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Title:
ELECTRIC MOTOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/128287
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is an electric motor which achieves reductions in size and manufacturing cost and an increase in design flexibility. An electric motor (1) is provided with a first structure (4) provided with a magnetic pole row which is composed of predetermined plural magnetic poles (4a) arranged in a predetermined direction and is disposed such that respective two adjacent magnetic poles (4a) are polarized differently from each other, a second structure (3) provided with an armature row which is disposed so as to face the magnetic pole row and generates a shifting magnetic field that shifts in a predetermined direction in a space between the magnetic pole row and the armature row by predetermined plural armature magnetic poles generated in plural armatures (3c-3e) accompanying the supply of power, and a third structure (5) provided with a soft magnetic substance row which is composed of predetermined plural soft magnetic substances (5a) arranged apart from each other in a predetermined direction and is disposed so as to be located between the magnetic pole row and the armature row. The ratio of the number of armature magnetic poles to the number of magnetic poles (4a) to the number of soft magnetic substances (5a) is set to 1:m:(1+m)/2(m≠1.0).

Inventors:
OYA SATOYOSHI (JP)
KASAOKA KOTA (JP)
ABE NORIYUKI (JP)
AKUTSU SHIGEMITSU (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/052780
Publication Date:
October 22, 2009
Filing Date:
February 18, 2009
Export Citation:
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Assignee:
HONDA MOTOR CO LTD (JP)
OYA SATOYOSHI (JP)
KASAOKA KOTA (JP)
ABE NORIYUKI (JP)
AKUTSU SHIGEMITSU (JP)
International Classes:
H02K21/12; H02K16/02; H02K41/03; H02P25/06
Foreign References:
JP2008043138A2008-02-21
JP2008067592A2008-03-21
JP2008017543A2008-01-24
JP2006288012A2006-10-19
JP2008067592A2008-03-21
JP2007280916A2007-10-25
Other References:
See also references of EP 2273657A4
Attorney, Agent or Firm:
TAKAHASHI, TOMOO (JP)
Tomoo Takahashi (JP)
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Claims:
 所定方向に並んだ所定の複数の磁極で構成され、隣り合う各2つの前記磁極が互いに異なる極性を有するように配置された磁極列を有する第1構造体と、
 前記所定方向に並んだ複数の電機子で構成されるとともに、前記磁極列に対向するように配置され、電力の供給に伴って前記複数の電機子に発生する所定の複数の電機子磁極により、前記所定方向に移動する移動磁界を前記磁極列との間に発生させる電機子列を有する第2構造体と、
 互いに間隔を隔てて前記所定方向に並んだ所定の複数の軟磁性体で構成され、前記磁極列と前記電機子列の間に位置するように配置された軟磁性体列を有する第3構造体と、を備え、
 前記所定方向に沿う所定の区間における前記電機子磁極の数と前記磁極の数と前記軟磁性体の数との比が、1:m:(1+m)/2(m≠1.0)に設定されていることを特徴とする電動機。
 前記第1~第3の構造体の相対的な位置関係を検出する相対位置関係検出手段と、
 当該検出された第1~第3の構造体の相対的な位置関係に基づいて、前記移動磁界を制御する制御手段と、
 をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の電動機。
 前記相対位置関係検出手段は、前記第1~第3の構造体の相対的な位置関係として、前記第2構造体に対する前記第1構造体および第3構造体の電気角度位置をそれぞれ検出し、
 前記制御手段は、前記検出された第3構造体の電気角度位置に(1+m)を乗算した値と、前記検出された第1構造体の電気角度位置にmを乗算した値との差に基づいて、前記移動磁界を制御することを特徴とする、請求項2に記載の電動機。
 前記磁極は永久磁石の磁極であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の電動機。
 前記電動機は回転機であることを特徴とする、請求項1に記載の電動機。
 前記電動機はリニアモータであることを特徴とする、請求項1に記載の電動機。
Description:
電動機

 本発明は、複数の可動子または固定子を し、供給された電力を動力に変換して可動 から出力する電動機に関する。

 従来のこの種の電動機として、例えば特 文献1に開示されたものが知られている。こ の電動機は、いわゆる回転機であり、第1回 軸および第2回転軸にそれぞれ連結された第1 ロータおよび第2ロータと、単一のステータ 備えている。第1および第2の回転軸は互いに 同心状に配置されており、第1ロータ、第2ロ タおよびステータは、第1回転軸の径方向に 、内側からこの順で並んでいる。

 第1ロータは、各々が周方向に並んだ複数 の第1永久磁石および第2永久磁石を有してお 、第1および第2の永久磁石は、第1ロータの 線方向に互いに並列に並んでいる。ステー は、電力の供給により、周方向に回転する 1回転磁界および第2回転磁界を発生させる うに構成されており、この第1回転磁界は、 1ロータの第1永久磁石側の部分との間に発 し、この第2回転磁界は、第1ロータの第2永 磁石側の部分との間に発生する。第2ロータ 、各々が周方向に並んだ複数の第1コアおよ び第2コアを有している。これらの第1および 2のコアは、軟磁性体で構成されており、第 1コアは、第1ロータの第1永久磁石側の部分と ステータの間に配置され、第2コアは、第1ロ タの第2永久磁石側の部分とステータの間に 配置されている。第1および第2の永久磁石の 極、第1および第2の回転磁界の磁極、なら に、第1および第2のコアの数は、互いに同じ に設定されている。

 以上の構成の電動機では、ステータへの 力供給による第1および第2の回転磁界の発 に伴い、第1および第2の回転磁界の磁極と第 1および第2の永久磁石の磁極により、第1およ び第2のコアが磁化されることによって、こ らの要素の間に磁力線が発生する。また、 の磁力線の磁力による作用により、第1およ 第2のロータが駆動され、ひいては、第1お び第2の回転軸から動力が出力される。

 上述した従来の電動機では、その構成上 ステータに供給した電力を動力に変換して 1回転軸や第2回転軸から出力すべく、上記 磁力線による磁力を適切に作用させるため は、複数の第1コアから成る第1軟磁性体列だ けでなく、複数の第2コアから成る第2軟磁性 列が必要不可欠であり、電動機の大型化や 造コストの増大を招くことは避けられない また、電動機は、その構成上、第1および第 2の回転磁界の回転数と第2ロータの回転数と 差と、第2ロータの回転数と第1ロータの回 数との差が同じになるような速度関係でし 成立しないため、その設計の自由度が低い

 本発明は、以上のような課題を解決する めになされたものであり、小型化および製 コストの削減を図ることができるとともに 設計の自由度を高めることができる電動機 提供することを目的とする。

特開2008-67592号公報

 上記の目的を達成するため、請求項1に係 る電動機1、31は、所定方向に並んだ所定の複 数の磁極(永久磁石4a、34a)で構成され、隣り う各2つの磁極が互いに異なる極性を有する うに配置された磁極列を有する第1構造体( 1ロータ4,第1回転軸6、第2ステータ34)と、所 方向に並んだ複数の電機子(鉄芯3a,U相~W相の イル3c~3e、鉄芯33a,U相~W相のコイル33c~33e)で 成されるとともに、磁極列に対向するよう 配置され、電力の供給に伴って複数の電機 に発生する所定の複数の電機子磁極により 所定方向に移動する移動磁界を磁極列との に発生させる電機子列を有する第2構造体(ス テータ3、第1ステータ33)と、互いに間隔を隔 て所定方向に並んだ所定の複数の軟磁性体( コア5a、コア35b)で構成され、磁極列と電機子 列の間に位置するように配置された軟磁性体 列を有する第3構造体(第2ロータ5,第2回転軸7 可動子35)と、を備え、所定方向に沿う所定 区間における電機子磁極の数と磁極の数と 磁性体の数との比が、1:m:(1+m)/2(m≠1.0)に設定 されていることを特徴とする。

 この電動機によれば、互いに対向する第1 構造体の磁極列と第2構造体の電機子列の間 位置するように、第3構造体の軟磁性体列が 置されており、これらの磁極列、電機子列 よび軟磁性体列をそれぞれ構成する複数の 極、電機子および軟磁性体は、所定方向に んでいる。また、電機子列への電力の供給 伴い、複数の電機子磁極が発生し、これら 電機子磁極による移動磁界が、磁極列との に発生するとともに、所定方向に移動する さらに、隣り合う各2つの磁極が互いに異な る極性を有しており、隣り合う各2つの軟磁 体間には、間隔が空いている。上記のよう 、磁極列と電機子列の間において、複数の 機子磁極による移動磁界が発生するととも 軟磁性体列が配置されていることから、軟 性体は、電機子磁極と磁極によって磁化さ る。このことと、上記のように隣り合う各2 の軟磁性体間に間隔が空いていることによ て、磁極と軟磁性体と電機子磁極を結ぶよ な磁力線が発生する。また、この磁力線に る磁力の作用により、電機子に供給された 力が動力に変換され、第1構造体や、第2構 体、第3構造体から出力される。

 この場合、例えば、本発明の電動機を次の 件(a)および(b)の下に構成したときには、移 磁界、第1および第3の構造体の間の速度の 係と、第1~第3の構造体の間のトルクの関係 、次のように表される。また、電動機に相 する等価回路は、図19のように示される。
 (a)電動機が回転機であり、電機子がU相、V およびW相の3相コイルを有する
 (b)電機子磁極が2個、磁極が4個、すなわち 電機子磁極のN極およびS極を1組とする極対 が値1、磁極のN極およびS極を1組とする極対 が値2であり、軟磁性体が3個である
 なお、このように、本明細書で用いる「極 」は、N極およびS極の1組をいう。

 この場合、軟磁性体のうちの第1軟磁性体を 通過する磁極の磁束ψk1は、次式(1)で表され 。
 ここで、ψfは磁極の磁束の最大値、θ1およ θ2は、U相コイルに対する磁極の回転角度位 置および軟磁性体の回転角度位置である。ま た、この場合、電機子磁極の極対数に対する 磁極の極対数の比が値2.0であるため、磁極の 磁束が移動磁界に対して2倍の周期で回転(変 )するので、上記の式(1)では、そのことを表 すために、(θ2-θ1)に値2.0が乗算されている。

 したがって、第1軟磁性体を介してU相コイ を通過する磁極の磁束ψu1は、式(1)にcosθ2を 算することで得られた次式(2)で表される。

 同様に、軟磁性体のうちの第2軟磁性体を通 過する磁極の磁束ψk2は、次式(3)で表される
 電機子に対する第2軟磁性体の回転角度位置 が、第1軟磁性体に対して2π/3だけ進んでいる ため、上記の式(3)では、そのことを表すため に、θ2に2π/3が加算されている。

 したがって、第2軟磁性体を介してU相コイ を通過する磁極の磁束ψu2は、式(3)にcos(θ2+2 /3)を乗算することで得られた次式(4)で表さ る。

 同様に、軟磁性体のうちの第3軟磁性体を介 してU相コイルを通過する磁極の磁束ψu3は、 式(5)で表される。

 図19に示すような電動機では、軟磁性体を してU相コイルを通過する磁極の磁束ψuは、 記の式(2)、(4)および(5)で表される磁束ψu1~ψ u3を足し合わせたものになるので、次式(6)で される。

 また、この式(6)を一般化すると、軟磁性体 介してU相コイルを通過する磁極の磁束ψuは 、次式(7)で表される。
 ここで、a、bおよびcはそれぞれ、磁極の極 数、軟磁性体の数および電機子磁極の極対 である。
 また、この式(7)を、三角関数の和と積の公 に基づいて変形すると、次式(8)が得られる

 この式(8)において、b=a+cとするとともに、co s(θ+2π)=cosθに基づいて整理すると、次式(9)が 得られる。
 この式(9)を三角関数の加法定理に基づいて 理すると、次式(10)が得られる。

 この式(10)の右辺の第2項は、a-c≠0を条件と て、級数の総和やオイラーの公式に基づい 整理すると、次式(11)に示すように値0にな 。

 また、上記の式(10)の右辺の第3項も、a-c≠0 条件として、級数の総和やオイラーの公式 基づいて整理すると、次式(12)に示すように 値0になる。

 以上により、a-c≠0のときには、軟磁性体を 介してU相コイルを通過する磁極の磁束ψuは 次式(13)で表される。
 また、この式(13)において、a/c=αとすると、 次式(14)が得られる。

 さらに、この式(14)において、c・θ2=θe2とす るとともに、c・θ1=θe1とすると、次式(15)が られる。
 ここで、θe2は、U相コイルに対する軟磁性 の回転角度位置θ2に電機子磁極の極対数cを 算していることから明らかなように、U相コ イルに対する軟磁性体の電気角度位置を表す 。また、θe1は、U相コイルに対する磁極の回 角度位置θ1に電機子磁極の極対数cを乗算し ていることから明らかなように、U相コイル 対する磁極の電気角度位置を表す。

 同様に、軟磁性体を介してV相コイルを通過 する磁極の磁束ψvは、V相コイルの電気角度 置がU相コイルに対して電気角2π/3だけ進ん いることから、次式(16)で表される。また、 磁性体を介してW相コイルを通過する磁極の 磁束ψwは、W相コイルの電気角度位置がU相コ ルに対して電気角2π/3だけ遅れていること ら、次式(17)で表される。

 また、上記の式(15)~(17)でそれぞれ表される 束ψu~ψwを時間微分すると、次式(18)~(20)がそ れぞれ得られる。
 ここで、ωe1は、θe1の時間微分値、すなわ 、第2構造体に対する第1構造体の角速度を電 気角速度に換算した値であり、ωe2は、θe2の 間微分値、すなわち、第2構造体に対する第 3構造体の角速度を電気角速度に換算した値 ある。

 さらに、軟磁性体を介さずにU相~W相のコ ルを直接、通過する磁束は、極めて小さく その影響は無視できる。このため、軟磁性 を介してU相~W相のコイルをそれぞれ通過す 磁極の磁束ψu~ψw(式(18)~(20))の時間微分値dψu /dt~dψw/dtは、電機子列に対して磁極や軟磁性 が回転(移動)するのに伴ってU相~W相のコイ に発生する逆起電圧(誘導起電圧)をそれぞれ 表す。

 このことから、U相、V相およびW相のコイル それぞれ流れる電流Iu、IvおよびIwは、次式( 21)、(22)および(23)で表される。
 ここで、Iは、U相~W相のコイルを流れる電流 の振幅(最大値)である。

 また、これらの式(21)~(23)より、U相コイルに 対する移動磁界(回転磁界)のベクトルの電気 度位置θmfは、次式(24)で表されるとともに U相コイルに対する移動磁界の電気角速度ωmf は、次式(25)で表される。

 また、電機子列が第2構造体とともに移動不 能に構成されている場合において、U相~W相の コイルに電流Iu~Iwがそれぞれ流れることで第1 および第3の構造体に出力される機械的出力( 力)Wは、リラクタンス分を除くと、次式(26) 表される。
 この式(26)に式(18)~(23)を代入し、整理すると 、次式(27)が得られる。

 さらに、この機械的出力Wと、磁極を介して 第1構造体に伝達されるトルク(以下「第1トル ク」という)T1と、軟磁性体を介して第3構造 に伝達されるトルク(以下「第2トルク」とい う)T2と、第1構造体の電気角速度ωe1および第3 構造体の電気角速度ωe2との関係は、次式(28) 表される。
 これらの式(27)および(28)から明らかなよう 、第1および第2のトルクT1,T2は、次式(29)およ び(30)でそれぞれ表される。

 また、電機子列に供給された電力および移 磁界の電気角速度ωmfと等価のトルクを駆動 用等価トルクTeとすると、電機子列に供給さ た電力と機械的出力Wが互いに等しい(ただ 、損失は無視)ことと、式(28)から、この駆動 用等価トルクTeは、次式(31)で表される。
 さらに、これらの式(29)~(31)より、次式(32)が 得られる。
 この式(32)で表されるトルクの関係、および 前記式(25)で表される電気角速度の関係は、 星歯車装置のサンギヤ、リングギヤおよび ャリアにおける回転速度およびトルクの関 とまったく同じである。また、このような 気角速度の関係およびトルクの関係は、上 した第2構造体を移動不能にした場合だけに らず、あらゆる第1~第3の構造体の移動の可 の条件において成立する。例えば、第2構造 体を移動不能に構成せずに、第2構造体に動 を入力した状態で電力を供給した場合にも 立し、第2構造体に加え、第1または第3の構 体を移動不能に構成した場合や、第1または 3の構造体に動力を入力した状態で電機子列 に電力を供給した場合にも成立する。また、 第2構造体を移動可能に構成するとともに、 1および/または第3の構造体を移動不能に構 した場合や、第1および/または第3の構造体 動力を入力した状態で電力を供給した場合 も成立する。

 さらに、前述したように、b=a+cおよびa-c 0を条件として、式(25)の電気角速度の関係お よび式(32)のトルクの関係が成立する。この 件b=a+cは、磁極の数をp、電機子磁極の数をq すると、b=(p+q)/2、すなわち、b/q=(1+p/q)/2で表 される。ここで、p/q=mとすると、b/q=(1+m)/2が られることから明らかなように、上記のb=a+c という条件が成立していることは、電機子磁 極の数と磁極の数と軟磁性体の数との比が、 1:m:(1+m)/2であることを表す。また、上記のa-c 0という条件が成立していることは、m≠1.0 あることを表す。本発明の電動機によれば 所定方向における所定の区間において、電 子磁極の数と磁極の数と軟磁性体の数との が、1:m:(1+m)/2(m≠1.0)に設定されているので、 式(25)に示す電気角速度の関係および式(32)に すトルクの関係が成立し、電動機が適正に 動することが分かる。

 また、前述した従来の場合と異なり、単 の軟磁性体列だけで電動機を作動させるこ ができるので、電動機の小型化および製造 ストの削減を図ることができる。さらに、 (25)および(32)から明らかなように、α=a/c、 なわち、電機子磁極の極対数に対する磁極 極対数の比を設定することによって、移動 界、第2および第3の構造体の間の電気角速度 の関係と、第1~第3の構造体の間のトルクの関 係を自由に設定でき、したがって、電動機の 設計の自由度を高めることができる。この効 果は、複数の電機子のコイルの相数が前述し た値3以外の場合にも同様に得られ、また、 動機が回転機ではなく、リニアモータの場 にも同様に得られる。なお、リニアモータ 場合、「トルク」ではなく、「推力」の関 を自由に設定できることはもちろんである

 請求項2に係る発明は、請求項1に記載の 動機1、31において、第1~第3の構造体の相対 な位置関係を検出する相対位置関係検出手 (第1回転位置センサ21,第2回転位置センサ22, 気角変換器16b、位置センサ41)と、検出され 第1~第3の構造体の相対的な位置関係に基づ て、移動磁界を制御する制御手段(ECU16)と、 さらに備えることを特徴とする。

 この構成によれば、相対位置関係検出手 によって、第1~第3の構造体の3者の相対的な 位置関係が検出されるとともに、検出された 第1~第3の構造体の3者の相対的な位置関係に づき、移動磁界が制御手段によって制御さ る。これにより、磁極と軟磁性体と電機子 極の間に磁力線を適切に発生させ、この磁 線による磁力を適切に作用させることがで るので、電動機の適正な動作を確保するこ ができる。

 請求項3に係る発明は、請求項2に記載の 動機1、31において、相対位置関係検出手段( 1回転位置センサ21,第2回転位置センサ22,電 角変換器16b)は、第1~第3の構造体の相対的な 置関係として、第2構造体に対する第1構造 および第3構造体の電気角度位置をそれぞれ 出し、制御手段は、検出された第3構造体の 電気角度位置(第2ロータ電気角θER2)に(1+m)を 算した値と、検出された第1構造体の電気角 位置(第1ロータ電気角θER1)にmを乗算した値 の差に基づいて、移動磁界を制御すること 特徴とする。

 この構成によれば、第2構造体に対する第 3構造体の電気角度位置に(1+m)を乗算した値と 、第2構造体に対する第1構造体の電気角度位 にmを乗算した値との差に基づいて、移動磁 界が制御される。このmは、請求項1から明ら なように、電機子磁極の数に対する磁極の の比を表す。また、請求項1の作用で述べた ように、電動機の作動中、移動磁界の電気角 度位置と第2および第3の構造体の電気角度位 の関係は、式(24)で表される。この式(24)に けるαは、電機子磁極の極対数に対する磁極 の極対数の比(a/c)、すなわち、電機子磁極の に対する磁極の数の比を表し、mと等しい。 したがって、上述した構成によれば、電動機 のより適正な動作を確保することができる。

 請求項4に係る発明は、請求項1ないし3の ずれかに記載の電動機1、31において、磁極 永久磁石4a,34aの磁極であることを特徴とす 。

 この構成によれば、磁極として永久磁石 磁極を用いるので、電磁石の磁極を用いた 合と異なり、電磁石に電力を供給するため 電気回路やコイルが不要になる。これによ 、電動機をさらに小型化できるとともに、 成を単純化することができる。また、例え 、磁極を有する第1構造体を回転可能に構成 した場合に、磁極として電磁石の磁極を用い たときの電力供給用のスリップリングが不要 になり、その分、電動機を小型化できるとと もに、効率を高めることができる。

 請求項5に係る発明は、請求項1に記載の 動機1において、電動機は回転機であること 特徴とする。

 この構成によれば、請求項1で述べた効果 を、回転機において得ることができる。

 請求項6に係る発明は、請求項1に記載の 動機31において、電動機はリニアモータであ ることを特徴とする。

 この構成によれば、請求項1で述べた効果 を、リニアモータにおいて得ることができる 。

本発明の第1実施形態による電動機を概 略的に示す断面図である。 図1の電動機やECUを示すブロック図であ る。 図1の電動機のステータ、第1および第2 ロータを周方向に展開し、概略的に示す図 ある。 図1の電動機における磁界電気角速度、 第1および第2のロータ電気角速度の関係の一 を示す共線図である。 図1の電動機の第1ロータを固定した状 で、ステータに電力を供給した場合におけ 動作を説明するための図である。 図5の続きの動作を説明するための図で ある。 図6の続きの動作を説明するための図で ある。 図5に示す状態から、電機子磁極が電気 角2πだけ回転したときにおける電機子磁極や コアの位置関係を説明するための図である。 図1の電動機の第2ロータを固定した状 で、ステータに電力を供給した場合におけ 動作を説明するための図である。 図9の続きの動作を説明するための図 ある。 図10の続きの動作を説明するための図 ある。 本発明の電動機の第1ロータを固定し 場合におけるU相~W相の逆起電圧の推移の一 を示す図である。 本発明の電動機の第1ロータを固定し 場合における駆動用等価トルク、第1および 2のロータ伝達トルクの推移の一例を示す図 である。 本発明の電動機の第2ロータを固定し 場合におけるU相~W相の逆起電圧の推移の一 を示す図である。 本発明の電動機の第2ロータを固定し 場合における駆動用等価トルク、第1および 2のロータ伝達トルクの推移の一例を示す図 である。 本発明の第2実施形態による電動機な を概略的に示す正面図である。 図16の電動機の一部を概略的に示す平 図である。 図16の電動機における電機子磁極、コ および磁石磁極の数の関係を説明するため 図である。 本発明の電動機の等価回路を示す図で ある。

 以下、図面を参照しながら、本発明の好 しい実施形態について説明する。図1は、本 発明の第1実施形態による電動機1を示してい 。この電動機1は、回転機として構成されて おり、その動作が、図2に示すECU16によって制 御される。図1に示すように、電動機1は、不 のケース2と、ケース2内に設けられたステ タ3と、ケース2内にステータ3に対向するよ に設けられた第1ロータ4と、両者3,4の間に設 けられた第2ロータ5と、第1回転軸6および第2 転軸7を備えている。なお、図1では、第1回 軸6などの一部の要素を、図示の便宜上、ス ケルトン図的に描いている。また、図1およ 後述する他の図面では、断面を示す部分の ッチングを省略している。

 ケース2は、円筒状の周壁2aと、この周壁2 aの両端部に一体に設けられた円板状の一対 側壁2b,2cを有している。これらの側壁2b,2cの 央には、取付孔2d,2eがそれぞれ形成されて り、これらの取付孔2d,2eには、軸受け8およ 9がそれぞれ取り付けられている。

 上記の第1および第2の回転軸6,7は、軸受 8,9に回転自在にそれぞれ支持されており、 いに同心状に配置されている。また、第1お び第2の回転軸6,7はいずれも、その一部がケ ース2内に収容され、残りがケース2の外方に 出している。さらに、上記のステータ3、第 2ロータ5および第1ロータ4は、第1回転軸6の径 方向(以下、単に「径方向」という)に、外側 らこの順で並んでおり、同心状に配置され いる。

 ステータ3は、回転磁界を発生させるもの であり、図3に示すように、鉄芯3aと、この鉄 芯3aに設けられたU相、V相およびW相のコイル3 c,3d,3eを有している。なお、図1では、便宜上 U相コイル3cのみを示している。鉄芯3aは、 数の鋼板を積層した円筒状のものであり、 1回転軸6の軸線方向(以下、単に「軸線方向 という)に延びており、ケース2の周壁2aの内 面に取り付けられている。また、鉄芯3aの 周面には、12個のスロット3bが形成されてお 、これらのスロット3bは、軸線方向に延び とともに、第1回転軸6の周方向(以下、単に 周方向」という)に等間隔で並んでいる。上 のU相~W相のコイル3c~3eは、スロット3bに分布 巻き(波巻き)で巻回されるとともに、可変電 15に接続されている(図2参照)。この可変電 15は、インバータなどからなる電気回路とバ ッテリを組み合わせたものであり、ECU16に接 されている。

 以上の構成のステータ3では、可変電源15 ら電力が供給されたときに、鉄芯3aの第1ロ タ4側の端部に、4個の磁極が周方向に等間 で発生する(図5参照)とともに、これらの磁 による回転磁界が周方向に回転する。以下 鉄芯3aに発生する磁極を「電機子磁極」とい う。また、周方向に隣り合う各2つの電機子 極の極性は、互いに異なっている。なお、 5や後述する他の図面では、電機子磁極を、 芯3aやU相~W相のコイル3c~3eの上に、(N)および (S)で表記している。

 図3に示すように、第1ロータ4は、8個の永 久磁石4aから成る磁極列を有している。これ の永久磁石4aは、周方向に等間隔で並んで り、この磁極列は、ステータ3の鉄芯3aに対 している。各永久磁石4aは、軸線方向に延び ており、その軸線方向の長さが、ステータ3 鉄芯3aのそれと同じに設定されている。

 また、永久磁石4aは、リング状の固定部4b の外周面に取り付けられている。この固定部 4bは、軟磁性体、例えば鉄または複数の鋼板 積層したもので構成されており、その内周 が、第1回転軸6に一体に同心状に設けられ 円板状のフランジ4cの外周面に取り付けられ ている。これにより、永久磁石4aを含む第1ロ ータ4は、第1回転軸6と一体に回転自在になっ ている。さらに、上記のように軟磁性体で構 成された固定部4bの外周面に永久磁石4aが取 付けられているので、各永久磁石4aには、ス テータ3側の端部に、(N)または(S)の1つの磁極 現れる。なお、図3や後述する他の図面では 、永久磁石4aの磁極を(N)および(S)で表記して る。また、周方向に隣り合う各2つの永久磁 石4aの極性は、互いに異なっている。

 第2ロータ5は、6個のコア5aから成る軟磁 体列を有している。これらのコア5aは、周方 向に等間隔で並んでおり、この軟磁性体列は 、ステータ3の鉄芯3aと第1ロータ4の磁極列と 間に、それぞれ所定の間隔を隔てて配置さ ている。各コア5aは、軟磁性体、例えば複 の鋼板を積層したものであり、軸線方向に びている。また、コア5aの軸線方向の長さは 、永久磁石4aと同様、ステータ3の鉄芯3aのそ と同じに設定されている。さらに、コア5a 、円板状のフランジ5bの外端部に、軸線方向 に若干延びる筒状の連結部5cを介して取り付 られている。このフランジ5bは、第2回転軸7 に一体に同心状に設けられている。これによ り、コア5aを含む第2ロータ5は、第2回転軸7と 一体に回転自在になっている。なお、図3で 、便宜上、連結部5cおよびフランジ5bを省略 ている。

 また、図2に示すように、電動機1には、 磁誘導式の第1回転位置センサ21および第2回 位置センサ22が設けられている。この第1回 位置センサ21は、ステータ3の特定のU相コイ ル3c(以下「基準コイル」という)に対する第1 ータ4の特定の永久磁石4aの回転角度位置(以 下「第1ロータ回転角θR1」という)を表す検出 信号を、ECU16に出力する。上記の第2回転位置 センサ22は、基準コイルに対する第2ロータ5 特定のコア5aの回転角度位置(以下「第2ロー 回転角θR2」という)を表す検出信号を、ECU16 に出力する。

 さらに、電動機1には、第1電流センサ23お よび第2電流センサ24が設けられている。これ らの第1および第2の電流センサ23,24はそれぞ 、U相およびV相のコイル3c,3dをそれぞれ流れ 電流(以下、それぞれ「U相電流Iu」「V相電 Iv」という)を表す検出信号をECU16に出力する 。

 ECU16は、I/Oインターフェース、CPU、RAMお びROMなどからなるマイクロコンピュータで 成されており、上述した各種のセンサ21~24か らの検出信号に応じて、電動機1の動作を制 する。

 なお、本実施形態では、永久磁石4aが本 明における磁極に相当するとともに、第1ロ タ4および第1回転軸6が、本発明における第1 構造体に相当する。また、鉄芯3aおよびU相~W のコイル3c~3eが、本発明における電機子に 当するとともに、ステータ3が、本発明にお る第2構造体に相当する。さらに、コア5aが 発明における軟磁性体に相当するとともに 第2ロータ5および第2回転軸7が、本発明にお ける第3構造体に相当する。また、ECU16が、本 発明における制御手段に相当するとともに、 第1および第2の回転位置センサ21,22が、本発 における相対位置関係検出手段に相当する

 前述したように、電動機1では、電機子磁極 が4個、永久磁石4aの磁極(以下「磁石磁極」 いう)が8個、コア5aが6個である。すなわち、 電機子磁極の数と磁石磁極の数とコア5aの数 の比(以下「極数比」という)は、1:2.0:(1+2.0)/ 2に設定されている。このことと、前述した (18)~(20)から明らかなように、ステータ3に対 て第1ロータ4や第2ロータ5が回転するのに伴 ってU相~W相のコイル3c~3eにそれぞれ発生する 起電圧(以下、それぞれ「U相逆起電圧Vcu」 V相逆起電圧Vcv」「W相逆起電圧Vcw」という) 、次式(33)、(34)および(35)で表される。

 ここで、Iは、U相~W相のコイル3c~3eを流れ 電流の振幅(最大値)、ψFは、磁石磁極の磁 の最大値である。θER1は、いわゆる機械角で ある第1ロータ回転角θR1を電気角度位置に換 した値(以下「第1ロータ電気角」という)で り、具体的には、第1ロータ回転角θR1に電 子磁極の極対数、すなわち値2を乗算した値 ある。θER2は、機械角である第2ロータ回転 θR2を電気角度位置に換算した値(以下「第2 ータ電気角」という)であり、具体的には、 第2ロータ回転角θR2に電機子磁極の極対数(値 2)を乗算した値である。また、ωER1は、θER1の 時間微分値、すなわち、ステータ3に対する 1ロータ4の角速度を電気角速度に換算した値 (以下「第1ロータ電気角速度」という)である 。さらに、ωER2は、第2ロータ電気角速度であ り、θER2の時間微分値、すなわち、ステータ3 に対する第2ロータ5の角速度を電気角速度に 算した値(以下「第2ロータ電気角速度」と う)である。

 また、前述した極数比と前記式(21)~(23)から らかなように、U相電流Iu、V相電流Iv、およ W相のコイル3eを流れる電流(以下「W相電流Iw 」という)は、次式(36)、(37)および(38)でそれ れ表される。

 さらに、極数比と前記式(24)および(25)から らかなように、基準コイルに対するステー 3の回転磁界のベクトルの電気角度位置(以下 「磁界電気角度位置θMFR」という)は、次式(39 )で表され、ステータ3に対する回転磁界の電 角速度(以下「磁界電気角速度ωMFR」という) は、次式(40)で表される。

 このため、磁界電気角速度ωMFRと第1ロー 電気角速度ωER1と第2ロータ電気角速度ωER2 関係を、いわゆる共線図で表すと、例えば 4のように示される。

 また、ステータ3に供給された電力および磁 界電気角速度ωMFRと等価のトルクを駆動用等 トルクTSEとすると、この駆動用等価トルクT SEと、第1ロータ4に伝達されるトルク(以下「 1ロータ伝達トルク」という)TR1と、第2ロー 5に伝達されるトルク(以下「第2ロータ伝達 ルク」という)TR2との関係は、極数比と前記 式(32)から明らかなように、次式(41)で表され 。

 上記の式(40)で表される電気角速度の関係 、および上記の式(41)で表されるトルクの関 は、サンギヤおよびリングギヤのギヤ比が1: 2の遊星歯車装置のサンギヤ、リングギヤお びキャリアにおける回転速度およびトルク 関係とまったく同じである。

 ECU16は、上記式(39)に基づき、U相~W相のコ ル3c~3eへの通電を制御し、それにより、回 磁界を制御する。具体的には、図2に示すよ に、ECU16は、目標電流算出部16a、電気角変 器16b、電流座標変換器16c、偏差算出部16d、 流制御器16e、および電圧座標変換器16fを有 ており、いわゆるベクトル制御によりU相~W の電流Iu,Iv,Iwを制御することによって、回転 磁界を制御する。なお、本実施形態では、電 気角変換器16bが相対位置関係検出手段に相当 する。

 上記の目標電流算出部16aは、後述するd軸 電流Idおよびq軸電流Iqの目標値(以下、それぞ れ「目標d軸電流Id_tar」「目標q軸電流Iq_tar」 いう)を算出するとともに、算出した目標d 電流Id_tarおよび目標q軸電流Iq_tarを、偏差算 部16dに出力する。なお、これらの目標d軸電 流Id_tarおよび目標q軸電流Iq_tarは、例えば電 機1の負荷などに応じて算出される。

 電気角変換器16bには、第1および第2の回 位置センサ21,22でそれぞれ検出された第1お び第2のロータ回転角θR1,θR2が入力される。 気角変換器16bは、入力された第1および第2 ロータ回転角θR1,θR2に、電機子磁極の極対 (値2)を乗算することによって、前述した第1 よび第2のロータ電気角θER1,θER2を算出する また、算出した第1および第2のロータ電気 θER1,θER2を、電流座標変換器16cおよび電圧座 標変換器16fに出力する。

 電流座標変換器16cには、第1および第2のロ タ電気角θER1,θER2に加え、第1および第2の電 センサ23,24でそれぞれ検出されたU相およびV 相の電流Iu,Ivが入力される。電流座標変換器1 6cは、入力されたU相およびV相の電流Iu,Ivと第 1および第2のロータ電気角θe1,θe2に基づいて そのときどきの3相交流座標上でのU相~W相の 電流Iu~Iwを、dq座標上でのd軸電流Idおよびq軸 流Iqに変換する。このdq座標は、(3・θER2-2・ θER1)をd軸とし、このd軸に直交する軸をq軸と して、(3・ωER2-2・ωER1)で回転するものである 。具体的には、d軸電流Idおよびq軸電流Iqは、 次式(42)によって算出される。
 また、電流座標変換器16cは、算出したd軸電 流Idおよびq軸電流Iqを偏差算出部16dに出力す 。

 偏差算出部16dは、入力された目標d軸電流 Id_tarとd軸電流Idとの偏差(以下「d軸電流偏差d Id」という)を算出するとともに、入力された 目標q軸電流Iq_tarとq軸電流Iqとの偏差(以下「q 軸電流偏差dIq」という)を算出する。また、 出したd軸電流偏差dIdおよびq軸電流偏差dIqを 、電流制御器16eに出力する。

 電流制御器16eは、入力されたd軸電流偏差 dIdおよびq軸電流偏差dIqに基づき、所定のフ ードバック制御アルゴリズム、例えばPI制御 アルゴリズムによって、d軸電圧Vdおよびq軸 圧Vqを算出する。これにより、d軸電圧Vdは、 d軸電流Idが目標d軸電流Id_tarになるように算 され、q軸電圧Vqは、q軸電流Iqが目標q軸電流I q_tarになるように算出される。また、算出し d軸およびq軸の電圧Vd,Vqを、電圧座標変換器 16fに出力する。

 電圧座標変換器16fは、入力されたd軸電圧Vd よびq軸電圧Vqを、入力された第1および第2 ロータ電気角θER1,θER2に基づいて、3相交流 標上でのU相~W相の電圧Vu,Vv,Vwの指令値(以下 それぞれ「U相電圧指令値Vu_cmd」「V相電圧指 令値Vv_cmd」「W相電圧指令値Vw_cmd」という)に 換する。具体的には、U相~W相の電圧指令値V u_cmd~Vw_cmdは、次式(43)によって算出される。
 また、電圧座標変換器16fは、算出したU相~W の電圧指令値Vu_cmd~Vw_cmdを前述した可変電源 15に出力する。

 これに伴い、可変電源15は、U相~W相の電 Vu~Vwを、U相~W相の電圧指令値Vu_cmd~Vw_cmdにそ ぞれなるように電動機1に印可する。これに り、U相~W相の電流Iu~Iwが制御され、この場 、これらの電流Iu~Iwは、前記式(36)~(38)でそれ ぞれ表される。また、電流の振幅Iは、目標d 電流Id_tarおよび目標q軸電流Iq_tarに基づいて 定まる。

 以上のようなECU16による制御によって、 界電気角度位置θMFRは、前記式(39)が成立す ように制御され、磁界電気角速度ωMFRは、前 記式(40)が成立するように制御される。

 以上の構成の電動機1は、例えば次のよう にして用いられる。すなわち、第1および第2 ロータ4,5の一方を固定し、あるいは、これ の一方に動力を入力した状態で、ステータ3 に供給した電力を動力に変換し、これらの他 方から出力する。また、第1および第2のロー 4,5の双方から動力を同時に出力する場合に 、式(41)を満たすような負荷トルクが第1お び第2のロータ4,5に同時に作用するようなも 、例えば二重反転プロペラの動力源として いる。

 次に、ステータ3に供給された電力が、具 体的にどのようにして動力に変換され、第1 ータ4や第2ロータ5から出力されるかについ 説明する。まず、図5~図7を参照しながら、 1ロータ4を固定した状態でステータ3に電力 供給した場合について説明する。なお、図5~ 図7では、便宜上、複数の構成要素の符号を 略している。このことは、後述する他の図 においても同様である。また、理解の容易 のために、図5~図7に示される同じ1つの電機 磁極およびコア5aに、ハッチングを付して る。

 まず、図5(a)に示すように、ある1つのコ 5aの中心と、ある1つの永久磁石4aの中心が、 周方向に互いに一致するとともに、そのコア 5aから3つ目のコア5aの中心と、その永久磁石4 aから4つ目の永久磁石4aの中心が、周方向に いに一致した状態から、回転磁界を、同図 左方に回転するように発生させる。その発 の開始時においては、互いに同じ極性を有 る1つおきの電機子磁極の位置を、中心がコ 5aと一致している各永久磁石4aの中心と周方 向に一致させるとともに、この電機子磁極の 極性をこの永久磁石4aの磁石磁極の極性と異 らせる。

 前述したようにステータ3による回転磁界 が第1ロータ4との間に発生することと、コア5 aを有する第2ロータ5がステータ3と第1ロータ4 の間に配置されていることから、電機子磁極 および磁石磁極により、各コア5aは磁化され 。このことと、隣り合う各コア5aの間に間 が空いていることから、電機子磁極とコア5a と磁石磁極を結ぶような磁力線MLが発生する なお、図5~図7では、便宜上、鉄芯3aや固定 4bにおける磁力線MLを省略している。このこ は、後述する他の図面においても同様であ 。

 図5(a)に示す状態では、磁力線MLは、周方 の位置が互いに一致している電機子磁極、 ア5aおよび磁石磁極を結び、かつ、これら 電機子磁極、コア5aおよび磁石磁極のそれぞ れの周方向の各両側に隣り合う電機子磁極、 コア5aおよび磁石磁極を結ぶように発生する また、この状態では、磁力線MLが直線状で ることにより、コア5aには、周方向に回転さ せるような磁力は作用しない。

 そして、回転磁界の回転に伴って電機子 極が図5(a)に示す位置から図5(b)に示す位置 回転すると、磁力線MLが曲がった状態になり 、それに伴い、磁力線MLが直線状になるよう 、コア5aに磁力が作用する。この場合、磁 線MLで互いに結ばれた電機子磁極および磁石 磁極を結ぶ直線に対して、磁力線MLが、この ア5aにおいて回転磁界の回転方向(以下「磁 回転方向」という)と逆方向に凸に曲がった 状態になるため、上記の磁力は、コア5aを磁 回転方向に駆動するように作用する。この うな磁力線MLによる磁力の作用により、コ 5aは、磁界回転方向に駆動され、図5(c)に示 位置に回転し、コア5aが設けられた第2ロー 5および第2回転軸7も、磁界回転方向に回転 る。なお、図5(b)および(c)における破線は、 力線MLの磁束量が極めて小さく、電機子磁 とコア5aと磁石磁極の間の磁気的なつながり が弱いことを表している。このことは、後述 する他の図面においても同様である。

 また、回転磁界がさらに回転するのに伴 、上述した一連の動作、すなわち、「磁力 MLがコア5aにおいて磁界回転方向と逆方向に 凸に曲がる→磁力線MLが直線状になるように ア5aに磁力が作用する→コア5aや第2ロータ5 第2回転軸7が、磁界回転方向に回転する」 いう動作が、図6(a)~図6(d)、図7(a)および(b)に すように、繰り返し行われる。以上のよう 磁力線MLによる磁力の作用により、ステー 3に供給された電力が動力に変換され、第2回 転軸7から出力される。

 また、図8は、図5(a)の状態から電機子磁 が電気角2πだけ回転した状態を示しており 図8と図5(a)の比較から明らかなように、コア 5aは、電機子磁極に対して1/3の回転角度だけ 同方向に回転していることが分かる。この 果は、前記式(40)において、ωER1=0とするこ によって、ωER2=ωMFR/3が得られることと合致 る。

 次に、図9~図11を参照しながら、第2ロー 5を固定した状態で、ステータ3に電力を供給 した場合の動作について説明する。なお、図 9~図11では、理解の容易化のために、同じ1つ 電機子磁極および永久磁石4aに、ハッチン を付している。まず、図9(a)に示すように、 述した図5(a)の場合と同様、ある1つのコア5a の中心と、ある1つの永久磁石4aの中心が、周 方向に互いに一致するとともに、そのコア5a ら3つ目のコア5aの中心と、その永久磁石4a ら4つ目の永久磁石4aの中心が、周方向に互 に一致した状態から、回転磁界を、同図の 方に回転するように発生させる。その発生 開始時においては、互いに同じ極性を有す 1つおきの電機子磁極の位置を、中心がコア5 aと一致している各永久磁石4aの中心と周方向 に一致させるとともに、この電機子磁極の極 性をこの永久磁石4aの磁極の極性と異ならせ 。

 図9(a)に示す状態では、図5(a)の場合と同 、磁力線MLは、周方向の位置が互いに一致し ている電機子磁極、コア5aおよび磁石磁極を び、かつ、これらの電機子磁極、コア5aお び磁石磁極のそれぞれの周方向の各両側に り合う電機子磁極、コア5aおよび磁石磁極を 結ぶように発生する。また、この状態では、 磁力線MLが直線状であることにより、永久磁 4aには、周方向に回転させるような磁力は 用しない。

 そして、回転磁界の回転に伴って電機子 極が図9(a)に示す位置から図9(b)に示す位置 回転すると、磁力線MLが曲がった状態になり 、それに伴い、磁力線MLが直線状になるよう 、永久磁石4aに磁力が作用する。この場合 この永久磁石4aが、磁力線MLで互いに結ばれ 電機子磁極およびコア5aの延長線上よりも 界回転方向に進んだ位置にあるため、上記 磁力は、この延長線上に永久磁石4aを位置さ せるように、すなわち、永久磁石4aを磁界回 方向と逆方向に駆動するように作用する。 のような磁力線MLによる磁力の作用により 永久磁石4aは、磁界回転方向と逆方向に駆動 され、図9(c)に示す位置に回転し、永久磁石4a が設けられた第1ロータ4および第1回転軸6も 磁界回転方向と逆方向に回転する。

 また、回転磁界がさらに回転するのに伴 、上述した一連の動作、すなわち、「磁力 MLが曲がり、磁力線MLで互いに結ばれた電機 子磁極およびコア5aの延長線上よりも、永久 石4aが磁界回転方向に進んだ位置に位置す →磁力線MLが直線状になるように永久磁石4a 磁力が作用する→永久磁石4aや第1ロータ4、 第1回転軸6が、磁界回転方向と逆方向に回転 る」という動作が、図10(a)~図10(d)、図11(a)お よび(b)に示すように、繰り返し行われる。以 上のような磁力線MLによる磁力の作用により ステータ3に供給された電力が動力に変換さ れ、第1回転軸6から出力される。

 また、図11(b)は、図9(a)の状態から電機子 極が電気角2πだけ回転した状態を示してお 、図11(b)と図9(a)の比較から明らかなように 永久磁石4aは、電機子磁極に対して1/2の回 角度だけ、逆方向に回転していることが分 る。この結果は、前記式(40)において、ωER2=0 とすることによって、-ωER1=ωMFR/2が得られる とと合致する。

 また、図12および図13は、電機子磁極、コ ア5aおよび永久磁石4aの数を、値16、値18およ 値20にそれぞれ設定し、第1ロータ4を固定す るとともに、ステータ3への電力の供給によ 第2ロータ5から動力を出力した場合における シミュレーション結果を示している。図12は 第2ロータ電気角θER2が値0~2πまで変化する におけるU相~W相の逆起電圧Vcu~Vcwの推移の一 を示している。

 この場合、第1ロータ4が固定されている とと、電機子磁極および磁石磁極の極対数 それぞれ値8および値10であることと、前記 (25)から、磁界電気角速度ωMFR、第1および第2 のロータ電気角速度ωER1,ωER2の関係は、ωMFR=2 .25・ωER2で表される。図12に示すように、第2 ータ電気角θER2が値0~2πまで変化する間に、 U相~W相の逆起電圧Vcu~Vcwは、ほぼ2.25周期分、 生している。また、図12は、第2ロータ5から 見たU相~W相の逆起電圧Vcu~Vcwの変化状態を示 ており、同図に示すように、これらの逆起 圧は、第2ロータ電気角θER2を横軸として、W 逆起電圧Vcw、V相逆起電圧VcvおよびU相逆起 圧Vcuの順に並んでおり、このことは、第2ロ タ5が磁界回転方向に回転していることを表 す。以上のように、図12に示すシミュレーシ ン結果からも、ωMFR=2.25・ωER2が成立するこ が確認できた。

 さらに、図13は、駆動用等価トルクTSE、 1および第2のロータ伝達トルクTR1,TR2の推移 一例を示している。この場合、電機子磁極 よび磁石磁極の極対数がそれぞれ値8および 10であることと、前記式(32)から、駆動用等 トルクTSE、第1および第2のロータ伝達トル TR1,TR2の関係は、TSE=TR1/1.25=-TR2/2.25で表される 。図13に示すように、駆動用等価トルクTSEは ほぼ-TREFに、第1ロータ伝達トルクTR1は、ほ 1.25・(-TREF)に、第2ロータ伝達トルクTR2は、 ぼ2.25・TREFになっている。このTREFは所定の ルク値(例えば200Nm)である。このように、図 13に示すシミュレーション結果からも、TSE=TR1 /1.25=-TR2/2.25が成立することが確認できた。

 また、図14および図15は、電機子磁極、コ ア5aおよび永久磁石4aの数を図12および図13の 合と同様に設定し、第1ロータ4に代えて第2 ータ5を固定するとともに、ステータ3への 力の供給により第1ロータ4から動力を出力し た場合におけるシミュレーション結果を示し ている。図14は、第1ロータ電気角θER1が値0~2 まで変化する間におけるU相~W相の逆起電圧Vc u~Vcwの推移の一例を示している。

 この場合、第2ロータ5が固定されている とと、電機子磁極および磁石磁極の極対数 それぞれ値8および値10であることと、前記 (25)から、磁界電気角速度ωMFR、第1および第2 のロータ電気角速度ωER1,ωER2の関係は、ωMFR=- 1.25・ωER1で表される。図14に示すように、第1 ロータ電気角θER1が値0~2πまで変化する間に U相~W相の逆起電圧Vcu~Vcwは、ほぼ1.25周期分、 発生している。また、図14は、第1ロータ4か 見たU相~W相の逆起電圧Vcu~Vcwの変化状態を示 ており、同図に示すように、これらの逆起 圧は、第1ロータ電気角θER1を横軸として、U 相逆起電圧Vcu、V相逆起電圧VcvおよびW相逆起 圧Vcwの順に並んでおり、このことは、第1ロ ータ4が磁界回転方向と逆方向に回転してい ことを表す。以上のように、図14に示すシミ ュレーション結果からも、ωMFR=-1.25・ωER1が 立することが確認できた。

 さらに、図15は、駆動用等価トルクTSE、 1および第2のロータ伝達トルクTR1,TR2の推移 一例を示している。この場合にも、図13の場 合と同様、式(32)から、駆動用等価トルクTSE 第1および第2のロータ伝達トルクTR1,TR2の関 は、TSE=TR1/1.25=-TR2/2.25で表される。図15に示 ように、駆動用等価トルクTSEは、ほぼTREFに 第1ロータ伝達トルクTR1は、ほぼ1.25・TREFに 第2ロータ伝達トルクTR2は、ほぼ-2.25・TREFに なっている。このように、図15に示すシミュ ーション結果からも、TSE=TR1/1.25=-TR2/2.25が成 立することが確認できた。

 以上のように、本実施形態によれば、コ 5aで構成された単一の軟磁性体列だけで電 機1を作動させることができるので、電動機1 の小型化および製造コストの削減を図ること ができる。また、電機子磁極の極対数に対す る磁石磁極の極対数の比を設定することによ って、磁界電気角速度ωMFR、第1および第2の ータ電気角速度ωER1,ωER2の関係と、駆動用等 価トルクTSE、第1および第2のロータ伝達トル TR1,TR2の関係を自由に設定でき、したがって 、電動機1の設計の自由度を高めることがで る。

 さらに、磁界電気角度位置θMFRを前記式(4 0)が成立するように制御するので、電動機1の 適正な動作を確保することができる。また、 永久磁石4aの磁極を用いるので、電磁石の磁 を用いた場合と異なり、電磁石に電力を供 するための電気回路やコイルが不要になる これにより、電動機1をさらに小型化できる とともに、構成を単純化することができる。 また、磁極として電磁石の磁極を用いたとき の電力供給用のスリップリングが不要になり 、その分、電動機1を小型化できるとともに 効率を高めることができる。

 なお、上述した第1実施形態では、第1お び第2のロータ4,5を回転自在に構成している 、両者4,5の一方を回転不能に構成するとと に、他方のみを回転自在に構成し、他方か 動力を出力してもよい。この場合、第1およ び第2のロータ4,5の一方が回転不能に構成さ ているため、前記式(39)において、両者4,5の 方の電気角度位置が値0になることから明ら かなように、両者4,5の他方の電気角度位置の みをセンサなどで検出するとともに、検出さ れた他方の電気角度位置に応じて、回転磁界 を制御すればよい。また、ステータ3を回転 在に構成してもよく、その場合には、電動 は例えば次のように用いられる。すなわち 第1および第2のロータ4,5の一方と、ステータ 3に動力を入力した状態で、ステータ3に電力 供給し、この電力を動力に変換して、両ロ タ4,5の他方から出力する。あるいは、第1お よび第2のロータ4,5の一方を固定した状態(ま は、この一方に動力を入力した状態)で、ス テータ3および他方から動力を同時に出力す 場合には、式(41)を満たすような負荷トルク ステータ3および他方に同時に作用するよう なもの、例えば二重反転プロペラの動力源と して用いる。

 さらに、第1実施形態では、第1および第2 ロータ回転角θR1,θR2として、基準コイルす わち特定のU相コイル3cに対する特定の永久 石4aおよびコア5aの回転角度位置をそれぞれ 検出しているが、ステータ3に対する第1およ 第2のロータ4,5の回転角度位置を表すのであ れば、他の部位の回転角度位置を検出しても よい。例えば、特定のV相コイル3dや、特定の W相コイル3e、ケース2の特定の部位に対する 固定部4bや第1回転軸6の特定の部位の回転角 位置を第1ロータ回転角θR1として、フラン 5bや第2回転軸7の特定の部位の回転角度位置 第2ロータ回転角θR2として、それぞれ検出 てもよい。

 また、第1実施形態では、回転磁界の制御 に用いる磁界電気角度位置θMFRを、第1および 第2の回転位置センサ21,22で検出された第1お び第2のロータ回転角θR1,θR2を用い、式(39)に よって算出しているが、特願2007-280916号に記 された手法によって求めてもよい。具体的 は、サンギヤとリングギヤの歯数の比が電 子磁極および磁石磁極の一方の数に対する 方の数の比と同じ値である遊星歯車装置と 単一の回転位置センサを用意し、サンギヤ よびリングギヤの一方を第1ロータ4に、キ リアを第2ロータ5に、それぞれ連結するとと もに、特定のU相コイル3cに対するサンギヤお よびリングギヤの他方の回転角度位置を、回 転位置センサで検出する。この場合、電機子 磁極の数が磁石磁極の数よりも大きい場合、 第1ロータ4には、サンギヤが連結される。

 以上により、上記の回転位置センサで検 される回転角度位置は、電機子磁極の数に する磁石磁極の数の比をγとすると、(1+γ)θ R2-γ・θR1を表す。このことから明らかなよう に、第1および第2のロータ4,5の回転角度位置 2つのセンサで別個に検出することなく、遊 星歯車装置と単一の回転位置センサによって 、回転磁界の制御に用いる磁界電気角度位置 θMFRを求めることができる。

 さらに、第1実施形態では、ステータ3お び第1ロータ4を、径方向の外側および内側に それぞれ配置しているが、これとは逆に、径 方向の内側および外側にそれぞれ配置しても よい。また、ステータ3、第1および第2のロー タ4,5を径方向に並ぶように配置し、いわゆる ラジアルタイプとして電動機1を構成してい が、ステータ3、第1および第2のロータ4,5を 線方向に並ぶように配置し、いわゆるアキ ャルタイプとして電動機1を構成してもよい

 次に、図16および図17を参照しながら、本 発明の第2実施形態による電動機31について説 明する。同図に示す電動機31は、第1実施形態 と異なり、リニアモータとして構成されてお り、搬送装置に適用されたものである。なお 、図16において、第1実施形態と同じ構成要素 については、同じ符号を用いて示している。 以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明 る。

 図16および図17に示すように、電動機31は 不動のケース32と、ケース32内に設けられた 第1ステータ33と、ケース32内に第1ステータ33 対向するように設けられた第2ステータ34と 両ステータ33,34の間に設けられた可動子35を 備えている。

 ケース32は、前後方向(図16の奥行き方向 図17の上下方向)を長さ方向とする板状の底 32aと、この底壁32aの両端部からそれぞれ上 に延び、互いに対向する側壁32bおよび32cと 一体に有している。

 第1ステータ33は、移動磁界を発生させる のであり、図17に示すように、鉄芯33aと、 の鉄芯33aに設けられたU相、V相およびW相の イル33c,33d,33eを有している。鉄芯33aは、複数 の鋼板を積層した直方体状のものであり、前 後方向に、ケース32の全体に延びており、ケ ス32の側壁32bに取り付けられている。また 鉄芯33aの第2ステータ34側の面には、多数の ロット33bが形成されており、これらのスロ ト33bは、上下方向に延びるとともに、前後 向に等間隔に並んでいる。上記のU相~W相の イル33c~33eは、スロット33bに分布巻き(波巻き )で巻回されるとともに、前述した可変電源15 に接続されている。

 以上の構成の第1ステータ33では、可変電 15から電力が供給されたときに、鉄芯33aの 2ステータ34側の端部に、多数の磁極が前後 向に等間隔で発生する(図18参照)とともに、 れらの磁極による移動磁界が前後方向に移 する。以下、鉄芯33aに発生する磁極を、第1 実施形態と同様、「電機子磁極」という。な お、図18では、電機子磁極を、図5と同様、鉄 芯33aやU相~W相のコイル33c~33eの上に、(N)およ (S)で表記している。この場合、同図に示す うに、前後方向に沿う所定の区間INTにおけ 電機子磁極の数は、値4である。

 第2ステータ34は、多数の永久磁石34aから る磁極列を有している。これらの永久磁石3 4aは、前後方向に等間隔で並んでおり、この 極列は、第1ステータ33の鉄芯33aに対向して る。各永久磁石34aは、直方体状に形成され おり、その上下方向の長さが、鉄芯33aのそ と同じに設定されている。また、永久磁石3 4aは、底壁32aの上面の右端部に(図16の右側を 右」)、固定部34bを介して取り付けられると ともに、側壁32cに取り付けられている。この 固定部34bは、軟磁性体、例えば鉄で構成され ている。このように鉄で構成された固定部34b に永久磁石34aが取り付けられているので、各 永久磁石34aには、第1ステータ33側の端部に、 (N)または(S)の1つの磁極が現れる。なお、図17 および図18では、図3と同様、永久磁石34aの磁 極(以下、第1実施形態と同様「磁石磁極」と う)を、(N)および(S)で表記している。また、 図18に示すように、前後方向に隣り合う各2つ の永久磁石34aの極性は、互いに異なっており 、所定の区間INTにおける永久磁石34aの数は、 値8である。

 可動子35は、第1および第2のステータ33,34 上方に設けられた天板35aと、この天板35aに けられた6個のコア35bから成る軟磁性体列を 有している。天板35aの前後方向および左右方 向の大きさは、ケース32よりも小さくなって り、第1および第2のステータ33,34の一部を覆 っている。

 各コア35bは、軟磁性体、例えば複数の鋼 を積層した直方体状のものであり、その上 方向の長さが、鉄芯33aのそれと同じに設定 れている。また、6個のコア35bは、それぞれ の上端部に設けられた連結部35cを介して、天 板35aで連結されており、前後方向に等間隔で 並んでいる。さらに、コア35bから成る軟磁性 体列は、第1ステータ33の鉄芯33aと第2ステー 34の磁極列との間に、それぞれ所定の間隔を 隔てて配置されている。また、各コア35bの底 部には、車輪35dが設けられている。コア35bは 、この車輪35dを介して底壁32aの上面のレール (図示せず)に載置されており、それにより、 ア35bを含む可動子35は、前後方向に移動自 であるとともに、左右方向に移動不能にな ている。なお、図17および図18では、便宜上 連結部35cを省略している。

 なお、本実施形態では、第2ステータ34が 本発明における第1構造体に相当するととも に、永久磁石34aが本発明における磁極に相当 する。また、第1ステータ33が本発明における 第2構造体に相当するとともに、鉄芯33aおよ U相~W相のコイル33c~33eが、本発明における電 子に相当する。さらに、可動子35が本発明 おける第3構造体に相当するとともに、コア3 5bが本発明における軟磁性体に相当する。

 また、電動機31には、光学式の位置セン 41(相対位置関係検出手段)が設けられており この位置センサ41は、第1ステータ33の特定 U相コイル33cに対する可動子35の特定のコア35 bの位置(以下「可動子位置」という)を表す検 出信号を、ECU16に出力する。ECU16は、検出さ た可動子位置に応じ、可動子35と第1および 2のステータ33,34との相対的な位置関係を求 るとともに、この位置関係に基づいて、U相~ W相のコイル33c~33eへの通電を制御し、それに り、移動磁界を制御する。この制御は、よ 具体的には、以下のようにして行われる。

 図18に示すように、所定の区間INTでは、 1実施形態と同様、電機子磁極が4個、磁石磁 極が8個、コア35bが6個である。すなわち、電 子磁極の数と磁石磁極の数とコア35bの数と 比は、1:2:(1+2)/2に設定されている。本実施 態では、永久磁石34aが移動不能に構成され いることと、前記式(39)から、移動磁界のベ トルの電気角度位置(以下「磁界電気角度位 置θMFM」という)は、θMFM=3・θEMが成立するす ように制御される。このθEMは、可動子位置 を電気角度位置に換算した値(以下「可動子 気角度位置」という)であり、具体的には、 出された可動子位置に電機子磁極の極対数 すなわち値2を乗算した値である。なお、こ の制御は、第1実施形態と同様、ベクトル制 によりU相~W相のコイル33c~33eに流れる電流を 御することによって行われる。

 以上により、移動磁界の電気角速度(以下 「磁界電気角速度ωMFM」という)は、ωMFM=3・ω EMが成立するするように制御される。このωEM は、可動子電気角度位置θEMの時間微分値で り、可動子35の移動速度を電気角速度に換算 した値(以下「可動子電気角速度」という)で る。また、第1ステータ33に供給された電力 よび磁界電気角速度ωMFMと等価の推力を、 動用等価推力FSEとすると、この駆動用等価 力FSEと、可動子35に伝達される推力(以下「 動子伝達推力」という)FMの関係は、前記式(4 1)から、FSE=-FM/3で表される。

 以上のように、本実施形態によれば、第1 実施形態と同様、6個のコア35bから成る単一 軟磁性体列だけで電動機31を作動させること ができるので、電動機31の小型化および製造 ストの削減を図ることができる。また、所 の区間INTにおける電機子磁極の極対数に対 る磁石磁極の極対数の比を設定することに って、磁界電気角速度ωMFMおよび可動子電 角速度ωEMの関係と、駆動用等価推力FSEおよ 可動子伝達推力FMの関係を自由に設定でき したがって、電動機31の設計の自由度を高め ることができる。

 さらに、磁界電気角度位置θMFMを、θMFM=3 θEMが成立するように制御するので、電動機 31の適正な動作を確保することができる。ま 、第1実施形態と同様、永久磁石34aの磁極を 用いるので、電動機31のさらなる小型化や構 の単純化を図ることができる。

 なお、電動機31を次のようにして構成し もよい。すなわち、第2ステータ34の複数の 久磁石34aを天板35aとは別の天板で連結する とで第2可動子を構成するとともに、この第2 可動子を、ケース32に対して前後方向に移動 在に設ける。そして、第1実施形態と同様に 、可動子35および第2可動子の少なくとも一方 から動力を出力するようにしてもよい。それ に加え、第1ステータ33の鉄芯33aを天板に取り 付けることで第3可動子を構成するとともに この第3可動子を、ケース32に対して前後方 に移動自在に構成してもよい。そして、第1 施形態で述べたように、可動子35や、第2可 子、第3可動子から動力を出力するようにし てもよい。

 上記のように第2可動子を設ける場合には 、可動子35の可動子位置に加え、特定のU相コ イル33cに対する第2可動子の特定の永久磁石34 aの位置をセンサなどで検出するとともに、 動子位置と検出された第2可動子の位置に応 、式(39)に基づいて、磁界電気角度位置θMFM 算出される。そして、算出した磁界電気角 位置θMFMが回動磁界の制御に用いられる。

 また、第2実施形態では、可動子位置とし て、特定のU相コイル33cに対する特定のコア35 aの位置を検出しているが、第1ステータ33に する可動子35の位置を表すのであれば、他の 部位の位置を検出してもよい。例えば、特定 のV相コイル33dや、特定のW相コイル33e、ケー 32の特定の部位に対する、天板35aなどの特 の部位の位置を可動子位置として検出して よい。このことは、上述したように第2可動 や、第3可動子を設けた場合にも同様に当て はまる。

 なお、本発明は、説明した実施形態に限 されることなく、種々の態様で実施するこ ができる。例えば、実施形態では、1つの磁 極を、単一の永久磁石4a,34aの磁極で構成して いるが、複数の永久磁石の磁極で構成しても よい。例えば、2つの永久磁石の磁極がステ タ3(第1ステータ33)側で近づき合うように、 れらの2つの永久磁石を逆V字状に並べること により、1つの磁極を構成することによって 磁力線MLの指向性を高めることができる。ま た、実施形態における永久磁石4a,34aに代えて 、電磁石や移動磁界を発生可能な電機子を用 いてもよい。さらに、実施形態では、U相~W相 のコイル3c~3e、33c~33eをスロット3b、33bに分布 きで巻回しているが、これに限らず、集中 きでもよい。また、実施形態では、コイル3 c~3e、33c~33eを、U相~W相の3相コイルで構成して いるが、移動磁界(回転磁界)を発生できれば このコイルの相数はこれに限らず、任意で る。

 さらに、スロット3b、33bの数として、実 形態で示した以外の任意の数を採用しても いことはもちろんである。また、実施形態 は、スロット3b、33bや、永久磁石4a、34a、コ 5b、35bを等間隔に配置しているが、不等間 に配置してもよい。さらに、実施形態では 電機子磁極が4個、磁石磁極が8個、コア5a、3 5bが6個であるが、これらの数の比が1:m:(1+m)/2( m≠1.0)を満たすものであれば、電機子磁極、 石磁極およびコア5a、35bの数として、任意 数を採用可能である。また、実施形態では 第1回転位置センサ21や、第2回転位置センサ2 2、位置センサ41は、電磁誘導式のものである が、光学式のものでもよい。さらに、実施形 態では、本発明における制御手段として、ECU 16を用いているが、マイクロコンピュータと 気回路を組み合わせたものを用いてもよい その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の 成を適宜、変更することが可能である。

産業上の利用の可能性

 本発明の電動機は、小型化および製造コ トの削減を図ることができるとともに、設 の自由度を高める上で、極めて有用である