特に、防錆処理層を 構成するニッケル-亜鉛合金は、不可避不純 を除き、ニッケルを50wt%~99wt%、亜鉛を50wt%~1wt %含有する組成のものを用いることが好まし のである。防錆処理層におけるニッケルの 在により、基材の構成樹脂に対する密着性 改善する傾向が顕著となるためである。こ ニッケル-亜鉛合金で形成した防錆処理層は ニッケル含有量が50wt%未満であると各種基 との密着性の向上効果が期待できなくなる また、ニッケル含有量が99wt%を超えるとエッ チング後に残留する傾向が強くなり好ましく ない。本件発明者の研究によると、本件発明 に係る樹脂付銅箔では、ニッケル及び亜鉛の 防錆処理層を形成する場合、ニッケル及び亜 鉛のトータル付着量を20mg/m 2 ~100mg/m 2 の範囲にすることが望ましい。特に、このニ ッケル-亜鉛合金による防錆処理層を形成し おくと、密着強度が確保しづらい特殊基板 接着した際に、その接着界面から容易に電 銅箔が剥がれることなく、耐薬品特性、耐 特性あるいは半田耐熱特性に優れたものと る。上記トータル付着量が20mg/m 2 未満であると、均一な厚さの防錆処理層を得 ることが出来ず、密着強度のバラツキが大き くなる。一方、トータル付着量が100mg/m 2 を超えると、導体回路形成のエッチング時に ニッケル成分のエッチング残を生じる傾向が あり好ましくない。

 そして、ニッケル量の多い方が密着強度、 薬品特性、耐湿特性、半田耐熱特性を向上 せる傾向となり、亜鉛量が増えてくると耐 品特性や半田耐熱特性を低下させる傾向と ることを確認している。ニッケル-亜鉛合金 による防錆処理層を形成する場合、ニッケル と亜鉛の総付着量を20mg/m 2 ~100mg/m 2 にした際、そのニッケルと亜鉛との比率を、 ニッケル:亜鉛=6:4~8:2の範囲とすることが実用 上好適なものであることが判明した。ニッケ ル比率が80%を超えると、回路形成した際にエ ッチング残を生じる傾向がある。一方、亜鉛 比率が40%を超えると、耐薬品特性や半田耐熱 特性が低下する傾向となる。

 また、防錆処理層をニッケル-亜鉛合金層 とクロメート層とで構成することも好ましい 。クロメート層が存在することで、耐食性が 向上すると同時に、樹脂層との密着性も同時 に向上する傾向にある。このときのクロメー ト層の形成には、定法に従い、置換法、電解 法のいずれの方法を採用しても良い。

 そして、ニッケル-亜鉛合金めっき処理や クロメート処理の後、シランカップリング剤 処理を行う。シランカップリング剤処理とは 、粗化処理、防錆処理等が終了した後に、絶 縁層構成材との密着性を化学的に向上させる ための処理である。ここで言う、シランカッ プリング剤処理に用いるシランカップリング 剤は特に限定を要するものではなく、使用す る絶縁層構成材、プリント配線板製造工程で 使用するめっき液等の性状を考慮して、エポ キシ系シランカップリング剤、アミノ系シラ ンカップリング剤、メルカプト系シランカッ プリング剤等から任意に選択使用することが 可能である。

 より具体的には、プリント配線板用にプ プレグのガラスクロスに用いられると同様 カップリング剤を中心にビニルトリメトキ シラン、ビニルフェニルトリメトキシシラ 、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシ ラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキ シラン、4-グリシジルブチルトリメトキシ ラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラ 、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリ トキシシラン、N-3-(4-(3-アミノプロポキシ)プ トキシ)プロピル-3-アミノプロピルトリメト シシラン、イミダゾールシラン、トリアジ シラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキ シラン等を用いることが可能である。

 次に、銅箔の表面に硬化樹脂層を形成す 方法に関して説明する。銅箔の表面に硬化 脂層を設けるには、硬化樹脂層の上に無電 法で銅を析出させ電解法で成長させて積層 態を得る方法、銅箔の表面に樹脂フィルム 積層してプレス加工して張り合わせる方法 銅箔の表面に樹脂ワニスを塗布して加熱乾 して硬化させる塗工法等、あらゆる公知の 術を適用可能である。しかし、ポリイミド 脂層またはポリアミドイミド樹脂層を形成 る場合には、キャスティング法若しくはラ ネート法を用いることが好ましい。

 キャスティング法を用いてポリイミド樹 層を形成する場合は、金属箔の表面にポリ ミド前駆体ワニスを塗布し、加熱すること イミド化反応を起こし、硬化させてポリイ ド樹脂とする工程を複数回繰り返して行う また、キャスティング法を用いてポリアミ イミド樹脂層を形成する場合は、無水トリ リット酸の酸成分とメチレンジイソシアネ ト等のイソシアネートの反応生成物をN-メ ルピロリドン等の有機溶剤に溶解させた樹 ワニスを銅箔表面に塗布し、加熱により溶 を除去することにより形成する。この際に 上述のポリイミド樹脂層を形成する場合と 異なり、イミド基の生成は完了しているの 、脱水、閉環の反応は伴わない。このキャ ティング法は、所望の厚さのポリイミド樹 層またはポリアミドイミド樹脂層を形成す ことが容易という利点がある。

 ラミネート法を用いる場合は、接着剤を 布した後にポリイミドフィルム、ポリアミ イミドフィルム等をラミネート法により積 した形態としても良い。なお、本件出願人 特許3949676号において既に提案している接着 剤層付銅箔を採用し、この接着剤層付銅箔の 接着剤層(極薄プライマー樹脂層)に、市販の リイミドフィルム等をラミネート法により 層することもできる。

工程B: この工程では、前記硬化樹脂層上 、硬化した後の熱膨張係数が0ppm/℃~50ppm/℃ 半硬化樹脂層を設けることで樹脂付銅箔を る。半硬化樹脂層は、マレイミド系樹脂を 有する樹脂組成物量を100重量部としたとき マレイミド系樹脂を20重量部~70重量部含有す る樹脂組成物を用いて形成する。この樹脂組 成物中のマレイミド系樹脂の含有量は、樹脂 付銅箔の半硬化樹脂層として好ましい特性を 示す範囲として規定している。以下、半硬化 樹脂層を形成するための樹脂組成物に関して 述べる。ここで用いる樹脂組成物は、マレイ ミド系樹脂、エポキシ樹脂、架橋可能な官能 基を有する線状ポリマーを必須成分とするも のである。そして、マレイミド系樹脂には、 芳香族マレイミド樹脂と芳香族ポリアミンと を重合させた重合付加物を用いることもでき る。また、半硬化樹脂層には必要に応じて、 マレイミド系樹脂と反応性を有するシアノエ ステル樹脂やエポキシ樹脂を添加してもよい 。

 ここで言うマレイミド系樹脂としては、4 ,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、ポリ フェニルメタンマレイミド、m-フェニレンビ マレイミド、ビスフェノールAジフェニルエ ーテルビスマレイミド、3,3’-ジメチル-5,5’- ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイ ド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド 、4,4’-ジフェニルエーテルビスマレイミド 4,4’-ジフェニルスルフォンビスマレイミド 1,3-ビス(3-マレイミドフェノキシ)ベンゼン 1,3-ビス(4-マレイミドフェノキシ)ベンゼン等 の使用が可能である。マレイミド系樹脂の含 有量が20重量部未満の場合には、硬化後の半 化樹脂層の熱膨張係数を低下させる効果が られないため好ましくない。一方、マレイ ド系樹脂の含有量が70重量部を超えると、 硬化樹脂層が硬化すると脆い樹脂層になり 当該樹脂層にクラックが生じやすくなり、 リント配線板の絶縁層としての信頼性が低 するため好ましくない。

 ここで用いるエポキシ樹脂とは、所謂ビ フェノール系エポキシ樹脂である。そして ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェ ノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型 エポキシ樹脂の群から選ばれる1種又は2種以 を混合して用いることが好ましい。ここで ビスフェノール系エポキシ樹脂を選択使用 ているのは、25℃で液状のエポキシ樹脂で り、半硬化状態の樹脂層を備える樹脂付銅 を製造すると、カール現象の抑制効果が顕 に得られるからである。また、硬化後の樹 膜と銅箔との良好な密着性、及び、凹凸表 の形状に沿った適度なレジンフローを得る が可能だからである。なお、液状エポキシ 高純度の場合には、過冷を受けると常温に しても結晶化状態が維持され、外観上は固 に見えるものもある。この場合には、液状 戻して使用することが可能であるため、こ で言う液状エポキシ樹脂に含まれる。更に ここで25℃という温度を明記したのは、室温 付近でという意味を明確にするためである。

 そして、エポキシ当量が200を超えると、2 5℃で半固形状ないしは固形状になるので樹 組成物の調製も困難で、樹脂付銅箔を製造 たときのカール現象の抑制にも寄与できな なるため好ましくない。なお、ここで言う ポキシ当量とは、1グラム当量のエポキシ基 含む樹脂のグラム数(g/eq)である。更に、上 のビスフェノール系エポキシ樹脂であれば 1種を単独で用いても、2種以上を混合して いても構わない。しかも、2種以上を混合し 用いる場合には、その混合比に関しても特 の限定はない。

 このビスフェノール系エポキシ樹脂は、 脂組成物を100重量部としたとき、3重量部~20 重量部の配合割合で用いられる。当該エポキ シ樹脂が3重量部未満の場合には、硬化した 脂層が脆くなりクラックを生じやすくなる 一方、20重量部を越えると、25℃で樹脂面に 着性を生じるためハンドリング性に欠ける

 架橋可能な官能基を有する線状ポリマー 、水酸基、カルボキシル基等のエポキシ樹 の硬化反応に寄与する官能基を備えること 好ましい。そして、この架橋可能な官能基 有する線状ポリマーは、沸点が50℃~200℃の 度の有機溶剤に可溶であることが好ましい ここで言う官能基を有する線状ポリマーを 体的に例示すると、ポリビニルアセタール 脂、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルホ 樹脂、ポリアミドイミド樹脂等である。こ 架橋可能な官能基を有する線状ポリマーは 樹脂組成物を100重量部としたとき、3重量部 ~30重量部の配合割合で用いられる。当該エポ キシ樹脂が3重量部未満の場合には、樹脂流 が大きくなる。この結果、製造した銅張積 板の端部から樹脂粉の発生が多く見られ、 硬化状態での樹脂層の耐吸湿性も改善出来 い。一方、30重量部を超えても、樹脂流れが 小さく、製造した銅張積層板の絶縁層内にボ イド等の欠陥を生じやすくなる。

 そして、分子内に2個以上のマレイミド基 を有する芳香族マレイミド樹脂と芳香族ポリ アミンとを重合させた重合付加物を形成させ る場合には、芳香族ポリアミンとして、例え ば、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジ ミン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタ 、1,4-ジアミノシクロヘキサン、2,6-ジアミ ピリジン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン 2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、4,4’- アミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノ -3-メチルジフェニルエーテル、4,4’-ジアミ ジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノベン フェノン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホ ン、ビス(4-アミノフェニル)フェニルアミン m-キシレンジアミン、p-キシレンジアミン、1 ,3-ビス[4-アミノフェノキシ]ベンゼン、3-メチ ル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ エチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3 -ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン 2,2’,5,5’-テトラクロロ-4,4’-ジアミノジフ ェニルメタン、2,2-ビス(3-メチル-4-アミノフ ニル)プロパン、2,2-ビス(3-エチル-4-アミノフ ェニル)プロパン、2,2-ビス(2,3-ジクロロ-4-ア ノフェニル)プロパン、ビス(2,3-ジメチル-4- ミノフェニル)フェニルエタン、エチレンジ ミンおよびヘキサメチレンジアミン等を、 脂組成物に添加して用いることが好ましい

 そして、エポキシ樹脂硬化剤を必要とす 場合には、ジシアンジアミド、イミダゾー 類、芳香族アミン等のアミン類、ビスフェ ールA、ブロム化ビスフェノールA等のフェ ール類、フェノールノボラック樹脂及びク ゾールノボラック樹脂等のノボラック類、 水フタル酸等の酸無水物等を用いる。この きのエポキシ樹脂に対するエポキシ樹脂硬 剤の添加量は、それぞれの当量から自ずと き出されるものであるから、特段の添加量 定は行っていない。

 以上に述べた樹脂成分によって構成され 樹脂組成物は、沸点が50℃~200℃の有機溶剤 用いて、樹脂ワニスとすることが好ましい 沸点が50℃未満の場合には、加熱による溶 の気散が著しく、樹脂ワニスの状態から半 化樹脂とする場合に、良好な半硬化状態が られにくくなる。一方、沸点が200℃を超え 場合には、半硬化状態で溶剤が残りやすい すなわち、通常要求される揮発速度を満足 ず、工業生産性を満足しない。ここで言う 機溶剤を具体的に例示すると、メタノール エタノール、メチルエチルケトン、トルエ 、プロピレングリコールモノメチルエーテ 、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト ミド、シクロヘキサノン、エチルセロソル 等の群から選ばれる1種の単独溶剤又は2種以 上の混合溶剤である。

 以上に述べてきた樹脂組成物を樹脂ワニ として、銅箔の硬化樹脂層の上に当該樹脂 ニスを塗布し、乾燥させることで半硬化樹 層を形成する。このときの塗布方法、乾燥 法に関しては特段の限定はない。

 更に、工程Aと工程Bとの間に、付加的工 としてプラズマ処理又はコロナ処理により 硬化樹脂層の表面改質工程を設けることが り好ましい。この表面改質工程を設けるこ により、硬化樹脂層の表面が改質され、半 化樹脂との密着性が向上するからである。 なわち、硬化樹脂層と半硬化樹脂層とは、 なる樹脂組成物で形成され、且つ、一方の 脂層が既に硬化しているため、双方の樹脂 間での密着性が低下する場合があり、この うな場合でも、硬化樹脂層の表面にプラズ 処理又はコロナ処理を施すことにより、硬 樹脂層と半硬化樹脂層との密着性が向上す のである。

 ここで言うプラズマ処理とは、一般的に いられる高電圧を印加することによって発 させたプラズマ気流と硬質樹脂層の表面と 接触させて行う処理のことである。また、 ロナ処理は、電極間に硬化樹脂層を備えた 箔を配置して、高周波、高電圧を印加して ロナ放電を行うことにより、硬質樹脂層の 面改質を行うものである。なお、プラズマ 理又はコロナ処理には、あらゆる公知の方 の適用が可能である。

 以下、実施例を示して本件発明を具体的 説明する。なお、本件発明は以下の実施例 制限されるものではない。

 実施例1として、電解銅箔の表面に、硬化 樹脂層としてポリイミド樹脂層を形成し、半 硬化樹脂層の形成にマレイミド系樹脂を用い た樹脂付銅箔の例を示す。

電解銅箔:表面粗さとしてRzjis=0.70μmの光沢面 備えた、厚さ12μmの電解銅箔を使用した。 の電解銅箔を、濃度100g/lの希硫酸溶液を用 て、液温30℃で30秒間浸漬して洗浄した。次 、光沢面の防錆処理として、ニッケル-亜鉛 合金めっき処理、クロメート処理、シランカ ップリング剤処理の順で処理を行った。なお 、ニッケル-亜鉛合金めっきは、ピロ燐酸浴( ッケル2.5g/l、亜鉛0.5g/l、液温40℃、電流密 0.6A/dm 2 、8秒)の条件で行った。また、電解クロメー 処理は、濃度1.0g/lのクロム酸を用い、pH12、 液温30℃、電流密度1.8A/dm 2 、電解時間8秒とした。

 また、シランカップリング剤処理は、イ ン交換水を溶媒として、γ-アミノプロピル リメトキシシランを濃度5.0g/lの濃度となる う加えた溶液を用い、この溶液をシャワー ングにて、防錆処理層の表面に吹き付ける とにより吸着処理し、防錆処理層の上にシ ンカップリング剤層を形成した。

 シランカップリング剤処理が終了すると 最終的に、電熱器により箔温度が140℃とな よう、雰囲気温度を調整加熱した炉内を4秒 かけて通過して乾燥させ、シランカップリン グ剤の縮合反応を促進し、完成した電解銅箔 とした。この表面処理後の光沢面の表面粗さ はRzjis=0.72μmであった。

ポリアミック酸ワニスの調製: 次に、キャ スティング法により硬化樹脂層を形成するた めのポリアミック酸ワニスについて説明する 。ピロメリット酸二無水物1molと、4,4’-ジア ノジフェニルエーテル1molとを、溶剤として のN-メチルピロリドンに溶解し、混合した。 のときの反応温度は25℃で、10時間反応させ た。そして、樹脂固形分量が20質量%のポリア ミック酸ワニスを得た。

硬化樹脂層の形成: 次に、得られたポリア ミック酸ワニスを用いて、キャスティング法 にて、硬化樹脂層を形成した。マルチコータ ー(ヒラノテクシード社製:M-400)により、ポリ ミック酸ワニスを上述の電解銅箔の光沢面 塗布し、熱風乾燥機内で、110℃×6分の条件 乾燥させた。乾燥後の硬化樹脂層の樹脂厚 は35μmとし、この段階での溶剤残存率は、 脂層の総量に対して32wt%であった。このポリ アミック酸ワニスが塗布された電解銅箔の複 合体を、窒素で置換された熱風オーブンに入 れて、室温~400℃まで15分かけて昇温させ、そ の後、400℃で8分間保持した後に冷却した。 れにより、ポリアミック酸が塗布された電 銅箔の複合体から、残存溶剤を除去し、ポ アミック酸を脱水閉環するイミド反応によ 、銅箔表面に硬化樹脂層が積層した状態の 張ポリイミド樹脂基材とした。この最終的 熱処理により得られた銅張ポリイミド樹脂 材の溶剤残存率は、電解銅箔に付着した樹 総量に対して0.5wt%であった。

 次に、硬化樹脂層が積層された銅箔(銅張ポ リイミド樹脂基材)をコロナ処理して当該硬 樹脂層の表面改質を行った。コロナ処理は 大気中で、電力210W、速度2m/min、放電量300W・ min/m 2 、電極からの照射距離1.5mmの条件で行った。

 そして、硬化樹脂層の熱膨張係数を測定 るために、表面改質処理後の硬化樹脂層が 層された銅箔(コロナ処理済み銅張ポリイミ ド樹脂基材)から、電解銅箔をエッチングに り除去した。その結果、電解銅箔を除去し 得られた硬化樹脂層(ポリイミドフィルム)の 樹脂厚さは27μmであり、熱膨張係数は25ppm/℃ あった。

半硬化樹脂層の形成: ここではコロナ処理 済み銅張ポリイミド樹脂基材の硬化樹脂層の 上に半硬化樹脂層を形成する。まず、以下に 示す樹脂組成物を、N,N’-ジメチルアセトア ドを溶媒として用いて溶解させ、樹脂固形 が30wt%の樹脂ワニスとなるように調製した。

[実施例1の半硬化樹脂層を形成する樹脂組成 ]
マレイミド樹脂: 4,4’-ジフェニルメタンビ マレイミド(商品名:BMI-1000、大和化成工業社 )/30重量部
芳香族ポリアミン樹脂: 1,3-ビス[4-アミノフ ノキシ]ベンゼン(商品名:TPE-R、和歌山精化工 業社製)/35重量部
エポキシ樹脂: ビスフェノールA型エポキシ 脂(商品名:エピクロン850S、大日本インキ化 工業社製)/20重量部
架橋可能な官能基を有する線状ポリマー:ポ ビニルアセタール樹脂(商品名:デンカブチラ ール5000A、電気化学工業社製)/15重量部

 上述の樹脂ワニスを、コロナ処理済み銅 ポリイミド樹脂基材のポリイミド樹脂面に 布し、室温で5分間の風乾を行い、160℃×5分 間の条件で加熱乾燥して、半硬化樹脂層を積 層形成した。このときの半硬化樹脂層の樹脂 厚さは20μmとした。

 そして、半硬化樹脂層の硬化後の熱膨張 数を測定するために、半硬化樹脂層の形成 用いた上述の樹脂ワニスを、上述と同様の 法でフッ素系の耐熱フィルムに塗布し、室 で5分間の風乾を行い、160℃×5分間の条件で 加熱乾燥して、更に200℃×2時間の硬化加熱を 行って厚さ20μmの試験用硬化樹脂層とした。 なわち、この試験用硬化樹脂層は、本件発 に係る樹脂付銅箔の半硬化樹脂層が硬化し 場合に相当する。この試験用硬化樹脂層の 膨張係数は、45ppm/℃であった。

 以上のようにして得られた樹脂付銅箔の 樹脂層全体の厚さは47μmであった。そして 後述する方法により、この樹脂付銅箔から 箔をエッチング除去し、硬化樹脂層と半硬 樹脂層とからなる樹脂層を用いて、これを20 0℃×2時間の硬化加熱を行って、当該半硬化 脂層を硬化させた後の樹脂層全体の熱膨張 数を測定した。その結果、熱膨張係数は、35 ppm/℃であった。また、引き剥がし強さは1.0kg f/cmであった。

 実施例2は、実施例1の硬化樹脂層と厚さ 異なる。すなわち、実施例1の硬化樹脂層の 成においては、110℃×6分の乾燥後の樹脂厚 を35μmとしたのに対して、実施例2では、110 ×6分の乾燥後の樹脂厚さを8μmとした。その 他は、実施例1と同じ方法で樹脂付銅箔を作 した。この実施例2の硬化樹脂層は、400℃×8 乾燥後の樹脂厚さは5μmであり、溶剤残存率 は0.1wt%であった。そして、半硬化樹脂を完全 に硬化させた後の樹脂層全体の熱膨張係数は 38ppm/℃、銅箔の引き剥がし強度は0.95kgf/cmで った。

 実施例3は、実施例1と比べて、硬化樹脂 の構成が異なる。すなわち、硬化樹脂層の 成において、使用した樹脂をバイロマック HR16NN(東洋紡績社製、商品名)とし、110℃×6分 乾燥後の硬化樹脂層の厚さを28μmとし、その の乾燥条件の最高温度を380℃とした。その は実施例1と同じ方法で樹脂付銅箔を作製し た。この時、380℃×8分乾燥後の硬化樹脂層の 厚さは24μmであり、溶剤残存率は0.8wt%、硬化 脂層の熱膨張係数は23ppm/℃であった。また 半硬化樹脂を完全硬化させた後の樹脂付銅 の樹脂層全体の熱膨張係数は34ppm/℃、銅箔 引き剥がし強さは0.80kgf/cmであった。

 実施例4は、半硬化樹脂層の形成において 、使用する樹脂を以下の組成にした以外は、 実施例1と同様の方法で樹脂付銅箔を製造し 。

[実施例4の半硬化樹脂層を形成する樹脂組成 ]
マレイミド樹脂:ビスフェノールAジフェニル ーテルビスマレイミド(商品名:BMI-4000 大和 成工業社製) /25重量部
エポキシ樹脂:クレゾールノボラック型エポ シ樹脂(商品名:エポトートYDCN-703、 東都化 社製)/25重量部
架橋可能な官能基を有する線状ポリマー: ポ リビニルアセタール樹脂(商品名:デンカブチ ール5000A、電気化学工業社製) /10重量部
エポキシ樹脂硬化剤:シアネートエステル樹 (商品名:Primaset PT-30、Lonza Ltd,製) /40重量部

 上記樹脂組成物を、ジメチルアセトアミ を溶媒として用いて溶解させ、樹脂固形分 40wt%となるように調製した。その後、さら 、硬化触媒として、イミダゾール化合物(商 名:キュアゾール 2P4MHZ、四国化成工業社製) /0.5重量部、及び、アセチルアセトン亜鉛(試  0.01重量部)を添加して、樹脂ワニスを得た 。この樹脂ワニスを、実施例1と同様の方法 、塗布、乾燥、硬化させて、半硬化樹脂層 積層形成した。このときの半硬化樹脂層の 脂厚さは20μmとした。

 そして、実施例1と同じ方法で、半硬化樹 脂層の硬化後の熱膨張係数を測定した。その 結果、熱膨張係数は48ppm/℃であった。また、 実施例1と同じ方法を用いて、実施例4で得ら た樹脂付銅箔の樹脂層全体を硬化させた後 熱膨張係数を測定した結果、熱膨張係数は3 8ppm/℃であり、銅箔の引き剥がし強さは1.0kgf/ cmであった。

比較例

[比較例1]
 比較例1では、実施例1で用いたと同様の電 銅箔に、実施例1と同じ半硬化樹脂層のみを 成した樹脂付銅箔の例を示す。

 実施例1で用いたと同様の電解銅箔の光沢 面側に、実施例1と同じ条件で調製した半硬 樹脂層用の樹脂組成物を塗布し、室温で5分 の風乾を行い、160℃×5分間の条件で加熱乾 して、半硬化樹脂層を形成した。このとき 半硬化樹脂層の厚さは20μmであった。

 なお、実施例1と同様に、半硬化樹脂層の 硬化後の熱膨張係数の測定を行った。このと きの半硬化樹脂層の硬化後の厚さは20μmであ 、熱膨張係数は45ppm/℃であった。そして、 施例1と同じ方法により、半硬化樹脂層を硬 化させた後の引き剥がし強さを測定した。そ の結果、引き剥がし強さは0.3kgf/cmであった。 これらの値は、実施例との対比が可能なよう に表1に纏めて示す。

[比較例2]
 比較例2は、実施例1と半硬化樹脂層の組成 異なる他は、銅箔、硬化樹脂層の構成は実 例1と同じ条件で製造した例を示す。重複記 を避けるために、銅箔、硬化樹脂層の構成 ついての説明は省略する。

 比較例2で形成する半硬化樹脂層は、N,N’ -ジメチルアセトアミドを溶媒として用いて 下の樹脂組成物を溶解させ、樹脂固形分が30 wt%の樹脂ワニスとなるように調製した。

[半硬化樹脂層を形成する樹脂組成物]
耐熱エポキシ樹脂: ナフタレン型耐熱エポキ シ樹脂(商品名:HP-4700、大日本インキ化学工業 社製)/40重量部
芳香族ポリアミン: 1,3-ビス[4-アミノフェノ シ]ベンゼン(商品名:TPE-R、和歌山精化工業社 製)/25重量部
エポキシ樹脂: ビスフェノールA型エポキシ 脂(商品名:エピクロン850S、大日本インキ化 工業社製)/20重量部
架橋可能な官能基を有する線状ポリマー: ポ リビニルアセタール樹脂(商品名:デンカブチ ール5000A、電気化学工業社製)/15重量部

 その他、実施例1と同じ条件で製造したコ ロナ処理済み銅張ポリイミド樹脂基材のポリ イミド樹脂層の表面に、上記樹脂ワニスを塗 布し、室温で5分間の風乾を行い、160℃×5分 の条件で加熱乾燥して半硬化樹脂層を形成 た。このときの半硬化樹脂層の樹脂厚さは20 μmであった。

 なお、実施例1と同様に、半硬化樹脂層の 硬化後の熱膨張係数の測定を行った。このと きの半硬化樹脂層の硬化後の厚さは20μmであ 、熱膨張係数は70ppm/℃であった。また、比 例2で得られた樹脂付銅箔の、樹脂層全体の 厚さは47μmであった。そして、実施例1と同じ 方法により、半硬化樹脂層を硬化させた後の 、硬化樹脂層と半硬化樹脂層とからなる樹脂 層全体の熱膨張係数と、引き剥がし強さを測 定した。その結果、熱膨張係数は62ppm/℃であ り、引き剥がし強さは1.0kgf/cmであった。これ らの値は、実施例との対比が可能なように表 1に纏めて示す。

[実施例と比較例との対比]
 実施例ならびに比較例で得られた樹脂付銅 について、半田耐熱性、引き剥がし強さ、 膨張係数の測定結果を表1に示し、この表1 参照しながら、実施例と比較例とを対比す 。まず、実施例1~実施例4の場合には、いず の特性も格段に優れた値を示す結果となっ いる。これに対し、比較例1は、実施例1の半 硬化樹脂層のみを形成した例であるが、熱膨 張係数、引き剥がし強さ、半田耐熱性のいず れも、実用に十分な値を示していない。この ことから、銅箔の表面に半硬化樹脂層のみを 形成しても、実用可能な樹脂付銅箔は得られ ないことが明らかと言える。

 次に、実施例1~実施例4と比較例2とを対比 すると、半田耐熱性及び引き剥がし強さは同 等であるが、熱膨張係数に関しては、比較例 2よりも実施例1~実施例4の方が明らかに低い を示している。このことから、銅箔表面に 化樹脂層を形成した後に形成する半硬化樹 層の形成にマレイミド系樹脂を用いること より、硬化後の樹脂層の熱膨張係数の低減 図ることができることが理解できる。

 以下、半田耐熱性、引き剥がし強さの評価 法、熱膨張係数の測定方法を示す。半田耐 性、引き剥がし強さの評価のために、プリ ト配線板を作成した。黒化処理が施された1 2μmの内層回路が表面にある板厚0.5mmのFR-4グ ードの銅張積層板の両面に、実施例または 較例で得られた樹脂付銅箔を、真空プレス 置を用いて、圧力20kgf/cm 2 、温度170℃×60分の条件でプレスして積層し 。得られた4層の銅層を備える多層プリント 線板を製造した。

 そして、この多層プリント配線板をカッ ィングして、2.5cm×2.5cmサイズの半田耐熱試 用片を採取して、260℃の半田バスにフロー して、ブリスターの発生するまでの時間を 定した。

 また、引き剥がし強さは、上記多層プリ ト配線板の外層銅箔をエッチングすること より、10mm幅の引き剥がし強さ測定用の直線 回路を形成し、この直線回路を基板に対して 90°方向に引き剥がすことにより、引き剥が 強さを測定した。

 更に、熱膨張係数は、各実施例または比較 で得られた樹脂付銅箔をそれぞれ2枚ずつ用 意し、当該樹脂付銅箔の樹脂面同士が接する ように積層して、熱プレスにより硬化させた 。このときの硬化条件は、圧力20kgf/cm 2 で170℃×60分とした。硬化後、銅箔をエッチ グ法により除去して、再度上記樹脂付銅箔 積層し、銅箔をエッチング除去した。これ 繰り返すことにより、厚さ約0.2mmの樹脂板を 作成した。そして、この樹脂板の熱膨張係数 をJIS C 6481に準拠して測定した。

 本件発明に係る樹脂付銅箔は、樹脂層を 化樹脂層と半硬化樹脂層との2層で構成する ことにより、樹脂層を設ける銅箔表面が低粗 度のロープロファイル銅箔であっても、樹脂 層と銅箔との間での良好な密着性を得る事が 可能になる。また、本件発明に係る樹脂付銅 箔は、従来の樹脂付銅箔と比べ、熱膨張係数 の低い樹脂層を備えるため、ビルドアップ工 法での多層プリント配線板の製造原料として 用いると、当該プリント配線板の製造プロセ スで負荷される高温熱履歴、熱衝撃に対する 寸法安定性に優れるため、高品質の多層プリ ント配線板の提供を可能にする。その結果、 ビルドアッププリント配線板の回路のファイ ンピッチ化及び高密度化に容易に対応可能で 、且つ、微細配線プリント配線板の安定生産 を実現できる。また、本件発明に係る樹脂付 銅箔は、硬化樹脂層を誘電体層とするキャパ シタ回路形成材として使用できる。