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Patent Searching and Data


Title:
DISTRIBUTED FEEDBACK SEMICONDUCTOR LASER ELEMENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/111344
Kind Code:
A1
Abstract:
A DFB laser element which can enhance the output characteristics while reducing impact of reflection return light and can provide a small and inexpensive optical module when it is mounted on the optical module. A GC type DFB laser element (10) comprises a semiconductor substrate (100); a waveguide layer (104) and an active layer (106) formed on one side of the semiconductor substrate; and a diffraction grating structure (102) which is formed on one side of the waveguide layer and has a gain variable periodically in the waveguide direction of light. The active layer is arranged contiguously to the waveguide layer, the band gap wavelength of the waveguide layer is within ±0.1 μm of the oscillation wavelength of the active layer, the thickness of the waveguide layer is in the range of 5-30 nm, and the width of the active layer is in the range of 0.7-1.0 μm.

Inventors:
NAKAMURA KOJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052031
Publication Date:
September 18, 2008
Filing Date:
February 07, 2008
Export Citation:
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Assignee:
OKI ELECTRIC IND CO LTD (JP)
NAKAMURA KOJI (JP)
International Classes:
H01S5/12
Foreign References:
JPH08274406A1996-10-18
JP2000137126A2000-05-16
JPS60145685A1985-08-01
JPH08242035A1996-09-17
JPH1187838A1999-03-30
JPH11195838A1999-07-21
JP2001332809A2001-11-30
JP2002305350A2002-10-18
JP2003142773A2003-05-16
JP2003522404A2003-07-22
Attorney, Agent or Firm:
MAEDA, Minoru et al. (Koda Bldg. 4F 16-2, Yoyogi 2-chome, Shibuya-ku Tokyo 53, JP)
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Claims:
 利得結合型の分布帰還型半導体レーザ素子であって、
 半導体基板と、
 前記半導体基板の1つの面側に形成された導波路層及び活性層と、
 前記導波路層の1つの面に形成され、光の導波方向に利得が周期的に変化する回折格子構造とを備え、
 前記活性層は、前記導波路層に隣接して配置されており、
 前記導波路層のバンドギャップ波長が、前記活性層の発振波長の±0.1μm以内であり、
 前記導波路層の厚みが、5nm~30nmの範囲内であり、
 前記活性層の幅が、0.7μm~1.0μmの範囲内である
 ことを特徴とする分布帰還型半導体レーザ素子。
 前記導波路層は、前記半導体基板上に形成され、
 前記活性層は、前記導波路層上に形成され、
 前記回折格子構造は、前記半導体基板と前記導波路層との境界を含む構造である
 ことを特徴とする請求の範囲1に記載の分布帰還型半導体レーザ素子。
 前記半導体基板は、InP基板であり、
 前記導波路層は、InGaAsP導波路層であり、
 前記活性層は、InGaAsPバリア層とInGaAsPウェル層とが交互に積層された層である
 ことを特徴とする請求の範囲2に記載の分布帰還型半導体レーザ素子。
 前記活性層は、前記半導体基板上に形成され、
 前記導波路層は、前記活性層上に形成され、
 前記導波路層上に半導体層をさらに有し、
 前記回折格子構造は、前記前記導波路層と前記半導体層との境界を含む構造である
 ことを特徴とする請求の範囲1に記載の分布帰還型半導体レーザ素子。
 前記活性層は、InGaAsPバリア層とInGaAsPウェル層とが交互に積層された層であり、
 前記導波路層は、InGaAsP導波路層であり、
 前記半導体層は、InP半導体層である
 ことを特徴とする請求の範囲4に記載の分布帰還型半導体レーザ素子。
Description:
分布帰還型半導体レーザ素子

 本発明は、利得結合(Gain Coupled:GC)型の分 帰還(Distributed FeedBack:DFB)型半導体レーザ素 に関するものである。

 分布帰還型半導体レーザ素子(DFBレーザ素 子)は、半導体基板の表面或いは表面側に回 格子を有し、これにより特定のレーザ光の に帰還がかかるようにして波長選択性を持 せたレーザ素子である。また、DFBレーザ素 は、単一モードの波長で発振するため、光 信用の光源として広く利用されている。

 従来、光通信用の光源としてのDFBレーザ 子は、主に屈折率結合(Index Coupled:IC)型のDFB レーザ素子であった。IC型のDFBレーザ素子は 外部からの反射戻り光の影響を受けやすい で、光モジュール化を行う際には、外部か の反射戻り光を減衰させるための光アイソ ータを搭載する必要があった。光アイソレ タは、光モジュールの構成部品の中でも特 高価であること、他の構成部品である半導 素子と比較して体積が大きいこと、等の理 から、低コスト化及び小型化が要求されるG E-PON(Gigabit Ethernet(登録商標)-Passive Optical Netw ork)システム仕様においては、光アイソレー を不要にした光モジュールが要請されてい 。

 例えば、特許文献1及び非特許文献1は、 アイソレータを不要にするための技術を提 している。これらの文献は、GC型のDFBレーザ 素子を用いることによって光アイソレータを 不要にした光モジュールを提案している。光 モジュールが不要になる理由は、GC型のDFBレ ザ素子は、単一縦モード発振の安定性に優 、過渡的な出力変動が少なく、反射戻り光 対する耐性を有する、等の特長を持ってい からである。

特開2003-133638号公報 IEEE JOURNAL OF QUANTUM ELECTRONICS, Vol.27, No. 6, 1991年6月, Y.Nakano et al., “Reduction of Exce ss Intensity Noise Induced by External Reflection in a Gain-Coupled Distributed Feedback Semiconductor Lase r”, pp.1732-1735.

 しかしながら、従来のGC型のDFBレーザ素 においては、利得(損失)を周期構造としてい るために、レーザ素子としての出力特性が劣 化し、その結果、このDFBレーザ素子を適用し た光モジュールは、出力特性の仕様を満足し ないという問題があった。具体的に言えば、 従来のGC型のDFBレーザ素子においては、反射 性を向上させると出力特性が劣化し、出力 性を改善させると反射特性が劣化するので 実際の光モジュールに適用できなかった。 たがって、通常は、出力特性の良いIC型のDF Bレーザ素子に加えて、光アイソレータを搭 した高価な光モジュールを採用せざるを得 かった。

 本発明は、上記の従来技術の課題を解決 るためになされたものであり、その目的は 反射戻り光の影響を低減でき且つ出力特性 向上させることができ、光モジュールに搭 した場合に小型且つ低価格な光モジュール 実現することができるDFBレーザ素子を提供 ることにある。

 上記目的を達成するために、本発明の分 帰還型半導体レーザ素子は、GC型のDFBレー 素子であって、半導体基板と、前記半導体 板の1つの面側に形成された導波路層及び活 層と、前記導波路層の1つの面に形成され、 光の導波方向に利得が周期的に変化する回折 格子構造とを備え、前記活性層は、前記導波 路層に隣接して配置されており、前記導波路 層のバンドギャップ波長が、前記活性層の発 振波長の±0.1μm以内であり、前記導波路層の みが、5nm~30nmの範囲内であり、前記活性層 幅が、0.7μm~1.0μmの範囲内であることを特徴 している。

 本発明のDFBレーザ素子は、上記構造を有 るので、後述する実験データからも明らか ように、光モジュールに搭載する際に、光 イソレータを搭載しなくても、外部からの 射戻り光の影響を受けにくい。したがって 本発明のDFBレーザ素子は、一般的な使用条 下でIEEE802.3ah標準化規格等で規定されてい GE-PONシステム仕様である、例えば、反射戻 光として-15dBの外部反射がある状態において も、相対強度雑音(Relative Intensity Noise:RIN)の が-115dB/Hz以下である等の仕様を満足する。 のように、本発明のDFBレーザ素子を用いれ 、伝送後の受信感度の劣化を低減すること できるので、GE-PONシステムに適用すること 可能となる。また、本発明のDFBレーザ素子 用いた光モジュールは、光アイソレータの 載を不要としているので、光モジュールの 価格化及び小型化が可能になるという効果 ある。

(A)は、本発明の第1の実施形態に係るGC のDFBレーザ素子の構造を概略的に示す一部 欠斜視図であり、(B)は、第1の実施形態に係 るDFBレーザ素子をメサストライプ方向に対し て直角な方向に切った半導体積層層のみを概 略的に示す部分断面図である。 (A)は、RINとパワーペナルティーの関係 示す図であり、(B)は、本発明のDFBレーザ素 のInGaAsP導波路層のバンドギャップ波長とRIN の関係を示す図であり、(C)は、本発明のGC型 DFBレーザ素子のInGaAsP導波路層の厚みとRINの 関係を示す図である。 本発明のDFBレーザ素子のメサストライ の幅と高温動作時の閾値電流の関係を示す である。 本発明の第2の実施形態に係るGC型のDFB ーザ素子の構造を概略的に示す断面図であ 。

符号の説明

 10,10a DFBレーザ素子、 100,100a n-InP基板、  102,102a 回折格子、 104,104a InGaAsP導波路層  106,106a MQW活性層、 107a InP半導体層、 108, 108a p-InPクラッド層、 110,110a p-InGaAsコンタ ト層、 111 メサストライプ、 112 p-InP層、 114 n-InP層、 116 電流ブロック層、 118,118a  ダブルチャネル、 120 窒化シリコン膜、 122  コンタクトホール、 124 p側オーミック電 、 126 n側オーミック電極。

 以下、添付図面を参照して、本発明の利 結合(GC)型の分布帰還型半導体レーザ素子(DF Bレーザ素子)を説明する。なお、添付図面は 本発明が理解できる程度に、各構成の形状 大きさ、及び配置を概略的に示してある。 た、以下に説明する数値的及びその他の条 は、単なる好適例にすぎず、本発明は、以 に説明される又は図示される例にのみ限定 れるものではない。

 本発明のGC型のDFBレーザ素子は、半導体 板と、この半導体基板の1つの面側に形成さ た導波路層及び活性層と、導波路層の1つの 面に形成され、光の導波方向に利得が周期的 に変化する回折格子構造とを備え、活性層は 、導波路層に隣接して配置されている。そし て、導波路層のバンドギャップ波長は、活性 層の発振波長の±0.1μm以内であり、導波路層 厚みは、5nm~30nmの範囲内であり、活性層の は、0.7μm~1.0μmの範囲内に形成されている。 えば、導波路層は、InGaAsP導波路層であり、 活性層は、InGaAsPバリア層とInGaAsPウェル層と 交互に積層された層である。

 一般的な形態において、InGaAsP導波路層は 、半導体基板であるInP基板上に形成され、活 性層は、InGaAsP導波路層上に形成され、利得 周期的に変化する回折格子構造は、InP基板 InGaAsP導波路層との境界を含む構造である。

 また、他の形態において、活性層は、半 体基板であるInP基板上に形成され、InGaAsP導 波路層は、活性層上に形成され、InGaAsP導波 層上には、InP半導体層が形成され、利得が 期的に変化する回折格子構造は、InGaAsP導波 層とInP半導体層との境界を含む構造である

《第1の実施形態》
 図1(A)は、本発明の第1の実施形態に係るDFB ーザ素子の構造を概略的に示す一部切欠斜 図であり、図1(B)は、第1の実施形態に係るDFB レーザ素子をメサストライプ方向に対して直 角な方向に切った半導体積層層のみを概略的 に示す部分断面図である。図1(A)及び(B)にお ては、DFBレーザ素子の構造の理解を容易に るために、断面部分にハッチングを描いて ない。このDFBレーザ素子は、発振波長を1.3μ mとしたGC型のDFBレーザ素子である。

 図1(A)に示されるように、第1の実施形態に るGC型のDFBレーザ素子10は、半導体基板100と この半導体基板100の1つの面上に形成された 導波路層104と、導波路層104上に形成された活 性層106と、光の導波方向(図1(A)における方向D L )に利得が周期的に変化する回折格子構造102 有している。利得が周期的に変化する回折 子構造102は、半導体基板100と導波路層104と 境界を含む構造である。半導体基板100は、 えば、n-InP基板である。導波路層104は、表面 が平坦化された、例えば、InGaAsP導波路層104 ある。活性層106は、例えば、InGaAsP導波路層1 04上に、InGaAsPバリア層とInGaAsPウェル層とが 互に積層された多重量子井戸(Multi Quantum Wel l:MQW)活性層106である。さらに、MQW活性層106上 に、p-InPクラッド層108とp-InGaAsコンタクト層11 0とが順に形成されている。第1の実施形態に いては、導波路層104のバンドギャップ波長 、活性層106の発振波長の±0.1μm以内であり 導波路層104の厚みは、5nm~30nmの範囲内であり 、活性層106の幅は、0.7μm~1.0μmの範囲内であ 。

 また、図1(B)に示されるように、これら順次 形成された回折格子構造102からMQW活性層106ま でを含む半導体積層領域は、長手方向(図1(A) おける方向D L 、すなわち、図1(B)が描かれた紙面に垂直な 向)に延びるメサストライプ形状に加工され そのメサストライプ111の両外側に、p-InP層11 2及びn-InP層114が順次積層されてなる電流ブロ ック層116が埋め込まれている。なお、各半導 体積層層は、有機金属気相成長(Metal Organic V apor Phase Epitaxy:MOVPE)法によって形成される。 このように、第1の実施形態に係るGC型のDFBレ ーザ素子10の構造は、埋め込みヘテロ(Buried H etero:BH)構造となっている。

 また、図1(A)に示されるように、メサスト ライプ111の両外側の電流ブロック層116を含む 領域には、最上層のp-InGaAsコンタクト層110か n-InP基板100の表面の一部分までエッチング 去されたチャネル118aと118bとから成るダブル チャネル118が加工形成されている。

 また、図1(A)に示されるように、p-InGaAsコ タクト層110上には、窒化シリコン膜120のコ タクトホール122において、p-InGaAsコンタク 層110とオーミック接触するAuZnから成るp側オ ーミック電極124が形成されている。p側オー ック電極124の一部は、窒化シリコン膜120上 チャネル118aの外側まで延びている。また、n -InP基板100の裏面側は、エッチングを行い薄 化した後、AuGeNi/Auから成るn側オーミック電 126が形成されている。

 また、第1の実施形態に係るDFBレーザ素子 10は、所望のレーザ素子の共振器長を決め、 サストライプ111の長手方向に垂直な端面を るための劈開を行い、このレーザ素子の両 面の反射率を制御するための端面コーティ グ処理を施すことによって、形成されてい 。第1の実施形態においては、共振器長は350 μmであり、端面コーティング処理された両端 面の発振波長に対する反射率は、出射端面側 で1%であり、後方端面側で80~90%である。

 既に述べたように、第1の実施形態に係るDFB レーザ素子10の特徴は、導波路層104のバンド ャップ波長が、その上層として形成された 性層106の発振波長の±0.1μm以内であり、こ 導波路層104の厚みT 104 が、5nm~30nmの範囲内であり、及び、活性層106 幅W 106 が、0.7μm~1.0μmの範囲内である点にある。

 そこで、第1の実施形態におけるInGaAsP導波 層104のバンドギャップ波長及び厚みT 104 を、第1の実施形態に係る発振波長1.3μmのGC型 のDFBレーザ素子10の相対強度雑音(RIN)を、非 許文献1に記載されている方法と同様な方法 より測定した。図2(A)、図2(B)及び図2(C)は、 の測定結果を説明するための図である。

 図2(A)は、RINと伝送後のパワーペナルティ ー(受信感度劣化)の関係を示す図であり、パ ーペナルティーはRINの値に依存する。図2(A) において、横軸はRINの値を単位dB/Hzで示し、 軸はパワーペナルティーの値を単位dBで示 ている。通常、1.3μm帯の光通信では、RINの は-120dB/Hz以下が望ましいとされている。し がって、図2(A)から、望ましいパワーペナル ィーの値は、約0.2dB以下となる。

 また、図2(B)は、InGaAsP導波路層104のバン ギャップ波長と、実際の使用条件、すなわ 、上述のGE-PONシステム仕様である反射戻り として-15dBの外部反射がある条件として、第 1の実施形態に係るDFBレーザ素子10の出射端面 に反射戻り光を-15dBの強度で入射した状態で RINとの関係を示す図である。図2(B)において 、横軸はInGaAsP導波路層104のバンドギャップ 長を単位μmで示し、縦軸は第1の実施形態に るDFBレーザ素子10のRINの値を単位dB/Hzで示し ている。図2(A)の説明においては、RINの値は-1 20dB/Hz以下が望ましいと説明したが、図2(B)及 (C)の説明においては、実際測定されるRINの のバラツキを考慮し、標準偏差σが1.7dB/Hz程 度と仮定して、3σ(3シグマ範囲)が-120dB/Hzを超 えない条件を、好適な条件としている。この ため、図2(B)及び(C)の説明においては、RINの を-125dB/Hz以下とする条件を、好適な条件と ている。

 図2(B)に示される測定結果から、RINの値を -125dB/Hz以下とする条件を満足するInGaAsP導波 層104のバンドギャップ波長の範囲は、1.2μm~1 .4μmの範囲内であり、また、第1の実施形態に 係るDFBレーザ素子10の発振波長1.3μmの±0.1μm 内になっている。

 一方、図2(C)は、InGaAsP導波路層104の厚みT 104 と、上述した実際の使用条件で強制的に第1 実施形態に係るDFBレーザ素子10の出射端面に 反射戻り光を-15dBの強度で入射した状態でのR INの関係を示す図である。図2(C)において、横 軸はInGaAsP導波路層104の厚みT 104 を単位nmで示し、縦軸は第1の実施形態に係る DFBレーザ素子10のRINの値を単位dB/Hzで示して る。図2(C)に示される測定結果から、RINの値 好適条件である-125dB/Hz以下とする条件を満 するInGaAsP導波路層104の厚みT 104 の範囲は、5nm~30nmの範囲である。InGaAsP導波路 層104の厚みT 104 の最小値は、回折格子102の深さが5nm~20nm程度 あるという理由、及び、InGaAsP導波路層104上 のMQW活性層106を平坦にするためには、InGaAsP 波路層104の厚みは最低限5nm以上必要である いう理由からも制限される。

 第1の実施形態に係るDFBレーザ素子10におい は、回折格子構造102の深さを決め、結合係 κの値を40~60cm -1 程度とし、レーザ素子の共振器長をL(cm)とし とき、規格化結合係数κLの値が1~2程度とな ように、MQW活性層106及びInGaAsP導波路層104の 最適化を行った。また、κ=κ r +iκ i で表される結合係数κの虚数成分κ i の絶対値と実数成分κ r の絶対値の比、すなわち、
i |/|κ r |が、0.01~0.1程度となるように、MQW活性層106及 びInGaAsP導波路層104の最適化を行った。

 上述したように、第1の実施形態に係るDFBレ ーザ素子10において、反射戻り光の影響を低 するために、回折格子102上のInGaAsP導波路層 104のバンドギャップ波長及び厚みT 104 を最適化させた。

 既に説明したように、GC型のDFBレーザ素子 おいては、回折格子構造を、利得(又は損失) を周期的に変化させる構造によって形成して いるために、実際の使用条件を満足する出力 特性を得ることが難しかった。そこで、本発 明においては、GC型のDFBレーザ素子の出力特 を改善させるため、図1(B)に示したMQW活性層 106の幅W 106 であるメサストライプ111の幅W 111 も最適化している。

 第1の実施形態に係るDFBレーザ素子10におけ 、MQW活性層106の幅W 106 であるメサストライプ111の幅W 111 と出力特性の一つである高温(85℃での)動作 の閾値電流の関係を図3に示す。図3において 、横軸はメサストライプ111の幅W 111 を単位μmで示し、縦軸は第1の実施形態に係 DFBレーザ素子10の85℃における閾値電流I t85 を単位mAで示している。

 図3から、通常の使用条件を考慮した場合、 85℃程度の高温の動作時においても閾値電流I t85 の値は25mA以下が望まれている。この要求は メサストライプ111の幅W 111 を1.0μm以下にすることによって達成すること ができる。なお、図3に示される測定結果は 活性層の構造や共振器長等による影響を受 るため、他の実施形態にはそのまま当ては らないが、メサストライプの幅と閾値電流 の関係は、他の実施形態においても同様の 向を示す。

 また、図3に示される測定結果は、光の閉じ 込めの減少による閾値電流の増加を考慮して いない。実際には、メサストライプ111の幅W 111 の値が小さすぎると閾値電流は増加すること 、及び、メサストライプ111の幅W 111 の値が小さすぎるとメサストライプ111部分が 折れやすくなり製造プロセスの再現性や歩留 りが悪くなることから、メサストライプ111の 幅W 111 の値は、0.7μm以上であることが望ましい。

 以上の結果から、メサストライプ111の幅W 111 の値の好適な範囲、すなわち、第1の実施形 に係るDFBレーザ素子10におけるMQW活性層106の 幅W 106 は、0.7μm~1.0μmの範囲内が好適である。

 上述の説明から明らかなように、第1の実施 形態に係るDFBレーザ素子10は、反射戻り光の 響低減に対しては回折格子102上のInGaAsP導波 路層104のバンドギャップ波長及び膜厚T 104 を最適化させ、そのために生じた出力特性の 劣化を、メサストライプ111の幅W 111 、すなわち、活性層106の幅W 106 を最適化することにより改善している。

 最適化された実施形態に係るDFBレーザ素 10の特性は、規格化結合係数κLの値が1.3で り、動作温度0℃~90℃の範囲で単一縦モード CW発振(連続発振)を示した。また、最適化さ れた実施形態に係るDFBレーザ素子10において 閾値電流及びスロープ効率は、25℃におい 4.5mA及び0.44W/Aを示し、85℃において19.2mA及び 0.20W/Aを示した。また、最適化された実施形 に係るDFBレーザ素子10において、発振主モー ドと副モードとの比を表すサイドモード抑圧 比(Side Mode Suppression Ratio:SMSR)は、90℃で15mW 上の出力においても40dB以上を示し、高温下 いても安定した単一縦モードの発振特性が られている。

《第2の実施形態》
 図4は、本発明の第2の実施形態に係るDFBレ ザ素子10aの構造を概略的に示す断面図であ 。図4に示されるように、第2の実施形態に係 るGC型のDFBレーザ素子10aは、半導体基板100aと 、この半導体基板100aの1つの面上に形成され 活性層106aと、この活性層106a上に形成され 導波路層104aと、この導波路層104a上に形成さ れた半導体層107aと、光の導波方向(図2におけ る方向D L )に利得が周期的に変化する回折格子構造102a 有している。利得が周期的に変化する回折 子構造102aは、導波路層104aと半導体層107aと 境界を含む構造である。半導体基板100aは、 例えば、n-InP基板である。活性層106aは、例え ば、InGaAsPバリア層とInGaAsPウェル層とが交互 積層されたMQW活性層である。導波路層104aは 、例えば、InGaAsP導波路層である。半導体層10 7aは、例えば、InP半導体層である。また、InP 導体層107a上には、p-InPクラッド層108aとp-InGa Asコンタクト層110aとが順に形成されている。 さらに、導波路層104aのバンドギャップ波長 、活性層106aの発振波長の±0.1μm以内であり 導波路層104aの厚みは、5nm~30nmの範囲内であ 、活性層106aの幅は、0.7μm~1.0μmの範囲内であ る。

 第2の実施形態に係るDFBレーザ素子10aは、 各層の配置の順番が、第1の実施形態に係るDF Bレーザ素子10と異なるが、回折格子構造とMQW 活性層が積層して形成されている点において 共通している。このため、第2の実施形態に るDFBレーザ素子10aにおいても、第1の実施形 に係るDFBレーザ素子10の場合と同様の条件 適用することによって、同様の効果を得る とができる。

 なお、第2の実施形態において、上記以外 の点は、第1の実施形態の場合と同じである

《変形例》
 以上の説明においては、半導体基板としてn -InP基板を使用している場合を説明したが、 発明はこのような態様に限定されず、n-InP基 板に代えてp-InP基板を用い、且つ、InP基板上 積層体の伝導型を逆にする態様にも適用す ことができる。

 また、以上の説明においては、回折格子 周期を均一構造とした場合を説明したが、 発明はこのような態様に限定されず、λ/4シ フト構造の回折格子構造においても、本発明 は適用可能である。

 さらに、以上の説明においては、発振波 を1.3μm帯のGC型のDFBレーザ素子について述 たが、本発明はこのような態様に限定され 、他の発振波長帯、例えば、1.55μm帯あるい 1.49μm帯のGC型のDFBレーザ素子についても、 発明は適用可能である。

 さらにまた、以上の説明においては、BH構 のGC型のDFBレーザ素子について述べたが、本 発明はこのような態様に限定されず、リッジ 導波路型のGC型のDFBレーザ素子についても、 発明は適用可能である。