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Patent Searching and Data


Title:
CUTTING METHOD AND WIRE SAW DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/149490
Kind Code:
A1
Abstract:
A method for cutting an ingot into a wafer by entraining a wire about a roller with a plurality of groove and, while supplying cutting slurry to the grooved roller, pressing the reciprocating wire against the ingot. A wire saw device cuts the ingot while controlling the temperature of the ingot by supplying ingot temperature regulation slurry while controlling the supply temperature independently from the cutting slurry wherein the ingot temperature regulation slurry is supplied to the ingot only to the delivery side of the reciprocating wire. When the ingot is cut by using a wire saw, sudden cooling of the ingot is reduced especially when the cutting of ingot approaches the end. Consequently, deterioration of nanotopography is suppressed and a method and a wire saw for cutting the ingot into a high quality wafer of uniform thickness are provided.

Inventors:
KITAGAWA KOJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/001143
Publication Date:
December 11, 2008
Filing Date:
May 02, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SHINETSU HANDOTAI KK (JP)
KITAGAWA KOJI (JP)
International Classes:
B28D5/04; B24B27/06; B24B57/02; H01L21/304
Domestic Patent References:
WO2000043162A12000-07-27
Foreign References:
JP2007320011A2007-12-13
JP2003001624A2003-01-08
Attorney, Agent or Firm:
YOSHIMIYA, Mikio (6-11 Ueno 7-chome,Taito-k, Tokyo 05, JP)
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Claims:
 ワイヤを複数の溝付きローラに巻掛けし、該溝付きローラに切断用スラリを供給しつつ、前記ワイヤを往復走行させながらインゴットに押し当て、インゴットをウエーハ状に切断する方法であって、
 前記インゴットに、インゴット温調用スラリを前記切断用スラリとは独立して供給温度を制御して供給することにより、インゴットの温度を制御して切断するようにし、この際に、
 前記インゴットに対し、前記往復走行させるワイヤの出側へのみ、インゴット温調用スラリを供給することを特徴とする切断方法。
 
 前記インゴット温調用スラリを、供給温度を切断開始時から上昇させて、前記インゴットの切り込み深さが少なくとも直径の2/3に達したときに該インゴットの温度と同じにして供給し、その後、供給温度を徐々に下降させながら供給することを特徴とする請求項1に記載の切断方法。
 
 前記インゴット温調用スラリの供給温度を、インゴットの切り込み深さが少なくとも直径の2/3に達した後に徐々に下降させて、切断終了時に前記切断用スラリの供給温度と同じにすることを特徴とする請求項2に記載の切断方法。
 
 少なくとも、ワイヤが巻掛けされた複数の溝付きローラと、該溝付きローラに切断用スラリを供給する手段と、前記切断用スラリとは独立して温度制御されたインゴット温調用スラリを切断されるインゴットに供給する手段を具備し、
 前記切断用スラリ供給手段から前記溝付きローラに切断用スラリを供給しつつ、前記インゴット温調用スラリ供給手段からインゴットにインゴット温調用スラリを供給し、前記ワイヤを往復走行させながらインゴットに押し当て、インゴットをウエーハ状に切断するワイヤソー装置であって、
 該ワイヤソー装置は、前記インゴット温調用スラリの供給位置を制御する手段をさらに備え、該インゴット温調用スラリ供給位置制御手段は、前記切断されるインゴットに対し、前記往復走行させるワイヤの出側へのみインゴット温調用スラリを供給する制御が可能なものであることを特徴とするワイヤソー装置。
 
 前記インゴット温調用スラリ供給位置制御手段は切り替えバルブを備えており、該切り替えバルブの切り替えにより、前記切断されるインゴットに対し、前記ワイヤの出側へのみ、前記インゴット温調用スラリが供給されるものであることを特徴とする請求項4に記載のワイヤソー装置。
 
Description:
切断方法およびワイヤソー装置

 本発明は、ワイヤソー装置(単に、ワイヤソ ーともいう)を用いて、シリコンインゴット 化合物半導体のインゴット等から多数のウ ーハを切り出す切断方法、およびワイヤソ 装置に関する。
 

 近年、ウエーハの大型化が望まれており、 の大型化に伴い、インゴットの切断には専 ワイヤソーが使用されている。
 ワイヤソーは、ワイヤ(高張力鋼線)を高速 行させて、ここにスラリを掛けながら、イ ゴット(ワーク)を押し当てて切断し、多数の ウエーハを同時に切り出す装置である(特開 9-262826号公報参照)。

 ここで、図6に一般的なワイヤソーの一例の 概要を示す。
 図6に示すように、ワイヤソー101は、主に、 インゴットを切断するためのワイヤ102、ワイ ヤ102を巻回した溝付きローラ103(ワイヤガイ )、ワイヤ102に張力を付与するための手段104 切断されるインゴットを送り出す手段105、 断時にスラリを供給する手段106で構成され いる。

 ワイヤ102は、一方のワイヤリール107から り出され、トラバーサ108を介してパウダク ッチ(定トルクモータ109)やダンサローラ(デ ドウェイト)(不図示)等からなる張力付与手 104を経て、溝付きローラ103に入っている。 イヤ102はこの溝付きローラ103に300~400回程度 巻掛けられた後、もう一方の張力付与手段104 ’を経てワイヤリール107’に巻き取られてい る。

 また、溝付きローラ103は鉄鋼製円筒の周 にポリウレタン樹脂を圧入し、その表面に 定のピッチで溝を切ったローラであり、巻 けられたワイヤ102が、駆動用モータ110によ て予め定められた周期で往復方向に駆動で るようになっている。

 なお、インゴットの切断時には、図7に示 すようなインゴット送り手段105によって、イ ンゴットは溝付きローラ103に巻回されたワイ ヤ102に送り出される。このインゴット送り手 段105は、インゴットを送りだすためのインゴ ット送りテーブル111、LMガイド112、インゴッ を把持するインゴットクランプ113、スライ あて板114等からなっており、コンピュータ 御でLMガイド112に沿ってインゴット送りテ ブル111を駆動させることにより、予めプロ ラムされた送り速度で先端に固定されたイ ゴットを送り出すことが可能である。

 そして、溝付きローラ103、巻掛けられた イヤ102の近傍にはノズル115が設けられてお 、切断時にスラリタンク116から、溝付きロ ラ103、ワイヤ102にスラリを供給できるよう なっている。また、スラリタンク116にはス リチラー117が接続されており、供給するス リの温度を調整できるようになっている。

 このようなワイヤソー101を用い、ワイヤ1 02にワイヤ張力付与手段104を用いて適当な張 をかけて、駆動用モータ110により、ワイヤ1 02を往復方向に走行させながらインゴットを ライスする。

 一方、ウエーハにおいて、近年、「ナノ ポグラフィ」と呼ばれる表面うねり成分の 小が問題となっている。このナノトポグラ ィは、ウエーハの表面形状の中から「反り や「Warp」より波長が短く、「表面粗さ」よ りは波長の長い、λ=0.2~20mmの波長成分を取り したものであり、PV値は0.1~0.2μm以下の極め 浅いうねりである。このナノトポグラフィ デバイス製造におけるSTI(Shallow Trench Isolati on)工程の歩留まりに影響するといわれている 。

 ナノトポグラフィはウエーハの加工工程( スライス~研磨)中で作り込まれるものである 、そのうち、ワイヤソー・スライス起因の ノトポグラフィ(すなわち、スライスうねり )は、図8に示すように、「突発的に発生する の」、「切断開始または終了部分に発生す もの」および「周期性のあるもの」の3種類 に分類されることが分かった。

 そのうち「ウエーハの切断開始・終了部分 に発生するものは、ナノトポグラフィの数 判定で不合格になる率が高い。特に、「切 終了部分」のナノトポグラフィは「切断開 部分」のナノトポグラフィに比べて大きく ウエーハ面内でナノトポグラフィの数値を も悪化させる箇所となったり、数値判定で 良となる頻度が高く、改善が強く望まれて る。
 

 そこで、本発明者らは、図6に示すような従 来のワイヤソーを用いて切断されたスライス ウエーハにおけるナノトポグラフィーについ て調査を行った。
 図9に静電容量型測定機で測定したスライス ウエーハのWarp断面形状と「疑似ナノトポグ フィ」を例示する。疑似ナノトポグラフィ は、スライスウエーハのWarp断面波形にラッ や研削および研磨の加工特性を模したバン パス・フィルタをかけることで、研磨後ウ ーハのナノトポグラフィと相関のある数値 擬似的に得るものである。

 一般に、ナノトポグラフィはポリッシュ に測定するものであるが、上記のようなス イスウエーハから擬似ナノトポグラフィを めて、これを用いることにより、コストや 間をかけずに済むし、また、スライス後の 磨等の工程における要因の影響を受けず、 ライスのみの影響によるナノトポグラフィ 調査し易い。

 このような調査を行うことにより、従来に いて最も改善が望まれる切断終了部付近の ノトポグラフィは、この箇所でウエーハのW arp形状が急峻に変化していることが原因であ ることが分かった。
 図9(A)は、形状マップにもある通り、切断終 了部付近の箇所における形状の変化が小さい ものを示したものであるが、擬似ナノトポグ ラフィを見て判るように、切断終了部付近の 箇所において、その変化の大きさは±0.1μmの 囲で抑えられており比較的小さなものであ 。一方、図9(B)、(C)に示すように、切断終了 部付近の箇所における形状が急峻に大きく変 化している場合、その箇所において、擬似ナ ノトポグラフィの大きさは、-0.3~0.4の範囲と っており、図9(A)の場合に比べて大きなもの となっていることが判る。
 なお、全体の形状変化が多少大きくても緩 かな変化であれば、ナノトポグラフィはほ んど悪化しない。急激に形状が変化してい ことが大きくナノトポグラフィに影響して る。

 そこで、次に、図9に示すような切断終了部 付近の箇所における急峻な変化がスライスウ エーハに発生している原因を調べた。
 まず、スライスウエーハの形状の変化、す わち、インゴット切断時におけるワイヤの 断軌跡の一例を図10に示す。図10に示すよう に、特にインゴットの両端付近の切断終了部 分でワイヤの軌跡が大きく外側に広がってお り、そのために、スライスウエーハのWarp断 形状が急峻に変化してしまう。

 このような断面形状(切断軌跡)が生じる 能性について以下のような調査を行ったと ろ、図11に示すように、切断終了時付近にお いてインゴットがその軸方向に収縮すること により、ワイヤによる切断軌跡がインゴット の端部に向かって曲がってしまうことが主な 原因であることがわかった。

 調査方法としては、図6のような従来のワ イヤソーを用い、試験用に用意した直径300mm 長さ250mmのシリコンインゴットを切断した ワイヤには2.5kgfの張力をかけて、500m/minの平 均速度で60s/cのサイクルでワイヤを往復方向 走行させて切断した。また、切断用スラリ 供給温度は、図12(A)に示す温度プロファイ とした。なお、温度は熱電対を使用してイ ゴット両端(切り込み深さ285mm位置)で計測し (図12(B)参照)。

 切断中のインゴットの温度変化を実測した 果を図12(A)に示す。
 切断中にインゴットの温度は最大で13℃上 して約36℃になり、また、切断終了部付近( の場合、切り込み深さ275mm~300mm)において、 激に約10℃低下した。これは、切断終了付近 でのWarp形状が急変する位置と一致している また、上記切断終了部付近においては、熱 張係数から計算し、インゴットの軸方向に 10μm程度急激に収縮していることが判る。

 これは、まず図13に示すように、切断開始 から切断中盤期まではインゴットは切断用 ラリが直接かかることはなくあまり冷却さ にくく、加工熱はインゴット中に蓄積され が、図14に示すように、切断終了部付近では 、切断がすすんでインゴットが降下し、22~24 に冷却された切断用スラリがインゴットに 接かかるようになるとともに、切断終了部 近では切断負荷が最大値の1/2以下に減少す ことから、インゴットの温度が切断用スラ と同じ温度まで急冷されるためと考えられ 。
 なお、図12(A)で、切り込み深さ200mm以降で、 一旦低下したインゴットの温度が再び上昇し ているのは、ここでスラリの流量を絞ってい るためである。

 以上のような調査から、切断終了部付近 箇所におけるWarp形状の急峻な変化に起因す るナノトポグラフィを改善するためには、切 断終了部付近での急峻なインゴットの温度の 低下が起きないように、切断中のインゴット の温度を制御することが重要であることが判 明した。

 ここで、切断時のインゴットの温度を制御 るため、WO00/43162号公報に、インゴット切断 時に、溝付きローラに切断用スラリを供給す るとともに(切断用スラリノズル115)、インゴ トの温度を調整するためのインゴット温調 スラリをインゴットに供給(インゴット温調 用スラリノズル115’)する手法が開示されて る。図15に、切断用スラリとインゴット温調 用スラリを説明する説明図を示す。
 しかしながら、本発明者らがこのような従 の手法により切断されたスライスウエーハ ついて調査を行ったところ、ウエーハの中 領域において、ウエーハ厚の精度が標準条 の3~20倍となり厚さ均一性が著しく悪化して いることが判った。図16に、従来法により得 れたスライスウエーハの厚さ形状を示す。 のようなウエーハは実際には製品として用 るのは難しい。

 そこで、本発明者らが、上記インゴット 温度を制御して急冷を軽減できる方法、お び上記文献WO00/43162号公報におけるウエーハ 厚の変化について鋭意研究を重ねたところ、 図15に示すような上記の従来の方法であると 切断が進行してインゴットの中心領域を切 するときに、切断用スラリとインゴット温 用スラリとが大きく干渉して流れが乱れ、 ンゴットの中心領域における切断形状に強 影響を与えてしまうことが判った。図17に これらのスラリ同士による干渉の説明図を す。これにより、図16のような、中心領域に おいて厚さの精度が標準条件から著しく逸脱 したスライスウエーハとなってしまう。

 そこで、本発明は、上記問題点を鑑みてな れたもので、ワイヤソーを用いてインゴッ を切断する際、特にインゴットの切断終了 付近におけるインゴットの急激な冷却を軽 し、その結果ナノトポグラフィの悪化を抑 するとともに、さらに厚さも均一な高品質 ウエーハに切断する方法を提供することを 的とする。
 また、上記のようなナノトポグラフィの悪 が抑制され、厚さの均一な高品質なウエー に切断することが可能なワイヤソー装置を 供することを目的とする。

 上記目的を達成するために、本発明は、ワ ヤを複数の溝付きローラに巻掛けし、該溝 きローラに切断用スラリを供給しつつ、前 ワイヤを往復走行させながらインゴットに し当て、インゴットをウエーハ状に切断す 方法であって、
 前記インゴットに、インゴット温調用スラ を前記切断用スラリとは独立して供給温度 制御して供給することにより、インゴット 温度を制御して切断するようにし、この際 、
 前記インゴットに対し、前記往復走行させ ワイヤの出側へのみ、インゴット温調用ス リを供給することを特徴とする切断方法を 供する。

 このように、まず、切断されるインゴット 、インゴット温調用スラリを切断用スラリ は独立して供給温度を制御して供給するこ により、インゴットの温度を制御して切断 るので、インゴットの切断終了時付近にお るインゴットの急激な冷却を軽減し、切断 跡、Warp形状の急峻な変化が発生するのを抑 制して、スライスウエーハにおけるナノトポ グラフィを改善することが可能である。
 さらには、この際に、インゴットに対し、 復走行させるワイヤの出側へのみ、インゴ ト温調用スラリを供給するので、インゴッ を厚さが均一なウエーハに切断することが きる。これは、供給したインゴット温調用 ラリと切断用スラリが干渉し、これらのス リの流れが大きく乱れたとしても、そもそ 、往復走行させるワイヤの出側にしかイン ット温調用スラリを供給していないため、 記乱れが生じるのはワイヤの出側のみであ し、ワイヤの出側であるため、この位置で じるスラリの乱れがインゴットの切断自体 強い影響を与えることはないからである。 たがって、インゴットの切断形状が大きく れることはなく、従来法のようにウエーハ 中心領域で厚さの精度が悪化するのを抑制 きる。
 以上より、ウエーハ厚さの均一性が高く、 かもナノトポグラフィの悪化が抑制された 品質のスライスウエーハを得ることができ 。

 このとき、前記インゴット温調用スラリ 、供給温度を切断開始時から上昇させて、 記インゴットの切り込み深さが少なくとも 径の2/3に達したときに該インゴットの温度 同じにして供給し、その後、供給温度を徐 に下降させながら供給するのが好ましい。

 このような温度制御でインゴット温調用 ラリを供給すれば、切断中にインゴットの 度を急激に変化させることもなく、特に、 断終了部付近におけるインゴットの急冷を めて効率良く軽減することが可能である。

 さらには、このとき、前記インゴット温調 スラリの供給温度を、インゴットの切り込 深さが少なくとも直径の2/3に達した後に徐 に下降させて、切断終了時に前記切断用ス リの供給温度と同じにするのが好ましい。
 このように、インゴット温調用スラリの温 を切断終了時に切断用スラリの供給温度と じにすれば、インゴットの切断終了時付近 おいて過剰に冷却してしまうこともないし 切断用スラリの温度にまでインゴットの温 をよりなめらかに下降させることができ、 ンゴットに急冷が発生するのをより効果的 軽減することができる。

 また、本発明は、少なくとも、ワイヤが巻 けされた複数の溝付きローラと、該溝付き ーラに切断用スラリを供給する手段と、前 切断用スラリとは独立して温度制御された ンゴット温調用スラリを切断されるインゴ トに供給する手段を具備し、
 前記切断用スラリ供給手段から前記溝付き ーラに切断用スラリを供給しつつ、前記イ ゴット温調用スラリ供給手段からインゴッ にインゴット温調用スラリを供給し、前記 イヤを往復走行させながらインゴットに押 当て、インゴットをウエーハ状に切断する イヤソー装置であって、
 該ワイヤソー装置は、前記インゴット温調 スラリの供給位置を制御する手段をさらに え、該インゴット温調用スラリ供給位置制 手段は、前記切断されるインゴットに対し 前記往復走行させるワイヤの出側へのみイ ゴット温調用スラリを供給する制御が可能 ものであることを特徴とするワイヤソー装 を提供する。

 このように、本発明のワイヤソー装置は、 ず、インゴット温調用スラリを切断される ンゴットに供給する手段を具備しているこ から、インゴットの温度を制御して切断で 、インゴットの切断軌跡、Warp形状の急峻な 変化が発生するのを抑制し、ナノトポグラフ ィの悪化を抑制できるものとなる。
 さらには、インゴット温調用スラリの供給 置を制御する手段をさらに備え、該インゴ ト温調用スラリ供給位置制御手段は、切断 れるインゴットに対し、往復走行させるワ ヤの出側へのみインゴット温調用スラリを 給する制御が可能なものであるため、イン ット温調用スラリと切断用スラリが干渉し これらのスラリの流れが大きく乱れるのを イヤの出側のみにすることができ、インゴ トの切断形状が大きく乱れることなく、厚 の均一性が高い高品質なスライスウエーハ 切り出すことが可能なものとなる。

 このとき、インゴット温調用スラリ供給 置制御手段は切り替えバルブを備えており 該切り替えバルブの切り替えにより、切断 れるインゴットに対し、ワイヤの出側への 、インゴット温調用スラリが供給されるも とすることができる。

 このような切り替えバルブを備えたもの あれば、このバルブの周期的な切り替えに り、簡便に、切断されるインゴットに対し ワイヤの出側へのみ、インゴット温調用ス リの供給を制御することができるものとな 。

 本発明の切断方法およびワイヤソー装置で れば、特には切断終了時付近のインゴット 急冷を軽減することが可能であり、ナノト グラフィの悪化が効果的に抑制され、しか 、中心領域においてウエーハ厚さの精度が 化することなく、均一な厚さを有する高品 のスライスウエーハを得ることができる。
 

本発明の切断方法に使用できるワイヤ ーの一例を示す概略図である。 本発明の切断方法におけるスラリの供 温度プロファイルの一例を示すグラフであ 。(A)切断用スラリ、(B)インゴット温調用ス リ。 実施例、比較例1におけるインゴットの 温度変化を示すグラフである。 実施例におけるスライスウエーハの厚 分布を示すグラフである。 擬似ナノトポグラフィのレベルを示す ラフである。(A)実施例の結果、(B)比較例1の 結果。 従来のワイヤソーの一例を示す概略図 ある。 インゴット送り手段の一例を示す概略 である。 ワイヤソー・スライス起因のナノトポ ラフィの分類を示す説明図である。 スライスウエーハのWarp断面形状および 擬似ナノトポグラフィ波形の測定図である。 インゴット切断時におけるワイヤの切 断軌跡の一例を示す概略図である。 インゴット切断時におけるインゴット の収縮と切断軌跡の一例を示す説明図である 。 インゴットが軸方向に収縮する可能性 についての試験結果である。(A)切断中のイン ゴットの温度変化および切断用スラリの供給 温度プロファイルを示すグラフ、(B)インゴッ トの温度の測定方法を説明する説明図。 切断開始時のインゴットと切断用スラ リの関係を示す説明図である。 切断終了部近傍のインゴットと切断用 スラリの関係を示す説明図である。 切断用スラリノズルとインゴット温調 用スラリノズルを説明する説明図である。 従来法により得られたスライスウエー ハの厚さ形状を示すグラフである。 切断用スラリとインゴット温調用スラ リとの干渉を説明する説明図である。(A)切断 開始時、(B)インゴット中心領域を切断してい る時。

 以下では、本発明の実施の形態について説 するが、本発明はこれに限定されるもので ない。
 上述したように、インゴットの切断終了部 近での急激なインゴットの温度の低下を防 するため、例えばWO00/43162号公報に、インゴ ット切断時に、溝付きローラに切断用スラリ を供給するとともに、インゴットの温度を調 整するためのインゴット温調用スラリをイン ゴットに供給する手法が開示されている(図15 参照)。しかしながら、この手法ではウエー の中心領域において、厚さ均一性が著しく 化してしまう。

 本発明者は、このウエーハ厚さの均一性が 化するのは、切断用スラリとインゴット温 用スラリが大きく干渉して流れが乱れ、イ ゴットを切断するときに、その切断形状に 響を与えてしまうことが原因であることを 出した。
 そして、従来のように、インゴットに対し 、往復走行してインゴットを切断するワイ の入側および出側の両方側にインゴット温 用スラリを供給するのではなく、ワイヤの 側のみに供給すれば、たとえ切断用スラリ インゴット温調用スラリが干渉して乱れて 、その乱れが発生するのはワイヤの出側で り、ワイヤの入側で発生するのを防ぎ、上 スラリの乱れがインゴットの切断に大きな 響を与えることはなく、その結果、インゴ トの中心領域の厚さの精度が悪化するのを 止することができることを見出し、本発明 完成させた。

 以下、まず、本発明のワイヤソー装置につ て、図面を参照しながら詳細に説明するが 本発明はこれに限定されるものではない。
 図1に、本発明のワイヤソー装置の一例の概 略を示す。
 図1に示すように、本発明のワイヤソー装置 1は、主に、インゴットを切断するためのワ ヤ2、溝付きローラ3、ワイヤ張力付与手段4 インゴット送り手段5、切断用スラリ供給手 6、インゴット温調用スラリ供給手段6’、 ンゴット温調用スラリ供給位置制御手段7で 成されている。

 ここで、まず、切断用スラリ供給手段6、 すなわち、溝付きローラ3(ワイヤ2)に切断用 スラリを供給する手段について述べる。こ 切断用スラリ供給手段6では、スラリタンク1 6から、コンピュータ18の温度制御部(切断用 ラリ)により制御された熱交換器(切断用スラ リ用)19を介してノズル(切断用スラリノズル)1 5に接続されており、切断用スラリは、熱交 器19により供給温度が制御されて、ノズル15 ら溝付きローラ3に供給できるようになって いる。

 また、インゴット温調用スラリ供給手段6 ’、すなわち、切断されるインゴットに、そ の温度を調節するためのスラリ(インゴット 調用スラリ)を直接供給する手段では、スラ タンク16から、コンピュータ18の温度制御部 (インゴット温調用スラリ)により制御された 交換器(インゴット温調用スラリ用)19’を介 してノズル(インゴット温調用スラリノズル)1 5’に接続されている。インゴット温調用ス リは、熱交換器19’により供給温度が制御さ れて、ノズル15’からインゴットに供給でき ようになっている。

 このように、本発明のワイヤソー装置1では 、切断用スラリとインゴット温調用スラリは 、各々異なる熱交換器19、19’を介して供給 れるものとすることができ、切断用スラリ インゴット温調用スラリの供給温度を別個 制御できる構成となっている。
 このため、インゴット温調用スラリ供給手 6’により、インゴット温調用スラリの供給 温度を独自に調整してインゴットに供給する ことができ、切断中のインゴットの温度を制 御することが可能であり、インゴットの温度 の急激な変化により、切断軌跡やWarp形状の 峻な変化が発生するのを防止することがで る。したがって、これらを起因とするナノ ポグラフィの悪化を抑制することが可能で る。

 なお、当然、図1に示す上記のような構成に 限定されず、例えば別個のスラリタンクを配 設し、スラリタンクごとにスラリチラーを接 続した構成とすることにより、それぞれのス ラリタンク内のスラリの温度、つまりはスラ リの供給温度を別々に制御するような構成と することもできる。切断用スラリおよびイン ゴット温調用スラリの供給温度を、それぞれ 独立して制御できる機構であれば良い。
 これらのスラリの種類は特に限定されず、 来と同様のものを用いることができる。例 ばGC(炭化珪素)砥粒を液体に分散させたもの とすることができる。

 次に、インゴット温調用スラリ供給位置制 手段7について述べる。このインゴット温調 用スラリ供給位置制御手段7は、例えば、主 切り替えバルブ20、コンピュータ18のインゴ ト温調用スラリ供給位置制御部18aから構成 れるものとすることができる。
 ここで、切り替えバルブ20は、図1に示すよ に、熱交換器19’とノズル15’との間に配設 されており、熱交換器19’を介してスラリタ ク16から送られてくるインゴット温調用ス リを、ノズル15’Lまたはノズル15’R、ある はこれらの双方へ、送る方向を切り替えて 御するためのバルブである。なお、ノズル15 ’において、ワイヤソー装置1の正面側(すな ち、図1の手前側)から見て、左側のノズル 15’L、右側のノズルを15’Rとする。
 このように、切り替えバルブ20があれば、 便かつ確実に、切り替えによってインゴッ 温調用スラリの送り方向を制御できる。な 、バルブ自体は従来から用いられているも を使用することができる。

 そして、切り替えバルブ20と、ワイヤ2を走 させるための駆動用モータ10は、コンピュ タ18と接続されており、インゴット温調用ス ラリ供給位置制御部18aによって、自動的に、 駆動用モータ10の駆動に応じて切り替えバル 20が切り替わるよう制御されている。
 より具体的に説明すると、例えば、駆動用 ータ10によって、ワイヤソー装置1の正面側 ら見て、ワイヤ2が右側から左側へと走行し てインゴットを切断する場合、このワイヤ2 走行方向に対応して、インゴット温調用ス リ供給位置制御部18aから切り替えバルブ20に 対して、バルブを切り替えて左側のノズル15 Lへのみ開放するよう信号を出すことができ る。これにより、インゴット温調用スラリは 左側のノズル15’Lへ送られ、インゴットの左 側、すなわち、この場合インゴットを切断す るワイヤ2がインゴットから出てくる側(ワイ 2の出側)へのみ供給される。

 また、ワイヤ2が左側から右側へと走行し てインゴットを切断する場合、このワイヤ2 走行方向に対応して、インゴット温調用ス リ供給位置制御部18aから切り替えバルブ20に 対して、バルブを切り替えて右側のノズル15 Rへのみ開放するよう信号を出すことができ る。これにより、インゴット温調用スラリは 右側のノズル15’Rへ送られ、インゴットの右 側、すなわちこの場合もワイヤ2の出側への 供給される。

 このように、本発明のワイヤソー装置1に おいては、上記インゴット温調用スラリ供給 位置制御手段7を備えており、少なくとも、 断されるインゴットに対し、往復走行させ ワイヤ2の出側へのみインゴット温調用スラ を供給する制御ができるものとなっている このため、本発明のワイヤソー装置1であれ ば、インゴットの切断において、切断用スラ リに加えてインゴット温調用スラリを供給し ても、ワイヤ2がインゴットに入る側(ワイヤ2 の入側)にはインゴット温調用スラリが供給 れないようにし、ワイヤ2の出側のみにイン ット温調用スラリが供給されるようにする とが可能である。そのため、従来では生じ いたワイヤ2の入側でのインゴット温調用ス ラリと切断用スラリとの大きな干渉は発生せ ず、スラリ同士の干渉による乱れも起こらず 、インゴットの切断形状が大きく乱れるのを 効果的に防止することができる。一方、ワイ ヤ2の出側で、インゴット温調用スラリと切 用スラリの大きな干渉が発生して乱れが生 たとしても、ワイヤ2がインゴットを切断し 出てくる側であるため、インゴットの切断 状に大きな影響を与えることはない。した って、本発明のワイヤソー装置1であれば、 ウエーハ中心領域の厚さ精度が悪化すること なく、厚さが均一なウエーハに切り出すこと ができる。

 ただし、上記インゴット温調用スラリ供 位置制御手段7の機能としては、上記の切り 替えバルブ20の一方だけが開放される制御の に限定されず、さらに、例えば、バルブを り替えて左右両側のノズル15’L、ノズル15 Rへ開放するよう信号を出すこともでき、必 に応じてノズル15’L、ノズル15’Rの両方か インゴット温調用スラリを供給することも 能である。例えば、切断開始前にインゴッ の初期温度を調整する場合に、両方のノズ 15’L、15’Rからインゴット温調用スラリを 給して、インゴットの温度をすばやく設定 度にすることができる。

 なお、インゴット温調用スラリ供給位置 御手段7は、上記切り替えバルブ20を用いた のに限定されず、例えば、ノズル15’L、ノ ル15’Rは異なるラインでスラリタンク16か インゴット温調用スラリが送られるように っており、各ラインには別個にバルブが設 られ、各々のバルブの開閉の制御により、 ンゴット温調用ノズルの供給位置を制御す ことも可能である。

 また、コンピュータ18のノズル・インゴッ 送り制御部は、切断用スラリを供給するノ ル15、インゴット送り手段5と接続されてお 、予め設定したプログラムにより、所定の ンゴットの送り量、すなわち所定のインゴ トの切断量に対して、自動的にノズル15から 所定量、所定のタイミングで切断用スラリを 溝付きローラ3に供給できるようになってい 。
 さらに、コンピュータ18のノズル・インゴ ト送り制御部は、インゴット温調用スラリ 供給するノズル15’にもまた接続されている が、このインゴット温調用スラリのインゴッ トへの供給に関しては、上記のように、ワイ ヤ2の走行方向に対応したタイミング、供給 置(ノズル15’L、ノズル15’R)が考慮されてプ ログラムされている。

 また、ワイヤ2、溝付きローラ3、ワイヤ張 付与手段4、インゴット送り手段5は、図6の 来のワイヤソー101と同様のものとすること できる。
 ワイヤ2の種類や太さ、溝付きローラ3の溝 ッチ、さらには他の手段における構成等は に限定されるものではなく、従来のものに い、所望の切断条件となるようにその都度 定することができる。
 例えば、ワイヤ2は、幅0.13mm~0.18mm程度の特 ピアノ線からなるものとし、(所望のウエー 厚さ+切り代)の溝ピッチを有する溝付きロ ラ3とすることができる。

 以下、このような本発明のワイヤソー装置1 を用い、本発明の切断方法を実施する手順に ついて説明する。
 まず、インゴット送り手段5により、把持し たインゴットを所定速度で下方に送り出すと ともに、溝付きローラ3を駆動させて、ワイ 張力付与手段4により張力が付与されたワイ 2を往復方向に走行させる。なお、このとき のワイヤ2に付与する張力の大きさや、ワイ 2の走行速度等は適宜設定することができる 例えば、2.5~3.0kgfの張力をかけて、400~600m/min の平均速度で1~2c/min(30~60s/c)のサイクルで往復 方向に走行させることができる。切断するイ ンゴット等に合わせて決めれば良い。

 また、ノズル15より、切断用スラリを溝付 ローラ3およびワイヤ2に向けて供給を開始す るが、この供給温度等も自由に設定すること ができる。例えば、室温(25℃)程度とするこ ができる。
 図2(A)に、本発明の切断方法における切断用 スラリの供給温度プロファイルの一例を示し ておく。なお、このような温度プロファイル で切断用スラリを供給することができるが、 これに限定されない。

 さらに、ノズル15’Lまたはノズル15’Rか 、インゴット温調用スラリをインゴットに けて直接供給する。このとき、インゴット 調用スラリ供給位置制御手段7により、イン ゴット温調用スラリの供給位置を制御しなが ら供給を行う。すなわち、インゴット温調用 スラリ供給位置制御部18aによって、往復走行 するワイヤ2の走行方向に対応させて、ワイ 2の出側に位置するノズルへのみインゴット 調用スラリが送られるように、切り替えバ ブ20を自動的に切り替える。これにより、 ンゴット温調用スラリの供給位置を制御し インゴットに対して、ワイヤ2の出側へのみ ンゴット温調用スラリを供給する。

 このようにして、本発明の切断方法では ワイヤ2の出側へのみインゴット温調用スラ リを供給することができるので、切断中に、 ワイヤ2の入側にインゴット温調用スラリが 給されるのを防止し、ワイヤ2の入側でイン ット温調用スラリと切断用スラリとが大き 干渉してスラリの流れに乱れが発生するの 抑制し、インゴットの切断形状に大きな影 を与えるのを防ぐことができる。したがっ 、上記スラリ同士の大きな干渉を起因とす 、中心領域におけるウエーハ厚さの均一性 悪化を効果的に防止することができる。

 また、ワイヤ2の出側でスラリ同士の干渉 が生じても、その干渉位置はワイヤ2がイン ットを切り終えた後の箇所であるため、当 、そのときのワイヤ2の走行方向においては この干渉がインゴットの切断に関係するこ はなく、切断形状ひいてはウエーハ厚さに きな影響を与えることはない。

 なお、切断中におけるインゴット温調用ス リの温度プロファイルは、例えば図2(B)のよ うに設定することができる。ここで、このイ ンゴット温調用スラリの温度プロファイルに ついて述べる。
 本発明の切断方法においては、図2(B)に示す ように、まず、例えば室温程度で供給し始め 、その後、徐々に上昇させていくと良い。こ れは、切断によって徐々に上昇していくイン ゴットの温度に対応させたものであり、イン ゴット温調用スラリによってインゴットが過 度に冷却等されて急峻に変化するのを抑制す ることができる。

 そして、インゴットの切り込み深さが少な とも直径の2/3に達したときにインゴットの 度と同じにして供給し、その後、供給温度 徐々に下降させながら供給するのが好まし 。さらには、切断終了時に前記切断用スラ の供給温度と同じにすると良い。
 切り込み深さが少なくとも直径の2/3に達す と、切断負荷の減少や22~24℃程度の切断用 ラリが直接インゴットにかかるようになる 、このとき、インゴット温調用スラリをイ ゴットと同じ温度でインゴットに直接供給 ていること、また、その後、供給温度を徐 に下降させながら供給することにより、切 中のインゴットの温度を急変させることな 、緩やかに冷却させることができる。
 また、切断終了時に切断用スラリの供給温 と同じにすることで、インゴット温調用ス リによりインゴットが過度に冷却されるこ を防ぐことができる。

 インゴット温調用スラリを以上のような温 プロファイルで供給することにより、特に 従来問題となっていた切断終了部付近にお る切断軌跡の急激な変化を防ぎ、切断され ウエーハにおいて、Warp形状が急峻に変化す るような箇所をなくし、ナノトポグラフィを 著しく改善することが可能である。
 なお、インゴット温調用スラリの温度プロ ァイルは、図2(B)のパターンに限定されるこ とはなく、切断するインゴットの種類や切断 用スラリの供給温度等に応じて、その都度決 定することができる。

 以上のような本発明の切断方法でインゴッ を切断することにより、切断終了部付近で 生していたナノトポグラフィの悪化が抑制 れ、しかも、ウエーハ中心領域での切断形 が大きく悪化するのを防ぎ、ウエーハ厚さ 精度が通常レベルまで回復した高品質のス イスウエーハを得ることができる。
 

 以下、本発明を実施例によりさらに詳細に 明するが、本発明はこれに限定されない。
(実施例)
 図1に示す本発明のワイヤソーを用い、直径 300mm、軸方向長さ200mmのシリコンインゴット 本発明の切断方法によりウエーハ状に切断 、190枚のスライスウエーハを得た。
 直径160μmのワイヤを使用し、2.5kgfの張力を けて、500m/minの平均速度で60s/cのサイクルで ワイヤを往復方向に走行させて切断した。

 このとき、切断用スラリは切断開始時より 給し、図2(A)に示す温度プロファイルで溝付 きローラに供給した。
 また、インゴット温調用スラリは、インゴ トに対し、ワイヤの出側にのみ供給した。 なわち、装置正面側(図1手前側)から見てワ ヤが左側から右側に走行する際には、右側 ノズル15’Rからのみ噴射し、逆にワイヤが 側から左側に走行する際には、左側のノズ 15’Lからのみ噴射するように、図2(B)に示す 温度プロファイルで切断開始時から供給した 。
 また、図12(B)のように熱電対を配置し、切 中のインゴットの温度変化を測定した。

 このときのインゴット温度変化を図3に示す 。図3には、比較のためにインゴット温調用 ラリを供給しない場合のインゴットの温度 化(後述する比較例1)も一緒に示している。
 図3に示すように、図2(B)の温度プロファイ に従ってインゴット温調用スラリを供給す ことにより、切断中のインゴット温度の変 は緩やかになり、特に、従来の切断方法を いた比較例1と比較して、切断終了部付近に ける急冷が十分に軽減されていることが分 る。

 また、実施例で得られたスライスウェー の厚さ分布を測定した。代表として、イン ットの頭側から20、40、60、80、100、120、140 160枚目における測定結果を図4に示す。この うにいずれのサンプルでも、特に中心領域 おいて均一な厚さ分布を得られていること 分かる。後述する比較例2のように、インゴ ット温調用スラリを左右のノズル両方から連 続的に供給するような場合では、このような 均一な厚さ分布は得られない。

 また、上記実施例と同様の方法で複数の ンゴットを切断し、得られたスライスウェ ハにおいて、疑似ナノトポグラフィについ も調査を行ったところ、それぞれ図5(A)に示 す結果が得られた。図5は、インゴットの軸 向の位置を横軸として、切断終了時付近に ける疑似ナノトポグラフィのレベルを示し ものである。このように、インゴットのど 領域においても、上限値(相対値で0.6)を上回 ることはなく、さらにはインゴットの各領域 での平均値は、前端部で0.16、中央部で0.12、 端部で0.13であり、極めて小さな値に制御で きていることが分かる。

 このように、本発明の切断方法によって、 ノトポグラフィを極めて良く制御すること でき、また、厚さ分布も均一な高品質のウ ーハを得ることができた。このようなウェ ハであれば、デバイス工程での歩留まりが いものとすることができる。
 

(比較例1)
 インゴット温調用スラリを供給しないこと 外は実施例と同様にして、実施例で用いた のと同様のシリコンインゴットを切断し、1 90枚のウェーハを得た。

 図3に示すように、比較例1での切断中のイ ゴット温度に関しては、切断終了部付近(275~ 300mm)において、インゴットが急冷されている ことが分かる。
 そして、図5(B)に示すように、得られたスラ イスウェーハにおいて、疑似ナノトポグラフ ィのレベルが高くなってしまっている。イン ゴット前端部では平均0.59、中央部は0.29、後 部は0.45であり、各領域において図5(A)に示 実施例のデータの2.4~3.7倍となっている。特 、インゴット前端部、後端部から切り出さ たウェーハの切断終了部付近では、0.6の上 値を超えてしまう場合もあった。
 このようなレベルのナノトポグラフィを有 るウェーハでは、デバイス製造工程の歩留 りに大きな影響を及ぼしてしまう。
 

(比較例2)
 インゴット温調用スラリをワイヤの走行方 にかかわらず、左右のノズル15’Lおよび15 Rから連続的に供給し、それ以外は実施例と 様にして、実施例と同様のシリコンインゴ トを切断し、190枚のウェーハを得た。なお インゴット温調用スラリの供給温度プロフ イルも、実施例と同じにした。

 比較例2の結果、インゴットにおいて、切断 終了部付近の急冷を防ぐことはできた。
 しかしながら、切り出されたスライスウェ ハの厚さ分布を測定したところ、図16に示 例と同じように中心領域における厚さが著 く変動してしまった。これは、本発明を実 した実施例とは異なり、インゴット温調用 ラリを左右のノズル15’Lおよび15’Rから連 的に供給したため、ワイヤの入側にも当然 ンゴット温調用スラリが供給され、特に、 ンゴットの中心領域を切断しているときに ワイヤの入側においてインゴット温調用ス リと切断スラリが大きく干渉し、切断形状 大きな影響を与えてしまったためと考えら る。
 

 なお、本発明は、上記実施形態に限定され ものではない。上記実施形態は、例示であ 、本発明の特許請求の範囲に記載された技 的思想と実質的に同一な構成を有し、同様 作用効果を奏するものは、いかなるもので っても本発明の技術的範囲に包含される。