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Title:
ENZYME-CONTAINING CAPSULE AND NUCLEIC ACID AMPLIFICATION KIT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/146686
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide: an enzyme-containing capsule which is to be used in inactivating proteins in a sample and amplifying a nucleic acid in the sample; a nucleic acid amplification kit comprising the enzyme-containing capsule as described above; and a method of amplifying a nucleic acid by using the enzyme-containing capsule as described above. Namely, an enzyme-containing capsule characterized by having a melting point of 60 to 95oC, comprising a non-proteinous substance as a coating component, and containing a heat-tolerant enzyme enclosed therein; a nucleic acid amplification kit which comprises the enzyme-containing capsule as described above and a protein-decomposing enzyme; and a method of amplifying a nucleic acid by using the enzyme-containing capsule as described above.

Inventors:
TAKUBO KEN (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/059375
Publication Date:
December 04, 2008
Filing Date:
May 21, 2008
Export Citation:
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Assignee:
OLYMPUS CORP (JP)
TAKUBO KEN (JP)
International Classes:
C12N15/00; C12N9/00; C12N9/10; C12N15/09
Domestic Patent References:
WO1997035537A11997-10-02
WO2005102291A12005-11-03
Foreign References:
JP2004315466A2004-11-11
EP0369445A21990-05-23
JP2001212449A2001-08-07
Other References:
SETTERQUIST R.A. ET AL.: "Ready to use agarose encapsulated PCR reagents", NUCLEIC ACIDS RESEARCH, vol. 24, no. 8, 1996, pages 1580 - 1581
Attorney, Agent or Firm:
TANAI, Sumio et al. (Marunouchi Chiyoda-k, Tokyo 20, JP)
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Claims:
 融点が60~95℃の非タンパク質性物質を含む皮膜により、耐熱性酵素を封入した酵素含有カプセル。
前記非タンパク質性物質が生分解性プラスチックである、請求項1に記載の酵素含有カプセル。
 前記生分解性プラスチックが脂肪族ポリエステル又はその共重合体である、請求項2に記載の酵素含有カプセル。
 前記脂肪族ポリエステル又はその共重合体が融点60℃のポリカプロラクトン、又は融点95℃のポリブチレンサクシネートアジペートである、請求項3に記載の酵素含有カプセル。
 前記耐熱性酵素が、不凍性溶媒に溶解させた状態で封入されていることを特徴とする請求項1に記載の酵素含有カプセル。
 前記耐熱性酵素が、核酸の増幅に用いられる酵素であることを特徴とする請求項1に記載の酵素含有カプセル。
 核酸の増幅に用いるためのヌクレオチドを該カプセル内に更に封入した請求項6に記載の酵素含有カプセル。
 核酸の増幅に用いるためのプライマーを該カプセル内に更に封入した請求項6に記載の酵素含有カプセル。
 請求項6~8のいずれか一項に記載の酵素含有カプセル;及び
 タンパク質分解酵素
を含む核酸の増幅キット。
 1又は複数の核酸増幅反応用容器を含み、
当該容器のそれぞれの内部に、
 請求項6~8のいずれか一項に記載の酵素含有カプセル;及び
 タンパク質分解酵素を含有する酵素反応用緩衝液;
を有する核酸の増幅キット。
 1又は複数の核酸増幅反応用容器を含み、
当該容器のそれぞれの内部に、
 請求項6~8のいずれか一項に記載の酵素含有カプセル;並びに
 融点が30~50℃の非タンパク質性物質を含む皮膜により、タンパク質分解酵素及び酵素反応用緩衝液を封入したカプセル;
を有する核酸の増幅キット。
 前記耐熱性酵素が、不凍性溶媒に溶解させた状態で前記カプセル内に封入されていることを特徴とする請求項9~11の何れか一項に記載の核酸の増幅キット。
 前記酵素反応用緩衝液が、さらに核酸の増幅に用いるためのヌクレオチドを含むことを特徴とする請求項10又は11に記載の核酸の増幅キット。
 前記酵素反応用緩衝液が、さらに核酸の増幅に用いるためのプライマーを含むことを特徴とする請求項10又は11に記載の核酸の増幅キット。
 前記タンパク質分解酵素がプロテイナーゼKであることを特徴とする請求項9~11の何れか一項に記載の核酸の増幅キット。
 核酸増幅用反応容器内に、
   請求項6~8のいずれか一項に記載の酵素含有カプセル;
   増幅対象の核酸を含む試料;及び
   適宜、反応基質、プライマー、酵素反応用緩衝液;
  を導入する工程;並びに、
 該容器内で核酸の増幅反応を行う工程;
を含む核酸の増幅方法。
 前記核酸の増幅反応を行う工程が、
  前記酵素含有カプセルの皮膜を、60℃~100℃の温度で溶融させる工程;及び
  55℃~100℃の温度で核酸の増幅反応を行う工程;
を含む、請求項16に記載の核酸の増幅方法。
(a) タンパク質及び増幅対象の核酸を含む試料、請求項6~8のいずれか一項に記載の酵素含有カプセル、タンパク質分解酵素、並びに、適宜、反応基質、プライマー、及び酵素反応用緩衝液を混合し、反応溶液を調製する工程;
(b) 前記反応溶液を、30℃~60℃の温度で0~15分間加熱する工程;
(c) 前記の加熱された反応溶液を、更に60~100℃の温度で0~15分間加熱する工程;並びに
(d) 前記反応溶液を用いて、核酸の増幅反応を行う工程;
を有する核酸の増幅方法。
 前記タンパク質分解酵素が、融点が30℃~50℃の非タンパク質性物質を含む皮膜によりその内部に封入されたものであり、前記工程(b)を当該融点~60℃の温度で行う、請求項18に記載の核酸の増幅方法。
 前記工程(b)において、前記工程(a)において得られた反応溶液を、45~55℃に加熱することを特徴とする請求項18に記載の核酸の増幅方法。
 前記タンパク質分解酵素が、不凍性溶媒に溶解された状態で前記皮膜内に封入されている、請求項19に記載の核酸の増幅方法。
Description:
酵素含有カプセル及び核酸の増 キット

 本発明は、タンパク質と核酸を含有する 料から、タンパク質を失活させた後、該試 中の核酸を増幅するために用いられる酵素 有カプセル、該酵素含有カプセルを有する 酸の増幅キット、及び該酵素含有カプセル 用いた核酸の増幅方法に関する。

 近年の遺伝子工学技術や分子生物学の進歩 伴い、試料中に含まれる核酸の解析は、学 研究の分野のみならず、医療分野において 広く行われるようになってきている。例え 、遺伝病、癌、感染症、生活習慣病等の診 のために、生体試料中のゲノムDNAやmRNA等の 核酸の解析が行われている。通常は、生体試 料中に含まれる核酸は微量であるため、解析 対象となる標的核酸を増幅することにより解 析が行われることが多い。
 生体試料中には、タンパク質をはじめとす 様々な物質が含まれているが、これらの物 は、核酸増幅反応の阻害要因となり得る。 にタンパク質には、核酸分解活性や、核酸 幅に用いられる酵素等の阻害活性を有する のが多く、高精度かつ高感度に標的核酸を 幅するためには、生体試料中のタンパク質 失活や除去を行うことが好ましい。このた 、通常、核酸抽出等の前処理がなされた生 試料を用いて核酸増幅は行われる。

 このような前処理方法については、種々 方法が開示されている。核酸を抽出する前 理方法として、例えば、フェノール抽出法 、シリカゲル粒子カラムを用いた抽出法等 ある。ここで、フェノール抽出法とは、(a) 体試料に界面活性剤を添加して細胞を溶解 、プロテイナーゼKでタンパク質を消化する 、(b)フェノールを用いた抽出操作によりタン パク質の除去を行う、(c)エタノールを加えて DNAを沈殿させることにより、DNAを抽出する、 という方法である(例えば、非特許文献1参照) 。また、シリカゲル粒子カラムを用いた抽出 法とは、(a)生体試料に界面活性剤を添加して 細胞を溶解し、プロテイナーゼKでタンパク を消化する、(b)該消化処理後の生体試料を リカゲル粒子カラムに通すことにより、核 をシリカゲル粒子に吸着させる、(c)その後 溶出液を用いてカラムから核酸を溶出する とにより、核酸を抽出する、という方法で る。前記シリカゲル粒子カラムを用いた方 は、市販のキット等により広く用いられて り、前記シリカゲル粒子を磁性粒子とした 酸抽出用全自動機も市販されている。

 上記方法とは異なり、生体試料中の核酸 幅阻害物質に対する中和作用物質の添加や 熱等の処理をすることにより、核酸を抽出 ない前処理方法もある。該方法として、例 ば、試料中にポリアミンを添加する方法(例 えば、特許文献1参照)、ジチオスレイトール 添加する方法(例えば、特許文献2参照)、硫 化多糖を添加する方法(例えば、特許文献3 照)、ポリアミン、ジチオスレイトール、及 硫酸化多糖を添加する方法(例えば、特許文 献4参照)アルブミンを添加する方法(例えば、 特許文献5参照)、多価アルコール及び/又は硫 酸アンモニウムを添加する方法(例えば、特 文献6参照)、陰イオンを含有した繰り返し構 造を持つ高分子化合物(ポリアニオン)及び/又 はその不溶性高分子を添加する方法(例えば 特許文献7参照)等がある。また、核酸合成を 行う前に、試料を添加した遺伝子増幅反応液 を耐熱酵素の熱安定性が保たれる温度、例え ば70℃~90℃で5~20分処理を行う方法(例えば、 許文献8参照)や、従来多用されているpHより 高いpH条件下、つまり、25℃温度条件下での pHが8.9以上の反応液中でPCRを行う方法(例えば 、特許文献9参照)等がある。

 また、RNAを鋳型として核酸増幅を行う場合 前処理方法として、例えば、組織細胞溶解 のpHを2.5~5とし、反応阻害物と相互作用する カオトロピック塩を加えて処理することによ り、RNA分解や増幅反応阻害を抑制する方法( えば、特許文献10参照)等がある。その他、 えば、単に生体試料を煮沸処理するボイリ グ法等がある(例えば、非特許文献1参照)。
蛋白質核酸酵素、共立出版、1996年、第41 巻、第5号、p453~456

特開平6-277061号公報

特開2000-93175号公報

特開2000-93176号公報

特開2001-8680号公報

特開2001-8685号公報

特開2000-352982号公報

特開2005-323617号公報

特開平11-113573号公報

特開2003-174878号公報

特開2001-8680号公報

特許第3313358号

特許第3433929号

特表2000-515397号公報

特開2004-315466号公報

 上記フェノール抽出法は、フェノール自体 有害物質であり、好ましい方法であるとは えない。一方で、上記シリカゲル粒子カラ を用いた抽出法は、生体試料中の主な核酸 幅阻害物質であるタンパク質を分解し失活 せるため、核酸増幅のための前処理として 非常に好ましく、広く普及している。しか ながら、タンパク質分解酵素は、核酸増幅 用いられる酵素も分解してしまうため、タ パク質分解酵素処理と核酸抽出処理をした に、改めて核酸増幅に用いられる酵素を添 して核酸増幅処理を行う必要があり、操作 の工程が多く、時間がかかるという問題が る。
 その他、上記の核酸増幅阻害物質に対する 和作用物質の添加や加熱等の処理を、核酸 分離せずに行う前処理方法では、生体試料 の核酸増幅阻害物質自体を失活させていな ため、核酸増幅阻害物質による阻害作用の 制が不十分であるという問題がある。また 上記ボイリング法では、煮沸処理によりタ パク質を失活させることができるが、煮沸 件等によりタンパク質の変性が不十分とな 場合が多く、不確実である。

 本発明は、タンパク質と核酸を含有する 料から、容易かつ簡便に、タンパク質を失 させて該試料中の核酸を増幅するために用 られる酵素含有カプセル、該酵素含有カプ ルを有する核酸の増幅キット、及び該酵素 有カプセルを用いた核酸の増幅方法を提供 ることを目的とする。

 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭 研究した結果、核酸増幅に用いられる耐熱 酵素を、予めカプセルに封入しておくこと より、該耐熱性酵素を保護しつつ、タンパ 質分解酵素処理を行うことができること、 び、タンパク質分解後に加熱処理をするこ により、当該カプセルを溶解させて該耐熱 酵素を試料溶液中に放出させ得ることを見 し、本発明を完成させた。

 本発明の酵素含有カプセルは、下記の構成 とる。
(1)融点が60~95℃の非タンパク質性物質を含む 膜により、耐熱性酵素を封入した酵素含有 プセル。
(2)前記非タンパク質性物質が生分解性プラス チックである、前記(1)に記載の酵素含有カプ セル。
(3)前記生分解性プラスチックが脂肪族ポリエ ステル又はその共重合体である、前記(2)に記 載の酵素含有カプセル。
(4)前記脂肪族ポリエステル又はその共重合体 が融点60℃のポリカプロラクトン、又は融点9 5℃のポリブチレンサクシネートアジペート ある、前記(3)に記載の酵素含有カプセル。
(5)前記耐熱性酵素が、不凍性溶媒に溶解させ た状態で封入されていることを特徴とする前 記(1)に記載の酵素含有カプセル。
(6)前記耐熱性酵素が、核酸の増幅に用いられ る酵素であることを特徴とする前記(1)に記載 の酵素含有カプセル。
(7)核酸の増幅に用いるためのヌクレオチドを 該カプセル内に更に封入した前記(6)に記載の 酵素含有カプセル。
(8)核酸の増幅に用いるためのプライマーを該 カプセル内に更に封入した前記(6)に記載の酵 素含有カプセル。

 本発明の核酸の増幅キットは、下記の構成 とる。
(9)前記(6)~(8)のいずれか一つに記載の酵素含 カプセル;及びタンパク質分解酵素を含む核 の増幅キット。
(10)1又は複数の核酸増幅反応用容器を含み、 該容器のそれぞれの内部に、
 前記(6)~(8)のいずれか一項に記載の酵素含有 カプセル;及びタンパク質分解酵素を含有す 酵素反応用緩衝液;を有する核酸の増幅キッ 。
(11)1又は複数の核酸増幅反応用容器を含み、 該容器のそれぞれの内部に、前記(6)~(8)のい ずれか一つに記載の酵素含有カプセル;並び 融点が30~50℃の非タンパク質性物質を含む皮 膜により、タンパク質分解酵素及び酵素反応 用緩衝液を封入したカプセル;を有する核酸 増幅キット。
(12)前記耐熱性酵素が、不凍性溶媒に溶解さ た状態で前記カプセル内に封入されている とを特徴とする前記(11)に記載の核酸の増幅 ット。
(13)前記酵素反応用緩衝液が、さらに核酸の 幅に用いるためのヌクレオチドを含むこと 特徴とする前記(10)又は(11)に記載の核酸の増 幅キット。
(14)前記酵素反応用緩衝液が、さらに核酸の 幅に用いるためのプライマーを含むことを 徴とする前記(10)又は(11)に記載の核酸の増幅 キット。
(15)前記タンパク質分解酵素がプロテイナー Kであることを特徴とする前記(9)~(11)の何れ 一つに記載の核酸の増幅キット。

 本発明の核酸の増幅方法は、下記の構成を る。
(16)核酸増幅用反応容器内に、前記(6)~(8)のい れか一つに記載の酵素含有カプセル;増幅対 象の核酸を含む試料;及び適宜、反応基質、 ライマー、酵素反応用緩衝液;を導入する工 ;並びに、該容器内で核酸の増幅反応を行う 工程;を含む核酸の増幅方法。
(17)前記核酸の増幅反応を行う工程が、前記 素含有カプセルの皮膜を、60℃~100℃の温度 溶融させる工程;及び55℃~100℃の温度で核酸 増幅反応を行う工程;を含む、前記(16)に記 の核酸の増幅方法。
(18)(a)タンパク質及び増幅対象の核酸を含む 料、前記(6)~(8)のいずれか一項に記載の酵素 有カプセル、タンパク質分解酵素、並びに 適宜、反応基質、プライマー、及び酵素反 用緩衝液を混合し、反応溶液を調製する工 ;(b)前記反応溶液を、30℃~60℃の温度で0~15分 間加熱する工程;(c)前記の加熱された反応溶 を、更に60~100℃の温度で0~15分間加熱する工 ;並びに(d)前記反応溶液を用いて、核酸の増 幅反応を行う工程;を有する核酸の増幅方法
(19)前記タンパク質分解酵素が、融点が30℃~50 ℃の非タンパク質性物質を含む皮膜によりそ の内部に封入されたものであり、前記工程(b) を当該融点~60℃の温度で行う、前記(18)に記 の核酸の増幅方法。
(20)前記工程(b)において、前記工程(a)におい 得られた反応溶液を、45~55℃に加熱すること を特徴とする前記(18)に記載の核酸の増幅方 。
(21)前記タンパク質分解酵素が、不凍性溶媒 溶解された状態で前記皮膜内に封入されて る、前記(19)に記載の核酸の増幅方法。

 本発明の酵素含有カプセルは、核酸増幅に いられる耐熱性酵素を封入することでこれ 保護しているので、タンパク質分解酵素に る処理の後、カプセルを溶融させることで タンパク質酵素を失活させつつ、該耐熱性 素をカプセル外に出すができるため、タン ク質分解酵素処理から核酸増幅処理までを 1の核酸増幅反応用容器内で行うことができ 、迅速に核酸増幅を行うことができる。特に 、本発明の核酸の増幅キットを用いることに より、非常に容易かつ簡便に核酸増幅を行う ことができる。
 本発明の核酸の増幅方法では、タンパク質 解酵素処理から核酸増幅処理までの工程で 要な全試薬を、予め1の核酸増幅反応用容器 に分注し、途中の工程で分注や試薬の添加等 の操作を行わなくてもよいため、コンタミネ ーションのおそれや、感染性試料を用いた場 合の二次感染のおそれ等を顕著に低減するこ とができる。また、該耐熱性酵素をカプセル から放出させるための加熱処理により、試料 溶液中のタンパク質を変性させることができ るため、試料溶液中のタンパク質を、従来に 無く効果的に失活させ得ることが期待できる 。

実施例1と比較例1で得られたPCR済み反 溶液を、アガロースゲル電気泳動した後、 チジウムブロマイドで染色して得られたバ ドパターンを模式的に表した図である。図 、「実施例」は実施例1で得られたPCR済み反 溶液を泳動したレーンを、「比較例」は比 例1で得られたPCR済み反応溶液を泳動したレ ーンを、「M」はマーカーを泳動したレーン 、それぞれ示している。また、矢印アは、23 8bpのバンドを示す。

 本発明における核酸とは、増幅が望まれる 酸であって、増幅反応において鋳型となり るものであれば、特に限定されるものでは い。DNAであってもよく、RNAであってもよく RNAから逆転写酵素を用いて合成されたcDNAで あってもよい。また、ヒト等の生物由来のも のであってもよく、合成されたものであって もよい。 
 本発明における試料とは、核酸を含有する 料であれば、特に限定されるものではない 、夾雑物としてのタンパク質を含むもので ってもよい。例えば、血液や体液等の生体 料、培養細胞や培養液等の培養物等がこれ 含まれる。

 本発明の酵素含有カプセルは、融点が60~95 の非タンパク質性物質を含む皮膜により、 熱性酵素を封入したことを特徴とするもの ある。なお、本発明におけるカプセル(皮膜) の融点とは、カプセルが加熱処理によって溶 解する時の温度を意味し、非タンパク質性物 質とは、タンパク質分解酵素により分解され ない物質、すなわちタンパク質分解酵素耐性 を有する物質を意味する。
 本発明の酵素含有カプセルは、耐熱性酵素 、非タンパク質性物質を皮膜成分とするカ セルの内部に封入された状態である。した ってこの状態で本発明の酵素含有カプセル 添加した試料に対してタンパク質分解酵素 よるタンパク質分解処理を行っても、本発 の酵素含有カプセルに含有されている耐熱 酵素を分解や失活させることがない。つま 、本発明の酵素含有カプセルにおいて、カ セルは、耐熱性酵素をタンパク質分解酵素 影響から保護する保護膜の役割を果たすも である。また、皮膜となる非タンパク質性 質の融点を60~95℃としているため、本発明 酵素含有カプセルは、加熱により溶解させ ことができる。このため、該タンパク質分 処理後、該試料を加熱することで該タンパ 質分解酵素を失活させるとともに、皮膜に り保護されていた耐熱性酵素をカプセルか 容易に放出させることができる。放出され 耐熱性酵素は、試料中の核酸増幅反応に用 ることができる。

 本発明の酵素含有カプセルの皮膜成分は 融点が60~95℃であり、かつ、非タンパク質 物質であれば、特に限定されるものではな 。融点が60~95℃であることにより、カプセル の溶解時に、通常用いられるタンパク質分解 酵素を失活させることができる。また、核酸 の増幅方法が、RNAを鋳型とするNASBA法のよう 、二本鎖核酸を一本鎖核酸にする変性工程 を含まない方法である場合には、融点が60~7 0℃のカプセルであることが好ましい。耐熱 の条件が緩和され、本発明の酵素含有カプ ルに含有させ得る耐熱性酵素の種類が増え ためである。より好ましくは、本発明の酵 含有カプセルにおける非タンパク性物質は タンパク質分解酵素耐性を有する、生分解 プラスチックである。更に好ましくは当該 分解性プラスチックは、脂肪族ポリエステ 又はその共重合体である。更に好ましくは 該脂肪族ポリエステル又はその共重合体は 融点60℃のポリカプロラクトン、又は融点95 のポリブチレンサクシネートアジペートで る。 また、本発明の酵素含有カプセルの プセル成分の種類や濃度等は、使用するタ パク質分解酵素や耐熱性酵素の種類等を考 して、所望の融点を得られるように、適宜 定することができる。該カプセル成分は、 種類の非タンパク質性物質からなるもので ってもよく、二種類以上の非タンパク質性 質の混合物からなるものであってもよい。

 本発明の酵素含有カプセルにおいては、 熱性酵素が、不凍性溶媒に溶解させた状態 カプセルに封入されていることが好ましい 不凍性溶媒に溶解させることにより、カプ ル内部の耐熱性酵素の酵素活性を損なうこ なく、本発明の酵素含有カプセルを0℃以下 で保存することができるためである。ここで 、不凍性溶媒とは、氷点下でも凍らない溶媒 を意味する。該不凍性溶媒は、通常酵素等の 保存に用いられている溶媒であれば、特に限 定されるものではなく、耐熱性酵素の種類等 を考慮して適宜決定することができる。該不 凍性溶媒として、例えば、グリセロール、エ チレングリコール、ジエチレングリコール、 ポリエチレングリコール等がある。

 本発明の酵素含有カプセルに含有される 熱性酵素は、特に限定されるものではない 、核酸の増幅に用いられる酵素であること 好ましい。本発明における核酸の増幅は、 ましくは試料中の核酸を鋳型とし、ヌクレ チドの相補性を用いて塩基鎖を伸長するこ により、該試料中の核酸を増幅する方法で る。該方法として、例えば、PCR(Polymerase Cha in Reaction)法、NASBA(Nucleic acids Suquence Based Am plification)法、LAMP(Loop mediated isothermal amplifica tion)法(例えば、特許文献11参照)、ICAN(Isothermal  and Chimeric primer-initiated Amplification of Nuclei c acids)法(例えば、特許文献12参照)等がある

 本発明における核酸の増幅に用いられる 熱性酵素(以下、核酸増幅用耐熱性酵素とい う)は、通常60℃以上の温度条件下における核 酸増幅反応に用いられる耐熱性酵素であれば 、特に限定されるものではない。該核酸増幅 用耐熱性酵素として、例えば、耐熱性DNAポリ メラーゼ、耐熱性RNAポリメラーゼ、耐熱性RNA ヌクレアーゼ等がある。また、本発明の酵素 含有カプセルに含有される耐熱性酵素の濃度 は、該耐熱性酵素の種類や酵素活性等を考慮 して、適宜決定することができる。

 本発明の酵素含有カプセルは、耐熱性酵 の酵素活性を損なうことなく、カプセル内 に封入することができる方法であれば、い れの方法を用いても製造することができる 例えば、特許文献13(カプセル化におけるま はそれに関する改良)において開示されてい る方法を用いることにより、本発明の酵素含 有カプセルを製造することができる。また、 本発明の酵素含有カプセルの形状や大きさは 、反応容器中に添加し得る形状等であれば、 特に限定されるものではない。

 本発明の酵素含有カプセルは、含有する 熱性酵素の活性を損なわない限り、耐熱性 素以外の耐熱性物質を含有することができ 。例えば、本発明の酵素含有カプセルが、 酸増幅用耐熱性酵素を含有する場合には、 酸の増幅に用いるための他の試薬等を含有 ることができる。特に、核酸の増幅に用い ためのヌクレオチドやプライマーを含有す ことが好ましい。ヌクレオチド等を予め耐 性酵素と共にカプセルに含有させておくこ により、別途分注する操作を省略すること できるためである。

 本発明の核酸の増幅キットは、本発明の 素含有カプセルと、タンパク質分解酵素と 有することを特徴とする。該タンパク質分 酵素は、非耐熱性酵素であれば、特に限定 れるものではなく、通常タンパク質の分解 用いられるいずれの酵素であってもよい。 タンパク質分解酵素は、酵素活性における 適温度が60℃未満の非耐熱性酵素であるこ が好ましく、プロテイナーゼKであることが に好ましい。タンパク質分解酵素活性に優 ており、かつ汎用されており、入手が容易 あるためである。

 本発明の核酸の増幅キットはさらに1又は 複数の核酸増幅反応用容器を含み、当該容器 のそれぞれの内部に、上記タンパク質分解酵 素によるタンパク質分解反応や、上記酵素含 有カプセルに含有されている耐熱性酵素によ る酵素反応において必要な試薬等を有してい てもよい。例えば、該タンパク質分解酵素は 、酵素反応用緩衝液に溶解した状態でキット に含ませることができる。該酵素反応用緩衝 液は、タンパク質分解反応と、該耐熱性酵素 による酵素反応の双方に適した緩衝液である ことが好ましい。タンパク質分解反応終了後 、反応溶液のpHや塩濃度等を新たに調整する となく、該耐熱性酵素による酵素反応を行 ことができるためである。タンパク質分解 応に適した緩衝液の組成と、該耐熱性酵素 よる酵素反応に適した緩衝液の組成が、大 く異なる場合には、緩衝液の組成を調整す ための塩類等を含有するカプセルを調製し 該カプセルを、酵素含有カプセルと共に、 ンパク質分解酵素を含有する酵素反応用緩 液に添加しておくことにより、タンパク質 解反応終了後、反応溶液の調整操作を省略 ることができる。なお、酵素含有カプセル の耐熱性酵素の酵素活性を損なうおそれが さい場合には、緩衝液調整のための塩類等 酵素含有カプセルに含有させることもでき 。 

 また、各核酸増幅反応用容器中には、一 タンパク質分解反応及びその後の核酸増幅 応に必要な量の酵素含有カプセル、タンパ 質分解酵素、及び酵素反応用緩衝液が含ま ていることが好ましい。酵素含有カプセル の分注操作を省略することができるためで る。ここで、一の核酸増幅反応に必要な酵 含有カプセル量は、カプセル中の核酸増幅 耐熱性酵素の種類や濃度、溶媒の種類や容 、核酸増幅反応における反応溶液の容量等 考慮して、適宜決定することができる。反 溶液中に溶解したカプセルの皮膜成分や溶 が、核酸増幅反応に与える影響を抑えるこ ができるため、酵素含有カプセルの容量は 核酸増幅反応時の反応溶液量の1/10以下であ ることが好ましい。

 本発明の酵素含有カプセル内の溶媒が、不 性溶媒である場合には、本発明の核酸の増 キットは、0℃以下で凍結した状態や、凍結 乾燥した状態で保存することができる。例え ば、本発明の核酸の増幅キットを0℃以下で 結保存することにより、冷蔵保存する場合 りも、酵素活性を損なうことなく、長期間 存することができる。凍結した状態で保存 る場合には、タンパク質分解酵素の酵素活 を保護するため、凍結融解を繰り返さない とが好ましい。
 同様に、タンパク質分解酵素を、不凍性溶 に溶解させた状態で別途カプセルに含有さ ることにより、タンパク質分解酵素の酵素 性をより効果的に保護することができる。 のようなタンパク質分解酵素を封入するカ セルの皮膜成分は、カプセル内の溶媒や内 物に対して不溶性であり、融点が30~50℃で る非タンパク質性物質であることが好まし 。カプセルの融点が30~50℃程度であること、 すなわち、封入されているタンパク質分解酵 素を用いたタンパク質分解処理に適した温度 以下であることにより、凍結保存時には、不 凍性溶媒に溶解させた状態を維持し、タンパ ク質分解処理に適した温度では、カプセルが 溶解し、タンパク質分解酵素を反応溶液中に 放出することができる。このような皮膜成分 として、例えば、3,6-アンヒドロガラクトー を含むガラクタンとグアーガムとデンプン 混合物等がある(例えば、特許文献14参照)。
 例えば、本発明の核酸の増幅キットが、核 増幅用耐熱性酵素を含有する酵素含有カプ ルを有する核酸の増幅キットである場合に 、酵素含有カプセルを内部に有する核酸増 反応用容器と、タンパク質分解酵素を含有 る酵素反応用緩衝液とを有するキットであ ことが好ましい。該酵素反応用緩衝液が、 タンパク質分解酵素によるタンパク質分解 応と、該核酸増幅用耐熱性酵素による核酸 幅反応の双方に適した緩衝液であることが より好ましい。さらに、核酸の増幅に用い ためのヌクレオチドやプライマーを含むキ トであることが特に好ましい。ヌクレオチ やプライマーは、タンパク質分解酵素に耐 であり、かつタンパク質分解反応に特に影 しないため、酵素反応用緩衝液に含有させ いてもよく、酵素含有カプセルに含有させ いてもよい。その他、タンパク質分解酵素 カプセルに含有させる場合には、ヌクレオ ドやプライマーは、タンパク質分解酵素と じカプセルに含有させていてもよい。

 本発明の核酸の増幅方法は、本発明の酵 含有カプセルを用いる核酸の増幅方法であ ば、特に限定されるものではない。増幅対 となる試料中にタンパク質が存在しない場 や存在する場合のそれぞれにおいても利用 ることができる。前者の場合、核酸増幅用 応容器内に、本発明の酵素含有カプセル、 幅対象の核酸を含む試料、並びに適宜、反 基質、プライマー、及び酵素反応用緩衝液 導入する工程を行い、次いで当該容器内で 酸の増幅反応を行う工程を組み合わせるこ で、核酸を増幅することができる。より具 的には、前記核酸の増幅反応を行う工程が 前期酵素含有カプセルの皮膜を、60℃~100℃ 温度、0~15分間で溶融させ、ついで、55℃~100 ℃の温度で核酸の増幅反応を行う工程とする ことができる。一方、増幅対象となる試料中 にタンパク質が存在する場合には、本発明の 核酸の増幅方法により、容易かつ簡便に、試 料中のタンパク質を失活させた後に、該試料 中の核酸を増幅することができる。例えば、 以下のようにして、タンパク質と核酸を含有 する試料中の核酸を増幅することができる。

 まず、工程(a)として、タンパク質及び核 を含有する試料、本発明の酵素含有カプセ 、タンパク質分解酵素、並びに、適宜、反 基質、プライマー、及び酵素反応用緩衝液 混合し、反応溶液を調製する。この時、核 の増幅に用いるためのヌクレオチドや核酸 増幅に用いるためのプライマー等の、タン ク質分解反応のみならず、その後の核酸増 反応において必要な試薬を全て添加するこ が好ましい。全工程に必要な試薬を予め添 し、混合することにより、途中の工程で試 を添加する操作が不要となり、操作の利便 や迅速性を向上させ、コンタミネーション 二次感染のおそれを低減することができる なお、ヌクレオチドやプライマーは、反応 液中に添加して溶解させてもよく、酵素含 ゲルに核酸増幅用耐熱性酵素と共に含有さ た状態で添加してもよい。また、酵素反応 緩衝液、ヌクレオチド、プライマー等のタ パク質分解反応や核酸増幅反応に用いられ 試薬は、特に限定されるものではなく、通 核酸の増幅を行う場合に用いられるものを 通常用いられる量で用いることができる。

 次に、工程(b)として、工程(a)において得 れた反応溶液を、30℃~60℃の温度で0~15分間 熱する。該タンパク質分解酵素を用いたタ パク質分解処理に適した温度に該反応溶液 加熱することにより、該試料に含まれてい タンパク質を効果的に分解することができ 。このとき、該タンパク質分解酵素は、非 ンパク質性物質(融点が30~50℃)を皮膜成分と するカプセルに含まれるものとすることがで きる。この場合、工程(b)の温度処理により該 皮膜成分が溶解し、該タンパク質分解酵素が 、該試料中のタンパク質に作用する。例えば タンパク質分解酵素として、プロテイナーゼ Kを用いる場合には、前記工程(a)において得 れた反応溶液を、45~55℃に加熱することが特 に好ましい。プロテイナーゼKの酵素活性を く維持できるためである。

 タンパク質分解反応終了後、工程(c)とし 、工程(b)において得られた反応溶液を、60~1 00℃の温度で0~15分間加熱する。該加熱処理に より、該酵素含有カプセルを溶解させ、核酸 増幅用耐熱性酵素を該反応溶液中に放出させ ることができる。また、該加熱処理により、 タンパク質分解酵素は変性し、失活するため 、放出された核酸増幅用耐熱性酵素は、分解 されることなく、核酸の増幅に用いることが できる。さらに、該加熱処理により、該試料 に含まれている非耐熱性タンパク質も変性さ せることができる。つまり、本発明の核酸の 増幅方法においては、核酸増幅反応における 主要な阻害要因である試料中のタンパク質を 、酵素処理と加熱処理により、非常に効果的 に失活させることができる。

 さらに、工程(d)として、工程(c)において られた反応溶液を用いて、核酸の増幅を行 ことにより、該試料中の目的の核酸を増幅 ることができる。核酸の増幅は、該核酸増 用耐熱性酵素を用いて、通常行われている 法により、行うことができる。また、核酸 幅反応における反応条件等は、増幅の目的 ある核酸の長さやプライマーの種類等を考 して、適宜決定することができる。

 次に実施例を示して本発明をさらに詳細に 明するが、本発明は以下の実施例に限定さ るものではない。
 ポリカプロラクトン(融点:60℃)を皮膜成分 し、特許文献13に記載されている製法を用い て、DNAポリメラーゼを含有する酵素含有カプ セルを調製した。具体的には、ポリカプロラ クトンに対して、N-メチルピロリドンを用い 部分的に溶媒和させることにより、ポリカ ロラクトンを軟化させ、内包させる1μLのDNA ポリメラーゼ溶液(1unit)をリザーバーから供 して酵素含有カプセル1を得た。なお、該DNA リメラーゼ溶液は、DNAポリメラーゼKODplus(1u nit、東洋紡社製)の50%グリセロール溶液を用 た。

 次に、抗凝固剤(EDTA-2K)入りヒト血液(抗凝固 剤処理全血)を試料とし、得られた酵素含有 プセル1を用いて、PCRを行った。具体的には 配列番号1の塩基配列を有するプライマー1 、配列番号2の塩基配列を有するプライマー2 とを用いて、ハウスキーピング遺伝子の1つ あるGAPDH(glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)遺 子を鋳型とし、238bpの核酸を増幅した。
 まず、PCR用チューブに、1個の酵素含有カプ セル1、5μLの10×酵素反応用緩衝液(200mM Tris-HC l、500mM KCl、80mM MgCl 2 )、0.5μLのdNTP(20mM)、1μLのプライマー1(15μM)、1 μLのプライマー2(15μM)、1μLのプロテイナーゼ K(20mg/mL)、及び40.5μLの滅菌済純水を添加して 合した後、1μLの抗凝固剤処理全血を添加し て、反応溶液を調製した。

 次に、該反応溶液を、50℃で10分間加熱し た。さらに、該反応溶液を、94℃で5分間加熱 した後、94℃で15秒間、55℃で30秒間、68℃で30 秒間を30サイクル繰り返すことによりPCRを行 た。PCR済み反応溶液を、アガロースゲル電 泳動した後、エチジウムブロマイドで染色 ることにより、目的の238bpの核酸が増幅さ ているか否かを確認した。

[比較例1]
 酵素含有カプセル1に代えて、1μLのDNAポリ ラーゼKODplus(1unit、東洋紡社製)を用いて、実 施例1と同様にして、GAPDH遺伝子の238bpの核酸 増幅した。具体的には、以下のように行っ 。
 まず、PCR用チューブに、1μLのDNAポリメラー ゼKODplus、5μLの10×酵素反応用緩衝液(200mM Tris -HCl、500mM KCl、80mM MgCl 2 )、0.5μLのdNTP(20mM)、1μLのプライマー1(15μM)、1 μLのプライマー2(15μM)、及び41.5μLの滅菌済純 水を添加して混合した後、1μLの抗凝固剤処 全血を添加して、反応溶液を調製した。
 次に、該反応溶液を、50℃で10分間加熱した 。さらに、該反応溶液を、94℃で5分間加熱し た後、94℃で15秒間、55℃で30秒間、68℃で30秒 間を30サイクル繰り返すことによりPCRを行っ 。PCR済み反応溶液を、アガロースゲル電気 動した後、エチジウムブロマイドで染色す ことにより、目的の238bpの核酸が増幅され いるか否かを確認した。

 図1は、実施例1と比較例1で得られたPCR済み 応溶液を、アガロースゲル電気泳動した後 エチジウムブロマイドで染色して得られた ンドパターンを模式的に表した図である。 中、「実施例」は実施例1で得られたPCR済み 反応溶液を泳動したレーンを、「比較例」は 比較例1で得られたPCR済み反応溶液を泳動し レーンを、「M」はマーカーを泳動したレー を、それぞれ示している。また、矢印アは 238bpのバンドを示す。図1から明らかである うに、実施例1のPCR済み反応溶液では、目的 の238bpの核酸が増幅されていたが、比較例1で は増幅された核酸は検出できなかった。これ は、比較例1では、プロテアーゼKを反応溶液 に添加すると、DNAポリメラーゼが失活する め、実施例1とは異なり、増幅阻害物質であ るタンパク質が除去されなかったためと推察 される。実施例1において増幅された核酸が 出されたことから、本発明の酵素含有カプ ルは、プロテイナーゼK等のタンパク質分解 素の影響を受けないこと、及び、通常PCRに いて行われる変性工程と同じ加熱処理(94℃5 分間)によって、反応溶液中にDNAポリメラー が溶出され、PCRが行われることが明らかで る。
 これらの結果から、本発明の酵素含有カプ ルを用いることにより、DNAポリメラーゼ等 耐熱性酵素の酵素活性に影響を及ぼすこと く、全血等の生体試料のタンパク質分解処 を行うことができること、及び、タンパク 分解反応とその後の核酸増幅反応のための 応溶液の調製が一回で行うことができるた 、迅速に試料中の核酸を増幅できることが らかである。

 まず、実施例1と同様にして、1μLのDNAポリ ラーゼ溶液(1unit)を調製した。
 ポリカプロラクトン(融点:60℃)を皮膜成分 し、特許文献13に記載されている製法を用い て、DNAポリメラーゼを含有する酵素含有カプ セルを調製した。具体的には、ポリカプロラ クトンに対して、N-メチルピロリドンを用い 部分的に溶媒和させることにより、ポリカ ロラクトンを軟化させ、内包させる3.5μLの 素溶液をリザーバーから供給して酵素含有 プセル2を得た。なお、該酵素溶液は、3.5μL 中に、1μLの該DNAポリメラーゼ溶液(1unit)、0.5 LのdNTP(20mM)、1μLのプライマー1(15μM)、1μLの ライマー2(15μM)の混合溶液である。

 酵素含有カプセル1に代えて、酵素含有カプ セル2を用いて、実施例1と同様にして、GAPDH 伝子の238bpの核酸を増幅した。具体的には、 以下のように行った。
 まず、PCR用チューブに、1個の酵素含有カプ セル2、5μLの10×酵素反応用緩衝液(200mM Tris-HC l、500mM KCl、80mM MgCl 2 )、1μLのプロテイナーゼK(20mg/mL)、及び40.5μL 滅菌済純水を添加して混合した後、1μLの抗 固剤処理全血を添加して、反応溶液を調製 た。
 次に、該反応溶液を、50℃で10分間加熱した 。さらに、該反応溶液を、94℃で5分間加熱し た後、94℃で15秒間、55℃で30秒間、68℃で30秒 間を30サイクル繰り返すことによりPCRを行っ 。PCR済み反応溶液を、アガロースゲル電気 動した後、エチジウムブロマイドで染色す ことにより、目的の238bpの核酸が増幅され いるか否かを確認した。
 この結果、実施例1で得られたPCR済み反応溶 液と同様に、238bpの核酸が増幅されているこ が確認できた。

 ガラクタン複合物とグアーガムとデンプ の混合物(ガラクタン混合物、融点:50℃)を 膜成分とし、特許文献14に記載されている製 法を用いて、プロテイナーゼKを含有するカ セル(以下、プロテイナーゼK含有カプセルと いう)を調製した。ガラクタン混合物は、重 比として、ガラクタン複合物:グアーガム:デ ンプン=100:33:133である混合物である。また、 ラクタン複合物は、分子量が30万~70万、3,6- ンヒドロガラクトース含量が20~30重量%であ 第1ガラクタンと、分子量が3,000~25万、3,6-ア ンヒドロガラクトース含量が30~40重量%である 第2ガラクタンが、第1ガラクタン100重量部に して第2ガラクタンが60重量部の割合である 合物である。具体的には、前記混合物に対 て、ロータリーダイ式充填機を用いて、内 させる1μLのプロテイナーゼK溶液(20mg/mL)を ザーバーから供給してプロテイナーゼK含有 プセルを得た。なお、1μLのプロテイナーゼ K(40mg/mL)を、1μLの100%グリセロールに溶解させ たものを、該プロテイナーゼK溶液として用 た。

 実施例1で得た酵素含有カプセル1と、プロ イナーゼK含有カプセルを用いて、実施例1と 同様にして、GAPDH遺伝子の238bpの核酸を増幅 た。具体的には、以下のように行った。
 まず、PCR用チューブに、1個の酵素含有カプ セル1、1個のプロテイナーゼK含有カプセル、 5μLの10×酵素反応用緩衝液(200mM Tris-HCl、500mM KCl、80mM MgCl 2 )、0.5μLのdNTP(20mM)、1μLのプライマー1(15μM)、1 μLのプライマー2(15μM)、及び40.5μLの滅菌済純 水を添加して混合した後、1μLの抗凝固剤処 全血を添加して、反応溶液を調製した。
 次に、該反応溶液を、50℃で10分間加熱した 。さらに、該反応溶液を、94℃で5分間加熱し た後、94℃で15秒間、55℃で30秒間、68℃で30秒 間を30サイクル繰り返すことによりPCRを行っ 。PCR済み反応溶液を、アガロースゲル電気 動した後、エチジウムブロマイドで染色す ことにより、目的の238bpの核酸が増幅され いるか否かを確認した。
 この結果、実施例1で得られたPCR済み反応溶 液と同様に、238bpの核酸が増幅されているこ が確認できた。この結果から、50℃の加熱 理により、プロテイナーゼK含有カプセルが 解し、内部のプロテイナーゼKが反応溶液中 に放出され、試料中のタンパク質を効果的に 失活させたことが明らかである。したがって 、本発明の酵素含有カプセルと、タンパク質 分解酵素を含有させたカプセルを用いること によっても、迅速に試料中の核酸を増幅でき ることが明らかである。

 本発明の酵素含有カプセルを用いること より、耐熱性酵素を添加した状態で、タン ク質分解酵素を用いて、試料中のタンパク を効果的に失活させることができるため、 に生体試料を用いた遺伝子解析等の分野に いて利用が可能である。