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Title:
DISINFECTANT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/111429
Kind Code:
A1
Abstract:
A disinfectant which contains the following ingredients (a), (b), (c) and (d) and is free from other bactericidal disinfectants for sterilization: (a) 40 to 90% (w/w) of ethanol, isopropyl alcohol or a mixture of both based on the whole disinfectant, (b) 0.1 to 2% (w/w) of lactic acid based on the whole disinfectant, (c) 0.01 to 2% (w/w) of citric acid based on the whole disinfectant, and (d) 0.001 to 0.1% (w/w) of a zinc compound capable of releasing zinc ions in a solution based on the whole disinfectant.

Inventors:
OKAMOTO KAZUKI (JP)
OKUNISHI JUNJI (JP)
NISHIHARA YUTAKA (JP)
SETO MASAHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/053834
Publication Date:
September 18, 2008
Filing Date:
March 04, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MARUISHI PHARMA (JP)
OKAMOTO KAZUKI (JP)
OKUNISHI JUNJI (JP)
NISHIHARA YUTAKA (JP)
SETO MASAHIKO (JP)
International Classes:
A01N31/02; A01N37/36; A01N59/16; A01P3/00; A61K31/045; A61K31/191; A61K31/194; A61K31/315; A61L2/18; A61P31/02
Domestic Patent References:
WO2006062845A22006-06-15
WO2005087855A12005-09-22
WO2006062845A22006-06-15
Foreign References:
JP2005247779A2005-09-15
JPH08259439A1996-10-08
JPH03168075A1991-07-19
JPS6322171A1988-01-29
JPH0115734A
JP2002253188A2002-09-10
JP2004107667A2004-04-08
JPH07298862A1995-11-14
JP3761199B22006-03-29
JPS6314702A1988-01-21
JPH07504175A1995-05-11
US6551553B12003-04-22
JP2007211012A2007-08-23
Other References:
SATO K.: "Kyukyu Taiin no Kansen Boshi to Nichijo no Shodoku Gyomu no Shoryokuka ni Cho Biryushi Funmu Shodokuki", INDUSTRIAL HEALTH & SAFETY, no. 67, 13 July 2004 (2004-07-13), pages 15 - 17
See also references of EP 2135507A4
Attorney, Agent or Firm:
IWATANI, Ryo (1-31 Dojima 2-chome, Kita-k, Osaka-shi Osaka 03, JP)
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Claims:
 以下の(a)、(b)、(c)及び(d)を含み、かつ殺菌消毒を目的とする他の殺菌消毒剤を含まない消毒剤。
(a)エタノール、イソプロピルアルコール、又はこれらの混合物を、消毒剤全体に対して40~90%(w/w)
(b)乳酸を、消毒剤全体に対して0.1~2%(w/w)
(c)クエン酸を、消毒剤全体に対して0.01~2%(w/w)
(d)溶液中で亜鉛イオンを遊離する亜鉛含有化合物を、消毒剤全体に対して0.001~0.1%(w/w)
 殺ウィルス用である請求の範囲1に記載の消毒剤。
 手指消毒用である請求の範囲1に記載の消毒剤。
 以下の(a)、(b)、(c)及び(d)を含み、かつ殺菌消毒を目的とする他の殺菌消毒剤を含まない組成物を手指に接触させ又は塗布する、手指の消毒方法。
(a)エタノール、イソプロピルアルコール、又はこれらの混合物を、組成物全体に対して40~90%(w/w)
(b)乳酸を、組成物全体に対して0.1~2%(w/w)
(c)クエン酸を、組成物全体に対して0.01~2%(w/w)
(d)溶液中で亜鉛イオンを遊離する亜鉛含有化合物を、組成物全体に対して0.001~0.1%(w/w)
 以下の(a)、(b)、(c)及び(d)を含み、かつ殺菌消毒を目的とする他の殺菌消毒剤を含まない組成物を手指に接触させ又は塗布する、ウィルスの死滅又は増殖抑制方法。
(a)エタノール、イソプロピルアルコール、又はこれらの混合物を、組成物全体に対して40~90%(w/w)
(b)乳酸を、組成物全体に対して0.1~2%(w/w)
(c)クエン酸を、組成物全体に対して0.01~2%(w/w)
(d)溶液中で亜鉛イオンを遊離する亜鉛含有化合物を、組成物全体に対して0.001~0.1%(w/w)
 以下の(a)、(b)、(c)及び(d)を含み、かつ殺菌消毒を目的とする他の殺菌消毒剤を含まない組成物の、消毒剤としての使用。
(a)エタノール、イソプロピルアルコール、又はこれらの混合物を、組成物全体に対して40~90%(w/w)
(b)乳酸を、組成物全体に対して0.1~2%(w/w)
(c)クエン酸を、組成物全体に対して0.01~2%(w/w)
(d)溶液中で亜鉛イオンを遊離する亜鉛含有化合物を、組成物全体に対して0.001~0.1%(w/w)
 以下の(a)、(b)、(c)及び(d)を含み、かつ殺菌消毒を目的とする他の殺菌消毒剤を含まない組成物の、殺ウィルス用消毒剤としての使用。
(a)エタノール、イソプロピルアルコール、又はこれらの混合物を、組成物全体に対して40~90%(w/w)
(b)乳酸を、組成物全体に対して0.1~2%(w/w)
(c)クエン酸を、組成物全体に対して0.01~2%(w/w)
(d)溶液中で亜鉛イオンを遊離する亜鉛含有化合物を、組成物全体に対して0.001~0.1%(w/w)
 消毒のための、以下の(a)、(b)、(c)及び(d)を含み、かつ殺菌消毒を目的とする他の殺菌消毒剤を含まない組成物。
(a)エタノール、イソプロピルアルコール、又はこれらの混合物を、組成物全体に対して40~90%(w/w)
(b)乳酸を、組成物全体に対して0.1~2%(w/w)
(c)クエン酸を、組成物全体に対して0.01~2%(w/w)
(d)溶液中で亜鉛イオンを遊離する亜鉛含有化合物を、組成物全体に対して0.001~0.1%(w/w)
 ウィルスを死滅又は増殖抑制するための、以下の(a)、(b)、(c)及び(d)を含み、かつ殺菌消毒を目的とする他の殺菌消毒剤を含まない組成物。
(a)エタノール、イソプロピルアルコール、又はこれらの混合物を、組成物全体に対して40~90%(w/w)
(b)乳酸を、組成物全体に対して0.1~2%(w/w)
(c)クエン酸を、組成物全体に対して0.01~2%(w/w)
(d)溶液中で亜鉛イオンを遊離する亜鉛含有化合物を、組成物全体に対して0.001~0.1%(w/w)
Description:
消毒剤

 本発明は、殺ウィルス効果を有し、かつ 菌即効性及び持続性効果も兼備えた、手指 皮膚に適用できる消毒剤に関する。

 食品保存用エタノール製剤において、エ ノールなどの低級アルコールに有機酸を添 することで、殺菌効果が増強することが知 れている。

 例えば、特許文献1、及び特許文献2には タノールと、有機酸もしくはその塩などと 含有させてなる食品保存用エタノール製剤 記載されている。また、特許文献3、及び特 文献4にはエタノールなどのアルコールと、 有機酸を配合した殺菌剤は手指の洗浄や消毒 に使用できることが記載されている。また特 許文献5には、約60重量%~約90重量%の有機アル ール、約5重量%~約35質量%の一または二以上 シリコーンをベースとする物質、約5重量% 下の一または二以上の湿潤剤、約12重量%以 の一または二以上の皮膚pH保持用添加剤、お よび約25℃で100~10,000cpの範囲の粘度の製品と る濃度で添加される一または二以上の増濃 からなる、水が必要でない消毒用手洗浄剤 記載されている。特許文献6には、冷蔵乃至 冷凍食品等の除菌に用いる、エチルアルコー ルとフィチン酸とを必須成分として含有する 低温下除菌用アルコール製剤が開示されてい る。

 しかし、これらのエタノール製剤は殺菌 果は有するが、ウィルスに対する効果につ ては開示されていない。

 ここで、特許文献7には0.05~3重量%の濃度 クエン酸水溶液を接触させることで肝炎B型 ィルスを不活性化することを特徴とする消 方法が記載されている。この方法は更に、 酸、リンゴ酸及び/または酒石酸を含有する ことができるとされている。また、特許文献 8には、少なくとも70重量%のエタノール及び/ たはプロパノールと0.5ないし5重量%の短鎖 有機酸とを含有する広範囲作用をもつ殺ビ ルス剤が記載されている。該殺ビールス剤 短鎖有機酸としては、殊に2ないし6の炭素原 子を有するものが問題とされている。この殺 ビールス剤はポリオビールス、ワクチニアビ ールス、SV 40-ビールス、及びアデノビール 等の広範囲のビールスに対して有効な殺ビ ルス剤とされている。また、この薬剤を使 する場合、手消毒用として使用できること 記載されている。

 特許文献9には、水又はアルコールの溶液の 形で、アルカリおよびアルカリ土類金属、土 類金属に属する金属および/または第I、第II たは第III副(遷移元素)に属する金属の塩を有 効量含有する殺ウィルス性消毒剤が開示され ており、実施例ではポリオウィルス、アデノ ウィルス、ワクシニアウィルス及びSV40腫瘍 ィルスに対する有効性が試験されている。 許文献10には、5℃以下で、70-80wt%のアルコー ル、アルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛 やこれらの混合物、及び塩化物、リン酸塩等 を含む水性アルコール性の塩の溶液を接触さ せる除菌方法について、凝固点以下でアデノ ウィルス等のウィルスに殺菌効果を示したと されている。
 しかし、特許文献7~10に記載の殺ウィルス剤 は即効性および持続性について満足できるも のではなかった。

 特許文献11には、(a)二価の亜鉛塩を必須 分とし、任意成分として(b)殺菌性アルコー 、(c)抗菌剤、(d)有機酸を含むpHが5の組成物 開示されている。また、該組成物を手等に30 秒間接触させる、酸に不安定なウィルス(acid- labile virus)では指数減少値を少なくとも4とす る除菌方法が開示されている。特許文献12に 、2以上の水溶性有機亜鉛塩を含んでなる抗 刺激組成物であって、該水溶性有機亜鉛塩が 0.1%~2%(重量/重量)の濃度で該抗刺激組成物中 存在し、該組成物が、水と、アルコールと ゲル化剤、増粘剤、親水性または疎水性重 体、乳化剤および柔軟剤よりなる群から選 れる1以上の物質とを更に含む抗刺激組成物 開示されている。しかしながら、特許文献1 1又は12に記載の組成物も、即効性及び持続性 をより向上させる工夫の余地があった。

 特許文献13には、消毒組成物の全質量基準 、C 1‐6 アルコール少なくとも約50質量%;無機酸、有 酸、又はその混合物から選ばれる酸;及び陽 オン系オリゴマー又はポリマーを含有する 前消毒組成物であって、該組成物は、常在 及び一時滞在型の皮膚フロラに対して、約3 分未満で、約3より大のlog killを提供するも であることを特徴とする、術前消毒組成物 開示されている。特許文献13には、補助抗菌 剤として亜鉛化合物のような遷移金属化合物 を含有してもよいことが開示されている。し かしながら、この組成物も、即効性について 改善の余地があった。

特開平3-168075

特開昭63-22171

特開平11-5734

特開2002-253188

特開2004-107667

特開平7-298862

特許3761199

特開昭63-14702

特表平7-504175

米国特許第6,551,553

WO2006/062845

特表2005-524634

特開2007-211012

 本発明は殺ウィルス効果を持ち、しかも 効的かつ持続的な消毒効果に優れる消毒剤 提供することを課題とする。

 本発明者らは、上記課題を解消するために 究を重ね、以下の知見を得た。
(i) 以下の(a)、(b)、(c)及び(d)を含む消毒剤は これらの成分以外に殺菌消毒を目的とする 菌消毒剤を含まなくても、エンベロープを さない(ノンエンベロープ)ウィルスに対し 高い有効性を有する。
(a)エタノール、イソプロピルアルコール、又 はこれらの混合物を、消毒剤全体に対して40~ 90%(w/w)
(b)乳酸を、消毒剤全体に対して0.1~2%(w/w)
(c)クエン酸を、消毒剤全体に対して0.01~2%(w/w)
(d)溶液中で亜鉛イオンを遊離する亜鉛含有化 合物を、消毒剤全体に対して0.001~0.1%(w/w)
(ii) また、この消毒剤は即効性および持続性 に優れる。
(iii) さらに、上記(a)、(b)、(c)及び(d)以外に 菌消毒を目的とする殺菌消毒剤を含有させ いと、肌への刺激が少ない。

 すなわち、本発明は上記知見に基づき完成 れたものであり、以下の各項の消毒剤を提 する。
 項1. 以下の(a)、(b)、(c)及び(d)を含み、かつ 殺菌消毒を目的とする他の殺菌消毒剤を含ま ない消毒剤。
(a)エタノール、イソプロピルアルコール、又 はこれらの混合物を、消毒剤全体に対して40~ 90%(w/w)
(b)乳酸を、消毒剤全体に対して0.1~2%(w/w)
(c)クエン酸を、消毒剤全体に対して0.01~2%(w/w)
(d)溶液中で亜鉛イオンを遊離する亜鉛含有化 合物を、消毒剤全体に対して0.001~0.1%(w/w)
 項2. 殺ウィルス用である項1に記載の消毒 。
 項3. 手指消毒用である項1又は2に記載の消 剤。

 本発明はまた、以下の各項の方法及び使用 提供する。
 項4. 以下の(a)、(b)、(c)及び(d)を含み、かつ 殺菌消毒を目的とする他の殺菌消毒剤を含ま ない組成物を手指に接触させ又は塗布する、 手指の消毒方法。
(a)エタノール、イソプロピルアルコール、又 はこれらの混合物を、組成物全体に対して40~ 90%(w/w)
(b)乳酸を、組成物全体に対して0.1~2%(w/w)
(c)クエン酸を、組成物全体に対して0.01~2%(w/w)
(d)溶液中で亜鉛イオンを遊離する亜鉛含有化 合物を、組成物全体に対して0.001~0.1%(w/w)
 項5. 以下の(a)、(b)、(c)及び(d)を含み、かつ 殺菌消毒を目的とする他の殺菌消毒剤を含ま ない組成物を手指に接触させ又は塗布する、 ウィルスの死滅又は増殖抑制方法。
(a)エタノール、イソプロピルアルコール、又 はこれらの混合物を、組成物全体に対して40~ 90%(w/w)
(b)乳酸を、組成物全体に対して0.1~2%(w/w)
(c)クエン酸を、組成物全体に対して0.01~2%(w/w)
(d)溶液中で亜鉛イオンを遊離する亜鉛含有化 合物を、組成物全体に対して0.001~0.1%(w/w)

 項6. 以下の(a)、(b)、(c)及び(d)を含み、かつ 殺菌消毒を目的とする他の殺菌消毒剤を含ま ない組成物の、消毒剤としての使用。
(a)エタノール、イソプロピルアルコール、又 はこれらの混合物を、組成物全体に対して40~ 90%(w/w)
(b)乳酸を、組成物全体に対して0.1~2%(w/w)
(c)クエン酸を、組成物全体に対して0.01~2%(w/w)
(d)溶液中で亜鉛イオンを遊離する亜鉛含有化 合物を、組成物全体に対して0.001~0.1%(w/w)
 項7. 以下の(a)、(b)、(c)及び(d)を含み、かつ 殺菌消毒を目的とする他の殺菌消毒剤を含ま ない組成物の、殺ウィルス用消毒剤としての 使用。
(a)エタノール、イソプロピルアルコール、又 はこれらの混合物を、組成物全体に対して40~ 90%(w/w)
(b)乳酸を、組成物全体に対して0.1~2%(w/w)
(c)クエン酸を、組成物全体に対して0.01~2%(w/w)
(d)溶液中で亜鉛イオンを遊離する亜鉛含有化 合物を、組成物全体に対して0.001~0.1%(w/w)

 項8. 消毒のための、以下の(a)、(b)、(c)及び (d)を含み、かつ殺菌消毒を目的とする他の殺 菌消毒剤を含まない組成物。
(a)エタノール、イソプロピルアルコール、又 はこれらの混合物を、組成物全体に対して40~ 90%(w/w)
(b)乳酸を、組成物全体に対して0.1~2%(w/w)
(c)クエン酸を、組成物全体に対して0.01~2%(w/w)
(d)溶液中で亜鉛イオンを遊離する亜鉛含有化 合物を、組成物全体に対して0.001~0.1%(w/w)
 項9. ウィルスを死滅又は増殖抑制するため の、以下の(a)、(b)、(c)及び(d)を含み、かつ殺 菌消毒を目的とする他の殺菌消毒剤を含まな い組成物。
(a)エタノール、イソプロピルアルコール、又 はこれらの混合物を、組成物全体に対して40~ 90%(w/w)
(b)乳酸を、組成物全体に対して0.1~2%(w/w)
(c)クエン酸を、組成物全体に対して0.01~2%(w/w)
(d)溶液中で亜鉛イオンを遊離する亜鉛含有化 合物を、組成物全体に対して0.001~0.1%(w/w)

 本発明の消毒剤は、(a)エタノール及び/又 はイソプロパノール、(b)乳酸、(c)クエン酸及 び(d)溶液中で亜鉛イオンを遊離する亜鉛含有 化合物を含み、かつ、殺菌消毒を目的とする 他の殺菌消毒剤を含まないことを特徴として いる。これにより本発明の消毒剤は、消毒用 エタノールでは効果のないノロウィルス、ポ リオウィルス、アデノウィルスなどのノンエ ンベロープウィルスに対して高い有効性を有 する。また、本発明の消毒剤は、溶液中で亜 鉛イオンを遊離する亜鉛含有化合物を含むこ とにより、ウィルス(特にアデノウィルス)に して優れた殺菌効果を有する。特に、臨床 アデノウィルスに対しては、眼科領域にお て既存の消毒剤の殺菌効果が問題視されて ることから、亜鉛含有化合物を添加するこ による高い殺ウィルス効果は重要な効果で る。さらに、本発明の消毒剤は、上記成分 外に殺菌消毒を目的とする他の殺菌消毒剤 含まないことから、肌に対する刺激が少な という利点を有するものである。

 さらに、アルコールと有機酸とを含む従 の消毒剤は即効性及び持続性が実用上十分 はないが、本発明の消毒剤は即効性及び持 性に極めて優れる。アルコール濃度が高い 毒剤を頻回使用すると手荒れが生じやすく 手洗いを控える原因となる。ところが、従 のアルコールと有機酸とを含む消毒剤は、 菌力が持続しないため、手洗いを控えると 分な手指消毒を行うことができない。この 、本発明の消毒剤は持続性に優れるため、 回使用することなく、十分に手指を殺菌す ことができる。また、手荒れ部位は細菌群 形成し易いため、病院感染対策上無視でき い問題となる。この点、本発明の消毒剤は 使用間隔を長くすることができるため、手 れが生じ難く、このような問題も生じない これらのことから、本発明の消毒剤は手指 消毒に好適に使用できる。

各実施例及び各比較例の間で、ノロウ ルス代替ネコカリシウィルス不活性効果に いて、50%組織培養感染価(TCID50)を比較した 果を示す図である。 各実施例及び各比較例の間で、アデノ ィルス不活性効果について、50%組織培養感 価(TCID50)を比較した結果を示す図である。

 以下、本発明を詳細に説明する。本発明の 毒剤は以下の(a)、(b)、(c)及び(d)を含むこと 特徴とする。
(a)エタノール、イソプロピルアルコール、又 はこれらの混合物を、消毒剤全体に対して40~ 90%(w/w)
(b)乳酸を、消毒剤全体に対して0.1~2%(w/w)
(c)クエン酸を、消毒剤全体に対して0.01~2%(w/w)
(d)溶液中で亜鉛イオンを遊離する亜鉛含有化 合物を、消毒剤全体に対して0.001~0.1%(w/w)

アルコール
 殺菌成分のアルコールはエタノール、イソ ロピルアルコール、又はエタノールとイソ ロピルアルコールとの混合物である。中で 、エタノール単独又はエタノールとイソプ パノールとの組み合わせが好ましく、特に タノール単独が好ましい。

 エタノール、イソプロピルアルコール、 はこれらの混合物の含有比率は、消毒剤全 に対して、40~90%(w/w)であるが、50~90%(w/w)程度 が好ましく、50~85%(w/w)程度がより好ましい。 記範囲であれば、安全、かつ溶解性に優れ 有効性を有する。また、例えば、エタノー 又はイソプロピルアルコールを単独で用い 場合には、エタノール又はイソプロピルア コールの含有比率は消毒剤全体に対して40~9 0%(w/w)であることが好ましく、40~80%(w/w)程度で あることがより好ましい。エタノールとイソ プロピルアルコールとを組み合わせて用いる 場合には、消毒剤全体に対して、エタノール の含有比率が40~90%(w/w)であることが好ましく 40~80%(w/w)程度であることがより好ましく、 ソプロピルアルコールの含有比率が10%(w/w)以 下であることが好ましく、5%(w/w)以下である とがより好ましい。

有機酸
 本発明の消毒剤に特定の有機酸、すなわち 酸及びクエン酸が含まれることにより、エ ノール及び/またはイソプロパノールとの相 乗効果を奏し、即効性及び持続性が向上する 。

 乳酸の含有比率は、消毒剤全体に対して0.1~ 2%(w/w)であり、0.1~1.5%(w/w)程度とすることが好 しく、0.1~1%(w/w)程度とすることがより好ま い。
クエン酸の含有比率は、消毒剤全体に対して 0.01~2%(w/w)であり、0.01~1.5%(w/w)程度とすること 好ましく、0.01~1%(w/w)程度とすることがより ましい。
乳酸及びクエン酸の含有比率が上記範囲であ れば、エタノール及び/またはイソプロパノ ルとの相乗効果を奏し、即効性及び持続性 向上する。また、十分な消毒効果を有する 共に手指や皮膚に対して安全である。

亜鉛含有化合物
 本発明の消毒剤は、さらに、溶液中で亜鉛 オンを遊離する亜鉛含有化合物含む。本発 の消毒剤にこのような亜鉛含有化合物が含 れることにより、ウィルス、特にアデノウ ルスに対する殺菌効果が向上する。溶液中 亜鉛イオンを遊離する亜鉛含有化合物とし は、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、乳酸亜鉛、酢酸 鉛、グルコン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、 ンデシレン酸亜鉛などが挙げられる。中で 、硫酸亜鉛が好ましい。

 亜鉛含有化合物の含有比率は、消毒剤全 に対して0.001~0.1%(w/w)であるが、亜鉛含有化 物はアルコールに溶解しにくいため、製剤 の点から、及び消毒剤の安定性の点から0.1% (w/w)未満であることが好ましい。亜鉛含有化 物の含有比率は、消毒剤全体に対して0.001~0 .09%(w/w)程度とすることが好ましく、0.001~0.05%( w/w)程度とすることがより好ましい。上記範 であれば、十分な消毒効果を有すると共に 指や皮膚に対して安全である。

pH調整剤
 本発明の消毒剤には、必要に応じてpH調整 が含まれていてよい。pH調整剤は、医薬品や 化粧品などの皮膚外用剤に適したものであれ ばよく、特に限定されない。このようなpH調 剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリ ムのようなアルカリ金属の水酸化物;クエン 酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、コハク酸ナ トリウムのような有機酸の塩;水酸化アンモ ウムのようなアンモニウムの水酸化物;モノ タノールアミン、ジエタノールアミン、ト エタノールアミン、モノイソプロパノール ミン、ジイソプロパノールアミン、トリイ プロパノールアミンのようなアルカノール ミン;2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2- ミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールのような アルキルアミン;リジン、アルギニンのよう 塩基性アミノ酸;POEアルキルアミンなどが挙 られる。安全性の点で有機酸の塩若しくは ルカリ金属の塩が好ましく、有機酸の塩が り好ましい。

 また、pH調整剤としては、本発明の効果 損なわない範囲で、酒石酸、グリコール酸 リンゴ酸、サリチル酸、フマル酸、メタン ルホン酸、マレイン酸、酢酸、EDTA-2ナトリ ムのような有機酸;塩酸、リン酸、硫酸、硝 、臭化水素酸のような無機酸なども使用で る。

 pH調整剤は1種を単独で又は2種以上を組み 合わせて使用できる。本発明の消毒剤のpHは2 ~8程度が好ましく、3~7程度がより好ましく、3 .5~6程度が特に好ましい。上記範囲であれば 十分な消毒効果を有すると共に、手指や皮 に対して安全である。

増粘剤
 本発明の消毒剤には、本発明の効果を損な ない範囲で、増粘剤が含まれていてよい。 粘剤としては、セルロース;ヒドロキシエチ ルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、 疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース  、メチルセルロース、カルボキシメチルセ ロースナトリウムのようなセルロース誘導 ;アクリル酸-澱粉グラフト共重合体架橋物 N-ビニルアセトアミド/アクリル酸ナトリウ 共重合体等のアクリル酸又はその塩を構成 分のひとつとする共重合体;ポリビニルアル ール;ポリビニルピロリドン;ポリエチレン キサイド;メチルビニルエーテル無水マレイ 酸共重合体;ポリアクリルアミド;アルギン ;アルギン酸ナトリウム;アルギン酸プロピレ ングリコールエステル;ゼラチン;アラビアゴ ;トラガントゴム;ローカストビーンガム;グ ガム;タマリンドガム;キサンタンガム;ジェ ンガム;カラギーナン、寒天等が挙げられる 。増粘剤は1種を単独で又は2種以上を組み合 せて使用できる。中でも安全性、使用感の で、ヒドロキシプロピルメチルセルロース キサンタンガムが好ましい。

香料
 本発明の消毒剤には、必要に応じて香料が まれていてよい。香料は、医薬品や化粧品 どの皮膚外用剤に適したものであればよく 特に限定されない。このような香料として イソプロピルアルコール、ユーカリ油、ゲ ニオール、フェニルエチルアルコール、リ ソール、リナリルアセテートなどが挙げら る。

その他の成分
 本発明の消毒剤は、上記(a)~(d)の他に殺菌消 毒を目的として殺菌消毒剤を含まない。この ような殺菌消毒剤としては、アクリノール、 塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム 、セチルリン酸化ベンザルコニウム、塩化セ チルピリジニウム、塩化メチルロザニリン、 ヨウ素、ヨウ化カリウム、ポビドンヨード等 のヨードホール、ヨードホルム、マーキュロ クロム、アルキルポリアミノエチルグリシン 、チメロサール、プロノポール、レゾルシン 、ヒノキチオール、トリクロサン、フェノー ル及びその誘導体、グルコン酸クロルヘキシ ジン、酢酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘ キシジンのようなクロルヘキシジン塩等が挙 げられる。本発明の消毒剤は、このような殺 菌消毒剤を殺菌消毒を目的として含まないこ とから、肌への刺激が少ないものである。

 また、本発明の消毒剤は殺菌消毒剤に通 添加される公知の保湿剤を含んでいてもよ 。このような公知の保湿剤としては、例え シリコーンオイル、脂肪酸エステル、ピロ ドンカルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナ リウム、乳酸ナトリウム、ヒアルロン酸、 アルロン酸ナトリウム、dl-ピロリドンカル ン酸ナトリウム、尿素、プロピレングリコ ル、グリセリン等が挙げられる。シリコー オイルとしては、ジメチルシリコーンオイ 、メチルフェニルシリコーンオイル、メチ ハイドロジェンシリコーンオイル等が挙げ れる。シリコーンオイルは、保湿剤として 作用に加え、例えば手術用手袋の脱着を容 にし得る潤滑作用も有する。脂肪酸エステ としては、ミリスチン酸イソプロピル、パ ミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソ ロピル、オレイン酸イソブチル又はマレイ 酸イソブチル等が挙げられる。保湿剤は1種 を単独で又は2種以上を組み合わせて使用で る。保湿剤は1種を単独で又は2種以上を組み 合わせて使用できる。

 本発明の消毒剤には、必要に応じて、グリ ルリチン酸又はその誘導体、ビタミンE、ビ タミンEアセテート、ビタミンB 6 のような薬剤;ノニオン性界面活性剤;アミノ 又はその誘導体;アジピン酸ジイソブチル; ラントイン、ビタミンA誘導体;グリセリン脂 肪酸エステル類;カプリン酸のような脂肪酸 等を配合することもできる。これらの化合 は、手指の保護作用がある。また、グリセ ン脂肪酸エステル類;カプリン酸のような脂 酸類を配合することにより、消毒剤に殺芽 効果を付与し、殺菌スペクトルを広げるこ ができる。

調製方法
 本発明の消毒剤は、各成分を混合し、必要 応じて加温して常温で固体の成分を溶解さ 、通常はpHを調整することにより得ること できる。

使用方法
 本発明の消毒剤は日常的手洗い、衛生的手 い、手術時手洗いのいずれにも用いること できる。また、消毒方法としては、ラビン 法、スワブ法など通常用いられるすべての 法で行うことができる。
 本発明の消毒剤の使用形態としては、ハン ローションのほか、ゲル、クリーム、フォ ムなどの形態が挙げられる。

 本発明の消毒剤は、ノロウィルス、ポリ ウィルス、アデノウィルスなどのノンエン ロープウィルスに対して高い殺菌及び増殖 制効果を有することから、殺ウィルス用消 剤として好適なものである。特に、アデノ ィルスに対しても高い殺菌効果を有するこ から有用である。また、手指消毒用の消毒 として好適に使用することができるもので る。

手指の消毒方法、及びウィルスの 死滅又は増殖抑制方法
 以下の(a)、(b)、(c)及び(d)を含み、かつ殺菌 毒を目的とする他の殺菌消毒剤を含まない 成物を手指に接触させ又は塗布することに り、手指の消毒を行うことができる。また 手指のウィルスを死滅させ、又はその増殖 抑制することができる。
(a)エタノール、イソプロピルアルコール、又 はこれらの混合物を、組成物全体に対して40~ 90%(w/w)
(b)乳酸を、組成物全体に対して0.1~2%(w/w)
(c)クエン酸を、組成物全体に対して0.01~2%(w/w)
(d)溶液中で亜鉛イオンを遊離する亜鉛含有化 合物を、組成物全体に対して0.001~0.1%(w/w)
上記組成物を手指に接触させ又は塗布する(1) 手指の消毒方法、及び(2)ウィルスの死滅又は 増殖抑制方法も、本発明の1つである。

 本発明の手指の消毒方法、及びウィルスの 滅又は増殖抑制方法における上記組成物や の好ましい態様は、上記の消毒剤と同様で る。
 組成物を手指に接触させ又は塗布する方法 しては、上記消毒剤を用いる消毒方法と同 であり、ラビング法、スワブ法など通常用 られるすべての方法で行うことができる。

組成物の使用
 上記(a)、(b)、(c)及び(d)を含み、かつ殺菌消 を目的とする他の殺菌消毒剤を含まない組 物は、消毒剤又は殺ウィルス用消毒剤とし 使用することができるものである。
 上記組成物の、(1)消毒剤としての使用、及 (2)殺ウィルス用消毒剤としての使用も、本 明の1つである。
 本発明の使用における上記組成物やその好 しい態様は、上記の消毒剤と同様である。 成物の使用方法等も、上記の消毒剤と同様 ある。

消毒用組成物
 消毒のための、上記(a)、(b)、(c)及び(d)を含 、かつ殺菌消毒を目的とする他の殺菌消毒 を含まない組成物も、本発明の1つである。 ウィルスを死滅又は増殖抑制するための、上 記(a)、(b)、(c)及び(d)を含み、かつ殺菌消毒を 目的とする他の殺菌消毒剤を含まない組成物 も、本発明の1つである。
 本発明の組成物やその好ましい態様は、上 の消毒剤と同様である。組成物の使用方法 も、上記の消毒剤と同様である。

 以下、実施例及び試験例を挙げて、本発 をより詳細に説明するが、本発明はこれら 限定されるものではない。

実施例1~3及び比較例1~12
(1)消毒剤組成物の調製
 以下の表1及び2に示す各成分を撹拌混合し 合計量を100gとした。


 比較例11の消毒剤として、市販の0.2%塩化 ンザルコニウム・エタノール製剤を用いた 比較例11は、プロピレングリコール及びエ ノールを含むが、有機酸を含まない消毒剤 ある。

(2)ノンエンベロープウィルスに対する殺ウィ ルス効果1
試験方法
 ネコ腎由来株化細胞(CRFK) JCRB 9035にネコカ シウィルス(FCV) F-9株ATCC VR-782を感染させた 。ネコカリシウィルスはノロウィルスの近縁 種であり、培養技術が確立されていないノロ ウィルスに代えて使用されている。十分にウ ィルスの増殖が認められたところで遠心分離 した上清を、ウィルス液として使用した。こ のウィルス液10μLに190μLの薬剤を混和し、次 で所定時間に一部をサンプリングし、培地 100倍に希釈することにより、反応を停止し 。その後、反応液を96穴マイクロプレート のCRFK細胞に感染させて培養した。

 薬効は、CRFK細胞の細胞変性効果を指標とし 50%組織培養感染価(TCID50)の低下を指数減少値 して求めた。
結果を以下の表3及び図1に示す。尚、対照例 して、PBS(リン酸緩衝生理食塩溶液)を用い 。

 薬剤作用後0.5分経過したときのTCID50の指数 少値が、薬剤添加前に比べ4 Log減少するこ を薬効の到達基準とした。
 表3及び図1からわかるように実施例1~3の消 剤では、薬剤作用後0.5分経過時にTCID50値が 出限界未満まで減少した。

(3)ノンエンベロープウィルスに対する殺ウィ ルス効果2
試験方法
 ヒト肺癌由来株化細胞(A549)RCB 0098にアデノ ィルス5型(Adv)ATCC VR-5を感染させた。十分に ウィルスの増殖が認められたところで遠心分 離した上清を、ウィルス液として使用した。 このウィルス液10uLに190uLの薬剤を混和し、次 いで所定時間に一部をサンプリングし、培地 で100倍に希釈することにより反応を停止した 。その後、反応液を96穴マイクロプレート上 A549細胞に感染させて培養した。
 薬効は、A549細胞の細胞変性効果を指標とし 50%組織培養感染価(TCID50)の低下を指数減少値 して求めた。
 結果を以下の表4及び図2に示す。尚、対照 としてPBS(リン酸緩衝生理食塩溶液)を用いた 。

 薬剤作用後0.5分経過したときのTCID50の指数 少値が、薬剤添加前に比べ4 Log減少するこ を薬効の到達基準とした。
 表4及び図2からわかるように実施例1及び2の 消毒剤では、薬剤作用後0.5分経過時にTCID50値 が検出限界未満まで減少した。実施例3の消 剤では、薬剤作用後1分経過時にTCID50値が検 限界未満まで減少した。
 このことから、亜鉛含有化合物を含むこと より、アデノウィルスに対する不活性化効 (殺ウィルス効果)が向上することがわかる
一方、比較例4~12の消毒剤は、薬剤作用後0.5 又は1分経過時のTCID50の減少効果が実用性を 味した薬効の基準(4 Log減少)を満たさなか た。

 本発明の消毒剤は消毒用エタノールでは 果のないノロウィルス、ポリオウィルス、 デノウィルスなどのエンベロープを有さな ウィルスに対して高い有効性を有する。

 また、本発明の消毒剤は即効性および持 性に著しく優れるため、頻繁に使用しなく も、十分な手指消毒を行うことができる。 のため、頻繁にアルコール消毒剤を使用す ことによる手荒れを回避することができ、 指消毒用に好適に使用できる。