Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
COVERLAY FILM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/147997
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a coverlay film which can keep excellent heat resistance and electric properties inherent in a polyimide contained therein, can be bonded by thermocompression at a lower temperature compared with conventional polyimide adhesives, and has excellent flame retardancy. The coverlay film comprises a polyimide film and an adhesive layer arranged on the surface of the polyimide film, wherein the adhesive layer comprises an adhesive resin composition comprising (A) a polyimide resin having a siloxane unit, (B) an epoxy resin, and (C) a citric acid ester represented by general formula (1) as essential components. [In the formula, X represents a hydroxy group or an acetyl group; and R represents an alkyl group having 1 to 6 carbon atoms.]

Inventors:
MORI AKIRA (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/059869
Publication Date:
December 10, 2009
Filing Date:
May 29, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
NIPPON STEEL CHEMICAL CO (JP)
MORI AKIRA (JP)
International Classes:
H05K3/28; B32B27/00; B32B27/34; C09J7/22; C09J7/35; C09J11/06; C09J163/00; C09J179/08
Foreign References:
JPH10212468A1998-08-11
JP2001015874A2001-01-19
JP2007231125A2007-09-13
JP2007308640A2007-11-29
Attorney, Agent or Firm:
SASAKI Kazuya et al. (JP)
Kazuya Sasaki (JP)
Download PDF:
Claims:
 ポリイミドフィルムの表面に接着剤層を設けたカバーレイフィルムにおいて、接着剤層を構成する接着剤樹脂組成物が下記(A)~(C)成分、
(A)シロキサンユニットを有するポリイミド樹脂、
(B)エポキシ樹脂、及び
(C)下記一般式(1)で表されるクエン酸エステル、
を必須成分として含有することを特徴とするカバーレイフィルム。
 
(式中、Xは水酸基又はアセチル基を示し、Rは炭素数1~6のアルキル基を示す。)
 (A)成分が下記一般式(2)及び(3)で表される繰り返し単位を有し、一般式(2)及び(3)で表される繰り返し単位の構成比が、(2)/(3)=50/50~10/90(モル比)の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のカバーレイフィルム。
 
(一般式(2)において、Ar 1 は4価の芳香族基を示し、R 1 及びR 2 は2価の炭化水素基を示し、R 3 及びR 4 は炭素数1~6の1価の炭化水素基を示し、mは1以上の整数であり、mの数平均値は1~20の範囲にある。一般式(3)において、Ar 1 は4価の芳香族基を示し、Ar 2 は2価の芳香族基を示す。)
 接着剤樹脂組成物が、(A)成分65~98重量%及び(B)成分2~35重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、(C)成分を1~45重量部配合してなることを特徴とする請求項1又は2に記載のカバーレイフィルム。
 接着剤樹脂組成物が(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対し、更にエポキシ樹脂硬化剤1~15重量部を含有することを特徴とする請求項3に記載のカバーレイフィルム。
 一般式(3)におけるAr 2 の1~20モル%が、下記一般式(4)で表されるエポキシ基と反応性の官能基を有する2価の芳香族基であることを特徴とする請求項2に記載のカバーレイフィルム。
 
(式中、Ar 3 は3価又は4価の芳香族基を示し、Yは水酸基、アミノ基、カルボキシル基又はメルカプト基を示し、kは1又は2を示す。)
 (B)成分が、芳香族環含有基がナフタレン環に置換した構造を有するナフトール樹脂をエポキシ化して得られる構造の芳香族基置換ナフトール型エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のカバーレイフィルム。
 芳香族基置換ナフトール型エポキシ樹脂が、下記一般式(12)で表されることを特徴とする請求項6に記載のカバーレイフィルム。
 
(式中、Gはグリシジル基を示し、Rは芳香族環含有基又は水素を示し、Xはアルキレン基又は-Z-Ar 4 -Z-で表されるアラルキレン基を示し、pは0以上の整数であり、pの数平均値は0~15の範囲にあり、qは1又は2を示し、そしてR中に芳香族環含有基が占める割合は10モル%以上である。また、Zはアルキレン基を示し、Ar 4 は2価の芳香族基を示す。)
 芳香族基置換ナフトール型エポキシ樹脂が、下記一般式(13)で表されることを特徴とする請求項6に記載のカバーレイフィルム。
 
(式中、Gはグリシジル基を示し、R 5 、R 6 及びR 7 は水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を示し、Rは下記一般式(a)で示されるアセナフテニル基、下記一般式(b)で示されるインダニル基又は下記一般式(c)で示されるα-メチルベンジル基から選ばれる芳香族環含有基あるいは水素を示すが、R中に芳香族環含有基が占める割合は10モル%以上であり、pは0以上の整数であり、pの数平均値は0~15の範囲にあり、qは1又は2を示す。)
Description:
カバーレイフィルム

 本発明は、フレキシブルプリント配線基 に用いられるカバーレイフィルムに関する

 プリント配線基板としては、従来、紙-フ ェノール樹脂、ガラス繊維-エポキシ樹脂か なる基材あるいはポリイミドフィルム、ポ エチレンテレフタレートフィルム等の基材 金属箔を貼り合わせたものが用いられてい 。

 また、近年、電機・電子機器、精密機器 分野において用いるプリント配線板におい は、配線占有面積が小さくなり、このため 層プリント基板の需要はますます高くなっ いる。プリント配線板を積層して多層プリ ト配線板を作製したり、異種の回路材料を 合化する工程においては、種々の接着剤あ いは接着剤フィルムが用いられている。

 このような接着剤としては、ガラス繊維 の織物にエポキシ系あるいはビスマレイミ 系樹脂を含浸させたプリプレグ状接着剤が られている。しかし、これらは可撓性が不 分であり、寸法安定性に劣る等の問題があ た。また、従来、アクリロニトリルブタジ ンゴム/フェノール樹脂、フェノール樹脂/ チラール樹脂、アクリロニトリルブタジエ ゴム/エポキシ樹脂等の接着剤が提案されて る(例えば、特開平4-29393号公報、特開平4-363 66号公報、特開平4-41581号公報参照)。しかし これらの接着剤は、耐薬品性、耐熱性が充 でなく熱劣化が大きく、吸湿はんだ耐熱性 不十分で、スルーホール形成のためのドリ 孔空け加工時のスミア発生等、加工性の点 も充分ではなかった。

 また、耐熱性に優れたポリイミド系接着 も提案されている(例えば、米国特許4,543,295 号公報参照)。しかし、このようなポリイミ は、銅あるいはポリイミドフィルム等の基 同士を接着させ、満足できる接着強度を得 ためには250℃以上の熱圧着温度を必要とし いるため実用性の面で難点があった。

 また、特許文献1では、低温での熱圧着を 行うためジアミノポリシロキサンと芳香族テ トラカルボン酸を原料とするポリイミドを用 いた接着剤を開示している。しかし、このよ うなポリイミド単体では接着強度が充分でな く、信頼性に劣るという欠点があった。

 接着強度に優れたポリイミド系接着剤と ては、例えば、特許文献2で、フレキシブル プリント配線基板(FPC)の製造用接着剤として ポリアミドイミドとエポキシ樹脂とからな フィルム接着剤が開示されている。しかし がら、このようなフィルムは多層プリント 線板製造等の回路が形成された凹凸面同士 接着に用いた場合、回路面への充填性が充 でなく、はんだ浴に対する耐熱性を充分に ることができない。

 このため、多層プリント基板用接着剤、 バーレイフィルム用接着剤として、250℃以 の低温圧着が可能で、しかも接着強度、耐 品性、耐熱性、吸湿はんだ耐熱性、配線加 時の寸法安定性等に優れた材料が求められ ようになってきた。また、火災安全性確保 点から難燃性に優れた材料が求められるよ になってきた。

 従来の接着剤フィルムは、難燃性を付与 るために、臭素などのハロゲンを含有する 脂又は添加物等が使用されていた。ハロゲ は難燃性の付与の他、コストパフォーマン が高く、プラスチックを劣化させにくいな の理由から広く用いられてきた。しかしこ に含まれるハロゲンは、燃焼時にダイオキ ン等の有害物質を発生させる原因となる可 性が懸念されており、材料からのハロゲン 排除が強く望まれている。

 ハロゲンに替わる難燃性付与材料として 非ハロゲン系の様々な材料が開発されてい 。その中でも最も一般的な手法はリンを含 樹脂の使用又は有機リン系化合物の添加で る。このようなリン系化合物を含有する材 としては、例えば、特開2004-231792号公報、 開2005―15761号公報、特開2005-171044号公報、特 開2005-60489号公報が挙げられる。しかし、リ 系化合物は土壌汚染や水質汚染の原因とな 可能性が懸念されており、安全性が十分と いえず、将来的には、リン系化合物も材料 ら排除される必要があり、接着剤フィルム この例外ではないといえる。

 このような点から、非ハロゲン系及び非 ン系の難燃性接着剤フィルムが望まれてい 。このような接着剤フィルムとしては、例 ば、特許文献3が挙げられる。しかしながら 、このような接着剤フィルムは、金属水酸化 物等の含有物によって、マイグレーション耐 性が低下するという問題点があった。なお、 カバーレイフィルムは、一般的にポリイミド 、ポリエステル、アラミド等のベースフィル ム上に接着剤層を設けた構造を有するので、 接着剤フィルムの1種ということができる。

 ところで、特許文献4には、シリコンユニ ットを有するポリイミドとエポキシ樹脂から なるプリント基板用耐熱性接着剤フィルムが 開示されている。しかし、ここで使用される エポキシ樹脂はビスフェノールAやフェノー 樹脂から誘導される一般的なエポキシ樹脂 あり、ポリイミドの種類やエポキシ樹脂と 組合せについても、一般的なものであり、 燃性に対する配慮は十分とは言えないもの あった。また、特許文献5には、アセナフチ ン変性フェノール性樹脂及びそれをエポキ 化して得られるエポキシ樹脂が開示されて る。しかし、このようなアセナフチレン変 フェノール性樹脂又はエポキシ樹脂をポリ ミドと組合せて接着剤とすることについて 何らの開示がない。

特開平4-23879号公報

特開昭52-91082号公報

特開2004-146286号公報

特開2001-203467号公報

国際公開WO2003/104295号パンフレット

 本発明の目的は、250℃以下の低温圧着が 能で、しかも耐熱性、吸湿はんだ耐熱性、 工性等に優れた非ハロゲン・非リン系の接 剤樹脂組成物を用いたカバーレイフィルム 提供することにある。

 本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭 研究を重ねた結果、特定のポリイミド樹脂 エポキシ樹脂を使用し、更にこれに特定の 分を配合することがよいことを見出し、本 明を完成させた。

 すなわち、本発明は、ポリイミドフィルム び接着剤樹脂組成物より形成されたカバー イフィルムにおいて、接着剤樹脂組成物が 記(A)~(C)成分、
(A)シロキサンユニットを有するポリイミド樹 脂、
(B)エポキシ樹脂、及び
(C)下記一般式(1)で表されるクエン酸エステル 、
を必須成分として含有することを特徴とする カバーレイフィルムである。

 
 ここで、Xは水酸基又はアセチル基を示し、 Rは炭素数1~6のアルキル基を示す。

 また、(A)成分が下記一般式(2)及び(3)で表 れる繰り返し単位を有し、一般式(2)及び(3) 表される繰り返し単位の構成比が、(2)/(3)=50 /50~10/90(モル比)の範囲であることで、カバー イフィルムの物性を良好とする。

 
 一般式(2)において、Ar 1 は4価の芳香族基を示し、R 1 及びR 2 は2価の炭化水素基を示し、R 3 及びR 4 は炭素数1~6の1価の炭化水素基を示し、mは1以 上の整数であり、mの数平均値は1~20の範囲に る。一般式(3)において、Ar 1 は4価の芳香族基を示し、Ar 2 は2価の芳香族基を示す。

 上記接着剤樹脂組成物は、(A)成分65~98重 %及び(B)成分2~35重量%からなる樹脂成分100重 部に対し、(C)成分を1~45重量部配合してなる と、又は(A)成分及び(B)成分の合計100重量部 対し、更にエポキシ樹脂硬化剤1~15重量部を 含有することで、カバーレイフィルムの物性 を良好とする。

 また、エポキシ樹脂硬化剤と共に又はエポ シ樹脂硬化剤の代わりに、上記シロキサン ニットを有するポリイミド樹脂の繰り返し 位である一般式(3)におけるAr 2 の1~20モル%が、下記一般式(4)で表されるエポ シ基と反応性の官能基を有する2価の芳香族 基とすることで、カバーレイフィルムの物性 を良好とすることができる。

 
 ここで、式中、Ar 3 は3価又は4価の芳香族基を示し、Yは水酸基、 アミノ基、カルボキシル基又はメルカプト基 を示し、kは1又は2を示す。

 本発明のカバーレイフィルムは、ポリイ ド本来の優れた耐熱性及び電気特性を損な ことなく、従来のポリイミド系接着剤に比 低温での熱圧着が可能となる。ハロゲン元 とリン元素を含まなくとも優れた難燃性を える。したがって、焼却廃棄時に、ダイオ シン等の有害物質の発生や、土壌・水質汚 の危険性が少ないものとすることができる

 以下、本発明のカバーレイフィルムにつ て詳細に説明する。本発明のカバーレイフ ルムは、ポリイミドフィルムの表面に接着 層を有する。接着剤層は、接着剤樹脂組成 により形成される。まず、接着剤樹脂組成 の各構成成分について説明する。

 本発明のカバーレイフィルムを形成する 着剤樹脂組成物は、上記(A)~(C)成分を必須成 分として含有する。(A)成分はシロキサンユニ ットを有するポリイミド樹脂であり、(B)成分 はエポキシ樹脂であり、(C)成分はクエン酸エ ステルである。また、この接着剤樹脂組成物 は、実質的にハロゲン元素及びリン元素を含 まないことが望ましい。ここで、実質的にハ ロゲン元素及びリン元素を含まないとは、ハ ロゲン又はリンとして900wtppm以上のハロゲン( ハロゲン化合物を含む)又はリン(リン化合物 含む)を含まないことをいう。

 (A)成分のシロキサンユニットを有するポ イミド樹脂(以下、シロキサン含有ポリイミ ド樹脂という)としては、分子構造中にシロ サン骨格を有するものであれば特に制限さ ないが、例えば、上記一般式(2)及び(3)で表 れる繰り返し単位を有するものが挙げられ 。好ましくは、一般式(2)及び(3)で表される り返し単位の構成比が、(2)/(3)=50/50~10/90(モル 比)の範囲、好ましくは50/50~20/80の範囲である ことがよい。

 上記シロキサン含有ポリイミド樹脂として 、フィルム成形性が良好な溶剤可溶性ポリ ミド樹脂を用いることが望ましい。更に、 ポキシ基と反応し得る官能基をポリイミド 脂中に有するようにすれば、エポキシ樹脂 化剤の配合を不要又は少量とすることがで る。エポキシ基と反応し得る官能基をポリ ミド樹脂中に有するようにするには、上記 般式(3)におけるAr 2 の1~20モル%、好ましくは2~10モル%が上記一般 (4)で表される芳香族基を有するポリイミド 脂となるように、原料の芳香族ジアミンを 用する方法などがある。

 シロキサン含有ポリイミド樹脂は、通常ジ ミノシロキサン及び芳香族ジアミンと、テ ラカルボン酸二無水物とを反応させること より得られる。上記一般式(2)及び(3)中のAr 1 はテトラカルボン酸二無水物の残基というこ とができるので、テトラカルボン酸二無水物 の説明からAr 1 が理解される。また、一般式(2)中のシロキサ ンユニットはジアミノシロキサンの残基とい うことができるので、ジアミノシロキサン説 明からシロキサンユニットが理解される。更 に、一般式(2)のAr 2 は芳香族ジアミンの残基ということができる ので、芳香族ジアミンの説明からAr 2 が理解される。

 テトラカルボン酸二無水物の具体例とし 、好ましくは3,3’,4,4’-ジフェニルエーテ テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフ ェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、 3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸 無水物及び2,2’,2,3’-ベンゾフェノンテト カルボン酸二無水物から選ばれる1種以上の トラカルボン酸二無水物が挙げられる。ま 、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸 無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボ ン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、1,4 ,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1 ,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物 3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物 3,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水 物、1,2,7,8-フェナントレンテトラカルボン酸 無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソピリデ )フタル酸二無水物等の他のテトラカルボン 二無水物も挙げられるが、これら他のテト カルボン酸二無水物を使用する場合は、上 好ましいとして挙げられたテトラカルボン 二無水物の1種以上と併用することがよい。 他のテトラカルボン酸二無水物を併用する場 合は5~50モル%の範囲がよい。

 ジアミノシロキサンとしては、下記一般式( 5)
 
で表されるジアミノシロキサンが用いられる 。一般式(5)において、R 1 ~R 4 は一般式(2)のそれらと同じ意味を有する。

 R 1 及びR 2 は2価の炭化水素基を示すが、好ましくは炭 数1~6のアルキレン基又はフェニレン基であ 。R 3 及びR 4 は炭素数1~6の炭化水素基を示すが、好ましく は炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基であ る。これらは、同一であっても、異なっても よい。

 mは1以上の整数であり、mの数平均値は1~20 の範囲にあるが、好ましくは数平均値が2~14 範囲にあることがよい。1~20の範囲より少な と接着剤樹脂組成物としての充填性が低下 、多いと接着性が低下するので好ましくな 。このことは一般式(2)におけるシロキサン ニットについても同様である。

 ジアミノシロキサンを用いてシロキサン 有ポリイミド樹脂とすることにより、本発 のカバーレイフィルムに加熱圧着時の流動 を与え、プリント配線板回路上の充填性を 上させることができる。

 ジアミノシロキサンの好ましい具体例とし は、次式で表されるジアミノシロキサンが げられる。
 

 ジアミノシロキサンの更に好ましい具体例 しては、次式で表されるフェニル基置換ジ ミノシロキサンが挙げられる。ここで、下 におけるj及びnは、jとnの合計数は1以上の 数であり、数平均値は1~20の範囲にあり、好 しくは2~14の範囲にある。
 

 また、一般式(3)において、Ar 2 を与える芳香族ジアミンの具体例としては、 m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミ 、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’- ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、4,4 ’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジ ミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジ フェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニ エーテル、3,3’-ジアミノジフェニルエーテ 、4,4’-ジアミノ-p-ターフェニル等が挙げら れるが、有機溶剤に対する可溶性を向上させ る目的で、2,2-ビス(3-アミノフェノキシフェ ル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェノキシフ ェニル)プロパン、3,3-ビス(3-アミノフェノキ フェニル)スルホン、4,4-ビス(3-アミノフェ キシフェニル)スルホン、3,3-ビス(4-アミノフ ェノキシフェニル)スルホン、4,4-ビス(4-アミ フェノキシフェニル)スルホン、2,2-ビス(3- ミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプ パン、2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル )ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(4-アミノ ェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェ キシ)ベンゼン、4,4-(p-フェニレンジイソプロ ピリデン)ビスアニリン、4,4-(m-フェニレンジ ソプロピリデン)ビスアニリン等の3つ以上 芳香環を有するジアミンを1種以上用いるこ が好ましい。Ar 2 を与える芳香族ジアミンは、シロキサンユニ ット又はシリコンユニットを有しない。

 上記、芳香族ジアミンの一部として、エポ シ樹脂と反応性を有する官能基を有する下 一般式(6)で表される反応性芳香族ジアミン 使用することも有利である。
 

 一般式(6)において、Ar 3 、Y及びkは一般式(4)のそれらと同様の意味を する。このような反応性芳香族ジアミンと ては、2,5-ジアミノフェノール、3,5-ジアミ フェノール、4,4’-(3,3’-ジヒドロキシ)ジア ノビフェニル、4,4’-(2,2’-ジヒドロキシ)ジ アミノビフェニル、2,2’-ビス(3-アミノ-4-ヒ ロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3 ,3’,4,4’-ビフェニルテトラアミン、3,3’,4,4 -テトラアミノジフェニルエーテル、4,4’-(3 ,3’-ジカルボキシ)ジフェニルアミン、3,3’- カルボキシ-4,4’-ジアミノジフェニルエー ル等が挙げられるが、特に好ましくは4,4’-( 3,3’-ジヒドロキシ)ジフェニルアミン、4,4’- (2,2’-ジヒドロキシ)ジフェニルアミン等の少 なくとも1種である。反応性芳香族ジアミン 用いることにより加熱圧着時にエポキシ樹 と反応し架橋構造を形成するため、本発明 接着剤フィルムの接着強度及び耐薬品性を に向上させることができる。反応性芳香族 アミンは、全芳香族ジアミンの1~20モル%の範 囲で用いることが好ましく、より好ましくは 2~10モル%の範囲である。

 シロキサン含有ポリイミド樹脂は上記ジ ミノシロキサン及び芳香族ジアミンと、テ ラカルボン酸二無水物を溶媒中で反応させ 駆体樹脂を生成したのち加熱閉環させるこ により前記一般式(2)及び(3)で表される繰り し単位を有するポリイミド樹脂を製造でき 。

 (B)成分のエポキシ樹脂としては、ポリイ ド樹脂との混合が可能であれば特に限定さ ないが、好ましくはエポキシ当量が500以下 ある液状又は粉末状エポキシ樹脂である。 ポキシ当量が500を超えると接着強度及び耐 性が低下する。

 このようなエポキシ樹脂の具体例として 、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフ ェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エ キシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキ 樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェ ル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ 脂、ビキシレニルジグリシジルエーテル等 芳香族系エポキシ樹脂が挙げられ、これら 単独又は2種類以上混合して使用することが できる。これらのエポキシ樹脂うち、カバー レイフィルムにおける接着性及び耐折性向上 の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹 、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、 フタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エ キシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂が好 しい。また、難燃性向上の観点から、クレ ールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレ 型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹 、ナフトール型エポキシ樹脂が好ましい。 の中でも特に、クレゾールノボラック型エ キシ樹脂及びビフェニル型エポキシ樹脂は カバーレイフィルムにおける接着性、耐折 、難燃性及び耐熱性を向上させる成分とし 、好ましく挙げられる。

 より具体的には、下記一般式(7)で表される レゾールノボラック型エポキシ樹脂又は下 一般式(8)で表されるビフェニル型エポキシ 脂が挙げられる。ここで、下式におけるGは グリシジル基を示し、hは1以上の整数であり hの数平均値は1~15の範囲にある。
 

 また、カバーレイフィルムの耐熱性を向 させる観点から、(B)成分として、芳香族基 換ナフトール型エポキシ樹脂を使用するこ も好ましい態様のひとつである。エチレン 不飽和結合を有する芳香族化合物(以下、エ チレン性芳香族化合物という)と反応して生 る芳香族置換ナフタレン骨格の寄与により 本発明のカバーレイフィルムの耐熱性を向 させることができる。

 芳香族基置換ナフトール型エポキシ樹脂は 下記一般式(12)又は(13)で表される構造を有 る芳香族基置換ナフトール型エポキシ樹脂 あることが望ましい。
 
 但し、Gはグリシジル基を示し、Rは芳香族 含有基(以下、芳香族基と言うこともある)又 は水素を示し、Xはアルキレン基又は-Z-Ar 4 -Z-で表されるアラルキレン基を示し、pは0以 の整数であり、pの数平均値は0~15の範囲に り、qは1又は2を示し、そしてR中に芳香族基 占める割合は10モル%以上である。また、Zは アルキレン基を示し、Ar 4 は2価の芳香族基を示す。
 
 但し、Gはグリシジル基を示し、R 5 、R 6 及びR 7 は水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を示す 。また、Rは芳香族基又は水素を示すが、好 しくは、下記一般式(a)で示されるアセナフ ニル基、下記一般式(b)で示されるインダニ 基又は下記一般式(c)で示されるα-メチルベ ジル基から選ばれる芳香族基あるいは水素 示すが、R中に芳香族基が占める割合は10モ %以上であり、pは0以上の整数であり、pの数 均値は0~15の範囲にあり、qは1又は2を示す。
 

 芳香族基置換ナフトール型エポキシ樹脂 、ナフトール樹脂、好ましくはナフトール ボラック樹脂と、エチレン性芳香族化合物 反応させることにより、ナフタレン環(ナフ トール環)に芳香族環含有基が置換した構造 芳香族基置換ナフトール樹脂を得て、次に フトール樹脂の水酸基をエピクロロヒドリ でエポキシ化してOG基(グリシジルエーテル )とすることにより得られる構造を有する。 かし、芳香族基置換ナフトール型エポキシ 脂の製法は、上記方法に限らない。

 芳香族基置換ナフトール型エポキシ樹脂 しては、上述したように、一般式(12)で表さ れるエポキシ樹脂が好ましく例示される。一 般式(12)において、X及びZはアルキレン基であ るが、炭素数1~3のアルキレン基が好ましく、 より好ましくはメチレン基である。Rが芳香 基である場合、芳香族基としては炭素数7~15 1~3環の芳香族炭化水素基が好ましい。

 Xはナフトール樹脂を製造する際にナフトー ルと反応させる架橋剤に由来する。架橋剤が ホルマリンである場合はメチレン基を与え、 RO-H 2 C-Ph-CH 2 -OR(RはH又はアルキル、Phはフェニレン)である 場合は、-H 2 C-Ph-CH 2 -で表されるアラルキル基を与える。Ar 4 は2価の芳香族基を示すが、好ましくはフェ レン基又はビフェニレン基である。また、 ナフタレン核の少なくとも10モル%、好まし は20モル%以上、より好ましくは30モル%以上 芳香族基で置換されている。この置換率が いと十分な難燃性が得られない。エポキシ 脂は混合物であるため、エポキシ樹脂全体 して、全ナフタレン核100モルに対し、芳香 基が10モル以上存在すればよい。しかし、80 ル%以上を芳香族基で置換しても差し支えな いが、効果が飽和するので、20~80モル%、好ま しくは30~70モル%の範囲とすることがよい。ま た、pは0以上の整数であり、pの数平均値は0~1 5の範囲にあり、好ましくは平均値として0~5 範囲、より好ましくは0.1~3の範囲にある。q 1又は2を示すが、好ましくは1である。

 更に、芳香族基置換ナフトール型エポキ 樹脂としては、一般式(13)で表されるエポキ シ樹脂が好ましく例示される。上述したよう に、Rは芳香族基又は水素を示し、好ましく 上記式(a)で示されるアセナフテニル基、式(b )で示されるインダニル基又は式(c)で示され α‐メチルベンジル基から選ばれる芳香族基 あるいは水素を示すものがよく、R中に芳香 基が占める割合は10モル%以上、好ましくは20 モル以上、より好ましくは30モル以上である がよい。なお、一般式(12)と対応する記号は 同様な意味を有すると解することができる。

 (B)成分である芳香族基置換ナフトール型 ポキシ樹脂の製造方法の一例について説明 る。特に限定されないが、エチレン性芳香 化合物は、フリーデルクラフツ反応を利用 ることができるので、ナフトール樹脂のナ タレン環に付加させることができる。この うにして得られた芳香族基置換のナフタレ 骨格を有するナフトール樹脂に、公知の方 を用いて、エピクロロヒドリンを反応させ ことによってエポキシ樹脂とすることがで る。ここで用いられるナフトール樹脂は、 フトールノボラック樹脂又はナフトールア ルキル樹脂が挙げられるが、耐湿性や耐衝 性の観点から、ナフトールアラルキル樹脂 好ましい。かかる芳香族基置換ナフトール エポキシ樹脂は、例えば、特許文献5に開示 されている方法により製造することができる 。

 芳香族基置換ナフトール型エポキシ樹脂 、ナフトール構造となっているナフタレン 1個に対し、平均して0.1個以上、好ましくは 0.2個以上、更に好ましくは0.3個以上のエチレ ン性芳香族化合物が付加したものを含むエポ キシ樹脂がよく、その他芳香族基非置換のナ フタレン核が含まれてもよい。ナフトール樹 脂がナフトールアラルキル樹脂である場合は 、エチレン性芳香族化合物と反応させると、 エチレン性芳香族化合物はナフタレン核と反 応するだけでなく、一部はアラルキルを構成 するベンゼン環等に置換することも考えられ るが、それが生じても差し支えない。

 より具体的には、下記一般式(14)で表される 芳香族基置換ナフトール型エポキシ樹脂が好 ましく挙げられる。ここで、Gはグリシジル を示し、Rは芳香族基又は水素を示すが、好 しくは式(a)で示されるアセナフテニル基、 (b)で示されるインダニル基又は式(c)で示さ るα-メチルベンジル基から選ばれる芳香族 あるいは水素を示すものがよく、R中に芳香 族基が占める割合は10モル%以上、好ましくは 20モル以上、より好ましくは30モル以上であ 、pは0以上の整数であり、pの数平均値は0~15 範囲にある。なお、一般式(13)と対応する記 号は同様な意味を有すると解することができ る。
 

 (C)成分のクエン酸エステルは、上記一般 (1)で表されるが、このようなクエン酸エス ルを配合することによって、ポリイミド樹 本来の特性を低下させることなく、低温圧 性、耐熱性及び回路充填性を向上させるこ ができ、更にカバーレイフィルムとしての りを抑制することができる。更にまた、難 性を付与することもできる。上記一般式(1) おいて、Rは炭素数1~6のアルキル基を示すが 、3つRは同一であっても異なってもよい。Xは 水酸基又はアセチル基を示す。

 このようなクエン酸エステルの具体例と ては、例えばクエン酸トリメチルエステル クエン酸トリエチルエステル、クエン酸ト -n-プロピルエステル、クエン酸トリブチル ステル、クエン酸トリ-n-ペンチルエステル アセチルトリエチルシトレート、アセチル リブチルシトレート等が挙げられる。この でも特にクエン酸トリブチルエステルが本 明の効果が大きく好ましい。なお、これら クエン酸エステルは単独又は2種以上を併用 してもよい。

 接着剤樹脂組成物における(A)成分及び(B) 分の配合は、(A)成分65~98重量%、(B)成分2~35重 量%の範囲が好ましく、より好ましくは(A)成 70~90重量%、(B)成分10~30重量%の範囲がよい。 た、(A)成分及び(B)成分は樹脂成分であるの 、これらを樹脂成分ともいう。樹脂成分に 、(A)成分及び(B)成分以外の樹脂(以下、「そ 他の樹脂」と言う)を含んでもよいが、(A)成 分及び(B)成分が樹脂成分の80重量%以上を占め ることがよい。また、(A)成分及び(B)成分の合 計又はその他の樹脂を含む混合樹脂100重量部 に対し、(C)成分を1~45重量部配合することが ましい。より好ましい(C)成分の配合量は、10 ~40重量部の範囲である。この範囲で配合する ことにより、ポリイミド樹脂本来の特性を低 下させることなく、低温圧着性、耐熱性及び 回路充填性を更に向上させることができる。 (C)成分の配合量が1重量部より少ないと低温 着性及び回路充填性に与える向上効果が少 く、45重量部を超えると接着性、耐熱性及び 難燃性が低下する。

 また、接着剤樹脂組成物には、必須成分 して上記成分を含む他に、必要によりエポ シ樹脂硬化剤を配合することもできる。ま 、このエポキシ樹脂硬化剤は、実質的にハ ゲン元素及びリン元素を含まないものにす ことにより、本発明の効果を発揮しやすく ましい。エポキシ樹脂硬化剤の配合割合は 上記(A)成分及び(B)成分の合計(その他の樹脂 を含む場合は、これを含めた合計)100重量部 対し、好ましくは1~15重量%、より好ましくは 5~10重量%が適当である。別の観点からは、エ キシ樹脂の20~70重量%の範囲が好ましい。エ キシ樹脂硬化剤の使用は、上記一般式(4)で される官能基を分子中に有さないシロキサ 含有ポリイミド樹脂を使用する場合に、有 である。

 エポキシ樹脂硬化剤の具体例としては、 ェノールノボラック、o-クレゾールノボラ ク、フェノールレゾール等のフェノール類 ナフトール類、ジエチレントリアミン類の ミン類、無水ピロメリット酸、無水フタル 等の酸無水物類などが挙げられる。

 更に、接着剤樹脂組成物には、上記成分 他に、必要に応じて、従来公知の硬化促進 、カップリング剤、充填剤、顔料等を適宜 合してもよい。また、上記以外の他のポリ ミド樹脂又は他のエポキシ樹脂を、本発明 効果を阻害しない範囲で少量配合すること できる。なお、これらの成分は実質的にハ ゲン元素及びリン元素を含まないものにす ことにより、本発明の効果を発揮しやすく ましい。

 本発明のカバーレイフィルムは、ポリイ ドフィルムの表面に前記の接着剤樹脂組成 からなる接着剤層を設けることにより得ら る。本発明のカバーレイフィルムを形成す 方法としては、従来の方法を用いることが 能である。好適な形成方法の例としては、 記接着剤樹脂組成物の成分を溶媒に溶解し 得られた接着剤樹脂組成物(接着剤樹脂溶液 )を、ポリイミドフィルム上に従来公知の方 により、塗布し、乾燥することにより本発 のカバーレイフィルムとする方法がある。 リイミドフィルムに2~200μmの厚さ、好ましく は5~100μm、更に好ましくは10~50μmの厚さでコ ティングした後、50~140℃、好ましくは80~140 、更に好ましくは100~140℃で乾燥を行うこと よって、カバーレイフィルムとすることが 能である。ポリイミドフィルムの厚さは、 要に応じて適切な厚さのものを使用すれば いが、好ましくは3~50μm、より好ましくは5~3 0μmがよい。

 上記樹脂組成物溶液を得るために用いら る溶媒として代表的なものとしては、N,N-ジ メチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムア ド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチル アセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N, N-ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチル ルホキシド、N-メチル-2-ピロリドン等のア ド系溶媒、テトラヒドロフラン、ジエチレ グリコールジメチルエーテル、ジエチレン リコールジエチルエーテル、ジオキサン、γ -ブチロラクトン、キシレノール、フェノー 、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、 チルセロソルブアセテート、エチルセロソ ブアセテート、トルエン、キシレン、メチ エチルケトン等のエーテル、エステル、ア コール系溶媒を挙げることができる。また 前記ポリイミド樹脂製造時に用いた溶媒を のまま使用してもなんら差し支えない。

 本発明のカバーレイフィルムの好適な使用 法としては、導体回路が形成された回路基 上に、導体回路の所望の箇所が被覆される うに本発明のカバーレイフィルムを被覆形 した後、圧力1~100kg/cm 2 、温度20~250℃の条件で熱圧着することによっ て絶縁被膜を形成することができる。ただし 、本発明のカバーレイフィルムはこれらの使 用方法に限定されるものではない。

 以下、本発明を実施例により具体例を説 するが、本発明はこれらの実施例によって ら限定されるものではない。なお、本発明 実施例において特にことわりない限り各種 定、評価は下記によるものである。

[半田耐熱性の評価]
 半田耐熱性の評価は、幅10mm、長さ100mmの試 片の接着剤面を銅箔(35μm厚み)の光沢面の上 に置き、180℃、60分間、40kg/cm 2 の条件下で熱圧着したものを用いた。この銅 箔付きの試験片を25℃、相対湿度50%で24時間 置した後、各評価温度に設定した半田浴中 60秒間浸漬し、その接着状態を観察、発泡、 ふくれ、剥離等の不具合の有無を確認した。 なお、表中の「300℃」は、300℃の半田浴中で 評価して、不具合が認められないことを意味 する。

[接着強度の測定]
 接着強度は、引張試験機(東洋精機株式会社 製、ストログラフ-M1)を用いて、幅10mm、長さ1 00mmに試験片の接着剤面を銅箔(35μm厚み)の光 面又はポリイミドフィルム(株式会社カネカ 製、アピカルNPI)の上に置き、180℃、60分間、 40kg/cm 2 の条件下で熱圧着した後、180°方向に50mm/分 速度で引き剥がす時の力を接着強度とする なお、接着強度1は銅箔に対する接着強度で り、接着強度2はポリイミドフィルムに対す る接着強度である。

[耐折性の評価]
 耐折性は、0.13mm~0.91mmの導体幅、0.18mm~0.20mm 導体間スペースに回路加工した銅張積層板 上に置き、180℃、60分間、40kg/cm 2 の条件下で熱圧着したものを用いた。曲率半 径は1.25mmとし、屈曲速度を1,500rpm、ストロー を20mm、カバーレイを外向けに装着する形で IPC屈曲試験を行った。判定は、抵抗値が5%ア プするまでの屈曲回数を測定し、断線まで 屈曲回数が500万回以上3,000万回未満の場合 「可」、3000万回以上の場合を「良」と判定 た。

[耐燃性の評価]
 耐燃性は、UL-94に基づく燃焼試験による難 性の度合を示すレベルで評価し、「VTM-0」、 「耐燃性なし」の2水準で耐燃性を判定した 「VTM-0」は耐燃性があることを意味する。

[ガラス転移温度(Tg)の測定]
 ガラス転移温度は、熱機械分析装置(Bruker社 製、4000SA)を用いて、幅2mm、長さ30mmの試験片 チャック間距離15mmにて、荷重2g、昇温速度5 ℃/分の条件で試験片の長さ方向の熱膨張量 測定し、その変曲点をTgとする。

 本実施例で用いた略号は以下の化合物を示 。
ODPA:3,3',4,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボ ン酸二無水物
DSDA:3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボ ン酸二無水物
BAPP:2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プ パン
HAB:4,4'-(3,3'-ジヒドロキシ)ジアミノビフェニ
樹脂A:ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社 製、商品名NC-3000H;エポキシ当量290)
樹脂B:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂( 日本化薬社製、商品名EOCN-1020;エポキシ当量20 0)
樹脂C:ナフトール型エポキシ樹脂(新日鐵化学 社製、商品名ESN-485;エポキシ当量215)
樹脂D:ナフタレン型エポキシ樹脂(日本化薬社 製、商品名NC-7000L;エポキシ当量230)
樹脂E:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャ ンエポキシレジン社製、商品名Epikote-828;エ キシ当量184~194)
樹脂F:合成例7のナフトール型エポキシ樹脂( セナフテニル基置換型)
樹脂G:合成例9のナフトール型エポキシ樹脂( ンデニル基置換型)
樹脂H:合成例11のナフトール型エポキシ樹脂( チレニル基置換型)
TBC:クエン酸トリブチルエステル
ATBC:アセチルトリブチルシトレート
TCP:トリクレジルホスフェート
DOP:ジ-2-エチルヘキシルフタレート
PPA:ポリプロピレン-アジペート
DOS:ジ-2-エチルヘキシルセバケート
PSX-A及びPSX-B:下式(9)で表されるジアミノシロ サン(但しmの数平均値は1~20の範囲であり、P SX-Aの平均分子量は740、PSX-Bの平均分子量は124 0である。)
PSX-Ph:下式(10)で表されるジアミノシロキサン( 但し、jとnの合計数の数平均値は2~20の範囲で あり、j、n共に1以上であり、平均分子量は132 0である。)
NA樹脂:下式(11)で表される1-ナフトールアラル キル樹脂(新日鐵化学株式会社製 SN-485、重量 平均分子量は485である。)

 

合成例1
 1000mlのセパラブルフラスコに34.12gのODPA(0.11 ル)、200gのN-メチル-2-ピロリドン及び200gの シレンを装入し、室温で良く混合した、次 滴下ロートを用いて26.64gのPSX-A(0.036モル)を 下し、この反応溶液を攪拌下で氷冷し、28.74 gのBAPP(0.07モル)及び0.86gのHAB(0.004モル)を添加 、室温にて2時間攪拌し、ポリアミック酸溶 液を得た。このポリアミック酸溶液を190℃に 昇温し、20時間加熱、攪拌し、対数粘度0.94dl/ gのポリイミド溶液aを得た。

合成例2~5
 表1に示す原料組成とした他は、実施例1と 様にしてポリイミド溶液b~eを調製した。

 

合成例6
 500mlのセパラブルフラスコにNA樹脂180gとア ナフチレン20gを用い、100℃で1時間攪拌し、 加反応を行い、アセナフチレン変性ナフト ルアラルキル樹脂を200g得た。得られたアセ ナフテニル基置換ナフトールアラルキル樹脂 の軟化点は、JIS K 2548に準じて測定した結果 、54℃であり、水酸基当量(OH当量)は236であっ た。また、GPCによるアセナフチレンの付加反 応率は99%であり、アセナフテニル基置換率( フタレン環1モル当たりの、アセナフチレン 付加モル数)は、0.4であった。

合成例7
 次に、このようにして得られたアセナフテ ル基置換ナフトールアラルキル樹脂100gをエ ピクロロヒドリン400gに溶解させ、50%水酸化 トリウム水溶液40gを4時間で添加しながら100m mHgの減圧下において60℃で5時間反応させた。 この反応の間、生成した水はエピクロルヒド リンとの共沸により系外に除去した。
 反応終了後、反応終了後、減圧下に過剰の ピクロルヒドリンを留去し、残留物にメチ イソブチルケトン450gを加えてエポキシ樹脂 を溶解させて減圧濾過し、ろ液からエポキシ 樹脂を回収した。その後20%水酸化ナトリウム 水溶液20gを加え、80℃で2時間反応させた。続 いてろ過、水洗を行い、メチルイソブチルケ トンを減圧留去し褐色のアセナフテニル基置 換ナフトール型エポキシ樹脂(樹脂F)を120g得 。得られた樹脂Fの軟化点は48℃であり、エ キシ当量は308であった。

合成例8
 500mlのセパラブルフラスコにNA樹脂180gとイ デン39gを用い、100℃で1時間攪拌し、付加反 を行い、インダニル基置換のナフトールア ルキル樹脂を218g得た。得られたインダニル 基置換ナフトールアラルキル樹脂の軟化点は 、JIS K 2548に準じて測定した結果、107℃であ り、水酸基当量(OH当量)は261であった。また GPCによるインデンの付加反応率は99%であり インダニル基置換率は0.4であった。

合成例9
 次に、このようにして得られたインダニル 置換ナフトールアラルキル樹脂100gをエピク ロロヒドリン285gに溶解させ、50%水酸化ナト ウム水溶液35gを4時間で添加しながら100mmHgの 減圧下において60℃で5時間反応させた。この 反応の間、生成した水はエピクロルヒドリン との共沸により系外に除去した。
 反応終了後、反応終了後、減圧下に過剰の ピクロルヒドリンを留去し、残留物にメチ イソブチルケトン285gを加えてエポキシ樹脂 を溶解させて、水洗により食塩を除いた。そ の後20%水酸化ナトリウム水溶液20gを加え、80 で2時間反応させた。続いてろ過、水洗を行 い、メチルイソブチルケトンを減圧留去し褐 色のインダニル基置換ナフトール型エポキシ 樹脂(樹脂G)を110g得た。得られた樹脂Gの軟化 は95℃であり、エポキシ当量は320であった

合成例10
 500mlのセパラブルフラスコにNA樹脂180gとス レン35gを用い、140℃で1時間攪拌し、付加反 を行い、α―メチルベンジル基置換のナフ ールアラルキル樹脂を213g得た。得られたα メチルベンジル基置換ナフトールアラルキ 樹脂の軟化点は、JIS K 2548に準じて測定し 結果、88℃であり、水酸基当量(OH当量)は258 あった。また、GPCによるスチレンの付加反 率は99%であり、α―メチルベンジル基置換率 は0.4であった。

合成例11
 次に、このようにして得られたα―メチル ンジル基置換ナフトールアラルキル樹脂100g エピクロロヒドリン290gに溶解させ、50%水酸 化ナトリウム水溶液36gを4時間で添加しなが 100mmHgの減圧下において60℃で5時間反応させ 。この反応の間、生成した水はエピクロル ドリンとの共沸により系外に除去した。
 反応終了後、減圧下に過剰のエピクロルヒ リンを留去し、残留物にメチルイソブチル トン285gを加えてエポキシ樹脂を溶解させて 、水洗により食塩を除いた。その後20%水酸化 ナトリウム水溶液20gを加え、80℃で2時間反応 させた。続いてろ過、水洗を行い、メチルイ ソブチルケトンを減圧留去し、褐色のα―メ ルベンジル基置換ナフトール型エポキシ樹 (樹脂H)を109g得た。得られた樹脂Hの軟化点 75℃であり、エポキシ当量は317であった。

実施例1
 合成例1で得られたポリイミド溶液aの固形 70重量部に対し、樹脂Aの30重量部を混合した 。さらに、シロキサンユニットを有するポリ イミド樹脂及びエポキシ樹脂の合計100重量部 に対し30重量部のTBCを混合し、2時間室温にて 攪拌させて、接着剤樹脂溶液(接着剤樹脂組 物)を調製した。

 この樹脂溶液を縦×横×厚さ=200mm×300mm×25 mのポリイミドフィルム(カネカ社製、商品名 アピカルNPI)の片面に接着剤樹脂溶液を塗布 、135℃で5分間乾燥を行い、接着剤層厚さ25μ mのカバーレイフィルムとした。このフィル における接着剤層を形成する樹脂のガラス 移温度は150℃であった。このフィルムの接 強度1(銅箔との接着力)及び接着強度2(ポリイ ミドフィルムとの接着力)はそれぞれ1.2kN/m、1 .0kN/mであった。また、半田耐熱性については 、膨れ、はがれ等の不良は観察されず、良好 であった。結果を表2及び表3に示す。

実施例2~14
 表1に示す組成で実施例1と同様にしてポリ ミド溶液を調整し、表2に示す組成で樹脂組 物を調製し、フィルムを形成した。表2及び 表3にその諸特性を測定した結果を示す。エ キシ樹脂硬化剤を使用した場合、エポキシ 脂硬化剤としてナフトール樹脂(東都化成社 、SN-485)を使用した。

比較例1
 実施例1において、TBCを使用しなかった以外 は、実施例1と同様にして、フィルムを調整 た。このフィルムはカールし、使用困難で った。フィルムの諸特性を測定した結果を 2及び表3に示す。

比較例2~6
 実施例と同様にして表1に示す組成でポリイ ミド溶液を調製し、表2に示す組成で樹脂組 物を調製し、フィルムを形成した。フィル の諸特性を測定した結果を表2及び表3に示す 。

 

 

実施例15
 合成例1で得られたポリイミド溶液aの固形 70重量部に対し、合成例7で得られた樹脂Fの3 0重量部を混合した。さらに、シロキサンユ ットを有するポリイミド樹脂及びエポキシ 脂の混合樹脂100重量部に対し30重量部のTBCを 混合し、2時間室温にて攪拌させて、接着剤 脂(樹脂組成物)溶液を調製した。

 この樹脂溶液を縦×横×厚さ=200mm×300mm×25 mのポリイミドフィルム(カネカ社製、商品名 アピカルNPI)の片面に接着剤樹脂溶液を塗布 、135℃で5分間乾燥を行い、接着剤層厚さ25μ mのカバーレイフィルムとした。このフィル における接着剤層を形成する樹脂のガラス 移温度は140℃であった。このフィルムの接 強度1及び接着強度2はそれぞれ1.0kN/m、0.8kN/m あった。また、半田耐熱性については、膨 、はがれ等の不良は観察されず、良好であ た。結果を表4及び表5に示す。

実施例16~24
 表1に示す組成で実施例1と同様にしてポリ ミド溶液を調整し、表4に示す組成で樹脂組 物を調製し、フィルムを形成した。表4及び 表5にその諸特性を測定した結果を示す。エ キシ樹脂硬化剤を使用した場合、エポキシ 脂硬化剤としてナフトール樹脂(東都化成社 、SN-485)を使用した。

比較例7
 実施例15において、TBCを使用しなかった以 は、実施例15と同様にして、フィルムを調製 した。このフィルムはカールし、使用困難で あった。フィルムの諸特性を測定した結果を 表4及び表5に示す。

比較例8
 実施例16において、TBCを使用しなかった以 は、実施例16と同様にして、フィルムを調製 した。このフィルムはカールし、使用困難で あった。フィルムの諸特性を測定した結果を 表4及び表5に示す。

比較例9
 実施例17において、TBCを使用しなかった以 は、実施例17と同様にして、フィルムを調製 した。このフィルムはカールし、使用困難で あった。フィルムの諸特性を測定した結果を 表4及び表5に示す。

比較例10~12
 実施例と同様にして表1に示す組成でポリイ ミド溶液を調製し、表4に示す組成で樹脂組 物を調製し、フィルムを形成した。フィル の諸特性を測定した結果を表4及び表5に示す 。これらの比較例10~16では、いずれも接着力 乏しく、特に銅箔に対する接着強度1は0(ゼ )であり、また、半田耐熱性及び耐折性は測 定することができなかった。