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Title:
FINE PARTICLES
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/047935
Kind Code:
A1
Abstract:
Fine particles which have a high percentage migration to the lungs and are made only of tert-butyl (4R)-4-{[((1R)-2-[(1-benzylpiperidin-4-yl)amino]-1-{[(cyclohexylmethyl)thio]methyl}-2-oxoethyl)amino]carbonyl}-1,3-thiazolidine-3-carboxylate or a salt thereof. Also provided are a process for producing the fine particles and a medicinal preparation comprising the particles for pulmonary inhalation. The fine particles, which have a given percentage migration to the lungs, are produced by spraying a solution of that compound or a salt thereof together with supercritical carbon dioxide in a pressure vessel having a given pressure and a given temperature to prepare a mixture solution, further spraying the mixture solution in water, and recovering the compound or salt from the resultant suspension by freeze drying, etc.

Inventors:
TAKEUCHI HIROFUMI (JP)
TOZUKA YUICHI (JP)
MIYAZAKI YUTA (JP)
SUGIHARA HIKARU (JP)
NISHIURA AKIO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/061140
Publication Date:
April 16, 2009
Filing Date:
June 18, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ONO PHARMACEUTICAL CO (JP)
TAKEUCHI HIROFUMI (JP)
TOZUKA YUICHI (JP)
MIYAZAKI YUTA (JP)
SUGIHARA HIKARU (JP)
NISHIURA AKIO (JP)
International Classes:
A61K31/454; A61K9/72; A61P25/02; A61P29/00
Domestic Patent References:
WO2006095788A12006-09-14
WO2005025506A22005-03-24
WO2000030613A12000-06-02
WO2000030614A12000-06-02
WO1995001221A11995-01-12
Foreign References:
JPH01176437A1989-07-12
Attorney, Agent or Firm:
IWATANI, Ryo (1-31 Dojima 2-chome,Kita-ku, Osaka-shi, Osaka 03, JP)
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Claims:
 (1)約10~約60mg/mLのtert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[(1-ベンジルピペリジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シクロヘキシルメチル)チオ]メチル}-2-オキソエチル)アミノ]カルボニル}-1,3-チアゾリジン-3-カルボキシラートまたはその塩の水溶性有機溶媒溶液を、約15~約30MPaおよび約30~約80℃下にある耐圧容器中に約10~約20mL/分の噴霧速度で導入される当該圧力および当該温度下の二酸化炭素とともに、約0.01~約5mL/分の速度で当該耐圧容器中に噴霧する工程、
(2)工程(1)により調製された混合溶液をさらに水中に噴霧する工程、および
(3)工程(2)により調製された懸濁液から凍結乾燥もしくは噴霧乾燥によって回収する工程によって製造される微粒子であって、tert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[(1-ベンジルピペリジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シクロヘキシルメチル)チオ]メチル}-2-オキソエチル)アミノ]カルボニル}-1,3-チアゾリジン-3-カルボキシラートまたはその塩のみからなり、約0.1~約10μmの平均粒子径を有し、かつ約35%以上の肺移行率を有することを特徴とする微粒子。
 二酸化炭素の圧力が、約20~約25MPaである請求の範囲第1項記載の微粒子。
 二酸化炭素の温度が、約30~約40℃である請求の範囲第1項記載の微粒子。
 請求の範囲第1項記載の工程(1)が、混合ノズルを通じて、tert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[(1-ベンジルピペリジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シクロヘキシルメチル)チオ]メチル}-2-オキソエチル)アミノ]カルボニル}-1,3-チアゾリジン-3-カルボキシラートまたはその塩の水溶性有機溶媒溶液を、当該二酸化炭素とともに、当該耐圧容器中へ噴霧する工程である請求の範囲第1項記載の微粒子。
 平均粒子径が、約2.5~約5μmである請求の範囲第1項記載の微粒子。
 請求の範囲第1項記載の工程(1)の耐圧容器中へのtert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[(1-ベンジルピペリジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シクロヘキシルメチル)チオ]メチル}-2-オキソエチル)アミノ]カルボニル}-1,3-チアゾリジン-3-カルボキシラートまたはその塩の水溶性有機溶媒溶液の噴霧速度が、約0.1~約0.5mL/分である請求の範囲第1項記載の微粒子。
 請求の範囲第1項記載の工程(1)の水溶性有機溶媒溶液の溶媒が、エタノールである請求の範囲第1項記載の微粒子。
 請求の範囲第1項記載の工程(3)の微粒子の回収方法が凍結乾燥である請求の範囲第1項記載の微粒子。
 (1)約20~約60mg/mLのtert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[(1-ベンジルピペリジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シクロヘキシルメチル)チオ]メチル}-2-オキソエチル)アミノ]カルボニル}-1,3-チアゾリジン-3-カルボキシラートまたはその塩のエタノール溶液を、約20~約25MPaおよび約30~約40℃下にある耐圧容器中に約10~約20mL/分の噴霧速度で導入される当該圧力および当該温度下の二酸化炭素とともに、約0.1~約0.5mLの速度で当該耐圧容器中に噴霧する工程、
(2)工程(1)により調製された混合溶液をさらに水中に噴霧する工程、および
(3)工程(2)により調製された懸濁液から凍結乾燥によって回収する工程によって製造される微粒子であって、tert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[(1-ベンジルピペリジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シクロヘキシルメチル)チオ]メチル}-2-オキソエチル)アミノ]カルボニル}-1,3-チアゾリジン-3-カルボキシラートまたはその塩のみからなり、約2.5~約5μmの平均粒子径を有し、かつ約35%以上の肺移行率を有することを特徴とする微粒子。
 (1)約40mg/mLのtert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[(1-ベンジルピペリジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シクロヘキシルメチル)チオ]メチル}-2-オキソエチル)アミノ]カルボニル}-1,3-チアゾリジン-3-カルボキシラートまたはその塩のエタノール溶液を、約25MPaおよび約40℃下にある耐圧容器中に約14mL/分の噴霧速度で導入される当該圧力および当該温度下の二酸化炭素とともに、約0.1mL/分の速度で当該耐圧容器中に噴霧する工程、
(2)工程(1)により調製された混合溶液をさらに水中に噴霧する工程、および
(3)工程(2)により調製された懸濁液から凍結乾燥によって回収する工程によって製造される微粒子であってtert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[(1-ベンジルピペリジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シクロヘキシルメチル)チオ]メチル}-2-オキソエチル)アミノ]カルボニル}-1,3-チアゾリジン-3-カルボキシラートまたはその塩のみからなり、約2.5~約5μmの平均粒子径を有し、かつ約50%以上の肺移行率を有することを特徴とする微粒子。
 請求の範囲第1項記載の微粒子を含有してなる経肺吸入用製剤。
 疼痛治療剤である請求の範囲第11項記載の製剤。
 請求の範囲第11項記載の製剤を哺乳動物に投与することを特徴とする疼痛治療法。
 請求の範囲第11項記載の製剤を製造するための請求の範囲第1項記載の微粒子の使用。
 請求の範囲第11項記載の製剤を含有してなる吸入器。
 (1)試料成分の有機溶媒溶液を、約15~約30MPaおよび約30~約80℃下にある耐圧容器中に約10~約20mL/分の噴霧速度で導入される当該圧力および当該温度下の二酸化炭素とともに、当該耐圧容器中に噴霧する工程、
(2)工程(1)により調製された混合溶液をさらに水中に噴霧する工程、および
(3)工程(2)により調製された懸濁液から凍結乾燥もしくは噴霧乾燥によって回収する工程からなる微粒子の製造方法であって、当該微粒子が、当該試料成分からなり、約0.1~約10μmの平均粒子径を有し、かつ約35%以上の肺移行率を有するものであることを特徴とする微粒子の製造方法。
 (1)約10~約60mg/mLのtert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[(1-ベンジルピペリジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シクロヘキシルメチル)チオ]メチル}-2-オキソエチル)アミノ]カルボニル}-1,3-チアゾリジン-3-カルボキシラートまたはその塩の水溶性有機溶媒溶液を、約15~約30MPaおよび約30~約80℃下にある耐圧容器中に約10~約20mL/分の噴霧速度で導入される当該圧力および当該温度下の二酸化炭素とともに、約0.01~約5mL/分の速度で当該耐圧容器中に噴霧する工程、
(2)工程(1)により調製された混合溶液をさらに水中に噴霧する工程、および
(3)工程(2)により調製された懸濁液から凍結乾燥もしくは噴霧乾燥によって回収する工程からなる微粒子の製造方法であって、当該微粒子が、tert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[(1-ベンジルピペリジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シクロヘキシルメチル)チオ]メチル}-2-オキソエチル)アミノ]カルボニル}-1,3-チアゾリジン-3-カルボキシラートまたはその塩のみからなり、約0.1~約10μmの平均粒子径を有し、かつ約35%以上の肺移行率を有するものであることを特徴とする微粒子の製造方法。
 (1)約40mg/mLのtert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[(1-ベンジルピペリジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シクロヘキシルメチル)チオ]メチル}-2-オキソエチル)アミノ]カルボニル}-1,3-チアゾリジン-3-カルボキシラートまたはその塩のエタノール溶液を、約25MPaおよび約40℃下にある耐圧容器中に約14mL/分の噴霧速度で導入される当該圧力および当該温度下の二酸化炭素とともに、約0.1mLの速度で当該耐圧容器中に噴霧する工程、
(2)工程(1)により調製された混合溶液をさらに水中に噴霧する工程、および
(3)工程(2)により調製された懸濁液から凍結乾燥によって回収する工程によって製造される微粒子であって、tert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[(1-ベンジルピペリジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シクロヘキシルメチル)チオ]メチル}-2-オキソエチル)アミノ]カルボニル}-1,3-チアゾリジン-3-カルボキシラートまたはその塩のみからなり、約2.5~約5μmの平均粒子径を有し、かつ約50%以上の肺移行率を有することを特徴とする微粒子の製造方法。
Description:
微粒子

 本発明は、tert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[(1-ベ ンジルピペリジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シクロ キシルメチル)チオ]メチル}-2-オキソエチル) アミノ]カルボニル}-1,3-チアゾリジン-3-カル キシラート(以下、化合物1と略す。)または の塩のみからなる微粒子およびその製造方 ならびに当該微粒子を含有する経肺吸入用 剤に関する。

 化合物1またはその塩はN型カルシウムチ ネル阻害作用を有することから、疼痛(例え 、神経因性疼痛、癌性疼痛、難治性疼痛、 後痛等)の予防および/または治療剤として 用である(特許文献1)。しかしながら、化合 1は消化管や肝臓等での代謝を受けやすいた 、有効な投与量で経口投与することができ 、また、水に難溶であるため、注射剤とし 使用することも困難であった。

 一方、化合物1は、水溶性高分子等の添加 剤とともに微粒子化することにより、所定の 肺移行率を有する経肺吸入用製剤として製造 することが可能であった(特許文献2)。しかし ながら、前記添加剤を含まない化合物1のみ らなる微粒子またはその経肺吸入用製剤で って、添加剤を含む当該微粒子と同等ある はそれ以上の肺移行率を有するものの製造 法は知られていなかった。

 ところで、医薬品を微粒子化する方法とし 、機械的粉砕法、凍結乾燥法や噴霧乾燥法 がよく知られているが、不純物の混入、有 溶媒残留、熱による分解、微粒子化の限界 粒度分布の不均一などの問題点が指摘され いる。近年、これら問題点を解決する超臨 二酸化炭素を用いた医薬品の微粒子形成技 が開発され、特に粒子形成のための二つの 法が注目されている。一つは、超臨界溶液 急速膨張法( R apid  E xpansion of  S upercritical  S olution(RESS)法)と呼ばれ、対象となる溶質を超 界二酸化炭素に溶解させた後、それを急速 膨張させることによって、粒子を晶析させ 方法である(非特許文献1参照)。もう一つは 超臨界流体による溶液促進分散法( S olution  E nhanced  D ispersion by  S upercritical fluid(SEDS(登録商標)法)と呼ばれ、対 象となる溶質を所定の溶媒に溶かしたものと 、貧溶媒である超臨界二酸化炭素とを同軸ノ ズルを通じて粒子形成管に同時導入し、析出 槽内に噴霧することによって、粒子を晶析さ せる方法である(非特許文献1参照)。しかしな がら、前者は対象となる溶質の超臨界二酸化 炭素への溶解度に左右されるという問題点が あり、後者は工業的な規模へのスケールアッ プに限界があるという問題点があった。
 本発明の化合物1のみからなる微粒子は、超 臨界二酸化炭素を用いた新規の製法によって 製造されたものであるが、これまで、当該製 法により高い肺移行性を有する当該微粒子は 知られていない。

国際公開第00/00470号パンフレット

国際公開第06/095788号パンフレット 森部、ファインケミカル、2007年、第36巻 、第1号、p.55-62

 上記の通り、高い肺移行率を維持し、水溶 高分子等の添加剤を含まない化合物1または その塩のみからなる微粒子の製造方法は、こ れまで知られていなかった。
 本発明の目的は、かかる添加剤を含まない 合物1またはその塩からなり、高い肺移行率 を維持した微粒子またはそれを含有する経肺 吸入用製剤を提供することにあり、さらにそ のための当該微粒子の製造方法を提供するこ とにある。

 本発明者らは、超臨界二酸化炭素または亜 界二酸化炭素を用いた微粒子製造技術を新 に開発し、これを化合物1またはその塩の微 粒子化に適用することによって、高い肺移行 率を達成する化合物1またはその塩のみから る微粒子およびその経肺吸入用製剤の製造 成功し、本発明を完成した。
 本発明に係る超臨界二酸化炭素または亜臨 二酸化炭素を用いた微粒子の製造方法は、 来のRESS法等の問題点を解決する新規の技術 であり、本発明の微粒子は、同技術により製 造される化合物1またはその塩のみからなる 規の微粒子である。

 すなわち、本発明は以下の構成からなる。
[1](1)約10~約60mg/mLのtert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[( 1-ベンジルピペリジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シ ロヘキシルメチル)チオ]メチル}-2-オキソエ ル)アミノ]カルボニル}-1,3-チアゾリジン-3-カ ルボキシラートまたはその塩の水溶性有機溶 媒溶液を、約15~約30MPaおよび約30~約80℃下に る耐圧容器中に約10~約20mL/分の噴霧速度で導 入される当該圧力および当該温度下の二酸化 炭素とともに、約0.01~約5mLの速度で当該耐圧 器中に噴霧する工程、
(2)工程(1)により調製された混合溶液をさらに 水中に噴霧する工程、および
(3)工程(2)により調製された懸濁液から凍結乾 燥もしくは噴霧乾燥によって回収する工程に よって製造される微粒子であって、tert-ブチ  (4R)-4-{[((1R)-2-[(1-ベンジルピペリジン-4-イ )アミノ]-1-{[(シクロヘキシルメチル)チオ]メ ル}-2-オキソエチル)アミノ]カルボニル}-1,3- アゾリジン-3-カルボキシラートまたはその のみからなり、約0.1~約10μmの平均粒子径を し、かつ約35%以上の肺移行率を有すること 特徴とする微粒子。
[2]二酸化炭素の圧力が、約20~約25MPaである前 [1]記載の微粒子。
[3]二酸化炭素の温度が、約30~約40℃である前 [1]記載の微粒子。
[4]当該二酸化炭素の当該耐圧容器中への噴霧 速度が、約14mL/分である前記[1]記載の微粒子
[5]前記[1]記載の工程(1)が、混合ノズルを通じ て、tert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[(1-ベンジルピ リジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シクロヘキシルメ チル)チオ]メチル}-2-オキソエチル)アミノ]カ ボニル}-1,3-チアゾリジン-3-カルボキシラー またはその塩の水溶性有機溶媒溶液を、当 二酸化炭素とともに、当該耐圧容器中へ噴 する工程である前記[1]記載の微粒子。
[6]平均粒子径が、約2.5~約5μmである前記[1]記 の微粒子。
[7]前記[1]記載の工程(1)における、水溶性有機 溶媒中のtert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[(1-ベンジ ピペリジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シクロヘキシ ルメチル)チオ]メチル}-2-オキソエチル)アミ ]カルボニル}-1,3-チアゾリジン-3-カルボキシ ートまたはその塩の濃度が、約40mg/mLである 前記[1]記載の微粒子。
[8]前記[1]記載の工程(1)の耐圧容器中へのtert- チル (4R)-4-{[((1R)-2-[(1-ベンジルピペリジン-4 -イル)アミノ]-1-{[(シクロヘキシルメチル)チ ]メチル}-2-オキソエチル)アミノ]カルボニル} -1,3-チアゾリジン-3-カルボキシラートまたは の塩の水溶性有機溶媒溶液の噴霧速度が、 0.1~約0.5mL/分である前記[1]記載の微粒子。
[9]前記[1]記載の工程(1)の水溶性有機溶媒溶液 の溶媒が、エタノールである前記[1]記載の微 粒子。
[10]前記[1]記載の工程(3)の微粒子の回収方法 凍結乾燥である前記[1]記載の微粒子。
[11](1)約20~約60mg/mLのtert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[ (1-ベンジルピペリジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シ ロヘキシルメチル)チオ]メチル}-2-オキソエ ル)アミノ]カルボニル}-1,3-チアゾリジン-3- ルボキシラートまたはその塩のエタノール 液を、約20~約25MPaおよび約30~約40℃下にある 圧容器中に約10~約20mL/分の噴霧速度で導入 れる当該圧力および当該温度下の二酸化炭 とともに、約0.1~約0.5mLの速度で当該耐圧容 中に噴霧する工程、
(2)工程(1)により調製された混合溶液をさらに 水中に噴霧する工程、および
(3)工程(2)により調製された懸濁液から凍結乾 燥によって回収する工程によって製造される 微粒子であって、tert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[(1 -ベンジルピペリジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シク ロヘキシルメチル)チオ]メチル}-2-オキソエチ ル)アミノ]カルボニル}-1,3-チアゾリジン-3-カ ボキシラートまたはその塩のみからなり、 2.5~約5μmの平均粒子径を有し、かつ約35%以 の肺移行率を有することを特徴とする微粒 。
[12](1)約40mg/mLのtert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[(1-ベ ンジルピペリジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シクロ キシルメチル)チオ]メチル}-2-オキソエチル) アミノ]カルボニル}-1,3-チアゾリジン-3-カル キシラートまたはその塩のエタノール溶液 、約25MPaおよび約40℃下にある耐圧容器中に 14mL/分の噴霧速度で導入される当該圧力お び当該温度下の二酸化炭素とともに、約0.1mL /分の速度で当該耐圧容器中に噴霧する工程
(2)工程(1)により調製された混合溶液をさらに 水中に噴霧する工程、および
(3)工程(2)により調製された懸濁液から凍結乾 燥によって回収する工程によって製造される 微粒子であって、tert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[(1 -ベンジルピペリジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シク ロヘキシルメチル)チオ]メチル}-2-オキソエチ ル)アミノ]カルボニル}-1,3-チアゾリジン-3-カ ボキシラートまたはその塩のみからなり、 2.5~約5μmの平均粒子径を有し、かつ約50%以 の肺移行率を有することを特徴とする微粒 。
[13]前記[1]記載の微粒子を含有してなる経肺 入用製剤。
[14]疼痛治療剤である前記[13]記載の製剤。
[15]前記[13]記載の製剤の有効量を哺乳動物に 与することを特徴とする疼痛治療法。
[16]前記[13]記載の製剤を製造するための前記[ 1]記載の微粒子の使用。
[17]疼痛治療のための前記[13]記載の製剤。
[18]前記[13]記載の製剤を含有してなる吸入器
[19](1)試料成分の有機溶媒溶液を、約15~約30MPa および約30~約80℃下にある耐圧容器中に約10~ 20mL/分の噴霧速度で導入される当該圧力お び当該温度下の二酸化炭素とともに、当該 圧容器中に噴霧する工程、
(2)工程(1)により調製された混合溶液をさらに 水中に噴霧する工程、および
(3)工程(2)により調製された懸濁液から凍結乾 燥もしくは噴霧乾燥によって回収する工程か らなる微粒子の製造方法であって、当該微粒 子が、当該試料成分からなり、約0.1~約10μmの 平均粒子径を有し、かつ約35%以上の肺移行率 を有するものであることを特徴とする微粒子 の製造方法。
[20]二酸化炭素の圧力が、約20~約25MPaである前 記[19]記載の製造方法。
[21]二酸化炭素の温度が、約30~約40℃である前 記[19]記載の製造方法。
[22]前記[19]記載の工程(1)が、混合ノズルを通 て、試料成分の有機溶媒溶液を、当該二酸 炭素とともに、当該耐圧容器中へ噴霧する 程である前記[19]記載の製造方法。
[23]平均粒子径が、約2.5~約5μmである前記[19] 載の製造方法。
[24]有機溶媒中の試料成分の濃度が、約4~約70m g/mLである前記[19]記載の製造方法。
[25]前記[19]記載の工程(1)の試料成分の有機溶 溶液の有機溶媒がエタノールである前記[19] 記載の製造方法。
[26]前記[19]記載の工程(3)の微粒子の回収方法 凍結乾燥である前記[19]記載の製造方法。
[27](1)約10~60mg/mLのtert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[(1- ベンジルピペリジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シク ヘキシルメチル)チオ]メチル}-2-オキソエチ )アミノ]カルボニル}-1,3-チアゾリジン-3-カ ボキシラートまたはその塩の水溶性有機溶 溶液を、約15~約30MPaおよび約30~約80℃下にあ 耐圧容器中に約10~約20mL/分の噴霧速度で導 される当該圧力および当該温度下の二酸化 素とともに、約0.01~約5mLの速度で当該耐圧容 器中に噴霧する工程、
(2)工程(1)により調製された混合溶液をさらに 水中に噴霧する工程、および
(3)工程(2)により調製された懸濁液から凍結乾 燥もしくは噴霧乾燥によって回収する工程か らなる微粒子の製造方法であって、当該微粒 子が、tert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[(1-ベンジル ペリジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シクロヘキシル メチル)チオ]メチル}-2-オキソエチル)アミノ] ルボニル}-1,3-チアゾリジン-3-カルボキシラ トまたはその塩のみからなり、約0.1~約10μm 平均粒子径を有し、かつ約35%以上の肺移行 を有するものであることを特徴とする微粒 の製造方法。
[28](1)約20~約60mg/mLのtert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[ (1-ベンジルピペリジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シ ロヘキシルメチル)チオ]メチル}-2-オキソエ ル)アミノ]カルボニル}-1,3-チアゾリジン-3- ルボキシラートまたはその塩のエタノール 液を、約20~約25MPaおよび約30~約40℃下にある 圧容器中に約10~約20mL/分の噴霧速度で導入 れる当該圧力および当該温度下の二酸化炭 とともに、約0.1~約0.5mLの速度で当該耐圧容 中に噴霧する工程、
(2)工程(1)により調製された混合溶液をさらに 水中に噴霧する工程、および
(3)工程(2)により調製された懸濁液から凍結乾 燥によって回収する工程によって製造される 微粒子であって、当該微粒子が、tert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[(1-ベンジルピペリジン-4-イル) ミノ]-1-{[(シクロヘキシルメチル)チオ]メチ }-2-オキソエチル)アミノ]カルボニル}-1,3-チ ゾリジン-3-カルボキシラートまたはその塩 みからなり、約2.5~約5μmの平均粒子径を有 、かつ約35%以上の肺移行率を有するもので ることを特徴とする微粒子の製造方法。
[29](1)約40mg/mLのtert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[(1-ベ ンジルピペリジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シクロ キシルメチル)チオ]メチル}-2-オキソエチル) アミノ]カルボニル}-1,3-チアゾリジン-3-カル キシラートまたはその塩のエタノール溶液 、約25MPaおよび約40℃下にある耐圧容器中に 14mL/分の噴霧速度で導入される当該圧力お び当該温度下の二酸化炭素とともに、約0.1mL の速度で当該耐圧容器中に噴霧する工程、
(2)工程(1)により調製された混合溶液をさらに 水中に噴霧する工程、および
(3)工程(2)により調製された懸濁液から凍結乾 燥によって回収する工程によって製造される 微粒子であって、tert-ブチル (4R)-4-{[((1R)-2-[(1 -ベンジルピペリジン-4-イル)アミノ]-1-{[(シク ロヘキシルメチル)チオ]メチル}-2-オキソエチ ル)アミノ]カルボニル}-1,3-チアゾリジン-3-カ ボキシラートまたはその塩のみからなり、 2.5~約5μmの平均粒子径を有し、かつ約50%以 の肺移行率を有することを特徴とする微粒 の製造方法。

 本発明の微粒子は、従来の微粒子化技術 製造された添加剤を含まない化合物1のみか らなる微粒子では達成できなかった高い肺移 行率を有する。

本発明に係る微粒子を製造し得る超臨 流体晶析装置の一例を示す概略図である。 図1における混合ノズルの先端の断面の 構造を表わす模式図である。

符号の説明

1……二酸化炭素ボンベ
2……超臨界二酸化炭素送液ポンプ
3……試料溶液容器
4……試料容器送液ポンプ
5……マグネチックスターラ付高温槽
6……混合ノズル
7……マグネチックスターラバー
8……耐圧容器
9……コイル
10……コイル
11……バック・プレッシャー・レギュレータ
12……水浴
13……試料(晶析物)回収容器
 a……超臨界二酸化炭素系配管
 b……試料系配管
 c……超臨界二酸化炭素・試料混合流体系配 管
 d……試料溶液噴霧ノズル
 e……超臨界二酸化炭素噴霧ノズル

 以下、本発明を詳細に説明する。
 水溶性高分子等の添加剤を含まない化合物1 またはその塩のみからなる微粒子を意味する 。
 本発明に係る化合物1またはその塩は上記特 許文献1に記載されており、同文献および/ま は公知の方法によって製造することができ 。なお、本明細書における化合物1の塩とし ては、上記特許文献1に記載されており、さ に薬理学的に許容しうる塩であるのが好ま い。

 本発明の微粒子は、超臨界二酸化炭素また 亜臨界二酸化炭素を用いた微粒子の製造方 によって製造される。すなわち、本発明の 粒子は、(1)化合物1またはその塩の有機溶媒 溶液を、約15~約30MPaおよび約30~約80℃下にあ 耐圧容器中に約10~約20mL/分の噴霧速度で導入 される当該圧力および当該温度下の二酸化炭 素とともに、当該耐圧容器中に噴霧する工程 を経て、次いで(2)工程(1)により調製された混 合溶液をさらに水中に噴霧する工程、および (3)工程(2)により調製された懸濁液から凍結乾 燥もしくは噴霧乾燥によって回収する工程に よって製造され、化合物1またはその塩のみ らなり、約0.1~約10μmの平均粒子径を有し、 つ約35%以上の肺移行率を有するものである
 なお、工程(1)においては、例えば、化合物1 またはその塩の有機溶媒溶液を、超臨界二酸 化炭素または亜臨界二酸化炭素とともに、超 臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素を満 たした耐圧容器中に噴霧してもよい。

 本明細書における「超臨界二酸化炭素」 るいは「超臨界状態の二酸化炭素」とは、 界圧(7.38MPa)および臨界温度(31.1℃)以上の圧 および温度下にある二酸化炭素を意味し、 亜臨界二酸化炭素」あるいは「亜臨界状態 二酸化炭素」とは、超臨界二酸化炭素と同 の作用効果が得られるものであり、温度(ケ ルビン単位)が臨界温度の0.65倍以上であり、 つ圧力が臨界圧力の0.65倍以上である二酸化 炭素をいう。

 本発明における「平均粒子径」とは、粒子 が径の不均一な多くの粒子から構成される 合に、その粒子群を代表させる粒子径を表 す。平均粒子径には個数平均径、長さ平均 、面積平均径、体積平均径等の重みづけ平 等があるが、本発明では体積平均径を表わ 、50%径(D50)が用いられる。
 例えば、約0.1mgの試料を約0.3MPaの分散圧で 中に分散させて、レーザー回折粒度分布測 装置LDSA-3400A(東日コンピュータアプリケーシ ョンズ株式会社)を用いて測定される粒子径 挙げられる。

 本発明の微粒子の平均粒子径は、約0.1~約 10μmであり、好ましくは約1~約7μmであり、さ に好ましくは約2.5~約5μmである。

 本発明における「肺移行率」は、空気力学 粒径(空気力学径)を指標として測定するこ ができる。ここで、空気力学的粒径とは、 の粒子と沈降速度が同じで、密度が1g/cm 3 であり、かつ球形である粒子の直径と定義さ れる。前記空気力学的粒径は、当該分野で公 知の方法、例えば、慣性衝突法等によって測 定することができる。
 ここで、慣性衝突法による空気力学的粒径 測定機器としては、例えば、カスケードイ パクターやツイン・インピンジャー等が挙 られる。カスケードインパクターとは、第2 8改正米国薬局方に掲載されている吸入製剤 粒子径評価装置であり、第28改正米国薬局方 に従い操作することができ、具体的には、後 述する測定法2に記載の方法により肺移行率 算出することができる。一方、ツイン・イ ピンジャーは、欧州薬局方2.9.18章に掲載さ ている吸入製剤の粒子径評価装置であり、 該欧州薬局方に従い操作することができ、 体的には、後述する測定法3に記載の方法に り肺移行率(以下、イン・ビトロ肺移行率と もいう)を算出することができる。

 本発明の経肺吸入用製剤に用いる微粒子と て好ましい空気力学的粒径は、約0.01~約10μm であり、より好ましくは約0.01~約4.7μmである
 本発明の微粒子の肺移行率としては、約35% 上であり、好ましくは約40%以上であり、よ 好ましくは約50%以上である。

 本発明の微粒子の製造に適用され得る方法 、概略、(1)試料成分の有機溶媒溶液を、二 化炭素が超臨界または亜臨界状態で存在し る圧力および温度下の耐圧容器中に、所定 噴霧速度で導入される超臨界または亜臨界 態の二酸化炭素とともに、当該耐圧容器中 噴霧し、
(2)工程(1)により調製された混合溶液をさらに 水中に噴霧して、さらに、
(3)工程(2)により調製された懸濁液から、凍結 乾燥もしくは噴霧乾燥によって回収する工程 からなる。なお、工程(1)においては、例えば 、試料成分を、超臨界二酸化炭素または亜臨 界二酸化炭素とともに、超臨界二酸化炭素も しくは亜臨界二酸化炭素を満たした耐圧容器 中に噴霧してもよい。

 さらに、当該製造方法を、本発明に係る 合物1またはその塩の微粒子の製造に適用す る場合、(1)化合物1もしくはその塩の有機溶 溶液を、約15~約30MPaおよび約30~約80℃下にあ 耐圧容器中に約10~約20mL/分の噴霧速度で導 される当該圧力および当該温度下の二酸化 素とともに、当該耐圧容器中に噴霧する工 を経て、次いで(2)工程(1)により調製された 合溶液をさらに水中に噴霧し、さらに(3)工 (2)により調製された懸濁液から凍結乾燥も くは噴霧乾燥によって回収する工程により 施される。なお、本発明に係る当該製造方 は、化合物1またはその塩からなる微粒子の 造方法に限られない。

 本発明の微粒子の製造方法は、例えば、図1 に挙げる装置によって実施できる。
 図1は、本発明に係る微粒子を製造し得る超 臨界流体晶析装置の一例を示す図である。
 図1における装置は、(i)二酸化炭素ボンベ(1) から二酸化炭素を送液する超臨界二酸化炭素 送液ポンプ(2)(例えば、SCF-Get型インテリジェ ト超臨界二酸化炭素送液ポンプ(日本分光社 ))を備えた超臨界二酸化炭素系配管(符号a)と 料溶液容器(3)から試料溶液を送液する試料 器送液ポンプ(4)(例えば、PU-2080型インテリ ェントHPLCポンプ(日本分光社))を備えた試料 配管(符号b)とが接続された混合ノズル(6)を えた耐圧容器(8)と、(ii)当該耐圧容器内の二 酸化炭素を超臨界もしくは亜臨界状態で存在 し得る温度に設定できるマグネチックスター ラ付高温槽(5)(例えば、SCF‐Sro型スターラ付 オーブン(日本分光社))と、(iii)予め蒸留水が 入れられた試料(晶析物)回収容器(13)と、(iv) 該耐圧容器および当該試料(晶析物)回収容器 に超臨界二酸化炭素・試料混合流体系配管( 号c)を介して接続されたバック・プレッシャ ー・レギュレーター(11)(Back Pressure Regulator)( えば、SCF-Bpg型作動圧力プログラマブルバッ クプレッシャーレギュレータ(日本分光社))に より構成される。

 ここで、混合ノズル(6)としては、例えば 図2に示したノズルを使用することができる 。図2に示すように、当該混合ノズルは、試 溶液噴霧ノズルdとその外側を囲繞するよう 設けられた同軸円筒状の超臨界二酸化炭素 霧ノズルeとを備え、ノズルdに対してノズ eは先端がやや突出した位置関係になるよう 備え付けられている。図中のノズルeの外径 は約1.58mmおよび内径は約0.8mmが好ましく、ノ ルdの外径は約0.35mmおよび内径は約0.25mmが好 ましい。また、図2に示したノズルdとノズルe の開口部の先端縁同士の間隔は約1mmが好まし い。

 バック・プレッシャー・レギュレーター 、当該耐圧容器内の二酸化炭素が超臨界も くは亜臨界状態に保持されるように調節可 であるとともに、かかる二酸化炭素と試料 液の混合液を当該試料(晶析物)回収容器中 蒸留水中に送給する装置である。なお、図1 おいて、(7)はマグネチックスターラバー、( 9)および(10)はコイル、(12)は水浴(例えば、投 込み式恒温水槽NTT-2100型(東京理科器械社)) ある。

 図1に示した装置で本発明の微粒子を製造 するには、まず、マグネチックスターラ付高 温槽(5)によって、耐圧容器(8)内の温度を二酸 化炭素が超臨界または亜臨界状態で存在し得 る温度(例えば、約30~約80℃)とする。次いで 当該耐圧容器内に二酸化炭素を送出し、容 に設置したバック・プレッシャー・レギュ ーター(11)を調節(ヒータジャケット温度;約70 ℃、ニードル応答速度;Slow)して、二酸化炭素 が超臨界または亜臨界状態で存在しうる圧力 (例えば、約15~約30MPa)に保持する。超臨界ま は亜臨界状態の二酸化炭素および化合物1も くはその塩の有機溶媒溶液を、それぞれ超 界二酸化炭素系配管(符号a)および試料系配 (符号b)を通じて、混合ノズル(6)からそれぞ 約10~約20mL/分と約0.01~約5mL/分の噴霧速度で 圧容器内に噴霧する。同時に、耐圧容器内 マグネチックスターラバー(7)を用いて、当 二酸化炭素および化合物1もしくはその塩の 機溶媒溶液を混合しつつ、得られた混合液 超臨界二酸化炭素・試料混合流体系配管(符 号c)を通じて、バック・プレッシャー・レギ レーターにより試料(晶析物)回収容器(13)の 留水(例えば、約30℃下)中に噴霧し、開放す ることで晶析させる。さらに、その晶析物の 懸濁液を、例えば、凍結乾燥することによっ て粉末化することができる。

 ここで、耐圧容器(8)内および超臨界二酸化 素の圧力と温度の組合せとして好ましくは 例えば、約15~約20MPaおよび約30~約40℃ならび に約20~約25MPaおよび約30~約80℃であり、より ましくは、約25MPaおよび約30~約40℃であり、 らに好ましくは約25MPaおよび約40℃である。
 超臨界二酸化炭素の混合ノズルからの噴霧 度は、例えば、約10~約20mL/分であり、好ま くは約14mL/分である。一方、化合物1または の塩の有機溶媒溶液の混合ノズルからの噴 速度は、例えば、約0.01~約5mL/分であり、好 しくは約0.05~約1mL/分であり、より好ましく 約0.1~約0.5mL/分であり、さらに好ましくは約0 .1mL/分である。

 化合物1またはその塩の有機溶媒溶液の有 機溶媒としては、化合物1またはその塩を溶 し得る溶媒であればよいが、好ましくは水 性有機溶媒(例えば、エタノール、メタノー またはアセトン)であり、より好ましくはエ タノールである。また、その有機溶媒溶液中 の化合物1またはその塩の濃度は、例えば、 4~約70mg/mLであり、好ましくは約10~約60mg/mLで り、より好ましくは約20~約60mg/mLであり、さ らに好ましくは約40mg/mLである。

 本発明の経肺吸入用製剤は常法により製 でき、例えば、有効成分である化合物1を含 有する微粒子を、薬理学的に許容される添加 剤等とともに均一な混合物として製造しても よい。ここで、薬理学的に許容される添加剤 等としては、例えば、本発明の微粒子を肺に 移行させるためのキャリアーが挙げられる。 ここで、キャリアーは、吸入器から気道内に 噴霧される際に、薬物粒子を気管、気管支等 の下気道にまで到達させる一方、自らは口腔 、咽頭あるいは喉頭に留まり、肺へと移行し にくいものが選択され、例えば、糖質が挙げ られる。

 本発明で使用できる糖質としては、糖類( 単糖類、二糖類および多糖類等)、糖アルコ ル、その他のポリオール等が含まれる。糖 としては乳糖、ブドウ糖、果糖、トレハロ ス、ショ糖、ラフィノース、メレジトース が好ましく、糖アルコールとしてはラクチ ール、マルチトール、D-マンニトール等が好 ましく、その他プルラン、デンプン等も好ま しい。乳糖としては吸入用乳糖が好ましく、 例えば、ラクトヘールLH300、ラクトヘールLH20 0、ラクトヘールLH100(いずれも商品名、フリ スランド・フーズ・ドモ社)が挙げられる。 た、それ以外の乳糖として、450M DMV乳糖、3 25M DMV乳糖、レスピトース(いずれも商品名、 DMVインターナショナル社)、200M NZ乳糖(商品 、フォンテラ社)、プリズマラック40、カプ ラック60、サチェラック80、スフェロラック1 00、インハラック70、インハラック120、イン ラック230、グラニュラック70、グラニュラッ ク140、グラニュラック200、グラニュラック230 (いずれも商品名、メグルファルマ社)等も好 しく使用できる。なお、キャリアーとして いる場合の糖質の平均粒子径は、約1~約150μ mが好ましく、約1~約50μmがより好ましい。

 さらに、本発明の経肺吸入用製剤は、製 基剤、例えば、界面活性剤、分散補助剤、 形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、崩壊補助 、増粘剤、懸濁化剤、乳化剤、矯味剤、保 剤、安定化剤、pH調節剤、抗酸化剤、清涼 剤、離型剤等を含有していてもよく、これ を一種以上適宜配合して用いることができ 。

 ここで、界面活性剤としては、例えば、 デシル硫酸ナトリウム、オレイン酸、ジエ レングリコールジオレエート、テトラヒド フルフリルオレエート、エチルオレエート イソプロピルミリステート、グリセリルト オレエート、グリセリルモノラウレート、 リセリルモノオレエート、グリセリルモノ テアレート、グリセリルモノリシノレエー 、セチルアルコール、ステアリルアルコー 、ポリエチレングリコール400、セチルピリ ニウムクロリド、ソルビタントリオレエー (商品名スパン85)、ソルビタンモノオレエー ト(商品名スパン80)、ソルビタンモノラウエ ト(商品名スパン20)、ポリオキシエチレン硬 ヒマシ油(商品名HCO-60)、ポリオキシエチレ (20)ソルビタンモノラウレート(商品名ツイー ン20)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモ オレエート(商品名ツイーン80)、天然資源由 のレシチン(商品名エピクロン)、オレイル リオキシエチレン(2)エーテル(商品名ブリジ9 2)、ステアリルポリオキシエチレン(2)エーテ (商品名ブリジ72)、ラウリルポリオキシエチ レン(4)エーテル(商品名ブリジ30)、オレイル リオキシエチレン(2)エーテル(商品名ゲナポ 0-020)、オキシエチレンとオキシプロピレン のブロック共重合体(商品名シンペロニック )、ステアリルトリエタノールアミン、塩化 ンザルコニウム、塩化ベンゾトニウム、モ ステアリン酸グリセリン、ポリソルベート が挙げられる。

 分散補助剤としては、上記の界面活性剤 それ以外として、例えば、ヒドロキシプロ ルセルロース、アラビアゴム、エタノール カルボキシビニルポリマー、カルメロース トリウム、カンテン末、クエン酸、クエン ナトリウム、グリセリン、ケイ酸マグネシ ム、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、合 ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、ショ糖 肪酸エステル、水酸化ナトリウム、ステア ン酸、ステアリン酸マグネシウム、レシチ 、D-ソルビトール、低置換度ヒドロキシプ ピルセルロース、デキストリン、トウモロ シデンプン、トリオレイン酸ソルビタン、 糖、濃グリセリン、バレイショデンプン、 ドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプ ピルメチルセルロース、プロピレングリコ ル、プロピレングリコール脂肪酸エステル ポビドン、ポリエチレングリコール300、ポ エチレングリコール4000、ポリエチレングリ ール6000、ポリオキシエチレンノニルフェニ ルエーテル、マクロゴール、ミリスチン酸イ ソプロピル、メチルセルロース、流動パラフ ィン、リン酸水素カルシウム等が挙げられる 。

 賦形剤としては、例えば、白糖、乳糖、D- ンニトール、澱粉、コーンスターチ、結晶 ルロース、ブドウ糖、マンニット、ソルビ ト、マルトース、軽質無水ケイ酸等が挙げ れる。
 結合剤としては、例えば、結晶セルロース D-マンニトール、デキストリン、澱粉、メ ルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロ ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリ ール、ゼラチン、カルボキシメチルセルロ スナトリウム、白糖、ショ糖等が挙げられ 。

 滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マ ネシウム、ステアリン酸カルシウム、軽質 水ケイ酸、タルク、ドデシル硫酸ナトリウ 、コロイドシリカ等が挙げられる。
 崩壊剤および崩壊補助剤としては、例えば 澱粉、カルボキシメチルセルロース、カル キシメチルセルロースカルシウム、クロス ルメロースナトリウム、カルボキシメチル ターチナトリウム、L-ヒドロキシプロピル ルロース等が挙げられる。

 増粘剤としては、例えば、グリセリン、 価アルコール(マクロゴール等)、メチルセ ロース、カルボキシメチルセルロース、カ ボキシメチルセルロースナトリウム、ヒド キシプロピルメチルセルロース、ヒドロキ メチルセルロース、ヒドロキシエチルセル ース、ヒドロキシプロピルセルロース、ア ギン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸、 クロデキストリン、カルボキシビニルポリ ー等が挙げられる。

 懸濁化剤および乳化剤としては、例えば 上記界面活性剤やそれ以外として、多価ア コール(例えば、マクロゴール等)、ソルビ ール、D-マンニトール、蔗糖、メチルセルロ ース、カルボキシメチルセルロース、カルボ キシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキ シプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメ チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー ス、ヒドロキシプロピルセルロース、コンド ロイチン硫酸、ポリビニルアルコール、ポリ ビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマ ー、トリオレイン酸ソルビタン等が挙げられ る。

 矯味剤としては、例えば、クエン酸、メン ール、グリチルリチンアンモニウム塩、グ シンおよびオレンジ粉末等が挙げられる。
 保存剤としては、例えば、安息香酸ナトリ ム、亜硫酸水素ナトリウム、パラベン、メ ルパラベン、エチルパラベン、プロピルパ ベン、ブチルパラベン、塩化ベンザルコニ ム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロ ヘキシジン、塩化セチルピリジウム、クロ ブタノール、ベンジルアルコール、フェネ ルアルコール、デヒドロ酢酸ナトリウム、 ルビン酸、ソルビン酸ナトリウム、パラク ルメトキシフェノール、パラクロルメタク ゾール等が挙げられる。

 安定化剤としては、例えば、クエン酸、 エン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜 酸水素ナトリウム、メタ亜硫酸水素ナトリ ム、チオ硫酸ナトリウム、ロンガリット、 オグリセロール、チオグリコール酸、チオ 酸、システイン、グルタチオン、チオ酢酸 メチオニン、チオソルビトール、チオグル ース、チオ尿素、ホウ酸、ホウ砂、リン酸 メタリン酸、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナ リウム、ギ酸、シュウ酸、酒石酸、クエン 、エデト酸、エデト酸ナトリウム、アセタ ド、ジエチルアセトアミド、ニコチン酸ア ド、尿素、バルビタール、グリコール、プ ピレングリコール、グリセリン、ポリエチ ングリコール、ブドウ糖、アスコルビン酸 フェノール、チモール、キノン、クマロン イソクマロン、ジブチルヒドロキシトルエ 、グリシン、グルタミン酸、リジン、フェ ルアラニン、カゼイン、エデスチン等が挙 られる。

 pH調節剤としては、例えば、水酸化ナトリ ム、水酸化カリウム、リン酸三ナトリウム リン酸水素二ナトリウム、塩酸、硫酸、硝 、クエン酸、ホウ酸、酢酸等が挙げられる
 抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸塩、ア コルビン酸、クエン酸、エデト酸ナトリウ 等が挙げられる。
 清涼化剤としては、例えば、l-メントール dl-メントール、カンファー、ハッカ水等が げられる。

 その他、本発明の微粒子を含有する製剤 芳香剤、防湿剤、共力剤、防腐剤、噴射剤 流動化剤、可塑剤または緩衝剤等とともに いることができる。

 本発明の経肺吸入用製剤は、例えば、エ ロゾル剤、加圧式定量噴霧式吸入剤または 入用粉末剤等として使用することができ、 れぞれの製剤において、用時吸入器に装填 るカプセルもしくはブリスターに充填され いてもよく、あるいはそのまま吸入器の薬 貯蔵タンク等の容器に充填されていてもよ 。

 本発明において使用するための好適なカ セルは、例えば、市販のもの(例えば、カプ スゲル社、クオリカプス社等が提供するゼラ チンカプセル、ポリエチレングリコール配合 ゼラチンカプセル、ヒドロキシプロピルメチ ルセルロースカプセル等)を用いることがで る。カプセルの材質として、具体的には、 えば、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチ セルロース、ヒドロキシエチルセルロース ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキ エチルメチルセルロース、プルラン等が挙 られる。

 本明細書中で使用する「吸入器」として 特に限定されないが、「粉末吸入器」が好 しい。「粉末吸入器」とは、患者の自発的 呼吸により当該装置内に入っている薬物製 を分散およびエアロゾル化する吸入装置(受 動乾燥粉末吸入器)を意味し、そして薬物製 を分散およびエアロゾル化するためにエネ ギーを提供するための手段、例えば、圧縮 スおよび振動または回転要素を含んでなる 入装置(活性乾燥粉末吸入器)を含んでいても よい。

 粉末吸入器としては微粒子を水分から保 し、そして過度に投与される危険のない設 によるものが好ましい。さらに化合物1を安 定に維持すること、吸収部位である肺への高 沈積、投与量による誤差を最小化し、口内で の貯留を最小限とすること、粉末吸入器への 付着が少ないこと、吸入抵抗が少ないこと、 また粉末剤をカプセルもしくはブリスターに 入れて粉末吸入器より服用する場合にはカプ セルもしくはブリスターへの微粒子の付着が 少ないこと等が所望される。かかる粉末吸入 器としては、特に限定されないが、例えば、 モノヘラー、ジェットヘラー、スピンヘラー 、ディスクヘラー、イーヘラー、イージーヘ ラー、タービュヘラー、ロトヘラー、ウルト ラヘラー、ハンディヘラー、タイフン、アキ ュヘラー、スカイヘラー、ツイストヘラー、 ベッドヘラー、ジャイロヘラー、ノボライザ ー、ブリスターインヘラー、ダイレクトヘラ ー等の各種吸入器が挙げられる。

 本発明の経肺吸入用製剤は、エアロゾル とすることもできる。エアロゾル剤とは、 射剤(例えば、代替フロン、液化ガス噴射剤 (例えば、フッ化炭化水素、液化石油、ジエ ルエーテル、ジメチルエーテル等)、圧縮ガ (例えば、可溶性ガス(例えば、炭酸ガス、 酸化窒素ガス等)、不溶性ガス(例えば、窒素 ガス等)等)に加圧下で薬物の溶液、乳化液あ いは懸濁液を噴射装置(バルブ)のついた加 式定量噴霧吸入器(pMDI)と呼ばれる加圧容器 充填し、用時ガスの圧力によって霧状、泡 状、粉末状に噴出される製剤をいう。投与 は、噴射剤が加圧下のpMDIから開放されると 射剤が気化し、溶解・分散していた薬物が 常薬物の微粒子粉末となって気道内に沈着 る。

[医薬品への適用]
 本発明の微粒子は経肺吸入用製剤の原末と て有用である。すなわち、本発明にかかる 合物1は優れたN型カルシウムチャネル阻害 用を示し、さらに、その微粒子は高い肺移 性を有することから、例えば、疼痛(例えば 神経因性疼痛、癌性疼痛、難治性疼痛、術 痛等)等の予防および/または治療剤として 用できる。

 本発明を以下の実施例および比較例によ て具体的に説明するが、本発明は以下の実 例によって限定されるものではない。

比較例1(有機溶媒噴霧乾燥法によ 粒子の製造)
 化合物1(1.5g)をエタノール(48.5g)に溶解させ 、ミニスプレードライヤーB-290 GS310(日本ビ ッヒ社)(入熱温度90℃、排熱温度55~62℃、ア ピレーター流量38m 3 /時間、送液速度2g/分、噴霧空気流量240.4L/時 )で噴霧乾燥し、粒子例1(0.55g)を得た。得ら た粒子の平均粒子径およびイン・ビトロ肺 行率を後述する測定法により測定し、その 果を表1に示した。

比較例2(球形晶析法による粒子の 造)
 化合物1(200mg)をエタノール(5mL)に溶解させて 、蒸留水(100mL)に攪拌下滴下(攪拌速度400rpm、 下速度2mL/分)し、遠心分離(遠心分離速度20,0 00rpm、10分)した。得られたペレットを蒸留水 にて再分散させ、再度、遠心分離、再分散 行った。得られた懸濁液を-90℃下で3時間予 備凍結し、凍結乾燥機FD‐81型(東京理科器械) で凍結乾燥し、粒子例2(150mg)を得た。得られ 粒子の平均粒子径およびイン・ビトロ肺移 率を後述する測定法により測定し、その結 を表1に示した。

比較例3(SEDS法による粒子の製造)
 温度80℃および圧力10MPaに保った超臨界二酸 化炭素(50mL)中に、超臨界二酸化炭素(噴霧速 ;14mL/分)とともに化合物1(200mg)をエタノール(5 mL)に溶解させた溶液(送液速度;0.1mL/分)を混合 ノズルから噴霧し、晶析を開始した。晶析終 了後、試料送液ポンプを止め、30分以上二酸 炭素を流し続けることで晶析物を乾燥させ 粒子例3(120mg)を得た。得られた粒子の平均 子径およびイン・ビトロ肺移行率を後述す 測定法により測定し、その結果を表1に示し 。

比較例4
 図1に示す超臨界流体晶析装置の耐圧容器(8) を25MPaの圧力、40℃の温度に設定した後、同 器に二酸化炭素を送液した。容器内の温度 よび圧力が定常状態に達した後、14mL/分の噴 霧速度で同容器内に導入する当該二酸化炭素 とともに、混合ノズル(6)を通じて、40mg/mLの 合物1のエタノール溶液を、0.1mL/分の噴霧速 で導入することによって、当該二酸化炭素 混合した。その混合溶液を、バック・プレ シャー・レギュレーター(11)から30℃に保持 た試料回収容器(13)内の気中に噴射し、試料 回収容器内に蒸留水を加え、バス型超音波装 置にて5分間、晶析物を懸濁させた。-80℃下 3時間予備凍結し、凍結乾燥させた後、粒子 4を得た。得られた粒子の平均粒子径および イン・ビトロ肺移行率を後述する測定法によ り測定し、その結果を表1に示した。

実施例1(超臨界二酸化炭素を用い 微粒子の製造)
 図1に示す超臨界流体晶析装置を用い、以下 に詳述する方法によって、本発明の化合物1 らなる微粒子を製造した。
 耐圧容器(8)を15、20または25MPaの各圧力で、3 0、40または80℃の各温度に設定した後、同容 に二酸化炭素を送液した。容器内の温度お び圧力が定常状態に達した後、各々10、14ま たは20mL/分の噴霧速度で同容器内に導入する 該二酸化炭素とともに、混合ノズル(6)を通 て、40mg/mLの化合物1の各有機溶媒溶液(エタ ール、メタノールおよびアセトン)を0.1mL/分 の噴霧速度で導入することによって当該二酸 化炭素と混合した。その混合溶液を、バック ・プレッシャー・レギュレーター(11)から30℃ に保持した試料回収容器(13)内の蒸留水中に 射し、晶析物を得た。晶析が終了した後、 析物の懸濁液をバス型超音波装置にて5分間 懸濁した。-80℃下で3時間予備凍結し、凍結 乾燥した後、微粒子を得た。得られた粒子の 平均粒子径およびイン・ビトロ肺移行率を後 述する測定法により測定し、その結果の一部 を表1~4に示した。
 なお、耐圧容器内の圧力が25MPa、温度が40℃ 、二酸化炭素の噴霧速度が14mL/分および有機 媒がエタノールである条件下で製造された 粒子を粒子例Aとする。

(測定法)
 以下に各粒子の平均粒子径およびイン・ビ ロ肺移行率の測定法を示す。
測定法1:平均粒子径の測定
 各粒子の平均粒子径は、各粒子0.1mgを0.3MPa て気中に分散させて、レーザー回折粒度分 測定装置LDSA-3400A(東日コンピュータアプリケ ーションズ株式会社)を用いて測定した。

測定法2:カスケードインパクター 用いたイン・ビトロ肺移行率の測定
 肺移行性の評価は、イン・ビトロにおいて カスケードインパクターを用いることによ て実施できる。ヒドロキシプロピルメチル ルロース(HPMC)カプセル(2号)に対して、比較 1の粒子が20mgとなるように充填した。これ モノヘラー(ミアット社)に装填し、カスケー ドインパクターにて吸入速度60L/分で4秒間吸 した。なお、カスケードインパクターは第2 8改正米国薬局方に掲載されている吸入製剤 粒子径評価装置であり、基本的な操作方法 第28改正米国薬局方に従って行った。
 カプセル、インダクションポート、プレセ レーター、ステージ0、ステージ1、ステー 2、ステージ3、ステージ4、ステージ5、ステ ジ6、ステージ7およびフィルターの12分画に おける化合物1の残存量および到達量を高速 体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて定量し また吸入器における残存量は質量変化分よ 計算した。イン・ビトロ肺移行量として、4. 7μm以下の粒子が堆積するステージ3、ステー 4、ステージ5、ステージ6、ステージ7および フィルターの6分画を肺到達分として、微粒 の総量およびイン・ビトロ肺移行率を算出 た。

測定法3:ツイン・インピンジャー 用いたイン・ビトロ肺移行率の測定
 ツイン・インピンジャーでイン・ビトロで 肺移行率を求めた。試験に先立ち、ステー 1の衝突チャンバーには7mL、ステージ2の衝 チャンバーには30mLのメタノールを添加した ゼラチンカプセル(2号)に、比較例2~4の各粒 及び実施例1の各条件下における各微粒子が 10mgとなるように充填した。これをスピンヘ ー(ファイソンズ社)に充填し、ツイン・イン ピンジャーにて吸入速度60L/分で5秒間吸入し 。なお、ツイン・インピンジャーは欧州薬 方2.9.18章に掲載されている吸入製剤の粒子 評価装置であり、基本的な操作方法は欧州 局方に従って行った。
 カプセル、スピンヘラー、スロート、ステ ジ1、およびステージ2における粒子の残存 および到達量をHPLCで定量した。ステージ2に 到達した微粒子を肺到達分として、微粒子の イン・ビトロ肺移行率(各微粒子の回収量に するステージ2到達量の割合)を算出した。

(測定結果)
 表1は、比較例1~4および本発明の微粒子であ る粒子例Aの平均粒子径(D50;μm)と、イン・ビ ロ肺移行率(%)を示す。
 本発明の微粒子である粒子例Aの平均粒子径 は、従来の製造法のもの(粒子例1~4)と同程度 あったが、そのイン・ビトロ肺移行率は著 く改善された。

 表2は、実施例1での耐圧容器内および超臨 二酸化炭素の各圧力および各温度における ン・ビトロ肺移行率(%)を表わす。なお、本 験における二酸化炭素の噴霧速度は14mL/分で あり、有機溶媒はエタノールである。また、 当該表中の括弧中の値は平均粒子径(D50;μm)を 表わす。

 表3は、実施例1での耐圧容器内への二酸化 素の各噴霧速度(mL/分)における微粒子の平均 粒子径(D50;μm)およびイン・ビトロ肺移行率(%) を表わす。なお、本実験における耐圧容器内 および二酸化炭素の圧力は25MPaであり、温度 40℃であり、有機溶媒はエタノールである

 表4は、実施例1において各水溶性有機溶媒 使用した場合における微粒子の平均粒子径(D 50;μm)およびイン・ビトロ肺移行率(%)を表わ 。なお、本実験において、耐圧容器内およ 二酸化炭素の圧力は25MPaであり、温度は40℃ あり、二酸化炭素の噴霧速度は14mL/分であ 。
 また、各表中における「-」は実施結果がな いことを示す。

 表5は、実施例1において、化合物1の各濃度 エタノール溶液におけるイン・ビトロ肺移 率(%)を表わす。なお、本実験において、耐 容器内および二酸化炭素の圧力は25MPaであ 、温度は40℃であり、二酸化炭素の噴霧速度 は14mL/分であり、化合物1のエタノール溶液の 噴霧速度は0.1mL/分である。

 表6は、実施例1において、化合物1のエタノ ル溶液の各噴霧速度におけるイン・ビトロ 移行率(%)を表わす。なお、本実験において 耐圧容器内および二酸化炭素の圧力は25MPa あり、温度は40℃であり、二酸化炭素の噴霧 速度は14mL/分であり、化合物1のエタノール溶 液の濃度は40mg/mLである。

 本発明の微粒子は、優れた肺移行性を示 、経肺吸入用製剤の製造に用いることがで る。さらに、その経肺吸入用製剤は、化合 1またはその塩のN型カルシウムチャネル阻 作用により、疼痛等の治療および/または予 に有用である。