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Title:
DIELECTRIC CERAMIC AND MULTILAYER CERAMIC CAPACITOR USING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/157231
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a dielectric ceramic having crystal grains mainly composed of barium titanate and an intergranular phase present among the crystal grains. The dielectric ceramic contains, per 100 moles of barium constituting the barium titanate, 0.05-0.3 mole of vanadium in terms of V2O5, and 0.5-1.5 moles of one rare earth element (RE) selected from yttrium, dysprosium, holmium and erbium in terms of RE2O3. In an x-ray diffraction chart, the diffraction intensity of the (004) plane indicating tetragonal barium titanate is higher than the diffraction intensity of the (400) plane indicating cubic barium titanate. The dielectric ceramic has a Curie temperature of 100-120˚C.

Inventors:
NAGOYA MASAAKI (JP)
YAMAZAKI YOUICHI (JP)
AZUMA YUSUKE (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/055698
Publication Date:
December 30, 2009
Filing Date:
March 23, 2009
Export Citation:
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Assignee:
KYOCERA CORP (JP)
NAGOYA MASAAKI (JP)
YAMAZAKI YOUICHI (JP)
AZUMA YUSUKE (JP)
International Classes:
C04B35/46; H01B3/12; H01G4/12; H01G4/30
Foreign References:
JP2007099534A2007-04-19
JP2005145791A2005-06-09
Other References:
LI BO ET AL.: "Influence of V205 on the Properties of BaTiO3-Y2O3-MgO Ceramics", WUJI CAILIAO XUEBAO, vol. 22, no. 4, July 2007 (2007-07-01), pages 706 - 710
Attorney, Agent or Firm:
FUKAI, Toshikazu (JP)
Toshikazu Fukai (JP)
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Claims:
 チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子と、該結晶粒子間に存在する粒界相とを有する誘電体磁器であって、
前記チタン酸バリウムを構成するバリウム100モルに対して、バナジウムをV 2 O 5 換算で0.05~0.3モル、イットリウム,ジスプロシウム,ホルミウムおよびエルビウムから選ばれる1種の希土類元素(RE)をRE 2 O 3 換算で0.5~1.5モル含有するとともに、前記誘電体磁器のX線回折チャートにおいて、正方晶系のチタン酸バリウムを示す(004)面の回折強度が、立方晶系のチタン酸バリウムを示す(400)面の回折強度よりも大きく、かつキュリー温度が100~120℃であることを特徴とする誘電体磁器。
 前記結晶粒子の平均粒径が0.15~0.3μmであることを特徴とする請求項1に記載の誘電体磁器。
 請求項1または2に記載の誘電体磁器からなる複数の誘電体層と内部電極層との積層体から構成されていることを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
Description:
誘電体磁器およびそれを用いた 層セラミックコンデンサ

 本発明は、チタン酸バリウムを主成分と る結晶粒子により構成される誘電体磁器と それを誘電体層として用いる積層セラミッ コンデンサに関する。

 現在、モバイルコンピュータや携帯電話 はじめとするデジタル方式の電子機器の普 が目覚ましく、近い将来、地上デジタル放 が全国に展開されようとしている。地上デ タル放送用の受信機であるデジタル方式の 子機器として液晶ディスプレイやプラズマ ィスプレイなどがあるが、これらデジタル 式の電子機器には多くのLSIが用いられてい 。

 そのため、液晶ディスプレイやプラズマ ィスプレイなど、これらデジタル方式の電 機器を構成する電源回路にはバイパス用の ンデンサが数多く実装されているが、ここ 用いられているコンデンサは、通常、高い 電容量を必要とするため高誘電率の積層セ ミックコンデンサ(例えば、特許文献1、2を 照)が採用されている。

 しかしながら、上述した特許文献1に記載 された誘電体磁器については、-55~125℃の温 範囲における比誘電率の変化率が最大でも-4 .5%と安定な温度特性を有するものの、比誘電 率が2500程度と低かった。

 一方、特許文献2に記載された誘電体磁器に ついては、室温(25℃)における比誘電率が3700 上と高いものの、この場合には、-55~125℃の 温度範囲における比誘電率の最大の変化率が ±14%~±15%と、かろうじてX7R特性を満たす程度 あり、この-55~125℃の温度範囲における比誘 電率の変化率が±10%以内を満たすものではな った。

特開2004-210613号公報

特開2002-362970号公報

 本発明は、高誘電率かつ比誘電率の温度 性に優れた誘電体磁器と、それを用いた積 セラミックコンデンサを提供することを目 とする。

 本発明の誘電体磁器は、チタン酸バリウム 主成分とする結晶粒子と、該結晶粒子間に 在する粒界相とを有する。この誘電体磁器 、前記チタン酸バリウムを構成するバリウ 100モルに対して、バナジウムをV 2 O 5 換算で0.05~0.3モル、イットリウム,ジスプロシ ウム,ホルミウムおよびエルビウムから選ば る1種の希土類元素(RE)をRE 2 O 3 換算で0.5~1.5モル含有する。また、前記誘電 磁器は、X線回折チャートにおいて、正方晶 のチタン酸バリウムを示す(004)面の回折強 が、立方晶系のチタン酸バリウムを示す(400) 面の回折強度よりも大きく、かつキュリー温 度が100~120℃である。

 また、前記結晶粒子の平均粒径が0.15~0.3μ mであることが望ましい。

 本発明の積層セラミックコンデンサは、 記誘電体磁器からなる誘電体層と内部電極 との積層体から構成されている。

 なお、希土類元素をREとしたのは、周期 における希土類元素の英文表記(Rare earth)に づくものである。また、本発明では、イッ リウムは希土類元素に含まれるものとする

 本発明の誘電体磁器によれば、チタン酸 リウムに対して、バナジウムおよび希土類 素(RE)をそれぞれ所定の割合で含有するとと もに、誘電体磁器のX線回折チャートにおい 、チタン酸バリウムの正方晶系を示す(004)面 の回折強度が、チタン酸バリウムの立方晶系 を示す(400)面の回折強度よりも大きいものと 、かつキュリー温度を100~120℃の範囲とする 。これにより、高誘電率かつ比誘電率の温度 特性に優れた誘電体磁器を得ることができる 。

 また、本発明の誘電体磁器において、結 粒子の平均粒径を0.15~0.3μmの範囲としたと は、高誘電率にできるとともに、比誘電率 温度特性を安定にしつつ、誘電損失を低減 きる。

 本発明の積層セラミックコンデンサによ ば、誘電体層として、上述の誘電体磁器を 用する。これにより、高誘電率で、比誘電 の温度特性に優れた積層セラミックコンデ サを得ることができる。

(a)は実施例における本発明の誘電体磁 である試料No.3のX線回折チャートを示すも であり、(b)は実施例における比較例の誘電 磁器である試料No.15のX線回折チャートであ 。 実施例における試料No.3の静電容量の温 度特性を示すグラフである。 本発明の積層セラミックコンデンサの を示す断面模式図である。

符号の説明

 5   誘電体層
 7   内部電極層
 10  コンデンサ本体

 本発明の誘電体磁器は、チタン酸バリウム 主成分とする結晶粒子と、該結晶粒子間に 在する粒界相とを有する。前記チタン酸バ ウムを構成するバリウム100モルに対して、 ナジウムがV 2 O 5 換算で0.05~0.3モル、イットリウム,ジスプロシ ウム,ホルミウムおよびエルビウムから選ば る1種の希土類元素(RE)がRE 2 O 3 換算で0.5~1.5モル含有される。さらに、X線回 チャートにおいて、正方晶系のチタン酸バ ウムを示す(004)面の回折強度が、立方晶系 チタン酸バリウムを示す(400)面の回折強度よ りも大き、かつキュリー温度(Tc)が100~120℃で る。

 上記組成を有し、結晶粒子の結晶構造が 述したX線回折チャートの回折強度の関係に なるように調製され、キュリー温度が上記範 囲にある本発明の誘電体磁器は、室温(25℃) おける比誘電率が3000以上、室温(25℃)におけ る比誘電率を基準にしたときの-55~125℃の温 範囲における比誘電率の最大の変化率が±10% 以内を満足する。

 本発明の誘電体磁器は、チタン酸バリウム 主成分とし、このチタン酸バリウムを構成 るバリウム100モルに対して、バナジウムをV 2 O 5 換算で0.05~0.3モル、イットリウム,ジスプロシ ウム,ホルミウムおよびエルビウムから選ば る1種の希土類元素(RE)をRE 2 O 3 換算で0.5~1.5モル含むことが重要である。

 即ち、チタン酸バリウムを構成するバリウ 100モルに対して、バナジウムの含有量がV 2 O 5 換算で0.05モルよりも少ない場合、または、 記希土類元素(RE)がRE 2 O 3 換算で0.5モルよりも少ない場合には、-55~125 の温度範囲における比誘電率の最大の変化 が±10以内を満足しなくなる。

 チタン酸バリウムを構成するバリウム100モ に対して、バナジウムの含有料がV 2 O 5 換算で0.05モルよりも多い場合、または、前 希土類元素(RE)がRE 2 O 3 換算で1.5モルよりも多い場合には、室温(25℃ )における比誘電率が3000よりも低くなる。

 ところで、希土類元素(RE)の中でイットリ ウム,ジスプロシウム,ホルミウムおよびエル ウムはチタン酸バリウムに固溶したときに 相が生成し難く、高い絶縁性が得られるか 好適に用いることができ、その中でも誘電 磁器の比誘電率を高められるという理由か イットリウムがより好ましい。

 また、チタン酸バリウムに固溶している 分は不可避不純物を除き、実質的にバナジ ムおよび希土類元素(RE)のみである。

 なお、本発明の誘電体磁器は、焼結性を めるための助剤としてガラス成分や他の添 成分を誘電体磁器中に0.5~2質量%の割合で含 させても良い。

 また、本発明の誘電体磁器は、X線回折チ ャートにおいて、正方晶系のチタン酸バリウ ムを示す(004)面の回折強度が、立方晶系のチ ン酸バリウムを示す(400)面の回折強度より 大きく、かつキュリー温度が100~120℃である

 ここで、本発明の誘電体磁器の結晶構造 ついてさらに詳細に説明すると、本発明の 電体磁器は、結晶粒子中にバナジウムと希 類元素(RE)が固溶しても、ほとんど正方晶系 を示す単相に近い結晶相により占められてい る。

 図1の(a)は後述の実施例の表1における本 明の誘電体磁器である試料No.3のX線回折チャ ートを示すものであり、(b)は同表1における 較例の誘電体磁器である試料No.15のX線回折 ャートである。図2は、後述の実施例の表1に おける試料No.2の誘電体磁器の静電容量の温 特性を示すグラフであり、本発明の誘電体 器は、図2のような静電容量の温度特性を有 ている。

 ここで、特許文献1に記載された発明であ る従来の誘電体磁器は、その結晶構造がコア ・シェル構造であり、図1(b)のX線回折チャー に相当するものとなっている。

 即ち、チタン酸バリウムを主成分とし、 ア・シェル構造を有する結晶粒子により構 される誘電体磁器では、チタン酸バリウム 正方晶系を示す(004)面および(400)面の間に現 れるチタン酸バリウムの立方晶系を示す(400) ((040)面、(004)面が重なっている。)の回折強 Ixcが、チタン酸バリウムの正方晶系を示す( 004)面の回折強度Ixtよりも大きくなっている

 また、コア・シェル構造を示す結晶粒子 より構成される誘電体磁器は、X線回折チャ ートで見る限り、正方晶系の結晶相に対して 立方晶系の結晶相の割合が多いために結晶の 異方性が小さくなる。そのために、X線回折 ャートは(400)面の回折線が低角度側にシフト するとともに(004)面の回折線が高角度側にシ トし、両回折線は互いに少なくとも一部が なるようになり幅広の回折線となる。

 このような誘電体磁器は、チタン酸バリ ムを主成分とする粉末にマグネシウムや希 類元素などの酸化物粉末を添加混合したも を成形した後、還元焼成することによって 成されるものである。この場合、コア・シ ル構造を有する結晶粒子はシェル部にマグ シウムや希土類元素(RE)などの成分が多く固 溶しているのに対し、コア部はマグネシウム や希土類元素(RE)などの成分の固溶量が少な ことから、純粋に近いチタン酸バリウムの 晶相であり、このためにキュリー温度が125 付近(122~126℃)にある。このように、コア・ ェル構造を有し、キュリー温度が125℃付近 ある結晶粒子により構成される誘電体磁器 、室温(25℃)を基準にしたときの-55~125℃の温 度範囲における比誘電率の最大の変化率が±1 5%程度にはなるものの±10%以内を満足できな 。

 これに対して、本発明の誘電体磁器は、 1(a)に示すように、誘電体磁器のX線回折チ ートにおいて、チタン酸バリウムの正方晶 を示す(004)面の回折強度Ixtが、チタン酸バリ ウムの立方晶系を示す(400)面の回折強度Ixcよ も大きい。

 即ち、本発明の誘電体磁器は、図1(a)に見 られるように、チタン酸バリウムの正方晶系 を示す(004)面(2θ=100°付近)と(400)面(2θ=101°付 )のX線回折ピークが明確に現れるものであり 、チタン酸バリウムの正方晶系を示す、(004) および(400)面の間に現れるチタン酸バリウ の立方晶系を示す(400)面((040)面、(400)面が重 っている。)の回折強度Ixcが、チタン酸バリ ウムの正方晶系を示す(004)面の回折強度Ixtよ も小さくなっている。

 つまり本発明の誘電体磁器の結晶構造は 従来のコア・シェル構造のX線回折パターン とは異なり、しかも、図2に示すように、キ リー温度(Tc)が100~120℃の範囲であり、キュリ ー温度が125℃である従来のコア・シェル構造 をもつ誘電体磁器とは誘電特性が異なる。こ れはチタン酸バリウムを主成分とする結晶粒 子の全体にわたりバナジウムと希土類元素(RE )とが所定量固溶しているためである。こう て、室温(25℃)での比誘電率を基準にしたと の-55~125℃の温度範囲における比誘電率の最 大の変化率を±10%以内にすることができる。

 なお、誘電体磁器のキュリー温度は、静 容量を-55~125℃の範囲で測定し、測定した温 度範囲において最大の静電容量を示す温度と する。

 また、本発明の誘電体磁器は、結晶粒子 平均粒径が0.15~0.3μmであることが望ましい 結晶粒子の平均粒径が0.15~0.3μmであると、室 温(25℃)における比誘電率が3500以上であり、 つ室温(25℃)での比誘電率に対する-55~125℃ 温度範囲における比誘電率の最大の変化率 ±10%以内に維持した状態で、室温(25℃)にお る誘電損失を12%以下にできる。

 ここで、結晶粒子の平均粒径は、焼成後 誘電体磁器である試料の破断面を研磨した 、走査型電子顕微鏡を用いて内部組織の写 を撮り、その写真上で結晶粒子が20~30個入 円を描き、円内および円周にかかった結晶 子を選択し、各結晶粒子の輪郭を画像処理 て、各粒子の面積を求め、同じ面積をもつ に置き換えたときの直径を算出し、その平 値より求める。

 次に、本発明の誘電体磁器を製造する方法 ついて説明する。まず、原料粉末として、 度が99%以上のチタン酸バリウム粉末(以下、 BT粉末という。)と、添加成分として、V 2 O 5 粉末と、Y 2 O 3 粉末、Dy 2 O 3 粉末、Ho 2 O 3 粉末およびEr 2 O 3 粉末のうち少なくとも1種の希土類元素(RE)の 化物粉末とを準備する。

 本発明の誘電体磁器を製造するのに用い BT粉末として、原料粉末の段階でのキュリ 温度が128~131℃を示すBT粉末を用いる。これ より、キュリー温度が125℃付近にある従来 BT粉末を用いた場合に比較して、キュリー温 度が高温側にあるので、125℃付近における比 誘電率が高くなり、その結果、得られる誘電 体磁器のキュリー温度を100~120℃の範囲にす ことができるとともに、室温(25℃)を基準に たときの-55~125℃の温度範囲における比誘電 率の変化率を容易に±10%以内にできる。なお BT粉末のキュリー温度は示差走査熱量分析(D ifferential Scanning Calorimetry:DSC)により測定する 。

 BT粉末の平均粒径は0.1~0.17μmが好ましい。 BT粉末の平均粒径が0.1μm以上であると、焼結 の粒成長を抑制できるために比誘電率の向 とともに誘電損失の低下が図れるという利 がある。

 一方、BT粉末の平均粒径が0.17μm以下であ と、バナジウムおよび希土類元素などの添 剤を結晶粒子の内部にまで固溶させること 容易となり、また、後述するように、焼成 後における、BT粉末から結晶粒子への粒成 の比率を所定の範囲まで高められるという 点がある。

 添加剤であるV 2 O 5 粉末ならびにY 2 O 3 粉末、Dy 2 O 3 粉末、Ho 2 O 3 粉末およびEr 2 O 3 粉末のうち少なくとも1種の希土類元素(RE)の 化物粉末についても平均粒径はBT粉末など 誘電体粉末と同等、もしくはそれ以下のも を用いることが好ましい。

 次いで、これらの原料粉末を、BT粉末を構 するバリウム100モルに対してV 2 O 5 粉末を0.05~0.3モル、Y 2 O 3 粉末、Dy 2 O 3 粉末、Ho 2 O 3 粉末およびEr 2 O 3 粉末から選ばれる希土類元素(RE)をRE 2 O 3 換算で0.5~1.5モルの割合で配合して、所定形 の成形体を作製し、この成形体を脱脂した 、還元雰囲気中にて焼成する。

 なお、本発明の誘電体磁器を製造するに しては、所望の誘電特性を維持できる範囲 あれば焼結助剤としてガラス粉末を添加し も良く、その添加量は、主な原料粉末であ BT粉末の合計量を100質量部としたときに0.5~2 質量部が良い。

 焼成温度は、ガラス粉末等の焼結助剤を いる場合には、BT粉末への添加剤の固溶と 晶粒子の粒成長を制御するという理由から10 50~1150℃が好適であり、一方、ガラス粉末等 焼結助剤を用いないで、ホットプレス法等 加圧焼成による場合には1050℃未満の温度で 焼結が可能になる。

 本発明では、かかる誘電体磁器を得るた に、キュリー温度が128~131℃のBT粉末を用い これに上述の添加剤を所定量添加し、上記 度で焼成する。こうしてBT粉末に対して各 の添加剤の固溶量が制御され、その結果、 られる誘電体磁器は、X線回折チャートにお て正方晶系のチタン酸バリウムを示す(004) の回折強度が、立方晶系のチタン酸バリウ を示す(400)面の回折強度よりも大きいものと なり、また、キュリー温度を100~120℃の範囲 することができる。

 また、本発明では、焼成時に還元されて 下した絶縁抵抗を回復するために、焼成後 、再度、弱還元雰囲気にて熱処理を行う。 の温度は結晶粒子の更なる粒成長を抑えつ 再酸化量を高めるという理由から900~1100℃ 好ましい。

 図3は、本発明の積層セラミックコンデン サの例を示す断面模式図である。本発明の積 層セラミックコンデンサは、コンデンサ本体 10の両端部に外部電極4が設けられたものであ り、また、コンデンサ本体10は誘電体層5と内 部電極層7とが交互に積層された積層体から 成されている。そして、誘電体層5は上述し 本発明の誘電体磁器によって形成される。 お、図3では、誘電体層5と内部電極層7との 層の状態を単純化して示しているが、本発 の積層セラミックコンデンサは、誘電体層5 と内部電極層7とが数百層にも及ぶ積層体を 成している。

 このような本発明の積層セラミックコン ンサによれば、誘電体層5として、上記の誘 電体磁器を適用することにより、高誘電率で あり、また、室温(25℃)を基準にしたときの-5 5~125℃の温度範囲における比誘電率の最大の 化率が±10%以内を満足するものを得ること できる。本発明の誘電体磁器によれば、高 電率かつ安定な比誘電率の温度特性を実現 きることから、例えば、バイパスコンデン として用いた時の静電容量の変化を低減で 、これにより高容量の電荷を入出力できる ンデンサとして機能を高められる。

 ここで、誘電体層5の厚みは3μm以下、特 、2.5μm以下であることが積層セラミックコ デンサを小型高容量化する上で好ましく、 らに本発明では静電容量のばらつきおよび 量温度特性の安定化のために、誘電体層5の みは1μm以上であることがより望ましい。

 内部電極層7を形成する材料としては、高 積層化しても製造コストを抑制できるという 点で、ニッケル(Ni)や銅(Cu)などの卑金属が望 しく、特に、本発明における誘電体層1との 同時焼成が図れるという点でニッケル(Ni)が り望ましい。

 外部電極4は、例えば、CuもしくはCuとNiの 合金ペーストを焼き付けて形成される。

 次に、積層セラミックコンデンサの製造 法について説明する。上記の素原料粉末に 用の有機ビヒクルを加えてセラミックスラ を調製し、次いで、セラミックスラリをド ターブレード法やダイコータ法などのシー 成形法を用いてセラミックグリーンシート 形成する。この場合、セラミックグリーン ートの厚みは誘電体層の高容量化のための 層化、高絶縁性を維持するという点で1~4μm 好ましい。

 次に、得られたセラミックグリーンシー の主面上に矩形状の内部電極パターンを印 して形成する。内部電極パターンとなる導 ペーストはNi、Cuもしくはこれらの合金粉末 が好適である。

 次に、内部電極パターンが形成されたセ ミックグリーンシートを所望枚数重ねて、 の上下に内部電極パターンを形成していな セラミックグリーンシートを複数枚、上下 が同じ枚数になるように重ねてシート積層 を形成する。この場合、シート積層体中に ける内部電極パターンは、長寸方向に半パ ーンずつずらしてある。

 次に、シート積層体を格子状に切断して 内部電極パターンの端部が露出するように ンデンサ本体成形体を形成する。このよう 積層工法により、切断後のコンデンサ本体 形体の端面に内部電極パターンが交互に露 されるように形成できる。

 次に、コンデンサ本体成形体を脱脂した ち、上記した誘電体磁器と同様の焼成条件 よび弱還元雰囲気での熱処理を行うことに りコンデンサ本体を作製する。

 次に、このコンデンサ本体の対向する端 に、外部電極ペーストを塗布して焼付けを い外部電極4を形成する。また、この外部電 極4の表面には実装性を高めるためにメッキ を形成しても構わない。

 次に実施例をあげて、本発明の誘電体磁 を詳細に説明するが、本発明はこれらの実 例によって限定されるものでははい。

 まず、原料粉末として、BT粉末、Y 2 O 3 粉末、Dy 2 O 3 粉末、Ho 2 O 3 粉末、Er 2 O 3 粉末およびV 2 O 5 粉末を準備し、これらの各種粉末を表1に示 割合で混合した。Y 2 O 3 粉末、Dy 2 O 3 粉末、Ho 2 O 3 粉末、Er 2 O 3 粉末およびV 2 O 5 粉末の添加量は、BT粉末100モルに対する割合 ある。これらの原料粉末は純度が99.9%のも を用いた。なお、BT粉末の平均粒径およびキ ュリー温度は表1に示すものを用いた。Y 2 O 3 粉末、Dy 2 O 3 粉末、Ho 2 O 3 粉末、Er 2 O 3 粉末およびV 2 O 5 粉末は平均粒径が0.1μmのものを用いた。BT粉 のBa/Ti比は1とした。焼結助剤はSiO 2 =55、BaO=20、CaO=15、Li 2 O=10(モル%)組成のガラス粉末を用いた。ガラ 粉末の添加量はBT粉末100質量部に対して1質 部とした。

 次に、これらの原料粉末にポリビニルア コールとイオン交換水とを添加して直径5mm ジルコニアボールを用いて湿式混合した。

 次に、湿式混合した粉末を乾燥させた後 この粉末を用いて直径16mm、厚み1.5mmの成形 を作製し、水素-窒素中、1110~1130℃で2時間 成した(試料No.1については1110℃、それ以外 試料は1130℃)。この後、1000℃まで降温し、 素雰囲気中で4時間の加熱処理(再酸化処理) 施し、冷却して評価試料となる誘電体磁器 得た。

 次に、作製した誘電体磁器について以下 評価を行った。評価はいずれも試料数10個 し、その平均値を求めた。静電容量等の誘 特性を測定する際の誘電体磁器は、その上 両面にIn-Gaを塗布して電極膜を形成した。比 誘電率は静電容量を温度25℃、周波数1.0kHz、 定電圧1Vrmsの測定条件で測定し、得られた 電容量から誘電体磁器の厚みと、塗布した 極膜の面積および真空の誘電率をもとに換 して求めた。誘電損失も静電容量と同条件 測定した。比誘電率の温度特性は静電容量 温度-55~125℃の範囲で測定し、測定した温度 囲において最大の静電容量を示す温度をキ リー温度とした。

 結晶粒子の平均粒径は、焼成後の誘電体 器である試料の破断面を研磨した後、走査 電子顕微鏡を用いて内部組織の写真を撮り その写真上で結晶粒子が20~30個入る円を描 、円内および円周にかかった結晶粒子を選 した。次いで、各結晶粒子の輪郭を画像処 して、各粒子の面積を求め、同じ面積をも 円に置き換えたときの直径を算出し、その 均値より求めた。

 得られた誘電体磁器である試料の組成分 はICP(Inductively Coupled plasma)分析もしくは原 吸光分析により行った。この場合、得られ 誘電体磁器を硼酸と炭酸ナトリウムと混合 溶融させたものを塩酸に溶解させて、まず 原子吸光分析により誘電体磁器に含まれる 素の定性分析を行い、次いで、特定した各 素について標準液を希釈したものを標準試 として、ICP発光分光分析にかけて定量化し 。また、各元素の価数を周期表に示される 数として酸素量を求めた。

 表1に調合組成と焼成温度および特性の結果 を示した。なお、作製した誘電体磁器の組成 は調合組成と同じであることを上記組成分析 より確認した。
 表1の結果から明らかなように、チタン酸バ リウムを主成分とし、チタン酸バリウムを構 成するバリウム100モルに対して、バナジウム をV 2 O 5 換算で0.05~0.3モル、イットリウム、ジスプロ ウム、ホルミウムおよびエルビウムから選 れる希土類元素をRE 2 O 3 換算で0.5~1.5モル含み、誘電体磁器のX線回折 ャートにおいて、正方晶系のチタン酸バリ ムを示す(004)面の回折強度が、立方晶系の タン酸バリウムを示す(400)面の回折強度より も大きく、かつキュリー温度が100~120℃であ 本発明の試料No.1~4,6~9,12,13および16~18では、 温(25℃)における比誘電率が3100以上、室温(25 ℃)を基準にしたときの-55~125℃の温度範囲に ける比誘電率の最大の変化率が±10%以内を 足する誘電体磁器を得ることができた。

 また、結晶粒子の平均粒径を0.15~0.3μmと た試料No.2,3,6~9,12,13および16~18では、室温(25 )における比誘電率が3500以上、室温(25℃)を 準にしたときの125℃における比誘電率の温 変化率が±10%以内を満足するとともに、室温 (25℃)における誘電損失が12%以下であった。

 また、本発明の誘電体磁器を誘電体層と て用いた積層セラミックコンデンサにおい も同様の結果が得られた。

 これに対して、本発明の範囲外の試料No.5 ,10,11,14,15および19では、比誘電率が3000より低 いか、室温(25℃)を基準にしたときの-55~125℃ 温度範囲における比誘電率の最大の変化率 ±10%以内を満足しないものであった。

 以上、本発明の誘電体磁器の実施形態に いて説明したが、本発明の範囲はこれらの 明に拘束されるものではなく、本発明の範 内で適宜変更又は改善しうるものである。