UMEZAWA HITOSHI (JP)
YAMASAKI SATOSHI (JP)
TOKUDA NORIO (JP)
UMEZAWA HITOSHI (JP)
YAMASAKI SATOSHI (JP)
JP2004538230A | 2004-12-24 | |||
JP2007173479A | 2007-07-05 | |||
JP2007146255A | 2007-06-14 |
ダイヤモンド基板と、前記ダイヤモンド基板表面の異常成長粒子や成長丘の原因である転位、研磨傷等の欠陥部分の成長を抑制する物質をドープしてなる欠陥部分成長抑制ダイモンド薄膜層を備えるダイヤモンド薄膜積層体。 |
前記ダイヤモンド薄膜にドープされる物質はホウ素であり、濃度は10 20 ~10 22 atoms/cm 3 であることを特徴とする請求項1記載のダイヤモンド薄膜積層体。 |
前記ダイヤモンド薄膜上に、p + ダイヤモンド層を備えることを特徴とする請求項1記載のダイヤモンド薄膜積層体。 |
前記ダイヤモンド薄膜上又は前記p + ダイヤモンド層表面の凹凸において、基板の欠陥に起因する前記凹凸は10 3 cm -2 以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のダイヤモンド薄膜積層体。 |
前記ダイヤモンド薄膜及び前記p + ダイヤモンド層はマイクロ波プラズマ化学気相成長法(CVD)により得られたことを特徴とする請求項2又は3記載のダイヤモンド薄膜積層体。 |
前記ダイヤモンド基板は、{001}、{110}又は{111}面を備えることを特徴とする請求項1記載のダイヤモンド薄膜積層体。 |
本発明は、ダイヤモンドのエピタキシャ 成長に関し、より詳しくは半導体デバイス 性を改善できるダイヤモンドをエピタキシ ル成長して形成されるダイヤモンド薄膜を するダイヤモンド薄膜積層体に関する。
従来、ホモエピタキシャル成長させたダイ
モンド膜表面は、異常成長粒子や成長丘、
クロバンチング、そしてエッチピットとい
た欠陥が形成されやすいことが知られてい
。
これらの欠陥は表面の平坦性を劣化させる
けではなく、デバイス特性も劣化させる。
の材料を見てもデバイス特性において表面
平坦性は非常に重要であり、ダイヤモンド
用いたデバイス作製においても、これらの
陥が発生しない基板が必要である。
ダイヤモンド(001)基板上において、マイク
波プラズマCVDを用いて炭素源ガスの供給量
供給ガス全体の0.025%として成長した表面は
テップテラス構造の形成が報告されている(
特許文献1参照)。その技術を用いてそのよ
な層をバッファー層としてまず形成し、そ
上に目的の膜を形成する2段階成長により異
成長粒子等が低減することが報告されてい
(非特許文献2参照)が、実際は10 3
cm -2
以下を達成することは難しい。
一方、電極となるような低抵抗のダイヤモ
ド薄膜を下地電極として用いることで擬似
型デバイスが開発されている(非特許文献3
4参照)。我々は高濃度にホウ素をドープする
ことで抵抗率5mωcmのダイヤモンド薄膜の形成
に成功している(非特許文献5参照)。その際、
気相中のホウ素/炭素の比を上げることで異
成長粒子等の密度を10 3
cm -2
オーダーまで低減することにも成功している
。
しかし、ダイヤモンドを用いたデバイス作
において、異常成長粒子等の密度が10 3
cm -2
以下の平坦なダイヤモンド膜を形成する技術
が求められている。
通常、ホモエピタキシャル成長させたダイ モンド膜表面上に異常成長粒子や成長丘等 10 3 cm -2 以上形成される。これらは表面の平坦性を劣 化させるだけではなく、その基板上に作製し たデバイス特性を劣化させる。そのため、異 常成長粒子や成長丘等が10 3 cm -2 以下の平坦面を有するダイヤモンド膜が成長 可能な基板が必要とされており、本発明はこ れを課題とした。
本発明は、ダイヤモンド基板と、前記ダイ
モンド基板表面の異常成長粒子や成長丘の
因である転位、研磨傷等の欠陥部分の成長
抑制する物質をドープしてなる欠陥部分成
抑制ダイモンド薄膜層を備えるダイヤモン
薄膜積層体である。
また、本発明は、前記ダイヤモンド薄膜に
ープされる物質はホウ素であり、濃度は10 20
~10 22
atoms/cm 3
とすることができる。
さらに、本発明は、前記ダイヤモンド薄膜
に、p +
ダイヤモンド層を備えることができる。
また、本発明においては、前記ダイヤモン
薄膜上又は前記p +
ダイヤモンド層表面の凹凸において、基板の
欠陥に起因する前記凹凸は10 3
cm -2
以下とすることができる。
さらに、本発明においては、前記ダイヤモ
ド薄膜及び前記p +
ダイヤモンド層はマイクロ波プラズマ化学気
相成長法(CVD)により得ることができる。
また、本発明においては、前記ダイヤモン
基板は、{001}、{110}又は{111}面を備えること
できる。
本発明の平坦面を有するダイヤモンド基板 、その表面上に異常成長粒子や成長丘等が1 0 3 cm -2 以下であり、その上にダイヤモンド層を成長 しても異常成長粒子や成長丘が10 3 cm -2 以下の平坦面を備えるダイヤモンド膜が成長 可能である。
本発明で用いるダイヤモンド表面は、結晶
造が{001}、{110}又は{111}のダイヤモンドを用
ることができ、実施例では結晶構造{001}を
いたが、実施例には示さなかった結晶構造{1
10}及び{111}表面においても、同様に実施でき
ことを確認している。
本発明における異常成長粒子や成長丘の原
である転位、研磨傷等の欠陥部分からの成
を抑制する物質をドープしてなるダイヤモ
ド薄膜は、成長中に高濃度のホウ素をドー
ングすることにより得られる。そのダイヤ
ンド膜中のホウ素濃度は10 20
~10 22
atoms/cm 3
であり、用いるダイヤモンド表面の種類{001}
{110}又は{111}に応じて、炭素及びホウ素源ガ
スの濃度などの成長条件を制御する必要があ
る。またドープする元素はホウ素だけに限ら
ず、アルミニウムや窒素、リン等も可能であ
る。
本発明においては、ダイヤモンド薄膜成長
る条件に際して、炭素源ガスの供給量を供
ガス全体の0.5~10%とし、ホウ素/炭素比を0.1~5
0%とすることで成長した膜中のホウ素濃度が1
0 20
~10 22
atoms/cm 3
を備えるダイヤモンド層を薄膜成長させるこ
とができる。
このようにすることにより、本発明では、
イヤモンド基板表面の異常成長粒子や成長
の原因である転位、研磨傷等の欠陥部分か
の成長を抑制する物質をドープしてなるダ
ヤモンド薄膜上に異常成長粒子や成長丘等
10 3
cm -2
以下の平坦面を備えるp +
ダイヤモンド層を設けることができる。
本発明で用いる炭素源ガスは、メタン、エ
ン等の炭化水素や、一酸化炭素、二酸化炭
及び水素の混合物を用いる。その際、酸素
希ガスが混合された状態でも可能である。
本発明で用いるホウ素源ガスは、ジボラン
トリメチルホウ素及び水素の混合物を用い
。その際、酸素や希ガスが混合された状態
も可能である。
本発明のダイヤモンド成長の手段としては
CVDを用いることができる。特に、マイクロ
プラズマCVDを用いることが望ましい。
本発明においては、異常成長粒子や成長丘
原因である転位、研磨傷等の欠陥部分から
成長を抑制する物質をドープしてなるダイ
モンド薄膜を用いることにより、その基板
に異常成長粒子や成長丘等が10 3
cm -2
以下の平坦なダイヤモンド膜を得ることがで
きる。
本発明について実施例を用いてさらに詳し
説明するが、本発明はこれら実施例に限定
れるものではない。
手順を図1に示す。プロセス1は異常成長粒
や成長丘の原因である転位、研磨傷等の欠
部分からの成長を抑制する物質をドープし
なるダイヤモンド薄膜をバッファー層とし
用いた場合である。まず、高温/高圧合成に
るIbダイヤモンド{001}基板を、マイクロ波プ
ラズマCVD装置の反応器に導入し、その表面の
欠陥を低減する目的で水素プラズマエッチン
グを行った。その時の条件は1300 W、80Torr、
板温度900℃、プラズマ体積400cm 3
であった。その後、その反応器内でバッファ
ー層のダイヤモンド膜の成長を行った。その
時の成長条件は800W、30Torr、基板温度700℃、
ラズマ体積400cm 3
、水素濃度99%、メタン濃度1%、ホウ素/炭素比
は10%であった。
その後、そのバッファー層上にp +
ダイヤモンド層を1200W、50Torr、基板温度800℃
プラズマ体積500cm 3
、水素濃度99%、メタン濃度0.6%、ホウ素/炭素
は1.6%の成長条件で形成した。SIMSで測定し
バッファー層、低抵抗ダイヤモンド膜中の
ウ素濃度はそれぞれ10 21
と4×10 20
atoms/cm 3
であった。またp +
ダイヤモンド層の300Kで測定された抵抗率は5
mωcmであった。その断面構造の模式図を図2
示す。
すなわち、ダイヤモンド基板上にバッファ
層として異常成長粒子や成長丘の原因であ
転位、研磨傷等の欠陥部分からの成長を抑
する物質をドープしてなるダイヤモンド薄
を形成し、その上に300Kで測定された抵抗率
が5mωcmのダイヤモンド膜の表面が平坦になる
ことが確認できた。
図1のプロセス1により得られたダイヤモン
膜表面を光学顕微鏡で観察した結果を図3に
す。
また、比較のためバッファー層として水素
度99.95%、メタン濃度0.025%、ホウ素は意図的
ドープしていない成長条件で形成したダイ
モンド薄膜上に抵抗率5mωcmのダイヤモンド
を形成した表面の結果を図4に示す。その基
板中心付近では10 4
cm -2
、基板端付近では10 6
cm -2
の異常成長粒子や成長丘が観察された。
異常成長粒子や成長丘の原因である転位、 磨傷等の欠陥部分からの成長を抑制する物 をドープしてなるダイヤモンド薄膜表面は れている。水素濃度96%、メタン濃度4%、ホ 素/炭素比25%の条件で7時間成長したダイヤモ ンド膜表面の原子間力顕微鏡像を図5に示す その表面の平均二乗粗さは5.4 nmであった。 まり、巨視的には平坦にできるが微視的に 荒れている。しかし、バッファー層上に形 したp + ダイヤモンド層の表面は図6に示すように平 化されている。その理由は、p + ダイヤモンド層の成長機構によるものと考え られる。具体的には、p + ダイヤモンド層の成長機構は2次元核形成を うステップフロー成長である。荒れている 面は微視的に見るとステップで構成されて る。ステップフロー成長はそのステップか 横方向に選択的に成長する。ステップフロ 成長のみであれば、ステップテラス構造を つ原子的に平坦な表面が得られるが、p + ダイヤモンド層の成長機構は2次元核形成を うため図6に示したような表面ラフネスを持 。その表面の平均二乗粗さは0.11 nmであり これは図4に示した試料の異常成長粒子や成 丘以外の部分のp + ダイヤモンド層表面と同等である。
本発明は、低抵抗ダイヤモンド膜の表面 を平坦にするだけはなく、バッファー層と て用いることで平坦な表面を持つあらゆる イプのダイヤモンド膜を提供することが期 できる。また、高濃度ホウ素により基板に 在する転位などの結晶欠陥を不活性化させ の上に形成した膜の欠陥密度を低減するこ も期待できる。あらゆるダイヤモンド膜を いたデバイスの特性を向上させることが期 できる。