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(I)(A)式(A): Rf 1 -O-Rf 2 (式中、Rf 1 およびRf 2 は同じかまたは異なり、Rf 1 は炭素数3~6の含フッ素アルキル基、Rf 2 は炭素数2~6の含フッ素アルキル基である) で示される含フッ素エーテル、 (B)(B1)含フッ素環状カーボネートおよび(B2)含フッ素ラクトンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の含フッ素溶媒、ならびに (C)(C1)非フッ素系環状カーボネートおよび(C2)非フッ素系鎖状カーボネートよりなる群れから選ばれる少なくとも1種の非フッ素系カーボネート を含む電解質塩溶解用溶媒、ならびに (II)電解質塩 を含み、 電解質塩溶解用溶媒(I)が、溶媒(I)全体に対して、含フッ素エーテル(A)を20~60体積%、含フッ素溶媒(B)を0.5~45体積%、ならびに非フッ素系環状カーボネート(C1)を5~40体積%および/または非フッ素系鎖状カーボネート(C2)を10~74.5体積%含む電解液。 |
式(A)で示される含フッ素エーテル(A)のフッ素含有率が40~75質量%であり、式(A)中、Rf 1 およびRf 2 は同じかまたは異なり、Rf 1 が炭素数3または4の含フッ素アルキル基であり、Rf 2 が炭素数2または3の含フッ素アルキル基である請求の範囲第1項記載の電解液。 |
含フッ素エーテル(A)の沸点が67~120℃である請求の範囲第1項または第2項記載の電解液。 |
含フッ素エーテル(A)が、HCF 2 CF 2 CH 2 OCF 2 CFHCF 3 、CF 3 CF 2 CH 2 OCF 2 CFHCF 3 、HCF 2 CF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 HおよびCF 3 CF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 Hよりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求の範囲第1項~第3項のいずれかに記載の電解液。 |
非フッ素系環状カーボネート(C1)が、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、非フッ素系鎖状カーボネート(C2)が、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびメチルエチルカーボネートよりなる群れから選ばれる少なくとも1種である請求の範囲第1項~第4項のいずれかに記載の電解液。 |
(D)リン酸エステル を電解質塩溶解用溶媒(I)中に1~10体積%含む請求の範囲第1項~第5項のいずれかに記載の電解液。 |
リン酸エステル(D)が、 (D1)含フッ素アルキルリン酸エステル である請求の範囲第6項記載の電解液。 |
(E)(E1)式(E1): Rf 7 COO - M + (式中、Rf 7 は炭素数3~12のエーテル結合を含んでいてもよい含フッ素アルキル基;M + はLi + 、Na + 、K + またはNHR' 3 + (R'は同じかまたは異なり、いずれもHまたは炭素数が1~3のアルキル基)である) で示される含フッ素カルボン酸塩、および (E2)式(E2): Rf 8 SO 3 - M + (式中、Rf 8 は炭素数3~10のエーテル結合を含んでいてもよい含フッ素アルキル基;M + はLi + 、Na + 、K + またはNHR' 3 + (R'は同じかまたは異なり、いずれもHまたは炭素数が1~3のアルキル基)である) で示される含フッ素スルホン酸塩 よりなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤 を電解質塩溶解用溶媒(I)全体に対して0.01~2質量%含む請求の範囲第1項~第7項のいずれかに記載の電解液。 |
プロピオン酸エステルを1~30体積%含む請求の範囲第1項~第8項のいずれかに記載の電解液。 |
芳香族化合物を0.1~5体積%含む請求の範囲第1項~第9項のいずれかに記載の電解液。 |
電解質塩(II)濃度が0.5~1.5モル/リットルである請求の範囲第1項~第10項のいずれかに記載の電解液。 |
電解質塩(II)がLiPF 6 またはLiBF 4 である請求の範囲第1項~第11項のいずれかに記載の電解液。 |
電解質塩(II)が、 (IIa)LiN(SO 2 CF 3 ) 2 およびLiN(SO 2 CF 2 CF 3 ) 2 よりなる群から選択される少なくとも1種の電解質塩 を含む請求の範囲第1項~第11項のいずれかに記載の電解液。 |
電解質塩(IIa)がLiN(SO 2 CF 3 ) 2 である請求の範囲第13項記載の電解液。 |
さらに、 (IIb)LiPF 6 およびLiBF 4 よりなる群から選択される少なくとも1種の電解質塩 を含む請求の範囲第13項または第14項記載の電解液。 |
電解質塩(IIa)濃度が0.1~0.9モル/リットル、電解質塩(IIb)濃度が0.1~0.9モル/リットルであり、電解質塩(IIb)濃度/電解質塩(IIa)濃度が1/9~9/1である請求の範囲第15項記載の電解液。 |
リチウムイオン二次電池用である請求の範囲第1項~第16項のいずれかに記載の電解液。 |
請求の範囲第1項~第16項記載の電解液を備える電気化学デバイス。 |
請求の範囲第1項~第17項記載の電解液を備えるリチウムイオン二次電池。 |
さらに、正極、負極およびセパレータを備える請求の範囲第19項記載のリチウムイオン二次電池。 |
正極に使用する正極活物質が、コバルト系複合酸化物、ニッケル系複合酸化物、マンガン系複合酸化物、鉄系複合酸化物およびバナジウム系複合酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求の範囲第20項記載のリチウムイオン二次電池。 |
負極に使用する負極活物質が炭素材料である請求の範囲第20項または第21項記載のリチウムイオン二次電池。 |
本発明は、リチウムイオン二次電池など 電気化学デバイス用として好適な電解液に する。
リチウムイオン二次電池用の電解質塩溶 用溶媒としては、エチレンカーボネート、 ロピレンカーボネート、ジメチルカーボネ トなどのカーボネート類が汎用されている しかし、これらの炭化水素系カーボネート は引火点が低く燃焼性が高いため、過充電 過加熱による発火・爆発の危険性があり、 くにハイブリッド自動車用や分散電源用の 型リチウムイオン二次電池では、安全確保 上で重要な課題となっている。
電解液の爆発防止の手段として、電解液 添加剤としてフルオロアルカン、リン酸エ テル、リン化合物を配合することが提案さ ている(たとえば、特開平11-233141号公報、特 開平11-283669号公報、特開2002-280061号公報およ 特開平9-293533号公報参照)。
しかし、フルオロアルカンを添加する系 は、フルオロアルカン自体が電解液成分と て必須であるカーボネート類とほとんど相 しないため層分離を起こしてしまい、電池 能が悪化してしまう。
また、リン酸エステルやリン化合物を添 する系では、電解液の燃焼性は抑えられる 、粘性が高くなり導電率が低下しやすくな たり、充放電サイクルによる劣化を惹き起 しやすくなったりする。
電解液としての性能を落とさずに不燃性 難燃性を高めるために、含フッ素エーテル 添加することも提案されている(たとえば、 特開平8-37024号公報、特開平9-97627号公報、特 平11-26015号公報、特開2000-294281号公報、特開 2001-52737号公報および特開平11-307123号公報参 )。
特開平8-37024号公報には、含フッ素エーテ ルを加えた高容量でサイクル安定性に優れた 二次電池用電解液が記載されており、含フッ 素エーテルとして鎖状でも環状でもよいとさ れ、含フッ素鎖状エーテルの具体例として、 一方のアルキル基として炭素数2以下のもの 記載されている。
しかし、含フッ素エーテルの含有量は30 積%までであり、30体積%よりも多くなると、 の系では放電容量が小さくなってしまうと 載されている。
特開平9-97627号公報には、電解質溶解用溶媒 として環状カーボネートを使用せずともよい 電解液を調製するべく、非環状カーボネート に加えて、R A -O-R B (R A は炭素数2以下のアルキル基またはハロゲン 換アルキル基;R B は炭素数2~10のハロゲン置換アルキル基)で示 れる含フッ素エーテルを30~90体積%用いるこ を提案している。また、必須ではないが、 状カーボネートを好ましくは30体積%以下配 することにより初期の放電容量が向上する とが示唆されている。
しかし、この系では、R A の炭素数が3以上となると電解質塩の溶解度 低くなるとされており、目的とする電池特 が得られない。
特開平11-26015号公報、特開2000-294281号公報お よび特開2001-52737号公報には、エーテル酸素 含む有機基が-CH 2 -O-である含フッ素エーテルを用いて他の溶媒 との相溶性、酸化分解に対する安定性、不燃 性などを改善することが提案されており、具 体的には、HCF 2 CF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 Hなどのエーテル酸素に結合した一方の有機 として炭素数2以下の含フッ素エーテルが記 されている。しかし、概して沸点が低く、 た他の溶媒との相溶性が低いほか電解質塩 解性が低いものであり、二次電池用電解液 溶媒としては、さらなる耐熱性や耐酸化性 目指す場合には必ずしも充分とはいえない
特開平11-307123号公報には、C m F 2m+1 -O-C n H 2n+1 で示される含フッ素エーテルを鎖状のカーボ ネートと混合することにより、容量維持率や 安全性に優れた電解液が提供できると記載さ れている。しかし、この混合溶媒系は電解質 塩の溶解能が低く、優れた電解質塩であり汎 用されているLiPF 6 やLiBF 4 を溶解することができず、電解質塩として金 属腐食性のLiN(O 2 SCF 3 ) 2 を用いざるをえなくなっている。また、粘度 が高いためレート特性が悪い。
また、両辺が含フッ素アルキル基である(R C -O-R D (R C およびR D は同じかまたは異なり、いずれも含フッ素ア ルキル基)で示される)含フッ素エーテルは、 チウムイオン二次電池用の難燃化剤として 用であるが、充分な難燃性を確保するため は、30体積%以上の含有率が必要になる。こ 場合、高誘電溶媒であるエチレンカーボネ トなどの含有量が高くなるとリチウム塩が 出しやすくなり、逆に含有量が少なければ オン伝導度が下がってしまう。
このように、不燃性や難燃性に優れ、か 充分な電池特性(充放電サイクル特性、放電 容量、イオン伝導度など)を有するリチウム 次電池用電解液は開発されていないのが現 である。
本発明は、こうした従来の問題点を解決 ようとするものであり、低温でも相分離せ 、また難燃性や不燃性に優れ、電解質塩の 解性が高く、放電容量が大きく、充放電サ クル特性に優れたリチウムイオン二次電池 どの電気化学デバイスに好適な電解液を提 することを目的とする。
すなわち本発明は、
(I)(A)式(A):
Rf 1
-O-Rf 2
(式中、Rf 1
およびRf 2
は同じかまたは異なり、Rf 1
は炭素数3~6の含フッ素アルキル基、Rf 2
は炭素数2~6の含フッ素アルキル基である)
で示される含フッ素エーテル、
(B)(B1)含フッ素環状カーボネートおよび(B2)含
ッ素ラクトンよりなる群から選ばれる少な
とも1種の含フッ素溶媒、ならびに
(C)(C1)非フッ素系環状カーボネートおよび(C2)
フッ素系鎖状カーボネートよりなる群れか
選ばれる少なくとも1種の非フッ素系カーボ
ネート
を含む電解質塩溶解用溶媒、ならびに
(II)電解質塩
を含み、
電解質塩溶解用溶媒(I)が、溶媒(I)全体に対し
て、含フッ素エーテル(A)を20~60体積%、含フッ
素溶媒(B)を0.5~45体積%、ならびに非フッ素系
状カーボネート(C1)を5~40体積%および/または
フッ素系鎖状カーボネート(C2)を10~74.5体積%
む電解液に関する。
前記式(A)で示される含フッ素エーテル(A)の ッ素含有率が40~75質量%であり、式(A)中、Rf 1 およびRf 2 は同じかまたは異なり、Rf 1 が炭素数3または4の含フッ素アルキル基であ 、Rf 2 が炭素数2または3の含フッ素アルキル基であ ことが好ましい。
前記含フッ素エーテル(A)の沸点は、67~120 であることが好ましい。
前記含フッ素エーテル(A)は、HCF 2 CF 2 CH 2 OCF 2 CFHCF 3 、CF 3 CF 2 CH 2 OCF 2 CFHCF 3 、HCF 2 CF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 HおよびCF 3 CF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 Hよりなる群から選ばれる少なくとも1種であ ことが好ましい。
前記非フッ素系環状カーボネート(C1)は、 エチレンカーボネート、ビニレンカーボネー トおよびプロピレンカーボネートよりなる群 から選ばれる少なくとも1種であることが好 しく、非フッ素系鎖状カーボネート(C2)は、 メチルカーボネート、ジエチルカーボネー およびメチルエチルカーボネートよりなる れから選ばれる少なくとも1種であることが 好ましい。
前記電解液は、
(D)リン酸エステル
を電解質塩溶解用溶媒(I)中に1~10体積%含むこ
が好ましい。
前記リン酸エステル(D)は、
(D1)含フッ素アルキルリン酸エステル
であることが好ましい。
前記電解液は、
(E)(E1)式(E1):
Rf 7
COO -
M +
(式中、Rf 7
は炭素数3~12のエーテル結合を含んでいても
い含フッ素アルキル基;M +
はLi +
、Na +
、K +
またはNHR' 3 +
(R'は同じかまたは異なり、いずれもHまたは
素数が1~3のアルキル基)である)
で示される含フッ素カルボン酸塩、および
(E2)式(E2):
Rf 8
SO 3 -
M +
(式中、Rf 8
は炭素数3~10のエーテル結合を含んでいても
い含フッ素アルキル基;M +
はLi +
、Na +
、K +
またはNHR' 3 +
(R'は同じかまたは異なり、いずれもHまたは
素数が1~3のアルキル基)である)
で示される含フッ素スルホン酸塩
よりなる群から選ばれる少なくとも1種の界
活性剤
を電解質塩溶解用溶媒(I)全体に対して0.01~2質
量%含むことが好ましい。
本発明の電解液は、プロピオン酸エステ を1~30体積%含んでいてもよい。また、芳香 化合物を0.1~5体積%含んでいてもよい。
前記電解質塩(II)濃度は、0.5~1.5モル/リッ ルであることが好ましい。
前記電解質塩(II)は、LiPF 6 またはLiBF 4 であることが好ましい。
前記電解質塩(II)は、
(IIa)LiN(SO 2
CF 3
) 2
およびLiN(SO 2
CF 2
CF 3
) 2
よりなる群から選択される少なくとも1種の
解質塩
を含むことが好ましい。
前記電解質塩(IIa)は、LiN(SO 2 CF 3 ) 2 であることが好ましい。
前記電解液は、さらに、
(IIb)LiPF 6
およびLiBF 4
よりなる群から選択される少なくとも1種の
解質塩
を含むことが好ましい。
前記電解質塩(IIa)濃度が0.1~0.9モル/リット ル、電解質塩(IIb)濃度が0.1~0.9モル/リットル あり、電解質塩(IIb)濃度/電解質塩(IIa)濃度が 1/9~9/1であることが好ましい。
前記電解液は、リチウムイオン二次電池 であることが好ましい。
また、本発明は、前記電解液を備える電 化学デバイスに関する。
さらに、本発明は、前記電解液を備える チウムイオン二次電池に関する。
前記リチウムイオン二次電池は、さらに 正極、負極およびセパレータを備えること 好ましい。
前記正極に使用する正極活物質は、コバ ト系複合酸化物、ニッケル系複合酸化物、 ンガン系複合酸化物、鉄系複合酸化物およ バナジウム系複合酸化物よりなる群から選 れる少なくとも1種であることが好ましい。
前記負極に使用する負極活物質は、炭素 料であることが好ましい。
なお、本明細書において、「難燃性」と 後述する難燃性試験において発火・破裂し い性質をいい、「不燃性」とは後述する着 試験において着火しない性質をいう。
本発明の電解液は、特定組成の電解質塩 解用溶媒(I)と電解質塩(II)を含む電解液を備 える。
まず、電解質塩溶解用溶媒(I)について説 する。
(A)含フッ素エーテル:
含フッ素エーテル(A)は、式(A):
Rf 1
-O-Rf 2
(式中、Rf 1
およびRf 2
は同じかまたは異なり、Rf 1
は炭素数3~6の含フッ素アルキル基、Rf 2
は炭素数2~6の含フッ素アルキル基である)
で示される含フッ素エーテルである。
Rf 1 およびRf 2 の合計炭素数が5よりも少ないと含フッ素エ テルの沸点が低くなりすぎ、また、Rf 1 またはRf 2 の炭素数が6をこえると、電解質塩の溶解性 低下し、他の溶媒との相溶性にも悪影響が 始め、また粘度が上昇するためレート特性( 性)が低減する。とくに、Rf 1 の炭素数が3または4、Rf 2 の炭素数が2または3のとき、沸点およびレー 特性に優れる点で有利である。
また、Rf 1 およびRf 2 はフッ素原子を含むため、この含フッ素エー テル(A)を含む本発明の電解液は、不燃性が向 上する。
さらに好ましくは、含フッ素エーテル(A) フッ素含有率は、40質量%以上、さらには45 量%以上、とくには50質量%以上が好ましく、 限は75質量%、さらには70質量%が好ましい。 の範囲のフッ素含有率を有するとき、不燃 と相溶性のバランスにとくに優れたものに る。なお、本発明において、フッ素含有率 、{(フッ素原子の個数×19)/分子量}×100(%)で 出した値である。
Rf 1 としては、たとえば、CF 3 CF 2 CH 2 -、CF 3 CFHCF 2 -、HCF 2 CF 2 CF 2 -、HCF 2 CF 2 CH 2 -、CF 3 CF 2 CH 2 CH 2 -、CF 3 CFHCF 2 CH 2 -、HCF 2 CF 2 CF 2 CF 2 -、HCF 2 CF 2 CF 2 CH 2 -、HCF 2 CF 2 CH 2 CH 2 -、HCF 2 CF(CF 3 )CH 2 -などがあげられる。また、Rf 2 としては、たとえば、-CH 2 CF 2 CF 3 、-CF 2 CFHCF 3 、-CF 2 CF 2 CF 2 H、-CH 2 CF 2 CF 2 H、-CH 2 CH 2 CF 2 CF 3 、-CH 2 CF 2 CFHCF 3 、-CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 H、-CH 2 CF 2 CF 2 CF 2 H、-CH 2 CH 2 CF 2 CF 2 H、-CH 2 CF(CF 3 )CF 2 H、-CF 2 CF 2 H、-CH 2 CF 2 H、-CF 2 CH 3 などがあげられる。
なかでも、Rf 1 、Rf 2 としては、片末端または両末端がHCF 2 -またはCF 3 CFH-を含むものが分極性に優れ、沸点の高い(6 7℃以上、さらには80℃以上、とくには100℃以 上;上限値は120℃)含フッ素エーテルを与える とができる。好適なものとしては、たとえ 、CF 3 CH 2 OCF 2 CFHCF 3 、CF 3 CF 2 CH 2 OCF 2 CFHCF 3 、HCF 2 CF 2 CH 2 OCF 2 CFHCF 3 、HCF 2 CF 2 CH 2 OCH 2 CF 2 CF 2 H、CF 3 CFHCF 2 CH 2 OCF 2 CFHCF 3 、HCF 2 CF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H、CF 3 CF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 Hなどの1種または2種以上があげられ、なかで も、高沸点、他の溶媒との相溶性や電解質塩 の溶解性が良好な点で有利なことから、HCF 2 CF 2 CH 2 OCF 2 CFHCF 3 (沸点106℃)、CF 3 CF 2 CH 2 OCF 2 CFHCF 3 (沸点82℃)、HCF 2 CF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H(沸点88℃)、CF 3 CF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H(沸点68℃)が、さらにはHCF 2 CF 2 CH 2 OCF 2 CFHCF 3 (沸点106℃)、HCF 2 CF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H(沸点88℃)が好ましい。
含フッ素エーテル(A)の含有量は、溶媒(I) 体に対する含有量として20~60体積%である。 くなりすぎると電解質塩の溶解性が低下す ほか、層分離を引き起こすことがあり、ま 少なすぎると低温特性(低温安定性)が低下 、難燃性も低下することとなり、いずれも 体特性と電池特性のバランスが崩れる。好 しい上限は、他の溶媒との相溶性や電解質 の溶解性が良好な点から50体積%である。20体 積%以上であると、低温特性の維持や難燃性 維持の観点から好ましい。
なお、含フッ素エーテル(A)の50体積%以下 他の含フッ素エーテルで置き換えてもよい
(B)含フッ素溶媒:
含フッ素溶媒(B)は、含フッ素環状カーボネ
ト(B1)および含フッ素ラクトン(B2)よりなる
から選ばれる少なくとも1種の含フッ素溶媒
ある。
含フッ素環状カーボネート(B1)を含有させ ることにより、誘電率を上昇させる作用や耐 酸化性、イオン伝導度の向上といった効果が 得られる。
含フッ素環状カーボネート(B1)は、式(B1):
で示されるものである。
X 1 ~X 4 は、-H、-F、-CF 3 、-CF 2 H、-CFH 2 、-CF 2 CF 3 、-CH 2 CF 3 または-CH 2 OCH 2 CF 2 CF 3 であり、誘電率、粘性が良好で、他の溶媒と の相溶性に優れる点から-F、-CF 3 、-CH 2 CF 3 が好ましい。
式(B1)において、X 1 ~X 4 の少なくとも1つが-F、-CF 3 、-CF 2 CF 3 、-CH 2 CF 3 または-CH 2 OCH 2 CF 2 CF 3 であれば、-H、-F、-CF 3 、-CF 2 H、-CFH 2 、-CF 2 CF 3 、-CH 2 CF 3 または-CH 2 OCH 2 CF 2 CF 3 は、X 1 ~X 4 の1箇所のみに置換していてもよいし、複数 箇所に置換していてもよい。なかでも、誘 率、耐酸化性が良好な点から、置換箇所は1~ 2箇所が好ましい。
含フッ素環状カーボネート(B1)のフッ素含 有率は、誘電率、耐酸化性が良好な点から、 20~50質量%が好ましく、30~50質量%がより好まし い。
含フッ素環状カーボネート(B1)のなかでも 、高い誘電率、高い耐電圧といった優れた特 性がとくに発揮できる点、そのほか電解質塩 の溶解性、内部抵抗の低減が良好な点で本発 明におけるリチウムイオン二次電池としての 特性が向上する点から、次のものが好ましい 。
耐電圧が高く、電解質塩の溶解性も良好な
フッ素環状カーボネート(B1)としては、たと
えば、
他にも、含フッ素環状カーボネート(B1)とし
ては、
含フッ素ラクトン(B2)を含有させることに より、イオン伝導度の向上、安全性の向上、 高温時の安定性向上といった効果が得られる 。
含フッ素ラクトン(B2)としては、たとえば、
式(B2A):
で示される含フッ素ラクトンがあげられる。
X 5 ~X 10 における含フッ素アルキル基としては、たと えば、-CFH 2 、-CF 2 H、-CF 3 、-CH 2 CF 3 、-CF 2 CF 3 、-CH 2 CF 2 CF 3 、-CF(CF 3 ) 2 などがあげられ、耐酸化性が高く、安全性向 上効果がある点から-CH 2 CF 3 、-CH 2 CF 2 CF 3 が好ましい。
X 5 ~X 10 の少なくとも1つが含フッ素アルキル基であ ば、-H、-F、-Cl、-CH 3 または含フッ素アルキル基は、X 5 ~X 10 の1箇所のみに置換していてもよいし、複数 箇所に置換していてもよい。好ましくは、 解質塩の溶解性が良好な点から1~3箇所、さ には1~2箇所である。
含フッ素アルキル基の置換位置はとくに限 されないが、合成収率が良好なことから、X 7 および/またはX 8 が、特にX 7 またはX 8 が含フッ素アルキル基、なかでも-CH 2 CF 3 、-CH 2 CF 2 CF 3 であることが好ましい。含フッ素アルキル基 以外のX 5 ~X 10 は、-H、-F、-Clまたは-CH 3 であり、とくに電解質塩の溶解性が良好な点 から-Hが好ましい。
含フッ素ラクトン(B2)としては、前記式(B2A)
示されるもの以外にも、たとえば、式(B2B):
で示される含フッ素ラクトン(B2)などもあげ
れる。
式(B2B)で示される含フッ素ラクトン(B2)とし
は、式(B2B-1):
で示される5員環構造が、合成が容易である
、化学的安定性が良好な点から好ましい。
式(B2B-1)で示される含フッ素ラクトン(B2)に
、AとBの組合せにより、式(B2B-1-1):
で示される含フッ素ラクトン(B2)と、
式(B2B-1-2):
で示される含フッ素ラクトン(B2)がある。
これらのなかでも、高い誘電率、高い耐電
といった優れた特性が特に発揮できる点、
のほか電解質塩の溶解性、内部抵抗の低減
良好な点で本発明における電解液としての
性が向上する点から、
その他、含フッ素ラクトン(B2)としては、
含フッ素溶媒(B)の含有量は、溶媒(I)全体 対する含有量として0.5~45体積%である。多く なりすぎると粘度が上昇し、イオン伝導度が 低下したり、塩との相溶性が悪化したりする などの欠点が発生する。好ましい上限は、安 全性向上、相溶性向上などの効果を維持しつ つ欠点を抑える点から40体積%である。
含フッ素溶媒(B)、特に含フッ素環状カー ネート(B1)は、非フッ素系環状カーボネート (C1)に比べ含フッ素エーテル(A)に対し溶解性 良好であり、また、耐酸化性の向上および 火点の上昇に有効である。耐酸化性の向上 よび引火点の上昇を目指す場合は、5体積%以 上、さらには10体積%以上が好ましい。
また、引火点自体の上昇を意図する場合 、含フッ素環状カーボネート(B1)と非フッ素 系環状カーボネート(C1)と含フッ素エーテル(A )の合計が溶媒(I)全体に対する含有量として60 体積%以上、さらには70体積%以上であること 好ましい。
(C)非フッ素系カーボネート:
非フッ素系カーボネート(C)は、非フッ素系
状カーボネート(C1)および非フッ素系鎖状カ
ーボネート(C2)よりなる群れから選ばれる少
くとも1種である。
非フッ素系環状カーボネート(C1)のなかで も、エチレンカーボネート(EC)、ビニレンカ ボネート(VC)、プロピレンカーボネート(PC)は 誘電率が高く、また電解質塩の溶解性に特に 優れており、本発明の電解液に好ましい。ま た、黒鉛系材料を負極に用いる場合には、安 定な被膜を負極に形成させることもできる。 また、ブチレンカーボネート、ビニルエチレ ンカーボネートなどを使用することもできる 。
非フッ素系鎖状カーボネート(C2)は、含フ 素エーテル(A)、含フッ素溶媒(B)、および併 する場合は非フッ素系環状カーボネート(C1) 相溶性の非フッ素系鎖状カーボネートが好 しい。
非フッ素系鎖状カーボネート(C2)としては、 たとえば、CH 3 CH 2 OCOOCH 2 CH 3 (ジエチルカーボネート;DEC)、CH 3 CH 2 OCOOCH 3 (エチルメチルカーボネート;EMC)、CH 3 OCOOCH 3 (ジメチルカーボネート;DMC)、CH 3 OCOOCH 2 CH 2 CH 3 (メチルプロピルカーボネート)などの炭化水 系鎖状カーボネートの1種または2種以上が げられる。これらのうち沸点が高く、粘性 低く、かつとくに低温特性が優れているこ から、DEC、EMCまたはDMCが好ましい。
非フッ素系環状カーボネート(C1)の含有量 は、溶媒(I)全体に対する含有量として、5~40 積%である。本発明で用いる溶媒(I)の系にお て、非フッ素系環状カーボネート(C1)が多く なりすぎると、冬季の外気温や冷凍庫の室温 といった低温雰囲気下(たとえば-30~-20℃)にお いて、含フッ素エーテル(A)が層分離を起こし てしまう。この観点から、好ましい上限は35 積%、さらには30体積%である。一方、少なす ぎると溶媒の電解質塩(II)の溶解性が低下し 所望の電解質濃度(0.8モル/リットル以上)が 成できない。
非フッ素系鎖状カーボネート(C2)の含有量 は、具体的には、溶媒(I)全体に対する含有量 として、10~74.5体積%が好ましく、他の溶媒と 相溶性や電解質塩の溶解性が良好な点から2 0~74.5体積%が好ましく、20~50体積%がより好ま い。
ただし、非フッ素系鎖状カーボネート(C2) は、レート特性の向上、溶解性の向上といっ た効果はあるが、含有量が増大すると共に耐 酸化性の低下、引火点の降下が生じる。した がって、特に引火点の上昇および耐酸化性の 向上を重視する際には、溶媒(I)全体に対する 含有量を40体積%以下、さらには35体積%以下に することが望ましい。
非フッ素系環状カーボネート(C1)と非フッ 素系鎖状カーボネート(C2)を併用する場合、 フッ素系環状カーボネート(C1)は、含フッ素 媒(B)と合計して非フッ素系鎖状カーボネー (C2)と同じかまたは少ない量となるように配 合することが好ましい。非フッ素系環状カー ボネート(C1)が、含フッ素溶媒(B)と合計して フッ素系鎖状カーボネート(C2)より多くなる 、溶媒間の相溶性が低下してしまう傾向が る。非フッ素系環状カーボネート(C1)は、含 フッ素溶媒(B)との合計の量が非フッ素系鎖状 カーボネート(C2)と同じかまたは少ない量で 合すると、広い温度範囲で均一な電解液を 成でき、サイクル特性も向上する。
(D)リン酸エステル:
リン酸エステル(D)は、不燃性(着火しない性
質)を付与するために配合してもよい。配合
は、電解質塩溶解用溶媒(I)中に1~10体積%で着
火が防止できる。
リン酸エステル(D)としては、含フッ素ア キルリン酸エステル(D1)、非フッ素系アルキ ルリン酸エステル(D2)、アリールリン酸エス ル(D3)などがあげられるが、含フッ素アルキ リン酸エステル(D1)が電解液の不燃化に寄与 する程度が高く、少量で不燃効果をあげるこ とから好ましい。
含フッ素アルキルリン酸エステル(D1)として
は、特開平11-233141号公報に記載された含フッ
素ジアルキルリン酸エステル、特開平11-283669
号公報に記載された環状のアルキルリン酸エ
ステルのほか、式(D1a):
で示される含フッ素トリアルキルリン酸エス
テル(D1a)があげられる。
含フッ素トリアルキルリン酸エステル(D1a )は、不燃性を与える能力が高く、また成分(A )~(C)との相溶性も良好であることから、添加 を少なくすることができ、1~10体積%、好ま くは1~8体積%、さらには1~5体積%でも着火を防 止することができる。
含フッ素トリアルキルリン酸エステル(D1a) しては、式(D1a)において、Rf 4 、Rf 5 およびRf 6 が同じかまたは異なり、いずれもCF 3 -、CF 3 CF 2 -、CF 3 CH 2 -、HCF 2 CF 2 -またはCF 3 CFHCF 2 -であるものが好ましく、とくにRf 4 、Rf 5 およびRf 6 がいずれもCF 3 CF 2 -であるリン酸トリ2,2,3,3,3-ペンタフルオロプ ピル、Rf 4 、Rf 5 およびRf 6 がいずれもHCF 2 CF 2 -であるリン酸トリ2,2,3,3-テトラフルオロプロ ピルが好ましい。
(E)界面活性剤:
界面活性剤(E)は、容量特性、レート特性の
善を図るために、配合してもよい。
界面活性剤(E)としては、カチオン性界面 性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性 面活性剤、両性界面活性剤のいずれでもよ が、含フッ素界面活性剤が、サイクル特性 レート特性が良好な点から好ましい。
たとえば、式(E1):
Rf 7
COO -
M +
(式中、Rf 7
は炭素数3~12のエーテル結合を含んでいても
い含フッ素アルキル基;M +
はLi +
、Na +
、K +
またはNHR' 3 +
(R'は同じかまたは異なり、いずれもHまたは
素数が1~3のアルキル基)である)
で示される含フッ素カルボン酸塩(E1)や、
式(E2):
Rf 8
SO 3 -
M +
(式中、Rf 8
は炭素数3~10のエーテル結合を含んでいても
い含フッ素アルキル基;M +
はLi +
、Na +
、K +
またはNHR' 3 +
(R'は同じかまたは異なり、いずれもHまたは
素数が1~3のアルキル基)である)
で示される含フッ素スルホン酸塩(E2)などが
ましく例示される。
式(E1)を満たす含フッ素カルボン酸塩(E1)と ては、たとえば、HCF 2 C 2 F 6 COO - Li + 、C 4 F 9 COO - Li + 、C 5 F 11 COO - Li + 、C 6 F 13 COO - Li + 、C 7 F 15 COO - Li + 、C 8 F 17 COO - Li + 、HCF 2 C 2 F 6 COO - NH 4 + 、C 4 F 9 COO - NH 4 + 、C 5 F 11 COO - NH 4 + 、C 6 F 13 COO - NH 4 + 、C 7 F 15 COO - NH 4 + 、C 8 F 17 COO - NH 4 + 、HCF 2 C 2 F 6 COO - NH(CH 3 ) 3 + 、C 4 F 9 COO - NH(CH 3 ) 3 + 、C 5 F 11 COO - NH(CH 3 ) 3 + 、C 6 F 13 COO - NH(CH 3 ) 3 + 、C 7 F 15 COO - NH(CH 3 ) 3 + 、C 8 F 17 COO - NH(CH 3 ) 3 + 、CF 3 O[CF(CF 3 )CF 2 O] n -CF(CF 3 )COOM(MはLi、Na、KまたはNHR 7 3 (R 7 は同じかまたは異なり、いじれもHまたは炭 数1~3のアルキル基、nは0~3の整数)などがあげ られる。また、式(E2)を満たす含フッ素スル ン酸塩(E2)としては、たとえば、C 4 F 9 SO 3 - Li + 、C 6 F 13 SO 3 - Li + 、C 8 F 17 SO 3 - Li + 、C 4 F 9 SO 3 - NH 4 + 、C 6 F 13 SO 3 - NH 4 + 、C 8 F 17 SO 3 - NH 4 + 、C 4 F 9 SO 3 - NH(CH 3 ) 3 + 、C 6 F 13 SO 3 - NH(CH 3 ) 3 + 、C 8 F 17 SO 3 - NH(CH 3 ) 3 + などがあげられる。
界面活性剤(E)の配合量は、充放電サイク 特性を低下させずに電解液の表面張力を低 させるという点から、電解質塩溶解用溶媒( I)全体に対して0.01~2質量%が好ましい。
(F)含フッ素エーテル(A)、含フッ素溶媒(B)およ
び非フッ素系カーボネート(C)に相溶性の含フ
ッ素系鎖状カーボネート:
含フッ素エーテル(A)と含フッ素溶媒(B)、含
ッ素エーテル(A)と非フッ素系カーボネート(
C)が相溶性が低い場合や、安全性に不充分な
がある場合は、さらに、含フッ素エーテル(
A)、含フッ素溶媒(B)および非フッ素系カーボ
ート(C)に相溶性の含フッ素系鎖状カーボネ
ト(F)を配合してもよい。
含フッ素鎖状カーボネート(F)としては、た えばCF 3 CH 2 OCOOCH 2 CF 3 、CF 3 CH 2 OCOOCH 3 、CF 3 CF 2 CH 2 OCOOCH 3 、HCF 2 CF 2 CH 2 OCOOCH 3 などの含フッ素炭化水素系鎖状カーボネート などの1種または2種以上があげられる。これ のうち沸点が高く、粘性が低く、かつ低温 性が良好なことから、CF 3 CH 2 OCOOCH 2 CF 3 、CF 3 CH 2 OCOOCH 3 、CF 3 CF 2 CH 2 OCOOCH 3 、HCF 2 CF 2 CH 2 OCOOCH 3 が好ましい。
含フッ素系鎖状カーボネート(F)の含有量 、具体的には、溶媒(I)全体に対する含有量 して、20~74.5体積%が好ましく、他の溶媒と 相溶性や電解質塩の溶解性が良好な点から20 ~50体積%がより好ましい。
(G)その他の添加剤:
本発明においては、成分(A)~(C)、さらに要す
れば成分(D)~(F)の体積比率を崩さず、本発明
効果を損なわない範囲で、高誘電化添加剤
サイクル特性およびレート特性改善剤や過
電防止剤などの他の添加剤を配合してもよ
。
高誘電化添加剤としては、たとえばスル ラン、メチルスルホラン、γ-ブチロラクト 、γ-バレロラクトン、アセトニトリル、プ ピオニトリルなどが例示できる。
過充電防止剤としては、たとえばヘキサ ルオロベンゼン、フルオロベンゼン、シク ヘキシルベンゼン、ジクロロアニリン、ト エンなどの芳香族化合物が例示できる。芳 族化合物は、溶媒(I)全体に対する含有量と て0.1~5体積%程度である。
サイクル特性およびレート特性改善剤と ては、酢酸メチル、酢酸エチル、テトラヒ ロフラン、1,4-ジオキサンのほか、プロピオ ン酸メチルやプロピオン酸エチル、プロピオ ン酸プロピルなどのプロピオン酸エステルな どが例示できる。プロピオン酸エステルの溶 媒(I)全体に対する含有量としては、1~30体積% 度である。
また、容量特性の改善、レート特性の改善 は、HCF 2 COOCH 3 、HCF 2 COOC 2 H 5 、CF 3 COOCH 3 、CF 3 COOC 2 H 5 、C 2 F 5 COOCH 3 、HCF 2 CF 2 COOCH 3 などの含フッ素エステルが好ましい。
その他、難燃性を向上させることを目的と て、(CH 3 O) 3 P=O、(CF 3 CH 2 O) 3 P=Oなどの難燃化剤も添加することができる。
電解質塩溶解用溶媒(I)の調製は、成分(A)~ (C)、さらに要すれば成分(D)~(G)を混合し均一 溶解させることにより行うことができる。
つぎに電解質塩(II)について説明する。
リチウムイオン二次電池としての実用的 性能を確保するためには、電解質塩の濃度 0.5モル/リットル以上、さらには0.8モル/リ トル以上にすることが要求されている。上 は、通常1.5モル/リットルである。本発明で いる電解質塩溶解用溶媒(I)は、電解質塩(II) の濃度をこれらの要求を満たす濃度にする溶 解能を有している。
第一の態様における本発明の電解液に用い 電解質塩(II)はリチウムイオン二次電池に多 く用いられているLiPF 6 またはLiBF 4 である。
つぎに、第二の態様における本発明の電解 に用いる電解質塩(II)は、LiN(SO 2 CF 3 ) 2 およびLiN(SO 2 CF 2 CF 3 ) 2 よりなる群から選択される少なくとも1種の 解質塩(IIa)を少なくとも含んでいる。
電解質塩(IIa)は、電解質塩の解離性、と に含フッ素エーテル(A)への溶解性の点で優 ており、電解液中の濃度は、0.1モル/リット 以上である。この電解質塩(IIa)を含有させ ことにより、電解液のイオン伝導性を向上 せることができる。上限は、通常0.9モル/リ トルである。
本発明において、電解質塩(IIa)は単独で配 してもよいが、LiPF 6 およびLiBF 4 から選択される電解質塩(IIb)を併用するとき 、さらにアルミニウム集電体やセル材金属 の腐食防止という効果が得られる。併用す 場合は、電解質塩(IIb)濃度は0.1モル/リット 以上である。上限は、通常0.9モル/リットル である。
さらに併用する場合、電解質塩(IIa)濃度 0.1~0.9モル/リットル、電解質塩(IIb)濃度を0.1~ 0.9モル/リットルとし、電解質塩(IIb)濃度/(電 質塩(IIa)濃度)を1/9~9/1とすることが、金属へ の腐食防止性によるサイクル特性、クーロン 効率の改善効果、イオン伝導性に優れること から好ましい。
つぎに本発明の電解液の好ましい処方を 体的に示すが、本発明はこれらに限定され ものではない。
(処方a1)
(I)電解質塩溶解用溶媒
(A)含フッ素エーテル
種類:HCF 2
CF 2
CH 2
OCF 2
CFHCF 3
配合量:20~50体積%(溶媒(I)中の量。以下同様)
(B)含フッ素溶媒
種類:含フッ素環状カーボネート
(C1)非フッ素系環状カーボネート
種類:エチレンカーボネート、ビニレンカー
ボネートまたはプロピレンカーボネート
配合量:5~25体積%
(C2)非フッ素系鎖状カーボネート
種類:ジエチルカーボネート、エチルメチル
カーボネートまたはジメチルカーボネート
配合量:20~60体積%
(D)リン酸エステル
種類:含フッ素アルキルリン酸エステル
配合量:1~5体積%
(II)電解質塩
種類:LiPF 6
またはLiBF 4
濃度:0.9~1.2モル/リットル
(処方a2)
(I)電解質塩溶解用溶媒
(A)含フッ素エーテル
種類:HCF 2
CF 2
CH 2
OCF 2
CFHCF 3
配合量:20~50体積%(溶媒(I)中の量。以下同様)
(B)含フッ素溶媒
種類:含フッ素ラクトン
(C1)非フッ素系環状カーボネート
種類:エチレンカーボネート、ビニレンカー
ボネートまたはプロピレンカーボネート
配合量:10~30体積%
(C2)非フッ素系鎖状カーボネート
種類:ジエチルカーボネート、エチルメチル
カーボネートまたはジメチルカーボネート
配合量:10~47体積%
(D)リン酸エステル
種類:含フッ素アルキルリン酸エステル
配合量:1~5体積%
(II)電解質塩
種類:LiPF 6
またはLiBF 4
濃度:0.9~1.2モル/リットル
(処方a3)
(I)電解質塩溶解用溶媒
(A)含フッ素エーテル
種類:HCF 2
CF 2
CH 2
OCF 2
CF 2
H
配合量:20~50体積%(溶媒(I)中の量。以下同様)
(B)含フッ素溶媒
種類:含フッ素環状カーボネート
(C1)非フッ素系環状カーボネート
種類:エチレンカーボネート、ビニレンカー
ボネートまたはプロピレンカーボネート
配合量:5~25体積%
(C2)非フッ素系鎖状カーボネート
種類:ジエチルカーボネート、エチルメチル
カーボネートまたはジメチルカーボネート
配合量:20~60体積%
(D)リン酸エステル
種類:含フッ素アルキルリン酸エステル
配合量:1~5体積%
(II)電解質塩
種類:LiPF 6
またはLiBF 4
濃度:0.9~1.2モル/リットル
(処方a4)
(I)電解質塩溶解用溶媒
(A)含フッ素エーテル
種類:HCF 2
CF 2
CH 2
OCF 2
CF 2
H
配合量:20~50体積%(溶媒(I)中の量。以下同様)
(B)含フッ素溶媒
種類:含フッ素環状カーボネート
(C1)非フッ素系環状カーボネート
種類:エチレンカーボネート、ビニレンカー
ボネートまたはプロピレンカーボネート
配合量:0~25体積%
(C2)非フッ素系鎖状カーボネート
種類:ジエチルカーボネート、エチルメチル
カーボネートまたはジメチルカーボネート
配合量:5~40体積%
(D)リン酸エステル
種類:含フッ素アルキルリン酸エステル
配合量:1~5体積%
(II)電解質塩
種類:LiPF 6
またはLiBF 4
濃度:0.9~1.2モル/リットル
(処方a5)
(I)電解質塩溶解用溶媒
(A)含フッ素エーテル
種類:HCF 2
CF 2
CH 2
OCF 2
CF 2
H
配合量:20~50体積%(溶媒(I)中の量。以下同様)
(B)含フッ素溶媒
種類:含フッ素ラクトン
(C1)非フッ素系環状カーボネート
種類:エチレンカーボネート、ビニレンカー
ボネートまたはプロピレンカーボネート
配合量:10~30体積%
(C2)非フッ素系鎖状カーボネート
種類:ジエチルカーボネート、エチルメチル
カーボネートまたはジメチルカーボネート
配合量:10~47体積%
(D)リン酸エステル
種類:含フッ素アルキルリン酸エステル
配合量:1~5体積%
(II)電解質塩
種類:LiPF 6
またはLiBF 4
濃度:0.9~1.2モル/リットル
(処方b1)
(I)電解質塩溶解用溶媒
(A)含フッ素エーテル
種類:HCF 2
CF 2
CH 2
OCF 2
CFHCF 3
配合量:20~50体積%(溶媒(I)中の量。以下同様)
(B)含フッ素溶媒
種類:含フッ素環状カーボネート
(C1)非フッ素系環状カーボネート
種類:エチレンカーボネート、ビニレンカー
ボネートまたはプロピレンカーボネート
配合量:5~25体積%
(C2)非フッ素系鎖状カーボネート
種類:ジエチルカーボネート、エチルメチル
カーボネートまたはジメチルカーボネート
配合量:25~62体積%
(D)リン酸エステル
種類:含フッ素アルキルリン酸エステル
配合量:1~5体積%
(II)電解質塩
電解質塩(II-1)
種類:LiN(SO 2
CF 3
) 2
またはLiN(SO 2
CF 2
CF 3
) 2
濃度:0.9~1.2モル/リットル
(処方b2)
(I)電解質塩溶解用溶媒
(A)含フッ素エーテル
種類:HCF 2
CF 2
CH 2
OCF 2
CFHCF 3
配合量:20~50体積%(溶媒(I)中の量。以下同様)
(B)含フッ素溶媒
種類:含フッ素ラクトン
(C1)非フッ素系環状カーボネート
種類:エチレンカーボネート、ビニレンカー
ボネートまたはプロピレンカーボネート
配合量:5~25体積%
(C2)非フッ素系鎖状カーボネート
種類:ジエチルカーボネートまたはエチルメ
チルカーボネート
配合量:10~63体積%
(D)リン酸エステル
種類:含フッ素アルキルリン酸エステル
配合量:1~5体積%
(II)電解質塩
電解質塩(IIa)
種類:LiN(SO 2
CF 3
) 2
またはLiN(SO 2
CF 2
CF 3
) 2
濃度:0.9~1.2モル/リットル
(処方b3)
(I)電解質塩溶解用溶媒
(A)含フッ素エーテル
種類:HCF 2
CF 2
CH 2
OCF 2
CF 2
H
配合量:20~50体積%(溶媒(I)中の量。以下同様)
(B)含フッ素溶媒
種類:含フッ素環状カーボネート
(C1)非フッ素系環状カーボネート
種類:エチレンカーボネート、ビニレンカー
ボネートまたはプロピレンカーボネート
配合量:5~25体積%
(C2)非フッ素系鎖状カーボネート
種類:ジエチルカーボネート、エチルメチル
カーボネートまたはジメチルカーボネート
配合量:25~62体積%
(D)リン酸エステル
種類:含フッ素アルキルリン酸エステル
配合量:1~5体積%
(II)電解質塩
電解質塩(II-1)
種類:LiN(SO 2
CF 3
) 2
またはLiN(SO 2
CF 2
CF 3
) 2
濃度:0.9~1.2モル/リットル
(処方b4)
(I)電解質塩溶解用溶媒
(A)含フッ素エーテル
種類:HCF 2
CF 2
CH 2
OCF 2
CF 2
H
配合量:20~50体積%(溶媒(I)中の量。以下同様)
(B)含フッ素溶媒
種類:含フッ素ラクトン
(C1)非フッ素系環状カーボネート
種類:エチレンカーボネート、ビニレンカー
ボネートまたはプロピレンカーボネート
配合量:5~25体積%
(C2)非フッ素系鎖状カーボネート
種類:ジエチルカーボネートまたはエチルメ
チルカーボネート
配合量:10~63体積%
(D)リン酸エステル
種類:含フッ素アルキルリン酸エステル
配合量:1~5体積%
(II)電解質塩
電解質塩(IIa)
種類:LiN(SO 2
CF 3
) 2
またはLiN(SO 2
CF 2
CF 3
) 2
濃度:0.9~1.2モル/リットル
以上説明したような本発明の電解液は、 とえば、電解コンデンサー、電気二重層キ パシタ、イオンの電荷移動により充電/放電 される電池、エレクトロルミネッセンスなど の固体表示素子、電流センサーやガスセンサ ーなどのセンサーなどに使用することができ る。
そのなかでも、正極、負極、セパレータ よび本発明の電解液を備えるリチウムイオ 二次電池用として使用することが好適であ 、とくに、正極に使用する正極活物質が、 バルト系複合酸化物、ニッケル系複合酸化 、マンガン系複合酸化物、鉄系複合酸化物 よびバナジウム系複合酸化物よりなる群か 選ばれる少なくとも1種であることがエネル ギー密度の高く、高出力な二次電池となるこ とから好ましい。
コバルト系複合酸化物としては、LiCoO 2 が例示され、ニッケル系複合酸化物としては 、LiNiO 2 が例示され、マンガン系複合酸化物としては 、LiMnO 2 が例示される。また、LiCo x Ni 1-x O 2 (0<x<1)で示されるCoNiの複合酸化物や、LiCo x Mn 1-x O 2 (0<x<1)で示されるCoMnの複合酸化物や、LiNi x Mn 1-x O 2 (0<x<1)、LiNi x Mn 2-x O 4 (0<x<2)で示されるNiMnの複合酸化物や、LiNi 1-x-y Co x Mn y O 2 (0<x<1、0<y<1、0<x+y<1)で示されるNi CoMnの複合酸化物でもよい。これらのリチウ 含有複合酸化物は、Co、Ni、Mnなどの金属元 の一部が、Mg、Al、Zr、Ti、Crなどの1種以上の 金属元素で置換されたものであってもよい。
また、鉄系複合酸化物としては、たとえばL iFeO 2 、LiFePO 4 が例示され、バナジウム系複合酸化物として は、たとえばV 2 O 5 が例示される。
正極活物質として、上記の複合酸化物の かでも、容量を高くすることができる点か 、ニッケル系複合酸化物またはコバルト系 合酸化物が好ましい。とくに小型リチウム オン二次電池では、コバルト系複合酸化物 用いることはエネルギー密度が高い点と安 性の面から望ましい。
本発明においてとくにハイブリッド自動 用や分散電源用の大型リチウムイオン二次 池に使用される場合は、高出力が要求され ため、正極活物質の粒子は二次粒子が主体 なり、その二次粒子の平均粒子径が40μm以 で平均一次粒子径1μm以下の微粒子を0.5~7.0体 積%含有することが好ましい。
平均一次粒子径が1μm以下の微粒子を含有 させることにより電解液との接触面積が大き くなり電極と電解液の間でのリチウムイオン の拡散をより早くすることができ出力性能を 向上させることができる。
本発明で負極に使用する負極活物質は炭素 料があげられ、リチウムイオンを挿入可能 金属酸化物や金属窒化物などもあげられる 炭素材料としては天然黒鉛、人造黒鉛、熱 解炭素類、コークス類、メソカーボンマイ ロビーズ、炭素ファイバー、活性炭、ピッ 被覆黒鉛などがあげられ、リチウムイオン 挿入可能な金属酸化物としては、スズやケ 素を含む金属化合物、たとえば酸化スズ、 化ケイ素などがあげられ、金属窒化物とし は、Li 2.6 Co 0.4 Nなどがあげられる。
本発明に使用できるセパレータはとくに 限はなく、微孔性ポリエチレンフィルム、 孔性ポリプロピレンフィルム、微孔性エチ ン-プロピレンコポリマーフィルム、微孔性 ポリプロピレン/ポリエチレン2層フィルム、 孔性ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプ ピレン3層フィルムなどがあげられる。
また、本発明の電解液は不燃性であるこ から、上記のハイブリッド自動車用や分散 源用の大型リチウムイオン二次電池用の電 液として特に有用であるが、そのほか小型 リチウムイオン二次電池などの非水系電解 としても有用である。
つぎに、実施例をあげて本発明を説明す が、本発明はこれらの実施例に限定される のではない。
なお、以下の実施例および比較例で使用し
各化合物は以下のとおりである。
成分(A)
(A1):HCF 2
CF 2
CH 2
OCF 2
CFHCF 3
(A2):C 2
F 5
CH 2
OCF 2
CFHCF 3
(A3):HCF 2
CF 2
CH 2
OCF 2
CF 2
H
(A4):CF 3
CF 2
CH 2
OCF 2
CF 2
H
成分(B)
(B1a):
(C1a):エチレンカーボネート(EC)
(C1b):ビニレンカーボネート(VC)
(C1c):プロピレンカーボネート(PC)
成分(C2)
(C2a):ジメチルカーボネート(DMC)
(C2b):ジエチルカーボネート(DEC)
(C2c):エチルメチルカーボネート(EMC)
成分(D)
(D1):リン酸トリ2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロ
ル
(D2):リン酸トリメチル
成分(E)
(E1a):C 5
F 11
COO -
Li +
(E1b):C 3
F 7
OC(CF 3
)FCF 2
OC(CF 3
)FCOO -
Li +
成分(G)
(G1):(CH 3
O) 3
P=O
(G2):(CF 3
CH 2
O) 3
P=O
(G3):プロピオン酸エチル
(G4):プロピオン酸プロピル
(G5):フルオロベンゼン
電解質塩(II)
(IIa):LiN(SO 2
CF 3
) 2
(IIb):LiPF 6
実施例1
成分(A)/成分(B)/成分(C1)/成分(C2)を40/5/10/45体
%比で混合して、電解質塩溶解用溶媒を調製
し、この電解質塩溶解用溶媒に成分(IIb)を1モ
ル/リットルの濃度となるように加え、25℃に
て充分に撹拌し、本発明の電解液を製造した
。
実施例2~35
成分(A)~成分(G)および電解質塩(II)を表1~5記
のものに変更した他は実施例1と同様に、本
明の電解液を製造した。
比較例1
成分(A)~成分(G)および電解質塩(II)を表1記載
ものに変更した他は実施例1と同様に、比較
用の電解液を製造した。
試験例1(電解質塩の溶解性)
実施例1~25および比較例1でそれぞれ製造し
電解液6mlを9ml容のサンプル瓶に取り出し、25
℃にて8時間静置して液の状態を目視で観察
た。結果を表1~3に示す。
(評価基準)
○:均一溶液である。
△:電解質塩が析出する。
×:液が層分離する。
試験例2(低温安定性)
実施例1~25および比較例1でそれぞれ製造し
電解液6mlを9ml容のサンプル瓶に取り出し、-2
0℃の冷凍庫内に8時間静置した後の状態を目
で観察した。結果を表1~3に示す。
(評価基準)
○:均一溶液である。
△:電解質塩が析出する。
×:液が固化する。
試験例3(充放電特性)
<正極の作製>
LiCoO 2
とカーボンブラックとポリフッ化ビニリデン
(呉羽化学(株)製。商品名KF-1000)を85/6/9(質量%
)で混合した正極活物質をN-メチル-2-ピロリ
ンに分散してスラリー状としたものを正極
電体(厚さ20μmのアルミニウム箔)上に均一に
布し、乾燥後、直径12.5mmの円盤に打ち抜い
正極を作製した。
<負極の作製>
人造黒鉛粉末(テイムカル社製。商品名KS-44)
に、蒸留水で分散させたスチレン-ブタジエ
ゴムを固形分で6質量%となるように加え、デ
ィスパーザーで混合してスラリー状としたも
のを負極集電体(厚さ18μmのアルミニウム箔)
に均一に塗布し、乾燥後、直径12.5mmの円盤
打ち抜いて負極を作製した。
<セパレータの作製>
直径14mmのポリエチレン製のセパレータ(セ
ガード(株)製。商品名セルガード3501)に実施
1~25および比較例1で製造した電解液を含浸
せてセパレータを作製した。
<コイン型リチウム二次電池の作製>
正極集電体を兼ねるステンレススチール製
缶体に上記正極を収容し、その上に上記セ
レータを介して上記負極を載置し、この缶
と負極集電体を兼ねる封口板とを絶縁用ガ
ケットを介してかしめて密封し、コイン型
チウム二次電池を作製した。
<充放電試験>
つぎの充放電測定条件で50サイクル後の放
容量を測定した。評価は、比較例1の結果を1
00とした指数で行った。結果を表4に示す。
充放電電圧:2.5~4.2V
充電:0.5C、4.2Vにて充電電流が1/10になるまで
定電圧を保持
放電:1C
試験例4(難燃性試験)
実施例1~25および比較例1でそれぞれ製造し
電解液の難燃性をつぎの方法で調べた。結
を表4に示す。
<サンプルの調製>
試験例3と同様にして作製した正極および負
極をそれぞれ50mm×100mmの長方形に切り取り、
れらでポリエチレン製のセパレータ(セルガ
ード(株)製。商品名セルガード3501)を挟んで
層体とする。正極および負極に幅5mm長さ150mm
のアルミニウム箔をリード線として溶接した
のち、この積層体を上記実施例または比較例
で製造した電解液に浸漬し、ついでラミネー
タで密封してラミネートセルを作製した。
<試験方法>
ラミネートセルについて、つぎの3種類の難
燃性試験を行った。
[釘刺し試験]
4.3Vまでラミネートセルを充電したのち、直
径3mmの釘をラミネートセルに貫通させて、ラ
ミネートセルの発火・破裂の有無を調べた。
評価は、発火(破裂)がない場合を○、発火(破
裂)した場合を×とした。
[過充電試験]
10時間率でラミネートセルを24時間充電し、
ラミネートセルの発火の有無を調べた。評価
は、発火(破裂)がない場合を○、発火(破裂)
た場合を×とした。
[短絡試験]
4.3Vまでラミネートセルを充電した後、正極
と負極を銅線で短絡させ、ラミネートセルの
発火の有無を調べた。評価は、発火(破裂)が
い場合を○、発火(破裂)した場合を×とした
。
試験例5(着火試験)
実施例1~25および比較例1でそれぞれ製造し
電解液の不燃性(着火しない性質)をつぎの方
法で調べた。結果を表4に示す。
<サンプルの調製>
セルロース紙(幅15mm、長さ320mm、厚さ0.04mm)
短冊を実施例1~25および比較例1で製造した電
解液に充分に浸漬したのち取り出し、サンプ
ルとした。
<試験方法>
サンプルを金属製の台に固定し、サンプル
一端にライターの火を近づけ1秒間保持し、
着火の有無を調べた。
試験例6(充放電特性)
試験例3と同様に正極、負極のスラリーを作
製し、アルミニウム箔にブレードコーターに
て50μm塗布した。これらの正極、負極にそれ
れリードをとりつけたのち、セパレータを
して対向させて巻き取ったものを、SUS304を
質とする外装缶に挿入、電解液を真空含浸
たのちに封口し、直径18mm、高さ50mmの円筒
電池を作製した。安全性の差を明確にすべ
、安全弁などの安全装置は付加しなかった
そして、つぎの充放電測定条件で50サイクル
後の放電容量を測定した。評価は、比較例1
結果を100とした指数で行った。結果を表4お
び表5に示す。
充放電電圧:2.5~4.2V
充電:0.5C、4.2Vにて充電電流が1/10になるまで
定電圧を保持
放電:1C
実施例36~40および比較例2
成分(A)~成分(G)および電解質塩(II)を表6記載
ものに変更した他は実施例1と同様に、本発
明の電解液を製造した。
これらの電解液について、電解質の溶解 、低温安定性、充放電特性(コイン)、およ 難燃性試験(釘刺し試験、過充電試験、短絡 験)を行った。結果を表6に示す。
実施例41~44
成分(A)~成分(G)および電解質塩(II)を表7記載
ものに変更した他は実施例1と同様に、本発
明の電解液を製造した。
これらの電解液について、電解質の溶解 、低温安定性、充放電特性(コイン)、難燃 試験(釘刺し試験、過充電試験、短絡試験)お よび着火試験を行った。また、引火点の測定 を行った。結果を表7に示す。
試験例7(引火点測定)
電解液の引火点をタグ密閉式引火点測定器
より測定する。測定は、電解液が沸騰して
定不能になるまで温度を上げ、引火点が測
されない場合を「なし」と評価する。なお
比較例1の電解液の引火点は24℃であった。
試験8(内部インピーダンスの測定)
(2極式セルの作製)
LiCoO 2
とカーボンブラックとポリフッ化ビニリデン
(呉羽化学(株)製。商品名KF-1000)を90/3/7(質量%
)で混合した正極活物質をN-メチル-2-ピロリ
ンに分散してスラリー状としたものを正極
電体(厚さ15μmのアルミニウム箔)上に均一に
布し、乾燥して正極合剤層を形成し、その
、ローラプレス機により圧縮成形した後、
断し、リード体を溶接して、帯状の正極を
製した。
別途、人造黒鉛粉末(日立化成(株)製。商 名MAG-D)に、蒸留水で分散させたスチレン-ブ タジエンゴムを固形分で6質量%となるように え、ディスパーザーで混合してスラリー状 したものを負極集電体(厚さ10μmの銅箔)上に 均一に塗布し、乾燥し、負極合剤層を形成し 、その後、ローラプレス機により圧縮成形し 、切断した後、乾燥し、リード体を溶接して 、帯状の負極を作製した。
前記帯状の正極、負極を16mmφの大きさに り、また、厚さ20μmの微孔性ポリエチレン ィルムを25mmφの大きさに切ってセパレータ し、これらを図1に縦断面分解模式図として すように組み合わせて2極式セルとした。図 1中の1は正極、2は負極、3はセパレータ、4は 極端子、5は負極端子である。このセルに実 施例41、44および比較例1で調製した電解液を2 mlずつ入れて密封した。容量は3mAhのセルであ る。セパレータなどが十分に浸透した後化成 処理を行い、2極式セルを作製した。
(交流インピーダンス法)
交流インピーダンスの測定は、2極式セルを
1.0Cで4.2Vにて充電電流が1/10Cまで充電(SOC=100%)
た。その後、周波数アナライザ(ソーラトロ
ン社製の1260型)とポテンショ-ガルバノスタッ
ト(ソーラトロン社の1287型)を用いて電池の内
部インピーダンスを測定した。測定条件は、
振幅を±10mV、周波数を0.1Hz~2kHzとした。
得られた内部インピーダンスの測定値に いて、内部インピーダンスの値(ω)の実部(Z )をX軸に、内部インピーダンスの値の虚部(Z ’’)をY軸にプロットしたグラフ(Cole-Cole-Plot) を作成したところ、図2に示す形状となった
図2の結果から、比較例1の電解液では、 解が生じて内部抵抗が大きくなり、正常に 作しないことがわかる。
試験例9(放電曲線)
図3の概略平面図に示すように、試験例8で
製した前記帯状の正極を40mm×72mm(10mm×10mmの
極端子付)に切り取り、また前記帯状の負極
42mm×74mm(10mm×10mmの負極端子付)に切り取り、
各端子にリード体を溶接した。また、厚さ20
mの微孔性ポリエチレンフィルムを78mm×46mmの
大きさに切ってセパレータとし、セパレータ
を挟むように正極と負極をセットし、これら
を図3に示すようにアルミニウムラミネート
装材6内に入れ、ついで包装材6中に実施例1
よび比較例1で調製した電解液を2mlずつ入れ
密封して容量72mAhのラミネートセルを作製
た。
充電放電は、1.0Cで4.2Vにて充電電流が1/10C になるまで充電し、1.0C相当の電流で3.0Vまで 電し、グラフにプロットしたところ、図4に 示すような放電曲線となった。図4より、比 例1の電解液では抵抗が高く、レート特性が 下しているのが分かる。
本発明によれば、特定の含フッ素エーテ (A)、特定の含フッ素溶媒(B)および非フッ素 環状カーボネート(C)を含有することで、低 でも相分離せず、また難燃性や不燃性に優 、電解質塩の溶解性が高く、放電容量が大 く、充放電サイクル特性に優れたリチウム オン二次電池などの電気化学デバイスに好 な電解液を提供できる。
Next Patent: OLEFIN/(METH)ACRYLATE BLOCK COPOLYMER AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME