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Title:
DETERGENT FOR KRAFT PULP AND PROCESS FOR PRODUCING KRAFT PULP WITH THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/093615
Kind Code:
A1
Abstract:
A detergent for kraft pulps which is a detergent for use in cleaning a raw pulp material obtained by decomposing with oxygen the lignin matter contained in a raw material for pulps which has been digested. The detergent is characterized by comprising at least one nonionic surfactant selected among compounds represented by the following general formulae (1), (2), and (3), the nonionic surfactant having a cloud point lower than the cleaning temperature at which the raw pulp material is to be cleaned. R1O-(PO)n-[(EO)m•(PO)k]H general formula (1) R2-CO-(AO)y-OR3 general formula (2)

Inventors:
YAMAUCHI MAKOTO (JP)
FURUYA SACHIKO (JP)
SHIMOYA TAKEO (JP)
NIKAIDOH MASANORI (JP)
NODA YASUFUMI (JP)
USHIYAMA HIROTOSHI (JP)
KOIDE MICHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/050890
Publication Date:
July 30, 2009
Filing Date:
January 21, 2009
Export Citation:
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Assignee:
LION CORP (JP)
YAMAUCHI MAKOTO (JP)
FURUYA SACHIKO (JP)
SHIMOYA TAKEO (JP)
NIKAIDOH MASANORI (JP)
NODA YASUFUMI (JP)
USHIYAMA HIROTOSHI (JP)
KOIDE MICHIKO (JP)
International Classes:
D21C9/02
Foreign References:
JP2005336620A2005-12-08
JP2008007617A2008-01-17
JP2006176910A2006-07-06
JP2004124329A2004-04-22
JPH0578993A1993-03-30
JPS5231563A1977-03-10
Other References:
See also references of EP 2236665A4
Attorney, Agent or Firm:
HIROTA, Koichi (NAGARE & ASSOCIATES 4th Floor, Shinjuku TR Bldg., 2-2-13, Yoyogi, Shibuya-k, Tokyo 53, JP)
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Claims:
 蒸解されたパルプ原料に含まれるリグニン成分を酸素を用いて分解した後に、前記パルプ原料を洗浄するのに用いられる洗浄剤であって、
 下記一般式(1)、(2)及び(3)で表される化合物から選択される少なくとも1種からなる非イオン性界面活性剤であって、前記パルプ原料の洗浄における洗浄温度よりも曇点が低い非イオン性界面活性剤を含有することを特徴とするクラフトパルプ用洗浄剤。
  R 1 O-(PO) n -[(EO) m ・(PO) k ]H ・・・ 一般式(1)
 ただし、前記一般式(1)中、R 1 は、炭素数10~20の直鎖又は分岐のアルキル基及びアルケニル基のいずれかを表す。n、m、及びkは、平均付加モル数を表し、nは、0~10を表し、m及びkの和は、1~100である。EO、及びPOは、それぞれ、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位を表し、[(EO) m ・(PO) k ]におけるEO及びPOの付加形態は、ランダム及びブロックのいずれであってもよい。
  R 2 -CO-(AO) y -OR 3  ・・・ 一般式(2)
 ただし、前記一般式(2)中、R 2 は、炭素数10~20の直鎖のアルキル基、及びアルケニル基のいずれかを表す。AOは、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、及びオキシブチレン基から選択される少なくとも1種のオキシアルキレン基を表す。yは、1~10を表す。R 3 は、メチル基である。
 ただし、前記一般式(3)中、R 4 は、炭素数10~20のアルキル基を表す。EOは、エチレンオキサイド基を表す。x及びzは、いずれもエチレンオキサイドの付加モル数を表し、x及びzの和は、2~10である。
 非イオン性界面活性剤は、曇点が55℃以下である請求の範囲第1項に記載のクラフトパルプ用洗浄剤。
 パルプ原料を蒸解する蒸解工程と、
 前記蒸解されたパルプ原料に含まれるリグニン成分を酸素を用いて分解する酸素脱リグニン反応工程と、
 前記酸素脱リグニン反応工程に続いて前記パルプ原料を洗浄する洗浄工程と、を含むクラフトパルプ製造方法であって、
 前記洗浄工程において、前記一般式(1)、(2)及び(3)で表される化合物から選択される少なくとも1種からなる非イオン性界面活性剤であって、前記洗浄工程における洗浄温度よりも曇点が低い非イオン性界面活性剤を含有するクラフトパルプ用洗浄剤を添加することを特徴とするクラフトパルプの製造方法。
  R 1 O-(PO) n -[(EO) m ・(PO) k ]H ・・・ 一般式(1)
 ただし、前記一般式(1)中、R 1 は、炭素数10~20の直鎖又は分岐のアルキル基及びアルケニル基のいずれかを表す。n、m、及びkは、平均付加モル数を表し、nは、0~10を表し、m及びkの和は、1~100である。EO、及びPOは、それぞれ、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位を表し、[(EO) m ・(PO) k ]におけるEO及びPOの付加形態は、ランダム及びブロックのいずれであってもよい。
  R 2 -CO-(AO) y -OR 3  ・・・ 一般式(2)
 ただし、前記一般式(2)中、R 2 は、炭素数10~20の直鎖のアルキル基、及びアルケニル基のいずれかを表す。AOは、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、及びオキシブチレン基から選択される少なくとも1種のオキシアルキレン基を表す。yは、1~10を表す。R 3 は、メチル基である。
 ただし、前記一般式(3)中、R 4 は、炭素数10~20のアルキル基を表す。EOは、エチレンオキサイド基を表す。x及びzは、いずれもエチレンオキサイドの付加モル数を表し、x及びzの和は、2~10である。
 洗浄工程後に、パルプ原料を漂白する漂白工程を更に含む請求の範囲第3項に記載のクラフトパルプの製造方法。
 非イオン性界面活性剤は、曇点が55℃以下である請求の範囲第3項から第4項のいずれかに記載のクラフトパルプの製造方法。
Description:
クラフトパルプ用洗浄剤及びそ を用いたクラフトパルプの製造方法

 本発明は、クラフトパルプ用洗浄剤及び 洗浄剤を用いたクラフトパルプの製造方法 関する。

 クラフトパルプは、一般に、木材チップを 性ソーダ及び硫化ソーダの混合液で蒸解す 蒸解工程と、該蒸解工程で生成されたパル スラリーからリグニンを含む黒液を分離す 分離工程とを経て製造される。
 最新のクラフトパルプ製造設備では、排水 荷を軽減することを目的として、分離工程 に、アルカリ性、高温加圧下で酸素を作用 せる酸素脱リグニン反応工程が行われる。 の酸素脱リグニン反応工程の後に、パルプ 洗浄することにより、未漂白パルプ(未晒ク ラフトパルプ)を製造して、この未漂白パル をダンボール(板紙)などに使用したり、更に 、未漂白パルプを漂白して、白色度を向上さ せた漂白パルプを製造して、この漂白パルプ を上質紙などに使用している。
 漂白は多段にわたる漂白処理(多段漂白)に り実施されている。この多段漂白には、漂 剤として、二酸化塩素、過酸化水素などが 般的に使用されている。また、漂白効率を める方法として、漂白工程に漂白助剤を添 する方法が提案されており、例えば、多価 ルコール、多価フェノール、又はこれらの ルキレンオキシド付加物と脂肪族1価アルコ ルとのエーテル化物を漂白助剤として使用 る方法(特許文献1参照)、特定の水溶性高分 及び/又は過酸化物、並びに非イオン性界面 活性剤の組み合わせからなる漂白助剤を用い る方法(特許文献2参照)、などが提案されてい る。
 しかし、漂白剤として二酸化塩素を使用し 場合、漂白排水中に含まれる有機塩素化合 が環境に対する汚染源となり得るため、漂 排水を活性汚泥処理などする必要があると う問題や、二酸化塩素などの漂白剤価格の 騰に伴う、製造コストの上昇などの問題が ることから、その使用量の削減が求められ いる。
 また、パルプ洗浄方法として、パルプ製造 法の各種洗浄工程にポリオキシエチレンア キルフェニルエーテル系界面活性剤を添加 るパルプ洗浄方法(特許文献3)、蒸解工程後 洗浄工程に界面活性剤を添加するパルプ洗 方法(特許文献4)、などが提案されている。

特開平5-186987号公報

特開2002-180391号公報

特開平5-302284号公報

特開2005-336620号公報

 本発明は、従来における前記諸問題を解 し、以下の目的を達成することを課題とす 。即ち、本発明は、パルプの洗浄効率及び ルプ製造におけるエネルギー効率を向上さ ることができ、特に、酸素脱リグニン反応 程後に漂白剤によるパルプの漂白を行う場 、酸素脱リグニン反応工程後のパルプの白 度を向上させることができ、もって、漂白 の添加量を削減でき、発泡を防止し、消泡 の添加量を削減することができるクラフト ルプ用洗浄剤、及び該洗浄剤を用いたクラ トパルプ製造方法を提供することを目的と る。

 前記課題を解決するための手段としては、 下の通りである。即ち、
 <1> 蒸解されたパルプ原料に含まれる グニン成分を酸素を用いて分解した後に、 記パルプ原料を洗浄するのに用いられる洗 剤であって、下記一般式(1)、(2)及び(3)で表 れる化合物から選択される少なくとも1種か なる非イオン性界面活性剤であって、前記 ルプ原料の洗浄における洗浄温度よりも曇 が低い非イオン性界面活性剤を含有するこ を特徴とするクラフトパルプ用洗浄剤であ 。
  R 1 O-(PO) n -[(EO) m ・(PO) k ]H ・・・ 一般式(1)
 ただし、前記一般式(1)中、R 1 は、炭素数10~20の直鎖又は分岐のアルキル基 びアルケニル基のいずれかを表す。n、m、 びkは、平均付加モル数を表し、nは、0~10を し、m及びkの和は、1~100である。EO、及びPOは 、それぞれ、エチレンオキシド単位、プロピ レンオキシド単位を表し、[(EO) m ・(PO) k ]におけるEO及びPOの付加形態は、ランダム及 ブロックのいずれであってもよい。
  R 2 -CO-(AO) y -OR 3  ・・・ 一般式(2)
 ただし、前記一般式(2)中、R 2 は、炭素数10~20の直鎖のアルキル基、及びア ケニル基のいずれかを表す。AOは、オキシ チレン基、オキシプロピレン基、及びオキ ブチレン基から選択される少なくとも1種の キシアルキレン基を表す。yは、1~10を表す R 3 は、メチル基である。
 ただし、前記一般式(3)中、R 4 は、炭素数10~20のアルキル基を表す。EOは、 チレンオキサイド基を表す。x及びzは、いず れもエチレンオキサイドの付加モル数を表し 、x及びzの和は、2~10である。
 該<1>に記載のクラフトパルプ用洗浄剤 おいては、下記一般式(1)、(2)及び(3)で表さ る化合物から選択される少なくとも1種から なる非イオン性界面活性剤であって、前記パ ルプ原料の洗浄における洗浄温度よりも曇点 が低い非イオン性界面活性剤を含有するので 、パルプの洗浄効率が向上される。
 <2> 非イオン性界面活性剤は、曇点が55 ℃以下である前記<1>に記載のクラフトパ ルプ用洗浄剤である。
 <3> パルプ原料を蒸解する蒸解工程と 前記蒸解されたパルプ原料に含まれるリグ ン成分を酸素を用いて分解する酸素脱リグ ン反応工程と、前記酸素脱リグニン反応工 に続いて前記パルプ原料を洗浄する洗浄工 と、を含むクラフトパルプ製造方法であっ 、前記洗浄工程において、前記一般式(1)、(2 )及び(3)で表される化合物から選択される少 くとも1種からなる非イオン性界面活性剤で って、前記洗浄工程における洗浄温度より 曇点が低い非イオン性界面活性剤を含有す クラフトパルプ用洗浄剤を添加することを 徴とするクラフトパルプの製造方法である
  R 1 O-(PO) n -[(EO) m ・(PO) k ]H ・・・ 一般式(1)
 ただし、前記一般式(1)中、R 1 は、炭素数10~20の直鎖又は分岐のアルキル基 びアルケニル基のいずれかを表す。n、m、 びkは、平均付加モル数を表し、nは、0~10を し、m及びkの和は、1~100である。EO、及びPOは 、それぞれ、エチレンオキシド単位、プロピ レンオキシド単位を表し、[(EO) m ・(PO) k ]におけるEO及びPOの付加形態は、ランダム及 ブロックのいずれであってもよい。
  R 2 -CO-(AO) y -OR 3  ・・・ 一般式(2)
 ただし、前記一般式(2)中、R 2 は、炭素数10~20の直鎖のアルキル基、及びア ケニル基のいずれかを表す。AOは、オキシ チレン基、オキシプロピレン基、及びオキ ブチレン基から選択される少なくとも1種の キシアルキレン基を表す。yは、1~10を表す R 3 は、メチル基である。
 ただし、前記一般式(3)中、R 4 は、炭素数10~20のアルキル基を表す。EOは、 チレンオキサイド基を表す。x及びzは、いず れもエチレンオキサイドの付加モル数を表し 、x及びzの和は、2~10である。
 該<3>に記載のクラフトパルプの製造方 においては、前記蒸解工程において、パル 原料が蒸解される。前記酸素脱リグニン反 工程において、前記蒸解されたパルプ原料 含まれるリグニン成分が酸素を用いて分解 れる。前記洗浄工程において、前記一般式( 1)、(2)及び(3)で表される化合物から選択され 少なくとも1種からなる非イオン性界面活性 剤であって、前記洗浄工程における洗浄温度 よりも曇点が低い非イオン性界面活性剤を含 有するクラフトパルプ用洗浄剤が添加され、 前記酸素脱リグニン反応工程に続いて、前記 パルプ原料が洗浄される。その結果、パルプ の洗浄効率が向上される。
 <4> 洗浄工程後に、パルプ原料を漂白 る漂白工程を更に含む前記<3>に記載の ラフトパルプの製造方法である。
 <5> 非イオン性界面活性剤は、曇点が55 ℃以下である前記<3>から<4>のいずれ かに記載のクラフトパルプの製造方法である 。

 本発明によれば、従来における前記諸問 を解決し、前記目的を達成することができ パルプの洗浄効率及びパルプ製造における ネルギー効率を向上させることができ、特 、パルプの漂白を行う場合、酸素脱リグニ 反応工程後のパルプの白色度を向上させる とができ、もって、漂白剤の添加量を削減 き、発泡を防止し、消泡剤の添加量を削減 ることができるクラフトパルプ用洗浄剤、 び該洗浄剤を用いたクラフトパルプ製造方 を提供することができる。

図1は、本発明のクラフトパルプの製造 方法の一例を説明するための概略図である。 図2は、本発明のクラフトパルプの製造 方法の他の一例を説明するための概略図であ る。 図3は、図2における洗浄機A及びBを説明 するための概略図である。

(クラフトパルプ用洗浄剤)
 本発明のクラフトパルプ用洗浄剤は、蒸解 れたパルプ原料に含まれるリグニン成分を 素を用いて分解した後に、前記パルプ原料 洗浄するのに用いられ、少なくとも特定の イオン性界面活性剤を含み、更に必要に応 てその他の成分を含んでなる。

<非イオン性界面活性剤>
 本発明に用いられる前記非イオン性界面活 剤としては、前記一般式(1)、(2)及び(3)で表 れる化合物から選択される少なくとも1種か らなる非イオン性界面活性剤であって、前記 パルプ原料の洗浄における洗浄温度よりも曇 点が低い非イオン性界面活性剤を含有するも のである限り、特に制限はなく、目的に応じ て適宜選択することができる。
 前記非イオン性界面活性剤は、十分な効果 得るためには曇点が洗浄温度より10℃以上 い温度であることが好ましく、前記洗浄温 は、通常65℃~90℃であるため、前記非イオン 性界面活性剤の曇点は、55℃以下であること 好ましい。
 一般的に洗浄温度が非イオン性界面活性剤 曇点以上にある場合、非イオン性界面活性 はミセルを形成することができない。この 合、界面活性能は殆ど発揮されず非イオン 界面活性剤成分は油滴状態で洗浄水中に白 分散する。本発明は、非イオン性界面活性 をその曇点以上で使用する、すなわち本来 界面活性剤として機能しない温度で使用す ことを特徴とする。
 ここで、前記曇点とは、非イオン性界面活 剤に特有の性質であり、非イオン性界面活 剤水溶液の温度を高めていったときに水溶 が白濁する温度をいう。これは、非イオン 界面活性剤は、親水基と水分子との水素結 により水和するところ、曇点以上の温度で 水との水素結合が切断され、水和度が減少 るために起こる現象である。本発明では、 下のように測定した値とする。
(非イオン性界面活性剤の曇点測定方法)
 25℃で2重量%の非イオン性界面活性剤水溶液 を調製した後、温度計及び攪拌棒を備えた容 量100mlの透明ガラス製容器に前記非イオン性 面活性剤水溶液を80g秤取り、温浴中で攪拌 ながら徐々に温度を上昇させる。水溶液が り始めたら3~5℃高い温度で温浴から取り出 て放冷し、目視で濁りの消失する温度を測 し、この温度を曇点とする。25℃で2重量%の 非イオン性界面活性剤水溶液を調製したとき に既に白濁していた場合においても、前記同 様に容量100mlの透明ガラス製容器にとって、2 5℃恒温水槽中に1時間静置した後に目視で確 し、それでも白濁が確認された場合には曇 を25℃以下とする。
 前記非イオン性界面活性剤は、前記パルプ 料の洗浄における洗浄温度よりも曇点が低 こと以外にも、分子内に一定の疎水基を有 ることが必要であり、前記疎水基として炭 数が10~20の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素 を有する高級アルコールのアルキレンオキ ド(EO/PO)付加体、脂肪酸アルキルエステルの ルキレンオキシド(EO/PO)付加体、脂肪族アミ ンのアルキレンオキシド(EO)付加体を使用す ことができる。

-高級アルコールのアルキレンオキシド付加 -
 前記高級アルコールのアルキレンオキシド 加体としては、下記一般式(1)で表される化 物を使用することができる。
  R 1 O-(PO) n -[(EO) m ・(PO) k ]H ・・・ 一般式(1)
 ただし、前記一般式(1)中、R 1 は、炭素数10~20の直鎖又は分岐のアルキル基 びアルケニル基のいずれかを表す。n、m、 びkは、平均付加モル数を表し、nは、0~10を し、m及びkの和は、1~100である。EO、及びPOは 、それぞれ、エチレンオキシド単位、プロピ レンオキシド単位を表し、[(EO) m ・(PO) k ]におけるEO及びPOの付加形態は、ランダム及 ブロックのいずれであってもよい。

 前記一般式(1)中、R 1 Oで表されるアルコール残基を形成する高級 ルコールにおいて、R 1 の炭素数としては、10~20である限り、特に制 はなく、目的に応じて適宜選択することが きるが、白色度の向上効果と低温時のハン リング性とをより両立することができる点 、12~18が好ましい。前記炭素数が10未満であ ると、有色成分との親和性が低下し、白色度 向上効果が低下することがある。一方、前記 炭素数が20を超えると、融点が高くなりすぎ 、低温時のハンドリング性が損なわれるこ があり、また、有色成分との親和性が低下 白色度向上効果が低下することがある。ま 、原料となる高級脂肪酸が自然界に殆ど存 しないことから、経済的にも不利となる。

 前記R 1 Oで表されるアルコール残基を形成する高級 ルコールとしては、特に制限はなく、目的 応じて適宜選択することができ、分岐を有 る合成アルコールであっても、直鎖で分布 有する天然系アルコールであってもよく、 えば、デシルアルコール、ラウリルアルコ ル、トリデシルアルコール、ミリスチルア コール、ペンタデシルアルコール、セチル ルコール、ヘプタデシルアルコール、ステ リルアルコール、オレイルアルコール、ノ デシルアルコール、エイコシルアルコール などが挙げられる。中でも、ラウリルアル ール、トリデシルアルコール、セチルアル ール、ステアリルアルコールが、白色度の 上効果と低温時のハンドリング性とを両立 ることができる点で、好ましい。また、高 アルコールとしては、上記アルコールの混 物を使用することもできる。

 前記高級アルコール残基R 1 Oに直接付加しているプロピレンオキサイド 付加モル数nとしては、0~10である限り、特に 制限はなく、目的に応じて適宜選択すること ができるが、2~6が好ましい。

 R 1 の炭素数と高級アルコールに直接付加してい るプロピレンオキサイドの炭素数の合計、即 ち、一般式(1)中の(R 1 O-(PO) n -)部分の炭素数の下限値としては、10以上で る限り、特に制限はなく、目的に応じて適 選択することができるが、22以上が好ましく 、24以上がより好ましい。前記一般式(1)中の( R 1 O-(PO) n -)部分の炭素数が、下限値未満(10未満)である と、有色成分との親和に必要な疎水性が不足 して、白色度の向上効果が低下することがあ る。
 一方、前記一般式(1)中の(R 1 O-(PO) n -)部分の炭素数の上限としては、50以下であ 限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜 択することができるが、45以下が好ましく、 40以下がより好ましい。前記一般式(1)中の(R 1 O-(PO) n -)部分の炭素数が、上限値(50)を超えると、融 点が高くなりすぎて、低温時のハンドリング が損なわれることがある。

 一般式(1)中におけるmとkの和としては、1~ 100である限り、特に制限はなく、目的に応じ て適宜選択することができるが、白色度向上 効果がより優れたものにできる点で、2~80が ましく、5~60がより好ましい。前記mとkの和 1未満であると、有色成分との相互作用が弱 なり、白色度向上効果が低下することがあ 。一方、前記mとkの和が100を超えると、繊 内部への浸透速度が遅くなり、白色度向上 果が低下すると同時に、製造コストが高く り経済的に不利となることがある。

 前記一般式(1)の非イオン性界面活性剤が洗 温度よりも低い曇点を有するように、アル ール残基を形成する高級アルコールの炭素 や、(R 1 O-(PO) n -)部分の炭素数に応じて、付加モル数を決定 る。例えば、(R 1 O-(PO) n -)部分の炭素数が同じ場合には、EOの付加モ 数が少ないほど曇点を低くすることができ 同じEOの付加モル数であれば(R 1 O-(PO) n -)部分の炭素数が多いほど曇点は低くなる。 た、一般式(1)中の(R 1 O-(PO) n -)部分の炭素数や(-[(EO) m ・(PO) k ]H)部分のEOの付加モル数が同じであれば、-[(E O) m ・(PO) k ]H)部分のPOの付加モル数が多いほど曇点を低 することができる。以上のように、洗浄温 に合わせて一般式(1)中の非イオン性界面活 剤が洗浄温度よりも低い曇点を有するよう 、アルコール残基を形成する高級アルコー の炭素数や、(R 1 O-(PO) n -)部分の炭素数に応じて、EO、POの付加モル数 m、kを決定する。

 前記一般式(1)で表される化合物としては n、kが0の場合、ポリオキシエチレン(4EO)デ ルエーテル、ポリオキシエチレン(5EO)デシル エーテル、ポリオキシエチレン(6EO)デシルエ テル、ポリオキシエチレン(7EO)デシルエー ル、ポリオキシエチレン(8EO)デシルエーテル 、ポリオキシエチレン(5EO)第2級アルキル(C12~1 4)エーテル、ポリオキシエチレン(7E.O.)第2級 ルキル(C12~14)エーテル、ポリオキシエチレン (8EO)第2級アルキル(C12~14)エーテル、ポリオキ エチレン(9EO)第2級アルキル(C12~14)エーテル ポリオキシエチレン(3EO)イソトリデシルエー テル、ポリオキシエチレン(5EO)イソトリデシ エーテル、ポリオキシエチレン(7EO)イソト デシルエーテル、ポリオキシエチレン(9EO)イ ソトリデシルエーテル、ポリオキシエチレン (3EO)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン( 4EO)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(5 EO)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(6E O)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(7EO )ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(2EO) セチルエーテル、ポリオキシエチレン(3EO)セ ルエーテル、ポリオキシエチレン(5EO)セチ エーテル、ポリオキシエチレン(7EO)セチルエ ーテル、ポリオキシエチレン(2EO)ステアリル ーテル、ポリオキシエチレン(3EO)ステアリ エーテル、ポリオキシエチレン(5EO)ステアリ ルエーテル、ポリオキシエチレン(6EO)ステア ルエーテル、ポリオキシエチレン(8EO)ステ リルエーテルなどが挙げられる。これらは 販のものが入手可能であり、市販品として 、第一工業製薬株式会社製 ノイゲンXL-40、 一工業製薬株式会社製、ノイゲンXL-50、第 工業製薬株式会社製 ノイゲンXL-60、第一工 製薬株式会社製ノ イゲンXL-70、第一工業製 薬株式会社製、ノイゲンXL-80、ライオン株式 社製 レオコールSC-50、ライオン株式会社製  レオコールSC-70、ライオン株式会社製 レオ コールSC-80、ライオン株式会社製 レオコー SC-90、ライオン株式会社製 レオコールTD-30 ライオン株式会社製 レオコールTD-50、ライ ン株式会社製 レオコールTD-70、ライオン株 式会社製 レオコールTD-90、ライオン株式会 製 レオックスCC-30、ライオン株式会社製   レオックスCC-40、ライオン株式会社製 レオ クスCC-50、ライオン株式会社製 レオックスC C-60、ライオン株式会社製 レオックスCC-70、 本エマルジョン株式会社製 EMALEX102、日本 マルジョン株式会社製 EMALEX103、日本エマル ジョン株式会社製 EMALEX105、日本エマルジョ 株式会社製 EMALEX107、日本エマルジョン株 会社製 EMALEX602、日本エマルジョン株式会社 製 EMALEX603、日本エマルジョン株式会社製 EM ALEX605、日本エマルジョン株式会社製 EMALEX606 、日本エマルジョン株式会社製 EMALEX608、な が挙げられる。

 前記一般式(1)で表される化合物としては nが0、kが1~10の場合、ポリオキシエチレン(7E O)ポリオキシプロピレン(3PO)イソトリデシル ーテル、ポリオキシエチレン(20EO)ポリオキ プロピレン(7PO)イソトリデシルエーテル、ポ リオキシエチレン(2EO)ポリオキシプロピレン( 1PO)イソトリデシルエーテル、ポリオキシエ レン(3EO)ポリオキシプロピレン(1PO)イソトリ シルエーテル、ポリオキシエチレン(5EO)ポ オキシプロピレン(1PO)イソトリデシルエーテ ル、ポリオキシエチレン(9EO)ポリオキシプロ レン(2PO)イソトリデシルエーテル、ポリオ シエチレン(5EO)ポリオキシプロピレン(3.5PO) 2級アルキル(C12~14)エーテル、ポリオキシエ レン(7EO)ポリオキシプロピレン(4.5PO)第2級ア キル(C12~14)エーテル、ポリオキシエチレン(7 EO)ポリオキシプロピレン(8.5PO)第2級アルキル( C12~14)エーテル、ポリオキシエチレン(9EO)ポリ オキシプロピレン(5PO)第2級アルキル(C12~14)エ テル、などが挙げられる。これらは市販の のが入手可能であり、市販品の例としては ライオン株式会社製 ライオノールTD-730、 イオン株式会社製 ライオノールTD-2007、ラ オン株式会社製 ライオノールTDL-20、ライオ ン株式会社製 ライオノールTDL-30、ライオン 式会社製 ライオノールTDL-50、ライオン株 会社製 ライオノールTDM-90、ライオン株式会 社製 ライオノールL-535、ライオン株式会社  ライオノールL-745、ライオン株式会社製  イオノールL-785、ライオン株式会社製 ライ ノールL-950などが挙げられる。

 前記一般式(1)で表される化合物の曇点は 洗浄温度よりも低いことが必要であり、十 な効果を得るためには、洗浄温度より10℃ 上低い温度であることが必要である。曇点 洗浄温度よりも高いと、洗浄対象である有 物質(リグニン分解物)とパルプとを洗浄温水 によって分離することが困難となる。

-脂肪酸アルキルエステルのアルキレンオキ ド付加体-
 前記脂肪酸アルキルエステルのアルキレン キシド付加体としては、下記一般式(2)で表 れる化合物が使用できる。
  R 2 -CO-(AO) y -OR 3  ・・・ 一般式(2)
 ただし、前記一般式(2)中、R 2 は、炭素数10~20の直鎖のアルキル基、及びア ケニル基のいずれかを表す。AOは、オキシ チレン基、オキシプロピレン基、及びオキ ブチレン基から選択される少なくとも1種の キシアルキレン基を表す。yは、1~10を表す R 3 は、メチル基である。

 前記一般式(2)における(R 2 -CO-)は、脂肪酸エステル残基である。前記脂 酸エステル残基の炭素数としては、10~20で る限り、特に制限はなく、目的に応じて適 選択することができるが、12~18が好ましい。 前記炭素数が10未満であると、有色成分との 和性が低下し、白色度向上効果が低下する とがある。一方、前記炭素数が20を超える 、融点が高なりすぎて低温時のハンドリン 性が損なわれることがある。

 前記脂肪酸エステルとしては、特に制限 なく、目的に応じて適宜選択することがで 、例えば、カプリン酸メチル、ラウリン酸 チル、ミリスチン酸メチル、パルチミン酸 チル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メ ル、などが挙げられる。

 前記一般式(2)中のポリオキシアルキレン基 付加モル数yは、1~10である限り、特に制限 なく、目的に応じて適宜選択することがで 、脂肪酸エステルのアルキル鎖長に応じて 洗浄温度よりも低い曇点を有するように決 される。例えば、前記ポリオキシアルキレ 基がポリオキシエチレン基である場合、曇 を55℃以下にするためには、R 2 がラウリン酸エステルである場合、yは、1~9 あり、R 2 がオレイン酸エステルの場合、yは、1~10であ 。

-脂肪族アミンのアルキレンオキシド付加体-
 前記脂肪族アミンのアルキレンオキシド付 体としては、下記一般式(3)で表される化合 を使用することができる。
 ただし、前記一般式(3)中、R 4 は、炭素数10~20のアルキル基を表す。EOは、 チレンオキサイド基を表す。x及びzは、いず れもエチレンオキサイドの付加モル数を表し 、x及びzの和は、2~10である。

 前記一般式(3)中のR 4 としては、炭素数10~20のアルキル基である限 、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択 ることができるが、12~18が好ましい。前記 素数が10未満であると、有色成分との親和性 が低下し、白色度向上効果が低下することが ある。一方、前記炭素数が20を超えると、融 が高くなりすぎて低温時のハンドリング性 損なわれることがある。

 前記一般式(3)中のポリオキシエチレン基 付加モル数x+zとしては、1~10である限り、特 に制限はなく、目的に応じて適宜選択するこ とができ、アルキル鎖長に応じて、洗浄温度 よりも低い曇点を有するように、x+zが決定さ れる。

 前記一般式(3)で表される化合物としては 特に制限はなく、目的に応じて適宜選択す ことができ、例えば、ポリオキシエチレン( EO付加数:2~10)オレイルアミン(ライオン株式会 社製、エソミンO/12、O/17、O/20)、ポリオキシ チレン(EO付加数:2~10)C12-14アミン(ライオン株 会社製、エソミンC/12、O/15)、などが挙げら る。

-その他の成分-
 前記その他の成分として、本発明の効果を 害しない範囲内であれば、他の工程添加剤 例えば、消泡剤、ピッチコントロール剤、 ケールコントロール剤を添加してもよい。

-クラフトパルプ用洗浄剤の剤型-
 本発明のクラフトパルプ用洗浄剤の剤型と ては、液体である限り、特に制限はなく、 的に応じて適宜選択することができ、非イ ン性界面活性剤を直接添加しても、予め水 配合しても、水で希釈して添加してもよい

-クラフトパルプ用洗浄剤中の有効成分量-
 本発明のクラフトパルプ用洗浄剤は、前記 イオン性界面活性剤を含有するものである り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選 することができるが、ハンドリング性をよ 向上することができる点で、水を含有する とが好ましい。水を含有する場合、エチレ オキサイドなどの付加モル数に依存するが 概ね水含有量が30質量%~70質量%の領域でゲル 化することがあるため、ゲル化しない範囲に 水分量を調整することが好ましい。水の含有 量としては、1質量%~20質量%が好ましく、5質 %~15質量%がより好ましい。

-クラフトパルプ用洗浄剤の使用量-
 本発明のクラフトパルプ用洗浄剤の使用量 しては、特に制限はなく、目的に応じて適 選択することができ、前記一般式(1)~(3)で表 される化合物として絶乾パルプ当たり0.003質 %~10質量%が好ましく、0.005質量%~1質量%がよ 好ましく、0.01~0.1質量%が更に好ましい。前 使用量が、0.003質量%未満であると、目的と る白色度の向上効果は得られないことがあ 、10質量%を超えると、泡立ち性が高くなっ り、添加量に見合う白色度向上効果は認め れないことがあり、経済的に不利となるこ がある。

 本発明のクラフトパルプ用洗浄剤によれ 、パルプの白色度を向上させることができ 特に、クラフトパルプ製造方法が漂白工程 含む場合に、漂白前のパルプの白色度が向 し、二酸化塩素使用量が削減でき、発泡を 止し、消泡剤の添加量を削減することがで る。この効果が得られる理由は定かではな が、洗浄工程における洗浄温度よりも低い 点を有する非イオン性界面活性剤を用いる とにより、曇点によって相分離した活性剤 にパルプ表面の有色物質が可溶化し、多段 浄工程によってパルプの洗浄及び脱水を繰 返すことによって、パルプ表面の有色物質 除去し、白色度を向上させ、漂白工程で使 する薬品量の低減に寄与するものと考えら る。よって、非イオン性界面活性剤として 曇点だけでなく、構造中に適度な疎水鎖を することが必要とされる。

(クラフトパルプの製造方法)
 本発明のクラフトパルプの製造方法は、少 くとも、蒸解工程と、酸素脱リグニン反応 程と、洗浄工程とを含み、更に必要に応じ 適宜選択した、その他の工程を含んでなる
 前記洗浄工程において、前記一般式(1)、(2) び(3)で表される化合物から選択される少な とも1種からなる非イオン性界面活性剤であ って、前記洗浄工程における洗浄温度よりも 曇点が低い非イオン性界面活性剤を含有する クラフトパルプ用洗浄剤を添加する。
 前記非イオン性界面活性剤は、十分な効果 得るためには曇点が洗浄温度より10℃以上 い温度であることが好ましく、前記洗浄温 は、通常65℃~90℃であるため、前記非イオン 性界面活性剤の曇点は、55℃以下であること 好ましい。

<蒸解工程>
 前記蒸解工程は、パルプ原料を蒸解する工 である。前記蒸解工程において、例えば、 ルプ原料(木材チップ)が水酸化ナトリウム び硫化ナトリウムの混液中で加圧蒸煮され パルプ原料中のリグニン成分、脂肪酸ナト ウム塩、ロジン酸ナトリウム塩等の非繊維 分が溶解される。アルカリ蒸解後は、パル スラリーと黒液とに分離され、洗浄される

<酸素脱リグニン反応工程>
 前記酸素脱リグニン反応工程は、前記蒸解 れたパルプ原料に含まれるリグニン成分を 素を用いて分解する工程、即ち、前記蒸解 程で除去しきれなかったリグニン成分を分 する工程であり、蒸解処理後の初段に、ア カリ性・高温加圧下で、酸素を作用させる 素脱リグニン法が開発され、現在広く普及 るに至っている。蒸解工程後のパルプ中に 存するリグニンの40%~50%が、酸素脱リグニン 反応を実施することにより分解されるので、 後段の塩素系漂白薬品の使用量を下げること が可能になるのみならず、酸素脱リグニン反 応工程で発生した排水を蒸解工程に循環する ことができるので、薬品とエネルギーを回収 することができ、また、排水の負荷を軽減す ることができる。

<洗浄工程>
 前記洗浄工程は、前記酸素脱リグニン反応 程後に、前記パルプ原料を洗浄する工程、 ち、前記酸素脱リグニン反応によって生成 れたリグニン分解物や有色成分を洗浄によ て除去する工程である。
 後述する漂白工程が行われる場合、前記洗 工程は、前記酸素脱リグニン反応工程と前 漂白工程との間に行われる。
 前記パルプ原料の洗浄は、例えば、蒸解工 から送られてくるパルプスラリー(パルプ濃 度は約10質量%)に洗浄水を添加して、パルプ 度を約1質量%のスラリーとすることなどによ り行われる。
 前記洗浄工程は、向流多段洗浄方法により 施されることが一般的である。
 前記向流多段洗浄方法とは、洗浄機を直列 2~5台連結して、洗浄する方法である。最終 の洗浄機における洗浄液にのみ清水(ボイラ ーより回収した温水=洗浄温水)が使用される 最終段の洗浄機で回収された洗浄水を前段 洗浄機で洗浄水として使用し、更に前段の 浄機で使用された洗浄水を回収し、もう一 前の洗浄機の洗浄水として使用する。この うな向流洗浄方法を用いると、蒸解工程及 酸素脱リグニン反応工程で使用した薬品だ でなく、リグニン分解物についても高濃度 回収することができる。
 前記洗浄機に導入されるパルプスラリーの 度、即ち、洗浄温度は通常65℃~90℃であり 洗浄機のバット中のパルプスラリーの温度 ある。

 前記洗浄機としては、特に制限はなく、目 に応じて適宜選択することができ、例えば ドラム型フィルター、ディフューザー、プ ッシャー型ディフューザー、加圧型ドラム ィルター、プレス型ウォッシャー、などが げられる。なお、前記洗浄工程としては、 れらの洗浄機を複数組み合わせた多段洗浄 程が好ましい。
 前記クラフトパルプ用洗浄剤の添加を行う 浄段の後に続いて少なくとも1段、より好ま しくは2段以上のすすぎ洗浄段を有する多段 浄とすることが、添加したクラフトパルプ 洗浄剤の除去のために望ましい。洗浄機が 独である場合、添加したクラフトパルプ用 浄剤が十分に除去されず、着色成分の再付 などにより白色度の向上が十分に得られな 恐れがある。
 洗浄剤効果を向上するために、2段以上の多 段洗浄機を使用し、酸素脱リグニン反応工程 後の直後の1段目の洗浄機にクラフトパルプ 洗浄剤を添加することが好ましい。
 洗浄機でのクラフトパルプ用洗浄剤の添加 置としては、洗浄機で処理される前の酸素 リグニン反応工程後のパルプスラリーと均 に混合できる場所であれば特に制限はなく 目的に応じて適宜選択することができるが 洗浄機にパルプスラリーを流送するポンプ サクション口、パルプスラリーの濃度を調 するための希釈水の注入口、希釈水の送液 ンプのサクション口などが好適である。こ らの添加位置に比べて、例えば、ドラム型 ィルターのバットにクラフトパルプ用洗浄 を直接添加した場合には、クラフトパルプ 洗浄剤が十分にパルプスラリー中に拡散せ 、十分な効果が発揮されないことがある。 た、洗浄機で使用するシャワーにクラフト ルプ用洗浄剤を添加した場合には、発泡ト ブルを引き起こす可能性がある。
 本発明のクラフトパルプ用洗浄剤の洗浄機 の添加は、酸素脱リグニン反応工程の直後 洗浄機であることが好ましい。例えば、酸 脱リグニン反応工程後、向流式二段真空ド ム式洗浄機を有する洗浄工程では、一段目 洗浄機に流送されるパルプスラリー中に添 することが好ましい。一段目の洗浄機に添 することでパルプ中の有色成分をクラフト ルプ用洗浄剤が十分に取り込み、二段目の 浄機でクラフトパルプ用洗浄剤の除去が十 に進むからであると考えられる。二段目の 浄機に添加した場合には、クラフトパルプ 洗浄剤の除去効果が十分に得られないこと ある。

<その他の工程>
 前記その他の工程としては、特に制限はな 、目的に応じて適宜選択することができ、 えば、漂白工程、などが挙げられる。

-漂白工程-
 前記漂白工程は、洗浄工程後のパルプを漂 する工程であり、塩素、次亜塩素酸塩、二 化塩素、オゾン、過酸化水素、などの酸化 が用いられる。
 近年では、環境問題がクローズアップされ 有機塩素化合物やクロロホルムの発生を防 する方法として、塩素や次亜塩素酸塩を用 ない、いわゆるECF(Elemental Chlorine Free)漂白 法が採用されてきており、塩素に代えて、 ゾン、二酸化塩素が用いられ、次亜塩素酸 に代えて過酸化水素、二酸化塩素、が用い れる。

 本発明のクラフトパルプの製造方法では、 えば、図1に示すように、まず、パルプスラ リー1が酸素脱リグニン反応塔2に投入されて 酸素脱リグニン反応後のパルプスラリー3が 得られる。この酸素脱リグニン反応後のパル プスラリー3が、No.1レパルパー4を経て、No.1 ォッシャーに移されてNo.1ウォッシャーのシ ワー水6により洗浄される。このNo.1ウォッ ャーで洗浄されたパルプ(出口パルプシート) 9が、No.2レパルパー10を経て、No.2ウォッシャ に移されてNo.2ウォッシャーのシャワー水12 より洗浄される。このNo.2ウォッシャーで洗 浄されたパルプ(出口パルプシート)15が、ス リーンに移される。また、No.1ウォッシャー 濾液7は、No.1ウォッシャーの濾液タンク8に されて、No.1レパルパー希釈水5として使用 れ、No.2ウォッシャーの濾液13は、No.2ウォッ ャーの濾液タンク14に移されて、No.1ウォッ ャーのシャワー水6乃至No.2レパルパー希釈 11として使用される。
 クラフトパルプ用洗浄剤の添加位置として 、例えば、図1の洗浄機の場合、多段洗浄工 程の一段目の洗浄機の入口に均一に混合して 供給可能な位置(酸素脱リグニン反応後のパ プスラリー3、No.1レパルパー4、又はNo.1レパ パー希釈水5)に添加することが好ましい。

 また、本発明のクラフトパルプの製造方法 、例えば、蒸解工程と、図2に示すO 2 TW(酸素脱リグニン反応塔)により実施される 素脱リグニン反応工程と、向流式真空ドラ 2段ウォッシャー(図2における洗浄機A及びB) より実施される洗浄工程と、多段漂白工程 を含む。
 図3は、図2における洗浄機A及びBを説明する ための概略図である。本発明のクラフトパル プ洗浄剤は図3の洗浄機概略図において希釈 ろ液(a)やパルプ(b)の供給配管中に添加する とが均一混合して供給できるために好まし 、洗浄機のバット(c)やシャワー洗浄(d)部に 加した場合、混合が不十分となり効果が十 に得られないことがあり、また洗浄機にお て発泡することがある。図2及び図3に示すク ラフトパルプの製造方法によれば、パルプの 洗浄効率を向上させることができ、特に、パ ルプの漂白を行う場合、酸素脱リグニン反応 工程後のパルプの白色度を向上させることが でき、もって、漂白剤の添加量を削減でき、 発泡を防止し、消泡剤の添加量を削減するこ とができる。

 また、ダンボールの製造の場合、クラフ パルプ製造方法は、前記漂白工程を含まな ため、塩素使用量の削減という効果を奏し いが、洗浄効率が上がると、同一の洗浄効 を得るために使用される温水量を削減する とができ、また、使用される温水の量を削 することができると、黒液の発生量を抑制 ることができ、回収ボイラーの負荷を低減 ることができる。更に、増産が可能である 況であれば、同じ温水量で処理することが きるパルプ量を増加することができ、生産 を向上することができる。

 以下、本発明の実施例について説明する 、本発明は、これらの実施例に何ら限定さ るものではない。

(実施例1~10及び比較例1~7)
 蒸解工程と、酸素脱リグニン反応工程と、 段フィルター洗浄工程と、二酸化塩素及び 酸化水素による多段晒漂白工程とからなる ルロースパルプの製造装置の酸素脱リグニ 反応工程後の多段フィルター洗浄工程の1段 目のウォッシャーから、多段晒漂白工程前の 広葉樹セルロースパルプを採取した。次に、 採取したセルロースパルプを乾燥質量として 5.6gを、500mLビーカーに計り取り、パルプ濃度 が1質量%になるように65℃の温水を加えた後 表1に示す各種高級アルコールのEO、PO付加体 からなるクラフトパルプ用洗浄剤をパルプに 対し固形分で1質量%添加し、10質量%水酸化ナ リウムをパルプに対し固形分で4質量%とな ように加え、温浴中で65℃に保った状態で10 間攪拌し、パルプスラリーを調製した。調 後のパルプスラリーを直ちに桐山ロート(直 径95mm)を用いて吸引ろ過を行い、抄紙を行っ 。抄紙の際、パルプスラリーを坪量250g/m 2 となるように取り分け、計3枚の評価用シー を作製した。抄紙した評価用シートはプレ した後、約24時間、通風乾燥し、白色度測定 用試料とした。
 なお、比較のために比較例1には洗浄剤無添 加の場合、比較例6には洗浄剤としてノニル ェノールのEO12モル付加体(ライオン株式会社 製 リポノックスNC120)を使用した場合、比較 7には洗浄剤としてアニオン性界面活性剤で あるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム (ライオン株式会社製 ライポンLS-250)を使用 た場合を示す。
 表1中、化合物1~6については下記、製造例1 2により合成した。

(製造例1)
 EO用、またはPO用、もしくはEOとPOの混合用 計量槽、温度計、窒素導入管並びに減圧管 接続したステンレス製電磁誘導回転撹拌機 きオートクレーブにイソトリデシルアルコ ル〔商品名Exxal13、(エクソン・モービル社製 )〕を394g、及び触媒として40%水酸化カリウム 5g仕込み、窒素置換後90℃まで昇温し、0.003M paで脱水を行った。その後、120℃まで昇温し 0.5Mpa以下の圧力下でエチレンオキシド(三菱 化学株式会社製 酸化エチレン(EO))を176g(アル コール1モルに対して2モル)とプロピレンオキ シド(旭硝子株式会社製 酸化プロピレン(PO))1 16g(アルコール1モルに対して1モル)を均一混 後導入して2時間熟成させ、ランダム付加体 得た。次いで、未反応のEO、POを減圧除去し 、冷却後、触媒と当量の80重量%酢酸を添加す ることにより中和し、目的物であるランダム 付加体(化合物1)を得た。
 表1に示した化合物2、化合物3は所定の付加 ル数となるように製造例1と同様にして合成 した。

(製造例2)
 ステアリルアルコール(新日本理化株式会社 製、コノール30S)108.2g(0.4モル)と、触媒として KOH(東亜合成株式会社製、フレーク苛性カリ)0 .278g(ステアリルアルコールのプロピレンオキ シド2モル付加体に対し0.18重量%)を、オート レーブに仕込み、反応系内を充分窒素置換 た後、140±5℃、1時間、減圧下にて充分脱水 行った後、プロピレンオキシド(旭硝子株式 会社製、酸化プロピレン(PO))46.4g(0.8モル)を115 ±5℃、0.1~0.3MPa(ゲージ圧)を保つように徐々に 添加した。添加終了後、2時間熟成を行った 、未反応のPOを減圧下にて除去した。引き続 いて、冷却を行った後、KOHを0.06g追加し、反 系内を充分窒素置換した後、エチレンオキ ド(三菱化学社製、酸化エチレン(EO))387.2g(8.8 モル)とプロピレンオキシド324.8g(5.6モル)との 混合物を120±5℃、0.1~0.3MPa(ゲージ圧)を保つよ うに徐々に添加した。添加終了後、熟成、未 反応のエチレンオキシドとプロピレンオキシ ドの除去を行った後、冷却を行い酢酸(日本 成化学工業社製、99%工業用酢酸)にてpH=7に調 製した(化合物4)。
 表1に示した化合物5、化合物6は所定の付加 ル数となるように製造例2と同様にして合成 した。尚、化合物6については、ステアリル ルコールのプロピレンオキシド付加物に対 、エチレンオキシド、プロピレンオキシド 順に別々に段階的に供給、付加し、ブロッ 付加体とした。

(実施例11、12)
 実施例11では下記製造例3により合成した洗 剤を使用した。
(製造例3)
 化学組成が2.5MgO・Al 2 O 3 ・nH 2 Oである水酸化アルミナ・マグネシウム(協和 学工業(株)製、キョーワード300)を窒素気流 、750℃で3時間焼成して得られた焼成水酸化 アルミナ・マグネシウムを得た。得られた焼 成水酸化アルミナ・マグネシウム触媒1.2g、5% の水酸化カリウムメタノール溶液1.3g、及び ウリン酸メチル350gを4リットルオートクレー ブに仕込み、オートクレーブ内で触媒の改質 を行った。次いで、オートクレーブ内を窒素 で置換した後、昇温を行い、温度を180℃、圧 力を3atmに維持しつつ、エチレンオキサイド50 4gを導入し、撹拌しながら反応させ、ラウリ 酸ポリオキシエチレンメチルエーテルの平 エチレンオキサイド付加モル数は7.0の付加 を得た。これを実施例11の洗浄剤として使 した。

 また、実施例12のクラフトパルプ用洗浄 は、一般式(3)に該当するヤシ油脂肪酸由来 脂肪族1級アミンのエチレンオキシド付加体( 平均付加モル数2モル)であるライオン株式会 製のエソミンC/12を使用した。

 次に、得られた実施例1~12及び比較例1~7に ついて、以下のようにして、白色度、及びク ラフトパルプ洗浄剤の曇点を測定した。結果 を表2に示す。

<白色度の測定>
 分光色彩・白度計PF-10(日本電色工業株式会 製)を用いて、作製した評価用シート1枚に き3箇所の白色度を測定し、3枚のシートの平 均値を求めた。表の評価結果中、白色度は値 が大きいほど良好となる。白色度の向上効果 (δ白色度)は、クラフトパルプ用洗浄剤とし の非イオン性界面活性剤を全く添加しなか た場合(比較例1)の白色度との差により求め 。本実験条件で白色度の向上効果が1.5%以上 あれば二酸化塩素の削減効果へ寄与するも となる。

<クラフトパルプ用洗浄剤の曇点の測定>
 25℃で2重量%の非イオン性界面活性剤水溶液 を調製した後、温度計及び攪拌棒を備えた容 量100mlの透明ガラス製のネジ口瓶に前記非イ ン性界面活性剤水溶液を80g秤取り、温浴中 攪拌しながら温度を上昇させ、水溶液が濁 始めてから3~5℃高い温度で温浴から取り出 て放冷し、目視で濁りの消失する温度を測 し、この温度を曇点とした。25℃で2重量%の 非イオン性界面活性剤水溶液を調製したとき に既に白濁していた場合には、前記同様に容 量100mlの透明ガラス製容器にとって、25℃恒 水槽中に1時間静置した後に目視で白濁を確 した上で、曇点を25℃以下とした。


(実施例13)
 クラフトパルプ製造工場(針葉樹クラフトパ ルプ生産量350トン/日)において、蒸解工程と 酵素脱リグニン反応工程と、酵素脱リグニ 反応工程の後に、真空ドラムウォッシャー3 台(一段目:No.1ウォッシャー、二段目:No.2ウォ シャー、三段目:No.3ウォッシャー)を用いて ルプを洗浄する洗浄工程と、漂白工程とを むクラフトパルプ製造方法を下記のように 施した。
 真空ドラムウォッシャーのNo.1ウォッシャー (バット温度(洗浄温度):80℃)に導入されるパ プ濃度調整用ろ液に、実施例8で用いた非イ ン性界面活性剤をパルプに対して300ppmとな ように添加した。
 次に、No.3ウォッシャーから排出された洗浄 後のパルプを採取し、白色度を、以下のよう にして測定したところ、非イオン性界面活性 剤(洗浄剤)未添加時と比較して1.0%向上した。
 また、以下のようにして漂白工程における 酸化塩素使用量を測定したところ、11.0%削 できた。

<白色度>
 TAPPI抄紙機を用いて、坪量250g/m 2 の評価シートを作製し、JIS P8148に準じて白 度の測定を行った。非イオン性界面活性剤( 浄剤)をまったく添加しなかった場合の白色 度との差(δ)を評価の指標とした。通常、化 パルプの晒漂白工程における二酸化塩素の 加量は、スラリー中のパルプの白色度を連 的に感知して調整するため、白色度の向上 果が0.5%以上であれば二酸化塩素の削減効果 寄与するものとなる。

<二酸化塩素使用量>
 二酸化塩素使用量の削減率は、(洗浄剤無添 加の場合の二酸化塩素添加量-洗浄剤添加時 二酸化塩素添加量)/洗浄剤無添加のときの二 酸化塩素添加量)×100により算出した。
 二酸化塩素使用量については、酸素脱リグ ン反応による脱リグニン度合いの振れによ 誤差を排除するために、酵素脱リグニン反 後の脱リグニン度合いを示すカッパー価(KN )を横軸にとり、縦軸に晒漂白後の最終的に 得られるパルプの目標白色度を得るために必 要な二酸化塩素添加量をとったグラフを作成 し、このグラフから酸素脱リグニン反応後の 脱リグニン度合いが同一KN価のときの二酸化 素添加量を読みとって添加量を求めた。こ を洗浄剤未添加・添加のそれぞれの場合で い、前記二酸化塩素の削減率を算出した。 お、カッパー価の測定は、JIS P8211に準じて 測定した。

(実施例14)
 クラフトパルプ製造工場(広葉樹クラフトパ ルプ生産量1050トン/日)において、蒸解工程と 、酵素脱リグニン反応工程と、酵素脱リグニ ン反応工程の後に、真空ドラムウォッシャー 、ドラム型加圧洗浄機、及びプレス洗浄機を 用いて洗浄する洗浄工程と、漂白工程とを含 むクラフトパルプ製造方法を下記のように実 施した。
 真空ドラムウォッシャー(バット温度(洗浄 度):83℃)に導入されるパルプ濃度調整用のろ 液送液ポンプのサクション側に実施例8で用 た非イオン性界面活性剤をパルプに対して30 0ppmとなるように添加した。
 次に、実施例13と同様にして、プレス洗浄 から採取した洗浄後のパルプの白色度は、 イオン性界面活性剤(洗浄剤)未添加時と比較 して1.1%向上し、漂白工程における二酸化塩 使用量は5.2%削減できた。

(実施例15)
 クラフトパルプ製造工場(針葉樹クラフトパ ルプ生産量300トン/日)において、蒸解工程と 酵素脱リグニン反応工程と、酵素脱リグニ 反応工程の後に、真空ドラム式ウォッシャ 2台(一段目:No1ウォッシャー、二段目:No2ウォ ッシャー)を用いてパルプを洗浄する洗浄工 と、漂白工程とを含むクラフトパルプ製造 法を下記のように実施した。
 真空ドラム式ウォッシャーのNo.1ウォッシャ ー(バット温度(洗浄温度):80℃)に導入される ルプ濃度調整用のろ液送液ポンプのサクシ ン側に実施例8で用いた非イオン性界面活性 をパルプに対して300ppmとなるように添加し 。
 次に、実施例13と同様にして、真空ドラム ウォッシャーのNo.2ウォッシャーから採取し 洗浄後のパルプの白色度は、非イオン性界 活性剤(洗浄剤)未添加時と比較して1.0%向上 、漂白工程における二酸化塩素使用量は12.0 %削減できた。

(実施例16)
 クラフトパルプ製造工場(針葉樹クラフトパ ルプ生産量300トン/日)において、蒸解工程と 酵素脱リグニン反応工程と、酵素脱リグニ 反応工程の後に、ドラムディスプレーサ(加 圧型多段洗浄機:DDウォッシャー)を用いてパ プを2段洗浄する洗浄工程と、漂白工程とを むクラフトパルプ製造方法を下記のように て実施した。
 DDウォッシャー(パルプ温度(洗浄温度):80℃) 導入されるパルプに実施例8で用いた非イオ ン性界面活性剤をパルプに対して300ppmとなる ように添加した。
 次に、実施例13と同様にして、DDウォッシャ ー出口から採取した洗浄後のパルプの白色度 は、非イオン性界面活性剤(洗浄剤)未添加時 比較して0.5%向上し、漂白工程における二酸 化塩素使用量は5.0%削減できた。

 本発明のクラフトパルプ用洗浄剤は、例 ば上質紙、ダンボール、などの製造に用い れるクラフトパルプの洗浄に用いられる洗 剤として、好適に利用可能である。