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Title:
FERRITE PARTICLES, ELECTROPHOTOGRAPHIC DEVELOPER CARRIER CORE MATERIAL, ELECTROPHOTOGRAPHIC DEVELOPER CARRIER, AND ELECTROPHOTOGRAPHIC DEVELOPER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175336
Kind Code:
A1
Abstract:
The present invention provides: ferrite particles comprising a crystal phase component comprising perovskite crystals represented by the compositional formula RZrO3 (where R is an alkaline earth metal element); and an electrophotographic developer carrier core material, an electrophotographic developer carrier, and an electrophotographic developer containing said ferrite particles.

Inventors:
ISHIKAWA MAKOTO (JP)
UEMURA TETSUYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/006911
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 20, 2020
Export Citation:
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Assignee:
POWDERTECH CO LTD (JP)
International Classes:
C01G49/00; G03G9/107; G03G9/113; H01F1/34; H01F1/36
Domestic Patent References:
WO2018147002A12018-08-16
Foreign References:
JP2011118380A2011-06-16
JP2017151133A2017-08-31
JPS6369717A1988-03-29
JP3243376B22002-01-07
JP3872025B22007-01-24
JP5129079B22013-01-23
JP5850331B22016-02-03
JP5352729B22013-11-27
JP2019031162A2019-02-28
Other References:
See also references of EP 3932870A4
Attorney, Agent or Firm:
KOH-EI PATENT FIRM, P.C. (JP)
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Claims:
\¥02020/175336 45 卩(:17 2020 /006911

請求の範囲

[請求項 1] 「〇 3の組成式 (但し、 はアルカリ土類金属元素) で表され るべロブスカイ ト型結晶からなる結晶相成分を含むフェライ ト粒子。

[請求項 2] 前記 が 3 1% 03及び巳 3からなる群から選ばれる少なくとも 1 種以上の元素である請求項 1 に記載のフェライ ト粒子。

[請求項 3] X線回折バターンのリートベルト解析により当該フェライ ト粒子を 構成する結晶相の相組成分析を行ったときに、 前記べロブスカイ ト型 結晶からなる結晶相成分を〇. 05質量%以上 2. 50質量%以下含 む請求項 1又は請求項 2に記載のフェライ ト粒子。

[請求項 4] 電極間距離 2〇!〇!及び印加電圧 500 Vで測定したときの、 低温低 湿環境 (1 〇°◦相対湿度 20%) 下での抵抗値!-の対数値 ) と高温高湿環境 (30°〇相対湿度 80%) 下での抵抗値 1~1の対数値 ( I 〇 90) との比丨 〇 9 !_ /丨 〇 91~1が 1. 0以上 1 1 5以下で ある請求項 1〜請求項 3のいずれか一項に記載のフヱライ ト粒子。

[請求項 5] 前記抵抗値!·!が 1 0 X 1 07 (〇) 以上·! . 0 X 1 03 (〇) 以 下であり、 且つ、 1 < 1 000/4 八/ の磁場をかけたとき の V 31\/1測定による飽和磁化が 55㊀〇!リ / 9以上 656〇1リ/9以 下である請求項 4に記載のフェライ ト粒子。

[請求項 6] (IV!〇) 3 ( 623) 匕 (但し、 IV!は 6, 〇リ

, n及び 1\1 丨からなる群から選ばれる少なくとも 1つの金属元素、

3 +匕= 1 00 (〇1〇 丨%) ) の組成式で表されるスピネル型結晶か らなる結晶相成分を主成分とする請求項 1〜請求項 5のいずれか一項 に記載のフェライ ト粒子。

[請求項 7] 当該フェライ ト粒子は、 (1\/^〇) X (1\/19〇) ソ ( 623) å (但し、 1 5£父£50、 2£ V £35, 45 £ å £ 60, X† V + å= 1 00 (〇1〇 1 %) ) の組成式で表されるスピネル型結晶から なる結晶相成分を主成分とする請求項 1〜請求項 6のいずれか一項に 記載のフェライ ト粒子。 〇 2020/175336 46 卩(:171? 2020 /006911

[請求項 8] 請求項 1〜請求項 7のいずれか一項に記載のフヱライ ト粒子を含む 電子写真現像剤用キャリア芯材。

[請求項 9] 請求項 1〜請求項 7のいずれか一項に記載のフヱライ ト粒子と、 当 該フェライ ト粒子の表面に設けられた樹脂被覆層とを備える電子写真 現像剤用キャリア。

[請求項 10] 請求項 9に記載の電子写真現像剤用キャリアとトナーとを含む電子 写真現像剤。

[請求項 1 1 ] 補給用現像剤として用いられる請求項 1 〇に記載の電子写真現像剤

Description:
\¥0 2020/175336 1 ?<:17 2020 /006911 明 細 書

発明の名称 :

フェライ ト粒子、 電子写真現像剤用キャリア芯材、 電子写真現像剤用キャ リア及び電子写真現像剤

技術分野

[0001 ] 本発明は、 フェライ ト粒子、 電子写真現像剤用キャリア芯材、 電子写真現 像剤用キャリア及び電子写真現像剤に関する 。

背景技術

[0002] 電子写真現像方法は、 現像剤中のトナーを感光体上に形成された静 電潜像 に付着させて現像する方法をいう。 この方法で使用される現像剤は、 トナー とキャリアからなる二成分系現像剤と、 トナーのみを用いる _ 成分系現像剤 とに分けられる。 二成分系現像剤を用いた現像方法としては、 古くはカスケ —ド法等が採用されていたが、 現在では、 マグネッ トロールを用いる磁気ブ ラシ法が主流である。

[0003] 磁気ブラシ法では、 現像剤が充填されている現像ボックス内にお いてキャ リアとトナーとを攪拌 ·混合することによって、 トナーに電荷を付与する。 そして、 マグネッ トを保持する現像口ールによりキャリアを感 光体の表面に 搬送する。 その際、 キャリアにより、 電荷を帯びたトナーが感光体の表面に 搬送される。 感光体上で静電的な作用により トナー像が形成された後、 現像 口ール上に残ったキャリアは再び現像ボック ス内に回収され、 新たなトナー と撹拌 ·混合され、 一定期間繰り返して使用される。

[0004] 二成分系現像剤は、 一成分系現像剤とは異なり、 キャリア自体の磁気特性 や電気特性をトナーと分離して設計すること ができるため、 現像剤を設計す る際の制御性がよい。 そのため、 二成分系現像剤は高画質が要求されるフル カラー現像装置及び画像維持の信頼性、 耐久性が要求される高速印刷を行う 装置等に適している。

[0005] 近年、 静電潜像を高精細に現像するためトナーの小 粒径化が進められてい 〇 2020/175336 2 卩(:171? 2020 /006911

る。 トナーの小粒径化に伴いキャリアも小粒径化 されている。 キャリアを小 粒径化することで、 キャリアとトナーとが撹拌 ·混合される際の機械的スト レスが軽減し、 トナースペント等の発生を抑制することがで きるため、 従来 と比較すると現像剤は長寿命化している。 しかしながら、 キャリアを小粒径 化するとキャリア飛散が生じやすくなり、 白斑等の画像欠陥が生じやすくな る。

[0006] このような課題に対処するため、 高磁化又は高抵抗なキャリアが種々提案 されてきた。 例えば、 特許文献 1 には、 X (1\/1 9 〇) 7 ( 6 2 〇 3) åの組成式で表され、 IV! 9〇及び 6 2 3 の一部が 3 「〇で置換 されたフェライ ト粒子において、 X、 ソ、 åの量をそれぞれ所定の範囲内に すると共に、 3 「〇の置換量を所定の量とすることにより、 磁化が高く、 磁 化のバラツキを抑制したキャリアが提案され ている。

[0007] また、 特許文献 2には、 (IV! n〇) X 7 ( 6 2 3 ) åの組成 式で表され、 X , V , åの量が所定の範囲内であるフェライ ト成分と、 この フェライ ト成分に固溶されていない所定量の 「〇 2 とを含むフェライ ト粒子 をキャリア芯材とした、 高抵抗なキャリアが提案されている。

[0008] 特許文献 1や特許文献 2に開示されるように、 高磁化又は高抵抗なキャリ アを用いることで、 キャリア飛散を抑制し、 キャリア飛散に伴う画像欠陥を 抑制することが可能になる。 ところで、 二成分系現像剤においては、 画像濃 度、 カプリ、 白斑、 階調性、 解像力等の画像特性が、 初期の段階から所定の 値を示し、 しかもこれらの特性が耐刷期間中に変動せず 、 安定に維持される ことが必要である。 しかしながら、 現像剤が使用される環境下における雰囲 気温度及び雰囲気湿度は一定ではない。 特に、 抵抗は雰囲気温度や雰囲気湿 度の影響を受けやすいため、 現像剤の特性を安定に維持するには、 抵抗の環 境依存性の小さいキャリアが求められる。

[0009] そこで、 特許文献 3には、 IV! 6 ( 〇 4 の組成式で表されるフェラ イ ト成分を主成分としたキャリア芯材の表面を 酸洗浄することにより、 抵抗 の環境依存性を小さく したキャリアが提案されている。 特許文献 4には、 ( 〇 2020/175336 3 卩(:171? 2020 /006911

X (1\/1 9〇) ソ ( 6 2 3 ) åの組成式で表され、 且つ、 3 「及び 丁 丨 を含有するキャリアにおいて、 組成比を所定の範囲内にすることで、 高 温高湿下においても抵抗の環境依存性を小さ く したキャリアが提案されてい る。 特許文献 5には、 の組成式で表されるコア組成を 主成分とし、 3 丨 と IV! 9とをそれぞれ所定量含有させたキャリア芯 を用い ることにより、 抵抗の環境依存性を小さく したキャリアが提案されている。 先行技術文献

特許文献

[0010] 特許文献 1 : 日本国特許第 3 2 4 3 3 7 6号公報

特許文献 2 : 日本国特許第 3 8 7 2 0 2 5号公報

特許文献 3 : 日本国特許第 5 1 2 9 0 7 9号公報

特許文献 4 : 日本国特許第 5 8 5 0 3 3 1号公報

特許文献 5 : 日本国特許第 5 3 5 2 7 2 9号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[001 1 ] しかしながら、 上記従来 (特許文献 1〜特許文献 5に開示) のキャリア芯 材等を用いたキャリアでは、 依然として高温高湿環境下においてキャリア 飛 散を十分に抑制することは困難であった。 キャリア飛散が生じると、 上記画 像欠陥が生じるだけではなく、 飛散したキャリアが感光体や定着口ーラに付 着し、 これらの損傷を招く。

[0012] そこで、 本件発明の課題は、 高温高湿環境下においてもキャリア飛散の発 生を抑制することできるフェライ ト粒子、 電子写真現像剤用キャリア芯材、 電子写真現像剤用キャリア及び電子写真現像 剤を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0013] 上記課題を解決するための手段には、 以下の態様が含まれる。

[0014] [ 1 ]

、 はアルカリ土類金属元素) で表されるぺロブ 〇 2020/175336 4 卩(:171? 2020 /006911

スカイ ト型結晶からなる結晶相成分を含むフェライ ト粒子。

[0015] [2]

前記 が 3 「、 03及び巳 3 からなる群から選ばれる少なくとも 1種以上 の元素である [1 ] に記載のフェライ ト粒子。

[0016] [3]

X線回折パターンのリートベルト解析により 該フェライ ト粒子を構成す る結晶相の相組成分析を行ったときに、 前記べロブスカイ ト型結晶からなる 結晶相成分を〇. 05質量%以上 2. 50質量%以下含む [1 ] 又は [2] に記載のフェライ ト粒子。

[0017] [4]

電極間距離 2 及び印加電圧 500 Vで測定したときの、 低温低湿環境 (1 〇°〇相対湿度 20%) 下での抵抗値!-の対数値 ( I 〇 9 0) と高温高湿 環境 (30°〇相対湿度 80%) 下での抵抗値 1 ~ 1の対数値 ( I 〇 9 0) との比 I 〇 9 !_ /丨 〇 91 ~ 1が 1. 0以上 1. 1 5以下である [1 ] 〜 [3] のいず れか一項に記載のフェライ ト粒子。

[0018] [5]

前記抵抗値!·!が 1 〇 1 〇 7 (0) 以上·! . 〇 1 〇 9 (〇) 以下であり 、 且つ、 1 000/4 % - 八/ の磁場をかけたときの V 3 IV!測定に よる飽和磁化が 55㊀ 01リ/ 以上 65㊀ 01リ/ 以下である [4] に記載 のフェライ ト粒子。

[0019] [6]

(IV!〇) 3 ( 6 2 3 ) 匕 (但し、 IV!は 6, 〇リ, Z n及 び 丨からなる群から選ばれる少なくとも 1つの金属元素、 3 +匕= 1 00 ( 〇 I %) ) の組成式で表されるスピネル型結晶からなる 結晶相成分を主 成分とする [1 ] 〜 [5] のいずれか一項に記載のフェライ ト粒子。

[0020] [7]

当該フェライ ト粒子は、 (1\/^〇) X (1\/1 9 〇) 7 ( 6 2 3 ) 2 (但し 、 1 5£父£50、 2£ V £35, 45 £ å £ 60, 父 +ソ + å= 1 00 ( 〇 2020/175336 5 卩(:171? 2020 /006911

1 %) ) の組成式で表されるスピネル型結晶からなる 結晶相成分を主成 分とする [1 ] 〜 [6] のいずれか一項に記載のフェライ ト粒子。

[0021] [8]

[1 ] 〜 [7] のいずれか一項に記載のフェライ ト粒子を含む電子写真現 像剤用キャリア芯材。

[0022] [9]

[1 ] 〜 [7] のいずれか一項に記載のフェライ ト粒子と、 当該フェライ 卜粒子の表面に設けられた樹脂被覆層とを備 える電子写真現像剤用キャリア

[0023] [1 0]

[9] に記載の電子写真現像剤用キャリアとトナー とを含む電子写真現像 剤。

[0024] [1 1 ]

補給用現像剤として用いられる [1 〇] に記載の電子写真現像剤。

発明の効果

[0025] 本件発明によれば、 高温高湿環境下においてもキャリア飛散の発 生を抑制 することできるフェライ ト粒子、 電子写真現像剤用キャリア芯材、 電子写真 現像剤用キャリア及び電子写真現像剤を提供 することができる。

図面の簡単な説明

[0026] [図 1]フェライ ト粒子の断面を示す。

発明を実施するための形態

[0027] 以下、 本件発明に係るフェライ ト粒子、 電子写真現像剤用キャリア芯材、 電子写真現像剤用キャリア及び電子写真現像 剤の実施の形態を説明する。 な お、 本明細書において、 フェライ ト粒子、 電子写真現像剤用キャリア芯材、 電子写真現像剤用キャリア及び電子写真現像 剤は、 特記しない限り、 それぞ れ個々の粒子の集合体、 つまり粉体を意味するものとする。 まず、 フェライ 卜粒子の実施の形態を説明する。 また、 以下では、 本件発明に係るフェライ 卜粒子は、 主として、 電子写真現像剤用キャリア芯材として用いら れるもの 〇 2020/175336 6 卩(:171? 2020 /006911

として説明する。 しかしながら、 本件発明に係るフェライ ト粒子は磁性イン ク、 磁性流体、 磁性フィラー、 ボンド磁石用フィラー及び電磁波シールド材 用フィラー等の各種機能性フィラー、 電子部品材料等の各種用途に用いるこ とができ、 当該フェライ ト粒子の用途は電子写真現像剤用キャリア芯 材に限 定されるものではない。

[0028] 1 . フェライ ト粒子及び電子写真現像剤用キャリア芯材

まず、 本件発明に係るフェライ ト粒子の実施の形態を説明する。

[0029] 1 - 1 . ベロブスカイ ト型結晶からなる結晶相成分

本件発明に係るフェライ ト粒子は、 [¾ 「〇 3 の組成式 (但し、 はアルカ リ土類金属元素) で表されるベロブスカイ ト型結晶からなる結晶相成分を含 む。

[0030] 磁気ブラシ法に好適な二成分系の電子写真現 像剤用キャリアとして、 磁性 粒子を芯材とし、 その表面を樹脂で被覆した樹脂被覆キャリア が用いられて いる。 芯材とする磁性粒子として、 酸化第二鉄 ( 6 2 3 ) を主成分とする 磁性酸化物であるフェライ ト粒子が主として用いられている。 キャリアの小 粒径化に伴うキャリア飛散を抑制するには、 高磁化及び高抵抗なフェライ ト 粒子を芯材とすることが求められる。

[0031 ] 近年、 芯材には、 6の他に、 等の金属元素を含 む多元フェライ ト粒子が広く用いられている。 フェライ トを製造する際には 、 目的とする組成の金属元素を含む金属酸化物 や金属水酸化物等を原料とし て用いる。 高磁化のフェライ ト粒子を得るには、 原料のフェライ ト化反応を 十分に進行させて、 磁性を示さない未反応の原料 (以下、 「未反応原料」 と 称する。 ) がフェライ ト粒子中に残存しないようにすることが求め られる。 しかしながら、 多元フェライ トの場合、 元素の組み合わせによってフェライ 卜の生成温度や生成速度が異なり、 フェライ ト反応は原料同士の接触面でし か進行しないため、 一般的な焼成条件により、 原料を完全にフェライ ト化す ることは困難である。 そのため、 フェライ ト粒子中には未反応原料が残存す る。 〇 2020/175336 7 卩(:171? 2020 /006911

[0032] また、 フェライ トの原料には 3等のフェライ ト反応に関与しない金属又 は金属化合物が不可避不純物として含まれる 。 これらの不可避不純物は磁性 を示さない。 そのため、 高磁化のフェライ ト粒子を得るには、 不可避不純物 量を低減する必要がある。 しかしながら、 どのように純度の高い原料を用い ても、 原料中に不可避不純物は微量に存在し、 不可避不純物を完全に除去す ることは現実的ではない。

[0033] さらに、 フェライ ト粒子の組織構造に欠陥があると、 フェライ ト粒子の磁 化は低下する。 磁化の低下要因となる構造欠陥として、 フェライ ト粒子内の 欠陥 (例えば、 格子欠陥等) が挙げられる。 多元フェライ トの場合、 単元フ ェライ トと比較すると、 フェライ ト反応が複雑になるため、 構造欠陥が生じ やすい。

[0034] —方、 フェライ ト粒子は金属酸化物からなるため、 一般に、 高抵抗である 。 しかしながら、 表面に水分が付着すると、 抵抗は低下する。 また、 原料に 含まれる 3等のアルカリ金属を含む不可避不純物は雰 気中の水分の存在 により容易にイオン化する。 そのため、 フェライ ト粒子中の不可避不純物量 が増加すると、 フェライ ト粒子の抵抗は低くなる。 また、 不可避不純物量が 増加すると、 雰囲気湿度の変化によって抵抗が変動しやす くなる。

[0035] これらのことから、 高抵抗であり、 抵抗の環境依存性が小さいフェライ ト 粒子を得るには、 フェライ ト粒子中の不可避不純物量を低減する必要が ある 。 しかしながら、 上述のとおり、 不可避不純物を完全に除去することは現実 的ではない。 なお、 上記未反応原料 (但し、 不可避不純物を除く) は、 金属 酸化物であるため、 未反応原料を含むことはフェライ ト粒子の低抵抗化の要 因とはならない。

[0036] ところで、 フェライ ト粒子は単結晶の集合体である多結晶体であ る場合が 多い。 フェライ ト粒子の組成が同じであっても、 フェライ ト粒子の磁気特性 や電気特性はフェライ ト粒子の組織構造によって変化する。 そこで、 本件発 明者らは、 フェライ ト粒子の組織構造に着目し、 高磁化及び高抵抗を有し、 且つ、 抵抗の環境依存性の小さいフヱライ トを得るには、 [¾ 「〇 3 の組成式 〇 2020/175336 8 卩(:171? 2020 /006911

(但し、 はアルカリ土類金属元素) で表されるぺロブスカイ ト型結晶から なる結晶相成分を含むことが重要であること を見出し、 本件発明に想到する に至った。

[0037] [¾ 「〇 3 の組成式 (但し、 はアルカリ土類金属元素) で表されるぺロブ スカイ ト型結晶からなる結晶相成分を含むことで、 上記課題が解決できる理 由は定かではないが、 本件発明者らは以下のように推察する。

[0038] フェライ ト粒子の粒界には、 未反応原料や不可避不純物などのフェライ ト と固溶しない成分が存在する。 また、 結晶粒の成長に伴い粒界に押し出され たこれらの成分はフェライ ト粒子の表面にも存在する。 フェライ ト粒子を構 成する結晶粒が大きいと、 粒界は、 フェライ ト粒子の表面における一点と他 の点とを結ぶ流路のようにフェライ ト粒子内部に連続的に形成される。 フェ ライ ト粒子の表面や粒界に存在する不可避不純物 は容易にイオン化する。 そ のため、 フェライ ト粒子内において連続的に形成された粒界に 、 N 3等の不 可避不純物が連続的に分布すると、 水分がフェライ ト粒子の表面に付着する と粒界が導通路のようになり、 フェライ ト粒子の抵抗は低下する。 また、 こ のような構造を有するフェライ ト粒子では、 雰囲気湿度の変化によって、 抵 抗の変動も大きくなると考えられる。 また、 上述したとおり、 フェライ ト粒 子中の未反応原料や不可避不純物を完全に除 去することは困難である。

[0039] 一方、 [¾ 「〇 3 の組成式 (但し、 はアルカリ土類金属元素) で表される ぺロブスカイ ト型結晶からなる結晶相成分はフェライ トと固溶しないため、 当該結晶相成分はフェライ ト粒子の粒界に分散する。 従って、 当該結晶相成 分を含むフェライ ト粒子は、 当該結晶相成分を含まない場合と比較すると 、 フェライ ト粒子における粒界体積が相対的に増加する 。 フェライ ト粒子に含 まれる不可避不純物量が同じであれば、 フェライ ト粒子の粒界体積が相対的 に増加すると、 粒界における不可避不純物の分布密度は相対 的に低下する。 粒界には、 不可避不純物の他、 絶縁性物質である当該結晶相成分が存在する 。 本件発明に係るフェライ ト粒子では、 粒子内に粒界が複雑に分布すると共 に、 粒界内に不可避性不純物や当該結晶相成分な どの絶縁性物質が不連続に 〇 2020/175336 9 卩(:171? 2020 /006911

分布するため、 粒界が導通路のように機能することを抑制す ることができる 。 そのため、 本件発明に係るフェライ ト粒子によれば、 抵抗の環境依存性を 小さくすることができると考えられる。

[0040] なお、 当該フェライ ト粒子において、 の組成式 (但し、 はアルカ リ土類金属元素) で表されるベロブスカイ ト型結晶からなる結晶相成分を含 むとは、 少なくともフェライ ト粒子の内部に当該結晶相成分が含まれるこ と をいい、 フェライ ト粒子の内部における当該結晶相成分の分散 が良好である ことが好ましく、 当該フェライ ト粒子の表面及び内部に当該結晶相成分が均 —に分散していることがより好ましいものと する。

[0041 ] また、 フェライ ト粒子における粒界体積が相対的に小さいと 、 不可避不純 物が粒界から表面に押し出される結果、 フェライ ト粒子表面に存在する不可 避不純物量が相対的に多くなる。 一方、 フェライ ト粒子における粒界体積が 相対的に大きいと、 フヱライ ト粒子の表面に存在する不可避不純物量を相 対 的に低減することができる。 そのため、 フェライ ト粒子を高抵抗化すること ができ、 且つ、 フヱライ ト粒子表面の不可避不純物に起因する抵抗の 環境依 存性を小さくすることができる。

[0042] さらに、 [¾ 「〇 3 の組成式 (但し、 はアルカリ土類金属元素) で表され るべロブスカイ ト型結晶からなる結晶相成分は絶縁性が高く 、 粒界や粒子表 面に当該結晶相成分が存在することで、 フェライ ト粒子の高抵抗化を図るこ とができる。 さらに、 当該結晶相成分を含むフェライ ト粒子を得るには、 「を含む化合物 (例えば、 「〇 2 ) を原料として用いる。 例えば、 多元フェ ライ トが を含む組成を有する場合、 を含む原料と、 「を含む化合物と が固相反応するため、 フェライ ト粒子中の上記未反応原料の含有量を低減す ることができる。 そのため、 構造欠陥が生じるのも抑制することができ、 相 対的に高磁化のフェライ ト粒子を得ることができる。

[0043] このような理由から、 「〇 3 の組成式 (但し、 はアルカリ土類金属元 素) で表されるベロブスカイ ト型結晶からなる結晶相成分を含むフェライ ト 粒子とすることで、 上述した理由から、 高磁化及び高抵抗であり、 抵抗の環 〇 2020/175336 10 卩(:171? 2020 /006911

境依存性を小さくすることができると推察 する。 以下、 本件発明に係るフェ ライ ト粒子についてより詳細に説明する。

[0044] ( 1 ) [¾ (アルカリ土類金属元素)

本件発明において、 8は、 〇 3 , 3 「、 巳 3及び 3からなる群から選ば れる少なくとも 1種以上の元素、 すなわちアルカリ土類金属元素である。 ア ルカリ土類金属元素はジルコニウムよりもイ オン半径が十分大きく、 ジルコ ニウムとべロブスカイ ト型の結晶構造を形成する。 本件発明において、 は 、 3 「、 0 3及び巳 3からなる群から選ばれる少なくとも 1種以上の元素で あることがより好ましい。 これらの元素は所定の温度条件でジルコニウ ムと 固相反応し、 ぺロブスカイ ト型の結晶構造を形成する。 そのため、 フェライ 卜粒子の製造工程において焼成温度を当該範 囲内において制御することによ り、 本件発明に係るフェライ ト粒子を得ることができる。

[0045] ( 2 ) 結晶相成分含有割合

X線回折パターンのリートベルト解析により 該フェライ ト粒子を構成す る結晶相の相組成分析を行ったときに、 上記 [¾ 「〇 3 の組成式で表されるぺ ロブスカイ ト型結晶からなる結晶相成分を〇. 0 5質量%以上 2 . 5 0質量 %以下含むことが好ましい。 上記 [¾ 「〇 3 の組成式で表されるベロブスカイ 卜型結晶からなる結晶相成分を当該範囲で含 むことで、 高磁化及び高抵抗で あり、 抵抗の環境依存性の良好なフェライ ト粒子を得ることができる。

[0046] ト型結晶からなる結晶相成 分の含有割合が上記範囲内であると、 当該フェライ ト粒子の内部に当該結晶 相成分を均一に分散させることが容易になり 、 構造欠陥の発生を抑制したり 、 抵抗の環境依存性を小さくすることがより容 易になる。 また、 上記範囲内 とすることで、 当該結晶相成分の偏祈を抑制し、 機械的ストレスを受けたと きの割れや欠けが生じにくい強度の高いフェ ライ ト粒子を得ることができる 。 その結果、 キャリア飛散も抑制することができる。 さらに、 上記範囲内で 当該結晶相成分を含むことで、 高磁化及び高抵抗であり、 抵抗の環境依存性 のより良好なフェライ ト粒子を得ることができる。 〇 2020/175336 1 1 卩(:171? 2020 /006911

また、 上記効果を得る上で、 当該フェライ ト粒子は当該結晶相成分を〇. 1 0質量%以上含むことがより好ましく、 0 . 1 5質量%以上含むことがさ らに好ましく、 〇. 2 0質量%以上含むことが特に好ましい。 また、 当該フ ェライ ト粒子は当該結晶相成分を 2 . 0 0質量%以下含むことがより好まし く、 1 . 7 5質量%以下含むことがさらに好ましく、 1 . 5 0質量%以下含 むことが特に好ましい。

なお、 当該結晶相成分含有割合の測定方法について は、 後述の通り、 実施 例にて記載した。

[0047] (3) ジルコニウム含有割合

当該フェライ ト粒子はジルコニウムを〇. 1 〇1〇 丨%以上 3 . 〇 〇 丨% 以下含むことが好ましい。 当該範囲内でジルコニウムを含むことにより 、 上 記 「〇 3 の組成式で表されるぺロブスカイ ト型結晶からなる結晶相成分の 含有割合が概ね上記範囲内となり、 高磁化及び高抵抗であり、 抵抗の環境依 存性の小さいフェライ ト粒子を得ることができる。 当該フェライ ト粒子にお けるジルコニウムの含有割合は〇. 2〇1〇 丨%以上であることがより好まし い。 また、 当該フェライ ト粒子におけるジルコニウムの含有割合は 2 . 〇 丨%以下であることがより好ましく、 1 .

らに好ましい。

[0048] (4) アルカリ土類金属元素含有割合

アルカリ土類金属元素 ([¾) の含有割合は 0 . 1 〇 丨%以上 3 . 〇 〇 丨%以下であることがより好ましい。 当該範囲内でアルカリ土類金属元素 ( [¾) を含むことにより、 上記 「〇 3 の組成式で表されるぺロブスカイ ト型 結晶からなる結晶相成分の含有割合が概ね上 記範囲内となり、 高磁化及び高 抵抗であり、 抵抗の環境依存性の小さいフェライ ト粒子を得ることができる 。 当該フェライ ト粒子におけるアルカリ土類金属元素 ([¾) の含有割合は 0 . 〇 丨%以上であることがより好ましい。 また、 当該フェライ ト粒子に おけるアルカリ土類金属元素 ([¾) の含有割合は 2 . 〇 〇 丨%以下である ことがより好ましく、 1 . 5 〇 丨%以下であることがさらに好ましい。 〇 2020/175336 12 卩(:171? 2020 /006911

[0049] 1 -2. 組成

当該フェライ ト粒子は、 [¾ 「〇 3 の組成式 (但し、 はアルカリ土類金属 元素) で表されるぺロブスカイ ト型結晶からなる結晶相成分を含む限り、 そ の組成は特に限定されるものではない。 しかしながら、 高磁化及び高抵抗の フェライ ト粒子を得るという観点から、 当該フェライ ト粒子は、 3 ( 6 2 3 ) 匕 (但し、 IV!は 6, IV! 9, IV!门, 〇リ, 门及び からな る群から選ばれる少なくとも 1つの金属元素、 3 +匕= 1 00 ( 〇 丨%)

) の組成式で表されるスピネル型結晶からなる 結晶相成分を主成分とするこ とが好ましい。 フェライ トはスピネル型結晶構造、 マグネトプランバイ ト型 結晶構造、 ガーネッ ト型結晶構造などの結晶構造を有するが、 スピネル型結 晶構造を有するフェライ トは軟磁性を示し、 抵抗などの電気特性の調整も容 易であることから、 電子写真現像剤用キヤリア芯材に好適である 。

なお、 主成分とは、 当該フェライ ト粒子が複数の結晶相成分 (上記 [¾ 「

3 の組成式 (但し、 はアルカリ土類金属元素) で表されるぺロブスカイ ト 型結晶からなる結晶相成分を含む) を含む場合、 それらの結晶相成分の中で スピネル結晶相が最も大きな割合を占めるこ とをいい、 特に当該スピネル結 晶相成分が 50質量%以上であることが好ましく、 60質量%以上であるこ とがより好ましく、 70質量%以上であることがさらに好ましい。 スピネル 相結晶相成分の含有量は、 金属元素の組成によって決定することができ 、 後 述する X線回折パターンのリートベルト解析により 該フェライ ト粒子を構 成する結晶相の相組成分析を行ったときに得 られる質量分率とすることがで きる。

[0050] さらに、 当該フェライ ト粒子は、 (IV! n〇) X (IV! 9〇) ソ ( 6 2 3 ) (但し、 1 5£父£50、 2 £ V £ 35 % 45 £ å £ 60 % 父 +ソ + å = 1 00 ( 〇 1 %) ) の組成式で表されるスピネル型結晶からなる 結晶相成 分を主成分とすることがさらに好ましい。 なお、 主成分とは上述の通りであ る。

[0051] IV! nを含む組成とすることにより、 低磁場側の磁化を高くすることができ 〇 2020/175336 13 卩(:171? 2020 /006911

る。 また、 IV! を含む組成とすることにより、 本焼成後の炉出の際のフェラ イ トの再酸化を防止することができる。 特に IV! nの含有量を 1 5〇1〇 I %以 上とすることで、 相対的に 6の含有量が増加するのを抑制し、 当該フェラ イ ト粒子中のマグネタイ ト成分の含有割合が大きくなるのを抑制する ことが できる。 そのため、 低磁場側の磁化の低下を抑制し、 キャリア付着の発生を 抑制することができる。 また、 電子写真印刷を行う上で良好な抵抗値に調整 することが容易になるため、 カプリの発生や階調性の悪化、 白抜け等の画像 欠陥の発生を抑制することができる。 さらに、 トナー消費量を適正に保つこ とができる。

また、 IV! nの含有量を 5 0 〇 丨%以下とすることで抵抗が高くなりすぎ 、 白抜け等の画像欠陥が発生するのを抑制でき る

[0052] 1\/1 9 を含む組成とすることにより、 高抵抗のフェライ ト粒子を得ることが できる。 また、 1\/1 9 の含有量を 2〇1〇 丨%以上とすることで、 6の含有量 に対して IV! nの含有量が適切になり、 フェライ ト粒子の磁化や抵抗を電子写 真印刷を行う上で良好な範囲内に調整するこ とが容易になる。 そのため、 力 プリの発生や階調性の悪化、 はけ筋の発生、 キャリア飛散等の画像欠陥の発 生を抑制することができる。 さらに、 IV! 9原料として水酸化マグネシウムを 用いたときに、 当該フェライ ト粒子を製造する際の焼成温度が低いと、 フェ ライ ト粒子に水酸基が残存する場合がある。 1\/1 9の含有量を 3 5〇1〇 I %以 下とすることで、 原料に起因して存在する残存水酸基の量を低 減することが できる。 そのため、 残存水酸基により当該フェライ ト粒子の帯電量や抵抗と いった電気的特性が雰囲気湿度の影響を受け て変動するのを抑制し、 当該フ ェライ ト粒子の電気的特性の環境依存性をより良好 にすることができる。

[0053] 当該フェライ ト粒子は酸化第二鉄を主成分とする磁性酸化 物である。 従っ て、 X < åを満たすことが前提となる。 ㊀の含有量を 4 5 〇 丨%以上 6 〇 〇 1 %以下とすることで、 フェライ ト粒子の磁化や抵抗を電子写真印刷 を行う上で良好な範囲内に調整することが容 易になる。

[0054] 1 - 3 . 磁気特性 〇 2020/175336 14 卩(:171? 2020 /006911

当該フェライ ト粒子を電子写真現像剤用キャリアの芯材と して用いる場合

和磁化が 55㊀ 01リ / 9以上 65㊀ 01リ / 9以下であることが好ましい。 飽 和磁化が 5560! 1_|/ 9 以上になると、 芯材の磁力が高く、 低磁化に起因す るキャリア飛散を良好に抑制することができ る。 また、 飽和磁化と電気抵抗 はトレードオフの関係にあるが、 フェライ ト粒子の飽和磁化が当該範囲内で あると、 両者のバランスが良好になり高画質の電子写 真印刷を良好に行うこ とのできる電子写真現像剤を得ることができ る。 また、 磁化が高くとも抵抗 が低いと、 低抵抗に起因するキャリア飛散が生じること がある。 飽和磁化を 656 リ/9以下とすることで、 低抵抗に起因するキャリア飛散も良好に 抑制することができる。

飽和磁化は、 振動試料型磁気測定装置 (型式: 31\/1_〇 7 _ 1 0 (東 英工業社製) ) を用いて測定した。 具体的な測定手順は後述の実施例に記載 される手順にて測定した。

[0055] 1 -4. 電気的特性

( 1) 抵抗の環境変動比 (丨 〇 9 !_/ I 〇 91 ~ 1)

電極間距離 2 及び印加電圧 500 Vで測定したときの、 低温低湿環境 (1 〇°〇相対湿度 20%) 下での抵抗値!-の対数値 ( I 〇 9 0) と高温高湿 環境 (30°〇相対湿度 80%) 下での抵抗値 1 ~ 1の対数値 ( I 〇 9 0) との比 」 ともいう) が 1. 0以上·! . 1 5以下であることが好ましく、 1. 0以上 1 . 1 0以下であることがより好ましい。 抵抗の環境変動比 (丨 〇 9 !_ /丨 〇 91 ~ 1) が当該範囲内であると、 雰囲気湿度が変化したときの抵抗の変動が少 なく、 高温高湿環境下においてもキャリア飛散の発 生を抑制することでき、 高画質の電子写真印刷を高温高湿下において も良好に行うことができる。 フェライ ト粒子について、 低温低湿環境 (1 〇 ° 〇相対湿度 20%) 下での 抵抗値 !_ (0) 、 高温高湿環境 (30°◦相対湿度 80%) 下での抵抗値!· I ( 〇) 、 及び、 抵抗の環境変動比 (丨 〇 9 !_ / I 〇 9 !!) は、 後述の実施例に 〇 2020/175336 15 卩(:171? 2020 /006911

記載される方法にて測定した。

[0056] (2) 抵抗値 1 ~ 1

上記抵抗値 1 ~ 1は 1. 0X 1 0 7 (0) 以上·! . 0 X 1 〇 9 (0) 以下である ことが好ましい。 高温高湿下における当該フェライ ト粒子の抵抗値が当該範 囲内であると、 高温高湿環境下においてもキャリア飛散の発 生を抑制するこ とができる。

好ましい一態様として、 フェライ ト粒子の抵抗値 !!は 1. 0X 1 0 7 (〇) 以上·! . 0X 1 0 9 (0) 以下であり、 且つ、 1 < 1 000/477: 八/〇1 の磁場をかけたときの V 3 IV!測定による飽和磁化が 556〇1リ/9以上 65 e ^ 〇 / g以下であることが好ましい

[0057] 1 -5. 物性

(1) 体積平均粒径 (0 50

当該フェライ ト粒子を電子写真現像剤用キャリアの芯材と して用いる場合 、 その体積平均粒径 (口 50 ) は 24 以上 40 以下であることが好ま しい。 但し、 ここでいう体積平均粒径は、 レーザ回折 ·散乱法により」 丨 3 8825 : 201 3に準拠して測定した値をいう。

体積平均粒径 (0 50 ) は、 日機装株式会社製マイクロトラック粒度分析 計 (1\/1〇 6 丨 9320— X 1 00) を用いて、 後述の実施例に記載される方 法にて測定した。

体積平均粒径が当該範囲内であると、 トナーに対する帯電付与性が高く、 長期間に亙って当該帯電付与性を維持するこ とができる。 そのため、 電子写 真現像剤の長寿命化を図ることができる。

[0058] これに対して、 当該フェライ ト粒子の体積平均粒径 (口 50 ) が 24 未 満であると、 粒径が小さいため、 キャリア飛散が生じやすくなる。 また、 当 該フェライ ト粒子の体積平均粒径 (口 50 ) が 24 未満であると、 粒径が 小さいため、 当該フェライ ト粒子が凝集しやすくなる。 当該フェライ ト粒子 を芯材とし、 その表面に樹脂を被覆してキャリアとする際 に、 当該フェライ 卜粒子が凝集していると、 個々のフェライ ト粒子の表面を良好に樹脂で被覆 〇 2020/175336 16 卩(:171? 2020 /006911

することができなくなる。 その後、 現像剤の製造時或いは使用時に、 フェラ イ ト粒子の凝集がほぐれると、 当該現像剤は樹脂が被覆されていない領域の 大きいキャリアの含有率が高くなる。 そのため、 このようなフェライ ト粒子 を芯材とするキャリアを用いて現像剤を製造 すると、 トナーに対する十分な 帯電付与性を得られない場合があるため好ま しくない。

[0059] 一方、 当該フェライ ト粒子の体積平均粒径 (口 5 0 ) が 4 0 を超えると 、 当該粉体を構成する _ _ つの粒子の粒径が大きくなる。 そのため、 体積 平均粒径 (口 5 0 ) が小さいフェライ ト粒子と比較すると、 粉体全体としてみ たときにトナーとの摩擦帯電に寄与するキャ リアの表面積が小さくなる。 そ のため、 トナーに対する十分な帯電付与性が得られな くなる場合がある。 こ れを改善するために、 個々のフェライ ト粒子の表面に凹凸を付与して、 個々 のフェライ ト粒子の表面積を増加させると、 トナーとの摩擦帯電に寄与する キャリアの表面積を増加させることができる 。 この場合、 トナーに対する帯 電付与性は向上するが、 トナーとの混合時等にキャリア表面の凸部に 機械的 ストレスが加わるなどして、 キャリアの割れ ·欠けが生じやすくなるため好 ましくない。 すなわち、 現像剤使用時におけるキャリアの強度を維持 するこ とができない場合があり、 好ましくない。

[0060] (6) 巳巳丁比表面積

当該フェライ ト粒子の巳巳丁比表面積は〇. 0 5 0以上〇. 6 0 0以下で あることが好ましい。 巳巳丁比表面積が〇. 0 5 0未満である場合は、 粒径 に対するフェライ ト粒子表面の凹凸が少なく、 或いは、 小さくなるため、 当 該フェライ ト粒子を芯材としてその表面を樹脂で被覆し た際に、 樹脂層が卜 ナーとの混合時等に剥離し易くなる。 キャリアの表面から樹脂が剥離すると 、 その部分は芯材が露出する。 すなわち、 フェライ ト粒子の表面が露出する ため、 キャリア飛散や帯電性低下による画像欠陥が 生じ易くなる。 また、 巳 巳丁比表面積が〇. 6 0 0を超えると、 粒径に対するフェライ ト粒子表面の 凹凸が多く、 或いは、 大きくなるため、 フェライ ト粒子の凸部を樹脂で被覆 することが困難になり、 凸部が露出する場合がある。 そのため、 トナーに対 〇 2020/175336 17 卩(:171? 2020 /006911

する十分な帯電付与性を有するキャリアを 得ることができない場合がある。 また、 表面の凹凸が大きくなると、 トナーとの混合時等にキャリア表面の凸 部に機械的ストレスが加わるなどして、 キャリアの割れ ·欠けが生じやすく なるため好ましくない。 すなわち、 現像剤使用時におけるキャリアの強度を 維持することができない場合があり、 好ましくない。

フェライ ト粒子の巳巳丁比表面積は、 比表面積測定装置 「匕 〇1〇 6 丨 一 1 2 0 8、 株式会社マウンテック) を用いて、 後述の 実施例に記載される方法にて測定した。

[0061 ] 2 . 電子写真現像剤用キャリア

次に、 本件発明に係る電子写真現像剤用キャリアに ついて説明する。 本発 明に係る電子写真現像剤用キャリアは、 上記フェライ ト粒子と、 当該フェラ イ ト粒子の表面に設けられた樹脂被覆層とを備 える。 すなわち、 上記フェラ イ ト粒子は、 電子写真現像剤用キャリアの芯材として用い られる。

電子写真現像剤用キャリア芯材は、 上記フェライ ト粒子を含む。 フェライ 卜粒子については上述したとおりであるため 、 ここでは主として樹脂被覆層 について説明する。

[0062] ( 1) 被覆樹脂の種類

樹脂被覆層を構成する樹脂 (被覆樹脂) の種類は、 特に限定されるもので はない。 例えば、 フッ素樹脂、 アクリル樹脂、 エポキシ樹脂、 ポリアミ ド樹 月旨、 ポリアミ ドイミ ド樹脂、 ポリエステル樹脂、 不飽和ポリエステル樹脂、 尿素樹脂、 メラミン樹脂、 アルキッ ド樹脂、 フェノール樹脂、 フッ素アクリ ル樹脂、 アクリルースチレン樹脂、 シリコーン樹脂等を用いることができる 。 また、 シリコーン樹脂等をアクリル樹脂、 ポリエステル樹脂、 エポキシ樹 月旨、 ポリアミ ド樹脂、 ポリアミ ドイミ ド樹脂、 アルキッ ド樹脂、 ウレタン樹 月旨、 フッ素樹脂等の各樹脂で変性した変成シリコ ーン樹脂等を用いてもよい 。 例えば、 トナーとの撹拌混合時に受ける機械的ストレ スによる樹脂剥離を 抑制するという観点からは、 被覆樹脂は熱硬化性樹脂であることが好まし い 。 当該被覆樹脂に好適な熱硬化性樹脂として、 エポキシ樹脂、 フェノール樹 〇 2020/175336 18 卩(:171? 2020 /006911

月旨、 シリコーン樹脂、 不飽和ポリエステル樹脂、 尿素樹脂、 メラミン樹脂、 アルキッ ド樹脂及びそれらを含有する樹脂等が挙げら れる。 但し、 上述のと おり、 被覆樹脂の種類は特に限定されるものではな く、 組み合わせるトナー の種類や使用環境等に応じて、 適宜適切なものを選択することができる。

[0063] また、 1種類の樹脂を用いて樹脂被覆層を構成して よいし、 2種類以上 の樹脂を用いて樹脂被覆層を構成してもよい 。 2種類以上の樹脂を用いる場 合は、 2種類以上の樹脂を混合して 1層の樹脂被覆層を形成してもよいし、 複数層の樹脂被覆層を形成してもよい。 例えば、 フェライ ト粒子の表面に、 フェライ ト粒子と密着性の良好な第一の樹脂被覆層を 設け、 当該第一の樹脂 被覆層の表面に、 当該キヤリアに所望の帯電付与性能を付与す るための第二 の樹脂被覆層を設けることなども好ましい。

[0064] ( 3 ) 樹脂被覆量

フェライ ト粒子の表面を被覆する樹脂量 (樹脂被膜量) は、 芯材として用 いるフェライ ト粒子に対して〇. 1質量%以上 1 0質量%以下であることが 好ましい。 当該樹脂被覆量が〇. 1質量%未満であると、 フェライ ト粒子の 表面を樹脂で十分被覆することが困難になり 、 所望の帯電付与能力を得るこ とが困難になる。 また、 当該樹脂被覆量が 1 0質量%を超えると、 製造時に キヤリア粒子同士の凝集が発生してしまい、 歩留まり低下等の生産性の低下 と共に、 実機内での現像剤の流動性或いは、 トナーに対する帯電付与性等の 現像剤特性が変動するため好ましくない。

[0065] ( 4 ) 添加剤

樹脂被覆層には、 導電剤や帯電制御剤等のキヤリアの電気抵抗 や帯電量、 帯電速度をコントロールすることを目的とし た添加剤が含まれていてもよい 。 導電剤としては、 例えば、 導電性力ーボン、 酸化チタンや酸化スズ等の酸 化物、 又は、 各種の有機系導電剤を挙げることができる。 但し、 導電剤の電 気抵抗は低いため、 導電剤の添加量が多くなりすぎると、 電荷リークを引き 起こしやすくなる。 そのため、 導電剤の含有量は、 被覆樹脂の固形分に対し て 0 . 2 5質量%以上 2 0 . 0質量%以下であることが好ましく、 〇. 5質 〇 2020/175336 19 卩(:171? 2020 /006911

量%以上 1 5 . 0質量%以下であることがより好ましく、 1 . 0質量%以上 1 0 . 0質量%以下であることがさらに好ましい。

[0066] 帯電制御剤としては、 トナー用に一般的に用いられる各種の帯電制 御剤や 、 シランカップリング剤が挙げられる。 これらの帯電制御剤やカップリング 剤の種類は特に限定されないが、 ニグロシン系染料、 4級アンモニウム塩、 有機金属錯体、 含金属モノアゾ染料等の帯電制御剤や、 アミノシランカップ リング剤やフッ素系シランカップリング剤等 を好ましく用いることができる 。 帯電制御剤の含有量は、 被覆樹脂の固形分に対して好ましくは〇. 2 5質 量%以上 2 0 . 0質量%以下であることが好ましく、 0 . 5質量%以上 1 5 . 0質量%以下であることがより好ましく、 1 . 0質量%以上 1 0 . 0質量 %以下であることがさらに好ましい。

[0067] 3 . 電子写真現像剤

次に、 本件発明に係る電子写真現像剤の実施の形態 について説明する。 当 該電子写真現像剤は、 上記電子写真現像剤用キャリアとトナーとを 含む。

[0068] 当該電子写真現像剤を構成するトナーとして 、 例えば、 重合法により製造 される重合トナー及び粉砕法によって製造さ れる粉砕トナーのいずれも好ま しく用いることができる。 これらのトナーは各種の添加剤を含んでいて もよ く、 上記キャリアと組み合わせて電子写真現像剤 として使用することができ る限り、 どのようなものであってもよい。

[0069] トナーの体積平均粒径 (口 5 0 ) は 2 以上 1 5 以下であることが好 ましく、 3 以上 1 〇 以下であることがより好ましい。 トナーの体積 平均粒径 (口 5 0 ) が当該範囲内であると、 高画質な電子写真印刷を行うこと ができる電子写真現像剤を得ることができる 。

[0070] キャリアとトナーとの混合比、 すなわちトナー濃度は、 3質量%以上 1 5 質量%以下であることが好ましい。 トナーを当該濃度で含む電子写真現像剤 は、 所望の画像濃度が得られやすく、 カプリやトナー飛散をより良好に抑制 することができる。

[0071 ] 一方、 当該電子写真現像剤を補給用現像剤として用 いることができる。 こ 〇 2020/175336 20 卩(:171? 2020 /006911

の場合には、 キャリア 1質量部に対してトナ _ 2質量部以上 5 0質量部以下 であることが好ましい。

[0072] 当該電子写真現像剤は、 磁気ドラム等にキャリアを磁力により吸引付 着さ せてブラシ状にしてトナーを搬送し、 バイアス電界を付与しながら、 感光体 上等に形成された静電潜像にトナーを付着さ せて可視像を形成する磁気ブラ シ現像法を適用した各種電子写真現像装置に 好適に用いることができる。 当 該電子写真現像剤は、 バイアス電界を付与する際に、 直流バイアス電界を用 いる電子写真現像装置だけでなく、 直流バイアス電界に交流バイアス電界を 重畳した交番/ イアス電界を用いる電子写真現像装置にも用 いることができ る。

[0073] 4 . 製造方法

以下では、 本件発明に係るフヱライ ト粉、 電子写真現像剤用キャリア芯材 、 電子写真現像剤用キャリア及び電子写真現像 剤の製造方法について説明す る。

[0074] 4 - 1 . フェライ ト粉及び電子写真現像剤用キャリア芯材

本件発明に係るフヱライ ト粉及び電子写真現像剤用キャリア芯材は、 次の ようにして製造することができる。

[0075] まず、 所望のフェライ ト組成となるように原料を適量秤量した後、 ボール ミル又は振動ミル等で 0 . 5時間以上、 好ましくは 1時間以上 2 0時間以下 粉砕混合し、 仮焼成する。

[0076] 例えば、 (1\/^〇) X ソ ( 6 2 3 ) å (但し、 1 5 £父£ 5

0、 2 £ V £ 3 5 % 4 5 £ å £ 6 0 % 父 +ソ + å = 1 0 0 (〇1〇 1 %) ) の 組成式で表されるスピネル型結晶からなる結 晶相成分を主成分とするフェラ イ ト粒子を製造するには、 X、 V、 åが所望の値となるように、 それぞれの 原料を秤量し、 粉砕混合する。 原料としては、 例えば、 6 2 3 と、 1\/1 9 ( 〇1 ~ 1) 2 及び/又は IV! 〇〇 3 と、 1\/^〇 2 、 1\/^ 2 3 、 1\/^ 3 4 及び1\/1门〇 〇 3 からなる群から選ばれる 1種類以上のマンガン化合物を用いることが ま しい。 〇 2020/175336 21 卩(:171? 2020 /006911

[0077] 本件発明に係るフェライ ト粒子は、 「〇 3 の組成式 (但し、 はアルカ リ土類金属元素) で表されるベロブスカイ ト型結晶からなる結晶相成分を含 む。 そのため、 アルカリ土類金属元素 ([¾) については、 アルカリ土類金属 元素 ( の酸化物を原料とし、 所望の添加量となるように秤量し、 他の原 料と粉砕混合する。 「については、 「〇 2 を原料とすることができる。

[0078] ここで、 当該べロブスカイ ト型結晶からなる結晶相成分を〇. 0 5質量% 以上 2 . 5 0質量%以下 (但し、 X線回折パターンのリートベルト解析によ り当該フェライ ト粒子を構成する結晶相の相組成分析を行っ たときに得られ る質量分率とする) 含むフェライ ト粒子を製造する際には、 モル比で主成分 原料: 1 0 0に対して、 å r 0 2 : 0 . 1以上 3 . 0以下配合することが好ま しく、 å r 0 2 : 0 . 2以上·! . 5以下配合することがより好ましい。 また、 モル比で主成分原料: 1 〇〇に対してアルカリ土類金属元素 ([¾) の酸化物 : 〇. 1以上 3 . 0以下配合することが好ましく、 å r 0 2 : 0 . 2以上·! .

5以下配合することがより好ましい。 当該べロブスカイ ト型結晶からなる結 晶相成分はアルカリ土類金属元素 (8) の酸化物と、 との固相反応に より生じる。 そのため、 アルカリ土類金属元素 ([¾) の酸化物及び の 添加量及び添加比率を上記好ましい配合量の 範囲内において適宜変化させる ことにより、 当該べロブスカイ ト型結晶からなる結晶相成分の生成量を調整 することができる。

[0079] 本件発明に係るフェライ ト粒子を製造する際に、 所望の添加量となるよう に 「〇 2 を秤量し、 他の原料と粉砕混合してもよいが、 「〇 2 以外の原料 を粉砕、 混合し、 大気下で仮焼成した後に、 「〇 2 を加え、 さらに粉砕混合 することも好ましい。 ここでは、 「〇 2 以外の原料を粉砕混合した粉砕物を 加圧成形機等を用いてペレッ ト化した後、 大気下で 7 0 0 ° 〇以上 1 2 0 0 ° 0 以下の温度で仮焼成した後に、 「〇 2 を加えるものとして以下説明する。

[0080] 他の原料を粉砕混合し、 仮焼成した後、 得られた仮焼物に所定量の r 0 2 を加え、 さらにボールミル又は振動ミル等で粉砕した 後、 水を加えてビーズ ミル等を用いて微粉砕し、 スラリーを得る。 メディアとして使用するビーズ 〇 2020/175336 22 卩(:171? 2020 /006911

の径、 組成、 粉砕時間を調整することによって、 粉砕度合いをコントロール することができる。 原料を均一に分散させる上で、 以下の粒径を持つ 微粒なビーズをメディアとして使用すること が好ましい。 また、 原料を均一 に分散させる上で、 粉砕物の体積平均粒径 (口 5 0 ) が 2 . 5 以下になる ように粉砕することが好ましく、 2 . 〇 以下になるように粉砕すること がより好ましい。 加えて、 二酸化ジルコニウムを内部に均一に分散する ため に、 原料の粉砕混合時に二酸化ジルコニウムを加 えることが望ましい。 また 、 異常粒成長を抑制するため、 粒度分布の粗目側の粒径 (〇 9 0 ) は 3 . 5 以下になるように粉砕することが好ましい。 このようにして得られたスラ リーに、 必要に応じて分散剤、 バインダー等を添加し、 2ボイズ以上 4ボイ ズ以下に粘度調整することが好ましい。 この際、 バインダーとしてポリビニ ルアルコールやポリビニルピロリ ドンを用いることができる。

[0081 ] 上記のように調整されたスラリーを、 スプレードライヤーを用いてスラリ —を噴霧し、 乾燥させることで造粒物を得る。 この際、 造粒条件としては、 吐出量を 2 0 1 ~ 1 å以上 5 0 1 ~ 1 å以下、 アトマイザーディスク回転数を 1 1 0 0 0 「 以上 2 0 0 0 0 「 以下、 乾燥温度を 1 0 0 °〇以上 5 0 0 °〇以 下の範囲とすることが好ましい。

[0082] 次に、 上記造粒物を焼成する前に分級し、 当該造粒物に含まれる微細粒子 を除去することが粒度の揃ったフェライ ト粉を得る上で好ましい。 造粒物の 分級は、 既知の気流分級や篩等を用いて行うことがで きる。

[0083] 次に、 分級された造粒物を焼成する。 造粒物は必要に応じて一次焼成した 後に、 本焼成を行うことが好ましい。 _次焼成を行う場合、 その焼成温度は 6 0 0 °〇以上 9 0 0 °〇以下にすることが好ましい。

[0084] また、 本焼成は、 不活性雰囲気又は弱酸化性雰囲気下で、 8 5 0 ° 〇以上の 温度で 4時間以上 2 4時間以下保持することにより、 行うことが好ましい。 但し、 本焼成温度は、 本件発明に係るフェライ ト粒子が得られる限り、 特に 限定されるものではない。 ここで、 不活性雰囲気又は弱酸化性雰囲気下とは 、 窒素と酸素の混合ガス雰囲気下において酸素 濃度が〇. 1体積% (1 0 0 〇 2020/175336 23 卩(:171? 2020 /006911

〇 〇〇 以上 5体積% (50000 〇1) 以下であることをいい、 雰囲 気酸素濃度が〇 1体積% (1 000 ) 以上 3. 5体積% (3500 0 〇〇 以下であることがより好ましく、 〇. 1体積%

) 以上 2. 5体積% (25000 〇〇 以下であることがさらに好ましい

[0085] 例えば、 (1\/^〇) X (1\/1 9 〇) ソ ( 6 2 3 ) å (但し、 1 5£父£5

0、 2 £ V £ 35 % 45 £ å £ 60 父 +ソ + å = 1 00 (〇1〇 1 %) ) の 組成式で表されるスピネル型結晶からなる結 晶相成分を主成分とするフェラ イ ト粒子を製造するには、 スピネル型結晶からなるフェライ ト成分を十分に 生成させつつ、 粒界にジルコニウム成分を分散させるために スピネル型結晶 からなるフェライ ト成分の生成に適した温度 (850 ° 〇以上1 1 50 ° 〇以下 ) で 3時間以上保持し、 その後、 例えば、 ジルコン酸ストロンチウムなどの ト型結晶からなる結晶相成分を生 成させるために適した温度で 1時間以上保持することにより本焼成を行う とがより好ましい。

[0086] 例えば、 ジルコン酸ストロンチウム (3 「 「〇 3 ) の場合、 ぺロブスカイ 卜型結晶からなる結晶相成分を十分に生成さ せるためには、 1 1 50 ° 〇以上 1 500°〇以下、 好ましくは 1 1 50°〇以上 1 350°〇以下の温度で 1時間 以上保持することが好ましい。 ジルコン酸カルシウム (〇 3 「〇 3 ) やジル コン酸バリウム (巳 3 「〇 3 ) の場合、 原料を微粉砕すると共に反応促進剤 を添加した上で所定の温度下で焼成すること が好ましい。 ジルコン酸カルシ ウム (〇 3 「〇 3 ) やジルコン酸バリウム (巳 3 「〇 3 ) のぺロブスカイ 卜型結晶からなる結晶相成分を生成させるに は、 反応促進剤を添加しない場 合には、 2000°〇以上の高温で焼成する必要がある。 一方、 原料を数十ナ ノメートル程度の一次粒径まで微粉砕し、 反応促進剤としてアルミニウム化 合物 (例えば、 アルミナ (八 丨 2 3 ) 等) 等を添加することで、 1 500 ° 〇 以下の温度でもこれらのぺロブスカイ ト型結晶からなる結晶相成分を生成さ せることができる。 このように目的とする組成に応じて、 ぺロブスカイ ト型 〇 2020/175336 24 卩(:171? 2020 /006911

結晶からなる結晶相成分を生成する上で適 した温度で保持すると共に、 必要 に応じてその他の条件を調整することで本件 発明に係るフェライ ト粒子を得 ることができる。

[0087] なお、 本焼成を行う際は、 口ータリーキルンのように、 造粒物 (被焼成物 ) を流動させながら熱間部を通過させるような 形式の焼成炉よりも、 トンネ ルキルン或いはエレべータキルン等のように 造粒物をコウ鉢等に入れて静置 した状態で熱間を通過させるような形式の焼 成炉で行うことが好ましい。 口 —タリーキルン等のように造粒物を流動させ ながら熱間部を通過させる形式 の焼成炉では、 焼成雰囲気の酸素濃度が低いと、 造粒物が熱間部を通過する 際に炉の内面に付着し、 その内側を流動しながら通過する造粒物に十 分に熱 を加えることができない場合がある。 その場合、 造粒物を十分に焼結するこ とができないまま、 造粒物が熱間部を通過するため、 得られた焼成物は表面 の焼結は十分に行われていても、 内部の焼結が不十分であることが多い。 そ のような焼成物は電子写真現像剤用キャリァ 芯材として要求される強度を満 たさない他、 内部におけるフェライ ト反応が不十分であるため、 電子写真現 像剤用キャリァ芯材として要求される磁気特 性及び電気特性を満たさない場 合がある。 さらに、 焼成物の内部の焼結が不十分である場合、 焼成工程にお いて 〇 3 の組成式で表されるぺロブスカイ ト型結晶からなる結晶相成分 を十分に生成させることができない。 そのため、 本件発明に係るフェライ ト 粒子を得ることが困難になる。

一方、 造粒物をコウ鉢等に入れて静置した状態で熱 間部を通過させる形式 の焼成炉で造粒物を焼成すれば、 被焼成物の内部を十分に焼結させることが できるため、 高磁化及び高抵抗であり、 且つ、 「〇 3 の組成式で表される ベロブスカイ ト型結晶からなる結晶相成分が十分に生成さ れたフェライ ト粒 子を得ることが容易になる。 これらの理由から、 本焼成工程を行う際には、 トンネルキルン、 エレべータキルン等を用いることが好ましい 。

[0088] その後、 焼成物を解砕、 分級を行ってフェライ ト粒子を得る。 分級方法と しては、 既存の風力分級、 メッシュ濾過法、 沈降法等を用いて所望の粒子径 〇 2020/175336 25 卩(:171? 2020 /006911

に粒度調整する。 乾式回収を行う場合は、 サイクロン等で回収することも可 能である。 粒度調整を行う際は前述の分級方法を 2種類以上選んで実施して もよく、 1種類の分級方法で条件を変更して粗粉側粒 と微粉側粒子を除去 してもよい。

[0089] その後、 必要に応じて、 フェライ ト粒子の表面を低温加熱することで表面 酸化処理を施し、 フェライ ト粒子の表面抵抗を調整することができる。 表面 酸化処理は、 口ータリー式電気炉、 バッチ式電気炉等を用い、 大気等の酸素 含有雰囲気下で、 4 0 0 ° 〇以上 7 3 0 ° 〇以下、 好ましくは 4 5 0 ° 〇以上 6 5 〇 ° 〇以下でフェライ ト粒子に熱処理を施すことにより行うことが できる。 表 面酸化処理時の加熱温度が 4 0 0 °〇よりも低い場合は、 フェライ ト粒子表面 を十分に酸化することができず、 所望の表面抵抗特性が得られない場合があ る。 一方、 加熱温度が 7 3 0 ° 〇よりも高い場合、 マンガン含有フェライ トで は、 マンガンの酸化が進みすぎ、 フェライ ト粒子の磁化が低下するため好ま しくない。 フェライ ト粒子の表面に均一に酸化被膜を形成するに は、 ロータ リー式電気炉を用いることが好ましい。 但し、 当該表面酸化処理は任意のエ 程である。

[0090] 4 - 2 . 電子写真現像剤用キャリア

本件発明に係る電子写真現像剤用キャリアは 、 上記フェライ ト粒子を芯材 とし、 当該フェライ ト粒子の表面に樹脂被覆層を設けたものであ る。 樹脂被 覆層を構成する樹脂は上述したとおりである 。 フェライ ト粒子の表面に樹脂 被覆層を形成する際には、 公知の方法、 例えば刷毛塗り法、 流動床によるス プレードライ法、 口ータリ ドライ方式、 万能攪拌機による液浸乾燥法等を採 用することができる。 フェライ ト粒子の表面に対する樹脂の被覆面積の割合 (樹脂被覆率) を向上させるためには、 流動床によるスプレードライ法を採 用することが好ましい。 いずれの方法を採用する場合であっても、 フェライ 卜粒子に対して、 1回又は複数回樹脂被覆処理を行うことがで る。 樹脂被 覆層を形成する際に用いる樹脂被覆液には、 上記添加剤を含んでいてもよい 。 また、 フェライ ト粒子表面における樹脂被覆量は上述したと おりであるた 〇 2020/175336 26 卩(:171? 2020 /006911

め、 ここでは説明を省略する。

[0091 ] フェライ ト粒子の表面に樹脂被覆液を塗布した後、 必要に応じて、 外部加 熱方式又は内部加熱方式により焼き付けを行 ってもよい。 外部加熱方式では 、 固定式又は流動式の電気炉、 口ータリー式電気炉、 バーナー炉などを用い ることができる。 内部加熱方式では、 マイクロウェーブ炉を用いることがで きる。 被覆樹脂にリ 硬化樹脂を用いる場合は、 II V加熱器を用いる。 焼き 付けは、 被覆樹脂の融点又はガラス転移点以上の温度 で行うことが求められ る。 被覆樹脂として、 熱硬化性樹脂又は縮合架橋型樹脂等を用いる 場合は、 これらの樹脂の硬化が十分進む温度で焼き付 ける必要がある。

[0092] 4 - 3 . 電子写真現像剤

次に、 本発明に係る電子写真現像剤の製造方法につ いて説明する。

本発明に係る電子写真現像剤は、 上記電子写真現像剤用キャリアとトナー とを含む。 トナーは上述したとおり、 重合トナー及び粉砕トナーのいずれも 好ましく用いることができる。

[0093] 重合トナーは、 懸濁重合法、 乳化重合法、 乳化凝集法、 エステル伸長重合 法、 相転乳化法等の公知の方法で製造することが できる。 例えば、 界面活性 剤を用いて着色剤を水中に分散させた着色分 散液と、 重合性単量体、 界面活 性剤及び重合開始剤を水性媒体中で混合撹拌 し、 重合性単量体を水性媒体中 に乳化分散させて、 撹拌、 混合しながら重合させた後、 塩析剤を加えて重合 体粒子を塩析させる。 塩析によって得られた粒子を、 據過、 洗浄、 乾燥させ ることにより、 重合トナーを得ることができる。 その後、 必要により乾燥さ れたトナー粒子に外添剤を添加してもよい。

[0094] さらに、 この重合トナー粒子を製造するに際しては、 重合性単量体、 界面 活性剤、 重合開始剤、 着色剤等を含むトナー組成物を用いる。 当該トナー組 成物には、 定着性改良剤、 帯電制御剤を配合することができる。

[0095] 粉砕トナーは、 例えば、 バインダー樹脂、 着色剤、 帯電制御剤等を、 例え ばヘンシェルミキサー等の混合機で充分混合 し、 次いで二軸押出機等で溶融 混練して均一分散し、 冷却後に、 ジェッ トミル等により微粉砕化し、 分級後 〇 2020/175336 27 卩(:171? 2020 /006911

、 例えば風力分級機等により分級して所望の粒 径のトナーを得ることができ る。 必要に応じて、 ワックス、 磁性粉、 粘度調節剤、 その他の添加剤を含有 させてもよい。 さらに分級後に外添剤を添加することもでき る。

実施例

[0096] 次に、 実施例および比較例を示して本件発明を具体 的に説明する。 但し、 本件発明は以下の実施例に限定されるもので はない。

[0097] [実施例 1 ]

( 1) フェライ ト粒子

実施例 1では、 (IV! 〇) X (1\/1 9 〇) ソ ( 6 2 3 ) åの組成式で表さ れるスピネル型結晶からなる結晶相成分を主 成分とし、 3 「 「〇 3 の組成式 で表されるぺロブスカイ ト型結晶からなる結晶相成分を含むフ ェライ ト粒子を次のようにして製造した。 まず、 主成分原料として、 モル比 で1\/1门〇換算 = 38. 3、 IV! 9〇換算 = 1 0. 4、 6 2 3 : 5 1. 3とな るように、 Mn〇原料、 した。 また、 モル比で主成分原料: 1 00に対して 3 「〇 : 0. 8になるように 3 「〇原料を秤量した。 ここで、 IV! n〇原料としては四酸化三マンガン、 IV! 9 〇原料としては酸化マグネシウム、 6 2 3 原料として酸化第二鉄、 原料としては炭酸ストロンチウムをそれぞれ 用いた。

なお、 本明細書において、 「モル比で主成分原料: 1 〇〇に対して」 にお ける主成分原料は、 「主成分原料の合計」 を意味する。

[0098] 次いで、 秤量した原料を乾式のメディアミル (振動ミル、 1 /8インチ径 のステンレスビーズ) で 5時間粉砕し、 得られた粉砕物を口ーラーコンパク 夕一により約 1 〇!〇!角のペレッ トにした。 得られたペレッ トを目開き の振動篩にり粗粉を除去し、 次いで、 目開き〇. 5 の振動篩により微粉 を除去した後、 連続式電気炉で 800 ° ◦で 3時間加熱し、 仮焼成を行った。 次いで、 乾式のメディアミル (振動ミル、 1 /8インチ径のステンレスビー ズ) を用いて、 平均粒径が約 5 になるまで粉砕した。 このとき粉砕時間 は 6時間とした。 〇 2020/175336 28 卩(:171? 2020 /006911

[0099] 得られた粉砕物に、 水と、 「〇 2 原料としての二酸化ジルコニウムを加え 、 湿式のメディアミル (横型ビーズミル、 1 径のジルコニアビーズ) を 用いて 6時間粉砕した。 このとき、 モル比で上記主成分原料: 1 0 0に対し て 「〇 2 : 1 . 0になるように、 粉砕物に二酸化ジルコニウムを加えた。 得 られたスラリーの粒径 (粉砕の一次粒子径) をレーザー回折式粒度分布測定 装置 (!_ _ 9 5 0、 株式会社堀場製作所) で測定したところ、 口 5 0 は約 2 〇1、 口 9 〇は 3 . 2 〇!であつた。

[0100] さらに、 上記のようにして調製したスラリーに分散剤 を適量添加し、 バイ ンダーとして 八(ポリビニルアルコール)を固形分 (スラリー中の仮焼成 物量) に対して〇. 4質量%添加し、 次いでスプレードライヤーにより造粒 、 乾燥した。 得られた造粒物の粒度調整を行い、 その後、 口ータリー式電気 炉を用い、 大気雰囲気下で 8 0〇 、 2時間加熱し、 分散剤やバインダーと いった有機成分の除去を行った。

[0101 ] その後、 トンネル式電気炉により、 焼成温度 (保持温度) 1 2 5 0 ° 〇、 酸 素濃度〇体積%雰囲気下で 3時間保持することにより造粒物の本焼成を っ た。 このとき、 昇温速度を 1 0 0 ° 〇/時、 冷却速度を 1 1 0 ° 〇/時とした。 得られた焼成物をハンマークラッシャーによ り解砕し、 さらにジャイロシフ 夕一 (振動篩機) 及びターボクラシファイア (気流分級機) により分級して 粒度調整を行い、 磁力選鉱により低磁力品を分別し、 フェライ ト粒子を得た

[0102] 得られたフェライ ト粒子を、 熱間部と、 当該熱間部に後続する冷却部とを 備えるロータリー式の電気炉により表面酸化 処理を行い、 続いて冷却するこ とにより、 表面酸化処理が施されたフェライ ト粒子を得た。 表面酸化処理で は、 熱間部では大気雰囲気下、 5 4 0 ° 〇でフェライ ト粒子の表面に酸化被膜 を形成した。 実施例 1のフェライ ト粒子の主たる製造条件を表 1 に示す。

[0103] (2) 電子写真現像剤用キャリア

上記フェライ ト粒子を芯材とし、 当該フェライ ト粒子に対して、 以下のよ うにアクリル樹脂を被覆して、 実施例 1のキャリアを得た。 〇 2020/175336 29 卩(:171? 2020 /006911

[0104] まず、 アクリル樹脂 (ダイヤナール !_ 6 9、 三菱レイヨン株式会社 製) とトルエンとを混合したアクリル樹脂溶液 (樹脂固形分 1 0質量%) を 調製した。 この樹脂溶液と上記実施例 1のフェライ ト粒子とを万能撹拌機に よって混合することによりフェライ ト粒子の表面を当該樹脂溶液で被覆した 。 その際、 フェライ ト粒子に対して樹脂固形分が 1 . 5質量%となる量の樹 脂溶液を用いた。 続いて、 樹脂溶液が付着したフェライ ト粒子を熱交換型撹 拌加熱装置を用い、 1 4 5 ° ◦で 3時間撹拌しながら加熱し、 樹脂溶液に含ま れる揮発成分を揮発させてフェライ ト粒子を乾燥させた。 これにより、 フェ ライ ト粒子の表面に樹脂被覆層を備える実施例 1の電子写真現像剤用キヤリ アを得た。

[0105] (3) 電子写真現像剤

上記電子写真現像剤用キヤリアとトナーとを 夕ーブラミキサーを用いて 3 〇分間撹拌して混合し、 1 の現像剤 (トナー濃度 7 . 5重量%) を得た 。 ここで、 トナーはフルカラープリンターに使用されて いる市販の負極性卜 ナー (シアントナー、 富士ゼロックス株式会社製口〇〇リ? 「 丨 1^ 1:〇3 5 3 0用;平均粒径約 5 . 8 ^ ^) を用いた。

[0106] [実施例 2 ]

本実施例では、 モル比で上記主成分原料: 1 0 0に対して 3 「〇 : 3 . 0 0になるように 3 「〇原料を秤量した点と、 本焼成時の焼成温度 (保持温度 ) を 1 2 8 0 °〇にした点を除いて実施例 1 と同様にして、 実施例 2のフェラ イ ト粒子を製造した。 実施例 2の主たる製造条件を表 1 に示す。 また、 当該 フェライ ト粒子を芯材として用いたこと以外は、 実施例 1 と同様にして電子 写真現像剤用キヤリアを製造し、 当該電子写真現像剤用キヤリアを用いて電 子写真現像剤を製造した。

[0107] [実施例 3 ]

本実施例では、 モル比で上記主成分原料: 1 0 0に対して 3 「〇 : 〇. 1 0になるように 3 「〇原料を秤量した点と、 本焼成時の焼成温度 (保持温度 ) を 1 2 1 5 °〇にした点とを除いて実施例 1 と同様にして、 実施例 3のフェ 〇 2020/175336 30 卩(:171? 2020 /006911

ライ ト粒子を製造した。 実施例 3の主たる製造条件を表 1 に示す。 また、 当 該フェライ ト粒子を芯材として用いたこと以外は、 実施例 1 と同様にして電 子写真現像剤用キャリアを製造し、 当該電子写真現像剤用キャリアを用いて 電子写真現像剤を製造した。

[0108] [実施例 4 ]

本実施例では、 モル比で上記主成分原料: 1 0 0に対して 3 「〇 : 3 . 0 0になるように 3 1^ 0原料を秤量した点と、 モル比で上記主成分原料: 1 0 0に対して 「〇 2 : 〇. 1 0になるように 「〇 2 原料を秤量した点と、 本 焼成時の焼成温度 (保持温度) を 1 2 3 0 ° 〇にした点とを除いて実施例 1 と 同様にして、 実施例 4のフヱライ ト粒子を製造した。 実施例 4の主たる製造 条件を表 1 に示す。 また、 当該フェライ ト粒子を芯材として用いたこと以外 は、 実施例 1 と同様にして電子写真現像剤用キャリアを製 造し、 当該電子写 真現像剤用キャリアを用いて電子写真現像剤 を製造した。

[0109] [実施例 5 ]

本実施例では、 モル比で上記主成分原料: 1 0 0に対して 3 「〇 : 〇. 1 0になるように 3 1^ 0原料を秤量した点と、 モル比で上記主成分原料: 1 0 0に対して 「〇 2 : 3 . 0 0になるように 「〇 2 原料を秤量した点と、 本 焼成時の焼成温度 (保持温度) を 1 2 7 0 ° 〇にした点とを除いて実施例 1 と 同様にして、 実施例 5のフヱライ ト粒子を製造した。 実施例 5の主たる製造 条件を表 1 に示す。 また、 当該フェライ ト粒子を芯材として用いたこと以外 は、 実施例 1 と同様にして電子写真現像剤用キャリアを製 造し、 当該電子写 真現像剤用キャリアを用いて電子写真現像剤 を製造した。

[01 10] [実施例 6 ]

本実施例では、 モル比で上記主成分原料: 1 0 0に対して 3 「〇 : 3 . 0 0になるように 3 1^ 0原料を秤量した点と、 モル比で上記主成分原料: 1 0 0に対して 「〇 2 : 3 . 0 0になるように 「〇 2 原料を秤量した点と、 本 焼成時の焼成温度 (保持温度) を 1 3 2 0 ° 〇にした点とを除いて実施例 1 と 同様にして、 実施例 6のフヱライ ト粒子を製造した。 実施例 6の主たる製造 〇 2020/175336 31 卩(:171? 2020 /006911

条件を表 1 に示す。 また、 当該フェライ ト粒子を芯材として用いたこと以外 は、 実施例 1 と同様にして電子写真現像剤用キャリアを製 造し、 当該電子写 真現像剤用キャリアを用いて電子写真現像剤 を製造した。

[01 1 1 ] [実施例 7 ]

本実施例では、 本焼成時の焼成温度 (保持温度) を 1 2 1 0 ° 〇にした点と 、 本焼成時の雰囲気酸素濃度を 1 . 3体積%にした点と、 表面酸化処理を行 わなかった点とを除いて実施例 1 と同様にして、 実施例 7のフェライ ト粒子 を製造した。 実施例 7の主たる製造条件を表 1 に示す。 また、 当該フェライ 卜粒子を芯材として用いたこと以外は、 実施例 1 と同様にして電子写真現像 剤用キャリアを製造し、 当該電子写真現像剤用キャリアを用いて電子 写真現 像剤を製造した。

[01 12] [比較例 1 ]

本比較例では、 「〇 2 を添加しなかった点と、 本焼成時の焼成温度 (保持 温度) を 1 2 8 0 ° 〇にした点とを除いて実施例 1 と同様にして、 比較例 1の フェライ ト粒子を製造した。 比較例 1の主たる製造条件を表 1 に示す。 また 、 当該フェライ ト粒子を芯材として用いたこと以外は、 実施例 1 と同様にし て電子写真現像剤用キャリアを製造し、 当該電子写真現像剤用キャリアを用 いて電子写真現像剤を製造した。

[01 13] [比較例 2 ]

本比較例では、 モル比で上記主成分原料: 1 0 0に対して 「〇 2 : 〇. 〇 5になるように 「〇 2 原料を秤量した点と、 本焼成時の焼成温度 (保持温度 ) を 1 2 0 0 °〇にした点とを除いて実施例 1 と同様にして、 比較例 2のフェ ライ ト粒子を製造した。 比較例 2の主たる製造条件を表 1 に示す。 また、 当 該フェライ ト粒子を芯材として用いたこと以外は、 実施例 1 と同様にして電 子写真現像剤用キャリアを製造し、 当該電子写真現像剤用キャリアを用いて 電子写真現像剤を製造した。

[01 14] [比較例 3 ]

本比較例では、 モル比で上記主成分原料: 1 0 0に対して 3 「〇 : 〇. 0 〇 2020/175336 32 卩(:171? 2020 /006911

5になるように 3 1^ 0原料を秤量した点と、 モル比で上記主成分原料: 1 0 0に対して 「〇 2 : 〇. 0 5になるように 「〇 2 原料を秤量した点と、 本 焼成時の焼成温度 (保持温度) を 1 2 0 0 ° 〇にした点とを除いて実施例 1 と 同様にして、 比較例 3のフェライ ト粒子を製造した。 比較例 3の主たる製造 条件を表 1 に示す。 また、 当該フェライ ト粒子を芯材として用いたこと以外 は、 実施例 1 と同様にして電子写真現像剤用キャリアを製 造し、 当該電子写 真現像剤用キャリアを用いて電子写真現像剤 を製造した。

[01 15] [比較例 4 ]

本比較例では、 3 「〇を添加しなかった点と、 本焼成時の焼成温度 (保持 温度) を 1 2 0 0 ° 〇にした点とを除いて実施例 1 と同様にして、 比較例 4の フェライ ト粒子を製造した。 比較例 4の主たる製造条件を表 1 に示す。 また 、 当該フェライ ト粒子を芯材として用いたこと以外は、 実施例 1 と同様にし て電子写真現像剤用キャリアを製造し、 当該電子写真現像剤用キャリアを用 いて電子写真現像剤を製造した。

[01 16] [比較例 5 ]

本比較例では、 3 「〇を添加しなかった点と、 モル比で上記主成分原料:

1 0 0に対して 「〇 2 : 3 . 0 0になるように 「〇 2 原料を秤量した点と を除いて実施例 1 と同様にして、 比較例 5のフェライ ト粒子を製造した。 比 較例 5の主たる製造条件を表 1 に示す。 また、 当該フェライ ト粒子を芯材と して用いたこと以外は、 実施例 1 と同様にして電子写真現像剤用キャリアを 製造し、 当該電子写真現像剤用キャリアを用いて電子 写真現像剤を製造した

[01 17] [比較例 6 ]

本比較例では、 3 「〇原料に代えて 0 3〇原料を用いた点と、 モル比で上 記主成分原料: 1 0 0に対して 0 3〇換算: 0 . 8 0になるように 0 3〇原 料を秤量した点と、 「〇 2 を添加しなかった点と、 本焼成時の焼成温度 (保 持温度) を 1 2 0 0 ° 〇にした点とを除いて実施例 1 と同様にして比較例 6の フェライ ト粒子を製造した。 なお、 〇 3〇原料として〇 3〇〇 3 を用いた。 比 \¥0 2020/175336 33 卩(:17 2020 /006911

較例 6の主たる製造条件を表 1 に示す。 また、 当該フェライ ト粒子を芯材と して用いたこと以外は、 実施例 1 と同様にして電子写真現像剤用キャリアを 製造し、 当該電子写真現像剤用キャリアを用いて電子 写真現像剤を製造した

[01 18] [比較例 7 ]

本比較例では、 「〇 2 原料に代えて丁 丨 〇 2 原料を用いた点と、 モル比で 上記主成分原料: 1 0 0に対して丁 丨 〇 2 : 0 . 8 0〇1〇 I になるように丁 1 〇 2 原料を秤量した点と、 本焼成時の焼成温度 (保持温度) を 1 2 0 0 ° 〇にし た点とを除いて実施例 1 と同様にして比較例 7のフェライ ト粒子を製造した 。 比較例 7の主たる製造条件を表 1 に示す。 また、 当該フェライ ト粒子を芯 材として用いたこと以外は、 実施例 1 と同様にして電子写真現像剤用キャリ アを製造し、 当該電子写真現像剤用キャリアを用いて電子 写真現像剤を製造 した。

[01 19] á評価 ñ

以上のようにして得た各実施例及び各比較例 のフェライ ト粒子について、

( 1) ぺロブスカイ ト型結晶相成分含有量、 ( 2) 飽和磁化、 ( 3) 巳巳丁 比表面積、 (4) 抵抗について評価した。 また、 以上のようにして得た各実 施例及び各比較例の電子写真現像剤を用いて 、 (5) キャリア飛散量を評価 した。

以下、 各評価方法/測定方法及び評価結果を述べる

[0120] 1 . 評価方法/測定方法

(1) ベロブスカイ ト型結晶相成分含有量 (質量%)

各実施例及び各比較例で製造したフェライ ト粒子を試料とし、 粉末 X線回 折バターンをリートベルト解析することによ り、 各フェライ ト粒子における 、 はアルカリ土類金属元素) で表されるベロブス カイ ト型結晶相成分含有量を求めた。 粉末 X線回折パターンの波形分離では 各結晶相の同定と定量を行うことが困難な場 合があるが、 結晶構造モデルに 基づいたリートべルト解析により各相の同定 と定量が可能になる。 [0121] X線回折装置 (X 口) として、 パナリティカル社製 「X’ 〇 IV! 〇」 を用いた。 を用いた。 光 学系として集中光学系及び高速検出器 「X’ 丨 3 「 31 0 「」 を用いた 。 測定条件は以下のとおりである。

スキヤンスピード : 〇. 08 ° /秒

発散スリッ ト = 1. 0 °

散乱スリッ ト = 1. 0 °

受光スリッ ト : 0.

封入管の電圧及び電流値: 401< /40〇1八

測定範囲 : 20= 1 5 ° 〜 90

積算回数 : 5回

[0122] 得られた測定結果を元に、 「国立研究開発法人物質 ·材料研究機構、 ” Atom Work” (URL:http://crystdb. nims. go. jp/) 」 に開示の構造より結晶構造を以 下の通り同定した。

A相:マンガンフェライ ト (スピネル型結晶) からなる結晶相

結晶構造: 空間群 F d -3 m (No. 227)

B相: RZ r〇 3 の組成式で表されるベロブスカイ ト型結晶からなる結晶相 結晶構造:空間群 P n m a (No. 62)

C相:二酸化ジルコニウム (ジルコニア)

結晶構造:空間群 P -42 m (No. 111)

[0123] 次に解析用ソフト 「RIETAN-FP v2.83 (http://fujioizumi.verse.jp/downl oad/download.html) 」 を用いて同定した結晶構造を精密化すること で、 質量 換算の存在比率を各結晶相の相組成比として 算出した。

プロファイル関数は T h om p s o n, Co x, H a s t i n gの擬 V〇 i g t関数を使用し H〇 w a r dの方法で非対称化を行った。 フィツティン グの正確さを表す Rw p値, S値が各々 R w p : 2%以下, S値: 1. 5以 下であり、 20 = 35〜 37° に於いて B, C相のメインピークがフィツテ ィングされていることを確認した上で、 各パラメータの最適化を行った。 〇 2020/175336 35 卩(:171? 2020 /006911

[0124] 以上のようにして行った X線回折パターンのリートベルト解析結果に づ き、 フェライ ト粒子を構成する結晶相の相組成分析を行っ たときのぺロブス カイ ト型結晶からなる結晶相成分 (巳相) の含有量 (質量%) を求めた。

[0125] (2) 体積平均粒径 (口 50

体積平均粒径 (0 50 ) は、 日機装株式会社製マイクロトラック粒度分析 計 (1\/1〇 6 丨 9320 - X I 00) を用いて、 次のようにして測定した。 各 実施例及び各比較例で製造したフェライ ト粒子を試料とし、 各試料 1 〇 9と 水 80〇1 丨 を 1 00〇1 丨のビーカーに入れ、 分散剤 (へキサメタリン酸ナト リウム) を 2滴〜 3滴添加し、 超音波ホモジナイザー (3 IV!丁. 〇〇. 1_丁 〇. 製111 ~ 1- 1 50型) を用い、 出カレベル 4に設定し、 20秒間分散を行 い、 ビーカー表面にできた泡を取り除くことによ りサンプルを調製し、 当該 サンプルを用いて、 上記マイクロトラック粒度分析計によりサン プルの体積 平均粒径を測定した。

[0126] (3) 飽和磁化

飽和磁化は、 振動試料型磁気測定装置 (型式: 31\/1_〇 7 _ 1 0 (東 英工業社製) ) を用いて測定した。 具体的な測定手順は次のとおりである。 まず、 各実施例及び各比較例で製造したフェライ ト粒子を試料とし、 内径 5 01111、 高さ 20101のセルに試料を充填し上記装置にセッ トした。 そして、 磁 場を印加し、 1 < 1 000/4 % - 八/ (= 1 まで掃引した。 次いで、 印加磁場を減少させ、 記録紙上にヒステリシスカーブを作成した。 この力ーブのデータより印加磁場が 1 1 000/4 % - 八/ における 磁化を読み取り、 飽和磁化とした。

[0127] (4) 抵抗

各実施例及び各比較例で製造したフェライ ト粒子を試料とし、 次の手順に より低温低湿環境 (1 〇 ° ◦相対湿度 20%) 下での抵抗値 !_ (0) と、 高温 高湿環境 (30°〇相対湿度 80%) 下での抵抗値!· I (0) と、 抵抗の環境変 動比 (丨 〇 9 !_/丨 〇 91-1) とを測定した。 まず、 電極間間隔 2. 001111と し、 非磁性の平行平板電極 (1 〇 斗〇 ) を対向させて配置し、 そ 〇 2020/175336 36 卩(:171? 2020 /006911

の間に試料を 200 9充填した。 試料は、 平行平板電極に取り付けた磁石 (表面磁束密度: 1 500〇 8リ 33、 電極に接する磁石の面積: 1 00101 30 ) により平行平板電極間に保持させた。 そして、 互いに対向する 平行平板電極間に 50〇 の電圧を印加し、 エレクトロメータ (<巳 丨 丁1 ~ 1 1-巳丫社製、 絶縁抵抗計 〇 6 丨 1 65 1 7 ) を用いて測定した。 上記 抵抗値!-、 上記抵抗値 1 ~ 1はそれぞれ低温低湿環境 (1 0°〇相対湿度 20%) 及び高温高湿環境 (30 ° ◦相対湿度 80%) に雰囲気温度及び湿度が調整さ れた恒温恒湿室内に試料を 1 2時間以上暴露した後、 当該環境下において上 記の手順により測定した抵抗値である。 また、 このように測定した抵抗値 !_ 及び抵抗値 1 ~ 1の対数値に基づき、 下記式により抵抗の環境変動比 (丨 〇 !- /丨 〇 91 ~ 1) を求めた。 表 1 には、 各抵抗値!-及び 1 ~ 1の対数値 ( I 〇 9 !_及 び丨 〇 9 !!) と、 抵抗の環境変動比 を示す。

[0128] 抵抗の環境変動比 =抵抗値 !_の対数値/抵抗値 1 ~ 1 の対数値

[0129] (5) 巳巳丁比表面積

各実施例及び各比較例で製造したフェライ ト粒子を試料とし、 次の手順に より比表面積測定装置 (1\/13〇 3〇 「匕 〇1〇 6 丨 - 1 208、 株 式会社マウンテック) を用いて巳巳丁比表面積を求めた。 まず、 ガラスシャ —レに 209程度の試料を取り分けた後、 真空乾燥機で一〇. 1 IV! 3 まで 脱気した。 脱気し、 ガラスシャーレ内の真空度が一〇. 1 1\/1 3以下に到達 していることを確認した後、 200°〇で 2時間加熱した。 これらの前処理を 施した試料を上記比表面積測定装置専用の標 準サンプルセルに約 5〜 79収 容した。 標準サンプルセルに収容した試料の質量は精 密天秤で正確に秤量し た。 そして、 測定ポートに試料を収容した標準サンプルセ ルをセッ トし、 温 度 1 0°〇~30°〇、 相対湿度 20%〜 80%で、 1点法により巳巳丁比表面 積の測定を行った。 測定終了時に試料の質量を入力し、 算出された値を巳巳 丁比表面積の測定値とした。

[0130] (6) キャリア飛散量 〇 2020/175336 37 卩(:171? 2020 /006911

各実施例及び各比較例で製造した電子写真 現像剤を用いて、 キャリァ飛散 量を次のようにして評価した。 高温高湿環境 (3 0 ° 〇相対湿度 8 0 %) に雰 囲気温度及び湿度が調整された恒温恒湿室内 にてフルカラー電子写真現像機 1\/1 〇 2 5 0 0) を用いて、 適性露光条 件下で 1 0 0 0 (1 1<) 試験画像の印刷を行った後、 ベタ画像を 3枚印刷し 、 画像中のキャリア飛散量の合計を目視によっ てカウントした。

[0131 ] (7) 「元素の分散度合い

各実施例及び各比較例で製造したフヱライ ト粒子について、 以下の式で定 義する 「元素の分散度合いを測定した。

「の分散度合い = 「 (3) / 「 (〇)

但し、

(3) :エネルギー分散型 X線分析によって測定された粒子断面の表 面部における 「量 (質量%)

(〇) :エネルギー分散型 X線分析によって測定された粒子断面の中 心部における 「量 (質量%)

[0132] ここで、 図 1 を参照しながら説明する。

フェライ ト粒子の断面 (粒子断面) の中心部は、 次のように定義する。 粒 子断面 (例えば、 3巳 IV!画像) における最大直径を線分口 Xとしたとき、 線 分 0 Xの中点を粒子断面の中心◦とし、 線分口 Xの端点をそれぞれ点 とす る。 そして、 当該中心〇をその中心位置とし、 一辺の長さが線分口 Xの 3 5 %の長さである正方形を正方形 3とする。 この正方形 3で囲まれた領域を中 心部と定義する。

[0133] また、 粒子断面の表面部は、 次のように定義する。 線分口 X上の点であっ て、 点 から中心 0に向かって線分 0 Xの長さの 1 5 %の距離の位置を点 ’ とする。 そして、 線分口 Xの長さの 3 5 %の長さを有し、 線分口 Xに直交 し、 かつ点 又は点 ’ を中点とする線分を長辺とし、 線分口 Xの長さの 1 5 %の長さを有する線分を短辺とする長方形を 方形 1 とする。 本件発明 では、 フェライ ト粒子の断面において、 この長方形 1で囲まれた領域を表 〇 2020/175336 38 卩(:171? 2020 /006911

面部と定義する。

[0134] このように定義した粒子断面の中心部及び表 面部に対して、 エネルギー分 散型 X線分析 (巳〇乂分析) を行い、 各領域における 「元素の含有量を測 定する。 具体的な測定方法は以下のとおりである。

[0135] (a) フェライ ト粒子を樹脂包埋し、 イオンミリングによる断面加工を施 すことにより、 測定用の断面試料を作製する。 イオンミリングは、 日立ハイ テクノジーズ社製の丨 1\/1 4 0 0 0 !_ II 3を使用し、 イオンビームの加速電 圧を 6 . 0 1< として、 アルゴン雰囲気下で行う。 ここで、 分析対象とする フェライ ト単粒子は、 当該フェライ ト単粒子が含まれるフェライ ト粒子 (粉 体) の体積平均粒径を 0 5 0 としたとき、 最大直径口父が 0 5 〇 0 . 8 £ 0 X £ 0 5 0 1 . 2の範囲である粒子とする。

[0136] (b) 得られた断面試料に対して、 走査電子顕微鏡 (3巳 IV!、 日立ハイテ クノジーズ社製 3 II 8 0 2 0) にて加速電圧を 1 5 1< 、

して分析対象とするフェライ ト粒子の断面を観察する。 このとき、 視野の中 に分析対象とするフェライ ト粒子 1つのみが存在し、 かつ粒子全体が視野内 に収まるように倍率を設定する。

[0137] (〇) そして、 フェライ ト粒子断面の中心部及び表面部 (上記定義した領 域) に対して巳〇乂分析を行う。 巳〇乂分析では、 エネルギー分散型 X線分 析装置 (堀場製作所製巳1\/1 3 X X— 1^ 3 x 5 0) によって、 6 、 1\/^、

IV! 9、 3 「及び 「を対象としてマッピング収集を行い、 得られた X線スぺ クトルピークから各々の元素量 (質量%) を算出する。 得られた粒子断面の 中心部における 「量を 「 「 (〇) 」 とし、 粒子断面の表面部における 「量を 「 「 ( 3) 」 とする。

[0138] そして、 巳〇乂分析によって得られた粒子断面の中心 部における 「量 ( 「 (〇) ) 及び粒子断面の表面部における 「量 ( 「 (3) ) を、 上述 した式 (1) に代入することにより、 分析対象としたフェライ ト粒子の 「 の分散度合いを得ることができる。

[0139] このとき、 粒子断面の表面部における 「量については、 長方形 1 と同 〇 2020/175336 39 卩(:171? 2020 /006911

様に定義された長方形 8 2と、 粒子断面の中心 0をとおり直線 0 X に直行す る直線ロソについて上記点 , ’ と同様に定めた点 0 , 0’ に基づき定義 した長方形 3及び長方形 で囲まれた 4つの領域を表面部と定義し、 各 領域における 「量の平均値とした。 各長方形 1、 [¾ 2、 [¾ 3、 は、 粒子断面の輪郭に沿って略等間隔に配置され るようにした。

[0140] 2 . 評価結果

表 2に上記各評価項目の測定結果を示す。 なお、 表 2において、 ぺロプス カイ ト型結晶相成分含有量 (質量%) は、 上記の通り粉末 X線回折パターン をリートべルト解析することにより得られた 値である。 また、 表 2の抵抗値 1 ~ 1の欄において、 巳. は抵抗値が上記エレクトロメータの測定下限 であ る 2 . 5 X 1 〇 6 未満であることを意味する。

[0141] 表 2に示すように、 実施例 1〜実施例 8のフェライ ト粒子は、 原料として 、 アルカリ土類金属元素 ([¾) を含む酸化物と、 二酸化ジルコニウムとを用 いることにより、 ト型結晶相成分 を〇. 0 6質量%〜 2 . 4 8質量%含むフェライ ト粒子が得られることが確 認された。 一方、 比較例 1〜比較例 7の製造方法では、 当該べロブスカイ ト 型結晶相成分を含むフェライ ト粒子は得られなかった。 また、 実施例 1〜実 施例 7のフェライ ト粒子における 「の分散度合いは 1 . 〇〜 1 . 2と値が 小さいことから、 フェライ ト粒子内にぺロブスカイ ト型結晶相成分が良好に 分散していることが確認された。 二酸化ジルコニウムに対するアルカリ土類 金属元素 (8) の配合量が他の実施例と比較すると少ない実 施例 3及び実施 例 5のフェライ ト粒子、 或いは、 二酸化ジルコニウムに対するアルカリ土類 金属元素 (8) の配合量が多い実施例 4のフェライ ト粒子はぺロブスカイ ト 型結晶相成分の含有量が他の実施例と比較す ると少なく、 実施例 3及び実施 例 5のフヱライ ト粒子は 「の分散度合いも他の実施例と比較すると高 くな った。

[0142] 比較例 1、 比較例 4〜比較例 7では、 原料としてアルカリ土類金属元素 (

8) を含む酸化物と、 二酸化ジルコニウムのうちいずれか一方しか 用いてい 〇 2020/175336 40 卩(:171? 2020 /006911

ない。 そのため、 比較例 1、 比較例 4〜比較例 7では上記べロブスカイ ト型 結晶相成分を含むフェライ ト粒子は得られない。 一方、 比較例 2及び比較例 3では、 原料としてアルカリ土類金属元素 ([¾) を含む酸化物と、 二酸化ジ ルコニウムとを用いている。 しかしながら、 比較例 2及び比較例 3では、 二 酸化ジルコニウムの配合量がモル比で主成分 原料: 1 0 0に対して 0 . 0 5 と微量であり、 この場合には上記べロブスカイ ト型結晶相成分が生成されな いことが確認された。

[0143] 次に、 飽和磁化及び抵抗値について検討する。 実施例 1のフェライ ト粒子 と、 比較例 1及び比較例 2のフェライ ト粒子は、 「 0 2 の配合量を除くと、 他の原料の配合量は同じである。 しかしながら、 実施例 1のフェライ ト粒子 は、 比較例 1及び比較例 2のフェライ ト粒子と比較すると磁化が高く、 抵抗 値!-及び抵抗値 1 ~ 1の対数値も高い。 このことから略同様の組成を有するフェ ライ ト粒子であっても、 粒界に[¾ 「〇 3 の組成式で表されるぺロブスカイ ト 型結晶相成分を生成させることで、 未反応原料の含有量が低減し、 構造欠陥 が生じるのを低減することができ、 より高磁化のフェライ ト粒子が得られる ものと考える。 また、 粒界に上記べロブスカイ ト型結晶相成分を生成させる ことにより、 上述した種々の要因からフェライ ト粒子の高抵抗化を図ること ができると考える。

[0144] そして、 実施例 1〜実施例 7のフェライ ト粒子いずれも上記べロブスカイ 卜型結晶相成分を含むことで、 抵抗の環境変動比 (丨 〇 9 !_ / I 〇 9 ! !) が 1 . 0 6〜 1 . 1 4の範囲内にあり、 抵抗の環境依存性を小さく抑えること ができている。 そのため、 実施例 1〜実施例 7のフェライ ト粒子を用いて製 造した電子写真現像剤ではキャリア飛散量が 2個〜 7個と少なく、 高温高湿 環境下においてもキャリア飛散を良好に抑制 することができていることが確 認された。 一方、 当該べロブスカイ ト型結晶相成分を含まない比較例 1〜比 較例 7のフヱライ ト粒子を用いて製造した電子写真現像剤は抵 抗の環境変動 比が算出不能又は 1 . 2 0〜 1 . 3 6と大きく、 抵抗の環境依存性がみられ た。 その結果、 比較例 1〜比較例 7のフェライ ト粒子を用いて製造した電子 \¥0 2020/175336 41 卩(:17 2020 /006911 写真現像剤ではキャリア飛散量が 1 1個〜 1 9個であり、 高温高湿環境下に おいてキヤリア飛散が生じやすくなることが 確認された。

[0145]

〔¾二

〔〕〔姍 0 6 4 -

〇 2020/175336 44 卩(:171? 2020 /006911

産業上の利用可能性

[0147] 本件発明に係るフェライ ト粒子は、 高磁化且つ高抵抗であり、 抵抗の環境 依存性が小さく、 当該フェライ ト粒子をキャリア芯材として用いることによ り、 高温高湿環境下においてもキャリア飛散の発 生を抑制することできる。 そのため、 従来に比して、 長寿命な現像剤を得ることができ、 且つ、 感光体 や定着口ーラにキャリアが付着してこれらが 損傷するのを抑制することがで きるため、 電子写真現像装置の長寿命化を図ることがで きる。

[0148] 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照し て説明したが、 本発明の精神 と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正 を加えることができることは当 業者にとって明らかである。

本出願は、 2 0 1 9年 2月 2 5日出願の日本特許出願 (特願 2 0 1 9 - 0 3 1 1 6 2) に基づくものであり、 その内容はここに参照として取り込まれ る。