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Title:
CYTOTOXIC COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/142186
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a cytotoxic composition comprising, as an active ingredient, an IgG antibody which is produced in an egg laid by a transgenic bird having a gene encoding the IgG antibody introduced therein.  The IgG antibody can exhibit a higher CDC activity than that of an IgG antibody derived from a CHO cell without the need of altering the primary protein structure thereof.  Further, the IgG antibody has few adverse side effects, and is expected to exhibit a high anti-tumor effect.  Also disclosed is an ameliorating or therapeutic agent for cancer or a therapeutic agent for anti-autoimmune diseases, which comprises the cytotoxic composition.

Inventors:
YAMASHITA TAKASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/059161
Publication Date:
November 26, 2009
Filing Date:
May 19, 2009
Export Citation:
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Assignee:
KANEKA CORP (JP)
YAMASHITA TAKASHI (JP)
International Classes:
A61K39/395; A01K67/027; A61P35/00; A61P37/06; C07K16/02; C12N15/09
Domestic Patent References:
WO2004016081A12004-02-26
WO2005065450A12005-07-21
WO2004016081A12004-02-26
WO2007011041A12007-01-25
Foreign References:
JP2005535331A2005-11-24
JP2007126481A2007-05-24
US6136597A2000-10-24
Other References:
"Abstracts of Annual Meeting of the Society of Chemical Engineers, Japan", vol. 69, 2004, article YOSHINORI KAWABE ET AL.: "Trancegenic Niwatori ga Seisan shita Hito-gata Kotai no Kaiseki", pages: 704, XP008141018
"Monoclonal Antibodies: Principles and Applications", 1995, WILEY-LISS, INC.
NATURE REVIEWS CANCER, vol. 1, 2001, pages 119
NATURE BIOTECHNOLOGY, vol. 28, 2005, pages 1038
BIOCHEMI. SOC. TRANS, vol. 25, 1997, pages 705
J. VIROL., vol. 61, no. 5, 1987, pages 1639 - 46
BOSSELMAN, R. A. ET AL., SCIENCE, vol. 243, 1989, pages 533
J. SAMNROOK; E. F. FRITSCH; T. MANIATIS: "Molecular Cloning, A Laboratory Manual", COLD SPRING HARBOR LABORATORY
JOURNAL OF BIOSCIENCE AND BIOENGINEERING, vol. 98, no. 4, 2004, pages 298 - 303
IMMUNOCHEMISTRY, vol. 8, 1971, pages 871 - 874
See also references of EP 2311493A4
Attorney, Agent or Firm:
KANEKA CORPORATION (JP)
KANEKA Co. (JP)
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Claims:
IgG抗体をコードする遺伝子を導入されたトランスジェニック鳥類が産む卵から得られる抗体を有効成分とする細胞障害性組成物。
卵白から得られる抗体を有効成分とする、請求項1記載の細胞障害性組成物。
IgG抗体の定常領域がヒトIgGクラスである、請求項1または2に記載の細胞障害性組成物。
トランスジェニック鳥類がトランスジェニック家禽鳥類である、請求項1~3のいずれかに記載の細胞障害性組成物。
抗体のN-グリコシド結合複合体糖鎖のフコース含量が、CHO細胞由来抗体の5分の1以下である、請求項1~4のいずれかに記載の細胞障害性組成物。
抗体のCDC活性が、CHO細胞で生産した抗体に比べて5倍以上である、請求項1~5のいずれかに記載の細胞障害性組成物。
IgG抗体が、癌細胞に特異的に発現する抗原を認識する抗体である、請求項1~6のいずれかに記載の細胞障害性組成物。
請求項1~7のいずれかに記載の細胞障害性組成物を含む癌疾患の改善または治療剤。
IgG抗体が、自己抗原に反応するエフェクター細胞を中和・抑制する抗体である請求項1~6記載のいずれかに記載の細胞障害性組成物。
請求項1~6、または9のいずれかに記載の細胞障害性組成物を含む自己免疫疾患の改善または治療剤。
Description:
細胞障害性組成物

 本発明はIgG抗体において、天然由来の抗 もしくはCHO培養細胞から製造された抗体よ も、高い補体依存性細胞障害(CDC)活性をも 遺伝子組換えIgG抗体を有効成分とする細胞 害性組成物に関する。

 抗体は免疫グロブリンと呼ばれる糖タン ク質で、リンパ球のうちB細胞で産生される 。抗体の特性として特定の分子構造(抗原)を 識して結合する能力が高く、生物組織に侵 してきた細菌やウイルスなどの非自己タン クを排除して感染防御に重要な役割を果た ている(非特許文献1)。

 単一の抗体産生細胞に由来するクローン ら均一な性質をもつ抗体(モノクローナル抗 体)を調製することが可能となり、癌細胞や 疫疾患の原因となる特定の抗原を標的とし 抗体医薬品が実用化されてきた。モノクロ ナル抗体を調製するには、マウス細胞から 原に対する抗体を得る方法が一般的だが、 に投与するためには拒絶反応を防ぐため、 常部等をヒト抗体のアミノ酸配列にする必 がある。

 抗体医薬品は特異性が高いため、癌や自 免疫疾患に対する効果的な医薬品となりう が(非特許文献2)、製造コストが高く医療費 高騰を招く、との欠点がある。このため製 法の改善が望まれるが、トランスジェニッ (遺伝子組換え)ニワトリなどによる動物工 は、安価な抗体生産検討への取り組みのひ つである(特許文献1)。

 また、実用化されている抗体医薬の臨床 見が広がるにつれ、その効果が必ずしも充 でないことがわかり、より効果の高い抗体 見出す必要性も出てきた。抗体の薬効を高 るためにその活性増強を検討することは、 効面の利点だけでなく投与量が減ることに りコスト軽減にも有用である。

 より高い活性をもつ抗体を作製するため 抗体の糖鎖やアミノ酸を遺伝子組換え技術 よって変換して、抗体依存性細胞障害(antibo dy-dependent cell mediated cytotoxicity:ADCC)活性や補 体依存性細胞障害(complement-dependent cytotoxicity: CDC)活性を高める手法が研究されてきている( 許文献2)。ADCC活性は、抗体のFc領域に結合 るN-グリコシド結合複合体糖鎖からフコース を除去することで効果が高くなることが知ら れている。また、導入遺伝子の発現によりト ランスジェニックニワトリが卵白中に生産す る抗体は、N-グリコシド結合複合体糖鎖のフ ース含量が少ないため、ADCC活性が高いこと が知られる(非特許文献3)。

 このように糖鎖の人工的変換によってADCC 活性を高めることはできるが、CDC活性を高め る実用的方法は知られていない。先に述べた ように、抗体Fc領域のN-グリコシド複合体糖 にフコースがなければ、ADCC活性が高いこと 予測されるが、この場合でもCDC活性が高い は限らない。IgG抗体にはサブクラスがあり 抗体医薬品としては、薬効が高くProtein Aに 選択的に結合することにより精製が容易なIgG 1が用いられることが多い。しかしCDC活性はIg G3抗体のほうが高いため、IgG1抗体のFc領域の 部をIgG3抗体のアミノ酸に置き換えることで 、CDC活性を高めた抗体医薬品を人工的に作製 できることが知られている。しかしこのよう なIgGのサブクラス間で構造を変換したキメラ 抗体は天然に存在しないため、予期されない 副作用(抗原性)が現れる可能性があり、抗体 Fc領域タンパク一次構造を変換しないでCDC 性を高める技術が望まれる。

 CDC活性は効率的な標的細胞の排除に大き 役割をはたすため、この活性が高いIgG抗体 、制癌もしくはアレルギーやアトピーなど 自己免疫疾患を改善させるための抗体医薬 に応用されれば強い効果が期待できる。非 ジキンリンパ腫治療用抗体であるリツキシ ブ(rituximab)の抗癌作用機作には、CDC活性が きく関与しており(非特許文献4)天然型アミ 酸構造を変換せず、高いCDC活性をもつIgG抗 をより安価に製造できる技術があれば、現 において高い罹患率をもつ癌患者や自己免 疾患の患者にとって福音となる。

WO2004/016081

WO2007/011041

Monoclonal Antibodies:Principles and Applications, Wiley-Liss, Inc. (1995) Nature Reviews Cancer, 1, 119 (2001) Nature Biotechnology, 28, 1038 (2005) Biochemi. Soc. Trans, 25:705 (1997)

 天然型のタンパク質一次構造を変化させ いで、CDC活性やADCC活性のように治療効果に 結びつく機能を高めた抗体組成物、およびそ の安価な製造法が必要とされている。

 本発明者は、IgG抗体をコードする遺伝子 導入されたトランスジェニック鳥類が産む 中に蓄積されるIgG抗体が、CHO細胞由来のIgG 体よりもCDC活性が高いことを見出して、本 明に至った。

 すなわち本発明は、かかる知見に基づい 完成されたものであり、以下の発明を包含 る。

 (1)IgG抗体をコードする遺伝子を導入された ランスジェニック鳥類が産む卵から得られ 抗体を有効成分とする細胞障害性組成物。
(2)卵白から得られる抗体を有効成分とする、 前記(1)の細胞障害性組成物。
(3)IgG抗体の定常領域がヒトIgGクラスである、 前記(1)または(2)の細胞障害性組成物。
(4)トランスジェニック鳥類がトランスジェニ ック家禽鳥類である、前記(1)~(3)のいずれか 細胞障害性組成物。
(5)抗体のN-グリコシド結合複合体鎖のフコー 含量が、CHO細胞由来抗体の5分の1以下であ ことを特徴とする、前記(1)~(4)のいずれかの 胞障害性組成物。
(6)抗体のCDC活性が、CHO細胞で生産した抗体に 比べて5倍以上である、前記(1)~(5)のいずれか 細胞障害性組成物。
(7)IgG抗体が、癌細胞に特異的に発現する抗原 を認識する抗体である、前記(1)~(6)のいずれ の細胞障害性組成物。
(8)前記(1)~(7)のいずれかの細胞障害性組成物 含む癌疾患の改善または治療剤。
(9)IgG抗体が自己抗原の反応するエフェクター 細胞を中和・抑制する抗体である、前記(1)~(6 )のいずれかの細胞障害性組成物。
(10)前記(1)~(6)または(9)のいずれかの細胞障害 組成物を含む自己免疫疾患の改善または治 剤。

 本発明の細胞障害性組成物は、IgG抗体を ードする遺伝子を導入されたトランスジェ ック鳥類が産む卵から得られる抗体を有効 分とする。当該IgG抗体は、CHO細胞由来のIgG 体よりCDC活性が高く、また、タンパク質の 次構造は天然型から変化しておらず、副作 が少なく効果の高い抗体医薬品が提供され 。また、トランスジェニックニワトリが卵 中に生産する抗体は、N-グリコシド結合複 体糖鎖のフコース含量が少ないことが知ら ており、ADCC活性も高いことが期待できる。C DC活性とADCC活性の両方が高いことにより、標 的細胞を効果的に破壊、死滅または不活化す ることができる。

 さらに、当該IgG抗体はトランスジェニッ 鳥類によって、その卵中に生産されるため 安価に製造することが可能である。

本発明の実施例9に係る、TNF抗原発現T 胞に対する、トランスジェニックニワトリ 来およびCHO細胞由来抗TNF完全ヒト型抗体の 死活性(CDC活性)を示した図である。TG卵白抗 は、トランスジェニックニワトリが産んだ 白から精製した抗TNF完全ヒト型抗体を示す CHO抗体は、CHO細胞で製造した抗TNF完全ヒト 抗体を示す。縦軸はFACS測定した標的細胞の 死滅率を示す。

 本発明の細胞障害性組成物とは、IgG抗体 コードする遺伝子を導入されたトランスジ ニック鳥類が産む卵から得られる抗体を有 成分とし、当該抗体のCDC活性、あるいは、C DC活性とADCC活性の両方により、ある種の疾病 、疾患に関与する細胞を破壊、死滅または不 活化し得る組成物を表す。

 トランスジェニック鳥類を作製するため 遺伝子導入法については、特に限定される とはないが、ウイルスベクター法や精子ベ ター法、PGC(始原生殖細胞)を使う方法が挙 られる。

 本発明で使用するレトロウイルスベクタ は、安全性を考慮して、複製能を欠失して ることが好ましい。複製能の欠失方法とし は、ウイルス粒子の複製に必要な内部コア 含まれるタンパク質(group specific antigen, gag )、逆転写酵素(polymerase, pol)及びエンベロー 糖タンパク質(envelope, env)のうちいずれか又 その組み合わせが発現しないように、コー 配列または発現に必要な配列の少なくとも 部または全部を欠失するか、それらが発現 能なように置換、挿入変異を含むことが好 しい。

 レトロウイルスベクターは、ウイルス毎 挿入可能な遺伝子の長さが限定を受ける為 欠失変異が好ましく、安全性や挿入断片の さを増やす観点から、gag、pol、envの複数を 失させることが好ましい。レトロウイルス クターはウイルス粒子にパッケージされる 印として機能するウイルスパッケージング グナル(phi)を含んでいることが好ましい。ga g領域の一部はウイルスパッケージングシグ ルとして機能することもあるため、ウイル 力価向上の観点から、ウイルスベクターは 現不能としたgag領域の少なくとも一部を含 でいることが好ましい(J. Virol., 1987, 61(5),  1639-46)。

 レトロウイルスとしては特に限定されな が、モロニーマウス白血病ウイルスやモロ ーマウス肉腫ウイルスやトリ白血病ウイル (ALV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)由来のウイ ルス等が挙げられる。鳥類の胚へ感染させる ため、マウス肝細胞ウイルス(MSCV)やマウス胚 性肝細胞ウイルス(MESV)等、胚細胞や肝細胞へ の感染性の高いウイルスを用いることが好ま しい。鳥類細胞にこのウイルスベクターを効 率的に感染させるため、外皮タンパク質を人 為的にウシ水疱性口内炎ウイルス由来のVSV-G ンベロープタンパク質とすることが好まし が、このウイルスタイプに限定されるもの はない。

 マーカー遺伝子は正しく遺伝子導入された 胞の同定及び単離の目印となるタンパク質 コードする遺伝子である。レトロウイルス クターにはマーカー遺伝子が含まれていて よい。マーカー遺伝子としては特に限定さ ないが、グリーン・フルオレッセント・プ テイン(GFP)やシアン・フルオレッセント・ ロテイン(CFP)、ルシフェラーゼ等の蛍光タン パク質の遺伝子、ネオマイシン耐性(Neo r )、ハイグロマイシン耐性(Hyg r )ピュ-ロマイシン耐性(Puro r )等の薬剤耐性遺伝子、他にチミジンキナー 、ジヒドロフォレート・レダクタ-ゼ、アミ グルコシド・ホスホトランスフェラーゼ、 ロラムフェニコール・アセチルトランスフ ラーゼ、β―ラクタマーゼ、β―ガラクトシ ダーゼ等の遺伝子が挙げられる。マーカー遺 伝子はプロモーター遺伝子や発現に必要な要 素を伴っていることが好ましい。

 外来性遺伝子は抗体タンパク質のコード 列を含み、コード配列の境界は5’末端の開 始コドン、及び開始コドンに対応する3’末 の終始コドンにより決定される。5’末端の 始コドン近傍はコザックのコンセンサス配 を含むことが好ましい。コード配列の上流 はリボソーム結合部位が存在していること 好ましい。外来性遺伝子は鳥類細胞内で発 するために適当なプロモーター遺伝子の少 くとも一部または全部を含んでいることが ましい。プロモーター遺伝子とは遺伝子の 写開始部位を決定し、またその頻度を直接 に調節する、DNAまたはRNA上の領域のことで る。

 抗体分子は抗原の構造に合わせて変化す 結合領域と、比較的変化の少ない定常領域 らなり、定常領域の構造の違いによってい つかの種類(クラス)に分類される。哺乳類 、定常領域の構造の違いによりIgG、IgE、IgA IgM、IgDの5種類のクラスがあり、それぞれに 理活性も異なっている。さらにIgA,IgGはサブ クラスに分けられる。

 抗体医薬品としては、血中寿命が長く効 の高いIgG1クラスの抗体が用いられるため、 本発明でトランスジェニック鳥類に導入され る抗体の遺伝子としてはIgG1クラスの抗体の 造遺伝子が好ましい。またトランスジェニ ク鳥類が産む卵中への蓄積効率の観点から 、IgG1クラスの抗体は優れている。ほかに卵 での蓄積がよいことから、ヒトIgGクラスの 常領域をもつ抗体の遺伝子や、ヒトIgG1、ウ ズラIgG2、ニワトリIgG2やマウスIgG2のサブクラ スの定常領域をもつ抗体の遺伝子など外来性 抗体の構造遺伝子が好ましい。

 他の好ましい抗体構造遺伝子としては、 間キメラ抗体の構造遺伝子が挙げられる。 こでいう種間キメラ抗体とは、2種以上の異 なる生物種の遺伝形質から構成される同一の IgGサブクラス間の雑種抗体のことをいう。従 来マウスハイブリドーマによって作製された 医療用抗体は、マウス由来であるためヒト体 内に投与されると免疫系による拒絶反応が引 き起こされるという問題があった。この欠点 を解消するため、例えばマウス(げっ歯類)抗 を組換え手法によってFc部等をヒト化する とにより、拒絶反応のリスクを大幅に軽減 ることができる。

 上記種間キメラ抗体としては、例えば抗 トCD2抗体、抗CD20受容体抗体、抗TNF抗体など が挙げられ、すでに医薬品として上市されて いるものもある。さらに近年では全てのアミ ノ酸配列がヒト抗体由来である完全ヒト型抗 体が医薬品として実用化されており、本発明 により製造する抗体として好ましいと言える 。

 本細胞障害性組成物の利用分野としては 薬品用途が考えられる。抗腫瘍剤や癌疾患 改善または治療剤としては、癌細胞に特異 に発現する抗原を認識し、癌細胞を破壊す 制癌用途に用いられる抗体を有効成分とし 含むことが好ましい。癌細胞は正常細胞と 構造の違いが少ないため特異的に除去する が難しいが、その細胞表面に特異的に発現 る抗原タンパクの存在が明らかになり、抗 によって認識する診断や治療が可能になっ きている。

 また、本発明の細胞障害性組成物の有効 分としては、自己抗原に反応するエフェク ー細胞を中和・抑制する自己免疫疾患治療 体も好ましい。この場合、本発明の細胞障 性組成物は抗リウマチ剤等の自己免疫疾患 改善または治療剤として用いることができ 。

 このような抗体は、単に標的細胞を認識 るだけでなく、標的細胞の機能を不活化す 必要があり、このときに重要な役割を果た のが、先に述べた抗体依存性細胞障害(ADCC) 性や補体依存性細胞障害(CDC)活性である。 体依存性細胞障害活性とは、標的細胞に結 した抗体が補体系を活性化させ、補体のも 酵素によって効果的に標的細胞を溶解する 用であり、近年抗体医薬品の研究により制 作用の発現に重要な役割を果たしている事 知られてきた。

 CHO細胞で作製されたIgG抗体などよりも補 依存性細胞障害活性を高められたモノクロ ナル抗体は、標的となる癌細胞を効果的に 壊することにより投与量を低く抑えられる め、副作用を小さくして患者のQOLを高める とが可能であり、また製造コストを抑制す ことにより患者負担の軽減につながる。抗 組成物のCDC活性が、CHO細胞で生産した抗体 成物に比べて5倍以上であるとき、本願発明 の細胞障害性組成物に好適に用いることがで きる。また、抗体組成物のCDC活性が、CHO細胞 で生産した抗体組成物に比べて10倍以上であ とき、本願発明の細胞障害性組成物にさら 好適に用いることができる。

 抗体組成物のN-グリコシド結合複合体糖 のフコース含量が、CHO細胞由来抗体の5分の1 以下であるとき、好適に用いることができる し、10分の1以下であるとき、さらに好適に用 いることができる。

 導入される構造遺伝子の発現を制御する めには、組織特異的なプロモーター遺伝子 が用いられる。組織特異的なプロモーター 伝子とは、鳥類の特定の組織・細胞で特別 活性の強いプロモーター遺伝子のことであ 。組織特異的なプロモーター遺伝子を用い ことにより、目的タンパク質の発現が鳥類 発生や生存に悪影響を与える可能性を減少 たは排除できる利点がある。組織特異的な ロモーター遺伝子としては特に限定されな が、卵管特異的なプロモーター遺伝子をあ ることができる。卵管組織は性成熟後に活 に活動することから性成熟後に強く誘導さ ることが多い。

 卵管特異的なプロモーター遺伝子として 類由来のオボアルブミン、オボトランスフ リン、オボムコイド、オボムチン、リゾチ ム、G2グロブリン、G3グロブリン、オボイン ヒビター、オボグリコプロテイン、オボフラ ボプロテイン、オボマクログロブリン、シス タチン、アビジンのプロモーター遺伝子等を あげることができる。これらの卵管特異的な プロモーター遺伝子を用いた場合、目的タン パク質を卵白中に高発現させることができる ことが特に好ましい。

 このほかのプロモーターとしては、組織 特異的なプロモーターがある。組織非特異 なプロモーター遺伝子とは、組織特異的な ロモーター遺伝子でないプロモーター遺伝 のことである。組織非特異的なプロモータ 遺伝子としては特に限定されないが、鳥類 ほぼ全ての体細胞で活性のあるものをいう その場合、目的タンパク質は血中にも発現 るため雛の段階で発現の可否を検出できる いう利点がある。組織非特異的なプロモー ー遺伝子としては特に限定されないが、β クチンプロモーター遺伝子、EF1αプロモータ ー遺伝子、チミジンキナーゼプロモーター遺 伝子やシミアンウイルス40(SV40)プロモーター 伝子、サイトメガロウイルス(CMV)プロモー ー遺伝子、ラウスザルコーマウイルス(RSV)プ ロモーター遺伝子等のウイルス由来プロモー ター遺伝子が挙げられる。他に、テトラサイ クリン誘導型プロモーター遺伝子のような、 組織非特異的な誘導型プロモーター遺伝子を もちいても良い。

 外来性遺伝子は転写エンハンサー及び/又 は調節エレメントを含んでいてもよい。転写 エンハンサーはプロモーター遺伝子からの転 写を促進する配列であるが、単独では転写を 起こせないDNAまたはRNA上の領域のことである 。本来機能しているものとは異なるプロモー ター遺伝子に連結した場合にも機能すること が多いのでプロモーター遺伝子との組み合わ せについては限定しない。転写エンハンサー としては、特に限定されないが、SV40、CMV、 ミジンキナーゼエンハンサー、ステロイド 答エレメントやリゾチームエンハンサー等 挙げられる。調節エレメントは転写調節や 転写後のRNAの安定化に寄与する単独では転 を起こせないDNAまたはRNA上の領域のことで る。調節エレメントとしては特に限定され いが、WPRE(ウッドチャック肝炎ウイルス由来 調節エレメント、米国特許6136597号公報)等が げられる。

 また外来性遺伝子は上記以外の非翻訳領 を含んでもよい。

 パッケージング細胞又はヘルパーウイル 等を利用することにより調製されたシュー タイプのウイルスベクターは、通常のマイ ロインジェクション法(Bosselman, R. Aら、Scie nce 243, 533 (1989))により、初期胚、血管内、 臓内へ導入される。遺伝子導入法としては この他にもリポフェクションやエレクトロ レーション法等が考えられるがマイクロイ ジェクション法は操作性、導入効率の高さ 点で好ましい。

 外来性遺伝子としては特に限定されず、 類以外の遺伝子はもちろん、鳥類のものを んでも良い。トランスジェニック作製に用 る個体が有する配列であっても、その個体 本来有する全遺伝子にあらたに遺伝子を導 するので外来性遺伝子と呼ぶ。

 複製能欠失型レトロウイルスベクターを 染させる胚は、孵卵開始から24時間以上経 していることが望ましい。より望ましくは 卵開始から32時間以後72時間以前の胚である 更に望ましくは、48時間以後64時間以前の胚 である。感染させる、つまりウイルス液を導 入する場所としては、心臓内あるいは血管内 が好ましい。遺伝子導入効率の高いG0トラン ジェニックキメラ鳥類を作製する上で、心 の拍動を観察することができる初期の段階( 心臓が拍動を開始してから6時間以内)に、遺 子を導入することが好ましい。そして、そ は血流に乗せて全身に遺伝子を運ぶという 点と、細胞数が少ないという観点による。

 マイクロインジェクションは顕微鏡下で 端を細くした微小ガラス管等を用い、特定 場所に直接ウイルス液を導入する方法であ 。本研究では、心臓や血管という特定の場 にウイルス液を導入するため、リポフェク ョン法やエレクトロポレーション法といっ 他の遺伝子導入法より好ましい。

 本発明で使用する鳥類としては特に限定 れないが、家畜として利用可能な家禽鳥類 あることが好ましい。家禽鳥類としては、 ワトリ、七面鳥、カモ、ダチョウ、ウズラ アヒル等を挙げることができる。なかでも ワトリは入手が容易で、産卵種としても多 であり、卵も大きく大量飼育方法が確立し いる点で特に好ましい。

 生殖細胞に外来性遺伝子を保有するG0ト ンスジェニックキメラ鳥類を野生型鳥類、 はG0トランスジェニックキメラ鳥類又はその 子孫と交配させ、孵化したヒナを選別するこ とによりG1トランスジェニック鳥類を得るこ ができる。G0トランスジェニックキメラ鳥 は全ての細胞に外来性遺伝子が導入される 率は低く、ほとんどの場合外来性遺伝子が 入された細胞と野生型の細胞との異なる遺 子型の細胞が共存しているキメラ状態であ 。一方で、G1トランスジェニック鳥類は、好 ましくは、全ての体細胞に均一に導入遺伝子 を保有している。体細胞や生殖細胞への遺伝 子導入の確認は血や体細胞や精子や卵由来の DNAやRNAをPCR法等によって調べることによって 確認できる。また、目的タンパク質の発現か らも判断できる。目的タンパク質の発現はELI SA法や電気泳動法、目的タンパク質の活性測 等によって調べる事ができる。

 G2以降の世代のトランスジェニック鳥類 、G1トランスジェニック鳥類を交配させるこ とにより作製される。交配型はG1トランスジ ニックオスと野生型メス、G1トランスジェ ックメスと野生型オス、G1トランスジェニッ クのオスとメス等が考えられ、さらに子孫と その親による戻し交配も可能である。なかで もG1オスと野生型メスの交配型は、1羽のG1オ に対し複数の野生型メスを交配させること できるため、効率の点から好ましい。

 本発明の目的タンパク質生産法は、前述 トランスジェニック鳥類から目的タンパク を回収することを特徴とする。より詳細に 、作製されたトランスジェニック鳥類の血 及び/又は卵中から因子を抽出、精製するこ とを特徴とする。

 精製は、トランスジェニック鳥類の卵と に卵白成分を純水もしくは平衡塩類溶液で 釈した溶液からカラム法やろ過法で行うこ を特徴とする。希釈は卵白の粘性を低減し カラム法を円滑に行う目的で行われ、粘性 減のためには高倍に希釈することが望まし 反面、容積が増えると回収が困難になるこ から、2倍から10倍が好ましく、5倍から6倍 希釈するのがより好ましい。

 この卵白溶液から目的とする抗体組成物 回収するため、プロテインAカラム法、塩析 法、吸着カラムクロマトグラフ法、イオン交 換カラムクロマトグラフ法、ゲルろ過カラム クロマトグラフ法、抗体カラム法を単独、も しくは組み合わせて精製するが、これらのみ に限定されるものではない。吸着クロマトグ ラフ法としては、ブルーセファロースクロマ トグラフィー、ヘパリンクロマトグラフィー 等があり、イオン交換カラム法としては、陰 イオン交換クロマトグラフィー法等がある。

 以下、抗TNF抗体を例に、トランスジェニ ク鳥類の卵から得たIgG抗体がCHO細胞由来のI gG抗体と比べ、非常に高いCDC活性を有するこ を示す。ただし、本発明はこれらの実施例 より限定されるものではない。

 遺伝子操作について特に記述のないもの 関しては代表的な方法に従った(J. Samnrook,  E. F. Fritsch, T. Maniatis; Molecular Cloning, A Lab oratry Manual, 2nd Ed, Cold Spring Harbor Laboratory) 。細胞培養について特に記述のないものに関 しては代表的な方法に従った。商品名を記載 している場合は特に記述のない限り添付の説 明書の指示に従った。

 (実施例1) 抗TNF完全ヒト型抗体発現プラス ドpMSCV/GδALIH(HUMIRA(R))の構築
 抗ヒトCD2抗体pMSCV/GδALIH(CD2)はJORNAL OF BIOSCIE NCE AND BIOENGINEERING, Vol.98 ,No.4 ,298-303, 2004に 開示されている。

 抗TNF完全ヒト型抗体の配列(Adalimumab;HUMIRA( R))を公開配列情報に基づいて全塩基配列を化 学合成した。これを、pMSCV/GδALIH(CD2)のCD2配列 に置き換えて、pMSCV/GδALIH(HUMIRA(R))とした。

 (実施例2) pMSCV/GδALIH(HUMIRA(R))とpVSV-Gを用い レトロウイルスベクターの調製
 以後、特に記述のない限り、培地は10%の牛 児血清(Fetal Bovine Serum, FBS)と50units/mlのペ シリン及びストレプトマイシンを含むダル ッコ変法イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagl e Medium, DMEM)を用いた(ギブコ社製)。培養は37 ℃、CO 2 5%で行った。レトロウイルスベクターに用い プラスミドDNAの精製にはEndo Free Plasmid Maxi  Kit(QIAGEN社製)を用いた。

 実施例1で構築したプラスミドpMSCV/GδALIH(HUMI RA(R))よりレトロウイルスベクターを調製する ため、gag、pol遺伝子を持つパッケージング細 胞GP293を、コラーゲンコートされた直径100mm 培養ディッシュに細胞数5×10 6 個/ディッシュ(70%コンフルエント)になるよう に播種した(翌日90%コンフルエントとなるよ にする)。次の日、培地を取り除き、7.2mlの 地と10μlの25mMクロロキン(シグマ社製)を加え て、さらに一時間培養した。56μlのLipofectamine  2000溶液(インビトロジェン社製)を1.4mlのOpti- MEMI培地(ギブコ社製)に懸濁し、室温で5分間 いた。12μgのpMSCV/GδALIH(HUMIRA(R))と12μgのpVSV-G 1.4mlのOpti-MEMI培地に懸濁した。Lipofectamine 20 00溶液とプラスミドDNA溶液を混合し、室温で2 0分置いた。これを培養ディッシュに全量加 、6時間培養した。6時間後、培地を取り除き 9mlの培地と200μlの1M HEPES Buffer Solution(ギブ 社製)を加えさらに24時間培養した。

 培養上清を0.45μmのセルロースアセテート フィルター(アドバンテック社製)に通し、遠 管に集めた。超遠心機CS100GXL(日立工機社製) を用い、28,000rpm(50,000g)で1.5時間遠心分離した 。上清を取り除き、沈殿に20μlのTNE緩衝液(50m M Tris-HCl(pH7.8)、130mM NaCl、1mM EDTA)を加え、4 で一晩静置し、よく懸濁して小型高速遠心 で12,000rpmで一分間遠心分離し、上清を0.45μm デュラポアウルトラフリーフィルター(アド バンテック社製)に通して、そのろ液をウイ ス液とした。

 (実施例3) ウイルス力価の測定
 ウイルス液の力価はNIH3T3細胞(ATCC CRL-1658)に ウイルス液を添加したとき、感染した細胞の 数によって定義した。6ウェル培養プレート 各ウェル(底面積約9.4cm 2 )に存在する5×10 4 のNIH3T3細胞に10 2 から10 6 倍の希釈率で希釈したウイルス溶液を1ml加え 、マーカーであるGFP(Green Fluorescent Proteins)遺 伝子を発現している細胞の割合を調べること でウイルス液の力価を測定した。10 6 倍希釈で4コロニー現れた場合、ウイルス力 は4×10 6 cfu/mlとなる。

 具体的には力価測定開始の前日にNIH3T3細胞 6ウェル培養プレートに5×10 4 個/ウェルとなるように播種し培養した。翌 、細胞の培地を9μg/mlのポリブレン含有培地9 00μl/ウェルで交換し、ウイルス液を培地で10 -1 ~10 -5 に希釈し、それぞれ100μlをウェルに添加して 感染させた(ポリブレン終濃度8μl/ml)。4~6時間 培養後、1mlの培地をさらに加えた。次の日、 培地を交換し、以後3~4日おきに培地交換した 。感染から約1週間後GFPを発現しているコロ ー数を測定し、力価を求めた。

 (実施例4) 抗TNF完全ヒト型抗体発現安定パ ケージング細胞の選択
 ウイルス感染の前日に24ウェル培養プレー にGP293細胞を1.5×10 4 個/ウェルとなるように播種し培養した。ウ ルス感染の当日10μg/mlのポリブレン含有培地 1ml/ウェルで交換した。これに実施例2で作製 たウイルス液を感染させた。以後、細胞を 界希釈法によりクローン化する。具体的に 、次の日、細胞を10個/mlになるように希釈 た。希釈した細胞を96ウェル培養プレートに 100μlづつ播種し(ウェルに1個の細胞が入るよ にする)、細胞増殖速度が早く、GP293細胞と 態の近い細胞を選択し、抗TNF完全ヒト型抗 発現安定パッケージング細胞クローンを得 。

 (実施例5) 抗TNF完全ヒト型抗体発現安定パ ケージング細胞とpVSV-Gを用いたレトロウイ スベクターの調製
 直径100mmのコラーゲンコートされた培養デ ッシュに抗TNF完全ヒト型抗体発現安定パッ ージング細胞を5×10 6 個(70%コンフルエント)になるように播種した( 翌日90%コンフルエントとなるようにする)。 日、培地を取り除き、7.2mlの培地と10μlの25mM クロロキンを加えて、更に1時間培養した。56 μlのLipofectamine 2000溶液を1.4mlのOpti-MEMI培地に 懸濁し、室温で5分間置いた。12μgのpVSV-Gを1.4 mlのOpti-MEMI培地に懸濁した。Lipofectamine 2000溶 液とプラスミドDNA溶液を混合し、室温で20分 いた。これを培養ディッシュに全量加え、6 時間培養した。6時間後、培地を取り除き9ml 培地と200μlの1M HEPES Buffer Solutionを加えさ に24時間培養した。

 培養上清を0.45μmのセルロースアセテートフ ィルターに通し、ろ液を遠心管に集めた。超 遠心機を用い、28,000rpm(50,000g)で1.5時間遠心分 離した。上清を取り除き、沈殿に20μlのTNF緩 液を加え、4℃で一晩静置し、よく懸濁して 小型高速遠心機で12,000rpmで一分間遠心分離し 、上清を0.45μmのデュラポアウルトラフリー ィルター(アドバンテック社製)に通して、ろ 液をウイルス液とした。このようにすれば、 10 8 cfu/ml以上の力価を持つウイルス液が得られる 。

 (実施例6)ニワトリ胚へのレトロウイルスベ ターのマイクロインジェクションと人工孵 による抗TNF完全ヒト型抗体産生トランスジ ニックニワトリ作製
 マイクロインジェクションと人工孵化は無 条件化で行った。ニワトリ受精卵(城山種鶏 場)の外側を消毒液(昭和フランキ社製)および エタノールで除菌した。孵卵機P-008(B)型(昭和 フランキ社製)を38℃、湿度50~60%環境になるよ うにセットし、電源を入れた時刻を孵卵開始 時刻(0時間)とし、以後15分毎に90°転卵しなが ら孵卵を行った。

 孵卵開始から約55時間経過後、孵卵機の 卵を30分ごとに30°転卵に変更した。孵卵機 ら卵を取り出し、その鋭端部を直径3.5cmの円 形にダイヤモンド刃(刃先径20mm、シャフト径2 .35mm)をつけたミニルーター(プロクソン社製) 切り取った。ニワトリ二黄卵(城山種鶏場) 鋭端部を直径4.5cmに切り取り、中身を捨てた 卵殻に受精卵の中身を移し、注射器の内筒で 胚を上方へ移動させた。実体顕微鏡システム SZX12(オリンパス社製)下でフェムトチップII( ッペンドルフ社製)にウイルス液を注入し、 ェムトジェット(エッペンドルフ社製)を用 、ウイルス溶液約2μlをマイクロインジェク ョンした。卵白を糊として約8×8cm2に切った サランラップ(旭化成社製)でこの穴を塞ぎ、 卵機に戻し孵卵を続けた。孵卵開始から20 目にサランラップに20Gの注射針で20個程度穴 を開け、孵卵機に60cc/minで酸素を供給し孵卵 行った。雛がハシ打ちを始めたら、卵殻を って孵卵させた。この人工孵化による孵化 は7~30%だった。

 (実施例7) トランスジェニックニワトリ卵 らのIgG抗体の取得
 誕生した雛を飼育して成長させた。飼料と て幼雛SXセーフティーおよびネオセーフテ ー17(豊橋飼料社製)を用いた。該トランスジ ニックニワトリの卵からのIgG抗体の抽出は 白から行った。卵白は、超音波や物理的手 により全体を一様になるように前処理した IgG抗体は、プロテインAカラムを使い、一般 的なカラム精製法で調製した。調製したIgG抗 体はアッセイ時まで-80℃で凍結保存した。融 解は37℃で迅速に行い、凍結融解を繰り返す とは避けることが好ましい。

 (実施例8) ELISAによる免疫グロブリン分子濃 度の定量
 実施例7で調製した卵白中のIgG抗体発現量を 測定するために、enzyme-linked immunosorbent assay( ELISA)法を行った。抗体生産量は測定で用いた 標準品より算出した。

 測定方法は代表的な方法に従った(Immunoche mistry, 8, 871-874 (1971))。

 ウサギ抗ヒトIgG(Fc特異的)抗体(Organon Tekni ka, Durham, NC, USA)を一次抗体として、ペルオ シダーゼ標識ウサギ抗ヒトIgG抗体(Organon Tek nika, Durham, NC, USA)を二次抗体として用いた 検出基質としてO‐Phenylenediamineを用いて発色 させ、吸光度をプレートリーダーで測定した 。定量時のスタンダードとしてhuman IgG1(Athens  Research and Technology, Athens, GA, USA)を用いた 。

 (実施例9)
 実施例1~7によって調製したトランスジェニ クニワトリ卵白由来抗TNF完全ヒト型抗体のC DC活性を、CHO細胞で作製した完全ヒト型抗体 CDC活性と比較した。

 24wellプレートにTNF抗原を発現したT細胞(Jurka t細胞(ATCC No. TIB-152)もしくはRaji細胞(ATCC No. CCL-86))を5×10 5 /wellで1ml添加し、10%ヒト血清RPMI1640(ニッスイ 製)、抗体サンプルを0.01、0.1、1、10μg/ml加 て37℃3時間培養後、PI(propidium iodide)で染色 てFACS(Fluorescence Activated Cell Sorting)測定して 生細胞数を出した。標的細胞の死滅率は次の 方法で算出した。

 標的細胞の死滅率=(全細胞数-生細胞数)/全 胞数(%)

 図1に示したように、トランスジェニックニ ワトリ卵白由来の抗TNF完全ヒト型抗体は、CHO 細胞由来の抗TNF完全ヒト型抗体に比べて、1/1 0濃度で同程度の標的細胞致死効果を示し、10 倍のCDC活性があることがわかった。なお、CHO 細胞由来完全ヒト型抗体としては、市販のア ダリムマブ(adalimumab:商品名HUMIRA(R))を用いた