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Title:
DIAGNOSTIC SYSTEM FOR BEARING
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/096551
Kind Code:
A1
Abstract:
This object aims to provide a diagnostic system for a bearing, configured to allow a manager to intuitively understand a failure condition of a rotation bearing or a slide bearing set at a slow rotation machine installation and to reliably diagnose the failure. A diagnostic system (10) for a bearing in a rotation machine installation is provided with a damage occurrence detection sensor (20) set on a fixed member of the bearing, a monitoring diagnostic device (30) connected with the sensor, and a diagnosis notification means (40) that displays an abnormality occurrence condition by a percentage. The monitoring diagnostic device (30) is comprised of a memory (37) that stores measurement data detected by the sensor, a standard level calculation unit (50) that calculates a level of the abnormality judgment standard, and a judgment unit (59) that equally divides one rotation time of a continuous rotation of a spindle supported by the bearing or one rotation time by an intermittent operation of the spindle into a plurality of sections, compares the extraordinary judgment standard level with the measurement data of each section, and judges whether or not there is an abnormality situation for every section.

Inventors:
KIRA KOUICHI (JP)
ODA MASAHIRO (JP)
UCHIDA HIROYUKI (JP)
HAMAYAMA TOYOTSUGU (JP)
URANO AKIRA (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/051633
Publication Date:
August 06, 2009
Filing Date:
January 30, 2009
Export Citation:
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Assignee:
JFE ADVANTECH CO LTD (JP)
KIRA KOUICHI (JP)
ODA MASAHIRO (JP)
UCHIDA HIROYUKI (JP)
HAMAYAMA TOYOTSUGU (JP)
URANO AKIRA (JP)
International Classes:
G01M13/04; G01H17/00
Foreign References:
JPH03245054A1991-10-31
JPH0450731A1992-02-19
JPH0877683A1996-03-22
JPH09113350A1997-05-02
JPH11271181A1999-10-05
JPH0658849A1994-03-04
JPH1026580A1998-01-27
JPH06235682A1994-08-23
Attorney, Agent or Firm:
OWADA, Kazumi (11-20 Nishitemma 1-chome,Kita-ku, Osaka-shi, Osaka 47, JP)
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Claims:
 回転機械設備における軸受の診断システムであって、
 前記軸受の固定部材に取り付けられる損傷発生検出用のセンサと、
 前記センサと接続した監視診断装置と、
 前記監視診断装置と接続し、異常発生状態を百分率で表示する診断通知手段と、
 を備え、
 前記監視診断装置は、
 前記センサで検出された計測データを記憶する記憶部と、
 前記記憶部で記憶された計測データに基づき、異常判定基準レベルを算出する基準レベル演算部と、
 前記軸受支持された回転軸の1回転時間または間欠動作で1回の該間欠動作時間を複数区間に等分割し、前記異常判定基準レベルと前記各区間の計測データとを比較して、区間毎に異常の有無を判定する判定部とを備えていることを特徴とする軸受の診断システム。
 前記軸受支持された回転軸の1回転時間または1回の間欠動作時間は、百分率で表示するために100区間に分割している請求項1または請求項2に記載の軸受の診断システム。
 前記監視診断装置の基準レベル演算部では、前記軸受支持された回転軸の1回転または1間欠動作毎に、前記異常判定基準レベルを前記記憶部で記憶した計測データの平均値の定数倍に設定している請求項1または請求項2に記載の軸受の診断システム。
 前記監視診断装置の判定部は、異常が発生した区間の数である診断判定パラメータを算出する診断パラメータ演算部と、前記診断判定パラメータと予め定めた異常判定基準を比較して、異常の有無を判定する簡易診断判定部を備えている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の軸受の診断システム。
 前記監視診断装置の判定部は、異常判定された区間が2~10内の設定個数の連続した隣接区間である場合のみ異常区間とし、前記設定個数未満の区間の異常判定はノイズとして除去する異常発生区間連続判定部を備えている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の軸受の診断システム。
 複数回転分または複数間欠動作分の前記診断判定パラメータの平均化を行う平均化処理部を備えている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の軸受の診断システム。
 前記診断判定パラメータと比較する前記異常判定基準は、注意レベル、危険レベル等の複数レベルで設定している請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の軸受の診断システム。
 前記監視診断装置の判定部は、複数回転分または複数間欠動作分の異常判定結果テーブルの異常周期基準位置をずらして各区別の異常発生の判定結果の一致度を算出し、最も一致度が高くなる異常周期基準位置を検索して、前記異常周期基準位置から異常周期を自動で算出する同期検索処理部と、
 軸受機器情報及び/または回転数情報から演算され、異常原因毎に値が異なる計算異常発生周期または該計算異常発生周期の整数倍周期と、前記同期検索処理部で算出される異常周期とを比較し、前記計算異常発生周期または前記計算異常発生周期の整数倍周期と、前記異常周期の一致度が高い場合に、該計算異常発生周期に対応する原因による異常が前記軸受に発生していると診断する原因診断判定部を備えた請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の軸受の診断システム。
 回転機械設備における軸受の診断システムであって、
 前記軸受の固定部材に取り付けられる損傷発生検出用のセンサと、
 前記センサと接続した監視診断装置と、
 前記監視診断装置と接続し、診断結果を表示する診断通知手段と、
 を備え、
 前記監視診断装置は、
 前記センサで検出された信号波形を記憶する記憶部と、
 前記記憶部で記憶した信号波形の演算処理部を備え、
 前記演算処理部は、
 前記信号波形を軸受の回転速度に応じてjに分割する手段と、
 前記分割された分割区間毎に周波数スペクトルFjkを求める手段と、
 周波数スペクトルのうち所定の周波数範囲のスペクトル和Sjを求める手段と、
 前記スペクトル和Sjを時系列に並べた波形信号Sxを作成し、その波形信号Sxの周波数スペクトルSsを求める手段と、
 前記スペクトル波形Ssの尖り度Ksを求める手段を備え、
 前記尖り度Ksと前記尖り度Ksを求めたスペクトル波形を前記診断通知手段で表示することを特徴とする軸受の診断システム。
 回転機械設備における軸受の診断システムであって、
 前記軸受の固定部材に取り付けられる損傷発生検出用のセンサと、
 前記センサと接続した監視診断装置と、
 前記監視診断装置と接続し、診断結果を表示する診断通知手段と、
 を備え、
 前記監視診断装置は、
 前記センサで検出された信号波形を記憶する記憶部と、
 前記記憶部で記憶した信号波形の演算処理部を備え、
 前記演算処理部は、
 前記信号波形にバンドパスフィルタを施す手段と、
 前記バンドパスフィルタ通過後の信号波形を軸受の回転速度に応じてjに分割する手段と、
 前記分割された分割区間毎に信号のrms値RMSj、あるいは等価ピーク値Pjを求める手段と、
 前記rms値RMSj、あるいは等価ピーク値Pjを時系列に並べた波形信号Syを作成し、その波形信号Syの周波数スペクトルSiを求める手段と、
 前記スペクトル波形Siの尖り度Kiを求める手段を備え、
 前記尖り度Kiと前記尖り度Kiを求めたスペクトル波形を前記診断通知手段で表示することを特徴とする軸受の診断システム。
 前記監視診断装置は判定部を備え、
 前記判定部は、軸受機器情報及び回転数情報から演算され、異常原因毎に値が異なる計算異常発生周期または該計算異常発生周期の整数倍周期と、前記周波数スペクトルSsを求める手段または前記周波数スペクトルSiを求める手段によって算出されるピーク周期とを比較し、前期計算異常発生周期または前記計算異常発生周期の整数倍周期と、前記ピーク周期の一致度が高い場合に、該計算異常発生周期に対応する原因による異常が前記軸受に発生していると診断している請求項9または請求項10に記載の軸受の診断システム。
 前記軸受支持された回転機械設備の回転軸の回転数は300rpm以下であり、
 前記軸受は転がり軸受またはすべり軸受である請求項1乃至請求項11に記載の軸受の診断システム。
 前記センサは、振動センサ、変位センサ、アコースティックエミッションセンサ、超音波センサ、音検出センサのいずれかである請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の軸受の診断システム。
 前記異常原因は、転がり軸受の場合、内輪損傷、外輪損傷、転動体損傷の少なくとも一つであり、
 すべり軸受の場合、1回転または1間欠動作に1回または複数回発生する前記回転軸の異常な金属接触である請求項8または請求項11に記載の軸受の診断システム。
 前記センサと監視診断装置と診断通知手段を組み合わせた可動型、または前記監視診断装置に対して前記診断通知手段は無線接続して携帯型としている請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の軸受の診断システム。
Description:
軸受の診断システム

 本発明は、軸受の診断システムに関し、 に、回転機械設備に用いられる軸受の異常 状態を管理者が直感的に把握することがで るものである。詳しくは、軸受の状態を監 するセンサの信号において、軸受の異常や 傷を示す信号成分が小さいがために、外乱 よる信号と見分けがつかないような場合で 、的確に軸受の状態を評価できるようにし いるものである。

 一般的に産業用プラントにおいては多数の 転機械設備が用いられており、設備効率を 大限に活用するために回転機械設備の保守 理が行われている。その保守管理において 、その故障頻度が高くかつ影響が大きい転 り軸受やすべり軸受の状態監視が最も重要 されている。
 通常、おおよそ100rpm以上の回転速度で運転 ている回転機械設備においては、運転状態 振動信号や音信号の計測による軸受の状態 視に代表される設備状態の定量化が行われ いる。

 例えば、転がり軸受の状態を診断するため 、振動センサを軸受のハウジングに取り付 、その振動波形から転がり軸受の損傷を検 する技術が利用されている。
 図22は、外輪に損傷が発生した転がり軸受 振動波形を示すものである。該図22に示すよ うに、転動体が外輪の損傷部位を通過する度 に振動振幅が変調を受ける様子を明確に観察 できる。
 しかし、回転数が100rpm以下のような低速回 機械では、損傷によって発生する振動が微 であるために、このような振動が軸受の回 によって発生する振動や軸受周辺で発生す 他の要因による外乱振動に埋没してS/N比が 常に悪くなる。そのため、単純に振幅変調 検出する方法では軸受の状態を診断するこ ができない。
 このため、従来より、SN比を向上させかつ 実に軸受の状態監視を行うための手法とし 、振動信号に特殊な信号処理を行いSN比を向 上させる方法や、AE(アコースティックエミッ ション)信号の計測による診断手法が提案さ ている。

 例えば、特開平6-323899号公報(特許文献1)に いては、低速回転機械の振動を軸受部で検 し、振動検出信号をバンドパスフィルタ処 して軸受損傷時の周波数領域のスペクトラ のパワーが増加する異常状態を表す固有帯 成分を抽出し、この固有帯域成分の波高率 算出し、算出した波高率のさらに波高率を 出し、予め設定した閾値と比較して低速回 機械の異常診断を行う方法が提案されてい 。
 ノイズによるピーク値にそれほどばらつき なく、軸受損傷による突発波形の表れる周 はノイズによるものより長いことに着目し 前記波高率を算出することで、ノイズを平 化してレベルを低下させ、損傷による信号 分のピーク値を際立たせている。

 また、振動信号を用いた他の診断手法と て、振動時間波形をべき乗処理し閾値を越 たものをイベント(異常)としてカウントし 例えば1時間あるいは1日あたりなど一定時間 間隔でのカウント数の増減や、1回転あたり のカウント数の増減を監視することで軸受 異常を定量化する手法などがある。

 さらに、AE信号の計測による診断として AE信号の1回の発生を1イベントとしてカウン し、例えば1時間あるいは1日あたりなど一 時間間隔でのカウント数の増減や、1回転あ りでのカウント数の増減を監視することで 受異常を定量化する手法がある。また、AE 号の1回の発生を1イベントとしてイベントの 持続時間を積算し、例えば1時間あるいは1日 たりなど一定時間間隔でのイベント積算時 の増減や、1回転あたりでのイベント積算時 間の増減を監視することで軸受の異常を定量 化する手法などもある。

 しかし、AE信号あるいは振動信号のカウ トや積算時間から軸受の異常を監視する場 、回転機械設備の管理者は、モニタ等の警 手段に表示されるカウント数や積算時間結 を見て、数値そのものからは軸受の故障の 態を直感的に把握できないという問題点を している。

 さらに、AE信号を閾値と比較して軸受の異 を監視する方法においては、AE信号は非常に 微小な設備状態変化も検出可能である一方、 敏感に反応するため、異常とはいえない状態 であっても異常であると判定する過検出も多 く、計測や診断において取り扱いが難しいと いう問題点を有している。
 また、イベントの発生(異常発生)を判断す ための基準値は、通常、回転機械設備の初 調整期間に採取された正常時の信号を基準 し、該データから算出した固定値とする場 が多い。このように基準値を固定値として 基準値と信号を比較して軸受等の故障診断 行う場合、回転機械設備の回転数が変化し 負荷変動が生じると信号レベルが変化して まい、正しくイベントの判定ができずに誤 作を誘発するという問題点を有している。

 さらにまた、複数回転以上連続で回転す 設備ではなく、例えば鉄鋼設備のひとつで るレードルターレットのように、1回の運転 動作が1回転に満たず、かつ、該動作を繰り し行う間欠運転設備の場合、1回の測定で1回 転分のデータが得られないため異常状態の定 量化が困難であるという問題点を有している 。

 さらに、AE信号あるいは振動信号等の時 波形データをFFT演算し、該周波数分析結果 ら軸受に異常が発生する周期を検出する場 、100rpm以下のような低速回転設備において 扱うデータ量が膨大なものとなり一般的な 析装置においては解析が困難である。

 例えば、1000rpmの中高速の回転設備において は、1回転に1回発生する軸受の異常周期時間 約60msecであり複数回転分のデータ取得を考 ても1秒程度の計測で周期検出は可能となる 。
 しかし、低速回転の場合、その異常の発生 る周期は回転数が低くなるにつれ長くなる め、1rpmの回転設備において1回転に1回発生 る軸受の異常周期時間は約60secであり、複 回転分のデータ取得を考えると1000秒程度の 測を行う必要がある。
 さらに、0.1rpmの回転設備の場合は、1回転に 1回発生する軸受の異常周期時間は約600秒で り、複数回転分のデータ取得を考えると10000 秒程度の計測が必要となる。

 通常、軸受異常検出を目的とした時間波形 ータ計測の場合、検波処理後の波形を用い 計測を行うため、そのサンプリング周波数 1kHz~3kHzで行われている。
 サンプリング周波数を1kHzとした場合、前記 各回転数の場合に必要なデータ数は、1000rpm 場合は1000データでよいが、1rpmの場合1000000 ータ、0.1rpmの場合10000000データとなる。これ らのデータ数からデータ容量を概算すると100 0rpmの場合2kByte、1rpmの場合2MByte、0.1rpmの場合2 0MByteと膨大なデータ容量となり、高度な処理 能力を持つ解析装置が必要となると共に、解 析にも時間がかかるという問題がある。

 さらに、特許第3920715号公報(特許文献2)では 、採取した振動信号をあらかじめ設定した時 間間隔で分割し、その分割区間毎に振動信号 の周波数を解析してパワースペクトルを求め 、パワースペクトルの総パワー値から軸受の 正常箇所の信号と異常個所の信号を識別して 、S/N比を向上させる信号処理方法が開示され ている。
 前記の信号処理方法では、異常個所の振動 方が正常箇所の振動よりも総パワー値が大 くなることに着目し、総パワー値の大きい 割区間を取り除いた残りの分割区間におけ 平均パワースペクトルを正常箇所のパワー ペクトルとみなして、この平均パワースペ トルと分割区間毎のパワースペクトルとの を求めて異常振動を検出するものである。

 しかしながら、特許文献2の異常診断の検 出方法では、ある分割区間において、不規則 に発生する外乱振動が振動波形の大部分を占 める場合、その区間のパワースペクトルの総 パワー値も大きくなる。そのため、必ずしも 、総パワー値の大きな区間が軸受の異常箇所 の振動に対応するとは限らない。その結果、 外乱振動を軸受の異常箇所の振動と誤認識す る可能性がある。

特開平6-323899号公報

特許第3920715号公報

 本発明は、前記問題に鑑みてなされたもの 、回転機械設備に取り付けられた転がり軸 やすべり軸受の故障の状態を管理者に直感 に把握させると共に、多量の測定データを 憶しなくても確実に故障診断を行うことを 題としている。
 かつ、外乱信号が大きく、軸受の異常や損 を示す信号成分のS/N比が非常に低い場合で っても、的確に軸受の状態を故障診断を行 るようにすることを課題としている。

 前記課題を解決するため、第1の発明として 、回転機械設備における軸受の診断システム であって、
 前記軸受の固定部材に取り付けられる損傷 生検出用のセンサと、
 前記センサと接続した監視診断装置と、
 前記監視診断装置と接続し、異常発生状態 百分率で表示する診断通知手段と、
 を備え、
 前記監視診断装置は、
 前記センサで検出された計測データを記憶 る記憶部と、
 前記記憶部で記憶された計測データに基づ 、異常判定基準レベルを算出する基準レベ 演算部と、
 前記軸受支持された回転軸の1回転時間また は間欠動作で1回の該間欠動作時間を複数区 に等分割し、前記異常判定基準レベルと前 各区間の計測データとを比較して、区間毎 異常の有無を判定する判定部とを備えてい ことを特徴とする軸受の診断システムを提 している。
 前記軸受支持された回転軸の1回転時間また は1回の間欠動作時間は、百分率で表示する めに100区間に分割している。

 本発明の軸受診断システムによれば、回 する設備の軸受支持された回転軸の1回転ま たは間欠運転設備の1回の間欠動作に必要な 間を100区間に分割し、区間毎にイベントの 生(異常発生)を診断して転がり軸受に異常が 発生した区間数を演算している。このため、 該異常発生の区間数は1回転時間または1間欠 作時間に対する軸受異常状態の時間(広さ) 百分率で示したものとなり、設備の管理者 異常が発生した区間数を見て、1回転時間ま は1間欠動作時間あたりに軸受の異常状態の 占める時間を直感的に認識することができる 。

 また、従来技術のようにAE(アコースティ クエミッション)などの信号の異常発生のカ ウントや異常発生時間の積算値を用いて異常 判定を行うと、連続AE発生現象などによって 常とはいえない状態であっても異常である 判定する過検出となることがあるが、本発 では1回転時間または1間欠動作時間を複数 分に分割して異常が発生した区間の数によ 転がり軸受の異常を判定しているため、過 出を抑制することができる。

 前記軸受支持された回転機械設備の回転軸 回転数は0.1rpm以上300rpm以下が好ましく、よ 好ましくは0.1rpm以上150rpm以下であり、さら 好ましくは0.1rpm以上100rpm以下である。
 また、前記軸受は転がり軸受またはすべり 受であることが好ましい。
 さらに、前記センサは、軸受ハウジングに 定される振動加速度ピックアップ、アコー ティックエミッション(AE)、超音波センサ、 音検出センサのいずれかであることが好まし い。

 前記監視診断装置の基準レベル演算部では 前記軸受支持された回転軸の1回転または1 欠動作毎に、前記異常判定基準レベルを前 記憶部で記憶した計測データの平均値の定 倍に設定している。
 このように、異常判定基準レベルを軸受支 された回転軸の1回転または1間欠動作毎に 定しているので、軸受が取り付けられた回 機械設備の回転数や負荷が変化する場合で っても、該回転数や負荷に合わせた軸受の 障の判定を行うことができる。

 前記監視診断装置の判定部では、
 異常が発生した区間の数である診断判定パ メータを算出する診断パラメータ演算部と
 前記診断判定パラメータと予め定めた異常 定基準を比較して、異常の有無を判定する 易診断判定部を備えていることが好ましい

 診断パラメータ演算部で診断判定パラメ タを演算し、診断判定部で該診断判定パラ ータと異常判定基準値を比較している。1回 転時間または1間欠動作時間あたりに軸受の 常状態の占める時間が異常判定基準値を超 ている場合には、軸受が故障していると診 することができる。

 前記監視診断装置の判定部では、異常判 された区間が2~10内の設定個数の連続した隣 接区間である場合のみ異常区間とし、前記設 定個数未満の区間の異常判定はノイズとして 除去する異常発生区間連続判定部を備えてい ることが好ましい。

 転がり軸受に故障が発生するときには、1 区間だけに異常が発生するのではなく連続し て複数区間で異常が発生すると考えられる。 このため、隣接区間の連続性を評価し、異常 判定された区間が隣接する個数が設定個数未 満の区間は、異常が発生した区間数の合計値 から除外することで、測定データに含まれる 突発性のノイズを除去し、該ノイズによる故 障の誤判定を防ぐことができる。

 さらに、前記監視診断装置の判定部は、複 回転分または複数間欠動作分の前記診断判 パラメータの平均化を行う平均化処理部を えていることが好ましい。
 診断判定パラメータを平均して用いること 、測定データに含まれるノイズを除去し、 ノイズによる故障の診断の誤判定を防ぐこ ができる。

 前記診断判定パラメータと比較する前記異 判定基準は、注意レベル、危険レベル等の 数レベルで設定していることが好ましい。
 異常判定基準を複数設け、注意レベル、危 レベルの各レベルと診断判定パラメータを 較することにより異常発生の診断を行うこ で、より詳細に軸受の故障の診断を行うこ ができる。

 また、前記監視診断装置の判定部は、複 回転分または複数間欠動作分の異常判定結 テーブルの異常周期基準位置をずらして各 別の異常発生の判定結果の一致度を算出し 最も一致度が高くなる異常周期基準位置を 索して、前記異常周期基準位置から異常周 を自動で算出する同期検索処理部を備えて ることが好ましい。

 同期検索処理部は、異常周期基準位置を 々にずらして、該異常判定結果テーブルを に補正テーブルを作成する。異常周期基準 置毎に該補正テーブルの区間別の異常発生 判定結果の一致度を算出し、最も一致度が くなる補正テーブルでの異常周期基準位置 検出している。このように定めた異常周期 準位置から軸受に異常が発生する異常周期 算出している。

 さらに、本発明は、外乱信号が大きく、 受の異常や損傷を示す信号成分のS/N比が非 に低い場合であっても、的確に軸受の状態 故障診断を行えるようにした、下記の第2の 発明および第3の発明を提供している。

 第2の発明は、回転機械設備における軸受の 診断システムであって、
 前記軸受の固定部材に取り付けられる損傷 生検出用のセンサと、
 前記センサと接続した監視診断装置と、
 前記監視診断装置と接続し、診断結果を表 する診断通知手段と、
 を備え、
 前記監視診断装置は、
 前記センサで検出された信号波形を記憶す 記憶部と、
 前記記憶部で記憶した信号波形の演算部を え、
 前記演算部は、
 前記信号波形を軸受の回転速度に応じてj=1, 2,…,nに分割する手段と、
 前記分割された分割区間毎に周波数スペク ルFjk(j=1,2,…,n、k=1,2,…,m)を求める手段と、
 周波数スペクトルのうち所定の周波数範囲 スペクトル和Sj(j=1,2,…,n)を求める手段と、
 前記スペクトル和Sjを時系列に並べた波形 号Sxを作成し、その波形信号Sxの周波数スペ トルSsを求める手段と、
 前記スペクトル波形Ssの尖り度Ksを求める手 段を備え、
 前記尖り度Ksを求めたスペクトル波形を前 診断通知手段で表示することを特徴とする

 第3の発明は、
 回転機械設備における軸受の診断システム あって、
 前記軸受の固定部材に取り付けられる損傷 生検出用のセンサと、
 前記センサと接続した監視診断装置と、
 前記監視診断装置と接続し、診断結果を表 する診断通知手段と、
 を備え、
 前記監視診断装置は、
 前記センサで検出された信号波形を記憶す 記憶部と、
 前記記憶部で記憶した信号波形の演算部を え、
 前記演算部は、
 前記信号波形にバンドパスフィルタを施す 段と、
 前記バンドパスフィルタ通過後の信号波形 軸受の回転速度に応じてj=1,2,…,nに分割す 手段と、
 前記分割された分割区間毎に信号のrms値RMSj (j=1,2,…,n)、あるいは等価ピーク値Pjを求める 手段と、
 前記rms値RMSj(j=1,2,…,n)、あるいは等価ピー 値Pjを時系列に並べた波形信号Syを作成し、 の波形信号Syの周波数スペクトルSiを求める 手段と、
 前記スペクトル波形Siの尖り度Kiを求める手 段を備え、
 前記尖り度Kiを求めたスペクトル波形を前 診断通知手段で表示することを特徴とする

 前記第2の発明および第3の発明は、振動セ サ等で検出した波形信号から尖り度を求め 該尖り度で異常発生状況を示し、該異常が 発的な外乱振動であるか、軸受の損傷によ ものか判断できるようにしている。
 即ち、振動センサで検出される波形信号の 波数スペクトルが特定の周波数にピークを する度合いを表す指標として、尖り度を用 る。正規分布では尖り度の値は小さくなり 正規分布よりも尖った形を持つ分布であれ あるほど尖り度の値は大きくなる。それ故 尖り度が高い場合は、周期性を持った振動 発生していることを示すことになる。よっ 、尖り度が高い場合には軸受の損傷によっ 発生した振動が含まれていることを示す。 に、尖り度が低い場合は、その振動は突発 な外乱振動であるから、軸受損傷とは別の 因で発生したものと判断することができる

 前記第1~第3の発明のいずれの発明において 、
 軸受機器情報及び/または回転数情報から演 算され、異常原因毎に値が異なる計算異常発 生周期または該計算異常発生周期の整数倍周 期と、前記同期検索処理部、あるいは前記演 算部で算出される異常周期とを比較し、前記 計算異常発生周期または前記計算異常発生周 期の整数倍周期と、前記異常周期の一致度が 高い場合に、該計算異常発生周期に対応する 原因による異常が前記軸受に発生していると 診断する判定部を備えていることが好ましい 。
 前記異常原因は、転がり軸受の場合、内輪 傷、外輪損傷、転動体損傷の少なくとも一 であり、
 すべり軸受の場合、1回転または1間欠動作 1回または複数回発生する回転軸の異常な金 接触である。異常な金属接触とは、具体的 は、回転軸の異常振動による回転軸の金属 触、すべり軸受の油膜異常による回転軸の 属接触などである。

 異常発生周期は異常原因毎に異なっており 転がり軸受の場合、軸受機器情報や回転数 報から各異常原因に応じた異常発生周期を 算する。また、すべり軸受の場合には、軸 触により回転数に応じた異常発生周期とな 。演算した計算異常発生周期または該計算 常発生周期の整数倍周期と、前記異常周期 を比較し、ほぼ一致する場合には、該計算 常発生周期に対応する異常原因が軸受に発 していると診断する。
 このように、各異常原因に応じた異常発生 期を演算し、計算異常発生周期または該計 異常発生周期の整数倍周期と、前記異常周 とを比較することで、軸受に発生する異常 因を特定することができる。

 前記センサと監視診断装置と診断通知手段 組み合わせた可動型、または前記監視診断 置に対して前記診断通知手段は無線接続し 携帯型としていてもよい。
 転がり軸受の診断システムを可動型とする とで該診断システムを持ち運ぶことができ 診断対象となる転がり軸受にセンサを取り けて転がり軸受の故障を診断することがで る。
 また、監視診断装置と診断通信手段を無線 続することで、管理者は診断通信手段を携 して低速回転機械設備の状態を知ることが きる。

 前述したように、第1の発明の軸受の診断 システムによれば、回転する設備の軸受支持 された回転軸の1回転または間欠運転設備の1 作に必要な時間をおよそ100区間に分割し、 間毎に異常の発生を診断して異常が発生し 区間数を演算している。このため、該異常 生の区間数は1回転時間または1間欠動作時 に対する軸受異常状態の時間(広さ)を百分率 で示したものとなり、設備の管理者は異常が 発生した区間数を見て、1回転時間あたりに 受の異常状態の占める時間を直感的に認識 ることができる。

 また、判定部は複数回転分または複数間 動作分の各区間の異常発生の判定結果であ 異常判定結果テーブルから異常周期基準位 を徐々にずらして補正テーブルを作成し、 も一致度が高くなる異常周期基準位置を検 し、該異常周期基準位置から軸受に異常が 生する異常周期を算出している。異常発生 期は異常原因毎に異なっており、異常原因 に演算される計算異常発生周期、または、 計算異常発生周期の整数倍周期と、前記異 周期とを比較することで、軸受に発生する 常原因を特定することができる。

 第2および第3の発明によれば、センサで検 された信号波形を、尖り度を有するスペク ル波形で表示することにより、異常発生状 を視覚的に表示できる。
 これにより、回転機械から発生する信号の 期性を定量的に評価することによって、突 的に発生する外乱信号に軸受の異常や損傷 示す信号が埋没しても、軸受の状態を評価 ることができる。その結果、低速回転機械 ように信号のS/N比が非常に低い場合であっ も、軸受の異常を検出することができる。
 また、信号を小区間に分割し、その分割区 におけるrms値や等価ピーク値から軸受の状 を判断することができるので、rms値演算回 や等価ピーク演算回路を利用して本発明を 現することができる。その結果、データ処 装置に大容量のデータ記憶手段や高速演算 ニットが不要になる。さらに、転がり軸受 異常発生原因を診断判定することができる

本発明である転がり軸受診断システム 第1実施形態を示す構成図である。 監視診断装置の構成を示すブロック図 ある。 CPUの動作を示すブロック図である。 1回転時間を100区間に分割し、区間毎に 測定データを異常判定基準レベルと比較して 異常発生を診断する動作の説明図である。 異常判定結果テーブルの例である。 異常発生区間の連続性判定の説明図で る。 異常発生区間の連続性判定時の判定前 判定後の修正テーブルの説明図である。 診断判定パラメータ決定値を求める説 図である。 回転時間と異常発生周期または異常発 周期のm倍が異なる場合の補正テーブルの作 成の説明図である。 補正テーブルが元のテーブルのどの区 間から構成されているかを示した図である。 回転時間と異常発生周期または異常発 生周期のm倍が同じ場合の補正テーブルの作 の説明図である。 総合一致度を求める説明図である。 転がり軸受の構造の説明図であり、(A) は断面図、(B)は(A)の垂直方向の部分断面図で ある。 第2実施形態を示す監視診断装置のブ ック図である。 第3実施形態を示す軸受診断システム 構成図である。 第3実施形態の変形例を示す軸受診断 ステムの構成図である。 第4実施形態を示す監視診断装置のブ ック図である。 第5実施形態を示す監視診断装置のブ ック図である。 (A)(B)は従来の診断装置で得られた軸受 の振動波形を示すグラフである。 (A)(B)(C)は第4実施形態で得られた軸受 の尖り度Ks、Kiを示すグラフである。 第4実施形態で得られた周波数スペク ルSsを示す図である。 従来例を示すグラフである。

符号の説明

10 転がり軸受診断システム
11a 転がり軸受
20 損傷発生検出用センサ
21 回転計
30 監視診断装置
40 モニタ
50 時間データ記憶処理部
51 診断パラメータ演算部
54 平均化処理部
55 簡易診断判定部
56 同期検索処理部
57 原因診断処理部
A、Ax 診断判定パラメータ
E 異常判定基準レベル
T1 診断パラメータ演算部で作成された異常 定結果テーブル
T2 異常発生区間連続判定部で作成された異 判定結果テーブル
Ta 補正テーブル
Tx 計算異常発生周期
Ba 異常周期
61 振動センサ
62 転がり軸受ユニット
63 増幅器
64 A/D変換器
65、67 演算処理装置
66 出力装置
71 記憶装置
72 波形分割手段
73 周波数スペクトル演算手段
74 周波数スペクトル和演算手段
75 周波数スペクトル和の波形信号作成手段
76 波形信号の周波数スペクトル演算手段
77 周波数スペクトルの尖り度演算手段
78 異常原因の判定手段
81 rms値演算手段
82 rms値の波形信号作成手段

 本発明の実施形態を図面を参照して説明す 。
 図1乃至図13に前記第1の発明の第1実施形態 示す。
 本発明の回転機械設備の軸受診断システム1 0は、鉄鋼設備の工場内に設置する回転機械 備11のひとつである低速回転モータの転がり 軸受11aの状態を診断するものとしている。
 図1に示すように、診断システム10は、複数 転以上連続して回転する低速回転機械設備1 1の転がり軸受11aに損傷発生検出用センサ20を 搭載しており、該損傷発生検出用センサ20と 続した監視診断装置30と、該監視診断装置30 と接続した診断通知手段を構成するモニタ40 、該モータの回転数を計測する回転計21を えている。

 損傷発生検出用センサ20はアコースティッ エミッションを検出するAEセンサからなり、 基礎架台11b上に設けた低速回転モータ11cの軸 受ハウジング11dにネジ止め固定している。ま た、回転計21は負荷側軸受架台11eに取り付け いる。なお、損傷発生検出用センサ20の取 付け位置は前記位置に限定されるものでは い。
 また、回転計21は取り付けず、モータの回 数情報を予め監視診断装置30のマイコン34に 憶させておいてもよい。さらにまた、損傷 生検出用センサ20に替えて振動を検出する 動加速度ピックアップ、超音波センサ、音 出センサを用いてもよい。

 監視診断装置30は、図2に示すように、信号 幅回路31と、フィルタ回路32と、検波回路33 、マイコン34を備えている。
 信号増幅回路31は損傷発生検出用センサ20で 計測された信号を増幅するアンプである。
 フィルタ回路32は、信号増幅回路31で増幅さ れた信号からノイズ成分を除去するバンドパ スフィルタであり、振動加速度ピックアップ の場合、1kHz~20kHzの帯域を通過させるフィル としている。なお、AEセンサを用いている場 合には、50kHz~500kHzの帯域を通過させるフィル タとする。
 検波回路33は、フィルタ回路32でノイズ除去 された信号を検波(エンベロープ処理)してい 。なお、信号によっては、検波回路33を設 ない場合もあり、また、振動信号の場合、 波ではなくべき乗処理を行う場合もある。

 マイコン34はCPU35とROM36、RAM37、ポート38から なる。
 マイコン34のポート38は検波回路33からの信 を所定のサンプリング周期でA/D変換してい 。
 ROM36、RAM37は記憶部を構成しており、RAM37はC PU35で演算される異常判定結果テーブルを記 すると共に、CPU35で演算されるデータを一時 的に記憶している。ROM36はCPUの動作をソフト ェアとして記憶している。
 CPU35は、図3に示すように、基準レベル演算 50と判定部59を備え、判定部59は、診断パラ ータ演算部51と、異常発生区間連続判定部52 と、平均化処理部54と、簡易診断判定部55と 同期検索処理部56と、原因診断処理部57の各 を備えている。CPU35はROM36からソフトウェア を読み出して実行することで各部の動作を行 う。

 基準レベル演算部50は、回転計21からモータ の回転数情報を受け取り、モータの1回転に 要な時間(1回転時間)を算出している。かつ ポート38から出力される時間データを、モー タの1回転以上分の時間長分、RAM37に記憶させ ている。
 なお、回転計21を設けず、基準レベル演算 50にモータ11cの回転数情報を予め記憶し、該 回転数情報を用いて1回転時間を算出しても い。

 基準レベル演算部50は、異常判定基準レベ Eの演算を行っている。まず、RAM37に記憶さ た時間データである1回転時間長データの平 値を式(1)より求める。
 次に、異常判定基準レベルEを式(2)より求め る。本実施形態ではmを4としているが、計測 象に合わせて2.0以上10.0以下としてもよい。
 1回転平均値=1回転分時間長データの合計í1 転分時間長データ数   式(1)
 異常判定基準レベルE=1回転平均値×m   式( 2)

 さらに、診断パラメータ演算部51では、図4 示すように、1回転時間を1/100の等間隔に分 し、各区間を区間No.1~区間No.100とする。1回 時間長分データを計測された時間順に区間N o.1~区間No.100の区間に振り分ける。
 次に、区間No.1~区間No.100の各区間に振り分 られたデータに異常判定基準レベルEを越え データがあるかを判定する。例えば図4にお いて、区間No.6、7、8はデータが異常判定基準 レベルEを超えているので、異常発生区間で る。

 異常判定基準レベルEを越えたデータがある 区間を異常発生区間Yとした異常判定結果の ーブルT1を1回転ごとに作成する。図5は異常 定結果テーブルT1の例であり、直近から9回 前までのモータの回転について、区間毎に 常が発生したか否かを示している。
 さらに、1回転時間内で異常発生区間の区間 数合計値を算出し、診断判定パラメータAと る。即ち、診断判定パラメータAは1回転時間 長内の異常発生区間(Y)数である。

 異常発生区間連続判定部52は、診断パラ ータ演算部51で求めた異常判定結果のテーブ ルT1より、異常が連続して発生している区間 検出している。例えば、図6に示すように、 区間No.6~No.8は3区間連続して異常が発生して り、連続発生区間数は3である。また、区間N o.11~No.14は連続発生区間数が4である。一方、 間No.98は異常が発生している区間であるが 隣接する区間No.97、99は異常が発生しておら 、連続発生区間数は1である。

 このように異常連続発生区間を検出した後 異常発生区間連続判定部52は、図7に示すよ に、連続発生区間数が連続性判定区間数k未 満の区間は異常が発生していない(N)とし、異 常発生区間数の合計値(診断判定パラメータA) から除外する。図7では、k=4とし、連続発生 間数が3以下の場合は異常が発生していない のとしている。なお、連続性判定区間数kは 2~10の中から選択してもよい。
 異常発生区間連続判定部52は、1回転毎に連 性を判定して修正された異常判定結果テー ルT2を作成し、RAM37に記憶させる。

 平均化処理部54は、直近n回転分の修正異常 定結果テーブルT2を用いて、図8に示すよう 、回転毎に異常が発生した区間数である診 判定パラメータAnを求めている。
 さらに、直近n回転分の診断判定パラメータ Anの平均を式(3)より求め、診断判定パラメー 決定値Axとしている。図8ではn=8として直近8 回転分の診断判定パラメータAnの平均を求め いるが、nは1~16のいずれかの値であっても い。

 診断判定パラメータ決定値Axは、平均を1 転ごとに行うと共に移動平均値としている 即ち、図8に示すように、2回転前の異常判 結果のテーブルを平均化処理部54が受け取っ たときには、9回転前から2回転前の診断判定 ラメータAnから診断判定パラメータ決定値Ax 1を求め、1回転前のテーブルを受け取ったと には、8回転前から1回転前の診断判定パラ ータAnから診断判定パラメータ決定値Ax2を求 め、直近のテーブルを受け取ったときには、 7回転前から直近の診断判定パラメータAnから 診断判定パラメータ決定値Ax3を求めている。

 簡易診断判定部55は、注意レベル判定基準 を例えば5、危険レベル判定基準値を例えば1 5とし、予め記憶している。1回転毎に診断判 パラメータ決定値Axを判定基準値と比較し 診断判定パラメータ決定値Axが各判定基準値 よりも大きい場合には転がり軸受11aに注意レ ベル、危険レベルの故障が発生していると判 定している。
 簡易診断判定部55は、モニタ40に判定結果を 表示している。

 次に、転がり軸受11aの異常原因の特定につ て説明する。
 簡易診断判定部55で注意レベル、危険レベ の故障が発生していると判定した場合には 同期検索処理部56及び原因診断処理部57にお て、転がり軸受11aの異常原因の特定を行っ いる。
 同期検索処理部56及び原因診断処理部57は転 がり軸受11aの異常として、内輪損傷、外輪損 傷、転動体損傷を特定する。転がり軸受11aが 損傷すると、詳細は後述するが、損傷箇所に よって異なる周期(異常発生周期)で異常が発 する。同期検索処理部56は異常判定結果テ ブルT2を用いて、回転機械の回転周期に最も 近い異常周期Bmを求め、原因診断処理部57は 異常周期Bmと異常発生周期との関係から故障 原因の特定を行っている。

 同期検索処理部56及び原因診断処理部57の動 作の詳細について説明する。
 同期検索処理部56は、異常周期基準位置を 動で検出して異常周期Bmを決定している。異 常周期Bmは、転がり軸受11aの損傷により異常 発生する異常発生周期をm倍した周期であり 、mの値は異常周期Bmが回転機械の回転周期に 最も近くなるような値である。異常周期Bmは 転機械の回転周期と同期するとは限らず、 常周期Bmは回転機械の回転周期と同じ周期 なる場合もあるが、ならない場合もある。
 異常周期Bmの求め方について、以下に説明 る。
 まず、平均化処理部54で求めた異常判定結 テーブルT2を用いて補正テーブルTaを作成す 。
 診断パラメータ演算部51では、異常判定結 テーブルT2を回転周期を区切る回転周期基準 位置を基準として100区間となるように作成し ており、まず、異常周期Bmが過去方向に異常 定結果テーブルT2より1区間分長い101区間の 間であると仮定した場合に、区間数が100の 正テーブルTaを作成する。

 図9に示すように、異常判定結果テーブル T2-0からテーブルT2-4までを並べ、直近のテー ルT2-4の区間No.100を基準として、過去方向に 異常周期Bmごとに区切っていく。異常周期Bm 101の区間と仮定しているため、過去方向に ーブルT2-4の区間No.100からテーブルT2-3の区間 No.100までの101区間が異常周期BmA、テーブルT2- 3の区間No.99からテーブルT2-2の区間No.99までの 101区間が異常周期BmB、テーブルT2-2の区間No.98 からテーブルT2-1の区間No.98までの101区間が異 常周期BmC、テーブルT2-1の区間No.97からテーブ ルT2-0の区間No.97までの101区間が異常周期BmDと なる。

 ここで、異常周期基準位置をテーブルT2-4 の区間No.100、テーブルT2-3の区間No.99、テーブ ルT2-2の区間No.98、テーブルT2-1の区間No.97とす ると共に、これら異常周期基準位置を補正テ ーブルTaの100区間目とし、異常周期基準位置 ら過去方向に100区間分を取り出し、異常周 BmA、BmB、BmC、BmDの補正テーブルTa-4~Ta-1とす 。このとき、例えばテーブルT2-3の区間No.100 等は補正テーブルTaには入らない。

 図10は補正テーブルTa-4~Ta-1が元のテーブルT2 のどの区間から構成されているかを示した図 である。図9は図10の検索区間差が1の場合で る。同様に、回転時間が過去方向にテーブ T2の2区間分または3区間分長く102、103区間と 定した場合、即ち、図10の検索区間差が2ま は3の場合についても、それぞれ補正テーブ ルTaを求める。また、図10には検索区間差が3 でしか記載されていないが、検索区間差を0 ~10に設定してそれぞれ補正テーブルTaを求め 。なお、検索区間差を0~20に設定してもよい 。
 なお、検索区間差0とは元のテーブルT2と補 テーブルTa-4~Ta-1が同じである場合であり、 11のように回転周期と異常周期Bmが一致する 場合を示している。

 次に、このように求めた検索区間差が0~10の 補正テーブルTaそれぞれにおいて、総合一致 hを算出する。
 総合一致度hは以下のように求めている。
 まず、直近4回転分の補正テーブルTa-4~Ta-1に おいて、同一区間No.間で異常が発生した数で ある異常発生判定数を求める。例えば、図12 区間No.3においては、補正テーブル1、4で異 が発生しているので、異常発生判定数は2で ある。
 次に、区間毎に、区間No.別一致度fを式(7)よ り求める。
 jは補正テーブルの数であり、図10では直近4 回転分の補正テーブルを用いているので、j 4である。
 区間No.別一致度f=異常発生判定(Y)数íj×100%   式(7)

 さらに、異常が発生した区間の数である異 発生(Y)判定区間数kを求めると共に、区間No. 1~100の区間No.別一致度fの合計であるσfを求め 、式(8)より総合一致度hを求める。
 総合一致度h=σfík  式(8)

 検索区間差0~10の場合の補正テーブルTaにつ てそれぞれ総合一致度hを求め、総合一致度 hが最も高い補正テーブルTaを選択する。
 選択された補正テーブルTaでの異常周期基 位置から次の異常周期基準位置までを異常 期Bmと定める。

 即ち、異常周期Bmは式(9)で求められる区間 となる。1区間当たりの時間Taは1回転時間Rí1 00で求められるため、異常周期Bmは式(10)とな 。これらの演算は全て同期検索処理部56に いて自動的に行う。
 区間数Ea=選択された補正テーブルTaの検索 間差+100  式(9)
 異常周期Bm=1区間当たりの時間Ta×区間数Ea  式(10)

 原因診断処理部57は、同期検索処理部56で求 めた異常周期Bmを用いて、転がり軸受11aの故 の原因の特定を行う。
 図13は転がり軸受11aの構造を示し、回転機 のケースに固定される外輪60と、回転機械の 軸に固定され外輪と同心に配置されている内 輪61と、外輪60と内輪61の間に転動自在に配置 される複数の球体の転動体62からなる。

 転がり軸受11aの故障の原因として内輪損傷 外輪損傷、転動体損傷が考えられ、これら 損傷が発生した場合、各損傷毎の異常発生 期は転がり軸受11aの幾何学的寸法により式( 11)~式(13)により求められる。即ち、転動体数 Z,転動体直径をd、ピッチ円径をD、転動体62 転走面との接触角をαとし、転がり軸受11a 取り付けられた回転機械の回転周波数をfrと すると、内輪損傷時の異常発生周期Tinは式(11 )、外輪損傷時の異常発生周期Toutは式(12)、転 動体損傷時の異常発生周期Tballは式(13)で表さ れる。なお、回転周波数frは回転計からの回 数(rpm)を60で割ったものである。

 これら異常発生周期Tin、Tout、Tballのs倍を計 算異常発生周期Txとし、sを1~10まで変化させ 計算する。即ち、計算異常発生周期Txは、Tin ×sの計算結果時間Tin1~Tin10と、Tout×sの計算結 時間Tout1~Tout10と、Tball×sの計算結果時間Tball 1~Tball10である。
 同期検索処理部56で求めた異常周期Bmと、演 算した計算異常発生周期TxであるTin1~Tin10、Tou t1~Tout10、Tball1~Tball10とを比較する。計算異常 生周期Txの値が、異常周期Bmとほぼ一致する 場合には、該計算異常発生周期Txに該当する 傷を異常原因と診断し、これら診断結果を ニタに表示する。
 具体的には、異常周期Bmを中心として所定 時間幅を定め、計算異常発生周期Txの値が時 間幅内にある場合に、該計算異常発生周期Tx 該当する損傷を異常原因と診断する。例え 、Tin10が異常周期Bmを中心とした所定の時間 幅内にある場合には、内輪に損傷が発生して いると診断する。
 なお、異常原因は複数存在することもある 例えば、Tin10及びTout8が異常周期Bmを中心と た所定の時間幅内にあるときは、内輪及び 輪に損傷が発生していると診断する。

 なお、本実施形態において、回転機械設備1 1にすべり軸受が取り付けられていてもよい この場合、回転軸の異常な金属接触などに り異常が発生し、該異常が一回転に1回発生 るものとすると、計算異常発生周期Txは1/fr 求められ、該計算異常発生周期Txと異常周 Bmを比較することで異常原因を診断する。
 また、すべり軸受において、1回転に複数回 (2~10回)異常が発生する場合も、異常発生周期 Tnを1回転周期/1回転あたりの異常発生回数(p) 求め、異常発生周期Tnのp倍と異常周期Bmを 較することで異常原因を診断する。

 本発明によれば、低速で回転する設備の がり軸受11aの1回転または間欠運転設備の1 作に必要な時間をおよそ100区間に分割し、 間毎に異常の発生(異常発生)を診断して異常 が発生した区間数を演算している。このため 、該異常発生の区間数は1回転時間または1動 時間に対する軸受異常状態の時間(広さ)を 分率で示したものとなり、設備の管理者は 常が発生した区間数を見て、1回転時間あた に軸受の異常状態の占める時間を直感的に 識することができる。

 また、同期検索処理部56及び原因診断処 部57は、複数回転分または複数間欠動作分の 各区間の異常発生の判定結果である異常判定 結果テーブルから異常周期基準位置を徐々に ずらして補正テーブルを作成し、最も一致度 が高くなる異常周期基準位置を検出している 。このように定めた異常周期基準位置から軸 受に異常が発生する異常周期を算出している 。異常発生周期は異常原因毎に異なっており 、異常原因毎に演算される計算異常発生周期 、または、該計算異常発生周期の整数倍周期 と、前記異常周期とを比較することで、一致 度が高い計算異常発生周期がある場合には、 該計算異常発生周期に対応する異常原因が軸 受に発生していると診断することができる。

 図14に第2実施形態を示す。該第2実施形態は 前記第1の発明の実施形態である。
 第2実施形態においては、回転設備の1回の 転動作が1回転に満たず、該動作を繰り返し う間欠運転設備の転がり軸受11aを診断対象 している。
 該間欠運転設備の例としては、鉄鋼設備の とつであるレードルターレットが挙げられ 。レードルターレットは1回の動作について 1rpmの低速で1/2回転の動作を繰り返している
 図14に示すように、回転計21に変えてリミッ トスイッチ22をマイコン34と接続している。 リミットスイッチ22により、CPU35は間欠運転 備における動作開始及び動作停止を検知す 。

 この場合、CPU35の基準レベル演算部50は、1 の間欠動作時間以上の長さ分、損傷発生検 用センサ20からの信号をRAM37に記憶させる。
 また、診断パラメータ演算部51は、RAM37に記 憶された1回の間欠動作時間長データの合計 データ数で除算して1回間欠動作平均値を求 ている。該1回間欠動作平均値×mから異常判 定基準レベルEを求めている。
 さらに、1回間欠動作時間を100区間に分割し 、区間毎に異常判定基準レベルEと比較して 常判定結果テーブルを作成している。

 平均化処理部54は、直近j回の間欠動作分の 常判定結果テーブルであって同一の設備動 状態で得られたテーブルを用いて、診断判 パラメータA及び診断判定パラメータA決定 を求めている。
 同一の設備動作状態とは、1回の動作で1/2回 転し、1/2回転動作をA→B→A→B→A→Bのように 繰り返すモータの場合において、Aの動作状 またはBの動作状態をいう。このように、Aの 動作状態で得られたテーブル同士、またはB 動作状態で得られたテーブル同士を用いて 定の処理を行っている。
 また、同期検索処理部56においても、同一 設備動作状態で得られたテーブルを用いて 補正テーブルTaを求めている。

 本発明によれば、間欠運転設備に取り付 られた転がり軸受11aであっても、該異常発 の区間数を1動作時間に対する軸受異常状態 の時間(広さ)を百分率で示したものとして、 備の管理者は異常が発生した区間数を見て 1動作時間あたりに軸受の異常状態の占める 時間を直感的に認識することができる。

 なお、他の構成および作用効果は第1実施 形態と同様のため、同一の符号を付して説明 を省略する。

 図15に第3実施形態を示す。該第3実施形態は 前記第1の発明の実施形態である。
 第3実施形態の診断システム10は監視診断装 30とモニタ40を組み合わせて一体とし可動型 としている。監視診断装置30とモニタ40は例 ばラップトップ型パソコンである。
 監視診断装置30は損傷発生検出用センサ20と 接続しており、損傷発生検出用センサ20は、 受ハウジング11dにマグネットで取り付けて る。また、損傷発生検出用センサ20に専用 具を装着し、該センサを人が手で軸受ハウ ング11dに押し付けて固定してもよい。さら 、軸受ハウジング11dに人が近寄れない場所 おいては、損傷発生検出用センサ20のみ軸受 ハウジング11dに予めネジや接着材で固定して おき、ポータブル型の計測器を該センサに接 続し診断してもよい。
 該診断システム10を可動型として持ち運び 能とすることで、診断対象である転がり軸 11aまで該診断システム10を持ち運んで異常診 断を行うことができる。
 なお、他の構成および作用効果は第1実施形 態と同様のため、同一の符号を付して説明を 省略する。

 図16は第3実施形態の変形例であり、損傷発 検出用センサ20と監視診断装置30と回転計21 一体型とした診断装置50を転がり軸受11aに 定している。また、監視診断装置30には通信 手段を設け、診断通知手段を構成する携帯電 話41と無線接続している。診断装置50は、簡 診断判定部55による診断結果を携帯電話41に 信する。
 管理者が携帯電話41を携帯することで、回 機械設備11から離れた場所であっても、回転 機械設備11の診断結果を受信することができ 。
 なお、他の構成および作用効果は第1実施形 態と同様のため、同一の符号を付して説明を 省略する。

 図17に第4実施形態を示す。第4実施形態は前 記第2の発明の実施形態である。
 第4実施形態では、回転機械設備の46rpmで回 するロールの片側の転がり軸受ユニット62 振動センサ61を取り付けて軸受の状態を監視 している。
 振動センサ61の出力信号は増幅器63で所定の レベルに増幅された後、A/D変換器64に送信さ 、該A/D変換器64の出力信号を演算処理装置65 に送信し、該演算処理装置Aをモニタ等の診 通知手段からなる出力装置66に接続している 。

 前記演算処理装置65は、A/D変換器64に接続し た記憶装置71、波形分割手段72、周波数スペ トル演算手段73、周波数スペクトル和演算手 段74、周波数スペクトル和の波形信号作成手 75、波形信号の周波数スペクトル演算手段76 、周波数スペクトルの尖り度演算手段77、異 原因の判定手段78を備えている。
 前記A/D変換器64は50kHzのサンプリング周波数 にて振動波形を離散化し、演算処理装置65が 記離散波形から尖り度Ksを計算し、計算さ た尖り度Ksを出力装置66によって、過去の計 結果とともに傾向グラフとして表示すると 時に、尖り度Ksが予め定めたレベルに到達 た時に警報を表示するようにしている。

 演算処理装置65には、あらかじめ状態を監 している軸受ユニット62の回転速度がインプ ットされており、軸受1回転以上の振動波形 前記記憶装置71に記憶することができる。
 前記波形分割手段72は、離散化された振動 形を512点毎に128個の区間(j=1,2,…,128)に分け いる。50kHzで離散化した振動波形を512点毎に 1個の分割区間にしており、1個の分割区間は1 0.24msecの時間長さを持つことになる。従って 128個の分割区間を合わせると、128×10.24msec=1 .31s間の振動波形を解析することになり、こ は軸受1回転分の振動波形に等しい。
 前記周波数スペクトル演算手段73は、アン エリアジングフィルタ処理を実施した振動 形に対して、高速フーリエ変換を施して周 数スペクトルFjk(j=1,2,…,128、k=1,2,…,512)を計 する。
 前記周波数スペクトル和演算手段74は、計 したFjkのうち、1kHzから20kHz帯域の周波数ス クトルに相当するスペクトルFjk(k=11,12,…,205) の和Sj(j=1,2,…,128)を計算する。
 前記周波数スペクトル和の波形信号作成手 75でSjを並べて波形信号Sxを作成する。
 前記波形信号の周波数スペクトル演算手段7 6は波形信号Sxの周波数スペクトルSsを計算し 周波数スペクトルの尖り度演算手段が式(14) の計算を行って尖り度Ksを求める。

 式(14)において、xiは周波数スペクトルSsの スペクトルを表し、xaはその平均値である。 また、n 0 はxiの個数である。

 前記異常原因の判定手段78は、あらかじ 軸受ユニット12の転がり軸受の転動体数Z、 動体直径d、ピッチ円径D、転動体62と転送面 の接触角αが入力されており、回転速度と わせて損傷発生時の異常発生周期を計算し いる。さらに、波形信号の周波数スペクト 演算手段76が求めた周波数スペクトルSsのピ ク周波数fs1、fs2、fs3、… からそれぞれに 応する周期Ts1、Ts2、Ts3、… が所定の時間幅 にて異常発生周期と一致する場合は該異常が 軸受ユニット12の転がり軸受に発生している 判断する。

 以下に、前記軸受状態を監視するセンサと て振動センサ61を用いた異常診断作用を説 する。
 軸受の状態を示す振動波形を振動センサ61 検出し、検出した振動波形を採取・記憶し 増幅器63、A/D変換器64を介して演算処理装置6 5に送信する。
 演算処理装置65において、記憶部71で記憶し 、この記憶した振動波形を波形分割手段72で 形をn個の区間に分割する。ここで、例えば 、分割区間の時間長さをtmsecとすれば、分割 関数nは軸受の回転数に応じて決めることが 望ましい。即ち、分割区関数nを軸受の回転 に応じて設定すれば、軸受の1回転、2回転、 3回転、…に相当する時間長の振動波形をほ n等分に分割することができる。

 転がり軸受の内輪、外輪、転動体、保持 に損傷が発生すると、損傷箇所を転動体が 過する時には異常振動が発生し、損傷箇所 通過しない時には損傷がない正常状態とほ 同じ振動が発生する。さらに、外乱による 動がこれに加わった場合、前記の分割区間 、(1)正常状態に近い振動が発生する区間、( 2)正常状態に近い振動に外乱振動が加わる区 、(3)異常振動が発生する区間、(4)異常振動 外乱振動が加わる区間に大別することがで る。

 前記波形分割手段72で分割された振動波形 、周波数スペクトル演算手段73で、分割区間 毎に振動波形の周波数スペクトルFjk(j=1,2,…,n 、k=1,2,…,m)を求める。
 ついで、周波数スペクトル和演算手段74で 波数スペクトルFjkの和を求める。
 ついで、周波数スペクトル和の波形信号信 手段7で波形信号を作成する。

 前記(1)の正常状態に近い振動が発生する区 では周波数スペクトルが最も低く、前記(4) 異常振動に外乱振動が加わる区間では周波 スペクトルが最も高くなる。従って、周波 スペクトルの和を求めると、周波数スペク ルFjkの和の大小によって、その分割区間が 常振動を含むのか、外乱振動を含むのか、 者が混在するのかを判断することができる
 ここで、周波数スペクトルFjkの和を求める には、特定の周波数域のスペクトルに限定 て和を求めることが望ましい。
 通常、転がり軸受の損傷によって発生する 動は1kHz~40kHzの比較的高周波の振動であり、 例えば、数10Hzの振動は低周波数の外乱振動 あることが明らかであるから、このような 波数域のスペクトル成分を削除したスペク ル和Sj(j=1,2,…,n)を求めた方が的確に状態を 断することができる。

 スペクトル和Sj(j=1,2,…,n)はn個の分割区間の 代表値であり、これを時系列に並べた波形信 号Sxは、異常振動や外乱振動を含むところは い値を示し、正常に近い振動を含むところ 低い値を示す時間波形信号となる。
 軸受のような回転機械の振動は回転に伴っ 発生するものであるから周期性がある。一 、外乱信号は突発的にランダムに発生する のであるから周期性がない。そのため、波 信号Sxの周波数を解析すると、軸受異常に って発生する振動では特定の周波数にピー を持つスペクトルが得られるに対して、ラ ダムに発生する外乱振動は周波数スペクト が分散した形状になる。

 波形信号Sxの周波数スペクトルSsが特定の周 波数にピークを有する度合いを表す指標とし て、本実施形態では尖り度Ksを用いる。
 正規分布では尖り度は3となり、正規分布よ りも尖った形を持つ分布であればあるほど尖 り度の値は大きくなる。それ故、尖り度Ksが い場合は、周期性を持った振動が発生して ることを示すものであるから、軸受の損傷 よって発生した振動が含まれていることに る。逆に、尖り度Ksが低い場合は、その振 は突発的な外乱振動であるから、軸受損傷 は別の要因で発生したものと判断できる。
 よって、尖り度Ksの値や、その経時的な変 を傾向グラフとして表示することで、軸受 状態を判断する情報を得ることができる。

 図18に第5実施形態を示す。該第5実施形態は 前記第3の発明の実施形態である。
 第4実施形態と同様に、46rpmで回転するロー の片側の転がり軸受ユニット62に振動セン 61を取り付けて軸受の状態を監視している。
 振動センサ61の出力信号は増幅器63にて所定 のレベルに増幅された後、通過帯域1kHzから20 kHzのバンドパスフィルタ80を通過した後、A/D 換器64に送信している。
 該第5実施形態では、バンドパスフィルタ80 してアナログフィルタを用いているが、A/D 換器64でA/D変換後の振動波形を一旦記憶し 後、記憶した振動波形をディジタルフィル に通過させて1kHzから20kHzの成分を抽出する ともできる。
 前記A/D変換器64からの出力信号を演算処理 置67に出力している。

 演算処理装置67は、記憶装置71、波形分割手 段72を備え、該波形分割手段72に接続するrms 演算手段81、rmsの波形信号作成手段82を備え いる。該rmsの波形信号作成手段82を、波形 号の周波数スペクトル演算手段76に接続し、 該波形信号の周波数スペクトル演算手段76を 波数スペクトルの尖り度演算手段77と異常 因の判定手段78に接続し、出力手段66へ出力 ている。
 前記波形信号の周波数スペクトル演算手段7 6で演算された周波数スペクトルの離散波形 ら周波数スペクトルの尖り度演算手段77で尖 り度を計算し、計算された尖り度が出力装置 66によって表示していることは、前記第4実施 形態と同様である。

 演算処理装置67では、波形分割手段72で、512 点の離散化された振動波形を一つの分割区間 として、計128個の区間(j=1,2,…,128)に振動波形 を分割している。
 前記rms値演算手段81は、分割区間毎にRMSj(j=1 ,2,…,128)を求めている。
 求めたRMSjから波形信号Sy、波形信号Syの周 数スペクトルSi、周波数スペクトルSiの尖り Kiを求めるプロセスは、第4実施形態と同様 ある。
 また、rms値演算手段81を等価ピーク演算手 に置き換えれば、全く同じ方法にて等価ピ クPjによる尖り度を求めることができる。ま た、損傷原因も第4実施形態と同様にして診 判定している。

 前記第5実施形態は、異常診断の手法として 、下記の手法を採用している。
 従来より、時間波形信号から周波数スペク ルを計算する方法として高速フーリエ変換 広く使われている。
 離散化した時間波形信号f(n)(n=0,1,…,N-1)と、 離散フーリエスペクトルをF(k) (k=0,1,…,N-1)の 間には、式(15)に示すParsevalの等式が成立する 。

 従って、単純な絶対総和と2乗和との間に は数学的な違いがあるものの、分割区間にお ける周波数スペクトルの和が大きければ、振 動波形の2乗和や単純な絶対総和も大きくな と考えられる。また、振動波形では、釣り いの位置を基準として振動を測定するから その平均値はほぼゼロになる。このように えると、分割区間における振動波形のrms値 等価ピーク値と、周波数スペクトルの和と 相関があると認められる。

 本第4実施形態は、上記の関係を利用するも のであり、分割区間における周波数スペクト ルの和をrms値や等価ピーク値で代替するもの である。ただし、前記のように、rms値や等価 ピーク値を特定の周波数域に限定して求める スペクトル和と対応付けするためには、あら かじめバンドパスフィルタ通過後の振動波形 に対してrms値や等価ピーク値を求めなければ ならない。
 バンドパスフィルタ通過後の振動波形に対 て、分割区間j=1,2,…,n毎に求めたrms値をRMSj 等価ピーク値をPjとすると、これを時系列 に並べた波形信号Syを作成し、その周波数ス ペクトルSiの尖り度Kiを求めれば、前記の周 数スペクトルの和を用いる方法と同様に、 受の状態を判断することができる。

 また、転がり軸受の異常発生の原因として 輪損傷、外輪損傷、転動体損傷が考えられ これらに損傷が発生した場合、各損傷毎の 常発生周期は転がり軸受の幾何学的寸法に り前記第1実施形態で記載した式(11)~式(13)に より求められる。
 即ち、転動体数をZ、転動体直径をd、ピッ 円径をD、転動体62と転送面との接触各をαと し、転がり軸受11aが取り付けられた回転機械 の回転周波数をfrとすると、内輪損傷時の異 発生周期Tinは式(11)、外輪損傷時の異常発生 周期Toutは式(12)、転動体損傷時の異常発生周 Tballは式(13)で表される。なお、回転周波数f rは回転計からの回転数(rpm)を60で割ったもの ある。

 これらの異常発生周期Tin、Tout、Tballのs倍 を計算異常発生周期Txとし、sを1~10まで変化 せて計算する。即ち、計算異常発生周期Txは 、Tin×sの計算結果時間Tin1~Tin10と、Tout×sの計 結果時間Tout1~Tout10と、Tball×sの計算結果時 Tball1~Tball10である。

 波形信号Sxの周波数スペクトルSsがピークを 示す特定の周波数をfs1、fs2、fs3、…とすると (ピークは複数個発生することがある)、それ れに対応する周期はTs1=1/fs1、Ts2=1/fs2、Ts3=1/f s3、… として計算される。計算異常発生周 Txの値が、周期Ts1、Ts2、Ts3、… とほぼ一致 る場合には、該計算異常発生周期Txに該当 る損傷を異常原因として診断し、これらの 断結果を尖り度Ksとともに表示する。具体的 には、周期Ts1、Ts2、Ts3、…を中心として所定 の時間幅を定め、計算異常発生周期Txの値が 間幅内にある場合に、該計算異常発生周期T xに該当する損傷を異常原因と診断する。
 なお、異常原因は複数存在することもある 例えば、Tin10及びTout8が異常周期Ts1、Ts2を中 心とした所定の時間幅にあるときは、内輪及 び外輪に損傷が発生していると診断する。
 波形信号Syの周波数スペクトルSiについても 、前記同様にして異常原因を診断できる。

 「実験例」
 図19(A)(B)に従来の手法で得られた振動波形 示し、図20(A)(B)(C)に前記第5実施形態の診断 ステムで得られた振動波形を示す。

 図19(A)は転がり軸受の交換前の振動波形を し、(B)は交換後の振動波形を示す。交換前 軸受には、外輪と内輪にフレーキングが発 しており、転動体の一部にもフレーキング 発生していた。
 交換後の振動波形は、損傷が発生していな 新品の転がり軸受に交換したものである。
 図19(A)(B)の振動波形では、交換前後に顕著 差異が見られず、従来の手法では軸受の良 を判定することができない。

 図20は、図19の振動波形に対して前記第5実 形態を採用した場合の尖り度を示している 振動波形は交換前後で各4回測定し、それぞ の振動波形から尖り度を求めている。交換 では、
(1)スペクトル和による尖り度が26~43
(2)rms値による尖り度が20~39
(3)等価ピーク値による尖り度が20~40
であった。
 これに対して、交換後では、
(1)スペクトル和による尖り度が3~8
(2)rms値による尖り度が3~11
(3)等価ピーク値による尖り度が4~12
と大幅に低くなっており、軸受の状態を的確 に判断できることが確認できた。

 図21に、100rpmで回転する転がり軸受に第4実 形態の診断システムを適用した振動波形を す。
 図21は、波形信号の周波数スペクトル演算 段76によって得られた周波数スペクトルSsの 例であり、fs1=6.5Hz、fs2=13.0Hzにピーク周波数 が表れている。すなわち、周期Ts1=0.154s、Ts2=0 .077s間隔で異常が現れていることを示唆して る。一方、該転がり軸受では、転動体数Z=10 、転動体直径d=6.35mm、ピッチ円径D=27.60mm、転 体と転送面との接触角α=9度であるから、外 輪損傷時の異常発生周期としてTout=0.155sが得 れる。これはTs1およびTs2の2倍とほぼ一致す るから、該転がり軸受には外輪に損傷が発生 しているものと判断できる。