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Title:
CORDIERITE CERAMIC HONEYCOMB FILTER AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/048156
Kind Code:
A1
Abstract:
A cordierite ceramic honeycomb filter which comprises a honeycomb structure having many channels separated by porous partitions and a sealing part disposed in each of the channels alternately on the exhaust gas inflow side or the exhaust gas outflow side. An exhaust gas is passed through the porous partitions to remove fine particles from the exhaust gas. The filter is characterized in that the porous partitions have a porosity of 45-58% and an average pore diameter of 15-30 µm and satisfy the following: the proportion of the volume of pores having a pore diameter exceeding 50 µm to the total pore volume is 10 to 25%, excluding 10%; the proportion of the volume of pores having a pore diameter of 100 µm or larger to the total pore volume is 1-8%; the proportion of the volume of pores having a pore diameter less than 10 µm to the total pore volume is 3-10%; and the pore distribution deviation (σ) [σ=log(D20)-log(D80), wherein D20 indicates the pore diameter (µm) for the pore volume corresponding to 20% of the total pore volume in a curve showing the relationship between pore diameter and cumulative pore volume, and D80 indicates the pore diameter (µm) for the pore volume corresponding to 80% of the total pore volume in the curve, provided that D80

Inventors:
OKAZAKI SHUNJI (JP)
ISHIZAWA TOSHITAKA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/068605
Publication Date:
April 16, 2009
Filing Date:
October 14, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI METALS LTD (JP)
OKAZAKI SHUNJI (JP)
ISHIZAWA TOSHITAKA (JP)
International Classes:
B01D39/20; C04B38/06; F01N3/02
Domestic Patent References:
WO2005090263A12005-09-29
Foreign References:
JP2002219319A2002-08-06
JP2005324154A2005-11-24
JP2005296936A2005-10-27
JP2007045686A2007-02-22
JP2006095352A2006-04-13
JPS61129015A1986-06-17
JP2002219319A2002-08-06
JP2004322082A2004-11-18
JP2004250324A2004-09-09
JP2003193820A2003-07-09
Other References:
See also references of EP 2228115A4
Attorney, Agent or Firm:
TAKAISHI, Kitsuma (67 Kagurazaka 6-chom, Shinjuku-ku Tokyo 25, JP)
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Claims:
多孔質の隔壁で仕切られた多数の流路を有するハニカム構造体と、前記流路の排気ガス流入側又は排気ガス流出側に交互に設けられた封止部とを有し、前記多孔質隔壁に排気ガスを通過させ、排気ガス中に含まれる微粒子を除去するコージェライト質セラミックハニカムフィルタであって、前記多孔質隔壁の気孔率が45~58%、平均細孔径が15~30μm、細孔径50μmを超える細孔容積が全細孔容積の10%を超え25%以下、細孔径100μm以上の細孔容積が全細孔容積の1~8%、細孔径10μm未満の細孔容積が全細孔容積の3~10%であり、かつ細孔分布偏差σ[ただし、σ=log(D20)-log(D80)であり、D20は、細孔径と累積細孔容積(最大の細孔径から特定の細孔径までの細孔容積を累積した値)との関係を示す曲線において、全細孔容積の20%に相当する細孔容積での細孔径(μm)を示し、D80は同じく全細孔容積の80%に相当する細孔容積での細孔径(μm)を示す。D80<D20である。]が0.6以下であることを特徴とするコージェライト質セラミックハニカムフィルタ。
請求項1に記載のコージェライト質セラミックハニカムフィルタにおいて、前記累積細孔容積は水銀圧入法で測定された値であることを特徴とするコージェライト質セラミックハニカムフィルタ。
請求項1又は2に記載のコージェライト質セラミックハニカムフィルタにおいて、前記セラミックハニカム構造体のA軸強度が4 MPa以上であることを特徴とするコージェライト質セラミックハニカムフィルタ。
シリカを含むコージェライト化原料及び造孔材を含む坏土を所定の成形体に押出成形し、所定の流路を目封止してセラミックハニカムフィルタを製造する方法であって、前記シリカは前記コージェライト化原料中に10~20質量%含有し、前記シリカ粒子はモード径30~70μm、粒子径200μm以上の粒子が1%以下であり、粒子径100μm以上の粒子が2~10%であり、粒子径20μm以下の粒子が2~10%であり、粒度分布偏差SD[ただし、SD=log(d80)-log(d20)であり、d20は、粒径と累積体積(特定の粒子径以下の粒子体積が全体の何%であるかを表わしたもの)との関係を示す曲線において、20%の累積体積に相当する粒子径(μm)を示し、d80は同じく80%の累積体積に相当する粒子径(μm)を示す。なおd20<d80である。]が0.5以下であることを特徴とするコージェライト質セラミックハニカムフィルタの製造方法。
請求項4に記載のコージェライト質セラミックハニカムフィルタの製造方法において、前記造孔材は前記コージェライト化原料に対して1~10%含有し、前記造孔材粒子はモード径30~70μm、粒度分布偏差SDが0.5以下であることを特徴とするコージェライト質セラミックハニカムフィルタの製造方法。
請求項4又は5に記載のコージェライト質セラミックハニカムフィルタの製造方法において、前記シリカ粒子のモード径M50と前記造孔材粒子のモード径m50の差の絶対値|M50-m50|が15μm以下であることを特徴とするコージェライト質セラミックハニカムフィルタの製造方法。
請求項4~6のいずれかに記載のコージェライト質セラミックハニカムフィルタの製造方法において、前記シリカ粒子の粒度分布偏差をSD 1 、造孔材粒子の粒度分布偏差をSD 2 としたとき、SD 1 -SD 2 が0.3以下であることを特徴とするコージェライト質セラミックハニカムフィルタの製造方法。
請求項4~7のいずれかに記載のコージェライト質セラミックハニカムフィルタの製造方法において、前記シリカの真球度が0.6以上であることを特徴とするコージェライト質セラミックハニカムフィルタの製造方法。
Description:
コージェライト質セラミックハ カムフィルタ及びその製造方法

 本発明は、ディーゼル機関の排出ガス中 含まれる微粒子を除去するためのコージェ イト質セラミックハニカムフィルタに関す 。

 ディーゼルエンジンの排気ガス中には、 素質からなる煤と高沸点炭化水素成分から るSOF分(Soluble Organic Fraction:可溶性有機成分 )とを主成分とするPM(Particulate Matter:粒子状物 質)が含まれており、これが大気中に放出さ ると、人体や環境に悪影響を与えるおそれ ある。このため、ディーゼルエンジンの排 管の途中に、PMを捕集するためのセラミック ハニカムフィルタ(以下セラミックハニカム ィルタを略して「ハニカムフィルタ」とい )を装着することが従来から行われている。

 排気ガス中のPMを捕集、浄化するハニカ フィルタの一例を図1(a)及び図1(b)に示す。ハ ニカムフィルタ10は、多数の流出側封止流路3 及び流入側封止流路4を形成する多孔質隔壁2 外周壁1とからなるセラミックハニカム構造 体と、流出側封止流路3及び流入側封止流路4 排気ガス流入側端面8及び排気ガス流出側端 面9を市松模様に交互に封止する上流側封止 6aと下流側封止部6cとからなる。

このセラミックハニカムフィルタ10は、図2 に示すように、金属製収納容器12内に支持部 14を介して圧着把持され、支持部材13a,13bを して軸方向に挟持され収納されている。支 部材14は一般に金属メッシュ及び/又はセラ ックス製のマットで形成されている。セラ ックハニカムフィルタ10をディーゼル機関 装着して使用する際に、支持部材13a,13b及び1 4を介して、エンジン、路面等からの機械的 動や衝撃がセラミックハニカムフィルタ10に 伝わり負荷を与える。特に、建設機械等に使 用する産業用セラミックフィルタや、外径200  mmを超えるような大型のセラミックハニカ フィルタは、振動や衝撃による負荷がさら 大きくなるため、従来以上に強度を改善す ことを要求される。

 セラミックハニカムフィルタの特性の中 、微粒子の捕集効率、圧力損失、微粒子の 集時間(捕集開始から一定圧力損失に達する までの時間)の3つが重要である。特に捕集効 と圧力損失とは相反する関係にあり、捕集 率を高くしようとすると、圧力損失が増大 捕集時間が短くなり、また圧力損失を低く ると、捕集時間は長くできるが捕集効率が くなる。これらの相反するフィルタの特性 全て満足させるため、セラミックハニカム 造体の気孔率、平均細孔径、隔壁表面に存 する細孔の大きさを制御する技術が従来か 検討されてきた。

 特開昭61-129015号は、孔径5~40μmの小孔と、孔 径40~100μmの大孔とからなり、前記小孔の数が 前記大孔の数の5~40倍となるように構成され 細孔を隔壁表面に有することにより、捕集 率を初期から高い値に維持できるようにし 、圧力損失の低い排出ガス浄化用フィルタ 開示している。さらに隔壁内部に存在する 孔は、平均孔径が15μmより大きく、かつ累積 細孔容積が0.3~0.7 cm 3 /gであるのが好ましいと記載されている。こ で、隔壁の気孔率P(体積%)は、コージェライ ト材料の真比重ρ(=2.5g/cm 3 )及び累積細孔容積V(cm 3 /g)から、式:P=100×V×ρ/(1+V×ρ)で算出すること できるので、前記隔壁内部に存在する細孔 累積細孔容積の範囲0.3~0.7cm 3 /gは、気孔率に換算すると42.8~63.6体積%となる 。特開昭61-129015号の第4図に記載の細孔分布 図から、実施例1、2、5及び6に記載のハニカ フィルタは、累積細孔容積がそれぞれ0.58 c m 3 /g(気孔率59%)、0.4 cm 3 /g(気孔率50%)、0.7 cm 3 /g(気孔率64%)及び0.3 cm 3 /g(気孔率43%)、平均細孔径が40μm、35μm、44μm び15μmである。

 しかしながら、特に建設機械等に使用す 産業用セラミックフィルタや、外径200 mmを 超えるような大型のセラミックハニカムフィ ルタとして用いた場合、実施例1、2及び5に記 載のハニカムフィルタは、平均細孔径又は気 孔率が大き過ぎるため強度が不十分であり、 実施例6に記載のハニカムフィルタは、気孔 が小さ過ぎるため低圧力損失特性が不十分 ある。つまり実施例1、2、5及び6に記載のハ カムフィルタは、低圧力損失及び高強度を 立するものではない。

 特開2002-219319号は、細孔径10μm未満の細孔 容積が全細孔容積の15%以下、細孔径10~50μmの 孔容積が全細孔容積の75%以上、細孔径50μm 超える細孔容積が全細孔容積の10%以下であ 多孔質ハニカムフィルタを開示しており、 の多孔質ハニカムフィルタは、微粒子の捕 効率が高く、かつ細孔の目詰まりによる圧 損失の増大が防止されると記載している。 かしながら、特開2002-219319号に記載の多孔質 ハニカムフィルタは、特に建設機械等に使用 する産業用や、外径200 mmを超えるような大 の用途の場合、低圧力損失特性は十分に満 できるものではない。

 特開2004-322082号は、全細孔容積が0.55~0.80cm 3 /g(前述の式を用いて換算すると気孔率59~67%と なる。)、100μm以上の細孔容積が0.02~0.10 cm 3 /gであるセラミックハニカムフィルタを開示 ており、このフィルタは低圧力損失で、か 高い強度を有すると記載している。しかし がら、特開2004-322082号に記載されたような い気孔率を有するセラミックハニカムフィ タは、特に建設機械等に使用する産業用や 外径200 mmを超えるような大型の用途の場合 低圧力損失と使用時の機械的振動や衝撃に えうる強度との両立という点で、なお改善 余地があった。

 特開2004-250324は、粒子径75~250μmの粒子の 合が1質量%を超え10質量%以下であるシリカ粒 子を10~20質量%含有するコージェライト化原料 を用いたセラミックハニカム構造体の製造方 法が開示されており、低圧力損失特性を有し 、強度の高いセラミックハニカムフィルタが 得られると記載している。しかしながら、特 開2004-250324の表2に記載の石英及びシリカ粒子 を用いると、得られるセラミックハニカムフ ィルタの微小細孔の割合が多くなり過ぎるた め圧損性能が低下する。また特開2004-250324に 載のセラミックハニカムフィルタはいずれ 気孔率が高いため、特に建設機械等に使用 る産業用や、外径200 mmを超えるような大型 の用途の場合、低圧力損失と使用時の機械的 振動や衝撃に耐えうる強度との両立という点 で、なお改善の余地があった。

 特開2003-193820は、60%以上の気孔率、15μm以 上の平均細孔径を有し、細孔径に対する累積 細孔容積分布曲線の傾きの最大値が0.7以上で ある隔壁を有するセラミックハニカムフィル タが開示されており、低圧力損失特性、高い 強度及び耐久性を有すると記載している。し かしながら、特開2003-193820に記載のセラミッ ハニカムフィルタはいずれも気孔率が高い め、特に建設機械等に使用する産業用や、 径200 mmを超えるような大型の用途の場合、 低圧力損失と使用時の機械的振動や衝撃に耐 えうる強度との両立という点で、なお改善の 余地があった。

 従って本発明の目的は、建設機械等に使 する産業用セラミックフィルタや、外径200 mmを超えるような大型のセラミックハニカム フィルタの場合であっても、低圧力損失であ って、かつ従来よりも強度が改善され、使用 時の機械的振動や衝撃に耐えうるセラミック ハニカムフィルタを提供することにある。

 上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明 等は、低圧力損失に有効な細孔と高強度に 効な細孔とをバランスよく存在させること 、比較的低い気孔率であっても圧力損失を 化させないことを見出し、本発明に想到し 。

 すなわち、本発明のコージェライト質セ ミックハニカムフィルタは、多孔質の隔壁 仕切られた多数の流路を有するハニカム構 体と、前記流路の排気ガス流入側又は排気 ス流出側に交互に設けられた封止部とを有 、前記多孔質隔壁に排気ガスを通過させ、 気ガス中に含まれる微粒子を除去するフィ タであって、前記多孔質隔壁の気孔率が45~5 8%、平均細孔径が15~30μm、細孔径50μmを超える 細孔容積が全細孔容積の10%を超え25%以下、細 孔径100μm以上の細孔容積が全細孔容積の1~8% 細孔径10μm未満の細孔容積が全細孔容積の3~1 0%であり、かつ細孔分布偏差σ[ただし、σ=log( D20)-log(D80)であり、D20は、細孔径と累積細孔 積(最大の細孔径から特定の細孔径までの細 容積を累積した値)との関係を示す曲線にお いて、全細孔容積の20%に相当する細孔容積で の細孔径(μm)を示し、D80は同じく全細孔容積 80%に相当する細孔容積での細孔径(μm)を示 。D80<D20である。]が0.6以下であることを特 徴とする。

 前記累積細孔容積は水銀圧入法で測定さ た値であるのが好ましい。

 前記セラミックハニカム構造体のA軸強度 は4 MPa以上であるのが好ましい。

 コージェライト質セラミックハニカムフ ルタを製造する本発明の方法は、シリカを むコージェライト化原料及び造孔材を含む 土を所定の成形体に押出成形し、所定の流 を目封止して製造する方法であって、前記 リカは前記コージェライト化原料中に10~20 量%含有し、前記シリカ粒子はモード径30~70μ m、粒子径200μm以上の粒子が1%以下であり、粒 子径100μm以上の粒子が2~10%であり、粒子径20μ m以下の粒子が2~10%であり、粒度分布偏差SD[た だし、SD=log(d80)-log(d20)であり、d20は、粒径と 積体積(特定の粒子径以下の粒子体積が全体 の何%であるかを表わしたもの)との関係を示 曲線において、20%の累積体積に相当する粒 径(μm)を示し、d80は同じく80%の累積体積に 当する粒子径(μm)を示す。なおd20<d80であ 。]が0.5以下であることを特徴とする。

 前記造孔材は前記コージェライト化原料 対して1~10%含有し、前記造孔材粒子はモー 径30~70μm、粒度分布偏差SDは0.5以下であるの 好ましい。

 前記シリカ粒子のモード径M50と前記造孔 粒子のモード径m50の差の絶対値|M50-m50|は15μ m以下であるのが好ましい。

 前記シリカ粒子の粒度分布偏差をSD 1 、造孔材粒子の粒度分布偏差をSD 2 としたとき、SD 1 -SD 2 は0.3以下であるのが好ましい。

 前記シリカの真球度は0.6以上であるのが ましい。

 本発明のコージェライト質セラミックハ カムフィルタは、低い圧力損失特性を有す と共に、従来以上に強度が改善され機械的 動や衝撃に耐えることができるため、建設 械等の産業用セラミックハニカムフィルタ 、外径200 mmを超えるような大型のセラミッ クハニカムフィルタに好適である。

 本発明の製造方法により、本発明のコー ェライト質セラミックハニカムフィルタを 率よく製造することができる。

ハニカムフィルタの一例を流路に垂 に示す模式断面図である。 ハニカムフィルタの一例を流路に平 に示す模式断面図である。 セラミックハニカムフィルタを金属製 器に収納した様子の一例を示す模式断面図 ある。 本発明の実施例11の細孔径と細孔容積 関係を示したグラフである。 本発明の実施例11で使用したシリカの 度分布を示したグラフである。 シリカ粒子及び造孔材粒子の粒度分布 示すグラフである。 球状シリカの一例を示す電子顕微鏡写 である。

[1] セラミックハニカムフィルタ
 本発明のセラミックハニカムフィルタは、 孔質の隔壁で仕切られた多数の流路を有す ハニカム構造体と、前記流路の排気ガス流 側又は排気ガス流出側に交互に設けられた 止部とを有し、前記多孔質隔壁に排気ガス 通過させ、排気ガス中に含まれる微粒子を 去するコージェライト質セラミックハニカ フィルタであって、前記多孔質隔壁の気孔 が45~58%、平均細孔径が15~30μm、細孔径50μmを 超える細孔容積が全細孔容積の10%を超え25%以 下、細孔径100μm以上の細孔容積が全細孔容積 の1~8%、細孔径10μm未満の細孔容積が全細孔容 積の3~10%であり、かつ細孔分布偏差σ[ただし σ=log(D20)-log(D80)であり、D20は、細孔径と累 細孔容積(最大の細孔径から特定の細孔径ま の細孔容積を累積した値)との関係を示す曲 線において、全細孔容積の20%に相当する細孔 容積での細孔径(μm)を示し、D80は同じく全細 容積の80%に相当する細孔容積での細孔径(μm )を示す。D80<D20である。]が0.6以下である。 つまり、低圧力損失の特性に寄与する細孔が 多く、かつ低圧力損失に悪影響を与える微小 細孔及び高強度に悪影響を与える粗大細孔が 少ない多孔質隔壁を有することにより、低圧 力損失と高強度とを両立させたセラミックハ ニカムフィルタを得ることができる。

 気孔率が45%未満の場合、圧力損失が大き なり、多孔質隔壁の気孔率が58%を超えると 十分な強度が得られなくなる。前記気孔率 、好ましくは48~57%であり、さらに好ましく 50~56%である。

 平均細孔径が15μm未満の場合、圧力損失 大きくなり、平均細孔径が30μmを超えると、 十分な強度が得られなくなる。前記平均細孔 径は、好ましくは19~28μmであり、さらに好ま くは20~27μmである。

 細孔径50μmを超える細孔容積が全細孔容 の10%以下の場合、圧力損失が大きくなり、25 %を超えると、強度が著しく低下する。前記 孔径50μmを超える細孔容積は、好ましくは全 細孔容積の12~23%である。

 細孔径100μm以上の細孔容積が全細孔容積 1%未満の場合、圧力損失が大きくなり、8%を 超えると、強度が著しく低下する。前記細孔 径100μm以上の細孔容積は、好ましくは全細孔 容積の2~7%である。

 細孔径10μm未満の細孔は、細孔径10μm以上 の細孔の連通性を確保し、圧力損失特性を向 上させる。細孔径10μm未満の細孔容積が全細 容積の3%未満の場合、細孔の連通性が十分 保されないため圧力損失が大きくなり、10% 超えると連通性は確保されるものの、細孔 10μmを超える細孔の割合が相対的に少なくな るため圧力損失特性に悪影響を与える。前記 細孔径10μm未満の細孔容積は、好ましくは全 孔容積の4~8%である。

 隔壁が前記気孔率、平均細孔径、細孔径 布を有するとき、細孔分布偏差σが0.6以下 あると、平均細孔径15~30μmを中心とする細孔 の割合が多くなり、すなわち細孔分布がシャ ープになるため、低圧力損失に貢献し、かつ 強度に悪影響を与えない細孔の割合が多くな る。細孔分布偏差が0.6を超えると、低圧力損 失及び強度に悪影響を与える細孔の割合が多 くなるため、低圧力損失かつ高強度のセラミ ックハニカムフィルタが得られなくなる。前 記細孔分布偏差σは、好ましくは0.5以下であ 、さらに好ましくは0.45以下である。

 ここで、σ=log(D20)-log(D80)であり、D20は、 3に示すように、細孔径と累積細孔容積(最大 の細孔径から特定の細孔径までの細孔容積を 累積した値)との関係を示す曲線において、 細孔容積の20%に相当する細孔容積での細孔 (μm)を示し、D80は同じく全細孔容積の80%に相 当する細孔容積での細孔径(μm)を示す。D80< D20である。前記細孔径と累積細孔容積との関 係は水銀圧入法で測定することができる。特 に水銀ポロシメータで測定するのが好ましい 。

 高い強度を有するセラミックハニカムフ ルタを得るには、多孔質隔壁の細孔の断面 状が、ほぼ円形であるのが好ましい。

 本発明のセラミックハニカムフィルタに いて、A軸強度が4 MPa以上であるのが好まし い。前記A軸強度が4 MPa未満であると、建設 械等の産業用、又は外径200 mmを超えるよう 大型のセラミックハニカムフィルタとして 用した場合、機械的振動や衝撃に耐えうる 分な強度が得られない場合がある。前記A軸 強度は、好ましくは5 MPa以上であり、さらに 好ましくは6 MPa以上である。

 使用時の急熱や急冷による熱衝撃割れの発 を防ぐためには、隔壁の熱膨張係数(40~800℃ 間の平均熱膨張係数)が1.2×10 -6 /℃以下であるのが好ましい。

 低圧力損失と高強度を両立させるために 、隔壁の厚さが0.1~0.5 mm、セルピッチが1~3  mmであるのが好ましい。

[2] セラミックハニカムフィルタの製造方法
 本発明のセラミックハニカムフィルタの製 方法は、シリカ粒子を含むコージェライト 原料及び造孔材を含む坏土を所定の成形体 押出成形し、所定の流路を目封止して製造 る方法であって、前記シリカ粒子は前記コ ジェライト化原料中に10~20質量%含有し、前 シリカ粒子はモード径30~70μm、粒子径200μm 上の粒子が1%以下であり、粒子径100μm以上の 粒子が2~10%であり、粒子径20μm以下の粒子が2~ 10%であり、粒度分布偏差SDが0.5以下であるこ を特徴とする。ここで、モード径とは、図5 に示すように、粒子の粒子径区間の体積%を す粒度分布図において体積が最大となる粒 径を指す。

 ここで、SD=log(d80)-log(d20)であり、d20は、 4に示すように、粒径と累積体積(特定の粒子 径以下の粒子体積が全体の何%であるかを表 したもの)との関係を示す曲線(累積粒度分布 曲線)において、20%の累積体積に相当する粒 径(μm)を示し、d80は同じく80%の累積体積に相 当する粒子径(μm)を示す。d20<d80である。な おコージェライト化原料中に含まれるタルク 粒子の粒度分布偏差SDも0.5以下とするのが好 しい。シリカ粒子、タルク粒子等の粒度は マイクロトラック粒度分布測定装置(MT3000) 用いて測定することができる。

 コージェライト質セラミックス中に形成 れる細孔は、焼成過程における、主にシリ 粒子の溶融により生じた形骸によるもので る。シリカ粒子は、他の原料に比べて高温 で安定に存在し、1300℃以上で溶融拡散し細 孔を形成する。コージェライト化原料中にシ リカを10~20%含有することにより、所望の量の 細孔が得られる。20%を超えた含有量でシリカ を使用する場合、主結晶をコーディエライト に維持するためには他のシリカ源成分である カオリン及びタルクを低減させる必要があり 、その結果、押出し成形時の配向方向での低 熱膨張化が十分でなくなり、耐熱衝撃性が低 下する。一方、シリカ含有量が10%未満の場合 、細孔の量が少なくなるので、低い圧力損失 特性を有するセラミックハニカムフィルタが 得られなくなる。シリカ含有量は、好ましく は13~18%である。

 本発明の製造方法によって、シリカ粒子 モード径や粒度分布を最適に調節すること より、コージェライト質セラミックスが焼 された際に生じる細孔を制御することがで る。その結果、前述の気孔構造を有する多 質隔壁が形成され、低圧力損失と高強度と 両立させたセラミックハニカムフィルタを ることができる。

 シリカ粒子のモード径が30μm未満の場合 低圧力損失特性に寄与する細孔が少なくな 、低圧力損失のセラミックハニカムフィル が得られなくなる。モード径が70μmを超える と、十分な強度が得られなくなる。前記モー ド径は、好ましくは40~60μmである。

 粒子径200μm以上のシリカ粒子が1%を超え 場合、及び/又は粒子径100μm以上のシリカ粒 が10%を超える場合、粗大細孔が多くなりセ ミックハニカムフィルタの強度が低下する 粒子径200μm以上のシリカ粒子は、好ましく 0.8%以下であり、粒子径100μm以上のシリカ粒 子は、好ましくは5%以下である。粒子径20μm 下の粒子が10%を越える場合、細孔径10μm未満 の細孔が増加し、粒子径10μmを超える細孔の 合が相対的に少なくなるため、セラミック ニカムフィルタの圧力損失特性に悪影響を える。粒子径20μm以下の粒子が2%未満の場合 、細孔径10μm未満の細孔容積が全細孔容積の3 %未満となって、細孔の連通性が十分確保さ なくなり、圧力損失に悪影響を及ぼす。

 シリカ粒子のモード径が30~70μm、粒子径20 0μm以上の粒子が1%以下、粒子径100μm以上の粒 子が2~10%、及び粒子径20μm以下の粒子が2~10%で ある場合、粒度分布偏差SDが0.5を超えると、 度分布がブロードになり、形成される細孔 布もブロードになる。そのため、圧力損失 性及び強度に悪影響を与える細孔の割合が くなり、低圧力損失と高強度とを両立させ セラミックハニカムフィルタが得られなく る。粒度分布偏差SDは、好ましくは0.4以下 さらに好ましくは0.3以下である。上記のよ な所望の粒子径分布を有するシリカ粒子は 分級装置でシリカ粒子を分級し、もしくは くつかの粒子径に分級した複数のシリカ粒 の割合を調整すること、又は粉砕条件を最 化することにより得ることができる。

 前記シリカ粒子は結晶質のもの、又は非晶 のものを用いることができるが、粒度分布 調整する観点から非晶質のものが好ましい 非晶質シリカは高純度の天然珪石を高温溶 して製造したインゴットを粉砕して得るこ ができる。シリカ粒子は不純物としてNa 2 O、K 2 O、CaOを含有しても良いが、熱膨張係数が大 くなるのを防止するため、前記不純物の含 量は合計で0.1%以下であるのが好ましい。

 造孔材は前記コージェライト化原料に対 て1~10%含有するのが好ましい。造孔材は、 ージェライト質セラミックスの焼成過程に いて、コージェライトが合成される前の比 的低温(例えば1000℃以下)で燃焼消失して細 を形成する。このため造孔材が1%未満である 場合、造孔材により形成される細孔の量が少 なくなるので、低い圧力損失特性を有するセ ラミックハニカムフィルタが得られなくなる 。造孔材が10%を超えると、細孔の量が多くな り過ぎて、十分な強度を確保できなくなる。 好ましくは2~6%である。

 造孔材としては、公知の小麦粉、グラフ イト、澱粉粉、ポリエチレン、ポリエチレ テレフタレート、アクリル系マイクロカプ ル等の発泡樹脂等を挙げることができるが 中でもメチルメタクリレート・アクリロニ リル共重合体で形成された発泡樹脂が好ま い。前記発泡樹脂は未発泡、発泡済みどち も用いることができるが、発泡済み発泡樹 が好ましい。

 造孔材粒子のモード径は30~70μmであるの 好ましい。モード径が30μm未満の場合、低圧 力損失の特性に寄与する細孔が少なくなり、 低圧力損失のセラミックハニカムフィルタを 得ることができなくなる。モード径が70μmを えると、形成される細孔が粗大になるので 分な強度が得られなくなる。造孔材粒子の ード径は、好ましくは40~60μmである。

 前記造孔材の粒度分布偏差SDは0.5以下で るのが好ましい。前記造孔材の粒度分布偏 SDを0.5以下とすることで、形成される細孔分 布がシャープになるため、低圧力損失に貢献 し、かつ強度に悪影響を与えない細孔の割合 が多くなる。その結果、本発明に記載の気孔 構造を有する多孔質隔壁が形成され、低圧力 損失と高強度とを両立させたセラミックハニ カムフィルタを得ることができる。

 造孔材のモード径が30~70μmである場合、 度分布がブロードになり、形成される細孔 布もブロードになる。そのため、圧力損失 性及び強度に悪影響を与える細孔の割合が くなり、低圧力損失と高強度とが両立した ラミックハニカムフィルタが得られなくな 。前記造孔材の粒度分布偏差SDは、好ましく は0.4以下である。

 前記シリカのモード径M50と前記造孔材の ード径m50との差の絶対値|M50-m50|は15μm以下 あるのが好ましい。|M50-m50|を15μm以下とする ことで、シリカ及び造孔材の粒度分布が揃い 、コージェライト質セラミックス中に形成す るシリカ等が焼成して生じる細孔と、造孔材 が燃焼して生じる細孔の分布が揃う。その結 果、低圧力損失に貢献し、かつ強度に悪影響 を与えない細孔の割合がより多くなり、低圧 力損失と高強度とを両立させたセラミックハ ニカムフィルタを得ることができる。|M50-m50| は好ましくは10μm以下であり、さらに好まし は8μm以下であり、さらにより好ましくは6μ m以下である。なおコージェライト化原料中 タルクのモード径M50と前記造孔材のモード m50との差の絶対値|M50-m50|を15μm以下としても 良い。

 前記シリカの粒度分布偏差をSD 1 、造孔材の粒度分布偏差をSD 2 としたとき、SD 1 -SD 2 は0.3以下であるのが好ましい。SD 1 -SD 2 が0.3以下であると、シリカ及び造孔材の粒度 分布偏差がほぼ揃い、シリカ等が焼成されて 生じる細孔と、造孔材が燃焼されて生じる細 孔分布偏差がほぼ揃う。これにより、低圧力 損失に貢献し、かつ強度に悪影響を与えない 細孔の割合がより多くなり、低圧力損失と高 強度とを両立させたセラミックハニカムフィ ルタが得られる。SD 1 -SD 2 は好ましくは0.2以下であり、さらに好ましく は0.1以下である。なおコージェライト化原料 中のタルクの粒度分布偏差をSD 1 、造孔材の粒度分布偏差をSD 2 としたときのSD 1 -SD 2 を0.3以下としても良い。

 前記シリカの真球度は0.6以上であるのが ましい。前記シリカの真球度が0.6以上であ と、シリカが焼成されて生じる細孔が、応 が集中し難いほぼ球状となるので、多孔質 壁の強度を高めることができるのである。 リカの真球度が0.6未満である場合、シリカ 焼成されて生じる細孔は応力が集中し易く り、多孔質隔壁の強度が低下する。シリカ 真球度は、好ましくは0.7以上である。なお リカ粒子の真球度は、電子顕微鏡写真の像 ら画像解析により、シリカ粒子の投影面積 、シリカ粒子の重心を通り、粒子外周の2点 を結ぶ最大径の円の面積に対する割合で表す 。

 真球度の高いシリカ粒子は、高純度の天 珪石を微粉砕し、高温火炎の中に溶射する とにより得られる。このような工程により シリカ粒子の溶融と球状化とを同時に行い 図6に示すような球状の非晶質シリカを得る ことができる。この球状シリカ粒子は、分級 等の方法により粒度の調整を行うのが好まし い。

 本発明の製造方法では、前述のようにシ カの粒度分布を調整することが重要である 従って、本発明では、シリカ粒子、タルク 子、カオリン粒子、アルミナ粒子等からな コージェライト化原料に、造孔材やバイン ーを加えた後、ヘンシェルミキサー等の粉 メディアを持たない混合方法により混合を い、その後、水を加え混練を行って押出成 用の可塑化された杯土を作製するのが好ま い。粉砕メディアを持たない混合方法によ 混合を行うことにより、シリカ粒子、特に 晶質シリカ粒子が混合過程で粉砕されるこ を防ぎ、所望の粒度分布及び粒子形状を有 るシリカ粒子を、押出成形後の成形体にそ まま存在させることができる。そのため、 圧力損失と高強度とを両立させたセラミッ ハニカムフィルタを得ることができる。特 球状シリカを用いる場合、前記混合方法を 用する効果が大きい。混合工程でボールミ 等の粉砕メディアを有する混合方法を採用 た場合は、シリカ粒子、特に球状シリカ粒 が混合過程で粉砕されその形状や粒径が変 するため好ましくない。

 本発明を以下の実施例によりさらに詳細 説明するが、本発明はこれらに限定される のではない。

実施例1
 破砕された非晶質シリカ(粒度分布偏差SD 1 :0.45、モード径M50:30.5μm、200μm以上の粒子の 合:0.9%、100μm以上の粒子の割合:4.0%、20μm以 の粒子の割合:8.5%、真球度:0.4、及び不純物 してCaO + Na 2 O + K 2 Oを0.005質量%含有)、カオリン(平均粒径:3.0μm び不純物としてCaO + Na 2 O + K 2 Oを0.32質量%含有)、タルク(平均粒径:12μm及び 純物としてCaO + Na 2 O + K 2 Oを0.5質量%含有)、アルミナ(平均粒径:4.2μm及 不純物としてCaO + Na 2 O + K 2 Oを0.3質量%含有)、水酸化アルミニウム(平均 径:1.8μm及び不純物としてCaO + Na 2 O + K 2 Oを0.05質量%含有)等の原料粉末を表1に示す添 量で調整して、コーディエライト化原料粉 を得た。このコーディエライト化原料粉末 対し、表1に示す粒度分布偏差SD 2 及びモード径m50を有する発泡樹脂の造孔材、 並びにメチルセルロースを添加して、ヘンシ ェル型のミキサーで乾式混合し、水を加えて 湿式混合をした後、混練機で混練し、可塑性 のあるセラミック坏土を作製した。この坏土 を押出成形し、乾燥後、焼成炉にて最高温度 1400℃で焼成して、外径267 mm、全長304 mm、隔 壁ピッチ1.57 mm及び隔壁厚さ0.3 mmのセラミッ クハニカム構造体を2個作製した。

 シリカ粉末等の粒子特性は、マイクロト ック粒度分布測定装置(MT3000)を用いて測定 た。シリカ粉末の真球度は、電子顕微鏡で 影した写真から20個の粒子を抽出し、画像解 析装置(Media Cybernetics社製 Image-Pro Plus ver.3.0 )でシリカ粒子の投影面積及び重心を通りシ カ粒子外周の2点を結ぶ最大径の円の面積を め、各粒子の真球度[=(シリカ粒子の投影面 )/(シリカ粒子の重心を通り、粒子外周の2点 を結ぶ最大径の円の面積)×100(%)]の平均値で した。

実施例2~7及び比較例5~7
 シリカ粉末の粒子特性及び添加量、タルク 末、カオリン粉末、アルミナ粉末及び水酸 アルミニウム粉末の添加量、造孔剤の粒子 性及び添加量を表1に示すように変更した以 外は実施例1と同様にして、外径267 mm、全長3 04 mm、隔壁ピッチ1.57 mm及び隔壁厚さ0.3 mmの 実施例2~7及び比較例5~7のセラミックハニカム 構造体を各2個作製した。

実施例8~17、比較例1~4及び8
 高純度の天然珪石を微粉砕し、高温火炎中 溶射して得た球状の非晶質シリカ粉末(表1 粒子特性を示す)を表1に示す添加量で用いて 、タルク粉末、シリカ粉末、カオリン粉末、 アルミナ粉末及び水酸化アルミニウム粉末の 添加量、造孔剤の粒子特性及び添加量を表1 示すように変更した以外は実施例1と同様に て、外径267 mm、全長304 mm、隔壁ピッチ1.57 mm及び隔壁厚さ0.3 mmの実施例8~17、比較例1~4 び8のセラミックハニカム構造体を各2個作 した。なお、実施例11で使用したシリカの粒 度分布を図4に示す。

 これらのセラミックハニカム構造体の流 端部を交互に目封止するように、コーディ ライト化原料からなる目封止材スラリーを 填した後、乾燥及び焼成を行い、実施例1~17 及び比較例1~8のコーディエライト質セラミッ クハニカムフィルタを2個ずつ作製した。流 の目封止材の長さは7~10 mmとなるよう調整し た。

 得られたセラミックハニカムフィルタの1個 を用いて、煤捕集圧力損失の評価を行った。 煤捕集圧力損失は、圧力損失テスト用スタン ドに固定したセラミックハニカムフィルタに 、空気流量10 Nm 3 /minで、粒径0.042μmのカーボン粉を3 g/hの速度 で投入し、フィルタ体積1リットルあたりの 付着量が2 gとなったときの流入側と流出側 の差圧(圧力損失)を測定し、下記の基準で 価した。結果を表2に示す。
圧力損失が1.2 kPa以下の場合・・・◎
圧力損失が1.2を超え1.4 kPa以下の場合・・・
圧力損失が1.4を超え1.5 kPa以下の場合・・・
圧力損失が1.5 kPaを越える場合・・・×

 他の1個のセラミックハニカムフィルタか ら試験片を切り出し、気孔率、平均細孔径、 細孔分布偏差σ=log(D20)-log(D80)、熱膨張係数及 A軸圧縮強度の測定を行った。

 気孔率、平均細孔径、細孔分布偏差σ=log(D20 )-log(D80)の測定は、水銀圧入法により行った セラミックハニカムフィルタから切り出し 試験片(10 mm×10 mm×10 mm)を、Micromeritics社製 ートポアIIIの測定セル内にセットし、セル を減圧した後、水銀を導入して加圧した。 圧時の圧力と試験片内に存在する細孔中に し込まれた水銀の体積との関係から、細孔 と累積細孔容積との関係を求めた。水銀を 入する圧力は、0.5 psi(0.35×10 -3  kgf/mm 2 )とし、圧力から細孔径を算出する際の常数 、接触角=130°、表面張力484 dyne/cmとした。 のとき、気孔率は、全細孔容積の測定値か 、コージェライトの真比重を2.52 g/cm 3 として、計算によって求めた。結果を表2に す。また、実施例11の細孔径と細孔容積との 関係を図4に示す。

 熱膨張係数は、断面形状4.5 mm×4.5 mm×全 50 mmの寸法の試験片を、全長の方向が流路 向にほぼ一致するように切り出し、熱機械 析装置(TMA、リガク社製ThermoPlus、圧縮荷重 式/示差膨張方式)を用いて、一定荷重20 gを けながら、昇温速度10℃/min.で室温から800℃ まで加熱したときの全長方向の長さの増加量 を測定して、40~800℃間の平均熱膨張係数とし て求めた。

 A軸圧縮強度は、社団法人自動車技術会が定 める規格M505-87「自動車排気ガス浄化触媒用 ラミックモノリス担体の試験方法」に従っ 測定し、以下に記載の基準で評価した。結 を表2に示す。
A軸強度が6.0 MPa以上であったもの・・・◎
A軸強度が5.0 MPa以上6.0 MPa未満であったもの ・・○
A軸強度が4.0 MPa以上5.0 MPa未満であったもの ・・△
A軸強度が4.0 MPa未満であったもの・・・×

表1(続き)
注(1):シリカ中に不純物として存在するCaO+Na 2 O+K 2 Oの合計量

表1(続き)

表1(続き)
注(1):コーディエライト化原料粉末100質量部 対する添加量 

表2(続き)

表2(続き)

 表1及び2より、本発明の実施例1~17のセラミ クハニカムフィルタは、低圧力損失で高い 度を有し、熱膨張係数が12×10 -7 /℃以下であることがわかる。特に球状シリ 粉末を13~18質量%含有し、シリカ粒子のモー 径M50と造孔材粒子のモード径m50の差の絶対 |M50-m50|が6以下である実施例8~12及び14のセラ ックハニカムフィルタは、優れた低圧力損 特性と高い強度を有していることがわかる 一方、比較例1~8のセラミックハニカムフィ タでは、低圧力損失及び高強度が両立でき いことがわかる。