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Patent Searching and Data


Title:
ELECTRODE FOIL FOR ELECTROLYTIC CAPACITOR, ELECTROLYTIC CAPACITOR, AND PRODUCTION METHODS THEREFOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/174751
Kind Code:
A1
Abstract:
An electrode foil for an electrolytic capacitor, said electrode foil comprising a metal porous part and a metal core part that is contiguous with the metal porous part, wherein when the metal porous part is equally trisected in the thickness direction of the metal porous part into a first region, a second region and a third region in that order from the metal core part side, the porosity p1 of the first region, the porosity p2 of the second region and the porosity 3 of the third region satisfy the relationship P1

Inventors:
YOSHIMURA MITSUHISA
NAKANO SHOSUKE
YOSHIDA HIROSHI
TSUBAKI MASAMI
KURIHARA NAOMI
OGAWA MIWA
Application Number:
PCT/JP2019/042681
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
October 30, 2019
Export Citation:
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Assignee:
PANASONIC IP MAN CO LTD (JP)
International Classes:
H01G9/00; H01G9/045; H01G9/048; H01G9/055; H01G9/07; H01G9/145; H01G9/15
Domestic Patent References:
WO2017154461A12017-09-14
Foreign References:
JPH07249550A1995-09-26
JP2006222333A2006-08-24
Attorney, Agent or Firm:
KAWASAKI, HASHIMOTO AND PARTNERS (JP)
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Claims:
\¥02020/174751 39 卩(:17 2019/042681

請求の範囲

[請求項 1 ] 金属多孔質部と、 前記金属多孔質部に連続する金属芯部と、 を備え 前記金属多孔質部の厚み方向において、 前記金属多孔質部を、 前記 金属芯部側から順に、 第 1領域、 第 2領域および第 3領域に 3等分割 するとき、 前記第 1領域の空隙率 1、 前記第 2領域の空隙率 2お よび前記第 3領域の空隙率 3が、 1< 2< 3を満たす、 電解 コンデンサ用電極箔。

[請求項 2] 更に、 2 / 1< 3 / 2を満たす、 請求項 1 に記載の電解コ ンデンサ用電極箔。

[請求項 3] 1が 6 0 %以下である、 請求項 1 または 2に記載の電解コンデン サ用電極箔。

[請求項 4] 2が 7 0 %以下である、 請求項 1〜 3のいずれか 1項に記載の電 解コンデンサ用電極箔。

[請求項 5] 93が 8 0 %以下である、 請求項 1〜 4のいずれか 1項に記載の電 解コンデンサ用電極箔。

[請求項 6] さらに、 前記金属多孔質部を構成する金属部分の表面の少なくとも

_部を覆う誘電体層を有する、 請求項 1〜 5のいずれか 1項に記載の 電解コンデンサ用電極箔。

[請求項 7] 請求項 6に記載の電解コンデンサ用電極箔と、

前記誘電体層の少なくとも一部を覆う陰極部と、 を備える、 電解コ ンデンサ。

[請求項 8] 前記陰極部は、 導電性高分子を含み、

前記導電性高分子は、 前記第 1領域にまで含浸している、 請求項 7 に記載の電解コンデンサ。

[請求項 9] 前記陰極部は、 電解液を含み、

前記電解液は、 前記第 1領域にまで含浸している、 請求項 7または 8に記載の電解コンデンサ。 〇 2020/174751 40 卩(:171?2019/042681

[請求項 10] 金属箔を準備する工程と、

前記金属箔を粗面化することにより金属多孔質部を形成する粗面化 工程と、 を有し、

前記粗面化工程は、 前記金属箔に電流を印加するエッチングエ程を 含み、

前記エッチングエ程は、

第 1処理液中で、 前記金属箔に第 1電流密度の電流を印加して第 1 エッチング箔を得る第 1電解ステップと、

前記第 1電解ステップ後、 第 2処理液中で前記第 1エッチング箔に 第 2電流密度の電流を印加して第 2エッチング箔を得る第 2電解ステ ップと、

前記第 2電解ステップ後、 第 3処理液中で前記第 2エッチング箔に 第 3電流密度の電流を印加して第 3エッチング箔を得る第 3電解ステ ップと、

前記第 1電解ステップ後、 前記第 2電解ステップ前に、 前記第 1エ ッチング箔を洗浄する第 1洗浄ステップと、

前記第 2電解ステップ後、 前記第 3電解ステップ前に、 前記第 2エ ッチング箔を洗浄する第 2洗浄ステップと、 を有し、 第 1電流密度>第 2電流密度>第 3電流密度の関係を満たす、 電解 コンデンサ用電極箔の製造方法。

[請求項 1 1 ] 前記金属多孔質部の厚み方向において、 前記金属多孔質部を、 前記 金属芯部側から順に、 第 1領域、 第 2領域および第 3領域に 3等分割 するとき、 前記第 1領域の空隙率 1、 前記第 2領域の空隙率 2お よび前記第 3領域の空隙率 3が、 1< 2< 3を満たす、 請求 項 1 〇に記載の電解コンデンサ用電極箔の製造方法。

[請求項 12] 金属多孔質部と、 前記金属多孔質部に連続する金属芯部と、 を有す る陽極体と、

前記金属多孔質部を構成する金属部分の表面の少なくとも一部を覆 〇 2020/174751 41 卩(:171?2019/042681

う誘電体層と、 を備え、

前記誘電体層は、 前記金属部分に含まれる第 1金属とは異なる第 2 金属の酸化物を含む厚さ丁 1の第 1層を有し、

前記金属多孔質部の厚み方向において、 前記金属多孔質部を、 前記 金属芯部側から順に、 第 1領域、 第 2領域および第 3領域に 3等分割 するとき、 前記第 1領域の空隙率 1、 前記第 2領域の空隙率 2お よび前記第 3領域の空隙率 3が、 1< 2< 3を満たす、 電解 コンデンサ用電極箔。

[請求項 13] 更に、 2 / 1< 3 / 2を満たす、 請求項 1 2に記載の電解 コンデンサ用電極箔。

[請求項 14] 1が 6 0 %以下である、 請求項 1 2または 1 3に記載の電解コン デンサ用電極箔。

[請求項 15] 2が 7 0 %以下である、 請求項 1 2〜 1 4のいずれか 1項に記載 の電解コンデンサ用電極箔。

[請求項 16] 3が 8 0 %以下である、 請求項 1 2〜 1 5のいずれか 1項に記載 の電解コンデンサ用電極箔。

[請求項 17] 前記第 1金属は八 I を含み、 前記第 2金属は丁 3、 丁 し 3

I、 「および 1~1干からなる群より選ばれる少なくとも 1種を含む、 請求項 1 2〜 1 6のいずれか 1項に記載の電解コンデンサ用電極箔。

[請求項 18] 前記金属部分と前記第 1層との間に、 前記第 1金属の酸化物を含む 厚さ丁 2の第 2層を有する、 請求項 1 2〜 1 7のいずれか 1項に記載 の電解コンデンサ用電極箔。

[請求項 19] 前記第 1領域において、 丁 1>丁 2である、 請求項 1 8に記載の電 解コンデンサ用電極箔。

[請求項 20] 前記誘電体層を有する前記金属多孔質部を、 前記金属芯部側から順 に、 第 1領域、 第 2領域および第 3領域に 3等分割するとき、 前記第 1領域の空隙率 0 1、 前記第 2領域の空隙率 0 2および前記第 3領域 の空隙率 0 3が、 0 1<〇2<〇3を満たす、 請求項 1 2〜 1 9のい 〇 2020/174751 42 卩(:171?2019/042681

ずれか 1項に記載の電解コンデンサ用電極箔。

[請求項 21 ] 金属多孔質部と、 前記金属多孔質部に連続する金属芯部と、 を有す る陽極体と、

前記金属多孔質部を構成する金属部分の表面の少なくとも一部を覆 う誘電体層と、 を備え、

前記金属多孔質部の厚み方向において、 前記誘電体層を有する前記 金属多孔質部を、 前記金属芯部側から順に、 第 1領域、 第 2領域およ び第 3領域に 3等分割するとき、 前記第 1領域の空隙率 0 1、 前記第 2領域の空隙率 0 2および前記第 3領域の空隙率 0 3が、 0 1 < 0 2 < 0 3を満たす、 電解コンデンサ用電極箔。

[請求項 22] 請求項 1 2〜 2 1のいずれか 1項に記載の電解コンデンサ用電極箔 と、

前記誘電体層の少なくとも一部を覆う陰極部と、 を備える、 電解コ ンデンサ。

[請求項 23] 金属多孔質部と、 前記金属多孔質部に連続する金属芯部と、 を有す る陽極体を準備する工程と、

前記金属多孔質部を構成する金属部分の表面を覆う誘電体層を形成 する工程と、 を備え、

前記金属多孔質部の厚み方向において、 前記金属多孔質部を、 前記 金属芯部側から順に、 第 1領域、 第 2領域および第 3領域に 3等分割 するとき、 前記第 1領域の空隙率 1、 前記第 2領域の空隙率 2お よび前記第 3領域の空隙率 3が、 1 < 2 < 3を満たし、 前記誘電体層を形成する工程は、 気相法により、 前記金属多孔質部 の表面に、 前記金属部分に含まれる第 1金属とは異なる第 2金属の酸 化物を堆積させて厚さ丁 1の第 1層を形成することを含む、 電解コン デンサ用電極箔の製造方法。

[請求項 24] 前記誘電体層を形成する工程は、 更に、 前記第 1層を有する陽極体 を化成して、 前記金属部分と前記第 2金属の酸化物との間に、 前記第 〇 2020/174751 43 卩(:171?2019/042681

1金属の酸化物を含む厚さ丁 2の第 2層を形成する工程、 を有する、 請求項 2 3に記載の電解コンデンサ用電極箔の製造方法。

[請求項 25] 請求項 1 〇、 1 1、 2 3または 2 4に記載の電解コンデンサ用電極 箔の製造方法が具備する工程と、

前記誘電体層の少なくとも一部を覆う陰極部を形成する工程と、 を 具備する、 電解コンデンサの製造方法。

Description:
\¥02020/174751 1 卩(:17 2019/042681

明 細 書

発明の名称 :

電解コンデンサ用電極箔、 電解コンデンサおよびそれらの製造方法

技術分野

[0001 ] 本発明は、 電解コンデンサ用電極箔、 電解コンデンサおよびそれらの製造 方法に関する。

背景技術

[0002] 電解コンデンサの陽極体には、 例えば、 弁作用金属を含む金属箔が用いら れている。 電解コンデンサの容量を増加させるために、 金属箔の主面にはエ ッチングが施され、 金属多孔質部が形成される。 その後、 金属箔を化成処理 して、 金属多孔質部を構成する金属骨格 (金属部分) の表面に金属酸化物 ( 誘電体) の層が形成される。

[0003] 特許文献 1は、 塩酸を主成分として硫酸、 蓚酸、 リン酸の少なくとも 1種 を添加した水溶液中で交流電流を印加してア ルミニウムをエッチング処理す る電極箔の製造方法であって、 交流電流を印加する電流密度のステップはエ ッチング処理始めを最大値とし、 その最大値から漸次減少させ、 電流密度が 0になる前の途中段階で電流密度を 0にする方法を教示している。

[0004] 一方、 特許文献 2は、 原子層堆積法により誘電体層を形成すること を教示 している。

先行技術文献

特許文献

[0005] 特許文献 1 :特開 2 0 0 5 _ 2 0 3 5 2 9号公報

特許文献 2 :国際公開第 2 0 1 7 / 2 6 2 4 7号パンフレッ ト

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006] 特許文献 1は、 アルミニウム箔の表面積の拡大を効率的に行 い、 アルミ電 解コンデンサ用電極箔の静電容量を高めるこ とを目的としている。 しかし、 〇 2020/174751 2 卩(:171?2019/042681

上記方法では表面積を拡大して静電容量を 高めるのには限界がある。

[0007] また、 原子層堆積法により誘電体層を形成する場合 、 例えばエッチングピ ッ トの深部にまで誘電体層の原料ガスが到達せ ず、 金属多孔質部の深部に誘 電体層を形成することが困難になり得る。 中でもエッチングピッ トの表層、 特に表面から 1 / 3の領域の空隙率が、 それより深部の空隙率よりも小さい 場合には、 深部への原料ガスの到達が非常に困難となり 、 深部に十分な誘電 体層を形成できないことがある。

課題を解決するための手段

[0008] 本発明の一側面は、 金属多孔質部と、 前記金属多孔質部に連続する金属芯 部と、 を備え、 前記金属多孔質部の厚み方向において前記金 属多孔質部を、 前記金属芯部側から順に、 第 1領域、 第 2領域および第 3領域に 3等分割す るとき、 前記第 1領域の空隙率 1、 前記第 2領域の空隙率 2および前記 第 3領域の空隙率 3が、 1< 2< 3を満たす、 電解コンデンサ用電 極箔に関する。

[0009] 本発明の別の側面は、 金属箔を準備する工程と、 前記金属箔を粗面化する ことにより金属多孔質部を形成する粗面化工 程と、 を有し、 前記粗面化工程 は、 前記金属箔に電流を印加するエッチングエ程 を含み、 前記エッチングエ 程は、 第 1処理液中で前記金属箔に第 1電流密度の電流を印加して第 1エッ チング箔を得る第 1電解ステップと、 前記第 1電解ステップ後、 第 2処理液 中で前記第 1エッチング箔に第 2電流密度の電流を印加して第 2エッチング 箔を得る第 2電解ステップと、 前記第 2電解ステップ後、 第 3処理液中で前 記第 2エッチング箔に第 3電流密度の電流を印加して第 3エッチング箔を得 る第 3電解ステップと、 前記第 1電解ステップ後、 前記第 2電解ステップ前 に、 前記第 1エッチング箔を洗浄する第 1洗浄ステップと、 前記第 2電解ス テップ後、 前記第 3電解ステップ前に、 前記第エッチング箔を洗浄する第 2 洗浄ステップと、 を有し、 第 1電流密度>第 2電流密度>第 3電流密度の関 係を満たす、 電解コンデンサ用電極箔の製造方法に関する 。

[0010] 本発明の更に別の側面は、 金属多孔質部と、 前記金属多孔質部に連続する 〇 2020/174751 3 卩(:171?2019/042681

金属芯部と、 を有する陽極体と、 前記金属多孔質部を構成する金属骨格の表 面を覆う誘電体層と、 を備え、 前記誘電体層は、 前記金属部分に含まれる第 1金属とは異なる第 2金属の酸化物を含む厚さ丁 1の第 1層を有し、 前記金 属多孔質部の厚み方向において、 前記金属多孔質部を、 前記金属芯部側から 順に、 第 1領域、 第 2領域および第 3領域に 3等分割するとき、 前記第 1領 域の空隙率 1、 前記第 2領域の空隙率 2および前記第 3領域の空隙率 3が、 1< 2< 3を満たす、 電解コンデンサ用電極箔に関する。

[001 1 ] 本発明の更に別の側面は、 金属多孔質部と、 前記金属多孔質部に連続する 金属芯部と、 を有する陽極体と、 前記金属多孔質部を構成する金属部分の表 面の少なくとも一部を覆う誘電体層と、 を備え、 前記金属多孔質部の厚み方 向において、 前記誘電体層を有する前記金属多孔質部を、 前記金属芯部側か ら順に、 第 1領域、 第 2領域および第 3領域に 3等分割するとき、 前記第 1 領域の空隙率 0 1、 前記第 2領域の空隙率<3 2および前記第 3領域の空隙率 0 3が、 0 1<〇2<〇3を満たす、 電解コンデンサ用電極箔に関する。

[0012] 本発明の更に別の側面は、 金属多孔質部と、 前記金属多孔質部に連続する 金属芯部と、 を有する陽極体を準備する工程と、 前記金属多孔質部を構成す る金属部分の表面を覆う誘電体層を形成する 工程と、 を備え、 前記金属多孔 質部の厚み方向において前記金属多孔質部を 、 前記金属芯部側から順に、 第 1領域、 第 2領域および第 3領域に 3等分割するとき、 前記第 1領域の空隙 率 1、 前記第 2領域の空隙率 2および前記第 3領域の空隙率 3が、 1< 2< 3を満たし、 前記誘電体層を形成する工程は、 気相法により、 前記金属多孔質部の表面に、 前記金属部分に含まれる第 1金属とは異なる第 2金属の酸化物を堆積させて厚さ丁 1の第 1層を形成することを含む、 電解 コンデンサ用電極箔の製造方法に関する。

[0013] 本発明の更に別の側面は、 上記電解コンデンサ用電極箔と、 前記誘電体層 の少なくとも一部を覆う陰極部と、 を備える、 電解コンデンサに関する。

[0014] 本発明の更に別の側面は、 上記電解コンデンサ用電極箔の製造方法が具 備 する工程と、 前記誘電体層の少なくとも一部を覆う陰極部 を形成する工程と 〇 2020/174751 4 卩(:171?2019/042681

、 を具備する、 電解コンデンサの製造方法に関する。

発明の効果

[0015] 本発明によれば、 誘電体層を形成する場合に、 金属多孔質部の深部にまで 良好な誘電体層を形成し得るため、 高性能の電解コンデンサ用電極箔を得る ことができる。

[0016] 本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記 述するが、 本発明は、 構成お よび内容の両方に関し、 本発明の他の目的および特徴と併せ、 図面を照合し た以下の詳細な説明によりさらによく理解さ れるであろう。

図面の簡単な説明

[0017] [図 1]本発明の一実施形態に係る陽極体の断面 式図である。

[図 2]本発明の一実施形態に係る誘電体層を有 る多孔質部の一部を拡大して 示す断面模式図である。

[図 3]本発明の別の実施形態に係る誘電体層を する多孔質部の一部を拡大し て示す断面模式図である。

[図 4]電解コンデンサの断面模式図である。

[図 5]電解コンデンサが具備する捲回体の構成 模式的に示す斜視図である。 [図 6]本発明の一実施形態に係る粗面化工程で 用されるエッチング装置の一 部を模式的に示す説明図である。

[図 7]本発明の実施例 1 八に係る金属多孔質部において、 陽極体の表面からの 距離と、 空隙率 (八 I残存率) との関係を示すグラフである。

[図 8]本発明の実施例 2に係る金属多孔質部において、 陽極体の表面からの距 離と、 空隙率 (八 I残存率) との関係を示すグラフである。

[図 9]本発明の比較例 2に係る金属多孔質部において、 陽極体の表面からの距 離と、 空隙率 (八 I残存率) との関係を示すグラフである。

[図 10]本発明の一実施形態に係るエッチングエ における電流密度の変化を 示す図である。

[図 1 1]本発明の別の実施形態に係るエッチング 程における電流密度の変化 を示す図である。 〇 2020/174751 5 卩(:171?2019/042681

[図 12]本発明の更に別の実施形態に係るエッチ グエ程における電流密度の 変化を示す図である。

[図 13]本発明の更に別の実施形態に係るエッチ グエ程における電流密度の 変化を示す図である。

発明を実施するための形態

[0018] 以下、 誘電体層を形成する前の電解コンデンサ用電 極箔を 「第 1電極箔」 もしくは 「陽極体」 、 誘電体層を有する電解コンデンサ用電極箔を 「第 2電 極箔」 とも称する。 また、 以下においては、 第 1エッチング箔、 第 2エッチ ング箔および第 3エッチング箔を金属箔と特に区別せずに、 いずいれも単に 金属箔と称することがある。

[0019] 本実施形態に係る電解コンデンサ用電極箔 (第 1電極箔) は、 金属多孔質 部と、 金属多孔質部に連続する金属芯部とを備える 。 すなわち、 第 1電極箔 は、 金属芯部と金属多孔質部との一体化物である 。 第 1電極箔は、 電解コン デンサの陽極体として用い得る。

[0020] 第 2電極箔は、 第 1電極箔 (もしくは陽極体) と、 第 1電極箔の金属多孔 質部を構成する金属部分の表面の少なくとも 一部を覆う誘電体層を有する。 すなわち、 第 2電極箔は、 金属多孔質部と、 金属多孔質部に連続する金属芯 部と、 金属多孔質部を構成する金属部分 (金属骨格) の表面を覆う誘電体層 とを備える。 誘電体層は、 金属多孔質部を構成する金属部分 (金属骨格) の 表面を覆っている。 誘電体層の構成は特に限定されない。

[0021] 第 1電極箔 (もしくは陽極体) は、 例えば、 多孔質部を構成する金属部分 に含まれる第 1金属で形成された金属箔の一部にエッチン などを施すこと により金属箔を粗面化することにより得られ る。 金属多孔質部は、 エッチン グにより多孔質化された金属箔の表面側 (外側) 部分であり、 金属箔の内側 部分である残部が金属芯部である。

[0022] 第 1電極箔の金属多孔質部の厚み方向において 金属多孔質部を、 金属芯 部側から順に、 第 1領域、 第 2領域および第 3領域に 3等分割するとき、 第 1領域の空隙率 1、 第 2領域の空隙率 2および第 3領域の空隙率 3は 〇 2020/174751 6 卩(:171?2019/042681

、 1< 2< 3を満たす。

[0023] また、 第 2電極箔の金属多孔質部の厚み方向において 金属多孔質部を、 金属芯部側から順に、 第 1領域、 第 2領域および第 3領域に 3等分割すると き、 第 1領域の空隙率 1、 第 2領域の空隙率 2および第 3領域の空隙率 3は、 1< 2< 3を満たす。

[0024] 第 2電極箔において、 誘電体層の厚さは、 電解コンデンサの定格電圧によ り異なるが、 4 の厚みを有し、 金属部分の表面の形状に沿 って比較的薄く形成されている。 よって、 誘電体層が形成された第 2電極箔 の第 1領域〜第 3領域の空隙率 0 1〜〇3は、 誘電体層を形成する前の第 1 電極箔の 1〜 3よりも、 誘電体層の厚さの分だけ小さくなる。

[0025] 1< 2< 3が満たされる場合、 第 2電極箔の空隙率も 0 1<0 2< 〇 3を満たす。 すなわち、 第 2電極箔の金属多孔質部の厚み方向において 誘電体層を有する金属多孔質部を、 金属芯部側から順に、 第 1領域、 第 2領 域および第 3領域に 3等分割するとき、 第 1領域の空隙率 0 1、 前記第 2領 域の空隙率 0 2および前記第 3領域の空隙率 0 3が、 0 1< 0 2< 0 3を満 たす。

[0026] 逆に〇 1<〇 2<〇 3が満たされる場合、 金属多孔質部の空隙率も 1<

2< 3を満たすといえる。

[0027] 第 1電極箔においては、 第 1電極箔の表面側に近づくほど金属多孔質部 空隙率が大きくなっている。 よって、 金属多孔質部の深部にまで良好な誘電 体層を形成し得るようになり、 高性能の電解コンデンサ用電極箔を得ること ができる。 また、 電解液、 固体電解質などを陰極材料として用いる電解 コン デンサにおいては、 金属多孔質部への電解液の浸透性および固体 電解質 (例 えば導電性ポリマー) の充填性が良好になり、 電解コンデンサの容量達成率 も高くなり、 巳 3 の低減および漏れ電流の抑制にも有利となる 。

[0028] 次に、 本実施形態に係る電解コンデンサは、 第 2電極箔と、 誘電体層の少 なくとも一部を覆う陰極部とを備える。

[0029] 誘電体層を有する第 2電極箔においても、 第 2電極箔の表面側に近づくほ 〇 2020/174751 7 卩(:171?2019/042681

ど誘電体層を有する金属多孔質部の空隙率 が大きくなっている。 よって、 電 解液、 固体電解質などを陰極材料として用いる電解 コンデンサにおいては、 金属多孔質部への電解液の浸透性および固体 電解質の充填性が良好になる。 よって、 電解コンデンサの容量達成率も高くなり、 巳 3 の低減および漏れ 電流の抑制にも有利となる。

[0030] 陰極部は、 固体電解質として導電性高分子を含んでもよ い。 1< 2<

3または 0 1<〇2<〇3を満たす場合、 導電性高分子を第 1領域にまで 含浸することが容易になる。

[0031 ] 陰極部は、 電解液を含んでもよい。 1< 2< 3または 0 1<0 2< 0 3を満たす場合、 電解液を第 1領域にまで含浸することが容易になる。

[0032] 以下、 誘電体層の一例について、 更に詳しく説明する。

[0033] 金属多孔質部は、 第 1金属を含む金属部分で囲まれたピッ トもしくは細孔 を有する。 誘電体層は、 ピッ トもしくは細孔を囲む金属部分の表面の少な く とも一部を覆うように設けられている。

[0034] 誘電体層は、 金属部分に含まれる第 1金属の酸化物を含んでもよい。 また 、 誘電体層は、 金属部分に含まれる第 1金属とは異なる第 2金属の酸化物を 含む厚さ丁 1の第 1層を有してもよい。 第 1金属とは異なる第 2金属の酸化 物を誘電体層に含ませる場合、 例えば、 第 1金属の制限を受けずに、 誘電率 の高い第 2金属を選択することができる。 よって、 電解コンデンサの容量を 向上させやすくなる。 また、 第 2金属の選択の幅が広がるため、 第 1金属の 制限を受けずに誘電体層に様々な性能を付与 し得るようになる。

[0035] ここで、 第 1金属箔の金属多孔質部の厚み方向において 属多孔質部を、 金属芯部側から順に、 第 1領域、 第 2領域および第 3領域に 3等分割すると き、 第 1領域の空隙率 1、 第 2領域の空隙率 2および第 3領域の空隙率 3は、 ? 1< 2< 3を満たす。 すなわち、 陽極体の表面側に近づくほ ど金属多孔質部の空隙率が大きくなっている 。 よって、 原子層堆積法のよう な気相法で誘電体層を形成する場合に、 金属多孔質部の深部にまで誘電体層 の原料ガスが拡散しやすく、 金属多孔質部の深部にまで良好な誘電体層を 形 〇 2020/174751 8 卩(:171?2019/042681

成できるようになる。 例えば、 誘電体層の成膜の初期段階で、 金属多孔質部 の表層部 (すなわち第 3領域) に優先的に第 2金属の酸化物が堆積された場 合であっても、 1< 2< 3を満たす場合は、 表層部の空隙率 3が大 きいため、 ピッ トの入口が誘電体層で塞がれにくい。 よって、 誘電体層の成 膜が良好に進行する。 これにより、 電極箔の高容量化が達成されるとともに 、 金属多孔質部への電解液の浸透性および固体 電解質 (例えば導電性ポリマ -) の充填性が良好になり、 電解コンデンサの容量達成率も高くなり、 巳 3 8の低減および漏れ電流の抑制にも有利とな 。

[0036] 更に、 気相法では、 エッチングピッ トの表層部 (第 3領域) で先に原料ガ スが消費されるため、 最深部 (第 1領域) に到達する原料ガス量は少なくな る。 一方、 第 3領域の空隙率 3が、 それより深部の空隙率 1、 2より も大きい場合、 原料ガスのエッチングピッ トへの侵入が容易となる。 また、 最深部 (第 1領域) の空隙率 1が小さい場合、 最深部の表面積も小さいた め、 誘電体層を形成するのに必要な原料ガス量は 少量であってもよい。 よっ てエッチングピッ トの最深部にまで良好な誘電体層を効率的に 形成すること ができる。 例えば比表面積が 5 0倍以上もあるスポンジ状のエッチングピッ 卜であっても、 その最深部にまで誘電体層を容易に形成する ことができるよ うになる。

[0037] なお、 金属多孔質部の深部 (例えば第 1領域) では、 空隙率が比較的小さ く、 エッチングピッ トのピッ ト径 (もしくは細孔径) が相対的に小さくなっ ている。 換言すれば、 金属多孔質部の深部では、 微小な細孔が多く存在し、 相当の表面積が確保されている。 よって、 仮に、 陽極体の表面近傍 (例えば 第 3領域) における表面積が相対的に小さい場合でも、 十分に大きな静電容 量を確保しやすくなる。

[0038] 金属多孔質部の空隙率は、 以下の方法で測定すればよい。

まず、 陽極体 (第 1電極箔) の金属芯部と金属多孔質部の厚さ方向の断面 が得られるように陽極体を切断し、 断面の電子顕微鏡写真を撮影する。 次に 、 その断面の画像を二値化して、 金属部分と空隙とを区別する。 次に、 陽極 〇 2020/174751 9 卩(:171?2019/042681

体の表面側から金属芯部側に向かって、 陽極体の厚さ方向と平行な経路に沿 って、 画像を複数 (例えば 0. 1 間隔) に分割し、 分割後の各部の空隙 率の平均値を空隙率として算出する。 算出値を利用すれば、 陽極体の表面か らの距離と、 空隙率との関係を示すグラフを描くことがで きる (図 7〜 9参 照) 。 第 1領域、 第 2領域および第 3領域において、 等間隔に任意の位置で の空隙率を複数抽出し、 複数の空隙率の平均値を計算して、 空隙率 、 空 隙率 2および空隙率 3とすればよい。 なお、 誘電体層を有する第 2電極 箔の空隙率 01、 空隙率 02および空隙率 <33も同様に測定することができ る。

[0039] 2および 3は、 92X ^ . 1 £ 3を満たしてもよく、 92X 1. 2 を満たしてもよい。 また、 1および 2は、 ? 1 X 1. 05£92 を満たしてもよく、 9 ^ X ^ . 1 £ 2を満たしてもよい。

[0040] また、 〇 2および〇 3は、 誘電体層の厚さ、 もしくは電解コンデンサの定 格電圧により異なるが、 例えば〇 2 X 1. 1 £〇3を満たしてもよく、 〇2 X 1. 2 £〇 3を満たしてもよい。 また、 〇 1および〇2は、 01 X 1. 0 5 £〇 2を満たしてもよく、 01 X 1. 1 £〇 2を満たしてもよい。

[0041] 図 1 に、 本発明の一実施形態に係る陽極体 (第 1電極箔) の断面模式図を 示す。 陽極体 1 1 〇は、 金属芯部 1 1 1 と金属多孔質部 1 1 2との一体化物 であり、 金属多孔質部 1 1 2の厚さは丁で示されている。 金属多孔質部 1 1 2は、 図示例のように、 金属芯部 1 1 1側から順に、 各々厚さ丁/ 3の第 1 領域 1、 第 2領域 2および第 3領域 3に 3等分割することができる。 空隙率 1〜 3を算出する際には、 上記のように、 各領域の断面画像を陽 極体の表面側から金属芯部側に向かって、 陽極体の厚さ方向と平行な経路に 沿って複数 (例えば〇. 1 間隔) に分割し、 分割後の各部の空隙率の平 均値を空隙率 1〜 3として算出すればよい。 なお、 誘電体層を有する第 2電極箔の断面模式図も、 図 1 と同様であり、 空隙率〇 1〜〇3を算出する 際の手順も同様である。

[0042] 第 1領域 1、 第 2領域 2および第 3領域 3の空隙率 1、 2およ 〇 2020/174751 10 卩(:171?2019/042681

び 3は、 更に、 1 / 2< 3/ 2を満たしてもよい。 同様に、 誘電 体層を有する第 2電極箔において、 〇 1 /〇2<〇3/〇2が満たされても よい。 この場合、 金属芯部から陽極体の表面に向かって一定の 増加率で空隙 率が増大するのではなく、 陽極体の表面側において深部よりも空隙率の 増加 率が上昇する。 よって、 第 1領域 1 による誘電体層の原料ガスの拡散を促 す作用が強められる一方、 第 3領域 3では静電容量を十分に高め得る表面 積が確保される。

[0043] 1 ~ 3は、 2/ 1< 3/ 2を満たしてもよく、 ·! . 05

2/ 1< 3/ 2を満たしてもよく、 ·! . 3 ? 2/? 1<? 3/ 2 を満たしてもよい。 同様に、 〇 1 ~〇3は、 〇2/〇 1<〇3/〇2を満た してもよく、 1. 05 X02/01<03/02を満たしてもよく、 1. 3 〇2/〇 1<03/02を満たしてもよい。

[0044] 1は、 例えば 30%以上であればよい。 2は、 例えば 40%以上であ ればよく、 50%以上であってもよい。 また、 3は 60%以上であっても よい。 ただし、 第 1電極箔 (陽極体) の十分な強度を確保する観点からは、 3が 80 %以下であることが好ましく、 2は 70 %以下が好ましく、 1は 60%以下が好ましい。 同様に、 〇 1は、 例えば 30%以上であればよ い。 〇 2は、 例えば 40 %以上であればよく、 50 %以上であってもよい。 また、 〇 3は 60%以上であってもよい。 ただし、 第 2電極箔の十分な強度 を確保する観点からは、 〇 3が 80 %以下であることが好ましく、 〇 2は 7 0 %以下が好ましく、 〇 1は 60 %以下が好ましい。

[0045] 1〜 3が上記範囲である場合、 化成 (陽極酸化) のような液相で誘電 体層を形成する場合には、 金属多孔質部の深部にまで化成液が浸透しや すく なる。 また、 原子層堆積法のような気相法で誘電体層を形 成する場合には、 金属多孔質部の深部への誘電体層の原料ガス の拡散性が更に向上する。 ただ し、 第 1電極箔および第 2電極箔の十分な強度を確保する観点からは 3 もしくは〇 3が 80%以下であることが好ましく、 2もしくは〇2は 70 %以下が好ましく、 1 もしくは〇 1は 60 %以下が好ましい。 〇 2020/174751 1 1 卩(:171?2019/042681

[0046] 金属多孔質部の厚さは、 特に限定されず、 電解コンデンサの用途、 要求さ れる耐電圧等によって適宜選択すればよい。 金属多孔質部の厚さは、 例えば 1 0 〜 1 6 0 の範囲から選択すればよい。 また、 金属多孔質部の厚 さは、 例えば、 第 1電極箔または第 2電極箔の厚さの 1 / 1 0以上、 5 / 1 0以下としてもよい。 金属多孔質部の厚さ丁は、 金属芯部と金属多孔質部の 厚さ方向の断面が得られるように第 1電極箔または第 2電極箔を切断し、 断 面の電子顕微鏡写真を撮影し、 金属多孔質部の任意の 1 0点の厚さの平均値 として求めればよい。

[0047] 金属多孔質部が有するピッ トもしくは細孔の細孔径ピークは、 特に限定さ れないが、 表面積を大きくするとともに誘電体層を金属 多孔質部の深部にま で形成する観点から、 例えば とすればよく、 1 0 0 n としてもよい。 細孔径ピークは、 例えば水銀ポロシメータ で測定される体積基準の細孔径分布の最頻度 孔径である。

[0048] 電解コンデンサの耐電圧は、 特に限定されず、 例えば I V以上、 V未満 の比較的小さい耐電圧を有してもよく、 V以上、 1 5 以上もしくは 1 0 0 V以上の比較的大きい耐電圧を有してもよい 4 V以上の耐電圧を有する 電解コンデンサを得る場合には、 誘電体層の厚さを 4 以上とすることが 好ましい。 また、 1 5 V以上の耐電圧を有する電解コンデンサを得 場合に は、 誘電体層の厚さを 2 1 以上とすることが好ましい。

[0049] より具体的には、 例えば 6 0 V以上の大きな耐電圧を有する電解コンデン サを得る場合、 金属多孔質部の細孔径ピークは、 例えば 5 0〜 3 0 0 n mで あればよく、 金属多孔質部の厚さは、 例えば 3 0〜 1 6 0 であればよく 、 誘電体層の厚さは、 例えば であればよい。

[0050] 耐電圧が例えば 1 0 0 V以上の電解コンデンサの場合、 エッチングピッ ト の形状は、 陽極体の表面側のピッ ト径が大きく、 金属芯部側のピッ ト径が小 さく、 陽極体の表面側から金属芯部側に向かってト ンネル状に延びる概ね柱 状、 円錐状もしくは円錐台状の形状であってもよ い。

[0051 ] 耐電圧が比較的低く、 例えば 1 〇 以下の耐電圧を有する電解コンデンサ 〇 2020/174751 12 卩(:171?2019/042681

を得る場合、 金属多孔質部の細孔径ピークは、 例えば 2 0〜 2 0 0 n であ ればよく、 金属多孔質部の厚さは、 例えば 3 0〜 1 6 0 であればよく、 誘電体層の厚さは、 例えば であればよい。

[0052] 第 1金属は、 例えば、 八 丨 を含んでもよい。 このとき、 第 2金属は、 例え ば、 7 a s 丁 し 3 し 「および 1 ~ 1干からなる群より選択される少 なくとも 1種を含んでもよい。

[0053] 誘電体層において、 第 1金属を含む金属部分と第 2金属の酸化物との間に 、 第 1金属の酸化物を設けてもよい。 以下、 誘電体層のうち、 第 2金属を含 む酸化物が形成する部分を第 1層とも称し、 第 1金属を含む酸化物が形成す る部分を第 2層とも称する。

[0054] 例えば、 金属部分の表面に形成された第 1金属の自然酸化被膜上に、 第 2 金属を含む酸化物 (第 1層) を形成してもよい。 また、 自然酸化被膜上に第 1層を形成した後、 金属部分を陽極化成して、 金属部分と第 2金属を含む酸 化物 (第 1層) との間に任意の厚さの第 1金属の酸化物 (第 2層) を形成し てもよい。

[0055] 第 2層は、 第 1金属の酸化物と第 2金属の酸化物との複合酸化物を含んで もよい。 第 2層を形成することで、 第 1層に欠陥が存在する場合でも欠陥が 補修され得る。 よって、 誘電体層の性能が一層向上する。

[0056] 第 1層の厚さ丁 1 と第 2層の厚さ丁 2とは、 少なくとも第 3領域において 丁 1 ³ 2 丁 2を満たしてもよく、 丁 1 ³ 3 丁 2を満たしてもよい。 この ように第 1層の厚さを相対的に大きくすることで、 例えば、 誘電率の高い第 2金属を選択する場合には、 電解コンデンサの容量を顕著に向上させるこ と ができる。 なお、 上記金属多孔質部の構成によれば、 より深部への原料ガス の到達が容易となるため、 第 1領域においても、 丁 1>丁 2とすることがで きる。

[0057] 第 1層および第 2層の厚さは、 金属多孔質部の厚さ方向の断面が得られる ように陽極体を切断し、 断面の電子顕微鏡写真を撮影し、 第 1層もしくは第 2層の任意の 1 0点の厚さの平均値として求めればよい。 〇 2020/174751 13 卩(:171?2019/042681

[0058] 第 1層は、 〇、 、 巳および 1\1からなる群より選択される少なくとも 1種 の添加元素を含むことが好ましい。 添加元素は、 第 1層の表面から少なくと も〇. 0 5 丁 1 (第 1層の厚み) の深さまで分布していることが好ましい 。 これにより、 誘電体層に十分な耐酸性を付与し得るように なり、 かつ漏れ 電流を十分に低減し得るようになる。 第 1層は、 第 1金属とは異なる第 2金 属の酸化物を含む誘電体で形成されている。 第 2金属は、 高誘電率の誘電体 を形成し得るが、 その形成過程において、 漏れ電流の増大の原因となる誘電 体層の欠陥を生じ易い。 添加元素が欠陥に入り込むことで誘電体層に 耐酸性 が付与され、 漏れ電流の増大を抑制できる。 本実施形態に係る電解コンデン サでは、 効率よく上記元素を誘電体層に添加すること ができる。

[0059] 以下、 第 1電極箔の製造方法について更に説明する。

[0060] 第 1電極箔は、 例えば、 金属箔を準備する工程と、 金属箔を粗面化するこ とにより金属多孔質部を形成する粗面化工程 とを有する方法により製造され る。 粗面化工程は、 金属箔をエッチングするエッチングエ程を含 む。 粗面化 により、 金属箔の表面側には複数のピッ トもしくは細孔を有する金属多孔質 部が形成される。 同時に、 金属箔の内側部分に、 金属多孔質部と一体の金属 芯部が形成される。 エッチングは、 例えば、 直流電流による直流エッチング または交流電流による交流エッチングにより 行われ得る。

[0061 ] エッチングの条件は、 金属多孔質部をその厚み方向において金属芯 部側か ら順に、 第 1領域、 第 2領域および第 3領域に 3等分割するとき、 第 1領域 の空隙率 1、 第 2領域の空隙率 2および第 3領域の空隙率 3が、 1 < 2< 3を満たすように設定される。 具体的には、 例えば、 塩酸を主成 分とするエッチング液中で、 例えばアルミニウム箔やアルミニウム合金箔 に 所定の交流電流を印加することで、 空隙率 1、 2および 3を任意に設 定することができる。

[0062] 粗面化工程は、 金属箔に電流を印加して金属箔をエッチング するエッチン グエ程を含んでもよい。 このとき、 例えば、 電流密度が次第に平均的に小さ くなるように金属箔に電流を印加する。 実際の電流密度の変化は、 連続的で 〇 2020/174751 14 卩(:171?2019/042681

あってもよく、 段階的であってもよい。 エッチングエ程が進行するにしたが って金属箔に金属多孔質部が次第に形成され ていく。

[0063] ここで、 「電流密度が次第に平均的に小さくなる」 とは、 金属箔に対して 電流が印加される時間と電流密度との関係を 近似曲線もしくは近似直線で表 したときに、 当該近似曲線もしくは近似直線が負の傾きを 有する (電流密度 の変化率が負である) ことをいう。 近似曲線もしくは近似直線に対応する近 似式は、 一次関数であっても二次以上の関数であって もよい。 ただし、 近似 式の相関係数を とするとき、 決定係数 は〇. 7 5以上〇. 9 9以下、 更 には〇. 8 2以上〇. 9 9以下、 もしくは〇. 8 5以上〇. 9 9以下の範囲 内にあることが望ましい。 また、 近似曲線は、 下に凸の曲線であることが望 ましい。

[0064] 第 1電極箔が得られた後、 第 1電極箔に誘電体層を形成する際の化成電圧 が比較的大きい場合 (例えば化成電圧が 6〇 以上 (更には 1 〇〇 以上) の場合) には、 第 1金属箔を得る際の電流密度は一次関数的に 第に減少さ せることが望ましい。 この場合、 金属多孔質部に比較的大きな細孔を形成し 得る。 _方、 第 1電極箔に誘電体層を形成する際の化成電圧 比較的小さい 場合 (例えば化成電圧が 6〇 未満 (更には 1 〇 以下) の場合) には、 第 1金属箔を得る際の電流密度は、 二次関数的もしくは下に凸の曲線に沿って 次第に減少させることが望ましい。 この場合、 金属多孔質部に比較的小さな 細孔を形成し得る。

[0065] エッチングエ程では、 金属箔に対して間欠的に電流を印加すること が望ま しい。 具体的には、 エッチングエ程では、 金属箔に対して電流が印加される 期間 (以下、 電解期間とも称する。 ) と、 電流が印加されない期間 (以下、 無電解期間とも称する。 ) と、 がそれぞれ 2回以上繰り返されることが望ま しい。 なお、 僅かな電流 (例えば後述の第 1電流密度の 1 %以下もしくは 0 . 0 0 1 以下) が金属箔に流れる期間は、 電流が印加されない無電 解期間に含んでよい。 例えば、 複数のエッチング槽を有する製造ラインを用 いる口ール ツー · 口ール方式のエッチングエ程の場合には、 エッチング槽 〇 2020/174751 15 卩(:171?2019/042681

の下部に金属箔を搬送するための口ーラが 設置される。 口ーラとの接触中お よびその前後では、 金属箔に流れる電流が低下する。 この期間を無電解期間 に含んでよい。

[0066] 電解期間中には、 金属箔に形成されつつあるピッ トもしくは細孔内におい て、 金属箔を構成する金属元素のイオン種が濃縮 される傾向がある。 効率的 なエッチングを行うには、 定常的に金属箔に電流を印加して金属元素の イオ ン種を生成させるよりも、 一時的に電流の印加を実質的に停止し、 イオン種 の拡散を促進することが有効である。 無電解期間を間欠的に設けることで、 金属元素のイオン種の拡散が促進され、 ピッ トもしくは細孔内のイオン種の 濃度が低減し、 より効率的なエッチングが可能になるものと 考えられる。

[0067] エッチングエ程の開始から終了 (最後の電解期間の終了時) までの期間を 丁 0、 金属箔に対して電流が印加される卜ータルの 電解期間を丁 1、 金属箔 に電流が印加されない卜ータルの無電解期間 を丁 2とするとき、 丁0 =丁 1 +丁 2が成立する。 卜ータルの電解期間丁 1は、 例えば丁〇の 1 0〜 7 0 % であってもよく、 3 0〜 7 0 %であってもよい。 無電解期間を金属箔の洗浄 などの処理に利用してもよい。 すなわち、 無電解期間は、 金属箔を洗浄する 洗浄ステップであってもよい。 洗浄期間中は、 金属箔を洗浄槽中の洗浄液に 導入したり、 金属箔を洗浄液のシャワーもしくは流水で洗 浄したりしてもよ い。

[0068] エッチングエ程の開始から終了までの期間丁 0および金属箔に対して電流 が印加される卜ータルの電解期間丁 1は特に限定されず、 第 1電極箔の厚み 、 所望のエッチングピッ トの深さ等に応じて適宜設定すればよい。 期間丁〇 は、 例えば、 1 6分以上、 7 0分以下であってよい。 電解期間丁 1は、 例え ば、 7分以上、 5 0分以下であってよい。

[0069] 無電解期間を設ける手法は特に限定されない 。 例えば、 無電解期間におい て、 金属箔はいずれかの処理液 (エッチング液、 洗浄液など) に含浸されて いてもよく、 処理液に含浸されていなくてもよい。 例えば、 一つのエッチン グ槽内において金属箔とアノード電極との対 向領域を間欠的に設け、 金属箔 〇 2020/174751 16 卩(:171?2019/042681

とアノード電極とが対向している間にエッ チングを行う場合、 金属箔とアノ —ド電極とが対向していない間は無電解期間 である。 この場合、 金属箔は無 電解期間の少なくとも一部においても処理液 中に存在する。

[0070] —方、 複数のエッチング槽を有する製造ラインを用 いて口ール ·ツー 口 —ル方式でエッチングエ程を行う場合には、 隣接する一対のエッチング槽間 に、 所定の長さの金属箔が搬送されるエッチング 槽外経路を設けることがで きる。 この場合、 金属箔がエッチング槽外経路を搬送される間 は無電解期間 であり、 金属箔は無電解期間の少なくとも一部におい て処理液のない外部経 路を通過する。

[0071 ] 処理液には、 様々な目的の処理液が含まれるが、 主な処理液は、 粗面化の ために金属箔に対して電流を印加するためエ ッチング液、 金属箔を洗浄する ための洗浄液などである。 中でも、 金属箔を洗浄する場合には、 電解による エッチングで溶解する金属元素のイオン種の 拡散を促進する効果が大きい。

[0072] エッチング液としては、 例えば、 塩酸水溶液が好ましく、 塩酸に加えて硫 酸、 硝酸、 リン酸、 シュウ酸などを更に含む水溶液も用いられる 。 水溶液に は、 キレート剤等の各種添加剤が含まれていても よい。 エッチング液の塩酸 の濃度、 その他の酸の濃度および温度は特に限定され ず、 所望のエッチング ピッ トの形状やコンデンサの性能に応じて適宜設 定すればよい。 エッチング 液における塩酸の濃度は、 例えば、 1 モル/!-以上、 1 0モル/!-以下であ る。 エッチング液におけるその他の酸の濃度は、 例えば、 〇. 0 1 モル/ 1_ 以上、 1 モル/!-以下である。 電解エッチングエ程中のエッチング液の温度 は特に限定されず、 例えば、 1 5 ° 〇以上、 6 0 ° 〇以下である。

[0073] 洗浄液は、 水 (イオン交換水) でもよいが、 洗浄を主目的とする場合には 、 塩酸、 リン酸、 希硫酸、 シュウ酸などの溶解性の酸を含む水溶液で短 時間 洗浄することが好ましい。 金属箔の洗浄に水が用いられる場合、 不純物が除 去されやすく、 イオン種が拡散されやすい。 この場合、 1 0秒以上もしくは 2 0秒以上、 更には 6 0秒以上の洗浄ステップを施してもよい。 金属箔の表 面を保護することで、 金属箔の深部におけるエッチングが効果的に 進行しや 〇 2020/174751 17 卩(:171?2019/042681

すくなる。

[0074] エッチングエ程は、 例えば、 第 1処理液に金属箔を含浸し、 金属箔に第 1 電流密度の電流を印加する第 1電解ステップと、 第 1電解ステップ後、 第 2 処理液に金属箔 (第 1エッチング箔) を含浸し、 金属箔に第 2電流密度の電 流を印加する第 2電解ステップと、 第 2電解ステップ後、 第 3処理液に金属 箔 (第 2エッチング箔) を含浸し、 金属箔に第 3電流密度の電流を印加する 第 3ステップとを含んでもよい。 このとき、 第 1電流密度>第 2電流密度> 第 3電流密度の関係を満たしてもよい。 ただし、 第 1電流密度、 第 2電流密 度および第 3電流密度は、 それぞれ第 1電解ステップ、 第 2電解ステップお よび第 3電解ステップの電解期間における平均の電 密度を意味する。 平均 の電流密度は、 各電解期間中に金属箔に印加された電流の積 算値と各電解期 間とを用いて算出できる。

[0075] エッチングエ程の開始から終了までの期間丁 0のうち、 第 1電解ステップ は〇. 2 丁0〜〇. 4 丁〇を占めてもよく、 第 2電解ステップは 0 . 2 丁〇〜〇. 4 丁〇を占めてもよく、 第 3電解ステップは〇. 2 丁〇〜 〇. 4 丁〇を占めてもよい。 また、 第 1電解ステップ、 第 2電解ステップ および第 3電解ステップの合計は、 〇. 7 X丁 0以上を占めてもよい。 各電 解ステップにおいて、 電解期間は間欠的であってよく、 無電解期間を含み得 る。

[0076] 第 1電解ステップ後、 第 2電解ステップ前には、 金属箔 (第 1エッチング 箔) を洗浄する第 1洗浄ステップを行ってもよい。 また、 第 2電解ステップ 後、 第 3電解ステップ前には、 更に、 金属箔 (第 2エッチング箔) を洗浄す る第 2洗浄ステップを行ってもよい。 ここでは、 第 1電解ステップおよび第 2電解ステップは、 それぞれ電解期間で終了してから無電解期間 である第 1 洗浄ステップまたは第 2洗浄ステップに移行するものとする。 既に述べたよ うに、 第 1電解ステップおよび第 2電解ステップは、 更にそのプロセス内に おいて無電解期間を含んでもよい。 当該無電解期間は、 第 1洗浄ステップお よび第 2洗浄ステップ以外の別の洗浄ステップを含 でもよい。 ただし、 第 〇 2020/174751 18 卩(:171?2019/042681

1洗浄ステップおよび第 2洗浄ステップは、 第 1〜第 3電解ステップとは別 のステツプである。

[0077] 第 1洗浄工程および第 2洗浄工程で用いる処理液 (すなわち洗浄液) は、 既に述べたように希酸水溶液でもよく、 塩酸、 リン酸、 希硫酸、 シュウ酸な どを含む溶液であってもよい。

[0078] 第 1処理液は、 例えば、 塩酸を主成分とし、 アルミニウム、 硫酸、 リン酸 および/または硝酸を含んでもよい。 第 1電流密度は、 例えば、 〇. 2 0〜 〇. 2 5八/〇〇1 2 であればよく、 第 1電解ステップにおける電解期間の卜一 タルは、 例えば、 1〜 1 0分であってもよく、 無電解期間の卜ータルは、 例 えば、 1〜 1 0分であってもよい。 第 1電解ステップ後、 第 2電解ステップ 前には、 金属箔 (第 1エッチング箔) を第 1処理液から取り出し、 洗浄液で 洗浄してもよい。

[0079] 第 2処理液は、 例えば、 塩酸を主成分とし、 アルミニウム、 硫酸、 リン酸 および/または硝酸を含んでもよい。 第 2電流密度は、 例えば、 〇. 1 9〜 〇. 2 4八/〇〇1 2 であればよく、 第 2電解ステップにおける電解期間の卜一 タルは、 例えば、 1〜 1 0分であってもよく、 無電解期間の卜ータルは、 例 えば、 1〜 1 0分であってもよい。 第 2電解ステップ後、 第 3電解ステップ 前には、 金属箔 (第 2エッチング箔) を第 1処理液から取り出し、 洗浄液で 洗浄してもよい。

[0080] 第 3処理液は、 例えば、 塩酸を主成分とし、 アルミニウム、 硫酸、 リン酸 および/または硝酸を含んでもよい。 第 3電流密度は、 例えば、 〇. 1 8〜 〇. 2 3八/〇〇1 2 であればよく、 第 3電解ステップにおける電解期間の卜一 タルは、 例えば、 1〜 1 0分であってもよく、 無電解期間の卜ータルは、 例 えば、 1〜 1 0分であってもよい。 第 3電解ステップ後、 金属箔 (第 3エッ チング箔もしくは第 1電極箔) を第 3処理液から取り出し、 更に、 洗浄液で 洗浄してもよい。

[0081 ] 上記例では、 第 1処理液、 第 2処理液および第 3処理液の主成分の塩酸濃 度は同じであってもよいし、 濃度が異なっても構わない。 〇 2020/174751 19 卩(:171?2019/042681

[0082] 上記のような方法によれば、 金属多孔質部の厚み方向において、 金属多孔 質部を、 金属芯部側から順に、 第 1領域、 第 2領域および第 3領域に 3等分 割するとき、 第 1領域の空隙率 1、 第 2領域の空隙率 2および第 3領域 の空隙率 3が、 1 < 2 < 3を満たす第 1電極箔を容易に得ることが できる。

[0083] 次に、 第 2電極箔および電解コンデンサの製造方法に いて更に説明する

[0084] 第 2電極箔は、 例えば、 (丨) 金属多孔質部と、 金属多孔質部に連続する金 属芯部と、 を有する陽極体 (第 1電極箔) を準備する工程と、 (1 1) 金属多 孔質部を構成する金属部分の表面を覆う誘電 体層を形成する工程と、 を備え る方法により製造される。 また、 電解コンデンサは、 上記工程 し I) および ( _1 _1) に加え、 誘電体層を覆う陰極部を形成する工程を備え る方法によ り製造される。

[0085] 工程 (丨)

陽極体 (第 1電極箔) を準備する工程 (_0 は、 例えば、 第 1金属を含む金 属箔にエッチングを施して金属箔を粗面化す る工程であり、 第 1領域の空隙 率 1、 第 2領域の空隙率 2および第 3領域の空隙率 3が、 1 < 2 < 3を満たす第 1電極箔が準備される。 1 < 2 < 3を満たす場合、 化成 (陽極酸化) で誘電体層を形成する場合には、 化成液が金属多孔質部の 深部にまで浸透しやすくなり、 気相法で誘電体層を形成する場合には、 原料 ガス等が金属多孔質部の深部にまで侵入しや すくなる。 よって、 金属多孔質 部の深部にまで良好な誘電体層を形成し得る ようになる。

[0086] 第 1金属の種類は特に限定されないが、 化成による誘電体層もしくは第 2 層の形成が容易である点から、 アルミニウム (八 I) 、 タンタル (丁 3) 、 ニオブ などの弁作用金属または弁作用金属を含む合 金を用い得る。 金属箔の厚さは特に限定されないが、 例えば、 1 5 以上、 3 0 0 以 下である。

[0087] 工程 ( I) 誘電体層を形成する工程 (ii) は、 例えば、 陽極体 (第 1電極箔) を化成 (陽極酸化) する工程であってもよい。 例えば、 第 1電極箔を、 アジピン酸 アンモニウム溶液、 リン酸アンモニウム溶液、 ホウ酸アンモニウム溶液等の 化成液に浸潰した状態で、 第 1電極箔に電圧を印加することにより、 金属部 分の表面に誘電体層が形成された第 2電極箔が得られる。

[0088] また、 誘電体層を形成する工程 (ii) は、 例えば、 気相法により、 金属部 分の表面に、 金属部分に含まれる第 1金属とは異なる第 2金属の酸化物を堆 積させ、 厚さ T 1の第 1層を形成する工程であってもよい。 これにより、 金 属部分の表面に誘電体層が形成された第 2電極 f自が得られる。

[0089] 第 2金属としては、 A 丨、 T a、 N b、 ケイ素 (S i) 、 チタン (T i)

、 ジルコニウム (Z r) 、 ハフニウム (H f ) などが挙げられる。 これらは 、 単独で、 あるいは 2種以上組み合わされてもよい。 すなわち、 第 1層には 、 A I 2 3% T a 2 5% N b 2 5% S i 〇 2 、 T i 〇 2 、 Z r〇 2 、 H f 〇 2 な どが単独で、 あるいは 2種以上含まれ得る。 第 1層が 2種以上の第 2金属の 酸化物を含む場合、 2種以上の酸化物が混在していてもよいし、 それぞれが 層状に配置されていてもよい。 電解コンデンサの容量を増加させる観点から は、 第 2金属の酸化物が第 1金属の酸化物よりも高い比誘電率を有する と が好ましい。 また、 電解コンデンサの耐電圧を向上させる観点か らは、 第 2 金属は、 T a、 T i、 S iなどであることが好ましい。

[0090] 気相法としては、 例えば、 真空蒸着法、 化学蒸着法、 ミスト蒸着法、 スバ ッタ法、 パルスレーザ堆積法、 原子層堆積法 (Atomic Layer Deposition : A L D法) などが選択され得る。 中でも、 AL D法が、 金属多孔質部の深部に まで緻密な誘電体層を形成し得る点で優れて いる。 第 1層の厚さは特に限定 されないが、 例えば、 0. 5 n m以上、 200 n m以下であり、 5 n m以上 、 200 n m以下であってもよい。

[0091] 図 2に、 金属芯部 1 1 1 と金属多孔質部 1 1 2との一体化物である陽極体

1 1 0と、 金属多孔質部 1 1 2を構成する金属部分の表面を覆う誘電体層 1 20とを具備する陽極箔 1 0の一例を示す。 図 2は、 誘電体層 1 20として 第 1層 1 2 1だけを有する金属多孔質部 1 1 2の一部を拡大して示す断面模 式図である。

[0092] 金属多孔質部 1 1 2は、 金属部分で囲まれた多数のピッ ト (もしくは細孔 ) Pを有する。 誘電体層 1 2 0 (第 1層 1 2 1) は、 金属部分の表面の少な くとも一部を覆うように設けられている。 第 1層 1 2 1は、 金属部分に含ま れる第 1金属とは異なる第 2金属の酸化物を含み、 その厚さは T 1で示され ている。

[0093] A L D法は、 対象物が配置された反応室に第 2金属を含む原料ガスと酸化 剤とを交互に供給して、 対象物の表面に第 2金属の酸化物を含む誘電体層 ( 第 1層) を形成する製膜法である。 A L D法では、 自己停止 (Se lf- l i m i t i ng ) 作用が機能するため、 第 2金属は原子層単位で対象物の表面に堆積す 。 そのため、 原料ガスの供給 ®原料ガスの排気 (パージ) ®酸化剤の供給 ®酸 化剤の排気 (パージ) を 1サイクルとしたサイクル数により、 第 1層の厚さ は制御される。 つまり、 A L D法は、 形成される誘電体層の厚さを容易に制 御し得る。

[0094] なお、 一般的に 4 0 0〜 9 0 0 °Cの温度条件で行われる C V Dに対して、

A L D法は 1 0 0〜 4 0 0 °Cの温度条件で行い得る。 つまり、 A L D法は、 金属箔への熱的ダメージを抑制し得る点で優 れている。

[0095] A L D法で用いる酸化剤としては、 例えば、 水、 酸素、 オゾンなどが挙げ られる。 酸化剤は、 酸化剤を原料とするプラズマとして反応室に 供給されて もよい。

[0096] 第 2金属は、 第 2金属を含むプリカーサ (前駆体) のガスとして反応室に 供給される。 プリカーサは、 例えば、 第 2金属を含む有機金属化合物であり 、 これにより、 第 2金属は対象物に化学吸着し易くなる。 プリカーサとして は、 従来、 A L D法で用いられている各種の有機金属化合物 使用すること ができる。

[0097] A I を含むプリカーサとしては、 例えば、 トリメチルアルミニウム ( (C

H 3 3 A I) 等が挙げられる。 Z rを含むプリカーサとしては、 例えば、 ビ 〇 2020/174751 22 卩(:171?2019/042681

ス (メチルー 7] 5—シクロペンタジェニル) メ トキシメチルジルコニウム ( トラキス(ジメチルアミ ド)ジルコ テトラキス (ェチルメチルアミ ド) ジルコニウム (丨 V) (å r (1\1〇1 ~ 1 3 2 1 ~ 1 5 4 ) ジルコニウム (丨 V ) 1 -ブトキシド ( 「 [00 (〇1 ~ 1 3 3 ] 4 ) 等が挙げられる。 匕を含む プリカーサとしては、 例えば、 ニオブ (V) ェトキシド (1\1匕 (〇 CH 2 CH 3) 5 、 トリス (ジェチルアミ ド) _プチルイミ ド) ニオブ (V) (〇 16 1 ~ 1 39 1\1 4 1\1匕) 等が挙げられる。

[0098] 丁 3を含むプリカーサとしては、 例えば、 (1:—プチルイミ ド) トリス ( ェチルメチルアミノ) タンタル (V) (〇 13 1 ~ 1 33 1\1 4 丁 3、 丁巳丁巳1\/1丁) 、 夕 ンタル (V) ペンタェトキシド (丁 3 (〇〇 2 1 ~ 1 5 5 ) 、 (1:—プチルイミ ド) トリス (ジェチルアミノ) タンタル (V) ( (〇1 ~ 1 3 3 〇1\1丁 3 ( (〇 2 1 ~ 1 5 2 3 ) 、 ペンタキス (ジメチルアミノ) タンタル (V) (丁 3 (〇1 ~ 1 3

2 5 ) 等が挙げられる。

[0099] 1\!匕を含むプリカーサとしては、 例えば、 ニオブ (V) ェトキシド (1\1匕

(〇〇1 ~ 1 2 〇1 ~ 1 3 5 、 トリス (ジェチルアミ ド) (1:—プチルイミ ド) ニオブ ( V) (〇 16 1 ~ 1 39 1\1 4 1\1匕) 等が挙げられる 0

[0100] 3 丨 を含むプリカーサとしては、 例えば、 プチル (トリメチ ルシリル) アミン (〇 7 1 ~ 1 19 3 I) 、 1 , 3—ジェチルー 1 , 1 , 3, 3—テ トラメチルジシラザン (〇 8 1 ~ 1 23 3 I 2 ) 、 2, 4, 6, 8, 1 0 -ペンタメ チルシクロペンタシロキサン ( (〇1 ~ 1 3 3 丨 1 ~ 1〇) 5 ) 、 ペンタメチルジシラン ( (〇1 ~ 1 3 3 3 I 3 I (〇1 ~ 1 3 2 1 ~ 1) 、 トリス (イソプロボキシ) シラノール ( [ クロロペンタンメチルジシラン ( (〇1 ~ 1

3 3 3 I 3 I ジクロロシラン (3 I 1 ~ 1 2 〇 I 2 ) 、 トリジメチ ルアミノシラン (3 I [ (〇1 ~ 1 3 2 ] 4 ) 、 テトラェチルシラン (3 I (〇 2 1 ~ 1 5 4 ) 、 テトラメチルシラン (3 丨 (〇1 ~ 1 3 4 ) 、 テトラェトキシシラン (

3 I (〇〇 2 1 ~ 1 5 4 ) 、 ドデカメチルシクロへキサシラン ( (3 I (〇1 ~ 1 3 2 6 ) 、 四塩化ケイ素 (3 丨 (3 I 4 ) 四臭化ケイ素 (3 丨 巳 「 4 ) 等が挙げられる。 〇 2020/174751 23 卩(:171?2019/042681

[0101 ] 丁 丨 を含むプリカーサとしては、 例えば、 ビス (1: _プチルシクロペンタ ジェニル) チタン (丨 V) ジクロライ ド (〇 18 1 ~ 1 26 12 丁 丨) 、 テトラキス (ジ メチルアミノ) チタン ( I V) ([ (〇1 ~ 1 3 2 1\1 ] 4 丁 1、 丁0 1\/1八丁) 、 テトラ キス (ジェチルアミノ) チタン ( I V) ([ (〇 2 1 ~ 1 5 2 1\1 ] 4 丁 丨) 、 テトラキ ス (ェチルメチルアミノ) チタン ( I V) (丁 1 [ (〇 2 1 ~ 1 5 ) (〇1 ~ 1 3 ) ] 4 ) 、 チタン (丨 V) (ジイソプロボキサイ ドービス (2 , 2 , 6 , 6—テト ラメチルー 3 , 5—ヘプタンジオネート (丁 丨 [〇〇〇 (〇1 ~ 1 3 3 〇1 ~ 1〇〇〇 (〇1 ~ 1 3 3 ] 2 (〇〇 3 1 ~ 1 7 2 ) 、 四塩化チタン (丁 1 〇 I 4 ) 、 チタン ( I V) イ ソプロポキシド (丁 丨 [〇〇1 ~ 1 (〇1 ~ 1 3 2 ] 4 ) 、 チタン (丨 V) ェトキシド ( 丁 1 [〇 (〇 2 1 ~ 1 5 ) ] 4 ) 等が挙げられる。

[0102] 「を含むプリカーサとしては、 例えば、 ビス (メチルー 7? 5 シクロペンタ ジェニル) メ トキシメチルジルコニウム ( 「 (〇1 ~ 1 3 5 1 ~ 1 4 2 〇1 ~ 1 3 〇〇1 ~ 1 3 ) 、 テトラキス(ジメチルアミ ド)ジルコニウム ( I V) ( [ (〇 1 ~ 1 3 2 1\1 ] 4 「 ) 、 テトラキス (ェチルメチルアミ ド) ジルコニウム (丨 V) ( 「 (1\1〇 1 ~ 1 3 2 1·^) 4 ) 、ジルコニウム ( I V) 1 -ブトキシド ( 「 [ 0 0 (〇1 ~ 1 3 3 ] 4 ) 等が挙げられる。

[0103] 1 ~ 1干を含むプリカーサとしては、 例えば、 ハフニウムテトラクロライ ド (

1 ~ 1干〇 丨 4 ) 、 テトラキスジメチルアミノハフニウム (1 ~ 1干 [ (〇 1 ~ 1 3 2 ] 4 ) 、 テトラキスェチルメチルアミノハフニウム [ (〇 2 1 ~ 1 5 ) (〇1 ~ 1 3

] 4 ) 、 テトラキスジェチルアミノハフニウム (1 ~ 1干 [ 1\1 (〇 2 1 ~ 1 5 2 ] 4 ) 、 ハ フニウムー I -ブトキシド (1 ~ 1干 [ 0 0 (〇1 ~ 1 3 3 ] 4 ) 等が挙げられる。

[0104] 第 2電極箔を製造する方法は、 更に、 第 2金属の酸化物を堆積させた陽極 体 (すなわち、 第 1層を有する陽極体) を化成 (陽極酸化) する工程を有し てもよい。 これにより、 第 1金属を含む金属部分と第 2金属の酸化物 (第 1 層) との間に、 第 1金属の酸化物を含む厚さ丁 2の第 2層を形成することが できる。 厚さ丁 2は、 化成の際に陽極体に印加する電圧により制御 し得る。

[0105] 先述のように、 ェッチングピッ トの最深部 (第 1領域) の空隙率 1が小 さい場合、 最深部にまで良好な誘電体層を効率的に形成 することができる。 〇 2020/174751 24 卩(:171?2019/042681

また、 エッチングピッ トの表層部 (第 3領域) の空隙率 3が大きい場合、 原料ガスの侵入が容易となり、 最深部に原料ガスが容易に到達し得る。 その 結果として、 第 1領域においても第 2層に対する第 1層の比率を高く制御す ることが容易となり、 金属多孔質部の全体に高誘電率の誘電体層を 形成する ことが可能となる。

[0106] また、 第 1層に〇、 、 巳および 1\1からなる群より選択される少なくとも

1種の添加元素を含有させる場合、 例えば、 添加元素を含む水溶液に誘電体 層を有する陽極体を浸潰した後、 熱処理 (例えば 1 8 0 ° 〇以上に加熱) すれ ばよい。 誘電体層を有する陽極体に、 蒸着等の気相法で添加元素を付着させ てもよい。 添加元素をより拡散させるためには、 熱処理の加熱温度は 2 5 0 °0以上とすればよい。

[0107] 添加元素を含む水溶液は、 添加元素を含む化合物の水溶液であればよく 、 そのような化合物として、 例えば、 シュウ酸、 マロン酸、 アジピン酸、 コハ ク酸、 グルタル酸、 セバシン酸、 酒石酸などの 0 (炭素) を含むカルボン酸 、 アジピン酸 2アンモニウムなどのアンモニウム塩などの (窒素) を含む 化合物、 リン酸、 リン酸アンモニウム、 ホスホン酸、 ホスフィン酸などの (リン) を含む化合物、 ホウ酸、 ホウ酸アンモニウムなどの巳 (ホウ素) を 含む化合物などを用い得る。

[0108] 図 3に、 誘電体層 1 2 0として第 1層 1 2 1 と第 2層 1 2 2とを有する金 属多孔質部 1 1 2の一部を拡大して断面模式図で示す。 誘電体層 1 2 0は、 金属部分側から順に、 第 2層 1 2 2と第 1層 1 2 1 とを有する。 第 1層 1 2 1の厚さは丁 1で、 第 2層の厚さは丁 2で示されている。

[0109] 八!_ 0法によれば、 薄く均一な誘電体層 (第 1層) が形成され得る。 しか し、 実際には金属多孔質部が有するピッ トの深部の表面においては、 ピンホ —ル等の欠陥を有する場合がある。 第 2層を形成する際に、 イオン化した第 1金属が第 1層にまで拡散し、 第 1層の欠陥を修復する作用を有する。 その 結果、 全体としては、 ピンホールのない均一な厚さを備える誘電体 層が形成 される。 よって、 電解コンデンサの容量が増大するとともに、 耐電圧性が向 〇 2020/174751 25 卩(:171?2019/042681

上し、 漏れ電流が低下する。

[01 10] 第 2層の厚さ丁 2は特に限定されないが、 第 1層の厚さ丁 1 よりも小さく てもよい。 第 2層の厚さ丁 2は、 例えば、 〇. 5 n 以上、 2 0 0 n 以下

[01 1 1 ] 第 1層の厚さ丁 1 と第 2層の厚さ丁 2との比は、 特に限定されず、 用途お よび所望の効果等に応じて適宜設定すればよ い。 例えば、 厚さの比: 丁 1 / 丁 2は、 少なくとも第 3領域において、 2以上でもよいし、 3以上でもよい し、 5以上でもよい。

[01 12] 工程 (_1 1)

誘電体層を覆う陰極部を形成する工程 では、 例えば、 誘電体層を有 する陽極体に電解液を含浸させ、 および/または、 誘電体層の表面に固体電 解質層を形成すればよい。 固体電解質層の形成および電解液の含浸の両 方を 行う場合、 誘電体層に固体電解質層を形成した後、 電解液の含浸を行えばよ い。

[01 13] 電解液としては、 非水溶媒であってもよく、 非水溶媒とこれに溶解させた イオン性物質 (溶質 (例えば有機塩) ) との混合物であってもよい。 非水溶 媒は、 有機溶媒でもよく、 イオン性液体でもよい。

[01 14] 非水溶媒としては、 高沸点溶媒が好ましい。 例えば、 エチレングリコール 、 プロピレングリコールなとの多価アルコール 類、 スルホランなどの環状ス ルホン類、 アーブチロラクトンなどのラクトン類、 1\1 -メチルアセトアミ ド 、 1\1 , 1\1 _ジメチルホルムアミ ド、 1\1 _メチルー 2—ピロリ ドンなどのアミ ド類、 酢酸メチルなどのエステル類、 炭酸プロピレンなどの力ーボネート化 合物、 1 , 4 -ジオキサンなどのエーテル類、 メチルエチルケトンなどのケ トン類、 ホルムアルデヒドなどを用いることができる 。

[01 15] 有機塩とは、 アニオンおよびカチオンの少なくとも一方が 有機物を含む塩 である。 有機塩としては、 例えば、 マレイン酸トリメチルアミン、 ポロジサ リチル酸トリエチルアミン、 フタル酸エチルジメチルアミン、 フタル酸モノ 1 , 2 , 3 , 4—テトラメチルイミダゾリニウム、 フタル酸モノ 1 , 3—ジ 〇 2020/174751 26 卩(:171?2019/042681

メチルー 2—エチルイミダゾリニウムなどを用いても い。

[01 16] 固体電解質層は、 例えば、 マンガン化合物、 導電性高分子などを含む。 導 電性高分子としては、 ポリピロール、 ポリチオフエン、 ポリアニリンおよび これらの誘導体などを用いることができる。 導電性高分子を含む固体電解質 層は、 例えば、 原料モノマーを誘電体層上で化学重合および /または電解重 合することにより形成し得る。 固体電解質層は、 導電性高分子が溶解した溶 液または導電性高分子が分散した分散液を誘 電体層に付着させることにより 形成してもよい。

[01 17] 誘電体層を有する陽極体が、 図 1〜 3に示すような陽極箔である場合、 陰 極部を形成する前に、 図 5に示すような捲回体 1 0 0を作製してもよい。 図 5は、 捲回体 1 0 0の構成を説明するための展開図である。

[01 18] 捲回体 1 0 0を作製する場合、 陽極箔 1 0に加え、 陰極箔 2 0を準備する 。 陰極箔 2 0には、 陽極箔 1 0と同様に金属箔を用いることができる。 陰極

の弁作用金属または弁作用金属を含む合金を 用い得る。 必要に応じて、 陰極 箔 2 0の表面を粗面化してもよい。

[01 19] 次に、 陽極箔 1 0と陰極箔 2 0とをセパレータ 3 0を介して捲回する。 陽 極箔 1 0と陰極箔 2 0には、 それぞれリードタブ 5 0八または 5 0巳の一方 の端部が接続されており、 リードタブ 5 0八および 5 0巳を巻き込みながら 捲回体 1 0 0が構成される。 リードタブ 5 0八および 5 0巳の他方の端部に は、 リード線 6 0八および 6 0巳がそれぞれ接続されている。

[0120] セパレータ 3 0は特に限定されず、 例えば、 セルロース、 ポリエチレンテ レフタレート、 ビニロン、 アラミ ド繊維などを主成分とする不織布を用いる ことができる。

[0121 ] 次に、 捲回体 1 0 0の最外層に位置する陰極箔 2 0の外側表面に、 巻止め テ—プ 4 0を配置し、 陰極箔 2 0の端部を巻止めテープ 4 0で固定する。 な お、 陽極箔 1 〇を大判の箔から裁断して準備した場合には 、 裁断面に誘電体 層を設けるために、 捲回体 1 〇〇に対して更に化成処理を行ってもよい。 〇 2020/174751 27 卩(:171?2019/042681

[0122] 捲回体 1 0 0に電解液、 導電性高分子が溶解した溶液、 および/または、 導電性高分子が分散した分散液などの電解質 を形成するための液体を含浸さ せる方法は、 特に限定されない。 例えば、 容器に収容された電解液、 溶液ま たは分散液に、 捲回体 1 〇〇を浸潰させる方法、 電解液、 溶液または分散液 を捲回体 1 〇〇に滴下する方法などを用い得る。 含浸は、 減圧下、 例えば 1 0 1< 3〜 1 0 0 1< 3、 好ましくは

行ってもよい。 1< 2< 3または 0 1<〇2<〇3を満たす場合、 電 解質を形成するための液体の粘度が 1 0 01 3 3以上、 特に 5 0 01 3 3以上さらには 1 0 0〇1 3 3以上の場合においても、 金属多孔質部へ電 解質を形成するための液体の浸透性を高める ことができ、 電解コンデンサの 容量達成率も高くなり、 巳 3 の低減および漏れ電流の抑制にも有利となる

[0123] 次に、 捲回体 1 0 0を封止することにより、 図 4に示すような電解コンデ ンサ 2 0 0が得られる。 電解コンデンサ 2 0 0を製造するには、 まず、 リー ド線 6 0八、 6 0巳が有底ケース 2 1 1の開口側に位置するように、 捲回体 1 0 0を有底ケース 2 1 1 に収納する。 有底ケース 2 1 1の材料としては、 アルミニウム、 ステンレス鋼、 銅、 鉄、 真鍮などの金属あるいはこれらの合 金を用いることができる。

[0124] 次に、 リード線 6 0八、 6 0巳が貫通するように形成された封止部材 2 1

2を、 捲回体 1 0 0の上方に配置し、 捲回体 1 0 0を有底ケース 2 1 1内に 封止する。 封止部材 2 1 2は、 絶縁性物質であればよく、 弾性体が好ましい 。 中でも耐熱性の高いシリコーンゴム、 フッ素ゴム、 エチレンプロピレンゴ ム、 ハイパロンゴム、 プチルゴム、 イソプレンゴムなどが好ましい。

[0125] 次に、 有底ケース 2 1 1の開口端近傍に、 横絞り加工を施し、 開口端を封 止部材 2 1 2にかしめて力ール加工する。 最後に、 力ール部分に座板 2 1 3 を配置することによって、 封止が完了する。 その後、 定格電圧を印加しなが ら、 エージング処理を行ってもよい。

[0126] 図 6は、 口ール ·ツー 口ール方式のエッチングエ程で使用されるエ ッチ 〇 2020/174751 28 卩(:171?2019/042681

ング装置を模式的に示す説明図である。 エッチング装置 3 0 0は、 エッチン グ液を保持するエッチング槽 3 1 0と、 金属箔 3 0 1 を搬送する複数の搬送 口ール 3 2 0と、 金属箔 3 0 1 に対向する一対の電極 3 3 0と、 電極 3 3 0 に電流を流す交流電源 3 4 0と、 を備える。 金属箔 3 0 1は複数の搬送口一 ル 3 2 0を介して搬送されながら、 エッチング槽 3 1 0内を移動する。 金属 箔 3 0 1は、 エッチング槽 3 1 0内で電極 3 3 0に対向している間 (電解期 間中) 、 エッチングされる。 これにより、 少なくとも部分的にエッチングさ れた金属箔 (エッチング箔) 3 0 2が得られる。

[0127] 図 6では、 長尺の金属箔 3 0 1 に対してエッチングが行われる場合を示し ているが、 これに限定されるものではない。 例えば、 静置された一定の面積 を有する金属箔に対してエッチングが行われ てもよい。 また、 図 6では、 一 対の電極を用いているが、 これに限定されない。 例えば、 1つの電極に金属 箔を対向させるとともに、 電極と金属箔とを交流電源に接続してエッチ ング を行ってもよい。 さらに、 エッチング槽は複数あってもよい。 1つのエッチ ング槽に電極は 2対以上あってよい。

[0128] 上記の実施形態では、 捲回型の電解コンデンサについて説明したが 、 本発 明の適用範囲は上記に限定されず、 他の電解コンデンサ、 例えば、 積層型の 電解コンデンサにも適用することができる。

[0129] 以下、 実施例に基づいて、 本発明をより詳細に説明するが、 本発明は実施 例に限定されるものではない。

[0130] 《実施例 1 八》

本実施例では、 誘電体層として八 !_ 0法で第 1層を形成した後、 化成電圧 6 5 Vの化成を行って第 2電極箔 (化成箔) を作製した。 以下に、 具体的な 製造方法について説明する。

[0131 ] (陽極体 (第 1電極箔) の作製)

厚さ 1 5〇 の I箔を金属箔として準備した。 I箔に塩酸水溶液で 前処理を行い、 その後、 塩酸を主成分とするエッチング液中で交流電 流を印 加してエッチングエ程を行った。 エッチング電流 (電流密度、 周波数) 、 エ 〇 2020/174751 29 卩(:171?2019/042681

ッチング時間、 エッチング液温を適宜調整して、 八 I箔の両方の表面に下記 の空隙率を有する厚さ 55 の金属多孔質部を有するエッチング箔 (第 1 電極箔) を得た。

[0132] 金属多孔質部の細孔径ピークは 1 70 n あった。 第 1領域 1の空隙 率 1、 第 2領域 2の空隙率 2、 第 3領域 3の空隙率 3は、 それぞ れ 55%、 62%、 75%であり、 1< 2< 3であった。 また、 2 /9 ] = ] . 1 3、 93/92 = ] . 2 1であり、 92/9 ]<93/92 を満たしていた。

[0133] 図 7に、 金属多孔質部における陽極体の表面からの距 離と、 空隙率 (八 I 残存率) との関係を示す。

[0134] (第 2電極箔の作製)

次いで、 八 !_ 0法 (温度: 200°〇、 プリカーサ: ーブチルイミ ド) トリス (エチルメチルアミノ) タンタル (V) (〇 13 1 ~ 1 33 1\1 4 丁 3、 丁巳丁巳1\/1 丁) 、 酸化剤: 1 ~ 1 2 〇、 圧力: 1 〇 3、 3000サイクル) により、 多孔質 部を構成する八 I骨格 (金属部分) の表面に、 誘電体層 (第 1層) として丁 3を含む酸化物を形成した。

[0135] 続いて、 八 I箔 (第 1層を有する第 1電極箔) に化成処理を施して、 八 I 骨格と第 1層との間に八 Iの酸化物を含む第 2層を形成し、 第 2電極箔を得 た。 化成処理は、 アジピン酸 2アンモニウム水溶液 (アジピン酸アンモニウ ム濃度 1 〇質量%) に第 1層を有する八 I箔を浸潰し、 直流電流を印加し、 化成電圧約 65 に到達してから、 約 1 0分間の保持を行い、 水洗後、 30 〇°〇で 5分、 空気中で加熱し、 その後、 得られた第 2電極箔を所定形状に裁 断した。

[0136] 元素分析の結果、 第 1層 (厚さ :約 80 n m) には、 丁 3 2 5 が含まれて おり、 第 2層 (厚さ :約 1 0 n〇〇 には八 丨 2 3 が含まれていた (丁 1 = 8 丁 2) 0

[0137] 《比較例 1 八》

厚さ 1 5〇 の八 I箔を用い、 エッチング電流 (電流密度、 周波数) 、 〇 2020/174751 30 卩(:171?2019/042681

エッチング時間、 エッチング液温を適宜調整して八 丨箔の両方の表面に下記 空隙率を有する厚さ 5 5 の金属多孔質部を有するエッチング箔 (第 1電 極箔) を得た。 金属多孔質部の細孔径ピークは 1 6 5 n であった。 第 1領 域 1の空隙率 1、 第 2領域 2の空隙率 2、 第 3領域 3の空隙率 3は、 それぞれ 5 1 %、 4 9 %、 5 2 %であり、 ? 1< 2< 3を満たさ なかった。 この陽極体 (第 1電極箔) を用いたこと以外、 実施例 1 八と同様 に第 2電極箔を作製し、 同様に評価した。

[0138] [評価]

得られた第 2電極箔について、 静電容量およびリーク電流を測定した。 リ —ク電流は、 3 5 °〇の酸性水溶液中で 6 0分浸漬後に、 〇. 2 V /秒のレー 卜で昇圧しながら電圧を印加し、 6 0 Vまでに流れる漏れ電流の積算値を測 定した。 表 1 に、 比較例 1 の結果を 1 0 0とした場合の実施例 1 の相対 値を示す。

[0139] 《実施例 1 巳》

実施例 1 八で得られたエッチング箔 (第 1電極箔) に対し、 八!_ 0法によ る第 1層の形成を行わず、 化成電圧 6 5 の化成を行い、 八 丨 2 3 を含む誘 電体層を有する第 2電極箔 (化成箔) を作製し、 同様に評価した。

[0140] 化成処理は、 アジピン酸 2アンモニウム水溶液 (アジピン酸アンモニウム 濃度 1 〇質量%) に第 1電極箔を浸潰し、 直流電流を印加し、 化成電圧約 6 5 Vに到達してから、 約 1 0分間の保持を行い、 水洗後、 3 0 0 °〇で 5分、 空気中で加熱し、 その後、 得られた第 2電極箔を所定形状に裁断した。

[0141 ] 《比較例 1 巳》

比較例 1 八で得られたエッチング箔 (第 1電極箔) に対し、 八!_ 0法によ る第 1層の形成を行わず、 実施例 1 巳と同様の化成電圧 6 5 の化成を行い 、 八 I 2 3 を含む誘電体層を有する第 2電極箔 (化成箔) を作製し、 同様に 評価した。

[0142] 表 1 に、 比較例 1 巳の結果を 1 0 0とした場合の実施例 1 巳の相対値を示 す。 〇 2020/174751 31 卩(:171?2019/042681

[0143] 《実施例 2》

厚さ 1 2 0 の八 I箔を用い、 エッチング電流 (電流密度、 周波数) 、 エッチング時間、 エッチング液温を適宜調整して八 丨箔の両方の表面に下記 空隙率を有する厚さ 4〇 の金属多孔質部を有するエッチング箔 (第 1電 極箔) を得た。 第 1領域 1の空隙率 1、 第 2領域 2の空隙率 2、 第 3領域 3の空隙率 3は、 それぞれ 5 0 %、 5 5 %および 7 0 %であり、 1< 2< 3を満たしていた。 また、 9 2 / 9 1 = 1 . 1 0、 9 3 / 9 2 = 1 . 2 7であり、 2 / 1< 3 / 2を満たしていた。 この陽極体 (第 1電極箔) を用いたこと以外、 実施例 1 八と同様に第 2電極箔を作製し 、 同様に評価した。

[0144] 図 8に、 実施例 2の金属多孔質部における陽極体の表面から 距離と、 空 隙率 ( I残存率) との関係を示す。

[0145] 《実施例 3》

実施例 2で得られたエッチング箔 (第 1電極箔) に対し、 八!_ 0法による 第 1層の形成を行わず、 実施例 1 巳と同様の化成電圧 6 5 の化成を行い、 八 I 2 3 を含む誘電体層を有する第 2電極箔 (化成箔) を作製し、 同様に評 価した。

[0146] 《比較例 2》

厚さ 1 2 0 の八 I箔を用い、 エッチング電流 (電流密度、 周波数) 、 エッチング時間、 エッチング液温を適宜調整して八 丨箔の両方の表面に下記 空隙率を有する厚さ 4〇 の金属多孔質部を有するエッチング箔 (第 1電 極箔) を得た。 第 1領域 1の空隙率 1、 第 2領域 2の空隙率 2、 第 3領域 3の空隙率 3は、 それぞれ 5 5 %、 5 0 %、 5 2 %であり、 1 < 2< 3を満たさなかった。 この陽極体 (第 1電極箔) を用いたこと以 外、 実施例 3と同様に、 八 !_ 0法による第 1層の形成を行わず、 第 1電極箔 に化成処理のみを施して、 第 2電極箔を作製し、 同様に評価した。

[0147] 図 9に、 比較例 2の金属多孔質部における陽極体の表面から 距離と、 空 隙率 ( I残存率) との関係を示す。 〇 2020/174751 32 卩(:171?2019/042681

[0148] 表 1 に、 比較例 2の結果を 1 0 0とした場合の実施例 2、 3の相対値を示 す。

[0149] [表 1 ]

[0150] 実施例 1 八、 1 巳では、 比較例 1 八、 1 巳と比較して、 静電容量が向上し 、 漏れ電流は低減した。 また、 実施例 2、 3では、 実施例 2と比較して、 静 電容量が向上し、 漏れ電流が低減した。

[0151 ] 《実施例 4》

厚さ 1 5 0 の八 丨箔を金属箔として準備し、 以下のエッチングエ程を 行った。 電流密度は第 1電解ステップにおける第 1電流密度を 1 0 0 %とす るときの相対値で示す。

[0152] <第 1電解ステップ>

八 丨箔に塩酸水溶液で前処理を行い、 その後、 塩酸を主成分とするエッチ ング液中で、 以下のプロファイルの交流電流を印加した。

[0153] 電解期間:電流密度 1 0 0 %、 5分 (図 1 0のステップ 1)

[0154] <第 1洗浄ステップ>

無電解期間: 8分の純水による洗浄

[0155] <第 2電解ステップ>

第 1ステップ後の八 I箔 (第エッチング箔) に、 塩酸を主成分とするエッ チング液中で、 以下のプロファイルの交流電流を印加した。

[0156] 電解期間:電流密度 9 3 %、 5分 (図 1 0のステップ 2) 〇 2020/174751 33 卩(:171?2019/042681

[0157] <第 2洗浄ステップ>

無電解期間: 8分の純水による洗浄

[0158] <第 3電解ステップ>

第 2ステップ後の八 丨箔 (第 2エッチング箔) に、 塩酸を主成分とするエ ッチング液 (電解液) 中で、 以下のプロファイルの交流電流を印加した。

[0159] 電解期間:電流密度 9〇. 7 %、 5分 (図 1 0のステップ 3)

[0160] <第 3洗浄ステップ>

無電解期間: 8分の純水による洗浄

丁 1 = 1 5分

丁 2 = 1 6分

丁〇=丁 1 +丁 2 = 3 1分

[0161 ] 上記の結果、 I箔の両方の表面に下記の空隙率を有する厚 4 0 の 金属多孔質部を有する第 1電極箔を得た。 金属多孔質部の細孔径ピークは 1 であった。 第 1領域 1の空隙率 1、 第 2領域 2の空隙率 2 、 第 3領域 3の空隙率 3は、 9 }<9 2<9 3 . 9 2 / 9 1<9 3 / 9 2を満たしていた。

[0162] 図 1 0には、 エッチングエ程における電流密度の推移を示 すプロッ トとそ の近似直線を示す。 近似直線の決定係数 2 は〇. 9 2である。

[0163] 《実施例 5》

厚さ 1 2 0 の八 丨箔を金属箔として準備し、 以下のエッチングエ程を 行った。 電流密度は第 1電解ステップの第 1サブステップにおける第 1電流 密度を 1 0 0 %とするときの相対値で示す。

[0164] <第 1電解ステップ>

八 丨箔に塩酸水溶液で前処理を行い、 その後、 塩酸を主成分とするエッチ ング液中で、 以下のプロファイルの交流電流を印加した。

[0165] (〇 第 1サブステップ (図 1 1のステップ 1)

電解期間:電流密度 1 0 0 %、 3分

無電解期間: 8分の純水による洗浄 〇 2020/174751 34 卩(:171?2019/042681

[0166] ( I) 第 2サブステップ (図 1 1のステップ 2)

電解期間:電流密度 94. 8%、 3分

[0167] <第 1洗浄ステップ>

無電解期間: 8分の純水による洗浄

[0168] <第 2電解ステップ>

第 1電解ステップ後の八 I箔 (第 1エッチング箔) に、 塩酸を主成分とす るエッチング液 (電解液) 中で、 以下のプロファイルの交流電流を印加した

[0169] (I) 第 1サブステップ (図 1 1のステップ 3)

電解期間:電流密度 95. 4%、 3分

無電解期間: 8分の純水による洗浄

[0170] ( I) 第 2サブステップ (図 1 1のステップ 4)

電解期間:電流密度 92. 3%、 3分

[0171] <第 2洗浄ステップ>

無電解期間: 8分の純水による洗浄

[0172] <第 3電解ステップ>

第 2電解ステップ後の八 I箔 (第 2エッチング箔) に、 塩酸を主成分とす るエッチング液中で、 以下のプロファイルの交流電流を印加した。

[0173] (I) 第 1サブステップ (図 1 1のステップ 5)

電解期間:電流密度 93. 1 %、 3分

無電解期間: 8分の純水による洗浄

[0174] ( I) 第 2サブステップ (図 1 1のステップ 6)

電解期間:電流密度 9〇. 5%、 3分

[0175] <第 3洗浄ステップ>

無電解期間: 8分の純水による洗浄

丁 1 = 1 8分

丁 2 = 40分

70=7 ] +丁 2=58分 〇 2020/174751 35 卩(:171?2019/042681

[0176] 上記の結果、 I箔の両方の表面に下記の空隙率を有する厚 40 の 金属多孔質部を有する第 1電極箔を得た。 金属多孔質部の細孔径ピークは 1 であった。 第 1領域 1の空隙率 1、 第 2領域 2の空隙率 2 、 第 3領域 3の空隙率 3は、 それぞれ 50 %、 55 %、 70 %であり、 1< 2< 3であった。 また、 92X91 = 1. 1. 1 0、 3/ 2 = 1. 27であり、 2/ 1< 3/ 2を満たしていた。

[0177] 図 1 1 には、 エッチングエ程における電流密度の推移を示 すプロッ トとそ の近似直線を示す。 近似直線の決定係数 2 は〇. 82である。

[0178] 《実施例 6》

厚さ 1 50 の八 丨箔を金属箔として準備し、 以下のエッチングエ程を 行った。 電流密度は第 1ステップの第 1サブステップにおける第 1電流密度 を 1 00%とするときの相対値で示す。

[0179] <第 1電解ステップ>

八 丨箔に塩酸水溶液で前処理を行い、 その後、 塩酸を主成分とするエッチ ング液中で、 以下のプロファイルの交流電流を印加した。

[0180] (I) 第 1サブステップ (図 1 2のステップ 1)

電解期間:電流密度 1 00%、 3分

無電解期間: 8分の純水による洗浄

[0181] ( I) 第 2サブステップ (図 1 2のステップ 2)

電解期間:電流密度 94. 8%、 3分

[0182] <第 1洗浄ステップ>

無電解期間: 8分の純水による洗浄

[0183] <第 2電解ステップ>

第 1電解ステップ後の八 I箔 (第 1エッチング箔) に、 塩酸を主成分とす るエッチング液中で、 以下のプロファイルの交流電流を印加した。

[0184] (I) 第 1サブステップ (図 1 2のステップ 3)

電解期間:電流密度 95. 4%、 3分

無電解期間: 8分の純水による洗浄 〇 2020/174751 36 卩(:171?2019/042681

[0185] ( I) 第 2サブステップ (図 1 2のステップ 4)

電解期間:電流密度 92. 3%、 3分

[0186] <第 2洗浄ステップ>

無電解期間: 8分の純水による洗浄

[0187] <第 3電解ステップ>

第 2電解ステップ後の八 I箔 (第 2エッチング箔) に、 塩酸を主成分とす るエッチング液 (電解液) 中で、 以下のプロファイルの交流電流を印加した

[0188] (I) 第 1サブステップ (図 1 2のステップ 5)

電解期間:電流密度 93. 1 %、 3分

無電解期間: 8分の純水による洗浄

[0189] ( I) 第 2サブステップ (図 1 2のステップ 6)

電解期間:電流密度 9〇. 5%、 3分

[0190] <第 3洗浄ステップ>

無電解期間: 8分の純水による洗浄

丁 1 = 1 8分

丁 2 = 40分

70=7 ] +丁 2=58分

[0191] 上記の結果、 I箔の両方の表面に下記の空隙率を有する厚 55 の 金属多孔質部を有する第 1電極箔を得た。 金属多孔質部の細孔径ピークは 1 であった。 第 1領域 1の空隙率 1、 第 2領域 2の空隙率 2 、 第 3領域 3の空隙率 3は、 それぞれ 55 %、 62 %、 75 %であり、 1< 2< 3であった。 また、 2/ 1 = 1. 1 3、 3/ 2= 1 . 2 1であり、 2/ 1< 3/ 2を満たしていた。

[0192] 図 1 2には、 エッチングエ程における電流密度の推移を示 すプロッ トとそ の近似曲線を示す。 近似曲線の決定係数 2 は〇. 96である。

[0193] 《実施例 7》

厚さ 1 5〇 の八 丨箔を準備し、 以下の 9サブステップを有するエッチ 〇 2020/174751 37 卩(:171?2019/042681

ングエ程を 1つの電解槽内で行った。 電流密度は第 1サブステップにおける 第 1電流密度を 1 〇 0%とするときの相対値で示す。

[0194] I箔に塩酸水溶液で前処理を行い、 その後、 塩酸を主成分とするエッチ ング液 (電解液) 中で、 以下のプロファイルの交流電流を印加した。

[0195] (I) 第 1サブステップ (図 1 3のステップ 1)

電解期間:電流密度 1 00%、 3分

無電解期間: 8分

[0196] ( I) 第 2サブステップ (図 1 3のステップ 2)

電解期間:電流密度 93. 4%、 3分

無電解期間: 8分

[0197] ( 111) 第 3サブステップ (図 1 3のステップ 3)

電解期間:電流密度 95. 8%、 3分

無電解期間: 8分

[0198] (IV) 第 4サブステップ (図 1 3のステップ 4)

電解期間:電流密度 88. 2%、 3分

無電解期間: 8分

[0199] (V) 第 5サブステップ (図 1 3のステップ 5)

電解期間:電流密度 87. 2%、 3分

丁 1 = 1 5分

丁 2 = 32分

70=7 ] +丁 2=47分

[0200] 上記の結果、 I箔の両方の表面に下記の空隙率を有する厚 40 の 金属多孔質部を有する第 1電極箔を得た。 金属多孔質部の細孔径ピークは 1 であった。 第 1領域 1の空隙率 1、 第 2領域 2の空隙率 2 、 第 3領域 3の空隙率 3は、 9 } <92<93. 92/91 <93/9 2を満たしていた。

[0201] 図 1 3には、 エッチングエ程における電流密度の推移を示 すプロッ トとそ の近似直線を示す。 近似直線の決定係数 2 は〇. 83である。 産業上の利用可能性

[0202] 本発明によれば、 例えば、 金属多孔質部の深部にまで誘電体層を形成し 得 るため、 電解コンデンサの性能を向上させ得る。

[0203] 本発明を現時点での好ましい実施態様に関し て説明したが、 そのような開 示を限定的に解釈してはならない。 種々の変形および改変は、 上記開示を読 むことによって本発明に属する技術分野にお ける当業者には間違いなく明ら かになるであろう。 したがって、 添付の請求の範囲は、 本発明の真の精神お よび範囲から逸脱することなく、 すべての変形および改変を包含する、 と解 釈されるべきものである。

符号の説明

[0204] 1 0 :陽極箔、 20 :陰極箔、 30 :セパレータ、 40 :巻止めテープ、

50 A、 50 B : リードタブ、 60 A、 60 B : リード線、 1 00 :捲回体 . 1 1 0 :陽極体、 1 1 1 :金属芯部、 1 1 2 :金属多孔質部、 1 20 :誘 電体層、 1 2 1 :第 1層、 1 22 :第 2層、 200 :電解コンデンサ、 2 1 1 :有底ケース、 2 1 2 :封止部材、 2 1 3 :座板