Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
ELECTRIC INSULATING OIL AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/066518
Kind Code:
A1
Abstract:
A useful electric insulating oil which retains satisfactory oxidative stability and further has such excellent electrical properties that it can maintain a low degree of electrification over long and which excels in practical performance. The electric insulating oil is characterized by having (A1) a pour point of -27.5°C or lower, (A2) a dynamic viscosity (40°C) of 5-12 mm2/s, (A3) a density (15°C) of 0.840-0.860 g/cm3, (A4) a sulfur content of 0.20 mass% or lower, (A5) a nitrogen content of 20 mass ppm or lower, and (A6) a refractive index of 1.460-1.480.

Inventors:
MORISHIMA YOSHIYUKI (JP)
ITOH TAKASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/068268
Publication Date:
May 28, 2009
Filing Date:
October 08, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
JAPAN ENERGY CORP (JP)
MORISHIMA YOSHIYUKI (JP)
ITOH TAKASHI (JP)
International Classes:
H01B3/20; C10M101/02; C10M171/02; C10N20/00; C10N20/02; C10N30/10; C10N40/16
Domestic Patent References:
WO2007093631A12007-08-23
Foreign References:
JP2001195920A2001-07-19
JP2000345177A2000-12-12
EP0458574A21991-11-27
JPS61273805A1986-12-04
Attorney, Agent or Firm:
SUGIMURA, Kenji et al. (3-2-1 Kasumigasek, Chiyoda-ku Tokyo 13, JP)
Download PDF:
Claims:
 (A1)流動点が-27.5℃以下であり、(A2)動粘度(40℃)が5~12 mm 2 /sであり、(A3)密度(15℃)が0.840~0.860 g/cm 3 であり、(A4)硫黄分が0.20質量%以下であり、(A5)窒素分が20質量ppm以下であり、(A6)屈折率が1.460~1.480であることを特徴とする電気絶縁油。
 スルフィドの形態の硫黄分が0.01~0.02質量%であることを特徴とする請求項1に記載の電気絶縁油。
 請求項1に記載の電気絶縁油の製造方法であって、
 (B1)流動点が-27.5℃以下であり、(B2)動粘度(40℃)が5~12 mm 2 /sであり、(B3)硫黄分が0.20質量%以下であり、(B4)窒素分が20質量ppm以下であり、(B5)芳香族分が5質量%以上30質量%未満である基油1と、(C1)硫黄分が0.001質量%以下であり、(C2)窒素分が5質量ppm以下であり、(C3)芳香族分が3質量%未満である基油2とを混合する工程を含むことを特徴とする電気絶縁油の製造方法。
 前記基油1と前記基油2との配合割合が、質量比(基油1/基油2)で90/10~40/60の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の電気絶縁油の製造方法。
 前記基油1の密度(15℃)が0.860 g/cm 3 より高く、前記基油2の密度(15℃)が0.840 g/cm 3 未満であることを特徴とする請求項3に記載の電気絶縁油の製造方法。
 前記基油1は、スルフィドの形態の硫黄分が0.01~0.05質量%であることを特徴とする請求項3に記載の電気絶縁油の製造方法。
Description:
電気絶縁油及びその製造方法

 本発明は、電気絶縁油及びその製造方法 関し、特には、酸化安定性が良好な上、使 中における帯電度の上昇が抑制されており 実用性能に優れた電気絶縁油に関するもの ある。

 電気絶縁油は、トランス、高圧ケーブル 高圧遮断器、コンデンサ等の高圧電気機器 充填されて使用されるが、これらの機器は 一旦商業運転に入ると、長期間メンテナン フリーで使用できることが求められる。従 て、電気絶縁油は、長期に渡って安定な電 特性を維持できることが必要である。

 一方、トランス等は、コイル等で発生す 熱を逃がすために強制的に又は自然対流に って電気絶縁油が循環され冷却されるよう 設計されているが、電気絶縁油の循環量が 加するにつれて電荷の分離が発生し、放電 よって絶縁破壊に至る、即ち、短絡して壊 てしまうことがある。そこで、昨今、電気 縁油における帯電度の問題が重視されてき おり、特に長期間使用すると、電気絶縁油 劣化して、帯電度が上昇することが知られ いる。

 更に、経済的な面から大容量送電を行う めに、50万ボルト~300万ボルトの超高圧送電 術が実用されるに伴って、高圧電気機器の 圧化、大容量化(大型化)が図られてきたが 超高圧トランス等の高圧電気機器の高圧化 大容量化は、上記の問題をさらに助長して るといえる。

 上記の問題に対して、本出願人は、先に レジン含有量が100重量ppm以下である精製鉱 を用いた電気絶縁油、好ましくは更に該鉱 のスルフィド型硫黄分が50~1000重量ppm、全窒 素分が1重量ppm以下である電気絶縁油を提案 た(特許第3679272号参照)。

 しかしながら、特許第3679272号に開示の発 明は、帯電度を低く保つという面では優れて いるものの、酸化安定性の面ではスラッジの 生成等の点で必ずしも十分満足できるもので はなかった。

 そこで、本発明は、良好な酸化安定性を 持しながら、低い帯電度を長期間維持でき といった優れた電気特性を兼ね備え、実用 能に秀でた有用な電気絶縁油を提供するこ を課題とする。

 本発明者は、上記の課題を解決するため 鋭意検討を行った結果、(1)流動点、動粘度( 40℃)、密度(15℃)、硫黄分、窒素分、及び屈 率が特定の範囲にある電気絶縁油が、良好 酸化安定性を保持しながら、低い帯電度を 期に渡って維持でき、また、(2)かかる電気 縁油が、精製の程度が異なる2種類の鉱油系 油を混合することにより得られることを見 し、本発明に至ったものである。

 即ち、本発明の電気絶縁油は、
(A1)流動点が-27.5℃以下であり、
(A2)動粘度(40℃)が5~12 mm 2 /sであり、
(A3)密度(15℃)が0.840~0.860 g/cm 3 であり、
(A4)硫黄分が0.20質量%以下であり、
(A5)窒素分が20質量ppm以下であり、
(A6)屈折率が1.460~1.480であることを特徴とする 。ここで、本発明の電気絶縁油は、スルフィ ドの形態の硫黄分が0.01~0.02質量%であること 好ましい。

 また、本発明の電気絶縁油の製造方法は、 記の電気絶縁油の製造方法であって、
(B1)流動点が-27.5℃以下であり、
(B2)動粘度(40℃)が5~12 mm 2 /sであり、
(B3)硫黄分が0.20質量%以下であり、
(B4)窒素分が20質量ppm以下であり、
(B5)芳香族分が5質量%以上30質量%未満である
 基油1と、
(C1)硫黄分が0.001質量%以下であり、
(C2)窒素分が5質量ppm以下であり、
(C3)芳香族分が3質量%未満である
 基油2とを混合する工程を含むことを特徴と する。ここで、前記基油1と前記基油2との配 割合は、質量比(基油1/基油2)で90/10~40/60の範 囲であることが好ましい。また、前記基油1 密度(15℃)が0.860 g/cm 3 より高く、前記基油2の密度(15℃)が0.840 g/cm 3 未満であることが好ましい。更に、前記基油 1は、スルフィドの形態の硫黄分が0.01~0.05質 %であることが好ましい。

 本発明によれば、良好な酸化安定性を保 しながら、低い帯電度を長期間維持できる いう優れた電気特性を兼ね備え、実用性能 秀でた有用な電気絶縁油を提供することが きる。また、かかる電気絶縁油の製造方法 提供することができる。

基油1と基油2を混合して本発明の電気 縁油を得るために適切な精製範囲を示す。

 以下に、本発明を更に詳細に説明する。 発明の電気絶縁油は、(A1)流動点、(A2)動粘 (40℃)、(A3)密度(15℃)、(A4)硫黄分、(A5)窒素分 、及び(A6)屈折率が特定の範囲にあることを 徴とし、また、本発明の電気絶縁油は、好 しくは、精製度の異なる2種類の鉱油系基油 混合して製造され、より好ましくは、(B1)流 動点、(B2)動粘度(40℃)、(B3)硫黄分、(B4)窒素 、及び(B5)芳香族分が特定の範囲にある基油1 と、(C1)硫黄分、(C2)窒素分、及び(C3)芳香族分 が特定の範囲にある基油2とを混合して製造 れる。

 本発明の電気絶縁油は、動粘度(40℃)が5~12  mm 2 /sであり、硫黄分が0.20質量%以下であるが故 、低い帯電度を長期間維持することができ また、硫黄分が0.20質量%以下であり、窒素分 が20質量ppm以下であり、屈折率が1.460~1.480で るが故に、良好な酸化安定性を保持できる いった優れた電気特性を兼ね備えている。

 本発明の電気絶縁油は、(A1)流動点が-27.5 以下であり、好ましくは、-32.5℃以下であ 。電気絶縁油の流動点が-27.5℃を超える場合 、低温領域において凝固、あるいは極端な動 粘度の増加を招く恐れがあり、寒冷地での使 用ができなくなる。

 本発明の電気絶縁油は、(A2)動粘度(40℃)が5~ 12 mm 2 /sであり、好ましくは、5~9 mm 2 /sである。電気絶縁油の動粘度(40℃)が12 mm 2 /sを上回る場合には、流動性が悪化し、トラ ス等の冷却特性に問題が生じる場合があり 一方、動粘度(40℃)が5 mm 2 /sを下回る場合には、引火点の低下を招く恐 がある。

 本発明の電気絶縁油は、(A3)密度(15℃)が0.840 ~0.860 g/cm 3 であり、好ましくは、0.850~0.860 g/cm 3 である。電気絶縁油の密度(15℃)が0.840 g/cm 3 を下回る場合には、引火点の低下を招くとい う問題が生じる。一方、電気絶縁油の密度(15 ℃)が0.860 g/cm 3 を上回る場合には、トランス等の内部に混入 した水分が凍結した場合、氷が浮上し絶縁を 破壊する等のトラブルを生じる場合がある。

 本発明の電気絶縁油は、(A4)硫黄分が0.20 量%以下であり、好ましくは、0.05質量%以下 ある。電気絶縁油の硫黄分が0.20質量%を上回 る場合は、トランス等のコイル等の銅部材の 腐食を引き起こす恐れがあり、また、高帯電 度となる恐れがある。なお、特に限定される ものではないが、本発明の電気絶縁油は、酸 化安定性の観点から、硫黄分が0.01質量%以上 あることが好ましく、より詳しくは、スル ィドの形態の硫黄分が0.01~0.02質量%であるこ とが好ましい。

 本発明の電気絶縁油は、(A5)窒素分が20質 ppm以下であり、好ましくは、5質量ppm以下で ある。電気絶縁油の窒素分が20質量ppmを上回 場合は、酸化安定性の低下の問題が生じる

 本発明の電気絶縁油は、(A6)屈折率が1.460~ 1.480であり、好ましくは、1.465~1.475である。 気絶縁油の屈折率が1.460を下回る場合は、過 精製であるために良好な酸化安定性が得られ なくなり、一方、屈折率が1.480を上回る場合 、低い帯電度を長期間維持するといった優 た電気特性を得るには精製が不十分である

 本発明の電気絶縁油は、特に限定される のではないが、好ましくは、芳香族分が5質 量%以上30質量%未満である。電気絶縁油の芳 族分が5質量%を下回る場合、あるいは芳香族 分が30質量%以上の場合は、酸化安定性の低下 の問題が生じる。

 本発明の電気絶縁油は、特に限定される のではないが、好ましくは、引火点(PM)が135 ℃以上であり、より好ましくは140℃以上であ る。引火点(PM)が135℃を下回る場合は、電気 縁油の保管中あるいは使用中の安全面、防 面の観点から好ましくない。

 本発明の電気絶縁油の製造には、2種類の 基油、即ち、基油1と基油2とを使用すること 好ましく、該基油1及び基油2としては、鉱 系基油が好ましい。基油1及び基油2は、原油 を原料として常圧蒸留、減圧蒸留後、水素化 精製、水素化分解、水素化脱蝋等の処理を経 て製造されるが、両者は、精製の程度が異な り、基油1よりも基油2の方が精製の程度が高 。なお、基油2は、硫黄分が低過ぎ、また、 芳香族分が低過ぎるため、単独で使用した場 合、酸化安定性が低く、これまで電気絶縁油 として使用されることが無かったが、基油1 混合することで、電気絶縁油に利用するこ が可能となる。

 上記基油1は、(B1)流動点が-27.5℃以下であ り、好ましくは、-32.5℃以下である。基油1の 流動点が-27.5℃を上回る場合は、製造する電 絶縁油の流動点が高くなり、低温領域にお て凝固、あるいは極端な動粘度の増加を招 恐れがあり、寒冷地での使用ができなくな 。

 上記基油1は、(B2)動粘度(40℃)が5~12 mm 2 /sであり、好ましくは、5~9 mm 2 /sである。基油1の動粘度(40℃)が12 mm 2 /sを上回る場合は、流動性が悪化し、トラン 等の冷却特性に問題が生じる場合があり、 方、動粘度(40℃)が5 mm 2 /sを下回る場合には、引火点の低下を招く恐 がある。

 上記基油1は、(B3)硫黄分が0.20質量%以下で あり、好ましくは、0.10質量%以下である。基 1の硫黄分が0.20質量%を上回る場合は、トラ ス等のコイル等の銅部材の腐食を引き起こ 恐れがあり、また、高帯電度となる恐れが る。なお、特に限定されるものではないが 基油1は、酸化安定性の観点から、硫黄分が 0.01質量%以上であることが好ましく、より詳 くは、スルフィドの形態の硫黄分が0.01~0.05 量%であることが好ましい。

 上記基油1は、(B4)窒素分が20質量ppm以下で あり、好ましくは、5質量ppm以下である。基 1の窒素分が20質量ppmを上回る場合は、酸化 定性の低下の問題が生じる。

 上記基油1は、(B5)芳香族分が5質量%以上30 量%未満であり、好ましくは、15質量%~25質量 %である。基油1の芳香族分が5質量%を下回る 合、あるいは芳香族分が30質量%以上の場合 、酸化安定性の低下の問題が生じる。

 上記基油1は、特に限定されるものではな いが、好ましくは引火点(PM)が140℃以上であ 、より好ましくは145℃以上である。引火点(P M)が140℃を下回る場合は、電気絶縁油の保管 あるいは使用中の安全面、防災面の観点か 好ましくない。

 上記基油1は、特に限定されるものではな いが、好ましくはその蒸留性状において、20% 留出温度が260℃以上であり、より好ましくは 270℃以上である。20%留出温度が260℃を下回る 場合、引火点の低下を招き、電気絶縁油の保 管中あるいは使用中の安全面、防災面の観点 から好ましくない。

 上記基油1は、特に限定されるものではな いが、好ましくは屈折率が1.470~1.500の範囲内 あり、より好ましくは1.470~1.490の範囲内で る。屈折率が1.470を下回る場合は基油2と混 後に過精製となるために良好な酸化安定性 得られなくなり、屈折率が1.500を上回る場合 は、基油2と混合後に低い帯電度を長期間維 するといった優れた電気特性を得るには精 が不十分である。

 上記基油2は、(C1)硫黄分が0.001質量%以下 あり、好ましくは、0.0005質量%以下である。 黄分が0.001質量%以下の基油を上記基油1へ混 合することで、低い帯電度を長期間維持でき るといった優れた電気特性が得られ、高帯電 度化を防止できる。

 上記基油2は、(C2)窒素分が5質量ppm以下で り、好ましくは、3質量ppm以下である。基油 2の窒素分が5質量ppmを上回る場合は、酸化安 性の低下の問題が生じる。

 上記基油2は、(C3)芳香族分が3質量%未満で あり、好ましくは、1質量%未満である。芳香 分が3質量%未満の基油を上記基油1へ混合す ことで、良好な酸化安定性を保持する効果 十分に発揮される。

 上記基油2は、特に限定されるものではな いが、好ましくは引火点(PM)が135℃以上であ 、より好ましくは140℃以上である。引火点(P M)が135℃を下回る場合は、電気絶縁油の保管 あるいは使用中の安全面、防災面の観点か 好ましくない。

 上記基油2は、特に限定されるものではな いが、好ましくはその蒸留性状において、20% 留出温度が270℃以上であり、より好ましくは 280℃以上である。20%留出温度が270℃を下回る 場合、引火点の低下を招き、絶縁油の保管中 あるいは使用中の安全面、防災面の観点から 好ましくない。

 上記基油2は、特に限定されるものではな いが、好ましくは屈折率が1.440~1.470の範囲内 あり、より好ましくは1.450~1.470の範囲内で る。屈折率が1.440を下回る場合は基油1と混 後に過精製となるために良好な酸化安定性 得られなくなり、屈折率が1.470を上回る場合 は、基油1と混合後に低い帯電度を長期間維 するといった優れた電気特性を得るには精 が不十分である。

 上記基油1と上記基油2との配合割合は、 成する電気絶縁油が上記の特性を満たす限 特に限定されるものではないが、質量比(基 1/基油2)で90/10~40/60の範囲が好ましい。

 また、特に限定されるものではないが、基 1は密度(15℃)が0.860 g/cm 3 より高いことが好ましく、基油2は密度(15℃) 0.840 g/cm 3 未満であることが好ましく、かかる密度の基 油1と基油2とを混合して、密度(15℃)が0.840~0.8 60 g/cm 3 の電気絶縁油を製造することが好ましい。

 基油1と基油2を混合して、良好な酸化安 性と、低い帯電度を長期間維持するといっ 優れた電気特性を兼ね備える電気絶縁油を るために適切な精製範囲を図1に示す。

 また、本発明の電気絶縁油は、従来から 気絶縁油に用いられることのあった、酸化 止剤、帯電防止剤等の添加剤を含有するこ なく、良好な酸化安定性および、低い帯電 を長期間維持するといった優れた電気特性 発揮できる。これらの添加剤は、それ自体 あるいは長期間の使用によって劣化物へと 化した場合に、人の健康や環境保全に対し の悪影響の懸念がなされている。

 以上に説明した本発明の電気絶縁油は、 好な酸化安定性を保持しながら、低い帯電 を長期間維持できるという格別の効果を奏 る。なお、本発明の電気絶縁油は、酸化安 性に関して、JIS C2101に準拠して測定した120 ℃で75時間劣化させた後のスラッジが好まし は0.4質量%以下、より好ましくは0.1質量%以 であり、全酸価が好ましくは0.6 mgKOH/g以下 より好ましくは0.3 mgKOH/g以下である。また 帯電度に関しては、社団法人電気協同研究 の電力用変圧器保守管理専門委員会からの 告「電気協同研究第54巻第5号(その1)油入変 器の保守管理」において「変圧器据付時に 200 pC/mL以下、定期測定では500 pC/mL以下」と の変圧器の保守管理基準が示されているが、 本発明の電気絶縁油の帯電度は、かかる指針 より更に低く、より具体的には、銅線と共に 120℃で168時間劣化させた後の帯電度が好まし くは200 pC/mL以下、より好ましくは100 pC/mL以 である。

<<実施例>>
 以下、実施例に基づき本発明の内容をさら 詳細に説明する。なお、本発明はこれらの 施例によって何ら制限されるものではない

 表1の上部に示す配合割合(配合量は組成 全量基準での質量%)で、下記の基油(基油1-1 よび基油2-1)を用いて、実施例1~2及び比較例1 ~3の組成物を調製した。得られた組成物の特 の測定結果を表1に示す。また、表1には、 油1-1および基油2-1の組み合わせではない電 絶縁油の比較例4~5もあわせて示す。比較例4 電気絶縁油は水素化精製、溶剤精製、複数 類油の混合工程を経て得られる油であり、 較例5の電気絶縁油は水素化精製、溶剤精製 、溶剤脱蝋、白土処理を経て得られる油であ り、いずれも実施例1~2比べて、相対的に精製 度の低い電気絶縁油である。

<基油>
 基油1-1[流動点:-32.5℃、動粘度(40℃):7.725 mm 2 /s、動粘度(100℃):2.173 mm 2 /s、硫黄分:0.04質量%、窒素分:1質量ppm未満、 香族分:23.1質量%]
 基油2-1[流動点:-37.5℃、動粘度(40℃):8.667 mm 2 /s、動粘度(100℃):2.395 mm 2 /s、硫黄分:0.001質量%未満、窒素分:1質量ppm未 、芳香族分:0.5質量%]

<評価方法>
(1)密度
 JIS K2249に従って測定した。

(2)動粘度(40℃、100℃)
 JIS K2283に従って測定した。

(3)流動点
 JIS K2269に従って測定した。

(4)屈折率
 JIS C2101に従って測定した。

(5)硫黄分
 JIS K2541に従って測定した。

(6)窒素分
 JIS K2609に従って測定した。

(7)飽和分、芳香族分及び樹脂分
 ASTM D2007に従って測定した。

(8)酸化安定度
 JIS C2101に従って測定した。

(9)劣化後帯電度
 空気雰囲気下において、供試油1000 gを触媒 の銅線(直径1 mm、長さ3.5 m)と共に120℃で168 間保持して、劣化油を調製し、劣化後の帯 度を測定した。なお、帯電度は、ミニスタ ィックテスタ(IEEE Transaction on Power Apparatus and Systems, PAS-103, 1923 (1984))により測定した 。

(10)引火点(PM)
 JIS K2265に従って測定した。

(11)20%留出温度
 JIS K2254に従って測定した。

(12)スルフィドの形態の硫黄分
 以下に示す方法により定量した。通常使用 れる薄層クロマトグラフィー用の薄層板(例 えば、ガラス板に0.25 mm程度の厚さにシリカ ルを塗布したもの)に塩化パラジウム0.5質量 %の塩酸酸性アセトン-水混合液を噴霧し、風 後に試料油の2~4μLをスポット点着し、四塩 炭素液により点着位置より約10 cm展開させ 後、クロロホルム/メタノール(容積比9/1)混 液でさらに約5 cm展開する。この操作によ スルフィドの形態の硫黄化合物は、炭化水 及び他の有機硫黄化合物と分離し黄色の発 スポットを示す。該発色スポット部にデン トメータ(例えば、島津製作所製、2波長クロ マトスキャナーCS-910型)で380 nmの可視光をあ 吸光度を求める。試料油を測定する際にス フィド形態硫黄濃度既知の試料を同時に展 し、同様の測定を行う。これにより試料中 含有されるスルフィド形態の硫黄分が定量 れる。なお、スルフィド形態の硫黄分は、 記一般式(1):
   R 1 -S-R 1    (1)
[式中、R 1 は、それぞれ独立して炭素数10~15のアルキル 又は芳香族炭化水素基を表す]、又は下記一 般式(2):
[式中、Rは、それそれ独立して水素原子又は ルキル基を表わし、Rが複数存在する場合、 各Rは同一でも異なってもよい]で示される有 硫黄化合物を構成している硫黄の総量であ 。

 表1において、実施例1及び2の電気絶縁油 、流動点、動粘度(40℃)、密度(15℃)、硫黄 、窒素分及び屈折率が本発明で規定する範 にあり、また、これら電気絶縁油は、いず も良好な酸化安定性を有し、より詳しくは JIS C2320 1種2号又は1種4号に規定される酸化 定度規格値(スラッジ:0.4質量%以下、全酸価: 0.6 mgKOH/g以下)を満たしており、かつ劣化後 帯電度が十分に低く保たれていることが分 る。

 一方、比較例1の電気絶縁油は、密度(15℃) 0.8661 g/cm 3 と高過ぎ、劣化後の帯電度が205 pC/mLと高く 低い帯電度を長期間維持できないことが分 る。

 また、比較例2の電気絶縁油は、密度(15℃) 0.8389 g/cm 3 と低過ぎ、比較例3の電気絶縁油は、密度(15 )が0.8323g/cm 3 と低過ぎる上、屈折率も1.4586と低過ぎ、これ ら比較例2及び比較例3の電気絶縁油は、酸化 定度の全酸価が0.79 mgKOH/g、1.20 mgKOH/gと高 なっており、いずれも電気絶縁油としては 適であった。

 比較例4の電気絶縁油は、精製度が不十分 であるがゆえに、屈折率が1.4883と高過ぎ、従 って劣化後の帯電度が387 pC/mLと高くなって り、低い帯電度を長期間維持できず、電気 縁油として劣っている。

 比較例5の電気絶縁油は、精製度が不十分 であるがゆえに、硫黄分が0.21質量%と高過ぎ 従って劣化後の帯電度が522 pC/mLと高くなっ ており、低い帯電度を長期間維持できず、電 気絶縁油として劣っている。