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Patent Searching and Data


Title:
FLAME RETARDANT, FLAME-RETARDANT COMPOSITION USING THE SAME, MOLDED ARTICLE OF THE COMPOSITION, AND COATED ELECTRIC WIRE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/143129
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a flame retardant containing a flame retardant component (a) composed of 50-97% by mass of a metal hydrate component (a-1) and 3-50% by mass of a filler component (a-2), wherein the filler component (a-2) contains SiO2, Al2O3 and M2/nO. In this connection, the total of the metal hydrate component (a-1) and the filler component (a-2) is 100% by mass; M represents one or more metal elements selected from K, Na, Mg, Ca, Fe and Zn; and n represents the atomic valence of the metal element. This flame retardant is excellent in flame retardancy, wear resistance and flexibility, and enables to obtain a molded article having a sufficient mechanical strength and a coated electric wire at low cost.

Inventors:
YASUMOTO KAZUHISA (JP)
GOTOU MUTSUNORI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/058932
Publication Date:
November 27, 2008
Filing Date:
May 15, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUN ALLOMER LTD (JP)
YASUMOTO KAZUHISA (JP)
GOTOU MUTSUNORI (JP)
International Classes:
C09K21/02; C08K3/22; C08K3/34; C08L101/00; C08L101/08; H01B3/00; H01B7/295
Foreign References:
JP2001226530A2001-08-21
JPH1110808A1999-01-19
JP2000006335A2000-01-11
JP2004010720A2004-01-15
JP2006321934A2006-11-30
JP2005162931A2005-06-23
JP2005029605A2005-02-03
JPH07133386A1995-05-23
JPH10182909A1998-07-07
JPH05239281A1993-09-17
JPH0554723A1993-03-05
JP2003197043A2003-07-11
JPH0625367A1994-02-01
JPH0364341A1991-03-19
Other References:
See also references of EP 2151487A4
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (MarunouchiChiyoda-ku, Tokyo 20, JP)
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Claims:
 金属水和物(a-1)成分50~97質量%と、充填剤(a-2)成分3~50質量%とからなる難燃剤(a)成分であって、
 前記充填剤(a-2)成分がSiO 2 、Al 2 O 3 、及びM 2/n Oを含有する難燃剤。
 ただし、金属水和物(a-1)成分と充填剤(a-2)成分との合計は100質量%であり、MはK,Na,Mg,Ca,Fe,Znからなる1種以上の金属元素であり、nはこの金属元素が有する原子価である。
 前記金属水和物(a-1)成分が、粒子状の水酸化マグネシウムまたは水酸化アルミニウムであり、その平均粒子径が2μm以下である請求項1に記載の難燃剤。
 前記充填剤(a-2)成分が、一般式xM 2/n O・Al 2 O 3 ・ySiO 2 ・zH 2 Oで表されるゼオライトである請求項1に記載の難燃剤。
 ただし、MはK,Na,Mg,Ca,Fe,Znからなる1種以上の金属元素であり、nはこの金属元素が有する原子価であり、x,y,zは任意の正の値である。
 前記ゼオライトが合成ゼオライトであり、その一般式xM 2/n O・Al 2 O 3 ・ySiO 2 ・zH 2 Oにおけるyが1~5のいずれかである請求項3に記載の難燃剤。
 前記充填剤(a-2)成分の水分率が10質量%以上である請求項1に記載の難燃剤。
 前記金属水和物(a-1)と充填剤(a-2)成分の質量比率(a-1)/(a-2)が2.3~4.0である請求項1に記載の難燃剤。
 有機高分子材料(b)成分と、この有機高分子材料(b)成分100質量部に対して30~250質量部の請求項1に記載の難燃剤(a)成分とを含有する難燃性組成物。
 前記有機高分子材料(b)成分が、炭素数2~12のα-オレフィンの(共)重合体(b-1)成分、熱可塑性エラストマー(b-2)成分、及びゴム(b-3)成分からなる群から選ばれる1種以上からなり、
 かつ前記有機高分子材料(b)成分100質量%中に、カルボン酸基または無水カルボン酸基を有する不飽和単量体に由来する構成単位が0.01~0.5質量%含有される請求項7に記載の難燃性組成物。
 請求項1~6のいずれかに記載の難燃剤を使用した成形品。
 請求項7~8のいずれかに記載の難燃性組成物を使用した成形品。
 請求項1~6のいずれかに記載の難燃剤を使用した被覆を有する電線。
 請求項7~8のいずれかに記載の難燃性組成物を使用した被覆を有する電線。
Description:
難燃剤及びそれを用いた難燃性 成物、その成形品、被覆を有する電線

 本発明は、難燃剤及びそれを用いた難燃性 成物、その成形品、被覆を有する電線に関 る。
 本願は、2007年5月15日に日本に出願された特 願2007-129043号及び2008年5月13日に日本に出願さ れた特願2008-126254号に基づき優先権を主張し その内容をここに援用する。

 従来、有機高分子材料である各種樹脂材料 或いは木材、紙、布、織物、不織布といっ 繊維類等の易燃性材料の難燃化には、塩素 びに臭素等のハロゲン族を含むハロゲン系 燃剤を用いることが主流となっている。ハ ゲン系難燃剤は、難燃性と材料コストのバ ンスが優れることから、各種建築材料、家 製品や自動車、航空機、電車、電線材料等 幅広く使用されている。
 しかし、近年、ハロゲンを含む燃焼ガスの 境への影響、及び廃棄時の焼却に伴うダイ キシン類の発生の問題から、ハロゲン系難 剤を用いない難燃化技術の開発が精力的に められている。その中でも、リン酸または ウ酸を用いた難燃剤、発泡皮膜を形成して 熱する方法、水酸化マグネシウム、水酸化 ルミニウム等の金属水和物を高濃度に配合 た難燃剤、或いはこれらを複合したノンハ ゲン系難燃剤が市場に登場している。

 上記の中でもノンハロゲン系難燃剤として 流となっているのは、水酸化マグネシウム 水酸化アルミニウム等の金属水和物を主体 したノンハロゲン系難燃剤である。金属水 物はハロゲン系難燃剤の代替として商業生 されており、例えば、水酸化マグネシウム 主体としたノンハロゲン系難燃剤は、良好 難燃性を得られるので、難燃性及び機械的 度を高度に要求される自動車用ワイヤーハ ネス、機器内配線、電源コード等の電線被 に好適に用いられている。
 しかし、金属水和物を主体としたノンハロ ン系難燃剤を用いた難燃性組成物が、ハロ ン系難燃剤を含んだ難燃性組成物と同等の 燃性を発揮するためには、金属水和物を多 に含有する必要がある。ところが、金属水 物を多量に含有すると、成形品の耐磨耗性 低温特性、引張破断強度、引張破断伸び等 機械的強度が低下する。さらに、金属水和 を高濃度に含有した難燃性組成物は、金属 和物と樹脂との界面に剥離を生じやすく、 られる成形品が著しく白化し、さらには、 形品の柔軟性が損なわれてしまう。
 このことから、金属水和物を主体としたノ ハロゲン系難燃剤にあっては、金属水和物 含有量を減らして、難燃性樹脂組成物の成 品の各種の機械的強度及び柔軟性のバラン を良好にでき、しかも充分な難燃性を確保 きるものが要求されている。

 このような要求に対して、特許文献1には、 α-オレフィン(共)重合体、エチレン(共)重合 、またはゴムと、水酸化マグネシウム、水 化アルミニウム等の金属水和物と、カルボ 酸基等を有する重合体とからなる難燃性組 物が提案されている。
 特許文献2には、水酸化マグネシウム等の金 属水和物にシリコーン樹脂を少量添加するこ とによって、高い難燃性を有したオレフィン 系樹脂の難燃性組成物が提案されている。
 特許文献3には、ポリオレフィン系樹脂に水 酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の 金属水和物と少量の有機化クレーを含有する 難燃性組成物が提案されている。
 特許文献2及び特許文献3に記載の難燃剤で 、粒子径1μm程度と粒子径が細かい水酸化マ ネシウムが金属水和物として好ましく用い れている。

特開平5-239281公報

特開平5-54723号公報

特開2003-197043号公報

 しかしながら、特許文献1に記載の難燃性組 成物では、金属水和物の配合量が充分に低減 されていないため、耐摩耗性が充分に満足の いくものとはなっていない。
 特許文献2及び特許文献3においては、成形 の難燃性、耐磨耗性、柔軟性が充分ではな 。また、前記水酸化マグネシウムは高価で るため、配合量をできるだけ低減すること 望ましいが、これらの提案では配合量の低 が充分ではなく、さらに改良が必要である
 以上のことから、現在のところノンハロゲ 系の難燃剤としては、水酸化マグネシウム 水酸化アルミニウム等の金属水和物が有力 あるものの、ハロゲン系難燃剤からの代替 進んでいない。その代替を促進するには、 属水和物の使用量をさらに削減し、難燃性 成物の材料コストを引き下げる必要がある

 本発明は、前記事情に鑑みてなされたも であって、難燃性、耐磨耗性、柔軟性に優 、充分な機械的強度を有する成形品及び被 を有する電線を、低コストで得ることがで る難燃剤及びそれを用いた難燃性組成物の 供を目的とする。

 前記の課題を達成するために、本発明は以 の構成を採用した。
[1] 金属水和物(a-1)成分50~97質量%と、充填剤(a -2)成分3~50質量%とからなる難燃剤(a)成分であ て、
 前記充填剤(a-2)成分がSiO 2 、Al 2 O 3 、及びM 2/n Oを含有することを特徴とする難燃剤。
 ただし、金属水和物(a-1)成分と充填剤(a-2)成 分との合計は100質量%であり、MはK,Na,Mg,Ca,Fe,Zn からなる1種以上の金属元素であり、nはこの 属元素が有する原子価である。
[2] 前記金属水和物(a-1)成分が、粒子状の水 化マグネシウムまたは水酸化アルミニウム あり、その平均粒子径が2μm以下であること 特徴とする[1]に記載の難燃剤。
[3] 前記充填剤(a-2)成分が、一般式xM 2/n O・Al 2 O 3 ・ySiO 2 ・zH 2 Oで表されるゼオライトであることを特徴と る[1]または[2]に記載の難燃剤。
 ただし、MはK,Na,Mg,Ca,Fe,Znからなる1種以上の 属元素であり、nはこの金属元素が有する原 子価であり、x,y,zは任意の正の値である。
[4] 前記ゼオライトが合成ゼオライトであり その一般式xM 2/n O・Al 2 O 3 ・ySiO 2 ・zH 2 Oにおけるyが1~5のいずれかであることを特徴 する[3]に記載の難燃剤。
[5] 前記充填剤(a-2)成分の水分率が10質量%以 であることを特徴とする[1]~[4]のいずれかに 載の難燃剤。
[6] 前記金属水和物(a-1)と充填剤(a-2)成分の質 量比率(a-1)/(a-2)が2.3~4.0であることを特徴とす る[1]~[5]のいずれかに記載の難燃剤。
[7] 有機高分子材料(b)成分と、この有機高分 材料(b)成分100質量部に対して30~250質量部の[ 1]~[6]のいずれかに記載の難燃剤(a)成分とを含 有することを特徴とする難燃性組成物。
[8] 前記有機高分子材料(b)成分が、炭素数2~12 のα-オレフィンの(共)重合体(b-1)成分、熱可 性エラストマー(b-2)成分、及びゴム(b-3)成分 らなる群から選ばれる1種以上からなり、
 かつ前記有機高分子材料(b)成分100質量%中に 、カルボン酸基または無水カルボン酸基を有 する不飽和単量体に由来する構成単位が0.01~0 .5質量%含有されることを特徴とする[7]に記載 の難燃性組成物。
[9] [1]~[6]のいずれかに記載の難燃剤を使用し た成形品。
[10] [7]~[8]のいずれかに記載の難燃性組成物 使用した成形品。
[11] [1]~[6]のいずれかに記載の難燃剤を使用 た被覆を有する電線。
[12] [7]~[8]のいずれかに記載の難燃性組成物 使用した被覆を有する電線。

 本発明によれば、難燃性、耐磨耗性、柔 性に優れ、充分な機械的強度を有する成形 及び被覆を有する電線を、低コストで得る とができる難燃剤及びそれを用いた難燃性 成物を提供できる。

<<難燃剤(a)成分>>
 本発明の難燃剤(a)成分(以下、(a)成分とも記 す。)は、金属水和物(a-1)成分(以下、(a-1)成分 とも記す。)50~97質量%と充填剤(a-2)成分(以下 (a-2)成分とも記す。)3~50質量%とからなる。た だし、(a-1)成分と(a-2)成分との合計は100質量% あり、MはK,Na,Mg,Ca,Fe,Znからなる1種以上の金 元素であり、nはこの金属元素が有する原子 価である。

<金属水和物(a-1)成分>
 金属水和物(a-1)成分としては、金属化合物 水和物、及び金属水酸化物が挙げられる。
 金属化合物の水和物としては、ナトリウム カリウム、マグネシウム、カルシウム、銅 アルミニウム等の硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩 の水和物が挙げられ、その一例としては、 酸ナトリウム10水和物が挙げられる。また 塩化カルシウム2水和物のような金属塩化物 水和物等も挙げられる。
 金属水酸化物としては、マグネシウム、ア ミニウム、カルシウム、カリウム、亜鉛、 素等といった各種金属の水酸化物が挙げら る。なお、金属水酸化物は、金属酸化物の 和物とみなせる。
 これらは1種を単独で用いてもよく、2種以 を混合して用いてもよい。これらの(a-1)成分 のうち、優れた難燃効果と経済性とを備えて いることから、水酸化マグネシウムまたは水 酸化アルミニウムが好ましく用いられる。
 (a-1)成分の性状は結晶塊、粒子状等、特に 定されないが、粒子状であることが好まし 。
 粒子状の水酸化マグネシウムまたは水酸化 ルミニウムの場合、その平均粒子径は、難 性と、成形品の機械的強度の観点から、20μ m以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、 5μm以下がさらに好ましく、2μm以下が特に好 しい。なお、平均粒子径が細かすぎると、 燃性組成物中へ均一に分散しにくくなるた 、平均粒子径は0.01μm以上が好ましい。

 (a-1)成分には、(a-1)成分の凝集防止、及び(b) 成分との分散性向上を目的とした、表面処理 剤(カップリング剤)の添加による表面処理が されてもよい。表面処理剤としては、ステ リン酸、オレイン酸、パルミチン酸等の脂 酸またはその金属塩、ワックス、有機チタ ート、有機シラン等が挙げられる。
 ただし、表面処理剤の量が多いと、成形品 難燃性が低下する。さらには(b)成分中の官 基とのカップリング効果が低下し、成形品 引張特性及び耐磨耗性が低下する可能性が る。したがって、(a-1)成分(100質量%)中の金 水和物(以下、(a-1)成分の実質量とも記す。) 、98質量%以上が好ましく、99質量%以上がよ 好ましい。

 (a-1)成分中に含まれる金属水和物の実質 は、例えば水酸化マグネシウムを含む(a-1)成 分の場合、以下のように測定される。水酸化 マグネシウムを含む(a-1)成分300mgを精密に量 、エタノール約1mLで湿らし、さらに1mo1/Lの 酸12mLを加えてから加熱溶解する。この溶解 を冷却した後、水を加えて正確に200mLとす 。次いで、この溶液を10mL正確に量り取り、 れに水を約80mL加え、さらに0.02mol/L水酸化ナ トリウム溶液で中和する。次いで、この溶液 にpH10.7のアンモニア・塩化アンモニア緩衝液 2mLを加えて調製する。この調製された溶液を 、自動滴定装置を用いて、0.01mol/Lエチレンジ アミン四酢酸二水素ニナトリウム液(EDTA)によ る滴定を行う。このようにして、(a-1)成分中 含まれる金属水和物の実質量を測定するこ ができる。

<充填剤(a-2)成分>
 (a-2)成分は、SiO 2 、Al 2 O 3 、M 2/n Oを含有する充填剤であり、例えばゼオライ や珪藻土、クレー、パイロフィライト、セ サイト、タルク等が挙げられる。これらの でも、ゼオライトが好ましい。なお、充填 は、前記の構成成分を有していれば、天然 も、合成されたものでもよく、いずれも効 を発揮する。ただし、前記化学式において MはK、Na、Mg、Ca、Fe、Znからなる1種以上の金 元素であり、nはこの金属元素が有する原子 価であり、X、Y、Zは任意の正の値である。こ れらは1種を単独で使用してもよく、2種以上 混合して用いてもよい。

 ゼオライトとは、一般式xM 2/n O・Al 2 O 3 ・ySiO 2 ・zH 2 Oで表される含水アルミノシリケートのアル リ金属塩またはアルカリ土類金属塩であり 天然ゼオライトと合成ゼオライトとが存在 る。なお、MはK,Na,Mg,Ca,Fe,Znからなる1種以上 金属元素であり、nはこの金属元素が有する 子価であり、x,y,zは任意の正の値である。
 ゼオライトは、SiO 4 四面体とAlO 4 四面体が三次元的に結合した多孔性結晶であ り、その結晶構造中に、チャンネルまたはケ ージと呼ばれる細孔構造(微小な空間)を有し いる。ゼオライトはこの結晶構造中にある 孔構造によって、イオン交換性能、分子吸 効果、分子ふるい効果、高い吸湿性等を有 ている。

 ゼオライトには、チャンネルとケージの大 さの違いによって、複数の結晶構造タイプ 存在する。チャンネルとケージの大きさは 主に、ゼオライト中に含まれるAlとSiとの比 率の違いによってアルミノシリケート骨格の 極性が決まることに依存している。このアル ミノシリケート骨格の極性の大きさと、さら にはゼオライトに含まれる金属の原子価とに よって、チャンネルとケージの大きさが決定 される。なお、アルミノシリケート骨格の極 性が大きいほど、ゼオライトのイオン交換性 能、吸湿性能は大きくなる。
 ゼオライトの一般式xM 2/n O・Al 2 O 3 ・ySiO 2 ・zH 2 Oにおいて、SiとAlの比率が近いほど極性は大 くなる。したがって、アルミノシリケート 格が最大の極性を示すY=2のゼオライトが、 数の結晶構造タイプの中でも、最大のイオ 交換性能、吸湿性能を有する。

 天然ゼオライトは、チャバサイト、クリノ チロライト、エリオナイト、モルデナイト の結晶構造タイプに分類される。
 合成ゼオライトは、A型、Z型、X型、Y型、L 、PC型、チャバサイト、モルデナイト等の結 晶構造タイプに分類される。
 (a-2)成分としては、天然ゼオライト、合成 オライトのいずれを用いてもよいが、合成 オライトが好ましく用いられ、かつ一般式xM 2/n O・Al 2 O 3 ・ySiO 2 ・zH 2 Oにおけるyが1~5であることが好ましい。さら 、yの値は1~3が好ましく、さらには1.5~2.5の 囲となることが最も好ましい。具体的には 前記の結晶構造タイプの中でも、y=2.0である A型の合成ゼオライトが最も好ましい。
 また、A型ゼオライトには、金属元素MがKで る3A型、Naである4A型、Caである5A型が存在す るが、難燃性能としては4A型、及び5A型のも が好ましい。これは、後述する有機高分子 料の分解温度にも依存するが、有機高分子 料成分が分解する際にタイミングよく水分 放出するためと考えられる。

 珪藻土とは、主に珪藻が堆積し、この堆積 が長期間のうちに化石化して出来た鉱物で る。珪藻土には、例えば、天然採掘品、焼 品、融剤焼成品、炭酸ナトリウム焼成品が げられる。いずれのタイプでも効果は認め れるが、成形品の着色を防止できることか 、炭酸ナトリウム焼成品が好ましい。なお 珪藻土の一般式は、uNa 2 O・vFe 2 O 3 ・Al 2 O 3 ・20~30SiO 2 ・zH 2 Oである。ここで、u,v,zは任意の正の値である 。

 クレーとは、天然のカオリン鉱物から工業 に精製した粉体であり、六角板状結晶のカ リナイトを主成分としている。クレーとし は、ハードクレー、ソフトクレー、及び600 程度で焼成した焼成クレーがあるが、この でもハードクレーが最も好ましい。なお、 レーの一般式は、vFe 2 O 3 ・wCaO・Al 2 O 3 ・2SiO 2 ・zH 2 Oで表される。ここで、v,w,zは任意の正の値で ある。

 タルクとは、ケイ酸マグネシウムを主成分 する結晶である。タルクは、原料となる天 鉱石を粉砕し、乾式法によって分級精製す ことで製造される。なお、タルクの一般式 vCaO・wFe 2 O 3 ・Al 2 O 3 ・7~120SiO 2 ・zH 2 Oで表される。ここで、v,w,zは任意の正の値で ある。

 (a-2)成分のアスペクト比(粒子の長さと幅の )は、成形品に柔軟性を与えるという点から 、2.0以下が好ましく、1.0~1.3がより好ましい
 また、(a-2)成分の平均粒子径は、難燃性組 物中での分散性及び成形品の機械的強度を 持する点から、40μm以下が好ましく、30μm以 がより好ましい。さらには、耐磨耗性、引 伸び率の面から、10μm以下が特に好ましく 5μm以下が最も好ましい。(a-2)成分の平均粒 径が0.1μmを下回ると、後述する有機高分子 料成分(b)との混合が難しくなり、(a)成分の 散不良が生じ、所望の物性を得ることが難 くなる傾向にある。
 (a-1)成分及び(a-2)成分の平均粒子径及びアス ペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観 によって測定される。

 (a-2)成分には、(a-2)成分の凝集防止、並びに (b)成分との分散性向上を目的として、表面処 理剤(カップリング剤)の添加による表面処理 施されてもよい。
 表面処理剤としては、ステアリン酸、オレ ン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、またはそ 金属塩、ワックス、有機チタネ-ト、有機シ ラン等が挙げられる。
 ただし、表面処理剤の量が多いと、成形品 難燃性が低下し、さらには(b)成分中の官能 とのカップリング効果が低下してしまうた 、成形品の引張特性及び耐磨耗性が低下す 恐れがある。したがって、(a-2)成分(100質量% )中の充填剤(以下、(a-2)成分の実質量とも記 。)は、98質量%以上が好ましく、99質量%以上 より好ましい。なお、(a-2)成分の実質量は (a-1)成分と同様の方法で測定される。

 本発明の難燃剤では、従来使用されてきた 属水和物(a-1)成分に加えて、ゼオライトに 表されるアルミナシリケート骨格とある種 金属イオンと結晶水とを持つ充填剤(a-2)成分 を含有することにより、(a-1)成分の含有量が 量でも、従来では得られなかった程の高い 燃性能を得ることができる。
 (a-2)成分による難燃性向上の詳細なメカニ ムはまだ明らかになっていないものの、(a-2) 成分の湿潤状態が、難燃性組成物の難燃性に 大きく影響を与えるものと思われる。これは 、充填剤(a-2)に吸湿された水分が有機高分子 料と混練された際に(a-2)成分の細孔中に閉 込められ、その閉じ込められた水分が燃焼 の温度上昇によって気化して、燃焼温度を げると共に気泡を生成することで、難燃性 発現すると考えられる。
 あるいは、(a-2)成分の持つ細孔構造が、あ 種のイオン交換反応に寄与し、有機高分子 料の熱分解によって発生するラジカルまた 活性化した低分子量成分を捕捉することに り、燃焼サイクルを抑制することが考えら る。ここで、燃焼サイクルとは、有機高分 材料が燃焼を継続する仕組みのことである 具体的には、まず、有機高分子材料が加熱 れて熱分解し、次いで、熱分解によって発 するラジカルや低分子量成分等が空気中で 化(燃焼)し、さらに、その酸化熱が有機高分 子材料に伝熱し、伝熱した酸化熱によって有 機高分子材料がさらに熱分解され、熱分解に よって新たに発生したラジカルや低分子量成 分が酸化(燃焼)する、このようなサイクルが り返されて、有機高分子材料は燃焼を継続 る。

 上記イオン交換反応は、(a-2)成分を(b)有機 分子材料と高温で混練する際に、充分な水 が存在することにより、効果的に発現する 思われる。
 そのため、難燃性をより向上させるために 、(a-2)成分の水分率は10質量%以上が好まし 、15質量%以上がより好ましく、18質量%以上 あることが特に好ましい。(a-2)成分が、水分 率が10質量%以上であれば、難燃性をより向上 させることができるが、(a-2)成分の本質的な 水量の限界から35質量%以上にすることは困 である。
 ここで、水分率とは、(水分の質量/水分を んだ(a-2)成分の質量)×100%で求められる値で る。

 本発明の難燃剤において、(a)成分100質量%中 における、(a-1)成分と(a-2)成分との割合は、 述したように(a-1)成分50~97質量%、(a-2)成分3~50 質量%である。好ましくは(a-1)成分60~90質量%、 (a-2)成分10~40質量%であり、より好ましくは(a-1 )成分70~80質量%、(a-2)成分20~30質量%である。(a- 1)成分が70~80質量%、(a-2)成分が20~30質量%((a-1)/( a-2)の質量比率が2.3~4.0)の際に効果的に難燃性 が発揮され、さらに2.8~3.3の際に最も難燃性 向上する。
(a-1)成分が50質量%未満では、成形品の難燃性 低下する。(a-1)成分が97質量%を超えると、 形品の引張強度や引張伸びといった機械的 度が損なわれるほか、材料コストが高くな 、経済性が低下する。

 以上説明した本発明の難燃剤では、(a-1) 分と(a-2)成分とを併用することにより、(a-1) 分の量が少なくても、充分な難燃性を確保 きる。したがって、本発明の難燃剤によれ 、耐磨耗性及び柔軟性に優れ、充分な機械 強度を有する成形品を、低コストで得るこ ができる。

 本発明の難燃剤(a)成分は、以下に説明す 有機高分子材料(b)成分と組み合わせて、難 性組成物として用いられるのが好ましい。 だし、(a)成分を配合する対象物としては、 下に述べる有機高分子材料(b)成分に限らず 難燃性を付与したい材料であれば、紙や布 木材(木粉を含む)であってもよく、その対 は特に限定されない。

<<有機高分子材料(b)成分>>
 有機高分子材料(b)成分(以下、(b)成分とも記 す。)としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹 等が挙げられる。
 熱可塑性樹脂としては、各種オレフィン系( 共)重合体及びその誘導体である、ポリエチ ン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリ-4 -メチル-1-ペンテン、エチレン・酢酸ビニル 重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステ ル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共 合体、ポリメチルメタクリレート、または のアイオノマー、各種ポリオレフィンエラ トマー等が挙げられる。その他にも、ポリ チレン、AS樹脂、ABS樹脂、ノニル、SBS、SEBS のスチレン系共重合体、ポリエチレンテレ タレート、ポリトリメチレンテレフタレー 、ポリブチレンテレフタレート、ポリテト メチレンテレフタレート、ポリエステルエ ストマー、ポリ乳酸等のポリエステル、ナ ロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン-12、ポリア ドエラストマー等のポリアミド、ポリカー ネート、ポリスルホン、ポリエーテルスル ン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイ ド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミ 、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタ ル、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑 ポリウレタン、或いはこれら2種以上の混合 物が挙げられる。
 熱硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂、エ キシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素 脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等が挙 られる。

 これら(b)成分の中でも、各種オレフィン (共)重合体及びその誘導体が好ましい。各 オレフィン系(共)重合体及びその誘導体を含 むポリオレフィン系材料は、広く使用される 材料であり、安価で、かつ機械的強度、耐熱 性、耐薬品性、成形加工性、リサイクル性等 に優れている。そのため、ポリオレフィン系 材料は、各種工業材料、自動車部品、家電製 品、包装材料等の幅広い分野に使用されてお り、その難燃化の需要は大きく、本発明の難 燃化の対象となる(b)成分として適している。

 さらには、(b)成分としては、炭素数2~12の α-オレフィンの(共)重合体(b-1)成分(以下、(b-1 )成分とも記す。)、熱可塑性エラストマー(b-2 )成分(以下、(b-2)成分とも記す。)、及びゴム( b-3)成分(以下、(b-3)成分とも記す。)からなる から選ばれる1種以上であることが好ましい 。

<炭素数2~12のα-オレフィンの(共)重合体(b-1) 成分>
 (b-1)成分としては、エチレン、プロピレン 1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン 1-オクテン、1-ドデセン等の単独または共重 体、さらには、これらの混合物が挙げられ 。これらのうち、以下の(b-1-1)~(b-1-4)成分が ましい。
 (b-1-1)成分:プロピレンの単独重合体、プロ レンとエチレンとのランダム共重合体、プ ピレンとエチレンと1-ブテンとからなるプロ ピレン-α-オレフィンブロック共重合体のい れか。
 (b-1-2)成分:低密度ポリエチレン、またはエ レン-α-オレフィン共重合体。
 (b-1-3)成分:エチレン-ビニルエステル共重合 。
 (b-1-4)成分:エチレン-α,β-不飽和カルボン酸 ルキルエステル共重合体。
 なお、これらの成分は、1種を単独で用いて もよく、2種以上を組み合わせて用いてもよ 。

 (b-1-2)成分としては、高圧ラジカル重合法に よる密度0.86g/cm 3 以上0.94g/cm 3 未満の低密度ポリエチレン(LDPE)、チーグラー 触媒等を用いる中低圧法、またはその他の公 知の方法による密度0.86g/cm 3 以上0.91g/cm 3 未満のエチレンと、炭素数3~12のα-オレフィ との共重合体(超低密度ポリエチレン:VLDPE)が 挙げられる。
 また、密度0.91g/cm 3 以上0.94g/cm 3 未満のエチレンと炭素数3~12のα-オレフィン の共重合体(直鎖状低密度ポリエチレン:LLDPE) 等も挙げられる。

 炭素数3~12のα-オレフィンとしては、プロピ レン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキ セン、1-オクテン、1-ドデセン等が挙げられ 。これらのうち、1-ブテン、4-メチル-1-ペン ン、1-ヘキセン、1-オクテンが好ましく、1- テンが特に好ましい。
 エチレン-α-オレフィン共重合体中のα-オレ フィン単位の含有量は、5~40モル%が好ましい

 VLDPEは、密度が0.86g/cm 3 以上0.91g/cm 3 未満であり、示差走査熱量測定法(DSC)による 大ピーク温度(Tm)が100℃以上であり、かつ沸 騰n-ヘキサン不溶分が10質量%以上であり、LLDP Eとエチレン-α-オレフィン共重合体ゴムとの 間の性状を示すポリエチレンである。VLDPE 、さらに詳しくは、エチレンと炭素数3~12の -オレフィンとの共重合体であって、LLDPEが す高結晶部分とエチレン-α-オレフィン共重 体ゴムが示す非晶部分とを併せ持ち、LLDPE 特徴である機械的強度、耐熱性等と、エチ ン-α-オレフィン共重合体ゴムの特徴である 己粘着性、ゴム状弾性、耐低温衝撃性等と バランスよく共存したポリエチレンである よって、VLDPEは、(b-1-2)成分として極めて有 である。
 VLDPEは、少なくともマグネシウム及びチタ を含有する固体触媒成分に、有機アルミニ ム化合物を組み合わせた触媒系を用いて製 される。

 (b-1-3)成分は、主成分であるエチレンと、 プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン 酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビ ニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢 酸ビニル等のビニルエステル単量体との共重 合体であり、高圧ラジカル重合法によって製 造される。これらのうち、エチレン-酢酸ビ ル共重合体(EVA)が特に好ましい。EVAとしては 、エチレン50~99.5質量%と、酢酸ビニル0.5~50質 %とからなる共重合体が好ましく、物理的、 経済的な理由から、エチレン70~95質量%と、酢 酸ビニル5~30質量%が特に好ましい。

 (b-1-4)成分は、高圧ラジカル重合法で製造 されるものが好ましい。具体的には、エチレ ン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレ ン-(メタ)アクリル酸エチル共重合体等が挙げ られる。これらのうち、エチレン-アクリル エチル共重合体(EEA)が特に好ましい。EEAとし ては、エチレン50~99.5質量%と、アクリル酸エ ルエステル0.5~50質量%とからなる共重合体が 好ましく、物理的、経済的な理由から、エチ レン70~95質量%と、アクリル酸エチルエステル 5~30質量%が特に好ましい。

 (b-1)成分のメルトフローレート(流動性を示 尺度。以下、MFR。)は、0.01~50g/10分が好まし 、0.05~20g/10分がより好ましく、0.1~10g/10分が らに好ましい。MFRが0.01g/10分未満では、加 性が低下する可能性があり、MFRが50g/10分を えると、成形品の機械的強度が低下する可 性がある。
 MFRは、エチレン単位を主成分としたものに いては、温度210℃、荷重2.16kgで測定し、プ ピレン単位を主成分としたものについては 温度230℃、荷重2.16kgで測定した値である。

<熱可塑性エラストマー(b-2)成分>
 熱可塑性エラストマー(b-2)成分は、通常、 ードセグメントと呼ばれる硬質成分と、ソ トセグメントと呼ばれる軟質成分とから構 される。常温では、ハードセグメントが架 点の働きをするため、ゴムの特色を持ち、 温では、ハードセグメントが溶融すること よって、熱可塑性樹脂と同様に軟化すると う特徴を有している。よって、熱可塑性エ ストマーは、圧縮、押し出し、射出等の成 機で成形加工できる。また、熱可塑性エラ トマーは、成形サイクル(成形に要する時間) が短く、さらには、他のエラストマー(ゴム) は困難なリサイクルが可能である。

 (b-2)成分である熱可塑性エラストマーは さらに、スチレン系熱可塑性エラストマー(S BC)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO) ウレタン系熱可塑性エラストマー(PU)、エス テル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、アミド系 熱可塑性エラストマー(TPAE)等に分類される。 これらのうち、(b-1)成分との混合の相性の点 ら、オレフィン系熱可塑性エラストマー(b-2 -1)成分((b-2-1)成分と記すこともある。)、スチ レン系熱可塑性エラストマー(b-2-2)成分((b-2-2) 成分と記すこともある。)が好ましい。これ の成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以 上を混合して用いてもよい。

(オレフィン系熱可塑性エラストマー(b-2-1)成 )
 オレフィン系熱可塑性エラストマー(b-2-1)成 分とは、ソフトセグメント(エラストマー成 またはキシレン可溶分)の割合が20質量%以上 ものであり、ソフトセグメントの割合が20 量%未満の軟質ポリオレフィン系の樹脂とは 別される。
 (b-2-1)成分は、さらに(b-2-1-1)単純ブレンド型 、(b-2-1-2)リアクターメイド型、(b-2-1-3)動的加 硫型に大きく分けられ、それぞれ以下に述べ るような特徴を有している。

 (b-2-1-1)単純ブレンド型オレフィン系熱可 性エラストマーとは、バンバリーミキサー プラストミル、二軸押出機等を用いてポリ レフィン成分とゴム成分とを混練、分散さ たオレフィン系熱可塑性エラストマーであ 。なお、ゴム成分の架橋度が上がりすぎる 、ゴム成分の分散性が劣り、得られるオレ ィン系熱可塑性エラストマーの物性も劣る 果となるため、ゴム成分(ゴム粒子)として 、非架橋ゴムまたは部分架橋ゴムが用いら る。

 (b-2-1-2)リアクターメイド型オレフィン系熱 塑性エラストマーとしては、例えば、特開 6-25367号公報に示されるような多段重合法に よって製造された、40~80質量%のキシレン可溶 分(エラストマー成分)を含むプロピレン-α-オ レフィン共重合体が挙げられる。
 多段重合法とは、2段階以上の重合工程で目 的とする樹脂を製造する方法である。前記オ レフィン系熱可塑性エラストマーを得るため の重合工程としては、一段目のプロピレンの 単独重合体またはプロピレンと5質量%以下の ロピレン以外のα-オレフィンとの結晶性ラ ダム共重合体を製造する工程と、2段目以降 のエチレンと1種類以上の炭素数3以上のα-オ フィンとのランダム共重合体エラストマー 製造する工程とを含む重合工程からなる。

 この重合法により得られるオレフィン系熱 塑性エラストマーは、各段階で生成する樹 成分が重合時のリアクター中でブレンドさ る。これにより、従来の機械的にブレンド る方法に比べて、一段階目でつくられた結 性プロピレン樹脂中に、エチレン-α-オレフ ィンランダム共重合体エラストマー成分を微 細な粒子として分散することができる。
 エチレン-α-オレフィンランダム共重合体エ ラストマー成分の平均粒子径は、5μm以下で ることが好ましく、1μm以下であることが特 好ましい。エラストマー成分の平均粒子径 、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察により 定することができる。
 また、このエラストマー成分は、明確な海 分散構造を有さず、相互貫入網目構造を有 ることが好ましい。
 このエラストマー成分は、分子量の大きい ラストマー成分の粒子がミクロンオーダー オレフィン系熱可塑性エラストマー中に分 することで、(a)成分の分散性、得られる成 品の低温特性、耐磨耗性が向上する。

 エチレン-α-オレフィンランダム共重合体 エラストマー成分としては、エチレン-プロ レンランダム共重合体、またはエチレン-ブ ンランダム共重合体が好ましい。エラスト ー成分の粒子径を小さくするためには、エ ストマー成分中のエチレン単位の含有量を 15~50質量%とすることが好ましく、20~40質量% 特に好ましい。エチレン単位の含有量が、1 5質量%未満または50質量%を超えると、エラス マー成分の粒子径が大きくなる。

 多段重合法で製造されたプロピレン-α-オレ フィン共重合体のキシレン可溶分は、50~80質 %が好ましく、55~75質量%が特に好ましい。キ シレン可溶分が50質量%未満では、(a)成分の分 散性、得られる成形品の柔軟性、低温特性が 不足する可能性がある。キシレン可溶分が80 量%を超えると、成形品の機械的強度が低下 し、また、プロピレン-α-オレフィン共重合 の粉体性状の悪化により、樹脂組成物のコ パウンド時にハンドリング不良となる可能 がある。
 また、プロピレン-α-オレフィン共重合体中 の結晶性プロピレン樹脂としては、耐熱性、 耐磨耗性の観点から、プロピレン単独重合体 が好ましく用いられる。

 ここで、キシレン可溶分の測定方法を説 する。まず、測定対象の樹脂2.5gを撹拌しな がら、135℃のキシレン250ml中に溶解する。20 後、溶液を撹拌しながら25℃まで冷却し、次 いで、溶液を30分間静置して不溶分を沈降さ る。さらに、沈降した不溶分をろ過して、 液を得る。このようにして得られたろ液を 素流下で蒸発させ、残渣を恒量に達するま 80℃において真空乾燥する。そして、残渣 秤量することで、25℃におけるキシレン可溶 分の質量%を求めることができる。

 (b-2-1-3)動的加硫型オレフィン系熱可塑性 ラストマーとしては、例えば、特開平3-64341 号公報に記載されたものが挙げられる。具体 的には、マトリックス樹脂(プロピレンの単 重合体、プロピレンとエチレンとのランダ 共重合体、プロピレンとエチレンと1-ブテン とからなるプロピレン-α-オレフィンブロッ 共重合体のいずれか)に、エチレン及びプロ レンを主成分とするランダム共重合体(EPM) ムとジエンモノマー(ジシクロペンタジエン エチリデンノルボルネン等)とを加えたもの を主成分とするランダム共重合体(EPDM)ゴムを 添加し、それぞれの成分に有機過酸化物及び 架橋助剤を加えて混練することにより、混練 と同時にゴム成分を加硫して得た、部分架橋 構造を有するオレフィン系熱可塑性エラスト マーが挙げられる。

(スチレン系熱可塑性エラストマー(b-2-2)成分)
 スチレン系熱可塑性エラストマー(b-2-2)成分 とは、ポリスチレン相を末端に持つブロック 共重合体であり、中間層がポリブタジエン、 ポリイソプレン、エチレン-ブチレン共重合 、エチレン-プロピレン共重合体、またはブ レン-プロピレン共重合体からなる組成物で ある。これらのうち、スチレン-エチレン-ブ レン-スチレンブロック共重合体(SEBS)が最も 好ましい。SEBSにおけるスチレン単位の含有 は、20~40質量%が好ましく、25~35質量%がより ましい。スチレン単位の含有量が20質量%未 では、成形品の耐磨耗性が低下する可能性 ある。スチレン単位の含有量が40質量%を超 ると、(b-2-2)成分の分散性が低下し、成形品 機械的特性の向上効果を発揮できないこと ある。

<ゴム(b-3)成分>
 ゴム(b-3)成分としては、エチレン-プロピレ 系ゴム、天然ゴム、ニトリルゴム等が挙げ れる。これらは1種を単独で用いてもよく、 2種以上を混合して用いてもよい。
 また、(b-3)成分は、架橋タイプ、部分架橋 イプ、非架橋タイプのいずれでもよい。

 エチレン-プロピレン系ゴムとしては、エ チレン及びプロピレンを主成分とするランダ ム共重合体(EPM)、このEPMに第3成分としてジエ ンモノマー(ジシクロペンタジエン、エチリ ンノルボルネン等)を加えたものを主成分と るランダム共重合体(EPDM)が挙げられる。

 なお、(b)成分には、(a)成分と(b)成分とのカ プリング効果を目的として、(b)成分(100質量 %)中に、カルボン酸基または無水カルボン酸 を有する不飽和単量体に由来する構成単位 0.01~0.5質量%含有するのが好ましい。ただし 前記の不飽和単量体に由来する構成単位に 、未反応のカルボン酸基または無水カルボ 酸基を有する不飽和単量体を含む。
 不飽和単量体に由来する構成単位の含有量 0.01質量%未満では、難燃剤(a)成分とのカッ リング効果が不充分となり、成形品の耐磨 性、引張破断強度等の機械的強度が著しく 下することがある。不飽和単量体に由来す 構成単位の含有量が0.5質量%を超えると、得 れる難燃性組成物の流動性が著しく低下し 成形品の製造工程に支障が生じる可能性が る。

 カルボン酸基または無水カルボン酸基を する不飽和単量体としては、マレイン酸、 マル酸、シトラコン酸、イタコン酸等のα β-不飽和ジカルボン酸またはこれらの無水 ;アクリル酸、メタクリル酸、フラン酸、ク トン酸、ビニル酢酸、ペンテン酸等の不飽 モノカルボン酸等が挙げられる。これらの ち、マレイン酸、フマル酸が特に好ましい これら不飽和単量体は1種を単独で用いても よく、2種以上を組み合わせて用いてもよい

 カルボン酸基または無水カルボン酸基を する不飽和単量体に由来する構成単位を(b) 分に導入する方法としては、(i)前記不飽和 量体を、(b-1)、(b-2)、(b-3)成分の1種以上にグ ラフト重合させる方法、(ii)エチレンと前記 飽和単量体とをランダム共重合させる方法 (iii)(b-1)、(b-2)、(b-3)成分の1種以上と、前記 飽和単量体とを、有機化酸化物等の存在下 溶融混練する方法等が挙げられる。なお、 融混練には押出機等を用いることができる

(i)の方法は、ラジカル開始剤の存在下また は不存在下で、前記不飽和単量体またはその 無水物を(b-1)、(b-2)、(b-3)成分の1種以上に、 融法または溶液法によってグラフト重合さ る方法であり、例えば、マレイン酸と(b-2-2) 分のスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン ロック共重合体(SEBS)とをグラフト重合させ マレイン酸変性SEBS(MAH-SEBS)等を得ることが きる。なお、グラフト重合の方法としては 経済的側面から溶融法が好ましい。また、 ジカル開始剤としては、有機過酸化物、ジ ドロ芳香族化合物、ジクミル化合物等が挙 られる。

 有機過酸化物としては、例えば、ヒドロ シパーオキサイド、ジクミルパーオキサイ 、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジアル ル(アリル)パーオキサイド、ジイソプロピル ベンゼンヒドロパーオキサイド、ジプロピオ ニルパーオキサイド、ジオクタノイルパーオ キサイド、ベンゾイルパーオキサイド、パー オキシ琥珀酸、パーオキシケタール、2,5-ジ チル-2,5ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t- チルオキシアセテート、t-ブチルパーオキ イソブチレート等が挙げられる。

 ジヒドロ芳香族化合物としては、ジヒドロ ノリンまたはその誘導体、ジヒドロフラン 1,2-ジヒドロベンゼン、1,2-ジヒドロナフタ ン、9,10-ジヒドロフェナントレン等が挙げら れる。
 ジクミル化合物としては、2,3-ジメチル-2,3- フェニルブタン、2,3-ジエチル-2,3-ジフェニ ブタン、2,3-ジエチル-2,3-ジ(p-メチルフェニ )ブタン、2,3-ジエチル-2,3-(p-ブロモフェニル )ブタン等が挙げられる。これらの中でも、2, 3-ジエチル-2,3-ジフェニルブタンが好ましい

<<難燃性組成物>>
 本発明の難燃性組成物は、難燃剤(a)成分と 有機高分子材料(b)成分とを含有し、(b)成分1 00質量部に対して(a)成分を30~250質量部含有す ことが好ましい。(a)成分が30質量部未満で 、成形品の難燃性が充分ではない。(a)成分 250質量部を超えると、成形品の柔軟性が損 われ、実用にそぐわない。(a)成分は、より ましくは(b)成分100質量部に対して、(a)成分35 ~230質量部であり、特に好ましくは(a)成分40~20 0質量部である。

 本発明の難燃性組成物は、定量フィーダ を用いて適宜の量の各成分を連続的に供給 る、或いは予めヘンシェルミキサー等の高 混合装置またはタンブラーを用いて各成分 プリブレンドした後、単軸押出機、二軸押 機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロー ミル等といった公知の混練機を用いて調製 ることができる。また、成分の一部(例えば 充填剤(a-2)成分と熱可塑性エラストマー(b-2) 分等)を予めブレンドし、さらに混練してマ ターバッチを調製し、このマスターバッチ 第2段階の混練作業に使用することも可能で ある。

 本発明の難燃性組成物は、例えば、フェノ ル系、リン系、硫黄系等の各種酸化防止剤 着色剤、核剤、帯電防止剤;ワックス、パラ フィン類、高級脂肪酸、そのエステル、アミ ドまたは金属塩、シリコーン、フッ素樹脂等 からなる滑剤、スリップ剤、加工助剤、金属 不活性化剤、紫外線防止剤等の各種補助成分 を適量含有してもよい。特に、難燃性組成物 を電線の被覆として用いる場合には、銅線に よる有機高分子材料の劣化促進作用を防ぐた め、フェノール系の酸化防止剤及び/または 属不活性化剤を(b)成分に対して1~2質量部添 しておくことが好ましい。
 なお、フェノール系酸化防止剤及び金属不 性化剤は、有機高分子材料の酸化を抑制で るため、難燃性能をより向上させる働きが る。
 また、ステアリン酸マグネシウムなどの滑 は、難燃剤の分散を向上させることができ ため、難燃性能をより向上させる機能も持 ている。更には、この滑剤には(a-2)成分中 取り込まれた水分をキャッピングして閉じ める効果も発揮すると考えられる。

<<成形品>>
 本発明の成形品は、本発明の難燃剤または 燃性組成物を使用したものである。具体的 、本発明の成形品は、上記難燃性組成物を 形することにより得られる。成形品の成形 法としては、特に制限されるものではなく 用途に応じて種々の公知の成形方法を適用 きる。例えば、射出成形法、押出成形法、 縮成形法、中空成形法等を適用できる。
 本発明の難燃剤及びそれを用いた難燃性組 物は、広く多種の成形品に利用することが き、自動車用ワイヤーハーネスの電線被覆 コネクタ部品、テープ類、電化製品用機器 電線の被覆、電源コードの被覆、壁紙、建 フィルム、シート、床材、パイプ等に好適 ある。

 ノンハロゲン系難燃剤である上記難燃剤を いた本発明の成形品は、ハロゲンを含む燃 ガスの環境への影響、及び廃棄時の焼却に うダイオキシン類の発生を低減できる。さ に、本発明の成形品は、従来のノンハロゲ 系難燃剤を使用した成形品に比べて、難燃 、耐磨耗性、柔軟性に優れ、充分な機械的 度を有し、かつ低コスト化を実現している よって、本発明の成形品は、従来のハロゲ 系難燃剤を含有する成形品、或いは従来の リ塩化ビニルからなる成形品の代替として く用いることができる。
 さらに、本発明では、これら(a)成分と(b)成 とを含有した難燃性組成物を、紙や布、木 (木粉を含む)に含ませても、その効果を得 ことができる。さらに、用途に応じて、(a) 分は、(b)成分以外の任意の材料に添加して よく、任意の材料に難燃性を付与すること できる。

<<電線>>
 本発明の被覆を有した電線は、本発明の難 剤または難燃性組成物を使用した被覆を有 る電線である。ここでいう被覆は、導体の 囲の一次被覆及び/または電線の外装を覆う 二次被覆である。
 本発明の電線は、自動車用ワイヤーハーネ 、電化製品の内部電線、電化製品の電源コ ド及び電源ケーブル、ビル、工場、家屋等 屋内配線、屋外配線、測定機器等のセンサ 部の配線等に広く用いることができる。

 本発明の難燃剤または難燃性組成物を使 した被覆を有した電線は、ハロゲンを含む 焼ガスの環境への影響、及び廃棄時の焼却 伴うダイオキシン類の発生を低減できる。 らに、本発明の電線は、従来のノンハロゲ 系難燃剤を被覆に含んだ電線に比べて、難 性、耐磨耗性、柔軟性に優れ、充分な機械 強度を有し、かつ低コスト化を実現してい 。よって、本発明の電線は、従来のハロゲ 系難燃剤を含有する電線、或いは従来のポ 塩化ビニル被覆を有した電線の代替として く用いることができる。

 以下に実施例を示し、本発明をさらに具体 に示す。ただし、本発明はこれら実施例の に限定されることはない。
 各実施例で用いた(a)成分及び(b)成分を以下 挙げる。なお、成分中のキシレン可溶分及 不溶分、MFR、水分率の測定は、次の方法で った。
(キシレン可溶分、不溶分)
 樹脂2.5gを撹拌しながら、135℃のキシレン250 ml中に溶解した。20分後、溶液を攪拌しなが 25℃まで冷却し、ついで30分間不溶分を沈降 せた。沈殿をろ過し、ろ液を窒素流下で蒸 させ、残渣が恒量に達するまで80℃にて静 し、真空乾燥した。このようにして得られ 残渣を秤量して、25℃におけるキシレン可溶 成分の質量%を求めた。
(MFR)
 JIS K7210にしたがって測定し、ポリプロピレ ン系樹脂は230℃、2.16kg荷重での測定値、ポリ エチレン系樹脂は190℃、2.16kg荷重での測定値 とした。
(水分率)
 カールフィッシャー法を使用した水分計(三 菱化学社製CA-200)を使用し、測定温度180℃で 定した。

<<(a)成分>>
<(a-1)成分>
 水酸化マグネシウム低表面処理品(Mg(OH) 2 -(1)):協和化学工業社製、キスマ5AL、Mg(OH)2含 量=99.3質量%、平均粒子径=0.8μm、アスペクト =4。
 水酸化マグネシウム-シランカップリング剤 表面処理品(Mg(OH) 2 -(2)):協和化学工業社製、キスマ5P、Mg(OH) 2 含有量=99.5質量%、平均粒子径=0.8μm、アスペ ト比=4。
 水酸化アルミニウム(Al(OH) 3 ):昭和電工社製、ハイジライトH-42、Al(OH) 3 含有量=99.6、質量%、平均粒子径=1.1μm、アス クト比=1.5。

<(a-2)成分>
 融剤焼成珪藻土(珪藻土-(1)):Celite Corporation 、SuperFine SuperFloss、平均粒子径=5μm、アスペ クト比=1.0。
 化学式は1.3Fe 2 O 3 ・4.0Al 2 O 3 ・90SiO 2 ・0.5H 2 O (0.3Fe 2 O 3 ・Al 2 O 3 ・22.5SiO 2 ・0.1H 2 O)。水分率=15.2%。
 焼成品珪藻土(珪藻土-(2)):Celite Corporation製 Celite577、平均粒子径=21μm、アスペクト比=1.2 化学式は1.3Fe 2 O 3 ・4.0Al 2 O 3 ・90SiO 2 ・0.5H 2 O (0.3Fe 2 O 3 ・Al 2 O 3 ・22.5SiO 2 ・0.1H 2 O)。水分率=11.3%。
 融剤焼成珪藻土(珪藻土-(3)):Celite Corporation 、Celite503、平均粒子径=31.5μm、アスペクト比 =1.3。化学式は1.2Fe 2 O 3 ・3.2Al 2 O 3 ・93SiO 2 ・0.1H 2 O (0.4Fe 2 O 3 ・Al 2 O 3 ・29.0SiO 2 ・0.03H 2 O)。水分率=12.6%。
 PC型合成ゼオライト(ゼオライト-(1)):水澤化 工業製、JC30、平均粒子径=3μm、アスペクト =1.0。化学式はx1Na 2 O・x2CaO・Al 2 O 3 ・3.0~3.9SiO 2 ・zH 2 O (x1+x2=1、zは数値不明)。水分率=11.2%。
 4A型合成ゼオライト(ゼオライト-(2)):水澤化 工業製、Silton B、平均粒子径=3.5μm、アスペ クト比=1.0。化学式はNa 2 O・Al 2 O 3 ・2SiO 2 ・3.0~4.5H 2 O。水分率=21.1%。
 X型合成ゼオライト(ゼオライト-(3)):水澤化 工業製、Silton CPT-30、平均粒子径=3.1μm、ア ペクト比=1.0。化学式はNa 2 O・Al 2 O 3 ・2~3SiO 2 ・zH 2 O(zは数値不明)。水分率=12.2%。
4A型合成ゼオライト(ゼオライト-(4)):東ソー製 、ゼオラムA-4、平均粒子径=8.4μm、アスペク 比=1.0。化学式はNa 2 O・Al 2 O 3 ・2SiO 2 ・3.0~4.5H 2 O。水分率=5.8%、吸湿後水分率20.3%。
5A型合成ゼオライト(ゼオライト-(5)):東ソー製 、ゼオラムA-5、平均粒子径=9.2μm、アスペク 比=1.0。化学式はCaO・Al 2 O 3 ・2SiO 2 ・3.0~4.5H 2 O。水分率=7.9%、吸湿後水分率=17.8%。
4A型合成ゼオライト(ゼオライト-(6)):旭硝子製 、ゼオライトパウダー、平均粒子径=2.1μm、 スペクト比=1.0。化学式はNa 2 O・Al 2 O 3 ・2SiO 2 ・3.0~4.5H 2 O。水分率=8.5%、吸湿後水分率21.6%。
 なお、ゼオライト-(4)~(6)における吸湿は70℃ 、相対湿度95%の恒温恒湿槽中に24時間放置し 後、常温(15℃~25℃)まで温度を降下させ、1 間放置後5gを採取し、吸湿量を測定した。同 時に、速やかに計量、配合、混練作業を行っ て難燃性組成物を調製した。

<<(b)成分>>
<(b-1)成分>
 (b-1-1)成分
 ホモポリプロピレン(PP(1)HOMO):PS201A、サンア マー社製、MFR=0.5g/10分、キシレン可溶分=1.5 量%。
 ブロックポリプロピレン(PP(2)HECO):PB170A、サ アロマー社製、MFR=0.3g/10分、キシレン可溶 =17質量%。

 (b-1-2)成分
 低密度ポリエチレン(LDPE):ミラソン3530、三 化学社製、MFR=0.23g/10分、密度=0.924g/cm 3

 (b-1-3)成分
 エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA):日本ポリ エチレン社製、ノバテックEVA LV342、酢酸ビ ル単位の含有量=10質量%、MFR=2.0g/10分。
 (b-1-4)成分
 エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA):日 本ポリエチレン社製、レクスパールEEA A1100 アクリル酸エチル単位の含有量=10質量%、MFR= 0.4g/10分。

 <(b-2)成分>
 (b-2-1)成分
 多段重合ポリプロピレン共重合体(オレフィ ン系エラストマー(1)):CatalloyQ200F、サンアロマ ー社製、MFR=0.8g/10分、キシレン可溶分=60質量% 。
 多段重合ポリプロピレン共重合体(オレフィ ン系エラストマー(2)):CatalloyQ020F、サンアロマ ー社製、MFR=0.8g/10分、キシレン可溶分=70質量% 。
 部分架橋熱オレフィン系可塑性エラストマ (部分架橋系TPO):ミラストマー9020N、三井化 社製、MFR=12g/10分。

(b-2-2)成分
 マレイン酸変性SEBS(MAH-SEBS):クレイトンFG1901X 、クレイトンポリマー社製、スチレン単位の 含有量=28質量%、MFR=22g/10分。MAH-SEBS100質量%中 おける無水マレイン酸由来の構成単位の含 量=1.0質量%。
 マレイン酸変性ポリプロピレン(MAH-PP):Polybon d3200、ケミチューラ社製、MFR=250g/10分。MAH-PP10 0質量%中における無水マレイン酸由来の構成 位の含有量=1.0質量%。
 無水マレイン酸由来の構成単位:MAH-PPまたは MAH-PPに含有される無水マレイン酸由来の構成 単位の(b)成分100質量部中における質量部。な お、無水マレイン酸由来の構成単位は、本発 明で好ましく含有されるカルボン酸基または 無水カルボン酸基を有する不飽和単量体に由 来する構成単位に該当する。

<(b-3)成分>
 ゴム:タフマーP-0280、三井化学社製、MFR=2.9g/ 10分、キシレン可溶分=99質量%。

<<その他の成分>>
酸化防止剤:イルガノックス1010、チバスペシ リティーケミカルズ社製。
金属不活性化剤:イルガノックスMD1024、チバ ペシャリティーケミカルズ社製。
スリップ剤:EMS-6P、栄新化成社製。

〔実施例1~29、比較例1~12〕
 各実施例における各成分を表1,2に示す通り また、各比較例における各成分を表3に示す 通りに配合し、容量20リットルのヘンシェル キサーで混合した後、直径30mm同方向二軸押 出機を用いて、ダイス温度200℃設定で混練し 、難燃性組成物のペレットを作製した。
 また、直径30mmの押出機の先端に付けられた 100mm幅のT-ダイを用いて、成形温度230℃、引 速度2.0m/分で難燃性組成物のペレットを成形 し、厚さ0.2mmのシートを作製した。
 また、直径20mmの押出機に取り付けたクロス ヘッドダイスを用いて、直径0.7mmの単線の銅 上に、厚さ0.2mmで難燃性組成物を被覆する とにより、難燃性組成物の被覆を有する電 を作製した。なお、ダイス温度は230℃、引 速度は10m/分とした。
 得られたシート及び被覆を有する電線につ て、以下の評価を行った。なお、引張試験 結果はT-ダイシートの流れ方向のデータを 用した。

(引張試験)
 シートからJIS K6251の3号ダンベルの指定形 を打ち抜き、常温(23℃)で引張速度200mm/分、 ャック間距離60mm、標線間距離Lo=20mmで引張 験を行った。試験片破断時の強度を最小断 積で割ったものを引張強度とした。なお、 ち抜きの方向は、シート流れ方向が試験時 引張方向となるようにした。
 また、この時の標線間距離をLとして、(L-L0) /L0×100によって引張伸びを求めた。
 なお、引張強度及び引張伸びは機械的強度 強さの指標となる。引張強度及び引張伸び 値が高いほど、機械的強度が高いと評価さ る。
 ヤング率Eは、前記引張試験で得られた荷重 に対する変位をグラフ化した荷重-変位曲線 用い、この荷重-変位曲線の初めの直線に接 を引き、この該接線上の任意の2点を設定し 、接線上の2点間の平均断面積による応力の △σと、同じ2点間の歪の差△εとから、E=△ /△εで求めた。ヤング率が高いほど、柔軟 が低く、ヤング率が低いほど、柔軟性が高 。

(耐磨耗性)
 難燃性組成物の被覆を有する電線について JASO D611-12-(2)に示すブレード往復法により 荷重7Nの条件で、ブレードとして直径0.45mmの ピアノ線を用いて摩耗試験を行った。そして 、電線の被覆が破壊されるまでのブレードの 往復回数を計測した。
(燃焼試験)
 難燃性組成物の被覆を有する電線について 焼試験を行った。難燃性組成物中の(a)成分 配合量が150質量部未満の実施例及び比較例 ついては、JIS C3005に記載される45°燃焼試 を行い、この該電線を10秒間炎に曝した後、 消炎するまでの時間を測定し、消炎時間とし た。消炎時間が70秒以内であれば、難燃性が 好と判断できる。
 また、難燃性組成物中の(a)成分の配合量が1 50質量部以上の実施例及び比較例については JIS K7106に準拠したUL-94垂直燃焼法による測 を行い、垂直難燃性とした。

 比較例1,2は、難燃剤(a)成分として、充填剤( a-2)成分を添加せず、金属水和物(a-1)成分のみ を用いた例である。(a-1)成分を70質量部と多 にした比較例1は、消炎時間(45°)が70秒以下 あったものの、高いヤング率(柔軟性が低い) を示した。(a-1)成分を50質量部と比較例1より なくした比較例2は、柔軟性、機械的強度が 良好であるものの、消炎時間(45°)が70秒を超 ており、充分な難燃性が得られなかった。
 これに対して、金属水和物(a-1)成分に(a-2)成 分を併用した実施例1~5では、消炎時間(45°)が 70秒以下であり、かつ比較例1に比較して(a-1) 分の配合量を20質量部程度減量できた。ま 、優れた引張伸び、低いヤング率(高い柔軟 )が確認された。
 このことから、(a-1)成分のみでは、難燃性 柔軟性とを共に満足することができず、難 性と柔軟性とを両立するには(a-2)成分が必要 であることが確認された。

 比較例3は、(a-2)成分の添加量が本発明の下 を下回る以外は実施例1と各成分を同じくし た例であり、消炎時間(45°)が70秒を超えてお 、難燃性に劣ることが確認された。
 比較例4は、(a-2)成分の添加量が本発明の上 を超える以外は実施例1と各成分を同じくし た例であり、この場合は(a-1)成分の添加量が ることから、やはり消炎時間(45°)が70秒を えており、難燃性に劣ることが確認された

 実施例6,7は、(b-1)成分として好ましく用い れる(b-1-3)成分のエチレン-酢酸ビニル共重合 体(EVA)、及び(b-1-4)成分のエチレン-アクリル エチル共重合体(EEA)を使用することによって 、実施例1~5と比較して、さらに(a)成分の配合 量を下げることができた。これにより、これ らの(b)成分は(a-1)成分の更なる使用量の低減 有効な配合であることが示唆された。
 比較例5は、実施例6の(a)成分を(a-1)成分のみ とした例である。また、比較例6は、実施例7 (a)成分を(a-1)成分のみとした例である。比 例5、6とも消炎時間(45°)が70秒を超えており 難燃性に劣ることが確認された。
 このことから、良好な難燃性を得るには、( b)成分の選択の如何に関わらず、(a-2)成分が 要であり、かつ(a)成分中の(a-2)成分を本発明 の範囲にすることが必要であることが確認さ れた。
 実施例8は、(b)成分として、(b-1-1)成分のブ ックポリプロピレン(PP(2)HECO)に合わせ、(b-1-2 )成分の低密度ポリエチレン(LDPE)を併用した であり、良好な難燃性に合わせ、優れた引 強度、引張伸びを示した。

 実施例9~13は、(b)成分に(b-1-1)成分のホモポ プロピレン(PP(1)HOMO)、(b-1-2)成分の低密度ポ エチレン(LDPE)、(b-2-1)成分のオレフィン系エ ストマー(1)を使用し、各種の(a-2)成分を用 た例であり、そのいずれもが良好な難燃性 示した。さらには、ヤング率が低く(柔軟性 高い)、引張強度、引張伸びといった機械的 強度が良好であり、これらの特性のバランス が良好であった。その中でも、特にゼオライ ト-(2)を使用した実施例12は、優れた難燃性( い消炎時間)、柔軟性、引張強度、引張伸び 示し、これらの諸特性を高度に有していた
 これに対し、実施例9~13と有機高分子材料成 分(b)が同じとしつつも、(a-2)成分が含有され いない比較例7、8、及び(a-2)成分が本発明の 規定量を満たしていない比較例9、10は、いず れもヤング率が高い(柔軟性が低い)、或いは 炎時間(45°)が70秒を超えており、難燃性に ることが確認された。
 このことから、柔軟性と難燃性とを両立す には、(b)成分の選択の如何に関わらず、(a-2 )成分が必要であり、かつ(a-2)成分が本発明の 規定量を満たす必要があることが確認された 。

 実施例14は(a-1)成分に水酸化マグネシウム- ランカップリング剤表面処理品を用いた例 あり、実施例15は(b)成分に部分架橋系TPOを含 ませた例であり、実施例16及び17は(b)成分に レイン酸変性SEBSを含ませた例であり、実施 18は(b)成分に(b-3)成分のゴムを含ませた例で ある。これらの実施例はいずれも優れた難燃 性を示し、かつヤング率が低く(高い柔軟性) 有しており、機械的強度、耐磨耗性に関し も満足すべき結果を示した。
 実施例19は、(a-2)成分として、平均粒子径が 30μmを超えた珪藻土-(3)を用いた例であり、引 張強度及び引張伸びが低いものの、他の評価 は良好であった。
 実施例20は、(b)成分に好ましく含有される ルボン酸基または無水カルボン酸基を有す 不飽和単量体由来の構成単位が含まれない 、すなわち、本件実施例によるところの無 マレイン酸由来の構成単位を含有するMAH-SEBS 及びMAH-PPを用いない例であり、耐磨耗性が劣 るものの、他の評価は良好であった。このこ とから、耐摩耗性の向上には、カルボン酸基 または無水カルボン酸基を有する不飽和単量 体に由来する構成単位を含むことが好ましい ことが示唆された。

 実施例21,22は、高難燃タイプとして、本発 の規定内で(b)成分100質量部に対する(a)成分 配合量を多くした例であり、いずれも優れ 垂直難燃性を示した。
 実施例23は、本発明の範囲内で(a-1)成分を実 施例21よりさらに多く配合した例であり、実 例21に比較して、機械的強度の指標となる 張伸び、引張強度が劣るものの、垂直難燃 は良好であった。
 比較例11は、実施例21の(a)成分を(a-1)成分の とした例であり、垂直難燃性が劣っていた
 実施例24,25,26は、吸湿させたゼオライト-(4), (5),(6)を使用したものである。粒径の大きい オライト-(4),(5)を使用した実施例24,25は引張 性にやや劣るものの、優れた難燃性を示し いる。吸湿させなかったゼオライト-(4)(5)(6) を使用した実施例27、28,29では、水分率が10質 量%未満であるため、難燃特性にやや劣る結 となっているが、充分な柔軟性と引張性能 有している。金属水和物(a-1)のみの比較例12 は全焼している。したがって、水分率が10 量%未満であっても難燃性を向上させる効果 見られる。

 本発明によれば、難燃性、耐磨耗性、柔軟 に優れ、充分な機械的強度を有する成形品 び電線の被覆を低コストで得ることができ 難燃剤及びそれを用いた難燃性組成物を提 できる。本発明の難燃剤及びそれを用いた 燃性組成物は、高度の難燃性、柔軟性、耐 性を必要とする自動車用ワイヤーハーネス 電線被覆、コネクタ部品、テープ類、電化 品用機器内電線、電源コードの被覆、壁紙 建材フィルム、シート、床材、パイプ等に 適である。また、本発明の難燃剤は、ノン ロゲン系難燃剤であり、これを用いた本発 の成形品は、ハロゲンを含む燃焼ガスの環 への影響、及び廃棄時の焼却に伴うダイオ シン類の発生を抑制できる。さらに、本発 の難燃性組成物からなる被覆を有した電線 、従来のノンハロゲン系難燃剤を被覆に含 した電線に比べて、難燃性、耐磨耗性、柔 性に優れ、充分な機械的強度を有し、かつ コスト化を実現している。
 よって、本発明の難燃剤及びそれを用いた 燃性組成物を用いた成形品及び被覆を有し 電線は、従来のハロゲン系難燃剤を用いた 形品、ハロゲン系難燃剤を被覆に用いた電 、或いは従来の塩化ビニルからなる成形品 びポリ塩化ビニルで被覆された電線の代替 して広く用いることができる。