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Patent Searching and Data


Title:
ENGINE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/126637
Kind Code:
A1
Abstract:
A small sized engine. A water cooled single cylinder engine having a water jacket (21) that is circumferentially formed between a cylinder bore wall (27) and a cylinder body (28), wherein bolt holes (24) through which through-bolts (5) for connecting a cylinder body (3) and a cylinder head (4) are penetrated are formed in a cylinder body outer wall (28). Portions of the wall around a bolt hole (24) protrude into the water jacket (21) to become protrusion sections (32A-32D). Those regions of the cylinder bore wall (27) that face the protrusions (32A-32D) are axially cut out to become thin wall sections (33A-33D). The engine is reduced in size without a reduction in its displacement.

Inventors:
MINE YUTAKA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/054763
Publication Date:
October 23, 2008
Filing Date:
March 14, 2008
Export Citation:
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Assignee:
YAMAHA MOTOR CO LTD (JP)
MINE YUTAKA (JP)
International Classes:
F02F1/10; F01P3/02; F02F1/00
Domestic Patent References:
WO2004002658A12004-01-08
Foreign References:
JPH11200942A1999-07-27
JP2006144559A2006-06-08
Other References:
See also references of EP 2131031A4
Attorney, Agent or Firm:
GRANDOM PATENT LAW FIRM (8-24 Marunouchi 1-chome,Naka-ku, Nagoya-shi, Aichi, JP)
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Claims:
 ピストンを摺動可能に収容し内周面が円形に形成されたシリンダボア壁、このシリンダボア壁を全周から包囲するようにして配され軸方向に沿ってボルト通し孔が形成されたシリンダボディ外壁、前記シリンダボア壁と前記シリンダボディ外壁との間に冷却液収容溝を備えるシリンダボディと、
 このシリンダボディの軸方向の端部に装着され前記シリンダボディ側の前記ボルト通し孔と同軸で連通するボルト孔が形成されたシリンダヘッドと、
 前記ボルト孔及び前記ボルト通し孔へ挿通されて前記シリンダボディと前記シリンダヘッドとを締め付け固定する通しボルトと、
 前記シリンダボディ外壁において前記ボルト通し孔の孔周りの壁部の一部が前記冷却液収容溝内へ軸方向に沿って突出して形成された突出部と、
 前記シリンダボア壁における前記突出部と径方向に対向する部分に配され、前記シリンダボア壁のうち前記突出部と対向しない部分における径方向の厚みよりも薄く形成された薄肉部とを備えることを特徴とするエンジン。
 前記突出部が前記冷却液収容溝内に最も突出する部位と前記薄肉部における最も薄肉に形成された部位とは、前記シリンダボディの径方向に関して対向していることを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
 前記薄肉部及び前記突出部は、前記冷却液収容溝の全深さに亘って形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
 前記薄肉部は前記突出部とほぼ同幅に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
 前記薄肉部が前記突出部と径方向に対向する面は平面であることを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
 前記冷却液収容溝の全周は前記シリンダヘッド側へ向けて開放して形成されていることを特徴とする請求項1記載のエンジン。
 前記冷却液収容溝において、前記突出部と前記薄肉部とが径方向に対向する箇所が周方向に複数設けられ、そのうちの少なくとも一箇所は前記冷却液収容溝の溝深さが相対的に浅く、前記冷却液収容溝の残余の部分は相対的に深く形成されていることを特徴とする請求項1記載のエンジン。
 前記シリンダボディ外壁には、カムシャフトを駆動可能なカムチェーンを収容する中空のチェーン収容部が連続して設けられるとともに、前記シリンダボディ外壁は前記チェーン収容部内にその一部が突き出して膨出部となっており、かつこの膨出部は前記カムチェーンの軌道から離れて配されていることを特徴とする請求項1記載のエンジン。
 前記シリンダボディ外壁には、前記冷却液の導入口が前記冷却液収容溝内に開口して形成されるとともに、この導入口は前記冷却液収容溝における溝深さが相対的に深い領域に配されていることを特徴とする請求項7に記載のエンジン。
 少なくとも前記シリンダボア壁はアルミニウム合金製であり、かつ前記シリンダボア壁の内面にはこのシリンダボア壁の基層よりも硬度の高い硬質層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
 前記シリンダボア壁の内面には、アルミニウム合金製のライナが設けられ、前記硬質層はこのライナの内面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
 前記硬質層は、シリコン成分を含むメッキ層であることを特徴とする請求項10または請求項11に記載のエンジン。
 前記硬質層は、ニッケル成分を含んだメッキ層であることを特徴とする請求項10または請求項11に記載のエンジン。
 前記硬質層は、Ni-P-SiCによる分散メッキ層であることを特徴とする請求項10または請求項11に記載のエンジン。
 少なくとも前記シリンダボア壁は、シリコンを13~22wt%含んだアルミニウム合金の真空ダイカスト鋳造品であることを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
 少なくとも前記シリンダボア壁は、前記シリコンを18~22wt%含んだアルミニウム合金の真空ダイカスト鋳造品であることを特徴とする請求項15に記載のエンジン。
 前記シリンダボア壁の内面には、シリコン結晶が突出していることを特徴とする請求項15または請求項16に記載のエンジン。
Description:
エンジン

 本発明は、エンジンに関する。

 従来より、自動二輪車のエンジンのうち 冷式のものでは、シリンダボア壁とシリン ボディ外壁との間にウォータジャケットを 成し、同ジャケット内とラジエータとの間 冷却水を循環させるようにしている。一般 、エンジンは、シリンダボディとシリンダ ッドとを通しボルトを軸方向に沿って貫通 せて締め付け固定するようにした構造のも が多く、上記した水冷式のものにおいては ボルト通し孔をシリンダボディ外壁に配し いる。そのような一例として、次の特許文 1を挙げることができる。

特開2006-144559公報

 ところで、自動二輪車の場合、エンジン 搭載スペースが極めて限られているため、 ンジンの小型化の要請は非常に強い。した って、排気量がアップしても、つまりシリ ダボア壁の内径が大きくなっても、そのま シリンダボディ全体を大きくする訳にはい ない。例えば、シリンダボア壁を拡大させ と、シリンダボディ外壁側のボルト通し孔 形成位置に直ちに影響が及ぶ。ボルト通し はシリンダボア壁周りに複数個所に配され おり、これらがシリンダボア壁の拡大に伴 て一斉に外方へ後退すると、シリンダボデ 、シリンダヘッド共に大型化してしまう。 うしたことから、従来はエンジンの小型化 要請に容易には応え難い状況にあった。

 本発明は上記のような事情に基づいて完 されたものであって、エンジンの小型化を 成することを目的とする。

 上記の目的を達成するため、本発明は、 ストンを摺動可能に収容し内周面が円形に 成されたシリンダボア壁、このシリンダボ 壁を全周から包囲するようにして配され軸 向に沿ってボルト通し孔が形成されたシリ ダボディ外壁、前記シリンダボア壁と前記 リンダボディ外壁との間に冷却液収容溝を えるシリンダボディと、このシリンダボデ の軸方向の端部に装着され前記シリンダボ ィ側の前記ボルト通し孔と同軸で連通する ルト孔が形成されたシリンダヘッドと、前 ボルト孔及び前記ボルト通し孔へ挿通され 前記シリンダボディと前記シリンダヘッド を締め付け固定する通しボルトと、前記シ ンダボディ外壁において前記ボルト通し孔 孔周りの壁部の一部が前記冷却液収容溝内 軸方向に沿って突出して形成された突出部 、記シリンダボア壁における前記突出部と 方向に対向する部分に配され、前記シリン ボア壁のうち前記突出部と対向しない部分 おける径方向の厚みよりも薄く形成された 肉部とを備える構造となっている。

 この構成によれば、ボルト通し孔周りの 部の一部が冷却液収容部内に突出しても、 リンダボア壁側の対向位置に薄肉部を形成 るようにしたから、ボア径(シリンダボア壁 の内径)を拡大してもそれに伴ってボルト通 孔が設けられる位置を外方へずらして配置 なくて済む。したがって、エンジンを小型 することができる。逆に言えば、エンジン 大きさ(外形)をそのままにしてエンジンの排 気量を増大化させることができる。

 好ましい構成例では、前記突出部が前記 却液収容溝内に最も突出する部位と前記薄 部における最も薄肉に形成された部位とは 前記シリンダボディの径方向に関して対向 ていることを特徴としている。

 この構成によれば、突出部の最も突出す 部位と薄肉部の最も薄肉に形成された部位 は径方向に関して対向する位置関係にある め、突出部の出っ張りを効果的に逃がすこ ができる。

 好ましい構成例では、薄肉部及び前記突 部は、前記冷却液収容溝の全深さに亘って 成されていることを特徴としている。

 この構成によれば、突出部と薄肉部とは 却液収容溝の全深さ範囲に亘って対向する め、突出部による出っ張りを冷却液収容溝 深さ方向へも効果的に逃がすことができる

 好ましい構成例では、前記薄肉部は前記 出部とほぼ同幅に形成されていることを特 としている。

 この構成によれば、突出部による幅方向 の出っ張りを効果的に逃がすことができる

 好ましい構成例では、前記薄肉部が前記 出部と径方向に対向する面は平面であるこ を特徴としている。

 この構成によれば、突出部の輪郭形状と 関係に薄肉部が平坦面となっているため、 型形状を簡単化することができる。

 好ましい構成例では、前記冷却液収容溝 全周は前記シリンダヘッド側へ向けて開放 て形成されていることを特徴としている。

 この構成によれば、シリンダボディ全体 冷却液収容溝の開放方向に沿って開閉する 造簡易な成形型によって成形が可能となる め、エンジン製造が容易になる。

 好ましい構成例では、前記冷却液収容溝 おいて、前記突出部と前記薄肉部とが径方 に対向する箇所が周方向に複数設けられ、 のうちの少なくとも一箇所は前記冷却液収 溝の溝深さが相対的に浅く、前記冷却液収 溝の残余の部分は相対的に深く形成されて ることを特徴としている。

 この構成では、冷却液収容溝の溝深さは 周が均一でなく、突出部が形成された箇所 対応する領域の中には他所よりも浅くした 所が設定されている。その理由は次の通り ある。冷却液収容溝を成形する際には、冷 液収容溝の底面側、つまり成形型の先端側 細く、溝の開放側、つまり成形型の根元側 太くなるような型抜きのための「抜き勾配 が設定されるのが通常である。一方、突出 が形成された箇所では、シリンダボア側に 肉部を設定したとしても、冷却液収容溝の 幅(開口幅)が他所よりも若干狭くなってし うことがある。そのような場合に、全周を 一の溝深さとしたのでは、抜き勾配の関係 ら突出部が形成されかつ溝幅が狭くなった 所では、他所よりも成形型の先端部がより った形状となって、強度不足が懸念される ころとなる。

 しかし、上記の構造によれば、突出部が 成されかつ溝幅が狭くなった箇所について 他所と比較して溝深さを浅くすることで、 部分を成形する型構造部の先端が細くなり ぎることがなく、もって同部分を成形する 型の強度を確保することができる。

 好ましい構成例では、前記シリンダボデ 外壁には、カムシャフトを駆動可能なカム ェーンを収容する中空のチェーン収容部が 続して設けられるとともに、前記シリンダ ディ外壁は前記チェーン収容部内にその一 が突き出して膨出部となっており、かつこ 膨出部は前記カムチェーンの軌道から離れ 配されていることを特徴としている。

 この構成によれば、シリンダボディ外壁 カムチェーンのチェーン収容部が連続して けられているものにおいて、シリンダボデ 外壁の一部(膨出部)をチェーン収容部の内 へと食い込ませるようにしている。これに って、チェーン収容部がシリンダボディ外 に対しその並び方向にラップした配置とす ことができるため、エンジンの小型化を図 上で有効となる。

 好ましい構成例では、前記シリンダボデ 外壁には、前記冷却液の導入口が前記冷却 収容溝内に開口して形成されるとともに、 の導入口は前記冷却液収容溝における溝深 が相対的に深い領域に配されていることを 徴としている。

 この構成によれば、冷却液導入口を溝深 の深い部分に配置している。逆に、冷却液 入口を溝深さの浅い部分に配置した場合に 、冷却液導入口からの冷却液の流入抵抗が きくなってしまうため、冷却液の円滑な循 動作に支障を来たす虞があるが、上記のよ な配置とすれば、冷却液の流入抵抗も小さ 、冷却液を円滑に循環させることができる

 好ましい構成例では、少なくとも前記シ ンダボア壁はアルミニウム合金製であり、 つ前記シリンダボア壁の内面にはこのシリ ダボア壁の基層よりも硬度の高い硬質層が 成されていることを特徴としている。

 この構成によれば、硬質層によってシリ ダボア壁におけるピストンとの摺接面にお る耐摩耗性を高めることができる。

 好ましい構成例では、前記シリンダボア の内面には、アルミニウム合金製のライナ 設けられ、前記硬質層はこのライナの内面 形成されていることを特徴としている。

 この構成によっても、ピストンとの摺接 における耐磨耗性を高めることができる。

 好ましい構成例では、硬質層は、シリコ 成分を含むメッキ層であることを特徴とし いる。この構成によれば、シリコン成分を んだメッキ層にてピストンと摺接する面の 磨耗性が高められる。

 好ましい構成例では、硬質層は、ニッケ 成分を含んだメッキ層であることを特徴と ている。この構成によれば、ニッケル成分 含んだメッキ層によってピストンとの摺接 の耐磨耗性が高められる。

 好ましい構成例では、硬質層は、Ni-P-SiC よる分散メッキ層であることを特徴として る。この構成によれば、Ni-P-SiCによる分散メ ッキ層によって、ピストンとの摺接面におけ る耐磨耗性が高められる。

 好ましい構成例では、少なくとも前記シ ンダボア壁は、シリコンを13~22wt%含んだア ミニウム合金の真空ダイカスト鋳造品であ ことを特徴としている。

 この構成によれば、メッキ層を形成する となく、シリンダボア壁における摺接面の 摩耗性を向上させることができる。

 より好ましい構成例では、少なくとも前 シリンダボア壁は、シリコンを18~22wt%含ん アルミニウム合金の真空ダイカスト鋳造品 あることを特徴としている。この構成によ ば、より耐摩耗性を向上させることができ 。

 好ましい構成例では、前記シリンダボア の内面には、Si結晶が突出していることを 徴としている。

 この構成によれば、シリンダボア壁の内 から突出したSi結晶がピストンに接して摺 面を構成し、相対的に凹んだ周囲の部分に リンダボア壁の内面に潤滑油を行き渡らせ ことができるため、耐摩耗性をより高める とができる。

エンジン部分を示す断面図である。 通しボルトが表れる箇所における断面 である。 シリンダボディ単体の平面図である。 図3のIV-IV線断面図である。 図3のV-V線断面図である。 ウォータジャケットの深い部分に対す 成形状況を示す断面図である。 ウォータジャケットの浅い部分に対す 成形状況を示す断面図である。 実施形態2におけるシリンダライナ部分 を拡大して示す断面図である。

符号の説明

3…シリンダボディ
4…シリンダヘッド
5…通しボルト
21…ウォータジャケット(冷却液収容溝)
24…ボルト通し孔
27…シリンダボア壁
29…チェーン収容部
32A~32D…突出部
33A~33D…薄肉部
34…成形ピン
35…インレットパイプ

 以下、本発明を具体化した実施形態1~4を 明する。

実施形態1

 本発明の実施形態1を図1ないし図7によっ 説明する。図1は自動二輪車のエンジン周辺 を表すものである。このエンジンは水冷式の 4サイクル単気筒エンジンであり、クランク 1を回転可能に支持するクランクケース2と、 このクランクケース2に取付けられたシリン ボディ3と、このシリンダボディ3の軸線方向 前側に取付けられたシリンダヘッド4とを備 て構成されている。これら三者は後述する しボルト5によって締め付け固定される。

 クランク軸1は左右一対のクランクウェブ 6と、これらのクランクウェブ6同士を接続す クランクピン7とを備えて構成されており、 このクランクピン7にはコンロッド8を介して ストン9が接続されている。また、クランク 軸1における車体左端部寄りには後車輪を駆 させるためのVベルト巻き掛け式の自動変速 構10が配されている。また、クランク軸1に いてコンロッド8の連結部分と自動変速機構 10との間にはカムチェーンドライブスプロケ ト11が嵌着されており、カムシャフト12に嵌 着されたカムチェーンドリブンスプロケット 13との間に掛装されたカムチェーン14によっ カムシャフト12を回転可能としている。

 一方、クランク軸1の車体右端部には発電 用のフライホイールマグネトー15とファン16 が軸方向に並列して取付けられ、さらにフ ン16の外方にはエンジンを冷却水によって冷 却するためのラジエータ17が配され、全体は 方からカバーによって覆われている。

 ラジエータ17のロアタンク側には第1冷却 チューブ18の一端側が接続され、かつこの 1冷却水チューブ18の他端側はカムシャフト12 と連動して駆動するウォータポンプ19の吸入 に接続されている。また、ラジエータ17の ッパタンク側には第2冷却水チューブ20の一 側が接続され、かつこの第2冷却水チューブ2 0の他端側はシリンダヘッド4におけるウォー ジャケット37に接続されている。さらに、 ォータポンプ19の吐出側とシリンダボディ3 のウォータジャケット21(以下、特に断らな 限り単にウォータジャケット21というときは シリンダボディ3側に形成されたものを指す) は第3冷却水チューブ22によって接続されて る。これにより、冷却水がラジエータ17と ォータジャケット21との間で循環可能となる 。

 シリンダヘッド4には前記したカムシャフ ト12によって吸・排気弁を駆動させる動弁装 及び点火プラグ等が組み込まれている。ま 、シリンダヘッド4には前記した通しボルト 5を貫通させるための複数個のボルト孔23がそ れぞれ軸方向に沿って形成されている。この 各ボルト孔23はシリンダボディ3にも対応して 設けられた同数個のボルト通し孔24にそれぞ 整合し、同軸で連通可能である。これらボ ト通し孔24は図3に示すように、シリンダボ 壁27の中心軸線周りに概ね等間隔で四箇所 配されている。但し、この角度間隔は周辺 構造に応じて適宜に変更可能であり、必ず も等角度間隔で配される必要はない。

 各ボルト通し孔24はクランクケース2側に 同様にして形成されたねじ孔25とそれぞれ 合可能である。これら同軸で整合するボル 孔23、ボルト通し孔24、ねじ孔25のそれぞれ 対しては両端にねじ部5Aが形成された通しボ ルト5が遊挿され、一方のねじ部5Aがねじ孔25 対して締め込まれ、他方のねじ部5Aはクラ クケース2の外面から突出し、ナット26にて め込まれる。かくして、シリンダヘッド4及 シリンダボディ3がクランクケース2に対し 締め付け固定される。

 シリンダボディ3はクランクケース2の車 方向前面に重合されており、この実施形態 おいてはアルミニウム合金によって一体に 形されている。シリンダボディ3は図3に示す ように、内部にはピストン9を摺動可能に収 するシリンダボア壁27が形成されている。こ のシリンダボア壁27は略円筒状に形成され、 方向の両端側が共に開放して形成されてい 。そして、シリンダボア壁27の外周側には リンダボア壁27を同心で取り囲むようにして シリンダボディ外壁28が設けられている。こ シリンダボディ外壁28の側面部にはカムチ ーン14を収容するためのチェーン収容部29が 続して設けられている。このチェーン収容 29も軸方向両端が開放する中空状に形成さ ており、両開放端はクランクケース2側及び リンダヘッド4側のカムチェーン収容空間30 とそれぞれ連通している。

 また、図3に示すように、シリンダボディ 外壁28の側面部はチェーン収容部29内にその 部(膨出部31)が食い込むようにして形成され いる。膨出部31が膨出する位置はチェーン 容部29のほぼ中央部に設定されていて、カム チェーン14との干渉が回避されている。この うに、シリンダボディ外壁28の一部(膨出部3 1)をチェーン収容部29に対しこれらの並び方 へ重なるように配置したため、重なり代分 けシリンダボディ3全体としての幅寸法が小 化されることになる。

 また、シリンダボディ3においてシリンダ ボア壁27とシリンダボディ外壁28との間には ォータジャケット21(冷却液収容溝)が全周に って同心のリング状に形成されている。さ に、シリンダボディ外壁28には前述した計4 のボルト通し孔24がウォータジャケット21周 りに概ね等角度間隔毎(角度間隔は適宜に変 可能であり、必ずしも等角度間隔に配され 必要はない)に配されている。さらにまた、 ボルト通し孔24は、これを包囲する部分の の一部がいずれもウォータジャケット21内へ 円弧状をなして突出するように配置されてい て、突出部32A~32Dを形成している。各突出部32 A~32Dはウォータジャケット21の全深さ範囲に って形成されている。また、各ボルト通し 24のうちチェーン収容部29と反対側の二つの のについては、孔周りの肉がシリンダボデ 外壁28から径方向外方へ平面視で円弧状に 出するが、チェーン収容部側に配置された つについては、チェーン収容部29を構成する 肉と共有化されている。

 一方、シリンダボア壁27の外面において 突出部32A~32Dと対向する部分には薄肉部33A~33D がそれぞれ形成されている。各薄肉部33A~33D 、シリンダボア壁27において各突出部32A~32D 対向する部分を除いた部分での径方向に関 る厚みよりも薄く形成されている。各薄肉 33A~33Dは軸方向に沿って延びる所定幅の平面 よって形成され、突出部32A~32Dと同様にウォ ータジャケット21の全深さ範囲に亘って形成 れ、かつ突出部32A~32Dとほぼ同幅で形成され ている。また、図3に示すように、突出部32A~3 2Dがウォータジャケット21内に最も出っ張る 点と、薄肉部33A~33Dの幅方向中心、つまりシ ンダボア壁27の外面のうちウォータジャケ ト21に対し最も凹んだ部位とはシリンダボデ ィ3の径方向に関して対向する位置関係とし ある。

 ウォータジャケット21の溝幅は、各突出 32A~32Dと薄肉部33A~33Dとが対向する領域のうち 、一箇所(突出部32Bと薄肉部33Bとが対向する 域)を除き、これらが対向していない領域に べてやや幅狭に形成されている。また、溝 さに関しても、図5に示すように、各突出部 32A~32Dと薄肉部33A~33Dとが対向する領域のうち 一箇所(突出部32Bと薄肉部33Bとが対向する領 域)を除き、これらが対向していない領域に べて浅く形成されている。つまり、各突出 と薄肉部とが対向する領域のうち溝幅が一 幅以下になっている箇所は、他の領域に比 して浅く形成されている(H1>H2、図4及び図5 参照)。なお、詳細には図示しないが、ウォ タジャケット21の溝底形状は、溝深さの浅い 部分と深い部分との間の形状変化は徐々にな されるように設定されている。

 ウォータジャケット21内の溝深さが一様 ないのは、次の理由による(図6、図7参照)。 ォータジャケット21は軸方向に沿う方向に 閉可能な成形型によって形成されるが、こ とき一方の金型からはウォータジャケット21 に対応する成形ピン34が突出している。成形 ン34は成形後の「抜き」の関係から先細り なるような抜き勾配が設定されている。図6 ウォータジャケット21における溝深さの深 部分を成形するときの状況を示している。 ォータジャケット21を成形する成形ピン34の ち上記領域を成形部分では、その根元部分 の厚み寸法はW1であり、成形ピン34に設定さ れた抜き勾配(成形ピン34の中心軸線に平行に 引いた線と成形ピン34の外周面の母線とがな 角度)はθ1である。一方、図7はウォータジ ケット21における溝深さの浅い部分(突出部32 A,32C,32Dと薄肉部33A,33C,33Dとの対向する領域)に 対する成形状況を示している。成形ピン34の ちこの領域を成形する部分ではその根元部 での厚み寸法はW2(W1>W2)と細くしてあるが 抜き勾配θ2に関してはほぼ等しく設定され いる(θ1=θ2)。したがって、成形ピン34は抜 勾配に関しては全周がほぼ均一に設定され いるが、厚み寸法及び長さ寸法については 出部32A,32C,32Dと薄肉部33A,33C,33Dとが対向する 域とその他の領域とで変更してある。仮に 長さ寸法も全周に亘って均一化したとする 、溝幅の狭い、突出部32A,32C,32Dと薄肉部33A,3 3C,33Dとが対向する領域を成形する部分では先 端の厚みが他の部分に比較して過度に細くな ってしまい、成形ピン34の強度が局部的に低 してしまうことが懸念される。そこで、こ 実施形態においては、成形ピン34のうち突 部32A,32C,32Dと薄肉部33A,33C,33Dとが対向する領 を成形する部分については他所よりも短い 法とすることで、成形ピン34の強度を保持 るようにしたものである。

 なお、突出部32A~32Dと薄肉部33A~33Dとが対 する四箇所の領域のうち、一箇所だけが溝 を広くとれた理由は、当該突出部32Bに対応 る箇所だけはシリンダボディ3の周辺スペー に余裕があり、その分だけ対応するボルト し孔24の位置をシリンダボア壁27側へ押し遣 る必要性が、他のボルト通し孔に比べて少な かったからであり、このため同突出部32Bのみ が他の突出部32A,32C,32Dに比べて外周面の曲率 径が小さく形成されている。したがって、 リンダボディ3の周辺事情によっては、突出 部が形成された箇所のすべてについてウォー タジャケット21の溝深さを浅く形成すること ある。

 また、シリンダボディ外壁28には前述し 第3冷却水チューブ22が接続されるインレッ パイプ35が径方向外方へ向けて一体に突出形 成されており、ウォータジャケット21内に開 する導入口37より冷却水を導入可能として る。より詳細には、インレットパイプ35は突 出部32A~32Dと薄肉部33A~33Dとが対向する領域で ってチェーン収容部29寄りに配されている つまり、ウォータジャケット21の溝深さが深 い領域に配されている。また、この実施形態 においては、図3に示すように、インレット イプ35が配された箇所では、ウォータジャケ ット21の外周側壁面が外方へかつ所定幅範囲 亘って凹ませて導入凹所36が形成されてお 、これによって冷却水はウォータジャケッ 21における溝幅が広くかつ溝深さの深い部分 に導入されることになる。

 次に、上記のように構成された実施形態1 の作用効果を具体的に説明する。前述したよ うに、この実施形態ではラジエータ17をエン ンの車体前方でなく側方に配している。こ ことによって、車体の前後長が短尺化され いる。逆に、その分だけ車幅が拡大するこ になるが、ラジエータ17は運転者の脚部の 方に位置し脚部との干渉が問題とならない ッドスペースに位置しているため、車幅の 大に起因する干渉は何ら問題とならない。 かし、側方配置されたラジエータ17の車体前 方部は脚部と干渉を回避しなければならない が、実施形態1のエンジンではこの部分の幅 法ができるだけ小さくなるようにしてある

 すなわち、本実施形態ではシリンダボデ 3においてボルト通し孔24周りの肉をウォー ジャケット21内へ迫り出す部分(突出部32A~32D )を設けるようにし、かつシリンダボア壁27側 に薄肉部33A~33Dを設けて突出部32A~32Dとの対向 る箇所を凹ませる構成としている。このよ な構成の採用によって、突出部32A~32D分を設 けない構成に比較してエンジンを小型化する ことができる。したがって、運転者の脚部と の干渉が確実に回避され、かつエンジン周り のスペースの拡大に寄与する。このことは、 換言すれば、エンジン外形が同じであれば、 シリンダボア壁27を拡大することができるこ を意味するため、エンジンの排気量を増大 させることができる、とも言える。

 加えて、シリンダボディ外壁28の一部を ムチェーン14のためのチェーン収容部29内へ い込ませるようにして、チェーン収容部29 シリンダボディ外壁28とを車体幅方向に対し てラップする配置としたことによっても、上 記の効果をより一層有効なものとする。

 また、実施形態1ではエンジンの製造を簡 単化するための工夫もなされている。まず、 第1に、ウォータジャケット21の全周がシリン ダヘッド4側へ開放して形成されているため シリンダボディ3をその軸方向に開閉する簡 な構造の金型によって成形することができ 。さらに、ウォータジャケット21はその溝 さを全周に沿って均一にするのではなく、 幅が狭くなりがちである突出部32A,32C,32Dと薄 肉部33A,33C,33Dとが対向する領域を、他所より 浅く形成することによって、ウォータジャ ット21を成形するための成形ピン34の強度を 保持することができる。さらにまた、薄肉部 33A~33Dを形成するにあたり、突出部32A~32Dの輪 形状に適合した湾曲形状とすることも考慮 れるが、金型形状を複雑化することから、 の実施形態では薄肉部33A~33Dを平坦面によっ て形成するようにしている。このため、金型 形状が簡単なものですんでいる。

 また、本実施形態には次のような効果も 揮される。すなわち、ウォータジャケット2 1内へ冷却水を導入するためのインレットパ プ35をウォータジャケット21の溝深さの深い 分に配置するとともに、インレットパイプ3 5が配された箇所には導入凹所36を形成してウ ォータジャケット21の溝幅が拡幅されている め、ウォータジャケット21内への冷却水の 入が円滑になされる。

実施形態2

 実施形態2~実施形態4の各実施形態は、い れもアルミニウム合金製であるシリンダボ ィ103において、ピストンとの摺接面に対す 耐摩耗性を向上するためになされた構造的 夫を示す。このうち、実施形態2と実施形態 3はシリンダボア壁に硬質層を具備させたも となっている。

 実施形態2では、シリンダボア壁127の内面 に円筒状に形成されたシリンダライナ140が鋳 包んで形成されている。シリンダライナ140は シリンダボディ103とほぼ同一組成のアルミニ ウム合金製である。また、シリンダライナ140 の内面(ピストンとの摺接面)にはシリンダボ 壁127よりも高硬度(ロックウェル硬度)の硬 層が形成されている。この硬質層はメッキ 膜(メッキ層)によって形成されている。

 シリンダライナ140の表面には、メッキ処 に先だつ下地処理としてアルマイト皮膜が 成される。その後に、Ni-P-SiCの分散メッキ 理が施され、さらにホーニング仕上げがな れている。

 本実施形態においては、シリンダライナ1 40の熱膨張係数をシリンダボディ103の熱膨張 数より10%以上小さくしてあり、シリンダボ ィ103側の凝固収縮及び凝固後の熱収縮によ シリンダライナ140に対する締め付け力が緩 されず、シリンダライナ104とシリンダボア 127との隙間が生じることはない。このこと 、シリンダボディ103の高い熱伝導性の確保 も寄与する。

実施形態3

 実施形態2では、メッキ層をシリンダライ ナに形成したが、本実施形態ではシリンダラ イナを用いず、シリンダボア壁の内面に直接 硬質層を形成している。具体的には、シリン ダボア壁の内面表層に対し基層(母材部分)よ も高硬度であるメッキ層を形成している。 なわち、シリンダボア壁の内面(ピストンと 摺接する領域)に対し高速メッキ法(シリンダ ア内にメッキ液を高速で流し込んで電気メ キする手法)にてメッキが施され、これによ ってシリンダボア壁の内面にNi-P-SiCもしくはN i-SiCのメッキ層を形成している。その後、メ キ層の表面に対して面粗さが例えば1.0μmRz 下のホーニング仕上げが施される。このよ に面粗さが小さいと、メッキ層の表面での 滑油の保持機能が低下し、耐焼き付き性が 下することが懸念されるが、これを補う手 として、ピストンリングの表面にTiN等の蒸 層を形成しておくとよい。

 上記のように構成された実施形態2では、 スリーブ等をシリンダボア壁内に組み入れる ことなく、耐磨耗性の向上が達成されている ため、シリンダボア壁の小型化、ひいてはシ リンダボディのより一層の小型化に寄与する 。

 前記した実施形態2及び実施形態3では、 質層としてメッキ層によるものを示した。 ッキ層としては、他にニッケル系メッキあ いはクロム系メッキによるものも採用する とができる。また、メッキ処理以外の方法 硬質層を形成する手段として、線爆溶射、 ラズマ溶射等といった溶射による方法も可 であり、本発明に含まれる。

実施形態4

 本実施形態では、シリンダボア壁の内面 メッキ処理を行うことなくSi結晶を突出さ ることで、ピストンに対する耐摩耗性を高 るようにしている。すなわち、本実施形態 おけるシリンダボディは73.4wt%以上79.6wt%以下 のアルミニウム、13wt%以上22wt%以下、好まし は18wt%以上22wt%以下のシリコン、および2.0wt% 上3.0wt%以下の銅を含むアルミニウム合金に って形成されている。

 一般には、シリコンを多く(9wt%以上、特 16wt%以上)含有するアルミニウム合金は鋳造 が悪いので、ダイカスト法による量産が困 とされている。しかし、本実施形態で採用 たダイカスト方法である、国際公開第2004/002 658号パンフレット(本願出願人が提案したも )の技術によれば、このように多量のシリコ を含むアルミニウム合金製シリンダボディ あっても効果的に製造することができる。

 この方法によって得られたシリンダボデ では、ピストンと接触する摺動面を構成す 複数の初晶シリコン結晶粒と、複数の初晶 リコン結晶粒の間に位置する複数の共晶シ コン結晶粒とを有している。複数の初晶シ コン結晶粒の平均結晶粒径は、12μm以上50μm 以下であり、かつ、複数の共晶シリコン結晶 粒の平均結晶粒径は、7.5μm以下である。また 、摺動面のロックウェル硬さ(HRB)が60以上80以 下である。

 本実施形態においても、実施形態3と同様 、シリンダライナを使用することなく耐摩耗 性を向上することができるため、シリンダボ ア壁の小型化、ひいてはシリンダボディのよ り一層の小型化に寄与する。また、シリンダ ボア壁の内面表面には、シリコン結晶粒子が 浮き出して突出しているため、この浮き上が ったシリコン結晶粒子がピストンに接して摺 接面を構成し、その周囲の凹んだアルミニウ ム母材表面に潤滑油を行き渡らせることがで きる。したがって、その意味からも耐磨耗性 を向上させることができる。

 なお、シリンダボア壁におけるピストン の摺接面の耐摩耗性を向上させる手段とし は、上記の実施形態の他に、鉄製のスリー を用いてもよい。この場合には、シリンダ ディを成形する金型中に鉄製スリーブを所 の位置に位置決めしておき、成形に伴って 製スリーブを鋳込むようにすればよい。こ することで、鉄製スリーブが一体化された リンダボディを得ることができ、鉄製スリ ブはシリンダボア壁の内面に全周が密着し いる。

 <他の実施形態>
 本発明は上記記述及び図面によって説明し 実施形態に限定されるものではなく、例え 次のような実施形態も本発明の技術的範囲 含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱 ない範囲内で種々変更して実施することが きる。

 (1)本実施形態では、自動二輪車へ適用し 場合を例示したが、モータボート、スノー ービル等のエンジンにも適用可能である。

 (2)本実施形態ではエンジンの冷却媒体と て水を例示したが、油性のものであっても い。

 (3)本実施形態では、各薄肉部33A~33Dを平坦 面によって形成したが、薄肉部33A~33Dの形状 対応した円弧状のくぼみ形状としてもよい

 (4)シリンダボディとクランクケースとは ずしも分離して形成される必要はなく、ク ンクケースをシリンダボディに対して一体 形成したものであってもよい。