Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
FLAKE GRAPHITE AND MANUFACTURING METHOD THEREFOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175504
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are: flake graphite that does not readily fold in or curl and does not readily corrode an electrode when used in an electrode material; and a manufacturing method for said flake graphite. The flake graphite is graphene or a laminate of graphene sheets, wherein: a ratio 2D/G being a peak area ratio between the 2D band and the G band of a Raman spectrum is 0.5-5.0 when the Raman spectrum of the flake graphite is measured using Raman spectroscopy; and the halogen content ratio in the flake graphite is no more than 1000 ppm.

Inventors:
FUKUI HIROJI (JP)
NAKASUGA AKIRA (JP)
TOYODA MASAHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/007576
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 26, 2020
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
SEKISUI CHEMICAL CO LTD (JP)
UNIV OITA (JP)
International Classes:
C01B32/225; C01B32/19; H01G11/36; H01M4/36; H01M4/587; G01N21/65
Domestic Patent References:
WO2017065067A12017-04-20
Foreign References:
JP2015105200A2015-06-08
US20170203968A12017-07-20
KR20130037329A2013-04-16
JP2005272555A2005-10-06
CN107082421A2017-08-22
US6149972A2000-11-21
CN102583350A2012-07-18
Other References:
KIM, J. ET AL.: "Extremely large, non-oxidized graphene flakes based on spontaneous solvent insertion into graphite intercalation compounds", CARBON, vol. 139, 30 June 2018 (2018-06-30), pages 309 - 316, XP085494361, DOI: 10.1016/j.carbon.2018.06.071
YOSHITANI, H. ET AL.: "Preparation of few-layered graphene using Graphite Intercalation Compounds (GICs", RECENT PROGRESS IN GRAPHENE & 2D MATERIALS RESEARCH, PROGRAM E-BOOK, 9 October 2019 (2019-10-09), pages 9p-59, XP055734769, Retrieved from the Internet [retrieved on 20200402]
See also references of EP 3932863A4
Attorney, Agent or Firm:
MIYAZAKI & METSUGI (JP)
Download PDF:
Claims:
\¥0 2020/175504 18 卩(:17 2020 /007576

請求の範囲

[請求項 1 ] グラフエン又はグラフエンシートの積層体である、 薄片化黒鉛であ って、

ラマン分光法により前記薄片化黒鉛のラマンスペクトルを測定した ときに、 該ラマンスぺクトルの 2 0バンドと◦バンドとのピーク面積 比である比 2 0 / 0が、 〇. 5以上、 5 . 0以下であり、

前記薄片化黒鉛におけるハロゲンの含有率が、 1 0 0 0 以下 である、 薄片化黒鉛。

[請求項 2] 前記薄片化黒鉛の表面が、 カルボニル基を有する化合物に由来する 官能基により修飾されている、 請求項 1 に記載の薄片化黒鉛。

[請求項 3] 前記カルボニル基を有する化合物が、 アルデヒド誘導体である、 請 求項 2に記載の薄片化黒鉛。

[請求項 4] 前記アルデヒド誘導体が、 アルキルアルデヒドである、 請求項 3に 記載の薄片化黒鉛。

[請求項 5] アルゴンガス雰囲気下、 2 3 °〇〜3 0 0 °〇の温度範囲、 及び昇温速 度 2 °〇/分で、 前記薄片化黒鉛の熱重量分析をしたときに、 重量損失 が、 1 . 〇重量%以上、 5 0重量%以下である、 請求項 1〜 4のいず れか 1項に記載の薄片化黒鉛。

[請求項 6] 前記薄片化黒鉛におけるグラフエンシートの積層数が、 1層以上、

1 5層以下である、 請求項 1〜 5のいずれか 1項に記載の薄片化黒鉛

[請求項 7] 黒鉛のグラフエン層間に少なくともアルカリ金属がインターカレー 卜された黒鉛層間化合物を用意する工程と、

前記黒鉛層間化合物とカルボニル基を有する化合物とを混合するこ とにより、 前記黒鉛を剥離して薄片化黒鉛を得る工程と、

を備える、 薄片化黒鉛の製造方法。

Description:
\¥0 2020/175504 1 卩(:17 2020 /007576 明 細 書

発明の名称 : 薄片化黒鉛及びその製造方法

技術分野

[0001 ] 本発明は、 グラフエン又はグラフエンシートの積層体で ある、 薄片化黒鉛 及び該薄片化黒鉛の製造方法に関する。

背景技術

[0002] 従来、 樹脂の補強材料、 導電性材料、 あるいは熱伝導性材料として、 炭素 材料が広く用いられている。 近年では、 リチウムイオンニ次電池などの二次 電池やキャパシタなどの電極材料への利用が 検討されている。 このような炭 素材料としては、 黒鉛、 力ーボンナノチューブ、 薄片化黒鉛などが挙げられ る。 薄片化黒鉛とは、 黒鉛を剥離処理して得られるものであり、 元の黒鉛よ りも薄いグラフエン又はグラフエンシートの 積層体である。

[0003] 薄片化黒鉛の製造方法としては、 例えば、 黒鉛層間化合物 (◦ I 〇 を用 いた製造方法が知られている。 この方法では、 黒鉛のグラフエン層間にアル カリ金属をインターカレートする。 しかる後、 超音波処理や加熱処理などの 剥離処理により黒鉛を剥離する。 それによって、 薄片化黒鉛を得ることがで きる。

[0004] また、 下記の特許文献 1 には、 黒鉛のグラフエン層間に少なくともアルカ リ金属がインターカレートされた◦ 丨 〇と、 有機ハロゲン化合物とを混合す ることにより、 黒鉛を剥離して薄片化黒鉛を得る方法が開示 されている。 特 許文献 1では、 得られた薄片化黒鉛の表面の少なくとも一部 が、 有機ハロゲ ン化合物により被覆されることが記載されて いる。

先行技術文献

特許文献

[0005] 特許文献 1 :特開 2 0 1 7 - 1 9 6 9 5号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題 \¥0 2020/175504 2 卩(:170? 2020 /007576

[0006] しかしながら、 簡便な超音波処理や加熱処理などの従来方法 で得られた薄 片化黒鉛は、 グラフエンシートの積層数が少ないものが得 難く、 仮にグラフ エンシート積層数の少ない薄片化黒鉛が得ら れた場合でも、 樹脂中や溶媒中 に薄片化黒鉛を分散させようとすると、 薄片化黒鉛が折り込まれたり、 力一 ルしたりすることがある。 薄片化黒鉛が折り込まれたり、 力ールしたりする と、 例えば、 樹脂の機械的強度などの物性を高められない 場合がある。

[0007] また、 特許文献 1のように、 ◦ I 〇と有機ハロゲン化合物とを混合するこ とによって得られた薄片化黒鉛は、 例えば、 電極材料に用いた場合に、 電極 が腐食し易いという問題がある。

[0008] 本発明の目的は、 折り込まれたり、 力ールしたりし難く、 しかも電極材料 に用いた場合に電極を腐食させ難い、 薄片化黒鉛及び該薄片化黒鉛の製造方 法を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0009] 本願発明者らは、 鋭意検討した結果、 グラフエン又はグラフエンシートの 積層体である、 薄片化黒鉛において、 ラマンスペクトルの 2 0バンドと〇バ ンドとのピーク面積比である比 2口/〇及びハロゲンの含有率を特定の範囲 とすることにより、 上記課題を解決できることを見出し、 本発明をなすに至 った。

[0010] すなわち、 本発明に係る薄片化黒鉛は、 グラフエン又はグラフエンシート の積層体である、 薄片化黒鉛であって、 ラマン分光法により前記薄片化黒鉛 のラマンスぺクトルを測定したときに、 該ラマンスぺクトルの 2 0バンドと ◦バンドとのピーク面積比である比 2〇/〇が、 〇. 5以上、 5 . 0以下で あり、 前記薄片化黒鉛におけるハロゲンの含有率が 、 1 0 0 0 以下で ある。

[001 1 ] 本発明に係る薄片化黒鉛のある特定の局面で は、 前記薄片化黒鉛の表面が 、 カルボニル基を有する化合物に由来する官能 基により修飾されている。

[0012] 本発明に係る薄片化黒鉛の他の特定の局面で は、 前記カルボニル基を有す る化合物が、 アルデヒド誘導体である。 \¥0 2020/175504 3 卩(:170? 2020 /007576

[0013] 本発明に係る薄片化黒鉛のさらに他の特定の 局面では、 前記アルデヒド誘 導体が、 アルキルアルデヒドである。

[0014] 本発明に係る薄片化黒鉛のさらに他の特定の 局面では、 アルゴンガス雰囲 気下、 2 3 °0〜3 0 0 °〇の温度範囲、 及び昇温速度 2 °0/分で、 前記薄片化 黒鉛の熱重量分析をしたときに、 重量損失が、 1重量%以上、 5 0重量%以 下である。

[0015] 本発明に係る薄片化黒鉛のさらに他の特定の 局面では、 前記薄片化黒鉛に おけるグラフエンシートの積層数が、 1層以上、 1 5層以下である。

[0016] 本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法は、 黒鉛のグラフエン層間に少なくと もアルカリ金属がインターカレートされた黒 鉛層間化合物を用意する工程と 、 前記黒鉛層間化合物とカルボニル基を有する 化合物とを混合することによ り、 前記黒鉛を剥離して薄片化黒鉛を得る工程と 、 を備える。

発明の効果

[0017] 本発明によれば、 折り込まれたり、 力ールしたりし難く、 しかも電極材料 に用いた場合に電極を腐食させ難い、 薄片化黒鉛及び該薄片化黒鉛の製造方 法を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0018] [図 1]図 1は、 実施例 1で得られた薄片化黒鉛の断面における透過 子顕微鏡 (丁巳1\/〇 写真である。

[図 2]図 2は、 実施例 1で得られた薄片化黒鉛のラマンスぺクトル 示す図で ある。

[図 3]図 3は、 実施例 2で得られた薄片化黒鉛の断面における透過 子顕微鏡 (丁巳1\/〇 写真である。

[図 4]図 4は、 比較例 1で得られた薄片化黒鉛の断面における透過 子顕微鏡 (丁巳1\/〇 写真である。

[図 5]図 5は、 図 2における 2 0バンドのピーク付近を拡大して示す図であ

[図 6]図 6は、 実施例 3で得られた薄片化黒鉛の断面における透過 子顕微鏡 \¥0 2020/175504 4 卩(:170? 2020 /007576

(丁巳1\/1) 写真である。

[図 7]図 7は、 実施例 4で得られた薄片化黒鉛の断面における透過 子顕微鏡 (丁巳1\/1) 写真である。

発明を実施するための形態

[0019] 以下、 本発明の詳細を説明する。

[0020] [薄片化黒鉛]

本発明の薄片化黒鉛は、 グラフェン又はグラフェンシートの積層体で ある 。 本発明においては、 ラマン分光法により上記薄片化黒鉛のラマン スペクト ルを測定したときに、 該ラマンスぺクトルの 2 0バンドと◦バンドとのピー ク面積比である比 2 0 / 0が、 〇. 5以上、 5 . 0以下である。 また、 上記 薄片化黒鉛におけるハロゲンの含有率は、 1 0 0 0 以下である。

[0021] 本発明者らは、 ラマンスペクトルの 2 0バンドと◦バンドとのピーク面積 比である比 2〇/〇に着目し、 2〇/〇を上記特定の範囲とすることにより 、 薄片化黒鉛の平面構造を維持することができ 、 折り込まれたり力ールした りすることを抑制し得ることを見出した。 また、 同時に薄片化黒鉛のハロゲ ン含有率に着目し、 ハロゲン含有率を上記上限値以下とすること により、 電 極材料に用いた場合に生じる電極の腐食を抑 制し得ることを見出した。

[0022] 本発明の薄片化黒鉛は、 折り込まれたり、 力ールしたりし難いので、 樹脂 中での分散性に優れ、 樹脂の機械的強度等の物性を効果的に高める ことがで きる。 また、 樹脂中や溶媒中において平面構造を維持する ことができるので 、 ガスバリア性を高めることもできる。

[0023] また、 本発明の薄片化黒鉛は、 比 2〇/〇が上記特定の範囲にあるので、 構造上の欠陥も少ない。 そのため、 難燃性、 導電性、 及び熱伝導性が高めら れている。 さらに、 樹脂中や溶媒中において平面構造を維持する ことができ るので、 例えば、 電極材料に用いた場合に導電パスを形成しや すく、 この点 からも導電性を高めることができる。 加えて、 上述したように電極を腐食さ せ難い。 よって、 本発明の薄片化黒鉛は、 リチウムイオンニ次電池などの二 次電池やキャパシタなどの電極材料に好適に 用いることができる。 [0024] 本発明においては、 ラマンスペクトルの 2 Dバンドと Gバンドとのピーク 面積比である比 2 D/Gが、 0. 5以上、 好ましくは 1. 0以上、 5. 〇以 下、 好ましくは 3. 0以下、 より好ましくは 2. 0以下である。 比 2 D/G が上記下限値以上である場合、 薄片化黒鉛のグラフエン積層数をより一層少 なくすることができる。 また、 薄片化黒鉛の平面構造をより一層確実に維持 することができ、 折り込まれたり力ールしたりすることをより 一層確実に抑 制することができる。 比 2 D/Gが上記上限値以下である場合、 導電性や樹 脂の機械的強度等の物性をより一層効果的に 高めることができる。

[0025] 本発明において、 ラマンスペクトルは、 例えばレーザーラマン顕微鏡によ り、 3 1 00 c m -1 〜 700 c m- 1 の範囲で取得することができる。 レーザ —ラマン顕微鏡としては、 例えば、 H 0 R I BA社製、 品番 「L a b RAM ARAM I S」 や、 N a n o p h o t o n社製、 品番 「R am a n t o u c h」 を用いることができる。

[0026] ラマンスペクトルにおける 2 Dバンドのピークは、 薄片化黒鉛におけるグ ラフエンシートの層数、 歪み、 及び欠陥構造に由来するピークである。 上記 2 Dバンドのピークは、 通常、 ラマンスペクトルの 2650 c m- 1 〜 275 0 c m- i 付近に観察される。

[0027] 他方、 上記ラマンスペクトルにおける Gバンドのピークは、 炭素原子の六 員環構造の面内伸縮振動に由来するピークで ある。 上記 Gバンドのピークは 、 通常、 ラマンスぺクトルの 1 578 c m_ i 〜 1 592 c m_ i 付近に観察さ れる。

[0028] このような 2 Dバンドと Gバンドとのピーク面積比である比 2 D/Gは、 薄片化黒鉛におけるグラフエンシートの層数 、 歪み、 及び欠陥構造の指標と なる。 2 Dバンドと Gバンドとのピーク面積比である比 2 D/Gが大きいほ ど、 グラフエンシートの積層数が少なくなる傾向 がある。 また、 グラフエン シートの積層数が少なくとも、 薄片化黒鉛の平面構造をより一層確実に維持 することができ、 折り込まれたり力ールしたりすることをより 一層確実に抑 制することができる。 [0029] なお、 ラマンスペクトルにおける Dバンドのピークは、 欠陥構造に由来す るピークである。 上記 Dバンドのピークは、 通常、 ラマンスペクトルの 1 3 45 c m -1 〜 1 355 c m- 1 付近に観察される。

[0030] Dバンドと Gバンドとのピーク面積比である比 D/Gは、 薄片化黒鉛の欠 陥量の指標となる。 ロバンドと Gバンドとのピーク面積比であるが比 D/G が小さいほど、 薄片化黒鉛の欠陥量が少なくなる。

[0031] 従って、 本発明の薄片化黒鉛は、 比 D/Gが、 好ましくは 0. 8以下、 よ り好ましくは 0. 5以下である。 比 D/Gが上記上限値以下である場合、 薄 片化黒鉛の欠陥量をより一層少なくすること ができ、 導電性をより一層高め ることができる。 また、 比 D/Gの下限値は特に限定されないが、 例えば、 0. 01 とすることができる。

[0032] 本発明において、 薄片化黒鉛のハロゲン含有率は、 好ましくは 1 000 p pm以下、 より好ましくは 500 p p m以下である。 薄片化黒鉛のハロゲン 含有率が上記上限値以下であると、 電極材料に用いた場合に生じる電極の腐 食をより一層確実に抑制することができる。 また、 ハロゲン含有率の下限値 は特に限定されないが、 例えば、 0. 01 p p mとすることができる。

[0033] 本発明において、 ハロゲン含有率は、 例えば、 イオンクロマトグラフィー により測定することができる。

[0034] イオンクロマトグラフィーによるハロゲン含 有率の測定は、 例えば、 以下 のようにして測定することができる。

[0035] まず、 薄片化黒鉛に精製水を加え、 超音波処理を行うことにより分散液を 得る。 得られた分散液を遠心分離後、 濾過して濾液を得て、 それを検液とす る。 得られた検液を、 イオンクロマトグラフィー装置による測定に 供し、 ハ ロゲン含有率を求める。 イオンクロマトグラフィー装置としては、 例えば、 T h e r mo F i s h e r S c i e n t i f i c社製、 D I ON EX I CS- 1 500 (カラム: l o n P a c A S 23 A (分離カラム) ) を 用いることができる。

[0036] 本発明において、 薄片化黒鉛とは、 元の黒鉛を剥離処理して得られるもの \¥0 2020/175504 7 卩(:170? 2020 /007576

であり、 元の黒鉛よりも薄いグラフエン又はグラフエ ンシート積層体をいう 。 薄片化黒鉛は、 樹脂に少量添加することにより、 樹脂の物性を飛躍的に向 上させることができる。 従って、 薄片化黒鉛は、 いわゆるナノフイラーとし て用いることができる。

[0037] なお、 グラフエンシート積層体であるか否かは、 その X線回折スペクトル について、 〇リ 《線 (波長 1 . 5 4 1 ) を用いて測定したときに、 2 0 = 2 6 . 4度付近のピーク (グラフエン積層構造に由来するピーク) が観察 されるか否かにより確認することができる。 X線回折スペクトルは、 広角 X 線回折法によって測定することができる。 X線回折装置としては、 例えば、 (リガク社製) を用いることができる。

[0038] 薄片化黒鉛におけるグラフエンシートの積層 数は、 元の黒鉛より少なけれ ばよいが、 薄片化黒鉛におけるグラフエンシートの積層 数は、 1層以上であ る。 樹脂の引張弾性率等の機械的強度をより一層 効果的に高める観点から、 グラフエンシートの積層数は少ないほど望ま しい。 従って、 グラフエンシー 卜の積層数は、 好ましくは 1 5層以下、 より好ましくは 1 0層以下である。

[0039] 薄片化黒鉛の厚みは、 好ましくは 0 . 3 n 以上、 より好ましくは 1 n 以上、 好ましくは 以下、 より好ましくは 1 0 n 以下である。 薄片 化黒鉛の厚みが上記範囲内にある場合、 樹脂の引張弾性率等の機械的強度を より一層効果的に高めることができる。

[0040] 薄片化黒鉛の積層面方向における最大寸法は 、 好ましくは〇. 1 以上 、 より好ましくは 1 以上、 好ましくは 2 0 0 以下、 より好ましくは 1 0 0 以下である。 薄片化黒鉛の積層面方向における最大寸法が 上記下 限値以上である場合、 薄片化黒鉛の積層面に交差する方向に加わっ た外力に 対する補強効果をより一層高めることができ る。 また、 薄片化黒鉛の積層面 方向における最大寸法が上記上限値以下であ る場合、 補強材として用いた場 合に、 マトリックス材料 (樹脂 ·金属 ·セラミック等) へ充填したときに、 複合界面による破壊起点もしくは剥離起点と なりにくくなる。

[0041 ] 薄片化黒鉛の厚みに対する薄片化黒鉛の積層 面方向における最大寸法の比 \¥0 2020/175504 8 卩(:170? 2020 /007576

は、 アスペクト比で表される。 薄片化黒鉛のアスペクト比は、 好ましくは 1 0以上、 より好ましくは 1 0 0以上、 好ましくは 6 0 0 0 0 0以下、 より好 ましくは 1 0 0 0 0以下である。 薄片化黒鉛のアスぺクト比が上記下限値以 上である場合、 薄片化黒鉛の積層面に交差する方向に加わっ た外力に対する 補強効果をより一層高めることができる。 また、 薄片化黒鉛のアスペクト比 が大きすぎると、 効果が飽和してそれ以上の補強効果が望めな いことがある

[0042] なお、 薄片化黒鉛のアスペクト比は、 走査型電子顕微鏡写真 (3巳1\/1写真 ) 等を用いて求めることができる。

[0043] 本発明においては、 薄片化黒鉛の表面が、 カルボニル基を有する化合物に 由来する官能基により修飾されていることが 好ましい。 この場合、 薄片化黒 鉛が折り込まれたり力ールしたりすることを より一層抑制することができる 。 また、 エポキシ樹脂などの高極性の樹脂との相溶性 をより一層高めること ができる。 そのため、 薄片化黒鉛の樹脂中での分散性をより一層高 めること ができ、 薄片化黒鉛の少量の添加によっても、 樹脂の機械的物性をより一層 効果的に高めることができる。

[0044] カルボニル基を有する化合物は、 薄片化黒鉛にグラフトされていてもよい 。 なお、 薄片化黒鉛にカルボニル基を有する化合物に 由来する化合物がグラ フトされているか否かは、 丁一 丨 や熱重量分析により確認することがで きる。

[0045] カルボニル基を有する化合物としては、 特に限定されないが、 例えば、 ア ルデヒド誘導体、 ケトン誘導体やエステル誘導体を用いること ができる。 な かでも、 カルボニル基を有する化合物は、 アルデヒド誘導体であることが好 ましい。 この場合、 薄片化黒鉛が折り込まれたり力ールしたりす ることをさ らに一層確実に抑制することができる。

[0046] アルデヒド誘導体としては、 特に限定されないが、 ベンズアルデヒド、 〇 —フタルアルデヒド、 〇ーアニスアルデヒド、 01—アニスアルデヒド、 一 アニスアルデヒド、 フタルアルデヒド、 1 —ナフトアルデヒド、 9—アント \¥0 2020/175504 9 卩(:170? 2020 /007576

ラアルデヒド、 グルコース、 レチナール、 ホルムアルデヒド、 アセトアルデ ヒド、 プチルアルデヒド、 ヘプタナール、 オクタナール、 デカナール、 イソ バレルアルデヒド、 グルタルアルデヒド、 アズレンー 1 —カルボキシアルデ ヒド、 又はアセトアセトアルデヒドジメチルアセタ ール等が挙げられる。 な かでも、 アルキルアルデヒドであることが好ましい。 また、 アルキル鎖が直 鎖状のアルデヒド誘導体を用いることが好ま しい。 さらには、 アルキル鎖が 長いアルデヒド誘導体であることが好ましい 。 また、 アルキル鎖の直鎖部分 の炭素数は、 好ましくは 6以上、 より好ましくは 7以上である。 この場合、 薄片化黒鉛が折り込まれたり力ールしたりす ることをより一層確実に抑制す ることができる。 なお、 アルキル鎖の直鎖部分の炭素数の上限値は、 例えば 、 2 0とすることができる。

[0047] ケトン誘導体としては、 例えば、 アセトン、 メチルエチルケトン、 メチル イソプチルケトン、 シクロへキサノン、 アセチルアセトン、 アセトフエノン 、 ベンゾフエノン、 キノン、 ベンゾキノン、 ナフトキノン等を用いることが できる。

[0048] エステル誘導体としては、 例えば、 酢酸エチル、 酢酸プチル、 酪酸プチル 、 酢酸 2 -エチルヘキシル、 酢酸オクチル、 アジピン酸ビス (2 -エチルへ キシル) 、 ドデカンニ酸ビス (2 -エチルヘキシル) 、 フタル酸ジオクチル 、 マレイン酸ジオクチル、 トリメチロールプロパントリアセテート、 ペンタ エリスルトールテトラアセテート等の有機カ ルボン酸とアルコール類からな るエステル類を用いることができる。

[0049] なお、 これらのカルボニル基を有する化合物は、 1種を単独で用いてもよ く、 複数種を併用してもよい。

[0050] 本発明においては、 アルゴンガス雰囲気下、 2 3 ° 〇~ 3 0 0 ° 〇の温度範囲

、 及び昇温速度 2 ° 〇/分で、 薄片化黒鉛の熱重量分析をしたときに、 重量損 失が、 好ましくは 1 . 0重量%以上、 より好ましくは 5 . 0重量%以上、 好 ましくは 5 0重量%以下、 より好ましくは 3 0重量%以下である。 この重量 損失は、 例えば、 薄片化黒鉛を被覆しているカルボニル基を有 する化合物の \¥0 2020/175504 10 卩(:170? 2020 /007576

含有量に相当する。 従って、 薄片化黒鉛にカルボニル基を有する化合物が グ ラフトしている場合、 グラフト化率として表される。

[0051 ] 上記重量損失が上記下限値以上である場合、 薄片化黒鉛が折り込まれたり 力ールしたりすることをより一層抑制するこ とができる。 また、 上記重量損 失が上記上限値以下である場合、 薄片化黒鉛そのものの導電性や熱伝導性を より一層高めることができる。

[0052] [薄片化黒鉛の製造方法]

本発明の薄片化黒鉛は、 例えば、 以下の工程 1及び工程 2を備える製造方 法により得ることができる。

[0053] (工程 1)

工程 1は、 黒鉛のグラフエン層間に少なくともアルカリ 金属がインターカ レートされた黒鉛層間化合物 (◦ I 〇) を用意する工程である。

[0054] 黒鉛とは、 複数のグラフエンシートの積層体である。 黒鉛のグラフエンシ —卜の積層数は、 通常、 1 〇万層〜 1 〇〇万層程度である。 黒鉛としては、 特に限定されず、 天然黒鉛や膨張黒鉛などの適宜の原料黒鉛を 用いることが できる。 なお、 膨張黒鉛とは、 黒鉛のグラフエン層間が天然黒鉛よりも拡げ られている黒鉛をいうものとする。 膨張黒鉛においては、 既にグラフエン層 間が拡げられているため、 グラフエン層間にアルカリ金属をより一層容 易に インターカレートさせることができる。

[0055] アルカリ金属としては、 特に限定されないが、 <、 !_ 丨又は N 3等を用い ることができる。 これらは、 1種を単独で用いてもよく、 複数種を併用して もよい。 アルカリ金属としては、 <又は 3を用いることが好ましい。

[0056] 用意する◦ 丨 〇は、 グラフエン層間にアルカリ金属及びテトラヒ ドロフラ ン (丁 1 ~ 1 ) がインターカレートされた 3元系の◦ 丨 〇であることが望まし い。 もっとも、 本発明においては、 グラフエン層間にアルカリ金属のみがイ ンターカレートされた 2元系の◦ 丨 〇を用意してもよい。

[0057] 3元系の◦ 丨 〇は、 例えば、 丁 1 ~ 1 中にアルカリ金属を溶解させ、 続いて 黒鉛を添加して撹拌することにより得ること ができる。 \¥0 2020/175504 1 1 卩(:170? 2020 /007576

[0058] 丁 1 ~ 1 中へのアルカリ金属の溶解は、 丁 1 ~ 1 及び芳香族炭化水素の混合液 中にアルカリ金属を添加することによって行 うことが望ましい。 この場合、 混合液中において、 アルカリ金属及び芳香族炭化水素がイオンペ アを作るた め、 アルカリ金属を丁 1 ~ 1 に配位させることができる。 そのため、 元来、 丁 1 ~ 1 中に溶解し難いアルカリ金属を、 容易に溶解させることが可能となる。 なお、 この操作は不活性ガス雰囲気下で行うことが 望ましい。

[0059] 丁 1 ~ 1 としては、 特に限定されないが、 ジブチルヒドロキシトルエン (巳

1 ~ 1丁) を実質的に含有しないものを用いることが望 ましい。 また、 十分に脱 水したものを用いることが望ましい。

[0060] 芳香族炭化水素は、 多環芳香族炭化水素であることが好ましい。 多環芳香 族炭化水素としては、 特に限定されないが、 ナフタレン、 フエナントレン又 はアントラセンなどが挙げられる。 これらは、 1種を単独で用いてもよく、 複数種を併用してもよい。

[0061 ] このような芳香族炭化水素と黒鉛の電子親和 力は、 大きく異なる。 例えば 、 黒鉛の電子親和力が 1 . 2 7㊀ であるのに対し、 ナフタレンの電子親和 力は一〇. 2 5 6 Vである。 そのため、 黒鉛と芳香族炭化水素との電子親和 力の差を利用することにより、 丁 1 ~ 1 に配位したアルカリ金属を、 容易にグ ラフエン層間ヘインターカレートさせること ができる。

[0062] 不活性ガスとしては、 酸素を遮断し得る限り特に限定されず、 例えば、 ア ルゴンガスなどを用いることができる。

[0063] (工程 2)

工程 2は、 ◦ I <3とカルボニル基を有する化合物とを混合 ることにより 、 黒鉛を剥離して薄片化黒鉛を得る工程である 。

[0064] 具体的には、 ◦ I 0にカルボニル基を有する化合物を含む液体 添加して 撹拌する。 カルボニル基を有する化合物は、 上述の薄片化黒鉛の欄で説明し た化合物を用いることができる。 カルボニル基を有する化合物が液状である 場合、 そのまま上記液体として用いることができる 。 カルボニル基を有する 化合物が固体である場合は、 丁 ! ! などの他の溶媒を添加して上記液体とし \¥0 2020/175504 12 卩(:170? 2020 /007576

て用いることができる。

[0065] また、 工程 2についても、 不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。 上 記不活性ガスとしては、 酸素を遮断し得る限り特に限定されず、 例えばアル ゴンガスなどを用いることができる。

[0066] 工程 2では、 ◦ I 〇に電子求引性のカルボニル基を有する化合 物を添加す ることにより、 黒鉛の炭素六角網面上で求核付加反応が生じ る。 具体的には 、 カルボニル基を有する化合物が、 グラフヱン層間又はグラフヱン端部にお いて、 黒鉛に化学結合し、 グラフトされる。 そのため、 黒鉛のグラフエン層 間には、 元のアルカリ金属より大きい、 カルボニル基を有する化合物が揷入 される。

[0067] グラフエン層間に、 元のアルカリ金属より大きい、 カルボニル基を有する 化合物が挿入されると、 黒鉛の剥離が生じる。 それによって、 薄片化黒鉛を 得ることができる。 なお、 得られた薄片化黒鉛の表面の少なくとも一部 には 、 カルボニル基を有する化合物をグラフト等に より被覆させることができる

[0068] 得られた薄片化黒鉛の表面の少なくとも一部 は、 カルボニル基を有する化 合物によって被覆されているので、 得られた薄片化黒鉛同士の再スタックが より一層生じ難く、 積層数のより一層少ない薄片化黒鉛を効率良 く得ること が可能となる。

[0069] また、 薄片化黒鉛の表面の少なくとも一部が、 カルボニル基を有する化合 物により被覆されているので、 得られた薄片化黒鉛は、 平面構造を維持する ことができ、 折り込まれたり力ールしたりすることを抑制 することができる 。 そのため、 樹脂に添加することにより、 樹脂の機械的強度等の物性をより —層高めることができる。 また、 電極材料等に用いたときに、 導電パスを形 成しやすい。 さらには、 取扱い性にも優れている。

[0070] また、 本製造方法では、 黒鉛を酸化する過程を経ていない。 そのため、 得 られた薄片化黒鉛は、 欠陥が少なく、 酸化度も低い。 従って、 得られた薄片 化黒鉛は、 難燃性、 導電性、 又は熱伝導性に優れている。 \¥02020/175504 13 卩(:170? 2020 /007576

[0071] 加えて、 本製造方法では、 有機ハロゲン化合物などのハロゲンを含む化 合 物を積極的に使用しない。 そのため、 得られた薄片化黒鉛のハロゲン含有率 を少なくすることができる。 従って、 得られた薄片化黒鉛は、 電極材料に用 いた場合に電極を腐食させ難い。 よって、 得られた薄片化黒鉛は、 リチウム イオンニ次電池などの二次電池やキャパシタ などの電極材料に好適に用いる ことができる。

[0072] 次に、 本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げる ことにより本発明を明 らかにする。 なお、 本発明は以下の実施例に限定されるものでは ない。

[0073] (実施例 1)

0 I 〇の作製;

グローブボックス内をアルゴンガス雰囲気下 (アルゴンガス 99. 999 %以上、 露点一 80°〇以下) とし、 丁1~1 2〇 1 0_ 3 3 中に、 ナフタレ ン 1. 5 9 及びカリウム〇. 59を添加し混合液を作製した。 作製した混合 液は、 スターラー撹拌により、 200 「 の回転数にて、 30分間撹拌し た。 撹拌後、 天然黒鉛粉末 (3巳(3力ーボン社製、 グレード: 31\1_ 1 00 、 平均粒径 1 〇〇 ) を〇. 59添加した。 しかる後、 再度スターラー撹 拌により、 200 「 の回転数にて、 1 日撹拌した。 撹拌後、 アルゴンガ ス雰囲気下のグローブボックス内で、 得られた混合液を濾過することにより 、 カリウム (<) 及び丁 1 ~ 1 がインターカレートされた —丁 1 ~ 1 ー◦ 丨 〇 を分取した。 なお、 得られた<-丁1 ~ 1 ー〇 丨 〇は、 20X 1 0_ 3 3 中に 浸潰させ濾過する工程を 2回繰り返すことにより洗浄した。 洗浄後の< _丁 1 ~ 1 ー〇 丨 〇は、 深青色であった。

[0074] 薄片化黒鉛の作製;

洗浄後、 アルゴンガス雰囲気下のグローブボックス内 で、 得られた<_丁 1 ~ 1 ー〇 丨 00. 059をサンプル瓶に投入した。 続いて、 サンプル瓶にデ カナール 5. 5 X 1 〇 丨 を添加し、 スターラー撹拌により、 1 00 「 の回転数にて、 室温で、 72時間撹拌した。 その後、 5分間静置させ、 上澄み液と沈殿物に分け、 得られた上澄み液を 1 5000 「 の回転数に \¥0 2020/175504 14 卩(:170? 2020 /007576

て、 1 5分間遠心分離し、 デカナールを取り除き、 沈殿物を採取した。 得ら れた沈殿物に丁1 ~ 1 を 1 0 !_加え、 1 5 0 0 0 「 の回転数にて、 1 5 分間遠心分離し、 沈殿物を採取した。 同様の操作をもう一度行い、 未反応の デカナールを洗浄した沈殿物を得た。 さらに、 得られた沈殿物にイオン交換 水 1 0 !_を加え、 1 5 0 0 0 「 の回転数にて、 1 5分間遠心分離し、 薄片化黒鉛を得た。 なお、 得られた薄片化黒鉛は、 デカナールにより表面が 被覆されていた。

[0075] 図 1は、 得られた薄片化黒鉛の断面の透過電子顕微鏡 (丁巳1\/1) 写真であ る。 なお、 図 1は、 <—丁1 ~ 1 一◦ 丨 〇にデカナールを添加し、 室温で、 7 2時間撹拌したサンプルの丁巳 IV!写真である。 また、 丁巳 IV!写真は、 透過電 子顕微鏡 (」 巳〇!_社製、 品番: 」 巳1\/1 - 2 1 0 0) を用いて測定した。 図 1 より、 得られた薄片化黒鉛は、 平板状であり、 また面積が 6〇 2 である ことが確認できた。 また、 得られた薄片化黒鉛におけるグラフエンシー トの 積層数は、 3層であった。

[0076] (評価)

ラマンスぺク トル:

実施例 1で得られた薄片化黒鉛をガラス板に分散さ 、 微粉に分散してい る領域に対して、 顕微レーザーラマン分光測定装置 (! !〇[¾ I 巳八社製、 品 番 「1_ 3匕[¾八1\/1 八[¾八1\/1 丨 3」 ) を用いて、 下記測定条件でイメージン グラマンを測定した。

[0077] [測定条件]

レーザー: 5 1 4 n〇1、 出力 1 0 0 %

測定範囲

対物レンズ: 1 0 0倍

アパーチヤ : 1 0 0 〇1スリツ ト

露光時間: 1秒/丨 丨 1·! 6 (測定時間: 1時間)

[0078] 図 2は、 実施例 1で得られた薄片化黒鉛のラマンスペクトル 示す図であ る。 また、 図 5は、 図 2における 2 0バンドのピーク付近を拡大して示す図 である。 なお、 図 2及び図 5は、 K— TH F_G 丨 Cにデカナールを添加し 、 室温で、 72時間撹拌したサンプルのラマンスペクトル ある。 図 2及び 図 5より、 得られたラマンスペクトルには、 2 Dバンドのピークが存在して いることがわかる。

[0079] また、 得られたデータを解析ソフト (N a n o p h o t o n社製、 品名 「

RAMAN V i ewe r」 ) を用いて、 解析を行った。 それによって、 G バンド及び 2 Dバンドのピーク面積を求め、 比 2 D/Gを算出したところ、 実施例 1では、 1. 3であった。

[0080] なお、 図 2及び図 5のラマンスペクトルでは、 2山のピークが存在してい るが、 比 2 D/Gにおける 2 Dのピーク面積の計算では、 両ピークを合わせ た面積で計算した。

[0081] ハロゲン含有率;

実施例 1で得られた薄片化黒鉛を試験官中に〇. 03 g精秤し、 そこに精 製水 2. 5 mLを加え、 超音波処理 (Ve I v o C I e a r社製、 「VC L— 22545」 、 水温 1 5°Cで照射 20分、 静置 30分、 照射 20分、 そ の後水温を 23 ° Cにして 1 0分照射) を行った。 得られた溶液を遠心分離 (

4000 r pm、 1 5分) 後、 濾過して濾液を得て、 それを検液とした。

[0082] 得られた検液を、 イオンクロマトグラフィー装置 (T h e r mo F i s h e r S c i e n t i f i c社製、 rD I ON EX I CS- 1 500」 、 カラム: l o n P a c AS 23 A (分離カラム) 、 溶離液: 0. 45 m mo l N a 2 C〇 3% 〇 . 8mmo l /L N a HC〇 3 、 注入量 1 00 I、 流量 1 00 m L/m i n、 検出器:電気伝導度) を用い、 ハロゲン (塩 素イオン) 含有率を求めた。

[0083] ハロゲン含有率は、 実施例 1では 280 p p mであった。

[0084] 熱重量分析;

実施例 1で得られた薄片化黒鉛について、 熱重量 ·熱量同時測定装置 (S I I社製、 品番: TG/DTA 6300) を用いて、 アルゴンガス雰囲気下 、 23°0〜300°〇の温度範囲、 及び昇温速度 2°C/分で、 熱重量分析を行 \¥0 2020/175504 16 卩(:170? 2020 /007576

った。 1 0 0 °〇~ 3 0 0 °〇における重量減少をデカナール由来の分 物とみ なして求めたデカナールのグラフト率は、 1 1 . 4重量%であった。

[0085] (実施例 2)

実施例 1中のデカナールをヘプタナールに置き換え こと以外は、 実施例 1 と同様の方法で薄片化黒鉛を作製し、 実施例 1 と同様の評価を行った。

[0086] 図 3は、 実施例 2で得られた薄片化黒鉛の断面の透過電子顕 鏡 (丁巳!\/1 ) 写真である。 図 3より、 得られた薄片化黒鉛は、 平板状であり、 また面積 が 7 0 2 であることが確認できた。 また、 得られた薄片化黒鉛におけるグ ラフエンシートの積層数は、 5層であった。

[0087] また、 実施例 2で得られた薄片化黒鉛の比 2 0 / 0は 1 . 1であり、 ハロ ゲン含有率は 3 9 0 であった。 グラフト率 (ヘプタナールのグラフト 率) は、 8 . 1重量%であった。

[0088] (実施例 3)

実施例 1中のデカナールをオクタデカナールに置き えたこと以外は、 実 施例 1 と同様の方法で薄片化黒鉛を作製し、 実施例 1 と同様の評価を行った

[0089] 図 6は、 実施例 3で得られた薄片化黒鉛の断面の透過電子顕 鏡 (丁巳!\/1 ) 写真である。 図 6より、 得られた薄片化黒鉛は、 平板状であり、 また面積 が 7 0 2 であることが確認できた。 また、 得られた薄片化黒鉛におけるグ ラフエンシートの積層数は、 5層であった。

[0090] また、 実施例 3で得られた薄片化黒鉛の比 2 0 / 0は 1 . 8であり、 ハロ ゲン含有率は 7 9 0 であった。 グラフト率 (オクタデカナールのグラ フト率) は、 1 7 . 3重量%であった。

[0091 ] (実施例 4)

実施例 1中のデカナールをドデカンニ酸ビス (2 -エチルヘキシル) に置 き換えたこと以外は、 実施例 1 と同様の方法で薄片化黒鉛を作製し、 実施例 1 と同様の評価を行った。

[0092] 図 7は、 実施例 4で得られた薄片化黒鉛の断面の透過電子顕 鏡 (丁巳 IV! \¥0 2020/175504 17 卩(:170? 2020 /007576

) 写真である。 図 7より、 得られた薄片化黒鉛は、 平板状であり、 また面積 が 7 0 2 であることが確認できた。 また、 得られた薄片化黒鉛におけるグ ラフエンシートの積層数は、 6層であった。

[0093] また、 実施例 4で得られた薄片化黒鉛の比 2 0 / 0は 1 . 8であり、 ハロ ゲン含有率は 8 1 0 であった。 グラフト率 (ドデカンニ酸ビス (2 - エチルヘキシル) のグラフト率) は、 1 1 . 4重量%であった。

[0094] (比較例 1)

実施例 1中のデカナールを 2—クロロー 2—メチルプロパンに置き換えた こと以外は、 実施例 1 と同様の方法で薄片化黒鉛を作製し、 実施例 1 と同様 の評価を行った。

[0095] 図 4は、 比較例 1で得られた薄片化黒鉛の断面の透過電子顕 鏡 (丁巳 IV!

) 写真である。 図 4より、 得られた薄片化黒鉛は、 やや折り込まれたり、 や や力ールしたりしており、 また面積が 4 0 2 であることが確認できた。 ま た、 得られた薄片化黒鉛におけるグラフエンシー トの積層数は、 約 9層であ った。

[0096] また、 比較例 1で得られた薄片化黒鉛の比 2 0 / 0は 2 . 1であり、 ハロ ゲン含有率は 9 8 0 0 0 であった。 グラフト率 (2—クロロー 2—メ チルプロパンのグラフト率) は、 3 . 7重量%であった。

[0097] また、 シャーレ中で銅片 ( 5 01 01 X 5 01 01 X厚み〇. 5 111 111) を、 比較例

1で得られた薄片化黒鉛 中に分散させた分 散液に浸潰させた。 浸潰後、 室温で 7日間養生し、 状態を観察したところ、 青緑状の変色が分散液に観察された。 同様の試験を実施例 1〜 4で得られた 薄片化黒鉛で行ったが、 青緑状の変色は見られなかった。

[0098] 以上より、 実施例 1〜 4で得られた薄片化黒鉛は、 比較例 1 と比較して、 折り込まれたり、 力ールしたりし難く、 しかも電極材料に用いた場合に電極 を腐食させ難いことが確認できた。