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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR ANALYSIS OF EPITOPE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/111343
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for the analysis of an epitope, which comprises the steps of: measuring a fluorescent signal (A1) in a solution containing a fluorescently labeled antigen; mixing the solution containing the antigen with an antibody capable of binding to the antigen specifically to produce a mixed solution (X1); measuring a fluorescent signal (B1) in the mixed solution (X1); mixing the mixed solution (X1) with a substance derived from the antigen to produce a mixed solution (X2); measuring a fluorescent signal (C1) in the mixed solution (X2); and comparing the fluorescent signals (A1), (B1) and (C1) to one another. The method enables to achieve the analysis of an epitope of an antibody against an antigen simply and with high accuracy without the need of relying on the recognition of an amino acid sequence or the recognition of a conformation.

Inventors:
KOBAYASHI SAYOKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052026
Publication Date:
September 18, 2008
Filing Date:
February 07, 2008
Export Citation:
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Assignee:
OLYMPUS CORP (JP)
KOBAYASHI SAYOKO (JP)
International Classes:
G01N33/536; G01N21/78; G01N33/53; C07K14/36
Domestic Patent References:
WO2008029667A12008-03-13
Foreign References:
JP2005337805A2005-12-08
Other References:
TETIN S.Y. ET AL.: "Interactions of two monoclonal antibodies with BNP: High resolution epitope mapping using fluorescence correlation spectroscopy", BIOCHEMISTRY, vol. 45, 2006, pages 14155 - 14165, XP002423678
TETIN S.Y. ET AL.: "Measuring antibody affinity and performance immunoassay at the single molecule level", ANAL. BIOCHEM., vol. 307, 2002, pages 84 - 91
Attorney, Agent or Firm:
TANAI, Sumio et al. (MarunouchiChiyoda-k, Tokyo 20, JP)
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Claims:
 蛍光標識された抗原を含む溶液中の蛍光シグナル(A1)を測定する工程と、
 前記抗原を含む溶液と、前記抗原と特異的に結合する抗体を混合して、混合溶液(X1)を得る工程と、
 前記混合溶液(X1)中の蛍光シグナル(B1)を測定する工程と、
 前記混合溶液(X1)と、前記抗原に由来する物質を混合して混合溶液(X2)を得る工程と、
 前記混合溶液(X2)中の蛍光シグナル(C1)を測定する工程と、
 前記蛍光シグナル(A1)、(B1)および(C1)を比較する工程と、
 を含むエピトープ解析方法。
 前記抗原に対して、前記抗原に由来する物質を過剰モル量混合する請求項1に記載のエピトープ解析方法。
 蛍光標識された抗原を含む溶液中の蛍光シグナル(A1)を測定する工程と、
 前記抗原を含む溶液と、前記抗原と特異的に結合する抗体を混合して、混合溶液(X1)を得る工程と、
 前記混合溶液(X1)中の蛍光シグナル(B1)を測定する工程と、
 前記抗体と、前記抗原に由来する物質を混合して混合溶液(Y1)を得る工程と、
 前記混合溶液(Y1)と蛍光標識された抗原を混合して、混合溶液(Y2)を得る工程と、
 前記混合溶液(Y2)中の蛍光シグナル(C2)を測定する工程と、
 前記蛍光シグナル(A1)、(B1)および(C2)を比較する工程と、
 を含むエピトープ解析方法。
 前記混合溶液(Y1)を得る工程、混合溶液(Y2)を得る工程および蛍光シグナル(C2)を測定する工程を複数回行い、得られた複数の蛍光シグナル(C2)を前記蛍光シグナル(A1)および(B1)と比較する請求項3に記載のエピトープ解析方法。
 蛍光標識されかつ抗原に由来する物質を含む溶液中の蛍光シグナル(A2)を測定する工程と、
 前記溶液と抗体を混合して混合溶液(Z)を得る工程と、
 前記混合溶液(Z)中の蛍光シグナル(B2)を測定する工程と、
 前記蛍光シグナル(A2)および(B2)を比較する工程と、
 を含むエピトープ解析方法。
 前記抗原に由来する物質が複数種類であり、該物質の種類ごとに前記蛍光標識の種類が異なる請求項5に記載のエピトープ解析方法。
 前記抗原に由来する物質が、抗原の酵素分解物である請求項1~6のいずれか一項に記載のエピトープ解析方法。
 前記抗原がタンパク質またはペプチドであり、前記抗原に由来する物質が、抗原中のアミノ酸配列の一部を有するペプチドである請求項1~6のいずれか一項に記載のエピトープ解析方法。
 前記抗原がタンパク質またはペプチドであり、前記抗原に由来する物質が、抗原のアミノ酸配列の一部を改変したものである請求項1~6のいずれか一項に記載のエピトープ解析方法。
 前記蛍光シグナルの測定が、蛍光自己相関関数解析法による蛍光標識分子の並進拡散時間の測定、蛍光偏光強度分布解析法による蛍光標識分子の回転拡散時間の測定、並びに蛍光強度分布解析法による共焦点領域に存在する蛍光標識分子の数の測定および蛍光標識分子一分子あたりの蛍光強度の測定からなる群から選ばれる一つ以上である請求項1~9のいずれか一項に記載のエピトープ解析方法。
Description:
エピトープの解析方法

 本発明は、分子間相互作用に関する情報を 分子レベルで計測する、抗原抗体反応にお るエピト-プ(抗原決定基)の解析方法に関す 。
 本発明は、2007年3月13日に、日本に出願され た特願2007-063502号に基づき優先権を主張し、 の内容をここに援用する。

 抗原-抗体反応において、抗体が抗原のど の部分を認識して結合するのかを解析するこ とは重要である。抗体は抗原の特定の構造単 位を認識して結合するが、その構造単位はエ ピトープ(抗原決定基)とよばれ、通常は6~10個 のアミノ酸が結合してなるアミノ酸配列や、 5~8個の単糖が結合してなる単糖配列から成る 。また抗体は、これら配列以外に、抗原中の 特定の立体構造を認識する場合もある。

 エピトープ解析を行なう目的の一つとして ウイルスに対する効率的な抗体の作製が挙 られる。
 例えば、エピトープ解析により、ペプチド エピトープに強い免疫応答誘導能力を付与 、エイズウイルス中和活性等を有する特異 体を効率良く作製する手法を提供すること 可能となる。具体的には、ペプチド性エピ ープのアミノ酸配列の全部又は一部を含み タンパク質の高次構造形成を補助する性質 付与されたアミノ酸配列や、免疫担当細胞 よる抗原提示処理を補助する性質が付与さ たアミノ酸配列から構成されているエピト プの免疫原性が増強された人工タンパク質 調製する。次いで、前記人工タンパク質を いて常法により前記ペプチド性エピトープ 対する抗体を効率よく作製する。

 また、アレルギー物質(即ちアレルゲン)に する抗体の検出、アレルゲンへの対策のた にエピトープ解析が行なわれる場合もある
 ある食品中のアレルゲンをIgEが特異的に認 することにより、アレルギー反応が起こる そして、IgEがアレルゲンのどの部分を認識 、結合するかを調べる際、アレルゲンのエ トープ解析を行なうことが有用である。例 ば、エピトープ解析の結果から、食品の処 (加熱や酵素などの処理)を行なうことでエ トープの変化の有無を調べたり、組み換え ンパク質食品のアレルゲン中におけるエピ ープの存在の有無を知ることが可能となり アレルギー反応への対応策への手がかりと ることができる。

 アレルゲンがタンパク質である場合、エ トープとして考えられているものには、前 タンパク質表面の数個のアミノ酸が結合し なるアミノ酸配列と、タンパク質の一部の 体構造の二種類がある。そしてアミノ酸配 の場合、一列に並んだ線状配列だけでなく タンパク質のN末端に対する位置が互いに遠 く離れているアミノ酸配列同士が、タンパク 質が特定の立体構造をとることにより近接す る空間に存在するようになり、これらがエピ トープを形成する場合もある。

 従来、特定のアミノ酸配列により形成され いるエピトープを解析する場合には、例え 、抗体のエピトープマッピング用のペプチ アレイが用いられている。これは、エピト プおよびその近傍のアミノ酸配列からなる プチド中の一部のアミノ酸配列を含み、ア ノ酸残基数が同程度でかつN末端側が数残基 分だけ互いにずれた複数のペプチドをガラス スライド上に固相化したアレイである。この ようなペプチドアレイは、例えば、一度に 2 50枚程度を作製可能であり、各アレイのペプ ド固相化部位に抗体を添加することで大量 サンプルを一度に解析することが可能であ ため、多くの抗体クローンのエピトープマ ピングに有用である。このようなペプチド レイを用いたエピトープ解析手法は、例え 、キナーゼ、ホスファターゼ、プロテアー といった酵素と基質との相互作用を解析す 手法として利用されている(特許文献1参照)
 またこの手法では、ガラススライドに代わ セルロースメンブレン上にペプチドが固相 されたペプチドアレイを使用することも可 であり、この場合はメンブレンの再利用が 能で、1~2種類の抗体をエピトープ解析する とができる。
 さらに、ストレプトアビジンをコートした イクロタイタープレート上などに、ビオチ 標識ペプチドを固相化したペプチドアレイ 用いられることもあり、ELISA法でエピトー 解析する場合に有用である。

 一方、従来、タンパク質の特定の立体構造 より形成されているエピトープを解析する 合には、例えば、前記立体構造中の特定の ミノ酸を置換した構造的な欠損タンパク質 、分子生物学的手法により大腸菌などを用 て作製し、これをマイクロプレートに固相 して、抗体との反応性を確認する手法が利 されている。

特開2006-133117号公報

 しかし、これら従来の手法では、固相化に ってペプチド構造が変化してしまい、抗体 の反応性が低下したり、また立体構造認識 よるエピトープ解析に対応できなくなって まうことがある。例えば、変異抗原を用い 抗原部位の特定を行なうとしても、変異抗 を固相化しなくてはならず、固相化によっ 抗原部位の構造が変化してしまい、抗体と 反応性にも影響を与えてしまう恐れがある
 また、固相化ペプチドに対して抗体を反応 せるため、反応後に洗浄や非特異的反応対 のためのブロッキングなどを行う必要があ 、解析工程が煩雑になるだけでなく、判定 も時間と手間が要すること、バックグラン による判定基準のあいまいさ(擬陽性)が生 ることなどの問題点がある。
 また、解析用のサンプルとしては血清を用 ることが多いが、この場合、サンプル使用 が限られるのに対し、できるだけ少ないサ プル量で多項目の検査を同時に行なうこと 望まれており、従来の手法は必ずしもこの うな要望を満たすものではない。

 本発明は上記事情に鑑みてなされたもの あり、抗原に対する抗体のエピトープ解析 、アミノ酸配列認識および立体構造認識の ずれによらず、簡便かつ高精度に行なうこ ができる方法を提供することを課題とする

 すなわち、上記課題を解決するため、
 本願に係わる第1の発明は、蛍光標識された 抗原を含む溶液中の蛍光シグナル(A1)を測定 る工程と、前記抗原を含む溶液と、前記抗 と特異的に結合する抗体を混合して、混合 液(X1)を得る工程と、前記混合溶液(X1)中の蛍 光シグナル(B1)を測定する工程と、前記混合 液(X1)と、前記抗原に由来する物質を混合し 混合溶液(X2)を得る工程と、前記混合溶液(X2 )中の蛍光シグナル(C1)を測定する工程と、前 蛍光シグナル(A1)、(B1)および(C1)を比較する 程と、を含むエピトープ解析方法である。
 本願に係わる第2の発明は、上記第1の発明 係わるエピトープ解析方法において、前記 原に対して、前記抗原に由来する物質を過 モル量混合しても良い。
 本願に係わる第3の発明は、蛍光標識された 抗原を含む溶液中の蛍光シグナル(A1)を測定 る工程と、前記抗原を含む溶液と、前記抗 と特異的に結合する抗体を混合して、混合 液(X1)を得る工程と、前記混合溶液(X1)中の蛍 光シグナル(B1)を測定する工程と、前記抗体 、前記抗原に由来する物質を混合して混合 液(Y1)を得る工程と、前記混合溶液(Y1)と蛍光 標識された抗原を混合して、混合溶液(Y2)を る工程と、前記混合溶液(Y2)中の蛍光シグナ (C2)を測定する工程と、前記蛍光シグナル(A1 )、(B1)および(C2)を比較する工程と、を含むエ ピトープ解析方法である。
 本願に係わる第4の発明は、上記第3の発明 係わるエピトープ解析方法において、前記 合溶液(Y1)を得る工程、混合溶液(Y2)を得る工 程および蛍光シグナル(C2)を測定する工程を 数回行い、得られた複数の蛍光シグナル(C2) 前記蛍光シグナル(A1)および(B1)と比較して 良い。
 本願に係わる第5の発明は、蛍光標識されか つ抗原に由来する物質を含む溶液中の蛍光シ グナル(A2)を測定する工程と、前記溶液と抗 を混合して混合溶液(Z)を得る工程と、前記 合溶液(Z)中の蛍光シグナル(B2)を測定する工 と、前記蛍光シグナル(A2)および(B2)を比較 る工程と、を含むエピトープ解析方法であ 。
 本願に係わる第6の発明は、上記第5の発明 係わるエピトープ解析方法において、前記 原に由来する物質が複数種類であり、該物 の種類ごとに前記蛍光標識の種類が異なっ も良い。
 本願に係わる第7の発明は、上記第1~6の発明 に係わるエピトープ解析方法において、前記 抗原に由来する物質が、抗原の酵素分解物で あっても良い。
 本願に係わる第8の発明は、上記第1~6の発明 に係わるエピトープ解析方法において、前記 抗原がタンパク質またはペプチドであり、前 記抗原に由来する物質が、抗原中のアミノ酸 配列の一部を有するペプチドであっても良い 。
 本願に係わる第9の発明は、上記第1~6の発明 に係わるエピトープ解析方法において、前記 抗原がタンパク質またはペプチドであり、前 記抗原に由来する物質が、抗原のアミノ酸配 列の一部を改変したものであっても良い。
 本願に係わる第10の発明は、上記第1~9の発 に係わるエピトープ解析方法において、前 蛍光シグナルの測定が、蛍光自己相関関数 析法による蛍光標識分子の並進拡散時間の 定、蛍光偏光強度分布解析法による蛍光標 分子の回転拡散時間の測定、並びに蛍光強 分布解析法による共焦点領域に存在する蛍 標識分子の数の測定および蛍光標識分子一 子あたりの蛍光強度の測定からなる群から ばれる一つ以上であっても良い。

 本発明によれば、抗原に対する抗体のエ トープ解析を、アミノ配列認識および立体 造認識のいずれによらず、簡便かつ高精度 行なうことができる。

本発明の第一の実施形態を例示するフ ーチャートである。 本発明の第一の実施形態の一例を具体 に説明するための図である。 本発明の第二の実施形態を例示するフ ーチャートである。 本発明の第二の実施形態の一例を具体 に説明するための図である。 本発明の第三の実施形態を例示するフ ーチャートである。 本発明の第三の実施形態の一例を具体 に説明するための図である。 実施例1における並進拡散時間の測定結 果を示すグラフである。 実施例2における並進拡散時間の測定結 果を示すグラフである。 蛍光標識抗原および抗体を混合した時 複合体の割合を例示するグラフである。 蛍光標識抗原、抗体および抗原由来物 質を混合した時の複合体の割合を例示するグ ラフである。

符号の説明

1・・・蛍光標識抗原
2・・・抗体
3・・・第一のペプチド
4・・・第二のペプチド
5・・・第三のペプチド
6・・・第一の蛍光標識ペプチド
7・・・第二の蛍光標識ペプチド
8・・・第三の蛍光標識ペプチド
60・・・第一の蛍光色素
70・・・第二の蛍光色素
80・・・第三の蛍光色素

 以下、本発明について、詳しく説明する。 お、以下において、単位「M」は「mol/L」、 nM」は「nmol/L」をそれぞれ表わす。
(第一の実施形態)
 本発明のエピトープ解析方法の第一の実施 態は、蛍光標識された抗原を含む溶液中の 光シグナル(A1)を測定する工程と、前記抗原 を含む溶液と、前記抗原と特異的に結合する 抗体を混合して、混合溶液(X1)を得る工程と 前記混合溶液(X1)中の蛍光シグナル(B1)を測定 する工程と、前記混合溶液(X1)と、前記抗原 由来する物質を混合して混合溶液(X2)を得る 程と、前記混合溶液(X2)中の蛍光シグナル(C1 )を測定する工程と、前記蛍光シグナル(A1)、( B1)および(C1)を比較する工程と、を含む。

 本発明では、蛍光標識分子が他の分子と 互作用して複合体を形成したり、複合体か 離脱したりした時の、分子の大きさの変化 、蛍光シグナルの変化として検出する。し がって、本発明における蛍光シグナルの測 方法としては、蛍光標識分子の大きさの違 を検出できるものであれば特に限定されな 。なかでも好ましいものとして、蛍光自己 関関数解析法(FCS)による蛍光標識分子の並 拡散時間の測定、蛍光偏光強度分布解析法(F IDA-polarization)による蛍光標識分子の回転拡散 間の測定、並びに蛍光強度分布解析法(FIDA) よる共焦点領域に存在する蛍光標識分子の の測定および蛍光標識分子一分子あたりの 光強度の測定が例示できる。

 蛍光標識分子の並進拡散時間は、蛍光標識 子の大きさに依存するので、蛍光自己相関 数解析法で並進拡散時間を測定して比較す ば、蛍光標識分子の大きさの違いを検出で る。
 また、蛍光標識分子の回転拡散時間を測定 ることで、蛍光標識分子の回転拡散状態を 光偏光度Pとして 1分子レベルで知ることが 可能である。そして、蛍光偏光度Pは分子の きさを反映しているので、蛍光偏光強度分 解析法で蛍光標識分子の回転拡散時間を測 して比較すれば、蛍光標識分子の大きさの いを検出できる。
 また、蛍光標識分子中の蛍光色素は、例え 、溶媒の極性が変化すると蛍光強度が変化 ることが知られている。そして、蛍光標識 子が単独で存在している場合と、他の分子 相互作用して複合体を形成したりしている 合とでは、蛍光色素の溶媒分子による包囲 態が変化するので、その違いを蛍光強度の いとして検出できる。すなわち、蛍光強度 布解析法で蛍光標識分子の数の測定および 光標識分子一分子あたりの蛍光強度の測定 行い比較すれば、蛍光標識分子の大きさの いを検出できる。

 本発明においては、蛍光シグナルの測定方 として上記記載のFCS、FIDA-polarization、FIDA等 いずれか一つの方法を単独で用いても良い 、複数の方法を組み合わせて用いても良い
 また、蛍光シグナルの測定は、対応する分 機器を用いて従来公知の方法で行えば良く 例えば、上記の蛍光自己相関関数解析、蛍 偏光強度分布解析、蛍光強度分布解析法な では、1分子蛍光分析システムMF20(商品名;オ リンパス株式会社製)を用いることができる

 蛍光シグナルの測定は、20~27℃で行うこ が好ましい。そして、蛍光シグナルA1、B1お びC1は、すべて同じ温度で測定することが ましい。

 図1を参照しながら、本実施形態について さらに詳しく説明する。図1は、蛍光自己相 関数解析(FCS)による並進拡散時間の測定を行 う場合の本発明の第一の実施形態を例示する フローチャートである。

 本発明で用いる抗原は特に限定されるもの はなく、特定の物質と特異的に結合する所 抗原抗体反応を示すものであればいずれで 良い。具体的には、タンパク質、ペプチド 多糖、オリゴ糖、核酸、脂質、糖たんぱく などが例示できるが、天然由来のものに限 れず、人工合成品でも良い。これらのなか も、タンパク質またはペプチドが好適であ 。
 なお、本発明においては、ポリペプチドで 成される高分子のうち、分子量が1万以上の ものをタンパク質、1万未満のものをペプチ と呼ぶことにする。

 前記抗原のうち天然由来のものとしては 例えば、生体組織や生体成分、あるいはこ らを適宜加工等して得られた生体由来試料 どから、抽出、分離精製等したものを用い も良いし、例えば、タンパク質やペプチド あれば、分子生物学的な手法により大腸菌 どで発現および精製したものを用いてもよ 。

 蛍光標識された抗原(以下、蛍光標識抗原 と略記する)とは、蛍光色素が結合している 原のことを指す。そして前記蛍光標識抗原 、従来公知の方法で調製すれば良く、抗原 タンパク質やペプチドである場合には、例 ば、これらタンパク質やペプチド中のリジ 残基やシステイン残基等の構成アミノ酸残 の側鎖に、化学結合を介して蛍光色素を導 しても良いし、分子生物学的手法を用いて ンパク質やペプチドに蛍光色素を結合させ も良い。ここで分子生物学的手法としては 例えば、4塩基コドンに対応する非天然アミ 酸に蛍光標識アミノ酸を対応させることに て、蛍光標識するタンパク質の遺伝子配列 この4塩基の変異を導入し、無細胞タンパク 質発現系などを用い、タンパク質の発現時に 蛍光標識を行うという手法が挙げられる。あ るいは、終始コドンに蛍光標識された非天然 アミノ酸を対応させて、目的のタンパク質の 目的のアミノ酸配列部分に蛍光標識を行う手 法も挙げられる。一方、ここに挙げた方法以 外にも、市販のラベリングキット用をいて抗 原を蛍光標識する方法も簡便で好適である。

 前記蛍光色素としては従来公知の如何なる のも用いることができ、具体的には、フル レセイン、ローダミン(ローダミングリーン 、TAMRA等)、アクリフラビン、アレクサ(アレ サ647等)、ATTO633等が例示できる。
 また、抗原中の蛍光色素の数は特に限定さ ない。

 蛍光シグナルの検出に際して、蛍光色素 励起する光源としては従来公知のものを用 れば良い。例えば、蛍光色素の吸収波長に 応した波長のレーザーを用いても良いし、 色光源からの光を、ガルバノミラーなどを いて分光特性を持つフィルターを通すこと 得られる、所望の波長の光を用いても良い

 本発明において測定する蛍光シグナルは、 記蛍光標識抗原に由来するものである。蛍 標識抗原やその他の試料は溶液中に存在し いるため、自由にブラウン運動している。
 蛍光標識抗原はブラウン運動によって観測 域を出入りしており、ある時間内での測定 光シグナルについて、例えば、自己相関関 解析を行うことによって蛍光標識抗原の並 拡散に関する情報を得ることができる。こ は蛍光標識抗原の分子の大きさにも依存す ため、蛍光標識抗原がほかの分子と相互作 し、分子の大きさに変化が起こった場合に 並進拡散が変化する。これを利用して蛍光 識抗原と抗体との相互作用を検出する。ま 蛍光シグナルに関して蛍光強度分布解析を うことによって、計測領域に存在している 光標識抗原の蛍光強度や分子数を検出する 蛍光シグナルの測定値は、測定領域内に存 する蛍光標識抗原に由来する蛍光シグナル 平均値となる。しかし、蛍光標識抗原の濃 はnMの範囲(1´10 -6 の範囲)なので、観測領域に存在する蛍光標 抗原の分子数は1~数個である。
 したがって、1分子あたりの情報として得る ことが可能でまた並進拡散の振る舞いの異な る(例えば、大きさの異なる)分子が混在して れば、それぞれの並進拡散の分子の割合の 報を得ることができる。また蛍光強度分布 析では明るさが異なる蛍光標識抗原のそれ れの分子の数を算出することができる。

 本発明で用いる抗体は、前記蛍光標識抗原 特異的に結合する所謂抗原抗体反応を示す のであればいずれでも良く、測定対象の抗 の種類に応じて適宜選択すれば良い。
 抗体は、前記抗原同様に天然由来のもの、 工合成品のいずれでも良く、前記抗原同様 方法で得られる。本発明では蛍光シグナル 検出感度が高いので、例えば、血液から分 した血清など、抗体濃度が低い試料も好適 用いることができる。

 本発明で用いる抗原に由来する物質(以下、 抗原由来物質と略記する)とは、前記蛍光標 抗原のうち蛍光色素を除いた部位の一部を するものである。
 このような抗原に由来する物質を調製する 法は、抗原の種類に応じて適宜選択すれば く、特に限定されない。例えば、抗原を酵 分解する方法(以下、方法aと略記する)、抗 がタンパク質またはペプチドである場合に 、抗原中のアミノ酸配列の一部を有するペ チドを合成する方法(以下、方法bと略記す )、抗原のアミノ酸配列の一部を改変する方 (以下、方法cと略記する)等が例示できる。

 方法aでは、抗原がタンパク質またはペプチ ドである場合、通常、酵素分解物としてペプ チドが得られる。そして、抗原のエピトープ が特定できていない場合でも、抗原に由来す る複数種類のペプチドを簡便に得られ、これ らを混合溶液(X2)の調製に供することができ 。この時用いる酵素としては、タンパク質 分解できるものであればいずれでも良く、 来公知のプロテアーゼを用いることができ 抗原の種類に応じて適宜選択することがで る。また、プロテアーゼはその種類によっ タンパク質中の切断部位が異なるので、エ トープに関する情報がある場合には、抗原 エピトープを切断しないように用いるプロ アーゼを選択することが好ましい。
 抗原の酵素分解物は、分離精製してから用 ることが好ましい。前記酵素分解物は、通 、互いに異なるサイズとなるので、例えば HPLC等により、サイズごとに分離精製するこ とができる。ただし、分離精製手段はHPLCに 定されるものではない。

 方法bは、エピトープに関する情報がある場 合に好適である。合成すべきペプチドが明確 にできるからである。方法bでは、抗原のア ノ酸配列の情報に基づいてペプチドを合成 る。合成するペプチドは、抗原の種類にも るが、合成の容易さおよび取り扱いの容易 等の観点から、アミノ酸残基数が5~20である のが好ましく、10~15であるものがより好ま く、13程度が特に好ましい。そして、後記す るように複数種類のペプチドを抗原由来物質 として解析に供する場合には、これら複数種 類のペプチドは、すべてアミノ酸残基数が同 じであり、かつ、抗原のアミノ酸配列上、N 端側からC末端側に向けて数残基ずつ、好ま くは2~3残基ずつ配列をずらしたものである とが好ましい。
 また、抗原のすべてのアミノ酸配列が反映 れるようにこれら複数種類のペプチドを調 しても良いが、エピトープと推測される領 およびその近傍領域のアミノ酸配列が反映 れるようにこれら複数種類のペプチドを調 すれば、解析を効率的に行うことができる

 方法bで用いるペプチドの合成手段は、液 層合成、固相合成等の化学合成が好適である が、分子生物学的な手法により大腸菌などで 発現および精製しても良い。

 方法cは、エピトープが特定の立体構造に 基づくものである場合に好適である。抗原の アミノ酸配列の一部を改変することで、抗原 の立体構造を変えることができるからである 。方法cとしては、大腸菌などを用いてアミ 酸の変異を導入したタンパク質を発現させ 、従来公知の分子生物学的な手法を適用す ば良い。そしてこのような手法により、ア ノ酸配列の一部を改変した複数種類の抗原 調製して用いることが好ましい。

 本実施形態では、まず蛍光標識抗原を含 溶液中の蛍光シグナル、すなわち前記蛍光 識抗原の並進拡散時間A1を測定する。この の蛍光標識抗原の濃度は、蛍光シグナルの 定ができる限り特に限定されず、蛍光シグ ルの測定方法により適宜選択すれば良いが 通常は数nM程度で十分である。

 次いでこの溶液と、前記蛍光標識抗原と 異的に結合する抗体を混合して混合溶液(X1) を調製する。この時前記抗体は、溶液として 混合することが好ましい。混合溶液(X1)調製 の温度条件は特に限定されないが、例えば 37℃で30分、24℃で30分、4℃で一晩などが好 しい。また、抗体は蛍光標識抗原に対して 剰モル量混合することが好ましく、蛍光標 抗原に対して10~20倍のモル量を混合すること がより好ましい。混合溶液(X1)中では、前記 光標識抗原は前記抗体と複合体を形成し得 が、すべての蛍光標識抗原を複合体とする とが好ましいからである。

 抗体溶液の濃度は、抗体と蛍光標識抗原 の反応効率が50%程度となる濃度が好ましい これについては、後に詳細に説明する。こ ような濃度を求めるためには、例えば、濃 の異なる複数の抗体溶液を調製し、等量の れら溶液をそれぞれ、並進拡散時間B1の測 に供する蛍光標識抗原を含む溶液に添加し 、得られた溶液の並進拡散時間を算出する そして、抗体と蛍光標識抗原との反応が飽 した状態での並進拡散時間と、並進拡散時 A1のほぼ中間となる並進拡散時間を与える濃 度の抗体溶液を選択すれば良い。抗体と蛍光 標識抗原との反応が飽和した状態での並進拡 散時間は、抗体濃度が大きくなってもほぼ変 化しなくなった時の並進拡散時間である。

 次いで、混合溶液(X1)中の蛍光シグナル、 すなわち前記複合体の並進拡散時間B1を測定 る。この時、並進拡散時間A1およびB1を比較 すると、前記複合体は前記蛍光標識抗原より 分子サイズが大きいので、A1<B1となる。

 次いで、前記混合溶液(X1)と、前記抗原由 来物質を混合して混合溶液(X2)を調製する。 の時該抗原由来物質は、溶液として混合す ことが好ましい。混合溶液(X2)調製時の温度 件は、混合溶液(X1)調製時の温度条件と同様 である。また、抗原由来物質を複数種類用意 して、これらをその種類ごとに混合溶液(X1) 混合するようにしておけば、解析効率を向 させることができる。

 混合溶液(X2)中においては、前記抗原由来 物質中に前記抗原のエピトープが存在すれば 、前記蛍光標識抗原に代わって前記抗原由来 物質が前記抗体と特異的に結合して新たな複 合体を形成(交換反応)し得る。一方、前記抗 由来物質中に前記抗原のエピトープが存在 なければ、このような新たな複合体は形成 れず、混合溶液(X2)中には、蛍光標識抗原お よび抗体の複合体並びに抗原由来物質がその まま共存する。

 次いで、前記混合溶液(X2)中の蛍光シグナ ル、すなわち並進拡散時間(C1)を測定し、A1、 B1およびC1を比較する。上記のように前記抗 由来物質中に前記抗原のエピトープが存在 れば、少なくとも一部の蛍光標識抗原は抗 から分離するので、C1は、A1≦C1<B1の関係 満たす。一方、抗原由来物質中に前記抗原 エピトープが存在しなければ、蛍光標識抗 は抗体と複合体を形成したままであるので C1はB1とほぼ同じ、すなわちC1=B1の関係を満 す。

 本実施形態においては、抗原由来物質は蛍 標識抗原に対して過剰モル量を混合するこ が好ましく、本発明の効果を損なわない限 、混合する抗原由来物質の量に特に上限は い。そして、抗原由来物質は抗体に対して 過剰モル量を用いることが好ましい。例え 、抗体を蛍光標識抗原に対して10~20倍のモ 量を混合した場合には、抗原由来物質は蛍 標識抗原に対して10~100倍のモル量を混合す ことが好ましい。
 これは、蛍光標識抗原に代わって抗原由来 質が抗体と特異的結合を形成する際に、こ ような結合の形成は、抗原由来物質の量が 光標識抗原の量よりも多いほど進行し易い らである。なお、抗原由来物質中に抗原の ピトープが存在する場合、抗原由来物質の 合量にもよるが、混合溶液(X2)中において通 常蛍光標識抗原は、抗体と複合体を形成して いるものと抗体から分離しているものとが共 存していることが多い。したがって、この場 合のC1は、測定領域内のこれら蛍光標識抗原 由来する個々のC1の値の平均値となり、抗 由来物質と抗体との新たな複合体の形成が 行するほど、C1はA1に近くなる。

 本実施形態においては、複数種類の抗原 来物質を解析に供する場合には、抗原由来 質の種類ごとに、すべての工程を行う。

 図2は、本実施形態の一例をさらに具体的に 説明した図である。ここでは、蛍光標識抗原 1、抗体2に対して、抗原由来物質として第一 ペプチド3、第二のペプチド4および第三の プチド5を用いて、並進拡散時間A1、B1および C1を測定する場合について示している。ここ 、第一のペプチド3、第二のペプチド4およ 第三のペプチド5は、それぞれ互いにアミノ 配列の異なるものである。
 図示のように、第一のペプチド3を用いた場 合の並進拡散時間C1が、A1<C1<B1の関係を たし、第二のペプチド4および第三のペプチ 5を用いた場合の並進拡散時間C1が、C1=B1の 係を満たす場合には、第一のペプチド3中に 光標識抗原1のエピトープが存在し、第二の ペプチド4および第三のペプチド5中にはエピ ープが存在しないことになる。

 このように、測定した蛍光シグナル、すな ちA1、B1およびC1を比較することにより、い れの抗原由来物質中に抗原のエピトープが 在するか、簡便且つ高精度に判定できる。
 また、エピトープ解析に用いたそれぞれの 原由来物質の濃度を算出しておけば、これ を比較することで、エピトープが存在する 原由来物質に対する抗体のアフィニティを ることができる。

 なお、本実施形態においては、解析が正 に行われれば、蛍光シグナルの比較結果は C1=B1およびA1≦C1<B1のいずれかとなる。し がって、これら以外の結果を与えた時は、 析が正常に行われていないので、再測定が 要である。

 第一の実施形態としてここでは、並進拡 時間の測定を行う場合について説明したが その他の蛍光シグナルを測定する場合も同 に行うことができる。

 蛍光標識抗原を含む溶液との混合に用いる 体溶液の濃度は、先に述べた通り、抗体と 光標識抗原との反応効率が50%程度となる濃 が好ましい。これについて、詳しく説明す 。
 まず、蛍光標識抗原A(以下、Aと略記する)と 抗体B(以下、Bと略記する)とが特異的に結合 て複合体AB(以下、ABと略記する)を形成する 合を考える。この時の反応は、「A+B→AB」と 表記できる。この場合のKdは、
 Kd=[A][B]/[AB]・・・・(1)
 で表される。ここで、[A]、[B]および[AB]は、 それぞれA、BおよびABの時間tにおける濃度を わす。そして、[A]および[B]はそれぞれ
 [A]=[A] 0 -[AB]・・・・(2)
 [B]=[B] 0 -[AB]・・・・(3)
 と表される。ここで、[A] 0 および[B] 0 は、それぞれAおよびBの時間0における濃度( 期濃度)を表わす。これらを式(1)に代入する 、
 Kd=([A] 0 -[AB])([B] 0 -[AB])/[AB]・・・・(4)となる。
 一方、複合体の割合を結合割合Yとすると、
 Y=[AB]/([A]+[AB])=[AB]/[A] 0
 と表わすことができる。これを変形すると
 [AB]=[A] 0 Y
 となるので、これを式(4)に代入すると、
 Kd=(1-Y)([B] 0 -[A] 0 Y)/Y
 となる。これを変形すると、
 [A] 0 Y 2 -(Kd+[A] 0 +[B] 0 )Y+[B] 0 =0
 となる。これよりYを求めると、
 Y={Kd+[A] 0 +[B] 0 -〔(Kd+[A] 0 +[B] 0 ) 2 -4[A] 0 [B] 0 1/2 }/2[A] 0 ・・・・(5)
 となる。
 例えば、FCSにおいては、[A] 0 およびKdはそれぞれ、[A] 0 =1×10 -9 M、Kd=1×10 -6 M程度であることが一般的である。そこでこ らの値を式(5)に代入し、結合割合Y(=[AB]/[A] 0 )を縦軸に、[B] 0 を横軸にそれぞれとってグラフをプロットす ると図9に示すようになる。図9から、結合割 が0.5すなわち50%になる時の[B] 0 は、ほぼKd値と同じになることが判り、[B] 0 がこれよりも大きければ、結合割合も当然高 くなる。

 次に、Bに対して同じように親和性を有する 、すなわちAに対する競合物質である抗原C(以 下、Cと略記する)を添加する場合について考 る。この時の反応は、「A+B+C→AB+CB」と表記 できる。この場合、Kdおよび結合割合Yは、
 Kd={([A]+[C])[B]}/([AB]+[CB])・・・・(6)
 Y=([AB]+[CB])/([A] 0 +[C] 0 )・・・・(7)
 となる。ここで、[C]および[CB]は、それぞれ CおよびCBの時間tにおける濃度を表わし、[C] 0 はCの時間0における濃度(初期濃度)を表わす この時、[A] 0 、[B] 0 および [C] 0 は、以下のように表される。
 [A] 0 =[A]+[AB]・・・・(8)
 [B] 0 =[B]+[AB]+[CB]・・・・(9)
 [C] 0 =[C]+[CB]・・・・(10)
 ここで、
 [A] 0 +[C] 0 =[Z] 0 ・・・・(11)
 [AB]+[CB]=[ZB]・・・・(12)
 とすると、式(8)~(12)を用いて式(6)を変形す と、
 Kd=([Z] 0 -[ZB])([B] 0 -[ZB])/[ZB]となり、これは、
 [ZB] 2 -([B] 0 +[Z] 0 +Kd)[ZB]+[Z] 0 [B] 0 =0・・・・(13)
 と変形されるので、式(13)は[ZB]の二次方程 と見ることができる。
 ここで、Kd=1×10 -6 であって、図9から得られた知見を参考に、 えば、[B] 0 =1×10 -4 、1×10 -5 、1×10 -6 の場合について、式(13)を解くことを考える この時、[A] 0 =1×10 -9 であるので、式(11)より、[Z] 0 は[C] 0 の関数であり、[ZB]は[C] 0 の関数となる。一方、式(7)に式(11)および(12) 代入すると、結合割合Yは、
 Y=[ZB]/[Z] 0 となる。すなわち、結合割合は[C] 0 の関数として表される。この式を用いて、[B] 0 が上記の場合について、結合割合Yを縦軸に [C] 0 を横軸にそれぞれとってグラフをプロットす ると図10に示すようになる。

 [C] 0 を増やすことで、結合割合Yは小さくなるが この時、蛍光標識抗原Aが抗体Bとの複合体と してではなく単独で存在する確率も高くなる 。一方、図10からは、[B] 0 を1×10 -6 Mよりも小さくすれば、さらに小さい[C] 0 で結合割合Yを小さくできると考えられるが [B] 0 があまり小さ過ぎると、AとBとの結合の変化 蛍光シグナルで捉えることが困難となる。 方、[B] 0 =1×10 -4 Mの場合は、AとBとの結合の変化を蛍光シグナ ルで捉えることが最も容易となるが、この場 合、[B] 0 =1×10 -6 Mの場合よりも[C] 0 を2桁も高い濃度にしなければならず、解析 率が低くなってしまう。
 以上より、蛍光シグナルの測定の容易さお び解析効率を考慮すると、[B] 0 =1×10 -6 M程度の場合、すなわち結合割合Yが0.5程度の 合にCを添加することが好ましいことが判る 。
 したがって、本発明においては、抗体と蛍 標識抗原との反応効率が50%程度となる濃度 好ましいのである。

(第二の実施形態)
 本発明のエピトープ解析方法の第二の実施 態は、蛍光標識された抗原を含む溶液中の 光シグナル(A1)を測定する工程と、前記抗原 を含む溶液と、前記抗原と特異的に結合する 抗体を混合して、混合溶液(X1)を得る工程と 前記混合溶液(X1)中の蛍光シグナル(B1)を測定 する工程と、前記抗体と、前記抗原に由来す る物質を混合して混合溶液(Y1)を得る工程と 前記混合溶液(Y1)と蛍光標識された抗原を混 して、混合溶液(Y2)を得る工程と、前記混合 溶液(Y2)中の蛍光シグナル(C2)を測定する工程 、前記蛍光シグナル(A1)、(B1)および(C2)を比 する工程と、を含む。

 図3を参照しながら、本実施形態について さらに詳しく説明する。図3は、蛍光自己相 関数解析(FCS)による並進拡散時間の測定を行 う場合の本発明の第二の実施形態を例示する フローチャートである。

 本実施形態においては、蛍光シグナル(A1) を測定する工程から蛍光シグナル(B1)を測定 る工程までは、前記第一の実施形態と同様 行えば良い。例えば、蛍光標識抗原を含む 液と抗体を混合する場合には、抗体は溶液 して混合することが好ましいのも同様であ 。ただしこの場合、抗体溶液の濃度は、第 の実施形態のように、抗体と蛍光標識抗原 の反応効率が50%程度となる濃度でなくても い。並進拡散時間A1およびB1を比較すると、 一の実施形態同様、A1<B1となる。

 そして、抗体と抗原由来物質を混合して混 溶液(Y1)を調製する。この時抗体および抗原 由来物質は、溶液として混合することが好ま しい。混合溶液(Y1)調製時の温度条件は、混 溶液(X1)調製時の温度条件と同様である。ま 、抗原由来物質は抗体に対して等モル量混 すれば良く、必ずしも過剰モル量混合する 要はない。これは、本実施形態においては 第一の実施形態とは異なり、抗原由来物質 蛍光標識抗原に代わって抗体と結合すると う、所謂交換反応を伴わないからである。 して抗体は、この後混合する蛍光標識抗原 対して10~100倍のモル量を用いることが好ま い。
 抗原由来物質中に抗原のエピトープが存在 れば、抗原由来物質が抗体と特異的に結合 て複合体を形成する。一方、抗原由来物質 に抗原のエピトープが存在しなければ、こ ような複合体は形成されず、混合溶液(Y1)中 で抗体と抗原由来物質はそれぞれ単独で存在 する。

 次いで、前記混合溶液(Y1)と蛍光標識抗原を 混合して、混合溶液(Y2)を調製する。この時 光標識抗原は、溶液として混合することが ましい。混合溶液(Y2)調製時の温度条件は、 合溶液(X1)調製時の温度条件と同様である。
 前記抗原由来物質中に抗原のエピトープが 在する場合、抗原由来物質および抗体の複 体はそのままの状態で、前記蛍光標識抗原 単独で、それぞれ混合溶液(Y2)中で共存する 。一方、前記抗原由来物質中に抗原のエピト ープが存在しない場合は、抗体と前記蛍光標 識抗原が特異的に結合して複合体を形成し、 抗原由来物質は単独で存在する。

 次いで、混合溶液(Y2)中の蛍光シグナル、 すなわち並進拡散時間(C2)を測定し、A1、B1お びC2を比較する。上記のように抗原由来物 中に抗原のエピトープが存在すれば、蛍光 識抗原は単独で存在しているので、C2は、A1& lt;C2<B1の関係を満たす。一方、抗原由来物 中に抗原のエピトープが存在しなければ、 光標識抗原は抗体と複合体を形成している で、C2はB1とほぼ同じ、すなわちC2=B1の関係 満たす。

 本実施形態では、複数の抗原由来物質を 析に供する場合には、各抗原由来物質ごと すべての工程を行っても良いが、蛍光シグ ル(A1)を測定する工程から蛍光シグナル(B1) 測定する工程までを一度行えば、混合溶液(Y 1)を得る工程から蛍光シグナル(C2)を測定する 工程までを各抗原由来物質ごとに行い、得ら れた複数の蛍光シグナル(C2)と前記蛍光シグ ル(A1)および(B1)を比較しても良い。すなわち 、例えば、蛍光シグナル(A1)および(B1)を一回 定し、前記測定結果を記録して繰り返し用 れば、蛍光シグナル(C2)の測定を複数回行う だけで、蛍光シグナル(A1)、(B1)および(C2)の比 較を繰り返して行うことができる。このよう にすることで、エピトープ解析工程を簡略化 できるだけでなく、蛍光標識抗原および抗体 の使用量を削減することもでき、さらに、サ ンプル数が多くても短時間で処理できる。し たがって、エピトープ解析を迅速且つ低コス トで行うことができる。また、本実施形態で は前記第一の実施形態とは異なり、抗原由来 物質の使用量が少なくて済むので、使用でき る抗原由来物質が少量の場合に特に好適であ る。なお、ここで「複数の抗原由来物質」と は、「複数種類の複数の抗原由来物質」また は「同一種類の複数の抗原由来物質」のこと を指す。

 図4は、本実施形態の一例をさらに具体的に 説明するための図である。図4において、図2 示した構成要素と同じ構成要素には同一符 を付して、その説明は省略する。ここでは 蛍光標識抗原1、抗体2に対して、抗原由来 質として第一のペプチド3、第二のペプチド4 および第三のペプチド5を用いて並進拡散時 A1、B1およびC2を測定する場合について示し いる。
 図示のように、第一のペプチド3を用いた場 合の並進拡散時間C2が、A1<C2<B1の関係を たし、第二のペプチド4および第三のペプチ 5を用いた場合の並進拡散時間C2が、C2=B1の 係を満たす場合(図4では、代表して第三のペ プチド5について図示している)には、第一の プチド3中に蛍光標識抗原1のエピトープが 在し、第二のペプチド4および第三のペプチ 5中にはエピトープが存在しないことになる 。

 なお、本実施形態においては、解析が正 に行われれば、蛍光シグナルの比較結果は C2=B1およびA1<C2<B1のいずれかとなる。し たがって、これら以外の結果を与えた時は、 解析が正常に行われていないので、再測定が 必要である。

 本実施形態では、上記の点以外は前記第 の実施形態と同様である。

(第三の実施形態)
 本発明のエピトープ解析方法の第三の実施 態は、蛍光標識されかつ抗原に由来する物 を含む溶液中の蛍光シグナル(A2)を測定する 工程と、前記溶液と抗体を混合して混合溶液 (Z)を得る工程と、前記混合溶液(Z)中の蛍光シ グナル(B2)を測定する工程と、前記蛍光シグ ル(A2)および(B2)を比較する工程と、を含む。
 本実施形態では、前記第一および第二の実 形態とは異なり、抗原は使用せず、抗原に 来する物質を蛍光標識しておき、前記抗原 来物質を使用する。また、用いる抗原由来 質、抗体、蛍光シグナルの測定条件等は、 記第一の実施形態と同様である。

 本実施形態においては、一回の解析に供す 抗原由来物質は一種類でも良いし、複数種 でも良い。
 複数種類の抗原由来物質を一回の解析に同 に供する場合には、抗原由来物質の種類ご にそれぞれ異なる種類の蛍光色素を用いる すなわち、それぞれ分光特性が異なる蛍光 素を用いることで、溶液中に複数種類の抗 由来物質が含まれる場合でも、抗原由来物 の蛍光シグナルをその種類ごとに測定する とができる。ここで分光特性が異なるとは 蛍光色素が励起される光の波長および蛍光 長の少なくとも一方が互いに異なることを す。励起される光の波長が互いに異なれば 適宜対応する異なる波長の光を照射するこ で、抗原由来物質の種類ごとに蛍光シグナ を測定することができる。一方、蛍光波長 互いに異なれば、これら蛍光を波長ごとに 離することで、抗原由来物質の種類ごとに 光シグナルを測定することができる。

 蛍光色素を励起する光源としては、前記第 の実施形態と同様のものを用いることがで る。そして、蛍光を分離するためには、ダ クロイックミラー、蛍光フィルターなどの 光素子を用いる従来公知の方法を適用すれ 良い。
 例えば、ローダミングリーン、TAMRA、アレ サ647、ATTO633などは、それぞれ励起される光 波長および蛍光波長が異なるので、本実施 態で用いるのに好適である。

 図5を参照しながら、本実施形態についてさ らに詳しく説明する。図5は、蛍光自己相関 数解析(FCS)による並進拡散時間の測定を行う 場合の本発明の第三の実施形態を例示するフ ローチャートである。ここでは、三種類の抗 原由来物質(I)~(III)を用いる場合を例示してお り、これら抗原由来物質はそれぞれ、分光特 性の異なる蛍光色素(I)~(III)で蛍光標識されて いる。蛍光色素(I)は波長488nmの光で励起可能 ものであり、蛍光色素(II)は波長543nmの光で 起可能なものであり、蛍光色素(III)は波長63 3nmの光で励起可能なものである。
 また、ここでは、三種類の抗原由来物質(I)~ (III)をいずれも含む溶液を用いる場合を例示 ている。このようにすることで、エピトー 解析を効率良く行うことができる。また、 のように複数種類の抗原由来物質を含む溶 を用いる場合には、前記溶液中において抗 由来物質はいずれも等濃度であることが好 しい。このようにすることで、より精度良 エピトープ解析を行うことができる。

 本実施形態では、まず蛍光標識された抗原 来物質を含む溶液中の蛍光シグナル、すな ち抗原由来物質の並進拡散時間A2を測定す 。ここでは、三種類の抗原由来物質(I)~(III) 並進拡散時間をそれぞれ、A2-I、A2-IIおよびA2 -IIIとしている。そして、A2-Iは波長488nmの光 A2-IIは波長543nmの光、A2-IIIは波長633nmの光で れぞれ測定されるものである。
 なお、本実施形態において抗原由来物質と 、前記第一および第二の実施形態と同様に 抗体と特異的に結合する所謂抗原抗体反応 示す抗原の一部を有するものである。

 本実施形態では、次いで、蛍光標識され 抗原由来物質を含む前記溶液と抗体を混合 て混合溶液(Z)を調製する。この時前記抗体 、溶液として混合することが好ましい。こ 場合、前記抗体溶液の濃度は特に限定され い。混合溶液(Z)調製時の温度条件は、混合 液(X1)調製時の温度条件と同様である。また 、抗体は前記抗原由来物質に対して等モル量 以上混合することが好ましく、前記抗原由来 物質に対して10~100倍モル量混合することがよ り好ましい。前記抗原由来物質中に抗原のエ ピトープが存在すれば、混合溶液(Z)中では、 前記抗原由来物質および抗体が複合体を形成 するが、エピトープが存在するすべての抗原 由来物質を複合体とすることが好ましいから である。

 上記のように、抗原由来物質中に抗原の ピトープが存在すれば、抗原由来物質は抗 と特異的に結合して複合体を形成する。一 、抗原由来物質中に抗原のエピトープが存 しなければ、このような複合体は形成され 、混合溶液(Z)中で抗体と蛍光標識された抗 由来物質はそれぞれ単独で存在する。

 本実施形態では、次いで、混合溶液(Z)中 蛍光シグナル、すなわち並進拡散時間B2を 定し、A2およびB2を比較する。抗原由来物質 複数種類である場合には、それぞれの種類 とにA2およびB2を比較する。前記のように、 抗原由来物質はその種類ごとに異なる蛍光色 素で標識されているので、このような種類ご との比較が可能になっている。ここでは、三 種類の抗原由来物質(I)~(III)を用いた場合の並 進拡散時間B2をそれぞれ、B2-I、B2-IIおよびB2-I IIとしている。すなわち、A2-IとB2-I、A2-IIとB2- II、A2-IIIとB2-IIIをそれぞれ比較することにな 。

 蛍光標識された抗原由来物質中に抗原のエ トープが存在すれば、上記の通り前記抗原 来物質は抗体と複合体を形成するので、A2 よびB2は、A2<B2の関係を満たす。
 一方、蛍光標識された抗原由来物質中に抗 のエピトープが存在しなければ、     前 記抗原由来物質は単独で存在するので、B2はA 2とほぼ同じ、すなわちA2=B2の関係を満たす。
 このような蛍光シグナルの比較を、各抗原 来物質ごとに行うことで、いずれの抗原由 物質中に抗原のエピトープが存在するか、 便且つ高精度に判定できる。

 図6は、本実施形態の一例をさらに具体的に 説明するための図である。図6において、図2 示した構成要素と同じ構成要素には同一符 を付して、その説明は省略する。ここでは 抗体2に対して、抗原由来物質として第一の 蛍光標識ペプチド6、第二の蛍光標識ペプチ 7および第三の蛍光標識ペプチド8を用いて並 進拡散時間A2およびB2を測定する場合につい 示している。ここで、第一の蛍光標識ペプ ド6、第二の蛍光標識ペプチド7および第三の 蛍光標識ペプチド8は、いずれもアミノ酸配 が異なり、分光特性が異なる第一の蛍光色 60、第二の蛍光色素70、第三の蛍光色素80で れぞれ標識されている。
 図示のように、第一の蛍光標識ペプチド6を 用いた場合の並進拡散時間B2が、A2<B2の関 を満たし、第二の蛍光標識ペプチド7および 三の蛍光標識ペプチド8を用いた場合の並進 拡散時間B2が、A2=B2の関係を満たす場合には 第一の蛍光標識ペプチド6中に抗原のエピト プが存在し、第二の蛍光標識ペプチド7およ び第三の蛍光標識ペプチド8中にはエピトー が存在しないことになる。

 なお、本実施形態においては、解析が正 に行われれば、蛍光シグナルの比較結果は A2=B2およびA2<B2のいずれかとなる。したが って、これら以外の結果を与えた時は、解析 が正常に行われていないので、再測定が必要 である。

 また、図6では、三種類の抗原由来物質を用 いた場合を例示しているが、本実施形態にお いては、抗原由来物質は何種類でも良い。そ して、蛍光色素は、分光特性が互いに異なる ものであればどのようなものでも良く、励起 波長は互いに異なれば上記波長に限定されな い。
 さらに、図6では、複数種類の抗原由来物質 を含む溶液を用いる場合を例示しているが、 本実施形態においては、抗原由来物質を一種 類ずつ含む溶液を複数種類調製して用いても 良い。

 エピトープ解析を行うにあたり、特にエピ ープに関する情報が無い場合などは、多く 抗原由来物質を解析に用いる必要がある。 かし、ここまで説明した本発明のエピトー 解析方法では、蛍光シグナルの測定にはサ プル一つあたり数秒から十数秒程度の時間 か要しない。そして、例えば、384個のサン ルウェルを有するガラスボトムプレートな を用いることで、大量のサンプルを解析す ことができる。さらに、解析に必要なサン ル量は数十μl程度と微量なので、例えば、 清などの使用量が限られるものも用いるこ ができる。このように本発明によれば、サ プル量が微量でも迅速かつ高精度にエピト プ解析を行うことができる。
 また、本発明は、抗原、抗原由来物質およ 抗体のいずれも固相化する必要がないので アミノ酸配列認識だけでなく立体構造認識 基づくエピトープの解析も簡便かつ高精度 行なうことができる。

 以下、具体的実施例により、本発明につ てさらに詳しく説明する。ただし、本発明 以下の実施例に限定されるものではない。

(実施例1)ストレプトアビジンのエピトープ解 析
 以下の手順に従って、第一の実施形態によ 並進拡散時間A1、B1およびC1の測定を行った
 (1-1)ストレプトアビジンのアミノ酸配列を 考にして、配列番号1~8に示すアミノ酸配列 らなるペプチドを合成した。これらペプチ は、PBS(0.05%Tween20を含む)緩衝液を用いて、濃 度10nMのペプチド溶液とした。
 (1-2)タンパク質ラベリングキット633nm(商品 :オリンパス社製)を用いて、従来公知の方法 に従い、streptavidin sigma(商品名:sigma社製)を蛍 光標識することで、蛍光標識ストレプトアビ ジンを得た。得られた蛍光標識ストレプトア ビジンを、緩衝液であるPBS(0.05%Tween20を含む) 用いて約5nMの濃度となるように希釈して蛍 標識ストレプトアビジン溶液を得た。次い 、前記溶液を用いて下記測定条件に従って 光シグナルのゆらぎを測定し、並進拡散時 (並進拡散時間A1)を算出した。
 測定条件;レーザー波長:633nm、レーザーパワ ー:100μW、測定時間:15秒(5回)
 (1-3)抗体として抗ストレプトアビジン抗体( ウス)を用い、PBS(0.05%Tween20を含む)緩衝液を いて前記抗体を1nM、10nMおよび100nMの濃度と るように希釈して抗ストレプトアビジン抗 溶液を得た。これら溶液20μlと前記蛍光標 ストレプトアビジン溶液20μlを混合し、24℃ 30分間撹拌して、抗ストレプトアビジン抗 を前記蛍光標識ストレプトアビジンと反応 せた。次いで上記と同様の方法で蛍光シグ ルのゆらぎを測定し、並進拡散時間を算出 た。そして、反応効率が50%となる抗ストレ トアビジン抗体溶液の濃度は10~50nMであるこ を確認し、この時の並進拡散時間を並進拡 時間B1とした。
 (1-4)濃度10nMの抗ストレプトアビジン抗体溶 と蛍光標識ストレプトアビジン溶液とを混 した前記混合溶液に、さらに、前記ペプチ 溶液を、ペプチドの最終濃度が100nMとなる うに添加したものを、各ペプチド種ごとに 製した。そして、該混合溶液を24℃で30分間 拌した後、上記と同様の方法で蛍光シグナ のゆらぎを測定し、並進拡散時間(並進拡散 時間C1)を算出した。その結果を図7に示す。 7(a)は、配列番号1~8のペプチドを用いた場合 並進拡散時間C1を示すグラフである。

 図7(a)に示すように、配列番号6のペプチド 用いた場合に、並進拡散時間C1は最も短くな った。なお、図7(b)は、配列番号6のペプチド 用いた場合について、並進拡散時間A1、B1お よびC1を比較したグラフである。
 以上より、マウスの抗体ストレプトアビジ のエピトープは、配列番号6に示すアミノ酸 配列中に含まれることが確認された。

(実施例2)変異を導入したストレプトアビジン を用いたエピトープ解析
 以下の手順に従って、第二の実施形態によ 並進拡散時間A1、B1およびC2の測定を行った
 (2-1)大腸菌を用いた従来公知の分子生物学 手法により、ストレプトアビジンのN末端か 44番目のアミノ酸をグルタミン酸からグル ミンに、51番目のアミノ酸をグルタミン酸か らグルタミンに、53番目のアミノ酸をアルギ ンからイソロイシンに、84番目のアミノ酸 アルギニンからイソロイシンにそれぞれ変 させた変異ストレプトアビジン(i)を作製し 。そしてPBS(0.05%Tween20を含む)緩衝液を用いて 、濃度5nMの変異ストレプトアビジン(i)溶液と した。
 (2-2)前記と同様に、ストレプトアビジンのN 端から67番目のアミノ酸をアスパラギン酸 らアスパラギンに、103番目のアミノ酸をア ギニンからイソロイシンに、116番目のアミ 酸をグルタミン酸からグルタミンに、127番 のアミノ酸をヒスチジンからバリンにそれ れ変異させた変異ストレプトアビジン(ii)を 製した。そしてPBS(0.05%Tween20を含む)緩衝液 用いて、濃度10~100nMの変異ストレプトアビジ ン(ii)溶液とした。
 (2-3)前記と同様に、ストレプトアビジンのN 端から101番目のアミノ酸をグルタミン酸か グルタミンに、116番目のアミノ酸をグルタ ン酸からグルタミンに、121番目のアミノ酸 リジンからメチオニンに、132番目のアミノ をリジンからメチオニンにそれぞれ変異さ た変異ストレプトアビジン(iii)を作製した そしてPBS(0.05%Tween20を含む)緩衝液を用いて、 濃度10~100nMの変異ストレプトアビジン(iii)溶 とした。
 (2-4)実施例1と同様にして蛍光標識ストレプ アビジン溶液を得、並進拡散時間A1を算出 た。
 (2-5)実施例1と同様にして抗ストレプトアビ ン抗体溶液を得、並進拡散時間B1を算出し 。
 (2-6)並進拡散時間B1を観測した前記抗ストレ プトアビジン抗体溶液と蛍光標識ストレプト アビジン溶液との混合溶液20μlと、前記変異 トレプトアビジン(i)~(iii)溶液20μlとを、変 ストレプトアビジンの種類ごとに混合し、24 ℃で30分間撹拌した。この混合溶液に、さら 前記蛍光標識ストレプトアビジン溶液20μl 添加して、得られた混合溶液を24℃で30分間 拌してから、実施例1と同様に並進拡散時間 C2を算出した。その結果を図8に示す。図8(a) 、変異ストレプトアビジン(i)~(iii)を用いた 合の並進拡散時間C2を示すグラフである。

 図8(a)に示すように、変異ストレプトアビジ ン(i)を用いた場合に、並進拡散時間C2は最も くなった。なお、図8(b)は、変異ストレプト アビジン(i)を用いた場合について、並進拡散 時間A1、B1およびC2を比較したグラフである。
 以上より、マウスの抗体ストレプトアビジ のエピトープは、変異ストレプトアビジン( i)の、N末端から44番目~84番目の構造配列中に まれることが確認された。

 本発明は、医療分野における抗体作製や 食品分野におけるアレルゲン解析等に利用 能である。